JP2020093426A - 難燃性吸音積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸音性及び難燃性に優れる難燃性吸音積層体を提供する。【解決手段】本開示の一実施態様の難燃性吸音積層体100は、熱可塑性樹脂を含む不織布を備える吸音層101、該吸音層上に設けられた熱膨張性粒子102を含む粒状層103、及び該粒状層上に設けられた通気層105を備える。【選択図】図1
Description
本開示は、難燃性吸音積層体及びその製造方法に関する。
例えば、自動車、電車、飛行機等の乗物分野、建築分野等で使用される吸音材において、難燃性も要する吸音材が望まれている。しかしながら、例えば、吸音材で使用されている樹脂製の不織布は、吸音性は有するものの、難燃化することが難しいため、このような要求を満足させることが困難であった。
特許文献1(特開2016−198907号公報)には、熱可塑性樹脂層及び通気性布帛層を含む厚さ0.35〜2.0mmの可撓性積層体の全面に、孔径0.5〜2.5φmmの通気孔が多数形成され、この通気孔の開孔率が、可撓性積層体の単位面積当たり2.5〜12.5%であり、熱可塑性樹脂層が、熱膨張性粒子として、スメクタイト系粘土鉱物、合成スメクタイト、セリサイト、フッ素雲母、及び膨張黒鉛から選ばれた1種以上の層状無機化合物を、熱可塑性樹脂層に対して1.5〜10質量%含む、吸音不燃シートが記載されている。特許文献1に記載の吸音不燃シートは、不燃化のために、熱膨張粒子を1.5〜10質量%含む熱可塑性樹脂層を採用しているが、係る層には樹脂成分が多量に含まれているため、十分な難燃性能が得られなかった。
特許文献2(米国特許第5955386号明細書)には、不織布繊維パッド中に膨張性グラファイト粒子を有し、アルミ箔等を備える、難燃性吸音材料が記載されている。特許文献2に記載の難燃性吸音材料は、不織布繊維パッド中に膨張性グラファイト粒子が配置されているため、吸音性に悪影響を及ぼし、また、加熱に伴う膨張性グラファイト粒子の膨張作用によって、不織布繊維パッド自体が変形してしまうため、難燃試験後の変形を望まないような高度の難燃性試験をパスすることができなかった。加えて、通気性能を有さないアルミ箔は、音を反射する傾向があるため、吸音性を低下させる要因となっていた。
特許文献3(国際公開第2018/066169号)には、通気抵抗が0.01〜0.1kPa・s/mの不織布製の基材であって、難燃剤等を含み得る基材と、該基材の一面を被覆する半硬化状態の熱硬化性樹脂製の樹脂膜とを有し、該樹脂膜中には平均粒径が1〜100μmの粉体からなるフィラーが分散されており、全体の通気抵抗が0.2〜5.0kPa・s/mである、吸音性表皮材が記載されている。
本開示の目的は、吸音性及び難燃性に優れる難燃性吸音積層体の提供にある。
本開示の一実施態様によれば、熱可塑性樹脂を含む不織布を備える吸音層、この吸音層上に設けられた熱膨張性粒子を含む粒状層、及びこの粒状層上に設けられた通気層を備える、難燃性吸音積層体が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、熱可塑性樹脂を含む不織布を備える吸音層、若しくは通気層のいずれか一方の表面に、接着剤又は粘着剤を適用する工程、この接着剤若しくは粘着剤が適用された吸音層又は通気層の表面に対し、熱膨張性粒子を適用して粒状層を形成する工程、並びに、この粒状層上に、熱可塑性樹脂を含む不織布を備える吸音層、又は通気層をさらに適用して、吸音層、粒状層及び通気層を備える難燃性吸音積層体を形成する工程、を含む、難燃性吸音積層体の製造方法が提供される。
本開示によれば、吸音性及び難燃性に優れる難燃性吸音積層体を提供することができる。
上述の記載は、本開示の全ての実施態様及び本開示に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
図面を参照し、本開示の実施形態における難燃性吸音積層体(以下、積層体と表記する場合がある)について例示する。
図1は、本実施形態の難燃性吸音積層体100の断面図である。難燃性吸音積層体100は、熱可塑性樹脂を含む不織布を備える吸音層101、吸音層101上に設けられた熱膨張性粒子102を含む粒状層103、及び粒状層103上に設けられた通気層105を備えている。「上に設けられた」とは、単なる位置関係を示すものであり、直上に位置することを必ずしも示すものではない。
粒状層103は、熱可塑性樹脂内に熱膨張性粒子を混入させる構成とは異なり、熱膨張性粒子102がバインダー樹脂等による拘束を受けがたく、加熱に伴う熱膨張性粒子102の熱膨張が阻害されにくい。そのため、熱膨張性粒子102を十分に膨張させることができる。その結果、熱膨張後に、難燃性吸音積層体100の空気の通過が遮断されやすくなるとともに、粒状層103の体積又は厚さを十分に増加させて断熱性を向上させることができ、炎からの熱が不織布へ伝搬しにくくなるため、難燃性吸音積層体100の難燃性能を向上させることができる。
また、熱膨張前の粒状層103は、通気性能を有しているため、音を反射する傾向が強いアルミ箔などの通気性能を有さない材料とは異なり、吸音性の低下を低減又は防止することができる。
以下、本開示の代表的な実施態様を例示する目的で、上記の各構成要素の詳細について一部符号を省略して説明する。
通気層は、通気性能を呈し、かつ、最表層に位置する層を示す。通気層は、難燃性不織布を備えることができる。通気層は、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、バサルト繊維、炭素繊維、酸化ポリアクリロニトリル繊維、フェノール繊維、活性炭繊維、メラミン繊維、難燃性レーヨン繊維、及び難燃性ポリエチレンテレフタレート繊維から選ばれた少なくとも一種を含むことができる。
粒状層は、粒子が積み重なって形成されたような状態の層を示す。このような構成の粒状層は、通気孔を機械的に形成しなくても、通気性能を呈することができる。粒状層は、熱膨張性粒子を含む。
熱膨張性粒子は、例えば、炎による直接的又は間接的な熱によって膨張する粒子を示す。例えば、熱膨張性粒子は、約100℃以上、約120℃以上、又は約150℃以上の熱によって膨張を開始する。熱膨張性粒子の膨張倍率は、例えば、約50ml/g以上、約100ml/g以上、約150ml/g以上、又は約200ml/g以上と規定することができ、約700ml/g以下又は約500ml/g以下と規定することができる。
吸音層は、粒状層及び通気層とは異なる層であり、通気性能を呈し、かつ、積層体を構成する層の中で最も吸音性能を呈する層を示す。
吸音層は、熱可塑性樹脂を含む不織布を備えている。係る不織布は、単独で又は複数組み合わせて使用することができる。ここで、吸音層は、例えば、上から順に、通気層/粒状層/吸音層が形成されている場合において、粒状層よりも下層に位置する層を吸音層と規定することができる。例えば、粒状層よりも下方において、後述するスクリム等の任意布帛が不織布に対して隣接して形成されている場合には、このスクリム及び不織布を含む部分を吸音層とみなすことができる。
本実施形態の難燃性吸音積層体は、粒状層によって十分な難燃性能を発揮させることができるため、吸音層中への熱膨張性粒子の配合割合を低減することができ、或いは、吸音層中に熱膨張性粒子を配合しなくてもよい。その結果、吸音層は、熱膨張性粒子の熱膨張に伴う変形をより受けにくくすることができる。
難燃性とは、燃えにくい性能を示す。難燃性は、燃えない性能を示す不燃性を包含してもよい。難燃性は、例えば、後述する難燃性試験で評価することができる。例えば、係る難燃性試験における表面、裏面の表面的変性部位の大きさが、約100mm以下であり、かつ局部的貫通のない状態を難燃性と評価することができる。表面的変性部位とは、試験サンプルが、初期の状態から試験終了後に、試験サンプルにおける表面、裏面の縦、横方向の少なくともいずれかにおいて、穴、溶融等の変化が生じている部位を示す。局部的貫通とは、少なくとも一部分に貫通している箇所が生じている状態を示す。表面的変性部位の大きさが、約100mm以下の状態とは、試験サンプルの縦、横方向の少なくともいずれかにおける表面的変性部位の最大の大きさが、約100mm以下であることを示す。
本実施形態の積層体は、優れた難燃性能を呈している。係る難燃性能は、例えば、後述する難燃性試験によって評価することができ、係る試験において、局部的貫通がなく、かつ、例えば、表面的変性部位の大きさが、約100mm以下、約80mm以下、約60mm以下、又は約40mm以下を達成することができる。表面的変性部位の大きさの下限値については特に制限はないが、例えば、約0mm以上、約5mm以上、又は約10mm以上と規定することができる。
この他、本実施形態の積層体は、係る難燃性試験において、例えば、目視観察で、以下の(1)〜(3)の性能も達成することができる:
(1)試験中に着火しない。
(2)試験中に引火しない、即ち、燃え広がらない。
(3)黒く炭化したような変色領域の大きさが、約130mm以下である。
(1)試験中に着火しない。
(2)試験中に引火しない、即ち、燃え広がらない。
(3)黒く炭化したような変色領域の大きさが、約130mm以下である。
吸音性とは、防音性能の一種であり、音を吸収することで音の反射を低減又は防ぎ、音が室外に透過することを低減又は防いだり、音を発している室内における音の反響を低減又は抑えることを示す。吸音性は、例えば、後述する吸音性試験で評価される。吸音性試験において、例えば、約1000〜約4000Hzの範囲において、各1/3オクターブバンドの中心周波数(1000、1250、1600、2000、2500、3150、4000Hz)における吸音率の各算術平均値(例えば、1000Hzにおける算術平均値、1250Hzにおける算術平均値など)が、約0.64以上である状態を、吸音性を発揮する状態と評価することができる。
本実施形態の積層体は、優れた吸音性能を呈している。係る吸音性能は、例えば、後述する吸音性試験によって評価することができ、係る試験において、例えば、約1000〜約4000Hzの範囲内で、各1/3オクターブバンドの中心周波数(1000、1250、1600、2000、2500、3150、4000Hz)における吸音率の各算術平均値が、約0.64以上、約0.67以上、約0.68以上、又は約0.70以上を達成することができる。係る吸音率の算術平均値の上限値については特に制限はないが、例えば、約1.00以下又は約0.99以下と規定することができる。
より具体的には、本実施形態の積層体は、係る吸音試験において、例えば、約1000Hz以上、約2000Hz未満の範囲内で、各1/3オクターブバンドの中心周波数(1000、1250、1600Hz)における吸音率の各算術平均値が、約0.64以上、約0.67以上、約0.68以上、又は約0.70以上を達成することができ、約1.00以下又は約0.99以下を達成することができ、約2000Hz以上、約4000Hz以下の範囲内で、各1/3オクターブバンドの中心周波数(2000、2500、3150、4000Hz)における吸音率の各算術平均値が、約0.80以上、約0.81以上、約0.82以上、約0.83以上、又は約0.84以上を達成することができ、約1.00以下又は約0.99以下を達成することができる。
或いは、本実施形態の積層体は、係る吸音試験において、例えば、約1000〜約4000Hzの範囲内で、各1/3オクターブバンドの中心周波数(1000、1250、1600、2000、2500、3150、4000Hz)における全吸音率から算出した算術平均値が、約0.77以上、約0.78以上、約0.79以上、又は約0.80以上を達成することができる。係る吸音率の算術平均値の上限値については特に制限はないが、例えば、約0.99以下、約0.97以下、又は約0.95以下と規定することができる。
本実施形態の積層体は、通気性を呈することができるため、発生した音を積層体内に取り込んで吸収することができる。係る通気性は、例えば、後述する流れ抵抗試験で評価することができる。例えば、積層体の流れ抵抗値は、約100Pa・s/m以上、約150Pa・s/m以上、又は約200Pa・s/m以上と規定することができ、約3000Pa・s/m以下、約2500Pa・s/m以下、又は約2000Pa・s/m以下と規定することができる。このような範囲の流れ抵抗を有する積層体は、発生した音を積層体内に取り込んで吸収しやすくなるため、吸音性能をより向上させることができる。
難燃性吸音積層体の厚さは、次のものに限定されないが、例えば、約1.0cm以上、約2.0cm以上、又は約3.0cm以上とすることができ、約30.0cm以下、約25.0cm以下、又は約20.0cm以下とすることができる。ここで、係る厚さは、例えば、0.002psi(0.142g/cm2)の荷重を積層体表面に適用したときの値を示す。厚さは、0.002psi(0.142g/cm2)荷重時の積層体の厚さ方向断面における実体顕微鏡写真を撮影し、無作為に選んだ5点における厚さの算術平均値から求めることができる。
難燃性吸音積層体は、坪量で規定することもできる。以下、坪量は通気層と略並行な平面における単位面積あたりの重量を示す。難燃性吸音積層体の坪量は、次のものに限定されないが、例えば、約100g/m2以上、約150g/m2以上、又は約200g/m2以上とすることができ、約2500g/m2以下、約2000g/m2以下、又は約1500g/m2以下とすることができる。
難燃性吸音積層体の厚さ又は坪量が上記範囲であると、十分な吸音性を発揮することができるとともに、曲面形状等の複雑な箇所への施工性も向上させることができる。
吸音層の不織布を構成する繊維の材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、又はこれらの組み合わせ等の熱可塑性樹脂が挙げられる。この他、不織布には、後述する通気層のガラス繊維やアルミナ長繊維等の熱可塑性樹脂繊維以外の繊維材料を含んでもよい。軽量性、コスト等の観点から、熱可塑性樹脂繊維以外の繊維材料を含まない構成であってもよい。
熱膨張性粒子は、熱膨張によって吸音層を変形させてしまうおそれがある。したがって、吸音層の熱変形を低減又は防止する観点から、吸音層中における熱膨張性粒子の含有量としては、約5.0g/m2以下、約3.0g/m2以下、又は約1.0g/m2以下であることが好ましく、吸音層中には、熱膨張性粒子が含まれていないことがより好ましい。
吸音層の不織布を構成する繊維の繊維径としては、特に限定されないが、例えば、約100nm以上、約200nm以上、又は約300nm以上と規定することができ、約600μm以下、約400μm以下、又は約300μm以下と規定することができる。ここで、繊維の繊維径は、例えば、電子顕微鏡写真で観察した不織布の繊維の直径を示す。具体的には、100本の繊維の幅を計測し、その平均値から求めることができる。
吸音層の不織布は、公知の方法で製造することができる。例えば、繊維材料の熱可塑性樹脂を長繊維状に吐出しながらシート状に形成するスパンボンド法又はメルトブロー法;繊維ウェブのシート若しくはマットをニードルパンチングによって絡合する方法;繊維ウェブのシート若しくはマットを加熱して熱可塑性繊維を軟化させて結着するサーマルボンド法;繊維ウェブのシート若しくはマットに合成樹脂バインダーを含浸又は混合させて結着するケミカルボンド法;繊維ウェブのシート若しくはマットをニードルパンチングによって絡合した上で低融点熱可塑性繊維を加熱軟化せしめて結着するか、或いは糸で縫い込むステッチボンド法;繊維同士を高圧水流で絡ませるスパンレース法等を挙げることができる。
吸音層の厚さとしては、次のものに限定されないが、例えば、約0.1cm以上、約0.2cm以上、又は約0.3cm以上とすることができ、約30cm以下、約20cm以下、又は約10cm以下とすることができる。ここで、係る厚さは、例えば、0.002psi(0.142g/cm2)の荷重を吸音層表面に適用したときの値を示す。厚さは、0.002psi(0.142g/cm2)荷重時の吸音層の厚さ方向断面における実体顕微鏡写真を撮影し、無作為に選んだ5点における厚さの算術平均値を意図することができる。
吸音層は、坪量で規定してもよい。吸音層の坪量は、次のものに限定されないが、例えば、約50g/m2以上、約60g/m2以上、又は約70g/m2以上とすることができ、約2000g/m2以下、約1500g/m2以下、又は約1000g/m2以下とすることができる。
吸音層の厚さ又は坪量が上記範囲であると、十分な吸音性を発揮することができるとともに、曲面形状等の複雑な箇所への施工性も向上させることができる。
本実施形態の吸音層の流れ抵抗値としては、約80Pa・s/m以上、約90Pa・s/m以上、又は約100Pa・s/m以上と規定することができ、約2000Pa・s/m以下、約1800Pa・s/m以下、又は約1600Pa・s/m以下と規定することができる。このような範囲の流れ抵抗を有する吸音層は、積層体の吸音性能をより向上させることができる。
本実施形態の難燃性吸音積層体は、熱膨張性粒子を含む粒状層を吸音層上に備えている。粒状層は、吸音層の主表面以外の周囲部分にも適用することができる。粒状層は、吸音層の主表面及び周囲部分の全面に又は部分的に適用することができる。ここで、粒状層を部分的に適用する場合には、熱膨張後に、粒状層が少なくとも吸音層の主表面の大部分を覆うように配置することが好ましい。
粒状層は、熱膨張性粒子以外の無機粒子若しくは無機繊維などの他の粒子又は繊維などを、難燃性および吸音性を大きく阻害しない範囲で含んでもよい。
粒状層は、吸音層と通気層との間に形成されているため、層として保持することができる。粒状層からの粒子の脱落又は吸音層若しくは通気層への粒子の侵入を低減又は防止する観点から、熱膨張前の粒状層が通気性能を呈する限り、粒状層を構成する粒子表面に対して接着剤又は粘着剤等をスプレー等の手段を使用して適用してもよい。具体的には、接着剤又は粘着剤等の樹脂成分の含有量としては、粒状層全体に対し、約20質量%以下、約15質量%以下、又は約10質量%以下とすることができるが、通気性及び熱膨張性の観点から、このような樹脂成分は粒状層に含まれていないことが好ましい。
熱膨張性粒子の種類としては、次のものに限定されないが、例えば、膨張性黒鉛、スメクタイト系粘土鉱物、合成スメクタイト、セリサイト、イントメッセント系難燃剤、及びフッ素雲母から選ばれた少なくとも一種を使用することができる。このような材料は、熱膨張性に優れるため、難燃性吸音積層体の難燃性能をより向上させることができる。イントメッセント系難燃剤とは、燃焼が始まり加熱されると材料表面に泡が吹き出し、泡状の断熱膨張層ができることによって材料表面の熱が内部に伝わらないようにすると共に、酸素の供給を遮断することによって熱分解と酸化反応を抑止して難燃化の作用を呈する物質をいう。このようなイントメッセント系物質としては、反応性化合物として、例えば、ピロリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミン等;泡の骨格形成剤として、例えば、デキストリン等の炭化水素化合物、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール、ポリ酢酸ビニル等の樹脂;発泡剤として、例えば、分解性のあるアンモニウム塩、ジシアンジアミド、メラミン等のアミノ化合物;ビヒクルとして、例えば、水系の合成エマルジョン、溶剤系のアルキド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂等を組み合わせたものを挙げることができる。熱膨張性、難燃性等の観点から、膨張性黒鉛を用いた例について、後述の実施例で示す。
熱膨張性粒子の平均粒径としては、次のものに限定されないが、例えば、約50μm以上、約80μm以上、約100μm以上、又は約120μm以上と規定することができる。平均粒径の上限値については特に制限はないが、例えば、約5mm以下、約2mm以下、約1mm以下、又は約800μm以下と規定することができる。このような範囲の平均粒径を有する熱膨張性粒子を含む粒状層は、熱膨張前においては、吸音性にとって最適な流れ抵抗を発揮することができる一方で、熱膨張後には、通気層、吸音層の通気遮断性、及び断熱性を向上させ得るため、難燃性吸音積層体の難燃性能をより一層向上させることができる。
また、例えば、平均粒径の異なる複数種類の熱膨張性粒子を配合する構成であってもよい。平均粒径の異なる複数種類の熱膨張性粒子を配合することで、所望の吸音性及び難燃性を発揮させる積層体を形成してもよい。平均粒径の異なる複数種類の熱膨張性粒子が粒状層中に含まれていることは、例えば、粒度分布を測定することによって確認することができる。例えば、平均粒径の異なる二種類の熱膨張性粒子が粒状層中に含まれている場合には、粒度分布のグラフにおいて二峰性のピークが測定される。即ち、粒度分布のグラフにおけるピークの数から、平均粒径の異なる熱膨張性粒子が、何種類含まれているかを確認することができる。
熱膨張性粒子は、例えば、上述した吸音層の不織布、後述する、吸音層若しくは通気層に適用されるスクリム等の任意布帛、又は通気層に対して散布して適用される。したがって、これらの層中への熱膨張性粒子の侵入を低減又は防止する観点から、熱膨張性粒子の平均粒径は、これらの層表面における通気性開口部の第1の平均開口径よりも大きいことが好ましい。ここで、通気性開口部の第1の平均開口径とは、例えば、不織布の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、繊維で囲まれた開口部の面積と同じ面積を有する円相当形状の開口部に換算した場合の開口径(直径)を示す。係る第1の平均開口径は、少なくとも50個の開口部の平均値と規定することができる。
熱膨張性粒子の平均粒径は、例えば、JIS M8511に基づく篩の目開き(メッシュ)の大きさから換算することができる。例えば、30メッシュの篩に残存する粒子の平均粒子径は、約500μm、50メッシュの篩に残存する粒子の平均粒子径は、約300μm、83メッシュの篩に残存する粒子の平均粒子径は、約180μm、100メッシュの篩に残存する粒子の平均粒子径は、約150μmと換算することができる。あるいは、熱膨張性粒子の粒径は、メッシュで規定することもできる。例えば、熱膨張性粒子の粒径は、約280メッシュ以下、約200メッシュ以下、約150メッシュ以下、又は約100メッシュ以下と規定することができる。平均粒径の下限値については特に制限はないが、例えば、約3.5メッシュ以上、約8.6メッシュ以上、約16メッシュ以上、又は約30メッシュ以上と規定することができる。
熱膨張性粒子の平均粒径は、例えば、熱膨張性粒子の面積円相当粒子径から算出することもできる。熱膨張性粒子の面積円相当粒子径とは、例えば、走査型電子顕微鏡で観察した熱膨張性粒子の投影面積と同じ面積を有する円形状の粒子に換算した場合の粒子径を示す。係る面積円相当粒子径は、少なくとも50個の開口部の平均値と規定することができる。また、熱膨張性粒子の平均粒径は、レーザー回折・散乱法で導出されてもよい。
粒状層の厚さとしては、次のものに限定されないが、例えば、約10μm以上、約300μm以上、又は約50μmm以上とすることができる。厚さの上限値については特に制限はないが、例えば、約6mm以下、約5mm以下、又は約4mm以下と規定することができる。ここで、粒状層の厚さは、上述のようにして測定した積層体の厚さから、吸音層及び通気層の厚さを差し引いたときの値を示す。
粒状層は、坪量で規定してもよい。粒状層の坪量は、次のものに限定されないが、例えば、約30.0g/m2以上、約40.0g/m2以上、又は約50.0g/m2以上とすることができる。坪量の上限値については特に制限はないが、例えば、約500g/m2以下、約350g/m2以下、又は約200g/m2以下と規定することができる。
粒状層単独では流れ抵抗を測定することが困難であるため、例えば、粒状層を適用した通気層から構成される積層構成の流れ抵抗から間接的に、粒状層の流れ抵抗を評価することができる。係る積層構成の流れ抵抗値としては、約80Pa・s/m以上、約85Pa・s/m以上、又は約90Pa・s/m以上と規定することができ、約1500Pa・s/m以下、約800Pa・s/m以下、又は約500Pa・s/m以下と規定することができる。
或いは、この積層構成の流れ抵抗値から通気層の流れ抵抗を差し引くことによって、粒状層単独の流れ抵抗値へと換算することもできる。この場合の粒状層の流れ抵抗値としては、約30Pa・s/m以上、約35Pa・s/m以上、又は約40Pa・s/m以上と規定することができ、約1485Pa・s/m以下、約785Pa・s/m以下、又は約485Pa・s/m以下と規定することができる。
本実施形態の難燃性吸音積層体は、吸音層上に通気層を備えている。通気層は、吸音層の主表面以外の周囲部分にも適用することができる。通気層は、吸音層の主表面若しくは周囲部分の全面に又は部分的に適用することができるが、全面に適用することが好ましい。
通気層は、通気性能を有する限り特に制限はなく、例えば、通気孔を有する樹脂フィルム、不織布、織物、編物、網状物などを単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。これらの材料は、難燃性能を有していることが好ましい。軽量性、吸音性、コスト等の観点から、不織布、特に難燃性不織布であることがさらに好ましい。ここで、樹脂フィルム等における通気孔は、穿孔、レーザー光、延伸手段等を使用して形成することができる。不織布はフェルトと呼ばれる材料も包含する。織布又は編布についてはスクリムと呼ぶ場合がある。
通気層が、例えば、通気孔を有する樹脂フィルムの場合には、係る樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、(メタ)アクリル樹脂等の電離放射線硬化型樹脂などを単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
通気層が、不織布、織物等の繊維材料で形成されている場合には、上述した、吸音層の不織布と同様の熱可塑性樹脂から構成される繊維材料を使用することができる。しかしながら、通気層は、一般に、火災の際に最も炎に近接する層であるため、難燃性能を有する繊維材料を使用することが好ましい。例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、バサルト繊維、炭素繊維、酸化ポリアクリロニトリル繊維(OPAN繊維)、フェノール繊維、活性炭繊維、メラミン繊維、難燃性レーヨン繊維、及び難燃性ポリエチレンテレフタレート繊維から選ばれた少なくとも一種が挙げられる。中でも、軽量性、吸音性、難燃性、コスト等の観点から、酸化ポリアクリロニトリル繊維(OPAN繊維)、難燃性レーヨン繊維、及び難燃性ポリエチレンテレフタレート繊維が好ましく、酸化ポリアクリロニトリル繊維(OPAN繊維)が特に好ましい。ここで、難燃性レーヨン繊維及び難燃性ポリエチレンテレフタレート繊維としては、例えば、繊維自体に難燃剤が配合された繊維を使用することができ、或いは、繊維表面に対して難燃化処理を適用した繊維を使用することができる。
通気層の繊維の繊維径としては、特に限定されないが、例えば、約100nm以上、約200nm以上、又は約300nm以上と規定することができ、約600μm以下、約400μm以下、又は約300μm以下と規定することができる。ここで、繊維の繊維径は、例えば、電子顕微鏡写真で観察した不織布の繊維の直径を示す。具体的には、100本の繊維の幅を計測し、その平均値から繊維径を求めることができる。
熱膨張性粒子は、熱膨張によって不織布等の通気層を変形させてしまうおそれがある。したがって、通気層の熱変形を低減又は防止する観点から、通気層中における熱膨張性粒子の含有量としては、約5.0g/m2以下、約3.0g/m2以下、又は約1.0g/m2以下であることが好ましく、通気層中には、熱膨張性粒子が含まれていないことがより好ましい。
通気層の厚さとしては、次のものに限定されないが、例えば、約1μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上とすることができ、約5cm以下、約3cm以下、又は約1cm以下とすることができる。ここで、例えば、通気層が、不織布以外の通気性樹脂フィルム等の場合には、係る厚さは、無作為に選んだ通気層の5点における、マイクロメーターによって求めた厚さの算術平均値を示す。通気層が、例えば、不織布の場合には、係る厚さは、例えば、2.0kPa(20g/cm2)の荷重を通気層表面に適用したときの値を示す。2.0kPa(20g/cm2)荷重時の通気層の厚さ方向断面における実体顕微鏡写真を撮影し、無作為に選んだ5点における厚さの算術平均値から厚さを求めることができる。
通気層は、坪量で規定することもできる。係る通気層の坪量は、次のものに限定されないが、例えば、約10g/m2以上、約20g/m2以上、又は約30g/m2以上とすることができ、約1000g/m2以下、約750g/m2以下、又は約500g/m2以下とすることができる。
通気層、特に、難燃性不織布から構成される通気層の厚さ又は坪量が上記範囲であると、十分な吸音性及び難燃性を発揮することができるとともに、曲面形状等の複雑な箇所への施工性も向上させることができる。
本実施形態の通気層の流れ抵抗としては、約15Pa・s/m以上、約17Pa・s/m以上、又は約20Pa・s/m以上と規定することができ、約500Pa・s/m以下、約450Pa・s/m以下、又は約400Pa・s/m以下と規定することができる。このような範囲の流れ抵抗を有する通気層は、積層体の吸音性能をより向上させることができる。
本実施形態の難燃性吸音積層体は、要求性能、生産性等に応じ、任意に追加の層を適用することができる。次のものに限定されないが、例えば、吸音層及び粒状層の間に、又は通気層及び粒状層の間に、織布、編布、網布、及び不織布から選択される少なくとも一層をさらに備えることができる(これらの層を単に任意布帛という場合がある)。中でも、積層体を補強する観点、吸音層等で使用される不織布中への熱膨張性粒子の侵入を低減又は防止する観点等から、織布、編布、網布を適用することが好ましい。
このような任意布帛は、例えば、接着剤又は粘着剤を、通気性を呈するようにスプレー等の手段を用いて部分的に適用することによって;縫い合わせることによって;加熱融着させることによって;又はニードルパンチング若しくは高圧水流等で交絡させることによって、吸音層又は通気層に対して貼り合わせることができる。
任意布帛を構成する繊維の材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、又はこれらの組み合わせ等の熱可塑性樹脂が挙げられる。この他、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、バサルト繊維、炭素繊維、酸化ポリアクリロニトリル繊維(OPAN繊維)、フェノール繊維、活性炭繊維、メラミン繊維、及びレーヨン繊維から選ばれた少なくとも一種なども使用することができる。繊維材料が、樹脂繊維である場合には、樹脂繊維に対し、難燃剤を配合又は表面処理して難燃性能を付与することが好ましい。
熱膨張性粒子は、熱膨張によって任意布帛を変形させてしまうおそれがある。したがって、任意布帛の熱変形を低減又は防止する観点から、任意布帛中における熱膨張性粒子の含有量としては、約5.0g/m2以下、約3.0g/m2以下、又は約1.0g/m2以下であることが好ましく、任意布帛中には、熱膨張性粒子が含まれていないことがより好ましい。
任意布帛の厚さとしては、次のものに限定されないが、例えば、約1μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上とすることができ、約5cm以下、約3cm以下、又は約1cm以下とすることができる。ここで、任意布帛が、不織布以外の場合には、係る厚さは、例えば、無作為に選んだ任意布帛の5点における、マイクロメーターによって求めた厚さの算術平均値を示す。任意布帛が、不織布の場合には、係る厚さは、例えば、2.0kPa(20g/cm2)の荷重を任意布帛表面に適用したときの値を示す。2.0kPa(20g/cm2)荷重時の任意布帛の厚さ方向断面における実体顕微鏡写真を撮影し、無作為に選んだ5点における厚さの算術平均値から厚さを求めることができる。
任意布帛は、坪量で規定することもできる。任意布帛の坪量は、次のものに限定されないが、例えば、約10g/m2以上、約20g/m2以上、又は約30g/m2以上とすることができ、約1000g/m2以下、約750g/m2以下、又は約500g/m2以下とすることができる。
任意布帛の厚さ又は坪量が上記範囲であると、吸音性及び難燃性に悪影響を及ぼすことなく、積層体を補強することができるとともに、曲面形状等の複雑な箇所への施工性も向上させることができる。
本実施形態の任意布帛の流れ抵抗としては、約15Pa・s/m以上、約17Pa・s/m以上、又は約20Pa・s/m以上と規定することができ、約500Pa・s/m以下、約450Pa・s/m以下、又は約400Pa・s/m以下と規定することができる。このような範囲の流れ抵抗を有する任意布帛は、積層体の吸音性能をより向上させることができる。
また、上記の実施形態における各層の構成について、本実施形態の効果を阻害しない範囲において、任意成分として、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防カビ剤、防虫剤、撥水剤、撥油剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料などを単独で又は二種以上組み合わせて配合又は表面処理することができる。また、繊維で構成される層の表面に対し、接着剤若しくは粘着剤等を適用することもできる。
本実施形態の難燃性吸音積層体は、吸音性及び難燃性に優れることから、例えば、住宅、工場、商業施設、発電所等の各種建築物の天井、壁、床、パネル、パーティション等に用いられる吸音材;高速道路、鉄道路線等の防音壁;発電機、家電製品、コピー機などのOA機器等の防音材;鉄道、自動車、航空機、船舶等の各種乗物の各部に配置される吸音材として使用することができる。中でも、本実施形態の難燃性吸音積層体は、1000Hz程度の低周波数領域の吸音性に特に優れ、かつ、難燃性に加えて軽量性にも優れることから、鉄道、自動車、航空機、船舶等の各種乗物用の吸音材として使用することが好ましく、鉄道用の吸音材として使用することが特に好ましい。また、本実施形態の難燃性吸音積層体は、断熱材として用いられても良い。
本実施形態の難燃性吸音積層体の製造方法の一例について、図1を参照しながら例示的に説明するが、難燃性吸音積層体の製造方法はこれらに限られない。
例えば、不織布から構成される吸音層101を用意し、この吸音層101に対して接着剤又は粘着剤をスプレー塗布等によって適用する(工程1−1)。次いで、接着剤又は粘着剤を適用した吸音層101の表面に対し、熱膨張性粒子102を上方から所定量散布して粒状層103を形成する(工程1−2)。次いで、通気層105を粒状層103に対して適用する(工程1−3)。工程1−1〜1−3によって、図1の構成の難燃性吸音積層体100を得ることができる。ここで、通気層105の粒状層103への適用は、例えば、通気層105及び/又は粒状層103に対して、接着剤又は粘着剤をスプレー塗布等によって適用して実施してもよく、或いは、粒状層103に対して通気層105を被覆した後に縫製して実施してもよい。所望の粒状層103を得るために工程1−1〜1−2を複数回繰り返してもよい。また、例えば、吸音性等の観点から、吸音層101の端部に対し、超音波融着処理を適用し、その端部を閉塞してもよい。
別法として、例えば、難燃性不織布から構成される通気層105を用意し、この通気層105に対して接着剤又は粘着剤をスプレー塗布等によって適用する(工程2−1)。次いで、接着剤又は粘着剤を適用した通気層105の表面に対し、熱膨張性粒子102を上方から所定量散布して粒状層103を形成する(工程2−2)。次いで、不織布から構成される吸音層101を粒状層103に対して適用する(工程2−3)。工程2−1〜2−3によって、図1の構成の難燃性吸音積層体100を得ることもできる。ここで、吸音層101の粒状層103への適用は、上述と同様の方法によって実施することができる。所望の粒状層103を得るために、工程2−1〜2−2を複数回繰り返してもよい。また、例えば、吸音性等の観点から、吸音層101の端部に対し、超音波融着処理を適用し、その端部を閉塞してもよい。
上述の各製造方法によれば、粒状層の形態を保持しつつ、吸音性及び難燃性に優れる難燃性吸音積層体を形成することができる。
接着剤又は粘着剤の使用に関し、粘着剤を使用した場合、発煙量及び炎の大きさが小さくなる傾向がある。
上記の実施形態における難燃性吸音積層体は、吸音層の主面の上方の両面に粒状層及び通気層を備える構成であっても良い。
以下の実施例において、本実施形態の具体的な実施態様を例示するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
本実施例で使用した商品などを以下の表1に示す。
〈実施例1〉
通気層であるバイブラック(商標)DS−25VPの表面に、スプレーのり77を用いて接着剤を散布し、その表面に対して熱膨張性粒子である953240Lを約86g/m2の割合でさらに散布して粒状層を形成した。次いで、吸音層であるSM400Lの表面に、スプレーのり77を用いて接着剤を散布し、その接着面を粒状層に適用して、積層体を形成した。
通気層であるバイブラック(商標)DS−25VPの表面に、スプレーのり77を用いて接着剤を散布し、その表面に対して熱膨張性粒子である953240Lを約86g/m2の割合でさらに散布して粒状層を形成した。次いで、吸音層であるSM400Lの表面に、スプレーのり77を用いて接着剤を散布し、その接着面を粒状層に適用して、積層体を形成した。
〈実施例2〉
通気層をバイブラック(商標)DS−25VPからニューラスタン(商標)TOP5150Zに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の積層体を形成した。
通気層をバイブラック(商標)DS−25VPからニューラスタン(商標)TOP5150Zに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の積層体を形成した。
〈実施例3〉
熱膨張性粒子の散布割合を約128g/m2にしたこと以外は、実施例2と同様にして実施例3の積層体を形成した。
熱膨張性粒子の散布割合を約128g/m2にしたこと以外は、実施例2と同様にして実施例3の積層体を形成した。
〈実施例4〉
通気層であるニューラスタン(商標)TOP5150Zの表面に、スプレーのり77を用いて接着剤を散布し、その表面に対して熱膨張性粒子である953240Lを、粒状層を形成する全工程が終了した段階で約257g/m2の割合となるように散布して粒状層を形成した。なお、熱膨張性粒子の脱粒を防止するため、熱膨張性粒子の散布及び散布された熱膨張性粒子への接着剤の散布を複数回繰り返し行い、最後に接着剤を散布して粒状層の形成工程を終了した。次いで、吸音層であるSM400Lの表面に、スプレーのり77を用いて接着剤を散布し、その接着面を粒状層に適用して、積層体を形成した。
通気層であるニューラスタン(商標)TOP5150Zの表面に、スプレーのり77を用いて接着剤を散布し、その表面に対して熱膨張性粒子である953240Lを、粒状層を形成する全工程が終了した段階で約257g/m2の割合となるように散布して粒状層を形成した。なお、熱膨張性粒子の脱粒を防止するため、熱膨張性粒子の散布及び散布された熱膨張性粒子への接着剤の散布を複数回繰り返し行い、最後に接着剤を散布して粒状層の形成工程を終了した。次いで、吸音層であるSM400Lの表面に、スプレーのり77を用いて接着剤を散布し、その接着面を粒状層に適用して、積層体を形成した。
〈実施例5〉
熱膨張性粒子を953240LからEXP−100Sに変更し、熱膨張性粒子の散布割合を約128g/m2にしたこと以外は、実施例4と同様にして実施例5の積層体を形成した。
熱膨張性粒子を953240LからEXP−100Sに変更し、熱膨張性粒子の散布割合を約128g/m2にしたこと以外は、実施例4と同様にして実施例5の積層体を形成した。
〈実施例6〉
熱膨張性粒子を953240LからEXP−100Sに変更したこと以外は、実施例4と同様にして実施例6の積層体を形成した。
熱膨張性粒子を953240LからEXP−100Sに変更したこと以外は、実施例4と同様にして実施例6の積層体を形成した。
〈比較例1〉
SM400Lを使用した。
SM400Lを使用した。
〈比較例2〉
通気層であるバイブラック(商標)DS−25VPの表面に、スプレーのり55を用いて粘着剤を散布し、その粘着面を吸音層であるSM400Lに適用して、比較例2の積層体を形成した。
通気層であるバイブラック(商標)DS−25VPの表面に、スプレーのり55を用いて粘着剤を散布し、その粘着面を吸音層であるSM400Lに適用して、比較例2の積層体を形成した。
〈比較例3〉
通気層をバイブラック(商標)DS−25VPからニューラスタン(商標)TOP5150Zに変更したこと、及びスプレーのり55に代えて接着剤であるスプレーのり77を使用したこと以外は、比較例2と同様にして、比較例3の積層体を形成した。
通気層をバイブラック(商標)DS−25VPからニューラスタン(商標)TOP5150Zに変更したこと、及びスプレーのり55に代えて接着剤であるスプレーのり77を使用したこと以外は、比較例2と同様にして、比較例3の積層体を形成した。
〈比較例4〉
バイブラック(商標)DS−25VPからマイホイル(商標)に変更したこと以外は、比較例2と同様にして、比較例5の積層体を形成した。
バイブラック(商標)DS−25VPからマイホイル(商標)に変更したこと以外は、比較例2と同様にして、比較例5の積層体を形成した。
〈物性評価試験〉
各種試験サンプルの特性を、以下の方法を用いて評価した。
各種試験サンプルの特性を、以下の方法を用いて評価した。
(吸音性試験)
ISO 10534−2、ASTM E1050、JIS A1405−2に準拠した方法で吸音性試験を実施した。直径40mmのインピーダンス管を使用して、吸音率(本実施形態では、吸音率は垂直入射吸音率を示す)の測定を実施した。この方法は、伝達関数法(2マイクロホン法)に基づくものであり、日本音響エンジニアリング社製の垂直入射吸音率測定システムWinZacMTXを用いて実施した。各試験サンプルを直径39.3mmの大きさで円柱状にくり抜き、係るサンプルを、インピーダンス管内のスピーカーと剛性壁との間にセットした。ここで、各サンプルは、吸音層であるSM400LのPPスクリム側がスピーカー側と面するように配置し、かつ、サンプルと剛性壁との間には追加の空気層が形成されないように配置した。測定周波数は、1/3オクターブバンドの中心周波数(160、200、250、315、400、500、630、800、1000、1250、1600、2000、2500、3150、4000Hz)である。ここで、吸音率の測定は、一つの試験サンプルに対して少なくとも2回実施した。
ISO 10534−2、ASTM E1050、JIS A1405−2に準拠した方法で吸音性試験を実施した。直径40mmのインピーダンス管を使用して、吸音率(本実施形態では、吸音率は垂直入射吸音率を示す)の測定を実施した。この方法は、伝達関数法(2マイクロホン法)に基づくものであり、日本音響エンジニアリング社製の垂直入射吸音率測定システムWinZacMTXを用いて実施した。各試験サンプルを直径39.3mmの大きさで円柱状にくり抜き、係るサンプルを、インピーダンス管内のスピーカーと剛性壁との間にセットした。ここで、各サンプルは、吸音層であるSM400LのPPスクリム側がスピーカー側と面するように配置し、かつ、サンプルと剛性壁との間には追加の空気層が形成されないように配置した。測定周波数は、1/3オクターブバンドの中心周波数(160、200、250、315、400、500、630、800、1000、1250、1600、2000、2500、3150、4000Hz)である。ここで、吸音率の測定は、一つの試験サンプルに対して少なくとも2回実施した。
得られた吸音試験の結果から、1000〜4000Hzの各1/3オクターブバンドの中心周波数(1000、1250、1600、2000、2500、3150、4000Hz)における全吸音率から算出した算術平均値を表2に示す。
また、1000〜4000Hzの各1/3オクターブバンドの中心周波数における吸音率の算術平均値を各々算出し(例えば、1000Hzにおける算術平均値、1250Hzにおける算術平均値など)、以下の基準で吸音性を評価し、その結果も表2に示す:
A:各1/3オクターブバンドの中心周波数における吸音率の各算術平均値が、1000〜4000Hzの全範囲内において0.68以上である。
B:各1/3オクターブバンドの中心周波数における吸音率の各算術平均値が、1000〜4000Hzの全範囲内において0.64以上である。
C:各1/3オクターブバンドの中心周波数における吸音率の各算術平均値において、1000〜4000Hzの範囲内に0.64未満のものが存在する。
A:各1/3オクターブバンドの中心周波数における吸音率の各算術平均値が、1000〜4000Hzの全範囲内において0.68以上である。
B:各1/3オクターブバンドの中心周波数における吸音率の各算術平均値が、1000〜4000Hzの全範囲内において0.64以上である。
C:各1/3オクターブバンドの中心周波数における吸音率の各算術平均値において、1000〜4000Hzの範囲内に0.64未満のものが存在する。
また、実施例1及び比較例1、並びに実施例1及び比較例4における吸音試験の結果のグラフを図2及び図3に示す。
(難燃性試験)
各試験サンプルを、「鉄道車両用材料の燃焼試験及び規格」(一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会)に準じた試験方法(45度傾斜、アルコール燃焼試験)に基づき、以下の基準で難燃性を評価し、その結果を表2に示す:
A:着火及び引火することなく、黒く炭化したような変色領域の大きさが約130mm以下であり、表面、裏面の表面的変性部位の大きさが約100mm以下であり、かつ、局部的貫通がない。
B:着火、引火、黒く炭化したような変色領域の大きさが約130mm超、表面、裏面の表面的変性部位の大きさが約100mm超、及び局部的貫通のうちのいずれか一つの現象が発生している。
各試験サンプルを、「鉄道車両用材料の燃焼試験及び規格」(一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会)に準じた試験方法(45度傾斜、アルコール燃焼試験)に基づき、以下の基準で難燃性を評価し、その結果を表2に示す:
A:着火及び引火することなく、黒く炭化したような変色領域の大きさが約130mm以下であり、表面、裏面の表面的変性部位の大きさが約100mm以下であり、かつ、局部的貫通がない。
B:着火、引火、黒く炭化したような変色領域の大きさが約130mm超、表面、裏面の表面的変性部位の大きさが約100mm超、及び局部的貫通のうちのいずれか一つの現象が発生している。
(流れ抵抗試験)
参考として、表3の参考例1〜6における構成の流れ抵抗を測定した。流れ抵抗は、例えば、ISO−9053に規定される、直流法により評価することができる。この方法は、試験サンプルに対し一定流量の空気を流し、試験サンプルの表裏両面の圧力差を測定するものである。具体的には、SIGMA−STATIC AIRFLOW RESISTANCE METER(Mecanum社,カナダ国)を用い、試験サンプルに対し、測定した試験サンプル表裏両面の圧力差を空気の流速で除した値を、流れ抵抗値として評価することができる。ここで、流れ抵抗値は、一つの試験サンプルに対して3回測定して得られた値の算術平均値である。
参考として、表3の参考例1〜6における構成の流れ抵抗を測定した。流れ抵抗は、例えば、ISO−9053に規定される、直流法により評価することができる。この方法は、試験サンプルに対し一定流量の空気を流し、試験サンプルの表裏両面の圧力差を測定するものである。具体的には、SIGMA−STATIC AIRFLOW RESISTANCE METER(Mecanum社,カナダ国)を用い、試験サンプルに対し、測定した試験サンプル表裏両面の圧力差を空気の流速で除した値を、流れ抵抗値として評価することができる。ここで、流れ抵抗値は、一つの試験サンプルに対して3回測定して得られた値の算術平均値である。
本開示の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本開示の様々な改良及び変更が本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
100 難燃性吸音積層体
101 吸音層
102 熱膨張性粒子
103 粒状層
105 通気層
101 吸音層
102 熱膨張性粒子
103 粒状層
105 通気層
Claims (11)
- 熱可塑性樹脂を含む不織布を備える吸音層、前記吸音層上に設けられた熱膨張性粒子を含む粒状層、及び前記粒状層上に設けられた通気層を備える、難燃性吸音積層体。
- 前記通気層が、難燃性不織布を備える、請求項1に記載の積層体。
- 前記熱膨張性粒子の平均粒径が、50μm以上である、請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記粒状層の坪量が、30.0g/m2以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記通気層の流れ抵抗値が、15〜500Pa・s/mであり、かつ、前記通気層及び前記粒状層から構成される積層構成の流れ抵抗値が、80〜1500Pa・s/mである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記通気層が、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、バサルト繊維、炭素繊維、酸化ポリアクリロニトリル繊維、フェノール繊維、活性炭繊維、メラミン繊維、難燃性レーヨン繊維、及び難燃性ポリエチレンテレフタレート繊維から選ばれた少なくとも一種を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記吸音層中における前記熱膨張性粒子の含有量が、5.0g/m2以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記吸音層及び前記粒状層の間又は前記通気層及び前記粒状層の間に、織布、編布、網布、及び不織布から選択される少なくとも一層をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記熱膨張性粒子が、膨張性黒鉛、スメクタイト系粘土鉱物、合成スメクタイト、セリサイト、イントメッセント系難燃剤、及びフッ素雲母から選ばれた少なくとも一種である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体。
- 難燃性試験において、表面的変性部位の大きさが、100mm以下であり、かつ、局部的貫通がなく、及び
1000〜4000Hzの範囲において0.64以上の吸音率を有する、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体。 - 熱可塑性樹脂を含む不織布を備える吸音層、若しくは通気層のいずれか一方の表面に、接着剤又は粘着剤を適用する工程、
接着剤若しくは粘着剤が適用された、前記吸音層又は前記通気層の表面に対し、熱膨張性粒子を適用して粒状層を形成する工程、並びに
前記粒状層上に、熱可塑性樹脂を含む不織布を備える吸音層、又は通気層をさらに適用して、吸音層、粒状層及び通気層を備える難燃性吸音積層体を形成する工程、
を含む、難燃性吸音積層体の製造方法。
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2018
- 2018-12-11 JP JP2018231565A patent/JP2020093426A/ja active Pending
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