JP2020090612A - インクジェット用インク、印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、インクジェット記録用のIJインクにおいて、分散性及び保存安定性に優れ、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシート等の疎水性の高い基材への印字性が良好であり、且つインクジェットノズルの目詰まり性に優れる水系インクジェット用インクとそれを用いた印刷物を提供することにある。【解決手段】前記課題は、着色剤(A)、ベタイン構造含有樹脂(B)、水溶性溶剤(C)を含有してなるインクジェット用インクにおいて、該ベタイン構造含有樹脂(B)が芳香族基、炭素数が4以上24以下のアルキル基、ベタイン構造を少なくとも含むインクジェット用インクによって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、一般の印刷基材の他、特に、コート紙、アート紙、塩化ビニルシート等の疎水性の高い基材に対して良好な印字性と耐擦過性とを有し、且つインクジェットノズルの目詰まり性に優れたインクジェット用インク及び該インクを用いた印刷物に関する。
近年要求される高速印刷によって鮮明な画像を形成するためには、水性IJインクが記録媒体へ着弾した後の乾燥性を上げる必要がある。インクの乾燥機構は蒸発と記録媒体への浸透に分類されるが、インクジェットインクにはノズルの乾燥防止を目的として保湿剤と位置づけられる高沸点の水溶性溶剤が含まれているためにインクの蒸発速度を上げるには限界があり、記録媒体への浸透性の寄与が非常に大きかった。
記録媒体への浸透が遅いと、紙面上にインクが多く残存することになり色むらが発生したり、多色印刷の場合はインクが混色したりしてしまう。特に、非吸水性基材又は難吸水性基材の記録媒体、例えばコート紙、アート紙や塩化ビニルシート等はインクの浸透が遅いため色むら・混色が生じやすい。
特許文献1には、記録媒体への浸透性が高い高沸点の水溶性溶剤を添加することによりノズルの乾燥防止及び記録媒体への浸透性の向上を図り、印字性を高めることが開示されている。
特許文献2には、ベタイン構造を有する高分子化合物を使用して、インクジェットインクの吐出性及び印字物の耐溶剤性、基材密着性、色ムラを改善できることが開示されている。
特許文献3には、ホスホリルコリン類似基含有重合体を添加することにより、長期保存や高温保存後のインクジェットインクを使用してもノズル詰まりを起こしにくいことが開示されている。
特許文献4には、ホスホリルコリン基含有単量体の単独重合体を使用したインクジェットインクが、保存安定性が高く、インクジェットの再起動(インク目詰まり性)性が良好であることが開示されている。
特開2012−188582号公報 特開2014−65840号公報 特開2002−249684号公報 特開2001−335724号公報
しかしながら、浸透性が高い溶剤は一般に疎水性が高い水溶性溶剤であるため、それら溶剤の使用は、分散剤を顔料から脱着させ顔料凝集を招いてしまう。特許文献1は、浸透性溶剤を添加しても分散剤が強固に吸着し、顔料分散性を安定に保つために、長鎖アルキル鎖を含む疎水性の高い顔料分散樹脂で顔料凝集を防いでいるが、疎水性の高い分散樹脂を使用したことにより、インクジェットプリンターのノズル上でインクが一度乾燥してしまうと水や水溶性溶剤への再溶解性が低くなってしまう。そのため、連続印刷を一旦停止し、時間を空けて再印刷を開始すると、インクジェットインクのノズル目詰まり(再吐出性不良)が発生することが分かっている。
特許文献2のベタイン構造含有高分子化合物を含むインク組成物は、マレイミド構造を有することでUV照射後の印刷物の耐溶剤性や密着性は優れているが、UV照射処理を施さない印刷物の耐水性、耐擦過性や、インクのノズル目詰まり性(再吐出性)については改善が望まれている。
特許文献3のホスホリルコリン類似基含有重合体を含むインクジェット用インクについては、ノズル目詰まり性(再吐出性)については改善が望まれている。
特許文献4のホスホリルコリン基含有重合体を含むインクジェット記録用インクは、ノズル目詰まり性(再吐出性)のさらなる改善が期待されており、また耐水性、耐擦過性の課題が残されている。
そこで本発明の課題は、インクジェット用インクにおいて、インクジェットノズルの目詰まり性および耐水性、耐擦過性が良好な水系インクジェット用インクを提供することにある。
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔5〕に関する。
〔1〕着色剤(A)、ベタイン構造含有樹脂(B)、水溶性溶剤(C)を含有するインクジェット用インクであって、
前記ベタイン構造含有樹脂(B)が、下記の繰り返し単位b1、繰り返し単位b2及び繰り返し単位b3を含むビニル系ポリマーであるインクジェット用インク。
繰り返し単位b1:側鎖に芳香環を有する繰り返し単位
繰り返し単位b2:側鎖に炭素数が4以上24以下のアルキル基を有する繰り返し単位(ただし、繰返し単位b1、b3及び側鎖に酸基を有する繰返し単位を除く)
繰り返し単位b3:下記一般式1〜4で示される少なくともいずれかのベタイン構造を有する繰り返し単位
一般式1
一般式2
一般式3
一般式4
[一般式1〜4中、
は、水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子又はNH、
YはCO 又はSO
は水素原子又はメチル基、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
は水素原子又はメチル基、
10〜R14のうちの1つは*部分と直接結合し、
10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
16は水素原子又はメチル基、
17は(CH−CHR22O)m(CH−CHR22)基(ここで、R22は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、mは0〜10の整数を表す。)、
18は(CH)g(ここで、gは0〜10の整数を表す。)、
19〜R21はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、を表す。]
〔2〕前記ベタイン構造含有樹脂(B)が、さらに下記の繰り返し単位b5を含むビニル系ポリマーである〔1〕に記載のインクジェット用インク。
繰り返し単位b5:側鎖に酸基を有する繰り返し単位
〔3〕前記ベタイン構造含有樹脂(B)の質量平均分子量が3,000〜150,000である、〔1〕または〔2〕に記載のインクジェット用インク。
〔4〕前記着色剤(A)が有機顔料を含む、〔1〕〜〔3〕いずれか1に記載のインクジェット用インク。
〔5〕記録媒体に、〔1〕〜〔4〕いずれか1に記載のインクジェット用インクを印刷した印刷物。
本発明により、インクジェット用インクにおいて、インクジェットノズルの目詰まり性および耐水性、耐擦過性が良好なインクジェット用インクを提供することができる。
本発明のインクジェット用インクは、着色剤(A)、少なくとも、下記の繰り返し単位b1、繰り返し単位b2及び繰り返し単位b3を含むビニル系ポリマーであるベタイン構造含有樹脂(B)、水溶性溶剤(C)を含有することを特徴とする。
繰り返し単位b1:側鎖に芳香環を有する繰り返し単位
繰り返し単位b2:側鎖に炭素数が4以上24以下のアルキル基を有する繰り返し単位(ただし、繰返し単位b1、b3及び側鎖に酸基を有する繰返し単位を除く)
繰り返し単位b3:一般式1〜4で示される少なくともいずれかのベタイン構造を有する繰り返し単位
樹脂(B)が、特定のベタイン構造を有する繰り返し単位、及び特定の繰り返し単位b1とb2とを含むことで、インクジェットノズルの目詰まり性および耐水性、耐擦過性に優れた効果を発揮する。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明のインクジェット用顔料インク(以下、インク又は顔料インクという)について説明する。
<着色剤(A)>
本発明のIJインクは、着色剤を含む。着色剤としては、有機顔料、無機顔料、特殊顔料、染料等の従来公知のものから適宜選択して使用することができ、顔料が好適に使用される。本発明のIJインクは、インクの全質量中に、質量比で、0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上12質量%以下の範囲で、顔料を含有させたものであることが好ましい。本発明においては、下記に挙げるような顔料を使用することができる。
[有機顔料]
本発明で使用することのできるイエローの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213等が挙げられる。
また、マゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、7、9、12、31、48、49、52、53、57、97、112、122、147、149、150、168、177、178、179、202、206、207、209、238、242、254、255、269、C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、37、40、50等が挙げられる。
また、シアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15:3、15:4、16、22、C.I.Vat Blue 4、6等が挙げられる。
さらに、上記以外の色の有機顔料を用いることもでき、その場合も含め、何れの顔料も各色インクにおいて単独でも、2つ以上の顔料を混合してもよい。勿論、本発明は、これらに限られるものではない。また、以上の他、自己分散型顔料等も使用することが可能である。
[無機顔料]
本発明で使用することができる無機顔料としては、
着色顔料として、例えばベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、群青、紺青等が挙げられ、体質顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等が挙げられる。
白色顔料として、例えば酸化亜鉛(C.I.ピグメントホワイト 4)、リトボン(C.I.ピグメントホワイト 5)、酸化チタン(C.I.ピグメントホワイト 6)、硫化亜鉛(C.I.ピグメントホワイト 7)、酸化ジルコニウム(C.I.ピグメントホワイト 12)、炭酸カルシウム(C.I.ピグメントホワイト 18)、含水珪酸アルミニウム(C.I.ピグメントホワイト 19)、硫酸バリウム(C.I.ピグメントホワイト 21、22)、アルミナホワイト(C.I.ピグメントホワイト 24)、タルク(C.I.ピグメントホワイト 26)、無水・含水珪酸(ピグメントホワイト 27)、含水珪酸カルシウム(ピグメントホワイト 28)等が挙げられる。
また、黒色顔料としては、例えばファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40mμm(nm)、BET法による比表面積が50〜400m/g、揮発分が0.5〜10質量%、pH値が2乃至10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビアンカーボン製)、REGAL330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(以上、キャボット製)、Nipex90、Nipex150T、Nipex 160IQ、Nipex 170IQ、Nipex 75、Printex 85、Printex 95、Printex 90、Printex 35、Printex U(以上、エボニックデグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
[その他着色剤]
(染料)
本発明では、顔料と併用して染料を使用しても良い。使用することができる染料としては、カラーインデックスにおける酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料が用いられるが、これらに限定されるものではなく分子中にカルボキシル基、スルホ基を含有して実質的にインク中に溶解するものであればよい。
これら染料を具体的に挙げれば、酸性染料としてC.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289、C.I.アシッドブルー9、29、45、92、249、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、94、等がある。
直接染料としてC.I.ダイレクトイエロー1、12、24、26、33、44、50、86、120、132、142、144、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、13、17、20、28、31、39、80、81、83、89、225、227、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、71、76、79、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.ダイレクトブラック19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、168、171、等が挙げられる。
塩基性染料としてC.I.ベーシックイエロー1、2、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、40、41、45、49、51、53、63、64、65、67、70、73、77、87、91、C.I.ベーシックレッド2、12、13、14、15、18、22、23、24、27、29、35、36、38、39、46、49、51、52、54、59、68、69、70、73、78、82、102、104、109、112、C.I,ベーシックブルー1、3、5、7、9、21、22、26、35、41、45、47、54、62、65、66、67、69、75、77、78、89、92、93、105、117、120、122、124、129、137、141、147、155、ベイシックバイオレット1、3、10、C.I.ベーシックブラック2、8、等が挙げられる。
水溶性染料としてはこれらに限定されるものではなく、フェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、チアゾール類、開鎖型活性メチレン化合物類、ピラゾロトリアゾール類、ピロロトリアゾール類などを有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料やアゾメチン染料の分子中にカルボキシル基、スルホ基等に代表される水溶性基を含有して、実質的にインクに溶解するものであればよい。
<ベタイン構造含有樹脂(B)>
本発明のインクジェット用インクは、前述のとおり、下記の繰り返し単位b1〜b3を含むビニル系ポリマーであるベタイン構造含有樹脂(B)を含む。ベタイン構造含有樹脂(B)は、前述の繰り返し単位b1〜b3を含むビニル系ポリマーであれば特に限定されず、単独で用いてもよいし、複数のベタイン構造含有樹脂(B)を併用してもよい。
繰り返し単位b1:側鎖に芳香環を有する繰り返し単位
繰り返し単位b2:側鎖に炭素数が4以上24以下のアルキル基を有する繰り返し単位(ただし、繰返し単位b1、b3及び側鎖に酸基を有する繰返し単位を除く)
繰り返し単位b3:下記一般式1〜4で示される少なくともいずれかのベタイン構造を有する繰り返し単位
一般式1
一般式2
一般式3
一般式4
[一般式1〜4中、
は、水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子又はNH、
YはCO 又はSO
は水素原子又はメチル基、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
は水素原子又はメチル基、
10〜R14のうちの1つは*部分と直接結合し、
10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
16は水素原子又はメチル基、
17は(CH−CHR22O)m(CH−CHR22)基(ここで、R22は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、mは0〜10の整数を表す。)、
18は(CH)g(ここで、gは0〜10の整数を表す。)、
19〜R21はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、を表す。]
上述の繰り返し単位b1〜b3は、下記単量体b1x、b2x、b3xを重合することで形成することができる。
単量体b1x:芳香環を有する単量体
単量体b2x:炭素数が4以上24以下のアルキル基を有する単量体(単量体b1x、単量体b3x、後述の単量体b4x、後述の単量体b5xを除く)
単量体b3x:一般式100〜400で示される少なくともいずれかのベタイン構造を有する単量体
一般式100
一般式200
一般式300
一般式400
[一般式100〜400中、
は、水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子又はNH、
YはCO 又はSO
は水素原子又はメチル基、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
は水素原子又はメチル基、
10〜R14のうちの1つは*部分と直接結合し、
10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
16は水素原子又はメチル基、
17は(CH−CHR22O)m(CH−CHR22)基(ここで、R22は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、mは0〜10の整数を表す。)、
18は(CH)g(ここで、gは0〜10の整数を表す。)、
19〜R21はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、を表す。]
(単量体b1x:芳香環を有する単量体)
単量体b1xは、ベタイン構造含有樹脂(B)と着色剤との間でπ−π相互作用を強め、非常に強い着色剤への吸着と微細分散を可能にする。その結果、ベタイン構造含有樹脂(B)は、着色剤から溶媒へ脱着する事なく、強固な吸着を保持する事が可能となり、微細な分散状態を長期間維持することができる。
単量体b1xの具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性フタル酸(メタ)アクリレート、エトキシ化オルトーフェニルフェノール(メタ)アクリレート、ナフチルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、4−ヒドロキシビニルベンゼン等が挙げられる。
(単量体b2x:炭素数が4以上24以下のアルキル基を有する単量体(単量体b1x、単量体b3x、後述の単量体b4x、後述の単量体b5xを除く))
単量体b2xは、炭素数が4以上24以下のアルキル基を構造中に有するため顔料との疎水性相互作用が高い。そのため、単量体b1xと併用する事により、非常に強い着色剤への吸着と微細分散を実現する事ができ、その結果、微細な分散状態を長期間維持することが可能となる。
単量体b2xの具体例としては、例えば、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、若しくはベヘニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
汎用性や重合性等の観点から、ラウリル(メタ)アクリレートやステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のような(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を選択する事が特に好ましい。また、分散性や保存安定性の向上をより高度に図るための炭素数は、好ましくは12以上24以下の範囲、より好ましくは炭素数18以上24以下の範囲である。
(単量体b3x:一般式100〜400で示される少なくともいずれかのベタイン構造を有する単量体)
単量体b3xは、一般式100〜400で表されるベタイン構造を有しており、親水性が高い。そのため、単量体b1xや単量体b2xと併用することでベタイン構造含有樹脂(B)の水性化に寄与する役割や、着色剤の分散状態を安定化する役割を担いつつ、その保湿効果よりインクジェットノズルの目詰まりを抑制する効果を奏する。
一般式100で表される単量体の具体例としては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、等のN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、等のN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、等のN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、等のN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、等のN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアネルコキシ−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン等のN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン、
一般式200で表される単量体の具体例としては、例えば、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−3−(3−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(4−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩等の1−ビニル−2−アルキル−3−(4−スルホアルキル)イミダゾリウム内部塩等が挙げられる。
一般式300で表される単量体の具体例としては、例えば、2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、2−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、等の2−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩;4−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、4−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、等の4−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩等が挙げられる。
一般式400で表される単量体の具体例としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。
なお、単量体b3xは、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよく、例えば、後述の3級アミノ基を有する単量体b4xの3級アミノ基に、後述のベタイン化剤(E)を反応させて得たものであってもよい。
ビニル系ポリマーは、ポリマーの製造及び精製の観点から、好ましくは一般式1〜3で表される少なくともいずれかのベタイン構造を有する繰り返し単位を含むものが好ましい。また、繰り返し単位中のベタイン構造は、一般式100〜300で示される少なくともいずれかのベタイン構造を有する単量体b3xを用いて重合反応して得られるものでも良いし、後述する3級アミノ基を有する単量体b4xを用いて形成された3級アミノ基を有する繰り返し単位中の3級アミノ基に、後述のベタイン化剤(E)を反応させてベタイン構造を導入したものであってもよいが、ポリマーの製造及び精製の観点から、3級アミノ基を有する単量体b4xを用いて形成された3級アミノ基を有する繰り返し単位中の3級アミノ基に、後述のベタイン化剤(E)を反応させることが好ましい。
本願におけるビニル系ポリマーとして好ましくは、単量体b1x、単量体b2x及び下記単量体b4xを共重合組成に含むビニル系ポリマーと、ベタイン化剤(E)との反応生成物である。
単量体b1x:芳香環を有する単量体
単量体b2x:炭素数が4以上24以下のアルキル基を有する単量体(単量体b1x、単量体b3x、単量体b4x、後述の単量体b5xを除く)
単量体b4x:下記一般式5〜7で示される少なくともいずれかである3級アミノ基を有する単量体
一般式5
一般式6
一般式7
[一般式5〜7中、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
Xは酸素原子又はNH、
は水素原子又はメチル基、
は水素原子又はメチル基、
は水素原子又はメチル基、
10〜R14のうちの1つは*部分と直接結合し、
10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
**はベタイン化剤(E)との反応部位を表す。]
(単量体b4x:一般式5〜7で示される少なくともいずれかである単量体)
単量体b4xは、3級アミノ基を有し、後述するベタイン化剤(E)と反応し、ベタイン化することができ、具体的には、単量体b1xや単量体b2xと共重合した後、ベタイン化剤(E)を反応させてベタイン構造を有するビニル系ポリマーとすることができる。このようにして導入されたベタイン構造部位は、ベタイン構造含有樹脂(B)を水性化する役割や、着色剤の分散状態を安定化する役割を担いつつ、その保湿効果により、インクジェットヘッドの目詰まりを抑制する効果を奏する。
一般式5で表される単量体の具体例としては、例えば、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアミン、
等のN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアミン;
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアミン、
等のN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアミン;
N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアミン、
等のN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルコキシ−N,N−ジメチルアミン等が挙げられる。
一般式6で表される単量体の具体例としては、例えば、1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール等が挙げられる。
一般式7で表される単量体の具体例としては、例えば、4−ビニル−ピリジン、2−ビニル−ピリジン等のビニルピリジン等が挙げられる。
<ベタイン化剤(E)>
ベタイン化剤(E)は、一般式5〜7で示される少なくともいずれかである単量体の3級アミノ基と反応し、一般式1〜3で示される少なくともいずれかのベタイン構造を導入できるものであれば特に限定されず、例えば、環状スルホン酸エステル(E1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)、環状カルボン酸エステル(E3)及びω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
環状スルホン酸エステル(E1)としては、例えば、1,2−エタンスルトン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンが挙げられる。
ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)としては、例えば、2−クロロエタンスルホン酸ナトリウム、2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、3−クロロプロパンスルホン酸ナトリウム、3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、4−クロロブタンスルホン酸ナトリウム、4−ブロモブタンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
環状カルボン酸エステル(E3)としては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
ω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)としては、例えば、2−クロロ酢酸ナトリウム、2−ブロモ酢酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸ナトリウム、3−ブロモプロピオン酸ナトリウム、4−クロロ酪酸ナトリウム、4−ブロモ酪酸ナトリウム、5−クロロペンタン酸ナトリウム、5−ブロモペンタン酸ナトリウム等が挙げられる。
(単量体b5x:酸基を有する単量体)
ベタイン構造含有樹脂(B)は、さらに、側鎖に酸基を有する繰り返し単位b5を含むビニル系ポリマーであることが好ましい。上述の繰り返し単位b5は、下記単量体b5xを共重合することで形成することができる。
単量体b5x:酸基を有する単量体
単量体b5xの具体例としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、又は、これらのアルキル若しくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、ビニルスルホン酸、N−t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、EO変性リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
保存安定性の向上をより高度に図るためには、カルボン酸含有(メタ)アクリレートが好ましく、アクリル酸やメタクリル酸を含む事がより好ましい。
ベタイン構造含有樹脂(B)が、さらに、側鎖に酸基を有する繰り返し単位b5を含むビニル系ポリマーである場合、上記酸基を後述する有機アミン等の中和剤(F)で中和して使用することが好ましい。
ベタイン構造含有樹脂(B)中に有機アミン類で中和された酸基を有することで、水性化に寄与しながら、ベタイン構造よりも強力な電化反発による着色剤分散状態の安定化を図ることができる。また、印字後に乾燥工程で中和剤(F)が揮発して酸基に戻ることにより、ベタイン構造含有樹脂(B)の疎水性が向上し、印字物の耐水性を向上させることができる。
中和工程については、例えば、繰り返し単位b1、繰り返し単位b2、繰り返し単位b3及び繰り返し単位b5を含むビニル系ポリマーであるベタイン構造含有樹脂(B)中の、繰り返し単位b5由来の酸基を、後述する中和剤(F)で中和して使用してもよいし、
単量体b1x、単量体b2x、単量体b4x及び単量体b5xを共重合した後、ベタイン化剤(E)と反応させベタイン構造を導入し、さらに、単量体b5x由来の酸基を中和剤(F)で中和して使用してもよい。
<中和剤(F)>
中和剤(F)としては、例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミンを使用することができる。ジメチルアミノエタノールは沸点が高く、インク吐出性の点で特に好ましい。中和後のコポリマーは、水性液媒体中に分散又は溶解される。
(その他の単量体b6x)
ベタイン構造含有樹脂(B)には、適宜その他の単量体b6xを共重合成分として含んでもよい。
その他の単量体b6xとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜3のアルキル(メタ)アクリレート;
1−プロピレン等のα−オレフィン系エチレン性不飽和単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコール等の水酸基を有する単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等の1〜3級アミド基を有する単量体;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、及びトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド等のクロライド塩を有する単量体;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエーテル鎖を有する単量体;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノレン酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチル等のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
ラクトン変性(メタ)アクリレート等のポリエステル鎖を有するエチレン性不飽和化合物等の側鎖に高分子構造を有する(メタ)アクリレート系単量体;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪酸ビニル系化合物;ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系エチレン性不飽和単量体;
酢酸アリル、シアン化アリル等のアリル単量体;
シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン等のビニル単量体;
アセチレン、エチニルトルエン等のエチニル単量体;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル、アルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和化合物等の、(メタ)アクリレートではないエチレン性不飽和結合を有する単量体;
などを挙げることができ、これらの群から単独又は複数用いることができる。
<単量体b1x〜b5xの質量比>
ベタイン構造含有樹脂(B)は、ベタイン構造を含む単量体b3xを用いてコポリマーを合成する方法(1)と、3級アミノ基を有する単量体b4xを用いてコポリマーを合成した後ベタイン化剤(E)と反応させてベタイン構造を有するコポリマーを合成する方法(2)がある。
(1)の合成法によりできたコポリマーの構成成分である単量体b1x、b2x、b3x、b5xの質量組成比は、
単量体b1x:1〜50質量%、単量体b2x:1〜65質量%、単量体b3x:1〜95質量%、単量体b5:0〜50質量%である事が好ましく、中でも、
単量体b1x:1〜40質量%、単量体b2x:1〜55質量%、単量体b3x:1〜70質量%、単量体b5:5〜45質量%である事がより好ましい。
また、単量体b1x及び単量体b2x及び単量体b3x及び単量体b5xの合計が70質量%以上が好ましい。4成分の合計が70質量%以上のとき、分散性、長期保存安定性、インクジェットノズルの目詰まり性が向上する。
(2)の合成法によりできたコポリマーの構成成分である単量体b1x、b2x、b4x、b5xの質量組成比は、
単量体b1x:1〜50質量%、単量体b2x:1〜65質量%、単量体b4x:1〜95質量%、単量体b5x:0〜50質量%である事が好ましく、中でも、
単量体b1x:1〜40質量%、単量体b2x:1〜55質量%、単量体b4x:1〜70質量%、単量体b5x:0〜45質量%である事がより好ましい。
また、単量体b1x及び単量体b2x及び単量体b4x及び単量体b5xの合計が70質量%以上が好ましい。4成分の合計が70質量%以上のとき、分散性、長期保存安定性、インクジェットの目詰まり性が向上する。
<ベタイン構造含有樹脂(B)の質量平均分子量、酸価>
ベタイン構造含有樹脂(B)は、質量平均分子量が2,000〜300,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは3,000〜150,000である。
ベタイン構造含有樹脂(B)が、酸基を有するエチレン性不飽和単量体(単量体b5x)を共重合してなる場合、単量体b5xの構成比率より算出されるベタイン構造含有樹脂(B)の酸価が、50mgKOH/g以上600mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることがより好ましい。
ベタイン構造含有樹脂(B)の酸価が50mgKOH/g以上であるとベタイン構造含有樹脂(B)が水に溶けやすくなり顔料インクの分散性、保存安定性が向上し、さらに吐出安定性が向上する。また、600mgKOH/g以下であると、顔料表面に対するベタイン構造含有樹脂(B)の付着力が向上し、顔料インクの保存安定性が向上する。尚、本発明におけるベタイン構造含有樹脂(B)の質量平均分子量や酸価は、常法によって測定することができる。
<ベタイン構造含有樹脂(B)の含有量>
本発明のインクジェット用インク中、ベタイン構造含有樹脂(B)の含有量は、インク中の着色剤全質量に対して好ましくは3質量%以上70質量%以下の範囲であり、より好ましくは5質量%以上60質量%以下、特に好ましくは10質量%以上45質量%以下の範囲である。
また、上記で説明したベタイン構造含有樹脂(B)は、インクの全質量に対して、0.1質量%以上8質量%以下の範囲で含有させるのが好ましい。
<水溶性溶剤(C)>
本発明のインクジェット用インクは、水溶性溶剤(C)を含む。
水溶性溶剤(C)は特に制限されず、ジオール類や、グリコールエーテル類等が効果的である。これらの溶剤種は沸点が高いため、保湿剤としての働きが十分であり、インクの吐出安定性が良好である。
(ジオール類)
ジオール類の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール等があげられる。
(グリコールエーテル類)
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、ペンタエチレングリコールメチルエチルエーテル、2−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール 、1−メトキシ−2−ブタノール、2−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等があげられる。
この中でも効果が高いのは、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2 − プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び2−メチル− 2,4−ペンタンジオールである。
さらに印刷する基材の種類によっては、その溶解性の向上を目的に、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルオキサゾリジノン、N−エチルオキサゾリジノン等の水溶性の含窒素複素環化合物を添加することもできる。
これらの水溶性溶剤(C)は単独で使用しても良く、複数を混合して使用することもできる。上記したような水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、好ましくはインクの全質量の3質量% 以上60質量%以下の範囲であり、より好ましくは3質量% 以上50質量%以下の範囲である。
また、本発明のインクジェット用インクは、水溶性溶剤(C)にさらに水を併用して用いることができる。
水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
水の含有量としては、インクの全質量の10質量%以上90質量%以下であり、好ましくは、30質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上70質量%以下の範囲である。
<インクジェット用インク>
本発明のインクジェット用インキは、さらにバインダー樹脂を含むことが好ましい。バインダー樹脂としては、水溶性バインダー樹脂又は水性エマルジョンを含有することが好ましい。これらバインダー樹脂を含有することで、印字した塗膜の耐性を向上させることができる。これにより、耐水性、耐溶剤性、耐擦過性等が向上する。
(水溶性バインダー樹脂)
水溶性バインダー樹脂(以下、水溶性樹脂ともいう)は、
ベタイン構造含有樹脂(B)を除いたものであり、例えば、アクリル系、スチレン−アクリル系、スチレン−マレイン酸系、アクリロニトリル−アクリル系、ビニルナフタレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール系、水溶性セルロース、ゼラチン、ガゼイン等のたんぱく質、でんぷん等の各樹脂を挙げることができる。また、その他の水溶性樹脂としてはリン酸基、スルホン酸基を有する単量体を共重合したり、分子内にポリエチレンオキサイド基を含有する単量体の共重合により水溶化したりすることも可能である。水溶性の樹脂であれば特に限定されるものではなく、市販の樹脂も好適に使用することができる。
上記の中でも、インクの保存安定性の点から、特に、カルボキシル基を有する水溶性樹脂が好ましい。例えば、アクリル系、スチレン−アクリル系、スチレン−マレイン酸系、ビニルナフタレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系樹脂を挙げることができる。更に好ましくは、アクリル系、スチレン−アクリル系樹脂を挙げることができる。さらに、インクの保存安定性や印字物の耐水性の点から、ランダムポリマーよりもブロックポリマーの方が好ましい。
水溶性樹脂の質量平均分子量は、好ましくは2,500〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000である。水溶性樹脂の酸価は、好ましくは30mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であり、より好ましくは35mgKOH/g以上300mgKOH/g以下である。
(水性エマルジョン)
水性エマルジョンは、ベタイン構造含有樹脂(B)を除いたものであり、(メタ)アクリル酸系樹脂エマルジョン、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂エマルジョン、スチレン−マレイン酸系樹脂エマルジョン、スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョン、スチレン系樹脂エマルジョン、ブタジエン系樹脂エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル樹脂エマルジョン、塩化ビニル系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン等が挙げられる。
中でも、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂エマルジョンが、画像形成性の点から好ましい。
上記したようなバインダー樹脂は、単独で使用しても良いし、併用してもよい。インク中におけるバインダー樹脂の含有量は、固形分で好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上20質量%以下である。
<その他の分散剤>
本発明のインクジェット用インクは、ベタイン構造含有樹脂(B)に、その他の分散剤を併用してもよい。分散剤を併用する場合は、ベタイン構造含有樹脂(B)とその他の分散剤を合わせた全質量のうち、ベタイン構造含有樹脂(B)が5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。
<その他の樹脂>
本発明のインクジェット用インクは、必要に応じて、ロジン、シェラック及びデンプン等の天然樹脂や、前記したベタイン構造含有樹脂(B)でない合成樹脂も含んでもよい。この場合の天然樹脂や合成樹脂は、前記したベタイン構造含有樹脂(B)の添加量を上回らない程度に含有させることが好ましい。
<添加剤>
また、本発明のインクジェット用インクは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等の添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量の例としては、インクの全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下、好ましくは0.2質量%以上5質量%以下である。
<インクジェット用インクの製造>
上記したような成分からなる本発明のインクの製造方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。先ず初めに、ベタイン構造含有樹脂(B)と、水溶性溶剤又は水とが混合された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次にこの顔料分散液に、水溶性溶剤(C)、必要に応じて、上記で挙げたような適宜に選択されたバインダー樹脂や界面活性剤等の添加剤成分を加え、撹拌、必要に応じて濾過して本発明のインクとする。
本発明のインクの製造方法においては、上記で述べたように、インクの調製に分散処理を行って得られる顔料分散液を使用するが、顔料分散液の調製の際に行う分散処理の前に、プレミキシングを行うのが効果的である。即ち、プレミキシングはベタイン構造含有樹脂(B)と水とが混合された水性媒体に顔料を加えて行えばよい。このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面へのベタイン構造含有樹脂(B)の吸着を促進することができるため、好ましい。プレミキシングは、ハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌混合することが好ましい。
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられる。その中でも、ビーズミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
さらに、上記した顔料のプレミキシング及び分散処理において、ベタイン構造含有樹脂(B)は水のみに溶解若しくは分散した場合であっても、水溶性溶剤(C)と水の混合溶媒に溶解若しくは分散した場合であっても良い。特に分散処理においては、先述したようにベタイン構造含有樹脂(B)の合成溶媒とした水溶性溶剤(C)と水の混合溶媒に、ベタイン構造含有樹脂(B)が溶解若しくは分散している場合の方が、分散処理過程で安定な分散体を得ることができる場合がある。
本発明のインクは、インクジェット記録用であるので、顔料としては、最適な粒度分布を有するものを用いることが好ましい。即ち、顔料粒子を含有するインクをインクジェット記録方法に好適に使用できるようにするためには、ノズルの耐目詰り性等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いることが好ましい。顔料の粒度分布が狭く、微細に分散できているインク、即ち、動的光散乱法による体積累計のメディアン径(D50)が小さいインクほど、保存安定性も低く、印字性や吐出性や目詰まり性も良好である。
所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、下記の方法が挙げられる。先に挙げたような分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くすること、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらの手法の組み合わせ等の手法がある。
<記録媒体>
本発明のインクジェット用インクを印刷する記録媒体は公知のものが使用可能である。例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、合成紙、インクジェット専用紙等の紙媒体や、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルム等のプラスチック媒体である。また、非吸水性基材又は難吸収性基材とは、水を吸収し難い、若しくは吸収速度が遅い記録媒体を示し、コート紙、アート紙、キャスト紙等の紙媒体や、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET等のプラスチック基材やアルミ、ステンレス等の金属基材、ガラス、木材等が挙げられる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。またポリマーの質量平均分子量(Mw)、酸価の測定方法は以下の通りである。
(ポリマーの質量平均分子量(Mw))
ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用した。測定装置及び測定条件としては、下記条件1 によることを基本とし、試料の溶解性等により条件2 とすることを許容した。ただし、重合体種によっては、さらに適宜適切なキャリア(溶離液)及びそれに適合したカラムを選定して用いた。その他の事項については、JISK7252−1〜4:2008を参照した。なお、難溶の高分子化合物については下記条件の下、溶解可能な濃度で測定した。
(条件1)
カラム:ShodexOHpark SB−800RL
ShodexOHpark SB−800RH
Shodex0Hpark SB−802.5 HQ
Shodex0Hpark SB−806M HQ
を連結したカラムを使用した。
キャリア:リン酸緩衝水溶液
測定温度:40℃
試料濃度:0.2質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
(条件2)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAWM−Hを2本を連結したカラムを使用した。
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
(ポリマーの酸価)
ポリマーの酸価は、ピリジン水溶液に樹脂固形分1gを溶解し、0.5N水酸化カリウム水溶液で滴定した。
<ベタイン構造含有樹脂(B)の製造方法>
(合成例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブチルジグリコール98部を仕込み、窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し攪拌した。次にスチレン20部、ステアリルメタクリレート20部、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン60部、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させて、質量平均分子量が約37,500の共重合体溶液を得た。
さらに、イオン交換水を300部添加して、不揮発分20%のベタイン構造含有樹脂(B1−1)溶液を得た。
(合成例2)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブチルジグリコール98部を仕込み、窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し攪拌した。次にスチレン15部、ベヘニルアクリレート40部、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン5部、アクリル酸40部、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させて、質量平均分子量が約38,000、酸価は311(mgKOH/g)の共重合体溶液を得た。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール49.5部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、イオン交換水を250部添加して、不揮発分20%のベタイン構造含有樹脂(B1−2)溶液を得た。
(合成例3〜11)
表1に示す配合組成で、合成例2と同様の方法で合成し、合成例3〜10のベタイン構造含有樹脂(B1−3)〜(B1−11)溶液を得た。
(合成例12)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブチルジグリコール98部を仕込み、窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し攪拌した。次にスチレン15部、ステアリルメタクリレート40部、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン5部、アクリル酸40部、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させ、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認し室温まで冷却した。次に1,4−ブタンスルトンを6.5部(前記N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミンの1.5倍に当たる量)加え、80℃に加熱し、20時間撹拌を続け、質量平均分子量が約35,000、酸価は311(mgKOH/g)の共重合体溶液を得た。さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール49.5部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、イオン交換水を279部添加して、不揮発分20%のベタイン構造含有樹脂(B2−1)溶液を得た。
なお、以下の反応式8に示すように、1,4−ブタンスルトンの開環反応により、単量体(b3x)の一種であるN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインを用いた合成例1等と同様のベタイン構造を導入することができる。
反応式(8)
(合成例13、14)
表2に示す配合組成で、合成例11と同様の方法で合成し、合成例13、14のベタイン構造含有樹脂(B2−2)、(B2−3)溶液を得た。
(比較合成例1)
表1に示す配合組成で、合成例1と同様の方法で合成し、比較合成例1のベタイン構造含有樹脂(HB−1)溶液を得た。
(比較合成例2、3)
表1に示す配合組成で、合成例2と同様の方法で合成し、比較合成例2、3のベタイン構造含有樹脂(HB−2)及びベタイン構造を有しない樹脂(HB−3)溶液を得た。
表1、2中の略称を以下に示す。
St:スチレン
BzMA:ベンジルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
STMA:ステアリルメタクリレート
VA:ベヘニルアクリレート
DMBS:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン
DMPS:N−アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン
DMMC:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボベタイン
VSPI:1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩
VSPP:2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩
MPC:2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
DM:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン
VI:1−ビニルイミダゾール
VP:2−ビニルピリジン
DMAE:ジメチルアミノエタノール
V601:ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(ラジカル重合開始剤)
<バインダー樹脂の製造方法>
(定着樹脂1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブタノール93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、メチルメタクリレート70.0部、ラウリルメタクリレート10.0部、ステアリルメタクリレート10.0部、メタクリル酸10.0部、及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)6.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、水溶性樹脂溶液を得た。水溶性樹脂の質量平均分子量は約15,000であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール10.4部添加し中和した。これは、メタクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を200部添加し、水性化した。これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に水性化した樹脂溶液の不揮発分が30%になるように水を加えた。これより固形分30%の定着樹脂1の水溶液を得た。
(定着樹脂2)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬株式会社製)0.2部とを仕込み、別途、2−エチルヘキシルアクリレート40部、メチルメタクリレート50部、スチレン7部、ジメチルアクリルアミド2部、メタクリル酸1部、イオン交換水53部及び界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬株式会社製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を60℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部、及び無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液20部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を60℃で5分間保持した後、内温を60℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液、及び無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液の残りを1.5時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。ジエチルアミノエタノールを添加して、pHを8.5とし、さらにイオン交換水で固形分を40%に調整して樹脂微粒子水分散体を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。得られた樹脂微粒子水分散体を定着樹脂2とした。
<顔料分散体の製造方法>
(顔料分散体(GB−1))
下記の組成の混合物を均一になるようにディスパーで予備分散した後、直径0.5mmジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、顔料分散体(GB−1)を得た。
青顔料(Pigment Blue 15:3) :20部
ベタイン構造含有樹脂(B1−1)溶液 :35部
イオン交換水 :45部
(顔料分散体(GB−2〜22)、比較顔料分散体(HGB−1〜3))
顔料及びベタイン構造含有樹脂(B)の種類と質量比率を、表3に記載したように変更した以外は、顔料分散体(GB−1)と同様にして、顔料分散体(GB−2〜22)及び比較顔料分散体(HGB−1〜3)を得た。
表3中の略称を以下に示す。
青顔料:C.I.Pigment Blue 15:3
赤顔料:C.I.Pigment Red 122
黄顔料:C.I.Pigment Yellow 14
墨顔料: C.I.Pigment Black 7
<インクジェットインクの製造方法>
[実施例1]
(インクジェットインク(IJ−1))
下記の組成の混合物を均一になるようにディスパーで攪拌混合し、インクジェットインク(IJ−1)を得た。
顔料分散体(GB−1) :25部
1,3−プロパンジオール :10部
プロピレングリコール : 5部
水溶性バインダー樹脂(定着樹脂1) :25部
イオン交換水 :35部
[実施例2〜23、比較例1〜3]
(インクジェットインク(IJ−2〜23)、比較インクジェットインク(HIJ−1〜3))
顔料分散体、バインダー樹脂、水溶性溶剤の種類と配合量を表4に記載したように変更した以外は、(IJ−1)と同様にして、インクジェットインク(IJ−2〜23)及び比較インクジェットインク(HIJ−1〜3)を得た。
表4中の略称を以下に示す。
BDG:ブチルジグリコール
HeDG:ヘキシルジグリコール、(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル)
1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール
1,2−BD:1,2−ブタンジオール
1,3−PD:1,3−プロパンジオール
PG:プロピレングリコール
<インクジェットインクの評価>
得られたインクジェットインク(IJ−1〜23)、比較インクジェットインク(HIJ−1〜3)の目詰まり性、耐水性、耐擦過性、分散性、保存安定性、印字性を下記方法で評価した。表5に評価結果を示す。
(目詰まり性)
IJインクをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに詰めて、5分間連続吐出した。その後30℃、50%RHの環境下で6、12、及び24時間静置して、再びインクを連続吐出させ、打ち出された液滴の状態を目視観察して、ノズル詰まりや液滴のまとまり不良、飛行まがり等の吐出不良の発生に応じて評価した。
◎:24時間静置しても、吐出不良が無いもの(良好)
○:12時間静置しても吐出不良は無いが、24時間静置後に吐出不良が見られる もの(使用可能)
△:6時間静置しても吐出不良が無いが、12時間静置後に吐出不良が見られるも の(使用可能)
×:6時間静置後に、吐出不良が見られるもの(使用不可)
(印字物の耐水性)
IJインクをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに詰めて、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m、吸収速度4)に3cm×3cmの単色ベタ画像を印刷した。水をふくませた綿棒で印字物に50gの荷重をかけて100回こすって塗膜面の剥がれやすさを評価した。
○:塗膜面が全く剥れがない(良好)
△:塗膜面がわずかに剥がれたもの(使用可能)
×:塗膜面が大部分剥がれたもの(使用不可)
(印字物の耐擦過性)
IJインクをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに詰めて、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m、吸収速度4)に3cm×3cmの単色ベタ画像を印刷した。乾燥した綿棒で印字物に100gの荷重をかけて100回こすって塗膜面の剥がれやすさを評価した。
○:塗膜面が全く剥れないもの(良好)
△:塗膜面がわずかに剥がれたもの(使用可能)
×:塗膜面が大部分剥がれたもの(使用不可)
(分散性(D50))
得られたIJインクを、レーザー動的光散乱法(日機装社製、UPA150EX)のローディングインデックス値が0.8〜1.2の範囲に収まるよう水を加えて希釈し、同機を用いて25℃での体積累計のメディアン径(D50)を測定した。
(保存安定性)
IJインクを70℃の恒温機に2週間保存して経時促進させ、経時前後でのインクの粘度を測定し、粘度変化率を算出した。粘度測定はE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmの条件で測定した。
○:粘度変化率が±5%未満(良好)
△:粘度変化率が±5%以上、±10%未満(使用可能)
×:粘度変化率が±10%以上(使用不可)
(コート紙印字性)
IJインクをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに詰めて、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m、吸収速度4)に印刷した。印刷したサンプルをルーペで観察し、ドットのつながり、色のムラを評価した。印字性が最も良好なものを5、最も悪いものを1とし、1〜5の点数で比較評価した。評価が3〜5が実用上問題ないレベルである。
表5の結果から明らかなように、ベタイン構造含有樹脂(B)を含む本願のIJインクは、いずれもインクジェットノズルの目詰まり性、耐水性および耐擦過性が優れており、分散性、保存安定性、印字性とのバランスも良好であった。
特に、側鎖に酸基を有する繰返し単位を有するベタイン構造含有樹脂(B)を使用した場合に、優れた目詰まり性および耐水性、耐擦過性を示した。
一方、比較例1、2は、繰り返し単位b1又は繰り返し単位b2を有しないため、分散性が悪く、その結果、保存安定性、目詰まり性が大きく悪化した。また耐水性や耐擦過性も不良であった。また比較例3は、ベタイン構造を有しないため、目詰まり性が大きく劣っていた。

Claims (5)

  1. 着色剤(A)、ベタイン構造含有樹脂(B)、水溶性溶剤(C)を含有するインクジェット用インクであって、
    前記ベタイン構造含有樹脂(B)が、下記の繰り返し単位b1、繰り返し単位b2及び繰り返し単位b3を含むビニル系ポリマーであるインクジェット用インク。
    繰り返し単位b1:側鎖に芳香環を有する繰り返し単位
    繰り返し単位b2:側鎖に炭素数が4以上24以下のアルキル基を有する繰り返し単位(ただし、繰返し単位b1、b3及び側鎖に酸基を有する繰返し単位を除く)
    繰り返し単位b3:下記一般式1〜4で示される少なくともいずれかのベタイン構造を有する繰り返し単位
    一般式1

    一般式2

    一般式3

    一般式4


    [一般式1〜4中、
    は、水素原子又はメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は炭素数1〜4のアルキレン基
    Xは酸素原子又はNH、
    YはCO 又はSO
    は水素原子又はメチル基、
    は水素原子又はメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    は水素原子又はメチル基、
    10〜R14のうちの1つは*部分と直接結合し、
    10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
    15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    16は水素原子又はメチル基、
    17は(CH−CHR22O)m(CH−CHR22)基(ここで、R22は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、mは0〜10の整数を表す。)、
    18は(CH)g(ここで、gは0〜10の整数を表す。)、
    19〜R21はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、を表す。]
  2. 前記ベタイン構造含有樹脂(B)が、さらに下記の繰り返し単位b5を含むビニル系ポリマーである、請求項1に記載のインクジェット用インク。
    繰り返し単位b5:側鎖に酸基を有する繰り返し単位
  3. 前記ベタイン構造含有樹脂(B)の質量平均分子量が3,000〜150,000である、請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記着色剤(A)が有機顔料を含む、請求項1〜3いずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  5. 記録媒体に、請求項1〜4いずれか1項に記載のインクジェット用インクを印刷した印刷物。
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