JP2020090418A - 光ファイバ母材の製造方法及びこれを用いた光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ母材の製造方法及びこれを用いた光ファイバの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】希土類元素の添加濃度が高くなっても、歩留まりを向上させることができる光ファイバ母材の製造方法等を提供すること。【解決手段】希土類元素を含むコア部と、コア部を包囲するクラッド部とを備える光ファイバ母材を製造する光ファイバ母材の製造方法であって、クラッド部を形成する石英管の内面上に、希土類元素を含むコア層を形成して中空母材を形成する中空母材形成工程を含み、中空母材形成工程が、石英管内に、ガラス粒子の原料ガス、及び、希土類元素を含有する希土類元素含有ガスを供給してガラス粒子を含むスートを形成するスート形成工程と、石英管の内部を排気する排気工程とを含むステップを少なくとも1回行うことにより石英管の内面上にコア層を形成する工程であり、排気工程において、石英管内に、不活性ガスを含むガスを供給する、光ファイバ母材の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、光ファイバ母材の製造方法及びこれを用いた光ファイバの製造方法に係り、特に希土類元素をコア部に含む光ファイバ母材の製造方法及びこれを用いた光ファイバの製造方法に関する。
イッテルビウム(Yb)やエルビウム(Er)などの希土類元素を含む光ファイバは、光信号の増幅器としてファイバレーザなどの分野で広く利用されている。このような光ファイバを形成するための光ファイバ母材の製造方法としては、気相法が知られている。
気相法で希土類元素添加光ファイバ母材を製造する方法として、従来、例えば下記特許文献1に記載される製造方法が知られている。同文献には、石英管を加熱しながらSiCl及びYb(DPM)(β−ジケトン金属錯体)を供給し、石英管の内面上に、Ybが添加されたSiOからなるスートを堆積させ、スートを焼結させて中空母材を得た後、この中空母材をコラップスして円柱状の光ファイバ母材を製造する方法が開示されている。
特開2014−143287号公報
しかし、上記特許文献1に記載の光ファイバ母材の製造方法は、光ファイバ母材中の希土類元素の添加濃度を高くすると、不良部材が多くなり、歩留まりの向上の点で改善の余地を有していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、希土類元素の添加濃度が高くなっても、歩留まりを向上させることができる光ファイバ母材の製造方法及びこれを用いた光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題が生じる原因を突き止めるべく研究を重ねた。その結果、スートを石英管内に形成する過程で、石英管内で急激な酸化反応に伴う発熱が生じることがあり、この発熱が、光ファイバ母材に泡を残す要因になっているのではないかと本発明者は考えた。そこで、本発明者は、発熱と光ファイバ母材中の泡との相関関係について検討した。その結果、スート形成時に希土類元素を含有する希土類元素含有ガスを供給すると、通常は希土類元素含有ガスの分解が開始して進行し、炭化水素となり、やがて炭素の酸化が起こる。このとき、炭素の酸化が起これば発熱は生じない。しかし、希土類元素の添加濃度を高くするべく希土類元素含有ガスの供給量を多くすると、炭素が酸化しきらず、炭化水素が残留し、その炭化水素が発熱を引き起こすのではないかと本発明者は考えた。そして、このように発熱が生じると、石英管内で急激な圧力変動が発生することにより、スートを構成するガラス粒子同士の剥離やスートと石英管の内面との間の剥離が生じ、得られる光ファイバ母材中に泡として残るのではないかと本発明者は考えた。また、発熱が生じると、発熱によって局所的な石英管内の圧力変動が起こり、石英管の下流で形成されたガラス粒子の逆流が起こり、スートにおいて、ガラス粒子同士が十分に密着していない箇所が増加してガラス粒子同士の剥離が生じやすくなり、得られる光ファイバ母材において泡が残りやすくなるのではないかと本発明者は考えた。そして、本発明者はさらに鋭意研究を重ねた結果、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、希土類元素を含むコア部と、前記コア部を包囲するクラッド部とを備える光ファイバ母材を製造する光ファイバ母材の製造方法であって、前記クラッド部を形成する石英管の内面上に、前記希土類元素を含むコア層を形成して中空母材を形成する中空母材形成工程を含み、前記中空母材形成工程が、前記石英管内に、ガラス粒子の原料ガス、及び、前記希土類元素を含有する希土類元素含有ガスを供給して前記ガラス粒子を含むスートを形成するスート形成工程と、前記石英管の内部を排気する排気工程とを含むステップを少なくとも1回行うことにより前記石英管の内面上に前記コア層を形成する工程であり、前記排気工程において、前記石英管内に、不活性ガスを含む排気用ガスを供給する、光ファイバ母材の製造方法である。
上記製造方法によれば、中空母材形成工程で、石英管の内面上に、希土類元素を含むコア層が形成されて中空母材が形成され、希土類元素を含むコア部と、コア部を包囲するクラッド部とを備える光ファイバ母材が得られる。中空母材は、スート形成工程及び排気工程を含むステップを少なくとも1回行うことにより形成される。このとき、スート形成工程で、希土類元素含有ガスが石英管内に供給されると、通常は希土類元素含有ガスの分解が開始して進行し、炭化水素となり、やがて炭素の酸化が起こる。このとき、炭素の酸化が起これば発熱は生じない。しかし、希土類元素の添加濃度を高くするべく希土類元素含有ガスの供給量を多くすると、炭素が酸化しきらず、炭化水素が残留し、スート形成工程においてその炭化水素が加熱されることで自然に発熱することがある。これに対し、本発明の光ファイバ母材の製造方法によれば、スート形成工程において希土類元素含有ガスの供給量が多くても、排気工程において、石英管の内部が、不活性ガスを含む排気用ガスによって排気されるため、石英管内に残留する炭化水素が排気され、発熱の原因となり得る炭化水素の量が減少する。このため、石英管内で発熱が抑制される。このように石英管内で発熱が抑制されると、ガラス粒子同士の剥離や石英管とスートとの間の剥離が生じにくくなり、得られる光ファイバ母材において泡が残りにくくなる。また、発熱が抑制されると、発熱によって生じる可能性のある局所的な石英管内の圧力変動が抑制され、石英管の下流で形成されたガラス粒子が圧力変動によって逆流する現象が起こりにくくなる。このため、スートにおいて、ガラス粒子同士が十分に密着していない箇所が減少し、ガラス粒子同士の剥離が生じにくくなり、得られる光ファイバ母材において泡が残りにくくなる。以上より、本発明の光ファイバ母材の製造方法は、希土類元素の添加濃度が高くなっても、不良母材を減らすことができ、歩留まりを向上させることができる。
上記光ファイバ母材の製造方法は、前記中空母材をコラップスするコラップス工程をさらに含んでもよい。
上記光ファイバ母材の製造方法においては、前記排気工程における前記石英管内の温度を、前記スート形成工程における前記石英管内の温度よりも低くすることが好ましい。
この場合、排気工程における石英管内の温度が、スート形成工程における石英管内の温度よりも低くなっているため、排気工程において、石英管内に炭化水素が残留していても、その炭化水素に起因する発熱が起こりにくくなる。
上記光ファイバ母材の製造方法においては、前記スート形成工程において、前記石英管内に、ガス供給管を用いて前記希土類元素含有ガスを供給し、前記排気工程において、前記ガス供給管の内部も前記排気用ガスによって排気することが好ましい。
この場合、排気工程において、石英管の内部のみならずガス供給管の内部も排気用ガスによって排気されるため、ガス供給管内における希土類元素含有ガスに起因する炭化水素も十分に排気される。このため、石英管内において、炭化水素に起因する発熱がより起こりにくくなる。
上記光ファイバ母材の製造方法においては、前記排気工程において、前記排気用ガス中の不活性ガスの体積含有率を、前記排気工程が進むにつれて段階的に下げることが好ましい。
この場合、ヘリウムやアルゴンなどの、酸素に比べて高価な不活性ガスを使用した場合に、光ファイバ母材の製造コストを下げることができる。
上記光ファイバ母材の製造方法は、前記中空母材形成工程における前記ステップが、前記排気工程の後に、前記スートの前記ガラス粒子を焼結して前記スートを透明ガラス化する焼結工程をさらに含んでもよい。
上記光ファイバ母材の製造方法は、前記コア部が、前記希土類元素と異なるドーパントをさらに含み、前記排気工程と前記焼結工程との間に、前記ドーパントを含むドーパント含有ガスを前記石英管内に供給して前記スート中に拡散させる拡散工程をさらに含むことが好ましい。
この場合、拡散工程を焼結工程の後に行う場合と異なり、スートの焼結が進むことで拡散工程によるドーパントの添加効率が低下して、得られる光ファイバ母材のコア部においてドーパントの濃度が不十分となることを防ぐことができる。
上記光ファイバ母材の製造方法は、前記排気工程と前記焼結工程との間に、前記石英管内に酸素ガス及び塩素原子含有ガスの少なくとも一方を供給する処理工程をさらに含むことが好ましい。
この場合、石英管内に酸素ガス及び塩素原子含有ガスの少なくとも一方が供給されることで、希土類元素含有ガスに起因する炭化水素の分解が促進され、炭化水素が炭素となるため、発熱がより抑制される。また、石英管内に酸素ガス及び塩素原子含有ガスの少なくとの一方が供給されることで、希土類元素含有ガスを石英管内に供給する時にFe2+などの遷移金属不純物が混入しても、その遷移金属不純物に対して、酸化反応によって価数を変えて、遷移金属不純物の吸収波長帯を光ファイバの使用波長帯からシフトさせることが可能となり、光ファイバの低損失化に寄与し得る光ファイバ母材を得ることができる。
また、本発明は、上述した光ファイバ母材の製造方法により製造される光ファイバ母材を準備する母材準備工程と、前記母材準備工程で準備された前記光ファイバ母材を線引して光ファイバを得る線引工程とを含む、光ファイバの製造方法である。
この光ファイバの製造方法によれば、上述した光ファイバ母材の製造方法により、希土類元素の添加濃度が高くなっても、光ファイバ母材の歩留まりを向上させることができる。このため、光ファイバ母材を線引して得られる光ファイバを低コストで且つ効率よく製造できる。
本発明によれば、希土類元素の添加濃度が高くなっても、歩留まりを向上させることができる光ファイバ母材の製造方法及びこれを用いた光ファイバの製造方法が提供される。
本発明の光ファイバ母材の製造方法により製造される光ファイバ母材の一例を示す端面図である。 本発明の光ファイバ母材の製造方法により製造される中空母材の一例を示す端面図である。 本発明の光ファイバ母材の製造方法を実施する製造装置の一例を示す図である。 本発明の光ファイバ母材の製造方法のスート形成工程を示す図である。 本発明の光ファイバ母材の製造方法の排気工程を示す図である。 本発明の光ファイバ母材の製造方法の焼結工程を示す図である。
<光ファイバ母材の製造方法>
以下、本発明の光ファイバ母材の製造方法の実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明の光ファイバ母材の一実施形態について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の光ファイバ母材の製造方法により製造される光ファイバ母材の一例を示す端面図である。
図1に示すように、光ファイバ母材10は、中実状の母材であり、希土類元素を含むコア部1と、コア部1を包囲するクラッド部2を備えている。
次に、光ファイバ母材10の製造方法について図2〜図6を参照しながら説明する。図2は、本発明の光ファイバ母材の製造方法により製造される中空母材の一例を示す端面図である。図3は、本発明の光ファイバ母材の製造方法を実施する製造装置の一例を示す図、図4は、本発明の光ファイバ母材の製造方法のスート形成工程を示す図、図5は、本発明の光ファイバ母材の製造方法の排気工程を示す図、図6は、本発明の光ファイバ母材の製造方法の焼結工程を示す図である。
まず、光ファイバ母材10を製造するためには、図2に示すように、クラッド部2を形成する石英管22の内面上に、希土類元素を含むコア層21を形成して中空母材20を形成する(中空母材形成工程)。このとき、中空母材20は、コア層21の内側に中空部23が形成されるように形成する。
このとき、中空母材20は、具体的には以下のようにして形成される。
はじめに、図3に示すように、石英管22を用意する。石英管22は、石英からなる本体部22Aの両端に、石英からなるダミーガラス管24A及び25Aを溶着して接続させたものである。
上記のようにして用意した石英管22を製造装置100に設置する。具体的には、石英管22のダミーガラス管25Aは軸受34で保持され、ダミーガラス管25Aにはシールボックス27が気密に接続され、シールボックス27にはガス排出管29が挿入されて固定される。一方、ダミーガラス管24Aは旋盤の把持部(チャック)26に接続され、ガス供給管28が旋盤の把持部26を貫通して石英管22内に挿入される。こうして、石英管22は、軸受34と旋盤の把持部26とによって、その長手方向に沿った中心軸線の周りに回転可能に設置される。ガス供給管28は、ガラス粒子の原料ガス源30、希土類元素含有ガス源31、及び、不活性ガス源32にそれぞれ接続されている。不活性ガス源32は、配管を介して希土類元素添加用ガス源32に接続されている。また、石英管22には、加熱源33が対向配置され、加熱源33は、石英管22の長手方向に沿って移動可能となっている。加熱源33としては、例えば酸水素バーナが用いられる。
次に、図4に示すように、石英管22内に、ガラス粒子の原料ガスをガラス粒子の原料ガス源30からガス供給管28を通してガラス粒子の原料ガスを供給するとともに、希土類元素含有ガス源31からガス供給管28を通して希土類元素含有ガスを供給し、石英管22内に、ガラス粒子を含む多孔質のスート21Aを形成する(スート形成工程)。
次に、図5に示すように、不活性ガス源32からガス供給管28を通して石英管22内に、不活性ガスを含む排気用ガスが供給される。こうして、石英管22の内部及びガス供給管28の内部を排気する(排気工程)。
次に、図6に示すように、スート21Aのガラス粒子を焼結してスート21Aを透明ガラス化する(焼結工程)。
そして、上記スート形成工程、排気工程及び焼結工程を含むステップを少なくとも1回行うことにより石英管22の内面上にコア層21を形成して中空母材20が得られる。
最後に、中空母材20をコラップスし、石英管22のダミーガラス管24A及び25Aに相当する部分を溶断することによって光ファイバ母材10を得る(コラップス工程)。
上記製造方法によれば、中空母材形成工程で、石英管22の内面上に、希土類元素を含むコア層21が形成されて中空母材20が形成され、コラップス工程で中空母材20がコラップスされて、希土類元素を含むコア部1と、コア部1を包囲するクラッド部2とを備える中実状の光ファイバ母材10が得られる。中空母材20は、スート形成工程と、排気工程と、焼結工程とを含むステップを少なくとも1回行うことにより形成される。このとき、スート形成工程で、希土類元素含有ガスが石英管22内に供給されると、通常は希土類元素含有ガスの分解が開始して進行し、炭化水素となり、やがて炭素の酸化が起こる。このとき、炭素の酸化が起これば発熱は生じない。しかし、希土類元素の添加濃度を高くするべく希土類元素含有ガスの供給量を多くすると、炭素が酸化しきらず、炭化水素が残留し、スート形成工程においてその炭化水素が自然に発熱することがある。これに対し、光ファイバ母材10の製造方法によれば、スート形成工程において希土類元素含有ガスの供給量が多くても、排気工程において、石英管22の内部が、不活性ガスを含む排気用ガスによって排気されるため、石英管22内に残留する炭化水素が排気され、発熱の原因となり得る炭化水素の量が減少する。このため、石英管22内で発熱が抑制される。このように石英管22内で発熱が抑制されると、ガラス粒子同士の剥離や石英管22とスート21Aとの間の剥離が生じにくくなり、焼結工程において、上記剥離による空隙が形成されにくくなり、この空隙が、得られる光ファイバ母材10において泡として残りにくくなる。また、発熱が抑制されると、発熱によって生じる可能性のある局所的な石英管内の圧力変動が抑制され、石英管22の下流で形成されたガラス粒子の圧力変動による逆流が起こりにくくなる。このため、スートにおいて、ガラス粒子同士が十分に密着していない箇所が減少し、ガラス粒子同士の剥離が生じにくくなり、焼結工程において、上記剥離による空隙が形成されにくくなり、この空隙が、得られる光ファイバ母材10において泡として残りにくくなる。以上より、光ファイバ母材10の製造方法は、希土類元素の添加濃度が高くなっても、不良母材を減らすことができ、歩留まりを向上させることができる。
また、上記製造方法では、スート形成工程において、石英管22内に、ガス供給管28を用いて希土類元素含有ガスが供給され、排気工程において、ガス供給管28の内部も排気用ガスによって排気される。このため、排気工程において、石英管22の内部のみならずガス供給管28の内部も排気用ガスによって排気されるため、ガス供給管28内における希土類元素含有ガスに起因する炭化水素も十分に排気される。このため、石英管22内において、炭化水素に起因する発熱がより起こりにくくなる。
次に、上記中空母材形成工程及び上記コラップス工程について詳細に説明する。
<中空母材形成工程>
中空母材形成工程は、上記スート形成工程、排気工程及び焼結工程を含むステップを少なくとも1回行うことにより石英管22の内側にコア層21を形成することによって中空母材20を得る工程である。上記ステップの回数は、1回でも複数回でもよく、希望するコア層21の厚さに応じて適宜決定すればよい。以下、上記スート形成工程、排気工程及び焼結工程について詳細に説明する。
(スート形成工程)
スート形成工程は、石英管22内に、ガラス粒子の原料ガス、及び、希土類元素を含む希土類元素含有ガスを供給し、ガラス粒子を含む多孔質のスート21Aを形成する工程である。このとき、ガラス粒子の原料ガス、及び、希土類元素含有ガスはそれぞれ、キャリアガスによって供給する。また、このとき、スート21Aを形成するために、石英管22をその長手方向に沿った中心軸線の周りに回転させながら、加熱源33を石英管22の長手方向に移動させることによって石英管22を加熱する。このとき、加熱源33の移動回数は1回でも複数回でもよい。
ガラス粒子の原料ガスとしては、例えばSiClが用いられる。
希土類元素含有ガスとしては、例えばRe(DPM)などのβ−ジケトン金属錯体を気化させたものが用いられる。ここで、Reとしては、Yb、Nd及びErなどが挙げられる。DPMはC1119である。
ガラス粒子の原料ガス、及び、希土類元素含有ガスの供給量は、ガラス粒子の原料ガス源30又は希土類元素含有ガス源31の温度と、キャリアガスの流量によって調整できる。ガラス粒子の原料ガス源30又は希土類元素含有ガス源31の温度が高いほど供給量が増え、キャリアガスの流量が増えるほど供給量が増える。ガラス粒子の原料ガス源30の温度は、ガラス粒子の原料ガスが例えばSiClである場合には20℃〜40℃とすればよい。また、希土類元素含有ガス源31の温度は、Re(DPM)が例えばYb(DPM)である場合には200℃〜260℃程度とすればよい。
石英管22の温度は、ガラス粒子の焼結温度より低い温度であればよく、例えば1450〜1650℃とすればよい。この場合、石英管22の温度が1650℃を超える場合に比べて、スート21Aが焼結されにくくなり、石英管22の温度が1450℃未満となる場合に比べて、スート21Aと石英管22との密着性がより向上し、スート21Aと石英管22との間で剥離が生じにくくなり、焼結工程で空隙が形成されにくくなり、得られる光ファイバ母材10において空隙が泡として残りにくくなる。
キャリアガスとしては、例えば酸素(O)、ヘリウム(He)及びアルゴン(Ar)などが挙げられる。また、Re(DPM)のような、室温に比べて高い温度としている希土類元素含有ガスとともに用いられるキャリアガスは、希土類元素含有ガス源31より上流で予熱を行っておくことが好ましい。
(排気工程)
排気工程は、石英管22及びガス供給管28の内部を排気する工程であり、スート形成工程の後に行う。排気工程においては、石英管22内に、ガラス粒子の原料ガス及び希土類元素含有ガスを供給する代わりに、不活性ガスを含む排気用ガスを供給する。ここで、不活性ガスとしては、例えばHe、Ar及び窒素(N)などが挙げられる。
排気用ガス中の不活性ガスの体積含有率(不活性ガス濃度)は特に制限されるものではないが、50体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることが特に好ましい。また、排気工程は複数回にわけてもよい。この場合、排気工程を進めるにつれて段階的に不活性ガス濃度を下げてることが好ましい。例えば不活性ガス濃度を、初回の排気工程では90体積%、第2回目の排気工程では70体積%、第3回目の排気工程では50体積%のように段階的に下げることが好ましい。この場合、ヘリウムやアルゴンなどの、酸素に比べて高価な不活性ガスを使用した場合に、光ファイバ母材10の製造コストを下げることができる。
排気工程における石英管22内の温度は、スート形成工程における石英管22内の温度より高くても低くてもよいが、低いことが好ましい。
この場合、排気工程における石英管22内の温度が、スート形成工程における石英管22内の温度よりも低くなっているため、排気工程において、石英管22内に炭化水素が残留していても、その炭化水素に起因する発熱が起こりにくくなる。
このとき、排気工程における石英管22の温度(T2)は特に制限されるものではないが、700℃以上であることが好ましい。但し、T2は1300℃以下であることが好ましい。
このとき、石英管22の加熱は、石英管22をその長手方向に沿った中心軸線の周りに回転させながら、加熱源33を石英管22の長手方向に移動させることによって行うことができる。このとき、加熱源33の移動回数は、1回でも複数回でもよい。
石英管22の温度は、例えば石英管22として外径が32mm、厚さが2.5mmの石英管を用いた場合、石英管22の温度が300〜800℃となる温度とする。この場合、石英管22の温度が300℃より低い場合に比べて、排気工程において希土類元素現有ガスが凝固しにくくなって石英管22の内面に付着しにくくなり、より十分な排気が行われる。また、石英管22が急冷されることが防止され、石英管22の歪による割れが抑制される。一方、石英管22の温度が800℃を超える場合に比べて、石英管22内の温度が高くならず、発熱がより抑制される。
なお、排気工程においては、排気時間は、排気されるガスの量が、ガラス粒子の原料ガス源30とガス供給管28とを接続する配管、ガス供給管28及び石英管22の容積の合計の2倍以上の体積となるように、加熱源33の移動速度や移動回数によって調整することが好ましい。この場合、排気されるガスの量が、ガラス粒子の原料ガス源30とガス供給管28とを接続する配管、ガス供給管28及び石英管22の容積の合計の2倍未満の体積となるように調整する場合に比べて、配管内に残留した原料ガス濃度をより低濃度に希釈でき、発熱点を下げられる。
(焼結工程)
焼結工程は、スート21Aのガラス粒子を焼結してスート21Aを透明ガラス化する工程である。焼結工程は、石英管22を加熱しながら行う。このとき、石英管22内の温度は、スート21Aが透明ガラス化する温度(例えば2000℃)であれば、スート21Aの厚さによって変更してもよい。また、焼結工程は、石英管22内にはO及びHeを流しながら行うことが好ましい。
(処理工程)
上記スート形成工程、排気工程及び焼結工程を含むステップは、排気工程と焼結工程との間に、石英管22内に酸素ガス及び塩素原子含有ガスの少なくとも一方を供給する処理工程をさらに含んでもよい。
この場合、石英管22内に酸素ガス及び塩素原子含有ガスの少なくとも一方が供給されることで、希土類元素含有ガスに起因する炭化水素の分解が促進され、発熱がより抑制される。また、石英管22内に酸素ガス及び塩素原子含有ガスの少なくとも一方が供給されることで、希土類元素含有ガスやAlCl含有ガスを石英管22内に供給する時に混入するFe2+などの遷移金属不純物に対して、酸化反応によってFe2+からFe3+へと価数を変えて、遷移金属不純物の吸収波長帯を光ファイバの使用波長帯からシフトさせることが可能となり、光ファイバの低損失化に寄与し得る光ファイバ母材10を得ることができる。
塩素原子含有ガスとしては、例えばCl、SOCl2、BCl3などが挙げられる。
処理工程においては、Heなどの不活性ガスを供給してもよい。
処理工程においては、石英管22を加熱することが好ましい。この場合、石英管22が加熱されない場合に比べて、希土類元素含有ガスに起因する炭化水素の分解がより十分に促進され、発熱がより一層抑制される。
処理工程における石英管22の温度は特に制限されるものではないが、1100〜1700℃であることが好ましく、1200〜1600℃であることがより好ましい。
このとき、石英管22の加熱は、石英管22をその長手方向に沿った中心軸線の周りに回転させながら、加熱源33を石英管22の長手方向に移動させることによって行うことができる。このとき、加熱源33の移動回数は1回でも複数回でもよい。
酸素ガスの流量は特に制限されるものではないが、10〜5000sccmであることが好ましい。塩素原子含有ガスの流量も特に制限されるものではないが、0sccmより多く1000sccm以下とすることが好ましい。
(拡散工程)
光ファイバ母材10において、コア部1が、希土類元素と異なるドーパントをさらに含む場合には、上記スート形成工程、排気工程及び焼結工程を含むステップは、ドーパントを含むドーパント含有ガスを石英管22内に供給してスート21A中に拡散させる拡散工程をさらに含んでもよい。
このとき、拡散工程は、スート形成工程において行ってもよく、排気工程の後で且つ焼結工程の前に行ってもよく、焼結工程において行ってもよいが、排気工程の後で且つ焼結工程の前に行うことが好ましい。この場合、拡散工程を焼結工程の後に行う場合と異なり、スート21Aの焼結が進むことで拡散工程によるドーパントの添加効率が低下して、得られる光ファイバ母材10のコア部1においてドーパントの濃度が不十分となることを防ぐことができる。
なお、一部のドーパントの拡散工程を排気工程の後で且つ焼結工程の前に行い、残りのドーパントの拡散工程をスート形成工程や焼結工程において行ってもよい。 ドーパントとしては、例えばAl、P、B、Yb及びFなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。ドーパントとしてAlが用いられる場合には、ドーパント含有ガスとしては、例えばAlClが用いられ、ドーパントとしてPが用いられる場合には、ドーパント含有ガスとしては、例えばPOClが用いられ、ドーパントとしてBが用いられる場合には、ドーパント含有ガスとしては、BBr、又は、BClが用いられ、ドーパントとしてYbが用いられる場合には、ドーパント含有ガスとしては、Yb(DPM)が用いられ、ドーパントしてFが用いられる場合には、ドーパント含有ガスとしては、SiF、C、CFなどが用いられる。
拡散工程においては、石英管22を加熱することが好ましい。この場合、石英管22が加熱されない場合に比べて、ドーパント含有ガスと酸素との反応が十分に進行する。
拡散工程における石英管22の温度は、添加するドーパントの種類及び量によって異なるが、スート21Aの焼結温度より低い温度であればよい。拡散工程における石英管22の温度は、スート形成工程における石英管22の温度よりも低い温度とすることが好ましい。スート21A中にドーパントが添加されると、スート21Aの焼結温度が低下する。このため、拡散工程における石英管22の温度をスート形成工程における石英管22の温度以上の温度にする場合と比べて、スート21Aの収縮や透明ガラス化が進行しにくくなり、ドーパント含有ガスが拡散工程の後半になってスート21A内に浸透しにくくなることを抑制できる。
拡散工程における石英管22の温度は、1100〜1600℃であることが好ましく、1200〜1500℃であることがより好ましい。この場合、石英管22の温度が1100℃未満である場合と比べて、ドーパント含有ガスと酸素との反応がより十分に進行する。一方、石英管22の温度が1600℃を超える場合に比べて、拡散工程中にスート21Aの焼結が進みにくくなり、透明ガラス化しにくくなる。このため、拡散工程を複数種類のドーパントごとに別々に行う場合、ドーパントの種類ごとに行われる拡散工程において、ドーパントの拡散効率の低下が抑制され、所望のドーパント濃度が得られやすくなる。
このとき、石英管22の加熱は、石英管22をその長手方向に沿った中心軸線の周りに回転させながら、加熱源33を石英管22の長手方向に移動させることによって行うことができる。このとき、加熱源33の移動回数は1回でも複数回でもよい。
なお、拡散工程は、処理工程の前に行われても処理工程の後で行われてもよいが、添加するドーパントが処理工程で揮発しやすい場合には、拡散工程は、処理工程の後に行うことが好ましい。この場合、拡散工程の後に処理工程が行われなくなるので、拡散工程で添加した元素が処理工程中に脱離することがなくなる。このようなドーパントとしては、PやBが挙げられる。
また、拡散工程は、ドーパント含有ガスとしてYb(DPM)が用いられる場合には、処理工程の前に行うことが好ましい。この場合、拡散工程及び排気工程後に残る、Yb原料由来の微量な残留有機物が、酸素ガスを供給する処理工程によって処理されることで、不純物の少ないガラス堆積層であるコア層21が得られる。
また、拡散工程は、ドーパント含有ガスとしてAlClが用いられる場合にも、処理工程の前に行うことが好ましい。この場合、拡散工程においてAlClの供給時に配管などからFeが放出される場合、酸素ガスを供給する処理工程によってFeの価数を変えてFeを無害化したり、塩素含有ガスを用いた処理工程でFeをFeClとし、揮発させて除去したりすることで、遷移金属由来の吸収損失の少ないガラスであるコア層21が得られる。
(石英管内面清浄処理工程)
中空母材形成工程は、上記ステップの前に、石英管22の内面を清浄処理する石英管内面清浄処理工程を含んでいても含んでいなくてもよいが、さらに含むことが好ましい。この場合、石英管22の内面が清浄処理されることで、石英管22の内面上の不純物が除去される。このため、光ファイバ母材10から得られる光ファイバにおいて、上記不純物に起因する損失を低減することができる。
清浄処理工程は例えばエッチングにより行うことができる。エッチングは、具体的には、石英管22を加熱しながら、エッチング用ガスとしてのフッ素系のガスと酸素とを含む混合ガスを石英管22内に供給すればよい。このとき、フッ素系ガスとしては、例えばSF、CF、Cを用いることができる。また、石英管22の温度は例えば2000℃程度とすればよい。フッ素系ガスとして、SFを用いる場合、SFの流量は、10〜1000cc/minとし、Oの流量は、1000〜3000cc/minとすればよい。また混合ガスはさらにHeを含んでもよい。
<コラップス工程>
コラップス工程は、中空母材20をコラップスして中実母材を得る工程である。コラップス工程では、加熱源33によって石英管22を加熱し縮径させて中空母材20の中空部23を潰す。
このとき、石英管22の加熱は、石英管22をその長手方向に沿った中心軸線の周りに回転させながら、加熱源33を石英管22の長手方向に移動させることによって行うことができる。このとき、加熱源33の移動回数は1回でも複数回でもよい。
中空母材20の中空部23の圧力は、中空母材20の外側の気圧より高くても低くてもよいが、中空部23の圧力を大気圧よりも高い圧力(例えば40Pa程度)に加圧した状態から、中空部23の潰れ具合に応じて中空部23の圧力を下げるように調整してもよい。また、中空部23の圧力は大気圧以上であってもよく、大気圧よりも低くなってもよい。
<ジャケット工程>
上記コラップス工程で得られた中実母材は、ジャケット法により、石英管を被せてコラップスすることにより大径化して、大径化母材とされる。この場合、旋盤で中実母材を石英管でジャケットして一体化させればよい。必要に応じて、ジャケット工程の前に中実母材を延伸する延伸工程を行ってもよい。これにより、コア部の直径(D1)とクラッド部の直径(D2)の比率(D2/D1)であるコア部クラッド部比率が所望の値となった円柱状の大径化母材が得られる。このコア部クラッド部比率は、次に述べる研削工程及び研磨工程も考慮し、線引き後の光ファイバにおけるコアの直径(d1)とクラッドの直径(d2)の比率(d1/d2)と異なる値でも構わない。
またジャケット工程後の大径化母材に対して、研削工程及び研磨工程を行ってもよい。
研削により得られる研削母材の断面形状としては、光ファイバにおける励起光とコアの結合方式によって異なるが、D型などの非対称形状や、六角形、七角形、八角形などの多角形などが挙げられる。
なお、研削工程及び研磨工程を行った場合には、研削工程及び研磨工程により最終的に得られる母材が光ファイバ母材10となる。研削工程及び研磨工程が行われなかった場合には大径化母材が光ファイバ母材10となる。
<光ファイバの製造方法>
次に、本発明の光ファイバの製造方法について説明する。本発明の光ファイバの製造方法は、上述した光ファイバ母材の製造方法により製造される光ファイバ母材10を準備する母材準備工程と、母材準備工程で準備された光ファイバ母材10を線引して光ファイバを得る線引工程とを含む。
この光ファイバの製造方法によれば、上述した光ファイバ母材の製造方法により、希土類元素の添加濃度が高くなっても、光ファイバ母材10の歩留まりを向上させることができる。このため、光ファイバ母材10を線引して得られる光ファイバを低コストで且つ効率よく製造できる。
<線引工程>
線引工程では、光ファイバ母材10を線引装置にセットし、加熱炉で加熱して線引きする。これにより、希土類元素がドープされたコアと、ドーパントがドープされていないクラッドとを有する光ファイバが製造される。
ここで、線引温度(炉温度)は例えば2000〜2200℃である。線引速度は例えば5〜300m/sである。製造される光ファイバにおいては、例えば、コア径が3〜100μm、及びクラッド径(ファイバ径)が80〜1000μmである。
なお、光ファイバ母材10の線引きと同時に、クラッドの上に、UV硬化型樹脂等で形成された被覆層を設けてもよい。クラッド上に被覆されるUV硬化型樹脂の種類は、光ファイバの用途によって異なるが、例えば、光ファイバがシングルクラッドファイバである場合にはガラスより高い屈折率を持つUV硬化型樹脂が被覆され、光ファイバがダブルクラッドファイバである場合には、ガラスより低い屈折率を持つUV硬化型樹脂が低屈折率樹脂層として被覆される。光ファイバがダブルクラッドファイバである場合、低屈折率樹脂層は励起光を閉じ込める第2クラッドの役割をする。
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば上述した光ファイバ母材の製造方法の実施形態では、中空母材形成工程の後にコラップス工程が行われているが、コラップス工程は必ずしも行われていなくてもよい。この場合、中空母材20が光ファイバ母材10となる。
また、上記実施形態では、ジャケット工程は必要に応じて省略してもよい。ジャケット工程を省略した場合には、中実母材がそのまま光ファイバ母材10となる。
以下、実施例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示す製造装置100を用いて以下のようにして光ファイバ母材を製造した。
まず、石英管22として、外径32mm、内径27mm、長さ600mmの本体部22Aの両端に、外径32mm、内径27mm、長さ300mmの2つのダミーガラス管24A,25Aをそれぞれ溶着することにより用意した。そして、石英管22のダミーガラス管24Aを旋盤の把持部26で把持し、ダミーガラス管25Aを軸受34で保持した。
次に、加熱源33としての酸水素バーナを石英管22の長さ方向に沿って移動させて石英管22の全長を加熱しながら、エッチング用ガスとしてのSFを、キャリアガスとしてのOとともにガス供給管28から供給し、石英管22の内面を清浄化した。
次に、加熱源33としての酸水素バーナで石英管22を加熱しながら、原料ガスとしてのSiClを、キャリアガスとしてのOとともにガス供給管28を通じて石英管22内に供給し、Yb(DPM)はキャリアガスとしてのHeとともにガス供給管28を通じて石英管22内に供給し、、AlClはキャリアガスとしてのHeとともにガス供給管28を通じて石英管22内に供給し、石英管22を回転させながら加熱した。そして、石英管22の内面にYb及びAlが添加されたSiOガラスからなるスート21Aを形成した。このとき、バーナによる石英管22の温度は1550℃とした。こうしてスート形成工程を行った。
次に、ガス供給管28から、Heを排気用ガスとして石英管22内に供給し、加熱源33としての酸水素バーナで石英管22を回転させながら加熱した。このとき、バーナによる石英管22の温度は600〜700℃とした。また、このとき、排気時間は20分とした。こうして排気工程を行った。
次に、ガス供給管28を通してOおよびPを添加するためのPOCl、Bを添加するためのBBrを石英管22内に供給しながら、加熱源33としての酸水素バーナで石英管22を回転させながら加熱した。このとき、バーナの往復移動を複数回繰り返し行った。石英管22の温度はスート形成工程よりも低い1200℃とした。こうして拡散工程を行った。
次に、ガス供給管28からO及びHeを供給しながら、加熱源33としての酸水素バーナで石英管22を回転させながら加熱した。このとき、バーナによる石英管22の温度が2000℃となるように調整した。その結果、スート21Aは石英管22に一体化するとともに、焼結されて透明ガラス化された。こうして石英管22の内面にコア層21を形成した。こうして焼結工程を行った。
上記のようにしてコア層21の形成を、所望の厚さになるまで繰り返し行った。こうして中空母材20を得た。
続いて、中空母材20をその下端から上端にかけて回転させながら加熱した。このとき、中空母材20の中空部23の圧力を中空母材20の外側の圧力より40Paだけ高い圧力とし、中空部23の潰れ具合に応じて中空部23の圧力を低下させるように調整して中空部23を消滅させた。そして、両端のダミーガラス管24A,25Aに相当する部分を溶断した。こうして、4mmのコア直径を有する中実状の光ファイバ母材を得た。
(比較例1)
排気工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして光ファイバ母材を作製した。
上記のようにして得られた実施例1及び比較例1の光ファイバ母材について、元素分析により、Yb、Al及びPの濃度を測定した。Pの濃度については、拡散工程でPを添加している際に測定した。また、得られた光ファイバ母材について外観検査を行い、光ファイバ母材中に泡が混入しているか確認した。そして、コア部に添加されているYbの濃度ごとに、作製した光ファイバ母材数(分母)に対する泡による不良母材数(分子)の比率を百分率で算出した。結果を表1に示す。
表1に示す結果より、実施例1においては、いずれのYb濃度であっても、泡による不良母材数の比率は0%であった。一方、比較例1では、Yb濃度の増加に応じて泡による不良母材数の比率が増加しており、特にYb濃度が2.2質量%以上に高くなると、不良母材の比率はかなり高くなっており、Yb濃度が2.4質量%以上に高くなると、不良母材の比率は50%以上と高くなっており、半分以上の不良母材が発生していた。この泡による不良が発生した母材の作製プロセスを注意深く観察すると、比較例1でYb濃度2.5質量%となった母材においては、スート21Aが不均一に透明ガラス化されたり、部分的に剥離したスート21Aが再付着したりするような挙動がみられ、再付着部が焼結工程において透明ガラス化する際に泡の発生個所になっている様子がみられた。
Figure 2020090418
(実施例2)
拡散工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして光ファイバ母材を得た。
(実施例3)
排気工程の後で且つ拡散工程の前に以下のようにして処理工程を行ったこと以外は実施例1と同様にして光ファイバ母材を得た。
すなわち、まずガス供給管を通して酸素を石英管内に供給しながら、加熱源としての酸水素バーナで石英管を加熱した。石英管の温度は、スート形成工程における石英管の温度よりもやや低い1500℃とした。石英管の加熱はバーナの往復移動を複数回繰り返して行った。こうして処理工程を行った。
(実施例4)
拡散工程を行わず且つ排気工程の後で且つ焼結工程の前に処理工程を行ったこと以外は実施例1と同様にして光ファイバ母材を作製した。このとき、処理工程は、実施例3の処理工程と同様にして行った。
(比較例2)
排気工程を行わなかったこと以外は実施例3と同様にして光ファイバ母材を作製した。
上記のようにして得られた実施例2〜4及び比較例2の光ファイバ母材について、実施例1と同様にしてYb、Al及びPの濃度を測定した。また、得られた光ファイバ母材について外観検査を行い、光ファイバ母材中に泡が混入しているか確認した。そして、コア部に添加されているYbの濃度ごとに、作製した光ファイバ母材数(分母)に対する泡による不良母材数(分子)の比率を百分率で算出した。結果を表2に示す。なお、表2では、表1のYb濃度のうち比較的高い濃度について、Yb濃度ごとに、泡による不良母材数(分子)の比率を百分率で示している。
表2に示す結果より、実施例2〜4においては、いずれのYb濃度であっても泡による不良母材数の比率は0%であった。一方、比較例2では、Yb濃度の増加に応じて泡による不良母材数の比率が増加しており、特にYb濃度が2.2質量%以上に高くなると、不良母材の比率は50%以上とかなり高くなっており、半分以上の不良母材が発生していた。
Figure 2020090418
以上のことから、本発明の光ファイバ母材の製造方法によれば、希土類元素の添加濃度が高くなっても、歩留まりを向上させることができることが確認された。
1…コア部
2…クラッド部
10…光ファイバ母材
20…中空母材
21…コア層
21A…スート
22…石英管
28…ガス供給管

Claims (9)

  1. 希土類元素を含むコア部と、前記コア部を包囲するクラッド部とを備える光ファイバ母材を製造する光ファイバ母材の製造方法であって、
    前記クラッド部を形成する石英管の内面上に、前記希土類元素を含むコア層を形成して中空母材を形成する中空母材形成工程を含み、
    前記中空母材形成工程が、
    前記石英管内に、ガラス粒子の原料ガス、及び、前記希土類元素を含有する希土類元素含有ガスを供給して前記ガラス粒子を含むスートを形成するスート形成工程と、
    前記石英管の内部を排気する排気工程とを含むステップを少なくとも1回行うことにより前記石英管の内面上に前記コア層を形成する工程であり、
    前記排気工程において、前記石英管内に、不活性ガスを含む排気用ガスを供給する、光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記中空母材をコラップスするコラップス工程をさらに含む、請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  3. 前記排気工程における前記石英管内の温度を、前記スート形成工程における前記石英管内の温度よりも低くする、請求項1又は2記載の光ファイバ母材の製造方法。
  4. 前記スート形成工程において、前記石英管内に、ガス供給管を用いて前記希土類元素含有ガスを供給し、
    前記排気工程において、前記ガス供給管の内部も前記排気用ガスによって排気する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  5. 前記排気工程において、前記排気用ガス中の不活性ガスの体積含有率を、前記排気工程が進むにつれて段階的に下げる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  6. 前記中空母材形成工程における前記ステップが、前記排気工程の後に、前記スートの前記ガラス粒子を焼結して前記スートを透明ガラス化する焼結工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  7. 前記コア部が、前記希土類元素と異なるドーパントをさらに含み、
    前記排気工程と前記焼結工程との間に、前記ドーパントを含むドーパント含有ガスを前記石英管内に供給して前記スート中に拡散させる拡散工程をさらに含む、請求項6に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  8. 前記排気工程と前記焼結工程との間に、前記石英管内に酸素ガス及び塩素原子含有ガスの少なくとも一方を供給する処理工程をさらに含む、請求項6又は7に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ファイバ母材の製造方法により製造される光ファイバ母材を準備する母材準備工程と、
    前記母材準備工程で準備された前記光ファイバ母材を線引して光ファイバを得る線引工程とを含む、光ファイバの製造方法。
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