JP2020085044A - 車両のトランスファ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】トランスファ装置のオイル貯留部のオイルレベルの低減をはかりつつ、ヘリカルギヤによるオイル供給量のアンバランスによる潤滑不足の特に低速時での改善を図る。【解決手段】互いに噛合するヘリカルギヤで形成される第1ギヤ21と第2ギヤ22とから成る動力伝達機構を備える。第2ギヤ22の第1ギヤ21との噛み合い部の回転方向後方側に、第2ギヤ22が掻き上げ飛散した潤滑油を上面に受けるオイル受け部95と、該オイル受け部95の下流位置から下方に傾斜し、第2ギヤ22のヘリカル方向における回転方向の前方側となる側に設けられた第1ギヤ21の軸受81に潤滑油を案内するオイル案内部96とを備えたオイルパス91,94を設けた。【選択図】図3

Description

本発明は、四輪駆動車に搭載されるトランスファ構造に関する。
四輪駆動車として、車体前部にエンジンなどの駆動源と変速機とを軸心が車体前後方向に延びるように配置し、該変速機から出力される駆動力を車体後方に延びる後輪用出力軸および後輪用差動装置を介して主駆動輪としての後輪に伝達するとともに、補助駆動輪としての前輪に出力する駆動力を取り出すトランスファ装置を設け、該トランスファ装置によって取り出した駆動力を車体前方に延びる前輪用出力軸および前輪用差動装置を介して前輪に伝達し、後輪に加えて前輪も駆動可能に構成したものが知られている。
従来、このようなトランスファ装置は、後輪用出力軸上に前輪用の駆動力を取り出すカップリングを配設し、該カップリングによって取り出した駆動力を、後輪用出力軸上に設けられたドライブスプロケットと、後輪用出力軸に平行に設けられた前輪用出力軸に設けられたドリブンスプロケットと、両スプロケットに巻きかけられたチェーンとでなるチェーン式動力伝達機構(特許文献1参照)を介して前輪用出力軸に伝達し、後輪に加えて前輪も駆動可能に構成されている。
また、動力伝達機構には、後輪用出力軸上に設けられた一方側のギヤとしての駆動ギヤと、前輪用出力軸上に設けられた他方側のギヤとしての被駆動ギヤとで構成されるものもある(特許文献2参照)。このギヤ式動力伝達機構は、駆動ギヤと被駆動ギヤとを直結させて動力伝達を行うため、通常、チェーン式動力伝達機構に比べて、後輪用出力軸と前輪用出力軸との軸間距離を小さくしやすくなる。その結果、トランスファ装置が配置されている車両のトンネルを小さくできるので、乗員の車室内スペースを確保することができる。
そして、トランスファ装置の動力伝達機構の潤滑は、該動力伝達機構を収容する収容空間の下部に貯留された潤滑油を、動力伝達機構を構成するギヤやスプロケット等の駆動側動力伝達部材または被駆動側動力伝達部材のうち、低い方に位置する動力伝達部材から高い方に位置する動力伝達部材へ掻き上げることによって、掻き上げ給油が行われる。
しかし、この掻き上げ給油では、特に、車両が高速で走行する場合において、収容空間に貯留されている潤滑油のオイルレベルによっては、前述の掻き上げる方の動力伝達部材の掻き上げによる攪拌抵抗が大きくなり、燃費の悪化につながる場合がある。
これに対して、特許文献1に開示された、トランスファ装置の動力伝達機構は、動力伝達機構を構成するドリブンスプロケットおよびチェーンの下部に沿って設けられた仕切壁によって、スプロケットおよびチェーンを収容する収容空間が形成され、該収容空間のさらに下方に、動力伝達機構を潤滑する潤滑油を収容するオイル貯留部が設けられた構造である。そして、仕切壁の底部には、収容空間とオイル貯留部を連通する連通孔が設けられて、オイル貯留部に貯留された潤滑油が、連通孔から収容空間へ供給されるようになっている。
これにより、収容空間への潤滑油の供給は、連通孔から行われるので、車両が高速で走行する場合には、収容空間の潤滑油が掻き上げられる量が多いため、オイルレベルを下げることが可能となる。その結果、潤滑油の掻き上げによる攪拌抵抗を抑制できる。
実開昭61−20959号公報 特開2017ー65389号公報
近年、室内スペース確保の観点から、トランスファ装置が配置される車体のトンネルを小さくするため、ギヤによる動力伝達機構を用いるとともに、撹拌抵抗抑制の観点から、潤滑油を低レベル化することが行われている。ギヤによる動力伝達機構における駆動ギヤおよび被駆動ギヤは、強度および静粛性に優れたヘリカルギヤで形成されている。この場合、前述の掻き上げ給油時には、駆動ギヤおよび被駆動ギヤのうち、低い方に位置する下側ギヤによってオイル貯留部等から掻き上げられる潤滑油は、該下側ギヤの歯面の傾きによって、下側ギヤの軸方向における一方側に飛散しやすく、これにより他方側が潤滑不足となる問題がある。
例えば、図11に示すように、ギヤ式動力伝達機構を備えたトランスファ装置には、ヘリカルギヤで形成された駆動ギヤG1と、該駆動ギヤG1よりも低い位置で該駆動ギヤG1に噛み合うように設けられた下側ギヤとしての被駆動ギヤG2と、駆動ギヤG1および被駆動ギヤG2とを収容するとともにその底部に駆動ギヤG1および被駆動ギヤG2を潤滑する潤滑油Oを貯留するオイル貯留部C1を備えたトランスファケースCとが設けられている。被駆動ギヤG2の歯面gは被駆動ギヤG2の回転方向に対して傾斜しているため、歯面gの一方の側部g1は被駆動ギヤG2の回転方向の後方側に位置し、歯面gの他方の側部g2は被駆動ギヤG2の回転方向の前方側に位置する。潤滑油Oは、被駆動ギヤG2の歯面gに掻き上げられるとともに飛散させて、駆動ギヤG1側に供給されることになる。
このとき、被駆動ギヤG2の歯面gの潤滑油Oは、静的な状態において被駆動ギヤG2の歯面gの傾斜に沿って矢印a方向に流れようとするが、被駆動ギヤG2は、矢印b方向に回転しているので、潤滑油Oは、被駆動ギヤG2の歯面gによって回転方向bに押されて移動する。その結果、潤滑油Oは、被駆動ギヤG2の回転方向bおよび歯面gの傾斜によって、被駆動ギヤG2の歯面gの回転方向bの後方側に位置する側部g1側には飛散しやすく、被駆動ギヤG2の歯面gの回転方向bの前方側に位置する側部g2側には、飛散が少なくなっている。
そのため、駆動ギヤG1の両側に設けられた軸受のうち、片側の軸受への潤滑が不足することになる。
このような問題に対して、動力伝達機構の潤滑における、潤滑油の供給の偏りによる片側の軸受等の潤滑不足を解消するために、オイル貯留部のオイルレベルを高くすることで、全体的に掻き上げ量を増やす方法が考えられるが、これは前述したように、被駆動ギヤの攪拌抵抗が増加することとなる。また、被駆動ギヤが掻き上げた潤滑油をその遠心力を利用して潤滑不足となる側に偏向させる案内部材を設けることも考えられるが、低速時には遠心力で潤滑油を十分に供給できないという問題がある。
そこで、本発明は、トランスファ装置のオイル貯留部のオイルレベルの低減をはかりつつ、ヘリカルギヤによるオイル供給量のアンバランスによる潤滑不足の特に低速時での改善を両立することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明にかかる車両のトランスファ構造は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明は、
互いに噛合するヘリカルギヤで形成される第1ギヤと第2ギヤとから成る動力伝達機構を備えた車両のトランスファ構造であって、
前記第2ギヤの前記第1ギヤとの噛み合い部の回転方向後方側に、前記第2ギヤが掻き上げ飛散した潤滑油を上面に受けるオイル受け部と、該オイル受け部の下流位置から下方に傾斜し、前記第2ギヤのヘリカル方向における回転方向の前方側となる側に設けられた前記第1ギヤの軸受に潤滑油を案内するオイル案内部とを備えたオイルパスを設けたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記第1ギヤの軸受のアウタレースが圧入される圧入部には、前記オイルパスによって、前記第1ギヤの軸受に案内される潤滑油を、第1ギヤの軸心側に供給するように、反動力伝達機構側から前記第1ギヤの軸心方向に案内するための案内通路が設けられていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、
前記第1ギヤの軸受の反動力伝達機構側には、該第1ギヤの軸受と前記案内通路とを仕切るプレート部材が設けられていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項2又は請求項3に記載の発明において、
前記案内通路は、前記第1ギヤと該第1ギヤを貫通する部材との間の嵌合部に設けられたニードルベアリングと、前記第1ギヤと該第1ギヤとスプライン嵌合される他の部材とのスプライン部とに潤滑油を供給可能に設けられていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、
前記第1ギヤおよび前記第2ギヤは、それぞれ車両のトランスファ装置における駆動ギヤおよび被駆動ギヤを構成し、
前記被駆動ギヤには、車体前方側に延びる前輪用出力軸が連結されているとともに、動力伝達時に前記被駆動ギヤには車体後方側にスラスト力を受けるようにヘリカルギヤの歯面が形成されており、
前記第1ギヤの軸受は、前記駆動ギヤの車体前方側に配置された軸受であることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、
前記被駆動ギヤの車体後方側にオイル貯留部が設けられたことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項5または請求項6に記載の発明において、
前記第1ギヤと前記第2ギヤを収容するケースの上部で、かつ、前記駆動ギヤの車体前方側にブリーザ通路の開口部が開口されたことを特徴とする。
本願の請求項1に記載の発明によれば、第2ギヤによって掻き上げられて飛散した潤滑油は、第2ギヤの第1ギヤとの噛み合い部よりも回転方向の後方側で、オイル受け部の上面に受け止められ、オイル案内部を流れて、第2ギヤのヘリカル方向における回転方向の前方側となる側に設けられた第1ギヤの軸受に案内され供給される。その結果、低速状態でも、第2ギヤのヘリカルギヤの傾きによって掻き上げ量が少なくなる側の第1ギヤの軸受に潤滑油を供給することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、第2ギヤによって掻き上げられ、第1ギヤの軸受側に案内された潤滑油は、ケースの圧入部に設けられた案内通路によって、第1ギヤの軸受の反動力伝達機構側から第1ギヤの軸心側に案内される。これにより、第2ギヤの掻き上げによる潤滑油の供給が少ない第1ギヤの軸心側へより確実に潤滑油を供給することができる。
また、請求項3の記載の発明によれば、第1ギヤによって掻き上げられた潤滑油は、請求項2同様に、圧入部の案内通路を通って、第1ギヤの軸受の反動力伝達機構側に案内される潤滑油は、第1ギヤの軸受と案内通路とを仕切るプレート部材によって仕切られているため、案内通路に導入され、第1ギヤの軸心側までガイドされる。これにより、第2ギヤの掻き上げによる潤滑油の供給が少ない第1ギヤの軸心側から潤滑油を供給することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、第2ギヤによって掻き上げられるとともに、ケースの案内通路を通って第1ギヤの軸心側へ供給される潤滑油は、第1ギヤの軸心側に供給された潤滑油は、第1ギヤを貫通する部材と第1ギヤとの間に設けられたニードルベアリング、および、第1ギヤと他の部材とのスプライン部へ供給される。
また、請求項5に記載の発明によれば、例えば、被駆動ギヤの車体前方側には、前輪用プロペラシャフトを支持するための構造が必要であるため、構造が複雑となる傾向にある。したがって、被駆動ギヤを支持するための軸受のスペースが取りづらく、大きな軸受を配置しにくい。そのため、被駆動ギヤのヘリカルギヤの歯面は、動力伝達時に被駆動ギヤには車体後方側にスラスト力を受けるように傾斜されている。
具体的には、被駆動ギヤの歯面の回転方向前方側となる側が車体前方側となる。そして、被駆動ギヤによって掻き上げられる潤滑油は、被駆動ギヤの歯面の傾斜に沿って、車体後方側へ飛散することとなるが、オイルパスによって車体前方側にガイドされるので、潤滑油の飛散しづらい車体前方側に配置された被駆動ギヤのスラスト力を受ける方の軸受にも確実に潤滑油を供給することが可能である。
また、請求項6に記載の発明によれば、被駆動ギヤの歯面の回転方向前方側となる側面が車体前方側となるように形成されるので、被駆動ギヤによって掻き上げられた潤滑油は、車体後方側に飛散しやすい構成となっている。そして、オイル貯留部は、車体後方側に設けられているので、潤滑油を効果的にオイル貯留部に供給することができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、被駆動ギヤの歯面は、プロペラシャフト側に上がり勾配となるように形成されるとともに、駆動時の回転方向が被駆動ギヤの径方向に見て上方向であるので、被駆動ギヤによって掻き上げられた潤滑油は、車体後方側に飛散しやすい構成となっている。そして、ブリーザ通路は、ケースの上部かつ車体前方側に開口しているので、潤滑油の飛散が少なく、オイル漏れを抑制することができる。
本発明の実施形態に係るトランスファ装置が搭載された四輪駆動車の動力伝達機構を示す概略図である。 トランスファ装置を示す断面拡大図である。 本発明の実施形態に係るトランスファ装置のケースを取り除いたときの斜視図である。 図2におけるA−A矢視で示すトランスファ装置のトランスファケースのカバーを取り除いたときの正面図である。 オイルパスのガイド部材の平面図(a)及び斜視図(b)である。 被駆動ギヤの回転軸に直角な図4のG方向から見たトランスファ装置の断面図である。 図2におけるB−B矢視で示すトランスファ装置の軸受とガイド部材の位置関係を示すトランスファケースのカバーの背面図である。 図2のB−B矢視で示すトランスファケースのカバーの単体の背面図である。 図7のC−C矢視で示す位置のトランスファ装置の断面拡大図である。 図4のD−D矢視で示す位置のトランスファ装置の断面図である。 トランスファ装置のヘリカルギヤによる潤滑油の掻き上げの説明図である。
以下、本発明に係る車両のトランスファ装置の詳細を説明する。
(トランスファ装置の概略構造)
図1に示すように、本発明の実施形態に係るトランスファ装置が搭載された四輪駆動車1は、フロントエンジン・リアドライブ車ベースの四輪駆動車であり、車体前部に駆動源としてのエンジン2と変速機3とが軸心が車体前後方向に延びるように配置されている。
変速機3の車体後方には、トランスファ装置10が設けられており、該トランスファ装置10には、変速機から出力される駆動力を車体後方側に延びる後輪用出力軸11と、該後輪用出力軸11と平行に配置されて駆動力を前輪に出力する前輪用出力軸12と、が設けられている。
後輪用出力軸11上には、カップリング13と、該カップリング13の車体前方側に配置されるとともにカップリング13から取り出された駆動力を前輪用出力軸12に伝達する第1ギヤとしての駆動ギヤ21と、カップリング13と駆動ギヤ21との間に配置されるダンパ14とが設けられている。
また、前輪用出力軸12上には、駆動ギヤ21に噛み合う第2ギヤとしての被駆動ギヤ22が設けられ、カップリング13によって取り出された前輪用の駆動力は、駆動ギヤ21と被駆動ギヤ22を介して前輪用出力軸12に伝達される。
なお、駆動ギヤ21と、被駆動ギヤ22とは、ヘリカルギヤで形成されるとともに、動力伝達機構20を構成している。
前輪用出力軸12は、自在継手30を介して車体前方に延びる前輪用プロペラシャフト40に連結されている。該前輪用プロペラシャフト40は、自在継手50を介して前輪用差動装置60の入力軸61に連結され、該入力軸61は、左右の前輪にそれぞれ連結された車軸62、62に連結されている。
これにより、カップリング13によって取り出された駆動力は、駆動ギヤ21および被駆動ギヤ22を介して前輪用出力軸12に伝達され、該前輪用出力軸12から前輪用プロペラシャフト40および前輪用差動装置60を介して前輪に伝達される。四輪駆動車1では、カップリング13は、前輪と後輪とのトルク配分を前輪:後輪=0:100〜50:50の範囲で可変できるようになっている。なお、カップリング13の作動は、図示しない制御ユニットによって制御される。
(トランスファ装置の詳細構造)
次に、図2を参照しながら、本発明の実施形態に係るトランスファ装置10についてさらに詳細に説明する。
トランスファ装置10のケース70は、図2に示すように、本体71と、該本体71の変速機3側を覆うカバー72とが図示しないボルトで締結されて形成されている。
トランスファケース70内には、変速機3からの入力軸3aに連結された後輪用出力軸11と、該後輪用出力軸11と平行に設けられた前輪用出力軸12とが回転可能に支持されている。トランスファケース70の本体71とカバー72との間には、動力伝達機構20を形成する駆動ギヤ21および被駆動ギヤ22が収容される収容空間Z1が形成されている。
なお、動力伝達機構20の駆動ギヤ21は、中空軸状で後輪用出力軸11上に設けられ、被駆動ギヤ22は、中空軸状で前輪用出力軸12上に設けられ、駆動ギヤ21と被駆動ギヤ22とは互いに噛み合った状態で配置されている。
駆動ギヤ21は、外周面に斜歯が形成された歯部21aと、該歯部21aの内周側から一体的に車体前方側および車体後方側にそれぞれ延びる円筒状の前方側円筒部21bおよび後方側円筒部21cとが備えられている。駆動ギヤ21は、前方側円筒部21bおよび後方側円筒部21cの外周側に設けられた軸受81、82を介してトランスファケース70に回転可能に支持されている。
軸受81、82のうち、車体前方側の軸受81のアウタレース81aは、トランスファケース70のカバー72に設けられた円形の凹部でなる圧入部73に圧入されている。一方、車体後方側の軸受82のアウタレース82aは、トランスファケース70の本体71に設けられた円形の凹部でなる圧入部74に圧入されている。
また、軸受81の車体前方側の端部には、該軸受81のアウタレース81aに接するとともに、カバー72の圧入部73の内周面から、トランスファ装置10の後輪用出力軸11の外周面に向かって延びるプレート部材85が設けられて、軸受81の軸方向の位置決めがされている。
被駆動ギヤ22は、外周面に斜歯が形成された歯部22aと、該歯部22aの内周側、かつ、車体後方側の端部から内周側に延びる縦面部22bと、該縦面部22bの内周側の端部から車体前方側および車体後方側にそれぞれ延びる円筒状の前方側円筒部22cおよび後方側円筒部22dとが備えられている。被駆動ギヤ22は、歯部22aの内周側および後方側円筒部22dの外周側に設けられた軸受83、84を介してトランスファケース70に回転可能に支持されている。
被駆動ギヤ22の軸受83、84のうち、車体前方側の軸受83は、被駆動ギヤ22の径方向にみて駆動ギヤ21と被駆動ギヤ22の噛み合い部Xの下方に配置されているとともに、車体前方側の軸受83のインナレース83aは、トランスファケース70のカバー72に設けられた円形の凹部でなる圧入部75に圧入されている。一方、車体後方側の軸受84のアウタレース84aは、トランスファケース70の本体71に設けられた円形の凹部でなる圧入部76に圧入されている。
なお、該収容空間Z1の下部は、動力伝達機構20を潤滑するための潤滑油が、被駆動ギヤ22の下部が浸かるように貯留されて、オイル貯留部としての機能を有している。
そして、被駆動ギヤ22の前方側および後方側円筒部22c、22dの内周面には、前輪用出力軸12がスプライン嵌合されて連結されている。前輪用出力軸12は、自在継手30を介して前輪用プロペラシャフト40に連結され、前輪用出力軸12の車体前方側に、自在継手30の外側継手部材31が一体的に形成されている。
自在継手30は、前輪用出力軸12に一体的に形成された外側継手部材31と、前輪用プロペラシャフト40に結合された内側継手部材32と、外側継手部材31と内側継手部材32との間に介装されて外側継手部材31と内側継手部材32との間で動力を伝達するボール33と、外側継手部材31の内周面と内側継手部材32の外周面との間に配置されてボール33を保持するケージ34とを備え、前輪用出力軸12と前輪用プロペラシャフト40との間で動力を伝達することができるようになっている。
トランスファ装置10にはまた、トランスファケース70に、複数のシール部材71a、72a、72bが配設され、該トランスファケース70内の潤滑油が外部に漏洩することが防止されている。具体的には、トランスファケース70のカバー72と後輪用出力軸11との間にシール部材72aが配設され、トランスファケース70のカバー72と被駆動ギヤ22の前方側円筒部22cとの間にシール部材72bが配設され、トランスファケース70の本体71と後輪用出力軸11上に設けられたダンパ14から延びる動力伝達部材14aとの間にシール部材71aが配設されている。
ところで、図3に示すように、トランスファ装置10の潤滑は、収容空間Z1に貯留された潤滑油が、被駆動ギヤ22の歯面によって掻き上げられるとともに飛散させて、駆動ギヤ21側に供給されることになる。なお、本実施形態においては、被駆動ギヤ22のヘリカルギヤの歯面22a’が回転方向R1の前方側となる方の側部22eが、車体前方側となるように形成されている。
被駆動ギヤ22の歯面22a’の潤滑油は、静的な状態において被駆動ギヤ22の歯面22a’の傾斜に沿って矢印R2方向に流れようとするが、被駆動ギヤ22は、矢印R1方向に回転しているので、潤滑油は、車体後方側には飛散しやすく、車体前方側には、飛散が少なくなっている。
(潤滑油案内構造)
上述のような潤滑油の供給の偏りを解消するために、動力伝達機構20には、車体前方側に潤滑油を供給するための潤滑油案内構造が設けられている。
ここで、図3〜図10を用いて、潤滑油案内構造について詳しく説明する。
まず、図3および図4を参照しながら、潤滑案内構造の一部を構成するガイド部材94を有するオイルパス91について説明する。図3は、動力伝達機構20とオイルパス91との関係を示したもので、図4は、図2におけるA−A矢視で示すトランスファ装置10のトランスファケース70のカバー72を取り除いたときの正面図である。
図3および図4に示すように、オイルパス91は、ドーナツ状の円盤に切り欠き部が設けられた基本面部92と、該基本面部92の内周側から円筒状に、車体後方側に延びる円筒部93とを有している。オイルパス91の基本面部92には、被駆動ギヤ22の駆動ギア21との噛み合い部Xの回転方向後方側に、ガイド部材94が取り付けられている。また、基本面部92の上部には、扇形の切欠部98が設けられており、基本面部92の下部には、連通孔99が設けられている。
図2および図4に示すように、オイルパス91の基本面部92は、トランスファケース70の本体71の内周部に設けられた取り付け部に、複数のボルト92a…92aによって固定されている。
また、オイルパス91の基本面部92および円筒部93は、図2および図4に示すように、被駆動ギヤ22の縦面部22bの車体後方側の面と、後方側円筒部22dとを覆うように配置されている。
オイルパス91の基本面部92の外周部にはシール部材92bが配置されており、該シール部材92bによって、オイルパス91と、トランスファケース70の本体71の内周面とがシールされている。そして、オイルパス91の基本面部92は、該基本面部92を挟んで車体前方側に設けられた収容空間Z1と、基本面部92と車体後方側のトランスファケース70の本体71の内周部とで囲まれた後述するオイル貯留部Z3とを、仕切るように機能している。
なお、オイルパス91の切欠部98は、駆動ギヤ21と被駆動ギヤ22との噛み合い部Xに対応する位置に配置されている。
オイルパス91のガイド部材94は、図5に示すように、オイル受け部95と、オイル案内部96と、取付部97とを備えている。
オイル受け部95は、オイル流入端95aから被駆動ギヤ22の回転方向前方に向かって上り勾配で傾斜して上流端95bまで延びる樋状の形状を有している。オイル受け部95のオイル流入端95aは、図4に示すように、被駆動ギヤ22の外周面の頂部より当該被駆動ギヤ22の回転方向後方に位置し、上流に向かうにつれて幅が狭くなるように形成されている。オイル受け部95は、図6に示すように、被駆動ギヤ22の車体後方側の側部に片寄って配置されている。このため、被駆動ギヤ22により掻き上げられて車体後方に片寄って移動する潤滑油を受け入れることができる。
オイル案内部96は、オイル受け部95の上流端95bから、被駆動ギヤ22の軸方向に車体前方側に向かって下り勾配で傾斜してオイル流出端96aまで延びる桶状の形状を有している。オイル案内部96は、車両が30%(16.7度)の勾配を登坂するときでも潤滑油が車両前方側に流れるように、20度の傾斜角を有している(図6参照)。オイル案内部96は、オイル受け部95の上流端95bから被駆動ギヤ22の軸方向に車体前方側に屈曲して、被駆動ギヤ22の車体前方側の側部22eを越えたところまで延びる第1案内部96bと、該第1案内部96bの下端から被駆動ギヤ22の回転方向斜め前方に屈曲して、駆動ギヤ21の軸受81を越えたところまで延びる第2案内部96cと、該第2案内部96cの下端から被駆動ギヤ22の回転方向に屈曲して、オイル流出端96aまで延びる第3案内部96dとを有している。
取付部97は、オイル受け部95の車体後方側の側壁から下方に突出する板状の形状を有している。取付部97の車体後方側の側壁には、トランスファケース70の本体71に圧入される2つの取付用突起97a,97aが設けられている。
ガイド部材94は、図6に示すように、取付部97の取付用突起97aをトランスファケース70の本体71に圧入することで、本体71に取り付けられる。ガイド部材94は、オイルパス91の基本面部92に取り付けてもよい。オイル受け部95の上流端95bすなわちオイル案内部96の上端は、20度の傾斜を有するオイル案内部96が被駆動ギヤ22の外周面に干渉しないような高さに位置している。
さらに、図7、図8を参照しながら、潤滑案内構造の一部を構成するトランスファケース70のカバー72について説明する。図7は、図2におけるB−B矢視で示すトランスファ装置の軸受とガイド部材の位置関係を示すトランスファケースのカバー、図8は、図2におけるB−B矢視で示すトランスファケースのカバー単体を示す背面図である。
図8に示すように、トランスファケース70のカバー72の圧入部73の圧入部75と対向する側の一部に、圧入部73を切り欠くように溝部78が設けられている。溝部78は、底面部78aと、下側面部78bと、上側面部78cを有している。溝部78は、圧入部73に設けられるプレート部材85よりも深く切り欠かれて、当該溝部78の底面部78aとプレート部材85との間に隙間S2が形成されるようになっている。溝部78の下側面部78bと、カバー72の外周縁との間には仕切壁が78d設けられている。溝部78の底面部78aの一部には、さらに深く凹部78eが形成されて、プレート部材85と凹部78eとの間に第3案内部96dが介在できるようになっている。
図9は、図7におけるC−C矢視の断面を示しており、カバー72の溝部78での、トランスファ装置10の潤滑油案内構造を示している。
これにより、溝部78の凹部78eと軸受81のアウタレース81aおよびプレート部材85との間には隙間S1が設けられ、溝部78の底面部78aと、プレート部材85との間には隙間S2が設けられている。さらに、カバー72のシール部材72aとプレート部材85との間には隙間S3が設けられている。
そして、プレート部材85の内周側の端部と、後輪用出力軸11との間には、隙間S4が設けられている。また、プレート部材85の車体後方側の面と、軸受81のインナレース81bおよび駆動ギヤ21の前方側円筒部21bとの間にも隙間S5が設けられている。
また、駆動ギヤ21の前方側円筒部21bの内周側と後輪用出力軸11との間には隙間S6が設けられ、該駆動ギヤ21の内周側と後輪用出力軸11との間にはニードルベアリング86が配置されて、駆動ギヤ21が後輪用出力軸11上に回転可能に設けられている。
駆動ギヤ21の後方側円筒部21cの内周側には、スプライン部21dが設けられており、ダンパ14から該駆動ギヤ21に駆動力を伝達する他の部材としての円筒状の動力伝達部材14aが、後輪用出力軸11上でダンパ14から車体前方側に延びるとともに、動力伝達部材14aの外周側には、スプライン部14bが設けられている。そして、駆動ギヤ21のスプライン部21dと動力伝達部材14aのスプライン部14bとが互いにスプライン嵌合されている。
したがって、収容空間Z1と、隙間S1、S2、S3で形成された案内通路Sとが連通されているとともに、案内通路Sと、隙間S4、S5、S6と、該隙間S6に設けられたニードルベアリング86と、スプライン部21d(13a)とが連通状態とされて、潤滑油案内通路が形成されている。
また、トランスファ装置10には、前述のように潤滑を必要とする動力伝達機構20、軸受81、82、83、84、ニードルベアリング86、スプライン部14b、21dが備えられており、これらを潤滑するための潤滑油が貯留されている。
図10は、図4におけるD−D断面を示しており、図に示すように潤滑油は、トランスファケース70の収容空間Z1に加え、該収容空間Z1に対して後輪用出力軸11に直交する方向E(図4参照)にみて、被駆動ギヤ22とオーバラップする位置に設けられる第1の空間Z2と、後輪用出力軸11の軸方向F(図10参照)にみて被駆動ギヤ22とオーバラップする位置に設けられるオイル貯留部としての第2の空間Z3とに貯留されている。
図10に加え、図4および図7に示すように、トランスファケース70の本体71の下部には、被駆動ギヤ22の歯部22aに近接するとともに、該被駆動ギヤ22の歯幅方向を覆う仕切壁71cが設けられており、トランスファケース70のカバー72の下部には、本体71の仕切壁71cに対応する位置に、仕切壁72cが設けられている。
そして、本体71およびカバー72が連結される際に、仕切壁71cの車体前方側の端面71dと、仕切壁72cの車体後方側の端面72dとを対接させることで、収容空間Z1と第1の空間Z2とを仕切る仕切り壁W1(71c、72c)が形成されている。
また、本体71の仕切壁71cの端面71dの下部には、切欠部71eが設けられており、該切欠部71eとカバー72の仕切壁72cの端面72dとを対接させることで、収容空間Z1と第1のオイル貯留部Z2とを仕切る仕切壁71c、72cの連通孔71fが形成されて、該連通孔71fによって収容空間Z1と第1の空間Z2が流通が制限された連通状態となる。
第2の空間Z3は、オイルパス91とトランスファケース70の本体71の内面部との間に設けられている。また、オイルパス91の連通孔99によって、第2の空間Z3と、収容空間Z1とが流通を制限された状態で仕切られるようになっている。
なお、図2に示すように、トランスファ装置10には、動力伝達機構20が収容されている収容空間Z1の内圧の上昇を抑制するためのブリーザ機構が設けられており、該ブリーザ機構の外部との開口部79は、駆動ギヤ21よりも車体前方側に設けられている。
(潤滑油案内構造の作用)
図3および図9を用いて、トランスファ装置10の潤滑油案内構造の作用について説明する。
まず、トランスファ装置10では、駆動時に駆動ギヤ21に嵌合された被駆動ギヤ22が回転するとともに、該被駆動ギヤ22によって収容空間Z1に貯留された潤滑油が掻き上げられて、駆動ギヤ21側が潤滑される。
また、本実施形態においては、前述のように、被駆動ギヤ22のヘリカルギヤの歯面22a’が回転方向R1の前方側となる方の側部22eが、車体前方側となるように形成されている。
これにより、被駆動ギヤ22の歯面22a’の潤滑油は、静的な状態において被駆動ギヤ22の歯面22a’の傾斜に沿って矢印R2方向に流れようとするが、被駆動ギヤ22は、矢印R1方向に回転しているので、潤滑油は、車体後方側には飛散しやすくなる。そして、被駆動ギヤ22の車体後方側には、第2の空間Z3が設けられているので、潤滑油を効果的に第2の空間Z3に回収することができる。
一方、被駆動ギヤ22の歯面22a’の回転方向R1前方側となる方の側部22e(車体前方側)には飛散しにくくなるが、被駆動ギヤ22の駆動ギヤ21との噛み合い部Xよりも回転方向R1の後方側に配設されたガイド部材94によって、被駆動ギヤ22が収容空間Z1から掻き上げた潤滑油が、被駆動ギヤ22の歯面22a’が回転方向R1前方側となる方の側部22e(車体前方側)に配置された駆動ギヤ21の軸受81に供給されることになる。
これにより、収容空間Z1のオイルレベルが低い場合や、被駆動ギヤ22がヘリカルギヤで形成されることにより掻き上げ量が少なくなる側の駆動ギヤ21の軸受81にも潤滑油を供給することができる。
具体的には、図9に示すように、低速回転時には、被駆動ギヤ22によって掻き上げられた潤滑油は、被駆動ギヤの歯面22a‘の傾斜に沿って車体後方側へ飛散する。車体後方側へ飛散する潤滑油は、被駆動ギヤ22の回転に伴ってオイルパス91の基本面部92に沿って上方に移動し、ガイド部材94のオイル流入端95aからオイル受け部95に受け入れられる。
また、高速回転時には、被駆動ギヤ22によって掻き上げられた潤滑油は、被駆動ギヤの歯面22a‘の傾斜に沿って車体後方側へ飛散するととともに、遠心力でトランスファケース70の本体71の内周面に向かって飛散し、被駆動ギヤ22の回転に伴って、オイルパス91の基本面部92及びトランスファケース70の本体71の内周面に沿って、上方に移動し、ガイド部材94のオイル受け部95の面上に受け入れられる。
オイル受け部95に受け入れられた潤滑油は、オイル受け部95をその慣性で上方に流れ、オイル受け部95の上流端95bで向きを変えて、オイル案内部96の第1案内部96b、第2案内部96c、第3案内部96dを経て、オイル流出端96aから駆動ギア21の軸受81の車体前方側に重力で流れ落ちる。
さらに、潤滑油は、カバー72の圧入部73の溝部78の凹部78eと軸受81のアウタレース81aおよびプレート部材85との間に設けられた隙間S1と、溝部78の底面部78aとプレート部材85との間に設けられた隙間S2と、カバー72のシール部材72aとプレート部材85との間に設けられた隙間S3とで形成される案内通路Sを通り抜ける。
そして、潤滑油は、プレート部材85の内周側の端部と後輪用出力軸11との間に設けられた隙間S4と、プレート部材65の車体後方側の面と軸受81のインナレース81bおよび駆動ギヤ21の前方側円筒部21bとの間に設けられた隙間S5によって、駆動ギヤ21の車体前方側の軸受81に供給される。
また、後輪用出力軸11側にガイドされた潤滑油の一部は、駆動ギヤ21の前方側円筒部21bの内周側と後輪用出力軸11との間に設けられた隙間S6を通り抜けて、該駆動ギヤ21の内周側と後輪用出力軸11との間に配置されたニードルベアリング86を潤滑することができるようになっている。
さらに、潤滑油の一部は、駆動ギヤ21の後方側円筒部21cの内周側のスプライン部21dと、ダンパ14から該駆動ギヤ21に駆動力を伝達する他の部材としての円筒状の動力伝達部材14aのスプライン部14bとのスプライン嵌合にも供給され、その後、駆動ギヤ21の車体後方側の軸受82を通り抜けて、第2のオイル貯留部Z3へ回収される。
なお、案内通路Sと、軸受81とは、プレート部材85によって仕切られているため、案内通路Sに導入された潤滑油は、駆動ギヤ21の軸心側までガイドされ、被駆動ギヤ22の掻き上げによる潤滑油の供給が少ない駆動ギヤ21の軸心側から潤滑油を供給することができる。
ところで、本実施形態においては、被駆動ギヤ22の車体前方側には、前輪用プロペラシャフト40を支持するための構造が必要であるため、構造が複雑となる傾向にある。したがって、被駆動ギヤ22の車体前方側には、該被駆動ギヤ22を支持するための軸受83のスペースが取りづらく、大きな軸受を配置しにくい。そのため、被駆動ギヤ22のヘリカルギヤの歯面は、動力伝達時に被駆動ギヤ22に車体後方側のスラスト力が作用するように傾斜されている。
具体的には、被駆動ギヤ22の歯面22a’の回転方向前方側R1となる側が車体前方側となる。そして、被駆動ギヤ22によって掻き上げられる潤滑油は、被駆動ギヤ22の歯面22a’の傾斜に沿って、車体後方側へ飛散することとなるが、オイルパス91及びガイド部材94によって車体前方側にガイドされるので、潤滑油の飛散しづらい車体前方側に配置された駆動ギヤ21のスラスト力を受ける方の軸受81にも確実に潤滑油を供給することが可能となっている。
また、被駆動ギヤ22の歯面22a’は、回転方向前方側の側部22eが車体前方側となるように形成されるので、被駆動ギヤ22によって掻き上げられた潤滑油は、車体後方側に飛散しやすい構成となっている。そして、ブリーザ装置の開口部79は、トランスファケース70の上部かつ駆動ギヤ21よりも車体前方側に開口しているので、潤滑油の飛散が少なく、オイル漏れを抑制することができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、四輪駆動車に搭載されるトランスファ装置において、四輪駆動車に搭載される車両のトランスファ構造において、潤滑油案内部材の追加によりオイル貯留部のオイルレベルの低減をはかりつつ、ヘリカルギヤによるオイル供給量のアンバランスによる特に低速時における潤滑不足の改善が図れるので、この種の車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
10 トランスファ装置
11 後輪用出力軸
12 前輪用出力軸
14a 動力伝達部材(他の部材)
20 動力伝達機構
21 駆動ギヤ(第1ギヤ)
22 被駆動ギヤ(第2ギヤ)
70 トランスファケース(ケース)
73 圧入部
79 ブリーザ通路の開口部
81 軸受
81a アウタレース
85 プレート部材
86 ニードルベアリング
91 オイルパス
94 ガイド部材
95 オイル受け部
96 オイル案内部
S 案内通路
X 噛み合い部
Z1 収容空間
Z3 第2の空間(オイル貯留部)

Claims (7)

  1. 互いに噛合するヘリカルギヤで形成される第1ギヤと第2ギヤとから成る動力伝達機構を備えた車両のトランスファ構造であって、
    前記第2ギヤの前記第1ギヤとの噛み合い部の回転方向後方側に、前記第2ギヤが掻き上げ飛散した潤滑油を上面に受けるオイル受け部と、該オイル受け部の下流位置から下方に傾斜し、前記第2ギヤのヘリカル方向における回転方向の前方側となる側に設けられた前記第1ギヤの軸受に潤滑油を案内するオイル案内部とを備えたオイルパスを設けたことを特徴とする車両のトランスファ構造。
  2. 前記第1ギヤの軸受のアウタレースが圧入される圧入部には、前記オイルパスによって、前記第1ギヤの軸受に案内される潤滑油を、第1ギヤの軸心側に供給するように、反動力伝達機構側から前記第1ギヤの軸心方向に案内するための案内通路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両のトランスファ構造。
  3. 前記第1ギヤの軸受の反動力伝達機構側には、該第1ギヤの軸受と前記案内通路とを仕切るプレート部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両のトランスファ構造。
  4. 前記案内通路は、前記第1ギヤと該第1ギヤを貫通する部材との間の嵌合部に設けられたニードルベアリングと、前記第1ギヤと該第1ギヤとスプライン嵌合される他の部材とのスプライン部とに潤滑油を供給可能に設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両のトランスファ構造。
  5. 前記第1ギヤおよび前記第2ギヤは、それぞれ車両のトランスファ装置における駆動ギヤおよび被駆動ギヤを構成し、
    前記被駆動ギヤには、車体前方側に延びる前輪用出力軸が連結されているとともに、動力伝達時に前記被駆動ギヤには車体後方側にスラスト力を受けるようにヘリカルギヤの歯面が形成されており、
    前記第1ギヤの軸受は、前記駆動ギヤの車体前方側に配置された軸受であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両のトランスファ構造。
  6. 前記被駆動ギヤの車体後方側にオイル貯留部が設けられたことを特徴とする前記請求項5に記載の車両のトランスファ構造。
  7. 前記第1ギヤと前記第2ギヤを収容するケースの上部で、かつ、前記駆動ギヤの車体前方側にブリーザ通路の開口部が開口されたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の車両のトランスファ構造。
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