JP2020084222A - 被覆粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】芯材の表面に金属皮膜が形成された金属被覆粒子表面を絶縁層が被覆する被覆粒子であって、優れた接続信頼性を有する被覆粒子を得ること。【解決手段】本発明は、芯材表面に金属が形成された金属被覆粒子が、ポリマーからなる絶縁性微粒子に被覆された被覆粒子の製造方法であって、金属被覆粒子にプラズマを照射させたプラズマ処理金属被覆粒子を得る工程と、プラズマ処理金属被覆粒子と絶縁性微粒子とを混合して、金属被覆粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させる工程、とを有する。【選択図】なし

Description

本発明は、絶縁層に被覆された被覆粒子の製造方法に関する。
樹脂粒子の表面にニッケルや金などの金属を形成させた金属被覆粒子は、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電性接着剤等の導電性材料として使用されている。
近年、電子機器類の一層の小型化に伴い、電子回路の回路幅やピッチはますます小さくなっている。それに伴い、上述の導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等に用いられる金属被覆粒子として、その粒径が小さいものが求められている。このような小さい粒径の金属被覆粒子を使用した場合、その接続性を高めるためには金属被覆粒子の配合量を増加させなければならない。しかしながら、金属被覆粒子の配合量を増加させると、意図しない方向への導通、すなわち対向電極間とは異なる方向への導通により短絡が生じてしまい、該方向における絶縁性が得難いことが問題となっている。この問題を解決するために、金属被覆粒子の表面を絶縁性の物質で被覆して、金属被覆粒子の金属層同士の接触を防止した絶縁被覆金属被覆粒子が使用されている。
金属被覆粒子の表面を絶縁性の物質で被覆するためにいくつかの方法が提案されているが、その一つとして絶縁性の物質にプラズマ処理を施し、その表面を改質することで金属被覆粒子を絶縁性の物質で被覆する方法がある。
例えば特許文献1には、導電性の金属からなる表面を有する粒子を核とし、その表面を、該金属に対して結合性を有する官能基を含有する有機化合物からなる有機粒子により部分的に修飾してなる被覆粒子が記載されており、前記有機粒子の表面をプラズマ等でイオン性に改質することが記載されている。特許文献2には、表面が導電性を有する金属被覆粒子と、前記金属被覆粒子に対して結合性を有する官能基(A)を介して化学結合することにより、前記金属被覆粒子の表面を部分的に被覆している絶縁性微粒子とを有する絶縁被覆金属被覆粒子が記載されており、前記絶縁性微粒子の表面をプラズマ等で官能基(A)に改質することが記載されている。
国際公開第2002/035555号パンフレット 特開2010−86665号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の従来の方法は、金属被覆粒子と親和性を有する官能基を絶縁性微粒子の表面に導入する方法であるところ、この方法のみでは絶縁性微粒子と金属被覆粒子との密着性になお改良の余地があった。絶縁性微粒子と金属被覆粒子との密着性が不十分であると、対向電極とは異なる方向での絶縁性を得ながら対向電極間で導通を図る(以下、単に接続信頼性ともいう)ことができない場合がある。
そこで本発明の目的は、従来に比して絶縁性物質と金属被覆粒子との密着性に優れた絶縁被覆金属被覆粒子を製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、金属被覆粒子の表面
の金属層をプラズマ処理することで、絶縁性微粒子との親和性を向上させることができること、これにより従来技術と比べて絶縁性微粒子の金属被覆粒子からの剥落が効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、芯材表面に金属が形成された金属被覆粒子が、ポリマーからなる絶縁性微粒子に被覆された被覆粒子の製造方法であって、
金属被覆粒子にプラズマを照射させたプラズマ処理金属被覆粒子を得る工程と、
プラズマ処理金属被覆粒子と絶縁性微粒子とを混合して、金属被覆粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させる工程と、を有する被覆粒子の製造方法を提供するものである。
本発明の被覆粒子の製造方法は、金属被覆粒子の金属層をプラズマ処理することにより、金属被覆粒子と絶縁性微粒子との親和性を向上させた被覆粒子を得ることができる。この被覆粒子は優れた接続信頼性を有しうる。
以下、本発明を好ましい実施形態に基づき説明する。
本実施形態の被覆粒子の製造方法は、芯材表面に金属が形成された金属被覆粒子が、ポリマーからなる絶縁性微粒子に被覆された被覆粒子の製造方法であって、金属被覆粒子にプラズマを照射させたプラズマ処理金属被覆粒子を得る工程、及び、プラズマ処理金属被覆粒子と絶縁性微粒子とを混合して、金属被覆粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させる工程を有する。
<金属被覆粒子の説明>
上記金属被覆粒子は、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤に従来用いている公知のものを用いることができる。
金属被覆粒子における芯材としては、粒子状であり、無機物であっても有機物であっても特に制限なく用いることができる。無機物の芯材粒子としては、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ハンダ等の金属粒子、合金、ガラス、セラミック、シリカ、金属または非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素等が挙げられる。一方、有機物の芯材粒子としては、例えば、天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、金属からなる芯材粒子に比べて比重が小さくて沈降し難く、分散安定性に優れ、樹脂の弾性により電気接続を維持し易いという点で、樹脂材料からなる芯材粒子が好ましい。
芯材粒子として有機物を用いる場合、ガラス転移温度を有しないか、或いは、そのガラス転移温度は100℃超であることが、異方導電接続工程において芯材粒子の形状が維持されやすいことや金属皮膜を形成する工程において芯材粒子の形状を維持しやすい点から好ましい。また芯材粒子がガラス転移温度を有する場合、ガラス転移温度は、200℃以下であることが、異方導電接続において金属被覆粒子が軟化しやすく接触面積が大きくなることで導通が取りやすくなる点から好ましい。この観点から、芯材粒子がガラス転移温度を有する場合、ガラス転移温度は、100℃超180℃以下であることがより好ましく、100℃超160℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度は、下記実施例に
記載の方法で測定できる。
芯材粒子として有機物を用いる場合において、その有機物が高度に架橋した樹脂であるときは、ガラス転移温度は下記実施例に記載の方法にて200℃まで測定を試みても、ほとんど観測されない。本明細書中ではこのような粒子を、ガラス転移点を有しない粒子ともいい、本発明においては、このような芯材粒子を用いてもよい。前記のこのようなガラス転移温度を有しない芯材粒子材料の具体例としては、前記で例示した有機物を構成する単量体に架橋性の単量体を併用して共重合させて得ることができる。架橋性の単量体としては、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンオキシド(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメテロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメ
タントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の多官能ビニル系単量体、ビニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ-(メタ)ア
クリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン含有系単量体、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル等の単量体が挙げられる。特にCOG(Chip on Glass)分野ではこのような硬質な有機材料による芯
材粒子が多く使用される。
芯材粒子の形状に特に制限はない。一般に、芯材粒子は球状である。しかし、芯材粒子は球状以外の形状、例えば、繊維状、中空状、板状又は針状であってもよく、その表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。本発明においては、充填性に優れる、金属を被覆しやすいといった点で、球状の芯材粒子が好ましい。
金属被覆粒子の形状は、芯材粒子の形状にもよるが、特に制限はない。例えば、繊維状、中空状、板状又は針状であってもよく、その表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。本発明においては、充填性、接続性に優れるという点で、球状又は多数の突起を有する形状であることが好ましい。
金属被覆粒子における金属皮膜は、導電性を有するものであり、その構成金属としては、例えば、金、白金、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、コバルト、インジウム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、アルミニウム、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン等の金属又はこれらの合金のほか、ITO、ハンダ等の金属化合物等が挙げられる。なかでも金、銀、銅、ニッケル、パラジウム又はハンダが、抵抗が少ないため好ましく、とりわけ、ニッケル、金、ニッケル合金又は金合金が、絶縁性微粒子におけるホスホニウム基との結合性が高いために好適に用いられる。金属被覆粒子における金属は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属皮膜は、単層構造であっても、複数層からなる積層構造であってもよい。複数層からなる積層構造である場合には、最表層が、ニッケル、金、ニッケル合金又は金合金であることが好ましい。
また金属皮膜は、芯材粒子の表面全体を被覆していなくてもよく、その一部のみを被覆していてもよい。芯材粒子の表面の一部のみを被覆している場合は、被覆部位が連続していてもよく、例えばアイランド状に不連続に被覆していてもよい。プラズマ処理前及び処
理後のいずれにおいても、金属皮膜の厚さは0.001μm以上2μm以下が好ましく、0.01μm以上1.8μm以下が更に好ましい。
金属被覆粒子の平均粒子径は、プラズマ処理前及び処理後のいずれにおいても、好ましくは0.1μm以上50μm以下、より好ましくは1μm以上30μm以下である。金属被覆粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、得られる被覆粒子が対向電極間とは異なる方向での短絡を発生させることなく、対向電極間での導通を確保しやすい。なお、本発明において、金属被覆粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて測定した値である。具体的には、金属被覆粒子の平均粒子径は実施例に記載の方法にて測定される。
芯材粒子の表面に金属皮膜を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、メカノケミカル法、ハイブリダイゼーション法等を利用する乾式法、電解めっき法、無電解めっき法等を利用する湿式法が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせて芯材粒子の表面に金属皮膜を形成してもよい。
<絶縁性微粒子の説明>
金属被覆粒子を被覆する絶縁層はポリマーから構成される。絶縁層としては、複数の絶縁性微粒子からなるか、或いは、前記絶縁層が皮膜であるものが挙げられる。
絶縁層がポリマーからなる絶縁性微粒子である場合、被覆粒子を電極間で熱圧着することで絶縁性微粒子が溶融、変形、剥離又は金属被覆粒子表面を移動することにより熱圧着された部分における金属被覆粒子の金属表面が露出し、これにより電極間での導通を可能にして接続性が得られる。一方、被覆粒子における熱圧着方向以外の方向を向く表面部分は、絶縁性微粒子による金属表面の被覆状態が概ね維持されているため、熱圧着方向以外の方向における導通が防止される。
絶縁性微粒子の形状は、特に制限はなく、球状であってもよく、或いは球状以外の形状であってもよい。球状以外の形状としては例えば、繊維状、中空状、板状又は針状が挙げられる。また絶縁性微粒子はその表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。金属被覆粒子への付着性の点や合成の容易性の点で球状の絶縁性微粒子が好ましい。
絶縁性微粒子を構成するポリマーは、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の重合体であることが好ましい。エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、スチレン類、オレフィン類、エステル類、α、β不飽和カルボン酸類、アミド類、ニトリル類などが挙げられる。スチレン類としては、スチレン、o、m、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等の核置換スチレンやα−メチルスチレン、α−クロロスチレン、β−クロロスチレンなどのスチレン誘導体等が挙げられる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルベンゾエート等のビニルエステル、及び、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。α,β不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。これらα,β不飽和カルボン酸の塩もα,β不飽和カルボン酸類に含まれる。アミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。ニトリル類としては、アクリロニトリル等が挙げられる。これらのモノマーは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
絶縁性微粒子を構成するポリマーとしては、とりわけ、スチレン類、エステル類及びニトリル類から選ばれる少なくとも1種の重合体であることが、重合率が高い点、容易に球
状にできる点で好ましい。またプラズマ処理を受けた金属被覆粒子との親和性の点から、絶縁性微粒子を構成するポリマーは、スチレン類を主成分とすることが特に好ましい。絶縁性微粒子を構成するポリマー中の全構成単位のうち、スチレン類に由来する構成単位の割合は50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。スチレン類に由来する構成単位とプラズマ処理を受けた金属被覆粒子との親和性が高い理由は明確ではないが、プラズマ処理を受けることで、金属被覆粒子において金属表面が電荷を持った状態となることが、ポリスチレンとの親和性を高めるものと発明者は推測している。
絶縁性微粒子を構成するポリマーが、複数種の構成単位を有する場合、ポリマーにおけるそれらの構成単位の存在態様はランダムであっても交互であってもブロックであってもよい。絶縁性微粒子を構成するポリマーは架橋されていてもよく、非架橋であってもよい。
絶縁性微粒子を構成するポリマーは、2種以上、更に好ましくは3種以上の構成単位を有するコポリマーであり、これら構成単位の少なくとも1種が構造中にエステル結合を有することが好ましい。これにより、ポリマーのガラス転移温度を好適に低いものとしやすく、絶縁性微粒子における導電性粒子と接触する面積の割合を高めて絶縁性微粒子と導電性粒子との密着性を高めることができるほか、絶縁性微粒子同士の結合度を高めることができ、被覆粒子間での絶縁性をより高いものとすることができる。
構造中にエステル結合を有する構成単位としては、構造中にエチレン性不飽和結合及びエステル結合を併せ持つ重合性化合物に由来するものが挙げられる。そのような重合性化合物としては前記で挙げたエステル類が挙げられる。とりわけ構造中にエチレン性不飽和結合及びエステル結合を併せ持つ重合性化合物としては、その構造中に、−COOR又は−OCOR(R及びRはアルキル基)で表される基を有するものが好ましく、とりわけ、これらの基がHC=CH*、又はHC=C(CH)*(*は、上記の−COOR又は−OCORで表される基における結合手の結合先である)に結合した化合物が好ましい。R及びRとしては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数が1以上12以下であることが好ましく、2以上10以下であることがより好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
絶縁性微粒子を構成するポリマーにおいて、全構成単位中、構造中にエステル結合を有する構成単位の割合は、絶縁性微粒子のガラス転移温度を好適な範囲とする観点や、重合反応進行時に生成した絶縁性微粒子が、熱によって溶融し反応容器の壁面に付着することなく取り出せる観点から0.1モル%以上30モル%以下であることが好ましく、1モル%以上25モル%以下であることがより好ましい。
絶縁性微粒子を構成するポリマーは更に置換されていてもよく、置換基は、ホスホニウム基、アミノ基、第4級アンモニウム基、アミド基、スルホニウム基、スルホン酸基、チオール基、カルボキシル基、リン酸基、シアノ基、アルデヒド基、エステル基、カルボニル基、アミノ基等が挙げられる。置換基は正の電荷を有することが、プラズマ処理により金属被覆粒子表面に導入される水酸基との相互作用の点で好ましく、ホスホニウム基、アミノ基、第4級アンモニウム基、スルホニウム基が好ましく、ホスホニウム基、第4級アンモニウム基、スルホニウム基が特に好ましく、ホスホニウム基が最も好ましい。絶縁性微粒子において電荷を有する置換基は、絶縁性微粒子を構成する物質の一部として、該物質の化学構造の一部をなしていることが好ましい。
絶縁性微粒子を構成するポリマーにおいて、全構成単位中、電荷を有する置換基が結合した構成単位の割合は、0.01モル%以上5.0モル%以下であることが好ましく、0
.02モル%以上2.0モル%以下であることがより好ましい。ここで、ポリマー中の構成単位の数は、1つのエチレン性不飽和結合に由来する構造を1の構成単位としてカウントする。
絶縁性微粒子の平均粒子径(D)は、好ましくは10nm以上3,000nm以下、より好ましくは15nm以上2,000nm以下である。絶縁性微粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、得られる被覆粒子が対向電極間とは異なる方向での短絡を発生させることなく、対向電極間での導通を確保しやすい。なお、本発明において、絶縁性微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いた観察において測定した値であり、具体的には後述する実施例に記載の方法にて測定される。なお走査型電子顕微鏡画像において絶縁性微粒子が球状である場合は、平均粒子径は、円形の絶縁性微粒子像の径である。絶縁性微粒子が球状でない場合、平均粒子径は、絶縁性微粒子像を横断する線分のうち最も大きい線分の長さ(最大長さ)をいう。
前述の方法によって測定された絶縁性微粒子の粒度分布には幅がある。一般に、粉体の粒度分布の幅は、下記計算式(1)で示される変動係数(Coefficient of Variation、以下「C.V.」とも記載する)により表される。
C.V.(%)=(標準偏差/平均粒子径)×100・・・(1)
このC.V.が大きいということは粒度分布に幅があることを示し、一方、C.V.が小さいということは粒度分布がシャープであることを示す。本実施形態の被覆粒子は、C.V.が好ましくは0.1%以上20%以下、より好ましくは0.5%以上15%以下、最も好ましくは1%以上10%以下の絶縁性微粒子を用いることが望ましい。C.V.がこの範囲にあることにより、絶縁性微粒子による被覆層の厚みを均一にできる利点がある。
絶縁性微粒子の金属被覆粒子への被覆率は、導電性材料が必要とする特性にもよるが、好ましくは5%以上100%以下、より好ましくは7%以上95%以下である。被覆率が上記範囲内である被覆粒子は、対向電極間とは異なる方向における短絡を防止しやすく、対向電極間での導通を確保しやすい。なお、本発明において、被覆率は、後述する実施例に記載の方法にて測定される。
また、絶縁層としては、前記の絶縁性微粒子からなるものに替えて、ポリマーからなる皮膜であってもよい。絶縁層が皮膜である場合、該被覆粒子を電極間で熱圧着することで該皮膜が溶融、変形又は剥離することにより金属被覆粒子の金属表面が露出し、これにより電極間での導通を可能とし接続性が得られる。特に、被覆粒子を電極間で熱圧着することで皮膜が破けることにより金属表面が露出する場合が多い。一方、被覆粒子における熱圧着方向とは異なる方向を向く表面部分では、皮膜による金属表面の被覆状態が概ね維持されているため、熱圧着方向以外の方向における導通が防止される。
絶縁層が皮膜からなる場合、該皮膜が、金属被覆粒子を被覆した絶縁性微粒子を加熱してなるものであるか、或いは金属被覆粒子を被覆した絶縁性微粒子を有機溶剤で溶解させたものである場合、絶縁層の前駆体となる絶縁性微粒子を密に被覆できるため、絶縁性微粒子の溶融又は溶解によって得られる連続皮膜が緻密に金属被覆粒子表面を被覆し、安定した絶縁性を得ることができる。絶縁層が皮膜である場合、該皮膜は金属被覆粒子の表面全体を被覆するものであってもよく、表面の一部を被覆するものであってもよい。また該皮膜の表面は平坦であってもよく、絶縁性微粒子を溶融又は溶解してなることに由来する凹凸を表面の一部又は全部に有していてもよい。また絶縁層は、皮膜と絶縁性微粒子とが混在した状態であってもよい。
皮膜の厚さとしては、10nm以上であることが、対向電極間と異なる方向における絶
縁性の向上の点から好ましく、3,000nm以下であることが、対向電極間での導通しやすさの点で好ましい。この点から、皮膜の厚さは、10nm以上3,000nm以下であることが好ましく、15nm以上2,000nm以下であることがより好ましい。
<製造方法>
本発明の被覆粒子の製造方法は、金属被覆粒子にプラズマを照射させたプラズマ処理金属被覆粒子を得る工程と、プラズマ処理金属被覆粒子と絶縁性微粒子とを混合して、金属被覆粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させる工程、とを有する。
プラズマ照射は、被処理物をはさむように対向配置された電極間に反応性ガスを導入した状態で直流電圧を加えて放電させ、反応性ガスをプラズマ化し、このプラズマ化したガスを被処理物に照射する。この方式はダイレクト式とも呼ばれる。
プラズマ照射は、大気圧プラズマ処理という、大気圧のままの状態で電極間に電圧を印加してプラズマを発生させる方法と、真空プラズマ処理又は低圧プラズマ処理という、チャンバー内部を真空ポンプで排気し、減圧状態にし、その状態で電極間に電圧を印加して電極間でプラズマが発生させる方法がある。本発明では、真空プラズマ処理又は低圧プラズマ処理を採用することが、イオン密度が低く、金属被覆粒子の表面の酸化を穏やかにして導電性を確保しやすいため好ましい。真空プラズマ処理又は低圧プラズマ処理時における被処理物を収容したチャンバー内の圧力は、10000Pa以下が好ましく、8000Pa以下がより好ましく、6000Pa以下が更に好ましい。チャンバー内の圧力は、処理容易性の点や金属被覆粒子の表面変質のしやすさ等から1×10−5Pa以上が更に好ましい。
反応性ガスとしては、被覆粒子の導電性と絶縁性微粒子との密着性とを両立する点から、アルゴン、窒素、ネオン、クリプトン、キセノン、酸素、空気、ヘリウム又はこれら二種以上の混合物が好ましい。
プラズマ生成法としては、直流放電、低周波放電、高周波放電、マイクロ波放電などが知られているが、高周波放電によるプラズマであることが処理コストや金属皮膜を好適に改質できる点で好ましい。
印加電力は、得られる金属被覆粒子の導電性と絶縁性微粒子との密着性とを両立する点から、10W以上5000W以下であることが好ましく、15W以上3000W以下であることがより好ましい。
プラズマ処理の温度は、金属被覆粒子の収縮、膨張などを抑制するため、5℃以上200℃以下であることが好ましく、10℃以上150℃以下の温度で行うことがより好ましく、15℃以上100℃以下であることが一層好ましい。ここでいうプラズマ処理温度とは、被処理物である金属被覆粒子と接触する際のプラズマ化された反応性ガスの温度を指す。プラズマ処理の温度がこの範囲にあることで、金属被覆粒子の収縮又は膨張による金属の剥離を抑制することができる。
プラズマ照射の時間は、0.1分間以上20分間以下であることが好ましく、0.5分間以上15分間以下であることが好ましい。プラズマ処理の時間がこの範囲にあることで、金属被覆粒子の金属が必要以上に変性することなく、絶縁性微粒子による被覆が首尾よく進行する。
上記プラズマ処理中の反応性ガスの流量は1ml/分以上10000ml/分以下であることが好ましく、10ml/分以上8000ml/分以下であることがより好ましい。ガス流量がこの範囲にあることで、金属被覆粒子の金属が必要以上に変性することなく、
絶縁性微粒子との密着性と金属被覆粒子の導電性との両立が得やすい。
プラズマ処理に供する金属被覆粒子は洗浄及び乾燥したものを用いることが好ましい。例えば、イオン交換水で洗浄した後、エタノール洗浄し、真空乾燥法等で十分乾燥したものを用いることが好ましい。
このように上記条件でプラズマ処理された金属被覆粒子は、金属表面が改質され、絶縁性微粒子が被覆されやすくなる。例えば、金属がニッケルの場合、ここにプラズマ処理を施すことにより、その表面の一部が酸化ニッケル(NiO)の状態となる。さらにプラズマ処理を施すことにより、酸化ニッケルの結合の一部が切れてNiの状態となる。このプラスの電荷を有するニッケル原子に大気中の水分に由来する水酸基が結合し、マイナスの電荷を有する酸素原子には大気中の水分に由来する水素原子が結合して、水酸化ニッケル(Ni(OH))の状態となり、その結果としてニッケル表面の一部が水酸化ニッケルを有する状態に改質される。この水酸化ニッケルに由来する水酸基が、後述する絶縁性微粒子との親和性が高いため、従来よりも金属被覆粒子からの剥落が抑えられるものと本発明の発明者らは考えている。また上記真空プラズマ処理又は低圧プラズマ処理を採用することで、本発明では、金属被覆粒子の表面を酸化しても導電性を高いレベルに維持することができる。
次いで、絶縁性微粒子と金属被覆粒子とを混合して、金属被覆粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させる。絶縁性微粒子と金属被覆粒子との混合は、液媒中で行うことが好ましい。液媒としては、水及び有機溶媒並びにその混合物が挙げられ、水が好ましい。
絶縁性微粒子と金属被覆粒子とを液媒中で混合させる際、これらの粒子と液媒からなる分散液は無機塩、有機塩又は有機酸を含有することが、被覆率が一定以上の被覆粒子を得やすい点から好ましい。無機塩、有機塩又は有機酸としては、陰イオンを解離するものが好適に用いられ、この陰イオンとしては、Cl、F、Br、I、SO 2−、CO 2−、NO 、COO等が好適である。無機塩としては、例えばNaCl、KCl、LiCl、MgCl、BaCl、NaF、KF、LiF、MgF、BaF、NaBr、KBr、LiBr、MgBr、BaBr、NaI、KI、LiI、MgI、BaI、NaSO、KSO、LiSO、MgSO、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、LiCO、LiHCO、MgCO、NaNO、KNO、LiNO、MgNO、BaNO等を用いることができる。また有機塩としては、コハク酸Na、シュウ酸Na、酢酸Na、クエン酸Na、マロン酸Na、酒石酸Na、フマル酸Na、マレイン酸Na等を用いることができる。有機酸としてはグリシン等のアミノ酸や、コハク酸、シュウ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸等を用いることができる。
好ましい無機塩、有機塩及び有機酸の濃度は、金属被覆粒子表面積において絶縁性微粒子が占める被覆面積としてどの程度とするかにより異なるが、金属被覆粒子及び絶縁性微粒子を含む分散液中において、例えば、0.1mmol/L以上100mmol/L以下となる濃度であると、好適な被覆率を有し、また絶縁性微粒子が単層である被覆粒子を得やすいために好ましい。この観点から、当該分散液中の無機塩、有機塩及び有機酸の濃度は0.5mmol/L以上90mmol/L以下であることがより好ましく、1mmol/L以上80mmol/L以下であることが特に好ましい。
絶縁性微粒子及び金属被覆粒子を液媒中で混合させるにあたっては、絶縁性微粒子を含む分散液と金属被覆粒子とを混合してもよく、金属被覆粒子を含む分散液と絶縁性微粒子とを混合してもよく、或いは、液媒に絶縁性微粒子及び金属被覆粒子をそれぞれ投入してもよく、絶縁性微粒子を含む分散媒と金属被覆粒子を含む分散媒とを混合してもよい。金
属被覆粒子と絶縁性微粒子とを含む分散液中に、金属被覆粒子は質量基準で100ppm以上100,000ppm以下含有されていることが好ましく、500ppm以上80,000ppm以下含有されていることがより好ましい。
金属被覆粒子と絶縁性微粒子とを含む分散液中に、絶縁性微粒子は質量基準で10ppm以上50,000ppm以下含有されていることが好ましく、250ppm以上30,000ppm以下含有されていることがより好ましい。
金属被覆粒子と絶縁性微粒子とを含む分散液の温度は、一般に、20℃以上100℃以下とすることが、品質が一定な被覆粒子が得やすい点から好ましく、40℃以上90℃以下であることが特に好ましい。この範囲であると、絶縁性微粒子がその形状を維持しながら金属被覆粒子に密着し、絶縁性微粒子と金属被覆粒子との間に好適な接触面積を得やすい。
プラズマ処理金属被覆粒子混合後の分散液において、絶縁性微粒子のプラズマ処理金属被覆粒子への付着に供する時間は、好ましくは0.1時間以上24時間以下である。この間、分散液を撹拌することが好ましい。次いで、分散液の固形分を必要に応じ、洗浄、乾燥し、絶縁性微粒子が金属被覆粒子表面に付着した被覆粒子が得られる。
また、絶縁性微粒子が金属被覆粒子表面に付着した被覆粒子を加熱することにより、絶縁性微粒子を溶融状態として、金属被覆粒子表面を膜状に被覆することができる。絶縁性微粒子を膜状にすることにより、絶縁性がより強固なものとなる。加熱する方法としては、絶縁性微粒子を金属被覆粒子表面に付着させた後の分散液を加温する方法、被覆粒子を水などの溶媒中で加温する方法、被覆粒子を不活性ガスなどの気相中で加温する方法等が挙げられる。加温温度としては、絶縁性微粒子が脱落することなく均一な膜状を形成しやすい点から、絶縁性微粒子を構成するポリマーのガラス転移温度をTgとしたときにTg+1℃以上Tg+60℃以下が好ましく、Tg+5℃以上Tg+50℃以下がより好ましく、Tg+15℃超であることが最も好ましい。加熱時間としては、均一な膜状を形成しやすい点から、0.1時間以上24時間以下であることが好ましい。また、被覆粒子を気相中で加熱する場合、その圧力条件は大気圧下、減圧下又は加圧下で行うことができる。
また、絶縁性微粒子が金属被覆粒子表面に付着した被覆粒子は、その分散液に有機溶剤を添加することによっても、絶縁性微粒子を流動状態にすることができるため、金属被覆粒子表面を膜状に被覆することができる。絶縁性微粒子を溶解させる場合、この有機溶剤としてはテトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン及びN,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。有機溶剤の添加量としては、絶縁性微粒子が脱落することなく均一な膜状を形成しやすい点から、分散液中の被覆粒子1質量部に対して1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、5質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。添加温度としては、絶縁性微粒子が脱落することなく均一な膜状を形成しやすい点から、10℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上80℃以下がより好ましい。また添加してから膜状にさせる時間としては、均一な膜を形成させる点から、0.1時間以上24時間以下であることが好ましい。
金属被覆粒子表面を膜状に被覆した被覆粒子は、皮膜をより安定化させるために、アニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の方法としては、被覆粒子を不活性ガスなどの気相中で加温する方法等が挙げられる。加熱温度としては、絶縁性微粒子を構成するポリマーのガラス転移温度をTgとしたときにTg+1℃以上Tg+60℃以下が好ましく、Tg+5℃以上Tg+50℃以下がより好ましい。加熱雰囲気としては特に制限されず、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気又は空気等の酸化性雰囲気において、大気圧下、減圧下又は加圧下の何れの条件でも行うこともできる。
以上の製造方法により得られた被覆粒子は、金属被覆粒子の金属層がプラズマ処理されているため、ポリマーからなる絶縁性微粒子との親和性に優れることから、接続信頼性を有するものとなり、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等の導電性材料として好適に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例中の特性は下記の方法により測定した。
(1)平均粒子径
測定対象の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(金属被覆粒子は倍率10,000倍、絶縁性微粒子は倍率100,000倍)から、任意に200個の粒子を抽出して、それらの粒子径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。平均粒子径の定義は上述した通りである。なお走査型電子顕微鏡画像において金属被覆粒子が球状である場合は、SEMを用いて測定する粒子径とは、円形の金属被覆粒子像の径である。金属被覆粒子が球状でない場合、SEMを用いて測定する粒子径は、金属被覆粒子の像を横断する線分のうち最も大きい線分の長さ(最大長さ)をいう。このことは絶縁性微粒子の平均粒子径についても同様である。
(2)C.V.(変動係数)
前記平均粒子径の測定から、下記式により求めた。
C.V.(%)=(標準偏差/平均粒子径)×100
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置(METTLER TOLEDO社製、STAR SYSTEM)にて昇降温速度5℃/min、窒素雰囲気下、測定温度25℃から200℃までの熱量変化を上記の手順で測定した。
(実施例1)
(絶縁性微粒子)
長さ60mmの撹拌羽根を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、純水を100mL投入した。その後、スチレンモノマー(関東化学(株)社製)30mmol及び重合開始剤として2、2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業社製、V−50)0.50mmolを投入した。窒素を15分間通気し、溶存酸素を追い出した後、60℃に昇温し、6時間保持して重合反応を進行させポリスチレン微粒子を含む分散液を得た。この分散液中の凝集物を篩により除去し、遠心分離にて微粒子を沈降させて微粒子を上澄み液と分離後、純水により洗浄してポリスチレンからなる平均粒子径が400nmである絶縁性微粒子(ガラス転移温度:105℃)を得た。
(ニッケルめっき粒子のプラズマ処理)
架橋性のアクリル樹脂からなるガラス転移温度が120℃の球状の樹脂粒子表面が、厚さ125nmのニッケル皮膜でめっきされた平均粒子径が3μmのニッケルめっき粒子(日本化学工業(株)社製)を使用した。このニッケルめっき粒子をプラズマ処理した。ニッケルめっき粒子10gを真空プラズマ処理装置のチャンバー内に入れ、下記の条件で高周波放電によるプラズマ処理を行い、ニッケル皮膜をプラズマ処理したニッケルめっき粒子を得た。
<プラズマ処理の条件>
印加電力:60W
チャンバー内圧力:5.0×10−4Pa
反応性ガス種:酸素
ガス流量:3000ml/分
プラズマ処理の温度:25℃
プラズマ照射時間:3分
(絶縁性微粒子の被覆)
上記で得られたプラズマ処理したニッケルめっき粒子5.0gに純水100mLを投入、撹拌してニッケルめっき粒子の分散液を得た。この分散液に、上記で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子被覆導電性粒子を得た。
(実施例2)
(絶縁性微粒子)
実施例1と同じ反応装置を用いて、スチレンモノマー(関東化学(株)社製)30mmol、n−ブチルアクリレート(関東化学(株)社製)5.3mmol及び重合開始剤として2、2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業社製、V−50)0.50mmolを投入し、実施例1と同じ条件で重合及び後処理を行い、ポリ(スチレン/n−ブチルアクリレート)からなる平均粒子径が400nmである絶縁性微粒子(ガラス転移温度:62℃)を得た。
(ニッケルめっき粒子のプラズマ処理)
実施例1と同じ方法でプラズマ処理したニッケルめっき粒子を得た。
(絶縁性微粒子の被覆)
上記で得られたプラズマ処理したニッケルめっき粒子5.0gに純水100mLを投入、撹拌してニッケルめっき粒子の分散液を得た。この分散液に、上記で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子被覆導電性粒子を得た。
(実施例3)
(絶縁性微粒子)
実施例1と同じ反応装置を用いて、スチレンモノマー(関東化学(株)社製)30mmol、n−ブチルアクリレート(関東化学(株)社製)5.3mmol、4−(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド(日本化学工業(株)社製)0.03mmol及び重合開始剤として2、2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業社製、V−50)0.50mmolを投入し、実施例1と同じ条件で重合及び後処理を行い、ポリ(スチレン/n−ブチルアクリレート/4−(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド)からなる平均粒子径が139nmである絶縁性微粒子(ガラス転移温度:62℃)を得た。
(ニッケルめっき粒子のプラズマ処理)
実施例1と同じ方法でプラズマ処理したニッケルめっき粒子を得た。
(絶縁性微粒子の被覆)
上記で得られたプラズマ処理したニッケルめっき粒子5.0gに純水100mLを投入、撹拌してニッケルめっき粒子の分散液を得た。この分散液に、上記で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗
浄した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子被覆導電性粒子を得た。
(実施例4)
実施例3で得られた被覆粒子1.0gを、純水20mL中に投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離後、乾燥して、ニッケルめっき粒子の表面全体が厚さ125nmの皮膜に被覆された被覆粒子を得た。
(実施例5)
(絶縁性微粒子)
実施例1と同じ方法でポリスチレンからなる絶縁性微粒子を得た。
(金めっき粒子のプラズマ処理)
架橋性のアクリル樹脂からなるガラス転移温度が120℃の球状の樹脂粒子表面が、厚さ125nmの金皮膜でめっきされた平均粒子径が3μmの金めっき粒子(日本化学工業(株)社製)を使用した。この金めっき粒子10gを真空プラズマ処理装置のチャンバー内に入れ、下記の条件で高周波放電によるプラズマ処理を行い、金皮膜をプラズマ処理した金めっき粒子を得た。
<プラズマ処理の条件>
印加電力:60W
チャンバー内圧力:5.0×10−4Pa
反応性ガス種:酸素
ガス流量:3000ml/分
プラズマ処理の温度:25℃
プラズマ照射時間:3分
(絶縁性微粒子の被覆)
上記で得られたプラズマ処理した金めっき粒子5.0gに純水100mLを投入、撹拌して金めっき粒子の分散液を得た。この分散液に、上記で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子被覆導電性粒子を得た。
(実施例6)
(絶縁性微粒子)
実施例2と同じ方法でポリ(スチレン/n−ブチルアクリレート)からなる絶縁性微粒子を得た。
(金めっき粒子のプラズマ処理)
実施例5と同じ方法でプラズマ処理した金めっき粒子を得た。
(絶縁性微粒子の被覆)
上記で得られたプラズマ処理した金めっき粒子5.0gに純水100mLを投入、撹拌して金めっき粒子の分散液を得た。この分散液に、上記で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子被覆導電性粒子を得た。
(実施例7)
(絶縁性微粒子)
実施例3と同じ方法でポリ(スチレン/n−ブチルアクリレート/4−(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド)からなる平均粒子径が139nmである絶縁性
微粒子を得た。
(金めっき粒子のプラズマ処理)
実施例5と同じ方法でプラズマ処理した金めっき粒子を得た。
(絶縁性微粒子の被覆)
上記で得られたプラズマ処理した金めっき粒子5.0gに純水100mLを投入、撹拌して金めっき粒子の分散液を得た。この分散液に、上記で得られた絶縁性微粒子と、NaSOを投入し、40℃で30分間撹拌した。絶縁性微粒子及びNaSOの投入後、分散液中、絶縁性微粒子の固形分濃度は質量基準で10,000ppmであり、NaSOの濃度は5mmol/Lであった。上澄み液を除去後、純水により洗浄した後、50℃で真空乾燥して絶縁性微粒子被覆導電性粒子を得た。
(実施例8)
実施例7で得られた被覆粒子1.0gを、純水20mL中に投入して分散液を得た。この分散液にテトラヒドロフラン10mLを加え、室温で6時間撹拌した。撹拌終了後、目開きが2μmのメンブレンフィルターにより固形物を分離して水洗後、乾燥して、金めっき粒子の表面全体が厚さ100nmの連続皮膜に被覆された被覆粒子を得た。
(比較例1)
ニッケルめっき粒子にプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、絶縁性微粒子によってニッケルめっき粒子の表面が被覆された被覆粒子を得た。
(比較例2)
ニッケルめっき粒子にプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例2と同様にして、絶縁性微粒子によってニッケルめっき粒子の表面が被覆された被覆粒子を得た。
(比較例3)
ニッケルめっき粒子にプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例3と同様にして、絶縁性微粒子によってニッケルめっき粒子の表面が被覆された被覆粒子を得た。
(比較例4)
ニッケルめっき粒子にプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例4と同様にして、ニッケルめっき粒子の表面全体が厚さ125nmの皮膜に被覆された被覆粒子を得た。
(比較例5)
金めっき粒子にプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例5と同様にして、絶縁性微粒子によって金めっき粒子の表面が被覆された被覆粒子を得た。
(比較例6)
金めっき粒子にプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例6と同様にして、絶縁性微粒子によって金めっき粒子の表面が被覆された被覆粒子を得た。
(比較例7)
金めっき粒子にプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例7と同様にして、絶縁性微粒子によって金めっき粒子の表面が被覆された被覆粒子を得た。
(比較例8)
金めっき粒子にプラズマ処理を行わなかった以外は、実施例8と同様にして、金めっき粒子の表面全体が厚さ100nmの連続皮膜に被覆された被覆粒子を得た。
実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた被覆粒子の被覆率及び実施例1〜8及び比較
例1〜8で得られた被覆粒子の導電性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
(被覆率の測定方法)
金属被覆粒子の表面に、絶縁性微粒子が最密充填で配列したときの絶縁性微粒子の個数Nを以下の計算式で算出した。
N=4π(R+r)/2√3r
(R:金属被覆粒子の半径(nm)、r:絶縁性微粒子の半径(nm))
SEMにて金属被覆粒子に付着した絶縁性微粒子の個数nを数え、以下の式から被覆率を算出した。
被覆率(%)=(n/N)×100
評価に用いた被覆率は、金属被覆粒子20個の平均値とした。
Figure 2020084222

Claims (5)

  1. 芯材表面に金属が形成された金属被覆粒子が、ポリマーからなる絶縁性微粒子に被覆された被覆粒子の製造方法であって、
    金属被覆粒子にプラズマを照射させたプラズマ処理金属被覆粒子を得る工程と、
    プラズマ処理金属被覆粒子と絶縁性微粒子とを混合して、金属被覆粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させる工程と、を有する被覆粒子の製造方法。
  2. 金属被覆粒子の金属が、ニッケル、金、ニッケル合金及び金合金から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の被覆粒子の製造方法。
  3. 絶縁性微粒子を構成するポリマーが、スチレン類、エステル類及びニトリル類から選ばれる少なくとも1種の重合体である、請求項1又は2に記載の被覆粒子の製造方法。
  4. 金属被覆粒子にプラズマを照射させる工程を真空下又は10000Pa以下の低圧条件下で行う、請求項1〜3の何れか一項に記載の被覆粒子の製造方法。
  5. 金属被覆粒子表面に絶縁性微粒子を付着させた被覆粒子を、更に加熱又は有機溶剤で溶解して絶縁性微粒子を膜状にする工程を有する請求項1〜4の何れか一項に記載の被覆粒子の製造方法。
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