以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。基板処理装置1は、シリコンウエハなどの基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板処理装置1は、処理液で基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御する制御ユニット3とを含む。搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための図解的な断面図である。処理ユニット2は、一枚の基板Wを水平な姿勢で保持しながら、基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック5と、基板Wを下面(下方側の主面)側から加熱する基板加熱手段としてのヒータユニット6と、ヒータユニット6を基板Wの下方で上下動させる昇降ユニット7と、スピンチャック5を取り囲む筒状のカップ8と、基板Wの下面に処理流体を供給する下面ノズル9と、基板Wの上面(上方側の主面)にリンス液としての脱イオン水(DIW)を供給するDIWノズル10と、基板Wの上方で移動可能な第1移動ノズル11と、基板Wの上方で移動可能な第2移動ノズル12とを含む。処理ユニット2は、さらに、カップ8を収容するチャンバ13(図1参照)を含む。図示は省略するが、チャンバ13には、基板Wを搬入/搬出するための搬入/搬出口が形成されており、この搬入/搬出口を開閉するシャッタユニットが備えられている。
スピンチャック5は、基板Wを保持する基板保持ユニットであり、かつ基板Wを回転させる基板回転ユニットである。具体的には、スピンチャック5は、チャックピン20(チャック部材)と、スピンベース21と、スピンベース21の下面中央に結合された回転軸22と、回転軸22に回転力を与える電動モータ23とを含む。回転軸22は回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びており、この実施形態では中空軸である。回転軸22の上端に、スピンベース21が結合されている。スピンベース21は、水平方向に沿う円盤形状を有している。スピンベース21の上面の周縁部に、複数のチャックピン20が周方向に間隔を空けて配置されている。複数のチャックピン20は、基板Wの周端に接触して基板Wを把持する閉状態と、基板Wの周端から退避した開状態との間で開閉可能である。また、複数のチャックピン20は、開状態において、基板Wの周縁部の下面に接触して、基板Wを下方から支持することができる。
チャックピン20を開閉駆動するために、チャックピン駆動ユニット25が備えられている。チャックピン駆動ユニット25は、たとえば、スピンベース21に内蔵されたリンク機構26と、スピンベース21外に配置された駆動源27とを含む。駆動源27は、たとえば、ボールねじ機構と、それに駆動力を与える電動モータとを含む。チャックピン駆動ユニット25の具体的な構成例は、特開2008−034553号公報などに記載がある。
ヒータユニット6は、スピンベース21の上方に配置されている。ヒータユニット6の下面には、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びる昇降軸30が結合されている。昇降軸30は、スピンベース21の中央部に形成された貫通孔24と、中空の回転軸22とを挿通している。昇降軸30の下端は、回転軸22の下端よりもさらに下方にまで延びている。この昇降軸30の下端に、昇降ユニット7が結合されている。昇降ユニット7を作動させることにより、ヒータユニット6は、スピンベース21の上面に近い下位置から、基板Wの下面を支持してチャックピン20から持ち上げる上位置までの間で上下動する。
昇降ユニット7は、たとえば、ボールねじ機構と、それに駆動力を与える電動モータとを含む。これにより、昇降ユニット7は、下位置および上位置の間の任意の中間位置にヒータユニット6を配置できる。たとえば、ヒータユニット6の上面である加熱面6aを基板Wの下面との間に所定の間隔を開けた離隔位置に配置した状態で、加熱面6aからの輻射熱によって基板Wを加熱することができる。また、ヒータユニット6で基板Wを持ち上げれば、加熱面6aを基板Wの下面に接触させた接触状態で、加熱面6aからの熱伝導により、基板Wをより大きな熱量で加熱することができる。
カップ8は、排気桶17と、多重ガード機構18とを含む。排気桶17は、円筒状に構成されており、その側面には排気ダクト171が結合されている。排気ダクト171は、たとえば、当該基板処理装置1が配置される工場に備えられた排気設備172に接続される。排気桶17の底部には、排液配管173が接続されている。多重ガード機構18は、排気桶17の内方に収容されて、独立して昇降可能な複数(この実施形態では3個)のガード181,182,183を含む。多重ガード機構18は、さらに、複数のガード181,182,183をそれぞれ昇降させるガード昇降ユニット184,185,186を含む。多重ガード機構18は、さらに複数(この実施形態では2個)の環状カップ187,188を含み、これらは排気桶17の内方に収容されている。
ガード181,182,183は、基板Wの回転に伴って基板Wの周囲に飛散する処理液を受け止める。各ガード181は、スピンチャック5を取り囲む円筒部191,192,193と、各円筒部191,192,193の上端からスピンチャック5に接近する内方に向かって斜め上方に延びる液受け部194,195,196とを含む。
環状カップ188は、基板Wの回転半径方向の内側でスピンチャック5を取り囲むように配置されており、さらに環状カップ187は環状カップ188の内方においてスピンチャック5を取り囲むように環状カップ188と同心に配置されている。この実施形態では、環状カップ187,188は、ガード181と一体化されている。具体的には、環状カップ187はガード181の内方に配置されており、環状カップ188はガード182の外方に配置されている。ただし、いずれか一方または両方の環状カップ187,188がガード181から分離されていてもよい。環状カップ187,188の底部には、排液配管189,190が接続されている。ガード181によって受けられた処理液は内側の環状カップ187へと流下し、環状カップ187の底部に結合された排液配管189を通って排出される。ガード182によって受けられた処理液は外側の環状カップ188へと流下し、環状カップ188の底部に結合された排液配管190を通って排出される。ガード182によって受けられた処理液は、排気桶17の底部へと流下し、排液配管173を通って排出される。
ガード昇降ユニット184,185,186を作動させることにより、多重ガード機構18は、少なくとも、次の第1〜第4状態をとることができる。
第1状態:最内方のガード181の液受け部194によって基板Wからの処理液を受ける状態(ポート1:図2A参照)
第2状態:2番目のガード182の液受け部195によって基板Wからの処理液を受ける状態(ポート2:図2B参照)
第3状態:最外方のガード183の液受け部196によって基板Wからの処理液を受ける状態(ポート3:図2C参照)
第4状態:いずれのガードによっても基板Wからの処理液を受けない状態(ポート0:図2D参照)
図2Aに示す第1状態では、ガード181の液受け部194(ポート1)によって処理液が受けられるようにガード181の高さが調整される。そして、ガード181,182が接近させられてそれらの間の空間(ポート2)が閉じられ、かつガード182,183が接近させられてそれらの間の空間(ポート3)が閉じられるように、ガード182,183の高さが調整される。この第1状態では、基板Wの回転によって周囲に飛び散る処理液は、排液経路201に沿って、ガード181(ポート1)によって受け止められ、環状カップ187へと導かれ、排液配管189から排液される。このとき、基板Wの近傍からガード181の内側の空間(ポート1)を通る排気経路301が形成され、この排気経路301を通って基板Wの周辺の雰囲気が排気され、排気桶17を通って、排気ダクト171へと導かれる。
図2Bに示す第2状態では、ガード182の液受け部195によって処理液が受けられるようにガード182の高さが調整される。そして、ガード181,182の間が開かれてそれらの間の空間(ポート2)が開かれ、かつガード182,183が接近させられてそれらの間の空間(ポート3)が閉じられるように、ガード181,183の高さが調整される。この第2状態では、基板Wの回転によって周囲に飛び散る処理液は、排液経路202に沿って、ガード182(ポート2)によって受け止められ、環状カップ188へと導かれ、排液配管190から排液される。このとき、基板Wの近傍からガード182,183の間の空間(ポート2)を通る排気経路302が形成され、この排気経路302を通って基板Wの周辺の雰囲気が排気され、その排気は、排気桶17を通って、排気ダクト171へと導かれる。
図2Cに示す第3状態では、ガード183の液受け部196によって処理液が受けられるようにガード183の高さが調整される。そして、ガード181,182が接近させられてそれらの間の空間(ポート2)が閉じられ、かつガード182,183の間が開かれてそれらの間の空間(ポート3)が開かれるように、ガード181,182の高さが調整される。この第3状態では、基板Wの回転によって周囲に飛び散る処理液は、排液経路203に沿って、ガード181(ポート3)によって受け止められ、排気桶17の底部へと導かれ、排液配管173から排液される。このとき、基板Wの近傍からガード181,182の間の空間(ポート3)を通る排気経路303が形成され、この排気経路303を通って基板Wの周辺の雰囲気が排気され、その排気は、排気桶17を通って、排気ダクト171へと導かれる。
図2Dに示す第4状態では、ガード181,182,183の全ての液受け部194,195,196が基板Wの高さよりも低い位置とされ、基板Wの周端面にいずれのガードも対向しない状態(ポート0)とされる。そして、ガード181,182が接近させられてそれらの間の空間(ポート2)が閉じられ、かつガード182,183が接近させられてそれらの間の空間(ポート3)が閉じられるように、ガード181,182,183の高さが調整される。この第4状態は、基板Wの回転を停止している状態で選択される。この第4状態では、ポート2,3が閉じられているので、基板Wの周辺の雰囲気は、排気経路304に従って、ガード181の内側の空間(ポート1)を通り、排気桶17を通って、排気ダクト171へと導かれる。
図2を参照して、第1移動ノズル11は、第1ノズル移動ユニット15によって、水平方向および鉛直方向に移動される。第1移動ノズル11は、水平方向への移動によって、基板Wの上面の回転中心に対向する処理位置と、基板Wの上面に対向しないホーム位置(退避位置)との間で移動させることができる。基板Wの上面の回転中心とは、基板Wの上面における回転軸線A1との交差位置である。基板Wの上面に対向しないホーム位置とは、平面視において、スピンベース21の外方の位置であり、より具体的には、カップ8の外方の位置であってもよい。第1移動ノズル11は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近させたり、基板Wの上面から上方に退避させたりすることができる。第1ノズル移動ユニット15は、たとえば、鉛直方向に沿う回動軸15aと、回動軸15aに結合されて水平に延びるアーム15bと、アーム15bを駆動するアーム駆動機構15cとを含む。アーム駆動機構15cは、回動軸15aを鉛直な回動軸線まわりに回動させることによってアーム15bを揺動させ、回動軸15aを鉛直方向に沿って昇降することにより、アーム15bを上下動させる。第1移動ノズル11はアーム15bに固定されている。アーム15bの揺動および昇降に応じて、第1移動ノズル11が水平方向および垂直方向に移動する。
このように、第1ノズル移動ユニット15は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に対向するように第1移動ノズル11を保持するノズル保持ユニットとしての機能を有している。さらに、第1ノズル移動ユニット15は、スピンチャック5に保持された基板Wと第1移動ノズル11との間の上下方向の距離を調節する距離調節ユニットとしての機能を有している。
第2移動ノズル12は、第2ノズル移動ユニット16によって、水平方向および垂直方向に移動される。第2移動ノズル12は、水平方向への移動によって、基板Wの上面の回転中心に対向する位置と、基板Wの上面に対向しないホーム位置(退避位置)との間で移動させることができる。ホーム位置は、平面視において、スピンベース21の外方の位置であり、より具体的には、カップ8の外方の位置であってもよい。第2移動ノズル12は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近させたり、基板Wの上面から上方に退避させたりすることができる。第2ノズル移動ユニット16は、たとえば、鉛直方向に沿う回動軸と、回動軸に結合されて水平に延びるアーム(不図示)と、アームを駆動するアーム駆動機構(不図示)とを含む。アーム駆動機構は、回動軸を鉛直な回動軸線まわりに回動させることによってアームを揺動させ、回動軸を鉛直方向に沿って昇降することにより、アームを上下動させる。第2移動ノズル12はアームに固定される。アームの揺動および昇降に応じて、第2移動ノズル12が水平方向および垂直方向に移動する。
第1移動ノズル11は、この実施形態では、有機溶剤を吐出する有機溶剤ノズルとしての機能と、窒素ガス等の不活性ガスを吐出するガスノズルとしての機能とを有している。第1移動ノズル11には、有機溶剤供給管35(処理液供給管)および第1〜第3不活性ガス供給管36A,36B,36Cが結合されている。有機溶剤供給管35には、その流路を開閉する有機溶剤バルブ37(処理液バルブ)が介装されている。不活性ガス供給管36A,36B,36Cには、それぞれの流路を開閉する第1〜第3不活性ガスバルブ38A,38B,38Cがそれぞれ介装されている。また、不活性ガス供給管36Aには、その流路を流れる不活性ガスの流量を正確に調節するためのマスフローコントローラ39A(第1流量調整ユニット)が介装されている。また、不活性ガス供給管36Bには、その流路を流れる不活性ガスの流量を調節するための流量可変バルブ39Bが介装されており、不活性ガス供給管36Cには、その流路を流れる不活性ガスの流量を調節するための流量可変バルブ39C(第2流量調整ユニット)が介装されている。さらに、不活性ガス供給管36A,36B,36Cには、それぞれ、異物を除去するためのフィルタ40A,40B,40Cが介装されている。
有機溶剤供給管35には、有機溶剤供給源から、イソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶剤が供給されている。不活性ガス供給管36A,36B,36Cには、不活性ガス供給源から、窒素ガス(N2)等の不活性ガスがそれぞれ供給されている。
第2移動ノズル12は、この実施形態では、酸、アルカリ等の薬液を供給する薬液ノズルとしての機能を有している。より具体的には、第2移動ノズル12は、液体と気体とを混合して吐出することができる二流体ノズルの形態を有していてもよい。二流体ノズルは、気体の供給を停止して液体を吐出すればストレートノズルとして使用できる。第2移動ノズル12には、薬液供給管41および不活性ガス供給管42が結合されている。薬液供給管41には、その流路を開閉する薬液バルブ43が介装されている。不活性ガス供給管42には、その流路を開閉する不活性ガスバルブ44が介装されている。薬液供給管41には、薬液供給源から、酸、アルカリ等の薬液が供給されている。不活性ガス供給管42には、不活性ガス供給源から、窒素ガス(N2)等の不活性ガスが供給されている。
薬液の具体例は、エッチング液および洗浄液である。さらに具体的には、薬液は、フッ酸、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)、バッファードフッ酸(フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)などであってもよい。
DIWノズル10は、この実施形態では、基板Wの上面の回転中心に向けてDIWを吐出するように配置された固定ノズルである。DIWノズル10には、DIW供給源から、DIW供給管46を介して、DIWが供給される。DIW供給管46には、その流路を開閉するためのDIWバルブ47が介装されている。DIWノズル10は固定ノズルである必要はなく、少なくとも水平方向に移動する移動ノズルであってもよい。
下面ノズル9は、中空の昇降軸30を挿通し、さらに、ヒータユニット6を貫通している。下面ノズル9は、基板Wの下面中央に臨む吐出口9aを上端に有している。下面ノズル9には、流体供給源から流体供給管48を介して処理流体が供給されている。供給される処理流体は、液体であってもよいし、気体であってもよい。流体供給管48には、その流路を開閉するための流体バルブ49が介装されている。
図3は、スピンチャック5およびヒータユニット6の平面図である。スピンチャック5のスピンベース21は、平面視において、回転軸線A1を中心とする円形であり、その直径は基板Wの直径よりも大きい。スピンベース21の周縁部には、間隔を空けて複数個(この実施形態では6個)のチャックピン20が配置されている。
ヒータユニット6は、円板状のホットプレートの形態を有しており、プレート本体60と、支持ピン61と、ヒータ62とを含む。プレート本体60は、平面視において、基板Wの外形とほぼ同形同大で、回転軸線A1を中心とする円形に構成されている。より正確には、プレート本体60は、基板Wの直径よりも僅かに小さい直径の円形の平面形状を有している。たとえば、基板Wの直径が300mmであり、プレート本体60の直径(とくに加熱面6aの直径)がそれよりも6mmだけ小さい294mmであってもよい。この場合、プレート本体60の半径は基板Wの半径よりも3mm小さい。
プレート本体60の上面は、水平面に沿う平面である。プレート本体60の上面に複数の支持ピン61(図2を併せて参照)が突出している。支持ピン61は、たとえば、それぞれ半球状であり、プレート本体60の上面から微小高さ(たとえば0.1mm)だけ突出している。したがって、基板Wが支持ピン61に接触して支持されるとき、基板Wの下面はたとえば0.1mmの微小間隔を開けてプレート本体60の上面に対向する。これにより、基板Wを効率的かつ均一に加熱することができる。
プレート本体60の上面は、支持ピン61を有していなくてもよい。支持ピン61を有していない場合には、基板Wをプレート本体60の上面に接触させることができる。ヒータユニット6の加熱面6aは、支持ピン61を有している場合には、プレート本体60の上面および支持ピン61の表面を含む。また、支持ピン61が備えられていない場合には、プレート本体60の上面が加熱面6aに相当する。以下では、支持ピン61が基板Wの下面に接している状態を、加熱面6aに基板Wの下面が接しているなどという場合がある。
ヒータ62は、プレート本体60に内蔵されている抵抗体であってもよい。図3には、複数の領域に分割されたヒータ62を示している。ヒータ62に通電することによって、加熱面6aが室温(たとえば20〜30℃。たとえば25℃)よりも高温に加熱される。具体的には、ヒータ62への通電によって、第1移動ノズル11から供給される有機溶剤の沸点よりも高温に加熱面62aを加熱することができる。図2に示すように、ヒータ62への給電線63は、昇降軸30内に通されている。そして、給電線63には、ヒータ62に電力を供給するヒータ通電ユニット64が接続されている。ヒータ通電ユニット64は、基板処理装置1の動作中、常時、通電されてもよい。
支持ピン61は、プレート本体60の上面にほぼ均等に配置されている。プレート本体60の外周端よりも外方に、チャックピン20が配置されている。チャックピン20の全体がプレート本体60の外周端よりも外方に配置されている必要はなく、ヒータユニット6の上下動範囲に対向する部分がプレート本体60の外周端よりも外方に位置していればよい。
図4は、チャックピン20の構造例を説明するための斜視図である。また、図5Aおよび図5Bはチャックピン20の平面図であり、図5Aは閉状態を示し、図5Bは開状態を示す。
チャックピン20は、鉛直方向に延びたシャフト部53と、シャフト部53の上端に設けられたベース部50と、シャフト部53の下端に設けられた回動支持部54とを含む。ベース部50は、把持部51と、支持部52とを含む。回動支持部54は、鉛直方向に沿うチャック回動軸線55まわりに回動可能にスピンベース21に結合されている。シャフト部53は、チャック回動軸線55から離れた位置にオフセットされて、回動支持部54に結合されている。より具体的には、シャフト部53はチャック回動軸線55よりも、回転軸線A1から離れた位置に配置されている。したがって、チャックピン20がチャック回動軸線55まわりに回動されると、ベース部50は、その全体が基板Wの周端面に沿って移動しながら、チャック回動軸線55まわりに回動する。回動支持部54は、スピンベース21の内部に設けられたリンク機構26(図2参照)に結合されている。このリンク機構26からの駆動力によって、回動支持部54は、チャック回動軸線55まわりに所定角度範囲で往復回動する。
ベース部50は、平面視において、くさび形に形成されている。ベース部50の上面には、チャックピン20の開状態で基板Wの周縁部下面に当接して基板Wを下方から支持する支持面52aが設けられている。換言すれば、ベース部50は支持面52aを上面とする支持部52を有している。把持部51は、ベース部50の上面において、支持部52とは別の位置で上方に突出している。把持部51は、基板Wの周端面に対向するようにV字状に開いた保持溝51aを有している。
回動支持部54が図5Bに示す開状態からチャック回動軸線55まわりに時計まわり方向に回動されるとき、把持部51は基板Wの周端面に接近し、支持部52は基板Wの回転中心から離反する。また、回動支持部54が図5Aに示す閉状態からチャック回動軸線55まわりに反時計まわり方向に回動されるとき、把持部51は基板Wの周端面から離反し、支持部52は基板Wの回転中心に接近する。
図5Aに示すチャックピン20の閉状態では、保持溝51aに基板Wの周端面が入り込む。このとき、基板Wの下面は、支持面52aから微小距離だけ上方に離間した高さに位置する。図5Bに示すチャックピン20の開状態では、保持溝51aから基板Wの周端面が脱していて、平面視において、把持部51は基板Wの周端面よりも外方に位置する。チャックピン20の開状態および閉状態のいずれにおいても、支持面52aは、少なくとも一部が基板Wの周縁部下面の下方に位置している。
チャックピン20が開状態のとき、基板Wを支持部52で支持できる。その開状態からチャックピン20を閉状態に切り換えると、断面V字状の保持溝51aに案内されてせり上がりながら基板Wの周端面が保持溝51a内へと案内され、保持溝51aの上下の傾斜面によって基板Wが挟持された状態に至る。その状態からチャックピン20を開状態に切り換えると、基板Wの周端面が保持溝51aの下側傾斜面に案内されながら滑り降り、基板Wの周縁部下面が支持面52aに当接する。
図5Aおよび図5Bに示すように、ベース部50は、平面視において、ヒータユニット6のプレート本体60に対向する縁部が、プレート本体60の周縁形状に倣っている。すなわち、支持部52は、平面視において、プレート本体60よりも回転中心に対して外方に位置する側面52bを有している。それにより、基板Wよりも若干小さい円形の加熱面6aを有するプレート本体60は、ヒータユニット6が上下動するときに、チャックピン20と干渉しない。この非干渉位置関係は、チャックピン20が閉状態および開状態のいずれにおいても保たれる。すなわち、チャックピン20が閉状態のときも開状態のときも、支持部52の側面52bは、平面視において、ヒータユニット6の加熱面6aから外方に離隔している。それによって、ヒータユニット6は、チャックピン20が閉状態か開状態かを問わず、加熱面6aを側面52bの内側を通過させながら、昇降することができる。
基板Wの直径は、たとえば300mmであり、プレート本体60の上面の直径はたとえば294mmである。したがって、加熱面6aは、基板Wの下面の中央領域および周縁領域を含むほぼ全域に対向している。チャックピン20の閉状態および開状態のいずれにおいても、加熱面6aの外周縁の外側に所定の微小間隔(たとえば2mm)以上の間隔を確保した状態で、支持部52が配置される。
把持部51は、チャックピン20の閉状態において、その内側縁が、プレート本体60の外周縁の外側に所定の微小間隔(たとえば2mm)以上の間隔を確保した状態で位置するように構成されている。したがって、ヒータユニット6は、チャックピン20の閉状態および開状態のいずれにおいても、加熱面6aを把持部51の内側で上下させて、基板Wの下面に接触するまで上昇させることができる。
チャック回動軸線55は、平面視において、回転軸線A1(図2および図3参照)を中心とし、加熱面6aの半径よりも小さな半径の円周上に位置している。
図6Aは、第1移動ノズル11の構成例を説明するための縦断面図(図6BのVIA-VIA断面図)である。また、図6Bはその平面図であり、図6Cはその側面図であり、図6Dはその底面図である。図6Cには、図6Bの矢印VICの方向に見た構成を一部切り欠いて表してある。
第1移動ノズル11は、複数の吐出口を有する流体ノズルである。第1移動ノズル11は、基板Wの主面に垂直に配置される中心軸線70に沿って、基板Wの主面に垂直な直線状に流体(この実施形態では不活性ガス)を吐出する線状流吐出口81を有している。さらに、第1移動ノズル11は、中心軸線70に垂直な平面に沿って、中心軸線70の周囲に放射状に流体(この実施形態では不活性ガス)を吐出する第1平行流吐出口82を有している。また、第1移動ノズル11は、中心軸線70に垂直な平面に沿って、中心軸線70の周囲に放射状に流体(この実施形態では不活性ガス)を吐出する第2平行流吐出口83を第1平行流吐出口82の下方に有している。線状流吐出口81から吐出された不活性ガスは、基板Wの主面に垂直に入射する線状気流85を形成する。第1平行流吐出口82から吐出された不活性ガスは、基板Wの上面に平行で、かつ基板Wの上面を覆う第1平行気流86を形成する。第2平行流吐出口83から吐出された不活性ガスは、基板Wの上面に平行でかつ基板Wの上面を覆う第2平行気流87を第1平行気流86の下方に形成する。第1および第2平行気流86,87は、合流して、基板Wの上面に沿って流れる層流を形成する。線状流吐出口81から吐出された不活性ガスは、基板Wの上面にぶつかった後、基板Wの上面に沿って放射状に流れる気流を形成する。この気流も、上記の層流の一部を成す。
第1移動ノズル11は、図6Aに最もよく表れているように、内構成部材91と、その外側に配置された中間構成部材92と、その外側に配置された外構成部材93とを含む。
内構成部材91は、ほぼ円柱状に構成されており、下端部に外向きのフランジ部95を有している。フランジ部95は、中心軸線70に垂直な(すなわち基板Wの上面と平行な)上面95aを有している。また、フランジ部95は、中心軸線70と垂直な(すなわち基板Wの上面と平行な)底面95bを有している。フランジ部95の内側において、内構成部材91の下端面には、基板Wの上面から離れる方向に窪んだ凹所96が形成されている。凹所96は、中心軸線70のまわりに回転対称なほぼ円錐台形状に形成されている。
内構成部材91の中央部には、中心軸線70と平行に、3本の管36A,35,73が、上面91aから凹所96まで通されている。具体的には、不活性ガス供給管36Aと、有機溶剤供給管35と、薬液供給管73(図2では図示省略)とが通されている。これらの供給管36A,35,73の下端部は、凹所96内に配置されている。不活性ガス供給管36Aの下端部は、線状流吐出口81を構成している。有機溶剤供給管35の下端部は、中心軸線70の近傍で基板Wの上面に向けて流体(この実施形態では処理液の一種としての有機溶剤)を吐出する中心吐出口71を構成している。薬液供給管73の下端部は、中心軸線70の近傍で基板Wの上面に向けて流体(この実施形態では処理液の一種としての薬液)を吐出する薬液吐出口72を構成している。
不活性ガス供給管36Aは、内構成部材91の上端付近を流体入口(第1流体入口)とし、その流体入口と線状流吐出口81との間を連通させる流体路(第1流体路)を提供している。同様に、有機溶剤供給管35は、内構成部材91の上端付近を流体入口(第5流体入口)とし、その流体入口と中心吐出口71との間を連通させる流体路(第5流体路)を提供している。そして、薬液供給管73は、内構成部材91の上端付近を流体入口とし、その流体入口と薬液吐出口72との間を連通させる流体路を提供している。
内構成部材91の外周面には、ショルダ部91bが中心軸線70まわりに回転対称な環状に形成されている。このショルダ部91bに、中間構成部材92が係合している。より具体的には、中間構成部材92は、円筒状に形成されており、その上端に内向きのフランジ部98が形成されている。このフランジ部98がショルダ部91bに係合している。また、中間構成部材92の下端部には、外向きのフランジ部99が形成されている。フランジ部99は、中心軸線70に垂直な(すなわち基板Wの上面に平行な)上面99aを有している。また、フランジ部99は、中心軸線70に垂直な(すなわち基板Wの上面に平行な)底面99bを有している。この底面99bは、内構成部材91の下端部に形成されたフランジ部95の上面95aに対向している。それにより、それらの底面99bおよび上面95aの間に、中心軸線70に垂直な第2平行流吐出口83が区画されている。
内構成部材91の外周面と、中間構成部材92の内周面との間には、流体路100(第3流体路)が筒状に区画されている。流体路100は、不活性ガス供給管36Cに結合された流体入口101(第3流体入口。図6Bおよび図6C参照)および第2平行流吐出口83に連通し、それによって、それらの間を連通させている。内構成部材91の外周面および中間構成部材92の内周面には凹凸が形成されており、それによって、流体路100には、第1バッファ部102、第1狭窄路103、第2バッファ部104および第2狭窄路105が形成されている。流体入口101からの不活性ガスは第1バッファ部102に導入されて滞留することにより周方向に拡散し、さらに第1狭窄路103を通って第2バッファ部104に導入されて滞留することにより、再度、周方向に拡散される。そして、第2バッファ部104内の不活性ガスは、第2狭窄路105を通って第2平行流吐出口83に至る。第1および第2バッファ部102,104で不活性ガスが均圧化されることにより、第2平行流吐出口83は、全周にわたって均等な流量および流速で不活性ガスを放射状に吹き出すことができる。
中間構成部材92の上面側から、外構成部材93が被せられている。外構成部材93は、中心軸線70に直交する天面部108を有している。この天面部108の下面が中間構成部材92の上端面に支持されている。天面部108には、内構成部材91を上方に貫通させる貫通孔109が形成されている。外構成部材93は、天面部108の上方から、当該天面部108に形成された挿通孔110および中間構成部材92のフランジ部98に形成された挿通孔111を挿通し、内構成部材91に螺合するボルト112によって、内構成部材91に結合されている。これにより、同時に、中間構成部材92が内構成部材91と外構成部材93とに挟持され、それによって、内構成部材91、中間構成部材92および外構成部材93が一体的に結合されている。
外構成部材93には、中心軸線70に対して回転対称なほぼ円筒状の空間が内方に形成されている。この空間内に、中間構成部材92が収容されている。外構成部材93の底面93aは、中心軸線70に垂直な(すなわち基板Wの上面に平行な)平面に沿っており、中間構成部材92のフランジ部99の上面99aに対向している。これにより、それらの底面93bおよび上面99aの間に、中心軸線70に対して垂直な(すなわち基板Wの上面に平行な)第1平行流吐出口82が区画されている。
中間構成部材92の外周面と、外構成部材93の内周面との間には、流体路120(第2流体路)が筒状に区画されている。流体路120は、不活性ガス供給管36Bに結合された流体入口121(第2流体入口。図6Bおよび図6D参照)および第1平行流吐出口82に連通し、それによって、それらの間を連通させている。中間構成部材92の外周面および外構成部材93の内周面(この実施形態では主として外構成部材93の内周面)には凹凸が形成されており、それによって、流体路120には、第1バッファ部122、第1狭窄路123、第2バッファ部124および第2狭窄路125が形成されている。流体入口121からの不活性ガスは第1バッファ部122に導入されて滞留することにより周方向に拡散し、さらに第1狭窄路123を通って第2バッファ部124に導入されて滞留することにより、再度、周方向に拡散される。そして、第2バッファ部124内の不活性ガスは、第2狭窄路125を通って第1平行流吐出口82に至る。第1および第2バッファ部122,124で不活性ガスが均圧化されることにより、第1平行流吐出口82は、全周にわたって均等な流量および流速で不活性ガスを放射状に吹き出すことができる。
外構成部材93は、ブラケット127を介して第1ノズル移動ユニット15のアーム15bに結合されている。
外構成部材93の天面部108には、一対の流体入口101が配置されている。一対の流体入口101は、平面視において、中心軸線70を挟んで対向する位置に配置されている。一対の流体入口101には、一対の不活性ガス供給管36Cが、管継手106を介して結合されている。これにより、筒状の流体路100には、中心軸線70を中心として180度の角度間隔を空けた2箇所から不活性ガスが導入される。
内構成部材91の上部は外構成部材93の上方に突出しており、その上面91aから、不活性ガス供給管36A、有機溶剤供給管35および薬液供給管73が中心軸線70に沿って挿入されている。内構成部材91の上面には、供給管36A,35,40を保持する管保持部材107が配置されている。
外構成部材93の側面には、流体入口121が配置されている。流体入口121には、管継手115を介して、不活性ガス供給管36Bが結合されている。これにより、不活性ガス供給管36Bからの不活性ガスを、流体入口121を介して、流体路120に導入できる。
図7は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。制御ユニット3は、マイクロコンピュータを備えており、所定の制御プログラムに従って、基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。とくに、制御ユニット3は、搬送ロボットIR,CR、スピンチャック5を回転駆動する電動モータ23、第1ノズル移動ユニット15、第2ノズル移動ユニット16、ヒータ通電ユニット64、ヒータユニット6を昇降する昇降ユニット7、チャックピン駆動ユニット25、バルブ類37,43,44,47,49などの動作を制御する。また、制御ユニット3は、ガード181,182,183を昇降するガード昇降ユニット184,185,186の動作を制御する。さらに、制御ユニット3は、第1〜第3不活性ガスバルブ38A,38B,38Cを開閉制御する。さらに、制御ユニット3は、マスフローコントローラ39Aの開度を制御して不活性ガス供給管36Aを通る不活性ガスの流量を制御する。また、制御ユニット3は、流量可変バルブ39B,39Cの開度を制御して、不活性ガス供給管36B,36Cを通る不活性ガスの流量を制御する。
図8は、基板処理装置1による基板処理の一例を説明するための流れ図であり、主として、制御ユニット3が動作プログラムを実行することによって実現される処理が示されている。未処理の基板Wは、搬送ロボットIR,CRによってキャリヤCから処理ユニット2に搬入され、スピンチャック5に渡される(S1)。このとき、制御ユニット3は、ガード181,182,183がスピンチャック5の基板保持高さよりも低くなる前記第4状態(ポート0。図2D参照)となるように、ガード昇降ユニット184,185,186を制御する。さらに、制御ユニット3は、ヒータユニット6を下位置に配置するように昇降ユニット7を制御する。また、制御ユニット3は、チャックピン20が開状態になるようにチャックピン駆動ユニット25を制御する。その状態で、搬送ロボットCRは、基板Wをスピンチャック5に渡す。この後、基板Wは、搬送ロボットCRによって搬出されるまで、スピンチャック5に保持される(基板保持工程)。基板Wは、開状態のチャックピン20の支持部52(支持面52a)に載置される。その後、制御ユニット3は、チャックピン駆動ユニット25を制御して、チャックピン20を閉状態とする。それにより、複数のチャックピン20の把持部51によって基板Wが把持される。
搬送ロボットCRが処理ユニット2外に退避した後、薬液処理(S2)が開始される。薬液処理を開始する前に、制御ユニット3は、たとえば、ガード181,182間の空間(ポート2)が基板Wの周端面に対向し、このポート2で基板Wから遠心力によって飛び出す薬液を受ける状態(前記第2状態。図2B参照)となるように、ガード昇降ユニット184,185,186を制御する。その状態で、制御ユニット3は、電動モータ23を駆動してスピンベース21を所定の薬液回転速度で回転させる。その一方で、制御ユニット3は、第2ノズル移動ユニット16を制御して、第2移動ノズル12を基板Wの上方の薬液処理位置に配置する。薬液処理位置は、第2移動ノズル12から吐出される薬液が基板Wの上面の回転中心に着液する位置であってもよい。そして、制御ユニット3は、薬液バルブ43を開く。それにより、回転状態の基板Wの上面に向けて、第2移動ノズル12から薬液が供給される。供給された薬液は遠心力によって基板Wの全面に行き渡る。遠心力によって基板Wの外方へと排除されていく薬液は、ガード182によって受け止められ、環状カップ188から排液配管190へと導かれる。
一定時間の薬液処理の後、基板W上の薬液をDIWに置換することにより、基板W上から薬液を排除するためのDIWリンス処理(S3)が実行される。具体的には、制御ユニット3は、薬液バルブ43を閉じて薬液処理を終了した後、たとえば、ガード181の内面(ポート1)が基板Wの周端面に対向し、このポート1で基板Wから遠心力によって飛び出す薬液を受ける状態(前記第1状態。図2A参照)となるように、ガード昇降ユニット184,185,186を制御する。そして、制御ユニット3は、DIWバルブ47を開く。それにより、回転状態の基板Wの上面に向けてDIWノズル10からDIWが供給される。供給されたDIWは遠心力によって基板Wの全面に行き渡る。このDIWによって基板W上の薬液が洗い流される。この間に、制御ユニット3は、第2ノズル移動ユニット16を制御して、第2移動ノズル12を基板Wの上方からカップ8の側方へと退避させる。
一定時間のDIWリンス処理の後、基板W上のDIWを、より表面張力の低い処理液(低表面張力液)である有機溶剤に置換する有機溶剤処理(S4)が実行される。遠心力によって基板Wの外方へと排除されていくDIWは、ガード181によって受け止められ、環状カップ187から排液配管189へと導かれる。
制御ユニット3は、第1ノズル移動ユニット15を制御して、第1移動ノズル11を基板Wの上方の有機溶剤リンス位置に移動させる。有機溶剤リンス位置は、第1移動ノズル11に備えられた中心吐出口71(有機溶剤ノズル:図6C参照)から吐出される有機溶剤(たとえばIPA)が基板Wの上面の回転中心に着液する位置であってもよい。
そして、制御ユニット3は、不活性ガスバルブ38B,38Cを開く。それにより、第1移動ノズル11の第1平行流吐出口82および第2平行流吐出口83から、基板Wの中心から周縁に向かって、基板Wの上面と平行にかつ放射状に不活性ガスが吐出される。それにより、基板Wの上面と平行に流れる不活性ガス流である平行気流86,87が形成され、その平行気流86,87によって基板Wの上面の全域(正確には平面視で第1移動ノズル11の外側領域)が覆われる(上面被覆工程)。
その状態で、制御ユニット3は、DIWバルブ47を閉じてDIWリンス処理を終了し、さらに、たとえば、ガード182,183間の空間(ポート3)が基板Wの周端面に対向し、このポート3で基板Wから遠心力によって飛び出す薬液を受ける状態(前記第3状態。図2C参照)となるように、ガード昇降ユニット184,185,186を制御する。その状態で、制御ユニット3は、有機溶剤バルブ37を開く。それにより、回転状態の基板Wの上面に向けて、第1移動ノズル11(中心吐出口71)から有機溶剤(液体)が供給される。供給された有機溶剤は遠心力によって基板Wの全面に行き渡り、基板W上のDIWを置換する。それによって、基板Wの上面に有機溶剤の液膜が形成される(液膜形成工程)。遠心力によって基板Wの外方へと排除される有機溶剤は、ガード183によって受け止められ、排気桶17の底部に結合された排液配管173へと導かれる。
有機溶剤処理において、制御ユニット3は、昇降ユニット7を制御して、ヒータユニット6を基板Wに向けて上昇させ、それによって、基板Wを加熱する。また、制御ユニット3は、スピンチャック5の回転を減速して基板Wの回転を停止し、かつ有機溶剤バルブ37を閉じて有機溶剤の供給を停止する。それにより、静止状態の基板W上に有機溶剤液膜が支持されたパドル状態とされる。基板Wの加熱によって、基板Wの上面に接している有機溶剤の一部が蒸発し、それによって、有機溶剤液膜と基板Wの上面との間に気相層が形成される。その気相層に支持された状態の有機溶剤液膜が排除される。
有機溶剤液膜の排除に際して、制御ユニット3は、第1ノズル移動ユニット15を制御して、線状流吐出口81が基板Wの回転軸線A1上に位置するように、第1移動ノズル11を移動させる。そして、制御ユニット3は、不活性ガスバルブ38Aを開いて、基板W上の有機溶剤液膜に向けて不活性ガスを線状流吐出口81から直線状に吐出させる(垂直ガス吐出工程)。これにより、不活性ガスの吐出を受ける位置、すなわち、基板Wの中央において、有機溶剤液膜が不活性ガスによって排除され、有機溶剤液膜の中央に、基板Wの表面を露出させる穴が空けられる(液膜開口工程)。この穴を広げることによって、基板W上の有機溶剤が基板W外へと排出される(液膜排除工程)。この液膜排除工程の末期において、制御ユニット3は、ガード昇降ユニット184,185,186を制御して、最上方のガード183が基板Wの高さよりも低い位置となる状態(前記第4状態。図2D参照)とする。これにより、基板Wの周囲の気流の方向が変化し、基板Wの周囲では、最も内側のガード181(ポート1)に向かう下降気流が生じる。この下降気流によって基板W上面外周部の有機溶剤液膜が引きずられ、基板W外へと排除される。
こうして、有機溶剤処理を終えた後、制御ユニット3は、ガード183を上昇させることによってガード182,183の間の空間(ポート3)を開き、この空間がスピンベース21の上面に対向するようにガード昇降ユニット184,185,186を制御する(図10F参照)。この状態で、制御ユニット3は、電動モータ23を制御して、基板Wを乾燥回転速度で高速回転させる。それにより、スピンベース21上に落下した有機溶剤を遠心力によって振り切るためのスピンベース乾燥処理(S5:スピンドライ)が行われる。振り切られた有機溶剤は、ガード183によって受け止められ、排液配管173から排液される。
その後、制御ユニット3は、第1ノズル移動ユニット15を制御して第1移動ノズル11を退避させ、さらに、電動モータ23を制御してスピンチャック5の回転を停止させる。また、制御ユニット3は、昇降ユニット7を制御して、ヒータユニット6を下位置に制御する。また、制御ユニット3は、ガード181,182,183がスピンチャック5の基板保持高さよりも低くなる前記第4状態(ポート0。図2D参照)となるように、ガード昇降ユニット184,185,186を制御する。さらに、制御ユニット3は、チャックピン駆動ユニット25を制御して、チャックピン20を開位置に制御する。これにより、基板Wは、チャックピン20の把持部51に把持された状態から、支持部52に載置された状態となる。その後、搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、スピンチャック5から処理済みの基板Wをすくい取って、処理ユニット2外へと搬出する(S6)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリヤCに収納される。
図9は、有機溶剤処理(図8のS4)の詳細を説明するためのタイムチャートである。また、図10A〜図10Eは、有機溶剤処理の各ステップの様子を説明するための図解的な断面図であり、図10Fはスピンベース乾燥処理(図8のS5)の様子を説明するための図解的な断面図である。
有機溶剤処理は、有機溶剤リンスステップT1と、有機溶剤パドルステップT2と、持ち上げ加熱ステップT3と、穴開けステップT4と、穴広げステップT5と、外周液落としステップT6とを含み、これらが順に実行される。
有機溶剤リンスステップT1は、基板Wを回転しながら(基板回転工程)、基板Wの上面に有機溶剤を供給するステップ(処理液供給工程、有機溶剤供給工程、液膜形成工程)である。図10Aに示すように、基板Wの上面に第1移動ノズル11の中心吐出口71から有機溶剤(たとえばIPA)が供給される。このとき、制御ユニット3は、ガード181,182,183を前記第3状態として、ガード182,183の間の空間(ポート3)を基板Wの周端面に対向させる(ガード側方配置工程)。また、制御ユニット3は、不活性ガスバルブ38B,38Cを開く。それにより、第1移動ノズル11の第1および第2平行流吐出口82,83から不活性ガスが放射状に吐出され、基板Wの上面が平行気流86,87で覆われる(上面被覆工程)。第1および第2平行流吐出口82,83からの不活性ガスの吐出は、中心吐出口71からの有機溶剤吐出よりも先に開始されることが好ましい。第1および第2平行流吐出口82,83からの不活性ガスの吐出流量は、たとえば合計で100リットル/分程度とされてもよい。
中心吐出口71から供給された有機溶剤は、遠心力を受けて基板Wの上面の中心から外方へと向かい、基板Wの上面を覆う液膜150を形成する。液膜150が基板Wの上面全域を覆うことにより、DIWリンス処理(図8のS3)で基板Wの上面に供給されたDIW(別の処理液)が全て有機溶剤に置換される。基板Wの上面が不活性ガスの平行気流86,87で覆われているので、処理室内壁から跳ね返った液滴や雰囲気中のミスト等が基板Wの上面に付着することを抑制または防止できる。遠心力によって基板W外へと排除されていく有機溶剤は、ガード183によって受けられて、排出されていく。
有機溶剤リンスステップT1の期間中、基板Wは、スピンチャック5によって、有機溶剤リンス処理速度(液供給速度。たとえば300rpm程度)で回転させられる(液供給速度回転工程)。第1移動ノズル11は、基板Wの回転中心の上方に配置される。有機溶剤バルブ37は開状態とされ、したがって、中心吐出口71から吐出される有機溶剤(たとえばIPA)が基板Wの上面の回転中心に向けて上方から供給される。チャックピン20は閉状態とされ、基板Wは把持部51によって把持され、スピンチャック5とともに回転する。ヒータユニット6は、下位置よりも上方に位置制御され、基板Wの下面から所定の微少距離(たとえば2mm)だけ下方に離隔した近接位置にその加熱面6aが配置される。これにより、基板Wは、加熱面6aからの輻射熱によって予熱される(基板予熱工程)。ヒータユニット6の加熱面6aの温度は、たとえば150℃程度であり、面内で均一である。第2移動ノズル12は、カップ8の側方のホーム位置に退避している。薬液バルブ43および不活性ガスバルブ38A,38C,44は閉状態に制御される。
有機溶剤パドルステップT2は、図10Bに示すように、基板Wの回転を減速して停止させ、基板Wの表面に有機溶剤の厚い液膜150を形成して保持するステップである。
基板Wの回転は、この例では、有機溶剤リンス処理速度から段階的に減速される(減速工程、漸次減速工程、段階的減速工程)。より具体的には、基板Wの回転速度は、300rpmから、50rpmに減速されて所定時間(たとえば10秒)維持され、その後、10rpmに減速されて所定時間(たとえば10秒)維持され、その後、0rpm(停止)に減速されて所定時間(たとえば10秒)維持される。一方、第1移動ノズル11は、回転軸線A1上に保持され、引き続き、基板Wの上面の回転中心に向けて中心吐出口71から有機溶剤を吐出し、かつ第1および第2平行流吐出口82,83から不活性ガスを吐出して平行気流86,87を形成する。中心吐出口71からの有機溶剤の吐出は、有機溶剤パドルステップT2の全期間において継続される。すなわち、基板Wが停止しても、有機溶剤の吐出が継続される。このように、基板Wの回転の減速から停止に至る全期間において有機溶剤の供給が継続されることにより、基板Wの上面の至るところで処理液が失われることがない。また、基板Wの回転が停止した後も有機溶剤の供給が継続されることにより、基板Wの上面に厚い液膜150を形成できる。
ヒータユニット6の位置は、有機溶剤リンスステップのときと同じ位置であり、加熱面6aが基板Wの下面から所定の微少距離(たとえば2mm)だけ下方に離隔した近接位置である。これにより、基板Wは、加熱面6aからの輻射熱によって予熱される(基板予熱工程)。チャックピン20は、基板Wの回転が停止した後、その停止状態が保持されている間に、閉状態から開状態へと切り換わる。それにより、基板Wの周縁部下面がチャックピン20の支持部52によって下方から支持された状態となり、把持部51が基板Wの上面周縁部から離れるので、基板Wの上面全域が開放される。第2移動ノズル12は、ホーム位置のままである。
有機溶剤パドルステップT2におけるガード181,182,183の位置は、有機溶剤リンスステップT1の場合と同様である。
持ち上げ加熱ステップT3は、図10Cに示すように、ヒータユニット6で基板Wを持ち上げた状態で、すなわち、加熱面6aを基板Wの下面に接触させた状態で、基板Wを加熱しながら、基板Wの上面に有機溶剤液膜150を保持するステップ(加熱面接触工程)である。
ヒータユニット6が近接位置から上位置まで上昇させられて、所定時間(たとえば10秒間)保持される。ヒータユニット6が上位置まで上昇させられる過程で、チャックピン20の支持部52から加熱面6aに基板Wが渡され、加熱面6a(より具体的には支持ピン61。図2参照)によって基板Wが支持される(ヒータユニット接近工程、ヒータユニット接触工程)。第1移動ノズル11(中心吐出口71)からの有機溶剤の吐出は、ヒータユニット6によって基板Wが持ち上げられ、ヒータユニット6が上位置に達するまで継続される。したがって、ヒータユニット6の加熱面6aが基板Wの下面に接触し、加熱面6aからの熱伝導による基板Wの急加熱が開始され、基板Wに与えられる熱量が増加(熱量増加工程)するときには、有機溶剤の供給は継続している。それにより、基板Wの急激な昇温に伴う有機溶剤の蒸発によって有機溶剤の液膜150に不特定の位置で穴があくことを回避している。有機溶剤の供給は、ヒータユニット6の加熱面6aが基板Wの下面に接触した後(熱量増加工程の後)に、停止される(供給停止工程)。すなわち、制御ユニット3は、有機溶剤バルブ37を閉じて、中心吐出口71からの有機溶剤の吐出を停止させる。
スピンチャック5の回転は停止状態であり、第2移動ノズル12はホーム位置にあり、不活性ガスバルブ44は閉状態である。第1移動ノズル11(中心吐出口71)は基板Wの回転中心の上方に位置している。
有機溶剤の供給が停止された後、ヒータユニット6は上位置に保持される。基板Wに供給された有機溶剤は、中心に供給される新たな有機溶剤によって外周側へと押しやられ、その過程で、ヒータユニット6によって加熱された基板Wの上面からの熱で加熱されて昇温していく。有機溶剤の供給を継続している期間には、基板Wの中央領域の有機溶剤の温度は比較的低い。そこで、有機溶剤の供給を停止し、ヒータユニット6の接触状態を保持することによって、基板Wの中央領域における有機溶剤を昇温できる。それにより、基板Wの上面に支持された有機溶剤の液膜150の温度を均一化できる。
基板Wの上面からの熱を受けた有機溶剤液膜150では、基板Wの上面との界面において蒸発が生じる。それによって、基板Wの上面と有機溶剤液膜150との間に、有機溶剤の気体からなる気相層が生じる。したがって、有機溶剤液膜150は、基板Wの上面の全域において、気相層上に支持された状態となる(気相層形成工程)。
穴開けステップT4は、図10Dに示すように、第1移動ノズル11の線状流吐出口81から基板Wの中心に向けて垂直に小流量(第1流量。たとえば3リットル/分)で不活性ガス(たとえば窒素ガス)の線状気流85を吹き付け、有機溶剤液膜150の中央部に小さな穴151を開けて基板Wの上面の中央部を露出させるステップである(垂直ガス吐出工程、穴開け工程)。この穴開けステップT4は、持ち上げ加熱ステップT3と並行して実行される。線状気流85は小流量であるため、有機溶剤液膜150に小さな穴151を開ける際に有機溶剤液膜150での液跳ねが防止または抑制することができる。基板Wの回転は停止状態のままであり、したがって、静止状態の基板W上の液膜150に対して穴開けステップが行われる。有機溶剤液膜150の中央部に穴開けした状態の平面図を図11Aに示す。明瞭化のために、図11Aにおいて、有機溶剤液膜150は斜線を付して示す。
より具体的には、制御ユニット3は、第1および第2平行流吐出口82,83からの不活性ガスの吐出を継続しながら、第1ノズル移動ユニット15を制御して、第1移動ノズル11を中心下位置(接近位置)まで下降させ、第1移動ノズル11を基板Wに近づける。それにより、第1および第2平行流吐出口82,83から吐出される不活性ガスが形成する平行気流86,87が基板Wの上面に近づく。また、制御ユニット3は、不活性ガスバルブ38Aを開き、かつマスフローコントローラ39Aを制御することによって、線状流吐出口81から小流量で不活性ガスを吐出させる。このとき、ヒータユニット6の加熱面6aは基板Wの下面に接触しており、基板Wはヒータユニット6によって持ち上げられたままであり、ヒータユニット6による接触加熱は継続している。
一方、不活性ガスによる穴開けによって液膜150の外方への移動が始まると、液膜150は基板Wの外方へと移動していく。
より具体的には、穴開けされて液膜150がなくなった中央領域では、液膜150が存在しているその周囲の領域に比較して、基板Wの温度が速やかに上昇する。それによって、穴151の周縁において基板W内に大きな温度勾配が生じる。すなわち、穴151の周縁の内側が高温で、その外側が低温になる。この温度勾配によって、気相層上に支持されている有機溶剤液膜150が低温側、すなわち、外方に向かって移動を始め、それによって、有機溶剤液膜150の中央の穴151が拡大していく。
こうして、基板Wの加熱により生じる温度勾配を利用して、基板W上の有機溶剤液膜150を基板W外へと排除できる(液膜排除工程、加熱排除工程、液膜移動工程)。より具体的には、基板Wの上面において、パターンが形成された領域内の液膜150は、温度勾配による有機溶剤の移動によって排除できる。
不活性ガスの吹き付けによって基板Wの回転中心に穴151を形成する前から継続して基板Wが加熱されているので、穴151が形成されると、穴151は止まることなく拡大し始める。
穴広げステップT5は、図10Eに示すように、第1移動ノズル11を中心上位置まで上昇させるとともに、線状流吐出口81から吐出される不活性ガスの流量を増量し、大流量(第2流量。たとえば30リットル/分)の不活性ガスを基板Wの中心に吹き付けて、有機溶剤液膜150の中央の穴151を不活性ガスによってさらに広げるステップである(液膜排除工程、気体流量増加工程、気体排除工程、液膜移動工程)。穴広げステップT5は、持ち上げ加熱ステップT3と並行して実行される。
制御ユニット3は、マスフローコントローラ39Aを制御して、第2移動ノズル12に供給される不活性ガスの流量を増加させる。流量の増加に応じて、流速も増加する。不活性ガス流量の増加により、基板Wの上面の外周領域まで移動した液膜150がさらに基板W外へと押しやられる。基板Wの回転は停止状態に保持される。また、制御ユニット3は、第1ノズル移動ユニット15を制御して、第1移動ノズル11を中心上位置まで上昇させる。
具体的には、温度勾配によって穴151が広がっていく過程で、さらに不活性ガスの流量を増加させることで、液膜150の移動が停止することを回避して、液膜150の基板W外方に向かう移動を継続させることができる。温度勾配を利用する有機溶剤液膜150の移動だけでは、基板Wの上面の周縁領域で液膜150の移動が止まってしまうおそれがある。そこで、不活性ガスの流量を増加させることで、液膜150の移動をアシストできる。
しかし、それでもなお、図11Bに示すように、基板Wの上面の外周部で液膜150の移動が止まるおそれがある。そこで、この実施形態では、外周液落としステップT6(気流方向変更工程)が実行される。外周液落としステップT6は、持ち上げ加熱ステップT3と並行して実行される。
持ち上げ加熱ステップT3において、外周液落としステップT6よりも前の期間には、ガード181,182,183の位置は、有機溶剤リンスステップT1および有機溶剤パドルステップT2の場合と同様である。すなわち、ガード181,182,183は前記第3状態であり、ガード182,183の間の空間(ポート3)が基板Wの周端面に対向している。このとき、ガード183の上端は、基板Wよりも上方に位置している。
外周液落としステップT6では、図10Eに示すように、不活性ガスの流量を増加(たとえば80リットル/分まで漸増)させる一方で、ガード183が下位置に下降させられる(ガード相対位置変更工程)。下位置とは、ガード183の上端が基板Wと同じかまたはそれよりも低くなる位置である。すなわち、制御ユニット3は、ガード昇降ユニット184,185,186を制御することにより、ガード181,182,183を前記第4状態(ポート0)に制御する。これにより、基板Wの外周部における気流の方向が変化する。
具体的には、ガード181,182,183が第3状態(図2C、図10D参照)のときには、ガード183の液受け部196の中央部が基板Wの周端面に対向しており、ガード183の上端は基板Wよりも上に位置している。このときには、図2Cに示す排気経路303に沿ってガード183の内方(基板W側)の空間が排気されるので(排気工程)、基板Wの周端面付近では、基板Wの近傍の雰囲気は、ガード183内へと吸引されている。ガード183の上端が基板Wよりも上に位置しているため、基板Wの外周部付近における気流の主要な流れ方向(平均流れ方向)は、基板Wに平行な方向(水平方向)であるか、あるいは上方に向かう成分を有する方向である第1方向D1(図10D参照)である。
ガード183が下降されて下位置となり(ガード下降工程)、ガード181,182,183が前記第4状態(図2D、図10E参照)となると、ガード183の上端が基板Wの周端面よりも下に位置している。このときには、図2Dに示す排気経路304に沿ってガード183の内方(基板W側)の空間が排気されるので(排気工程)、ガード181の開口(ポート1)によって、基板Wの周囲の雰囲気が吸引される。そのため、基板Wの周端面近傍の気流は、基板Wの周端面を巻き込むように下方に向かう気流が形成される。このとき、基板Wの外周部付近における気流の主要な流れ方向(平均流れ方向)は、下向きの成分を含む第2方向D2(図10E参照)である。基板W上面の外周部の液膜150は、下向きの成分を含む第2方向D2の気流に引きずられて移動し、基板Wの外方へと引きずり落とされる。それにより、基板Wの外周部で液膜150の移動が停滞することを抑制または防止しながら、基板Wの上面の全域から有機溶剤液膜150を排除できる。
この状態が、有機溶剤液膜150が全て排除を排除するのに十分な所定時間だけ保持される。その後、制御ユニット3は、ガード昇降ユニット184,185,186を制御して、ガード181,182,183を前記第3状態(図2C、図10F参照)とする。より正確には、図10Fの状態は前記第3状態とは異なっており、ガード182,183の間の空間(ポート3)が、スピンベース21の上面に対応する高さとなるように、ガード181,182,183の高さが制御される。さらに正確には、図10Fでは、ガード182,183の間の空間(ポート3)は、基板Wの周端面およびスピンベース21の上面に側方から対向している。一方、ヒータユニット6が下降させられて、加熱面6aからチャックピン20の支持部52に基板Wが渡される。その後、チャックピン20が閉状態とされ、その把持部51によって基板Wが把持される。このときまでに、線状流吐出口81からの不活性ガスの供給が停止される。
制御ユニット3は、外周液落としステップT6の間も、不活性ガスバルブ38B,38Cを開状態に保持しており、したがって、基板Wの上面は、第1および第2平行流吐出口82,83から吐出される不活性ガスが形成する平行気流86,87で覆われている。したがって、基板Wの上面に液滴やミスト等の異物が付着することを抑制または防止しながら、基板W上の液膜150を排除できる。
スピンチャック5によって基板Wが保持された後、図10Fに示すように、スピンドライステップT7(スピンベース乾燥処理。図8のS5)が実行される。第1平行流吐出口82および第2平行流吐出口83からの不活性ガスの吐出は継続される。これにより、基板Wの上面は、基板Wの上面に平行な2層の不活性ガス気流で覆われる。その状態で、制御ユニット3は、スピンチャック5の回転を高速な乾燥回転速度(たとえば800rpm)まで加速される。これにより、それ以前の工程においてスピンベース21の上面に落下した有機溶剤を、遠心力によって、振り切ることができる。基板Wの上面は不活性ガス気流によって覆われているので、周囲に飛び散って跳ね返った液滴や周囲のミストが基板Wの上面に付着することを回避できる。スピンベース21から外方に飛び出す液滴は、ガード183の液受け部196によって受けられ、排液配管173へと導かれて排出される。
スピンドライステップT7の後は、スピンチャック5の回転が停止される。また、不活性ガスバルブ38B,38Cが閉じられて、第1平行流吐出口82および第2平行流吐出口83からの不活性ガスの吐出が停止される。そして、第1移動ノズル11は、ホーム位置に移動される。その後は、制御ユニット3は、ガード181,182,183を前記第4状態(図2D参照)に制御するとともに、チャックピン20を開状態とし、搬送ロボットCRによって、処理済みの基板Wを処理ユニット2から搬出させる。
図12Aおよび図12Bは、基板Wの表面における気相層の形成を説明するための図解的な断面図である。基板Wの表面には、微細なパターン161が形成されている。パターン161は、基板Wの表面に形成された微細な凸状の構造体162を含む。構造体162は、絶縁体膜を含んでいてもよいし、導体膜を含んでいてもよい。また、構造体162は、複数の膜を積層した積層膜であってもよい。ライン状の構造体162が隣接する場合には、それらの間に溝(溝)が形成される。この場合、構造体162の幅W1は10nm〜45nm程度、構造体162同士の間隔W2は10nm〜数μm程度であってもよい。構造体162の高さTは、たとえば50nm〜5μm程度であってもよい。構造体162が筒状である場合には、その内方に孔が形成されることになる。
有機溶剤パドルステップT2では、図12Aに示すように、基板Wの表面に形成された有機溶剤液膜150は、パターン161の内部(隣接する構造体162の間の空間または筒状の構造体162の内部空間)を満たしている。
持ち上げ加熱ステップT3では、ヒータユニット6の加熱面6aが基板Wに接触することによって基板Wが効率的に加熱され、有機溶剤の沸点(IPAの場合は82.4℃)よりも所定温度(たとえば、10〜50℃)だけ高い温度となる。それにより、基板Wの表面に接している有機溶剤が蒸発し、有機溶剤の気体が発生して、図12Bに示すように、気相層152が形成される。気相層152は、パターン161の内部を満たし、さらに、パターン161の外側に至り、構造体162の上面162Aよりも上方に有機溶剤液膜150との界面155(気液界面)を形成している。この界面155上に有機溶剤液膜150が支持されている。この状態では、有機溶剤の液面がパターン161に接していないので、有機溶剤液膜150の表面張力に起因するパターン倒壊が起こらない。
基板Wの加熱によって有機溶剤が蒸発するとき、液相の有機溶剤はパターン161内から瞬時に排出される。そして、形成された気相層152上に液相の有機溶剤が支持され、パターン161から離隔させられる。こうして、有機溶剤の気相層152は、パターン161の上面(構造体162の上面162A)と有機溶剤液膜150との間に介在して、有機溶剤液膜150を支持する。
図12Cに示すように、基板Wの上面から浮上している有機溶剤液膜150に亀裂153が生じると、乾燥後にウォータマーク等の欠陥の原因となるうえ、液膜150の挙動が不安定となってパターン倒壊を招くおそれがある。そこで、この実施形態では、基板Wの回転を停止した後に有機溶剤の供給を停止して、基板W上に厚い有機溶剤液膜150を形成して、亀裂の発生を回避している。ヒータユニット6を基板Wに接触させるときには、基板Wの回転が停止しているので、液膜150が遠心力によって***することがなく、したがって、液膜150に亀裂が生じることを回避できる。さらに、ヒータユニット6の出力を調節して、有機溶剤の蒸気が液膜150を突き破って吹き出さないようにし、それによって、亀裂の発生を回避している。
気相層152上に有機溶剤液膜150が支持されている状態では、有機溶剤液膜150に働く摩擦抵抗は、零とみなせるほど小さい。そのため、基板Wの上面に平行な方向の力が有機溶剤液膜150に加わると、有機溶剤液膜150は簡単に移動する。この実施形態では、有機溶剤液膜150の中央に穴開けし、それによって、穴151の縁部での温度差によって有機溶剤の流れを生じさせ、かつ線状流吐出口81から吹き出される不活性ガスによって内方から液膜150を押し出すことで、気相層152上に支持された有機溶剤液膜150を移動させている。さらに、穴151を広げる過程で、ガード183が下降させられ、それによって、基板Wの周端面近傍の気流の方向が下向き(第2方向D2、図10E参照)に変化する。この下向きの気流によって、液膜150を引きずり下ろす力が生じる。それにより、基板Wの外周での液膜150の停滞を抑制または防止でき、液膜150の移動が途中で停止することを抑制または防止しながら、全液膜150を塊の状態のままで基板W外に排除できる。
以上のように、この実施形態によれば、DIWリンス処理の後に、基板Wの表面のDIWを有機溶剤で置換して、基板Wの上面全域を覆う有機溶剤液膜150が形成される。この有機溶剤液膜150が基板Wの上面全域を覆う状態を維持しながら、基板Wの回転が減速させられて停止される。そして、基板Wの回転が停止し、さらに、ヒータユニット6が基板Wの下面に接触するまで、有機溶剤の供給が継続され、その後に有機溶剤の供給が停止される。それによって、基板Wの上面に有機溶剤の厚い液膜150が形成され、かつヒータユニット6の接触による基板Wの急激な昇温に際しても、その液膜150に亀裂が生じることがない。こうして、有機溶剤液膜150が基板Wの上面を覆っている状態を終始維持しながら、ヒータユニット6による基板Wの加熱によって、基板Wの上面と液膜150との間に有機溶剤の気相層152が基板Wの上面全域にわたって形成される。気相層152は、基板Wの表面のパターンの内部を満たし、かつパターンの上面よりも上に液膜150との界面を有する。したがって、パターン内に有機溶剤の液面が存在しないので、パターンは表面張力を受けない。よって、気相層152に支持された状態で液膜150を基板W外に排除することによって、パターンの倒壊を抑制または防止できる。
この実施形態では、液膜150の排除に際して、その中央に向けて基板Wの上面に垂直な方向に不活性ガスの線状気流85が吐出され、それによって、一つの穴151が形成される。この一つの穴151が、温度勾配および大流量不活性ガス供給による液膜150の移動によって外方へと押し広げられる。このとき、基板Wの回転は停止しているので、液膜150は大きな厚さを保持したまま、***することなく、気相層152上を基板Wの外方へと移動して、基板W外に排除されていく。温度勾配に加えて大流量不活性ガス供給によって液膜150の移動を補助しているので、液膜150の移動が途中で止まることがなく、有機溶剤が基板Wの内方に戻ってパターン内にその液面を形成することがない。これにより、有機溶剤液膜150を排除する過程におけるパターン倒壊を回避できる。
さらに、外周領域まで押しやられた液膜150は、ガード183の下降によって方向が変化した気流によって基板W外へと引きずられることにより、停滞を抑制または防止しながら基板W外へと排除される。それによって、基板Wの表面から液膜150が完全に排除される。この間、ヒータユニット6の加熱面6aは基板Wの裏面に接したままであるので、気相層152を確実に保ったままで液膜150の全部を基板W外へと排除できる。しかも、基板Wの回転は停止しているので、液膜150と雰囲気との熱交換によって液膜150および基板Wの温度の低下を抑制できる。それによっても、気相層152が確実に保たれる。さらに、基板Wの上面に吹き付ける不活性ガスの流量を、液膜150または基板Wの温度低下が懸念されるほど多くする必要がない。これによっても、液膜150および基板Wの温度低下を抑制して、気相層152を確実に保つことができる。
また、ヒータユニット6の加熱面6aを基板Wに接触させて加熱するので、基板Wの温度を速やかに上昇させることができ、それに応じて、気相層152を基板W上に速やかに形成できる。これにより、有機溶剤の気液界面が基板W上の微細パターンに接している時間を短くできるので、微細パターンの倒壊を一層抑制できる。そのうえ、加熱時間を短縮できるので、生産性を向上できる。
有機溶剤液膜150は、気相層152の形成まで基板Wの上面全域を覆った状態を保ち、その後、基板W上からの排除が始まると、***することも、停止することもなく、基板Wの外方へと導かれる。これにより、基板W上のパターンの倒壊を効果的に抑制または防止しながら、基板W上の液成分を排除することができる。
また、第1および第2平行流吐出口82,83からは、有機溶剤の吐出開始前から不活性ガスが吐出され、それによって、基板Wの上面を覆う平行気流86,87が形成される。これにより、跳ね返った液や雰囲気中のミストが基板Wの表面に付着することを回避しながら、有機溶剤の液膜150の形成およびその排除を行うことができる。これにより、高品質な基板処理を実現できる。
また、この実施形態では、有機溶剤を受けるためのガード183の位置を変更することによって、基板Wの外周部付近の気流の方向を変更できる。したがって、気流の方向を変更するための専用の部品を設ける必要がない。しかも、回転する基板Wから排除される処理液を受けるためのガード183は、基板Wの周端面の全体に対向しているので、ガード183を上下動させることにより、基板Wの周囲の全周に渡って気流の方向を同様に変更できる。それにより、基板Wの外周部での有機溶剤の停滞をより一層確実に回避できる。
また、この実施形態では、有機溶剤を基板W外に排除するときに、ガード183の上端高さが基板Wの高さ以下の高さまで下げられる。これにより、基板Wの周端面から下方へと向かう気流を形成できるので、有機溶剤液膜150を基板Wの上面から引きずり下ろすことができる。それにより、気流および重力を利用して、基板Wの外周部に液膜150が停滞することを一層効果的に回避できる。
また、この実施形態では、ガード183を下降させることによる気流方向の変更は、不活性ガスの流量増加と並行して実行される。これにより、基板W上の液膜150の移動停止を一層確実に抑制できる。
また、この実施形態では、ガード183を下降させることによる気流方向の変更は、不活性ガス流量の増加開始よりも後に開始される。これにより、有機溶剤が概ね排除されて基板Wの外周部にまで穴151が広げられた状態で、気流の方向が変更し、基板W上面の外周部に残る液膜150に対して、方向が変えられた気流が効果的に作用する。それにより、有機溶剤液膜150の移動停止をより確実に抑制できる。
また、この実施形態では、ガード183を下降させることによる気流方向の変更が、有機溶剤の液膜150に穴151を開けた後に実行される。これにより、気流が液膜150に作用する力によって液膜150が***することを回避でき、気流によって穴151を拡大しながら液膜150を排除できる。こうして、液膜150の***を回避しながら、液膜150の移動停止を確実に抑制できる。
また、この実施形態では、第1移動ノズル11を基板Wの上面に接近させた中心下位置(接近位置)に配置して当該第1移動ノズル11から不活性ガスを吐出することにより液膜150に穴151が開けられる。そして、その穴151を広げるときには、第1移動ノズル11は、中心上位置(気体排除位置)まで上昇させられ、その中心上位置から不活性ガスを吐出する。これにより、基板Wに接近した位置で不活性ガスを吐出することにより、小流量の不活性ガスで液膜150に穴151を開けることができる。これにより、穴開けステップT4において気相層152が失われることを回避できる。その一方で、穴151を広げるときには、基板Wから離れた中心上位置(気体排除位置)から不活性ガスが吐出される。それにより、不活性ガスの流量を多くしても気相層152が失われることを抑制できるので、気相層152上での液膜150の移動を不活性ガスによって補助できる。
図13Aおよび図13Bは、この発明の他の実施形態に係る処理ユニットの構成を説明するための図解的な断面図であり、気流方向変更工程の他の例を示す。この構成例では、2つのガード221,222が設けられている。ガード221の内方の空間は排気ダクト223を介して排気され、ガード222の内方の空間は排気ダクト224を介して排気される。排気ダクト223,224は、排気切換ユニット225を介して主排気ダクト226に結合されている。主排気ダクト226は、工場の排気設備(図示せず)に接続される。
排気切換ユニット225は、排気ダクト223,224を択一的に主排気ダクト226に接続する。それにより、基板Wの雰囲気の排気経路は、ガード221,222の間を通る排気経路231と、ガード221の内側を通る排気経路232との間で切り替わる。
図13Aには、ガード221,222の間の空間を基板Wの周端面に対向させ、かつ排気ダクト224を主排気ダクト226に連通させた状態を示す。このとき、基板Wの外周部の近傍における気流の主たる流れ方向(平均流れ方向)は、基板Wの周端面からガード221の液受け面222aに向かう第1方向D11であり、たとえばほぼ水平である。
一方、図13Bには、ガード221,222の配置を図13Aの場合と同様にする一方で、排気ダクト223を主排気ダクト226に連通させた状態を示す。このとき、基板Wの外周部の近傍における気流の主たる流れ方向(平均流れ方向)は、基板Wの周端面から下方に向かう第2方向D12である。この第2方向D12に流れる気流によって、基板Wの外周部の液膜150が基板Wの外方へと引きずられて流下させられる。
このように、この実施形態では、ガード221,222の位置を変更するのではなく、排気経路の切換えによって、基板Wの外周部付近の気流の流れ方向を変更している。この実施形態では、排気経路を切り換えた後にも、ガード222が基板Wの周端面を側方から覆うように配置されているので、基板Wの近傍を保護した状態で処理を行える利点がある。
以上、この発明の実施形態について説明してきたが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、持ち上げ加熱ステップT3の末期において基板W外周付近の気流の方向を変更して外周液落としステップT6を実行している。しかし、基板Wの回転が停止した後は基板W上の液膜150に対して遠心力が働かないから、ガード183で液を受ける必要がないので、ガード183を下げてもよい。したがって、たとえば、基板Wの回転が停止する時点(図9の例では有機溶剤パドルステップT2の途中)から液膜150の穴151が基板Wの外周部まで広がる時点までの任意のタイミングで、ガード183を下げて、基板W外周部付近の気流の方向を変更してもよい。
また、前述の第1の実施形態では、ガード183の上端が基板Wよりも低くなるようにガード183を下げて外周液落としステップT6を実行している。しかし、下位置におけるガード183の上端は基板Wと同じ高さかそれよりも上であってもよい。ガード183を或る位置から下げることによって、基板Wの外周部付近における気流の方向が、ガード183の下降前の方向よりも下向きになる。このような気流方向の変更によって、基板W外周部の液膜150に作用する力が大きくなるので、液膜150を基板Wの外方に向かって移動させることができる。方向を変更した後の気流の方向は、必ずしも水平面に対して下方側に向かう方向である必要はなく、水平方向であってもよく、水平方向よりも上方側に向かう方向であってもよい。ただし、方向変更後の気流の方向が水平面に対して下方側に向かう方向である方が、気流によって液膜150を引きずり落とす力が強くなる。
また、前述の実施形態では気流方向の変更による外周液落としステップT6ではヒータユニット6の加熱面6aが基板Wに接触している。しかし、ヒータユニット6を基板Wに対して非接触状態として外周液落としステップT6を実行してもよい。この場合には、基板Wをスピンチャック5で保持し、液膜150が周囲に飛び散らない程度の低速で基板Wを回転してもよい。
また、前述の第1の実施形態では、基板Wに対してガード183を下げることによって気流方向を変更しているが、たとえば、ガード183の高さを変えずに、ヒータ6を上昇させて基板Wの高さを変更してもよい。たとえば、基板Wをガード183の上端よりも高い位置まで上昇させることにより、基板Wの外周部における気流の方向を下向きにすることができる。
また、不活性ガスとしては、窒素ガスのほかにも、清浄空気その他の不活性ガスを採用できる。さらに、処理対象の基板は、円形である必要はなく、矩形の基板であってもよい。また、使用可能な有機溶剤は、IPAのほかにも、メタノール、エタノール、アセトン、HEF(ハイドルフルオロエーテル)を例示できる。これらは、いずれも水(DIW)よりも表面張力が小さい有機溶剤である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。