JP2020070913A - スイングユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】変速比の制御を車両の走行シーンに合わせて変更し、大型化を抑制するスイングユニット。【解決手段】スイングユニット6のエンジン20は、車体フレーム7に揺動可能に支持されて、クランク軸21を含む。車体フレーム7に揺動可能に支持されたドライブ軸60は、後輪部3に動力を伝達する。ベルト式無段変速機30は、プライマリシーブ44、45およびセカンダリシーブ54、55に巻回されたベルト32により、プライマリ軸部41からセカンダリ軸部51に動力を伝達する。減速機70は、セカンダリ軸部51からドライブ軸60に動力を伝達する。副変速機80は、減速機70の一部に換えて、ドライブ軸60の回転速度に対するセカンダリ軸部51の回転速度の比が減速機70と異なるようにして、動力を伝達する。切り換え機構90は、減速機70と副変速機80を切り換える。切り換え動作は、車両1の停止中に可能に、走行中に不能にする。【選択図】図1

Description

本発明は、エンジン、ベルト式無段変速機および後輪部を含むスイングユニットに関する。
従来、エンジン、ベルト式無段変速機および後輪部を含むスイングユニットを備える車両がある。例えば特許文献1に記載のスイングユニットは、スクータに備えられる。スイングユニットは、一端部にエンジンを備え、他端部に後輪部を備える。そして、スイングユニットは、エンジンが水平軸回りに揺動可能に車体フレームに取り付けられる共に、後輪部がサスペンションを介して車体フレームに対して相対的に車両上下方向に揺動可能に車体フレームに支持される。また、スイングユイットを構成するエンジン、ベルト式無段変速機および後輪部の相対位置は固定されている。したがって、スイングユニットを構成するこれらは、一体となって揺動する。
特開2013−170608号公報
ここで、スイングユニットはコンパクトであることが望まれる。具体的には、車両に備えられるスイングユニットは、エンジンよりも車両後方向に後輪が配置され、車両左右方向においてエンジンと後輪部の左または右に隣接してベルト式無段変速機が配置されて構成される。このような配置によって、スイングユニットはコンパクトに構成されて、大型化が抑制されている。ここで、特許文献1に記載のスイングユニットは、スクータの走行シーンに合わせて、変速比の制御を変更している。ここでいう変速比は、スイングユニット全体の変速比であり、ドライブ軸の回転速度に対するクランク軸の回転速度の比である。詳細には、特許文献1に記載のスイングユニットでは、遠心錘(ウェイト)により、変速機の入力軸に設けられたプライマリシーブのシーブの位置が移動する。プライマリシーブに移動制限機構を設けて、ベルト式無段変速機の変速比の制御を変更することにより、スイングユニット全体の変速比の制御を変更する。この移動制限機構は、プライマリシーブの位置を制御する。特許文献1に記載のスイングユニットでは、移動制限機構およびウェイトを併用することにより、スイングユニットの大型化を抑制している。
本願発明者らは、特許文献1に記載のスイングユニットの移動制限機構およびウェイトと組み合わせが可能でありつつ、特許文献1に記載の移動制限機構とは異なる方法で車両の走行シーンに合わせた変速比の制御を変更できると共に、大型化を抑制することができるスイングユニットを提供することを目的とする。
(1)本発明のスイングユニットは、動力を伝達する動力伝達経路の上流端に配置されるクランク軸を含み、車両の車体フレームに揺動可能に支持されるエンジンと、
前記動力伝達経路の下流端に配置されるドライブ軸、および、前記ドライブ軸から動力が伝達される少なくとも1つの後輪を有し、前記車体フレームに揺動可能に支持される後輪部と、
プライマリ軸部に設けられたプライマリシーブ、セカンダリ軸部に設けられたセカンダリシーブ、および、前記プライマリシーブおよび前記セカンダリシーブに巻回されたベルトを有し、前記セカンダリシーブの回転速度に対する前記プライマリシーブの回転速度の比を変更可能であって、前記クランク軸から前記プライマリ軸部に伝達された動力を前記セカンダリ軸部に伝達し、前記動力伝達経路の一部を構成するベルト式無段変速機と、
前記ドライブ軸の回転速度が前記セカンダリ軸部の回転速度よりも小さくなるように、前記セカンダリ軸部から伝達された動力を前記ドライブ軸に伝達し、前記動力伝達経路の一部を構成可能な減速機と、
を有するスイングユニットであって、
前記減速機の少なくとも一部に換えて前記動力伝達経路の一部を構成可能な副変速機であって、前記副変速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比が、前記副変速機が動力を伝達せずに前記減速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比と異なるように構成された前記副変速機と、
前記車両の停止中に、前記動力伝達経路の前記一部を、前記減速機の少なくとも一部および前記副変速機のいずれかに切り換える切り換え動作が可能であって、且つ、前記車両の走行中に、前記切り換え動作が不能に構成される切り換え機構と、
を更に有することを特徴とする。
この構成によると、本発明のスイングユニットは、エンジン、後輪部、ベルト式無段変速機、および、減速機を有する。エンジンは、車体フレームに揺動可能に支持される。また、エンジンは、クランク軸を含む。後輪部は、車体フレームに揺動可能に支持されたドライブ軸を含む。ドライブ軸は、クランク軸から動力が伝達される。ドライブ軸とクランク軸との間には、動力伝達経路が構成される。後輪部は、ドライブ軸から動力が伝達される少なくとも1つの後輪を有する。ベルト式無段変速機は、プライマリシーブ、セカンダリシーブ、および、ベルトを有する。ベルト式無段変速機は、セカンダリシーブの回転速度に対するプライマリシーブの回転速度の比を変更可能である。プライマリシーブは、プライマリ軸部に設けられる。セカンダリシーブは、セカンダリ軸部に設けられる。ベルトは、プライマリシーブおよびセカンダリシーブに巻回される。ベルト式無段変速機は、クランク軸からプライマリ軸部に伝達された動力を、セカンダリ軸部に伝達し、動力伝達経路の一部を構成する。減速機は、ドライブ軸の回転速度がセカンダリ軸部の回転速度よりも小さくなるように、セカンダリ軸部から伝達された動力をドライブ軸に伝達可能にし、動力伝達経路の一部を構成可能である。
本発明のスイングユニットは、さらに、副変速機、および、切り換え機構を有する。副変速機は、減速機の少なくとも一部に換えて動力伝達経路の一部を構成可能である。副変速機は、副変速機が動力を伝達するときのドライブ軸の回転速度に対するセカンダリ軸部の回転速度の比が、副変速機が動力を伝達せずに減速機が動力を伝達するときのドライブ軸の回転速度に対するセカンダリ軸部の回転速度の比と異なるように構成される。切り換え機構は、車両の停止中に、動力伝達経路の一部を、減速機の少なくとも一部および副変速機のいずれかに切り換える切り換え動作が可能に構成される。つまり、ライダーは、車両の走行シーンに合わせて、切り換え機構で減速機の少なくとも一部と副変速機とを切り換えて、セカンダリ軸部とドライブ軸部の間の変速比の制御を変更している。そして、スイングユニット全体の変速比の制御を変更できる。なお、ここでいうスイングユニット全体の変速比とは、ドライブ軸の回転速度に対するクランク軸の回転速度の比のことを意味する。
ここで、本願発明者らは、スイングユニットが備えられるスクータ等の車両は、走行範囲が小さいので走行シーンが大幅に変わることは少ないことに気付いた。この気付きから、本願発明者らは、スイングユニットが備えられる車両は、走行シーンが変わる頻度が少ないため、走行シーンに応じた変速比の制御を頻繁に切り換える必要がないことに気付いた。そこで、本願発明者らは、切り換え機構を、車両の走行中に切り換え動作が不能となるように構成した。そのため、車両の走行中でも減速機の少なくとも一部と副変速機とを切り換え可能とするために必要な摩擦クラッチが不要である。ここで、摩擦クラッチは、サイズが大きい。従って、切り換え機構をコンパクトに構成することができる。これにより、スイングユニットの大型化を抑制することができる。なお、車両の走行中とは、エンジンが駆動している場合であって、後輪が回転して、車両が移動している場合である。また、車両の停止中とは、車両が移動していない場合であって、エンジンが駆動しているか否か、また、後輪が回転しているか否かは問わない。
また、走行シーンに合わせて、切り換え機構で減速機の少なくとも一部と副変速機とを切り換えることにより、ドライブ軸の回転速度に対するセカンダリ軸部の回転速度の比を変えることができる。つまり、本発明のスイングユニットは、副変速機および切り換え機構により、走行シーンに合わせて、変速比の制御を変更している。一方、特許文献1のスイングユニットでは、プライマリシーブに設けられた移動制限機構により変速比の制御を変更している。したがって、本発明のスイングユニットは、特許文献1に記載のスイングユニットとは異なる方法で走行シーンに合わせた変速比の制御を変更できる。また、本発明のスイングユニットは、プライマリシーブに移動制限機構とウェイトとを設けてもよい。つまり、本発明のスイングユニットは、特許文献1に記載のスイングユニットの移動制限機構およびウェイトと併用して、プライマリシーブの位置を調整してもよい。したがって、本発明のスイングユニットは、特許文献1に記載のスイングユニットの移動制限機構とウェイトと組み合わせが可能である。
さらに、副変速機が動力伝達経路の一部を構成する場合、動力伝達経路において副変速機はベルト式無段変速機よりも下流に配置される。動力伝達経路においてベルト式無段変速機よりも上流にはエンジンが配置される。動力伝達経路においてベルト式無段変速機よりも下流には後輪部が配置される。ここで、動力伝達経路において、ベルト式無段変速機よりも下流にあるベルト式無段変速機と後輪部の間の空きスペースは、動力伝達経路においてベルト式無段変速機よりも上流にあるエンジンとベルト式無段変速機の間の空きスペースよりも比較的大きい。副変速機および切り換え機構は、ベルト式無段変速機と後輪部の間の比較的大きい空きスペースに配置される。従って、副変速機および切り換え機構をスイングユニットにコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニットの大型化を抑制することができる。
(2)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(1)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記減速機および前記副変速機は、前記セカンダリ軸部から動力が伝達され、且つ、前記ドライブ軸に動力を伝達するメイン軸を共有し、
前記減速機および前記副変速機は、前記副変速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記メイン軸の回転速度の比が、前記副変速機が動力を伝達せずに前記減速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記メイン軸の回転速度の比と異なるように構成される。
この構成によると、減速機および副変速機は、メイン軸を共有する。メイン軸は、セカンダリ軸部から動力が伝達され、且つ、ドライブ軸に動力を伝達する。減速機および副変速機は、副変速機が動力を伝達するときのドライブ軸の回転速度に対するメイン軸の回転速度の比が、副変速機が動力を伝達せずに減速機が動力を伝達するときのドライブ軸の回転速度に対するメイン軸の回転速度の比と異なるように構成される。つまり、減速機および副変速機は、ドライブ軸の回転速度に対するメイン軸の回転速度の比が互いに異なるように構成される。ここで、メイン軸は、動力伝達経路においてベルト式無段変速機よりも下流に配置される。動力伝達経路においてベルト式無段変速機と後輪部の間は、比較的大きい空きスペースがある。ベルト式無段変速機と後輪部の間の比較的大きい空きスペースに、副変速機および切り換え機構を配置することができる。従って、副変速機および切り換え機構をスイングユニットにコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニットの大型化を抑制することができる。
(3)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(2)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記セカンダリ軸部は、前記メイン軸と一体に形成される。
この構成によると、セカンダリ軸部は、メイン軸と一体に形成される。つまり、セカンダリ軸部とメイン軸とを動力伝達可能に接続する動力伝達機構が不要になる。従って、スイングユニットの大型化を抑制できる。
(4)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(2)または(3)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記減速機は、メインギアおよび前記メインギアに噛み合わされるドライブギアを含み、
前記副変速機は、副メインギアおよび前記副メインギアに噛み合わされる副ドライブギアを含み、
前記メインギアおよび前記副メインギアは、前記メイン軸に設けられ、
前記ドライブギアおよび前記副ドライブギアは、前記ドライブ軸に設けられる。
この構成によると、減速機は、メイン軸に設けられるメインギアとドライブ軸に設けられるドライブギアを含む。ドライブギアは、メインギアに噛み合わされる。メイン軸からメインギアとドライブギアを介してドライブ軸に動力が伝達される。また、副変速機は、メイン軸に設けられる副メインギアとドライブ軸に設けられる副ドライブギアを含む。副ドライブギアは、副メインギアに噛み合わされる。メイン軸から副メインギアと副ドライブギアを介してドライブ軸に動力が伝達される。メインギアの歯数に対するドライブギアの歯数の比と、副メインギアの歯数に対する副ドライブギアの歯数の比とを異なる値にできる。これにより、減速機および副変速機は、副変速機が動力を伝達するときのドライブ軸の回転速度に対するメイン軸の回転速度の比が、副変速機が動力を伝達せずに減速機が動力を伝達するときのドライブ軸の回転速度に対するメイン軸の回転速度の比と異なるように構成される。そして、ベルト式無段変速機と後輪部の間の比較的大きい空きスペースに、減速機の2つのギアと併せて副変速機の2つのギアを配置することができる。従って、副変速機および切り換え機構をスイングユニットにコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニットの大型化を抑制することができる。
(5)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(1)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記減速機および前記副変速機は、前記セカンダリ軸部から動力が伝達され、且つ、前記ドライブ軸に動力を伝達するメイン軸を共有し、
前記減速機および前記副変速機は、前記副変速機が動力を伝達するときの前記メイン軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比が、前記副変速機が動力を伝達せずに前記減速機が動力を伝達するときの前記メイン軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比と異なるように構成される。
この構成によると、減速機および副変速機は、メイン軸を共有する。メイン軸は、セカンダリ軸部から動力が伝達され、且つ、ドライブ軸に動力を伝達する。減速機および副変速機は、副変速機が動力を伝達するときのメイン軸の回転速度に対するセカンダリ軸部の回転速度の比が、副変速機が動力を伝達せずに減速機が動力を伝達するときのメイン軸の回転速度に対するセカンダリ軸部の回転速度の比と異なるように構成される。つまり、減速機および副変速機は、メイン軸の回転速度に対するセカンダリ軸部の回転速度の比が互いに異なるように構成される。ここで、メイン軸は、動力伝達経路においてベルト式無段変速機よりも下流に配置される。動力伝達経路においてベルト式無段変速機と後輪部の間は、比較的大きい空きスペースがある。ベルト式無段変速機と後輪部の間の比較的大きい空きスペースに、副変速機および切り換え機構を配置することができる。従って、副変速機および切り換え機構をスイングユニットにコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニットの大型化を抑制することができる。
(6)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(5)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記減速機は、セカンダリギアおよび前記セカンダリギアに噛み合わされるメインギアを含み、
前記副変速機は、副セカンダリギアおよび前記副セカンダリギアに噛み合わされるメインギアを含み、
前記セカンダリギアおよび前記副セカンダリギアは、前記セカンダリ軸部に設けられ、
前記メインギアおよび前記副メインギアは、前記メイン軸に設けられる。
この構成によると、減速機は、セカンダリ軸部に設けられるセカンダリギアとメイン軸に設けられるメインギアを含む。メインギアは、セカンダリギアに噛み合わされる。セカンダリ軸部からセカンダリギアとメインギアを介してメイン軸に動力が伝達される。また、副変速機は、セカンダリ軸部に設けられる副セカンダリギアとメイン軸に設けられる副メインギアを含む。副メインギアは、副セカンダリギアに噛み合わされる。セカンダリ軸部から副セカンダリギアと副メインギアを介してメイン軸に動力が伝達される。セカンダリギアの歯数に対するメインギアの歯数の比と、副セカンダリギアの歯数に対する副メインギアの歯数の比とを異なる値にできる。これにより、減速機および副変速機は、副変速機が動力を伝達するときのメイン軸の回転速度に対するセカンダリ軸の回転速度の比が、副変速機が動力を伝達せずに減速機が動力を伝達するときのメイン軸の回転速度に対するセカンダリ軸の回転速度の比と異なるように構成される。ベルト式無段変速機と後輪部の間の比較的大きい空きスペースに、減速機の2つのギアと併せて副変速機の2つのギアを配置することができる。従って、副変速機および切り換え機構をスイングユニットにコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニットの大型化を抑制することができる。
(7)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(4)または(6)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記切り換え機構は、前記減速機が有するギアまたは前記副変速機が有するギアのいずれか一方に噛み合うことによって、前記動力伝達経路の前記一部を、前記減速機の前記少なくとも一部および前記副変速機のいずれかに切り換える噛み合いクラッチ(claw clutch)を含む。
この構成によると、切り換え機構は、噛み合いクラッチを含む。噛み合いクラッチは、例えばギアに形成されたドグに噛み合うように構成されるドグクラッチである。噛み合いクラッチは摩擦クラッチよりもコンパクトに構成できる。従って、スイングユニットの大型化を抑制できる。
(8)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(7)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記噛み合いクラッチは、前記減速機または前記副変速機のいずれにも噛み合わない状態を有する。
この構成によると、噛み合いクラッチは、減速機または副変速機のいずれにも噛み合わない状態を有する。これにより、スイングユニットは、エンジンの動力が後輪に伝達されないニュートラル状態を有することができる。スイングユニットがニュートラル状態を有することにより、エンジンの駆動を停止した状態において、車両を押して移動させることが可能になる。また、ニュートラル状態を摩擦クラッチではなく噛み合いクラッチで実現することにより、切り換え機構をコンパクトに構成することができる。従って、スイングユニットの大型化を抑制できる。
(9)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(1)〜(8)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記切り換え機構は、
前記車両の停止中に操作者によって操作可能であって、且つ、前記車両の走行中に操作不能に構成された操作子を含み、
前記操作者によって前記操作子が操作されることにより、前記動力伝達経路の前記一部を、前記減速機の前記少なくとも一部および前記副変速機のいずれかに切り換える。
この構成によると、切り換え機構は、車両の停止中に操作者によって操作可能であって、且つ、車両の走行中に操作不能に構成された操作子を含む。切り換え機構は、操作者によって操作子が操作されることにより、動力伝達経路の一部を、減速機の少なくとも一部および副変速機のいずれかに切り換える。操作子は、例えば、走行中に操作者の手または足が届かない場所にあってもよく、走行中にロックされてもよい。そして、切り換え機構は、操作子が操作者の手または足等で操作されることにより、減速機の少なくとも一部と副変速機とを切り換える。つまり、切り換え機構をアクチュエータ等で構成する必要がなくなる。ここで、操作子は、アクチュエータに比べて、サイズが小さい場合が多い。これにより、切り換え機構をコンパクトに構成することができる。従って、スイングユニットの大型化を抑制できる。
(10)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(1)〜(9)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記プライマリ軸部は、前記クランク軸と一体に形成される。
この構成によると、プライマリ軸部は、クランク軸と一体に形成される。つまり、プライマリ軸部とクランク軸とを動力伝達可能に接続する動力伝達機構が不要になる。従って、スイングユニットの大型化を抑制できる。
(11)本発明の他の観点によれば、本発明のスイングユニットは、上記(1)〜(9)のいずれかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。
前記減速機および前記副変速機は、前記副変速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比が、前記副変速機が動力を伝達せずに前記減速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比よりも大きくなるように構成される。
この構成によると、副変速機が動力を伝達するときのドライブ軸の回転速度に対するセカンダリ軸部の回転速度の比は、副変速機が動力を伝達せずに減速機が動力を伝達するときのドライブ軸の回転速度に対するセカンダリ軸部の回転速度の比よりも大きい。ここで、車両の積載重量が比較的大きい状態で走行する場合や、勾配の大きい場所を走行する場合等、ライダーが変速比を比較的大きくして走行することを好む走行シーンがある。このような走行シーンにおいて、ライダーが切り換え機構により副変速機に切り換えることにより、車両の走行シーンに合わせた変速比の制御を変更できる。
<スイングユニットの定義>
本発明において、スイングユニットは、エンジン、ベルト式無段変速機、減速機および後輪部を含み、一体となって車体フレームに対して相対的に揺動する機構をいう。
<動力伝達経路の定義>
本発明において、動力伝達経路は、エンジンの動力をクランク軸からドライブ軸を介して後輪に伝達する経路をいう。動力伝達経路の上流端はクランク軸であり、動力伝達経路の下流端はドライブ軸である。なお、動力伝達経路では、エンジンの動力の全てまたはその一部が伝達される。動力伝達経路におけるエンジンの動力の伝達の流れの向きは、クランク軸からドライブ軸に向かう向きである。なお、動力伝達経路には、ドライブ軸からクランク軸に向かう動力の伝達が含まれてよい。
<その他の定義>
本発明において、ある部品の端部とは、部品の端とその近傍部とを合わせた部分を意味する。
本明細書において、X方向に並ぶAとBとは、以下の状態を示す。X方向に垂直な方向からAとBを見たときに、AとBの両方がX方向を示す任意の直線上に配置されている状態である。本発明において、Y方向から見てX方向に並ぶAとBとは、以下の状態を示す。Y方向からAとBを見たときに、AとBの両方がX方向を示す任意の直線上に配置されている状態である。この場合、Y方向とは異なるW方向からAとBを見ると、AとBのいずれか一方がX方向を示す任意の直線上に配置されていない状態であってもよい。尚、AとBが接触していてもよい。AとBが離れていてもよい。AとBの間にCが存在していてもよい。
本明細書において、AがBより前方向に配置されるとは、以下の状態を指す。Aは、Bの最前端を通り前後方向に直交する平面の前方向に配置される。この場合、AとBは、前後方向に沿って並んでいてもよく、並んでいなくてもよい。この定義は、「AがBより後方向に配置される」「AがBより上方向に配置される」「AがBより下方向に配置される」「AがBより左方向に配置される」「AがBより右方向に配置される」という表現も適用される。
本明細書において、AがBの前方向に配置されるとは、以下の状態を指す。AとBが前後方向に並んでおり、且つ、AのBと対向する部分が、Bの前方向に配置される。この定義において、Bの前面のうちAと対向する部分が、Bの最前端の場合には、AはBよりも前方向に配置される。この定義において、Bの前面のうちAと対向する部分が、Bの最前端ではない場合には、AはBよりも前方向に配置されてもよく、されなくてもよい。尚、Bの前面とは、Bを前方向から見た時に見える面のことである。Bの形状によっては、Bの前面とは、連続した1つの面ではなく、複数の面で構成される場合がある。この定義は、「AがBの後方向に配置される」「AがBの上方向に配置される」「AがBの下方向に配置される」「AがBの左方向に配置される」「AがBの右方向に配置される」という表現も適用される。
本発明において、含む(including)、有する(comprising)、備える(having)およびこれらの派生語は、列挙されたアイテムおよびその等価物に加えて追加的アイテムをも包含することが意図されて用いられている。取り付けられた(mounted)、接続された(connected)および結合された(coupled)という用語は、広義に用いられている。具体的には、直接的な取付、接続および結合だけでなく、間接的な取付、接続および結合も含む。さらに、接続された(connected)および結合された(coupled)は、物理的または機械的な接続/結合に限られない。それらは、直接的なまたは間接的な電気的接続/結合も含む。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
本明細書において、「好ましい」という用語は非排他的なものである。「好ましい」は、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。本明細書において、「好ましい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。また、本明細書において、「してもよい」という用語は非排他的なものである。「してもよい」は、「してもよいがこれに限定されるものではない」という意味である。本明細書において、「してもよい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。
特許請求の範囲において、ある構成要素の数を明確に特定しておらず、英語に翻訳された場合に単数で表示される場合、本発明は、この構成要素を、複数有していてもよい。また本発明は、この構成要素を1つだけ有していてもよい。
本発明では、上述した他の観点による構成を互いに組み合わせることを制限しない。
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されたまたは図面に図示された構成要素の構成および配置の詳細に制限されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態でも可能であり、様々な変更を加えた実施形態でも可能である。また、本発明は、後述する変形例を適宜組み合わせて実施することができる。
本発明のスイングユニットは、特許文献1に記載のスイングユニットの移動制限機構およびウェイトと組み合わせが可能でありつつ、特許文献1に記載の移動制限機構とは異なる方法で車両の走行シーンに合わせた変速比の制御を変更できると共に、大型化を抑制することができる。
本実施形態のスイングユニットの構成を示す模式図である。 具体例のスイングユニットを搭載した自動二輪車を車両右方向に見た図である。 具体例のスイングユニットの一部を示す断面図である。 具体例1のニュートラル状態のスイングユニットの減速機および副変速機を示す断面図である。 (a)は具体例1のスイングユニットの減速機に含まれるギアの一部を示す断面図である。(b)は具体例1のスイングユニットの副変速機に含まれるギアの一部を示す断面図である。(c)は具体例1のスイングユニットの切り換え機構の一部を示す断面図である。 具体例1の低変速比状態のスイングユニットの一部を示す断面図である。 具体例1の高変速比状態のスイングユニットの一部を示す断面図である。 具体例1のスイングユニットのエンジン回転数と速度の関係の一例を示すグラフである。 具体例2のニュートラル状態のスイングユニットの一部を示す断面図である。 (a)具体例2のスイングユニットの減速機に含まれるギアの一部を示す断面図である。(b)は具体例2のスイングユニットの副変速機に含まれるギアの一部を示す断面図である。(c)は具体例2のスイングユニットの切り換え機構の一部を示す断面図である。 具体例2の低変速比状態のスイングユニットの一部を示す断面図である。 具体例2の高変速比状態のスイングユニットの一部を示す断面図である。 具体例2のスイングユニットの動力伝達経路の構成を示す模式図である。
(実施形態)
以下、本発明の実施形態について図1を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態のスイングユニットの構成を示す模式図である。図1において、後述するエンジン20、クランク軸21、ベルト式無段変速機30、減速機70、副変速機80および後輪部3のそれぞれを結ぶ軸は、模式的に直線で示している。また、これらの軸は、機械的に伝達される動力の経路を示す動力伝達経路である。本発明の本実施形態の説明において、前後方向、左右方向、上下方向とは、それぞれ、車両の前後方向、車両の左右方向、車両の上下方向のことである。また、本願の各図中の矢印F、矢印B、矢印U、矢印D、矢印L、矢印Rは、それぞれ、前方向、後方向、上方向、下方向、左方向、右方向を表している。
図1に示すように、スイングユニット6は、エンジン20と、後輪部3と、ベルト式無段変速機30と、減速機70とを有する。スイングユニット6は、さらに、副変速機80と、切り換え機構90とを有する。
エンジン20は、クランク軸21を含む。クランク軸21は、動力を伝達する動力伝達経路の上流端に配置される。エンジン20は、車両1の車体フレーム7に支持される。
後輪部3は、少なくとも1つの後輪を有する。後輪部3は、車体フレーム7に支持されたドライブ軸60を含む。ドライブ軸60は、動力伝達経路の下流端に配置される。後輪部3は、ドライブ軸60から動力が伝達される。
ベルト式無段変速機30は、プライマリプーリ42とセカンダリプーリ52とベルト32を有する。プライマリプーリ42は、プライマリ軸部41に設けられる。セカンダリプーリ52は、セカンダリ軸部51に設けられる。ベルト32は、プライマリプーリ42およびセカンダリプーリ52に巻回される。ベルト式無段変速機30は、クランク軸21からプライマリ軸部41に伝達された動力を、セカンダリ軸部51に伝達する。
減速機70は、ドライブ軸60の回転速度がセカンダリ軸部51の回転速度よりも小さくなるように、セカンダリ軸部51から伝達された動力をドライブ軸60に伝達可能に構成される。ここで、スイングユニット6の動力伝達経路について説明する。図1に示すように、動力伝達経路は、エンジン20が有するクランク軸21から後輪部3が有するドライブ軸60に至るまで動力が伝達される経路である。クランク軸21が、動力伝達経路における上流端である。ドライブ軸60が、動力伝達経路における下流端である。ベルト式無段変速機30は、クランク軸21と同軸に形成されたプライマリ軸部41に設けられたプライマリプーリ42により、クランク軸21と動力伝達可能に接続される。そして、クランク軸21の動力は、プライマリプーリ42と共にベルト32が巻き掛けられたセカンダリプーリ52が設けられたセカンダリ軸部51に伝達される。セカンダリ軸部51、減速機70、後輪部3は、ギアにより動力が伝達可能に構成されている。そして、セカンダリ軸部51の動力は、減速機70により、後輪部3のドライブ軸60に伝達される。クランク軸21、ベルト式無段変速機30、減速機70、ドライブ軸60は、この順番で、動力伝達経路の上流から下流に配置される。
副変速機80は、減速機70の少なくとも一部に換えて動力伝達経路の一部を構成可能である。副変速機80は、副変速機80が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するセカンダリ軸部51の回転速度の比が、副変速機80が動力を伝達せずに減速機70が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するセカンダリ軸部51の回転速度の比と異なるように構成される。
切り換え機構90は、車両1の停止中に、動力伝達経路の一部を、減速機70の少なくとも一部および副変速機80のいずれかに切り換える切り換え動作が可能に構成される。そして、切り換え機構90は、車両1の走行中に、切り換え動作が不能に構成される。具体的には、切り換え機構90により、動力伝達経路の一部を減速機70に切り換えた場合、セカンダリ軸部51の動力は、減速機70により、後輪部3のドライブ軸60に伝達される。また、切り換え機構90により、動力伝達経路の一部を副変速機80に切り換えた場合、セカンダリ軸部51の動力は、副変速機80により、後輪部3のドライブ軸60に伝達されるか、セカンダリ軸部51の動力は、副変速機80および減速機70の一部により、後輪部3のドライブ軸60に伝達される。副変速機80が減速機70の一部に換えて動力伝達経路の一部を構成する場合、セカンダリ軸部51の動力は、副変速機80により、後輪部3のドライブ軸60に伝達される。この場合、クランク軸21、ベルト式無段変速機30、副変速機80、ドライブ軸60は、この順番で、動力伝達経路の上流から下流に配置される。また、副変速機80が減速機70全体に換えて動力伝達経路の一部を構成する場合、セカンダリ軸部51の動力は、副変速機80および減速機70の一部により、後輪部3のドライブ軸60に伝達される。この場合、クランク軸21、ベルト式無段変速機30、副変速機80、減速機70の一部、ドライブ軸60は、この順番で、動力伝達経路の上流から下流に配置される。
本実施形態のスイングユニット6はこのような構成を有するため、以下の効果を有する。
本実施形態のスイングユニット6の構成によると、切り換え機構90を、車両1の停止中に切り換え動作が可能で、車両1の走行中に切り換え動作が不能となるように構成した。ここで、本願発明者らは、スイングユニット6が備えられるスクータ等の車両1は、走行範囲が小さいので走行シーンが大幅に変わることは少ないことに気付いた。この気付きから、本願発明者らは、スイングユニット6が備えられる車両1は、走行シーンが変わる頻度が少ないため、走行シーンに応じた変速比の制御を頻繁に切り換える必要がないことに気付いた。そこで、本願発明者らは、切り換え機構90を、車両1の走行中に切り換え動作が不能となるように構成した。そのため、車両1の走行中でも減速機70の少なくとも一部と副変速機80と切り換え可能とするために必要な摩擦クラッチが不要である。ここで、摩擦クラッチは、サイズが大きい。従って、切り換え機構90をコンパクトに構成することができる。これにより、スイングユニット6の大型化を抑制することができる。なお、車両1の走行中とは、エンジン20が駆動している場合であって、後輪部3が回転して、車両1が移動している場合である。また、車両1の停止中とは、車両1が移動していない場合であって、エンジン20が駆動しているか否か、また、後輪部3が回転しているか否かは問わない。
また、本実施形態のスイングユニット6の構成によると、ライダーは、車両1の走行シーンに合わせて、切り換え機構90で減速機70の少なくとも一部と副変速機80とを切り換えて、変速比の制御を変更できる。走行シーンに合わせて、切り換え機構90で減速機70と副変速機80とを切り換えることにより、ドライブ軸60の回転速度に対するセカンダリ軸部51の回転速度の比を変えることができる。つまり、本実施形態のスイングユニット6は、副変速機80および切り換え機構90により、走行シーンに合わせて、変速比の制御を変更している。一方、特許文献1のスイングユニットでは、プライマリシーブに設けられた移動制限機構により変速比の制御を変更している。したがって、本実施形態のスイングユニット6は、特許文献1に記載のスイングユニットとは異なる方法で走行シーンに合わせた変速比の制御を変更できる。また、本実施形態のスイングユニット6は、プライマリプーリ42に移動制限機構とウェイトとを設けてもよい。つまり、本実施形態のスイングユニット6は、特許文献1に記載のスイングユニットの移動制限機構およびウェイトと併用して、プライマリプーリ42の位置を調整してもよい。したがって、本実施形態のスイングユニット6は、特許文献1に記載のスイングユニットの移動制限機構とウェイトと組み合わせが可能である。
さらに、本実施形態のスイングユニット6の構成によると、副変速機80が動力伝達経路の一部を構成する場合、動力伝達経路において副変速機80は、ベルト式無段変速機30よりも下流に配置される。動力伝達経路においてベルト式無段変速機30よりも上流にはエンジン20が配置される。動力伝達経路において、ベルト式無段変速機30よりも下流には後輪部3が配置される。ここで、動力伝達経路においてベルト式無段変速機30よりも下流にあるベルト式無段変速機30と後輪部3の間の空きスペースは、動力伝達経路においてベルト式無段変速機30よりも上流にあるエンジン20とベルト式無段変速機30の間の空きスペースよりも比較的大きい。つまり、副変速機80および切り換え機構90は、ベルト式無段変速機30と後輪部3の間の比較的大きい空きスペースに配置される。従って、副変速機80および切り換え機構90をスイングユニット6にコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニット6の大型化を抑制することができる。
(実施形態の具体例)
以下、本発明の実施形態の具体例について説明する。本実施形態の具体例の自動二輪車1は、本発明のスイングユニットが搭載された車両(Vehicle)の一例である。尚、以下の説明において、車両の前後方向、左右方向、上下方向とは、それぞれ自動二輪車1の後述するシート8に着座したライダーから見た前後方向、左右方向、上下方向を意味するものとする。但し、自動二輪車は、水平な地面に配置されたものとする。各図面に付した矢印F、B、L、R、U、Dは、それぞれ前方向、後方向、左方向、右方向、上方向、下方向を表す。また、以下で説明する具体例においては、図1の実施形態の構成を全て有する。そして、図1の実施形態と同じ部材については、同じ符号を付している。
(具体例1)
[自動二輪車の全体構成]
具体例1に係るスイングユニット6について説明する。まず、スイングユニット6が搭載される自動二輪車1の全体構成について、図2に基づいて説明する。図2は、具体例1のスイングユニットを搭載した自動二輪車を車両右方向に見た図である。尚、図2は、水平な路面に直立した状態で配置された自動二輪車1を示している。
自動二輪車1は、前輪部2および後輪部3と、車体フレーム7とを備えている。後輪部3が駆動輪である。後輪部3は、前輪部2の後方向に配置される。前輪部2は、1つの車輪である前輪2aを有している。また、後輪部3は、1つの車輪である後輪3aを有している。
車体フレーム7は、アンダーボーン型の車体フレームである。車体フレーム7は、右旋回時に車両1の右方向に傾斜し、左旋回時に車両1の左方向に傾斜する。図2では、車体フレーム7の一部のみを破線で表示している。
車体フレーム7は、その前部にヘッドパイプ7aを有する。ヘッドパイプ7aには、ステアリングシャフト(図示せず)が回転可能に挿入されている。ステアリングシャフトの上端部は、ステアリングホイールユニット4に連結されている。ステアリングホイールユニット4には、一対のフロントフォーク5の上端部が固定されている。フロントフォーク5の下端部は、前輪部2を支持している。前輪部2は、フロントフォーク5と一体的に左右方向に回転するように設けられている。前輪部2は、ステアリングホイールユニット4の操作によって操舵される。ステアリングホイールユニット4が左右方向に回されると、前輪部2の幅方向中央を通る平面は、前後方向(FB方向)に対して傾斜する。
車体フレーム7には、スイングユニット6が揺動可能に支持されている。スイングユニット6は、後述するシート8の上端より下方向に配置されている。スイングユニット6の前端部には、エンジン20が配置される。エンジン20は、車体フレーム7に支持されている。スイングユニット6の後端部には、後輪部3が配置される。スイングユニット6の後輪部3は、伝動ケース部31の後端部に設けられたボス部6bにおいて、リヤサスペンション7bの一端部と連結されている。リヤサスペンション7bの他端部は、車体フレーム7に連結されている。リヤサスペンション7bは、上下方向に伸縮する。
車体フレーム7の上部には、シート8が支持されている。フロントフォーク5の上部はフロントカバー9で覆われている。シート8の下方向にはサイドカバー10が配置されている。フロントカバー9とサイドカバー10との間には、ステップボード11が配置されている。ステップボード11は、自動二輪車1の下部の左と右に配置されている。
シート8の下方向には、燃料タンク(図示せず)が配置されている。また、車体フレーム7は、各種センサやECU(図示せず)等の電子機器に電力を供給するバッテリ(図示せず)が支持されている。ECUは、自動二輪車1の各部の動作を制御する。
ステアリングホイールユニット4には、アクセルグリップ4aおよびブレーキレバー4cが設けられている。ステアリングホイールユニット4の右グリップは、アクセルグリップ4aを構成する。アクセルグリップ4aは、ライダーによって操作されて前後方向に回転する。アクセルグリップ4aは、エンジンの出力を調整するために操作される。ステアリングホイールユニット4の右グリップには、ブレーキレバー4cが設けられる。ブレーキレバー4cは、ライダーによって操作される。ブレーキレバー4cは、前輪部2の回転を抑制するために操作される。また、ステアリングホイールユニット4には、メインスイッチ等の各種スイッチが設けられている。また、ステアリングホイールユニット4には、表示装置(図示せず)が設けられている。表示装置には、車速や、エンジン回転速度等が表示される。また、表示装置には、インジケータ(表示灯)が設けられている。
[スイングユニットの構成]
次に、スイングユニット6の構成について、図2〜図5に基づいて説明する。図3は、具体例1のスイングユニットの一部を示す断面図である。なお、図3では、セカンダリ軸部51およびドライブ軸60に設けられたギアの記載を省略している。図4は、具体例1のニュートラル状態のスイングユニットの減速機および副変速機を示す断面図である。なお、図4は、セカンダリ軸部、メイン軸、および、ドライブ軸のそれぞれの回転軸の中心を通る平面で切断した断面図である。図5(a)は具体例1のスイングユニットの減速機に含まれるギアの一部を示す断面図である。図5(b)は具体例1のスイングユニットの副変速機に含まれるギアの一部を示す断面図である。図5(c)は具体例1のスイングユニットの切り換え機構の一部を示す断面図である。
図2および3に示すように、スイングユニット6は、エンジン20、後輪部3と、ベルト式無段変速機30と、減速機70と、副変速機80と、切り換え機構90と、を備える。
[エンジンの構成]
まず、エンジン20について、説明する。エンジン20は、1つの気筒を有する単気筒エンジンである。エンジン20は、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程(膨張行程)、および排気行程を繰り返す4ストローク1サイクルエンジンである。
エンジン20は、その前端に設けられたブラケット(図示せず)により、水平軸回りに回転可能に車体フレーム7に取り付けられる。図3に示すように、エンジン20は、クランク軸21が収容されたクランクケース部22、シリンダボディ23、シリンダヘッド24、および、ヘッドカバー25を有する。ヘッドカバー25は、スイングユニット6の前部を形成する。シリンダヘッド24は、ヘッドカバー25の後端部に接続されている。シリンダボディ23は、シリンダヘッド24の後端部に接続されている。
エンジン20は、強制空冷式のエンジンである。エンジン20は、シュラウド20aを有する。シュラウド20aは、シリンダボディ23とシリンダヘッド24を全周にわたって覆っている。さらに、シュラウド20aは、クランクケース部22の右部を覆っている。シュラウド20aの右部には、空気流入口20bが形成されている。また、シュラウド20aの前部には、空気排出口(図示せず)が形成されている。後述するクランク軸21の右端部は、クランクケース部22から突出して、冷却ファン20cに連結されている。冷却ファン20cは、クランク軸21の回転に伴って回転駆動される。冷却ファン20cの駆動により、空気流入口20bからシュラウド20a内に空気が導入される。シュラウド20a内に導入された空気が、後述するシリンダボディ23の冷却フィン23bと接触することにより、シリンダボディ23は放熱する。シュラウド20a内に導入された空気は、空気排出口から排出される。
シリンダボディ23には、シリンダ孔23aが形成される。シリンダ孔23aの中心軸線がシリンダ軸線である。エンジン20は、シリンダ軸線を大きく前傾させて、車体フレーム7(図2参照)に搭載される。シリンダ軸線の水平方向に対する傾斜角度は、0度以上45度以下である。シリンダ孔23aには、ピストン26が摺動自在に収容される。シリンダヘッド24の下面とシリンダ孔23aとピストン26によって、燃焼室24aが形成される。シリンダヘッド24には、点火プラグ(点火装置)24bが設けられる。点火プラグ24bは、燃焼室24a内で燃料と空気との混合ガスに点火する。
クランク軸21は、2つのクランクウェブ21aおよび2つのクランクメイン軸21bを有する。2つのクランクウェブ21aは、2つのクランクメイン軸21bの間に配置される。2つのクランクウェブ21aは、偏心軸(図示せず)によって接続される。偏心軸は、2つのクランクウェブ21aを接続する接続部である。偏心軸の中心線は、クランク軸の中心線から偏心している。クランク軸21の偏心軸には、コネクティングロッド26aを介してピストン26が接続されている。右のクランクウェブ21aの右方向には、軸受27aが配置されている。左のクランクウェブ21aの左方向には、軸受27bが配置されている。クランク軸21は、軸受27aおよび軸受27bを介して、クランクケース部22に支持されている。クランク軸21には駆動カムチェーンスプロケット28aが配置されている。また、シリンダヘッド24には、被動カムチェーンスプロケット28bが配置されている。そして、駆動カムチェーンスプロケット28aと被動カムチェーンスプロケット28bとの間にカムチェーン28cが架渡される。被動カムチェーンスプロケット28bは動弁カム軸28dに設けられている。クランク軸21のトルクは、カムチェーン28cを介して動弁カム軸28dに伝達される。動弁カム軸28dは、クランク軸21に同期して、図示しない吸気バルブおよび排気バルブをそれぞれ所要のタイミングで開閉駆動する。
燃焼室24aには、図示しない吸気管を通過して、燃料および空気が供給される。ピストン26は、燃焼室24aに供給された燃料が燃焼することによって、往復動する。ピストン26には、クランクケース部22の内部に配置されたクランク軸21に連結されている。ピストン26が往復動することによってクランク軸21が回転する。クランクケース部22には、クランク軸21等を潤滑するためのオイル等の潤滑剤が存在する。
また、クランク軸21には、回転電機29が連結されている。つまり、クランク軸21と回転電機29は、同軸となるように配置されている。回転電機29は、三相発電機であり、永久磁石式発電機である。回転電機29の駆動状態は、発電状態と力行状態がある。回転電機29が、クランク軸21にクランク軸21の逆回転方向のトルクを付与して発電する駆動状態は、発電状態である。また、回転電機29が図示しないバッテリから供給された電力により、クランク軸21にクランク軸21の正回転方向のトルクを付与して、クランク軸21を正回転させる駆動状態は、力行状態である。回転電機29は、エンジン始動時には、力行状態で駆動されて、スターターモータとして機能する。また、エンジン始動後の通常運転時は、回転電機29は、力行状態または発電状態で駆動される。回転電機は、スターターモータと一体化された装置として構成される。尚、スターターモータと回転電機は別々の装置として構成されていてもよい。また、スイングユニット6は、回転電機29を有さず、スターターモータを有してもよい。
[ベルト式無段変速機の構成]
次に、ベルト式無段変速機30について、説明する。ベルト式無段変速機30は、プライマリ軸部41と、プライマリプーリ42と、セカンダリ軸部51と、セカンダリプーリ52と、ベルト32とを備える。ベルト式無段変速機30は、エンジン20の動力を伝達可能に構成される。具体例1では、ベルト式無段変速機30は、乾式のベルト32を使用した無段変速機である。図2および図3に示すように、プライマリプーリ42は、セカンダリプーリ52の前方向に配置される。
図2および図3に示すように、ベルト32は、環状に形成されている。ベルト32は、プライマリプーリ42およびセカンダリプーリ52に巻き掛けられる。プライマリプーリ42の回転は、ベルト32を介して、セカンダリプーリ52に伝達される。
図3に示すように、プライマリ軸部41は、クランク軸21の左端部に、クランク軸21と一体的に形成されている。つまり、プライマリ軸部41は、クランク軸21と同軸に配置される。より詳細には、プライマリ軸部41の回転軸線であるプライマリ回転軸線Apがクランク軸21のクランク回転軸線Acと同一直線上に配置される。プライマリ軸部41は、クランク軸21の動力が伝達される。プライマリ軸部41は、軸受27bよりも左方向にある部分である。プライマリ軸部41の径は、カムチェーン28cが巻き掛けられているクランク軸21の部分の径よりも小さい。プライマリ軸部41は、左方向に向かって、径が小さくなるように形成される。クランク軸21は、クランクケース部22を貫通して形成される。つまり、左右方向において、クランク軸21のプライマリ軸部41より右方向にある部分は、クランクケース部22に配置される。また、クランク軸21のプライマリ軸部41は、伝動ケース部31内に配置される。
伝動ケース部31は、シリンダボディ23の後方向に配置されている。伝動ケース部31には、プライマリプーリ42と、セカンダリプーリ52と、ベルト32が配置される。伝動ケース部31は、シリンダボディ23の後端部から車両後方向に向かって後輪部3まで設けられている。伝動ケース部31は、後端部に設けられたボス部6aを介して車体フレーム7に回動可能に支持される。
プライマリプーリ42は、プライマリ軸部41に設けられる。プライマリプーリ42は、プライマリ軸部41と一体的に回転可能となっている。プライマリプーリ42は、カラー部材43、プライマリ可動シーブ44、および、プライマリ固定シーブ45を備える。プライマリ可動シーブ44およびプライマリ固定シーブ45は、2つのプライマリシーブである。カラー部材43は、プライマリ軸部41の外周面に配置される。カラー部材43は、プライマリ軸部41と一体的に回転するようにプライマリ軸部41に配置される。カラー部材43は、プライマリ固定シーブ45より右方向に配置される。プライマリ可動シーブ44およびプライマリ固定シーブ45は、クランクケース部22より左方向に配置される。つまり、プライマリ可動シーブ44およびプライマリ固定シーブ45は、伝動ケース部31内に配置される。
プライマリ可動シーブ44の右端部には、スライド部材44aが一体的に成形される。即ち、スライド部材44aは、プライマリ可動シーブ44に連結される。スライド部材44aは、円筒状に形成される。プライマリ可動シーブ44およびスライド部材44aは、カラー部材43に設けられる。プライマリ可動シーブ44およびスライド部材44aは、カラー部材43に、プライマリ軸部41の軸方向に移動可能に支持される。さらに、プライマリ可動シーブ44およびスライド部材44aは、カラー部材43およびプライマリ軸部41と一体的に回転する。したがって、プライマリ可動シーブ44は、スライド部材44aと共にプライマリ軸部41の軸方向に移動可能であって、かつ、スライド部材44aと一体的に回転するよう構成される。
プライマリ固定シーブ45は、カラー部材43の左右方向の左面に接触するように、プライマリ軸部41にスプライン嵌合される。プライマリ固定シーブ45は、プライマリ軸部41に、軸方向に移動不能に固定される。プライマリ固定シーブ45は、プライマリ軸部41と一体的に回転するように構成される。
セカンダリプーリ52はセカンダリ軸部51に設けられる。セカンダリプーリ52は、セカンダリ軸部51と一体的に回転可能となっている。セカンダリ軸部51は、プライマリ軸部41と平行に配置される。伝動ケース部31の後端部の右方向には、ギアケース部61が配置されている。ギアケース部61は、伝動ケース部31と一体となるように構成される。セカンダリ軸部51は、ギアケース部61を貫通して形成される。つまり、車両左右方向において、セカンダリ軸部51の右部は、ギアケース部61に配置される。また、セカンダリ軸部51の左部は、伝動ケース部31内に配置される。
セカンダリ軸部51は、軸受61aを介してギアケース部61に支持される。また、セカンダリ軸部51の右端部は、軸受62aを介してギアケース部61に支持される。セカンダリ軸部51のギアケース部61に配置される右端部には、後述するセカンダリギア71が設けられている。また、セカンダリ軸部51の左端部は、軸受63およびスペーサ63aを介して伝動ケース部31に支持される。
セカンダリプーリ52は、カラー部材53と、セカンダリ可動シーブ54と、セカンダリ固定シーブ55とを備える。カラー部材53は、円筒状に形成される。カラー部材53は、セカンダリ軸部51の外周面に、軸受55aおよび軸受55bを介して、回転可能に設けられる。また、カラー部材53は、セカンダリ軸部51に、軸方向に移動不能に設けられる。スライド部材53aは、カラー部材53に設けられる。スライド部材53aは、セカンダリ可動シーブ54の内周面とカラー部材53の外周面との間に配置される。スライド部材53aおよびセカンダリ可動シーブ54は、カラー部材53に、セカンダリ軸部51の回転軸線Asに平行な方向に移動可動に支持される。さらに、スライド部材53aおよびセカンダリ可動シーブ54は、カラー部材53およびセカンダリ軸部51と一体的に回転する。従って、セカンダリ可動シーブ54は、カラー部材53と共に、セカンダリ軸部51の回転軸線Asの方向に移動可能であって、かつ、スライド部材53aと一体的に回転するように設けられる。
セカンダリ固定シーブ55は、カラー部材53に嵌合されて固定される。すなわち、セカンダリ固定シーブ55は、セカンダリ軸部51に、カラー部材53を介して、回転自在に、かつ、回転軸線Asの方向に移動不能に設けられる。セカンダリ固定シーブ55は、セカンダリ軸部51の回転軸線Asの方向に固定され、セカンダリ軸部51の回転軸線Asの方向の移動が規制されて設けられる。セカンダリ可動シーブ54は、ばね57によって、セカンダリ固定シーブ55に近づくように付勢されている。
セカンダリプーリ52より左方向にはクラッチ56が配置されている。クラッチ56は、セカンダリ軸部51に取り付けられている。クラッチ56は、セカンダリプーリ52とセカンダリ軸部51との接続と切断とを切り換える。具体例1のクラッチ56は、ライダーのクラッチ操作を要することなく、自動的に接続または切断される自動クラッチである。具体例1のクラッチ56は、遠心式クラッチである。クラッチ56は、ウェイトアーム56a、ウェイト56b、アウタクラッチ56cを備える。ウェイトアーム56aは、カラー部材53と一体的に回転するように、カラー部材53に嵌合されて固定される。ウェイト56bは、ウェイトアーム56aに、セカンダリ軸部51の径方向に揺動可能に設けられる。アウタクラッチ56cは、ウェイト56bを囲むように配置される。アウタクラッチ56cは、セカンダリ軸部51と一体的に回転するように、セカンダリ軸部51に固定される。セカンダリ可動シーブ54とウェイトアーム56aとの間にはばね57が配設される。セカンダリ可動シーブ54は、このばね57により、セカンダリプーリ52の有効径が大きくなる方向に付勢される。
セカンダリプーリ52の回転速度が上昇するに伴い、ウェイト56bは遠心力でセカンダリ軸部51の径方向に移動する。そして、エンジン回転速度が予め設定された値を超えると、ウェイト56bがアウタクラッチ56cに当たる。これにより、クラッチ56は、セカンダリプーリ52とセカンダリ軸部51とが接続され、セカンダリプーリ52の動力がセカンダリ軸部51に伝達される。一方、クラッチ56は、エンジン回転速度が予め設定された値以下では、ウェイト56bがアウタクラッチ56cに当たらない。これにより、セカンダリプーリ52とセカンダリ軸部51とが切断され、セカンダリプーリ52の動力がセカンダリ軸部51へ動力が伝達されない。
ベルト32は、プライマリプーリ42およびセカンダリプーリ52に巻き掛けられる。ベルト32は、ゴム製または樹脂製の伝動ベルトである。ベルト32は、V字状の断面を有する所謂Vベルトである。図3において、実線は、低速位置にあるベルト32を示している。また、図3において、二点鎖線は、高速位置にあるベルト32を示している。但し、二点鎖線で示すベルト32の高速位置は、低速位置と比較するためにプライマリ軸部41より後方向およびセカンダリ軸部51より前方向に配置されているように記載しているが、実際のベルト32の高速位置は、プライマリ軸部41より前方向およびセカンダリ軸部51より後方向に配置される。ここで、ベルト32の高速位置とは、プライマリプーリ42の幅が最も小さくなる位置である。即ち、ベルト32の高速位置とは、プライマリプーリ42に巻回されるベルト32の巻径が最も大きくなる位置であり、変速比が最も小さくなる位置である。一方、ベルト32の低速位置とは、プライマリプーリ42の幅が最も大きくなる位置である。即ち、ベルト32の低速位置とは、プライマリプーリ42に巻回されるベルト32の巻径が最も小さくなる位置であり、変速比の最も大きくなる位置である。
変速機制御装置35は、ベルト式無段変速機30の変速比を制御する。変速機制御装置35は、図示しない電動モータにより、プライマリ可動シーブ44およびスライド部材44aをプライマリ回転軸線Ap方向に移動させる。変速機制御装置35の詳細な構成についての説明は省略する。プライマリ固定シーブ45は、プライマリ軸部41に固定されて設けられる。つまり、プライマリ固定シーブ45は、プライマリ軸部41に、プライマリ回転軸線Ap方向の移動が規制されて設けられる。つまり、ベルト式無段変速機30は、電動モータを制御して、2つのプライマリシーブ44、45の幅を変化させることができる。プライマリプーリ42のプライマリ可動シーブ44と、セカンダリプーリ52のセカンダリ可動シーブ54とがそれぞれのプライマリ回転軸線Ap方向に動かされることによって、ベルト式無段変速機30の変速比が変化する。詳細には、プライマリプーリ42のプライマリ可動シーブ44がプライマリ回転軸線Ap方向に動かされると、プライマリプーリ42に巻かれたベルト32の径が変化する。そして、プライマリプーリ42に巻かれたベルト32の径の変化に伴って、セカンダリプーリ52のセカンダリ可動シーブ54は、バネの弾性力によってまたは弾性力に抗してプライマリ回転軸線Ap方向に移動する。そして、セカンダリプーリ52に巻かれたベルト32の径も変化する。
例えば、プライマリプーリ42のプライマリ可動シーブ44が、プライマリ回転軸線Ap方向のプライマリ固定シーブ45に近づく向きに移動されると、プライマリプーリ42の幅が小さくなる。そして、プライマリプーリ42に巻かれたベルト32の径が大きくなる。この時、セカンダリプーリ52のセカンダリセカンダリ可動シーブ54は、セカンダリ軸部51の回転軸線Asの方向のセカンダリ固定シーブ55から離れる向きに移動する。そして、セカンダリプーリ52の幅が大きくなり、セカンダリプーリ52に巻かれたベルト32の径は小さくなる。これにより、ベルト式無段変速機30の変速比が、トップ位置に変化する。一方、プライマリプーリ42のプライマリ可動シーブ44が、プライマリ回転軸線Ap方向のプライマリ固定シーブ45から離れる向きに移動されると、プライマリプーリ42の幅が大きくなる。そして、プライマリプーリ42に巻かれたベルト32の径が小さくなる。この時、セカンダリプーリ52のセカンダリ可動シーブ54は、セカンダリ軸部51の回転軸線Asの方向のセカンダリ固定シーブ55に近づく向きに移動する。そして、セカンダリプーリ52の幅が小さくなり、セカンダリプーリ52に巻かれたベルト32の径は大きくなる。これにより、ベルト式無段変速機30の変速比が、ロー位置に変化する。以上のように、プライマリプーリ42のプライマリ可動シーブ44の動きによって、ベルト式無段変速機30の変速比が変化する。つまり、プライマリプーリ42のプライマリ可動シーブ44が、プライマリ固定シーブ45に最も近づいた時の変速比と、プライマリ固定シーブ45から最も離れた時の変速比との間で変化する。
[後輪部の構成]
次に、後輪部3について、図2、図3、図4に基づいて、説明する。図2に示す通り、後輪部3は、1つの車輪である後輪3aを有している。図3に示すように、後輪3aは、タイヤ3aaおよびホイール3abを有する。ホイール3abは、その外周部でタイヤ3aaを保持する。後輪部3は、ドライブ軸60を有する。ドライブ軸60は、その左部がギアケース部61内に配置される。ドライブ軸60は、セカンダリ軸部51と平行に配置される。つまり、ドライブ軸60の回転軸線Adは、セカンダリ軸部51の回転軸線Asと平行に配置される。図3および図4に示すように、ドライブ軸60は、軸受60aおよび軸受60bを介して、ギアケース部61に支持されている。ドライブ軸60は、軸受60bより左部がギアケース部61内に配置される。ドライブ軸60は、軸受60bより右部がギアケース部61外に配置される。ギアケース部外に配置されるドライブ軸60の右部には、後輪3aのホイール3abが固定して設けられる。ドライブ軸60は、後輪3aの車軸である。後輪3aは、ドライブ軸60と一体的に回転するように設けられる。つまり、ドライブ軸60は、後輪3aを回転させる。ドライブ軸60のギアケース部61内に配置される左端部には、後述するドライブギア74が設けられている。また、図2および図3に示す通り、リヤサスペンション7bは、ユニットスイング6のボス部6aを介して車体フレーム7に支持されている。後輪部3は、ドライブ軸60が支持されるギアケース部61、ギアケース部61と一体で構成された伝動ケース部31に支持されている。また、伝動ケース部31の後端に設けられたボス部6bは、ボス部6bに連結されたリヤサスペンション7bを介して、車体フレーム7に支持されている。リヤサスペンション7bは、車両上下方向に伸縮する。つまり、後輪部3は、ギアケース部61、伝動ケース部31、伝動ケース部31のボス部6bおよびリヤサスペンション7bを介して、車体フレーム7に対して相対的に車両上下方向に揺動可能に支持される。
[減速機70の構成]
次に、減速機70について、図4および図5(a)(b)に基づいて説明する。減速機70は、メイン軸64を含む。メイン軸64は、セカンダリ軸部51およびドライブ軸60と平行に配置される。メイン軸64は、軸受64aおよび軸受64bを介して、ギアケース部61に支持されている。減速機70は、セカンダリギア71、第1メインギア72、第2メインギア73およびドライブギア74を含む。減速機70は、ギアケース部61内に配置される。
セカンダリギア71は、ギアケース部61内のセカンダリ軸部51に設けられる。セカンダリギア71は、セカンダリ軸部51の回転軸線Asの方向に移動不能であって、かつ、セカンダリ軸部51と一体的に回転するように設けられる。セカンダリギア71は、その外周面に所定間隔で設けられたセカンダリ歯71aを有する。第1メインギア72および第2メインギア73は、メイン軸64に設けられる。第1メインギア72は、第2メインギア73の右方向に設けられる。第1メインギア72は、メイン軸64の回転軸線Amの方向に移動不能であって、かつ、メイン軸64と一体的に回転するように設けられる。第1メインギア72は、その外周面に所定間隔で設けられた第1メイン歯72aを有する。第2メインギア73は、メイン軸64の回転軸線Amの方向に移動不能であって、かつ、メイン軸64と一体的に回転するように設けられる。第2メインギア73は、その外周面に所定間隔で設けられた第2メイン歯73aを有する。第1メインギア72の第1メイン歯72aは、セカンダリギア71のセカンダリ歯71aに噛み合わされる。第1メインギア72は、セカンダリギア71の回転に伴い、セカンダリギア71を介して、メイン軸64と一体的に回転する。それにより、セカンダリ軸部51の動力は、セカンダリギア71と第1メインギア72を介して、メイン軸64に伝達される。ここで、セカンダリ軸部51の動力は、メイン軸64の回転速度がセカンダリ軸部51の回転速度よりも小さくなるようにして、メイン軸64に伝達される。
ドライブギア74は、ギアケース部61内のドライブ軸60に設けられる。ドライブギア74は、ドライブ軸60の回転軸線Adの方向に移動不能であって、かつ、ドライブ軸60に相対回転可能に設けられる。ドライブギア74は、後述する切り換え機構90の切り換え動作により、ドライブ軸60と一体的に回転可能な状態と、ドライブ軸60と一体的に回転不能な状態とに、切り換え可能に設けられる。具体的には、図5(a)に示すように、ドライブギア74は、その左方向の面に凹部74aが形成されている。凹部74aは、全周にわたって形成されている。凹部74aの径方向外側の面には、径方向内向きに突出したドライブドグ74bがある。ドライブドグ74bは切り換え機構90が有するギア選択部92の減速機選択部92Rと噛み合い可能に構成される。さらに、ドライブギア74は、その外周面に、ドライブ外歯74cを有する。ドライブ外歯74cは、ドライブドグ74bと同じ間隔で設けられている。ドライブ外歯74cは、第2メインギア73が有する第2メイン歯73aと噛み合う。ドライブ外歯74cは、ドライブドグ74bと同じ間隔で設けられなくてよい。
ギア選択部92がドライブドグ74bに噛み合わされた場合、ドライブギア74がドライブ軸60と一体的に回転する。ドライブギア74のドライブ外歯74cは、第2メインギア73の第2メイン歯73aと噛み合う。ドライブギア74は、第2メインギア73の回転に伴い、ドライブ軸60と一体的に回転する。そのため、メイン軸64の動力は、第2メインギア73およびドライブギア74を介して、ドライブ軸60に伝達される。ここで、メイン軸64の動力は、ドライブ軸60の回転速度がメイン軸64の回転速度よりも小さくなるようにしてドライブ軸60に伝達される。一方、ギア選択部92がドライブドグ74bに噛み合わされない場合、ドライブギア74がドライブ軸60と一体的に回転されない。メイン軸64の動力は、第2メインギア73およびドライブギア74を介してドライブ軸60に伝達されない。この場合において、ドライブギア74は、メイン軸64の回転と一体的に回転される第2メインギア73に伴い、回転されてもよい。なお、この場合において、ドライブギア74は、メイン軸64の動力をドライブ軸60に伝達しない。
[副変速機80の構成]
次に、副変速機80について、図4および図5(a)(b)に基づいて説明する。副変速機80は、副メインギア81および副ドライブギア82を含む。
副メインギア81は、ギアケース部61内のメイン軸64に設けられる。副メインギア81は、第2メインギア73の左方向に設けられる。副メインギア81は、メイン軸64の回転軸線Amの方向に移動不能であって、かつ、メイン軸64と一体的に回転するように設けられる。副メインギア81は、その外周面に所定間隔で設けられた副メイン歯81aを有する。副メインギア81の副メイン歯81aは、後述する副ドライブギア82の副ドライブ外歯82cに噛み合わされる。
副ドライブギア82は、ギアケース部61内のドライブ軸60に設けられる。副ドライブギア82は、後述するボス部95、および、ドライブギア74より車両左方向に配置される。車両左方向に見て、第2ドライブギア74、ボス部95、および、副ドライブギア82は、この順にドライブ軸60に設けられている。ボス部95は、ドライブ軸60にスプライン嵌合されている。第2ドライブギア74および副ドライブギア82は、ドライブ軸60にカラー等を介して円筒嵌合されている。つまり、副ドライブギア82は、ドライブ軸60の回転軸線Adの方向に移動不能であって、かつ、ドライブ軸60に相対回転可能に設けられる。副ドライブギア82は、後述する切り換え機構90の切り換え動作により、ドライブ軸60と一体的に回転可能な状態と、ドライブ軸60と一体的に回転不能な状態とに、切り換え可能に設けられる。具体的には、図5(b)に示すように、副ドライブギア82は、その車両左方向の面に凹部82aが形成されている。凹部82aは、全周にわたって形成されている。凹部82aの径方向外側の面には、径方向内向きに突出した副ドライブドグ82bがある。副ドライブドグ82bは後述する切り換え機構90が有するギア選択部92の副変速機選択部92Lと噛み合い可能に構成される。さらに、副ドライブギア82は、その外周面に、副ドライブ外歯82cを有する。副ドライブ外歯82cは、副ドライブドグ82bと同じ間隔で設けられている。副ドライブ外歯82cは、副メインギア81が有する副メイン歯81aと噛み合う。副ドライブ外歯82cは、副ドライブドグ82bと同じ間隔で設けられなくてよい。
ギア選択部92が副ドライブドグ82bに噛み合わされた場合、副ドライブギア82がドライブ軸60と一体的に回転する。副ドライブギア82の副ドライブ外歯82cは、副メインギア81の副メイン歯81aと噛み合う。副メインギア81は、メイン軸64と一体的に回転する。そのため、メイン軸64の動力は、副メインギア81および副ドライブギア82を介して、ドライブ軸60に伝達される。ここで、メイン軸64の動力は、副ドライブギア82の回転速度が副メインギア81の回転速度よりも小さくなるようにしてドライブに伝達される。メイン軸64の動力は、ドライブ軸60の回転速度がメイン軸64の回転速度よりも小さくなるようにしてドライブ軸60に伝達される。一方、ギア選択部92が副ドライブドグ82bに噛み合わされない場合、副ドライブギア82がドライブ軸60と一体的に回転されない。メイン軸64の動力は、副メインギア81および副ドライブギア82を介して、ドライブ軸60に伝達されない。なお、副ドライブギア82は、メイン軸64の回転と一体的に回転される副メインギア81に伴い、回転されてもよい。なお、この場合において、副ドライブギア82は、メイン軸64の動力をドライブ軸60に伝達しない。
なお、副ドライブギア82のドライブ軸60の回転軸線Adから副ドライブ外歯82cの外周端までの径方向の長さをLsdとする。また、ドライブギア74のドライブ軸60の回転軸線Adからドライブ外歯74cの外周端までの径方向の長さをLmdとする。長さLsdは、長さLmdよりも長い。そして、副メインギア81のメイン軸64の回転軸線Amから副メイン歯81aの外周端までの径方向の長さをLsmとする。また、第2メインギア73のメイン軸64の回転軸線Amから第3メイン歯73aの外周端までの径方向の長さをLmmとする。長さLsmは、長さLmmよりも短い。そのため、副ドライブギア82の回転速度に対する副メインギア81の回転速度の比は、ドライブギア74の回転速度に対する第2メインギア73の回転速度の比よりも大きい。
[切り換え機構90の構成]
次に、切り換え機構90について、図4および図5(c)、図6および図7に基づいて説明する。切り換え機構90は、ギア選択軸部91、複数のギア選択部92およびギア選択支持部93、ボス部95を有する。ギア選択軸部91、ギア選択部92およびギア選択支持部93は一体的に形成される。
ギア選択軸部91は、ドライブ軸60の内部に設けられた空間内に配置される。ギア選択軸部91は、ドライブ軸60の回転軸線Adの方向に沿って配置される。ギア選択軸部91は、ドライブ軸60の回転軸線Adの方向に移動可能であって、かつ、ドライブ軸60と一体的に回転可能に設けられる。ギア選択軸部91は、ライダー等の操作者によって操作可能である。ギア選択軸部91は、操作者の操作により、ドライブ軸60の回転軸線Adの方向に移動される。ギア選択軸部91は、その左端部にギア選択支持部93を有する。ギア選択支持部93は、車両左右方向に見て、ボス部95が有するスリット孔95aに挿入可能な形状(矩形状または円柱状)に形成されている。スリット孔95aは、ボス部95の前部および後部に、車両左右方向に沿って設けられる。ギア選択支持部93は、その車両前後方向の中心がギア選択軸部91の軸線と一致するように、ギア選択軸部91に固定して設けられる。つまり、ギア選択支持部93は、ギア選択軸部91と一体的に回転する。ギア選択支持部93の外周端部には、複数のギア選択部92が設けられる。ギア選択部92は、ギア選択中間支持部92C、減速機選択部92Rおよび副変速機選択部92Lを含む。ギア選択中間支持部92C、減速機選択部92Rおよび副変速機選択部92Lは、ボス部95に設けられたスプライン95aに沿ってボス部95に嵌合される。これにより、ギア選択部92は、ドライブ軸60の回転軸線Adの方向に移動可能であって、かつ、ドライブ軸60と一体的に回転可能に設けられる。減速機選択部92Rおよび副変速機選択部92Lは、ギア選択中間支持部92Cを介して連結されている。ギア選択中間支持部92Cは、ギア選択支持部93の外周端部から径方向に突出して設けられる。減速機選択部92Rは、ギア選択中間支持部92Cから車両右方向に突出して設けられる。副変速機選択部92Lは、ギア選択中間支持部92Cから車両左方向に突出して設けられる。減速機選択部92Rは、車両左右方向に見て、ドライブドグ74bに噛み合い可能な形状に形成される。副変速機選択部92Lは、車両左右方向に見て、副ドライブドグ82bに噛み合い可能な形状に形成される。減速機選択部92Rおよび副変速機選択部92Lは、車両左右方向に見て、同じ形状(例えば扇形)に形成されている。ギア選択中間支持部92Cは、車両左右方向に見て、減速機選択部92Rおよび副変速機選択部92Lと同じ形状(例えば扇形)に形成されている。ギア選択部92は、減速機70が有するドライブギア74または副変速機80が有する副ドライブギア82のいずれかに噛み合う。ギア選択部92の噛み合う対象を変更することによって、動力伝達経路の一部が、減速機70の一部および副変速機80のいずれかに切り換わる。ギア選択部92が、減速機70が有するドライブギア74と噛み合う場合、動力伝達経路の一部が、減速機70で構成される。ギア選択部92が、副変速機80が有する副ドライブギア82と噛み合う場合、動力伝達経路の一部が、副変速機80で構成される。より詳細には、動力伝達経路の一部が、副変速機80と減速機70の一部で構成される。ギア選択部92およびギア選択支持部93は、噛み合いクラッチ94を構成する。
切り換え機構90は、図4に示す位置と、図6に示す位置と、図7に示す位置とに配置を切り換える切り換え動作が可能である。切り換え機構90の切り換え動作は、ライダー等の操作者が、ドライブ軸60の外に配置された図示しない操作子を介して、ギア選択軸部91をドライブ軸60の回転軸線Adの方向に移動させる操作により行われる。切り換え機構90は、自動二輪車1の停車中に切り換え動作が可能であって、且つ、自動二輪車1の走行中に、切り換え動作が不能に構成される。ギア選択軸部91は、例えば、走行中に操作者の手または足が届かない場所にあってもよい。切り換え機構90が図4に示す位置に配置された場合、切り換え機構90の減速機選択部92Rがドライブドグ74bに噛み合わず、副変速機選択部92Lが副ドライブドグ82bに噛み合わない。つまり、切り換え機構90が図4に示す位置に配置された場合、切り換え機構90が減速機70および副変速機80のいずれにも噛み合わないニュートラル状態になる。切り換え機構90が図6に示す位置に配置された場合、切り換え機構90の減速機選択部92Rがドライブドグ74bに噛み合い、且つ、副変速機選択部92Lが副ドライブドグ82bに噛み合わない。つまり、切り換え機構90が図6に示す位置に配置された場合、切り換え機構90が減速機70に噛み合う減速機切り換え状態になる。切り換え機構90が図7に示す位置に配置された場合、切り換え機構90の減速機選択部92Rがドライブドグ74bに噛み合わず、副変速機選択部92Lが副ドライブドグ82bに噛み合う。つまり、切り換え機構90が図7に示す位置に配置された場合、切り換え機構90が副変速機80に噛み合う副変速機切り換え状態になる。
[動力伝達経路]
ここで、スイングユニット6の動力伝達経路について、図1に基づいて説明する。
図1に示すように、動力伝達経路は、クランク軸21から後輪部3に至るまで動力が伝達される経路である。クランク軸21が、動力伝達経路における上流端である。後輪部3が、動力伝達経路における下流端である。ベルト式無段変速機30は、クランク軸21と同軸に形成されたプライマリ軸部41に設けられたプライマリプーリ42により、クランク軸21に動力伝達可能に接続される。そして、クランク軸21の動力は、プライマリプーリ42と共にベルト32が巻き掛けられたセカンダリプーリ52が設けられたセカンダリ軸部51に伝達される。セカンダリ軸部51の動力は、メイン軸64を介して、後輪部3のドライブ軸60に伝達される。
ここで、切り換え機構90が減速機70に噛み合う減速機切り換え状態に切り換えられると、切り換え機構90の減速機選択部92Rがドライブドグ74bに噛み合う(図6参照)。そして、セカンダリ軸部51の回転に伴い、セカンダリギア71が回転する。セカンダリギア71が回転すると、セカンダリギア71に噛み合う第1メインギア72が回転される。第1メインギア72の回転に伴い、メイン軸64が回転する。メイン軸64の回転に伴い、第2メインギア73が回転する。第2メインギア73が回転すると、第2メインギア73に噛み合うドライブギア74が回転する。ドライブギア74の回転に伴い、ドライブ軸60が回転する。なお、メイン軸64の回転に伴い、副メインギア81も回転し、副メインギア81に噛み合う副ドライブギア82も回転する。しかしながら、副ドライブギア82は、切り換え機構90に噛み合っていないため、メイン軸64の動力をドライブ軸60に伝達することなく空転する。このように、切り換え機構90が減速機70に噛み合う減速機切り換え状態に切り換えられると、セカンダリ軸部51の動力は、減速機70のセカンダリギア71および第1メインギア72により減速機70のメイン軸64に伝達され、メイン軸64の動力は減速機70の第2メインギア73およびドライブギア74により後輪部3のドライブ軸60に伝達される。
切り換え機構90が副変速機80に噛み合う副変速機切り換え状態に切り換えられると、切り換え機構90の副変速機選択部92Lが副ドライブドグ82bに噛み合う(図7参照)。そして、セカンダリ軸部51の回転に伴い、セカンダリギア71が回転する。セカンダリギア71が回転すると、セカンダリギア71に噛み合う第1メインギア72が回転される。第1メインギア72の回転に伴い、メイン軸64が回転する。メイン軸64の回転に伴い、副メインギア81が回転する。副メインギア81が回転すると、副メインギア81に噛み合う副ドライブギア82が回転される。副ドライブギア82の回転に伴い、ドライブ軸60が回転する。なお、メイン軸64の回転に伴い、第2メインギア73も回転し、第2メインギア73に噛み合うドライブギア74も回転する。しかしながら、ドライブギア74は、切り換え機構90に噛み合っていないため、メイン軸64の動力をドライブ軸60に伝達することなく空転する。このように、切り換え機構90が副変速機80に噛み合う減速機切り換え状態に切り換えられると、セカンダリ軸部51の動力は減速機70によりメイン軸64に伝達され、メイン軸64の動力は副変速機80によりドライブ軸60に伝達される。ここで、副変速機80が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するメイン軸64の回転速度の比が、副変速機80が動力を伝達せずに減速機70が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するメイン軸64の回転速度の比と異なるように構成される。つまり、減速機70および副変速機80は、ドライブ軸60の回転速度に対するメイン軸64の回転速度の比が互いに異なるように構成される。副変速機80が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するメイン軸64の回転速度の比が、副変速機80が動力を伝達せずに減速機70が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するメイン軸64の回転速度の比より大きくなるように、変速比が制御される。
切り換え機構90が減速機70および副変速機80のいずれにも噛み合わないニュートラル状態に切り換えられると、切り換え機構90がドライブドグ74bおよび副ドライブドグ82bのいずれにも噛み合わない(図4参照)。そして、セカンダリ軸部51の回転に伴い、セカンダリギア71が回転する。セカンダリギア71が回転すると、セカンダリギア71に噛み合う第1メインギア72が回転される。第1メインギア72の回転に伴い、メイン軸64が回転する。メイン軸64の回転に伴い、第2メインギア73が回転する。第2メインギア73が回転しても、ドライブギア74は回転しない。また、メイン軸64の回転に伴い、副メインギア81が回転する。副メインギア81が回転しても、副ドライブギア82は回転しない。このため、セカンダリ軸部51およびメイン軸64が回転しても、ドライブ軸60は回転しない。このように、切り換え機構90が減速機70および副変速機80のいずれにも噛み合わないニュートラル状態に切り換えられると、セカンダリ軸部51の動力はメイン軸64に伝達されるが、メイン軸64の動力はドライブ軸60に伝達されない。
切り換え機構90が減速機切り換え状態および副変速機切り換え状態のそれぞれについて、スイングユニット6のエンジン回転数と速度との関係の一例を図8に示す。図8における細い実線Mmは、切り換え機構90が減速機切り換え状態におけるスイングユニット6のエンジン回転数と速度との関係を示している。図8における太い実線Msは、切り換え機構90が副変速機切り換え状態におけるスイングユニット6のエンジン回転数と速度との関係を示している。図8に示すように、副変速機切り換え状態では、減速機切り換え状態と比べて変速比がより大きくなるように、変速比が制御される。
具体例1のスイングユニット6によると、上記実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
減速機70および副変速機80は、メイン軸64を共有する。メイン軸64は、セカンダリ軸部51から動力が伝達され、且つ、ドライブ軸60に動力を伝達する。減速機70および副変速機80は、副変速機80が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するメイン軸64の回転速度の比が、副変速機80が動力を伝達せずに減速機70が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するメイン軸64の回転速度の比と異なるように構成される。ここで、メイン軸64およびドライブ軸60は、動力伝達経路においてベルト式無段変速機30よりも下流に配置される。動力伝達経路においてベルト式無段変速機30と後輪部3の間は、比較的大きい空きスペースがある。ベルト式無段変速機30と後輪部3の間の比較的大きい空きスペースに、副変速機80および切り換え機構90を配置することができる。従って、副変速機80および切り換え機構90をスイングユニット6にコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニット6の大型化を抑制することができる。
減速機70は、メイン軸64に設けられる第2メインギア73と、ドライブ軸60に設けられるドライブギア74を含む。ドライブギア74は、第2メインギア73に噛み合わされる。メイン軸64から第2メインギア73とドライブギア74を介してドライブ軸60に動力が伝達される。また、副変速機80は、メイン軸64に設けられる副メインギア81と、ドライブ軸60に設けられる副ドライブギア82を含む。副ドライブギア82は、副メインギア81に噛み合わされる。メイン軸64から副メインギア81と副ドライブギア82を介してドライブ軸60に動力が伝達される。第2メインギア73の歯数に対するドライブギア74の歯数の比と、副メインギア81の歯数に対する副ドライブギア82の歯数の比とを異なる値にできる。これにより、減速機70および副変速機80は、副変速機80が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するメイン軸64の回転速度の比が、副変速機80が動力を伝達せずに減速機70が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するメイン軸64の回転速度の比と異なるように構成される。ベルト式無段変速機30と後輪部3の間の比較的大きい空きスペースに、減速機70の2つのギア73、74と併せて副変速機80の2つのギア81、82を配置することができる。従って、副変速機80および切り換え機構90をスイングユニット6にコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニット6の大型化を抑制することができる。
切り換え機構90は、噛み合いクラッチ94を含む。噛み合いクラッチ94は、第2メインギア73および副メインギア81に形成されたドグに噛み合うように構成されるドグクラッチである。噛み合いクラッチ94は摩擦クラッチよりもコンパクトに構成できる。従って、スイングユニット6の大型化を抑制できる。
噛み合いクラッチ94は、減速機70または副変速機80のいずれにも噛み合わない状態を有する。これにより、スイングユニット6は、エンジン20の動力が後輪に伝達されないニュートラル状態を有することができる。スイングユニット6がニュートラル状態を有することにより、エンジン20の駆動を停止した状態において、自動二輪車1を押して移動させることが可能になる。また、ニュートラル状態を摩擦クラッチで実現できるが、摩擦クラッチではなく噛み合いクラッチ94でニュートラル状態を実現することにより、切り換え機構90をコンパクトに構成することができる。従って、スイングユニット6の大型化を抑制できる。
切り換え機構90は、自動二輪車1の停止中に操作者であるライダーによって操作可能であって、且つ、自動二輪車1の走行中に操作不能に構成された操作子であるギア選択軸部91を含む。切り換え機構90は、操作者によってギア選択軸部91が操作されることにより、動力伝達経路の一部として、減速機70の少なくとも一部および副変速機80のいずれかに切り換える。そして、切り換え機構90は、ギア選択軸部91が操作者の手または足等で操作されることにより、減速機70と副変速機80とを切り換える。つまり、切り換え機構90をアクチュエータ等で構成する必要がなくなる。ここで、ギア選択軸部91は、アクチュエータに比べて、サイズが小さい場合が多い。これにより、切り換え機構90をコンパクトに構成することができる。従って、スイングユニット6の大型化を抑制できる。
プライマリ軸部41は、クランク軸21と一体に形成される。つまり、プライマリ軸部41とクランク軸21とを動力伝達可能に接続する動力伝達機構が不要になる。従って、スイングユニット6の大型化を抑制できる。
副変速機80が動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するセカンダリ軸部51の回転速度の比は、副変速機80が動力を伝達せずに減速機70の動力を伝達するときのドライブ軸60の回転速度に対するセカンダリ軸部51の回転速度の比よりも大きい。ここで、車両の積載重量が比較的大きい状態で走行する場合や、勾配の大きい場所を走行する場合等、ライダーが変速比を比較的大きくして走行することを好む走行シーンがある。このような走行シーンにおいて、ライダーが切り換え機構90により副変速機80に切り換えることにより、自動二輪車1の走行シーンに合わせた変速比の制御を変更できる。
(具体例2)
次に、具体例2に係るスイングユニット106について説明する。具体例2のスイングユニット106は、具体例1のスイングユニット6と同様に、自動二輪車1に搭載可能に構成される。また、具体例2のスイングユニット106の減速機170、副変速機180および切り換え機構190の構成は、具体例1のスイングユニット6の減速機70、副変速機80および切り換え機構90の構成と異なる。具体例2のスイングユニット106のギアケース部61内のセカンダリ軸部151およびドライブ軸160の構成は、具体例1のスイングユニット6のセカンダリ軸部51およびドライブ軸60のギアケース部61内の構成と異なる。具体例2のスイングユニット106のセカンダリ軸部151のギアケース部61内、ドライブ軸160のギアケース部61内、減速機170、副変速機180および切り換え機構190以外の構成は、具体例1のスイングユニット6のドライブ軸60のギアケース部61内、減速機70のギアケース部61内、減速機70、副変速機80および切り換え機構90以外の構成と同じであり、その説明を省略する。
[減速機170の構成]
減速機170について、図9、図10(a)(b)に基づいて説明する。減速機170は、メイン軸164を含む。メイン軸164は、セカンダリ軸部151およびドライブ軸160と平行に配置される。メイン軸164は、軸受164aおよび軸受164bを介して、ギアケース部61に支持されている。減速機170は、セカンダリギア171、第1メインギア172、第2メインギア173およびドライブギア174を含む。減速機170は、ギアケース部61内に配置される。
セカンダリギア171は、ギアケース部61内のセカンダリ軸部151に設けられる。セカンダリギア171は、セカンダリ軸部151の回転軸線方向に移動不能であって、かつ、セカンダリ軸部151と一体的に回転するように設けられる。セカンダリギア171は、その外周面に所定間隔で設けられたセカンダリ歯171aを有する。セカンダリ歯171aは、後述する第1メインギア172の第1メイン外歯172cに噛み合わされる。セカンダリギア171は、セカンダリ軸部151と一体的に回転する。
第1メインギア172および第2メインギア173は、メイン軸164に設けられる。第1メインギア172は、第2メインギア173の右方向に設けられる。第1メインギア172は、メイン軸164の回転軸線Am2の方向に移動不能であって、かつ、メイン軸164に相対回転可能に設けられる。第1メインギア172は、後述する切り換え機構190の切り換え動作により、メイン軸164と一体的に回転可能な状態と、メイン軸164と一体的に回転不能な状態とに、切り換え可能に設けられる。具体的には、図10(a)に示すように、第1メインギア172は、その車両右方向の面に凹部172aが形成されている。凹部172aは、全周にわたって形成されている。凹部172aの径方向外側の面には、径方向内向きに突出したメインドグ172bがある。メインドグ172bは後述する切り換え機構190が有するギア選択部192の減速機選択部192Rと噛み合い可能に構成される。さらに、第1メインギア172は、その外周面に所定間隔で設けられた第1メイン外歯172cを有する。第1メイン外歯172cは、メインドグ172bと同じ間隔で設けられている。第1メインギア172は、セカンダリ歯171aと噛み合う。第2メインギア173は、メイン軸164の回転軸線Am2の方向に移動不能であって、かつ、メイン軸164と一体的に回転するように設けられる。第2メインギア173は、その外周面に所定間隔で設けられた第2メイン歯173aを有する。第2メイン歯173aは、ドライブギア174が有するドライブ歯174aに噛み合わされる。
ギア選択部192がメインドグ172bに噛み合わされた場合、第1メインギア172がメイン軸164と一体的に回転される。第1メインギア172の第1メイン外歯172cは、セカンダリ歯171aと噛み合う。第1メインギア172は、セカンダリ軸部151の回転に伴い、セカンダリギア171を介して、メイン軸164と一体的に回転される。そして、セカンダリ軸部151の動力は、セカンダリギア171および第1メインギア172を介して、メイン軸164に伝達される。ここで、セカンダリ軸部151の動力は、メイン軸164の回転速度がセカンダリ軸部151の回転速度よりも小さくなるようにしてメイン軸164に伝達される。一方、ギア選択部192がメインドグ173bに噛み合わされない場合、第1メインギア172がメイン軸164と一体的に回転されない。セカンダリ軸部151の動力は、セカンダリギア171および第1メインギア172を介してメイン軸164に伝達しない。なお、この場合において、第1メインギア172は、セカンダリ軸部151の回転と一体で回転されるセカンダリギア171に伴い、回転されてもよい。なお、この場合において、第1メインギア172は、セカンダリ軸部151の動力をメイン軸164に伝達しない。
ドライブギア174は、ギアケース部61内のドライブ軸160に設けられる。ドライブギア174は、ドライブ軸160の回転軸線の方向に移動不能であって、かつ、ドライブ軸160と一体的に回転するように設けられる。ドライブギア174は、その外周面に所定間隔で設けられたドライブ歯174aを有する。ドライブギア174のドライブ歯174aは、第2メインギア173の第2メイン歯173aに噛み合わされる。ドライブギア174は、ドライブ軸160と一体的に回転する。そのため、メイン軸164の動力は、第2メインギア173およびドライブギア174を介して、ドライブ軸160に伝達される。ここで、メイン軸164の動力は、ドライブ軸160の回転速度がメイン軸164の回転速度よりも小さくなるようにして、ドライブ軸160に伝達される。
[副変速機180の構成]
次に、副変速機180について、図4および図5(a)(b)に基づいて説明する。副変速機180は、副セカンダリギア181および副メインギア182を含む。
副セカンダリギア181は、ギアケース部61内のセカンダリ軸部151に設けられる。副セカンダリギア181は、セカンダリギア171の左方向に設けられる。副セカンダリギア181は、セカンダリ軸部151の回転軸線As2方向に移動不能であって、かつ、セカンダリ軸部151と一体的に回転するように設けられる。副セカンダリギア181は、その外周面に所定間隔で設けられた副セカンダリ歯181aを有する。副セカンダリギア181の副セカンダリ歯181aは、副メインギア182の副メイン外歯182cに噛み合わされる。
副メインギア182は、ギアケース部61内のメイン軸164に設けられる。副メインギア182は、後述するボス部195、および、第2メインギア173より車両左方向に配置される。車両左方向に見て、第2メインギア173、ボス部195、および、副メインギア182は、この順にメイン軸164に設けられている。ボス部195は、メイン軸164にスプライン嵌合されている。第2メインギア173および副メインギア182は、メイン軸164にカラー等を介して円筒嵌合されている。つまり、副メインギア182は、メイン軸164の回転軸線Am2の方向に移動不能であって、かつ、メイン軸164に相対回転可能に設けられる。副メインギア182は、後述する切り換え機構190の切り換え動作により、メイン軸164と一体的に回転可能な状態と、メイン軸164と一体的に回転不能な状態とに、切り換え可能に設けられる。具体的には、図10(b)に示すように、副メインギア182は、その車両右方向の面に凹部182aが形成されている。凹部182aは、全周にわたって形成されている。凹部182aの径方向外側の面には、径方向内向きに突出した副メインドグ182bがある。副メインドグ182bは後述する切り換え機構190が有するギア選択部192の副変速機選択部192Lと噛み合い可能に構成される。さらに、副メインギア182は、その外周面に、副メイン外歯182cを有する。副メイン外歯182cは、副メインドグ182bと同じ間隔で設けられている。副メイン外歯182cは、副セカンダリギア181が有する副セカンダリ歯181aと噛み合う。副メイン外歯182cは、副メインドグ182bと同じ間隔で設けられなくてよい。
ギア選択部192が副メインドグ182bに噛み合わされた場合、副メインギア182がメイン軸164と一体的に回転される。副セカンダリギア181の副セカンダリ歯181aと副メイン外歯182cで噛み合う副メインギア182は、副セカンダリギア181の回転に伴い、メイン軸164と一体的に回転される。そして、セカンダリ軸部151の動力は、副セカンダリギア181および副メインギア182を介して、メイン軸164に伝達される。ここで、セカンダリ軸部151の動力は、副メインギア182の回転速度が副セカンダリギア181の回転速度よりも小さくなるようにしてメイン軸164に伝達される。セカンダリ軸部151の動力は、メイン軸164の回転速度がセカンダリ軸部151の回転速度よりも小さくなるようにしてメイン軸164に伝達される。一方、ギア選択部192が副メインドグ182bに噛み合わされない場合、副メインギア182がメイン軸164と一体的に回転されない。セカンダリ軸部151の動力は、副セカンダリギア181および副メインギア182を介して、メイン軸164に伝達されない。なお、副メインギア182は、セカンダリ軸部151の回転と一体的に回転される副メインギア181に伴い、回転されてもよい。なお、この場合において、副メインギア182は、セカンダリ軸部151の動力をメイン軸164に伝達しない。
なお、副メインギア182のメイン軸164の回転軸線Am2から副メイン外歯182cの外周端までの径方向の長さをLsm2とする。また、第1メインギア172のメイン軸164の回転軸線Am2から第1メイン歯172aの外周端までの径方向の長さをLmm2とする。長さLsm2は、長さLmm2よりも長くなるように構成される。そして、副セカンダリギア181のセカンダリ軸部1510の回転軸の中心から副セカンダリ歯181aの外周端までの径方向の長さをLss2とする。また、セカンダリギア171のセカンダリ軸部151の回転軸の中心からセカンダリ歯171aの外周端までの径方向の長さをLmsとする。長さLssは、長さLmsよりも短くなるように構成される。つまり、副メインギア182の回転速度に対する副セカンダリギア181の回転速度の比は、第1メインギア172の回転速度の比に対するセカンダリギア171の回転速度の比よりも大きい。
[切り換え機構190の構成]
次に、切り換え機構190について、図9、図10(c)、図11および図12に基づいて説明する。切り換え機構190は、ギア選択軸部191、複数のギア選択部192およびギア選択支持部193、ボス部195を有する。ギア選択軸部191、ギア選択部192およびギア選択支持部193は一体的に形成される。
ギア選択軸部191は、メイン軸164の内部に設けられた空間内に配置される。ギア選択軸部191は、メイン軸164の回転軸線Am2の方向に沿って配置される。ギア選択軸部191は、メイン軸164の回転軸線Am2の方向に移動可能であって、かつ、メイン軸164と一体的に回転可能に設けられる。ギア選択軸部191は、ライダー等の操作者によって操作可能である。ギア選択軸部191は、操作者の操作により、メイン軸164の回転軸線Am2の方向に移動される。ギア選択軸部191は、その右端部にギア選択支持部193を有する。ギア選択支持部193は、車両左右方向に見て、ボス部195が有するスリット孔195aに挿入可能な形状(矩形状または円柱状)形成される。スリット孔195aは、ボス部195の前部および後部に、車両左右方向に沿って設けられる。ギア選択支持部193は、その車両前後方向の中心がギア選択軸部191の軸線と一致するように、ギア選択軸部191に固定して設けられる。つまり、ギア選択支持部193は、ギア選択軸部191と一体的に回転する。ギア選択支持部193の外周端部には、複数のギア選択部192が設けられる。ギア選択部192は、ギア選択中間支持部192C、減速機選択部192Rおよび副変速機選択部192Lを含む。ギア選択中間支持部192C、減速機選択部192Rおよび副変速機選択部192Lは、ボス部195に設けられたスプライン195aに沿ってボス部195に嵌合される。これにより、ギア選択部192は、メイン軸164の回転軸線Am2の方向に移動可能であって、かつ、メイン軸164と一体的に回転可能に設けられる。減速機選択部192Rおよび副変速機選択部192Lは、ギア選択中間支持部192Cを介して連結される。ギア選択中間支持部192Cは、ギア選択支持部193の外周端部から径方向に突出して設けられる。減速機選択部192Rは、ギア選択中間支持部192Cから車両右方向に突出して設けられる。副変速機選択部192Lは、ギア選択中間支持部192Cから車両左方向に突出して設けられる。減速機選択部192Rは、車両左右方向に見て、メインドグ172bに噛み合い可能な形状に形成される。副変速機選択部192Lは、車両左右方向に見て、副メインドグ182bに噛み合い可能な形状に形成される。減速機選択部192Rおよび副変速機選択部192Lは、車両左右方向に見て、同じ形状(例えば扇形)で形成されている。ギア選択中間支持部192Cは、車両左右方向に見て、減速機選択部192Rおよび副変速機選択部192Lと同じ形状(例えば扇形)に形成されている。つまり、ギア選択部192およびギア選択支持部193は、減速機170が有する第1メインギア172または副変速機180が有する副メインギア182のいずれか一方に噛み合うことによって、動力伝達経路の一部が、減速機170の一部および副変速機180のいずれかに切り換わる。ギア選択部192およびギア選択支持部193は、噛み合いクラッチ194を構成する。
切り換え機構190は、図9に示す位置と、図11に示す位置と、図12に示す位置とに配置を切り換える切り換え動作が可能である。切り換え機構190の切り換え動作は、ライダー等の操作者が、メイン軸164の外に配置された図示しない操作子を介して、ギア選択軸部191をメイン軸164の回転軸線Am2の方向に移動させる操作により行われる。つまり、ギア選択軸部191が操作子である。切り換え機構190は、自動二輪車1の停車中に切り換え動作が可能であって、且つ、自動二輪車1の走行中に、切り換え動作が不能に構成される。ギア選択軸部191は、例えば、走行中に操作者の手または足が届かない場所にあってもよい。切り換え機構190が図9に示す位置に配置された場合、切り換え機構190の減速機選択部192Rがメインドグ172bに噛み合わず、副変速機選択部192Lが副メインドグ182bに噛み合わない。つまり、切り換え機構190が図9に示す位置に配置された場合、切り換え機構190が減速機170および副変速機180のいずれにも噛み合わないニュートラル状態になる。切り換え機構190が図11に示す位置に配置された場合、切り換え機構190の減速機選択部192Rがメインドグ172bに噛み合い、且つ、副変速機選択部192Lが副メインドグ182bに噛み合わない。つまり、切り換え機構190が図11に示す位置に配置された場合、切り換え機構190が減速機170に噛み合う減速機切り換え状態になる。切り換え機構190が図11に示す位置に配置された場合、切り換え機構190の減速機選択部192Rがメインドグ172bに噛み合わず、副変速機選択部192Lが副メインドグ182bに噛み合う。つまり、切り換え機構190が図11に示す位置に配置された場合、切り換え機構190が副変速機180に噛み合う副変速機切り換え状態になる。
[動力伝達経路]
ここで、スイングユニット106の動力伝達経路について、図13に基づいて説明する。
図13に示すように、スイングユニット106の動力伝達経路は、クランク軸21から後輪部3に至るまで動力が伝達される経路である。クランク軸21が、動力伝達経路における上流端である。後輪部3が、動力伝達経路における下流端である。ベルト式無段変速機30は、クランク軸21と同軸に形成されたプライマリ軸部41に設けられたプライマリプーリ42により、クランク軸21に動力伝達可能に接続される。そして、クランク軸21の動力は、プライマリプーリ42と共にベルト32が巻き掛けられたセカンダリプーリ52が設けられたセカンダリ軸部151に伝達される。セカンダリ軸部151の動力は、メイン軸164を介して、後輪部3のドライブ軸160に伝達される。
ここで、切り換え機構190が減速機170に噛み合う減速機切り換え状態に切り換えられると、切り換え機構190の減速機選択部192Rがメインドグ172bに噛み合う(図11参照)。そして、セカンダリ軸部151の回転に伴い、セカンダリギア171が回転する。セカンダリギア171が回転すると、セカンダリギア171に噛み合う第1メインギア172が回転される。第1メインギア172の回転に伴い、メイン軸164が回転する。メイン軸164の回転に伴い、第2メインギア173が回転する。第2メインギア173が回転すると、第2メインギア173に噛み合うドライブギア174が回転する。ドライブギア174の回転に伴い、ドライブ軸160が回転する。なお、セカンダリ軸部151の回転に伴い、副セカンダリギア181も回転し、副セカンダリギア181に噛み合う副メインギア182も回転する。しかしながら、副メインギア182は、切り換え機構190に噛み合っていないため、動力を伝達することなく空転する。このように、切り換え機構190が減速機170に噛み合う減速機切り換え状態に切り換えられると、セカンダリ軸部151の動力は、減速機170のセカンダリギア171および第1メインギア172によりメイン軸164に伝達され、メイン軸164の動力は減速機170の第2メインギア173およびドライブギア174により後輪部3のドライブ軸160に伝達される。
切り換え機構190が副変速機180に噛み合う副変速機切り換え状態に切り換えられると、切り換え機構190の副変速機選択部192Lが副メインドグ182bに噛み合う(図12参照)。そして、セカンダリ軸部151の回転に伴い、副セカンダリギア181が回転する。副セカンダリギア181が回転すると、副セカンダリギア181に噛み合う副メインギア182が回転される。副メインギア182の回転に伴い、メイン軸164が回転する。メイン軸164の回転に伴い、第2メインギア173が回転する。第2メインギア173が回転すると、第2メインギア173に噛み合うドライブギア174が回転される。ドライブギア174の回転に伴い、ドライブ軸160が回転する。なお、セカンダリ軸部151の回転に伴い、セカンダリギア171も回転し、セカンダリギア171に噛み合う第1メインギア172も回転する。しかしながら、第1メインギア172は、切り換え機構190に噛み合っていないため、動力を伝達することなく空転する。このように、切り換え機構190が副変速機180に噛み合う減速機切り換え状態に切り換えられると、セカンダリ軸部151の動力は副変速機180によりメイン軸164に伝達され、メイン軸164の動力は減速機170によりドライブ軸160に伝達される。ここで、副変速機180が動力を伝達するときのメイン軸164の回転速度に対するセカンダリ軸部151の回転速度の比が、副変速機180が動力を伝達せずに減速機170が動力を伝達するときのメイン軸164の回転速度に対するセカンダリ軸部151の回転速度の比と異なるように構成される。つまり、減速機170および副変速機180は、メイン軸164の回転速度に対するセカンダリ軸部151の回転速度の比が互いに異なるように構成される。副変速機180が動力を伝達するときのメイン軸164の回転速度に対するセカンダリ軸部151の回転速度の比が、副変速機180が動力を伝達せずに減速機170が動力を伝達するときのメイン軸164の回転速度に対するセカンダリ軸部151の回転速度の比より大きくなるように、変速比が制御される。
切り換え機構190が減速機170および副変速機180のいずれにも噛み合わないニュートラル状態に切り換えられると、切り換え機構190がメインドグ172bおよび副メインドグ182bのいずれにも噛み合わない(図9参照)。そして、セカンダリ軸部151が回転しても、第1メインギア172および副メインギア182のいずれも空転する。そのため、メイン軸164は回転しない。そして、メイン軸164が回転しないため、第2メインギア173が回転しない。第2メインギア173が回転しないため、第2メインギア173に噛み合うドライブギア174も回転しない。このため、セカンダリ軸部151が回転すると第1メインギア172および副メインギア182は回転するが、メイン軸164およびドライブ軸160は回転しない。このように、切り換え機構190が減速機170および副変速機180のいずれにも噛み合わないニュートラル状態に切り換えられると、セカンダリ軸部151の動力はメイン軸164およびドライブ軸160に伝達されない。
具体例2のスイングユニット106によると、上記具体例1の効果に加えて、以下の効果を有する。
減速機170および副変速機180は、メイン軸164を共有する。メイン軸164は、セカンダリ軸部151から動力が伝達され、且つ、ドライブ軸160に動力を伝達する。減速機170および副変速機180は、副変速機180が動力を伝達するときのメイン軸164の回転速度に対するセカンダリ軸部151の回転速度の比が、副変速機180が動力を伝達せずに減速機170が動力を伝達するときのメイン軸164の回転速度に対するセカンダリ軸部151の回転速度の比と異なるように構成される。ここで、セカンダリ軸部151およびメイン軸164は、動力伝達経路においてベルト式無段変速機30よりも下流に配置される。動力伝達経路においてベルト式無段変速機30と後輪部3の間は、比較的大きい空きスペースがある。ベルト式無段変速機30と後輪部3の間の比較的大きい空きスペースに、副変速機180および切り換え機構190を配置することができる。従って、副変速機180および切り換え機構190をスイングユニット106にコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニット106の大型化を抑制することができる。
減速機170は、セカンダリ軸部151に設けられるセカンダリギア171とメイン軸164に設けられる第1メインギア172を含む。セカンダリギア171は、第1メインギア172に噛み合わされる。セカンダリ軸部151からセカンダリギア171と第1メインギア172を介してメイン軸164に動力が伝達される。また、副変速機180は、セカンダリ軸部151に設けられる副セカンダリギア181とメイン軸164に設けられる副メインギア182を含む。副セカンダリギア181は、副メインギア182に噛み合わされる。セカンダリ軸部151から副セカンダリギア181と副メインギア182を介してメイン軸164に動力が伝達される。セカンダリギア17の歯数に対する第1メインギア172の歯数の比と、副セカンダリギア181の歯数に対する副メインギア182の歯数の比とを異なる値にできる。これにより、減速機170および副変速機180は、副変速機180が動力を伝達するときのメイン軸164の回転速度に対するセカンダリ軸部151の回転速度の比が、副変速機180が動力を伝達せずに減速機170が動力を伝達するときのメイン軸164の回転速度に対するセカンダリ軸部151の回転速度の比と異なるように構成される。そして、ベルト式無段変速機30と後輪部3の間の比較的大きい空きスペースに、減速機170の2つのギア171、172と併せて副変速機180の2つのギア181、182を配置することができる。従って、副変速機180および切り換え機構190をスイングユニット106にコンパクトに配置することができる。これにより、スイングユニット106の大型化を抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。また、後述する変更例は適宜組み合わせて実施することができる。
上記実施形態のスイングユニットは、減速機および副変速機がギアケース部61内に配置される。しかしながら、減速機および副変速機は、その一部が伝動ケース部内に配置されてもよい。
上記実施形態および具体例のスイングユニットが搭載される自動二輪車1は、1つのバッテリを有する。しかしながら、本発明のスイングユニットが搭載される車両は、複数のバッテリを有してよい。
上記実施形態および具体例のスイングユニットが搭載される自動二輪車1は、後輪3aが駆動輪である。しかし、本発明のスイングユニットが搭載される車両は、前輪が駆動輪でもよい。また、上記実施形態のスイングユニットが搭載される車両は、前輪部が1つの前輪を有している。しかし、本発明のスイングユニットが搭載される車両は、複数の前輪を有してもよい。また、上記実施形態のスイングユニットが搭載される車両は、後輪部が1つの後輪を有している。しかしながら、本発明のスイングユニットが搭載される車両は、後輪部が複数の後輪を有してもよい。
上記実施形態の具体例のスイングユニットでは、プライマリ軸部41の回転軸線であるプライマリ回転軸線Apがクランク軸21のクランク回転軸線Acと同一直線上に配置されている。つまり、上記実施形態のプライマリ軸部がクランク軸と一体で構成されている。しかしながら、本発明のスイングユニットは、プライマリ軸部の回転軸線であるプライマリ回転軸線がクランク軸のクランク回転軸線と同一直線上に配置されていなくてよい。つまり、本発明のスイングユニットは、プライマリ軸部とクランク軸とが別々に設けられていてもよい。
上記実施形態の具体例のスイングユニットでは、減速機選択部92R、192Rおよび副変速機選択部92L、192Lは、車両左右方向に見て、同じ形状で形成されている。そして、ギア選択中間支持部92C、192Cは、車両左右方向に見て、減速機選択部92R、192Rおよび副変速機選択部92L、192Lと同じ形状に形成されている。しかしながら、本発明のスイングユニットでは、減速機選択部、副変速機選択部およびギア選択中間支持部はそれぞれ異なる形状に形成されていてもよい。また、上記実施形態のスイングユニットでは、減速機選択部92R、192R、副変速機選択部92L、192Lおよびギア選択中間支持部92C、192Cは、扇形で形成されている。しかしながら、本発明のスイングユニットでは、楕円形等その他の形状で形成されていてもよい。
上記実施形態の具体例のスイングユニットでは、棒状のギア選択軸部91、191が操作子であり、操作者が直接ギア選択軸部91、191を操作して切り換え動作を行うことができる。しかしながら、本発明のスイングユニットは、操作者がスイッチを介してギア選択軸部91の切り換え動作を行うことができるようにしてもよい。この場合、スイッチは車両の走行中にロックされてもよい。
上記実施形態の具体例のスイングユニットは、セカンダリ軸部51とメイン軸64とドライブ軸60とを有し、この順に動力が伝達される。また、セカンダリ軸部151とメイン軸164とドライブ軸160とを有し、この順に動力が伝達される。しかしながら、本発明のスイングユニットは、セカンダリ軸部は、メイン軸と一体に形成されてもよい。具体的には、具体例1のスイングユニット6において、セカンダリギア71と第1メインギア72を設けなくてよい。そして、減速機が、メイン軸と一体に形成されたセカンダリ軸部に設けられた第2メインギア73およびドライブ軸60に設けられたドライブギア74を有する。また、副変速機が、メイン軸と一体に形成されたセカンダリ軸部に設けられた副メインギア81およびドライブ軸60に設けられた副ドライブギア82を設けてもよい。そして、副変速機が、切り換え機構により、減速機の全部に切り換えられる。この場合、セカンダリ軸部とメイン軸とを動力伝達可能に接続する動力伝達機構が不要になる。そして、スイングユニットの大型化を抑制できる。また、本発明のスイングユニットは、動力伝達経路において、セカンダリ軸部とメイン軸の間、メイン軸とドライブ軸の間、の少なくともいずれかに、1つ以上のギアを有する軸が配置されてもよい。この1つ以上のギアを有する軸は、減速機のみに含まれてもよく、副変速機のみに含まれてもよく、減速機と副変速機の両方に含まれてもよい。
上記実施形態の具体例1のスイングユニット6では、減速機70が車両右方向に設けられ、副変速機80が車両左方向に設けられている。また、具体例2のスイングユニット106では、減速機170が車両右方向に設けられ、副変速機180が車両左方向に設けられている。本発明のスイングユニットは、減速機が車両左方向に設けられ、副変速機が車両右方向に設けられていてもよい。
上記実施形態では、具体例1にドライブ軸60に切り換え機構90を有するスイングユニット6を、具体例2にメイン軸164に切り換え機構190を有するスイングユニット106を示した。本発明のスイングユニットは、切り換え機構をセカンダリ軸部に有してもよい。この場合、メイン軸に減速機の1つのギアおよび副変速機の1つのギアが設けられる。そして、セカンダリ軸部に、切り換え機構とそれぞれ噛み合い可能な減速機の1つのギアおよび副変速機の1つのギアが設けられる。
本発明のスイングユニットでは、ベルト式無段変速機は、上記実施形態のベルト式無段変速機の構成に限らない。本発明のスイングユニットでは、ベルト式無段変速機は、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、ベルトと、を有していれば、どのような構成であってもよい。例えば、上記実施形態のベルト式無段変速機は、プライマリプーリは、2つのプライマリシーブを有し、電動モータにより2つのプライマリシーブの幅が変化されるように構成される。しかしながら、本発明のベルト式無段変速機では、2つのプライマリシーブを有し、特許文献1に示す移動制限機構およびウェイトにより2つのプライマリシーブの幅が変化されるように構成されてもよい。また、本発明のベルト式無段変速機では、2つのプライマリシーブを有し、公知のウェイトにより2つのプライマリシーブの幅が変化されるように構成されてもよい。
上記実施形態の具体例では、リヤサスペンション7bは、伝動ケース部31の後端部に設けられたボス部6bと連結されている。しかしながら、本発明のスイングユニットでは、リヤサスペンションは、後輪部のドライブ軸と連結されていてもよい。また、本発明のスイングユニットでは、後輪部のドライブ軸と連結されているリヤサスペンションと、伝動ケースと連結されているリヤサスペンションの両方を有してもよい。
上記実施形態の具体例1では、ボス部95は、ドライブ軸60にスプライン嵌合されている。また、具体例2では、ボス部195は、メイン軸164にスプライン嵌合されている。本発明のスイングユニットでは、切り換え機構のボス部は、軸方向に移動不能で、軸と共に回転可能に構成されていれば、スプライン嵌合以外の方法によって軸に設けられてもよい。
本発明のスイングユニットでは、エンジンが、複数の気筒を有する多気筒エンジンであってもよい。本発明のスイングユニットでは、エンジンが、2ストロークエンジンであってもよい。本発明のスイングユニットでは、エンジンが、自然空冷式のエンジンであってもよい。本発明のスイングユニットでは、エンジンが、液冷式のエンジンであってもよい。液冷式のエンジンで用いる冷却液は、水でもよく、水以外であってもよい。また、エンジンは、通常のエンジンよりも多量の潤滑油を冷却に利用する油冷式のエンジンであってもよい。
上記実施形態のスイングユニットが搭載される車両として、自動二輪車を例示した。本発明のスイングユニットが搭載される車両は、どのような車両であってもよい。本発明の車両は、例えば、自動車であってもよい。本発明の車両は、自動二輪車以外の鞍乗型車両であってもよい。鞍乗型車両とは、ライダーが鞍にまたがるような状態で乗車する車両全般を指す。鞍乗型車両には、自動二輪車、三輪車、水上バイク、スノーモービル等が含まれる。本発明の車両は、鞍乗型車両でなくてもよい。
1 自動二輪車(車両)
3 後輪部
3a 後輪
6、106 スイングユニット
7 車体フレーム
20 エンジン
21 クランク軸
30 ベルト式無段変速機
32 ベルト
41 プライマリ軸部
44、45 プライマリシーブ
51、151 セカンダリ軸部
54、55 セカンダリシーブ
60、160 ドライブ軸
64、164 メイン軸
70、170 減速機
73 第2メインギア
74 ドライブギア
80、180 副変速機
81、182 副メインリギア
82 副ドライブギア
90、190 切り換え機構
94、194 噛み合いクラッチ
171 セカンダリギア
172 第1メインギア
181 副セカンダリギア

Claims (11)

  1. 動力を伝達する動力伝達経路の上流端に配置されるクランク軸を含み、車両の車体フレームに揺動可能に支持されるエンジンと、
    前記動力伝達経路の下流端に配置されるドライブ軸、および、前記ドライブ軸から動力が伝達される少なくとも1つの後輪を有し、前記車体フレームに揺動可能に支持される後輪部と、
    プライマリ軸部に設けられたプライマリシーブ、セカンダリ軸部に設けられたセカンダリシーブ、および、前記プライマリシーブおよび前記セカンダリシーブに巻回されたベルトを有し、前記セカンダリシーブの回転速度に対する前記プライマリシーブの回転速度の比を変更可能であって、前記クランク軸から前記プライマリ軸部に伝達された動力を前記セカンダリ軸部に伝達し、前記動力伝達経路の一部を構成するベルト式無段変速機と、
    前記ドライブ軸の回転速度が前記セカンダリ軸部の回転速度よりも小さくなるように、前記セカンダリ軸部から伝達された動力を前記ドライブ軸に伝達可能にし、前記動力伝達経路の一部を構成可能な減速機と、
    を有するスイングユニットであって、
    前記減速機の少なくとも一部に換えて前記動力伝達経路の一部を構成可能な副変速機であって、前記副変速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比が、前記副変速機が動力を伝達せずに前記減速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比と異なるように構成された前記副変速機と、
    前記車両の停止中に、前記動力伝達経路の前記一部を、前記減速機の前記少なくとも一部および前記副変速機のいずれかに切り換える切り換え動作が可能であって、且つ、前記車両の走行中に、前記切り換え動作が不能に構成される切り換え機構と、
    を更に有することを特徴とするスイングユニット。
  2. 前記減速機および前記副変速機は、前記セカンダリ軸部から動力が伝達され、且つ、前記ドライブ軸に動力を伝達するメイン軸を共有し、
    前記減速機および前記副変速機は、前記副変速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記メイン軸の回転速度の比が、前記副変速機が動力を伝達せずに前記減速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記メイン軸の回転速度の比と異なるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のスイングユニット。
  3. 前記セカンダリ軸部は、前記メイン軸と一体に形成されることを特徴とする請求項2に記載のスイングユニット。
  4. 前記減速機は、メインギアおよび前記メインギアに噛み合わされるドライブギアを含み、
    前記副変速機は、副メインギアおよび前記副メインギアに噛み合わされる副ドライブギアを含み、
    前記メインギアおよび前記副メインギアは、前記メイン軸に設けられ、
    前記ドライブギアおよび前記副ドライブギアは、前記ドライブ軸に設けられることを特徴とする請求項2または3に記載のスイングユニット。
  5. 前記減速機および前記副変速機は、前記セカンダリ軸部から動力が伝達され、且つ、前記ドライブ軸に動力を伝達するメイン軸を共有し、
    前記減速機および前記副変速機は、前記副変速機が動力を伝達するときの前記メイン軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比が、前記副変速機が動力を伝達せずに前記減速機が動力を伝達するときの前記メイン軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比と異なるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のスイングユニット。
  6. 前記減速機は、セカンダリギアおよび前記セカンダリギアに噛み合わされるメインギアを含み、
    前記副変速機は、副セカンダリギアおよび前記副セカンダリギアに噛み合わされる副メインギアを含み、
    前記セカンダリギアおよび前記副セカンダリギアは、前記セカンダリ軸部に設けられ、
    前記メインギアおよび前記副メインギアは、前記メイン軸に設けられることを特徴とする請求項5に記載のスイングユニット。
  7. 前記切り換え機構は、前記減速機が有するギアまたは前記副変速機が有するギアのいずれか一方に噛み合うことによって、前記動力伝達経路の前記一部を、前記減速機の前記少なくとも一部および前記副変速機のいずれかに切り換える噛み合いクラッチ(claw clutch)を含むことを特徴とする請求項4または6に記載のスイングユニット。
  8. 前記噛み合いクラッチは、前記減速機または前記副変速機のいずれにも噛み合わない状態を有することを特徴とする請求項7に記載のスイングユニット。
  9. 前記切り換え機構は、
    前記車両の停止中に操作者によって操作可能であって、且つ、前記車両の走行中に操作不能に構成された操作子を含み、
    前記操作者によって前記操作子が操作されることにより、前記動力伝達経路の前記一部を、前記減速機の前記少なくとも一部および前記副変速機のいずれかに切り換えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のスイングユニット。
  10. 前記プライマリ軸部は、前記クランク軸と一体に形成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のスイングユニット。
  11. 前記減速機および前記副変速機は、前記副変速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比が、前記副変速機が動力を伝達せずに前記減速機が動力を伝達するときの前記ドライブ軸の回転速度に対する前記セカンダリ軸部の回転速度の比よりも大きくなるように構成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のスイングユニット。
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