JP2020064136A - 遮光膜、光学素子、および光学機器 - Google Patents

遮光膜、光学素子、および光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】光反射性の表面を有する遮光膜において光反射性の表面と反対側の表面における反射光を抑制できるようにする。【解決手段】遮光膜3は、アルミニウム層6と、クロム層7と、クロム層7上に積層された酸化クロム(III)層8と、誘電体層9と、を含む。アルミニウム層6、クロム層7、酸化クロム(III)層8、および誘電体層9は、基材2側からこの順に積層されている。【選択図】図3

Description

本発明は、遮光膜、光学素子、および光学機器に関する。
光学機器において、機能上不必要な光束を遮光する目的で種々の遮光部材が設けられている。遮光部材としては、基材と、基材上に形成された遮光膜と、を有する構成が知られている。
例えば、遮光膜として黒色塗装による塗膜が用いられる場合がある。しかし、黒色塗装において、例えば、薄層では高い遮光性能が得られない、基材を汚染しやすい、といった問題がある。したがって、黒色塗装は、光学素子の表面に形成する遮光膜には適していない。
薄層でも高い遮光性を得られる技術として、高反射率を有する反射層と、低反射率を有する低反射層と、を積層させることが知られている。例えば、特許文献1には、電気光学装置において、アルミニウムからなる層、クロムからなる層、および酸化クロムからなる層で構成された遮光膜を用いることが記載されている。
特開2003−167534号公報
しかしながら、上記のような従来技術には、以下のような問題がある。
特許文献1に記載の遮光膜において、アルミニウムからなる層(以下、アルミニウム層)は反射層、酸化クロムからなる層(以下、酸化クロム層)は低反射層として用いられている。クロムからなる層(以下、クロム層)は、アルミニウム層に対する親和性が低い酸化クロム層を、アルミニウム層上に容易に形成する目的で用いられている。具体的には、アルミニウムの表面にクロムが積層された後、クロムが酸化されることによって、酸化クロム層が形成される。アルミニウム層と酸化クロム層との間にクロム層が介在することによって、酸化クロム層が強固にアルミニウム層に固定される。
この遮光膜の光学特性は、アルミニウム層から酸化クロム層に向かう光と、酸化クロム層からアルミニウム層に向かう光とで異なる。
例えば、外部からアルミニウム層に入射する第1の入射光は、アルミニウム層の反射率に応じて反射される。第1の入射光のうち反射光を除く透過光成分は、クロム層の透過率に応じてクロム層を透過する。酸化クロム層に到達する透過光成分は、第1の入射光に比べて低光量である。透過光成分は酸化クロム層において一部が吸収される。この結果、酸化クロム層を透過する遮光膜透過成分は、第1の入射光に比べて格段に低光量になる。
しかし、この遮光膜に酸化クロム層の方から入射する第2の入射光は、酸化クロム層およびクロム層を透過して、アルミニウム層で大部分が反射される。アルミニウム層における反射光成分は、酸化クロム層およびクロム層の透過率に応じて透過する。
この結果、第2の入射光および第1の入射光の光量が互いに等しい場合、遮光膜で反射される第2の入射光の反射光量は、遮光膜を透過する第1の入射光の透過光量よりも格段に大きくなる。
このように、特許文献1に記載の遮光膜は、アルミニウム層の方からの入射光に対しては、高反射率の反射膜として機能する。さらに、特許文献1に記載の遮光膜は、酸化クロム層の方からの入射光に対してもある程度の反射性を有している。
したがって、酸化クロム層から外部に向かう反射光がゴースト、フレアなど(以下、迷光と称する)の原因になる光学系では、特許文献1に記載の遮光膜は使用できないという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、光反射性の表面を有する遮光膜において光反射性の表面と反対側の表面における反射光を抑制できる遮光膜を提供することを目的とする。
さらに本発明は、迷光の発生を抑制することができる光学素子および光学機器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様の遮光膜は、透光性基材の上に形成される遮光膜であって、アルミニウム層と、クロム層と、酸化クロム(III)層と、前記酸化クロム(III)層に積層された誘電体層と、を備え、前記アルミニウム層、前記クロム層、前記酸化クロム(III)層、および前記誘電体層が、前記透光性基材側からこの順に積層されている。
上記遮光膜においては、前記誘電体層は前記酸化クロム(III)層とともに、前記誘電体層に外部から入射する入射光の反射を抑制してもよい。
上記遮光膜においては、前記誘電体層は、フッ化マグネシウム、二酸化ケイ素、および酸化アルミニウムからなる群から選ばれた1以上の誘電体を含んでもよい。
上記遮光膜においては、前記誘電体層の物理膜厚は80nm以下であってもよい。
上記遮光膜においては、前記入射光に対する反射率は、0%以上15%以下であってもよい。
上記遮光膜においては、前記透光性基材は、ガラス基材であってもよい。
本発明の第2の態様の光学素子は、透光性基材と、前記透光性基材上に形成された上記第1の態様の遮光膜と、を備える。
上記光学素子においては、前記透光性基材は、光束が出射可能な光学面を有しており、前記遮光膜は、前記光学面の一部に設けられ、前記光学面の前記一部からの前記光束の出射を規制してもよい。
本発明の第3の態様の光学機器は、上記第2の態様の光学素子を備える。
本発明の遮光膜によれば、光反射性の表面を有する遮光膜において光反射性の表面と反対側の表面における反射光を抑制できる。
本発明の光学素子および光学機器によれば、迷光の発生を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態の光学機器の主要部の一例を示す模式的な構成図である。 本発明の第1の実施形態の光学素子の一例を示す模式的な平面図である。 本発明の第1の実施形態の遮光膜の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第1の実施形態の変形例の遮光膜の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第2の実施形態の光学素子の一例を示す模式的な平面図である。 図5におけるA−A断面図である。 本発明の第3の実施形態の光学素子の一例を示す模式的な平面図である。 図7におけるB−B断面図である。 実施例の遮光膜の分光反射率を示すグラフである。 比較例の遮光膜の分光反射率を示すグラフである。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の遮光膜、光学素子、および光学機器について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の光学機器の主要部の一例を示す模式的な構成図である。図2は、本発明の第1の実施形態の光学素子の一例を示す模式的な平面図である。図3は、本発明の第1の実施形態の遮光膜の一例を示す模式的な断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態の変形例の遮光膜の一例を示す模式的な断面図である。
図1に主要部を示すように、観察装置50は、被検体Sを観察したり、被検体Sの光学特性を測定したりする装置である。例えば、観察装置50は、顕微鏡、内視鏡、映像解析装置などであってもよい。
本実施形態の観察装置50(光学機器)は、対物光学系1、プリズム4(光学素子)、および集光光学系5を備える。対物光学系1、プリズム4、および集光光学系5は、観察装置50の光軸O50上において物体側から像側に向かってこの順に配置されている。対物光学系1および集光光学系5の各光軸は、光軸O50に同軸に配置されている。
対物光学系1は、1以上のレンズを含む。対物光学系1は、被検体Sからの光を略平行光束に集光する。被検体Sからの光は、被検体Sを透過した透過光であってもよいし、被検体Sで反射した反射光であってもよい。
対物光学系1のレンズ構成は特に限定されない。例えば、図1に示す例では、対物光学系1は、物体側から像側に向かって、第1レンズ1A、第2レンズ1B、および第3レンズ1Cを備える。第1レンズ1A、第2レンズ1B、および第3レンズ1Cの構成は、対物光学系1全体として正の屈折力を有していれば、特に限定されない。
プリズム4は、基材2(透光性基材)と、遮光膜3と、を備える。
プリズム4は、対物光学系1において第3レンズ1Cから出射される光束L0のうち、光束L1を光軸O50に沿って透過させる。プリズム4は、光束L0のうち、周辺部の光束L2を光軸O50に交差する方向に反射する。
基材2の形状は、第1面2a、第2面2b、および第3面2cで囲まれた三角柱である。図2に示すように、基材2の平面視形状は矩形である。三角柱の延在方向の両端部のそれぞれには、第1端面2dと第2端面2eとが形成されている。第1端面2dおよび第2端面2eは、一例として、光軸O50に平行な平面である。
図1に示すように、第1面2aは、光軸O50に直交する平面からなる。第1面2aは、対物光学系1の第3レンズ1Cに対向して配置されている。
第2面2bは、光軸O50に対して斜め方向に交差する平面からなる。第2面2bは、第1面2aよりも像側に配置されている。光軸O50に沿う方向から見ると、第2面2bは、第1面2aに対向している。
例えば、第2面2bの第1面2aに対する傾斜角は、鋭角の範囲であれば特に限定されない。例えば、第2面2bの第1面2aに対する傾斜角は45度であってもよい。
第3面2cは、第1面2aおよび第2面2bの間に配置された平面からなる。例えば、第3面2cは、第1面2aと直交する平面であってもよい。
基材2は、例えば、ガラス、透明樹脂などの透光性材料で形成される。基材2は、透過率が高いガラス基材であることがより好ましい。
本実施形態の遮光膜3は、光束L2を遮光し、かつ光束L2を光軸O50に交差する方向に反射させる目的で設けられている。
図2に示すように、遮光膜3は、基材2の上に形成されている。具体的には、遮光膜3は、基材2の第2面2bにおいて、光束L2と覆う平面視帯状の範囲に形成されている。
図3に示すように、遮光膜3は、アルミニウム層6、クロム層7、酸化クロム(III)層8、および誘電体層9を備える。アルミニウム層6、クロム層7、酸化クロム(III)層8、および誘電体層9は、第2面2bから基材2の外部に向かって、この順に積層されている。以下では簡単のため、図3の図示例に合わせて、第2面2bから基材2の外部に向かう方向を上方向、その反対の方向を下方向と称する。層状部において上方向の表面は上面、下方向の表面は下面と称する。
アルミニウム層6は、第2面2bに密着して積層されている。アルミニウム層6は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる層状部である。アルミニウム層6は、基材2からアルミニウム層6に入射する光束L2を高反射率で反射させる目的で設けられる。
アルミニウム層6に用いる材料の反射率は、例えば、波長700nmにおいて、80%以上であることがより好ましい。
例えば、アルミニウム層6の材料として、純アルミニウムが用いられる場合、アルミニウム層6の層厚は60nm以上であることがより好ましい。
例えば、アルミニウム層6の層厚が60nm未満であると、光が透過しやすくなる。この結果、光反射性、遮光性が低下してしまう。
クロム層7は、アルミニウム層6の上面と対向して配置されている。クロム層7は、純クロムまたはクロム合金からなる層状部である。本実施形態では、一例として、クロム層7は、アルミニウム層6の上面に積層している。クロムは、アルミニウムと良好に密着するので、このような構成によれば、クロム層7は、アルミニウム層6と高強度に密着する。
ただし、遮光膜3として必要な膜強度が得られれば、アルミニウム層6の上面とクロム層7の下面との間には、他材料で形成された1層以上の層状部が積層されてもよい。
例えば、アルミニウム層6の上面とクロム層7の下面との間には、アルミニウムおよびクロムを含有する中間層が形成されていてもよい。このような中間層は、アルミニウム層6およびクロム層7との密着性に優れるので、アルミニウム層6とクロム層7との間における膜強度が向上する。この中間層は、層厚方向においてアルミニウムおよびクロムの比率が変化する傾斜層であってもよい。
例えば、アルミニウム層6とクロム層7との間には、二酸化ケイ素(SiO)のような層状部が積層されていてもよい。
クロム層7は、さらに、アルミニウム層6を透過してクロム層7に入射する光の透過率を低減する作用も有する。
酸化クロム(III)層8は、クロム層7の上面と対向して配置されている。酸化クロム(III)層8は、酸化クロム(III)(Cr)からなる層状部である。本実施形態では、一例として、酸化クロム(III)層8は、クロム層7の上面に積層している。
ただし、遮光膜3として必要な膜強度および光学特性が得られれば、クロム層7と酸化クロム(III)層8との間には、他材料で形成された1層以上の層状部が積層されてもよい。
例えば、クロム層7と酸化クロム(III)層8との間には、二酸化ケイ素(SiO)のような層状部が積層されていてもよい。
酸化クロム(III)層8は、後述する誘電体層9とともに、多層膜干渉による反射防止膜を構成する。多層膜干渉による反射防止膜は、高屈折率を有する光学薄膜と、低屈折率を有する光学薄膜とが交替に積層される。各光学薄膜の層厚(物理膜厚)は、入射光に対する反射率が目標値以下になる干渉を起こす光学膜厚が得られる大きさに設定される。
本実施形態では、酸化クロム(III)層8と、後述する誘電体層9とは、誘電体層9に外部から入射する光(以下、外部入射光と称する)の反射を抑制する反射防止膜を構成している。
酸化クロム(III)の波長500nmにおける屈折率は、2.42である。本実施形態では、酸化クロム(III)層8は、反射防止膜における高屈折率層として用いられている。
酸化クロム(III)層8の層厚(物理膜厚)は、後述する誘電体層9と合わせて、外部入射光の反射率が低減できる膜厚が選ばれる。
誘電体層9は、酸化クロム(III)層8の上面に積層されている。誘電体層9は、酸化クロム(III)層8とともに、多層膜干渉による反射防止膜を構成する。
例えば、誘電体層9は、1層の誘電体で形成されてもよい。この場合、誘電体層9の屈折率は、酸化クロム(III)層8の屈折率よりも低く設定される。例えば、誘電体層9は、フッ化マグネシウム(MgF)、二酸化ケイ素(SiO)、および酸化アルミニウム(Al)からなる群から選ばれた1以上の材料からなる誘電体であってもよい。フッ化マグネシウム、二酸化ケイ素、および酸化アルミニウムの波長500nmに対する屈折率は、それぞれ、1.38、1.46、および1.62である。
誘電体層9の層厚(物理膜厚)は、外部入射光の反射成分が干渉によって減少する光学膜厚が得られる大きさに設定される。例えば、外部入射光が可視光の場合、誘電体層9の層厚は、0nmを超え、80nm以下であってもよい。
誘電体層9が単層からなる場合、遮光膜3の製造工程が簡素になる。この結果、遮光膜3の製造に要する時間を短縮できるとともに材料費が低減される。したがって、遮光膜3およびプリズム4の製造コストおよび部品コストを低減できる。
例えば、誘電体層9は、複数の光学薄膜が積層する多層膜であってもよい。この場合、酸化クロム(III)層8および誘電体層9からなる積層体において、積層方向の屈折率の高低が交替する構成が用いられる。積層体における各光学薄膜の光学膜厚は、外部入射光に対する分光反射特性の必要に応じて設定される。
多層膜からなる誘電体層9の各光学薄膜の材料は特に限定されない。例えば、多層膜からなる誘電体層9の材料には、上述のフッ化マグネシウム、二酸化ケイ素、および酸化アルミニウムのいずれかが含まれてもよい。
誘電体層9が多層膜からなる場合、外部入射光に対する分光反射特性は、積層体の各光学薄膜における屈折率の大きさおよび各光学膜厚によって決まる。したがって、外部入射光に対する分光反射特性の調整可能なパラメータが増える。この結果、外部入射光に対する分光反射特性の調整がより容易になる。例えば、外部入射光の反射率を広範囲の波長域で低減できる。例えば、外部入射光の反射率を特定の波長域において略0%にすることができる。
酸化クロム(III)層8および誘電体層9からなる反射防止膜の分光反射率特性は、必要に応じて設定できる。例えば、観察装置50における迷光発生を抑制する目的では、外部入射光の波長範囲において、分光反射率が0%以上15%以下とされてもよい。迷光発生を抑制する目的では、分光反射率は、0%に近いほどより好ましい。例えば、分光反射率は、0%以上10%以下であることがより好ましい。
例えば、可視光の迷光を抑制する目的では、反射防止膜の反射率は、波長400nm以上700nm以下の波長範囲でよく、また波長400nm以上700nm以下から選ばれた1以上の測定用波長に対して、上述の反射率の範囲が得られてもよい。波長を限定する場合、例えば、測定用波長としては、400nm、633nm、および700nmの少なくとも1つの波長が用いられてもよい。
このようなプリズム4は、透光性材料から基材2が形成された後、第2面2b上に、遮光膜3を成膜することによって製造される。
遮光膜3の成膜方法としては、特に限定されない。遮光膜3の成膜方法は、遮光膜3を構成する層の材料に応じて異なっていてもよい。
例えば、遮光膜3の成膜に用いることができる成膜方法の例としては、真空蒸着、イオンアシスト蒸着、スパッタリング、イオンビームスパッタリングなどが挙げられる。
図1に示すように、集光光学系5は、プリズム4の第1面2aおよび第2面2bを透過した光束L2を集光する。集光光学系5としては、単レンズまたはレンズ群が用いられる。図1には、一例として、最も物体側にレンズ5Aが配置されている。レンズ5Aの光軸は、光軸O50と同軸である。レンズ5Aは、光軸O50に沿う方向において、プリズム4の第2面2bおよび遮光膜3に対向している。レンズ5Aの物体側には、レンズ面5aが形成されている。
集光光学系5のレンズ構成は、図示略の観察手段の必要に応じて、適宜の構成が用いられる。ここで、図示略の観察手段の例としては、接眼レンズ、撮像素子などが挙げられる。
以上、観察装置50の主要部の構成について説明した。観察装置50は、必要に応じて、図示しない他の装置部分を備えてもよい。
例えば、観察装置50は、物体面を照明する照明部を備えていてもよい。照明の種類としては、透過照明でもよいし、落射照明でもよい。
例えば、光束L3の光路上には、光束L3を集光したり分岐したりする光学素子と、光束L3を受光する受光部と、が配置されてもよい。受光部としては、例えば、光量を検出するフォトセンサ、パワーメータなどが用いられてもよい。
次に、観察装置50におけるプリズム4および遮光膜3の作用にについて説明する。
被検体Sが照明されると、対物光学系1は、被検体Sの光学的な情報を含む光束L0を集光する。図1では、光束L0の一例として、被検体Sと光軸O50とが交差する部分から発する光束L0が示されている。
光束L0は、対物光学系1の第1レンズ1A、第2レンズ1B、および第3レンズ1Cを順次透過することによって、光軸O50上を進む略平行光束とされる。第3レンズ1Cを透過した光束L0は、プリズム4の第1面2aに向かって出射される。
プリズム4の内部を進む光束L0は、第2面2bにおいて、遮光膜3を除く部位に達する光束L1と、遮光膜3に照射される光束L2と、で光路が分かれる。
光束L1は、光軸O50上を直進して第2面2bから集光光学系5に向かって進む。
光束L2は、遮光膜3における第2面2b上のアルミニウム層6によって大部分が反射される。アルミニウム層6による反射光束は光束L3として、第3面2cに向かう。光束L3は、第3面2cを透過して、例えば、図示略の観察手段に到達する。
光束L2において光束L3を除く成分(以下、透過成分と称する)は、アルミニウム層6を透過する。アルミニウム層6には、クロム層7および酸化クロム(III)層8がこの順に積層している。クロム層7および酸化クロム(III)層8は、光束L2に対する透過率が低い不透明材料である。この結果、光束L2の透過成分は減衰する。光束L2の透過成分は、さらに誘電体層9の透過率に応じて減衰した後、誘電体層9から外部に出射する。
このように、遮光膜3は、基材2の内部を進む光束L2の大部分を内部反射するとともに、光束L2の透過成分をさらに減衰させる。
この結果、プリズム4の第2面2bを透過する光束は、実質的に光束L1のみである。
集光光学系5に達した光束L1は、集光光学系5によって集光されて、さらに光軸O50上を進む。
しかし、集光光学系5の各レンズの透過率は100%ではないので、光束L1の一部(以下、反射成分と称する)は、物体側に反射される。第2面2bは光束L1に対する透過率が高いので、光束L1の反射成分も第2面2bにおいてほとんど反射されない。光束L1の反射成分が第2面2bにおいて反射されるとしても、迷光として問題になる程度の光量にはならない。
一方、図1に外部入射光Lとして示すように、光束L1の反射成分の一部は、プリズム4の外部から遮光膜3に入射する。外部入射光Lは、典型的には、集光光学系5の最も物体側のレンズ面5aの表面反射光である。
外部入射光Lの光路上には、遮光膜3の誘電体層9、酸化クロム(III)層8、クロム層7、およびアルミニウム層6が配置されている。特に、アルミニウム層6を備えることで、外部入射光Lはほとんどが遮光膜3を透過することなく像側に反射される。
しかし、遮光膜3の表面には、外部入射光Lに対する反射防止膜を構成する誘電体層9および酸化クロム(III)層8が設けられている。外部入射光Lは、遮光膜3内の各層で反射される過程において干渉を起こす結果、反射光の光量は、外部入射光Lの光量に比べて格段に低減される。さらに、観察装置50において迷光となる可能性を有するのは、例えば、図1に示す反射光LRである。反射光LRは、外部入射光Lの反射光のうち、集光光学系5の光学開口の範囲に再入射する反射光成分である。
したがって、反射光LRの光量は、遮光膜3の分光反射率特性に応じて減衰済みの外部入射光Lの反射光量よりもさらに低い。このため、反射光LRの光量は、迷光として問題になる程度の光量にはならない。
以上、迷光の原因が、集光光学系5で反射された戻り光の場合の例で説明したが、例えば、落射照明のように、照明光が遮光膜3に照射される場合も同様である。この場合、遮光膜3に照射される照明光が外部入射光になる。照明光は、集光光学系5で反射された戻り光よりも大光量である。しかし、酸化クロム(III)層8および誘電体層9で構成される反射防止膜の分光反射率を必要な大きさに設定することによって、迷光の発生は防止される。
このように、遮光膜3は、プリズム4の内部光に対しては高反射率を有する一方、外部入射光Lに対しては低反射率を有する。この結果、プリズム4の内部光の反射率を低減させることなく、迷光の原因となる外部入射光Lの反射を抑制することができる。
例えば、光束L3を物体面の照明光の光量調整に用いる場合、物体面の照明強度を正確に検出することが可能になる。
以上説明したように、本実施形態の遮光膜3によれば、アルミニウム層6によって形成された光反射性の表面と反対側の表面における反射光を抑制できる。
本実施形態のプリズム4および観察装置50によれば、遮光膜3を備えるので、迷光の発生を抑制することができる。
[変形例]
次に、本実施形態の変形例の光学素子について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態の変形例の遮光膜の一例を示す模式的な断面図である。
図1に示すように、本変形例のプリズム14(光学素子)は、第1の実施形態の基材2に代えて、基材部12を備える。プリズム14は、第1の実施形態のプリズム4に代えて、観察装置50に用いることができる。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図4に示すように、基材部12は、基材2と、コート層10と、を備える。
コート層10は、基材2の第2面2bにおいて、少なくとも光束L0が透過する全領域に配置されている。コート層10は、第2面2bに適宜の光学特性を付与する目的で設けられる。
例えば、コート層10は、第2面2bの透過率を向上することを目的として設けられた反射防止コート層であってもよい。
例えば、コート層10は、第2面2bをビームスプリッタ面とすることを目的として設けられたハーフミラーコート層であってもよい。
例えば、コート層10は、第2面2bを偏光面とすることを目的として設けられた偏光コート層であってもよい。
例えば、コート層10は、第2面2bを偏光ビームスプリッタ面とすることを目的として設けられた偏光ビームスプリッタコート層であってもよい。
本変形例における遮光膜3は、コート層10の出射面12bに積層されている点のみが、第1の実施形態と異なる。
プリズム14は、基材2の第2面2bにコート層10を形成した後、遮光膜3が形成される以外は、第1の実施形態と同様にして製造される。
本変形例のプリズム14によれば、第2面2bにコート層10の種類に応じた光学特性が付与される以外は、第1の実施形態と同様の作用を備える。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態の光学素子について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態の光学素子の一例を示す模式的な平面図である。図6は、図5におけるA−A断面図である。
図5、6に示すように、本実施形態のレンズ24(光学素子)は、レンズ本体22と、遮光膜23と、を備える。
レンズ本体22は、レンズ種類の応じた外形を有する。例えば、図6には、レンズ本体22が両凸レンズの場合の例が示されている。ただし、レンズ本体22は、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、メニスカスレンズなどの外形に形成されてもよい。
図4に示すように、レンズ本体22は、ガラス基材22A(透光性基材)と、反射防止コート層22Bと、を備える。
ガラス基材22Aは、レンズ本体22と略同様の外形に整形されている。ガラス基材22Aの厚さ方向の両端面には、レンズ面22a、22bがそれぞれ形成されている。
反射防止コート層22Bは、レンズ本体22の透過率を向上する目的で設けられている。図4に示すように、反射防止コート層22Bはレンズ面22aに積層されている。特に図示しないが、反射防止コート層22Bは、レンズ面22bにも同様に積層されている。
各反射防止コート層22Bは、少なくとも、レンズ面22a、22bのそれぞれのレンズ有効領域を覆っている。
図5、6に示すように、遮光膜23は、レンズ面22aに積層されている。遮光膜23は、レンズ24の光軸O24を中心とする円環状に形成されている。
図4に示すように、遮光膜23は、第1の実施形態の遮光膜3と同様の層構成を有する。遮光膜23のアルミニウム層6は、反射防止コート層22Bの表面22cに積層されている。
このような層構成によって、遮光膜23は、レンズ本体22の内部光束に対しては高反射率を有する反射膜として機能する。さらに、遮光膜23はレンズ本体22の外部入射光束に対しては反射防止機能を有する遮光膜として機能する。
遮光膜23の内縁23aの径は、レンズ24に必要な遮光領域および反射領域の大きさとされる。例えば、レンズ24をミラーレンズなどの光束分割機能を有する光学素子として用いる場合には、遮光膜23の内縁23aは、レンズ有効領域内に配置される。例えば、遮光膜23が開口絞りとして用いられる場合には、遮光膜23の内縁23aは、レンズ有効領域の外周部に配置される。例えば、遮光膜23がレンズ有効領域外の遮光を目的として設けられる場合には、遮光膜23は、レンズ有効領域の外側に配置される。
このような構成により、レンズ24では、遮光膜23よりも内側の中心部において、透過レンズが形成されている。さらに、レンズ24では、透過レンズよりも外周側に、レンズ面22bから入射する光束を反射する反射面が形成されているので、レンズ24をミラーレンズとして使用することが可能である。
本実施形態のレンズ24によれば、レンズ面22aに遮光膜23を備えるので、レンズ面22aに向かって外部から入射する外部入射光に起因する迷光を抑制することができる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態の光学素子について説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態の光学素子の一例を示す模式的な平面図である。図8は、図7におけるB−B断面図である。
図7、8に示すように、本実施形態のミラー34(光学素子)は、ガラス平板32(透光性基材)と、遮光膜33と、を備える。
ガラス平板32の平面視外形は特に限定されない。図7には、一例として、外形が円形のガラス平板32が描かれている。
ガラス平板32は、板厚方向において、第1面32aと、第2面32bと、を有する。
第1面32aは、ミラー34の入射面である。第1面32aには、第1面32aに外部から入射する光の表面反射光を抑制する目的で、反射防止膜が形成されていてもよい。
第2面32bは、後述する遮光膜33が形成される表面である。第2面32bにも第1面32aと同様の反射防止膜が形成されてもよいが、本実施形態では一例として、反射防止膜は形成されていない。
遮光膜33は、ガラス平板32の第2面32bに積層されている。遮光膜33は、ミラー34の外形の中心軸線O34を中心とする円環状に形成されている。遮光膜33の内縁33aは、中心軸線O34を中心とする円形に形成されている。
図3に示すように、遮光膜33は、第1の実施形態の遮光膜3と同様の層構成を有する。遮光膜33のアルミニウム層6は、ガラス平板32の第2面32bに積層されている。
このような層構成によって、遮光膜33は、ガラス平板32の内部光束に対しては高反射率を有する反射膜として機能する。さらに、遮光膜33はガラス平板32の外部から第2面32bに入射する外部入射光束に対しては反射防止機能を有する遮光膜として機能する。
このような構成により、ミラー34では、遮光膜33の内縁33aの内側には、ガラス平板32を第1面32a、第2面32bの双方から入射する外部入射光を透過させる光透過窓35が形成されている。光透過窓35においては外部光束の入出射が可能である。
さらに、ミラー34では、光透過窓35よりも外周側に、第1面32aから入射する光束を反射する反射面が形成されている。
本実施形態のミラー34によれば、第2面32bに遮光膜33を備えるので、第2面32bに向かって外部から入射する外部入射光に起因する迷光を抑制することができる。
なお、上記第1の実施形態および変形例では、観察装置50のプリズム4、14に遮光膜3が設けられた場合の例で説明した。しかし、遮光膜3は、外部入射光の遮光または内部光の反射が必要とされるいずれも光学素子に設けられてもよい。
上記第1の実施形態および変形例では、遮光膜3が第2面2bにおいて対物光学系1寄りに設けられた場合の例で説明した。しかし、遮光膜3の配置位置は、これに限定されない。例えば、遮光膜3は、第2面2bと第3面2cとが交差する角部の近傍に設けられてもよい。
上記第1の実施形態および変形例では、光学機器が観察装置50である場合の例で説明した。しかし、光学機器は、光学素子が含まれる装置であれば、観察装置には限定されない。例えば、光学機器は、光学素子を用いた計測器、観察機器などでもよい。
上記第2および第3の実施形態では、遮光膜が設けられる透光性基材がガラス基材の場合の例で説明した。しかし、遮光膜が設けられる透光性基材の材料として、透光性を有する樹脂材料が用いられてもよい。
上記各実施形態および変形例では、遮光膜が光学面の一部に設けられ、光学面の一部からの光束の出射を規制する場合の例で説明した。このような構成によれば、遮光膜の側方から出射した光束が他の部材に反射して外部入射光として戻る可能性があるので、遮光膜による迷光防止の必要性が特に高い。
しかし、遮光膜が設けられた光学素子から光束が出射しなくても、外部入射光が発生する場合には、遮光膜は迷光防止機能を有することがより好ましい。
したがって、本発明の遮光膜は、光学素子の光学面の全体に設けられてもよい。さらに、遮光膜が光学面の一部に設けられる場合であっても、遮光膜で覆われていない光学面から光束が出射しなくてもよい。
次に、上述した第1の実施形態の遮光膜の実施例1〜4について、比較例1〜4とともに説明する。
下記[表1]に、実施例1〜4、比較例1〜4の遮光膜の構成を示す。ただし、[表1]において、各層厚は、物理膜厚を表す。
Figure 2020064136
[実施例1]
実施例1の遮光膜は、透光性基材([表1]では「基材」と表記)上に、第1層から第4層がこの順に積層されて構成された。
透光性基材の材料としては、S−LAH58(商品名;(株)オハラ製)が用いられた。
透光性基材の形状は、平面視外形が15mm×15mm、厚さが15mmの矩形平板とされた。
第1層は、アルミニウム層6に対応する層とされた。第1層は、層厚150nmの純アルミニウムによって形成された。第1層は透光性基材において3mm×15mmの大きさの矩形状に形成された。
第2層は、クロム層7に対応する層とされた。第2層は、層厚63nmの純クロムの層によって形成された。第2層は第1層の全体に積層された。
第3層は、酸化クロム(III)層8に対応する層とされた。第3層は、層厚171nmの酸化クロム(III)の層によって形成された。
第4層は、誘電体層9に対応する層とされた。第4層は、層厚51nmの酸化アルミニウムの層によって形成された。第4層は第3層の全体に積層された。
第1層〜第4層の成膜方法としては、いずれも真空蒸着が用いられた。
[実施例2〜4]
実施例2の遮光膜は、第3層および第4層の層厚がそれぞれ151nm、77nmとされた以外は、実施例1の遮光膜と同様に形成された。
実施例3の遮光膜は、実施例1と材料のみが異なる透光性基材上に形成された。実施例3に用いられた透光性基材の材料としては、S−BSL7(商品名;(株)オハラ製)が用いられた。
実施例3の遮光膜は、第3層の層厚が161nmとされ、第4層として層厚80nmの二酸化ケイ素層が用いられた点と、各層がスパッタリングによって成膜された点と、以外は、実施例1の遮光膜と同様に形成された。
実施例4の遮光膜は、第3層の層厚が171nmとされ、第4層の材料としてフッ化マグネシウムが用いられた以外は、実施例3の遮光膜と同様に形成された。
[比較例1〜4]
比較例1の遮光膜は、透光性基材、第1層、および第2層がこの順に積層されて構成された。透光性基材および第1層は、実施例1と同様とされた。第2層としては、層厚85nmの二酸化ケイ素の層が用いられた。比較例1の各層の成膜方法としては真空蒸着が用いられた。比較例1は、クロム層および酸化クロム(III)層を有しない例になっていた。
比較例2の遮光膜は、実施例1において第3層および第4層を削除した構成とされた。比較例2は、酸化クロム(III)層および誘電体層を有しない例になっていた。
比較例3の遮光膜は、実施例1において第2層から第4層を削除した構成とされた。比較例3は、クロム層、酸化クロム(III)層および誘電体層を有しない例になっていた。
比較例4の遮光膜は、比較例2の遮光膜の第2層に、層厚48nmの酸化クロム(III)の層を積層して形成された。比較例4は、アルミニウム層、クロム層、および酸化クロム(III)層を有しているが、誘電体層を有しない例になっていた。
[評価]
実施例1〜4、比較例1〜4の評価としては、遮光膜の外部入射光に対する分光反射率および分光透過率とが測定された。
分光反射率および分光透過率は、分光光度計UH4150(商品名;日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定された。測定光の被検体への入射角は5度とされた。
[評価結果]
各実施例、各比較例における分光透過率は、いずれも400nmから700nmの波長域で、0.5%以下になり、顕著な差が見られなかった。透過率が0.5%以下であれば、良好な遮光性能であると考えられる。そこで、測定結果の詳細は省略した。
以下では、測定結果に顕著な差が見られた、各実施例、各比較例における分光反射率の評価結果について説明する。
図9は、実施例の遮光膜の分光反射率を示すグラフである。図10は、比較例の遮光膜の分光反射率を示すグラフである。各グラフにおいて、横軸は波長[nm]、縦軸は反射率[%]を示す。
図9には、実施例1〜4の分光反射率を、それぞれ曲線101〜104で示した。
曲線101に示されたように、実施例1の遮光膜の分光反射率は、波長400nmで0.13%、波長510nmで10.3%(極大値)、波長631nmで0%(極小値)、波長700nmで8.8%、となる波型の分布を示した。
実施例1では、波長400nmから700nmの範囲で、反射率は10.3%以下になっていた。
曲線102に示されたように、実施例2の遮光膜の分光反射率は、波長400nmで5%、波長441nmで0.3%(極小値)、波長541nmで6.9%(極大値)、波長613nm4.8%(極小値)、波長700nmで12.6%、となる波型の分布を示した。
実施例2では、波長400nmから700nmの範囲で、反射率は12.6%以下になっていた。特に、波長400nmから682nmの範囲では、反射率は10%以下になっていた。
曲線103に示されたように、実施例3の遮光膜の分光反射率は、波長400nmで5.9%、波長464nmで0.9%(極小値)、波長545nmで2.2%(極大値)、波長578nmで2.0%(極小値)、波長700nmで14.1%、となる波型の分布を示した。
実施例4では、波長400nmから700nmの範囲で、反射率は14.1%以下になっていた。特に、波長400nmから676nmの範囲では、反射率は10%以下になっていた。
曲線104に示されたように、実施例4の遮光膜の分光反射率は、波長400nmで5.3%、波長509nmで6.1%(極大値)、波長640nmで0.38%(極小値)、波長700nmで4.9%、となる波型の分布を示した。
実施例4では、波長400nmから700nmの範囲で、反射率は6.1%以下になっていた。
図10には、比較例1〜4の分光反射率を、それぞれ曲線201〜204で示した。
曲線201〜203に示されたように、比較例1〜3の分光反射率は、波長400nmから700nmの間で、略平坦な分布を有していた。比較例1の反射率は83%から90%、比較例2の反射率は63%から68%、比較例3の反射率は91%から92%の範囲で変化していた。
曲線204に示されたように、比較例4の分光反射率は、波長400nmで11.1%、波長511nmで0%(極小値)、波長700nmで17.6%、となるU字型の分布を示した。
比較例4では、波長400nmから700nmの範囲で、反射率は17.6%以下になっていた。特に、波長679nmから700nmの範囲では、反射率は15%を超えていた。特に、波長400nmから408nmと、波長638nmから700nmと、の範囲では、反射率は10%を超えていた。
以上説明したように、実施例1〜4は、波長400nmから700nmの範囲で反射率15%以下になった。実施例1〜4では、外部入射光の反射が良好に抑制できると考えられる。
これに対して、比較例1〜3は、いずれも波長400nmから700nmの範囲で60%を超える高反射率であった。比較例1〜3では、外部入射光による迷光がきわめて発生しやすいと考えられる。
特に、比較例3においては高反射率のアルミニウム層が露出していたことが原因で、比較例3の反射率が最も高くなったと考えられる。
比較例1においてはアルミニウム層を透明な二酸化ケイ素層が覆っているのみであったので、比較例1の反射率は、比較例3よりもわずかに低下した程度であったと考えられる。
比較例2においてはアルミニウム層がより低反射率のクロム層で覆われたので、反射率が低下した。しかし、クロム層では多層膜干渉のような顕著な反射防止作用は見られなかった。
比較例4の場合、クロム層にさらに、不透明な酸化クロム(III)層が積層されたことで、反射率が最も低減されたが、反射率が15%以上になる波長帯域が存在した。このため、外部入射光の波長によっては、迷光が発生しやすいと考えられる。
以上、本発明の好ましい各実施形態、変形例を、各実施例とともに説明したが、本発明はこの各実施形態、変形例、および各実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
1 対物光学系
2 基材(透光性基材)
2b 第2面(光束が出射可能な光学面)
3、23、33 遮光膜
4、14 プリズム(光学素子)
5 集光光学系
6 アルミニウム層
7 クロム層
8 酸化クロム(III)層
9 誘電体層
10 コート層
12 基材部
22 レンズ本体
22A ガラス基材(透光性基材)
22B 反射防止コート層
22a レンズ面(光束が出射可能な光学面)
24 レンズ(光学素子)
32 ガラス平板(透光性基材)
32b 第2面(光束が出射可能な光学面)
34 ミラー(光学素子)
50 観察装置(光学機器)
L 外部入射光(入射光)
LR 反射光
S 被検体

Claims (9)

  1. 透光性基材の上に形成される遮光膜であって、
    アルミニウム層と、
    クロム層と、
    酸化クロム(III)層と、
    前記酸化クロム(III)層に積層された誘電体層と、
    を備え、
    前記アルミニウム層、前記クロム層、前記酸化クロム(III)層、および前記誘電体層が、前記透光性基材側からこの順に積層されている、
    遮光膜。
  2. 前記誘電体層は前記酸化クロム(III)層とともに、前記誘電体層に外部から入射する入射光の反射を抑制する、
    請求項1に記載の遮光膜。
  3. 前記誘電体層は、
    フッ化マグネシウム、二酸化ケイ素、および酸化アルミニウムからなる群から選ばれた1以上の誘電体を含む、
    請求項1に記載の遮光膜。
  4. 前記誘電体層の物理膜厚は80nm以下である、
    請求項1に記載の遮光膜。
  5. 前記入射光に対する反射率は、0%以上15%以下である、
    請求項1に記載の遮光膜。
  6. 前記透光性基材は、ガラス基材である、
    請求項1記載の遮光膜。
  7. 透光性基材と、
    前記透光性基材上に形成された請求項1に記載の遮光膜と、
    を備える、光学素子。
  8. 前記透光性基材は、
    光束が出射可能な光学面を有しており、
    前記遮光膜は、
    前記光学面の一部に設けられ、前記光学面の前記一部からの前記光束の出射を規制する、
    請求項7に記載の光学素子。
  9. 請求項7に記載の光学素子を備える、光学機器。
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