以下、図面を参照して、本実施形態に係る自動分析装置について説明する。なお、以下の説明において、ほぼ同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付し、特に断りの無い限り重複した説明は行わない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る自動分析装置100の構成を概略的に示すブロック図である。自動分析装置100は、分析部24と、駆動部26と、分析制御部27と、判定部28と、を備えている。
分析部24は、ブランク測定によるブランクデータの生成や、各検査項目の標準試料と各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定する標準測定による標準データの生成、被検試料と試薬との混合液を測定する被検測定による被検データの生成等を行う。駆動部26は、分析部24の各種構成ユニットを駆動する。分析制御部27は、駆動部26の制御を行う。判定部28は、分析部24で生成されたブランクデータに基づいて、所定のユニットが使用可能であるか否かの判定を行う。
また、自動分析装置100は、さらに、データ処理部30と、出力部40と、操作部50と、システム制御部60と、を備えている。データ処理部30は、分析部24で生成された標準データ、被検データ、又は、ブランクデータを処理し、検量データ、分析データ等を生成する。演算部31は、これらを処理するにあたり必要な演算を行い、データ記憶部32には、これらの処理をするにあたって必要とされるデータ、生成されるデータが適宜格納される。出力部40は、データ処理部30で生成された検量データ、分析データ等を印刷部41で印刷したり、表示部42で表示したりする。
操作部50は、使用者が指示、情報を入力する入力部である。具体的には、使用者は、この操作部50を操作して、各検査項目の分析パラメータとして試料の分注量、試薬の分注量、及び、光源の波長等の設定をするための入力を行う。また、使用者は、操作部50を操作して、被検試料ごとに検査に必要な各検査項目を設定するための入力等を行う。システム制御部60は、分析制御部27と、判定部28と、データ処理部30と、出力部40と、を統括して、自動分析装置100の全体的な制御を行う。
図2は、図1に示す自動分析装置100における分析部24の具体的構成の一例を示す斜視図である。分析部24は、サンプルディスク5と、試薬庫1と、試薬庫2と、反応ディスク4と、第1試薬分注機構14と、第2試薬分注機構15と、試料分注機構16と、第1撹拌機構18と、第2撹拌機構19と、を備える。
サンプルディスク5は、複数の試料容器17を保持しており、この試料容器17には、標準試料、血清等の被検試料等が収容される。試薬庫1には、複数の試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを備えており、この試薬ラック1aは、試薬容器6に収容された第1試薬を保冷しつつ保持する。すなわち、試薬容器6は、標準試料、被検試料等の各試料に含まれる検査項目の成分と反応する、例えば、1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する。
試薬庫2には、複数の試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを備えており、この試薬ラック2aは、試薬容器7に収容された第2試薬を保冷しつつ保持する。すなわち、試薬容器7は、第1試薬と対をなす第2試薬を収容する。
反応ディスク4は、複数のホルダ3aを着脱可能に円周上に保持する。このホルダ3aは、複数の反応容器3を所定の間隔を開けて円弧状に保持する。本実施形態においては、反応容器3は、上下方向に着脱可能にホルダ3aに保持される。すなわち、反応ディスク4は、複数の反応容器3を移動可能に保持する。
第1試薬分注機構14は、第1試薬分注プローブ14aと、第1試薬分注アーム8と、洗浄槽14bと、を備える。第1試薬分注プローブ14aは、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して、試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う。第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽14bは、第1試薬分注プローブ14aから1つの試薬の分注が終了するごとに、この第1試薬分注プローブ14aの洗浄を行う。
第2試薬分注機構15は、第2試薬分注プローブ15aと、第2試薬分注アーム9と、洗浄槽15bと、を備える。第2試薬分注プローブ15aは、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して、第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う。第2試薬分注アーム9は、第2試薬分注プローブ15aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽15bは、第2試薬分注プローブ15aから1つの試薬の分注が終了するごとに、この第2試薬分注プローブ15aの洗浄を行う。
試料分注機構16は、サンプル分注プローブ16aと、サンプル分注アーム10と、洗浄槽16bと、を備える。サンプル分注プローブ16aは、サンプルディスク5に保持された試料容器17に収容された試料を吸引して、反応容器3内へ吐出する分注を行う。サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽16bは、サンプル分注プローブ16aから1つの試料の分注が終了するごとに、このサンプル分注プローブ16aの洗浄を行う。
第1撹拌機構18は、第1撹拌子18aと、第1撹拌アーム20と、洗浄槽18bと、を備える。第1撹拌子18aは、反応容器3に分注された試料と第1試薬との混合液を撹拌する。第1撹拌アーム20は、第1撹拌子18aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽18bは、混合液の撹拌終了ごとに、第1撹拌子18aの洗浄を行う。
第2撹拌機構19は、第2撹拌子19aと、第2撹拌アーム21と、洗浄槽19bと、を備える。第2撹拌子19aは、反応容器3に分注された試料と第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌する。第2撹拌アーム21は、第2撹拌子19aを回動及び上下移動可能に保持する。洗浄槽19bは、混合液の撹拌終了ごとに、第2撹拌子19aの洗浄を行う。
また、自動分析装置100は、さらに、洗浄機構12と、測定部13と、を備える。洗浄機構12は、被検測定の終了した反応容器3の洗浄処理を行う。具体的には、洗浄機構12は、反応容器3の洗浄を行い、次の被検測定のためのブランク測定用のブランク水を分注し、その後、乾燥を行う。
測定部13は、水、混合液等の溶液を収容する反応容器3に照射した光のうち、反応容器3を透過した光を測定する。洗浄機構12は、測定部13で混合液の測定を終了した反応容器3の内部を洗浄し、乾燥する洗浄処理を行う。また、洗浄機構12は、ブランク測定のために、洗浄を行った反応容器3に純水等の液体であるブランク液を吐出する。
また、測定部13は、ブランク液が分注された反応容器3を透過した光を検出するブランク測定により、ブランクデータを生成する。また、測定部13は、標準試料及び試薬が分注された反応容器3内の混合液を透過した光を検出する標準測定により、標準データを生成する。さらに、被検試料及び試薬が分注された反応容器3内の混合液を透過した光を検出する被検測定により、被検データを生成する。
図1及び図2に基づいて、自動分析装置100の構成をより詳細に説明すると、まず、駆動部26は、上述したように、分析部24における各種構成ユニットを駆動する。より詳しくは、サンプルディスク5と、試薬ラック1aと、試薬ラック2aと、を個別に回動駆動して、試料容器17と、試薬容器6と、試薬容器7と、をそれぞれ移動する。また、駆動部26は、反応ディスク4を回転駆動して、反応容器3を移動する。さらに、駆動部26は、サンプル分注アーム10と、第1試薬分注アーム8と、第2試薬分注アーム9と、第1撹拌アーム20と、第2撹拌アーム21と、を個別に上下及び回動駆動して、サンプル分注プローブ16aと、第1試薬分注プローブ14aと、第2試薬分注プローブ15aと、第1撹拌子18aと、第2撹拌子19aと、をそれぞれ移動する。
分析制御部27は、上述したように、駆動部26を制御して、分析部24の各種構成ユニットを動作させる。より詳しくは、分析制御部27は、検査を行うために、洗浄機構12で洗浄処理が行われた反応容器3に、操作部50から被検試料ごとに入力された検査項目を順次割り当てる。そして、検査項目を割り当てた反応容器3に、その検査項目の分析パラメータとして設定される試料の分注量と試薬の分注量とを合計した合計量のブランク液を、洗浄機構12に吐出させる。続いて、ブランク液を吐出させた反応容器3のブランク測定を測定部13に行わせて、ブランクデータを生成させる。
判定部28は、測定部13で生成されたブランクデータに基づいて、その反応容器3が検査項目用として使用可能であるか否かを判定する。この場合、ブランクデータは、複数回収集されるので、この収集された複数のブランクデータに基づいて、反応容器3が検査に使用可能な状態であるか否かを判定する。
判定部28で反応容器3が使用可能であると判定された場合、分析制御部27は、その反応容器3に割り当てた検査項目用の試料と試薬を分注させる。一方、判定部28で反応容器3が使用不可能であると判定された場合、分析制御部27は、その反応容器3に割り当てた検査項目用の試料と試薬の分注を中止させる。この場合、さらに、判定部28により使用不可能であると判定された反応容器3の次に洗浄される反応容器3に、中止になった検査項目を割り当てる。
データ処理部30は、上述したように、演算部31と、データ記憶部32と、を備える。より詳しくは、演算部31は、分析部24の測定部13で生成された標準データや被検データを処理して、各検査項目の検量データ、分析データ等を生成する。データ記憶部32は、収集した標準データ、被検データ等を格納して保持するとともに、演算部31で生成された検量データ、分析データ等を保存する。
演算部31は、測定部13で生成された標準データと、この標準データの標準試料に対してあらかじめ設定された標準値から、標準値と標準データとの関係を表す検量データを検査項目ごとに生成する。そして、生成した検量データを出力部40に出力するとともに、データ記憶部32に保存する。
また、演算部31は、測定部13で生成された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出し、その検量データと被検データとから、濃度値や活性値で表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを、出力部40に出力するとともに、データ記憶部32に保存する。
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31で生成された検量データを、検査項目ごとに保持する。また、演算部31で生成された各検査項目の分析データを被検試料ごとに保存する。
出力部40は、上述したように、印刷部41と、表示部42と、を備える。印刷部41は、データ処理部30の演算部31で生成された検量データ、分析データ等を印刷出力する。すなわち、印刷部41は、例えば、プリンタ等を備えており、検量データ、分析データ等をあらかじめ設定されたフォーマットにしたがってプリンタ用紙等に印刷する。
表示部42は、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶パネル等のモニタを備え、検量データ、分析データ等を表示出力する。また、表示部42は、分析パラメータ設定画面、検査項目設定画面等を表示して、使用者に各種情報を入力させる。例えば、分析パラメータ設定画面では、使用者に、各検査項目の分析パラメータである、試料の分注量、第1試薬の分注量又は第1及び第2試薬の分注量等を入力させる。また、検査項目設定画面では、使用者に、分析パラメータ設定画面で設定された検査項目を被検試料ごとに設定させる。
操作部50は、上述したように、使用者が指示、情報等を入力するための装置であり、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル等の入力デバイスを備える。そして、各検査項目の分析パラメータとしての試料の分注量、第1試薬の分注量、第1及び第2試薬の分注量等を設定するための入力を可能にする。また、検査が行われる各被検試料の情報、この情報ごとに検査対象となる検査項目等を設定するための入力等を行う。
システム制御部60は、上述したように、自動分析装置100の全体的な制御を行う。より詳しくは、システム制御部60は、CPU(Central Processing Unit)及び記憶回路等を備え、操作部50からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータ、検査項目等の入力情報を、記憶回路に保存する。そして、保存した入力情報に基づいて、分析制御部27、判定部28、データ処理部30及び出力部40を、統括して、この自動分析装置100全体を制御する。
以下、試薬の分注、吐出等に用いる各種プローブ、混合液の撹拌に用いる各種撹拌子、洗浄に用いるユニット等の反応容器に挿入されるものをノズルと記載する。各種ノズルは、例えば、反応ディスク4のホルダ3aの存在する領域において、反応容器3内に挿入される。
図3は、反応容器3の配置の一例を示す平面図である。ここで、平面図とは、例えば、自動分析装置100を鉛直方向上方から描いた図であることを示す。すなわち、反応容器3等の高さを考慮せずに、ノズルが挿入される方向(挿入方向)と交わる、例えば、ほぼ直交する水平面における関係を示した図である。水平とは、厳密に水平であることを意味せず、実質的に水平である面であってもよい。また、以下の説明において、平面視とは、ノズルが挿入される方向から反応容器3を見た場合における高さを考えない視点から見ていることを言う。例えば、ノズルの上下方向をy軸とする場合に、y軸と直交する平面において直交するx軸とz軸を、yの値によらずに考えたx、zの状態を示す。すなわち、本実施形態では、ノズルが挿入される望ましい領域を(x、z)を含む座標で表し、ノズルが挿入される位置(x、z)が望ましい領域にあるか否かを検出する。上記同様に、厳密に直交する平面ではなくてもよい。
なお、この図3を含め、以下の説明に用いる図面は、概念的に示したものであり、各要素の位置、大きさ、形状、角度等の関係は、これに限られるものではない。例えば、反応容器3同士の間隔は、もっと狭くても、もっと広くてもよいし、反応容器3の大きさと反応容器3が並べられている円の大きさとの関係も、この図に示すものと一致するものではない。さらに、反応容器3の各辺の比率も図に示すものであるとは限られない。また、説明の要点をわかりやすくするために、他の部位の図示は、例えば、ホルダ3a等の図示は省略している。
中央に図示している反応容器300に着目する。図3において、反応容器300に、例えば、第1試薬分注プローブ14aが挿入され、第1試薬が反応容器300に吐出されるものとする。上述したように、第1試薬分注プローブ14a等のノズルは、反応容器300の中央に位置するのが望ましい。この望ましい挿入位置は、1点を示すものではなく、所定の領域にあることを意味する。例えば、反応容器3を上方から見た場合に、各辺を3分し、双方の辺に対して中央の3分の1の領域としてもよい。この領域の設定は、3分した点に基づいた領域とは限られず、使用者及び管理者が自由に変更できるようにしてもよい。
第1試薬分注プローブ14aが反応容器300の中央に挿入されるかを確認するために、自動分析装置100は、確認するノズルが挿入される理想的な位置において、2対の検出センサである、第1検出センサ310と、第2検出センサ312を備える。第1検出センサ310は、第1投光センサ310aと、第1受光センサ310bとを備える。これらの各センサは、反応容器3の移動に依存せず、例えば、自動分析装置100内において固定されるように設置される。投光センサと受光センサの間に示される点線は、光の経路を示す。
第1投光センサ310aは、ノズルが挿入される理想的な位置を介して第1受光センサ310bに向けて光、望ましくは指向性のある光を射出するデバイスであり、例えば、LED(Light Emitted Diode)、LD(Laser Diode)を備える。第1受光センサ310bは、第1投光センサ310aが射出した光を受光するデバイスであり、例えば、フォトダイオードを備える。第1投光センサ310aが射出する光は、反応容器300の大きさと比べて十分小さな光線の幅を有している。少なくとも、ノズルの理想的な挿入領域においては、反応容器300の大きさと比べて小さな光線の幅を有する。
第2投光センサ312aは、ノズルが挿入される理想的な位置を介して第2受光センサ312bに向けて光、望ましくは指向性のある光を射出するデバイスであり、例えば、LED、LDを備える。第2受光センサ312bは、第2投光センサ312aが射出した光を受光するデバイスであり、例えば、フォトダイオードを備える。第2投光センサ312aが射出する光は、反応容器300の大きさと比べて十分小さな光線の幅を有している。少なくとも、ノズルの理想的な挿入領域においては、反応容器300の大きさと比べて小さな光線の幅を有する。
光線の幅が十分小さいとは、例えば、ノズルが理想的な領域において反応容器300に挿入されている場合に第1受光センサ310bにより受光される光の強度が、ノズルが挿入されていない場合と比較して有意に小さくなる、例えば、80%の強度になるような光線の幅のことを言う。なお、80%等は、一例として記載したものであり、この限りではなく、90%といったより大きい値であっても、50%といったより小さい値であってもよい。例えば、受光センサが受光した投光センサからの光の強度に対して、しきい値を設け、ノズルが望ましい領域にあるか否かを検出する。このため、ノズルの検出を行う前に、投光センサから光を発しない状態において、バックグラウンド処理を行ってもよい。
第1検出センサ310の光路と第2検出センサ312の光路が平面視において交わる方向に、第1検出センサ310と第2検出センサ312は、設置される。すなわち、第1投光センサ310aの射出する光と、第2投光センサ312aの射出する光の交差する領域において、ノズルが挿入されるのが望ましい。相互の光路は、90°に近い角度で交わることが望ましいが、これには限られず、測定の精度により、2つの光路を用いることにより位置ズレが2次元的に判断できる状態であれば、平行でなければ構わない。
ノズルが理想的な領域にある場合、第1投光センサ310aから射出された光は、ノズルに遮蔽され、第1受光センサ310bにその一部又は全部が到達しない。そこで、ノズルが理想的な領域に存在することを判断できるような所定のしきい値を設定し、第1受光センサ310bが受信した光の強度が当該しきい値よりも小さければ、第1検出センサ310の光路と直交する方向において、ノズルが理想的な領域に存在すると検出できる。第2検出センサ312についても同様であり、第2検出センサ312の光路と直交する方向において、ノズルが理想的な領域に挿入されるか否かを検出できる。
このように、2対の検出センサを用いることにより、各検出センサの光路に直交する方向において、ノズルが理想的な領域に挿入されるかを検出でき、各検出センサの光路が平行でなければ、ノズルが反応容器300の平面視において、理想的な領域に挿入されるか否かを検出することが可能となる。
例えば、第1検出センサ310においてはノズルが望ましい位置にあると検出された場合であっても、第1検出センサ310の光路上にノズルが存在してはいるが、望ましい領域からは外れていることがある。このような場合、第1検出センサ310の光路と交差するような光路を有する第2検出センサ312の検出結果を参照することにより、望ましい位置にノズルが存在しないことが検出できる。一方で、ノズルが望ましい領域に挿入されている場合においては、いずれのセンサにおいても望ましい領域に存在していると検出されるため、望ましい領域に挿入されていることが検出できる。
図4は、図3におけるA−A断面図である。すなわち、図3における反応容器300及び検出センサの側面視を示す図である。この図4に示すように、第1投光センサ310a、第1受光センサ310b、第2投光センサ312a、第2受光センサ312bは、同一の水平面上に備えられていてもよい。この場合、同一とは、必ずしも厳密な意味ではなくてもよい。また、厳密に水平面ではなくてもよく、鉛直方向に対して直角よりも少しずれている方向で交わっていてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、2対の投光センサ及び受光センサという簡易なデバイスの追加により、ノズルの挿入位置が理想的な領域に存在しているか否かを検出することが可能となる。投光センサは、例えば、LEDであり、受光センサは、例えば、フォトダイオードであり、レーザ装置、カメラ等と比較して小さなサイズであるため、自動分析装置100において設置領域の自由度を高めることが可能であり、さらに、他のデバイスに及ぼす影響も小さい状態で設置することが可能である。また、カメラを用いる場合と異なり、受光センサにおいて受光した光の強度から検出が可能であるので、カメラでの撮影及び当該撮影された画像の画像処理等を行うことなくノズルの検出を行うことが可能である。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る自動分析装置100の反応容器300及び各センサの設置位置の例を示す図である。平面図は、前述の実施形態と同様に図3に示すものと同様である。第1投光センサ310a、第1受光センサ310b、第2投光センサ312a、第2受光センサ312bの全てが同じ水平面に存在するのではなく、異なる水平面に存在するものである。このように、必ずしも全てのセンサが同一の平面上にある必要は無く、平面視において、ノズルが存在する望ましい領域で交わるように設置されていればよい。
図5においては、第1受光センサ310bと、第2投光センサ312aとが同じ高さにあるが、これには限られず、第1投光センサ310aと、第1受光センサ310bとの位置は逆であってもよい。この場合、投光センサ同士、受光センサ同士で同じ高さにあることとなる。この他の組み合わせ、例えば、投光センサが受光センサよりも低く設置されている組み合わせであってもよい。また、2つずつ同じ高さにあるがこれには限られず、例えば、全てのセンサの高さが異なっていてもよいし、3つのセンサが同じ高さにあり、残りのセンサが異なる高さにあってもよい。これらの高さの設定は、自動分析装置100内の他の構成要素と、各センサとの設置位置との関係により任意に変更できる。
(第3実施形態)
前述した第1実施形態及び第2実施形態においては、ノズルの挿入位置に置いてノズルを固定した状態で検出を行うものとしたが、これには限られない。例えば、検出の動作を行っている状態において、ノズルを上下に移動させてもよい。
図6は、図5のセンサ位置において第1試薬分注プローブ14aを上下に動かした例を示す図である。例えば、図6に示すように第1試薬分注プローブ14aが途中で曲がっている(湾曲、屈曲している)場合を考える。このような場合、前述の実施形態のように、静止した状態では、先端が曲がっていることを検出することができない。
そこで、本実施形態においては、ノズルを静止させた状態ではなく、ノズルを上下に移動させる状態において、センサによるノズルの検出を行う。第1試薬分注プローブ14aが、実線で示す位置においては少なくとも一方のセンサには検出されず、点線で示す位置においては双方のセンサで検出されるとする。
実線の位置にある場合に、ノズルの長さとアームの位置との関係において、望ましい位置にある場合には双方センサに検出されるはずであるのに少なくとも一方のセンサにおいて検出されず、一方で、点線の位置にある場合には双方のセンサに検出されている。このような場合、図6に示すように、ノズルの先端が曲がっていることを検出することが可能である。
特に、本実施形態によれば、一方のセンサにおいて実線の位置で検出され、双方のセンサにおいて点線の位置で検出される場合には、ノズルの挿入位置が望ましい領域にないということではなく、ノズルの挿入位置自体は望ましい位置にあっても、ノズルの先端が曲がっている等、ノズル自体の問題についても検出することが可能となる。
なお、上記においては、ノズルの望ましい上下方向の位置が事前に取得できている場合を説明したが、これには限られない。例えば、ノズルの挿入方向の移動距離を設定しておき、当該移動方向に沿ってノズルを移動させた場合における受光の度合いを感知することにより、ノズルの曲がり(湾曲、屈曲)等を検出するようにしてもよい。
(第4実施形態)
図7は、図3における各センサのさらに別の配置について示す図である。この図7に示すように、第1検出センサ310と、第2検出センサ312とは、それぞれ異なる高さに位置していてもよい。すなわち、第1投光センサ310aと第1受光センサ310bの投光部及び受光部を繋ぐ領域と、第2投光センサ312aと第2受光センサ312bの透光部及び受光部を繋ぐ領域とは、高さ方向において必ずしも交わらなくてもよい。ただし、この場合であっても、平面視においては、図3に示すように、ノズルが挿入される領域において交わる関係にある。
このように、各センサの位置は、それぞれの対となるセンサ同士における光線が、平面視、すなわち、反応容器300を鉛直方向上方からみると交わっているが、高さ方向においては、必ずしも交わっている必要は無い。この関係を用いることにより、各センサの位置を、より自由に設定することが可能となる。
なお、図5において説明したのと同様に、第1投光センサ310aと、第1受光センサ310bとの位置、及び、第2投光センサ312aと、第2受光センサ312bとの位置は、それぞれ交換可能である。
(第5実施形態)
前述した各実施形態においては、ノズルが単体で構成されている場合について説明したが、本実施形態においては、ノズルが複数並んでいる場合について説明する。図8は、本実施形態に係る検出センサの平面視における位置について示す図である。
自動分析装置100のノズルは、前述した各実施形態のように、1本だけ単独で存在していることもあるが、複数、例えば、2本のノズルが隣り合わせの反応容器3に対して並べられている場合もある。図8においては、となり合わせに設置された反応容器300、302に対して、それぞれノズルが挿入される。このような場合、反応容器300に対して2対の検出センサ、反応容器302に対して2対の検出センサを用いることにより、前述の実施形態と同様に、ノズルの位置の検出を行うことが可能である。
しかしながら、それぞれの反応容器に対して2対の検出センサを設置するには、設置する場所が不足する場合がある。また、反応容器の位置関係によっては、検出センサ同士の設置位置が重なる場合もあり、簡単に設置できない場合もある。
このような場合、図8に示すように、3対の検出センサ310、312、314を用いることにより、2つの反応容器300、302のノズルの挿入の検出を行うことも可能である。
以下、第1反応容器300に第1ノズルが挿入され、第1ノズルの検出を、第1検出センサ310及び第2検出センサ312で行い、第2反応容器302に第2ノズルが挿入され、第2ノズルの検出を、第1検出センサ310及び第3検出センサ314で行う場合について説明する。
第1検出センサ310は、例えば、検出に用いる光が、第1反応容器300、第2反応容器302において、それぞれ第1ノズル、第2ノズルの望ましい挿入領域を通過するように設置される。第2検出センサ312は、検出に用いる光路が、第1反応容器300における第1ノズルの望ましい挿入領域において、第1検出センサ310の光路と交わるように設置される。第3検出センサ314は、検出に用いる光路が、第2反応容器302における第2ノズルの望ましい挿入領域において、第1検出センサ310の光路と交わるように設置される。
このように第1検出センサ310、第2検出センサ312、第3検出センサ314を設置し、第1反応容器300の第1ノズルについて検出を行う場合には、第1検出センサ310と第2検出センサ312を用い、第2反応容器302の第2ノズルについて検出を行う場合には、第1検出センサ310と第3検出センサ314を用いる。各反応容器に挿入されるノズルに対して、それぞれ別のタイミングにおいて検出を行うことにより、3対の検出センサを用いて、2つの反応容器のノズルについて検出することが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置によれば、本来であれば、1つのノズルの検出に2対の検出センサが必要となるところ、ノズル同士が隣接する反応容器に挿入される場合には、3対の検出センサにより、2つの反応容器に対する検出を行うことが可能となる。図8のように検出センサを設置することにより、各センサの必要数を削減することを可能とするとともに、各センサの設置する領域を確保することが可能となる。なお、各センサの高さ方向の位置は、前述した各実施形態のように、種々の位置にすることが可能である。
(第6実施形態)
前述した各実施形態においては、検出センサは、投光センサと受光センサの対を備えて構成されていたが、これには限られない。本実施形態においては、投光センサから出た光をノズルにより反射させ、その反射光を用いることによりノズルの検出を行う。
図9は、本実施形態に係る検出センサの平面視における位置について示す図である。第1検出センサ310は、第1投受光センサ310cを備える。第1投受光センサ310cは、投光センサと受光センサとを備えるセンサである。投光センサと受光センサは同一のデバイスであってもよいし、別々のデバイスであってもよい。
同一のデバイスである場合には、投光した光線が、ノズルで反射して、同一のデバイスへと戻るように設置する。例えば、ノズルの望ましい設置位置、方向に対して、垂直となる平面上に光線が出るようにデバイスを設置する。
別々のデバイスである場合には、投光センサから投光し、ノズルにおいて反射した光線が、受光センサへと戻ってくる位置に設置する。例えば、ノズルの望ましい設置位置、方向に対して、垂直となる平面と、逆の角度を有するように、投光センサと受光センサの位置及び角度が設定されるように設置する。
以上のように、本実施形態によれば、前述した実施形態と同様に、ノズルが存在する望ましい領域にノズルが挿入されるか否かを検出するとともに、各センサの設置箇所を削減することが可能となる。図9においては、反応容器が並べられる内側にセンサが位置しているが、これには限られず、反応容器が並べられる円周の外側にセンサが位置するようにしてもよい。各センサの個数を減らすことにより、各センサの設置の自由度を高めることが可能となる。
(第7実施形態)
前述した各実施形態においては、例えば、LEDであるように、ある程度指向性を有する強度の強い光を発するセンサを投光センサとしたが、これには限られず、ビーム径に拡がりを持つようなセンサを用いてもよい。
図10は、本実施形態に係る検出センサの平面視における位置について示す図である。第1投光センサ310aは、LEDほどビーム径が拡がらないものではなくともよく、ある程度ビーム径が拡がるデバイスである。このような場合、例えば、マスク310Mをセンサの両側に設置することにより、ビーム系を狭めておき、第1受光センサ310bへと光が届くようにする。同様に、第2投光センサ312aは、マスク312Mによりそのビーム径が狭められる。
このように、マスクを用いて投光センサを形成してもよい。マスクを用いることにより、ビーム径が元々広い光源を投光センサとして用いることも可能となる。また、投光センサに対するマスクは、LEDを光源として用いる場合にも利用することが可能である。
以上のように、本実施形態によれば、LED等のデバイスが準備できない、又は、何あらかの原因により接続できない場合においても、より簡易な投光センサと、マスクとを用いることにより、前述の各実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
(第8実施形態)
前述の各実施形態においては、ノズルの検出を行ったが、この検出結果を用いてノズルの位置修正を行うことも可能である。
例えば、図3において、第1検出センサ310においてノズルが検出されていない場合には、第1検出センサ310によりノズルが検出される位置までノズルの位置を微調整する。その上で、第2検出センサ312においてノズルの検出を行う。第1検出センサ310によりノズルが検出され、第2検出センサ312によりノズルが検出されていない場合、第1検出センサ310の光路上を移動するように、ノズルを移動させる。この移動により第2検出センサ312によりノズルが検出される位置まで移動する。このように移動させると、第1検出センサ310、第2検出センサ312の双方によりノズルが検出され、すなわち、ノズルが望ましい位置に移動したと推定できる。
以上のように、本実施形態によれば、前述した各実施形態における検出センサをもちいることにより、ノズルの位置の調整、修正を行うことが可能となる。この位置修正は、使用者が手動で行ってもよいし、センサ及び移動機構を用いて自動で行ってもよい。
各実施形態に係る検出は、任意のタイミングにおいて実施することが可能である。例えば、分析装置を用いて分析を行う直前に各ノズルの位置を確認するために実施してもよい。別の例として、分析が終了した後に、次の分析に備えて実施してもよい。さらに別の例として、ノズルを付け替えた後に、実施してもよい。その他、検査中、あるいは、装置のメンテナンス後等のタイミングにおいて実施してもよい。
前述した各実施形態の説明において、ノズルは第1試薬分注プローブ14aであったが、これには限られず、他のプローブ、撹拌子、洗浄ユニットのノズルであっても構わない。また、挿入される先は、反応容器3であったが、これには限られず、各種ノズルが挿入される、試薬容器、試料容器、洗浄槽であっても構わない。対応するノズル及び当該ノズルが挿入される先について、適切に前述の検出センサが設置されることにより、当該ノズルの当該挿入先に対する位置の検出を行うことが可能である。
また、各センサは、自動分析装置100にセンサ用のステージを備え、当該ステージに設置されてもよい。例えば、反応ディスク4により移動されないように、第1試薬分注プローブ14aの挿入される位置において固定されて設置されてもよい。第1試薬分注アーム8と、反応容器300との位置合わせができている状態であれば、各センサは、第1試薬分注アーム8に付随して回動するように、第1試薬分注アーム8に設置されているものであってもよい。
各センサ及びノズルが接続されているアームの制御は、システム制御部60により行われてもよい。すなわち、処理回路により行われるものであってもよいし、ソフトウェアによる処理により当該処理回路を介して各センサが制御されるものであってもよい。この処理回路は、前述したようにCPUであってもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実装されていてもよい。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
例えば、前述した各実施形態においては、可視光を用いるセンサを用いることを前提としたが、これには限られず、紫外光、赤外光、マイクロ波等、各種電波を用いることも可能である。また、これには限られず、指向性のある超音波を用いてもよい。