JP2020056897A - 調光装置とその駆動方法、窓材、光学フィルタ - Google Patents

調光装置とその駆動方法、窓材、光学フィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】有機EC素子を用いた調光装置において、有機EC素子のセグリゲーションを抑制し、安定な着消色特性を得る。【解決手段】有機EC素子を備えた調光装置において、有機EC素子を第一の調光手段1として備えるとともに第二の調光手段21を備え、システム制御部26が、第一の調光手段1の光透過率と第二の調光手段21の光透過率とを、それぞれ第一の検出手段22と第二の検出手段23で検出し、それぞれ第一の制御手段10と第二の制御手段25によって独立して制御することにより、調光装置全体の光透過率を制御する。【選択図】図1

Description

本発明はエレクトロクロミック素子を用いた調光装置とその駆動方法に関する。
エレクトロクロミック現象(EC現象)とは、電圧を加えた時に生ずる可逆的な電気化学反応の誘起により、材料の光吸収域が変化し、材料が着色又は消色する現象である。エレクトロクロミック素子(EC素子)は、EC現象を利用し電気化学的に着色/消色を行う素子であり、窓や撮像装置用の調光フィルタなど、光透過率を変化させる調光装置としての応用が期待されている。低分子系有機材料を溶液状態で着色/消色する有機EC素子は、着色状態において十分なコントラスト比が得られる一方で、消色状態の透過率が高いなどの利点が知られている。
一方、有機EC素子には着色駆動時における溶液内の色分離現象(セグリゲーション)が知られており、特許文献1では溶液を高粘度化してセグリゲーションの進行を抑制した調光装置の例を開示している。
特開平9−120088号公報
しかしながら、特許文献1の調光装置においても、着色駆動時間と共にセグリゲーションは徐々に進行するため、長時間駆動後には色分離が顕著化し、また、その後の消色応答が著しく低下するなどの課題を有していた。
本発明は、有機EC素子を用いた調光装置において、有機EC素子のセグリゲーションを抑制し、安定な着消色特性が得られる調光装置を提供することを目的とする。
本発明の第一は、有機エレクトロクロミック素子と、前記有機エレクトロクロミック素子の光透過率を制御する制御手段と、を備えた調光装置であって、
前記有機エレクトロクロミック素子を第一の調光手段、前記制御手段を第一の制御手段として、
さらに、第二の調光手段と、前記第一の制御手段とは独立して前記第二の調光手段の光透過率を制御する第二の制御手段と、を備え、
前記第一の調光手段の有効光学領域と、前記第二の調光手段の有効光学領域とが、少なくとも一部で互いに重なり合っていることを特徴とする。
本発明の第二は、第一の調光手段としての有機エレクトロクロミック素子と、第二の調光手段と、前記第一の調光手段の光透過率を制御する第一の制御手段と、前記第一の制御手段とは独立して前記第二の調光手段を制御する第二の制御手段と、を備えた調光装置の制御方法であって、前記第一の制御手段と前記第二の制御手段とによって、前記第一の調光手段の光透過率と前記第二の調光手段の光透過率とを独立に制御して前記調光装置の光透過率を制御することを特徴とする。
本発明の第三は、上記本発明の第一の調光装置を有することを特徴とする窓材である。
本発明の第四は、上記本発明の第一の調光装置からなることを特徴とする光学フィルタである。
本発明によれば、有機EC素子を用いた調光装置において、有機EC素子のセグリゲーションを抑制し、安定な着消色特性が得られる。
本発明の調光装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明の調光装置の駆動方法の実施形態のタイミングチャートである。 本発明に用いられる有機EC素子の一例を示す模式図である。 本発明の調光装置を用いた窓材の構成を示す模式図である。 本発明の調光装置を用いた撮像装置の構成を示す模式図である。
本発明は、第一の調光手段として有機エレクトロクロミック素子(有機EC素子)を備えた調光装置において、第二の調光手段を備え、それぞれの調光手段の光透過率を制御することにより、有機EC素子のセグリゲーションを抑制したことに特徴を有する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれる。
〈調光装置〉
図1は、本発明の調光装置の好ましい実施形態の構成を示すブロック図である。
本発明の調光装置は、第一の調光手段1と、第二の調光手段21と、第一の調光手段1の光透過率を制御する第一の制御手段10と、第二の調光手段21の光透過率を制御する第二の制御手段25を有している。第一の調光手段1と第二の調光手段21とは有効光学領域が互いに重なり合っており、調光装置に入射した光は、第一の調光手段1と第二の調光手段21の両者の有効光学領域を透過することで光量が調整される。第一の調光手段1と第二の調光手段21とは、互いに離間して配置されてもよく、密接して配置されてもよく、また、基板を共有するように配置されていてもよい。本発明において、「有効光学領域」とは、調光手段1,21において、入射した光が出射するまでの間に、光量を調整される領域である。
図1の調光装置においては、第一の調光手段1の光透過率を検出する第一の検出手段22と、第二の調光手段21の光透過率を検出する第二の検出手段23と、調光装置の光透過率を検出する第三の検出手段24を有している。図中の26は、システム制御部であり、調光装置の目標とする光透過率を演算し、第一の調光手段1の光透過率及び第二の調光手段21の光透過率をそれぞれ制御して、全体の光透過率を制御する。
本発明の調光装置においては、第一の調光手段1が有機EC素子であり、係る第一の調光手段1と、第二の調光手段21との組合せで全体の光透過率が制御される。第一の制御手段10としては、PWM(Pluse Width Modulation;パルス幅変調)によって実効電圧を制御する回路基板を持つものが好ましい。また、第一の検出手段22としては、有機EC素子の光透過率を検出する手段として一般的に用いられている、LEDとフォトダイオードからなる投受光センサ、ホールセンサが用いられる。
本発明において、第二の調光手段21は、電気的制御によって光透過率を可変するような調光素子が好ましく、第一の調光手段1と同様に有機EC素子であってもよいし、無機EC素子であってもよいし、液晶素子であってもよい。また、用途は限定されるが、機械的な機構で光の透過率を制御するものであっても構わない。機械的な機構としてはカメラで用いられる「絞り」のように遮光領域を調整するものなどが挙げられる。
第二の制御手段25は、第二の調光手段21に応じて適宜選択すればよい。第二の調光手段21が有機EC素子や液晶素子であれば、第一の制御手段10と同様に、PWMによって実効電圧を制御する回路基板を持つものが好ましい。また、絞りのような機械的な機構の場合は、ブラシレスモータやステッピングモータ、超音波モータなどの電動機及びそれを駆動する回路基板を有するものが挙げられる。
第二の検出手段23もまた、第二の調光手段21に応じて適宜選択すればよい。第二の調光手段21が有機EC素子や液晶素子であれば、第一の検出手段22と同様に、LEDとフォトダイオードからなる投受光センサが挙げられる。また、絞りのような機械的な機構の場合は、モータの回転数を検出する投受光センサ、ホールセンサなどが挙げられる。また、第二の制御手段25側で一義的に第二の調光手段21の光透過率が制御できるなら、第二の検出手段23自体は省略しても構わない。
システム制御部26は、調光装置全体の光透過率を取得し、現在の光透過率と目標とする光透過率との差分をなくすように、第一及び第二の調光手段1,21の制御命令を作成する。目標とする光透過率はユーザーの設定によるものであってもよいし、外部機器からの通信によるものであってもよい。
本発明の調光装置を窓材に適用した場合、外光の明るさに応じてユーザーが光透過率を設定してもよいし、外光の強さを測る照度センサを別に備え、照度センサの検出値に基づいて必要な光透過率を演算するような構成であっても構わない。また、本発明の調光装置をカメラなど撮像装置の光学フィルタに適用した場合、ユーザーが任意に光透過率を設定してもよいし、また、撮像装置の持つ露出制御機構の指示に基づいて光透過率を設定してもよい。
調光装置全体の光透過率の検出は、第三の検出手段24の出力により行われるが、第一の検出手段22の結果及び第二の検出手段23の結果に基づいて行われても構わない。この場合、第三の検出手段24を省略することも可能である。また、第一及び第三の検出手段22,24を用いた場合、その差分を第二の検出手段23の出力に置き換えても構わない。この場合、第二の検出手段23を省略することも可能である。また、第一及び第二の制御手段10,25で第一及び第二の調光手段1,21の光透過率を一義的に制御できるなら、第一及び第二、第三の検出手段22,23,24は省略しても構わない。
システム制御部26は、調光装置全体の光透過率を制御している最中に、予め設定されたタイミングで、有機EC素子である第一の調光手段1を消色状態に戻す工程を含んでいる。第一の調光手段1は消色状態に戻された後に、再び着色状態に移行するが、調光装置全体の光透過率が目標とする光透過率に保たれるように、第一の調光手段1の光透過率と第二の調光手段21の光透過率とを協調して制御する。このような制御において、簡易的な窓のように、全体の光透過率に多少の変動を含んでも問題とならない場合、第一及び第二の調光手段1,21の光透過率が変化する過渡的な時間領域の制御をいずれも省略し、到達した光透過率の積をもって制御しても構わない。実際には、調光装置全体の光透過率の変動は好ましいものではないため、第一及び第二の調光手段1,21の光透過率はその積が一定となるように、それぞれがフィードバック制御されることが好ましい。また第一及び第二の調光手段1,21のどちらか一方のみがフィードバック制御される構成でも構わない。
第一の調光手段1を消色状態に戻すタイミングは、セグリゲーション発生の状況から予め取得しておいてもよいし、セグリゲーションの発生を検出する別の検出手段の出力に基づいて選択してもよい。セグリゲーションの発生よりも早いタイミングで設定しても構わない。システム制御部26は、第一の調光手段1の光透過率と、第二の調光手段21の光透過率を、目標とする光透過率に基づいて個別に制御する。第一の調光手段1を消色状態に戻す工程において、好ましくは第一の調光手段1の光透過率を任意の軌跡となるように制御する。目標とする光透過率と第一の調光手段1の光透過率の差分をもって、第二の調光手段21に必要となる光透過率を演算し、第二の調光手段21を制御する。第一の調光手段1及び第二の調光手段21の制御の順序は前後していても構わない。
第一の調光手段1の光透過率の制御は、光透過率の変化幅を、第一の調光手段1の制御できる光透過率の範囲内とし、且つ、光透過率の目標値の変化速度を、第一の調光手段1の応答性よりも遅い速度で制御する。また、第二の調光手段21が第一の調光手段1の光透過率の変化に追従する必要があるため、第一の調光手段1の制御は、第二の調光手段21の応答性よりも遅い速度で制御することが好ましい。
図2は、本発明の調光装置の駆動方法の一実施形態のタイミングチャートであり、第一の調光手段1及び第二の調光手段21のそれぞれの光透過率の制御例を示す図である。
本例では、第一の調光手段1と第二の調光手段21とを透過した光の光量が一定となるように、即ち、調光装置全体の光透過率が一定となるように、第一の調光手段1及び第二のそれぞれの光透過率が独立して制御される。図2中、実線は第一の調光手段1の光透過率、一点鎖線は第二の調光手段21の光透過率であり、最大光透過率は第一の調光手段1及び第2の調光手段21のそれぞれの消色状態での光透過率である。第一の調光手段1及び第2の調光手段21のいずれもが最大光透過率である時、調光装置全体が最大光透過率を示す。
図2(a)において、tAは第一の調光手段1が調光装置全体の目標光透過率となるように着色し、第二の調光手段21が最大光透過率となるように消色する期間である。また、tBは第二の調光手段21が調光装置全体の目標光透過率となるように着色し、第一の調光手段1が最大光透過率となるように消色する期間である。図2(a)においては、期間tAと期間tBとを交互に繰り返す。また、tCは、第一の調光手段1を調光装置全体の目標光透過率から最大光透過率へと消色させると同時に第二の調光手段21を最大光透過率から調光装置全体の目標光透過率へと着色させる期間である。さらに、tDは、第二の調光手段21を調光装置全体の目標光透過率から最大光透過率へ消色させると同時に第一の調光手段1を最大光透過率から調光装置全体の目標光透過率へと着色させる期間である。期間tC及びtDにおいても、調光装置全体の光透過率が一定の目標光透過率となるように、第一の調光手段1の光透過率と第二の調光手段21の光透過率とが、それぞれ第一の制御手段10及び第二の制御手段25によってフィードバック制御されている。尚、図2(a)において、tC及びtDにおける第一の調光手段1及び第二の調光手段21のそれぞれの光透過率の変化は便宜上直線で示されているが、実際には、それぞれの光透過率の積が一定となるように調整されるため、非直線状となる。光透過率の積は、光吸収量の和と言い換えてもよい。
ここで、フェナジン系とビオロゲン系の材料を1種類ずつプロピレンカーボネートに溶解したEC層を有する、一般的な有機EC素子における、消光過程での目標値からのずれについて説明する。検出波長を600nmとし、有機EC素子が透明(消色)状態の光学濃度を0にオフセット化し、目標光学濃度がボリュームダイヤルの回転に連動するように調製して、フィードバック制御する。最大光透過率を100%とした時、光透過率100%から約25%への減光(2段分)に対して、目標とする光透過率に対する、有機EC素子の光透過率のずれは、大きくても2%以内とわずかであった。
よって、本発明において、第二の調光手段21として有機EC素子を用いた場合に、2段分(光透過率100%から約25%への減光)の光学濃度の変化に対して、目標の光透過率に対する調光装置の光透過率のずれは、大きくても±5%以内と見積もられる。
上記のように、一定の間隔で有機EC素子である第一の調光手段1を最大光透過率と調光装置全体の目標光透過率との間で交互に制御することにより、第一の調光手段1を定期的に消色状態に戻してセグリゲーションの発生を抑制することができる。
また、図2(b)に示すように、最大光透過率と調光装置全体の目標光透過率との間にオフセット光透過率を設定し、第一の調光手段1及び第二の調光手段21がオフセット光透過率を基準にして逆位相的に光透過率を制御していても構わない。尚、図2(b)中、一点鎖線で示される第二の調光手段21の光透過率は、期間tAにおいては、実線で示される第一の調光手段1の光透過率と等しい。図2(b)においては、第一の調光手段1及び第二の調光手段21のそれぞれのオフセット光透過率を等しくしているが、オフセット光透過率の取り方や、光透過率の制御パターンは任意に設定可能である。尚、図2(b)では、第二の調光手段21が有機EC素子である場合は、光透過率がオフセット光透過率と調光装置全体の目標光透過率との間で変動するため、セグリゲーションの問題が発生する。よって、図2(a)に示したように、第一の調光手段1と第二の調光手段21は交互に消色状態に戻す工程を含めることが好ましい。
尚、有機EC素子に用いられる有機EC材料は、一般的に電圧を印加されていない状態では高い光透過率を示すため、上記の説明においては、電圧を印加されていない状態を消色状態とした。しかしながら、有機EC材料が、電圧を印加されていない状態で着色状態を示し、電圧を印加することで高い光透過率を示す場合においても、セグリゲーションは発生する。本発明においては、このような場合においても、第一の調光手段1と第二の調光手段21とで、交互に着色状態とすることにより、セグリゲーションを抑制することができる。
上記のように、本発明によれば、有機EC素子を用いた調光装置において、第二の調光手段21を用い、有機EC素子と第二の調光手段21とで調光装置全体の光透過率を制御することにより、有機EC素子のセグリゲーションを抑制することができる。
以下、本発明に用いられる有機EC素子について説明する。
〈有機EC素子〉
図3は、第一の調光手段1である有機EC素子の一例を示す模式図である。係る有機EC素子は、第二の調光手段21としても用いることができる。本実施形態では、有機EC素子の外形が略四角形である場合について説明するが、形状はこれに限られるものではない。
図3(a)は、有機EC素子の平面図であり、有機EC素子の長辺方向をX軸、短辺方向をY軸、紙面奥行き方向をZ軸と定義する。Z軸は、光軸方向を示している。また、図3(b)は、図3(a)のD−D’断面の端面図に、説明のために給電端子A1,A2,C1,C2を加えた図である。本例では、Y軸方向を鉛直方向とし、有機EC素子はY軸方向に沿って立てて使用されるものとする。
有機EC素子は、基本的に、透明な基板2,5に形成された透明な電極3,6を互いに対向するようにスペーサ4を介して貼り合せ、一対の電極3,6とスペーサ4とで形成された空隙を充填するように有機EC層7が存在する構造となっている。基板2と電極3の組み合わせと基板5と電極6の組み合わせは、透明電極基板に相当する。
有効光学領域9は、光が透過する領域であり、有機EC素子は係る有効光学領域9を透過する光の光量(光透過率)を調整する。電極3と電極6との間に電圧を印加することで、有機EC層7の有機EC材料が電気化学的反応を起こし、光透過率を変化させることができる。有機EC素子の光透過率と光学濃度とは、−LOG(光透過率)=(光学濃度)の関係を有し、光透過率が1/2になる毎に光学濃度は約0.3ずつ増大する。
電極3及び電極6には、電極自身よりも抵抗値が小さい低抵抗配線8a乃至8dが設けられている。電極3に設けられた低抵抗配線8a,8bと、電極6に設けられた低抵抗配線8d,8cとは、有機EC素子の長辺方向に沿って、有効光学領域9を挟んで対向するように配置される。給電端子A1,A2,C1,C2は、低抵抗配線8a,8b,8c,8dに設けられ、第一の制御手段10に接続されている。駆動電圧は、制御手段10より給電端子A1,A2,C1,C2及び低抵抗配線8a,8b,8c,8dを経て、電極3及び電極6にそれぞれ印加される。
制御手段10は、電極3,6に印加する電圧を制御することで、有機EC素子を透過する光量を調整する。制御手段10は、例えば、駆動電圧波形を発生するための任意波形発生回路、端子間の極性を反転させるためのリレーやスイッチ回路を有している。また、制御手段10は、電源やレギュレーターなど周辺装置を含んでいても構わない。また、制御手段10は、電気化学反応で生じる電流、或いは、電荷を測定するための回路機構を含んでいても構わない。駆動用の回路や周辺装置は、有機EC素子に直接接続され一体化されていても、配線を介して間接的に接続されていてもよい。
次に、有機EC素子を構成する各部について詳細に説明する。
〔基板2,5〕
有機EC素子を窓や調光フィルタに用いる場合、光学系への影響を小さくするために、消色状態では高い光透過率を保つことが好ましい。そのため、基板2,5は可視光を十分に透過させる透明基板であることが好ましく、一般的には光学ガラス基板が用いられる。また、プラスチックやセラミック等の材料であっても十分な透明性があれば、基板2,5として使用が可能である。また、基板2,5は、剛性で歪みを生じることが少ない材料が好ましく、さらに、可撓性が少ないことがより好ましい。基板2,5の厚みは、一般に数十μm乃至数mmである。
〔電極3,6〕
本発明においては、有機EC素子を調光装置に用いるため、光学系への影響を小さくするために、消色状態では高い光透過率を保つことが好ましい。そのため、電極3,6は、可視光を十分に透過させる透明電極であることが好ましい。さらに、電極3,6は、可視光領域における高い光透過性と共に高い導電性を有した材料からなることがより好ましい。
例えば、酸化インジウムスズ合金(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化銀、酸化バナジウム、酸化モリブデン、金、銀、白金、銅、インジウム、クロムなどの金属や金属酸化物が電極3,6の材料となる。さらに、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系材料、カーボンブラック、グラフェン、グラファイト、グラッシーカーボン等の炭素材料なども電極3,6の材料となる。また、ドーピング処理などで導電率を向上させた導電性ポリマー(例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体(PEDOT:PSS)など)も電極3,6の材料となる。
本発明に用いられる有機EC素子は、消色状態で高い光透過率を有することが好ましいため、例えば、ITO、IZO、NESA、PEDOT:PSS、グラフェンなどが、電極3,6の材料として特に好適である。これらの電極3,6の材料はバルク状、微粒子状など様々な形態で使用できる。尚、電極3,6の材料は、単独で使用してもよく、或いはは複数併用してもよい。
〔有機EC層7〕
有機EC層7は、電解質と、低分子系有機材料等の有機EC材料とを溶媒に溶解したものであることが好ましい。
先ず、溶媒について説明する。溶媒としては、電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、特に極性を有するものが好ましい。具体的には、溶媒として水の他、例えば、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の有機極性溶媒が挙げられる。さらに、溶媒として、例えば、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン等の有機極性溶媒が挙げられる。
次に、電解質について説明する。電解質としては、イオン解離性の塩で、良好な溶解性を示し、有機EC材料の着色を確保できる程度に電子供与性を有するカチオン或いはアニオンを含む塩であれば特に限定されない。電解質として、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩などが挙げられる。より具体的には、LiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等が挙げられる。さらに、電解質として、(CH34NBF4、(C254NBF4、(n−C494NBF4、(C254NBr、(C254NClO4、(n−C494NClO4等の4級アンモニウム塩及び環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。アニオン種としては、ClO4 -、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -、(CF3SO22-、など一般的に知られる構造が用いられる。また、電解質としてイオン液体を用いてもよい。これらの電解質材料は、単独で使用してもよく、或いは複数併用してもよい。
次に、有機EC材料について説明する。一般に有機EC材料は、電圧が印加されていない状態で中性状態を取り、可視光領域に吸収を持たない。このような消色状態において、有機EC素子は高い光透過率を示す。電極3,6間に電圧を印加すると、有機EC材料中で電気化学反応が起き、アノード性有機EC材料は中性状態から酸化状態(カチオン)となり、カソード性有機EC材料は中性状態から還元状態(アニオン)となる。有機EC材料は、カチオン或いはアニオンの状態で可視光領域に吸収を有するようになり、着色するため、有機EC素子は低い光透過率を示す。
本発明に係るEC素子においては、EC層が1種以上のアノード性有機EC材料と1種以上のカソード性有機EC材料とを含む。アノード性有機EC材料とカソード性有機EC材料は、それぞれ単材料であっても、複材料であっても、一方が単材料で他方が複材料であっても良い。また、溶媒に対して溶解性を有し、電気化学的な反応で着色と消色を表現できるものであれば、どのようなものであっても構わない。
アノード性有機EC材料としては、チオフェン誘導体、フェロセンなどメタロセン誘導体、フェナジン誘導体やトリフェニルアミン誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体など芳香族アミン誘導体が挙げられる。また、アノード性有機EC材料としては、ピロール誘導体、ピラゾリン誘導体等も挙げられる。但し、本発明に用いられるアノード性有機EC材料は、これらに限定されるものではない。
カソード性有機EC材料としては、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、フェロセニウム塩系化合物、スチリル化系化合物などが挙げられる。但し、本発明に用いられるカソード性有機EC材料は、これらに限定されるものではない。
温度変化に対して吸収スペクトルを保持するためには、有機EC材料が会合体を形成しにくいことが好ましい。材料が会合体を形成すると、吸収スペクトルにおいて、単量体の吸収と会合体の吸収が重畳される。会合体の形成のし易さは温度に対して変化するため、会合体を形成しやすい材料においては、温度の変化で単量体の吸収と会合体の吸収の比が変化してしまう。そこで、会合体形成を避けるために、嵩高い置換基を設け立体障害により会合体形成を抑制する方法が好適に用いられる。
有機EC層7は、液体又はゲルであることが好ましい。有機EC層7は、好適には溶液状態として用いられるが、応答速度を著しく損なわない範囲で、ゲル状もしくは粘稠で用いることも可能である。ゲル化には、溶液にさらにポリマーやゲル化剤を含有させる。ポリマー(ゲル化剤)としては、例えば、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、などが挙げられる。さらに、ポリマーとしては、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ナフィオンなどが挙げられる。尚、混合状態で使用する他、透明且つ柔軟な網目構造を有した構造体(例えばスポンジ状のもの)にこれら溶液を担持させても良い。
〔低抵抗配線8a乃至8d〕
低抵抗配線8a乃至8dは、給電端子A1,A2,C1,C2から電極3,6に供給される電圧の面内分布を低減する。低抵抗配線8a乃至8dを設置しない場合、給電端子A1,A2,C1,C2からの距離で電極3,6の面内に電位勾配ができると有機EC素子の面内で電気化学反応量にむらが生じてしまう。尚、給電端子A1,A2,C1,C2は、有効光学領域9内における電位分布をできるだけ小さく抑えるために、図3に示すように、長辺側で且つ有効光学領域9を挟んで互いに対向する位置に設置するのが好適である。
電極面内に電位分布が存在すると、電位分布に応じて電気化学反応量にムラが生じる。例えば、図3に示した有機EC素子において、低抵抗配線を8a,8cのみ、給電端子をA1とC1のみとし、給電端子A1をアノード、給電端子C1をカソードとして着色動作を続けると、給電端子A1及び低抵抗配線8a近傍にはアノード性材料が強く着色する。また、給電端子C1及び低抵抗配線8c近傍にはカソード性材料が強く着色する。これを回避するために、図3に示すように、給電端子A1,C1に加えて、有効光学領域9を挟んで互いに対向する位置に給電端子C2,A2を設置する。そして、給電端子A1,A2を同時にアノード、給電端子C1,C2を同時にカソードとして両側から電圧を印加する、或いは、給電端子A1とA2を交互にアノード、給電端子C1とC2を交互にカソードとして両側から電圧を印加する、などの方法を用いることで電位分布の影響を抑制することが可能である。給電端子A1とA2の交互切り替え、及び、給電端子C1とC2の交互切り替えは制御手段10から行われ、切り替えのタイミングは数kHz乃至数mHzと任意に選択される。
〔有機EC素子の駆動方法〕
有機EC素子の着色状態の維持は、給電端子A1,A2と給電端子C1,C2との間に電圧パルスを印加するPWM駆動で行われる。PWM駆動において、パルス周期に占める電圧を印加する時間幅(Duty比)や電圧の波高値の片方、或いは、その両方を設定することで、実効電圧を制御する。これにより、有機EC素子の電気化学反応量を調整し、その光透過率を任意に制御することが可能である。駆動電圧を一定とした場合に、Duty比を徐々に上げていけば、有機EC素子の着色量が追従して大きくなり、透過率は小さくなる。反対に、Duty比を徐々に下げていけば、着色量が追従して小さくなり、透過率は大きくなる。
パルス周期において電圧を印加しない期間では、駆動電源と給電端子間で電気的な接点を遮断する、或いは、高抵抗体の挿入で電流を遮断し、電気化学反応による着色を低減、或いは、生じさせない。具体的にはリレーやトランジスタ等のスイッチング素子で導通/非導通とする。
パルス周期は任意に選択可能だが、周期が遅いと有機EC素子の光透過率の増減が視覚的に捉えられ、ちらつきとなる。そのため、10Hz以上、好ましくは100Hz以上のパルス周期が好ましい。
駆動電圧を一定とした場合、有機EC素子の光透過率はDuty比に依存する。光透過率と駆動電圧及びDuty比の関係を予め取得しておけば、センサーレスで光透過率を制御することが可能である。より精密な光透過率の制御を行う場合は、透過光量を直接検出するセンサである受光素子を、有機EC素子の有効光学領域9近傍に配置し、受光素子の情報に基づいて有機EC素子の光透過率を制御する。受光素子はSiやGeなどからなるフォトダイオードなど既存のもので構わない。また、LED等の投光素子と組み合わせた投受光センサとしての使用も可能である。この場合、有機EC素子の表裏面に投光素子と受光素子がそれぞれ配置される構成となる。
有機EC素子を目標とする着色状態へ速やかに到達させる場合は、Duty比を100%として駆動電圧を印加する。また、着色時に駆動電圧を通常駆動時の電圧より数百mV大きくして印加する加速駆動も適宜選択可能である。
また、有機EC素子を消色状態にまで速やかに到達させる場合は、アノードとカソードの端子間を短絡する、或いは、一度逆極性の駆動電圧を印加した後に短絡する、などの手法が用いられる。
有機EC素子の着色及び消色の応答性は、溶液中の材料の拡散に依存し、光透過率の変化幅にもよるが、常温環境で数百ミリ秒乃至数秒、低温環境では数秒乃至数十秒必要とする場合がある。
有機EC素子の光透過率は、投受光センサの情報値に基づいてフィードバッグ制御することも可能である。光透過率の変化を任意の軌跡で制御したい場合は、光透過率の目標値の変化幅を、有機EC素子の制御できる光透過率の範囲内とし、且つ、光透過率の目標値の変化速度を、有機EC素子の応答性よりも遅い速度で制御する。このような制御において、実験的にも、有機EC素子の光透過率は、着色・消色の双方向に、任意の軌跡で、乱れなく滑らかに制御することが可能である。
有機EC素子を鉛直方向(Y軸方向)に沿って立てて使用した場合に、重力の影響によって発生する鉛直方向のセグリゲーションは、カチオンとアニオンの非水溶媒に対する溶媒和の傾向の違いによるものと考えられている。カチオンは非水溶媒との溶媒和が大きく溶媒分子と強く結び付き、カチオン周辺の溶媒の比重を溶媒単体の比重よりも大きくする。逆に、アニオンは溶媒和を小さくするため、アニオン周辺の溶媒の比重を溶媒単体の比重よりも小さくする。このような比重の差によって、カチオンが鉛直方向の下方に、アニオンが鉛直方向上方に偏在し、セグリゲーションが発生する。
セグリゲーションが発生すると、有機EC素子を消色状態にしたい場合に、色分離した箇所の消色応答性が著しく悪くなることが確認されている。実験的にも、セグリゲーションが発生した有機EC素子では、完全に消色状態にするのに数分が必要であった。
一方、セグリゲーションが発生した有機EC素子であっても、時間をかけて完全な消色状態とした場合は、その時点でセグリゲーションが解消される。実験的にも、セグリゲーション解消後は、次回以降の着色・消色操作において、セグリゲーション発生以前の特性に復帰することが確認されている。このため、有機EC素子を長時間着色する場合は、着色状態においても定期的に一旦消色状態に戻す工程を挟むことが望ましい。
重力によるセグリゲーションは徐々に蓄積するよう発生し、例えば、溶液からなる有機EC素子で、着色を保った状態で影響が顕著になるのは、数十分から数時間後である。しかし、セグリゲーションは徐々に発生するため、着色時に影響がなくても、消色時に消え残りが生じる場合がある。この消え残りの影響を回避したい場合は、着色後、数分から数十分とより早いタイミングで消色状態に戻す工程を挟むことが好ましい。
本発明においては、有機EC素子を第二の調光手段21と組み合わせて用い、所定の間隔で有機EC素子を消色状態に戻すことで、セグリゲーションの発生を抑制することができる。また、有機EC素子を消色状態に戻す期間は、第二の調光手段21で必要な光透過率を維持することができるため、有機EC素子の消色に必要な時間を十分にとることが可能である。
以下に、本発明の調光装置を用いた窓材と、本発明の調光装置を光学フィルタに用いた例を示す。
〈窓材〉
本発明の調光装置を用いた窓材について、図4を参照して説明する。図4(a)は、本実施形態の斜視図であり、図4(b)は図4(a)中のE−E’断面の端面図である。
窓材は、入射した光の透過量を調整する調光窓であり、本発明の調光装置を有している。本例においては、本発明の調光装置と、該調光装置の第一の調光手段1及び第二の調光手段21のそれぞれを挟持する透明板32と、全体を囲繞して一体化するフレーム31とを備えている。第一の調光手段1及び第二の調光手段21としては、図3に示した有機EC素子が用いられているが、図4中においては、低抵抗配線8a乃至8d及び給電端子A1,A2,C1,C2の図示を省略する。また、第一の制御手段及び第二の制御手段(不図示)は、フレーム31内に一体化されていても良く、フレーム31外に配置され配線を通して第一の調光手段1,第二の調光手段21と接続されていてもよい。尚、第二の調光手段21としては、有機EC素子以外に、無機EC素子、液晶素子が好適に用いられる。
透明板32は、光透過率が高い材料であれば特に限定されず、窓としての利用を考慮すればガラス素材であることが好ましい。本例では、第一の調光手段1及び第二の調光手段21と透明板32とは異なる構成部材で構成しているが、これに限らず、例えば、有機EC素子の基板(図3の2,6)を透明板32として用いてもよい。
フレーム31は、材質を問わないが、第一及び第二の調光手段1,21の少なくとも一部を被覆し、一体化された形態を有するもの全般をフレームとして見なして構わない。
本発明の窓材は、例えば日中の太陽光の室内への入射量を調整する用途に適用できる。太陽の光量の他、熱量の調整にも適用できるため、室内の明るさや温度の制御に使用することが可能である。また、シャッターとして、室外から室内への眺望を遮断する用途にも適用可能である。このような窓材は、建造物用のガラス窓の他に、自動車や電車、飛行機、船など乗り物の窓、時計や携帯電話の表示面のフィルタにも適用可能である。
〈光学フィルタ〉
本発明の調光装置は、光学フィルタとしての応用が可能である。光学フィルタは、カメラの如き撮像装置に用いられてもよく、撮像装置に用いられる場合、撮像装置本体に設けられても、レンズユニットに設けられてもよい。以下、光学フィルタとして、減光(Neutral Density,ND)フィルタを構成した場合について説明する。本発明の調光装置を光学フィルタに用いる場合、第二の調光手段21としては、有機EC素子や無機EC素子、液晶素子が好適に用いられる。
減光フィルタは、可視光域で均等な光吸収が必要である。有機EC材料を用いた減光フィルタの実現には、可視光域で異なる吸収波長域を持つ複数の材料を混合し、可視光域での吸収強度を平坦にすることが好ましい。有機EC材料を混合した場合の吸収スペクトルは、各材料の吸収スペクトルの和で表現されるため、適切な波長域を持つ複数材料の選択と、その濃度の調整から均一な光吸収を実現することが可能である。
低分子系の有機EC材料では、一般に一つの材料でカバーできる波長域は100nm乃至200nmである。可視光域である380nm乃至750nmの全般をカバーするためには、少なくとも3種類以上の有機EC材料を用いることが好ましい。例えば、有機EC材料として、アノード性有機EC材料を3種類以上、カソード性有機EC材料を3種類以上、或いは、アノード性有機EC材料を2種以上且つカソード性有機EC材料を2種以上用いることが好ましい。
一般的に減光フィルタは光量を1/2n(nは整数)とする。1/2では光透過率が100%から50%になり、1/4では100%から25%になる。また、光透過率を1/2にした場合、−LOG(透過率)=(吸光度)の関係から吸光度の変化量は0.3となり、1/4では0.6となる。1/2乃至1/64までの減光を行うには、吸光度の変化量を0.3刻みで0乃至1.8まで制御できれば良い。
〈レンズユニット及び撮像装置〉
図5を用いて、本発明の光学フィルタ、即ち本発明の調光装置を用いたレンズユニット及び撮像装置の構成について説明する。図5(a)は、本発明の光学フィルタ41を用いたレンズユニット42を有する撮像装置43であり、図5(b)は、本発明の光学フィルタ41を有する撮像装置43の構成を説明する図である。図5に示す様に、レンズユニット42はマウント部材(不図示)を介して撮像装置43に着脱可能に接続されている。図5中、Fは光軸である。
レンズユニット42は、複数のレンズ或いはレンズ群を有するユニットである。例えば、図5(a)に示したレンズユニット42は、絞りより後ろでフォーカシングを行うリアフォーカス式のズームレンズである。被写体側(紙面に向かって左側)より順に正の屈折力の第一のレンズ群44、負の屈折力の第二のレンズ群45、正の屈折力の第三のレンズ群46、正の屈折力の第四のレンズ群47の4つのレンズ群を有する。第二のレンズ群45と第三のレンズ群46の間隔を変化させて変倍を行い、第四のレンズ群47の一部のレンズ群を移動させてフォーカスを行う。
レンズユニット42は、例えば、第二のレンズ群45と第三のレンズ群46の間に開口絞り48を有し、また、第三のレンズ群46と第四のレンズ群47の間に光学フィルタ41を有する。レンズユニット42を通過する光は、各レンズ群42乃至47、開口絞り48及び光学フィルタ41を通過するよう配置されており、開口絞り48及び光学フィルタ41を用いて光量の調整を行うことができる。
また、レンズユニット42内の構成は適宜変更可能である。例えば、光学フィルタ41は開口絞り48の前(被写体側)或いは後(撮像装置43側)に配置でき、また、第一のレンズ群44よりも前に配置しても良く、第四のレンズ群47よりも後に配置しても良い。光の収束する位置に配置すれば、光学フィルタ41の面積を小さくできるなどの利点がある。また、レンズユニット42の形態も適宜選択可能であり、リアフォーカス式の他、絞りより前でフォーカシングを行うインナーフォーカス式であっても良く、その他の方式であっても構わない。また、ズームレンズ以外にも魚眼レンズやマクロレンズなどの特殊レンズも適宜選択可能である。
撮像装置43が有するガラスブロック49は、ローパスフィルタやフェースプレートや色フィルタ等のガラスブロックである。また、受光素子50は、レンズユニット42を通過した光を受光するセンサ部であって、CCDやCMOS等の撮像素子が使用できる。また、フォトダイオードのような光センサであっても良く、光の強度或いは波長の情報を取得し出力するものを適宜利用可能である。
図5(a)に示したように、光学フィルタがレンズユニット42に組み込まれている場合、制御手段(10、25)など一部の構成部品はレンズユニット42内に配置されても良く、レンズユニット42外に配置されても良い。レンズユニット42外に配置される場合は、配線を通してレンズユニット42内の光学フィルタ41と接続し、駆動制御する。
図5(b)に示したように、撮像装置43自体が光学フィルタ41を有していても良い。光学フィルタ41は撮像装置43内部の適当な箇所に配置され、受光素子50は光学フィルタ41を通過した光を受光するよう配置されていれば良い。図5(b)においては、例えば光学フィルタ41は受光素子50の直前に配置されている。撮像装置43自体が光学フィルタ41を内蔵する場合、接続されるレンズユニット42自体が光学フィルタ41を持たなくても良いため、既存のレンズユニットを用いた調光可能な撮像装置43を構成することが可能となる。
また、カメラなど撮像装置への適用において、第二の調光手段21は絞りなどメカ的な機構であっても構わない。この場合、撮像装置、或いは、レンズの光学系に応じて、第一の調光手段1と第二の調光手段21の位置を適宜選択して構わない。また、レンズ側に従来から備わっていた絞りを第二の調光手段21と見なしても構わない。また、撮像装置においては、撮像素子の感度を第二の調光手段21として制御する構成も考えられる。
このような撮像装置は、光量調整と受光素子の組合せを有する製品に適用可能である。例えばカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラに使用可能であり、また、携帯電話やスマートフォン、PC、タブレットなど撮像装置を内蔵する製品にも適用できる。
本発明の光学フィルタ(即ち、調光装置)を調光部材として用いることで、光透過率を一つのフィルタで適宜可変させることが可能となり、部材点数の削減や省スペース化といった利点がある。
1:第一の調光手段、10:第一の制御手段、21:第二の調光手段、22,23,24:検出手段、25:第二の制御手段

Claims (12)

  1. 有機エレクトロクロミック素子と、前記有機エレクトロクロミック素子の光透過率を制御する制御手段と、を備えた調光装置であって、
    前記有機エレクトロクロミック素子を第一の調光手段、前記制御手段を第一の制御手段として、
    さらに、第二の調光手段と、前記第一の制御手段とは独立して前記第二の調光手段の光透過率を制御する第二の制御手段と、を備え、
    前記第一の調光手段の有効光学領域と、前記第二の調光手段の有効光学領域とが、少なくとも一部で互いに重なり合っていることを特徴とする調光装置。
  2. 前記第一の調光手段の光透過率を検出する検出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の調光装置。
  3. 前記第二の調光手段の光透過率を検出する検出手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の調光装置。
  4. 前記調光装置の光透過率を検出する検出手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の調光装置。
  5. 前記第二の調光手段がエレクトロクロミック素子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の調光装置。
  6. 前記第二の調光手段が液晶素子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の調光装置。
  7. 第一の調光手段としての有機エレクトロクロミック素子と、第二の調光手段と、前記第一の調光手段の光透過率を制御する第一の制御手段と、前記第一の制御手段とは独立して前記第二の調光手段を制御する第二の制御手段と、を備え、前記第一の調光手段の有効光学領域と、前記第二の調光手段の有効光学領域とが互いに重なり合っている調光装置の制御方法であって、前記第一の制御手段と前記第二の制御手段とによって、前記第一の調光手段の光透過率と前記第二の調光手段の光透過率とを独立に制御して前記調光装置の光透過率を制御することを特徴とする調光装置の駆動方法。
  8. 前記第一の調光手段の光透過率と前記第二の調光手段の光透過率の少なくも一方をフィードバック制御することにより、前記調光装置の光透過率を制御することを特徴とする請求項7に記載の調光装置の駆動方法。
  9. 前記調光装置全体の光透過率が一定となるように、前記第一の調光手段の光透過率と前記第二の調光手段の光透過率の少なくも一方を制御することを特徴とする請求項7又は8に記載の調光装置の駆動方法。
  10. 前記第一の調光手段と前記第二の調光手段のいずれか一方を着色状態とし、他方を消色状態とする期間と、一方を消色状態とし、他方を着色状態とする期間とを、互い違いに繰り返すことを特徴とする請求項9に記載の調光装置の駆動方法。
  11. 請求項1乃至7のいずれか一項の調光装置を有することを特徴とする窓材。
  12. 請求項1乃至7のいずれか一項の調光装置からなることを特徴とする光学フィルタ。
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