JP2020041961A - 原子炉設備 - Google Patents
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Abstract
Description
このような原子力プラントにおいて、シビアアクシデントの発生時に、燃料集合体に含まれる核燃料物質が溶融することで生成された溶融物が、原子炉容器及び原子炉格納容器から流出してしまう可能性がある。
例えば、特許文献1には、原子炉容器の下方に、原子炉容器から落下した溶融物を受けるキャビティ室を設ける構成が開示されている。さらに、このような特許文献1には、水(冷却水)を原子炉格納容器に散布することで原子炉格納容器を冷却する構成が開示されている。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、溶融物との反応による水素の発生量を抑えることができる原子炉設備を提供することを目的とする。
この発明の第一態様によれば、原子炉設備は、ジルコニウムを含む材料で形成された燃料集合体を収容する原子炉容器と、前記原子炉容器の下方に対向して設けられた受け面を有する受け部と、前記受け面上に積層されて、金属酸化物を含む材料から形成された耐熱層と、前記耐熱層上に積層されて、前記燃料集合体を形成する材料よりも融点が低く、かつ、酸化鉄を含む材料から形成された犠牲層と、を含む。
また、溶融物に含まれるジルコニウムが犠牲層に含まれる酸化鉄との反応で酸化することにより、耐熱層に含まれる金属酸化物の酸素が奪われるのを抑えることができる。したがって、耐熱層に含まれる金属酸化物の還元を抑え、耐熱層が侵食されることを抑えることができる。
このように構成することで、溶融物が犠牲層に接触すると、犠牲層を形成するコンクリート又はモルタルが溶融する。これにより、溶融物の熱エネルギーがコンクリート又はモルタルによって奪われ、溶融物の温度が低下する。酸化鉄を含むコンクリート又はモルタルは、砂(珪砂)、石灰石(炭酸カルシウム・CaCO3)を含む通常のコンクリート及びモルタルよりも融点が低い。したがって、酸化鉄を含むコンクリート又はモルタルは、通常のコンクリート及びモルタルに比較し、同じ温度であれば、溶融状態における粘度が低い。これにより、溶融物とコンクリート又はモルタルとの混合物の粘度が低くなり、例えば、拡散槽(連通空間部)内等で拡がりやすくなる。その結果、溶融物が温度低下しやすくなり、溶融物の温度を効率良く低下させることができる。
このように、酸化鉄を多く含むことで、溶融物に含まれるジルコニウムの酸化を、より効率的に行うことができる。その結果、溶融物との反応による水素発生量の抑制、耐熱層の侵食の抑制を、より確実に図ることができる。また、犠牲層を形成するコンクリート又はモルタルの低融点化により、例えば、拡散槽(連通空間部)内等で薄く拡がりやすくなることで、溶融物の温度低下を、より効率的に図ることができる。
このような構成において、3価の酸化鉄(Fe2O3)は、3価未満の酸化鉄(FeO、Fe3O4等)よりも酸化性が高い。これにより、溶融物に含まれるジルコニウムの酸化を、より効率的に行うことができる。その結果、溶融物との反応による水素発生量の抑制、耐熱層の侵食の抑制を、より確実に図ることができる。
このように構成することで、受け部と原子炉容器の下部との間から連通空間部に溶融物を流し込むことで、溶融物の収容量が増える。さらに、連通空間部においても、溶融物が、連通空間犠牲層に接触すると、高温の溶融物によって連通空間犠牲層が溶融し、連通空間犠牲層に含まれる酸化鉄によって、溶融物に含まれるジルコニウムが酸化する。このため、水の還元が抑えられ、溶融物との反応による水素の発生量を抑えることができる。
このように構成することで、原子炉の運用時に使用される機器(例えば、蒸気発生器、加圧器等)の荷重が、連通空間部の外周部に位置する壁部に作用するのを抑えることができる。このように、壁部は、機器の荷重を支持しないので、強度を確保しやすい。これにより、溶融物が流入する連通空間部の耐震性を高めることが可能となる。
このように構成することで、溶融物の冷却により水蒸気が発生したとしても、スプレーノズルからスプレー水を散布すれば、原子炉格納容器内に蓄積されている水蒸気を冷やして凝縮することができる。そのため、原子炉格納容器の内部圧力を低下させることができる。さらに、スプレーノズルからスプレー水を散布することで、原子炉格納容器の内部圧力を低下させつつ、浮遊FP(核***生成物)の低減も図ることができる。
図1に示すように、この実施形態の原子炉設備1は、原子炉2と、原子炉格納容器3と、を備える。
この実施形態では、原子炉2は、加圧水型軽水炉(PWR)であり、一次冷却材(軽水)を、核***反応による熱エネルギーによって加熱する。
基底部11は、例えば、地盤(岩盤)上などに強固に構築されている。
犠牲層22を形成するコンクリート又はモルタル中における酸化鉄の含有量は、10〜90重量%とすることができる。さらに、コンクリート又はモルタル中における酸化鉄の含有量は、70〜90重量%としてもよい。また、犠牲層22としてモルタルを用いる場合、酸化鉄の含有量を77重量%としてもよい。
このような犠牲層22は、燃料集合体4aを形成する材料及びその酸化物の融点(ジルコニウム:約1850℃、二酸化ウラン:約2860℃、二酸化ジルコニウム:約2700℃)よりも融点が低い。なお、例えば、酸化鉄(Fe2O3)の融点は1565℃、である。犠牲層22の融点は、1400℃〜1600℃程度であるが、酸化鉄の含有量が50〜70重量%とした場合、犠牲層22の融点を1400℃程度にすることができる。
拡散槽犠牲層32を形成するコンクリート又はモルタル中における酸化鉄の含有量は、10〜90重量%とすることができる。さらに、コンクリート又はモルタル中における酸化鉄の含有量は、70〜90重量%としてもよい。また、拡散槽犠牲層32としてモルタルを用いる場合、酸化鉄の含有量を77重量%としてもよい。
このような拡散槽犠牲層32は、燃料集合体4aを形成する材料及びその酸化物の融点(ジルコニウム:約1850℃、二酸化ウラン:約2860℃、二酸化ジルコニウム:約2700℃)よりも融点が低い。拡散槽犠牲層32の融点は、犠牲層22の融点と同様に、1400℃〜1600℃程度である。酸化鉄の含有量が50〜70重量%とした場合、拡散槽犠牲層32の融点を1400℃程度にすることができる。
骨材の平均粒子径が小さいほど、犠牲層22及び拡散槽犠牲層32の内部における性状が均一になりやすく、犠牲層22及び拡散槽犠牲層32の侵食が均一に進む(換言すれば、ショートパスの発生を抑制できる)。また、骨材の平均粒子径が小さいほど、溶融炉心と接触し易くなり、反応が速やかに進むため、粘性低減速度が速くなる。さらに、材料分離(セメントペーストと骨材の分離)が生じ難いので、施工し易くなる点でも有利となる。
ここで、溶融物Dの熱エネルギーは、コンクリート又はモルタルによって奪われ、溶融物Dの温度が低下する。酸化鉄を含むコンクリート又はモルタルは、砂(珪砂)、石灰石(炭酸カルシウム・CaCO3)を含む通常のコンクリート及びモルタルよりも融点が低い。したがって、酸化鉄を含むコンクリート又はモルタルは、通常のコンクリート及びモルタルに比較し、同じ温度であれば、溶融状態における粘度が低い。これにより、溶融物Dとコンクリート又はモルタルとの混合物の粘度が低くなり、拡散槽13内で拡がりやすくなる。その結果、溶融物Dが槽底面13b内で薄く広がれば、溶融物Dの温度が低下しやすくなる。
さらに、拡散槽犠牲層32を形成する、酸化鉄を含むコンクリート又はモルタルは、通常のコンクリート及びモルタルに比較し、同じ温度であれば、溶融状態における粘度が低い。これにより、溶融物Dとコンクリート又はモルタルとの混合物の粘度が低くなり、拡散槽13内で薄く拡がり、溶融物Dの温度が低下しやすくなる。
また、溶融物Dに含まれるジルコニウムが犠牲層22に含まれる酸化鉄との反応で酸化することにより、耐熱層21に含まれるジルコニアの酸素が奪われるのを抑えることができる。したがって、耐熱層21に含まれるジルコニアの還元を抑え、耐熱層21が侵食されることが抑えられる。
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、原子炉2として、加圧水型の軽水炉を示したが、本発明は、これに限らず、原子炉2は、沸騰水型の軽水炉(BWR)や、高速炉等であってもよい。
2 原子炉
2c 原子炉容器
3 原子炉格納容器
4 炉心
4a 燃料集合体
5 加圧器(機器)
6 蒸気発生器(機器)
7 ポンプ(機器)
8 スプレーノズル
10 コンクリート構造体
11 基底部
12 炉支持部
13 拡散槽(連通空間部)
13b 槽底面
13s 槽側面
13t 槽天面
14 連通路
14a 一端
14b 他端
15 原子炉ピット
15b 底面(受け面)
16 壁部
17 スラブ部
17h 開口
18 チムニー部
19 下部空間
20 原子炉ピット底部
21 耐熱層
21h 開口部
22 犠牲層
32 拡散槽犠牲層(連通空間犠牲層)
D 溶融物
W 冷却水
Claims (8)
- ジルコニウムを含む材料で形成された燃料集合体を収容する原子炉容器と、
前記原子炉容器の下方に対向して設けられた受け面を有する受け部と、
前記受け面上に積層されて、金属酸化物を含む材料から形成された耐熱層と、
前記耐熱層上に積層されて、前記燃料集合体を形成する材料よりも融点が低く、かつ、酸化鉄を含む材料から形成された犠牲層と、
を含む原子炉設備。 - 前記犠牲層は、前記酸化鉄を含むコンクリート又はモルタルにより形成されている
請求項1に記載の原子炉設備。 - 前記酸化鉄は、前記コンクリート又はモルタル中に10〜90重量%含まれている
請求項2に記載の原子炉設備。 - 前記犠牲層は、3価の前記酸化鉄を含む材料から形成されている
請求項2又は3に記載の原子炉設備。 - 前記受け面と前記原子炉容器の下部との間の空間に連通する連通空間部をさらに備え、
前記連通空間部は、前記燃料集合体を形成する材料よりも融点が低く、かつ、酸化鉄を含む材料から形成された連通空間犠牲層を備える
請求項1から4の何れか一項に記載の原子炉設備。 - 前記連通空間部の外周部から上方に延びる壁部と、
原子炉の運用時に使用される一以上の機器と、を備え、
前記機器は、前記壁部以外の部分に支持されて設けられている
請求項5に記載の原子炉設備。 - ジルコニウムを含む材料で形成された燃料集合体を収容する原子炉容器と、
前記原子炉容器の下方に対向して設けられた受け面を有する受け部と、
前記受け部と前記原子炉容器の下部との間に連通する連通空間部と、
前記連通空間部の外周部から上方に延びる壁部と、
原子炉の運用時に使用される一以上の機器と、を備え、
前記機器は、前記壁部以外の部分に支持されて設けられている
原子炉設備。 - 前記原子炉容器を格納する原子炉格納容器の内部空間に設けられ、スプレー水を散布するスプレーノズルを備える
請求項1から7の何れか一項に記載の原子炉設備。
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