JP2017190970A - 燃料デブリ保持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料デブリによる還元反応を抑制して耐熱層の侵食を防止できる燃料デブリ保持装置を提供する。
【解決手段】ペデスタルで支持された原子炉圧力容器の真下でペデスタルの内側に配置され、原子炉格納容器床9の上に設置された燃料デブリ保持装置1は、融点が2000℃より高い第1酸化物で形成される下部層2、及び下部層2の上に設置され、第1酸化物の生成自由エネルギーよりも生成自由エネルギーが高い第2酸化物で形成された上部層3を有する。シビアアクシデントが発生し、原子炉圧力容器から溶融している燃料デブリ10Aが上部層3に落下した場合には、燃料デブリ10Aに含まれた金属元素M1と上部層3の第2酸化物が還元反応を生じ、金属元素M1の酸化物を生成する。このため金属元素M1と下部層2の第1酸化物の還元反応が生じなく下部層2の侵食を防止できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料デブリ保持装置に係り、特に、沸騰水型原子炉プラントに適用するのに好適な燃料デブリ保持装置に関する。
沸騰水型原子炉プラント及び加圧水型原子炉プラント等の原子力プラントでは、原子炉圧力容器内に炉心が配置されており、この炉心には、核***性物質(例えば、ウラン235)を含む核燃料物質(例えば、UO2)を充填した複数の燃料棒を含む複数の燃料集合体が装荷されている。原子力プラントの正常状態では、原子炉圧力容器内に存在する冷却水が、装荷された各燃料集合体内の各燃料棒と接触してこれらの燃料棒を冷却する。
原子炉圧力容器内の冷却水が喪失し、さらに、非常用炉心冷却装置による原子炉圧力容器内への冷却水の注水が行われないシビアアクシデントが、万が一、原子力プラントに発生した場合には、燃料棒の温度が上昇し、やがて、各燃料棒内の核燃料物質が溶融する。核燃料物質の溶融に伴い、核燃料物質を内部に充填している、燃料棒の構造部材であるジルコニウム合金製の被覆管、燃料集合体の構造部材であるジルコニウム合金製の上部タイプレート及び下部タイプレート等、さらには、下部炉心支持板及び制御棒案内管等のステンレス鋼製の構造部材を溶融し、核燃料物質及びこれらの構造部材の溶融物を含む燃料デブリが生成される。溶融した燃料デブリは、原子炉圧力容器の底部である下鏡部の上面に落下し、この下鏡部を溶融して原子炉圧力容器を取り囲む原子炉格納容器の底部に落下する可能性もある。
もし、原子炉圧力容器の底部を貫通して溶融した燃料デブリが原子炉格納容器の底部に落下した場合には、原子炉格納容器の気密性を保持するために原子炉格納容器の底部に設けられた金属製のライニング部材が落下した高温の燃料デブリによって溶融され、さらに、ライニング部材の下方に存在するコンクリートも溶融され、原子炉格納容器の気密性が損なわれる可能性が有る。
このため、原子炉格納容器の損傷を避け、原子炉格納容器の気密性を保持する目的で、原子炉圧力容器から落下する、高温の溶融した燃料デブリを受け止める、一般的にコアキャッチャと呼ばれる燃料デブリ保持装置が、原子炉圧力容器の真下で原子炉格納容器の底部上に設置される。燃料デブリ保持装置の例が、特開平9−211166号公報、特開2014−062859号公報、特開2012−137431号公報及びWO2011/121908号公報に記載されている。
特開平9−211166号公報に記載された燃料デブリ保持装置は、原子炉圧力容器の下方で原子炉圧力容器を支える筒状のベデスタルの内側に配置され、高熱伝導材層、高熱伝導材層の上に配置された耐熱材層及びこの耐熱材層の上方に配置された低融点酸化材層を有する。低融点酸化材層は、例えば、コンクリートで構成される。原子炉圧力容器から落下した、溶融している燃料デブリは、低融点酸化材層の上面と接触し、低融点酸化材層を形成する低融点酸化材を溶融する。燃料デブリと低融点酸化材の共有体は、融点が燃料デブリよりも低くなる。また、燃料デブリから耐熱材層に伝えられた熱は、高熱伝導材層を通して放熱される。この結果、耐熱材層の溶融が防止され、原子炉格納容器の気密性を維持することができる。
特開2014−062859号公報の燃料デブリ保持装置は、原子炉圧力容器の下方でベデスタルの内側において、原子炉格納容器の床上に配置される。この燃料デブリ保持装置は、中空の円盤状に構成され、外縁部から中央部に向かって傾斜する逆円錐状の上面を有する給水容器、給水容器の上方に配置されてその上面を覆う逆円錐状の上蓋、及び上蓋の上を覆う逆円錐状の断熱材層を有し、給水容器の中央部に向かって傾斜している冷却チャンネルを給水容器と上蓋の間に形成している。断熱材層は、上蓋から上方に向かって第1耐熱層及び第2耐熱層を配置し、上蓋と第1耐熱層の間に第1目地部、及び第1耐熱層と第2耐熱層の間に第2目地部を配置して構成される。第1耐熱層は第2耐熱層よりも熱伝導性が高くなっており、第2目地部は第1目地部よりも熱伝導性が低くなっている。
溶融している燃料デブリは、原子炉圧力容器から、断熱材層、具体的には、第2耐熱層上に落下する。燃料デブリが落下した第2耐熱層上、及びその燃料デブリ上に冷却水が注水され、冷却チャンネルにも冷却水が供給される。これにより、落下した燃料デブリが冷却される。
特開2012−137431号公報は、燃料デブリ保持装置を記載する。この燃料デブリ保持装置は、外縁部から中央部に向かって傾斜する逆円錐状の上面を有する治具、治具の上方に配置されてその上面を覆う逆円錐状の金属部材、金属部材の上を覆う逆円錐状の耐熱層、及び耐熱層上に配置された格子状の被覆材を有している。耐熱層は、複数のブロック層を積層して構成される。治具の中央部に向かって傾斜している冷却水通路が、治具と金属部材の間に形成されている。このような燃料デブリ保持装置は、所定時間、落下した燃料デブリを保持することができる。
WO2011/121908号公報に記載された燃料デブリ保持装置は、外縁部から中央部に向かって傾斜する逆円錐状の上面を有する治具、治具の上方に配置されてその上面を覆う逆円錐状の金属部材、及び金属部材の上を覆う逆円錐状の多層積層構造を有している。多層積層構造は、第1耐熱層、第1耐熱層よりも熱伝導率が低い第2耐熱層、及び燃料デブリとの接触による腐食を緩和し、燃料デブリの落下による衝撃を緩和する耐食・衝撃緩和層を、金属部材から上方に向かって順番に配置している。治具の中央部に向かって傾斜している冷却水通路が、治具と金属部材の間に形成されている。このような燃料デブリ保持装置は、燃料デブリの熱及び化学反応によっても、所定時間、落下した燃料デブリを保持することができる。
特開平9−211166号公報 特開2014−062859号公報 特開2012−137431号公報 WO2011/121908号公報
特開平9−211166号公報、特開2014−062859号公報、特開2012−137431号公報及びWO2011/121908号公報に示されているように、従来の燃料デブリ保持装置は、デブリ保持部である耐熱層(例えば、高融点の酸化物)及び金属材料層を設けている。これらの層は、機械的性質、融点などで分けられていることが多い。これは、溶融した燃料デブリが重量物であること、及び2500℃を越える高温であることに起因している。
一方、溶融した燃料デブリは、燃料集合体の構造材であるジルコニウム合金、ジルコニウム合金に含まれるジルコニウムの酸化反応により生成されたジルコニウム酸化物(ZrO2)、燃料集合体に含まれた核燃料物質であるウラン酸化物(UO2)、炉内構造材であるステンレス鋼などの溶融物を含んでいる。
溶融した燃料デブリが燃料デブリ保持装置のデブリ保持部(例えば、耐熱層)に接触すると、燃料デブリに含まれるジルコニウムが、デブリ保持部の材料を還元しまたはその材料と共晶反応し、結果として、デブリ保持部が溶融した燃料デブリにより侵食されるという問題が生じることを、発明者らが見出した。
本発明の目的は、燃料デブリによる還元反応を抑制して耐熱層の侵食を防止できる燃料デブリ保持装置を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、融点が2000℃よりも高い第1酸化物で形成される耐熱層である下部層と、この下部層の上に設置され、その第1酸化物の生成自由エネルギーよりも生成自由エネルギーが高い第2酸化物で形成される上部層とを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器の真下に配置されることにある。
シビアアクシデントが発生し、原子炉圧力容器から溶融している燃料デブリが上部層に落下したとき、落下した燃料デブリに含まれている金属元素M1と第2酸化物との還元反応が生じ、金属元素M1の酸化物を生成する。上部層を形成する第2酸化物の生成自由エネルギーが、耐熱層である下部層を形成する第1酸化物の生成自由エネルギーよりも高いので、金属元素M1と第2酸化物との還元反応により金属元素M1の酸化物が生成されるため、金属元素M1と耐熱層である下部層の第1酸化物の還元反応が生じなく、下部層のの、金属元素M1による侵食が防止される。
本発明によれば、燃料デブリによる還元反応を抑制して耐熱層の侵食を防止することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の燃料デブリ保持装置の原子炉圧力容器下方への設置状態を示す説明図である。 図1に示された燃料デブリ保持装置の具体的な構成図である。 本発明の好適な他の実施例である実施例2の燃料デブリ保持装置の構成図である。 本発明の好適な他の実施例である実施例3の燃料デブリ保持装置の構成図である。 本発明の好適な他の実施例である実施例4の燃料デブリ保持装置の構成図である。
発明者らは、燃料デブリによる還元反応を抑制して耐熱層の侵食を防止できる燃料デブリ保持装置について、種々の検討を行った。この検討結果を以下に説明する。
発明者らは、発明者らが見出した前述の問題を改善するために、溶融した燃料デブリによる還元反応、特に、その燃料デブリに含まれたジルコニウムによる還元反応を抑制する対策案を検討した。この検討において、発明者らは、耐熱材により形成される耐熱層である下部層の上に、この下部層を形成する第1酸化物の生成自由エネルギーよりも生成自由エネルギーが高い第2酸化物で形成される上部層を設置すれば良いとの発想に至った。すなわち、燃料デブリ保持装置は、第1酸化物で形成される上記下部層及びこの下部層の上に配置されて第2酸化物で形成される上記上部層を有する。なお、第1酸化物は第1金属元素(金属元素M2)の酸化物であり、第2酸化物は第1金属元素とは種類の異なる第2金属元素(金属元素M3)の酸化物である。
溶融して落下した燃料デブリと接触する上部層を形成する第2酸化物の生成自由エネルギーが下方に位置する下部層の第1酸化物のそれよりも高いので、溶融した燃料デブリに含まれる金属元素M1(例えば、ジルコニウム、クロム、ニッケル及び鉄など)が上部層に含まれる第2酸化物の酸素と反応して酸化され、金属元素M1の酸化物が生成される。このため、その燃料デブリに含まれる金属元素M1と下部層の第1酸化物との還元反応が生じなく、第1酸化物で形成される下部層の、溶融した燃料デブリに含まれる金属元素M1による侵食を防止することができる。したがって、燃料デブリ保持装置の耐熱層である下部層を健全な状態で保持することができる。これにより、溶融して落下した燃料デブリによる原子炉格納容器床の溶融を防止することができる。
下部層は、融点が2000℃より高い第1酸化物であるジルコニア(ZrO2)、二酸化ウラン(UO2)、アルミナ(Al23)、マグネシア(MgO)及び酸化カルシウから選ばれた一つの物質によって形成される。また、上部層は、下部層を形成する第1酸化物の生成自由エネルギーよりも生成自由エネルギーが高い第2酸化物である酸化鉄(例えば、Fe23)、マグネシア(MgO)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミナ(Al23)及びベリリア(BeO)から選ばれた一つの物質によって形成される。なお、ケイ素は、金属である、βスズ構造のケイ素である。
下部層を形成する第1酸化物は、上部層を形成する第2酸化物よりも融点が高い物質であることが望ましい。
例えば、シビアアクシデントが発生したときに原子炉圧力容器から落下した溶融した燃料デブリが最初に接触する上部層が、第2酸化物であるM3O2で(M3は金属元素)形成されているとする。上部層を形成する第2酸化物(M3O2)の生成自由エネルギーが下方に位置する下部層の第1酸化物(M2O2)のそれよりも高いので、このM3O2が上部層上に落下した燃料デブリに含まれる金属元素M1、例えば、ジルコニウム(Zr)と反応(還元反応)すると、下記の(1)式に示すように、酸化ジルコニウム(ZrO2)及び金属元素M3が生成される。
M3O2+Zr → ZrO2+M3 …(1)
落下した燃料デブリに含まれる金属元素M1のほとんどが、上部層を形成している第2酸化物であるM3O2との還元反応により金属元素M1の酸化物になるので、金属元素M1と下部層の第1酸化物との還元反応が生じなく、金属元素M1による下部層の侵食が防止される。また、生成された金属元素M3の酸化物の生成自由エネルギーが下部層の第1酸化物の生成自由エネルギーよりも高い場合には、金属元素M3と下部層の第1酸化物との還元反応が生じなく、生成された金属元素M3によっても下部層が侵食されない。しかしながら、(1)式の反応で生成された金属元素M3の酸化物の生成自由エネルギーがその第1酸化物の生成自由エネルギーよりも低い場合には、金属元素M3と下部層の第1酸化物の還元反応が生じ、溶融した燃料デブリによる下部層の侵食が始まる。
このため、燃料デブリに含まれる金属元素M1と下部層の第1酸化物との還元反応を防ぐために、さらに、金属元素M1と下部層の第1酸化物との還元反応により生成された金属元素M3と下部層の第1酸化物との還元反応を防ぐために、燃料デブリ保持装置の上部層は、下部層を形成する第1酸化物の生成自由エネルギーよりも生成自由エネルギーが高い第2酸化物で形成する必要がある。
さらに、上部層を、例えば、第1層、第1層の下方に位置する第2部、第2層の下方に位置する第3層……の複数の酸化物層で形成してもよい。第1層は最も上方に位置する。上部層を複数の酸化物層、例えば、第1層及び第2層で形成する場合、第1層及び第2層のそれぞれは、下部層を形成する第1酸化物の生成自由エネルギーよりも生成自由エネルギーが高い、種類が異なる第2酸化物で形成される。第1層及び第2層を形成するそれぞれの第2酸化物の融点は、下部層を形成する第1酸化物の融点よりも低いことが望ましい。酸化物層である第1層を形成する第2酸化物の融点は、他の酸化物層である第2層を形成する種類が異なる他の第2酸化物の融点よりも低くなっている。上部層を複数の酸化物層で形成する場合には、上部層内で最も下方に位置する酸化物層から上部層内で最も上方に位置する酸化物層に向って、酸化物層を形成する第2酸化物の融点は低くなる。
第1層を形成している第2酸化物(M4O2)及び第2層を形成している、種類が異なる他の第2酸化物(M5O2)おそれぞれの生成自由エネルギーが下部層を形成している第1酸化物のそれよりも高いので、シビアアクシデント発生時において溶融している燃料デブリが上部層の第1層上に落下すると、第1層の第2酸化物(M4O2)と燃料デブリの一部に含まれる金属元素M1との還元反応が生じ、金属元素M1の酸化物及び金属元素M4が生成される。溶融している残りの燃料デブリは、上部層の第2層に達する。その残りの燃料デブリに含まれている金属元素M1と第2層の他の第2酸化物(M5O2)との還元反応が生じ、金属元素M1の酸化物及び金属元素M5が生成される。第2酸化物(M4O2)及び第2酸化物(M5O2)のいずれかが前述の第2酸化物(M3O2)であってもよい。溶融している燃料デブリに含まれる金属元素M1のほとんどが、上部層の第1層を形成している第2酸化物(M4O2)及び上部層の第2層を形成している種類の異なる第2酸化物(M5O2)と還元反応により金属元素M1の酸化物になるので、金属元素M1と下部層の第1酸化物との還元反応が生じなく、金属元素M1による下部層の侵食が防止される。
また、上記したそれぞれの還元反応で生成された金属元素M4及びM5のそれぞれの酸化物の生成自由エネルギーが下部層の第1酸化物の生成自由エネルギーよりも高いので、金属元素M4及びM5のそれぞれと下部層の第1酸化物との還元反応が生じなく、金属元素M4及びM5による下部層の侵食が防止される。
上部層に含まれる複数の酸化物層のそれぞれを形成する第2酸化物の融点は、上部層内で最も下方に位置する酸化物層から上部層内で最も上方に位置する酸化物層に向う程、低くなる。このため、燃料デブリの熱により下部層が侵食されることを防ぐことができる。
上記の検討結果を反映した、本発明の実施例を、図面を用いて以下に詳細に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の燃料デブリ保持装置を、図1及び図2を用いて以下に説明する。
本実施例の燃料デブリ保持装置1を説明する前に、図1を用いて、この燃料デブリ保持装置1が適用される沸騰水型原子炉の概略の構成について説明する。沸騰水型原子炉は、内部に炉心7を配置した原子炉圧力容器6を有する。核燃料物質を内部に充填した複数の燃料棒(図示せず)を有する複数の燃料集合体(図示せず)が、炉心7に装荷されている。原子炉圧力容器6は、原子炉格納容器(図示せず)によって取り囲まれており、原子炉格納容器内で原子炉格納容器床9上に設置された、円筒状のベデスタル8に取り付けられている。
炉心7は原子炉圧力容器6内に設置された円筒状の炉心シュラウド(図示せず)の内側に配置され、原子炉圧力容器6の内面と炉心シュラウドの外面の間に環状のダウンカマが形成される。原子炉圧力容器6に設置される複数のジェットポンプ(図示せず)がダウンカマ内に配置される。再循環ポンプを有する再循環系配管の一端部が、原子炉圧力容器6の側壁に接続されてダウンカマに連絡される。再循環系配管の他端部は、ダウンカマ内に配置された上昇管であるライザー管を介してジェットポンプのノズル(図示せず)に連絡される。
燃料デブリ保持装置1は、原子炉圧力容器6の真下でペデスタル8よりも内側に配置され、そして、原子炉格納容器床9上に設置される。さらに、燃料デブリ保持装置1は、ペデスタル8の内側において原子炉格納容器床9を覆っている。
燃料デブリ保持装置1は、原子炉格納容器床9の上面に設置された下部層2及び下部層2の上に設置された上部層3を有する。上部層3は、下部層2よりも原子炉圧力容器6側に位置している。下部層2及び上部層3は、いずれも酸化物で形成される。下部層2は、前述した第1酸化物のうち、例えば、融点が2000℃より高い、例えば、アルミナ(第1酸化物)で形成される。上部層3は、前述した第2酸化物のうち、アルミナの生成自由エネルギーよりも生成自由エネルギーが高い、例えば、べリリア(第2酸化物)で形成される。アルミナは金属元素M2であるアルミニウムの酸化物であり、ベリリアは金属元素M3であるベリリウムの酸化物である。
燃料デブリ保持装置1の下部層2及び上部層3のそれぞれは、セラミックスで構成される。セラミックスは、焼結工程を経て製造されるため、一般に、そのサイズをあまり大きくすることができない。このため、直径が10mオーダーのサイズである燃料デブリ保持装置1では、下部層2及び上部層3のそれぞれを1枚のセラミックスで製作することができない。従って、下部層2は、セラミックスであるべリリアの小さなタイル材(板材)またはブロック材を敷き詰め、さらに、そのタイル材またはブロック材を積層することによって製作される。また、上部層3も、セラミックスであるアルミナの小さなタイル材(板材)またはブロック材を敷き詰め、そのタイル材またはブロック材を積層することによって製作される。
下部層2及び上部層3のそれぞれにおいて前述のタイル材またはブロック材を積層された複数層に敷き詰めるとき、上下の各層において、タイル材またはブロック材同士の境界の位置が水平方向においてずれるように、タイル材またはブロック材を配置することが望ましい。下部層2及び上部層3のそれぞれにおいてタイル材またはブロック材同士のその境界は熱の流れにとって抵抗となるので、タイル材またはブロック材を、その境界の位置が水平方向においてずれるように配置すれば、上下方向の熱流束の分散が効果的に行われる。
燃料デブリ保持装置1の一部は、図1に示すように、ペデスタル8の内面側でペデスタル8の内面に沿って環状に配置されている。燃料デブリ保持装置1の、ペデスタル8の内面に沿った環状部は、ペデスタル8の内面の一部を覆っている。
沸騰水型原子炉の通常運転時では、原子炉圧力容器6内のダウンカマに存在する冷却水が、再循環ポンプの駆動によって再循環系配管内に吸引されて昇圧され、再循環系配管及びライザー管を通って上記のノズルから噴射される。この冷却水の噴射によって、ダウンカマ内でノズル近傍に存在する冷却水がジェットポンプ内に吸い込まれる。ジェットポンプ内に吸い込まれた冷却水は、ジェットポンプから吐出され、炉心シュラウドの内側で炉心7の下方に存在する下部プレナムに流入し、炉心7内の各燃料集合体内に供給される。燃料集合体内の各燃料棒は、その冷却水によって冷却される。
沸騰水型原子炉において、万が一、シビアアクシデントが発生した場合には、前述したように、炉心7に装荷された燃料集合体の各燃料棒内に存在する核燃料物質が溶融し、燃料デブリ10が生成される。溶融した燃料デブリ10は、原子炉圧力容器6の底部である下鏡部の上面に落下する(図1参照)。下鏡部の上面に落下した燃料デブリ10は、その下鏡部を溶融する可能性がある。もし、溶融した燃料デブリ10が原子炉圧力容器6の下鏡部を溶融した場合には、この燃料デブリ10の一部である溶融した燃料デブリ10Aが、下鏡部の溶融部を通して、原子炉圧力容器6の真下に位置する燃料デブリ保持装置1に向かって落下する。この燃料デブリ10Aは、燃料デブリ保持装置1の上部層3の上面に落下する。溶融した燃料デブリ10及び10Aは、二酸化ウラン(UO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ジルコニウム(Zr)及びステンレス鋼の溶融物を含んでいる。溶融した燃料デブリの温度は、2500℃以上に達する場合もある。
上部層3を形成するベリリアの生成自由エネルギーが、下部層2を形成するアルミナの生成自由エネルギーよりも高いので、上部層3の上面に落下した溶融している燃料デブリ10Aに含まれる金属元素M1、例えば、ジルコニウムは、(1)式で示すように、上部層3を形成するベリリア(BeO)と還元反応を生じ、上部層3内において酸化ジルコニウム(ZrO2)及びベリリウム(金属元素M3)を生成する。ベリリウムは、ベリリアの還元によって生じる。上部層3を形成するベリリアは、接触した燃料デブリ10Aに含まれる金属元素M1であるジルコニウムによって還元される。
落下した燃料デブリに含まれる金属元素M1の一つであるジルコニウムのほとんどが、上部層3を形成している第2酸化物であるベリリアとの還元反応により酸化物であるジルコニアになるので、ジルコニウムと下部層の第1酸化物との還元反応が生じなく、ジルコニウムによる下部層2の侵食が防止される。また、その還元反応によって生成されたベリリウム(金属元素M3)の酸化物(第2酸化物)であるベリリアの生成自由エネルギーが、下部層2を形成するアルミナの生成自由エネルギーよりも高いので、下部層2は、ベリリウムによって侵食されない。
なお、溶融している燃料デブリ10Aには、ジルコニウム以外の金属元素M1として、クロム、ニッケル及び鉄が含まれている。クロム、ニッケル及び鉄も、上部層3を形成するベリリアと還元反応を生じ、上部層3内において酸化クロム、酸化ニッケル、酸化鉄(例えば、Fe23)及びベリリウムを生成する。残りの金属元素M1であるクロム、ニッケル及び鉄のそれぞれのほとんどが、上部層3を形成しているベリリアとの還元反応により酸化物である酸化クロム、酸化ニッケル、酸化鉄(例えば、Fe23)になるので、クロム、ニッケル及び鉄のそれぞれと下部層の第1酸化物との還元反応が生じなく、クロム、ニッケル及び鉄のそれぞれによる下部層2の侵食が防止される。さらに、ベリリウムの酸化物であるベリリアの生成自由エネルギーが、下部層2を形成するアルミナの生成自由エネルギーよりも高いので、下部層2を形成するアルミナとベリリウムの還元反応が生じなく、下部層2はベリリウムによって侵食されない。
本実施例の燃料デブリ保持装置1では、下部層2の上に上部層3を配置し、上部層3を、下部層2を形成する第1酸化物であるアルミナの生成自由エネルギーよりも生成自由エネルギーが高い、第2酸化物であるべリリアで形成しているので、原子炉圧力容器6から上部層3に落下した溶融している燃料デブリ10Aに含まれる金属元素M1は、上層部3を形成するベリリアと還元反応を生じ、金属元素M1の酸化物及び金属元素M3であるベリリウムを生成する。その還元反応で生成された金属元素M3であるベリリウムの酸化物の生成自由エネルギーが、下部層2を形成するアルミナの生成自由エネルギーよりも高いので、下部層2のアルミナとベリリウムとの還元反応を防ぐことができる。
このため、本実施例によれば、原子炉圧力容器6から燃料デブリ保持装置1の上部層3に落下した溶融している燃料デブリ10Aに含まれる金属元素M1が上部層3を形成するベリリアに含まれる酸素によって効率的に酸化されるため、燃料デブリ保持装置1の耐熱層である、アルミナで形成される下部層2が、燃料デブリ10Aに含まれる金属元素M1との還元反応により侵食されることを防止することができる。また、燃料デブリ10Aに含まれる金属元素M1と上部層3を形成するベリリアとの還元反応で生成されたベリリウムと下部層2を形成するアルミナとの還元反応が生じないので、アルミナで形成される下部層2は、ベリリウムにより侵食されることがない。
したがって、溶融している燃料デブリ10Aが原子炉圧力容器6から落下した場合においても、本実施例では、燃料デブリ保持装置1の耐熱層である下部層2が保持されるので、溶融している燃料デブリ10Aが原子炉格納容器床9まで到達して原子炉格納容器床9を溶融することを回避することができる。
本発明の好適な他の実施例である実施例2の燃料デブリ保持装置を、図3を用いて以下に説明する。
本実施例の燃料デブリ保持装置1Aは、沸騰水型原子炉に適用される。燃料デブリ保持装置1Aは、実施例1と同様に、原子炉圧力容器6の真下でペデスタル8よりも内側に配置され、そして、原子炉格納容器床9上に設置される。さらに、燃料デブリ保持装置1Aは、ペデスタル8の内側において原子炉格納容器床9を覆っている。
燃料デブリ保持装置1Aは、下部層2及び下部層2の上に設置された上部層3Aを有する。下部層2はアルミナで形成され、上部層3Aは、実施例1の燃料デブリ保持装置1の上部層3に用いた第2酸化物であるベリリアで形成される。上部層3Aは、べリリアの小さなタイル材またはブロック材ではなく、図3に拡大して示すように、フレーク状のべリリア12で形成される。フレーク状のべリリア12は、表面積が増加し、落下した溶融している燃料デブリ10Aに含まれる金属元素との反応を促進させる。フレーク状のべリリア12の粒径を10cm以下にすることにより、べリリア12の表面積がより増加し、燃料デブリ10Aに含まれる金属元素とベリリア12との還元反応がより促進される。上部層3Aを形成するべリリアは、粒径を10cm以下の塊状または球状としてもよい。
上部層3Aをべリリア以外の第2酸化物で形成した場合でも、この第2酸化物を。フレーク状にしてもよい。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例における上部層3Aがフレーク状のベリリア12で形成されているので、上部層3A上に落下した溶融している燃料デブリ10Aに含まれるジルコニウム等の金属元素M1と上部層3Aのベリリア12が還元反応を起こし、その金属元素M1を効率良く酸化させることができる。
なお、本実施例では、フレーク状のベリリア12で形成した上部層3Aの上面が平坦ではないため、原子炉の定期検査において原子炉圧力容器6の下方でペデスタル8の内側で保守点検作業を行う場合、作業性が著しく低下する可能性がある。このため、フレーク状のベリリア12で形成した上部層3Aの上面にコンクリートを打設して平坦な上面を形成し、保守点検作業の作業性の向上を図ってもよい。
本発明の好適な他の実施例である実施例3の燃料デブリ保持装置を、図4を用いて以下に説明する。
本実施例の燃料デブリ保持装置1Bは、沸騰水型原子炉に適用される。燃料デブリ保持装置1Bは、実施例1と同様に、原子炉圧力容器6の真下でペデスタル8よりも内側に配置され、そして、原子炉格納容器床9上に設置される。さらに、燃料デブリ保持装置1Bは、ペデスタル8の内側において原子炉格納容器床9を覆っている。
燃料デブリ保持装置1Bは下部層2及び上部層3Bを有し、上部層3Bは第1層11A及び第2層11Bの複数の酸化物層を含んでいる。上部層3Bの第2層11Bは下部層2の上に設置され、第1層11Aは第2層11Bの上に設置される。本実施例では、下部層2が、前述の第1酸化物のうちで、例えば、マグネシアで形成され、上部層3Bの第1層11Aが、前述の第2酸化物のうちで、例えば、酸化鉄(Fe23)で形成され、上部層3Bの第2層11Bが、種類の異なる他の第2酸化物である、例えば、ベリリアで形成される。酸化鉄及びベリリアのそれぞれの生成自由エネルギーは、マグネシアの生成自由エネルギーよりも高い。さらに、ベリリアの融点はマグネシアの融点よりも低く、酸化鉄(Fe23)の融点はベリリアの融点よりも低い。
シビアアクシデントが発生したとき、溶融している燃料デブリ10Aが原子炉圧力容器6から燃料デブリ保持装置1Bに含まれる上部層3Bの第1層11Aの上に落下したとする。燃料デブリ10Aの一部に含まれている金属元素M1の一つであるジルコニウムは、第1層11Aの第2酸化物である酸化鉄(Fe23)との還元反応により酸化されてジルコニアになる。第1層11Aでの還元反応によって金属元素M4である鉄が生成される。落下した燃料デブリ10Aの残りは、第2層11Bに達する。この残りの燃料デブリ10Aに含まれているジルコニウムは、第2層11Bを形成する他の第2酸化物であるベリリアとの還元反応により酸化されてジルコニアになる。第2層11Bにおける還元反応によって金属元素M5であるベリリウムが生成される。
酸化鉄(Fe23)及びベリリアのそれぞれの生成自由エネルギーが下部層2の第1酸化物であるマグネシアの生成自由エネルギーよりも高いので、落下した燃料デブリ10Aに含まれているジルコニウムのほとんどは、第1層11Aの酸化鉄(Fe23)及び第2層11Bのベリリアのそれぞれとの還元反応によりジルコニアになる。このため、燃料デブリ10Aに含まれるジルコニウムと下部層2を形成するマグネシアとの還元反応が生じなく、ジルコニウムによりマグネシアの侵食が生じない。
また、第1層11Aにおけるジルコニウムと酸化鉄(Fe23)との還元反応により生成された鉄、及び第2層11Bにおけるジルコニウムとベリリアとの還元反応により生成されたベリリウムのそれぞれの酸化物の生成自由エネルギーが下部層2の第1酸化物であるマグネシアの生成自由エネルギーよりも高いので、鉄及びベリリウムによる下部層2のマグネシアの侵食を防止することができる。
上部層3に含まれる第1層11Aを形成する酸化鉄(Fe23)の融点が上部層3に含まれる第2層11Bを形成するベリリアの融点よりも低いので、燃料デブリ10Aの熱により下部層2のマグネシアが侵食されることを防ぐことができる。
このような本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は、上記したように、燃料デブリ10Aの熱により下部層2のマグネシアが侵食されることを防ぐことができる。
上部層3は、3つ以上の酸化物層によって形成してもよい。
本発明の好適な他の実施例である実施例4の燃料デブリ保持装置を、図5を用いて以下に説明する。
本実施例の燃料デブリ保持装置1Cは、沸騰水型原子炉に適用される。燃料デブリ保持装置1Cは、実施例1と同様に、原子炉圧力容器6の真下でペデスタル8よりも内側に配置され、そして、原子炉格納容器床9上に設置される。さらに、燃料デブリ保持装置1Cは、ペデスタル8の内側において原子炉格納容器床9を覆っている。
燃料デブリ保持装置1Cは、下部層2及び上部層3以外に、金属シェル5を有している。金属シェル5は円筒状の側壁及び底部を有する。金属シェル5は、円筒状の側壁が底部に取り付けられ、上端が開放された、蓋のない容器である。下部層2及び上部層3が、図5に示すように、金属シェル5内に配置され、下部層2が金属シェル5の底部上に設置され、上部層3が下部層2の上に設置される。本実施例では、下部層2が、前述の第1酸化物のうち、例えば、マグネシア(第1酸化物)で形成され、上部層3が、前述の第2酸化物のうち、例えば、二酸化ケイ素(第2酸化物)で形成される。
金属シェル5は、ベデスタル8の内側で原子炉格納容器床9上に設置されたステンレス鋼製の複数の支持部材13によって支持される。このため、金属シェル5は原子炉格納容器床9の上面よりも上方に配置され、冷却材領域が金属シェル5の下面と原子炉格納容器床9の上面の間に形成される。金属シェル5の側壁もペデスタル8の内面から内側に離れて配置される。環状の冷却材領域が、位置している。金属シェル5の側壁の外面とペデスタル8の内面との間に形成される。金属シェル5の下面と原子炉格納容器床9の上面の間に形成される冷却材領域と金属シェル5の側壁の外面とペデスタル8の内面との間に形成される環状の冷却材領域は、互いに連通している。
シビアアクシデントが発生し、溶解している燃料デブリ10Aが原子炉圧力容器6から落下した場合には、この溶解している燃料デブリ10Aは、金属シェル5内に配置された上部層3に落下する。燃料デブリ10Aに含まれているジルコニウム等の各金属元素M1は、上部層3を形成している二酸化ケイ素と還元反応を生じ、それぞれの金属元素M1の酸化物及び金属元素M3であるケイ素を生成する。上部層3を形成する二酸化ケイ素の生成自由エネルギーが下部層2を形成するマグネシアの生成自由エネルギーよりも高いので、当然のことながら、その還元反応で生成されたケイ素の酸化物の生成自由エネルギーはマグネシアのそれよりも高くなる。このため、下部層2のマグネシアと上部層3における還元反応で生成されたケイ素との還元反応を防ぐことができ、マグネシアで形成された下部層2のケイ素による侵食を防ぐことができる。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
さらに、本実施例では、空気及び水のいずれかの冷却材が、金属シェル5の下面と原子炉格納容器床9の上面の間及び金属シェル5の側壁の外面とペデスタル8の内面との間の、互いに連通したそれぞれの冷却材領域を形成することができる。このため、原子炉圧力容器6から金属シェル5の内側の上部層3に落下した燃料デブリ10Aの熱は、上記の冷却材領域に存在する冷却材によって除去され、温度が上昇した冷却材は、配管(図示せず)によって、ベデスタル8の外側で原子炉格納容器内に配置された熱交換器(図示せず)に導かれ、この熱交換器において外気によって冷却される。この熱交換器で冷却された冷却材は、戻り管(図示せず)を通して、ベデスタル8の内側の冷却水領域に戻される。このような冷却材の循環により、金属シェル5の内側に落下した燃料デブリ10Aの熱を外部に排出することができる。これにより、燃料デブリ10Aの熱を外部に排除することが可能となる。なお、冷却材として水を用いる場合には、上記の冷却材領域に充填した水の、環状の冷却材領域に形成される水面は、金属シェル5の上端よりも下方に位置させる必要がある。
実施例2の燃料デブリ保持装置1Aにおける下部層2及び上部層3Aまたは実施例3の燃料デブリ保持装置1Bにおける下部層2及び上部層3Bを、本実施例で用いられる下部層2及び上部層3の替りに、金属シェル5の内側に配置してもよい。
実施例1ないし実施例4の各燃料デブリ保持装置は、原子炉格納容器の構造をほとんど変更することなく原子炉圧力容器の真下に設置することができるので、新設の原子力プラントは勿論のこと、既設の原子力プラントにも適用することができる。
また、実施例1ないし実施例4の各燃料デブリ保持装置は、加圧水型原子炉にも適用することができる。
1,1A,1B,1C…燃料デブリ保持装置、2…下部層、3,3A,3B…上部層、5…金属シェル、6…原子炉圧力容器、8…ペデスタル、9…原子炉格納容器床、10,10A…燃料デブリ、11A…第1層、11B…第2層。

Claims (4)

  1. 融点が2000℃よりも高い第1酸化物で形成される耐熱層である下部層と、前記下部層の上に設置され、前記第1酸化物の生成自由エネルギーよりも生成自由エネルギーが高い第2酸化物で形成される上部層とを備え、炉心を内蔵する原子炉圧力容器の真下に配置されることを特徴とする燃料デブリ保持装置。
  2. 前記上部層を形成する前記第2酸化物が、板状、ブロック状、フレーク状、塊状及び球状のいずれかの形状をしている請求項1に記載の燃料デブリ保持装置。
  3. 前記上部層が複数の酸化物層を含んでおり、
    前記複数の酸化物層のそれぞれは種類の異なる前記第2酸化物で形成され、
    前記複数の酸化物層のそれぞれを形成する前記第2酸化物の融点は、前記下部層から上方に向かうほど低くなる請求項1または2に記載の燃料デブリ保持装置。
  4. 前記下部層及び前記上部層が、底部及びこの底部に取り付けられた筒状の側壁部を有する金属シェル内に配置された請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料デブリ保持装置。
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