JP2020040477A - 衛星情報推定装置、衛星情報推定システムおよび衛星情報推定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
GNSSの具体例は、グローバルポジショニングシステム(GPS)および準天頂衛星システム(QZSS)である。
ユーザが自分の位置を計測することを測位という。測位のためには、準天頂衛星等の測位衛星から送信される測距信号を受信機で受信する。測距信号には航法メッセージが含まれる。航法メッセージには測位衛星の軌道情報および測位衛星の時刻情報が含まれる。そして、測距信号から得られる測距情報に加えて、測位衛星の軌道情報および測位衛星の時刻情報が利用される。
測位衛星の軌道情報および測位衛星の時刻情報は地上局の計算機であらかじめ算出される。これら情報の誤差はユーザの測位精度に大きく影響を与える。
そのため、測位衛星の軌道および測位衛星の時刻を高精度に推定することは、GNSSの関連技術の中で最も重要な技術分野の一つとなっている。
測位衛星が測距信号L1と測距信号L2とを送信する。地上には複数の受信機が設置されている。それぞれの受信機は、測距信号L1と測距信号L2とを受信し、測距信号L1と測距信号L2とから得られる測距情報を地上局の計算機に伝送する。そして、地上局の計算機が、複数の受信機から伝送された複数の測距情報を一括処理することにより、測位衛星の軌道および測位衛星の時刻を推定する。
例えば、電離層遅延量を推定するために次のような方法が広く用いられている。測距信号L1の周波数と測距信号L2の周波数とが互いに異なり、測距信号L1および測距信号L2が測位衛星から受信機へ片方向に通信され、測距信号L1と測距信号L2とが組み合わされ、測距情報に含まれる電離層遅延量が推定される。
時刻誤差については、測距信号L1と測距信号L2とに基づいて直接的に推定することができない。また、測位衛星の軌道と測位衛星の時刻とは同時に推定される。そのため、時刻誤差は軌道誤差と強い相関を持つ。そして、時刻誤差を精度良く推定することは難しい。
ただし、測距信号S1と測距信号S2との2周波の測距信号の組み合わせでは、電離層遅延量に伴う誤差を除去することが難しい。
そのため、周波数が異なる測距信号L3を含んだ3周波以上の測距信号を用いて推定を行う方法が用いられる(特許文献1および非特許文献1を参照)。
しかしながら、使用される周波数が増えることにより、測距信号を送受信するための装置の規模が大きくなる。そのため、測位衛星において、他の機器の搭載スペースが圧迫される。また、装置の重量および装置の消費電力などの増加に伴い、他の機器の規模を大きくする必要が生じる。さらに、周波数の増加によって他の電波との干渉が発生する可能性が高くなり、各電波の周波数を利用するための調整に時間を要することとなる。
前記測位衛星と送受信機とが、前記2周波以上の測距信号のうちの1周波の測距信号を時分割で双方向に送受信する。
前記送受信機が、前記2周波以上の測距信号のうちの他周波の測距信号を前記測位衛星から受信する。
前記衛星情報推定装置は、
前記送受信機によって受信された1周波の測距信号から得られるダウンリンク測距情報と、前記測位衛星によって受信された1周波の測距信号から得られるアップリンク測距情報と、前記送受信機によって受信された他周波の測距信号から得られる他周波測距情報とを取得する取得部と、
前記ダウンリンク測距情報と前記アップリンク測距情報と前記他周波測距情報とに基づいて、前記測位衛星の軌道と前記測位衛星の時刻とを推定する推定部とを備える。
2周波の測距信号を利用して測位衛星の軌道と測位衛星の時刻とを精度良く推定するための形態について、図1から図9に基づいて説明する。
図1に基づいて、衛星情報推定システム100の構成を説明する。
衛星情報推定システム100では、スペクトラム拡散された2周波の測距信号(F1およびF2)が使用される。但し、2周波の測距信号に加えて、2周波の測距信号とは別の周波の測距信号が使用されてもよい。
測位衛星110と送受信機120とは、2周波の測距信号(または2周波以上の測距信号)のうちの1周波の測距信号F2を時分割で双方向に送受信する。測位衛星110から送受信機120への測距信号F2を測距信号F2dと称し、送受信機120から測位衛星110への測距信号F2を測距信号F2uと称する。
送受信機120は、2周波の測距信号(または2周波以上の測距信号)のうちの他周波の測距信号F1を測位衛星110から受信する。
衛星情報推定装置200は、ダウンリンク測距情報とアップリンク測距情報と他周波測距情報とを取得する。そして、衛星情報推定装置200は、ダウンリンク測距情報とアップリンク測距情報と他周波測距情報とに基づいて、衛星情報を推定する。
ダウンリンク測距情報は、送受信機120によって受信された1周波の測距信号F2dから得られる測距情報である。
アップリンク測距情報は、測位衛星110によって受信された1周波の測距信号F2uから得られる測距情報である。
他周波測距情報は、送受信機120によって受信された他周波の測距信号F1から得られる測距情報である。
衛星情報は測位衛星110に関する情報である。具体的な衛星情報は、測位衛星110の軌道および測位衛星110の時刻である。
衛星情報推定システム100は、送受信機120とは別に、複数の受信機130を備える。
衛星情報推定装置200は、プロセッサ201とメモリ202と補助記憶装置203と通信装置204と入出力インタフェース205といったハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線を介して互いに接続されている。
メモリ202は揮発性の記憶装置である。メモリ202は、主記憶装置またはメインメモリとも呼ばれる。例えば、メモリ202はRAM(Random Access Memory)である。メモリ202に記憶されたデータは必要に応じて補助記憶装置203に保存される。
補助記憶装置203は不揮発性の記憶装置である。例えば、補助記憶装置203は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリである。補助記憶装置203に記憶されたデータは必要に応じてメモリ202にロードされる。
通信装置204はレシーバとトランスミッタとを含む。例えば、通信装置204は通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
入出力インタフェース205は入力装置が接続されるポートと出力装置が接続されるポートとを含む。例えば、入出力インタフェース205はUSB端子であり、入力装置はキーボードおよびマウスであり、出力装置はディスプレイである。USBはUniversal Serial Busの略称である。
さらに、補助記憶装置203にはOS(Operating System)が記憶されている。OSの少なくとも一部は、メモリ202にロードされて、プロセッサ201によって実行される。
つまり、プロセッサ201は、OSを実行しながら、衛星情報推定プログラムを実行する。
衛星情報推定プログラムを実行して得られるデータは、メモリ202、補助記憶装置203、プロセッサ201内のレジスタ、または、プロセッサ201内のキャッシュメモリといった記憶装置に記憶される。
衛星情報推定システム100の動作は衛星情報推定方法に相当する。また、衛星情報推定方法における衛星情報推定装置200の動作の手順は衛星情報推定プログラムの手順に相当する。
ステップS110において、衛星情報推定装置200は測距情報P1を取得する。
測距情報P1は、測距信号F1から得られる測距情報(すなわち、他周波測距情報)である。
測距情報は、測位衛星110(または他の測位衛星)と送受信機120(または受信機130)との距離を示す。測距情報は、測距信号のコード位相または測距信号の搬送波位相に基づいて算出される。算出方法は、全地球測位衛星システム(GNSS)において測距情報を算出する従来方法と同じである。
ステップS111において、測位衛星110は、測距信号F1を生成し、生成した測距信号F1をスペクトラム拡散する。このスペクトラム拡散は、測位衛星110用の擬似乱数コードを用いて行われる。
そして、測位衛星110は、スペクトラム拡散後の測距信号F1を送信する。
測距信号F1の周波数は、測距信号F2の周波数と異なる。
また、それぞれの受信機130は、送受信機120と同じく、それぞれの測位衛星(測位衛星110を含む)から測距信号F1を受信し、測距信号F1から測距情報P1を得て、測距情報P1を送信する。そして、衛星情報推定装置200の取得部211は、それぞれの受信機130から送信される測距情報P1も受信する。
ステップS120において、衛星情報推定装置200は測距情報P2dを取得する。
測距情報P2dは、測距信号F2dから得られる測距情報(すなわち、ダウンリンク測距情報)である。
ステップS121において、測位衛星110は、測距信号F2dを生成し、生成した測距信号F2dをスペクトラム拡散する。このスペクトラム拡散は、測位衛星110用の擬似乱数コードを用いて行われる。
そして、測位衛星110は、スペクトラム拡散後の測距信号F2dを時間帯Aに送信する。
測距信号F2dの周波数は、測距信号F1の周波数と異なり、測距信号F2uの周波数と共通する。
時間帯Aは、測距信号F2dの送受信に割り当てられた時間帯である。
また、それぞれの受信機130は、送受信機120と同じく、それぞれの測位衛星(測位衛星110を含む)から測距信号F2dを受信し、測距信号F2dから測距情報P2dを得て、測距情報P2dを送信する。そして、衛星情報推定装置200の取得部211は、それぞれの受信機130から送信される測距情報P2dも受信する。
ステップS130において、衛星情報推定装置200は測距情報P2uを取得する。
測距情報P2uは、測距信号F2uから得られる測距情報(すなわち、アップリンク測距情報)である。
ステップS131において、送受信機120は、測距信号F2uを生成し、生成した測距信号F2uをスペクトラム拡散する。このスペクトラム拡散は、送受信機120用の擬似乱数コードを用いて行われる。
そして、送受信機120は、スペクトラム拡散後の測距信号F2uを時間帯Bに送信する。
測距信号F2uの周波数は、測距信号F1の周波数と異なり、測距信号F2dの周波数と共通する。
時間帯Bは、測距信号F2uの送受信に割り当てられた時間帯である。
ステップS140において、衛星情報推定装置200の推定部212は、測距情報群(P1、P2dおよびP2u)に基づいて衛星情報を推定する。
測距情報P1は式[1−1]で表される。
P1 = R + C + I1 + T +e1 [1−1]
「R」は、測位衛星110と送受信機120との間の幾何学的な距離(幾何学距離)である。
「C」は、送受信機120の時刻誤差と測位衛星110の時刻誤差との差(時刻一重差)である。時刻誤差は時計誤差ともいう。
「I」は、測距信号の伝搬経路において電離層によって生じる遅延量(電離層遅延量)である。言い換えると、「I」は電離層における電波の伝搬遅延量である。
「I1」は、測距信号F1の伝搬経路における電離層遅延量である。
「T」は、測距信号の伝搬経路において対流圏によって生じる遅延量(対流圏遅延量)である。言い換えると、「T」は対流圏における電波の伝搬遅延量である。
「e」は、ノイズなどの観測誤差である。
「e1」は、測距信号F1についての観測誤差である。
電離層遅延量I1は式[1−2]で表すことができる。
I1 = (40.3×N)/f1 2 [1−2]
「N」は、測距信号の伝搬経路上の全電子数である。
P2d = R + C + I2 + T + e2d [2−1]
「I2」は、測距信号F2の伝搬経路における電離層遅延量である。
「e2d」は、測距信号F2dについての観測誤差である。
電離層遅延量I2は式[2−2]で表すことができる。
I2 = (40.3×N)/f2 2 [2−2]
具体的には、推定部212は、式[3−1]を計算することによって、測距情報P0dを算出する。
P0d = (f1 2P1−f2 2P2d)/(f1 2−f2 2)
= R + C + T + e0d [3−1]
e0d = (f1 2e1−f2 2e2d)/(f1 2−f2 2) [3−2]
推定部212は、測距情報P1の時系列と測距情報P2dの時系列とを用いて、幾何学距離Rと時刻一重差Cと対流圏遅延量Tとを推定する。具体的には、推定部212は、カルマンフィルタまたはバッチ最小二乗推定法などの推定処理を行う。
式[3−1]に示したように、測距情報P0dは、「R」と「C」と「T」との和を含んだ値である。推定された「R」の誤差と推定された「C」の誤差と推定された「T」の誤差との間には強い相関があり、それぞれの誤差が相互に影響を与える。
具体的には、推定部212は、式[3−3]を計算することによって、(P1−P2d)を算出する。
P1−P2d
= (I1−I2)+e12d
= (40.3×N)×(1/f1 2−1/f2 2)+e12d [3−3]
e12d = (e1−e2d) [3−4]
時間帯Aと時間帯Bとの間には時間の重なりが無い。また、測位衛星110が移動するため、測位衛星110の位置は時間帯によって異なる。通常、電離層の時間的な変化および電離層の空間的な変化は緩やかである。そのため、電離層の変化が小さい範囲に収まるように時間帯Aと時間帯Bとが設定されて、測距信号F2の送受信の方向が切り替えられることにより、全電子数NBについても推定することができる。なお、時間帯Aと時間帯Bについては、電離層の全電子数の変化が小さくかつ推定部212の推定処理に必要な観測時間を考慮して、例えば数分から数時間の間とするのが良い。また時間帯Aと時間帯Bの切替え時間については、時間帯Aでの測距情報P2dと時間帯Bでの測距情報P2uとが重ならず、かつ送受信機120の切替え時間を考慮して例えば数分以内とするのが良い。
P2u = R − C + I2 + T + e2u [4−1]
「e2u」は、ノイズなどの観測誤差である。
具体的には、推定部212は、式[5−1]を計算することによって、測距情報P0uを算出する。
P0u = (f1 2P1−f2 2P2u)/(f1 2−f2 2)
= R + C’ + T + e0u [5−1]
「e0u」は、式[5−3]を計算することによって算出される値である。
C’ = C(f1 2+f2 2)/(f1 2−f2 2) [5−2]
e0u = (f1 2e1−f2 2e2u)/(f1 2−f2 2) [5−3]
具体的には、推定部212は、式[5−4]を計算することによって、(P1−P2u)を算出する。
P1−P2u
= 2C+(I1−I2)+e12u
= 2C+(40.3×N)×(1/f1 2−1/f2 2)+e12u [5−4]
e12u = (e1−e2u) [5−5]
推定部212は、測距情報P1の時系列と測距情報P2dの時系列と測距情報P2uの時系列とを用いて、時刻一重差CBを推定する。「CB」は、時間帯Bにおける時刻一重差Cである。具体的には、推定部212は、カルマンフィルタまたはバッチ最小二乗推定法などの推定処理を行う。
さらに、推定部212は、測距情報P1の時系列と測距情報P2dの時系列と測距情報P2uの時系列とを用いて、時刻一重差CAを推定する。「CA」は、時間帯Aにおける時刻一重差Cである。推定方法は、時刻一重差CBを推定する方法と同様である。
時間帯Aと時間帯Bとの間には時間の重なりが無い。また、測位衛星110の時刻誤差および送受信機120の時刻誤差の時間的な変化は緩やかである。そのため、測位衛星110の時刻誤差と送受信機120の時刻誤差とのそれぞれの変化が小さい範囲に収まるように時間帯Aと時間帯Bとが設定されて、測距信号F2の送受信の方向が切り替えられることにより、時刻一重差CAについても推定することができる。
測位衛星110の軌道を推定することは、幾何学距離Rを推定することに相当する。
測位衛星110の時刻を推定することは、時刻一重差Cを推定することに相当する。
対流圏遅延量Tは、測位衛星110の特性には影響されない。そのため、推定部212は、送受信機120が複数の測位衛星(測位衛星110を含む)から受信した複数の測距信号を利用することにより、対流圏遅延量Tを精度良く推定することができる。
実施の形態1において、測距信号F2uが送受信機120から送信され測位衛星110で受信される。これにより、推定部212は、時刻一重差Cを精度良く推定することができる。そのため、推定部212は、幾何学距離Rを精度良く推定することもできる。その結果、推定部212は、測位衛星110の軌道と測位衛星110の時刻とを精度良く推定することができる。
図1において、測位衛星110は、測距信号F1を送信する機能を具備する。さらに、測位衛星110は、測距信号F2を時分割で双方向に送受信する機能を具備する。
送受信機120は地上に設置される。送受信機120は、測距信号F1を受信する機能を具備する。さらに、送受信機120は、測距信号F2を時分割で双方向に送受信する機能を具備する。
複数の受信機130は地上に設置される。測距信号F1および測距信号F2dは、測位衛星110から送信され、送受信機120と複数の受信機130とのそれぞれで受信される。
送受信機120は、他の複数の測位衛星から送信される測距信号も受信する。
送受信機120と複数の受信機130とのそれぞれは地上に固定される。また、基準座標系および基準時刻が地球において設定される。
衛星情報推定装置200は、基準座標系および基準時刻に対して測位衛星110の位置(軌道)と測位衛星110の時刻とを推定することができる。
送信機能はトランスミッタによって実現され、受信機能はレシーバによって実現される。
図7において、測位衛星110は、測距信号L1と測距信号L2とを測距信号F1として送信する。測距信号L1および測距信号L2は、GNSSにおいて測位衛星から地球に向けて常時送信される一般的な信号である。
測距信号L1の周波数と測距信号L2の周波数と測距信号F2の周波数とは互いに異なる。つまり、3周波の測距信号が使用される。
測位衛星110は、測距信号L1と測距信号L2とを送信する機能を具備する。さらに、測位衛星110は、測距信号F2を時分割で双方向に送受信する機能を具備する。
送受信機120は地上に設置される。送受信機120は、測距信号L1と測距信号L2とを受信する機能を具備する。さらに、送受信機120は、測距信号F2を時分割で双方向に送受信する機能を具備する。
複数の受信機130は地上に設置される。測距信号L1および測距信号L2は、測位衛星110から送信され、送受信機120と複数の受信機130とのそれぞれで受信される。
送受信機120は、他の複数の衛星から送信される測距信号も受信する。
送受信機120と複数の受信機130とのそれぞれは地上に固定される。また、基準座標系および基準時刻が地球において設定される。
衛星情報推定装置200は、基準座標系および基準時刻に対して測位衛星110の位置(軌道)と測位衛星110の時刻とを推定することができる。
送信機能はトランスミッタによって実現され、受信機能はレシーバによって実現される。
図8において、送受信機120は移動体140に設置される。例えば、移動体140は、飛行機または自動車である。送受信機120の位置は、地球に対して時間の経過と共に変化する。
測位衛星110は、測距信号F1を送信する機能を具備する。さらに、測位衛星110は、測距信号F2を時分割で双方向に送受信する機能を具備する。
送受信機120は、測距信号F1を受信する機能を具備する。さらに、送受信機120は、測距信号F2を時分割で双方向に送受信する機能を具備する。
それぞれの受信機130は、必ずしも地上に固定されない。つまり、それぞれの受信機130は、地上に設置されてもよいし、移動体に設置されてもよい。
測距信号F1および測距信号F2dは、測位衛星110から送信され、送受信機120と複数の受信機130とのそれぞれで受信される。
送受信機120と複数の受信機130とのそれぞれは、他の複数の測位衛星から送信される測距信号も受信する。
基準座標系および基準時刻が地球において設定される。
衛星情報推定装置200は、送受信機120と複数の受信機130とのそれぞれで受信された測距信号に含まれる航法メッセージを利用することにより、基準座標系および基準時刻に対して送受信機120と複数の受信機130とのそれぞれの位置と時刻とを推定する。
衛星情報推定装置200は、送受信機120と複数の受信機130とのそれぞれの推定位置(軌道)と推定時刻とを用いることにより、基準座標系および基準時刻に対して測位衛星110の位置と測位衛星110の時刻とを推定することができる。
送信機能はトランスミッタによって実現され、受信機能はレシーバによって実現される。
図9において、送受信機120Gは地上に設置された送受信機120である。送受信機120Mは移動体140に設置された送受信機120である。送受信機120Gの位置は変化しない。一方、送受信機120Mの位置は、地球に対して時間の経過と共に変化する。
測位衛星110は、測距信号F1を送信する機能を具備する。さらに、測位衛星110は、測距信号F2を時分割で双方向に送受信する機能を具備する。
送受信機120Mと送受信機120Gとのそれぞれは、測距信号F1を受信する機能を具備する。さらに、送受信機120Mと送受信機120Gとのそれぞれは、測距信号F2を時分割で双方向に送受信する機能を具備する。
複数の受信機130は地上に設置される。測距信号F1および測距信号F2dは、測位衛星110から送信され、送受信機120Gと送受信機120Mと複数の受信機130とのそれぞれで受信される。
送受信機120Gと送受信機120Mとのそれぞれは、他の複数の測位衛星から送信される測距信号も受信する。
送受信機120Gと複数の受信機130とのそれぞれは地上に固定される。また、基準座標系および基準時刻が地球において設定される。
衛星情報推定装置200は、基準座標系および基準時刻に対して測位衛星110の位置(軌道)と測位衛星110の時刻とを推定することができる。
送受信機120Mは、測位衛星110とは異なる測位衛星から送信される測距信号を受信する。
衛星情報推定装置200は、送受信機120Mによって受信される測距信号のそれぞれに含まれる航法メッセージを利用する。送受信機120Mは、測位衛星110から測距信号F1を受信し、測距信号F2を時分割で双方向に送受信する。これにより、衛星情報推定装置200は、送受信機120Mと測位衛星110との相対的な時刻差、または、送受信機120Mと送受信機120Gとの相対的な時刻差を推定することができる。
そのため、衛星情報推定装置200は、基準座標系および基準時刻に対して送受信機120Mの位置と送受信機120Mの時刻とを推定することができる。推定方法は、測位衛星110の位置と測位衛星110の時刻とを推定する方法と同じである。
送信機能はトランスミッタによって実現され、受信機能はレシーバによって実現される。
衛星情報推定システム100において、測位衛星110の軌道と測位衛星110の時刻とを高精度に推定するために、擬似乱数コードを用いてスペクトラム拡散された2周波以上の測距信号が送受信される。2周波以上の測距信号のうちの1周波の測距信号は、測位衛星110と送受信機120との間で時分割で双方向に送受信される。
これにより、測距信号用の周波数の増加を最小限に抑えることが可能となる。その結果、周波数を有効活用することが可能となる。また、測距信号を送受信するための装置の規模が大きくならない。さらに、測距信号と他の電波との干渉を抑えることができる。
実施の形態は、好ましい形態の例示であり、本発明の技術的範囲を制限することを意図するものではない。実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。フローチャート等を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
Claims (6)
- スペクトラム拡散された2周波以上の測距信号から得られる測距情報に基づいて測位衛星の軌道と前記測位衛星の時刻とを推定する衛星情報推定装置であって、
前記測位衛星と送受信機とが、前記2周波以上の測距信号のうちの1周波の測距信号を時分割で双方向に送受信し、
前記送受信機が、前記2周波以上の測距信号のうちの他周波の測距信号を前記測位衛星から受信し、
前記衛星情報推定装置は、
前記送受信機によって受信された1周波の測距信号から得られるダウンリンク測距情報と、前記測位衛星によって受信された1周波の測距信号から得られるアップリンク測距情報と、前記送受信機によって受信された他周波の測距信号から得られる他周波測距情報とを取得する取得部と、
前記ダウンリンク測距情報と前記アップリンク測距情報と前記他周波測距情報とに基づいて、前記測位衛星の軌道と前記測位衛星の時刻とを推定する推定部と
を備える衛星情報推定装置。 - スペクトラム拡散された2周波以上の測距信号が使用される衛星情報推定システムであって、
前記衛星情報推定システムは、測位衛星と送受信機と衛星情報推定装置とを備え、
前記測位衛星と前記送受信機とが、前記2周波以上の測距信号のうちの1周波の測距信号を時分割で双方向に送受信し、
前記送受信機が、前記2周波以上の測距信号のうちの他周波の測距信号を前記測位衛星から受信し、
前記衛星情報推定装置が、前記送受信機によって受信された1周波の測距信号から得られるダウンリンク測距情報と、前記測位衛星によって受信された1周波の測距信号から得られるアップリンク測距情報と、前記送受信機によって受信された他周波の測距信号から得られる他周波測距情報とに基づいて、前記測位衛星の軌道と前記測位衛星の時刻とを推定する
衛星情報推定システム。 - 前記送受信機が地上に設置される
請求項2に記載の衛星情報推定システム。 - 前記送受信機が移動体に設置される
請求項2に記載の衛星情報推定システム。 - 前記衛星情報推定システムは、前記送受信機として、地上に設置された送受信機と移動体に設置された送受信機とを備える
請求項2に記載の衛星情報推定システム。 - スペクトラム拡散された2周波以上の測距信号が使用される衛星情報推定方法であって、
測位衛星と送受信機とが、前記2周波以上の測距信号のうちの1周波の測距信号を時分割で双方向に送受信し、
前記送受信機が、前記2周波以上の測距信号のうちの他周波の測距信号を前記測位衛星から受信し、
衛星情報推定装置が、前記送受信機によって受信された1周波の測距信号から得られるダウンリンク測距情報と、前記測位衛星によって受信された1周波の測距信号から得られるアップリンク測距情報と、前記送受信機によって受信された他周波の測距信号から得られる他周波測距情報とに基づいて、前記測位衛星の軌道と前記測位衛星の時刻とを推定する
衛星情報推定方法。
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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高橋靖宏,外8名: ""5-2 ETS-VIII搭載高精度時刻比較装置を用いた時刻比較実験結果"", 情報通信研究機構季報, vol. Vol. 56,Nos. 3/4, JPN6022017999, 2010, pages 261 - 269, ISSN: 0004766053 * |
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