JP2020039326A - 間葉系幹細胞の凍害保護液とその利用 - Google Patents

間葉系幹細胞の凍害保護液とその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 細胞の凍結保存方法であって、より高い温度での凍結保存を可能にすることで、安価で簡便な細胞の長時間輸送を可能とする方法を提供すること。【解決手段】 間葉系幹細胞を、ヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを含む溶液に懸濁して凍結した場合、凍結細胞を−80℃よりも高温で長時間保存した場合でも、解凍後の生存及び増殖能が維持できることを見出し、これにより間葉系幹細胞のドライアイス輸送が可能となった。【選択図】 なし

Description

本発明は、間葉系幹細胞を、−80℃よりも高い温度条件下でも、長時間安定的に保存することを可能とする細胞凍害保護液及びその利用に関するものである。
近年、様々な間葉系幹細胞を用いた再生医療等製品が承認を受けているが、使用時の輸送においては、常温での短時間の輸送の形態か、冷却手段として液体窒素を利用した極低温輸送の形態が採用されている。
しかしながら、常温輸送品では輸送に長時間かかる海外への展開が難しく、一方、極低温輸送では、特別な輸送機器や液体窒素などを要するため、輸送や保管管理のコストが嵩むという問題がある。
そこで、低コストで再生医療等製品の長時間輸送が可能な、再生医療等製品の保存方法の開発が切望されている。
なお、造血幹細胞については、ヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを有効成分とする細胞凍害保護液であるCP−1(極東製薬工業株式会社製)を用いると、−80℃で長期間の凍結保存ができることが報告されている(非特許文献1〜4)。
牧野茂義ら, 骨髄及び末梢血幹細胞の簡便凍結保存法、医学のあゆみ, Vol.151, No.1 (1989) S. Makino, Bone Marrow Transplantation vol. 8, No. 4 (1991) H. Nakakouji, et. al., Journal of Japanese Society of Laboratory Medicine, Temporary Extra Issue in July, Special edition 99, (1995) S. Makino, Journal of Clinical and Experimental Medicine, vol. 176, No.9 (1996)
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、細胞の保存方法であって、安価で細胞の長時間輸送を可能とする方法を提供することにある。さらなる本発明の目的は、このような保存方法に用いられる、細胞の保護液を提供することにある。
本発明者らは、従来の液体窒素による極低温輸送に代わる、安価な凍結細胞の輸送方法として、ドライアイスによる輸送を構想した。ドライアイスそのものの温度は−79℃であるが、輸送中の周囲の環境あるいは輸送の条件によっては、凍結細胞の温度が上昇することが考えられる。このため、本発明者らは、ドライアイスによる凍結細胞の輸送において、より高温な条件(例えば、−78℃〜−60℃)でも凍結細胞の生存や増殖能を維持することが可能な細胞凍害保護液につき、鋭意検討を行った。
上記の通り、造血幹細胞では、ヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを有効成分とする細胞凍害保護液であるCP−1を用いると、−80℃の冷凍温度で長期間の凍結保存ができることが報告されているが、CP−1がより高温での凍結保存に適しているか否かは不明であり、また、このような高温での凍結保存に適した細胞種についても不明である。そこで、本発明者らは、より高温でのCP−1による凍結保存に適した細胞の探索を行った。
その結果、間葉系幹細胞については、より高温条件で長時間、CP−1により凍結保存した場合あっても、その解凍後の生存及び増殖能が維持できることが判明した。しかしながら、CP−1を利用しない常法で同様に凍結保存した場合には、増殖能が顕著に低下した。一方、ヒト新生児皮膚繊維芽細胞については、間葉系幹細胞とは対照的に、CP−1を用いた場合であっても、解凍後の増殖能が顕著に低下した。
以上から、本発明者らは、より高温でのCP−1による凍結細胞の保存においては、CP−1への適性が細胞種によって異なり、間葉系幹細胞が優れた適性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、より詳しくは、以下を提供するものである。
[1]ヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを有効成分とする、間葉系幹細胞を凍害から保護するための溶液。
[2]間葉系幹細胞を凍結保存する方法であって、間葉系幹細胞を、ヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを含む溶液に懸濁して凍結させることを特徴とする方法。
[3]溶液が、さらに、血清アルブミンまたは血清を含む、[2]に記載の方法。
[4]間葉系幹細胞の凍結細胞を輸送する方法であって、当該凍結細胞がヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを含む溶液中で凍結されたものであり、当該輸送における当該凍結細胞の温度を−80℃よりも高い温度とする方法。
[5]溶液が、さらに、血清アルブミンまたは血清を含む、[4]に記載の方法。
[6]輸送における当該凍結細胞の冷却手段としてドライアイスを利用する、[4]に記載の方法。
本発明により、凍結された間葉系幹細胞が−80℃よりも高温に曝されても、長時間安定的に細胞の機能を維持させることが可能となった。これにより、国内外を問わず、ドライアイスによる凍結細胞の輸送が可能となり、輸送中の凍結細胞の温度上昇による機能低下の問題を回避することができる。また、ドライアイス輸送では、高価な液体窒素や特別な輸送機器は不要であるため、従来の極低温輸送と比較して、輸送コストを大幅に削減することができ、かつ、簡便である。また、間葉系幹細胞の輸送時のみならず、保管においても、液体窒素や特別な機器を使用する必要はないことから、保管コストも削減することができる。このため、幅広い医療機関において間葉系幹細胞の冷凍保存が可能となる。
各条件で保存したヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC−BM)の解凍翌日の細胞像である(接着率=接着細胞/播種細胞x100)。細胞保存液として、CP−1またはHSA(表1)を用いた。また、液体窒素(LN2)タンク中または−60℃設定のフリーザーで凍結保存した細胞を用いた。 各条件で保存したヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(hMSC−AT)の解凍翌日の細胞像である(接着率=接着細胞/播種細胞x100)。細胞保存液として、CP−1またはHSA(表1)を用いた。また、液体窒素(LN2)タンク中または−60℃設定のフリーザーで凍結保存した細胞を用いた。 各条件で保存したヒト新生児皮膚繊維芽細胞(NHDF−Neo)の解凍翌日の細胞像である(接着率=接着細胞/播種細胞x100)。細胞保存液として、CP−1またはHSA(表1)を用いた。また、液体窒素(LN2)タンク中または−60℃設定のフリーザーで凍結保存した細胞を用いた。 図1〜3の各条件での細胞の接着率をまとめたグラフである。
本発明は、ヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを有効成分とする、間葉系幹細胞を凍害から保護するための溶液(以下、「本発明の凍害保護液」と称する)を提供する。
本発明において「凍害」とは、細胞の凍結や融解によって引き起こされる、細胞の損傷、死滅、機能低下などの負の影響を意味する。また、「間葉系幹細胞」は、骨芽細胞、脂肪細胞、筋細胞、軟骨細胞など、間葉系に属する細胞への分化能をもつ幹細胞である。間葉系幹細胞には、採取する組織に応じて、骨髄由来間葉系幹細胞や脂肪組織由来間葉系幹細胞などが含まれるが、本発明の凍害保護液を適用する間葉系幹細胞は、その由来は問わない。実際、本発明の凍結保護液は、骨髄由来間葉系幹細胞及び脂肪組織由来間葉系幹細胞のいずれに対しても、凍害からの顕著な保護作用を示すことができる(図1、2、4)。
本発明の凍害保護液は、ヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを有効成分として含む。間葉系幹細胞の凍結保存時のヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドの濃度(終濃度)は、間葉系幹細胞に対して凍害からの保護作用がある限り、特に制限はない。ヒドロキシルエチルデンプンの濃度は、通常、4〜8%(w/v)であり、好ましくは5〜7%(w/v)であり、特に好ましくは6%(w/v)である。また、ジメチルスルホキシドの濃度は、通常、3〜7%(v/v)であり、好ましくは、4〜6%(v/v)であり、特に好ましくは5%(v/v)である。従って、例えば、本発明の凍害保護液を間葉系幹細胞の懸濁液と等量で混和して凍結する場合には、本発明の凍害保護液におけるヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドの濃度は、上記終濃度の2倍の濃度とすればよい。本発明の凍害保護液は、例えば、生理食塩水をベースに、上記有効成分を添加して調製することができる。
また、本発明は、間葉系幹細胞を凍結保存する方法であって、間葉系幹細胞をヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを含む溶液に懸濁して凍結させることを特徴とする方法(以下、「本発明の凍結保存方法」と称する)を提供する。
間葉系幹細胞のヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを含む溶液への懸濁は、例えば、間葉系幹細胞を含む細胞懸濁液に、上記凍害保護液を添加し、両溶液を混和することにより行うことができる。
凍結保存時の間葉系幹細胞の濃度(終濃度)は、特に制限はないが、例えば、1x10cells/mL〜1x10cells/mL(例えば、1x10cells/mL〜1x10cells/mL)の濃度を採用することができる。従って、例えば、本発明の凍害保護液を間葉系幹細胞の懸濁液と等量で混和して凍結する場合には、細胞懸濁液における間葉系幹細胞の濃度は、上記終濃度の2倍の濃度とすればよい。細胞懸濁液の調製においては、例えば、生理食塩水や培地を用いることができる。培地としては、例えば、RPMI1640培地が好適である。細胞懸濁液には、適宜、凝固防止剤(例えば、ヘパリンやACD液など)を添加してもよい。
本発明の凍結保存方法においては、間葉系幹細胞を含む細胞懸濁液に、さらに、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)または血清が添加されることが好ましい。血清アルブミンまたは血清の凍結保存時の濃度(終濃度)は、通常、3〜5%(w/v)であり、好ましくは4%(w/v)である。血清アルブミンまたは血清は、直接的に、または、本発明の凍害保護液への添加を通じて間接的に、細胞懸濁液に添加することができる。
本発明の凍結保存方法において、凍結工程は、例えば、プログラムフリーザーによる緩速凍結や、超低温フリ−ザ−による簡易式凍結により行うことができる。プログラムフリーザーによる緩速凍結においては、例えば、毎分−2℃〜−3℃に計画された速さで冷却することができる。一方、簡易凍結法においては、例えば、間葉系幹細胞を含む凍結チューブを凍結処理容器や発砲スチロール箱に入れ、フリーザー内に入れて、上記と同様の速度で緩慢凍結させればよい。凍結チューブや凍結処理容器は、例えば、BICELL(日本フリーザー株式会社)などの市販品を利用することができる。本発明の凍結保存方法においては、簡易凍結法により簡便で効率良く作業を行うことができる。凍結工程における、フリーザーの設定温度は、−80℃とすることができるが、より高温(例えば、−75℃、−70℃、−65℃、−60℃)であってもよい。また、当該緩慢凍結後に、液体窒素中で保存してもよい。
また、本発明は、間葉系幹細胞の凍結細胞を輸送する方法であって、当該凍結細胞がヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを含む溶液中で凍結されたものであり、当該輸送における当該凍結細胞の温度を−80℃よりも高い温度とする方法(以下、「本発明の輸送方法」と称する)を提供する。
本発明の輸送方法における凍結細胞の冷却手段としては、上記温度で凍結細胞を輸送しうる限り、特に制限はないが、例えば、ドライアイスや各種冷却機器を利用することができる。簡便かつ安価な手段である点で、特に、ドライアイスが好ましい。
本発明の輸送方法においては、例えば、凍結された間葉系幹細胞を含むチューブを適当な輸送用の容器(例えば、発砲スチロール箱)に入れ、当該チューブの周囲にドライアイスを詰めて、凍結状態を維持しながら輸送することができる。ドライアイスそのものの温度は−79℃であるが、輸送中の周囲の環境により、凍結細胞の温度が上昇しうる。しかしながら、本発明によれば、凍結細胞の温度が、さらに高温(例えば、−78℃〜−60℃)となった場合でも、間葉系幹細胞の生存や増殖能を長時間維持することが可能であり、幅広く海外への輸送も可能である。ドライアイスを利用した輸送時間は、通常、4週間以内、好ましくは2週間以内であり、より好ましくは1週間以内である。
なお、間葉系幹細胞の使用の段階においては、例えば、チューブ中の凍結細胞を37〜40℃の恒温槽での急速融解を行うことが好ましい。急速融解の間は、チューブを振盪することが好ましい。また、解凍時間は、5分以内で終了することが好ましく、3分以内で終了することがより好ましい。解凍後の間葉系幹細胞は、適切な密度でフラスコに播種し、通常の条件(例えば、37℃、5%CO)で、インキュベーターにて培養することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
A.実験材料
(1)細胞
本実施例に用いた細胞は、次の通りである。ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC−BM)(Lonza、製品コード:PT−2501)、ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(hMSC−AT)(PromoCell、製品コードC−12977)、ヒト新生児皮膚繊維芽細胞(NHDF−Neo)。
(2)培地
MSCGM BulletKit(Lonza、ref:PT−3001)をヒト骨髄由来間葉系幹細胞の培養に使用した。間葉系幹細胞増殖培地(PromoCell、製品コード:C−28009)をヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養に使用した。DMEM(L)(Thermo Fisher Scientific、ref:11885084)をNHDF−Neoの培養に使用した。
(3)凍害保護液
用いた凍害保護液は、以下の通りである(表1)。
B.機材
(1)フリーザー(日本フリーザー VT−78HC)
−80℃または−60℃に設定して使用した(実際の温度は、設定温度±2℃程度)。
(2)緩慢凍結用容器(日本フリーザー BICELL)
予め4℃に冷却した状態で使用した。使用前に重量がカタログ値である190g〜200gに収まっている事を確認した。
(3)セルカウンター(ベックマンコールター Vi−CELL XR)
トリパンブルー染色法で500μLのサンプルを染色した後、サンプルを50回に分けて測定し、その生細胞密度及び生存率の平均値を算出した。
(4)実験方法
各種細胞を解凍して培養を開始し数継代を実施した後に、対数増殖期の細胞を回収し、1x10cells/mLの密度でCP−1若しくは対照(10%DMSO、4% HSA)で凍結した。凍結には日本フリーザー社のBICELLを使用し、−80℃フリーザーにて緩慢凍結を実施した。緩慢凍結24時間後に細胞をLN2タンクに移動させ、そのままLN2タンクで1週間以上保存した後、細胞を各温度に設定したフリーザー(−80、−60℃)へ移動させた。フリーザーで一定期間(例えば、1週間)保存した後に各細胞を解凍し、解凍直後生存率、24時間後の生存率及び培養器への接着率等を確認した。
(a)解凍
15mL遠心管に、9mLの培地(w/10%FBS)を分注した(洗浄用培地)。LN2タンクで保管していた細胞を37℃水浴にて振盪解凍した。解凍した細胞全量を洗浄用培地へ加え、遠心した(500g、5分間、室温)。上清をアスピレートし、ペレットをタッピングした。ペレットに培地(w/10%FBS)を5mL加え、Vi−CELL XRでセルカウントした(550μL使用)。細胞を適切な密度でフラスコに播種し、37℃、5%COにて、インキュベーターで培養した。
(b)継代(接着細胞)
フラスコから培地をアスピレートした。細胞にD−PBS(−)を適量加え、洗浄した。D−PBS(−)をアスピレートし、0.25%トリプシンを適量加えた。ここで、顕微鏡下で細胞の剥離を確認しつつトリプシン反応時間を調整した。フラスコを軽く叩き、細胞をフラスコから剥離させ、培地(w/10%FBS)を適量加えた。細胞全量を15mL遠心管に回収し、遠心(500g、5分、室温)を行った。上清をアスピレートし、ペレットをタッピングした。ペレットに培地(w/10%FBS)を適量加え、Vi−CELL XRでセルカウントした(550μL使用)。適切な密度で細胞をフラスコに播種し、37℃、5%COにて、インキュベーターで培養した。
(c)凍結保存(接着細胞)
フラスコから培地をアスピレートした。細胞にD−PBS(−)を適量加え、洗浄した。D−PBS(−)をアスピレートし、0.25%トリプシンを適量加えた。ここで、顕微鏡下で細胞の剥離を確認しつつトリプシン反応時間を調整した。フラスコを軽く叩き、細胞をフラスコから剥離させた。細胞に培地(w/10%FBS)を適量を加えた。空になったフラスコに培地(w/10%FBS)を適量加え、洗浄した。細胞全量を遠心管に回収し、セルカウントした(550μL使用)。凍結に必要な細胞量(1x10cells/cryotube)を2本の遠心管に分注し、遠心(500g、5分、室温)を行った。上清をアスピレートし、ペレットをタッピングした。ペレットにCP−1若しくは対照を加え、1x10cells/mLの密度にした。細胞を1mLずつクライオチューブに分注した。予め4℃に冷やしておいたBICELLにクライオチューブを入れ、−80℃フリーザーにて緩慢凍結した。24時間後、凍結した細胞をLN2タンクへ移動させた。
(d)細胞保存試験(−60℃)
LN2タンクで1週間以上保存した細胞を、−60℃に設定したフリーザーに移動し、そのまま1週間静置した。
(e)細胞解凍
15mL遠心管に9mLの培地(w/10%FBS)を分注した(洗浄用培地)。−60℃で一定期間保存した細胞を37℃温水浴にて振盪解凍した。解凍した細胞全量を洗浄用培地へ加え、遠心(500g、5分、室温)を行った。上清をアスピレートし、ペレットをタッピングした。ペレットに培地(w/10%FBS)を5mL加え、Vi−CELL XRでセルカウントした(550μL使用)。細胞を適切な密度でフラスコに播種し、37℃、5%COにて、インキュベーターで培養した。
(f)24時間後生存率確認(接着細胞)
顕微鏡接続カメラで細胞像を記録した。フラスコ内の培地をアスピレートし、細胞にD−PBS(−)を適量加え、洗浄した。D−PBS(−)をアスピレートし、0.25%トリプシンを適量加えた。ここで、顕微鏡下で細胞の剥離を確認しつつトリプシン反応時間を調整した。フラスコを軽く叩き、細胞をフラスコから剥離させ、細胞に培地(w/10%FBS)を適量を加えた。空になったフラスコに培地(w/10%FBS)を適量加え、洗浄した。細胞全量を遠心管に回収し、遠心(500g、5分、室温)を行った。上清をアスピレートし、ペレットをタッピングした。ペレットに培地(w/10%FBS)を加え、Vi−CELl XRでセルカウントした。生存率及び生細胞数、接着率(接着細胞数/播種細胞数x100)を記録した。
C.結果
各細胞ともCP−1若しくは対照で凍結したどちらの条件においても、LN2タンク内保存と比較して、−60℃に設定したフリーザーで保存後に生存率が急激に減少することは無かった(表2)。
しかし、−60℃フリーザーで1週間凍結保存後に細胞を培養したところ、CP−1で凍結した細胞は解凍翌日にほぼ全ての細胞がフラスコに接着しているのに対し、対照で凍結した細胞ではフラスコに接着していない細胞が多数認められた(図1〜4)。また、骨髄由来間葉系幹細胞及び脂肪組織由来間葉系幹細胞の方が、ヒト新生児皮膚繊維芽細胞よりも、解凍翌日の接着率が顕著に高かった。
以上説明したように、本発明により、間葉系幹細胞の凍結細胞を−80℃よりも高温で長時間保存した場合でも、凍害を抑制し、解凍後の生存及び増殖能が維持することが判明し、国内外を問わず、間葉系幹細胞のドライアイス輸送が可能となった。間葉系幹細胞は、再生医療への応用が行われていることから、本発明は、特に、再生医療分野に大きく貢献しうるものである。

Claims (6)

  1. ヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを有効成分とする、間葉系幹細胞を凍害から保護するための溶液。
  2. 間葉系幹細胞を凍結保存する方法であって、間葉系幹細胞を、ヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを含む溶液に懸濁して凍結させることを特徴とする方法。
  3. 溶液が、さらに、血清アルブミンまたは血清を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 間葉系幹細胞の凍結細胞を輸送する方法であって、当該凍結細胞がヒドロキシルエチルデンプン及びジメチルスルホキシドを含む溶液中で凍結されたものであり、当該輸送における当該凍結細胞の温度を−80℃よりも高い温度とする方法。
  5. 溶液が、さらに、血清アルブミンまたは血清を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 輸送における当該凍結細胞の冷却手段としてドライアイスを利用する、請求項4に記載の方法。
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