JP2020034721A - 虚像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シースルー視野を確保することが容易な虚像表示装置を提供すること。【解決手段】虚像表示装置100は、画像形成部である表示デバイス11と、外側ミラー部材である第1ミラー部材21を含み、表示デバイス11からの画像光GLが入射する映像光学系112と、映像光学系112から射出された画像光GLを射出瞳EPの位置に向けて反射する部分反射型ミラー部23とを備え、外側ミラー部材である第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23とが一体化されている。【選択図】図3
Description
本発明は、ミラー部材を含むヘッドマウントディスプレイ及びその他の虚像表示装置に関し、特にシースルー視が可能な虚像表示装置に関する。
近年、ヘッドマウントディスプレイのように虚像の形成及び観察を可能にする虚像表示装置として、ミラー又は導光体のような光学素子によって表示素子からの画像光を観察者の瞳に導くタイプのものが種々提案されている。
特許文献1に記載の光学系は、4個の偏芯曲面ミラーで構成され、第1の偏芯曲面ミラーは、回転楕円面又は回転楕円面をベースとする非球面であり、第2の偏芯曲面ミラーは、双曲面又は双曲面をベースとする非球面である。複数の偏芯曲面ミラーは、例えば顔を基準として垂直方向に配置される。光学系を偏芯曲面ミラーで構成することにより、導光体を用いる場合に比較して軽量化の達成が容易となる。
特許文献1の光学系は、偏芯曲面ミラーで構成するため、眼前の偏芯曲面ミラーに隣接して別の偏芯曲面ミラーが配置される。このため、眼前の偏芯曲面ミラーに透過性を持たせてシースルーを確保する場合、眼前の偏芯曲面ミラーの支持体、別の偏芯曲面ミラー等によって、シースルー視野が阻害される可能性がある。
本発明の一側面における虚像表示装置は、画像形成部と、外側ミラー部材を含み、画像形成部からの画像光が入射する映像光学系と、映像光学系から射出された画像光を射出瞳の位置に向けて反射する部分反射型ミラー部とを備え、外側ミラー部材と部分反射型ミラー部とが一体化されている。
〔第1実施形態〕
以下、図1〜3等を参照して本発明に係る第1実施形態の虚像表示装置について説明する。
以下、図1〜3等を参照して本発明に係る第1実施形態の虚像表示装置について説明する。
図1〜3において、X、Y、及びZは、直交座標系であり、X方向は、虚像表示装置100を装着した観察者USの両眼の並ぶ横方向に対応し、Y方向は、観察者USにとっての両眼の並ぶ横方向に直交する上方向に相当し、Z方向は、観察者USにとっての前方向又は正面方向に相当する。
図示の虚像表示装置100は、ヘッドマウントディスプレイであり、観察者USに虚像としての映像を認識させる。虚像表示装置100は、表示デバイス11と、投射光学系12とを備える。投射光学系12は、第1ミラー部材21と、第2ミラー部材22と、部分反射型ミラー部23とを備える。これらのうち、外側ミラー部材である第1ミラー部材21と、内側ミラー部材である第2ミラー部材22とは、映像光学系112を構成する。また、第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23とは、外観部材である前方カバー部材50の一部となっており、第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23とが上下に並んで一体化されている。前方カバー部材50は、第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23とを含んでこれらを一体化したものであるという観点で、2面反射部材と呼ぶことができ、前方カバー反射部材と呼ぶこともできる。前方カバー部材50は、表示デバイス11及び第2ミラー部材22よりも外側又は外界側においてこれら表示デバイス11等に対して位置決めされた状態で配置されている。前方カバー部材50は、メガネレンズ状の輪郭を有し、観察者USの眼を覆って外側に凸の湾曲した形状を有する。図1及び3では、右眼用の虚像表示装置100のみを示しているが、左眼用の虚像表示装置100も同様の構造を有し、両眼用の虚像表示装置100を組み合わせることで、全体として眼鏡のような外観を有する虚像表示装置200となる。なお、両眼用の虚像表示装置200については、右眼用又は左眼用の部分のうち一方を省略することができ、この場合、片眼型のヘッドマウントディスプレイとなる。
なお、図3に示すように、表示デバイス11と第1ミラー部材21との間には、レンズ25を配置することができる。レンズ25は、投射光学系12の一部であり、投射光学系12の収差を低減する役割を有する。レンズ25については、台形補正の機能を持たせる観点で、縦のYZ断面において楔角を有するものとすることができる。また、レンズ25は、縦横のテレセントリック特性を調整する観点で、縦横で光学的パワーを異なるものとすることができる。レンズ25は、色収差を少なくする観点でアッベ数が50以上の材料で形成されることが望ましい。
図1等に戻って、フレーム80は、メガネと類似した構造を有し、本体部材81の側方端部に連結されるツル部82を備え、本体部材81の中央から延びる金具の先端にノーズパッド83を備える。
光路について説明すると、表示デバイス11からの画像光GLは、外側ミラー部材である第1ミラー部材21に入射して第1反射領域R1を形成する反射面21rによって100%に近い高い反射率で反射される。第1ミラー部材21で反射された画像光GLは、第2ミラー部材22に入射して反射面22rによって100%に近い高い反射率で反射される。第2ミラー部材22で反射された画像光GLは、部分反射型ミラー部23に入射して第2反射領域R2を形成する反射面23rによって50%程度以下の反射率で反射される。部分反射型ミラー部23で反射された画像光GLは、観察者USの瞳EYが配置される射出瞳EPに入射する。
図3を参照して、虚像表示装置100は、フレーム80の本体部材81に固定された本体カバー部材である上部カバー部材70を有する。上部カバー部材(本体カバー部材)70は、前方カバー部材50に連結され、表示デバイス(画像形成部)11と第2ミラー部材22とを覆う。上部カバー部材70の上側壁部71は、本体部材81に対して接着材や締結具によって固定されている。上部カバー部材70の裏面壁部72には、画像形成部である表示デバイス11と第2ミラー部材22とが上下に隣接して固定されている。表示デバイス11(画像形成部)と第2ミラー部材22とは、それらの背面側で接着材や締結具によって裏面壁部72に固定されている。結果的に、第2ミラー部材22は、上端で固定されて、上部カバー部材(本体カバー部材)70に吊持されていることになる。これにより、第2ミラー部材22の下端や左右に視界を妨げるものを配置することを回避しやすくなる。第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23とは、前方カバー部材50の一部として、フレーム80の本体部材81に直接固定されている。第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23は、前方カバー部材50の一部として、一体化されている。
図4は、図2に示す右眼用の前方カバー部材50のうち中央領域ACを示している。前方カバー部材50は、全体で一様な厚みを有し、射出瞳EPの前方側に配置されている。前方カバー部材50には、第1ミラー部材(外側ミラー部材)21の反射面21rと部分反射型ミラー部23の反射面23rとが上下に分離して形成されており、前方カバー部材50は、2面反射部材又は前方カバー反射部材と呼ぶことができる。反射面21rは、第1ミラー部材21の有効領域EA1に対応する領域に形成され、反射面23rは、部分反射型ミラー部23の有効領域EA3に対応する領域に形成されている。第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23とは、これらの間に延びる連結部29を介して連続的に接続されている。連結部29は、後述するグラデーション領域54を含んでいる。
図4及び5に示すように、前方カバー部材50の一部である透過領域51は、シースルー視を確保する観点で、部分反射型ミラー部23を含んでその外側に広がっている。つまり、透過領域51は、部分反射型ミラー部23を一部に有しており、部分反射型ミラー部23の反射面23rの上下左右である周囲に広がっている。透過領域51は、部分反射型ミラー部23を含む観点で虚像又は投影像の形成に寄与し、部分反射型ミラー部23や透過領域51のシースルー視において光透過性を持たせる役割を有する。その意味で、透過領域51の透過率は、可視光線を基準として10%〜90%、実用的には20%〜90%に設定されることが望ましく、通常50%〜80%に設定される。本実施形態の場合、透過領域51において、部分反射型ミラー部23のまわりに外光透視領域55が設けられている。より詳細には、透過領域51のうち、部分反射型ミラー部23を除いた領域は、外光透視領域55となっている。外光透視領域55は、部分反射型ミラー部23の部分透過型又は半透過型の反射面23rを延長した反射面55rを形成したものとなっている。これにより、外光透視領域55と部分反射型ミラー部23との間に透過率が段階的に変化する箇所が形成されることを防止でき、外界側からは、透過領域51が一様な透過率及び反射率を有する部分又は領域として認識される。透過領域51の上側には、遮光領域52が形成されている。遮光領域52は、第1ミラー部材21を一部に有しており、第1ミラー部材21の反射面21rの上下左右である周囲に広がっている。前方カバー部材50は、部分反射型ミラー部23及び外光透視領域55を含む透過領域51と、第1ミラー部材(外側ミラー部材)21を含む遮光領域52とを一体化したものである。本実施形態の場合、遮光領域52のうち第1ミラー部材21を除いた外光遮断領域56は、第1ミラー部材21の全反射型の反射面21rを延長した反射面56rを形成したものとなっている。遮光領域52、つまり第1ミラー部材21や外光遮断領域56は、屈折面による内部全反射ではなく反射膜による全反射型の反射特性を有するものとなっている。
前方カバー部材50において、透過領域51と遮光領域52との間には、帯状のグラデーション領域54が形成されて一体化されている。グラデーション領域54の透過率は、グラデーション領域54の下端において、透過領域51の上端の透過率と等しく、グラデーション領域54の上端において、遮光領域52の下端の透過率と等しくなっている。つまり、遮光領域52から透過領域51にかけて光学的状態が連続的に変化し、結果的に、第1ミラー部材(外側ミラー部材)21から部分反射型ミラー部23にかけて光学的状態が連続的に変化する。グラデーション領域54には、第1ミラー部材21の反射面21rと同様の反射面54rが形成されているが、反射面54rの反射率は、上下方向の位置に応じて徐々に変化する。この結果、透過領域51と遮光領域52とがグラデーション領域54を挟んで配置され、透過領域51から遮光領域52にかけて透過率や反射率が連続的に徐々に変化し、部分反射型ミラー部23から第1ミラー部材(外側ミラー部材)21にかけて、反射率や透過率が連続的に徐々に変化する。このように透過領域51と遮光領域52との間に帯状のグラデーション領域54を設けることで、外界側からは、前方カバー部材50が下側で透過率が高く上側で透過率が低いだけでなく上下の境界がぼかされた一体的な部材として認識される。
透過領域51やグラデーション領域54は、外界光OLを少なくとも部分的に通過させるので、観察者USは、外界のシースルー視が可能になる。透過領域51やグラデーション領域54は、巨視的に一様な厚みを有し、透過光に対して光学的パワーを実質的に有しない。より詳細には、部分反射型ミラー部23、外光透視領域55、及びグラデーション領域54は、透過光に対して光学的パワーを実質的に有しない。見方を変えれば、第1ミラー部材21の有効領域EA1かつ部分反射型ミラー部23の有効領域EA3外にある連結部29、つまり、部分反射型ミラー部23及び第1ミラー部材(外側ミラー部材)21間に延びる連結部29は、透過光に対して光学的パワーを実質的に有しない。このように、透過領域51やグラデーション領域54が透過光に対して光学的パワーを実質的に有しないことにより、透過領域51やグラデーション領域54越し、例えば部分反射型ミラー部23、連結部29、及びグラデーション領域54越しに観察される外界像の歪みを抑えることができる。
具体的な作製例では、グラデーション領域54のY方向の幅を例えば2mm程度以上で例えば5mmとし、外光透視領域55の反射率が約50%で第1ミラー部材21の反射率が約100%である場合、グラデーション領域54の下端又は−Y端側の反射率を約50%としてグラデーション領域54の上端又は+Y端側の反射率を約100%として、その間を一様な変化率で変化させた。なお、外光透視領域55の反射率は、分反射型ミラー部23の反射率と一致させることができるが、分反射型ミラー部23の反射率と相違させることもできる。
図3に示すように、前方カバー部材50のグラデーション領域54は、シースルー視を確保する観点で、水平方向に対応する中心軸HXより上方15°以上の位置まで広がっている。つまり、射出瞳EPの中央からYZ面に平行な斜め上方であって、中心軸HXに対する角度β1が15°の方向に向けて延びる仮想的な第1基準線UL1を考えて、この第1基準線UL1に達するまで前方カバー部材50のグラデーション領域54が形成されている。
以上では、YZ断面で配置関係を説明しているが、近似的にはX方向にも同様の関係が成り立っていることが望ましい。具体的には、射出瞳EPの中央から斜め上方に向けて第1基準線UL1及びX軸に平行に延びる仮想的な第1基準面UP1を考えて、この第1基準面UP1よりも下側において前方カバー部材50のグラデーション領域54が配置されていることが望ましい。
上記第1基準線UL1については、水平方向を基準とするのではなく、画面中心の方向又は射出側光軸AXoを基準とすることができる。つまり、この場合、第1基準線UL1は、画面中心に対応する射出側光軸AXoに対する角度α1が25°となっており、グラデーション領域54は、射出瞳EPを基準として画面中心より上方25°に対応する第1基準線UL1以上の位置まで広がっている。以上の関係は、近似的にはX方向にも成り立っていることが望ましく、グラデーション領域54は、射出瞳EPを基準として画面中心より上方25°に対応する第1基準面UP1以上の位置まで広がっている。
グラデーション領域54に限らず、透過領域51の上端が中心軸HXに対して角度β1=15°の方向に向けて延びる仮想的な第1基準線UL1又は第1基準面UP1以上の位置まで広がっていることがシースルー視野を広げる観点で望ましい。
なお、第1基準線UL1又は第1基準面UP1の角度β1は、25°以上であることがシースルー視野確保の観点で望ましい。同様に、角度α1は、35°以上であることがシースルー視野確保の観点で望ましい。
グラデーション領域54は、射出瞳EPを基準として、水平方向から上方55°の位置、又は画面中心より上方65°の位置を上限として広がっていれば足る。これは、人の視界の上限が、水平視の上側に55°程度以下となっており、水平視の上側に45°以上離れている物体は気にならないことによる。
以上の実施形態では、画面中心に対応する射出側光軸AXoは、水平方向の中心軸HXに対して10°下向きに設定されている。これは、人間の視線が水平方向より下側に約10°傾いた若干の伏し目状態で安定するからである。なお、射出瞳EPに対して水平方向の中心軸HXは、虚像表示装置100を装着した観察者USが直立姿勢でリラックスして正面に向いて水平方向又は水平線を注視した場合を想定したものとなっている。虚像表示装置100を装着する個々の観察者USの眼の配置、耳の配置等を含む頭部の形状や姿勢は、様々であるが、観察者USの平均的な頭部形状又は頭部姿勢を想定することで、着目する虚像表示装置100について、平均的な中心軸HXを設定することができ、これを典型定又は代表的な中心軸HXとして、角度β1に対応する第1基準線UL1や第1基準面UP1を決定することができる。
透過領域51やグラデーション領域54の形状や配置は、虚像表示装置100の仕様等に応じて適宜変更できる。例えば、透過領域51は、部分反射型ミラー部23の上側に広がる必要はなく、この場合、部分反射型ミラー部23の上端からグラデーション領域54を形成することができる。また、透過領域51のうち、部分反射型ミラー部23の左右や下側に広がる外光透視領域55も図示のものに限らず、例えば部分反射型ミラー部23の左方、右方、及び下方において遮光領域(不図示)を設け、この遮光領域と部分反射型ミラー部23との間にグラデーション領域を設けることができる。この場合、前方カバー部材50において、透過領域51は、部分反射型ミラー部23のみからなり、その周囲にグラデーション領域が形成された状態となり、さらにその外側を囲むように遮光領域が形成された状態となる。
前方カバー部材50の透過領域51の透過性は、画面中心に対応する射出側光軸AXoに対して下側に40°又は50°まで確保すれば足る。つまり、透過領域51が画面中心に対応する射出側光軸AXoよりも下側に40°以上広がる場合、射出側光軸AXoよりも下側において安定視野に対応する40°より所定だけ大きな誘導視野に対応する50°を超える領域では、透過性を確保しなくてもよい。なお、透過領域51は、10°下向きの射出側光軸AXoに対して下側又は−Y側に65°程度の広がりを有するものである場合、眼球の動きにも対応できより好ましい。透過領域51は、射出側光軸AXoが水平方向に延びるものである場合、誘導視野に対応する射出側光軸AXoに対して下側に40°程度の広がりを有することが好ましく、視野を広げる観点からは射出側光軸AXoに対して下側に75°程度の広がりを有することがより好ましいことになる。
透過領域51は、射出側光軸AXoの左右横側又は±X側に安定視野に対応する±50°程度の広がりを有することが望ましい。透過領域51は、射出側光軸AXoの左右横側又は±X側に±100°程度の広がりを有するものである場合、眼球の動きにも対応できより好ましい。なお、斜め方向の視野は、縦及び横の中間的広がりがあることが望ましく、一般的には、透過領域51として、横長の楕円状の領域をカバーするようなものであることが望ましいと言える。
グラデーション領域54は、第2ミラー部材22の下端位置よりも上方に広がっている(図3,5参照)。さらに、グラデーション領域54や透過領域51は、射出瞳EPを基準として内側ミラー部材である第2ミラー部材22の下縁を投影する線UL4によって規定される境界線BL4より下側に形成されている。これにより、グラデーション領域54までの上側視界を広くしつつ、第2ミラー部材22によってグラデーション領域54や透過領域51の視界が遮られることを回避できる。
前方カバー部材50を正面方向から観察することを仮定した場合において、第2ミラー部材21のX方向の横幅は、第1ミラー部材21のX方向の横幅よりも広い(図2、5参照)。これは、第2ミラー部材21の周辺で中間像IIが形成されるが、画角が横方向に広いことに関連している。また、第1ミラー部材21と第2ミラー部材22とは、水平方向に関して部分的に重畳するように配置されており(図3,5参照)、前方カバー部材50を正面方向から観察することを仮定した場合、第2ミラー部材22の上端が第1ミラー部材21の下端の背後に配置されている状態となる。
図3を参照して、表示デバイス11は、画像形成部であり、投射光学系12よりも観察者USの頭部寄りに対応する上寄り又は+Y寄りに配置されている。表示デバイス(画像形成部)11は、例えば有機EL(有機エレクトロルミネッセンス、Organic Electro-Luminescence)、無機EL、LEDアレイ、レーザーアレイ、量子ドット発光型素子等に代表される自発光型の表示素子であり、2次元の表示面11aにカラーの静止画又は動画を形成する。表示デバイス11は、不図示の駆動制御回路に駆動されて表示動作を行う。表示デバイス11として有機ELのディスプレイを用いる場合、有機EL制御部を備える構成とする。表示デバイス11として量子ドットディスプレイを用いる場合、青色発光ダイオード(LED)の光を量子ドットフィルムに通すことにより、緑や赤の色を出す構成とする。表示デバイス11は、自発光型の表示素子に限らず、LCDその他の光変調素子で構成され、当該光変調素子をバックライトのような光源によって照明することによって画像を形成するものであってもよい。表示デバイス11として、LCDに代えて、LCOS(Liquid crystal on silicon, LCoS は登録商標)や、デジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。
図6に示すように、表示デバイス11の表示面11aに形成される表示像DAは、仮想的な格子の歪みから分かるように台形歪を持たせた修正画像となっている。後述するように、投射光学系12が偏芯光学系であることから、台形歪のようなディスト―ションを取りきることは容易でない。よって、投射光学系12にディスト―ションが残存していても、表示面11aに形成する表示像DAに予め歪を持たせておくことで、投射光学系12を経て射出瞳EPの位置で観察される虚像の投影像IGの画素配列を格子パターンとすることができ輪郭を矩形とすることができる。これにより、観察者USはディスト―ションの少ない投影像IGを観察することができ、投射光学系12におけるその他の収差の補正が容易になる。表示面11aに形成する表示像(修正画像)DAは、画像処理によって強制的なディスト―ションを形成したものとできる。表示面11aが矩形である場合、強制的なディスト―ションを形成することで余白が形成されるが、このような余白に付加情報を表示させることもできる。表示面11aに形成する表示像(修正画像)DAは、画像処理によって強制的なディスト―ションを形成したものに限らず、例えば表示面11aに形成された表示画素の配列を強制的なディスト―ションに対応するものしてもよい。この場合、ディスト―ションを補正する画像処理は不要となる。さらに、表示面11aに収差を補正する湾曲を持たせることもできる。
図3に戻って、投射光学系12は、非共軸光学系又は偏芯光学系である。投射光学系12の偏芯方向は、第1ミラー部材21、第2ミラー部材22等の配置によって規定される。具体的には、第1ミラー部材21、第2ミラー部材22、及び部分反射型ミラー部23は、偏芯方向をYZ面内に設定したものとなっている。つまり、第1ミラー部材21、第2ミラー部材22、及び部分反射型ミラー部23を通過する光軸AXは、観察者の一対の瞳EYが並ぶ横方向つまりX方向に対して交差して略縦方向に延びる平面に沿って配置され、より具体的にはX方向に対して直交して縦方向に延びるYZ平面に沿って配置される。光軸AXを縦のYZ平面に沿って配置することで、横方向の画角を広くし易くなる。光軸AXを含む面がZ軸の周りに時計方向又は反時計方向(つまり左右)に数10°程度傾いても、略縦方向に延びていれば、画角への影響はあまり大きくならない。また、第1ミラー部材21は、第2ミラー部材22よりも観察者USの頭部寄りに対応する上又は+Y寄りに配置され、第2ミラー部材22は、部分反射型ミラー部23よりも観察者USの頭部寄りに対応する上又は+Y寄りに配置されている。ここで、上又は+Y寄りとは、各ミラー部材21,22,23と光軸AXとの交点又は接点を基準として考える。
第1ミラー部材21は、凹の表面ミラーとして機能する板状の部品であり、表示デバイス11からの画像光GLを反射する。第1ミラー部材21は、薄板状の基材21bの一方の表面21s上、具体的には射出瞳EP側の表面21s上にミラー膜21cを形成した構造を有する表面反射型の光学素子である(図7参照)。ミラー膜21cの表面は、薄い保護層21hで被覆されている。第1ミラー部材21の反射面21rは、例えば自由曲面であり、基材21bの表面21sに対応する形状を有する。反射面21rは、自由曲面に限らず、非球面とすることもできる。反射面21rは、全反射型のミラー膜21cが形成された第1反射領域R1(図1参照)に相当し、YZ面内にある偏芯方向(紙面の略上下方向)に関して光軸AXを挟んで非対称性を有し、YZ面に直交する横方向又はX方向(紙面の法線方向)に関して光軸AXを挟んで対称性を有する。第1ミラー部材21の基材21bは、例えば樹脂で形成されるが、ガラス製とすることもできる。ミラー膜21cは、例えばAl、Ag等の金属の単層膜L11又は多層膜L12で形成されるが、誘電体多層膜L13とすることもできる。ミラー膜21cは、蒸着等の手法を含む積層によって形成できるが、シート状の反射膜を貼り付けることによっても形成できる。保護層21hは、例えばシリコン系ハードコート材料や酸化シリコンで形成された膜L15とできるが、増反射機能や反射防止機能を付加した誘電体多層膜L16とすることもできる。
第2ミラー部材22は、凸の表面ミラーとして機能する板状の部品であり、第1ミラー部材21からの画像光GLを反射する。第2ミラー部材22は、薄板状の基材22bの一方の表面22s上にミラー膜22cを形成した構造を有する表面反射型の光学素子である(図8参照)。ミラー膜22cの表面は、薄い保護層22hで被覆されている。第2ミラー部材22の反射面22rは、例えば自由曲面であり、基材22bの表面22sに対応する形状を有する。反射面22rは、自由曲面に限らず、非球面とすることもできる。反射面22rは、YZ面内にある偏芯方向(紙面の略上下方向)に関して光軸AXを挟んで非対称性を有し、YZ面に直交する横方向又はX方向(紙面の法線方向)に関して光軸AXを挟んで対称性を有する。第2ミラー部材22の基材22bは、例えば樹脂で形成されるが、ガラス製とすることもできる。ミラー膜22cは、例えばAl、Ag等の金属の単層膜L21又は多層膜L22で形成されるが、誘電体多層膜L23とすることもできる。ミラー膜22cは、蒸着等の手法を含む積層によって形成できるが、シート状の反射膜を貼り付けることによっても形成できる。保護層22hは、例えばシリコン系ハードコート材料や酸化シリコンで形成された膜L25とできるが、増反射機能や反射防止機能を付加した誘電体多層膜L26とすることもできる。
部分反射型ミラー部23は、凹の表面ミラーとして機能する板状の部品であり、第2ミラー部材22からの画像光GLを反射する。部分反射型ミラー部23は、瞳EYが配置される射出瞳EPの位置を覆うとともに射出瞳EPの位置に向かって凹形状を有する。透過型ミラー部23と第1ミラー部材21とは、上下方向に関して離間して配置されている。部分反射型ミラー部23は、薄板状の基材23bの一方の表面23s上、具体的には射出瞳EP側の表面23s上にミラー膜23cを形成した構造を有する表面反射型の光学素子である(図9参照)。ミラー膜23cの表面は、薄い保護層23hで被覆されている。部分反射型ミラー部23の反射面23rは、例えば自由曲面であり、基材23bの表面23sに対応する形状を有する。反射面23rは、自由曲面に限らず、非球面とすることもできる。反射面23rは、部分透過型のミラー膜23cが形成された第2反射領域R2(図1参照)に相当し、YZ面内にある偏芯方向(紙面の略上下方向)に関して光軸AXを挟んで非対称性を有し、YZ面に直交する横方向又はX方向(紙面の法線方向)に関して光軸AXを挟んで対称性を有する。
部分反射型ミラー部23は、反射に際して一部の光を透過させる透過型の反射素子であり、部分反射型ミラー部23のミラー膜23cは、半透過性を有する。これにより、外界光OLが部分反射型ミラー部23を通過するので、外界のシースルー視が可能になり、外界像に虚像を重ねることができる。この際、基材23bが数mm程度以下に薄ければ、光学的パワーを実質的に有しない状態となり、外界像の倍率変化を小さく抑えることができる。ミラー膜23cの画像光GLや外界光OLに対する反射率は、画像光GLの輝度確保や、シースルーによる外界像の観察を容易にする観点で、想定される画像光GLの入射角範囲において10%以上50%以下とする。部分反射型ミラー部23の基材23bは、例えば樹脂で形成されるが、ガラス製とすることもできる。ミラー膜23cは、例えばAl、Ag等の金属の単層膜L31又は多層膜L32で形成されるが、誘電体多層膜L33とすることもできる。ミラー膜23cは、蒸着等の手法を含む積層によって形成できるが、シート状の反射膜を貼り付けることによっても形成できる。保護層23hは、例えばシリコン系ハードコート材料や酸化シリコンで形成された膜L35とできるが、増反射機能や反射防止機能を付加した誘電体多層膜L36とすることもできる。基材23bの他方の表面23tについては、ハードコート層L30を介して反射防止膜L34を形成することができる。
以上において、第1ミラー部材21の反射面21r、第2ミラー部材22の反射面22r、及び部分反射型ミラー部23の反射面23rを自由曲面又は非球面とすることで、収差低減を図ることができ、特に自由曲面を用いた場合、非共軸光学系又は偏芯光学系である投射光学系12の収差を低減することが容易になる。なお、自由曲面は回転対称軸をもたない面であり、自由曲面の面関数としては、各種多項式を用いることができる。また、非球面は、回転対称軸をもつ面であるが、放物面や多項式で表される球面以外の面である。
なお、部分反射型ミラー部23を囲む外側の外光透視領域55は、図9に示す部分反射型ミラー部23の断面構造と同じ断面構造を有している。つまり、図9に示すミラー膜23cによって表面反射型の反射面55rが形成される。
図10に示すように、グラデーション領域54は、上下方向に透過率が変化する領域であり、薄板状の基材54bの一方の表面54s上にミラー膜54cを形成した構造を有しする。ミラー膜54cの表面は、反射面54rであり、薄い保護層54hで被覆されている。ミラー膜54cは、部分反射型ミラー部23のミラー膜23cと同様の構造を有するが、例えば膜厚が上から下に向かって薄くなっており、反射率や率透過率に勾配を持たせている。ミラー膜54cは、例えばAl、Ag等の金属の単層膜L51又は多層膜L52で形成されるが、誘電体多層膜L53とすることもできる。保護層54hは、例えばシリコン系ハードコート材料や酸化シリコンで形成された膜L55とできるが、増反射機能や反射防止機能を付加した誘電体多層膜L56とすることもできる。基材54bの他方の表面54tについては、ハードコート層L50を介して反射防止膜L54を形成することができる。ミラー膜54cを金属の膜L51,L52とする場合、蒸着等に際してマスクのエッジをぼかすことで、膜厚に勾配を持たせることができる。ミラー膜54cを誘電体多層膜L56とする場合、誘電体多層膜L56を構成する屈折層の厚みや屈折率を調整して反射率に勾配を持たせることができる。
以上において、第1ミラー部材21の母材である基材21bと、部分反射型ミラー部23の母材である基材23bと、グラデーション領域54の母材である基材54bとは、共通の材料から一体成形されたものとできるが、これらを個別に成形して接着材によって一体化することもできる。基材21b,23b,54bは、これらを一体成形する場合、例えばポリカーボネイトで形成されるが、これに限るものではない。第1ミラー部材21の反射面21rと、部分反射型ミラー部23の反射面23rとは、自由曲面とすることにより、共通の光学面とすることができる。外光透視領域55の反射面55rやグラデーション領域54の反射面54rは、反射面21r,23rをシームレスに延長した面であり、自由曲面の一部とすることができるが、屈曲面が形成されないような連続性を持たせた固有の面とすることもできる。
第2ミラー部材22と射出瞳EPの位置とのZ方向の距離と、部分反射型ミラー部23と射出瞳EPの位置とのZ方向の距離とは、14mm以上に設定されており、メガネレンズを配置する空間が確保されている。
第2ミラー部材22と部分反射型ミラー部23との間には中間像IIが形成されている。中間像IIは、表示デバイス11の表示面11aに形成された画像を適宜拡大したものとなっている。
図11は、第1ミラー部材21の断面構造の変形例を説明する図であり、図12は、グラデーション領域54の断面構造の変形例を説明する図である。この場合、第1ミラー部材21やグラデーション領域54は、ミラー膜21c,54cの下地としてミラー膜23cを形成した構造を有する。つまり、第1ミラー部材21に相当する第1反射領域R1内から部分反射型ミラー部23に相当する第2反射領域R2の外縁にかけて、基材21b,23b上に形成された部分透過型のミラー膜32c上に全反射型のミラー膜21cが積層されている。下地のミラー膜23cは、部分反射型ミラー部23と共通するものであり、部分反射型ミラー部23の形成に際して一括して形成されたものである。このように、ミラー膜23c上にミラー膜21c,54cを形成することで、グラデーション領域54の透過領域51とのつなぎ目、又はグラデーション領域54の遮光領域52とのつなぎ目で、透過率や反射率を連続的に変化させることが容易になり、つなぎ目を目立たせないことが容易になる。以上は例示であり、下地のミラー膜23cは、グラデーション領域54までとして、第1ミラー部材21に下地のミラー膜23cを設けない構造とすることもできる。
図13は、部分反射型ミラー部23の周囲の外光透視領域55の断面構造の変形例を説明する図である。この場合、外光透視領域55は、薄板状の基材155bの一方の表面155s上に減光層155cを形成した構造を有する。基材155bは、部分反射型ミラー部23の基材23bと共通する部分となる。減光層155cは、例えばNDフィルターL41等とすることができる。減光層155cをNDフィルターL41とする場合、吸光性の樹脂膜を表面155s上に塗布することができ、吸光性の無機物質を表面155s上に蒸着することもできる。基材155bは、基材23bとの2色成形によって形成することができ、この場合、基材155bのバルク透過率を基材23bのバルク透過率よりも自在に低くすることができる。減光層155cの表面上には反射防止膜を含む保護層155hを形成することができ、基材155bの他方の表面155tにはハードコート層L40を介して反射防止膜L43を形成することができる。
図14に示すように、外光透視領域55は、減光層を形成していない薄板状の基材155bからなる構造とすることができる。基材155bは、吸光性を有しない材料で形成されるが、吸光性を有する材料で形成されてもよい。なお、基材155bの表面155s,155tにはハードコート層L40を介して反射防止膜L44,L43を形成することができる。
以上で説明した第1ミラー部材21及び部分反射型ミラー部23は、表面反射型の表面ミラーに限られるものではなく、基材21b,23bの裏面にミラー膜21c,23cを形成した内面反射型の内面ミラーとすることができる。
部分反射型ミラー部23の反射防止膜L34、外光透視領域55の反射防止膜L43、グラデーション領域54の反射防止膜L54は、光学性能に直接影響しないので、散乱を生じさせるノングレアタイプとすることもできる。
以上で説明した第1実施形態の虚像表示装置100によれば、第1ミラー部材(外側ミラー部材)21を含む映像光学系112と、映像光学系112から射出された画像光GLを射出瞳EPの位置に向けて反射する部分反射型ミラー部23とを備え、第1ミラー部材(外側ミラー部材)21と部分反射型ミラー部23とが一体化されているので、両者のつなぎ目の影響を低減でき、部分反射型ミラー部23のまわりのうち特に第1ミラー部材(外側ミラー部材)21側において広いシースルー視野を確保することが容易になる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る虚像表示装置について説明する。なお、第2実施形態の虚像表示装置は、第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
以下、第2実施形態に係る虚像表示装置について説明する。なお、第2実施形態の虚像表示装置は、第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
図15及び16に示すように、第2実施形態の虚像表示装置100は、第1実施形態と同様に、投射光学系12として、第1ミラー部材21と、第2ミラー部材22と、部分反射型ミラー部23とを備えるが、表示デバイス(画像形成部)11と第1ミラー部材21との間の光路上に第3ミラー部材24をさらに備える。第2ミラー部材22と第3ミラー部材24とは、上下に並んで配置され、表示デバイス11が第1ミラー部材21の上方に配置されている。
第3ミラー部材24は、凸の表面ミラーとして機能する板状の部品であり、表示デバイス11からの画像光GLを反射して第1ミラー部材21に入射させる。第3ミラー部材24は、第1ミラー部材21と同様の構造を有し、基材24b上にミラー膜24cを形成した構造を有する。ミラー膜24cの表面は、薄い保護層(不図示)で被覆されている。第3ミラー部材24の反射面24rは、例えば自由曲面であり、ミラー膜24cの表面に対応する形状を有する。反射面24rは、自由曲面に限らず、非球面とすることもできる。第3ミラー部材24の基材24bは、例えば樹脂で形成されるが、ガラス製とすることもできる。ミラー膜24cは、例えばAl、Ag等の金属の単層膜又は多層膜で形成されるが、誘電体多層膜とすることもできる。
上部カバー部材(本体カバー部材)70の裏面壁部72には、映像光学系112のうち第3ミラー部材24と第2ミラー部材22とが上下に隣接して固定されている。表示デバイス11は、第1ミラー部材21の上方に隣接してフレーム80の本体部材81に直接固定されている。第1ミラー部材21は、部分反射型ミラー部23とともに前方カバー部材50の一部として、フレーム80の本体部材81に固定されている。第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23とは、前方カバー部材50の一部として、一体化されている。この場合、表示デバイス11、第1ミラー部材21、及び部分反射型ミラー部23が円弧に沿って縦に配列された状態となっている。
第1実施形態の場合と同様に、前方カバー部材50の透過領域51は、部分反射型ミラー部23と、そのまわりに配置される外光透視領域55とを含む。前方カバー部材50の遮光領域52は、第1ミラー部材21と、そのまわりに配置される外光遮断領域56とを含む。つまり、第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23とは、上下に並んで配置されている。透過領域51と遮光領域52との間には、反射率又は透過率が徐々に変化するグラデーション領域54が形成されており、透過領域51から遮光領域52にかけて透過率や反射率が連続的に徐々に変化し、部分反射型ミラー部23から第1ミラー部材(外側ミラー部材)21にかけて、反射率や透過率が連続的に徐々に変化する。
第2ミラー部材22と第3ミラー部材24とは、接続部28aを利用して一体化することができる(図15参照)。この場合、第2ミラー部材22と第3ミラー部材24とを一部品として扱うことができ、精度を維持しつつ組み付けを容易にすることができる。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る虚像表示装置について説明する。なお、第3実施形態の虚像表示装置は、第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
以下、第3実施形態に係る虚像表示装置について説明する。なお、第3実施形態の虚像表示装置は、第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
図17は、第3実施形態に係る虚像表示装置の要部を説明する斜視図であり、図18は、第3実施形態に係る虚像表示装置の光学系を説明する側断面図である。
図17に示すように、表示デバイス(画像形成部)11と、映像光学系112とは、ケース170に収納されている。ケース170は、上部カバー部材70のほかに、一対の側壁部77と保護部材78とを備え、前方カバー部材50のうち第1ミラー部材21及びそのまわりの部分と協働して収納空間SPを形成している。上部カバー部材70は、遮光性の材料で形成され、上側壁部71と裏面壁部72とを有し、裏面壁部72によって表示デバイス11と第2ミラー部材22とを支持している。側壁部77は、遮光性の材料で形成された板状の部材であり、上辺及び側辺において接着材や粘着材によって上部カバー部材70に接合されている。上部カバー部材70と側壁部77とによってカバー部材170aを構成している。保護部材78は、画像光GLを減衰させないで通過させる光透過性を有する材料で形成され、カバー部材170aを下方から塞ぐ。保護部材78は、一対の側辺において側壁部77に固定され、後辺において上部カバー部材70の裏面壁部72側に固定されている。保護部材78の前辺部78aは、前方カバー部材50のうち第1ミラー部材(外側ミラー部材)21と部分反射型ミラー部23とを繋ぐ連結部29に接合されている。結果的に、表示デバイス11と、第1ミラー部材21と、第2ミラー部材22とが収納空間SP中に密閉状態で収納され、防塵、防露、光学面への接触防止等の役割を果たす。
図18に示すように、保護部材78は、一様な厚みを有し、前方カバー部材50の遮光領域52の下端側であって、第1ミラー部材21と部分反射型ミラー部23とを繋ぐ連結部29において横方向に延びる接合箇所PJに接着材等を利用して接合されている。保護部材78は、画像光GLへの作用を一様にするため、均一な厚み及び透過率を有するとともに、平行平板状に平坦に延びる。つまり、保護部材78は、光学的なパワーを有しないものとなっている。
図19を参照して、保護部材78の断面構造について説明する。保護部材78は、90%以上の透過率を有する材料で形成された、薄板状の基材78bで形成される。基材78bの表面78s,78tにはハードコート層L60を介して反射防止膜L64,L63を形成することができる。
以上では、保護部材78の接合箇所PJを遮光領域52の下端としたが、保護部材78の接合箇所PJをグラデーション領域54としてもよい。
ケース170の収納空間SPは、密閉されたものに限らず、一部において外部と連通する気道を設けることもできる。なお、表示デバイス11を支持する裏面壁部72については放熱機構を設けることもできる。
〔変形例その他〕
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
前方カバー部材50の外周部については、透過率を低下させたり、遮光したりすることができる。
以上では説明を省略したが、ミラー膜21c,22c,23c,24c,54cの下地としてハードコート層を形成することもでき、ミラー膜21c,22c,23c,24c,54cの表面にハードコート層を形成することもできる。ミラー膜の表面にハードコート層を形成する場合、ハードコート層上に反射防止膜を形成することもできる。
上記実施形態の虚像表示装置100では、表示デバイス11として有機EL素子等の自発光型の表示素子を用いているが、これに代えて、レーザー光源とポリゴンミラー等であるスキャナーとを組みあわせたレーザスキャナーを用いた構成も可能である。
第2ミラー部材22については、反射面22rに対して屈折面を複合した屈折反射光学部材とすることができる。この場合、屈折面を自由曲面等とすることができ、投射光学系12の性能向上により寄与する。第3ミラー部材24も、屈折反射光学部材とすることができる。
部分反射型ミラー部23の外界側には、部分反射型ミラー部23の透過光を制限することで調光を行う調光デバイスを取り付けることができる。調光デバイスは、例えば電動で透過率を調整する。調光デバイスとして、ミラー液晶、電子シェード等を用いることができる。調光デバイスは、外光照度に応じて透過率を調整するものであってもよい。調光デバイスによって外界光OLを遮断する場合、外界像の作用を受けていない虚像のみを観察できる。
また、本願発明の虚像表示装置は、虚像表示装置と撮像装置とで構成されるいわゆるビデオシースルーの製品に対応させたりするものとしてもよい。
部分反射型ミラー部23のミラー膜23cについては、一般的半透過性を有するものに限らず、ワイヤーグリッド素子のように特定偏光成分を反射するようなものであってもよい。部分反射型ミラー部23のミラー膜23cについては、体積ホログラムやその他のホログラム素子で構成することもでき、回折格子で構成することもできる。
以上では、虚像表示装置100が頭部に装着されて使用されることを前提としたが、上記虚像表示装置100は、頭部に装着せず双眼鏡のようにのぞき込むハンドヘルドディスプレイとしても用いることができる。つまり、本発明において、ヘッドマウントディスプレイには、ハンドヘルドディスプレイも含まれる。
11…表示デバイス、11a…表示面、12…投射光学系、21…第1ミラー部材、22…第2ミラー部材、21b,22b,23b,24c,54b…基材、21c,22c,23c,24c,54c…ミラー膜、21r,22r,23r,24r,54r,55r,56r…反射面、155s,21s,22s,23s,54s…表面、21h,22h,23h,54h…保護層、23…部分反射型ミラー部、24…第3ミラー部材、25…レンズ、29…連結部、50…前方カバー部材、51…透過領域、52…遮光領域、54…グラデーション領域、55…外光透視領域、56…外光遮断領域、70…上部カバー部材、71…上側壁部、72…裏面壁部、77…側壁部、78…保護部材、78b…基材、78s,78t…表面、80…フレーム、100…虚像表示装置、112…映像光学系、170…ケース、170a…カバー部材、200…虚像表示装置、AX…光軸、DA…表示像、EA1,EA3…有効領域、EP…射出瞳、EY…瞳、GL…画像光、IG…投影像、OL…外界光、PJ…接合箇所、SP…収納空間、US…観察者
Claims (25)
- 画像形成部と、
外側ミラー部材を含み、前記画像形成部からの画像光が入射する映像光学系と、
前記映像光学系から射出された画像光を射出瞳の位置に向けて反射する部分反射型ミラー部とを備え、
前記外側ミラー部材と前記部分反射型ミラー部とが一体化されている、虚像表示装置。 - 前記外側ミラー部材から前記部分反射型ミラー部にかけて光学的状態が連続的に変化する、請求項1に記載の虚像表示装置。
- 前記部分反射型ミラー部から前記外側ミラー部材にかけて、反射率が徐々に変化する、請求項2に記載の虚像表示装置。
- 前記部分反射型ミラー部と、前記部分反射型ミラー部及び前記外側ミラー部材間の連結部とは、透過光に対して光学的パワーを実質的に有しない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記部分反射型ミラー部のまわりに外光透視領域を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記外光透視領域は、水平方向から上方15°以上の位置に配置される、請求項5に記載の虚像表示装置。
- 前記外光透視領域は、水平方向から上方55°以上の位置を上限として広がる、請求項5及び6のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記外側ミラー部材を含む遮光領域と、前記部分反射型ミラー部及び前記外光透視領域を含む透過領域とを一体化した前方カバー部材を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記前方カバー部材は、前記遮光領域と前記透過領域との間に反射率が徐々に変化するグラデーション領域を有する、請求項8に記載の虚像表示装置。
- 前記透過領域の可視光の透過率は、50%〜90%である、請求項8及び9のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記外側ミラー部材は、全反射型の反射膜を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記外側ミラー部材と前記部分反射型ミラー部とは、板状の基材に形成された第1反射領域及び第2反射領域にそれぞれ対応する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記第1反射領域において、前記基材上に全反射型のミラー膜が形成され、前記第2反射領域において、前記基材上に部分透過型のミラー膜が形成される、請求項12に記載の虚像表示装置。
- 前記部分透過型のミラー膜と前記全反射型のミラー膜とは、前記基材の射出瞳側の表面に形成され、
前記第1反射領域内から前記第2反射領域の外縁にかけて、前記基材上の前記部分透過型のミラー膜上に前記全反射型のミラー膜が積層されている、請求項13に記載の虚像表示装置。 - 前記外側ミラー部材と前記部分反射型ミラー部とは、有効領域外の連結部を介して接続されている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記映像光学系は、前記画像形成部からの画像光を反射する前記外側ミラー部材としての第1ミラー部材と、前記第1ミラー部材で反射された画像光を反射する第2ミラー部材とを含み、
前記第1ミラー部材と前記部分反射型ミラー部とが上下に並んで一体化され、
前記画像形成部と前記第2ミラー部材とが上下に配置されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の虚像表示装置。 - 前記第1ミラー部材と前記第2ミラー部材とが水平方向に関して異なる位置に部分的に重畳するように配置され、前記第1ミラー部材と前記部分反射型ミラー部とが共通の基材を用いて形成されている、請求項16に記載の虚像表示装置。
- 前記前方カバー部材は、前記部分反射型ミラー部から前記第1ミラー部材にかけて、反射率が徐々に変化するグラデーション領域を有し、前記グラデーション領域は、前記第2ミラー部材の下端位置よりも上方に広がっている、請求項16及び17のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記第2ミラー部材は、上端で固定されて、本体カバー部材に吊持されている、請求項16〜18のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記第2ミラー部材の横幅は、前記第1ミラー部材の横幅よりも広い、請求項16〜19のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記映像光学系は、前記画像形成部からの画像光を反射する第3ミラー部材と、前記第3ミラー部材で反射された画像光を反射する前記外側ミラー部材としての第1ミラー部材と、前記第1ミラー部材で反射された画像光を反射する第2ミラー部材とを含み、
前記第1ミラー部材と前記部分反射型ミラー部とが上下に並んで一体化され、
前記第2ミラー部材と前記第3ミラー部材とが上下に配置され、
前記画像形成部が前記第1ミラー部材の上方に配置されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の虚像表示装置。 - 前記画像形成部と前記映像光学系とを覆う本体カバー部材を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 光透過性を有する材料で形成され、前記外側ミラー部材と前記部分反射型ミラー部とを繋ぐ連結部から延び、前記本体カバー部材を塞ぐ保護部材をさらに備える、請求項22に記載の虚像表示装置。
- 前記部分反射型ミラー部の反射面は、前記射出瞳の位置を覆うとともに前記射出瞳の位置に向かって凹形状を有する非球面又は自由曲面である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
- 前記画像形成部は、前記第1ミラー部材、前記第2ミラー部材、及び前記第3ミラー部材による歪曲収差を補正する歪んだ修正画像を表示する、請求項1〜24のいずれか一項に記載の虚像表示装置。
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