JP2020032464A - 鋳片の内部欠陥低減方法及び鋳片製造設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトな設備で、かつ、生産性を低下させることなく、鋳片の内部欠陥を低減することが可能な鋳片の内部欠陥低減方法を提供する。【解決手段】連続鋳造機から連続して送り出される鋳片を連続鋳造機の機内または下流側で幅圧下した後、幅圧下された鋳片を水平圧延する、鋳片の内部欠陥低減方法が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、連続鋳造機にて鋳造された鋳片の内部欠陥低減方法及び鋳片製造設備に関する。
鋳片には、凝固タイミングの不均一などにより空隙や偏析が発生する。鋳片に空隙や偏析が残存すると、最終製品の品質を損ねるという課題がある。このような内質欠陥(空隙等)を改善するためには、鋳片に圧下を加えることが有効であることが知られている(例えば、特許文献1)。
内部欠陥は、最終凝固部に密集しやすい。最終凝固部は、鋳片の板厚中心近傍にあるが、スラブのように厚さに対して幅の広い鋳片においては、その幅方向位置は、幅中央部よりもむしろ幅端部近傍に発生しやすい。そこで、鋳片の幅端部近傍での改善効果を高めるための手法として、例えば特許文献2には、極厚鋼板を対象として、鋳片幅方向の両端部を150mm以上の幅圧下により幅端部を増肉させた上でプレスにより水平圧下を加える方法が開示されている。
特開昭62−33048号公報 特開平10−263614号公報
しかし、上記特許文献2に記載の技術では、水平圧延をプレス機により行っているが、極厚鋼板を対象としているため、例えば6000トン級の巨大な装置が必要となる。それゆえ、巨大な装置による間欠型の操業となるため、生産性が低下する。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、コンパクトな設備で、かつ、生産性を低下させることなく、鋳片の内部欠陥を低減することが可能な、新規かつ改良された鋳片の内部欠陥低減方法及び鋳片製造設備を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、連続鋳造機から連続して送り出される鋳片を連続鋳造機の機内または下流側で幅圧下した後、幅圧下された鋳片を水平圧延する、鋳片の内部欠陥低減方法が提供される。
ここで、横断面における鋳片の凝固状態が完全凝固状態となった後に、鋳片の幅圧下及び水平圧延を行ってもよい。
また、連続鋳造機による鋳造速度、鋳型の冷却温度、電磁攪拌装置による鋳型内溶鋼の電磁攪拌条件、二次冷却装置による冷却条件のうち少なくとも1つを制御することにより、鋳片の幅方向における最終凝固点の幅方向位置を鋳片の幅端部近傍に位置させてもよい。ここで、鋳片の最終凝固点の幅方向位置とは、鋳片の最終凝固点の幅方向分布において、鋳型内の溶鋼湯面から最も遠くなる点の幅方向位置のことを指す。
ここで、鋳片の板厚をH、板幅をWとしたとき、鋳片の最終凝固点の幅方向位置は、鋳片の幅端部から0.5H〜0.25Wの範囲としてもよく、または、鋳片の幅端部から0.5H〜2.0Hの範囲としてもよい。
また、幅圧下された鋳片の横断面中心部の温度が鋳片の表面の温度よりも高い状態で、幅圧下された鋳片を水平圧延してもよい。
幅圧下による鋳片の幅圧下量は、5mm以上としてもよい。
また、水平圧延では、鋳片の厚さが少なくとも幅圧下する前の鋳片の厚さとなるように、鋳片を圧下するようにしてもよい。
さらに、鋳片を幅圧下する前、または、鋳片を水平圧延した後に、鋳片を水平圧延してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、連続鋳造機の機内または下流側に、連続鋳造機から連続して送り出される鋳片を幅圧下する幅圧下装置と、幅圧下装置の圧延方向下流側に設けられ、鋳片を水平圧延する水平圧延装置と、を備える、鋳片製造設備が提供される。
鋳片製造設備は、幅圧下装置に対して圧延方向上流側、または、水平圧延装置に対して圧延方向下流側に、鋳片を水平圧延する第2の水平圧延装置を備えてもよい。
以上説明したように本発明によれば、コンパクトな設備で、かつ、生産性を低下させることなく、鋳片の内部欠陥を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法を実施するための連続鋳造設備の一構成例を示す説明図である。 図1の連続鋳造設備において、連続鋳造の直後で鋳片を幅圧下する幅圧下装置及び鋳片を水平圧延する水平圧延装置を示す平面図である。 同実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法を実施するための連続鋳造設備の他の一構成例を示す説明図である。 連続鋳造後、幅圧下後、及び、水平圧延後の鋳片の横断面形状を示す模式図である。 幅圧下量ΔEと超音波探傷試験結果との一例を示す説明図である。 幅圧下量ΔEと超音波探傷試験結果との他の一例を示す説明図である。 水平圧延後の板厚hと超音波探傷試験結果との一例を示す説明図である。 水平圧延後の板厚hと超音波探傷試験結果との他の一例を示す説明図である。 幅圧下装置の上流側に第2の水平圧延装置を配置した連続鋳造設備の一構成例を示す説明図である。 水平圧延装置の下流側に第2の水平圧延装置を配置した連続鋳造設備の一構成例を示す説明図である。 図1に示した連続鋳造設備を用いて鋳片を幅圧下後、水平圧延した後の鋳片の横断面の内質改善効果について数値解析した結果を示すグラフであって、幅端部からの幅方向位置を鋳片厚で無次元化して表した場合の結果である。 図1に示した連続鋳造設備を用いて鋳片を幅圧下後、水平圧延した後の鋳片の横断面の内質改善効果について数値解析した結果を示すグラフであって、幅端部からの幅方向位置を鋳片幅で無次元化して表した場合の結果である。 連続鋳造設備の二次冷却装置の一構成例を示す説明図である。 スプレーノズルの配置の一例を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.設備構成>
本発明の各実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法を説明するにあたり、まず、図1〜図3に基づいて、当該鋳片の内部欠陥低減方法を実施するための設備構成について説明する。図1は、本実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法を実施するための連続鋳造設備の一構成例を示す説明図である。図2は、図1の連続鋳造設備に設置される幅圧下装置130及び水平圧延装置140の一例を示す平面図である。図3は、本実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法を実施するための連続鋳造設備の他の一構成例を示す説明図である。
本実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法は、連続鋳造直後の鋳片を幅圧下した後、水平圧延を行うものである。鋳片の幅中央ではなく幅端部近傍に内質欠陥が多く発生する鋳片に対し、表面側に比べて内部の温度が高い状態で幅圧下及び水平圧延を行うことで、鋳片の空隙等の内部欠陥を効果的に低減させる。特に、幅圧下後の水平圧延時に、鋳片の横断面中心部の温度が鋳片の表面の温度よりも高い状態で、幅圧下された鋳片の水平圧延を行うのが効果的である。ここで、厚さに対して幅の広い鋳片であるスラブは、幅端部近傍に内質欠陥が多く発生し、幅と厚さとがほぼ等しいビレットやブルームといった棒線形管向けの鋳片では、内質欠陥はその幅中心部に多く発生する。したがって、本発明に係る方法により内部欠陥を低減させる対象とする鋳片は、スラブ等の厚さに対して幅の広い鋳片となる。
本実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法を実施するための設備としては、例えば図1に示すように幅圧下装置130及び水平圧延装置140が機内に設置された連続鋳造設備100、あるいは、図2に示すような、幅圧下装置220及び水平圧延装置230が設置された熱間圧延薄スラブ連続鋳造設備200等がある。
図1に示す連続鋳造設備100は、連続鋳造用の鋳型115を用いて溶鋼を連続鋳造し、鋳片5を製造するための設備である。図1に示す連続鋳造設備100は、垂直曲げ型の連続鋳造設備であるが、本発明はかかる例に限定されず、湾曲型、垂直型等の連続鋳造設備であってもよい。連続鋳造設備100は、図1に示すように、取鍋111と、タンディッシュ113と、鋳型115と、二次冷却装置120と、幅圧下装置130と、水平圧延装置140と、鋳片切断機150とを備える。
溶鋼を搬送する可動式の容器である取鍋111は、タンディッシュ113の上方から、取鍋111内の溶鋼をタンディッシュ113に供給する。タンディッシュ113に供給された溶鋼は、タンディッシュ113内で溶鋼中の介在物が除去された後、鋳型115内へ連続供給される。鋳型115に供給された溶鋼は、鋳型板との接触部分が冷却され、外殻の凝固シェルの内部に未凝固部を含む鋳片5となる。鋳片5は、鋳型115の下方に移動するにつれて内部の未凝固部の凝固が進行し、外殻の凝固シェルの厚さが徐々に厚くなる。かかる凝固シェルと未凝固部を含む鋳片5は、鋳型115の下端から引き抜かれる。鋳型115から引き抜かれた鋳片5は、二次冷却装置120を支持ロール121によって支持されながら、鋳造方向下流側へ移動される。二次冷却装置120の移動中、鋳片5にはスプレーノズル(図示せず。)によって冷却水が噴射されている。
二次冷却装置120を通過した鋳片5は、幅圧下装置130により板幅方向に圧下された後、水平圧延装置140により水平圧延される。幅圧下装置130は、図2に示すように、鋳片5の板幅方向両端に設けられたエッジャロール131、131からなるエッジャ圧延機であってもよい。しかし、本発明はかかる例に限定されず、幅圧下装置130は、例えばサイジングプレス等のエッジャ圧延機以外の圧延機であってもよい。水平圧延装置140により圧延された鋳片5は、図1に示すように、鋳片切断機150によって所定の長さに切断され、切断された厚板状の鋳片7は、テーブルロールにより次工程の設備に搬送される。
図3に示す熱間圧延薄スラブ連続鋳造設備200は、薄板材を製造するための設備であって、厚さに対して幅の広い鋳片5を連続鋳造から熱間圧延までエンドレスで製造する。熱間圧延薄スラブ連続鋳造設備200は、図3に示すように、薄スラブ連続鋳造機210と、幅圧下装置220と、水平圧延装置230と、粗圧延機240と、仕上圧延機250と、冷却装置260と、巻取機270とを備える。薄スラブ連続鋳造機210は、取鍋211と、タンディッシュ213と、鋳型215と、二次冷却装置217とからなり、図1に示した連続鋳造設備100と同様に構成されている。薄スラブ連続鋳造機210により鋳造された鋳片5は、幅圧下装置220により板幅方向に圧下された後、水平圧延装置230により水平圧延される。幅圧下装置220及び水平圧延装置230は、図1の連続鋳造設備100同等、図2に示したように構成することができる。水平圧延装置230により圧延された鋳片5は、粗圧延機240及び仕上圧延機250を通過して所定の板厚に圧延され、冷却装置260により冷却される。冷却装置260により冷却された鋳片5は、巻取機270によってコイル状に巻き取られる。
図1に示す連続鋳造設備100、図3に示す熱間圧延薄スラブ連続鋳造設備200のいずれにおいても、連続鋳造の直後、すなわち図1の連続鋳造設備100では、二次冷却装置120による冷却を終えた後であって鋳片切断機150によって切断される前、図3の熱間圧延薄スラブ連続鋳造設備200では、薄スラブ連続鋳造機210から送り出された後であって粗圧延機240により粗圧延される前に、鋳片5に対して幅圧下と水平圧延とを行う。連続鋳造の直後において鋳片5に対して幅圧下と水平圧延とを行うことで、鋳片5の内部欠陥が改善される。設備内に幅圧下装置及び水平圧延機を加えるため、コンパクトな設備で鋳片5の内部欠陥を低減させることができる。また、幅圧下装置をエッジャ圧延機とすれば、プレス機を用いた場合のように間欠型の操業ではなく連続型の操業となるため、生産性を低下させることなく、鋳片5の内部欠陥を低減させることができる。
<2.第1の実施形態>
[2−1.メカニズム]
まず、図4に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法により内部欠陥が低減されるメカニズムを説明する。図4は、連続鋳造後、幅圧下後、及び、水平圧延後の鋳片5の横断面形状を示す模式図である。
鋳片の内部に発生する空隙等の内部欠陥は、鋳片の板厚中心近傍の最終凝固部に密集しやすく、厚さに対して幅の広い鋳片では幅方向においては幅中央部よりも幅端部近傍に発生しやすい。鋳片の内部欠陥の改善には、鋳片を圧下することが有効であり、このとき、内部欠陥部分に大きな静水圧を付与した状態で塑性変形させることが効果的である。これより、鋳片の最終凝固部に対し、高い静水圧応力下で大きな塑性変形が生じるような圧延を施すことで、鋳片の内質が改善され、最終製品の品質を向上できる。
そこで、本願発明者は、鋳片において内部欠陥の発生しやすい幅端部近傍に高い静水圧下で大きな塑性変形を付与するために、幅圧下により増肉させた後、水平圧延を行うことが有効と考えた。
ここで、鋳片に対して幅圧下と水平圧延とを実施したとき、鋳片5の横断面形状は、図4に示すように変化する。
図4上側の連続鋳造直後の鋳片の横断面形状は、図1の連続鋳造設備100の二次冷却装置120を通過した後の鋳片5、あるいは、図3の熱間圧延薄スラブ連続鋳造設備200の薄スラブ連続鋳造機210を通過した後の鋳片5の横断面形状である。このとき、鋳片5は、板厚H、板幅Wの略矩形状の横断面形状を有している。鋳片5の領域5aは、空隙等の内部欠陥が発生しやすい板幅端部の領域を示している。
連続鋳造直後の鋳片5を幅圧下装置により幅圧下量ΔEだけ幅圧下すると、鋳片5は、図4中央のような幅端部に増肉が集中する、いわゆるドックボーン形状となる。このとき、空隙等の内部欠陥が発生しやすい領域5aは、鋳片5の厚肉部分に位置する。その後、幅圧下された鋳片5を水平圧延すると、図4下側のように板厚hの略矩形状の鋳片5となる。このとき、幅圧下後の鋳片5の端部側の厚肉部分が幅中央より圧下されるため、領域5aに高い静水圧応力と大きな塑性変形とが効果的に付与され、その結果、鋳片内部の空隙が低減される。このように、連続鋳造直後の鋳片5を幅圧下した後、水平圧延を行うことで、鋳片内部の空隙を低減させることができる。
なお、鋳片の幅圧下及び水平圧延は、鋳片の横断面における凝固状態が完全凝固状態となった後に行ってもよく、未凝固状態で行ってもよい。
[2−2.幅圧下量ΔE]
本実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法において、幅圧下装置により鋳片を幅圧下する幅圧下量ΔEは5mm以上であればよい。幅圧下量ΔEが小さすぎると幅端部の増肉部分と幅中央部との板厚差は小さくなるため、幅圧下後に行う水平圧延で、空隙等の内部欠陥が発生しやすい領域5aに十分な静水圧応力、塑性変形を付与できず、鋳片内部に空隙が残存する。
有効な幅圧下量ΔEの値を調べるため、以下の検証を行った。本検証では、板厚250mm、板幅1600mmに鋳造された一般低炭素鋼の鋳片に対し、連続鋳造機出側にて幅圧下量ΔEだけ幅圧下を行った後に、1パスの水平圧延により厚さ220mmまで圧延した。このようにして得られた鋳片の板幅端部からそれぞれ100〜300mmの範囲に対し、JIS G 0801で規定された超音波探傷試験を実施し、鋳片の内質を評価した。その結果を図5に示す。図5において、○印はJIS G 0801に規定された鋳片の超音波探傷試験において合格の品質レベルを示し、×印は不合格の品質レベルを示す。図5より、幅圧下量ΔEを5mm以上確保すれば、内質の優れた鋳片を得られることがわかった。
また、別の鋼種の鋳片を用いて、同様の検証を行った。ここでは、板厚200mm、板幅1200mmに鋳造された中炭素鋼の鋳片に対し、連続鋳造機出側にてΔEだけ幅圧下を行った後に、1パスの水平圧延により厚さ160mmまで圧延した。このようにして得られた鋳片の板幅端部からそれぞれ100〜300mmの範囲に対し、JIS G 0801で規定された超音波探傷試験を実施し、鋳片の内質を評価した。その結果を図6に示す。図6において、○印はJIS G 0801に規定された鋳片の超音波探傷試験において合格の品質レベルを示し、×印は不合格の品質レベルを示す。図6より、図5の場合と同様、幅圧下量ΔEを5mm以上確保すれば、内質の優れた鋳片を得られることがわかった。
以上より、幅圧下装置により鋳片を幅圧下する幅圧下量ΔEは5mm以上であればよいといえる。なお、幅圧下量ΔEの上限値は、図5及び図6に示すように空隙を低減させるとの観点においては特に制限はないが、幅圧下量ΔEを大きくしすぎると、連続鋳造直後の鋳片は延性が低いため鋳片にワレが発生する可能性がある。本実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法では、例えば5〜10mm程度の幅圧下を行えば十分である。
[2−3.水平圧延での圧下量(水平圧延後の板厚h)]
また、本実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法において、幅圧下装置により幅圧下された鋳片5を水平圧延で水平圧延するが、このとき、水平圧延後の鋳片5の板厚hは、少なくとも幅圧下前の鋳片5の板厚H以下となるようにするのがよい。水平圧延後の鋳片5の板厚hが幅圧下前の鋳片5の板厚Hよりも大きいと、鋳片内部の空隙等の内部欠陥を十分に低減させることができないためである。
有効な水平圧延後の板厚hを調べるため、以下の検証を行った。本検証では、厚さ250mm、幅1600mmに鋳造された一般低炭素鋼の鋳片に対し、連続鋳造出側にて20mmの幅圧下を行った後に、1パスの水平圧延により厚さhまで圧延した。このようにして得られた鋳片の板幅端部からそれぞれ100〜300mmの範囲に対し、JIS G 0801で規定された超音波探傷試験を実施し、鋳片の内質を評価した。その結果を図7に示す。図7において、○印はJIS G 0801に規定された鋳片の超音波探傷試験において合格の品質レベルを示し、×印は不合格の品質レベルを示す。図7より、水平圧延後の板厚hを250mm、つまり、幅圧下前の板厚Hと同等以下とすれば内質の優れた鋳片を得られることがわかる。
また、別の鋼種の鋳片を用いて、同様の検証を行った。ここでは、厚さ220mm、幅1500mmに鋳造された中炭素鋼の鋳片に対し、連続鋳造出側にて20mmの幅圧下を行った後に、1パスの水平圧延により厚さhまで圧延した。このようにして得られた鋳片の板幅端部からそれぞれ100〜300mmの範囲に対し、JIS G 0801で規定された超音波探傷試験を実施し、鋳片の内質を評価した。その結果を図8に示す。図8において、○印はJIS G 0801に規定された鋳片の超音波探傷試験において合格の品質レベルを示し、×印は不合格の品質レベルを示す。図8より、水平圧延後の板厚hを220mm、つまり、幅圧下前の板厚Hと同等以下とすれば、内質の優れた鋳片を得られることがわかる。
[2−4.幅中央部付近の鋳片の内質改善]
本実施形態に係る鋳片の内部欠陥低減方法では、図1あるいは図3に示したように、連続鋳造後の鋳片5を幅圧下した後、水平圧延することで、空隙等の内部欠陥が発生しやすい領域に高い静水圧応力と大きな塑性変形と効果的に付与し、鋳片5の内部欠陥を低減させる。このとき、さらに鋳片5の幅方向中央付近における内質を改善させるため、幅圧下装置に対して圧延方向上流側、または、水平圧延装置に対して圧延方向下流側に、第2の水平圧延装置をさらに設けてもよい。
例えば、第2の水平圧延装置を幅圧下装置の圧延方向上流側に配置することで、鋳片5の幅方向中央付近における内質を改善させることができる。この場合には、さらに、鋳片5の延性を改善し、また、鋳片5の内質を改善するために必要な幅圧下量ΔEを確保することもできる。具体的な設備構成としては、例えば図9に示す連続鋳造設備100Aのように、図1に示した連続鋳造設備100の幅圧下装置130の圧延方向上流側に、第2の水平圧延装置160を設ければよい。図3に示した熱間圧延薄スラブ連続鋳造設備200の場合も同様に、幅圧下装置220の圧延方向上流側に第2の水平圧延装置を設ければよい。
また、第2の水平圧延装置を水平圧延装置の圧延方向下流側に配置することによっても、鋳片5の幅方向中央付近における内質を改善させることができる。この場合、第2の水平圧延装置は、水平圧延装置の直後、すなわち、図1に示した連続鋳造設備100の水平圧延装置140の直後、あるいは、図3に示した熱間圧延薄スラブ連続鋳造設備200の水平圧延装置230と粗圧延機240との間に設置すればよい。なお、熱間圧延薄スラブ連続鋳造設備200の場合には、粗圧延機240による圧延を第2の水平圧延装置による圧延として利用することも可能である。また、第2の水平圧延装置を水平圧延装置の圧延方向下流側に配置する場合には、必ずしも幅圧下装置及び水平圧延装置と同一の設備内に第2の水平圧延装置を配置する必要はない。例えば図10に示すように、図1に示した連続鋳造設備100の後工程の設備、例えば熱間圧延設備300に、第2の水平圧延装置310を設置してもよい。
<3.第2の実施形態>
[3−1.概要]
上記第1の実施形態では、鋳片の圧下による内質改善に関し、鋳片の幅断面における凝固状態が完全凝固状態または未凝固状態であるときに、鋳片を幅圧下してドッグボーン形状に増肉させた上で水平圧延した。これは、内質欠陥が密集しやすい最終凝固点(クレータエンドとも呼ばれる)の幅方向位置が幅中央部よりも幅端部近傍に生じやすいことを踏まえたものである。
一方で、これまでの連続鋳造では、最終凝固点の幅方向均一化を指向することで、内質欠陥の幅端部近傍への密集を抑制、防止しようとしていた。具体的には、連続鋳造機による鋳造速度、鋳型の冷却温度、モールドでの溶鋼の電磁攪拌条件(例えば溶鋼の流動)、または、二次冷却装置による冷却条件を制御することで、最終凝固点の鋳片幅方向分布の形状(すなわち、クレーターエンドの形状)が幅方向に一様となるように指向してきた。しかしながら、鋳片幅方向に均一な最終凝固点を安定的に得ることは難しい。これは、最終凝固点の鋳片幅方向分布の形状は、鋳型に供給される溶鋼の温度、鋳型内の溶鋼の流動挙動に強い影響を受けるが、これらはいずれも、鋳造条件や時間経過に伴って少なからず変化してしまい、このような変化に対応して、電磁撹拌条件、鋳型や二次冷却水による鋳片の冷却条件などを綿密かつ適切に制御することが不可欠なためである。
そこで、本実施形態では、鋳片の最終凝固点をあえて幅方向に不均一とし、鋳片の最終凝固点の幅方向位置を幅端部近傍に位置させる条件で鋳造した上で、連続鋳造機の機内または下流側で幅圧下した後、幅圧下された鋳片を水平圧延する。これは、上記第1の実施形態にて説明したように、鋳片に幅圧下を加えた上で水平圧延すると幅端部近傍で内質向上効果が最大となることを踏まえ、幅端部近傍の最終凝固点が幅中央部近傍の最終凝固点よりも下流側となるようにして、この最終凝固点の幅方向位置近傍に内質欠陥を集中させることにより、鋳片品質をさらに効果的に向上できると考えることによる。また、特に未凝固圧下を行う場合は圧下位置における固相率が所望の値となるように制御することが重要となるが、本実施形態に係る内質欠陥低減方法によれば、未凝固状態での圧下を必須としないことから、最終凝固点の幅方向不均一をある程度は許容できるため、操業の自由度も高まるとの利点もある。
[3−2.最終凝固点の制御]
まず、図11A及び図11Bに基づき、鋳片の最終凝固点の幅方向位置を幅端部近傍に位置させる理由について、説明する。図11A及び図11Bは、鋳片の幅圧下後の水平圧延における内質改善効果の幅方向分布の一例を示すグラフである。図11Aでは幅端部からの幅方向位置を鋳片厚で無次元化して表した場合の結果を示し、図11Bでは幅端部からの幅方向位置を鋳片幅で無次元化して表した場合の結果を示している。図11A及び図11Bでは、鋳片の板厚Hが100mm、板幅Wが1200mmの場合(ケース1)、板厚Hが250mm、板幅Wが1200mmの場合(ケース2)、及び、板厚Hが250mm、板幅Wが2000mmの場合(ケース3)の例を示している。図11A及び図11Bの横軸は、左側の位置0が幅端部を示し、右側に向かうほど幅中央へ向かうことを示している。
図11A及び図11Bの縦軸に示した内質改善効果は、図1に示した連続鋳造設備を用いて幅圧下した後に水平圧延することによって生じた鋳片の変形から数値解析により得られた応力、ひずみ挙動に基づいて算出したものであり、上に向かうほど内質改善効果が高いことを示す。図11A及び図11Bを見ると、ケース1〜3のいずれについても、幅端部と幅中央との間で内質改善効果が極大を示す。そこで、内質改善効果が極大を示している領域近傍に鋳片の内質欠陥を集積させた上で、該鋳片に幅圧下を加えた後、水平圧下することで、該領域の内質を飛躍的に向上させることができる。
ここで、側端面からの冷却により、鋳片の幅端部から0.5Hまでの範囲には、内質欠陥が集積しにくいことが知られている。さらに、高い内質改善効果が得られるのは、図11Aより鋳片の幅端部から2.0Hまでの範囲であり、また、図11Bより鋳片の幅端部から0.25Wまでの範囲である。そこで、鋳片の幅端部から0.5H〜0.25Wの範囲、あるいは、鋳片の幅端部から0.5H〜2.0Hの範囲に内部欠陥を集積させた上で、幅圧下により幅端部を増肉した後に水平圧延することで、鋳片の幅方向全域にわたってさらに良好な内質を得ることができる。これは、鋳片の内質欠陥を上記幅端部近傍に集積させたため、かかる領域以外の領域(例えば、幅中央部付近)においては幅圧下、水平圧延する前の段階で、既に良好な内質を得ることができる。それゆえ、本実施形態に係る補法の適用により、鋳片の幅方向全域にわたって良好な内質を得ることができ、最終製品の品質を向上させることができる。
なお、最終凝固位置の検出は既存の手法を用いればよく、例えば予め鋲打ち込み試験を実施して把握する方法や、超音波等を用いた非接触式の検出方法、凝固伝熱解析から算出する方法等を用いればよい。
鋳片の最終凝固点の幅方向位置が所望の位置となるように制御する方法としては、連続鋳造機による鋳造速度、鋳型の冷却温度や電磁攪拌装置による鋳型内溶鋼の電磁攪拌条件、または、二次冷却装置による冷却条件のうち少なくともいずれか1つを制御することが考えられる。このうち、二次冷却装置による冷却条件制御は、生産性や鋳片の表面品質などに大きな悪影響を及ぼさずに、鋳片の最終凝固点の幅方向位置を制御できるため、好ましい。そこで、本実施形態に係る鋳片の最終凝固点の幅方向位置制御の一例として、図12及び図13に基づいて、二次冷却装置の冷却条件の制御による最終凝固点の幅方向位置の制御方法を説明する。図12は、連続鋳造設備100の二次冷却装置120の一構成例を示す説明図である。図13は、スプレーノズルの配置の一例を示す説明図である。
図12は、図1の連続鋳造設備100の二次冷却装置120をより詳細に示したものである。図12に示すように、二次冷却装置120は、二次冷却帯において鋳片を挟み込むように対向して配置された複数の支持ロール121と、二次冷却帯を通過する鋳片5を冷却する冷却装置(図示せず。)とを有して構成されている。支持ロール121は、鋳片5を鋳片通路に沿った鋳造方向Aに案内するように、鋳片の可動面側(いわゆるL面側)の支持ロール群121aと、固定面側(いわゆるF面側)の支持ロール群121bとにより構成される。
鋳型115の直下から引き出された鋳片5は、湾曲部12Aを通過した後、水平部12Bを通過する。湾曲部12Aの最下流側は、鋳片5の形状を垂直から水平にさせる矯正部12Cとなっており、矯正部12Cを通過する際に、鋳片5は湾曲した形状から水平に矯正される。
二次冷却装置120は、鋳型115の直下から幅圧下装置(図1の幅圧下装置130参照)までの間に設置されている。二次冷却装置120により、鋳片5を冷却する冷却ゾーンa1〜a12が構成される。各冷却ゾーンa1〜a12には、鋳片5の長辺面に向けて二次冷却水を噴霧する複数のスプレーノズルが配置されている。二次冷却装置120を構成する複数のスプレーノズルは、例えば図13に示すように、幅中央側に設置されるスプレーノズル125cと、幅端部側に設置されるスプレーノズル125eとからなる。スプレーノズル125cは、鋳片長辺面の幅中央側に二次冷却水を噴射し、スプレーノズル125eは鋳片長辺面の幅端部側に二次冷却水を噴射する。これらのスプレーノズル125c、125eは、鋳片通路のL面側とF面側の両方に設けられており、鋳片5の両方の長辺面の全体に対して二次冷却水を噴射する。
幅中央側に設置されるスプレーノズル125cの二次冷却水の水量密度X(l/min/m)と、幅端部側に設置されるスプレーノズル125eの二次冷却水の水量密度Y(l/min/m)は、独立して制御可能に構成される。これにより、鋳片5の幅方向の位置における冷却能力を異なって設定することができる。本実施形態では、例えば、ある基準条件に対し、鋳片の最終凝固点をより幅端部側に位置させる場合、少なくとも幅端部側の冷却能力を弱めること、または、幅中央側の冷却能力を強めることのいずれかを行えばよい。したがって、少なくとも、幅端部側に設置されるスプレーノズル125eの二次冷却水の水量密度Yを小さくすること、または、幅中央側に設置されるスプレーノズル125cの二次冷却水の水量密度Xを大きくすることのいずれかを行うように、冷却装置は制御される。
なお、幅端部側に設置されるスプレーノズル125eの設置範囲は、幅端部から距離Lの範囲内であるが、かかる設置範囲は、例えば図11A及び図11Bに示した内質改善効果が最大となる位置に応じて決定すればよい。また、図13では、二次冷却水の水量密度は、幅端部側と幅中央部側とで独立して制御可能としたが、本発明はかかる例に限定されず、幅方向においてより細かく二次冷却水の水量密度を制御可能なように冷却装置を構成してもよい。このように、二次冷却装置120の冷却条件、例えば二次冷却水の水量密度を制御することで、鋳片の最終凝固点の幅方向位置を制御することができる。
また、二次冷却装置120の冷却条件を制御する以外にも、連続鋳造機による鋳造速度を変更したり、鋳型115の冷却温度や電磁攪拌装置117による鋳型内溶鋼の電磁攪拌条件を変更したりすることで、鋳片の最終凝固点の幅方向位置を制御することができる。鋳片の最終凝固点の幅方向位置の制御は、これらの条件のうち少なくともいずれか1つを変更することで行ってもよい。上述したように、二次冷却装置120の冷却条件を制御することが操業上は好ましいが、これだけでは鋳片の最終凝固点の幅方向位置を所望の位置に制御するのが難しいことも考えられる。そこで、複数の条件を変更することで、鋳片の最終凝固点の幅方向位置の制御をより柔軟に行うことができる。
二次冷却装置120による冷却後の鋳片5の処理は、第1の実施形態と同様、幅圧下後、水平圧延を行えばよい。このため、本実施形態では詳細な説明を省略する。
[A.連続鋳造直後の鋳片の幅圧下及び水平圧延]
まず、連続鋳造直後の鋳片に対して、幅圧下及び水平圧延を行うことによる効果を検証した。本検証では、板厚250mm、板幅1600mmに鋳造された一般低炭素鋼の鋳片に対し、実施例1として連続鋳造機(CC)出側にて30mmの幅圧下を行った後に、1パスの水平圧延により厚さ220mmまで圧延した上で熱間圧延を行い、板厚50mmの厚鋼板を製造した。
比較例1として、実施例1と同様の一般低炭素鋼の鋳片に対して幅圧下を行わなかった(すなわち、厚さ220mmまでの1パスの水平圧延のみを実施した)上で熱間圧延を行い、板厚50mmの厚鋼板を製造した。また、比較例2として、実施例1と同様の一般低炭素鋼の鋳片に対して30mmの幅圧下及び1パスの水平圧延による厚さ220mmまでの圧延を、連続鋳造直後ではなく、熱間圧延ラインでの再加熱後に行い、板厚50mmの厚鋼板を製造した。
製造されたこれらの厚鋼板について、鋼板長手方向のミドル部において幅端部から100〜200mmの領域、かつ、板厚中心±10mmの領域から試片を切り出し、顕微鏡にて空隙(ポロシティ)の大きさと個数を観察して調べた。その結果を表1に示す。
実施例1では、鋼板内部に空隙は確認されず、幅圧下とこれに続く水平圧延を連続鋳造機(CC)出側にて行うことで、内部欠陥が低減された鋼板が得られた。これは、幅圧下により幅端部を増厚した上で水平圧延を行ったこと、また、鋳片の横断面における温度分布が、鋳片の中心部が鋳片の表面側(すなわち、板厚方向及び板幅方向の端部側)よりも高い温度分布となっている連続鋳造機(CC)出側にて鋳片に圧下を加えたことによる。鋳片の中心部が鋳片の表面側よりも高い温度分布を有しているとき、鋳片の中心部は、鋳片の表面部よりも変形抵抗が低くなるような分布を有している。したがって、このような鋳片に対して幅圧下及び水平圧延を行うことで、鋳片に存在した内部欠陥の発生領域に高い静水圧応力と大きな塑性変形とを付与することができ、内質の良好な鋳片を熱間圧延に供することができたと考えられる。
これに対し、水平圧延のみ実施した比較例1では、鋳片の幅端部が増厚されていない状態で水平圧延を行うため、鋳片の厚み中心かつ幅端部近傍に十分な静水圧応力ならびに塑性変形を付与できず空隙が残存した。また、比較例2では、鋳片(被圧延材)を加熱炉で再加熱した後に幅圧下及び水平圧延を行っているので、熱間圧延において被圧延材の中心部が被圧延材の表面側よりも低い温度分布となる。このため、熱間圧延における幅圧下とこれに続く水平圧延では被圧延材の中心部に十分な静水圧応力を付与できず、空隙が残存した。
[B.第2の水平圧延装置の設置]
次に、鋳片の幅中央部付近の内質も向上させるために設置する第2の水平圧延装置による効果について検証した。
本検証では、板厚250mm、板幅1600mmに鋳造された一般低炭素鋼の鋳片に対し、実施例2として、連続鋳造機(CC)出側にて20mmの幅圧下を行った後に、1パス目の水平圧延により厚さ220mmまで圧延した上で熱間圧延を行い、板厚100mmの厚鋼板を製造した。
また、実施例3として、実施例2と同様の一般低炭素鋼の鋳片に対して連続鋳造出側にて20mmの幅圧下を行った後に、1パス目の水平圧延により厚さ220mmまで圧延し、さらに第2の水平圧延装置による2パス目の水平圧延により厚さ180mmまで圧延した上で、熱間圧延を行い、板厚100mmの厚鋼板を製造した。
さらに、実施例4として、実施例2と同様の一般低炭素鋼の鋳片に対して連続鋳造出側にて水平圧延により厚さ220mmまで圧延した後に20mmの幅圧下を行い、さらに第2の水平圧延装置による水平圧延により厚さ180mmまで圧延した上で、熱間圧延を行い、板厚100mmの厚鋼板を製造した。
一方、比較例3として、幅圧下を行わずに,1パス目の水平圧延により厚さ220mmまで,2パス目の水平圧延により厚さ180mmまで圧延した上で、熱間圧延を行い、板厚100mmの厚鋼板を製造した。
製造されたこれらの厚鋼板について、鋼板長手方向のミドル部において幅端部から100〜200mmの領域、かつ、板厚中心±10mmの領域から試片を切り出し、顕微鏡にて空隙(ポロシティ)の大きさと個数を観察して調べた。その結果を表2に示す。表2において、空隙(ポロシティ)の大きさ及び個数は、板幅中央から±400mmの範囲におけるものと、両幅端部からそれぞれ400mmの範囲におけるものとに分けて示した。
表2より、比較例3に対し、本発明の実施例2〜4のいずれでも内質の優れた鋼板を得られることがわかる。特に、連続鋳造直後での幅圧下及び水平圧延の実施に加え、さらに水平圧延を1パス以上追加した実施例3及び4では、比較例2よりも空隙の数が減少し、内質のより優れた鋼板を得られることがわかる。本検証で用いた鋳片のように鋳片厚に対して製造厚が厚いものは内部欠陥が存在しやすいが、連続鋳造機(CC)出側にて幅圧下を行った後、2パスの水平圧延を行う、あるいは、連続鋳造機(CC)出側にて水平圧延を実施した後、幅圧下を行い、その後さらに1パスの水平圧延を行うことで、内質の良好な鋳片を熱間圧延に提供することができたためと考えられる。
[C.最終凝固点の幅方向位置の制御]
次に、鋳片の最終凝固点の幅方向位置を幅端部側に位置させる効果について検証した。
本検証では、連続鋳造機にて板厚250mm、板幅1600mmに鋳造された一般低炭素鋼の鋳片に対し、連続鋳造機出側にて30mmの幅圧下を行った後に、1パス目の水平圧延により厚さ220mmまで圧延した上で熱間圧延を行い、板厚(H)100mmの厚鋼板を製造した。
本検証では、図12及び図13に示した連続鋳造機内の二次冷却帯において、鋳片の幅方向の二次冷却水の水量密度を複数変化させて、鋳片を鋳造した。すなわち、鋳片の幅方向の二次冷却水の水量密度を変化させ、複数の最終凝固点の鋳片幅方向分布の形状(すなわち、クレーターエンドの形状)を有する鋳片を得た。なお、最終凝固点の鋳片幅方向分布の形状は凝固伝熱解析により求めた。
製造されたこれらの厚鋼板の内質を評価するために、鋼板長手方向のミドル部において、板厚中心±10mmの領域から試片を切り出し、顕微鏡において空隙(ポロシティ)の大きさと個数を観察して調べた。最終凝固点の鋳片幅方向位置と空隙(ポロシティ)の大きさ及び個数との関係を表3に示す。
表3より、良好な内質を有する厚鋼板が得られたのは、最終凝固点の鋳片幅方向位置が鋳片幅端部から125mm〜500mmの範囲、つまり、0.5H〜2.0Hの範囲に位置した場合であった。これは、幅圧下による鋳片の幅端部の増肉により、その後の水平圧延においてより高い静水圧応力下で大きな塑性変形が生じる鋳片幅端から0.5H〜2.0Hの範囲に最終凝固位点の幅方向置が位置するように制御することで、当該領域に内部欠陥を集積させた状態で水平圧下が行われ、内質が効果的に改善したためと考えられる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、以上の説明では本発明を垂直曲げ型の連続鋳造機に適用した例を説明したが、これに限らず、本発明はロール群を垂直に配置した垂直型の連続鋳造機や湾曲型の連続鋳造機などにも適用できる。また、本発明は、スラブに限らずブルームなど鋳片の鋳造にも適用できる。
5 鋳片
5a 内部欠陥が発生しやすい板幅端部の領域
7 鋳片(切断後)
111、211 取鍋
113、213 タンディッシュ
117 電磁攪拌装置
115、215 鋳型
120、217 二次冷却装置
121 支持ロール
125c、125e スプレーノズル
130、220 幅圧下装置
131 エッジャロール
140、230 水平圧延装置
150 鋳片切断機
160、310 第2の水平圧延装置
210 薄スラブ連続鋳造機
240 粗圧延機
250 仕上圧延機
260 冷却装置
270 巻取機

Claims (11)

  1. 連続鋳造機から連続して送り出される鋳片を前記連続鋳造機の機内または下流側で幅圧下した後、前記幅圧下された前記鋳片を水平圧延する、鋳片の内部欠陥低減方法。
  2. 横断面における前記鋳片の凝固状態が完全凝固状態となった後に、前記鋳片の幅圧下及び水平圧延を行う、請求項1に記載の鋳片の内部欠陥低減方法。
  3. 前記連続鋳造機による鋳造速度、鋳型の冷却温度、電磁攪拌装置による鋳型内溶鋼の電磁攪拌条件、二次冷却装置による冷却条件のうち少なくとも1つを制御することにより、前記鋳片の幅方向における最終凝固点の幅方向位置を前記鋳片の幅端部近傍に位置させる、請求項1または2に記載の鋳片の内部欠陥低減方法。
  4. 前記鋳片の板厚をH、板幅をWとしたとき、前記鋳片の最終凝固点の幅方向位置は、前記鋳片の幅端部から0.5H〜0.25Wの範囲である、請求項3に記載の鋳片の内部欠陥低減方法。
  5. 前記鋳片の板厚をH、板幅をWとしたとき、前記鋳片の最終凝固点の幅方向位置は、前記鋳片の幅端部から0.5H〜2.0Hの範囲である、請求項3に記載の鋳片の内部欠陥低減方法。
  6. 前記幅圧下された前記鋳片の横断面中心部の温度が前記鋳片の表面の温度よりも高い状態で、前記幅圧下された前記鋳片を水平圧延する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋳片の内部欠陥低減方法。
  7. 前記幅圧下による前記鋳片の幅圧下量は、5mm以上とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋳片の内部欠陥低減方法。
  8. 前記水平圧延では、前記鋳片の厚さが少なくとも前記幅圧下する前の前記鋳片の厚さとなるように、前記鋳片を圧下する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋳片の内部欠陥低減方法。
  9. 前記鋳片を幅圧下する前、または、前記鋳片を水平圧延した後に、前記鋳片を水平圧延する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の鋳片の内部欠陥低減方法。
  10. 連続鋳造機の機内または下流側に、
    前記連続鋳造機から連続して送り出される鋳片を幅圧下する幅圧下装置と、
    前記幅圧下装置の圧延方向下流側に設けられ、前記鋳片を水平圧延する水平圧延装置と、
    を備える、鋳片製造設備。
  11. 前記幅圧下装置に対して圧延方向上流側、または、前記水平圧延装置に対して圧延方向下流側に、前記鋳片を水平圧延する第2の水平圧延装置を備える、請求項10に記載の鋳片製造設備。
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