JP2020028846A - 塗液含浸強化繊維シートおよびシート状一体物の製造方法、塗工装置 - Google Patents

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祥和 河野
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惇一 青木
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Abstract

【課題】強化繊維シートに塗液を付与した塗液含浸強化繊維シートの製造方法に関して、走行速度が速い場合でも発生した毛羽が詰まることなく連続走行が可能で、かつ強化繊維シートに塗液を効率よく含浸させることが可能な、塗液含浸強化繊維シートの製造方法および塗工装置の提供。【解決手段】塗布部20は互いに連通された液溜り部と狭窄部、および液溜り部の内部に設けられ、液溜り部の壁面に支持されたブロックを備え、液溜り部は強化繊維シート1aの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部の上面よりも小さい断面積を有し、液溜り部下部の幅Lに対して、強化繊維シート幅方向におけるブロックの幅Pが0.05L以上であり、狭窄部上端位置を0、液溜り壁面上端位置をKとしたときに、液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート走行方向におけるブロックの長さが0.05K以上である。【選択図】図1a

Description

本発明は、塗液含浸強化繊維シートおよびシート状一体物の製造方法、塗工装置に関し、特に、強化繊維シートに塗液を均一に含浸する方法、および装置に関する。
熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含むマトリックス樹脂を強化繊維で補強した繊維強化複合材料(FRP)は、航空・宇宙用材料、自動車材料、産業用材料、圧力容器、建築材料、筐体、医療用途、スポーツ用途など様々な分野で用いられている。特に高い力学特性と軽量性が必要な場合には、炭素繊維強化複合材料(CFRP)が幅広く好適に用いられている。一方、力学特性や軽量性よりもコストが優先される場合にはガラス繊維強化複合材料(GFRP)が用いられる場合がある。FRPは強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸し中間基材を得、これを積層、成形し、さらに熱硬化樹脂を用いた場合には熱硬化させて、FRPからなる部材を製造している。前記用途では平面状物やそれを折り曲げた形態のものが多く、FRPの中間基材としても1次元のストランドやロービング状物よりも、2次元のシート状物の方が部材を作製する際の積層効率や成形性の観点から幅広く使用されている。
また、最近、FRPからなる部材の生産効率を向上させるため、シート状中間基材の積層の機械化・自動化が推進されており、ここでは細幅テープ状中間基材が好適に使用されている。細幅テープ状中間基材は広幅シート状中間基材を所望の幅でスライスしたり、細幅の強化繊維シートに直接マトリックス樹脂を含浸させて得ることができる。
2次元のシート状中間基材としては、強化繊維シートにマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグが幅広く使用されている。プリプレグに用いる強化繊維シートとしては、強化繊維を一方向に配列させシート状としたUD基材や多方向に配列させた織物である強化繊維ファブリックがある。特に力学特性が優先される場合にはUD基材が使用される場合が多い。一方、複雑形状のFRPを作製する場合には賦形性に優れ形状追従性のある織物が使用される場合が多い。
プリプレグの製造方法の一つであるホットメルト法は、マトリックス樹脂を溶融した後、離型紙上にコーティングし、これを強化繊維シートの上面、下面でサンドイッチした積層構造を作製後、熱と圧力でマトリックス樹脂を強化繊維シート内部に含浸するものである。本方法は工程数が多く、また生産速度も上げられず、高コストとなる問題があった。
含浸の効率化としては、例えば特許文献1のような提案があった。これはガラス繊維を溶融紡糸し、それを集束してストランドやロービング状としたものを熱可塑性樹脂を満たした円錐状の流路を有する液溜り部に通過させる方法であった。
他方、シート状物の両面に同時に塗膜形成する方法が特許文献2に記載されているが、これは塗膜形成時のシート状物の揺らぎを防止するため、ウエブガイドにシート状物を通し、その後、パイプ型ドクターで塗工するものである。
熱可塑性樹脂を用いた帯状プリプレグの製造方法として、帯状強化繊維束を水平方向(横方向)に搬送し、ダイに通過させ、帯状強化繊維束に熱可塑性樹脂を付与・含浸する横型引き抜き方式(特許文献3、特許文献4など)が知られている。特許文献3には、テープ状強化繊維をクロスヘッド(特許文献3の図2)に通し、クロスヘッド内の直線状のダイ部直前で樹脂がテープ状強化繊維束に付与される。特許文献4には、複数の帯状強化繊維束を別々に溶融熱可塑樹脂が満たされたダイ内へ導入し、固定ガイド(例えばスクイーズバー)により、開繊、含浸、積層し、最終的に1枚のシート状プリプレグとしてダイから引き抜くことが記載されている。
また、特許文献5には、強化繊維束を熱可塑性樹脂を満たしたマニホールドを通し、ダイから引き抜くプルトルージョン法においてダイを超音波で振動させ、含浸性を高めることが記載されている。
国際公開WO2001/028951パンフレット 特許第3252278号明細書 特開平6−31821号公報 国際公開WO2012/002417パンフレット 特開平1−178412号公報
しかしながら、特許文献1の方法ではストランドやロービング状物しか製造できず、本発明の対象とするシート状プリプレグの製造には適用できない。また、特許文献1では含浸効率を向上させるため、ストランドやロービング状強化繊維束側面に熱可塑性樹脂の流体を当て円錐状流路内で乱流を積極的に発生させている。これは強化繊維束の配列を一部乱してマトリックス樹脂を流入させることを意図していると考えられるが、この思想を強化繊維シートに適用すると、強化繊維の配列が乱れ、プリプレグの品位が低下するばかりか、FRPの力学特性が低下してしまうと考えられる。
また、特許文献2におけるシート状物は、フィルム、布、紙、箔、パンチングプレート、網状シート材などであり、本発明の対象である強化繊維シートは意図されていない。仮に、炭素繊維からなる強化繊維シートに特許文献2の技術を適用した場合には、ウエブガイドでの擦過により毛羽が発生し、強化繊維シートが走行困難になると考えられる。また、特許文献2の技術は樹脂の塗工であり、含浸は意図されていない。
特許文献3の技術では、クロスヘッド内のダイ部の前部は樹脂が無い状態でテープ状強化繊維がスリット状のガイダーチップを通過するため、毛羽が詰まり易く、また毛羽を除去する機能も無いため、長時間連続走行させることは困難と考えられる。特に毛羽が発生し易い炭素繊維ではこの傾向が顕著になると考えられる。
また、特許文献4の方法では連続生産時に液溜り部に毛羽が滞留し易く、引き抜き部で毛羽が詰まり易い。特に、帯状強化繊維束を高速で連続走行させると、毛羽が詰まる頻度が非常に高まるため、非常に遅い速度でしか生産ができず、生産性が上がらない問題点があった。また、横型引き抜き方式の場合、ダイ部は液漏れ防止のため密閉する必要があり、連続生産中に毛羽を回収することも十分ではない。さらに、横型引き抜き方式においては、強化繊維シートの内部に塗液が含浸する際、強化繊維シートの内部に残留していた気泡は、浮力により強化繊維シートの走行方向と直交する方向に排出されるため、含浸してくる塗液を押しのけるようにして気泡の排出が進む。そのため、気泡の移動が液によって阻害される上に、塗液の含浸も気泡によって阻害されるため、含浸効率が悪いという問題点があった。なお、特許文献4では気泡をベントから排気することも提案されているが、ダイ出口付近のみであり、その効果は限定的と考えられる。
特許文献5の技術でも、樹脂が塗布される前に織物は細い通路を通るため毛羽が発生し易く、また、それが間にホールド、ダイに持ち込まれるためダイで毛羽が詰まり易く、強化繊維シートの長時間走行性には限界があると考えられる。
このように、UD基材や強化繊維ファブリックなど強化繊維シートへの効率的な塗液付与方法および製造方法は未だ確立されていなかった。
本発明の課題は、塗液含浸強化繊維シートの製造方法に関して、毛羽発生を抑制し、かつ毛羽が詰まることなく連続生産が可能であり、さらに強化繊維シートに塗液を効率よく含浸させ、生産速度の高速化が可能であり、さらに得られた塗液含浸強化繊維シートの折れなどが抑制され目付量が均一な、塗液含浸強化繊維シートの製造方法および塗工装置を提供することにある。
前記の課題を解決する本発明の塗液含浸強化繊維シートの製造方法は、塗液が貯留された塗布部の内部に、強化繊維シートを、実質的に鉛直方向下向きに通過させて塗液を強化繊維シートに付与する塗液含浸強化繊維シートの製造方法であって、前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部、および液溜り部の内部に設けられ、液溜り部の壁面に支持されたブロックを備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、液溜り部下部の幅Lに対して、強化繊維シート幅方向におけるブロックの幅Pが0.05L以上であり、液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート走行方向におけるブロックの長さが0.05K以上であることを特徴とする、塗液含浸強化繊維シートの製造方法である。
また、本発明の塗工装置は、強化繊維シートに塗液を付与する塗工装置であって、強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、塗布機構を有し、前記塗布機構はその内部に塗液を貯留可能であり、さらに互いに連通された液溜り部と狭窄部、および液溜り部の内部に設けられ、液溜り部の壁面に支持されたブロックを備えており、前記液溜り部は、強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部は、スリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、液溜り部下部の幅Lに対して、強化繊維シート幅方向におけるブロックの幅Pが0.05L以上であり、液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート走行方向におけるブロックの長さが0.05K以上であることを特徴とする。
本発明の塗液含浸強化繊維シートの製造方法によれば、毛羽による詰まりを大幅に抑制、防止できる。さらに、強化繊維シートを連続かつ高速で走行させることが可能となり、塗液を付与した強化繊維シートの生産性が向上する。さらに得られた塗液含浸強化繊維シートの折れなどの抑制により目付の均一な、強化繊維シートを得ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る塗液含浸強化繊維シートの製造方法および塗工装置を示す概略横断面図である。 図1aとは別の本発明の一実施形態に係る塗液含浸強化繊維シートの製造方法および塗工装置を示す概略横断面図である。 図1における塗布部20の部分を拡大した詳細横断面図である。 図2における塗布部20の、ブロック50を設置していない時の循環流の模式図である。 図2における塗布部20の、ブロック50を設置している時の循環流の模式図である。 ブロック50の設置位置説明図である。 図4とは別のブロック50の設置位置説明図である。 図4とは別のブロック50の設置位置説明図である。 図2における塗布部20を、図2のAの方向から見た下面図である。 図2における塗布部20を、図2のBの方向から見た場合の塗布部内部の構造を説明する断面図である。 図8aにおける隙間26での塗液2の流れを表す断面図である。 幅規制機構の設置例を示す図である。 図2とは別の実施形態の塗布部20bの詳細横断面図である。 図10とは別の実施形態の塗布部20cの詳細横断面図である。 図10とは別の実施形態の塗布部20dの詳細横断面図である。 図10とは別の実施形態の塗布部20eの詳細横断面図である。 本発明とは異なる実施形態の塗布部30の詳細横断面図である。 本発明の実施形態の一例である液溜まり部内にバーを具備した態様を示す図である。 本発明を用いたプリプレグ製造工程・装置の例を示す概略図である。 本発明を用いたプリプレグ製造工程・装置の例を示す概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いたプリプレグ製造工程・装置の例を示す概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いたプリプレグ製造工程・装置の例を示す概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いたプリプレグ製造工程・装置の例を示す概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の例の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の概略図である。 本発明を用いた別のプリプレグ製造工程・装置の概略図である。
本発明の望ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は発明の実施形態を例示するものであり、本発明はこれに限定して解釈されるものではなく、本発明の目的・効果を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
<塗液含浸強化繊維シートの製造方法および塗工装置の概略>
まず、図1aにより本発明の塗液含浸強化繊維シートの製造方法の概略を述べる。図1aは本発明の一実施形態に係る強化繊維シートとして一方向に配列したUD基材を用いた時の塗液含浸強化繊維シートの製造方法および装置を示す概略断面図である。塗工装置100には、強化繊維シート1aを実質的に鉛直方向下向きZに走行させる走行機構である搬送ロール13と、搬送ロール14の間に設けられ、塗布機構である塗液2が溜められた塗布部20が具備されている。また、塗工装置100の前後には、強化繊維1を巻き出す複数のクリール11aと、巻き出された強化繊維1を一方向に配列しUD基材とした強化繊維シート1a(図1aでは紙面奥行き方向に配列)を得る配列装置12aと塗液含浸強化繊維シート1bの巻取り装置15を備えることができ、また、図示していないが塗工装置100には塗液の供給装置が具備されている。さらに、必要に応じ、離型シート3を供給する離型シート供給装置16を備えることもできる。また、強化繊維シートとして強化繊維ファブリックを用いる場合、図1bのとおり、11bに強化繊維ファブリックを巻き出す巻出し装置と、強化繊維ファブリックを引き出すニップロール12bを備えることで図1aと同様に製造することができる。
<強化繊維シート>
ここで、強化繊維1としては、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、金属酸化物繊維、金属窒化物繊維、有機繊維(アラミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維など)などを例示することができるが、炭素繊維を用いることが、FRPの力学特性、軽量性の観点から好ましい。
本発明で用いられる強化繊維シートとしては一方向に配列したUD基材や織物としての強化繊維ファブリックがあげられる。
強化繊維シートとしての一方向に配列したUD基材とは、複数本の強化繊維を一方向に面上で配列させたものを言い、必ずしも該複数の強化繊維は相互に絡み合う等して一体化している必要は無い。すなわち、本発明の製造方法によれば、塗液の塗布後には塗液が含浸されたシート状物として得られることから強化繊維が配列された状態として便宜上強化繊維シートと称している。ここで、強化繊維シートは厚み、幅には特に制限は無く、目的、用途に応じ適宜選択することができる。炭素繊維の場合には、通常、1,000本〜1,000,000本程度の単繊維がテープ状に集合したものを「トウ」と呼んでおり、このトウを配列させて強化繊維シートを得ることができるが、トウが厚み方向に積層されていても良い。なお、強化繊維シートは、その幅/厚みで定義されるアスペクト比は10以上であると、取り扱い易く好ましい。なお、本発明では、テープ状の「トウ」1本も強化繊維シートの一形態と解される。
また、強化繊維シートを形成する方法は公知の方法を用いることができ、特に制限は無いが、単繊維をあらかじめ配列させた強化繊維束を形成し、この強化繊維束を更に配列させて強化繊維シートを形成させることが、工程効率化、配列均一化の観点から好ましい。例えば炭素繊維では、前記したようにテープ状の強化繊維束である「トウ」がボビンに巻かれているが、ここから引き出されたテープ状の強化繊維束を配列させてUD基材としての強化繊維シートを得ることができる。また、クリールにかけられたボビンから引き出された強化繊維束を整然と並べ、強化繊維シート中で強化繊維束の望ましくない重なりや折りたたみ、強化繊維束間の隙間を無くするための強化繊維配列機構を有することが好ましい。強化繊維配列機構としては公知のローラーやくし型配列装置などを用いることができる。また、予め配列した強化繊維シートを複数枚重ねることも強化繊維間の隙間を減じる観点から有用である。なお、クリールには強化繊維を引き出す際に張力制御機構が付与されていることが好ましい。張力制御機構としては、公知のものを使用可能であるが、ブレーキ機構などが挙げられる。また、糸道ガイドの調整などによっても張力を制御することができる。
また、本発明の強化繊維シートとしての強化繊維ファブリックとは、強化繊維を多軸で配列させる、またはランダム配置してシート化したものである。具体的には、織物や編物などの他、強化繊維を2次元で多軸配置したものや、不織布やマット、紙など強化繊維をランダム配向させたものを挙げることができる。この場合、強化繊維はバインダー付与、交絡、溶着、融着などの方法を利用してシート化することもできる。織物としては、平織、ツイル、サテンの基本織組織の他、ノンクリンプ織物やバイアス構造、絡み織、多軸織物、多重織物などを用いることができる。バイアス構造とUD基材を組み合わせた織物は、UD構造により塗布・含浸工程での引っ張りでの織物の変形を抑制するだけでなく、バイアス構造による擬似等方性も併せ持っており、好ましい形態である。また、多重織物では織物上面/下面、また織物内部の構造・特性をそれぞれ設計できる利点がある。編物では塗布・含浸工程での形態安定性を考慮すると経編が好ましいが、筒状編み物であるブレードを用いることもできる。
強化繊維ファブリックの厚みは、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限は無く、必要とされるFRP性能と塗布工程の安定性を勘案して決めればよい。狭窄部の通過性を考慮すると、1mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以下である。
強化繊維ファブリックは目的に応じた適切なものを市場から入手、作製可能であるが、その一例を下記する。織物としては、例えば、東レ(株)製“トレカ(登録商標)”クロスのC06142、C06347B、C05642等、HEXCEL社製“HexForce(登録商標)”Fabricsや“PrimeTex(登録商標)”の84、G0801、XAGP282P、43195、G0939、G0803、43364、XSGP196P、SGP203CS、XC1400、48200、48287、46150、“Injetex(登録商標)”FabricsのGB201、G0986、G0926等、炭素繊維とガラス繊維のハイブリッド織物であるG1088、G0874、G0973、43743等、アラミド繊維織物である20796、21263、Quartz織物である610、593等、が挙げられる。不織布・マット・紙としては、例えば、東レ(株)製“トレカ(登録商標)”マットB030、B050、BV03等やオリベスト社製“カーボライト(登録商標)”のCEO−030、CBP−030、ZX−020等が挙げられる。
<強化繊維シートの平滑化>
本発明においては、強化繊維シートの表面平滑性を高くすることで、塗布部での塗布量の均一性を向上させることができる。このため、強化繊維シートを平滑化処理した後、液溜り部に導くことが好ましい。平滑化処理法は特に制限は無いが、対向ロールなどで物理的に押しつける方法や空気流を用いて強化繊維を動かす方法などを例示できる。物理的に押しつける方法は簡便かつ、強化繊維の配列を乱しにくいため好ましい。より具体的にはカレンダー加工などを用いることができる。空気流を用いる方法は擦過が起こりにくいだけでなく、強化繊維シートを拡幅する効果もあり好ましい。
<強化繊維シートの拡幅>
また、本発明において、強化繊維シートを拡幅処理した後、液溜り部に導くことも、薄いプリプレグを効率的に製造できる観点から好ましい。拡幅処理方法は特に制限は無いが、機械的に振動を付与する方法、空気流により強化繊維を拡げる方法などを例示できる。機械的に振動を付与する方法としては、例えば特開2015−22799号公報記載のように、振動するロールに強化繊維シートを接触させる方法がある。振動方向としては、強化繊維シートの進行方向をX軸とすると、Y軸方向(水平方向)、Z軸方向(垂直方向)の振動を与えることが好ましく、水平方向振動ロールと垂直方向振動ロールを組み合わせて用いることも好ましい。また振動ロール表面は複数の突起を設けておくと、ロールでの強化繊維の擦過を抑制でき、好ましい。空気流を用いる方法としては、例えば、SEN−I GAKKAISHI,vol.64,P−262−267(2008).記載の方法を用いることができる。
<強化繊維シートの予熱>
また、本発明において、強化繊維シートを加熱した後、液溜り部に導くと、塗液の温度低下を抑制し、塗液の粘度均一性を向上させられるため好ましい。強化繊維シートは塗液温度近傍まで加熱されることが好ましいが、このための加熱手段としては、空気加熱、赤外線加熱、遠赤外線加熱、レーザー加熱、接触加熱、熱媒加熱(スチームなど)など多様な手段を用いることができる。中でも赤外線加熱は装置が簡便であり、また強化繊維シートを直接加熱できるため、走行速度が速くても所望の温度まで効率よく加熱が可能であり、好ましい。
<塗液>
本発明で用いる塗液は、付与する目的に応じ適宜選択することができるが、例えばシート状プリプレグの製造に適用する場合には、マトリックス樹脂の塗液を使用することができる。本発明により得られるマトリックス樹脂が塗工された塗液含浸強化繊維シートは、強化繊維シートにマトリックス樹脂が含浸した状態となり、そのままシート状プリプレグとして積層、成形してFRPからなる部材を得ることができる。含浸度は、塗布部の設計や、塗布以降の追含浸により制御することができる。マトリックス樹脂としては、用途に応じ適宜選択可能であるが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることが一般的である。マトリックス樹脂は、加熱し溶融させた溶融樹脂でも室温で塗液のものでも良い。また、溶媒を用いて溶液やワニス化したものでも良い。
マトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などFRPに一般的に使用されるものを用いることができる。また、これらは室温で液体であればそのまま用いても良いし、室温で固体や粘稠液体であれば、加温して低粘度化する、あるいは溶融し融液として用いても良いし、溶媒に溶解し溶液やワニス化して用いても良い。
熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素・炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合、カルボニル結合から選ばれる結合を有するポリマーを用いることができる。具体的には、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリアミドイミド(PAI)などを例示できる。航空機用途などの耐熱性が要求される分野では、PPS、PES、PI、PEI、PSU、PEEK、PEKK、PAEKなどが好適である。一方、産業用途や自動車用途などでは、成形効率を上げるため、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンやPA、ポリエステル、PPSなどが好適である。これらはポリマーでも良いし、低粘度、低温塗布のため、オリゴマーやモノマーを用いても良い。もちろん、これらは目的に応じ、共重合されていても良いし、各種を混合しポリマーブレンド・アロイとして用いることもできる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、アリル末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、シアン酸エステル末端を有する樹脂があげられる。これらは、一般に硬化剤や硬化触媒と組合せて用いることができる。また、適宜、これらの熱硬化性樹脂を混合して用いることも可能である。
本発明に適した熱硬化性樹脂として、耐熱性、耐薬品性、力学特性に優れていることからエポキシ樹脂が好適に用いられる。特に、アミン類、フェノール類、炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体、フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては脂環式エポキシ樹脂等があげられるが、これに限定されない。またこれらのエポキシ樹脂をブロモ化したブロモ化エポキシ樹脂も用いられる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンに代表される芳香族アミンを前駆体とするエポキシ樹脂は耐熱性が良好で強化繊維との接着性が良好なため本発明に最も適している。
熱硬化性樹脂は硬化剤と組合せて、好ましく用いられる。例えばエポキシ樹脂の場合には、硬化剤はエポキシ基と反応しうる活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。好ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。具体的には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ安息香酸エステル類が適している。具体的に説明すると、ジシアンジアミドはプリプレグの保存性に優れるため好んで用いられる。またジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるため本発明には最も適している。アミノ安息香酸エステル類としては、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエートが好んで用いられ、ジアミノジフェニルスルホンに比較して、耐熱性に劣るものの、引張強度に優れるため、用途に応じて選択して用いられる。また、もちろん必要に応じ硬化触媒を用いることも可能である。また、塗液のポットライフを向上させる意味から、硬化剤や硬化触媒と錯体形成可能な錯化剤を併用することも可能である。
また本発明では、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合して用いることも好適である。熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物は、熱硬化性樹脂を単独で用いた場合より良好な結果を与える。これは、熱硬化性樹脂が、一般に脆い欠点を有しながらオートクレーブによる低圧成形が可能であるのに対して、熱可塑性樹脂が、一般に強靭である利点を有しながらオートクレーブによる低圧成形が困難であるという二律背反した特性を示すため、これらを混合して用いることで物性と成形性のバランスをとることができるためである。混合して用いる場合は、プリプレグを硬化させてなるFRPの力学特性の観点から熱硬化性樹脂を50質量%より多く含むことが好ましい。
<ポリマー粒子>
また、本発明では、ポリマー粒子を含んだ塗液を用いると、得られるCFRPの靱性や耐衝撃性を向上させることができ、好ましい。この時、ポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)は塗液温度よりも20℃以上高くすると、塗液中でポリマー粒子の形態を保持し易く、好ましい。ポリマー粒子のTgは温度変調DSCを用い、以下の条件で測定することができる。温度変調DSC装置としては、TA Instrments社製 Q1000などが好適であり、窒素雰囲気下、高純度インジウムで校正して用いることができる。測定条件は、昇温速度は2℃/分、温度変調条件は周期60秒、振幅1℃とすることができる。これで得られた全熱流から可逆成分を分離し、階段状シグナルの中点の温度をTgとすることができる。
また、Tmは通常のDSCで昇温速度10℃/分で測定し、融解に相当するピーク状シグナルのピークトップ温度をTmとすることができる。
また、ポリマー粒子としては、塗液に溶けないことが好ましく、このようなポリマー粒子としては、例えば、WO2009/142231パンフレット記載などを参照し、適切なものを用いることができる。より、具体的には、ポリアミドやポリイミドを好ましく用いることができ、優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上できる、ポリアミドは最も好ましい。ポリアミドとしてはポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66やポリアミド6/12共重合体、特開平1−104624号公報の実施例1記載のエポキシ化合物にてセミIPN(高分子相互侵入網目構造)化されたポリアミド(セミIPNポリアミド)などを好適に用いることができる。この熱可塑性樹脂粒子の形状としては、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよいが、球状の方が樹脂の流動特性を低下させないため、本発明の製造法では特に好ましい。また、球状であれば応力集中の起点がなく、高い耐衝撃性を与えるという点でも好ましい態様である。
ポリアミド粒子の市販品としては、SP−500、SP−10、TR−1、TR−2、842P−48、842P−80(以上、東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、2001UD、2001EXD、2002D、3202D、3501D,3502D、(以上、アルケマ(株)製)、“グリルアミド(登録商標)”TR90(エムザベルケ(株)社製)、“TROGAMID(登録商標)”CX7323、CX9701、CX9704、(デグサ(株)社製)等を使用することができる。これらのポリアミド粒子は、単独で使用しても複数を併用してもよい。
また、CFRPの層間樹脂層を高靭性化するためには、ポリマー粒子を層間樹脂層に留めておくことが好ましい。そのため、ポリマー粒子の数平均粒径は5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは7〜40μmの範囲、さらに好ましくは10〜30μmの範囲である。数平均粒径を5μm以上とすることで、粒子が強化繊維の束の中に侵入せず、得られる繊維強化複合材料の層間樹脂層に留まることができる。数平均粒径を50μm以下とすることで、プリプレグ表面のマトリックス樹脂層の厚みを適正化し、ひいては得られるCFRPにおいて、繊維質量含有率を適正化することができる。
<塗液粘度>
本発明で用いる塗液としては、工程通過性・安定性の観点から最適な粘度を選択することが好ましい。具体的には、粘度を1〜60Pa・sの範囲とすると、狭窄部出口での液垂れを抑制するとともに強化繊維シートの高速走行性、安定走行性を向上させることができ、好ましい。ここで、粘度は歪み速度3.14s−1で液溜り部での塗液温度で測定したものを言う。測定装置としては平行円盤型やコーン型などの粘弾性測定装置を用いることができる。塗液の粘度はより好ましくは10〜30Pa・sである。
<塗布工程>
強化繊維シートとしてUD基材を用いた場合について図1aを参照して説明すると、塗工装置100における塗液2を強化繊維シート1aに付与する方法は、クリール11aから巻き出された複数本の強化繊維1を、配列装置12aによって一方向(紙面奥行き方向)に配列してUD基材とした強化繊維シート1aを得た後、強化繊維シート1aを塗布部20に実質的に鉛直方向下向きZに通過させて、強化繊維シート1aの両面に塗液2を付与するものである。これにより、塗液含浸強化繊維シート1bを得ることができる。なお、強化繊維ファブリックを用いる場合は、図1bのとおり、図1aクリール11aを強化繊維ファブリックの巻出し装置11bに置き換え、ニップロール12bによって引き出せばよい。
さらに、必要に応じ、塗液含浸強化繊維シート1bの少なくとも片面に離型シート3を付与し、巻取り装置15で塗液含浸強化繊維シート1bと離型シート3を同時に巻き取ってもよい。特に、塗液含浸強化繊維シート1bに付与された塗液2が搬送ロール14に至っても、塗液2の一部または全部が塗液含浸強化繊維シート1b表面に存在し、かつ流動性や粘着性が高い場合には、離型シート3により、塗液含浸強化繊維シート1b表面の塗液2の一部が搬送ロール14に転写されるのを防ぐことができる。さらに、塗液含浸強化繊維シート1b同士の接着も防ぐことができ、後工程での取り扱いが容易になる。離型シートとしては、前記効果を奏するものであれば特に制限は無いが、例えば、離型紙の他、有機ポリマーフィルム表面に離型剤を塗布したもの等を挙げることができる。
次に図2〜8により、強化繊維シート1aへの塗液2の付与工程について詳述する。図2は、図1における塗布部20を拡大した詳細横断面図である。塗布部20は、所定の隙間Dを開けて対向する壁面部材21a、21bを備え、壁面部材21a、21bの間には、鉛直方向下向きZ(すなわち強化繊維シートの走行方向)に断面積が連続的に減少する液溜り部22と、液溜り部22の下方(強化繊維シート1aの搬出側)に位置し、液溜り部22の上面(強化繊維シート1aの導入側)の断面積よりも小さい断面積を有するスリット状の狭窄部23が形成されており、壁面に支持されたブロック50が具備されている。図2において、強化繊維シート1aは、紙面の奥行き方向に配列されている。
塗布部20において、液溜り部22に導入された強化繊維シート1aは、その周囲の塗液2を随伴しながら、鉛直方向下向きZに走行する。その際、液溜り部22の断面積は鉛直方向下向きZ(強化繊維シート1aの走行方向)に向かって減少するため、随伴する塗液2は徐々に圧縮され、液溜り部22の下部に向かうにつれて塗液2の圧力が増大する。液溜り部22の下部の圧力が高くなると、前記随伴液流がそれ以上は下部に流動し難くなり、壁面部材21a、21b方向に流れ、その後、壁面部材21a、21bに阻まれ、上方へ流れるようになる。結果、液溜り部22内では強化繊維シート1aの平面と、壁面部材21a、21b壁面に沿った循環流Tを形成する。これにより、仮に強化繊維シート1aが毛羽を液溜り部22に持ち込んだとしても毛羽は循環流Tに沿って運動し、液圧の大きな液溜り部22下部や狭窄部23に近づくことができない。さらに下で述べるとおり、気泡が毛羽に付着することにより毛羽が循環流Tから上方に移動し、液溜り部22の上部液面付近を通過する。そのため、毛羽が液溜り部22の下部および狭窄部23に詰まることが防止されるだけでなく、滞留する毛羽は液溜り部22の上部液面から容易に回収することも可能となる。さらに、強化繊維シート1aを高速で走行させた場合、前記の液圧はさらに増大するため、毛羽の排除効果がより高くなる。その結果、強化繊維シート1aにより高速で塗液2を付与することが可能となり、生産性が大きく向上する。
また、前記の増大した液圧により、塗液2が強化繊維シート1aの内部に含浸しやすくなる効果がある。これは、UD基材や強化繊維ファブリックのような多孔質体に塗液が含浸される際、その含浸度が塗液の圧力で増大する性質(ダルシーの法則)に基づく。これについても、強化繊維シート1aをより高速で走行させた場合、液圧がより増大することから、含浸効果をより高めることができる。なお、塗液2は強化繊維シート1aの内部に残留する気泡と気/液置換で含浸されるが、気泡は前記の液圧と浮力により強化繊維シート1aの内部の隙間を通って、繊維の配向方向(鉛直方向上向き)に排出される。このとき、気泡は含浸してくる塗液2を押しのけずに排出されるため、含浸を阻害しない効果もある。また、気泡の一部は強化繊維シート1aの表面から面外方向(法線方向)に排出されるが、この気泡も前記の液圧と浮力により速やかに鉛直方向上向きに排除されるため、含浸効果の高い液溜り部22の下部に留まらず、効率よく気泡の排出が進む効果もある。これらの効果により、強化繊維シート1aに塗液2を効率よく含浸させることが可能となり、その結果、塗液2が均一に含浸された高品質の塗液含浸強化繊維シート1bを得ることが可能となる。
さらに、前記の増大した液圧により、強化繊維シート1aが隙間Dの中央に自動的に調心され、強化繊維シート1aが液溜り部22や狭窄部23の壁面に直接擦過せず、ここでの毛羽発生を抑制する効果もある。これは、外乱などにより強化繊維シート1aが隙間Dのどちらかに接近した場合、接近した側ではより狭い隙間に塗液2が押し込まれて圧縮されるため、接近した側で液圧がより増大し、強化繊維シート1aを隙間Dの中央に押し戻すためである。
狭窄部23は、液溜り部22の上面よりも断面積が小さく設計される。図2や図8から理解されるとおり専ら強化繊維シートによる疑似平面の垂線方向の長さが小さい、すなわち部材間の間隔が狭い、ことで断面積は小さくなる。これは、前記のように狭窄部で液圧を高くすることで、含浸や自動調心効果を得るためである。また、狭窄部23の最上部の面の断面形状は、液溜り部22の最下部の面の断面形状と一致させることが、強化繊維シート1aの走行性や塗液2の流れ制御の観点から好ましいが、必要に応じ狭窄部23の方を若干大きくしてもよい。
ここで、図2の塗布部20では、強化繊維シート1aが完全に鉛直方向下向きZ(水平面から90度)に走行しているが、これに限定されず、前記の毛羽回収、気泡の排出効果が得られ、強化繊維シート1aが安定して連続走行可能な範囲で、実質的に鉛直方向下向きであればよい。
また、強化繊維シート1aに付与される塗液2の総量は、狭窄部23の隙間Dで制御可能であり、例えば、強化繊維シート1aに付与する塗液2の総量を多くしたい(目付けを大きくしたい)場合は、隙間Dが広くなるよう、壁面部材21a、21bを設置すればよい。
また本発明の塗布部においては、壁面に支持されたブロック50を具備することが必要である。図3aは、図2における強化繊維シート1aと1対の壁面部材21aおよび21bの片側の部分においてブロック50を具備していない時の循環流の流れであり、外側の循環流T1aおよび内側の循環流T2aを模式化した図である。図3aの通り塗布中に液溜まり中央部において循環流は壁面の垂線方向に移動しない、つまり外側の循環流T1aと内側の循環流T2aの間で積極的な塗液の移動が発生しない。塗布が継続されると液溜り内の塗液が減少し、やがて塗液がなくなり塗布が継続できなくなるため、塗布を続けるためには、図2および図3aに省略されているが、塗液が液溜り外部より連続的もしくは断続的に供給される。図3aのような壁面の垂線方向に移動しない循環流であると、元々塗布部に存在した熱履歴の大きい古い樹脂と、新規に投入した樹脂の効率的な撹拌が実施されず、強化繊維シート幅方向および走行方向で塗布される塗布量のばらつきや欠点などの品位低下の原因となる。図3bはブロック50を具備した時の循環流の流れを模式化した図である。ブロック50により、強化繊維シート付近の液流を乱すことなく、撹拌部T3において、外側の循環流T1aと内側の循環流T2aを交換することが可能となる。
ブロック50は図3a、図3bのように壁面に支持された形態において設置される必要がある。このように設置することで壁面の垂線方向に塗液が効率的に移動することが可能となる。また、ブロックは壁面付近の循環流も撹拌できるようにするため、壁面に直接設置されていてもよい。ブロックが壁面に設置されている場合は、壁面部材とブロックが別々の部材で構成されていてもよいし、壁面部材に凹凸を形成して、壁面部材と一体型となっていてもよい。
ここでブロックの形状としては、本発明の効果を損なわない限りは特に限定されないが、立方体や直方体あるいはそれらに類似する形状が好ましい。また、図5、図6に示すブロックのように、立方体や直方体のブロックが支持体として壁面から円柱などで支持されるキノコ型のような形状も好ましい。ブロックをこのような形状とすることで、効果的に撹拌流T1aの流れ方向を変化させ、撹拌部T3を形成することが可能となる。ブロックが球に近い形状であると、ブロック周囲の塗液がブロックに沿って、なだらかに流れ方向が変化するため、撹拌部T3を形成しにくく好ましくない。同様の理由で、ブロックが多面体である場合は8面体以下であることが好ましく、6面体が最も好ましい。6面体の場合はそれぞれの面の形状は特に限定されず、正方形や長方形でもよく、台形でもよいが、立体形状として平板に近い形状であると循環流T1aの流れ方向を変化させる効果を損ねたり、対流部分を形成したりしてしまうため好ましくない。そのためブロックが多面体で構成される場合、ブロックを形成する最も短い辺の長さは、最も長い辺の長さの0.2倍以上であることが好ましい。またブロックが多面体の場合、それぞれの面が接する辺や角の部分は、角を落とし曲率半径Rを成してもよいが、効果的に循環流T1aの流れを変化させるために、曲率半径Rは曲率半径Rを形成する各辺の長さの0.2倍以下であることが好ましい。
また図4は、図2のB方向より壁面部材21a付近を観察したときの模式図である。前記ブロック50は、強化繊維シート幅方向における液溜り部下部の幅Lに対して、ブロックの幅Pが0.05L以上である必要がある。図4に壁面付近での外側の循環流T4を示しているが、ブロックの幅Pを0.05L以上とすることで、外側の循環流T4がブロック50に流れをせき止められ、図3bの外側の循環流T1bを形成し、効率よく撹拌部T3を形成することができる。好ましくはブロックの幅Pが0.1L以上である。ブロックの幅Pの上限としては特に限定されないが、後述の通り幅方向にブロック50が複数設置されることが好ましいため、互いの干渉を防ぐためにブロックの幅Pは0.5L以下であることが好ましい。
図5は強化繊維シート1aと1対の壁面部材21aおよび21bの片側の部分において示している。上記ブロック50は、図2の隙間Dを形成し、狭窄部の出口の隙間を形成する壁面部材端部位置52を強化繊維シート垂線方向の基準位置(つまり0)とし、液溜まり壁面位置53をMとしたときに、強化繊維シート1aの平面の垂線方向におけるブロック最頂位置51が0.5M以上であることが好ましい。ここでブロック最頂位置51とは図5の通り、ブロックの最も強化繊維シートに近い部分のことを指す。ブロック最頂位置51を上記とすることで、循環流を過度に乱すことなく、効率的に壁面の垂線方向に撹拌することが可能となる。好ましくは0.7M以上である。また前記ブロックについて、液溜り部の壁面の垂線方向における高さUは、0.05M以上であることが好ましい。かかる高さUを0.05M以上とすることで、効果的に図3aにおける撹拌流T1aの流れ方向を図3bにおけるT1bのように変化させ、撹拌部T3を形成することが可能となる。液溜り部の壁面の垂線方向におけるブロックの高さUの上限としては、前述の強化繊維シート1aの平面の垂線方向におけるブロック最頂位置51が0.5M以上を満たすようにすればよい。
また図6に示す通り、強化繊維シート1a走行方向のブロック最下位置55は狭窄部上端位置56を0、壁面高さ位置57をKとしたときに0.05K以上0.5K以下を満たすことが好ましい。ブロック最下位置が0.5Kを上回ると、液面が減少したときに、ブロックに接触する塗液量が減少し、撹拌の効果が損なわれるので、好ましくない。またブロック最下位置がKに対して過度に小さくなるということは、ブロック最下位置55が狭窄部に近づくことを示す。本発明の液溜まり部はスリット断面積が減少するように構成されており、ブロック最下位置55がKに対して小さくなるということは、強化繊維シート平面の垂線方向において、ブロック50と強化繊維シート平面1aとの距離、およびブロック最下位置55と壁面部材21aとの距離が小さくなることを示す。つまり前記の距離が小さくなることで、循環流が不安定化され強化繊維シートを乱したり、毛羽が詰まるなどの懸念があり、好ましくない。好ましい壁面高さKに対してのブロック最下位置は0.2K以上0.5K以下である。またブロックの最上位置58は特に限定されないが、ブロックを通過した塗液が液面上部を乱さずに壁面の垂線方向に移動するために0.95K以下が好ましい。より好ましくは0.90K以下に位置することが好ましい。また、前記ブロック50について、液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート1a走行方向におけるブロックの長さVは、壁面上端位置57をKとしたときに0.05K以上である必要がある。液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート走行方向におけるブロックの長さVが0.05K未満である場合、循環流に対する抗力によって壁面からのブロック支持が不安定になり、循環流が変動することで目付が変動したり、ブロックの破損などの原因となる。液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート走行方向におけるブロックの長さVの上限としては特に限定されないが、後述の通り幅方向にブロック50が複数設置されることが好ましいため、互いの干渉を防ぐために0.5K以下であることが好ましい。
またブロックは、図4の通り、強化繊維シート幅方向および/または強化繊維シート走行方向に複数備えられることが好ましい。ブロックは1つでも効果を発現することができるが、強化繊維シート幅方向および/または強化繊維シート走行方向に複数備えることで、さらに効率的に塗液を撹拌することが可能となる。ブロックを強化繊維シート幅方向および/または強化繊維シート走行方向に複数備えることで、撹拌箇所を増加させて撹拌効率を向上させつつ、図5のブロック最頂位置を壁面位置に近づけることで、撹拌位置を強化繊維シートより遠ざけ、かつ循環流の過度な撹拌による強化繊維シートの乱れを抑制することが可能となる。
図7は、塗布部20を、図2のAの方向から見た下面図である。塗布部20には、強化繊維シート1aの配列方向両端から塗液2が漏れるのを防ぐための側壁部材24a、24bが設けられており、壁面部材21a、21bと側壁部材24a、24bに囲われた空間に狭窄部23の出口26が形成されている。ここで、出口26はスリット状をしており、断面アスペクト比(図7のY/D)は塗液2を付与したい強化繊維シート1aの形状に合わせて設定すればよい。
図8aは塗布部20を、Bの方向から見た場合の塗布部内部の構造を説明する断面図である。なお、図を見やすくするため壁面部材21bは省略してある。
図8bは隙間26での塗液2の流れを示している。隙間26が大きいと塗液2には、Rの向きに渦流れが発生する。この渦流れRは、液溜り部22の下部では外側に向かう流れ(Ra)となるため、強化繊維シートを引き裂いてしまう(強化繊維シートの割れが発生する)可能性がある。一方、液溜り部22の上部では、内側に向かう流れ(Rb)となるため、強化繊維シート1aが幅方向に圧縮され、その端部が折れてしまう場合がある。特許文献2(特許第3252278号公報)に代表されるような、一体物のシート状基材(特にフィルム)に塗液を両面塗布する装置ではこのような隙間26での渦流れが発生しても品質への影響が少ないため、注意がされていなかった。
そこで、本発明においては、隙間26を小さくする幅規制を行い、端部での渦流れの発生を抑制することが好ましい。具体的には、液溜り部22の幅L、すなわち、側板部材24aと24bの間隔Lは、狭窄部23の直下で測定した強化繊維シートの幅Wと以下の関係を満たすよう構成することが好ましい。
L≦W+10(mm)。
これにより、端部での渦流れ発生が抑制され、強化繊維シート1aの割れや端部折れを抑制でき、塗液含浸強化繊維シート1bの全幅(W)にわたって強化繊維の配列に乱れがない、高品位で安定性の高い塗液含浸強化繊維シート1bを得ることができる。さらに、この技術をプリプレグに適用した場合には、プリプレグの品位、品質を向上させるのみならず、これを用いて得られるFRPの力学特性や品質を向上させることができる。LとWの関係はより好ましくは、L≦W+2(mm)とすると、さらに強化繊維シートの割れや端部折れを抑制することができる。
また、Lの下限は、W−5(mm)以上となるよう調整することが、塗液含浸強化繊維シート1bの幅方向寸法の均一性を向上させる観点から好ましい。
なお、この幅規制は、液溜り部22下部の高い液圧による渦流れR発生を抑制する観点から、少なくとも液溜り部22の下部(図8aのGの位置)で行うことが好ましい。さらに、この幅規制はより好ましくは、液溜り部22の全域で行うと、渦流れRの発生をほぼ完全に抑制することができ、その結果、強化繊維シートの割れや端部折れをほぼ完全に抑制することが可能となる。
また、前記幅規制は、前記隙間26の渦流れ抑制の観点からは、液溜り部22だけでもよいが、狭窄部23も同様に行うと塗液含浸強化繊維シート1bの側面に過剰な塗液2が付与されることを抑制する観点から好ましい。
<幅規制機構>
前記では幅規制を側壁部材24a、24bが担う場合を示したが、図9に示すように、側壁部材24a、24b間に幅規制機構27a、27bを設け、かかる機構で幅規制を行うこともできる。これにより、幅規制機構によって規制される幅を自在に変更可能とすることで一つの塗布部により、種々の幅の塗液含浸強化繊維シートを製造できる観点から好ましい。ここで、狭窄部の直下における強化繊維シートの幅(W)と該幅規制機構下端において幅規制機構により規制される幅(L2)との関係はL2≦W+10(mm)とすることが好ましく、より好ましくは、L2≦W+2(mm)である。また、L2の下限は、W−5(mm)以上となるよう調整することが、塗液含浸強化繊維シート1bの幅方向寸法の均一性を向上させる観点から好ましい。幅規制機構の形状および材質に特に制限は無いが、板形状のブッシュであると簡便であり、好ましい。また、上部、すなわち液面に近い場所では壁面部材21a、21bとの間隔よりも小さい幅(図9参照。「Z方向からみた図」中、幅規制機構の上下方向の長さを指す)を有することで、塗液の水平方向の流れを妨げないようにでき、好ましい。一方、幅規制機構の中間部から下部にかけては塗布部の内部形状に沿った形状とすることが液溜り部での塗液の滞留を抑制でき、塗液の劣化を抑制できることから好ましい。この意味から、幅規制機構は狭窄部23まで挿入されることが好ましい。図9は、幅規制機構として板形状ブッシュの例を示しているが、ブッシュの中間より下部が液溜り部22のテーパー形状に沿い、狭窄部23まで挿入される例を示している。図9にはL2が液面から出口まで一定の例を示しているが、幅規制機構の目的を達成する範囲で部位によって規制する幅を変更してもよい。幅規制機構は任意の方法で塗布部20に固定することができるが、板形状ブッシュの場合には、上下方向で複数の部位で固定することで、高液圧による板形状ブッシュの変形による規制幅の変動を抑制することができる。例えば、上部はステーを用い、下部は塗布部に差し込むようにすると、幅規制機構による幅の規制が容易であり、好ましい。
<液溜り部の形状>
前記で詳述したように、本発明においては、液溜り部22で強化繊維シートの走行方向に断面積が連続的に減少することで、強化繊維シートの走行方向に液圧を増大させることが重要であるが、ここで強化繊維シートの走行方向に断面積が連続的に減少するとは、走行方向に連続的に液圧を増大可能であれば、その形状には特に制限は無い。液溜り部の横断面図において、テーパー状(直線状)であったり、ラッパ状などのように曲線的な形態を示してもよい。また、断面積減少部は液溜り部全長にわたって連続してもよいし、本発明の目的、効果が得られる範囲であれば、一部に断面積が減少しない部分や逆に拡大する部分を含んでいてもよい。これらについて、以下に図10〜13で例を挙げて詳述する。
図10は、図2とは別の実施形態の塗布部20bの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21c、21dの形状が異なる以外は、図2の塗布部20と同じである。図10の塗布部20bのように、液溜り部22が、鉛直方向下向きZに断面積が連続的に減少する領域22aと、断面積が減少しない領域22bに分かれていてもよい。このとき、断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは10mm以上であることが好ましい。さらに好ましい断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは50mm以上である。これにより、強化繊維シート1aによって随伴された塗液2が、液溜まり部22の断面積が連続的に減少する領域22aで圧縮される距離が確保され、液溜り部22の下部で発生する液圧を十分に増大させることができる。その結果、液圧により毛羽が狭窄部23に詰まるのを防止し、また液圧により塗液2が強化繊維シート1aに含浸する効果を得ることができる。
ここで、図2の塗布部20や図10の塗布部20bのように、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aをテーパー状とする場合、テーパーの開き角度θは小さい方が好ましく、具体的には鋭角(90°以下)にすることが好ましい。これにより、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22a(テーパー部)で塗液2の圧縮効果を高め、高い液圧を得やすくすることができる。
図11は、図10とは別の実施形態の塗布部20cの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21e、21fの形状が2段テーパー状となっている以外は、図10の塗布部20bと同じである。このように、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aを2段以上の多段テーパー部で構成してもよい。このとき、狭窄部23に最も近いテーパー部の開き角度θを鋭角にするのが、前記の圧縮効果を高める観点から好ましい。またこの場合も、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aの高さHを10mm以上にすることが好ましい。さらに好ましい断面積が連続的に減少する鉛直方向高さHは50mm以上である。図11のように液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aを多段のテーパー部にすることで、液溜り部22に貯留できる塗液2の体積を維持しつつ、狭窄部23に最も近いテーパー部の角度θをより小さくすることができる。これにより液溜り部22の下部で発生する液圧がより高くなり、毛羽の排除効果や塗液2の含浸効果をさらに高めることが可能となる。
図12は、図10とは別の実施形態の塗布部20dの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21g、21hの形状が階段状となっている以外は、図10の塗布部20bと同じである。このように、液溜り部22の最下部に断面積が連続的に減少する領域22aがあれば、本発明の目的である液圧の増大効果は得られるため、液溜り部22の他の部分に断面積が断続的に減少する領域22cを含んでいてもよい。液溜り部22を図12のような形状にすることで、断面積が連続的に減少する領域22aの形状を維持しつつ、液溜り部22の奥行きBを拡大して貯留できる塗液2の体積を大きくすることができる。その結果、塗布部20dに塗液2を連続して供給できない場合でも、長時間強化繊維シート1aに塗液2を付与し続けることが可能となり、塗液含浸強化繊維シート1bの生産性がより向上する。
図13は、図10とは別の実施形態の塗布部20eの詳細横断面図である。液溜り部22を構成する壁面部材21i、21jの形状がラッパ状(曲線状)となっている以外は、図10の塗布部20bと同じである。図10の塗布部20bでは、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aはテーパー状(直線状)だが、これに限定されず、例えば図9のようにラッパ状(曲線状)でもよい。ただし、液溜り部22の下部と、狭窄部23の上部は滑らかに接続することが好ましい。これは、液溜り部22の下部と、狭窄部23の上部の境界に段差があると、強化繊維シート1aが段差に引っ掛かり、この部分で毛羽が発生する懸念があるためである。また、このように液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域をラッパ状とする場合は、液溜り部22の断面積が連続的に減少する領域22aの最下部における仮想接線の開き角度θを鋭角にするのが好ましい。
なお、上記は滑らかに断面積が減少する例をあげて説明したが、本発明の目的を損なわない限り、本発明において液溜まり部の断面積は必ずしも滑らかに減少しなくともよい。
図14は本発明とは別の実施形態の塗布部30の詳細横断面図である。本発明の実施形態とは異なり、図14の液溜り部32は鉛直方向下向きZに断面積が連続的に減少する領域を含まず、狭窄部23との境界33で断面積が不連続で急激に減少する構成である。このため、強化繊維シート1aが詰まり易い。
また、塗布部内で強化繊維シートを複数本のバーに接触させることで含浸効果を向上させることも可能である。図15にバー(35a、35bおよび35c)を3本用いた例を示しているが、バーは本数が大きいほど、強化繊維シートとバーの接触長が長いほど、接触角が大きいほど、含浸率を向上させることができる。図15の例では含浸率を90%以上とすることが可能である。なお、係る含浸効果の向上手段は複数種を組み合わせて用いても良い。
<走行機構>
強化繊維シートや本発明の塗液含浸強化繊維シートを搬送するための走行機構としては、公知のローラー等を好適に用いることができる。本発明では強化繊維シートが鉛直下向きに搬送されるため、塗布部を挟んで上下にローラーを配置することが好ましい。
また、本発明では、強化繊維の配列乱れや毛羽立ちを抑制するため、強化繊維シートの走行経路はなるべく直線状であることが好ましい。また、塗液含浸強化繊維シートと離型シートの積層体であるシート状一体物の搬送工程において、屈曲部を有すると、内層と外層の周長差による皺が発生する場合が有るため、シート状一体物の走行経路もなるべく直線状であることが好ましい。この観点からは、シート状一体物の走行経路中では、ニップロールを用いる方が好ましい。
S字ロールとニップロールのどちらを用いるかは、製造条件や製造物の特性に応じ、適宜選択することが可能である。
<高張力引き取り装置>
本発明では、塗布部から塗液含浸強化繊維シートを引き出すための高張力引き取り装置を塗布部より工程下流に配置することが好ましい。これは、塗布部で、強化繊維シートと塗液の間で高い摩擦力、せん断応力が発生するため、それに打ち勝って塗液含浸強化繊維シートを引き出すためには、工程下流で高い引き取り張力を発生させることが好ましいためである。高張力引き取り装置としては、ニップロールやS字ロールなどを用いることができるが、いずれもロールと塗液含浸強化繊維シートの間の摩擦力を高めることで、スリップを防止し、安定した走行を可能とすることができる。このためには、摩擦係数の高い材料をロール表面に配したり、ニップ圧力やS字ロールへの塗液含浸強化繊維シートの押し付け圧を高くすることが好ましい。スリップを防止する観点からは、S字ロールの方がロール径や接触長などで容易に摩擦力を制御でき、好ましい。
<離型シート供給装置、ワインダー>
本発明を用いてのプリプレグやFRPの製造においては適宜離型シート供給装置やワインダーを用いることができ、そのようなものとしては公知のものを使用することができるが、いずれも巻出し、あるいは巻き取り張力を巻出しあるいは巻き取り速度にフィードバックできる機構を備えていることがシートの安定走行の観点から好ましい。
<追含浸>
所望の含浸度に調整するために、本発明にさらに塗布後に別途、含浸装置を用いて更に含浸度を高める手段を組み合わせることも可能である。ここでは、塗布部での含浸と区別するために、塗布後に追加で含浸することを追含浸、そのための装置を追含浸装置と称することとする。追含浸装置として用いられる装置には特に制限は無く、目的に応じて公知のものから適宜選択することができる。例えば、特開2011−132389号公報やWO2015/060299パンフレット記載のように、シート状炭素繊維と樹脂の積層体を、熱板で予熱しシート状炭素繊維上の樹脂を十分軟化させた後、やはり加熱されたニップロールで加圧する装置を用いることで含浸を進めることができる。予熱のための熱板温度やニップロール表面温度、ニップロールの線圧、ニップロールの直径・数は所望の含浸度になるように適宜選択することができる。また、WO2010/150022パンフレット記載のようなプリプレグシートがS字型に走行する“S−ラップロール”を用いることも可能である。本発明では“S−ラップロール”を単に“S字ロール”と称することとする。WO2010/150022パンフレット図1ではプリプレグシートがS字型に走行する例が記載されているが、含浸が可能であれば、U字型や、V型またはΛ型のようにシートとロールの接触長を調整してもよい。また、含浸圧を高め含浸度を上げる場合には、対向するコンタクトロールを付加することも可能である。さらにWO2015/076981パンフレット図4記載のように、“S−ラップロール”に対向してコンベヤーベルトを配することで含浸効率を向上させ、プリプレグの製造速度の高速化をはかることも可能である。また、WO2017/068159パンフレットや特開2016−203397号公報などに記載のように、含浸前にプリプレグに超音波を付与し、プリプレグを急速昇温することで、含浸効率を向上させることも可能である。また、特開2017−154330号公報記載のように、超音波発生装置で複数の“しごき刃”振動させる含浸装置を用いることも可能である。また、特開2013−22868号公報記載のようにプリプレグを折り畳んで含浸することも可能である。
<簡易追含浸>
上記では、従来の追含浸装置を適用する例を示したが、塗布部直下では未だ塗液含浸強化繊維シートの温度が高い場合があり、そのような場合には塗布部を出て後、あまり時間が経っていない段階で追含浸操作を加えると、塗液含浸強化繊維シートを再昇温するための熱板などの加熱装置を省略あるいは簡略化し、含浸装置を大幅に簡略化・小型化することも可能である。このように塗布部直下に位置させる含浸装置を簡易追含浸装置と称することとする。簡易追含浸装置としては加熱ニップロールや加熱S字ロールを用いることができるが、通常の含浸装置に比較し、ロール径や設定圧力、プリプレグとロールの接触長を減じることができ、装置を小型化できるだけでなく消費電力なども減じることができ、好ましい。
また、塗液含浸強化繊維シートが簡易追含浸装置に入る前に、塗液含浸強化繊維シートに離形シートを付与すると、プリプレグの走行性が向上し好ましい。
<塗液含浸強化繊維シート>
本発明の製造方法で得られる塗液含浸強化繊維シートにおいて塗液の含浸率は10%以上であることが望ましい。塗液の含浸率は、採取した塗液含浸強化繊維シートを裂き、内部を目視することで含浸の有無を確認することができ、より定量的には例えば剥離法で評価することが可能である。剥離法による塗液の含浸率は以下のようにして測定することができる。すなわち、採取した塗液含浸強化繊維シートを粘着テープで挟み、これを剥離し、塗液が付着した強化繊維と塗液が付着していない強化繊維を分離する。そして、投入した強化繊維シート全体の質量に対する塗液が付着した強化繊維の質量の比率を剥離法による塗液の含浸率とすることができる。
<プリプレグ幅>
FRPの前駆体の一種であるプリプレグは本発明で得られる塗液含浸強化繊維シートの一形態であるため、本発明をFRP用途に適用する場合として、塗液含浸強化繊維シートをプリプレグと称して以下説明する。
プリプレグの幅には、特に制限は無く、幅が数十cm〜2m程度の広幅でも良いし、幅数mm〜数十mmのテープ状でも良く、用途に応じ幅を選択することができる。近年では、プリプレグの積層工程を効率化するため、細幅プリプレグやプリプレグテープを自動積層していくATL(Automated Tape Laying)やAFP(Automated Fiber Placement)と呼ばれる装置が広く用いられるようになってきており、これに適合した幅とすることも好ましい。
所望の幅のプリプレグを得る方法には特に制限は無く、幅1m〜2m程度の広幅プリプレグを細幅にスリットする方法を用いることができる。また、スリット工程を簡略化あるいは省略するため、最初から所望の幅となるよう本発明で用いる塗布部の幅を調整することもできる。例えば、ATL用に30cm幅の細幅プリプレグを製造する場合には、塗布部出口の幅をそれに応じて調整すればよい。
<スリット>
プリプレグのスリット方法にも特に制限は無く、公知のスリット装置を用いることができる。プリプレグを一旦巻き取った後、改めてスリット装置に設置し、スリットを行っても良いし、効率化のため、プリプレグ一旦巻き取ることなくプリプレグ作製工程から連続してスリット工程を配置しても良い。また、スリット工程は1m以上の広幅プリプレグを直接、所望の幅にスリットしても良いし、一旦、30cm程度の細幅プリプレグにカット・小分けした後、これを改めて所望の幅にスリットしても良い。
<塗液供給機構>
本発明において塗布部内に塗液は貯留されているが、塗工が進行するので塗液を適宜補給することが好ましい。塗液を塗布部に供給する機構には特に制限は無く、公知の装置を使用することができる。塗液は連続的に塗布部に供給することが、塗布部の上部液面を乱さず、強化繊維シートの走行を安定化でき、好ましい。例えば、塗液を貯留する槽から自重を駆動力として供給したり、ポンプなどを用いて連続的に供給することができる。ポンプとしては、ギヤポンプやチューブポンプ、圧力ポンプなど塗液の性質に応じ適宜使用することができる。また、塗液が室温で固体の場合には、貯留層上部にメルターを備えておくことが好ましい。また、連続押し出し機などを用いることもできる。また、塗液供給量は塗液の塗布部上部の液面がなるべく一定となるよう、塗布量に応じ連続供給できる機構を備えることが好ましい。このためには、例えば液面高さや塗布部重量などをモニタリングし、それを供給装置にフィードバックするような機構が考えられる。
<オンラインモニタリング>
また、塗布量のモニタリングのために、塗布量をオンラインモニタリングできる機構を備えることが好ましい。オンラインモニタリング方法についても特に制限は無く、公知のものを使用可能である。例えば、厚みを計測する装置として、例えばベータ線計などを用いることができる。この場合は、強化繊維シート厚みと塗液含浸強化繊維シートの厚みを計測し、その差分を解析することで塗布量を見積もることが可能である。オンラインモニタリングされた塗布量は、直ぐに塗布部にフィードバックされ、塗布部の温度や狭窄部23の隙間D(図2参照)の調整に利用することができる。塗布量モニタリングは、もちろん欠点モニタリングとしても使用可能である。厚み計測位置としては、例えば図16で言えば、方向転換ロール419近傍で強化繊維シート416の厚みを計測し、塗布部430から方向転換ロール441の間で塗液含浸強化繊維シートの厚みを計測することができる。また、赤外線、近赤外線、カメラ(画像解析)などを用いたオンライン欠点モニタリングを行うことも好ましい。
本発明の塗工装置は、強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、塗布機構を有し、前記塗布機構はその内部に塗液を貯留可能であり、さらに互いに連通された液溜り部と狭窄部、および液溜り部の内部に設けられ、液溜り部の壁面に支持されたブロックを備えており、前記液溜り部は、強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部は、スリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、液溜り部下部の幅Lに対して、強化繊維シート幅方向におけるブロックの幅Pが0.05L以上であり、液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート走行方向におけるブロックの長さが0.05K以上である塗工装置である。
以下では、塗液含浸強化繊維シートの一態様であるプリプレグの例に、当該塗工装置を用いたプリプレグの製造例を具体的に挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、以下は例示であり、本発明は以下に説明される態様に限定して解釈されるものではない。
図16aは強化繊維シートとして、UD基材を用いた時の本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の例の概略図である。複数個の強化繊維ボビン412aはクリール411aに掛けられ、方向転換ガイド413aを経て、上方に引き出される。この時、クリールに付与されたブレーキ機構により一定張力で強化繊維束414を引き出すことができる。引き出された複数本の強化繊維束414は強化繊維配列装置415により整然と配列され、強化繊維シート416が形成される。なお、図16aでは強化繊維束は3糸条しか描画されていないが、実際には、2糸条〜数百糸条とすることができ、所望のプリプレグ幅、繊維目付けとするよう調整可能である。その後、拡幅装置417、平滑化装置418を経て、方向転換ロール419を経て、鉛直下向きに搬送される。図12では、強化繊維配列装置415〜方向転換ロール419まで強化繊維シート416は装置間を直線状に搬送される。なお、拡幅装置417、平滑化装置418は、目的に応じ公知のものを使用したり適宜スキップすることもできるし、装置を配置しないこともできる。また、強化繊維配列装置415、拡幅装置417、平滑化装置418の配列順序は目的に応じ適宜変更することもできる。強化繊維シート416は方向転換ロール419から鉛直下向きに走行し、強化繊維予熱装置420、塗布部430を経て方向転換ロール441に到達する。塗布部430は本発明の目的を達成する範囲で任意の塗布部形状を採用することができる。例えば、図2、図10〜図13のような形状が挙げられる。また、必要に応じ図9のようにブッシュを備えることもできる。さらに、図15のように、塗布部内にバーを備えることもできる。図12では、離型シート(上)供給装置442から巻き出された離型シート446を方向転換ロール441上で塗液含浸強化繊維シート、この場合はプリプレグ471に積層し、シート状一体物とすることができる。さらに、離型シート(下)供給装置443から巻き出された離型シート446を前記シート状一体物の下面に挿入することができる。ここでは、離型シートは離型紙や離型フィルムなどを用いることができる。これを高張力引取り装置444で引き取ることができる。図16では高張力引き取り装置444としてニップロールを描画している。その後、シート状一体物は熱板451と加熱ニップロール452を備えた追含浸装置450を経て、冷却装置461で冷却された後、引き取り装置462で引き取られ、上側の離型シート446を剥がした後、ワインダー464で巻き取り、製品となるプリプレグ/離型シートからなるシート状一体物472を得ることができる。方向転換ロール441からワインダー464までシート状一体物は基本直線状に搬送されるため、皺の発生を抑制することができる。なお、図16では、塗液供給装置、オンラインモニタリング装置の描画は省略してある。図16bは強化繊維ファブリックを強化繊維シートとして用いる場合の装置である。411bに巻出し装置、412bに強化繊維ファブリックロール、413bにニップロールを用いている以外は図16aと同じ構成である。
図17aは強化繊維シートとして、UD基材を用いた時の本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。図17aでは、クリール411aから強化繊維束414を引き出し、そのまま強化繊維配列装置415で強化繊維シート416を形成し、その後、拡幅装置417、平滑化装置418まで直線状に搬送され、その後、強化繊維シート416を上方に導く点が図16aとは異なる。このような構成とすることで、上方に装置を設置することが不要となり、足場などの設置を大幅に簡略化することができる。
図18aは強化繊維シートとして、UD基材を用いた時の本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。図18aでは、階上にクリール411aを設置し、強化繊維シート416の走行経路を更に直線化している。
図19aは強化繊維シートとして、UD基材を用いた時の本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。図16aで示した通常の追含浸装置の代わりに、簡易追含浸装置を用いた例を示している。図19aにおいては、簡易追含浸装置453は塗布部430の直下に設置されているため、塗液含浸強化繊維シート471が高温状態で簡易追含浸装置453に導かれるため、含浸装置を簡略化・小型化できる。図19aでは、一例として加熱ニップロール454を描画しているが、目的によっては、もちろん小型の加熱S字ロールでも良い。簡易追含浸装置を用いるとプリプレグ製造装置全体を非常にコンパクトにすることができることもメリットである。
図17a、図18a、図19aは、図16aと同様に強化繊維シートとして、UD基材を用いた時のプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図であったが、図17b、図18b、図19bのように411bに巻出し装置、412bに強化繊維ファブリックロール、413bにニップロールを用いていることで、図16bと同様に強化繊維ファブリックについても各装置用いることができる。
図20は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。図21では、高張力引き取り装置として高張力引取りS字ロール449、追含浸装置として “S−ラップロール”型の加熱S字ロール455を2ロール−2セット(合計4個)用いた例を描画しているが、ロール数は目的に応じ、もちろん増減できる。また、図19では含浸効果を高めるためのコンタクトロール456も描画しているが、目的により省略することももちろん可能である。
図21は本発明を用いたプリプレグの製造工程・装置の別の例の概略図である。この例では“S−ラップロール”型の加熱S字ロールを高張力引き取り装置と兼用する例を示している。プリプレグ製造装置全体を非常にコンパクトにすることができるメリットがある。
評価方法として以下の通りそれぞれ判断し、いずれにおいても「◎」「○」「△」を合格、「×」を不合格とした。
[走行安定性]
強化繊維シートの塗液付与部での走行安定性(連続生産性)を評価するため、60分間連続走行させ、毛羽詰まり・糸切れが全く無いものを「◎」、60分間連続走行させ、毛羽詰まり・糸切れは無かったが塗布部を分解して壁面部材21の接液面を目視で観察したとき、塗液の中に毛羽が目視で確認できたものを「○」、毛羽が詰まり糸切れしたものを「×」とした。
[繊維束の折れ]
強化繊維シートに端部の折れ・変形が全くみられないものを「◎」、問題となるほどではないが時折端部の折れ・変形が若干みられたものを「○」、60分連続走行において問題となる端部の折れ・変形がみられたが、その時間が30分以下であったものを「△」、60分連続走行において問題となる端部の折れ・変形がみられ、その時間が30分以上であったものを「×」とした。
[幅方向目付測定]
塗液含浸強化繊維シートを幅方向(シート走行方向と垂直方向)に、幅25mm×長手方向200mmの短冊状に切断していく。得られた短冊状シートの樹脂組成物の質量を、電子天秤によって小数点第三位まで計測し、樹脂組成物の質量を得る。この質量を短冊の面積によって割り返すことにより、1m当たりの樹脂組成物目付を得る。塗液含浸強化繊維シートの端部から反対の端部までこの操作を行い、両端部を除いて、得られた樹脂組成物目付の平均値、最大値、最小値を求め、「(最大値−最小値)÷平均値」を計算し、目付ばらつきを求めた。長手方向に1mおきにこの操作を合計3回行い、それぞれ求めた目付ばらつきの平均値をその樹脂含浸強化繊維シートの目付ばらつきとした。例えば350mm巾の樹脂シートであれば、14枚短冊が得られ、その両端部を除いて12枚分の各値を求めることになる。20%よりも大きい場合は「×」、10%より大きく20%以下は「○」、10%以下は「◎」とした。
[実施例1]
塗液には下記のエポキシ樹脂から構成される塗液Aを用いた。
塗布部は図2に示されるタイプの塗布部を用い、プリプレグ製造装置として図22記載の構成の装置(樹脂供給部は描画を省略)を用いた。塗布部20cは、液溜り部22および狭窄部23を形成する壁面部材21e、21fにはステンレス製のブロックを用い、また側板部材24a、24bにはステンレス製のプレートを用いた。さらに塗液を加温するため、壁面部材21e、21fおよび側板部材24a、24bの外周にプレートヒーターを貼り付け、熱電対で温度計測を行いながら、塗液の温度および粘度を調整し、塗布時の温度が90℃となるようにして実施した。強化繊維シート1aの走行方向は鉛直方向下向きZ、液溜り部22はテーパー状(テーパー開き角度60°、狭窄部上端から壁面上部の高さ(すなわちK)は200)のものを用いた。液溜まり部22の幅は306mmのものを用いた。狭窄部23の隙間Dは0.2mmとした。この場合、出口スリットのアスペクト比は1530となる。また、狭窄部出口から塗液が漏れないように、狭窄部出口下面においてブッシュより外側は塞いで使用した。さらに、強化繊維シート走行方向30mm、強化繊維シート幅方向30mmの立方体で各辺が曲率半径3mmによって加工されたブロックの、ブロックの最頂位置が0.8Mとなるように、壁面に図6の通り強化繊維シート走行方向および強化繊維シート幅方向に3個ずつ千鳥状に等間隔となるように接地した。そのときのブロック最下位置は0.3Kとした。
プリプレグの作製は、強化繊維として炭素繊維(東レ製、“トレカ(登録商標)”T800S(24K))を用い、塗液として後記する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を用い、上記装置によりCFRP用シート状プリプレグの作製を行った。また、強化繊維ボビン412aの数は作製するプリプレグに応じて変更を行ったが、特に断らない限り、56とした。
強化繊維シート1aは鉛直方向下向きに走行させ、液溜り部22および狭窄部23を通過させた。走行速度は20m/分とした。
クリール411aに掛けられた複数の強化繊維ボビン412aから強化繊維束414を引き出し、強化繊維配列装置415でUD基材としての強化繊維シート416を形成させ、方向転換ロール419で一旦上方に導いた。その後、強化繊維シート416は方向転換ロール419を経て、鉛直下向きに搬送され、強化繊維予熱装置420で塗布部温度以上に加熱され、塗布部430に導かれ、下記の塗液Aが塗布された。その後、塗布部430から塗液含浸強化繊維シート(プリプレグ)471が引き出され、方向転換ロール441上で上側離型シート446(この場合は離型紙)と積層され、高張力引取りS字ロール449で引き取られた。そして、高張力引取りS字ロール449の上部ロールに下側離型シート446(この場合は離型紙)が供給され、プリプレグを離型紙で挟んだシート状一体物が形成された。さらに、これが熱板451と加熱ニップロール452を備えた追含浸装置450に導かれ、場合により追含浸を行った。その後、冷却装置461を経て、上側離型紙を剥がし、シート状一体物472が巻き取られた。この時の各種安定走行評価項目を表1に示す。
<塗液>
熱硬化性エポキシ樹脂組成物(塗液A):
エポキシ樹脂(芳香族アミン型エポキシ樹脂+ビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物)、硬化剤(ジアミノジフェニルスルホン)、ポリエーテルスルホンの混合物であり、ポリマー粒子は含有していない。この熱硬化性エポキシ樹脂1の粘度をTA Instruments社製ARES−G2を用いて、測定周波数0.5Hz、昇温速度1.5℃/分で測定したところ、75℃で50Pa・s、90℃で15Pa・s、105℃で4Pa・sであった。
Figure 2020028846
[実施例2〜8]
ブロックについて、ブロックの幅、強化繊維シート垂線方向の最頂位置、強化繊維シート走行方向の最下位置、強化繊維シートの走行方向および幅方向のブロック個数を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様に評価を実施した。いずれの水準においても使用可能以上の評価のものを採取可能であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
図14は本発明とは別の実施形態の塗布部30の詳細横断面図である。本発明の実施形態とは異なり、図14の液溜り部32は鉛直方向下向きZに断面積が連続的に減少する領域を含まず、狭窄部23との境界33で断面積が断続的に(急激に)減少する構成である。この塗布部30を用いて、実施例1と同様の条件で強化繊維シート1aに塗液Aを付与したところ、走行速度20m/分での走行開始直後に強化繊維シート1aが塗布部30の内部で切断し、走行不可能となった。その後、塗布部30を分解して内部を確認したところ、液溜り部32と狭窄部23の境界33に大量の毛羽が詰まっていることを確認した。結果を表2に示す。
[比較例2]
ブロックを用いなかった以外は実施例1と同様に評価を実施した。走行安定性に問題は無かったものの、目付のばらつきが大きかった。結果を表2に示す。
[比較例3、4]
ブロックについて、ブロックの幅、強化繊維シート垂線方向の最頂位置、強化繊維シート走行方向の最下位置、強化繊維シートの走行方向および幅方向のブロック個数を表2の通りに変更した以外は実施例1と同様に評価を実施した。走行安定性に問題は無かったものの、目付のばらつきが大きかった。結果を表2に示す。
Figure 2020028846
[実施例9,10]
液溜まり部22の幅Lを表3の通りに変更した以外は実施例1と同様に評価を実施した。いずれの水準においても使用可能以上の評価のものを採取可能であった。結果を表3に示す。
Figure 2020028846
[実施例11、12]
幅規制機構として、図9記載のような塗布部内部形状に合わせた板状ブッシュ27を備えており、さらにこの板状ブッシュの設置位置自在に変更し、板状ブッシュの設置幅L2が表4の通りとなるようにした以外は実施例10と同様に実験を実施した。いずれの水準においても使用可能以上の評価のものを採取可能であった。結果を表4に示す。
Figure 2020028846
[実施例13]
図23の装置を用いて、強化繊維ファブリックとして下記の炭素繊維織物を300mm幅にカットした炭素繊維織物を用い、樹脂含浸強化繊維シートを作製した。強化繊維シートとして強化繊維ファブリックを用い、塗布部の狭窄部23の隙間Dを0.3mmとした以外は実施例12と同様に実験を実施した。つまり、隙間以外の塗布部や含浸部分、搬送巻き取り部分は実施例1と同じである。結果を表5に示す。使用可能以上の評価のものを採取可能であった。
<強化繊維ファブリック>
炭素繊維織物(東レ製“トレカ(登録商標)”クロス C6343B)
炭素繊維:トレカT300B(3K))
織組織:平織
経密度:12.5本/25mm 緯密度:12.5本/25mm
目付け:198g/m 厚み:0.23mm
Figure 2020028846
[実施例14]
液溜まり部22の幅を表4の通りに変更した以外は実施例13と同様に、樹脂含浸強化繊維シートを作製した。結果を表5に示す。使用可能以上の評価のものを採取可能であった。
[実施例15、16]
実施例1および実施例2で得られた300mm幅プリプレグ/離型紙からなるシート状一体物をスリットし、幅7mmのプリプレグテープを得た。これらのプリプレグテープは含浸が十分進んでいるため、スリッターのカッター刃への樹脂の付着は少ないものであった。
[実施例17〜20、参考例1]
実施例1〜4で得られたプリプレグ、プリプレグテープを6層積層し、オートクレーブを用いて180℃、6kgf/cm(0.588MPa)で2時間硬化させ、CFRPを得た(実施例18〜21)。得られたCFRPは何れも引っ張り強度が2.8GPa〜3.3GPaの範囲にあり、航空・宇宙用の構造材料として好適な機械特性を有していた。
また、実施例1で用いた炭素繊維および熱硬化性エポキシ樹脂1(塗液A)を用い、従来のホットメルト法で作製したプリプレグをオートクレーブを用いて180℃、6kgf/cm(0.588MPa)で2時間硬化させたCFRPの引っ張り強度2.92GPaであった(参考例1)。
なお、CFRP引っ張り強度は、WO2011/118106パンフレットと同様に測定を行い、プリプレグ中の強化繊維の体積%を56.5%に規格化した値を用いた。
本発明の製造方法で得られる塗液含浸強化繊維シートは、CFRPに代表されるFRPとして、航空・宇宙用途や自動車・列車・船舶などの構造材や内装材、圧力容器、産業資材用途、スポーツ材料用途、医療機器用途、筐体用途、土木・建築用途など広く適用することができる。
1 強化繊維
1a 強化繊維シート
1b 塗液含浸強化繊維シート
1c 強化繊維シートの走行方向
2 塗液
3 離型シート
11a クリール
11b 巻出し装置
12a 配列装置
12b ニップロール
13、14 搬送ロール
15 巻取り装置
16 離型シート供給装置
20 塗布部
20b 別の実施形態の塗布部
20c 別の実施形態の塗布部
20d 別の実施形態の塗布部
20e 別の実施形態の塗布部
21a、21b 壁面部材
21c、21d 別の形状の壁面部材
21e、21f 別の形状の壁面部材
21g、21h 別の形状の壁面部材
21i、21j 別の形状の壁面部材
22 液溜り部
22a 液溜り部のうち断面積が連続的に減少する領域
22b 液溜り部のうち断面積が減少しない領域
22c 液溜り部のうち断面積が断続的に減少する領域
23 狭窄部
24a、24b 側板部材
25 出口
26 隙間
27 板状ブッシュ
27a 幅規制機構の片端
27b 幅規制機構の27aと異なる片端
30 比較例1の塗布部
31a、31b 比較例1の壁面部材
32 比較例1の液溜り部
33 比較例1の液溜り部のうち断面積が断続的に減少する領域
35a、35b、35c バー
50 ブロック
51 強化繊維シート垂線方向のブロック最頂位置
52 狭窄部の出口の隙間を形成する壁面部材端部位置0
53 壁面位置M
55 強化繊維シート走行方向のブロック最下位置
56 狭窄部上端位置
57 壁面上端位置
58 強化繊維シート走行方向のブロック最上位置
100 塗工装置
B 液溜り部22の奥行き
C 液溜り部22の上部液面までの高さ
D 狭窄部の隙間
G 幅規制を行う位置
H 液溜り部22の断面積が連続的に減少する鉛直方向高さ
K 壁面高さ
L 液溜り部22の幅
L2 幅規制機構により規制される幅
M 壁面への距離
P ブロックの幅
R、Ra、Rb 渦流れ
T 循環流
T1a ブロックを設置していない時の外側の循環流
T2a ブロックを設置していない時の内側の循環流
T1b ブロックを設置した時の外側の循環流
T2b ブロックを設置した時の内側の循環流
T3 外側の循環流と内側の循環流が撹拌される箇所
T4 外側の循環流の壁面付近の流れ方向
U 液溜り部の壁面の垂線方向におけるブロックの高さ
V 液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート走行方向におけるブロックの長さ
W 狭窄部23の直下で測定した塗液含浸強化繊維シート1bの幅
Y 狭窄部23の幅
Z 強化繊維シート1aの走行方向(鉛直方向下向き)
θ テーパー部の開き角度
411a クリール
411b 巻出し装置
412a 強化繊維ボビン
412b 強化繊維ファブリックロール
413a 方向転換ガイド
413b ニップロール
414 強化繊維束
415 強化繊維配列装置
416 強化繊維シート
417 拡幅装置
418 平滑化装置
419 方向転換ロール
420 強化繊維予熱装置
430 塗布部
431 第1の塗布部
432 第2の塗布部
441 方向転換ロール
442 離型シート(上)供給装置
443 離型シート(下)供給装置
444 高張力引取り装置
445 方向転換ロール
446 離型シート
447 積層ロール
448 高張力引取り装置
449 高張力引取りS字ロール
450 追含浸装置
451 熱板
452 加熱ニップロール
453 簡易追含浸装置
454 加熱ニップロール
455 加熱S字ロール
456 コンタクトロール
461 冷却装置
462 引き取り装置
463 離型シート(上)巻取装置
464 ワインダー
471 プリプレグ(塗液含浸強化繊維シート)
472 プリプレグ/離型シート(シート状一体物)

Claims (18)

  1. 塗液が貯留された塗布部の内部に、強化繊維シートを、実質的に鉛直方向下向きに通過させて塗液を強化繊維シートに付与する塗液含浸強化繊維シートの製造方法であって、前記塗布部は互いに連通された液溜り部と狭窄部、および液溜り部の内部に設けられ、液溜り部の壁面に支持されたブロックを備え、前記液溜り部は強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部はスリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、強化繊維シート幅方向における液溜り部下部の幅Lに対して、強化繊維シート幅方向におけるブロックの幅Pが0.05L以上であり、液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート走行方向におけるブロックの長さが0.05K以上であることを特徴とする、塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  2. 強化繊維シートの走行方向において、狭窄部上端位置を0、液溜まり壁面上端位置をKとしたときに、ブロックの最下流位置が0.05K以上であり、強化繊維シート垂線方向において前記狭窄部の出口の隙間を形成する壁面部材端部位置を0、液溜まり壁面位置Mとしたときに、ブロック最頂位置が0.5M以上である請求項1に記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  3. ブロックが強化繊維シート幅方向および/または強化繊維シート走行方向に複数備えられる請求項1または2に記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  4. 強化繊維シート幅方向における液溜り部の下部の幅Lと、狭窄部の直下における強化繊維シートの幅Wが、
    L≦W+10(mm)
    を満たす、請求項1〜3の何れかに記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  5. 液溜り部内に強化繊維シートの幅を規制するための幅規制機構を備え、狭窄部の直下における強化繊維シートの幅(W)と該幅規制機構下端において幅規制機構により規制される幅(L2)との関係が、L2≦W+10(mm)を満たす、請求項1〜4の何れかに記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  6. 前記幅規制機構が前記液溜り部および狭窄部の全域にわたって具備されている請求項5に記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  7. 塗液が熱硬化性樹脂を含む請求項1〜6の何れかに記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  8. 塗液がポリマー粒子を含み、かつ、塗布部内における該塗液の温度を前記ポリマー粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)よりも20℃以上低い状態として塗液を強化繊維シートに付与する請求項1〜7の何れかに記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  9. 強化繊維シートを加熱した後、液溜り部に導く請求項1〜8の何れかに記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  10. 強化繊維シートを平滑化処理した後、液溜り部に導く請求項1〜9の何れかに記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  11. 強化繊維シートを拡幅処理した後、液溜り部に導く請求項1〜10の何れかに記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の塗液含浸強化繊維シートの製造方法により塗液含浸強化繊維シートを得て、得られた塗液含浸強化繊維シートの少なくとも片面に離型シートを付与してシート状一体物とした後、シート状一体物を引き取るシート状一体物の製造方法。
  13. シート状一体物を形成した後に追含浸を行う請求項12に記載のシート状一体物の製造方法。
  14. 強化繊維シートに塗液を付与する塗工装置であって、強化繊維シートを実質的に鉛直方向下向きに走行させる走行機構と、塗布機構を有し、前記塗布機構はその内部に塗液を貯留可能であり、さらに互いに連通された液溜り部と狭窄部、および液溜り部の内部に設けられ、液溜り部の壁面に支持されたブロックを備えており、前記液溜り部は、強化繊維シートの走行方向に沿って断面積が連続的に減少する部分を有し、前記狭窄部は、スリット状の断面を有し、かつ液溜り部上面よりも小さい断面積を有し、液溜り部下部の幅Lに対して、強化繊維シート幅方向におけるブロックの幅Pが0.05L以上であり、液溜り部の壁面に平行な平面のうち強化繊維シート走行方向におけるブロックの長さが0.05K以上であることを特徴とする、塗工装置。
  15. 強化繊維を配列し強化繊維シートを形成する機構と強化繊維シートを加熱する機構と請求項14に記載の塗工装置と離型シートの供給装置とニップロールおよび/またはS字ロールとワインダーとを備えたシート状一体物の製造装置。
  16. 請求項1〜13の何れかに記載の製造方法および/または請求項14もしくは15記載の製造装置により製造されたプリプレグ。
  17. 請求項16に記載のプリプレグをスリットしてなるプリプレグテープ。
  18. 請求項16に記載のプリプレグおよび/または請求項17に記載のプリプレグテープを成形してなる繊維強化複合材料。
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