JP2020027761A - 固体高分子電解質膜、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

固体高分子電解質膜、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】低加湿ないし無加湿条件であっても発電特性に優れる固体高分子形燃料電池を得ることができる固体高分子電解質膜、ならびにこれを備えた膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池の提供。【解決手段】イオン交換容量が1.2ミリ当量/g乾燥樹脂以上の含フッ素電解質ポリマーと、無機層状化合物とを含み、厚さが1〜15μmである固体高分子電解質膜15;触媒層11を有するアノード13と、触媒層11を有するカソード14と、アノード13とカソード14との間に配置された固体高分子電解質膜15とを備えた膜電極接合体10。【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子電解質膜、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池は、例えば、2つのセパレータの間に膜電極接合体を挟んでセルを形成し、複数のセルをスタックしたものである。膜電極接合体は、触媒層を有するアノード及びカソードと、アノードとカソードとの間に配置された固体高分子電解質膜とを備えたものである。
固体高分子形燃料電池には、燃料電池システムの簡素化や低コスト化のために、反応ガスの相対湿度が低い、低加湿ないし無加湿条件における運転が求められている。また、固体高分子形燃料電池には、低加湿ないし無加湿条件において充分な発電特性(出力電圧等)を発揮することが求められる。
低加湿ないし無加湿条件における発電特性が良好な固体高分子形燃料電池を得ることができる固体高分子電解質膜としては、イオン交換容量が0.9〜1.0ミリ当量/g乾燥樹脂である含フッ素電解質ポリマー(ナフィオン(登録商標))と無機層状化合物(モンモリロナイト)とを含む、厚さが50μm又は25μmの固体高分子電解質膜が提案されている(非特許文献1、2)。
A.Pozio,外4名,"Study on the Durability of Recast Nafion/Montmorillonite Composite Membranes in Low Humidification Conditions",International Journal of Electrochemistry,Volume 2011,Article ID 252031,5 pages He Xiuchong,外2名,"Synthesis and Performance of Water−Retention PEMs with Nafion−Intercalating−Montmorillonite Hybrid",Journal of Applied Polymer Science,第108巻,2008年,p.529−534
非特許文献1、2に記載の固体高分子電解質膜においては、無機層状化合物による保水効果によって、固体高分子電解質膜の抵抗が低くなるため、低加湿ないし無加湿条件における発電特性が良好な固体高分子形燃料電池を得ることができるものと考えられる。
固体高分子形燃料電池の発電特性をさらに向上させるためには、固体高分子電解質膜に含まれる含フッ素電解質ポリマーのイオン交換容量を高くし、固体高分子電解質膜の含水率を高め、固体高分子電解質膜の抵抗をさらに低くすることが考えられる。
しかし、本発明者らの検討によれば、イオン交換容量が高い含フッ素電解質ポリマーを含む厚さが25μmの固体高分子電解質膜に無機層状化合物を添加した場合、無機層状化合物による保水効果よりも、無機層状化合物による抵抗の上昇が大きくなる。そのため、イオン交換容量が高い含フッ素電解質ポリマーを含む場合、厚膜の固体高分子電解質膜では、無機層状化合物を添加しない場合に比べ、無機層状化合物を添加した方が低加湿ないし無加湿条件における発電特性はかえって低下してしまう。
本発明は、低加湿ないし無加湿条件であっても発電特性に優れる固体高分子形燃料電池を得ることができる固体高分子電解質膜、ならびにこれを備えた膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>イオン交換容量が1.2ミリ当量/g乾燥樹脂以上の含フッ素電解質ポリマーと、無機層状化合物とを含み、厚さが1〜15μmである、固体高分子電解質膜。
<2>加水分解性シリル基含有化合物、加水分解性シリル基含有化合物の加水分解物及び加水分解性シリル基含有化合物の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のシラン化合物をさらに含み、前記無機層状化合物の一部又は全部と、前記シラン化合物の一部又は全部とが反応していてもよい、前記<1>の固体高分子電解質膜。
<3>前記加水分解性シリル基含有化合物が、下式Iで表される化合物及び下式IIで表される化合物のいずれか一方又は両方を含む、前記<2>の固体高分子電解質膜。
Figure 2020027761
ただし、Rは、フッ素原子を有する1価の有機基であり、Rは、水素原子又はアルキル基であり、Qは、pが0のときは単結合又はアルキレン基であり、pが1のときはアルキレン基であり、Lは、加水分解性基であり、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基であり、pは、0又は1であり、mは、1〜3の整数であり、nは、1〜6であり、kは、1〜3の整数である。
<4>触媒層を有するアノードと、触媒層を有するカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された、前記<1>〜<3>のいずれかの固体高分子電解質膜とを備えた、膜電極接合体。
<5>前記<4>の膜電極接合体を備えた、固体高分子形燃料電池。
本発明の固体高分子電解質膜によれば、低加湿ないし無加湿条件であっても発電特性に優れる固体高分子形燃料電池を得ることができる。
本発明の膜電極接合体によれば、低加湿ないし無加湿条件であっても発電特性に優れる固体高分子形燃料電池を得ることができる。
本発明の固体高分子形燃料電池は、低加湿ないし無加湿条件であっても発電特性に優れる。
膜電極接合体の一例を示す模式断面図である。 膜電極接合体の他の例を示す模式断面図である。 水素及び空気ともに80℃、100%RHで供給したときの、電流密度に対する膜電極接合体のセル電圧を示すグラフである。 水素及び空気ともに95℃、20%RHで供給したときの、電流密度に対する膜電極接合体のセル電圧を示すグラフである。 固体高分子電解質膜の厚さに対する、無機層状化合物の有無によるセル電圧の差を示すグラフである。
本明細書においては、式u1で表される単位を、単位u1と記す。他の式で表される単位も同様に記す。
本明細書においては、式m1で表される化合物を、化合物m1と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「無機層状化合物」とは、結晶層間の結晶表面上に他の陽イオンと容易にイオン交換し得る陽イオンを有する層状の無機化合物を意味する。
「含フッ素電解質ポリマー」とは、フッ素原子及びイオン交換基を有するポリマーを意味する。
「イオン交換基」とは、該基に含まれる陽イオンの一部が、他の陽イオンに交換し得る基を意味する。イオン交換基としては、H、一価の金属カチオン、アンモニウムイオン等を有する基が挙げられる。
「加水分解性シリル基」とは、加水分解反応によってシラノール基(Si−OH)を形成し得る基を意味する。例えば、式I中のSiL 3−mである。
「単位」とは、モノマーの重合によって形成された該モノマーに由来する原子団を意味する。単位は、モノマーの重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーの処理によって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
<固体高分子電解質膜>
本発明の固体高分子電解質膜は、後述する含フッ素電解質ポリマーと、無機層状化合物とを含む。
本発明の固体高分子電解質膜は、後述するシラン化合物をさらに含んでいてもよい。固体高分子電解質膜がシラン化合物をさらに含む場合、無機層状化合物の一部又は全部と、シラン化合物の一部又は全部とが反応していてもよい。この場合、固体高分子電解質膜は、無機層状化合物とシラン化合物との反応生成物をさらに含む。
本発明の固体高分子電解質膜は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて必須成分以外の他の成分を含んでもよい。
固体高分子電解質膜の厚さは、1〜15μmであり、3〜12μmがより好ましく、5〜10μmがさらに好ましい。固体高分子電解質膜の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、固体高分子電解質膜にシワが発生しにくくなり、破断しにくい。固体高分子電解質膜の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、固体高分子電解質膜の抵抗が低くなりやすく、充分な出力電圧が得られやすい。
(含フッ素電解質ポリマー)
含フッ素電解質ポリマーのイオン交換容量は、1.2ミリ当量/g乾燥樹脂以上であり、1.3〜2.5ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、1.4〜2.2ミリ当量/g乾燥樹脂がより好ましい。含フッ素電解質ポリマーのイオン交換容量が前記範囲の下限値以上であれば、固体高分子電解質膜の抵抗が低くなりやすく、充分な出力電圧が得られやすい。含フッ素電解質ポリマーのイオン交換容量が前記範囲の上限値以下であれば、分子量の高いポリマーの合成が容易であり、また、電解質ポリマーが過度に水で膨潤しにくいため、機械的強度を保持しやすい。
含フッ素電解質ポリマーのイオン交換基としては、陽イオンがプロトンである酸型と、陽イオンが金属イオン、アンモニウムイオン等である塩型とが挙げられる。固体高分子形燃料電池用の固体高分子電解質膜の場合、通常、酸型のイオン交換基を有する含フッ素電解質ポリマーが用いられる。酸型のイオン交換基を有する含フッ素電解質ポリマーにおいては、イオン交換基のプロトンの一部は、セリウムイオン、マンガンイオン等にイオン交換されていてもよい。
酸型のイオン交換基としては、例えば、スルホン酸基、スルホンイミド基、スルホンメチド基、ホスホン酸基、カルボン酸基、ケトイミド基が挙げられ、酸性度が強く、化学的安定性の高い点から、スルホン酸基、スルホンイミド基又はスルホンメチド基が好ましく、スルホン酸基又はスルホンイミド基がより好ましく、スルホン酸基がさらに好ましい。
含フッ素電解質ポリマーとしては、固体高分子電解質膜の耐久性の点から、エーテル性酸素原子を含んでいてもよい、イオン交換基を有するペルフルオロカーボンポリマーが好ましい。
ペルフルオロカーボンポリマーとしては、固体高分子形燃料電池を運転する際に求められる化学的な安定性、プロトン伝導性、耐熱水性、機械的特性の点から、後述する単位u1及び単位u2のいずれか一方又は両方を有するポリマー(以下、ポリマーHという。)が好ましい。
ポリマーHは、ポリマーHの機械的特性及び化学的耐久性に優れる点から、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)に基づく単位(以下、TFE単位と記す。)をさらに有することが好ましい。
ポリマーHは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて単位u1、単位u2及びTFE単位以外の、他のモノマーに基づく構成単位(以下、他の単位と記す。)をさらに有していてもよい。
単位u1は、下式で表される。
Figure 2020027761
ただし、Qは、単結合、又はエーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であり、Yは、フッ素原子又は1価のペルフルオロ有機基であり、sは、0又は1であり、Rf1は、エーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキル基であり、Xは、酸素原子、窒素原子又は炭素原子であり、aは、Xが酸素原子の場合0であり、Xが窒素原子の場合1であり、Xが炭素原子の場合2であり、Zは、H、一価の金属イオン、又は1以上の水素原子が炭化水素基と置換されていてもよいアンモニウムイオンである。単結合は、CFYの炭素原子とSOの硫黄原子とが直接結合していることを意味する。有機基は、炭素原子を1以上含む基を意味する。
のペルフルオロアルキレン基がエーテル性酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子結合末端のうち、硫黄と結合する炭素原子結合末端には挿入されない。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。炭素数が6以下であれば、ポリマーHのイオン交換容量の低下が抑えられ、固体高分子電解質膜の抵抗の上昇が抑えられやすい。
f1のペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状が好ましい。
ペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基又はペルフルオロエチル基等が好ましい。
−SO(SOf1 としては、−SO 、−SON(SOf1、又は−SOC(SOf1 が挙げられる。
としては、フッ素原子又はトリフルオロメチル基が好ましい。
単位u1としては、ポリマーHの製造が容易であり、工業的実施が容易である点から、単位u1−1、単位u1−2、単位u1−3又は単位u1−4が好ましい。
Figure 2020027761
単位u2は、下式で表される。
Figure 2020027761
ただし、Q21は、エーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であり、Q22は、単結合、又はエーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基であり、Yは、フッ素原子又は1価のペルフルオロ有機基であり、tは、0又は1であり、Rf2は、エーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキル基であり、Xは、酸素原子、窒素原子又は炭素原子であり、bは、Xが酸素原子の場合0であり、Xが窒素原子の場合1であり、Xが炭素原子の場合2であり、Zは、H、一価の金属イオン、又は1以上の水素原子が炭化水素基と置換されていてもよいアンモニウムイオンである。単結合は、CYの炭素原子とSOの硫黄原子とが直接結合していることを意味する。有機基は、炭素原子を1以上含む基を意味する。
21、Q22のペルフルオロアルキレン基がエーテル性酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子結合末端のうち、硫黄と結合する炭素原子結合末端には挿入されない。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状が好ましい。ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。炭素数が6以下であれば、原料のモノマーの沸点が低くなり、蒸留精製が容易となる。また、炭素数が6以下であれば、ポリマーHのイオン交換容量の低下が抑えられ、固体高分子電解質膜の抵抗の上昇が抑えられる。
22としては、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基が好ましい。Q22がエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であれば、Q22が単結合である場合に比べ、長期にわたって固体高分子形燃料電池を運転した際に、発電特性の安定性に優れる。
f2のペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状が好ましい。ペルフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基又はペルフルオロエチル基が好ましい。
単位u2が2つ以上のRf2を有する場合、Rf2は、それぞれ同じ基であってもよく、それぞれ異なる基であってもよい。
−SO(SOf2 としては、−SO 、−SON(SOf2、又は−SOC(SOf2 が挙げられる。
としては、フッ素原子、又はエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖のペルフルオロアルキル基が好ましい。
単位u2としては、ポリマーHの製造が容易であり、工業的実施が容易である点から、単位u2−1、単位u2−2又は単位u2−3が好ましい。
Figure 2020027761
他の単位は、単位u1、単位u2及びTFE単位以外の、他のモノマーに基づく単位である。
他のモノマーとしては、例えば、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、エチレン、プロピレン、ペルフルオロα−オレフィン(ヘキサフルオロプロピレン等)、(ペルフルオロアルキル)エチレン((ペルフルオロブチル)エチレン等)、(ペルフルオロアルキル)プロペン(3−ペルフルオロオクチル−1−プロペン等)、ペルフルオロビニルエーテル(ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有アルキルビニルエーテル)等)、国際公開第2011/013578号に記載された5員環を有するペルフルオロモノマーが挙げられる。
ポリマーHは、単位u1、単位u2及び他の単位を、それぞれ一種ずつ有していてもよく、それぞれ二種以上有していてもよい。
ポリマーHにおける各単位の割合は、電解質ポリマーに要求されるイオン交換容量、プロトン伝導性、水素ガス透過性、耐熱水性、機械的特性等に応じて、適宜調整すればよい。
ポリマーHは、前駆体であるポリマーFの−SOF基をイオン交換基に変換して製造される。すなわち、ポリマーFは、ポリマーHの単位u1における−SO(SOf1 基が−SOF基に置換された構造、及びポリマーHの単位u2における−SO(SOf2 基が−SOF基に置換された構造のいずれか一方又は両方を有する。
ポリマーFは、化合物m1及び化合物m2のいずれか一方又は両方と、必要に応じてTFE、他のモノマーとの重合によって製造される。
化合物m1は、下式で表される。
Figure 2020027761
、Y、sは、単位u1におけるQ、Y、sと同様であり、好ましい形態も同様である。
化合物m1は、例えば、D.J.Vaugham著,”Du Pont Inovation”,第43巻、第3号,1973年、p.10に記載の方法、米国特許第4358412号明細書の実施例に記載の方法等、公知の合成方法によって製造できる。
化合物m2は、下式で表される。
Figure 2020027761
21、Q22、Y、tは、単位u2におけるQ21、Q22、Y、tと同様であり、好ましい形態も同様である。
化合物m2は、例えば、国際公開第2007/013533号に記載の方法等、公知の合成方法によって製造できる。
重合法としては、従来公知の方法が挙げられる。
ポリマーFの−SOF基をイオン交換基に変換する方法としては、国際公開第2011/013578号に記載の方法が挙げられる。例えば、−SOF基を酸型のスルホン酸基(−SO 基)に変換する方法としては、ポリマーFの−SOF基を塩基と接触させて加水分解して塩型のスルホン酸基とし、塩型のスルホン酸基を酸と接触させて酸型化して酸型のスルホン酸基に変換する方法が挙げられる。
(無機層状化合物)
無機層状化合物は、固体高分子電解質膜における保水効果を有する。保水効果には、無機層状化合物自体の保水効果があるが、さらに、固体高分子電解質膜内の水の透過を膜面方向に配向した無機層状化合物が阻害することによる効果があると考えられる。
無機層状化合物は、結晶層間の結晶表面上に他の陽イオンと容易にイオン交換し得る陽イオンを有する。陽イオンとしては、ナトリウム、カルシウム等の金属イオンや四級アンモニウム等の有機カチオンが挙げられる。これらの陽イオンは他の陽イオンと容易にイオン交換され、無機層状物質の結晶層間にカチオン性を有する種々の物質が挿入される。
無機層状化合物としては、例えば、スメクタイト、カオリナイト、セリサイト、グローコナイト、クロライト、タルク、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、α形の結晶質リン酸ジルコニウム、γ形の結晶質リン酸ジルコニウムが挙げられる。
スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトが挙げられる。
無機層状化合物としては、分散性さらには成膜性の点から、モンモリロナイトが好ましい。
無機層状化合物は、天然物であってもよく、合成物であってもよい。
無機層状化合物は、酸処理によって金属イオン又は有機カチオンがプロトンに置換された化合物であってもよい。
無機層状化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(シラン化合物)
本発明におけるシラン化合物は、加水分解性シリル基含有化合物、該加水分解性シリル基含有化合物の加水分解物及び該加水分解性シリル基含有化合物の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
固体高分子電解質膜がシラン化合物を含むことによって、含フッ素電解質ポリマー内に無機層状化合物が良好に分散される。
加水分解性シリル基含有化合物は、後述する液状媒体と長時間混合していると、加水分解反応による加水分解物や、加水分解性シリル基含有化合物又は該加水分解物における、分子内又は分子間の縮合反応による縮合物を生成することがある。加水分解性シリル基含有化合物の縮合物には、加水分解性シリル基含有化合物又は該加水分解物における、分子内又は分子間の縮合反応による生成物が含まれる。
加水分解性シリル基含有化合物は、含フッ素電解質ポリマーへの無機層状化合物の分散性がさらに優れる点から、化合物I及び化合物IIのいずれか一方又は両方を含むことが好ましく、化合物Iを含むことがより好ましい。
Figure 2020027761
ただし、Rは、フッ素原子を有する1価の有機基であり、Rは、水素原子又はアルキル基であり、Qは、pが0のときは単結合又はアルキレン基であり、pが1のときはアルキレン基であり、Lは、加水分解性基であり、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基であり、pは、0又は1であり、mは、1〜3の整数であり、nは、1〜6であり、kは、1〜3の整数である。
2つのRは、同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
としては、原料の入手性の点から、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロエーテル基が好ましく、下式IIIで表される基又は下式IVで表される基がより好ましい。
−(CFX 式III
−CF(CF)−(OCFCF(CF))−OC 式IV
ただし、Xは、水素原子又はハロゲン原子であり、qは、1〜15の整数であり、rは、0〜8の整数である。
式IIIで表される基としては、化合物I又は化合物IIの原料を入手しやすい点から、−(CFF、−(CFF、−(CFF、−(CFF又は−(CFFが好ましい。
式IVで表される基としては、化合物I又は化合物IIの原料を入手しやすい点から、−CF(CF)OC、−CF(CF)OCFCF(CF)OC又は−CF(CF)(OCFCF(CF))OCが好ましい。
としては、pが0のときは、化合物Iの原料を入手しやすい点から、水素原子が好ましい。
としては、pが1のときは、化合物Iの原料を入手しやすい点から、水素原子又はメチル基が好ましい。
Qとしては、pが0のときは、化合物Iの原料を入手しやすい点から、単結合又はメチレン基が好ましく、本発明の効果が充分に発揮される点から、単結合がより好ましい。
Qとしては、pが1のときは、化合物Iの原料を入手しやすい点から、プロピレン基が好ましい。
Lは、加水分解反応によって水酸基となる基である。すなわち、化合物I又は化合物IIの末端のSi−Lは、加水分解反応によってシラノール基(Si−OH)となる。シラノール基は、分子内又は分子間で反応してSi−O−Si結合を形成する。また、シラノール基は、無機層状化合物と反応して、化学結合(無機層状化合物−O−Si)を形成する。Lとしては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、イソシアネート基が挙げられる。
Lとしては、化合物I又は化合物IIの原料を入手しやすい点から、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子が特に好ましい。Lとしては、塗布時のアウトガスが少なく、化合物I又は化合物IIの保存安定性に優れる点から、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、化合物I又は化合物IIの長期の保存安定性が必要な場合にはエトキシ基がより好ましく、塗布後の反応時間を短時間とする場合にはメトキシ基がより好ましい。
の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリル基が挙げられる。
としては、1価の炭化水素基が好ましく、1価の飽和炭化水素基がより好ましい。1価の飽和炭化水素基の炭素数は、化合物Iの原料を入手しやすい点から、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。
pとしては、本発明の効果が充分に発揮される点から、0が好ましい。
mとしては、本発明の効果が充分に発揮される点から、2又は3が好ましく、3がより好ましい。
nとしては、本発明の効果が充分に発揮される点から、2又は3が好ましく、2がより好ましい。
kとしては、本発明の効果が充分に発揮される点から、1〜3の整数が好ましく、2〜3の整数がより好ましい。
化合物Iは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
化合物IIは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
化合物Iは、化合物V(過酸化フルオロアルカノイル)と、化合物VIとを、溶媒(ハロゲン化脂肪族炭化水素等)中で反応させることによって製造できる。式Iにおけるnは、化合物VIの重合度に相当する。
C(O)O−OC(O)R 式V
CH=CR−(C(O)O)−Q−SiL 3−m 式VI
化合物Vとしては、合成原料のRCOF、RCOCl又は(RCO)Oの入手しやすさの点から、下記のものが好ましい。
F(CFC(O)O−OC(O)(CFF、
F(CFC(O)O−OC(O)(CFF、
F(CFC(O)O−OC(O)(CFF、
F(CFC(O)O−OC(O)(CFF、
F(CFC(O)O−OC(O)(CFF、
OCF(CF)C(O)O−OC(O)CF(CF)OC
OCF(CF)CFOCF(CF)C(O)O−OC(O)CF(CF)OCFCF(CF)OC
O(CF(CF)CFO)CF(CF)C(O)O−OC(O)CF(CF)(OCFCF(CF))OC
化合物VIとしては、入手しやすさの点から、下記のものが好ましい。
CH=CHSi(OCH
CH=CHSi(OC
CH=CHSi(OC(O)CH
CH=CHCHSi(OC
CH=CHC(O)OCSi(OCH
CH=C(CH)C(O)OCSiCH(OCH
CH=C(CH)C(O)OCSi(OCH
CH=C(CH)C(O)OCSiCH(OC
CH=C(CH)C(O)OCSi(OC
化合物VIとしては、本発明の効果が充分に発揮される点から、CH=CH−Si(OCHがより好ましい。
(他の成分)
他の成分としては、例えば、保水性やプロトン伝導性を有する添加剤、強化材が挙げられる。
添加剤としては、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、層状構造を有しないリン酸ジルコニウム、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、シリコタングステン酸が挙げられる。
強化材としては、例えば、繊維状フィラー(ガラス繊維、セラミック繊維、石英繊維、シリカ繊維、高分子繊維等)が挙げられる。
含フッ素電解質ポリマーの含有量は、固体高分子電解質膜に対して、70.0〜99.7質量%が好ましく、82.0〜99.3質量%がより好ましく、90.0〜98.5質量%がさらに好ましい。含フッ素電解質ポリマーの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、含フッ素電解質ポリマー以外の成分による固体高分子電解質膜の抵抗の上昇を抑えやすい。含フッ素電解質ポリマーの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、含フッ素電解質ポリマー以外の成分による効果が発現しやすい。
シラン化合物、無機層状化合物、及びシラン化合物と無機層状化合物との反応生成物の合計の含有量は、固体高分子電解質膜に対して、0.3〜30.0質量%が好ましく、0.7〜18.0質量%がより好ましく、1.5〜10.0質量%がさらに好ましい。合計の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、本発明の効果が充分に発現される。合計の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、固体高分子電解質膜の抵抗の上昇が抑えられやすい。
無機層状化合物の含有量は、固体高分子電解質膜に対して、0.2〜20.0質量%が好ましく、0.5〜10.0質量%がより好ましく、1.0〜5.0質量%がさらに好ましい。無機層状化合物の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、本発明の効果が充分に発現される。無機層状化合物の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、固体高分子電解質膜の抵抗の上昇が抑えられやすい。
シラン化合物の含有量は、固体高分子電解質膜に対して、0.1〜10.0質量%が好ましく、0.2〜8.0質量%がより好ましく、0.5〜5.0質量%がさらに好ましい。シラン化合物の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、含フッ素電解質ポリマー内に無機層状化合物を分散させやすい。シラン化合物の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、シラン化合物の添加による抵抗の上昇が抑えられやすい。
他の成分の含有量は、固体高分子電解質膜に対して、30.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以下がより好ましい。
固体高分子電解質膜は、補強材で補強されていてもよい。補強材としては、例えば、多孔体、繊維、織布、不織布が挙げられる。補強材の材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィドが挙げられる。
(固体高分子電解質膜の製造方法)
固体高分子電解質膜は、例えば、後述する液状組成物を製膜して製造できる。
液状組成物を用いて固体高分子電解質膜を製膜する方法としては、具体的には、液状組成物を基材フィルム又は触媒層の表面に塗布し、乾燥させる方法(キャスト法)が挙げられる。
固体高分子電解質膜を製膜する際の液状組成物の乾燥温度は、10〜95℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。乾燥温度が前記範囲の下限値以上であれば、液状媒体を蒸発させやすく、固体高分子電解質膜を乾燥させやすい。乾燥温度が前記範囲の上限値以下であれば、液状媒体の急激な蒸発や沸騰による固体高分子電解質膜の欠陥が生じにくい。
固体高分子電解質膜は、熱水に接触したときの膨潤度を低下させるために加熱処理されていることが好ましい。加熱処理の温度は、110〜220℃が好ましく、140〜200℃がより好ましい。前記範囲の下限値以上であれば、固体高分子電解質膜の熱水耐性が向上しやすい。前記範囲の上限値以下であれば、イオン交換基の熱分解が抑えられやすい。特に、固体高分子電解質膜を160℃よりも高い温度で加熱処理をすると、膜面方向の寸法変化が抑えられやすく、膜の皺が発生しにくく、機械的な耐久性が向上しやすい。
固体高分子電解質膜は、無機層状化合物の金属イオン又は有機カチオンをプロトンに置換するために、酸処理されていてもよい。無機層状化合物が金属イオン又は有機カチオンを有する場合、無機層状化合物の金属イオン又は有機カチオンと、含フッ素電解質ポリマーのプロトンとがイオン交換し、固体高分子電解質膜のプロトン伝導率が低下するおそれがある。なお、固体高分子電解質膜を薄膜化することによって、固体高分子電解質膜内の無機層状化合物の添加量が低下するため、無機層状化合物の金属イオン又は有機カチオンによる影響が抑えられる。
(液状組成物)
液状組成物は、含フッ素電解質ポリマー、無機層状化合物及び液状媒体を含む。
液状組成物は、シラン化合物をさらに含んでいてもよい。
液状組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて必須成分以外の他の成分を含んでもよい。
液状媒体は、含フッ素電解質ポリマー、無機層状化合物及びシラン化合物の分散性が良好である点から、水を含む、又は水及びアルコールを含むことが好ましい。
アルコールとしては、炭素数1〜4の分岐又は直鎖のアルキル基、又は炭素数1〜4の分岐又は直鎖のポリフルオロアルキル基を有するアルコールが好ましい。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノールが挙げられる。アルコールは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
水のアルコールに対する質量比は、100/0〜5/95が好ましく、70/30〜30/70がより好ましい。水のアルコールに対する質量比が前記範囲内であれば、膜製造時の乾燥速度が速くなりやすく、無機層状化合物の分散性が良好となりやすい。
液状媒体に対する水とアルコールの合計の割合は、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。合計の割合が前記範囲内であれば、含フッ素電解質ポリマー及び無機層状化合物の分散性が良好となりやすい。
液状媒体は、水とアルコール以外のその他の液状媒体を含んでもよい。その他の液状媒体としては、例えば、1H,4H−ペルフルオロブタン、1H−ペルフルオロヘキサン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン等のハイドロフルオロカーボン;3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等のハイドロクロロフルオロカーボン;1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、メチルノナフルオロブチルエーテル等のハイドロフルオロエーテル;1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン等のハイドロフルオロシクロアルカン等の含フッ素溶媒が挙げられる。これらの含フッ素溶媒の一種又は二種以上を添加することによって、液状組成物の粘度を調整できる。
液状媒体に対するその他の液状媒体の割合は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、0質量%がさらに好ましい。その他の液状媒体の割合が前記範囲内であれば、無機層状化合物の分散性を阻害しにくい。また、本発明においては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール等の高沸点溶媒の添加を必要としないが、これらの溶媒を添加してもよい。
液状組成物中の固形分濃度は、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。固形分濃度が前記範囲の下限値以上であれば、液状組成物の粘度が高くなりやすく、液状組成物を塗布した際に液状組成物が必要以上に広がりにくく、所望の厚さの膜を得やすい。固形分濃度が前記範囲の上限値以下であれば、液状組成物の流動性を確保しやすく、均一な厚さの膜を得やすい。
固形分に対する含フッ素電解質ポリマーの含有量、無機層状化合物の含有量、シラン化合物の含有量及び他の成分の含有量は、固体高分子電解質膜における各成分の含有量と同様である。
液状組成物は、含フッ素電解質ポリマー、無機層状化合物及び液状媒体、必要に応じてシラン化合物を混合して調製できる。
液状組成物がシラン化合物を含む場合、液状媒体と、含フッ素電解質ポリマーと、無機層状化合物と、シラン化合物とを同時に混合してもよく;液状媒体と、含フッ素電解質ポリマー、無機層状化合物及びシラン化合物からなる群から選ばれる一種又は二種とを混合し、得られた混合液と残りの成分とを一括で又は順次混合してもよい。
無機層状化合物を液状媒体中に良好に分散できる点から、無機層状化合物とシラン化合物と液状媒体とを混合して混合液を調製し、混合液と含フッ素電解質ポリマーとを混合することが好ましく;シラン化合物と液状媒体とを混合して第1の混合液を調製し、第1の混合液と無機層状化合物とを混合して第2の混合液を調製し、第2の混合液と含フッ素電解質ポリマーの分散液とを混合することが好ましい。
(作用機序)
非特許文献1、2に記載の固体高分子電解質膜においては、含フッ素電解質ポリマーのイオン交換容量が低く、固体高分子電解質膜の含水率が低いため、無機層状化合物による保水効果が充分に発現する。すなわち、イオン交換容量が低い含フッ素電解質ポリマーを含む固体高分子電解質膜は、もともと含水率が低く、抵抗が大きいため、水分が増えたときの抵抗の低下幅が大きい。そのため、無機層状化合物の添加による抵抗の上昇よりも無機層状化合物の保水効果による抵抗の低下が大きい。
一方、イオン交換容量が高い含フッ素電解質ポリマーを含む固体高分子電解質膜は、もともと含水率が高く、抵抗が小さいため、水分が増えたときの抵抗の低下幅は小さい。厚膜の固体高分子電解質膜においては、無機層状化合物の保水効果による抵抗の低下よりも無機層状化合物の添加による抵抗の上昇が大きくなると考えられる。しかしながら、本発明では、固体高分子電解質膜の厚さを15μm以下とすることによって、無機層状化合物による抵抗の上昇が抑えられて、固体高分子形燃料電池における出力電圧を高めることができる。これには、カソードの電極反応で生成する水が固体高分子電解質膜の薄膜に浸透して膜抵抗を低減する効果が寄与していると考えられる。
このように、本発明の固体高分子電解質膜にあっては、厚さを15μm以下とすることによって、(i)高いイオン交換容量(高い含水率)による抵抗の低下、(ii)無機層状化合物の保水効果による抵抗の低下及び(iii)薄厚化による抵抗の低下の3つの効果を同時に引き出すことができ、その結果、低加湿ないし無加湿条件であっても発電特性に優れる固体高分子形燃料電池が得られる。
また、本発明の固体高分子電解質膜にあっては、無機層状化合物を含むため、水素ガスを透過しにくい。したがって、本発明の固体高分子電解質膜を用いた固体高分子形燃料電池においては、燃料のクロスリークが抑えられることが期待される。
<膜電極接合体>
本発明の膜電極接合体は、触媒層を有するアノードと、触媒層を有するカソードと、アノードとカソードとの間に配置された本発明の固体高分子電解質膜とを備える。
図1は、膜電極接合体の一例を示す模式断面図である。膜電極接合体10は、触媒層11及びガス拡散層12を有するアノード13と、触媒層11及びガス拡散層12を有するカソード14と、アノード13とカソード14との間に、触媒層11に接した状態で配置された固体高分子電解質膜15とを具備する。
触媒層は、触媒と電解質ポリマーとを含む層である。
触媒としては、カーボン担体に白金又は白金合金を担持した担持触媒が挙げられる。
カーボン担体としては、例えば、カーボンブラック粉末、グラファイト化カーボン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブが挙げられる。
電解質ポリマーとしては、触媒層に用いられる公知の電解質ポリマーが挙げられ、クラックが入りにくい触媒層を形成できる点から、TFE単位と、単位u1及び単位u2のいずれか一方又は両方とを有するポリマーが好ましい。
ガス拡散層は、触媒層に均一にガスを拡散させる機能及び集電体としての機能を有する。
ガス拡散層としては、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトが挙げられる。
ガス拡散層は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」とも記す。)等によって撥水化処理されていることが好ましい。
固体高分子電解質膜は、本発明の固体高分子電解質膜である。
図2に示すように、膜電極接合体10は、触媒層11とガス拡散層12との間にカーボン層16を有してもよい。
カーボン層を配置することによって、触媒層の表面のガス拡散性及び発電により生成した水の排水性が向上し、固体高分子形燃料電池の発電特性が大きく向上しやすい。カーボン層は、アノード及びカソードのいずれか一方の触媒層とガス拡散層との間に配置されていてもよく、アノード及びカソードの両方の触媒層とガス拡散層との間に配置されていてもよい。
カーボン層は、カーボンと非イオン性含フッ素ポリマーとを含む層である。
カーボンとしては、例えば、カーボン粒子、カーボンファイバーが挙げられ、繊維径1〜1,000nm又は繊維長1,000μm以下のカーボンナノファイバーが好ましい。
非イオン性含フッ素ポリマーとしては、例えば、PTFEが挙げられる。
膜電極接合体10は、触媒層11とガス拡散層12との間に中間層を有していてもよい。中間層は、触媒層11とカーボン層16の間に配置されてもよい。
中間層を配置することによって、触媒層と、ガス拡散層又はカーボン層との接着強度が高まり、膜電極接合体としての機械的強度が向上するとともに、湿潤環境下での触媒層からの排水及び乾燥下での保湿により固体高分子形燃料電池の発電特性が大きく向上しやすい。
中間層は、電解質ポリマーと炭素材料とを含む。
電解質ポリマーとしては、触媒層や固体高分子電解質膜に含まれる電解質ポリマーと同様のものが挙げられ、工業的実施が容易な点から、TFE単位と単位u1とを有するポリマーが好ましい。
炭素材料としては、炭素繊維が好ましい。微細でかつ電子伝導性を有する点から、カーボンナノファイバーが好ましい。カーボンナノファイバーとしては、例えば、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ(シングルウォール、ダブルウォール、マルチウォール、カップ積層型等)が挙げられる。
膜電極接合体は、本発明の製造方法によって得られた固体高分子電解質膜を用いて、例えば、国際公開第2008/090990号、国際公開第2009/116630号等に記載される従来公知の方法によって製造できる。
中間層は、例えば、国際公開第2009/116630号に記載の従来公知のものを用いて、従来公知の方法により、ガス拡散層上に形成できる。
<固体高分子形燃料電池>
膜電極接合体の両面に、ガスの流路となる溝又は多数の孔が形成されたセパレータを配置することによって、固体高分子形燃料電池が得られる。
セパレータとしては、金属製セパレータ、カーボン製セパレータ、黒鉛と樹脂を混合した材料からなるセパレータ等、各種導電性材料からなるセパレータが挙げられる。
該固体高分子形燃料電池においては、カソードに酸素を含むガス、アノードに水素を含むガスを供給することによって、発電が行われる。また、アノードにメタノールを供給して発電するメタノール燃料電池にも、膜電極接合体を適用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例1、2は実施例であり、例3〜6、8は比較例であり、例7は参考例である。
(TQ)
TQ(単位:℃)は、ポリマーHの分子量の指標であり、長さ1mm、内径1mmのノズルを用い、2.94MPaの押出し圧力の条件で前記ポリマーHの前駆体であるポリマーFの溶融押出しを行った際の押出し量が100mm/秒となる温度である。ポリマーの押し出し量は、フローテスタCFT−500D(島津製作所社製)を用いて測定した。
(水素ガス透過係数)
固体高分子電解質膜をガス透過装置用セルに組み込んだ。80℃の条件下、セル有効ガス透過面積9.6cm、ガス流量30cm/minの条件で、固体高分子電解質膜の一方に湿度を調節した水素ガスを流し、固体高分子電解質膜の他方に湿度を調節したアルゴンガスを流した。アルゴンガス側に透過してくる水素ガスを、ガスクロマトグラフィで検出し、室温、1気圧の体積に換算した水素ガス透過量を測定した。得られた水素ガス透過量を用いて、膜面積1cm、透過ガスの圧力差1Paあたり、1秒間に透過するガスの流量を求め、厚さ1cmの膜に換算した値を固体高分子電解質膜の水素ガス透過係数とした。
(含水率)
固体高分子電解質膜を80℃の温水に16時間浸漬した後、水温が25℃以下になるまで冷却した。固体高分子電解質膜を取り出し、膜の表面に付着した水をろ紙でふき取り、固体高分子電解質膜の質量W1を測定した。固体高分子電解質膜を真空下アクリルケース内で一晩乾燥した後、固体高分子電解質膜の質量W2を測定した。下式から含水率を求めた。サンプル数を3とし、平均値を求めた。
含水率=(W1−W2)/W2×100
(セル電圧)
膜電極接合体を発電用セルに組み込み、発電用セル中の膜電極接合体の温度を80℃に維持し、アノードに水素(利用率:70%)、カソードに空気(利用率:50%)を、それぞれ151kPa(絶対圧)にて供給した。水素及び空気ともに80℃、相対湿度100%RHで供給し、電流密度を変化させながらセル電圧を測定した。また、発電用セル中の膜電極接合体の温度を95℃に維持し、アノードに水素(利用率:70%)、カソードに空気(利用率:50%)を、それぞれ151kPa(絶対圧)にて供給した。水素及び空気ともに95℃、相対湿度20%RHで供給し、電流密度を変化させながらセル電圧を測定した。
(ポリマーH)
ポリマーH−1:TFE単位と単位u1−1(ただしZはHである。)とを有するコポリマー(イオン交換容量:1.44ミリ当量/g乾燥樹脂、ポリマーH−1の前駆体であるポリマーF(側鎖の官能基は−SOH型に変換する前の−SOF型)のTQ:210℃)。
ポリマーH−2:TFE単位と単位u1−1(ただしZはHである。)とを有するコポリマー(イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂、ポリマーH−2の前駆体であるポリマーFのTQ:225℃。
(化合物I)
J.CHEM.SOC.,CHEM.COMMUN.,1991(10),677−678に記載の方法で化合物I−1を得た。式I−1中のnが2の化合物とnが3の化合物とのモル比が86:14の混合物であった。
Figure 2020027761
(触媒層)
カーボン粉末に白金を46質量%担持した触媒(田中貴金属工業社製、商品名:TEC10E50E)の44gに、水の221.7g、エタノールの174.2gを加え、超音波ホモジナイザーを用いて混合粉砕し、触媒の分散液を得た。
ポリマーH−2を、固形分濃度が25.8%となるようにエタノール/水=60/40(質量比)の混合溶媒に分散させた分散液の80.16g、エタノールの44.4g及びゼオローラ−H(日本ゼオン製、商品名)の25.3gをあらかじめ混合、混練して混合液を得た。該混合液の102.06gを触媒の分散液に加え、さらに固形分濃度が10質量%となるように、水の26.77g、エタノールの12gを加えて超音波ホモジナイザーを用いて混合し、触媒層形成用塗工液を得た。触媒層形成用塗工液を、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(以下、「ETFE」とも記す。)シート(旭硝子社製、商品名:アフレックス100N、厚さ:100μm)の表面にダイコーターで塗布し、80℃で乾燥させ、さらに160℃で30分の熱処理を施して、白金量が0.4mg/cmの触媒層付きETFEシートを作製した。
(中間層付きガス拡散基材の作製)
ポリマーH−2を、固形分濃度が25.8質量%となるようにエタノール/水=60/40(質量比)の混合溶媒に分散させた分散液を調製した。
気相成長炭素繊維(商品名:VGCF−H、昭和電工社製;繊維径約150nm、繊維長10〜20μm)50gにエタノール76.9g及び蒸留水151.2gを添加し、よく撹拌した。これに、前記分散液96.9gを添加してよく撹拌し、さらに超音波ホモジナイザーを用いて混合、粉砕させて中間層形成用塗布液を調製した。
ガス拡散基材(NOK社製、商品名:X0086 T10X13)の表面に中間層形成用塗布液を、固形分量が3mg/cmとなるようにダイコーターを用いて塗工し、80℃で乾燥し、前記ガス拡散基材の表面に中間層が形成された中間層付きガス拡散基材を作製した。
(例1)
ポリマーH−1を、固形分濃度が25質量%となるように水/エタノール=40/60(質量比)の混合溶媒に分散させ、分散液Aを得た。
100mLバイアル瓶に化合物I−1の300mgを量りとり、孔径5μmのフィルタを通過した水/エタノール=40/60(質量比)の混合溶媒の50mLを加え、撹拌子によってスターラ上で1分程度撹拌した。
バイアル瓶にモンモリロナイトを主成分とする無機層状化合物(クニミネ工業社製、クニピア−M、主成分:モンモリロナイト)の300mgを加え、回転数を1000rpmとして5時間撹拌した。
バイアル瓶に分散液Aの37.7gを加え、回転数を1000rpmとして撹拌子によってスターラ上で11日間撹拌して液状組成物を得た。
得られた液状組成物を水/エタノール=40/60(質量比)の混合溶媒を用いて100倍(質量比)に希釈して粒子サイズを動的光散乱測定装置(大塚電子社製、ELSZ−2000)により測定したところ、コンティン法により解析した平均粒子サイズは1.2μmであった。
同様な仕込み比により、他の100mLバイアル瓶5本を用い、同じ液状組成物を調製した。
液状組成物をETFEシートの表面にダイコーターで塗布し、40℃で1.5分間、50℃で1.5分間、120℃で3分間乾燥し、さらに150℃で15分間の加熱処理を施し、固体高分子電解質膜付きETFEシートを得た。固体高分子電解質膜の厚さを表1に示す。
固体高分子電解質膜付きETFEシートから、ETFEシートを剥離し、固体高分子電解質膜の両面に触媒層付きETFEシートを、触媒層と固体高分子電解質膜とが接するように配置した。温度160℃、時間2分、圧力3MPaの条件で加熱プレスして、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を接合した。触媒層のETFEシートを剥離して電極面積25cmの膜触媒層接合体を得た。
前記膜触媒層接合体に、アノード側触媒層にカーボン層付きガス拡散基材(NOK社製、商品名:X0086 IX92 CX320)のカーボン層が接するように配置し、カソード側の触媒層に前記中間層付きガス拡散基材の中間層が接するように配置した後、プレス温度160℃、プレス時間2分、圧力3MPaで加熱プレスして膜電極接合体を得た。電流密度に対する膜電極接合体のセル電圧を図3、図4に示す。
(例2〜3)
固体高分子電解質膜の厚さを表1に示す厚さに変更した以外は、例1と同様にして固体高分子電解質膜を得た。例3については、固体高分子電解質膜の水素ガス透過係数を表2に示す。
固体高分子電解質膜を変更した以外は、例1と同様にして膜電極接合体を得た。電流密度に対する膜電極接合体のセル電圧を図3、図4に示す。
(例4)
分散液AをETFEシートの表面にダイコーターで塗布し、40℃で1.5分間、50℃で1.5分間、120℃で3分間乾燥し、さらに150℃で15分間の加熱処理を施し、固体高分子電解質膜付きETFEシートを得た。固体高分子電解質膜の厚さを表1に示す。
固体高分子電解質膜を変更した以外は、例1と同様にして膜電極接合体を得た。電流密度に対する膜電極接合体のセル電圧を図3、図4に示す。
(例5〜6)
固体高分子電解質膜の厚さを表1に示す厚さに変更した以外は、例4と同様にして固体高分子電解質膜を得た。例6については、固体高分子電解質膜の水素ガス透過係数を表2に示す。
固体高分子電解質膜を変更した以外は、例1と同様にして膜電極接合体を得た。電流密度に対する膜電極接合体のセル電圧を図3、図4に示す。
同じ厚さの固体高分子電解質膜について、無機層状化合物を含むもの(例1〜3)と無機層状化合物を含まないもの(例4〜6)とで、95℃、相対湿度20%RHの条件下の電流密度が1Acm−1のときのセル電圧の差を求めた。固体高分子電解質膜の厚さに対するセル電圧の差のグラフを図5に示す。グラフからわかるように、固体高分子電解質膜の厚さが15μm以下のときに、無機層状化合物を含む固体高分子電解質膜のセル電圧が、無機層状化合物を含まない固体高分子電解質膜に比べ充分に大きくなっており、無機層状化合物による効果が充分に発現している。
(例7)
ポリマーH−1を、固形分濃度が19.9質量%となるように水/エタノール=50/50(質量比)の混合溶媒に分散させ、分散液Bを得た。
化合物I−1の30mgを量りとり、そこに水/エタノール=50/50(質量比)の混合溶媒の15mLを加え、化合物I−1を溶解させた。次いで、この溶液にクニピア−Mの30mgを添加し、5時間撹拌した。その後、この液に分散液Bの2864mg(ポリマー分570mg)を加え、48時間撹拌し、液状組成物を得た。この液状組成物をPTFEシャーレにキャストし、85℃のオーブン中で3時間乾燥した。シャーレから固体高分子電解質膜をとり、180℃で1時間アニールした。得られた固体高分子電解質膜の厚さ及び含水率を表1に示す。
(例8)
水/エタノール=50/50(質量比)の混合溶媒の15mL中に、分散液Bの3015mg(ポリマー分600mg)を加え、48時間撹拌した。その後、この液をPTFEシャーレにキャストし、85℃のオーブン中で3時間乾燥した。シャーレから固体高分子電解質膜をとり、180℃で1時間アニールした。固体高分子電解質膜の厚さ及び含水率を表1に示す。
例7及び例8においては、10μm以下の薄膜では質量測定が困難なため、厚膜で質量測定を行って含水率を求めている。無機層状化合物含有の例7は、無機層状化合物非含有の例8と比べて、保水性があるので含水率が高いことを示している。
Figure 2020027761
Figure 2020027761
本発明の固体高分子電解質膜は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体における固体高分子電解質膜;水電解、過酸化水素製造、オゾン製造、廃酸回収等に用いるプロトン選択透過膜;食塩電解用陽イオン交換膜;レドックスフロー電池の隔膜;脱塩又は製塩に用いる電気透析用陽イオン交換膜等として有用である。
10 膜電極接合体、11 触媒層、12 ガス拡散層、13 アノード、14 カソード、15 固体高分子電解質膜、16 カーボン層。

Claims (5)

  1. イオン交換容量が1.2ミリ当量/g乾燥樹脂以上の含フッ素電解質ポリマーと、無機層状化合物とを含み、
    厚さが1〜15μmである、固体高分子電解質膜。
  2. 加水分解性シリル基含有化合物、加水分解性シリル基含有化合物の加水分解物及び加水分解性シリル基含有化合物の縮合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のシラン化合物をさらに含み、
    前記無機層状化合物の一部又は全部と、前記シラン化合物の一部又は全部とが反応していてもよい、請求項1に記載の固体高分子電解質膜。
  3. 前記加水分解性シリル基含有化合物が、下式Iで表される化合物及び下式IIで表される化合物のいずれか一方又は両方を含む、請求項2に記載の固体高分子電解質膜。
    Figure 2020027761
    ただし、Rは、フッ素原子を有する1価の有機基であり、Rは、水素原子又はアルキル基であり、Qは、pが0のときは単結合又はアルキレン基であり、pが1のときはアルキレン基であり、Lは、加水分解性基であり、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基であり、pは、0又は1であり、mは、1〜3の整数であり、nは、1〜6であり、kは、1〜3の整数である。
  4. 触媒層を有するアノードと、
    触媒層を有するカソードと、
    前記アノードと前記カソードとの間に配置された、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体高分子電解質膜と
    を備えた、膜電極接合体。
  5. 請求項4に記載の膜電極接合体を備えた、固体高分子形燃料電池。
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