JP2020027602A - 外乱抑止制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外乱抑止能力が高い外乱抑止制御装置を提供する。【解決手段】外乱抑止制御装置4は、力指令frefを出力する制御部1と、外乱力抑止部2と、を備える。外乱力抑止部2は、制御対象3の帰還情報Xを制御対象3のノミナルモデルの逆システム7に入力して力f^を算出し、力指令fref及び力f^に基づいて力偏差eを算出し、力偏差e及び比例ゲインKに基づいて補正量uを算出し、補正量uを力指令frefに加算する。外乱力抑止部2が力指令frefを引き出す引出し点10よりも後に、外乱力抑止部2が補正量uを力指令frefに加算する加算点11がある。【選択図】図1

Description

本発明は、制御対象に加わる外乱力を抑止可能な外乱抑止制御装置に関する。
制御対象に加わる外乱力を抑止する方法として、外乱オブザーバが知られている(例えば特許文献1参照)。図13は、従来の外乱オブザーバを備える制御装置61のブロック線図である。62は力指令(推力指令又はトルク指令)を出力する制御部、fは外乱力、63は制御対象(モータと駆動機械)、64は外乱オブザーバ、65は制御対象のノミナルモデル(規範モデル)の逆システム、66はローパスフィルタである。
制御部62は、例えば位置指令Xrefと制御対象63の位置帰還情報Xに基づいて、力指令frefを出力する。力指令frefには、外乱力fが加わる。制御部62がモータを最適に動作させる力指令frefを出力しても、制御対象63には設計どおりの力指令frefが加わらず、fref+fが加わる。外乱オブザーバ64は、この外乱力fを除去する役割を持つ。
外乱オブザーバ64は、ノミナルモデルの逆システム65を備える。ノミナルモデルは、制御対象63を理想化したモデルP^(s)であり、伝達関数などの数式で定義される。ノミナルモデルP^(s)に対して、P^(s)・P^−1(s)=1を満たすP^−1(s)が逆システムである。
外乱オブザーバ64は、制御対象63の位置帰還情報Xを逆システムP^−1(s)に入力し、力f^(f^=fref)を算出する。次に、外乱オブザーバ64は、外乱オブザーバ64による補正後の力指令fref−f^を引出し点67から引き出し、力f^からfref−f^を引いて推定外乱力f^を算出する。そして、推定外乱力f^をローパスフィルタ66に入力し、ノイズを除去した後、減算器68にて推定外乱力f^を力指令frefから減算する。外乱力fは推定外乱力f^によって相殺される。このため、制御対象63に設計どおりの力指令frefを加えることができる。なお、引出し点67よりも前に、外乱オブザーバ64が力指令frefから推定外乱力f^を減算する減算点(減算器68)がある。外乱力fを推定外乱力f^によって相殺するためである。
特開2016−140967号公報
しかし、従来の外乱オブザーバにおいては、調整可能なパラメータがローパスフィルタの時定数τだけなので、外乱抑止能力に限界があるという課題がある。
また、従来の外乱オブザーバは、微分特性の周波数特性を有するので、外乱抑止後の位置偏差にも微分特性が現れるという課題がある。このため、外乱抑止後の位置偏差に逆応答が生ずることがあり、例えば切削加工等では削り過ぎが生ずる。
そこで、本発明は、外乱抑止能力が高い外乱抑止制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、力指令を出力する制御部と、制御対象の帰還情報を前記制御対象のノミナルモデルの逆システムに入力して力を算出し、前記力指令及び前記力に基づいて力偏差を算出し、前記力偏差及び比例ゲインに基づいて補正量を算出し、前記補正量を前記力指令に加算又は減算する外乱力抑止部と、を備え、前記外乱力抑止部が前記力指令を引き出す引出し点の後に、前記外乱力抑止部が前記補正量を前記力指令に加算又は減算する加算点又は減算点がある外乱抑止制御装置である。
本発明によれば、外乱力を抑止するように力制御のフィードバックループを形成することができる。このフィードバックループの比例ゲインで補正量を調整することで、外乱抑止能力を高くすることができる。また、外乱抑止後の位置偏差に逆応答を生じにくくすることもできる。
本発明の第1の実施形態の外乱抑止制御装置のブロック線図である。 本発明の第2の実施形態の外乱抑止制御装置のブロック線図である。 本発明の第3の実施形態の外乱抑止制御装置のブロック線図である。 本実施形態の外乱抑止制御装置が適用される制御システムの駆動系の構成を示す図である。 図5(a)は等価変換前の制御システムのブロック線図であり、図5(b)は等価変換後の制御システムのブロック線図である。 図6(a)は本発明の第1の実施形態の外乱抑止制御装置を組み込んだ制御システムの等価変換前のブロック線図であり、図6(b)は等価変換後のブロック線図である。 図7(a)は本発明の第2の実施形態の外乱抑止制御装置を組み込んだ制御システムの等価変換前のブロック線図であり、図7(b)は等価変換後のブロック線図である。 図8(a)は摩擦力のグラフ(シミュレーション)であり、図8(b)は外乱力の補正無しで発生する位置偏差のグラフ(シミュレーション)であり、図8(c)は本実施形態の外乱抑止制御装置で補正した後に発生する位置偏差のグラフ(シミュレーション)である。 外乱力の補正無しで発生する位置偏差のグラフ(実験)である。 本実施形態の外乱抑止制御装置で補正した後に発生する位置偏差のグラフ(実験)である。 τを変化させたときの位置偏差の変化を示すグラフである。 βとKを変化させたときの位置偏差の変化を示すグラフである(図12(a)はβ=1、K=1の場合、図12(b)はβ=1、K=60の場合、図12(c)はβ=0.4、K=150の場合)。 従来の外乱オブザーバのブロック線図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態の外乱抑止制御装置を詳細に説明する。ただし、本発明の外乱抑止制御装置は種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明の範囲を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の外乱抑止制御装置のブロック線図である。図1において、Xrefは位置指令、1は制御部、2は外乱力抑止部、3は制御対象で伝達関数はP(s)、Xは位置検出器によって検出された制御対象3の位置である。
本実施形態の外乱抑止制御装置4は、制御部1と、外乱力抑止部2と、を備える。制御部1の減算器6は、位置指令Xrefから制御対象3の位置帰還情報Xを引いて位置偏差を算出する。制御部1は、減算器6を介して入力された位置偏差に基づいて、位置偏差を少なくするように力指令fref(推力指令又はトルク指令)を出力する。
外乱力抑止部2は、制御対象3の位置帰還情報Xを制御対象3のノミナルモデルP^(s)の逆システム7(P^−1(s))に入力して力f^を算出する。ノミナルモデルP^(s)は、モータを含む駆動機構である制御対象P(s)を理想化したモデルである。ノミナルモデルP^(s)に対して、P^(s)・P^−1(s)=1を満たすP^−1(s)が逆システム7である。sはラプラス演算子である。
例えば、制御対象P(s)が剛体モデルの1/Msの場合、P^−1(s)はMsである。P^−1(s)は入力された位置帰還情報Xを2階微分して加速度を算出し、これに質量Mを乗じて慣性力を算出する。
減算器8は、引出し点10から力指令fref力を引き出し、力指令frefからP^−1(s)が出力する力f^を引いて、力偏差eを算出する。
外乱力抑止部2は、力偏差eをローパスフィルタに入力し、ローパスフィルタの出力に比例ゲインKを乗じて、補正量uを算出する。9はローパスフィルタと比例ゲインのブロックである。
ローパスフィルタと比例ゲインの伝達関数は、数1で表される。
Figure 2020027602
ここで、τはローパスフィルタの時定数、sはラプラス演算子である。
P^−1(s)が力f^を算出するにあたって、微分が必要であり、微分時にノイズが発生する。力偏差eをローパスフィルタに入力することで、微分時に発生するノイズを低減することができる。
なお、数1の代わりに数2を使用することもできる。
Figure 2020027602
ローパスフィルタを使用すると、位相が遅れる。数2を使用することで、位相を進めることができる。a=Kの場合、数2は定数Kになる。
外乱力抑止部2の加算器11は、補正量uを力指令frefに加算する。加算点(加算器11)は、外乱力抑止部2が力指令frefを引き出す引出し点10よりも後にある。すなわち、外乱力抑止部2が力指令frefを引き出した後に、外乱力抑止部2が補正量uを力指令frefに加算する。なお、外乱力f等の符号によっては、減算器8が力指令frefから補正量uを減算する場合もある。
制御部1が出力する力指令frefは、補正量uと外乱力fを受けてfref+u+fとなる。出力XはP(s)(fref+u+f)となる。
本実施形態の外乱抑止制御装置によれば、以下の効果を奏する。外乱力を抑止するように力制御のフィードバックループを形成することができる。このフィードバックループの比例ゲインで補正量を調整することで、外乱抑止能力を高くすることができる。
比例ゲインKとローパスフィルタの時定数τの2つのパラメータを調整できるので、多様な調整が可能になり、外乱抑止後の位置偏差に逆応答を生じにくくすることができる。例えば象限突起発生後の位置偏差に逆応答(負方向の位置偏差)を生じにくくすることができる。逆応答の低減効果は後述する。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態の外乱抑止制御装置14のブロック線図である。第2の実施形態では、位置帰還情報Xをノミナルモデルの逆システム7(P^−1(s))に入力して算出した力f^にブロック21にて帰還ゲインβを乗じている点が第1の実施形態と異なる。減算器8は、力指令frefから力f^に帰還ゲインβを乗じたβf^を減算して力偏差eを算出する。その他の構成は、第1の実施形態と同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
第2の実施形態の外乱抑止制御装置14によれば、第1の実施形態の外乱抑止制御装置4と同様な効果を奏する他、帰還ゲインβも調整できるので、外乱抑止能力をより高くすることができる。例えば象限突起の振幅を低減することができる。象限突起の振幅の低減効果については後述する。
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態の外乱抑止制御装置31のブロック線図である。第3の実施形態の外乱抑止制御装置31では、制御対象22を伝達関数P(s)=M/sで表される剛体モデルとしている。Mは制御対象の質量である。そして、ノミナルモデルの逆システム24(P^−1(s))に入力して力f^を算出し(すなわち、位置帰還情報Xを2階微分して加速度を算出し、この加速度に制御対象の質量Mを乗じて慣性力f^を算出し)、慣性力f^に帰還ゲインβを乗じている。
また、ブロック23にて位置帰還情報Xを1階微分して速度を算出し、この速度に制御対象の質量Mを乗じて摩擦力g^を算出し、ブロック25にて摩擦力g^に帰還ゲインγを乗じている。
加算器26は、βf^とγg^を加算する。減算器8は、力指令frefから加算した値βf^+γg^を引いて、力偏差eを算出する。その他の構成は、第1の実施形態と同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
第3の実施形態の外乱抑止制御装置31によれば、第1の実施形態の外乱抑止制御装置4及び第2の実施形態の外乱抑止制御装置14と同様な効果を奏する他、摩擦力g^を算出するので、外乱抑止能力をより高くすることができる。
(本実施形態の外乱抑止制御装置を用いた制御システム)
以下に、制御対象がリニアモータとステージである制御システムの例を用いて、本実施形態の外乱抑止制御装置の象限突起の低減効果を説明する。
図4は、制御システム40の駆動系の構成を示す。4は外乱抑止制御装置、46はサーボアンプ、43はステージである。外乱抑止制御装置4は、パソコン、デジタルサーボ回路等のコンピュータから構成され、プロセッサ、ROM、RAM等を備える。
外乱抑止制御装置4は、制御部1(図1参照)を備え、上位装置から位置指令を受け取り、ステージ43の位置制御、速度制御を行い、推力指令(電流指令)を出力する。
サーボアンプ46は、トランジスタインバータ等から構成される。サーボアンプ46は、外乱抑止制御装置4が出力する推力指令(電流指令)を受け取り、電流指令に応じた電力をリニアモータ44に供給する。
リニアモータ44は、磁石を有する固定子44bと、コイルを有する可動子44aと、を備える。可動子44aのコイルに電力を供給すると、ステージ43のテーブル41に軸方向の推力が発生する。テーブル41の位置は、位置検出器47によって検出される。位置検出器47の信号は、外乱抑止制御装置4に位置帰還情報として取り込まれる。
ステージ43は、ベース48と、ベース48に対して移動可能なテーブル41と、テーブル41の移動を案内するリニアガイド42と、を備える。
リニアガイド42は、レール42aとガイドブロック42bとの間に球又はころの転動体を介在させ、その転動体が循環するようにしたものである。
リニアガイド42のガイドブロック42bに印加力を与えたとき、その印加力と生じた変位の関係はヒステリシスを生じ、非線形性を示すことが知られている。非線形ばね特性は、ガイドブロック42b内の転動体が転がり始まるときや転がり方向を反転するときに出現する。リニアガイド42の非線形ばね特性に起因する摩擦力は、ステージ43に外乱力として働く。ステージ43に働くこの外乱力は、象限突起を生じさせる。象限突起は、例えばXYステージを用いて円弧運動を行ったとき、各象限の切替え時に発生する突起状の位置偏差であり、Xステージを用いて往復運動を行ったとき、方向転換時に発生する突起状の位置偏差である。
図5(a)は、本発明の第1の実施形態の外乱抑止制御装置4を組み込んだ制御システム40のブロック線図を示す。制御部1は、P制御の位置制御器51と、PI制御の速度制御器52と、を備える。位置制御器51は、位置指令Xrefと位置帰還情報Xを入力して速度指令Vrefを出力する。Kpは位置ループ比例ゲインである。速度制御器52は、速度指令Vrefと位置帰還情報Xを1階微分した速度帰還情報Vを入力して、推力指令frefを出力する。Kは速度ループ比例ゲイン、Tiは積分時間、s、1/sがそれぞれラプラス変換における微分、積分である。
リニアモータ44とステージ43の伝達関数P(s)は、P(s)=1/Msである。Mは可動部の質量である。制御対象のノミナルモデルの逆システム7は、P^−1(s)=Msである。
図5(a)に示すブロック線図において、図6(b)に示すような外乱力抑止部2の等価変換がなされている。図6(a)は、等価変換前の外乱力抑止部2のブロック線図を示し、図6(b)は等価変換後の外乱力抑止部2のブロック線図を示す。
図5(a)に示すブロック線図において、外乱力fの加算点は推力の次元にある。図5(b)に示すように、外乱力fの加算点を位置の次元に移動すると、外乱力fによる位置偏差dの伝達関数は数3で表すことができる。
Figure 2020027602
数3を変形すると、数4が得られる。
Figure 2020027602
他方、外乱力の補正無しでの位置偏差(象限突起)の発生式は、数5で表される。
Figure 2020027602
数4の右辺の第1項をdとし、右辺の第2項をdとすると、dは数5の象限突起(補正無しで発生する象限突起)の微分値にτ/(K+1)を乗じたものに略等しい。一次遅れ系の影響を無視すると、すなわち1/(τs/(K+1)+1)=1とすると、dは数5の象限突起の微分値にτ/(K+1)を乗じたものに等しい。このdは外乱オブザーバで補正した後に発生する象限突起と同じ形をしている。微分値であるがゆえ、dにも外乱オブザーバで補正した後に発生する象限突起にも、象限突起発生後に逆応答(逆符号の位置偏差)が発生する。外乱オブザーバで補正した後に発生する象限突起dobsは、数5−1で与えられる。
Figure 2020027602
ここで、τobsは外乱オブザーバのローパスフィルタの時定数である。
は数5の象限突起(補正無しで発生する象限突起)に1/(K+1)を乗じたものに略等しく、上記のように一次遅れ系の影響を無視すると等しい。このdをdに加算することで、逆応答(逆符号の位置偏差)を低減することができる。逆応答の低減効果については実施例1で説明する。なお、τ/(K+1)を一定に保ち、Kを大きくすると、dのみ小さくなり、dが支配的になり、外乱オブザーバと同じ応答に近づく。
図7(a)は、本発明の第2の実施形態の外乱抑止制御装置14を組み込んだ制御システム40のブロック線図を示す。外乱抑止制御装置14は、制御部1と、外乱力抑止部2と、を備える。図5(a)に示す外乱抑止制御装置4と同様に、制御部1は、P制御の位置制御器51と、PI制御の速度制御器52と、を備える。Kpは位置ループ比例ゲイン、Kは速度ループ比例ゲイン、Tiは積分時間である。s、1/sがそれぞれラプラス変換における微分、積分である。
外乱力抑止部2は、図5(a)に示す外乱抑止制御装置4と同様に、ノミナルモデルの逆システム7を備える。τは、ローパスフィルタの時定数、Kは比例ゲイン、βは帰還ゲインである。
図7(a)に示すブロック線図において、外乱力fの加算点は推力の次元にある。図7(b)に示すように、外乱力fの加算点を位置の次元に移動すると、外乱力fによる位置偏差dの伝達関数は、上記の数3と同一の式で表すことができる。帰還ゲインβは、位置偏差dの伝達関数には含まれない。外乱力fによる位置偏差dは、上記の数4と同一の式で表すことができる。帰還ゲインβは、数4には含まれない。
(象限突起及び逆応答の低減効果)
数4の伝達関数を用い、位置偏差(象限突起)のシミュレーションを行った。リニアガイドの摩擦力(外乱力f)には、摩擦力モデルの数6を用いた。
Figure 2020027602
ここで、tは時間、tnsbは摩擦力モデルの時定数である。
図8(a)は、摩擦力を示す。摩擦力は、ステージ43の方向が反転したとき(時間0のとき)から急激に大きくなり、時間の経過と共に一定値に近づく。
図8(b)は、外乱力の補正無しで発生する象限突起を示す。ステージ43の方向が反転した直後に約4.8nmの象限突起が発生することがわかる。
図8(c)は、本実施形態の外乱抑止制御装置4で補正した後に発生する象限突起を示す。ここでは、象限突起発生後の逆応答が最も小さくなるように、τとKを調整している。補正することで象限突起の振幅を大幅に低減できることがわかる。また、dには象限突起発生後に逆応答irが発生したが、dを加えることでdの逆応答irを略無くすことができることがわかる。
図4に示す制御システム40を用い、ステージ43を正弦波指令の動作パターン(振幅1mm、周波数0.1Hz)で動作させ、位置偏差を測定した。図9は、外乱力の補正無しで発生する位置偏差(象限突起)を示す。図9の1点鎖線が正弦波指令を示し、図9の実線が位置偏差を示す。ステージ43の方向を反転させる毎に象限突起54が発生し、象限突起54の振幅は約150nmであった。
図10は、本実施形態の外乱抑止制御装置14で補正した後に発生する象限突起を示す。図10の破線は、従来の外乱オブザーバで補正した後に発生する象限突起を示し、図10の1点鎖線は、本実施形態の外乱抑止制御装置14で補正した後に発生する象限突起(β=1の場合)を示し、図10の実線は、本実施形態の外乱抑止制御装置14で補正した後に発生する象限突起(β=0.6の場合)を示す。
外乱オブザーバでは、象限突起の振幅を約7nmに低減できた。しかし、象限突起発生後に逆応答irが発生した。
β=1の場合、応答が発振しない程度にτ/(K+1)を小さくした上で、τとKを調整した。この調整により、外乱オブザーバで補正した場合に比べて、象限突起発生後の逆応答irを約1/2に低減できた。象限突起の振幅自体は、約7nmであり、外乱オブザーバで補正した場合と大きな違いはなかった。
β=0.6の場合、β=1の場合と同様にτとKを調整し、さらにβを0.6に調整した。βを0.6に調整することで、象限突起を5nm程度まで小さくできると共に、象限突起発生後の逆応答irを大幅に低減でき、略零にすることができた。
(パラメータτ、K、βの調整方法)
本実施形態の外乱抑止制御装置4,14,31の3つのパラメータτ、K、βを以下の手順で調整した。
(1)ローパスフィルタの時定数τ
上記のように、数4の右辺の第1項であるdは、外乱力抑止部2が補正を行わない場合(すなわち補正無しの場合)に発生する位置偏差(象限突起)dの微分値にτ/(K+1)を乗じたものに等しい。また、数4の右辺の第2項であるdは、補正無しの場合に発生する象限突起dに1/(K+1)を乗じたものに等しい。象限突起dは、時間の関数で表される。
には、象限突起dの振幅が減少する時刻において、逆応答が発生する。逆応答が最大となる時刻Tおいて、d(T)>0の場合、数7が成り立てば、逆応答が発生しないようにすることができる。
Figure 2020027602
数7を変形すれば、τの目安値を表す数8が得られる。
Figure 2020027602
ここで、dは外乱力抑止部2が補正を行わない場合に生ずる位置偏差(象限突起)の時間関数であり、Tはdの微分値である逆応答が最大となる時刻である。
本実施例においては、補正無しで発生する象限突起54(図9参照)の時間関数とその時間微分値からτの目安値を求めた。時間微分波形において、運動方向が反転する2.5s付近で生じる逆応答の最大値(数8の右辺の分母)は1152nm/s、逆応答が最大となる時刻Tでの位置偏差(数8の右辺の分子)は−115nmであったので、数8からτ≦115/1152≒0.1sが得られた。このため、τの目安値を0.09sに設定した。
図11は、τを0.09sに設定した場合、0.09sの2倍の0.18sに設定した場合、0.09sの1/2の0.045sに設定した場合とで、補正後に発生した位置偏差(象限突起)を比較したグラフである。τを0.09sに設定した場合、逆応答は発生しなかった。τを0.18sに設定した場合、約0.2nm程度の逆応答が発生したが、τを0.09sに設定した場合と比較して、象限突起を2nm程度小さくできた。τを0.045sに設定した場合、逆応答の発生はないものの、τを0.09sに設定した場合と比較して、象限突起が3nm程度大きくなった。逆応答の有無及び補正後の象限突起の大きさに合わせて、τを変化させることもできる。
(2)比例ゲインK、帰還ゲインβ
数4から比例ゲインKが1より大きければ大きいほど、位置偏差(象限突起)dを小さくすることができる。このため、K>1、望ましくはK>10に設定する。ただし、比例ゲインKが大きすぎると、応答が発振する。このため、応答が発振しないように比例ゲインKを調整する。
実験により、数4の第1項であるdは、外乱オブザーバを用いた場合の象限突起dobsのβ倍になることが確認できた。このため、0<β<1に設定し、位置偏差(象限突起)dを小さくする。
以下に、数4の第1項であるdが、外乱オブザーバを用いた場合の象限突起dobsのβ倍になる理由を説明する。本実施形態の外乱抑止制御装置14の時定数τ/(1+βK)が、外乱オブザーバの時定数τobsに相当する。応答が発振する直前まで、時定数を調整したところ、外乱オブザーバの時定数τobsと外乱抑止制御装置14の時定数τ/(1+βK)とが略同じ値になった。このため、τobs=τ/(1+βK)とすることができる。
τobs=τ/(1+βK)とする場合、βK>>1、かつ0<β<1の条件が成立するならば、数9が成立する。
Figure 2020027602
数4の右辺の第1項であるd、数5−1、数9から、dが外乱オブザーバを用いた場合の象限突起dobsのβ倍だけ小さくなることがわかる。
本実施例においては、K、βを以下のように設定した。まず、β=1と仮定し、応答が発振する直前までKを大きくし、安定限界となるKをKとした。Kは、60であった。
図12(a)は、τ=0.09s、β=1、K=1に設定したときの位置偏差(象限突起55)を示す。逆応答は発生しないものの、100nm程度の象限突起55が発生した。図12(b)は、τ=0.09s、β=1、K=60に設定したときの位置偏差を示す。Kを大きくすることで、象限突起56を7nm程度まで低減できた。
次に、βK=K、すなわちβK=60が成立するように、βを1より小さくし、Kをさらに大きくした。図12(c)は、τ=0.09s、β=0.4、K=150に設定したときの位置偏差を示す。象限突起57をさらに2.5nm程度まで低減できた。
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に具現化できる。
例えば、上記実施形態では、制御対象がリニアモータとステージである例を説明したが、制御対象は回転モータと駆動機械であってもよい。帰還情報として制御対象の位置情報を用いているが、制御対象の速度情報を用いることもできる。
上記実施形態では、電流制御部の伝達関数を「1」として外乱抑止制御装置を設計しているが、電流制御部の伝達関数を考慮して外乱抑止制御装置を設計することもできる。
上記実施形態では、制御対象を剛体モデルとしているが、制御対象を質量とばねを連結した共振モデルとすることもできる。
本発明の外乱抑止制御装置は、半導体製造装置、液晶製造装置、オプトエレクトロニクスの加工、工作機械、三次元造形装置(3Dプリンタ)等の高分解能の位置決め装置に適している。
1…制御部、2…外乱力抑止部、3…制御対象、4…外乱抑止制御装置、7…制御対象のノミナルモデルの逆システム、9…ローパスフィルタとゲインのブロック、10…引出し点、11…加算器(加算点)、14…外乱抑止制御装置、21…帰還ゲインのブロック、31…外乱抑止制御装置、fref…力指令、f^…力、e…力偏差、τ…ローパスフィルタの時定数、K…比例ゲイン、β…帰還ゲイン、u…補正量、f…外乱力

Claims (6)

  1. 力指令を出力する制御部と、
    制御対象の帰還情報を前記制御対象のノミナルモデルの逆システムに入力して力を算出し、前記力指令及び前記力に基づいて力偏差を算出し、前記力偏差及び比例ゲインに基づいて補正量を算出し、前記補正量を前記力指令に加算又は減算する外乱力抑止部と、を備え、
    前記外乱力抑止部が前記力指令を引き出す引出し点よりも後に、前記外乱力抑止部が前記補正量を前記力指令に加算又は減算する加算点又は減算点がある外乱抑止制御装置。
  2. 前記外乱力抑止部は、前記力偏差をローパスフィルタに入力し、前記ローパスフィルタの出力に前記比例ゲインを乗じることを特徴とする請求項1に記載の外乱抑止制御装置。
  3. 前記外乱力抑止部は、前記ノミナルモデルの逆システムに入力して算出した前記力に帰還ゲインを乗じることを特徴とする請求項1又は2に記載の外乱抑止制御装置。
  4. 前記比例ゲイン(K)は、K>1に設定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の外乱抑止制御装置。
  5. 前記ローパスフィルタの時定数τは、以下の数10に設定されることを特徴とする請求項2に記載の外乱抑止制御装置。
    Figure 2020027602
    ここで、dは前記外乱力抑止部が補正を行わない場合に生ずる位置偏差の時間関数であり、Tはdの時間微分値である逆応答が最大となる時刻である。
  6. 前記帰還ゲイン(β)は、0<β<1に設定されることを特徴とする請求項3に記載の外乱抑止制御装置。
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