次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係る内壁パネルユニット1は、図1に示すように、取付用下地枠2と、当該取付用下地枠2に取り付けられる木製の複数のパネル4A,4B,4Cと、を備えている。
なお、本実施の形態では、説明の便宜上、天井面CS側(図1における上側)を「上側」ないし「上方」として規定し、床面FS側(図1における下)を「下側」ないし「下方」として規定する。また、複数の内壁パネルユニット1を配列する方向(図27における左右方向)を「水平方向」として規定する。
取付用下地枠2は、図2に示すように、木製の枠本体10と、一対のアジャスタボルト70,70と、木製の上側角材90と、から構成されている。枠本体10は、上側枠20と、下側枠40と、を備えている。取付用下地枠2は、本発明における「基部材」に対応し、アジャスタボルト70は、本発明における「伸縮部」に対応する実施構成の一例である。
上側枠20は、図3に示すように、長尺状の一対の主柱22,22と、当該一対の主柱22,22を連結する3本の連結梁28,28,28と、を備える梯子状を有している。一対の主柱22,22の長手方向の一方の小口23,23には、連結梁28,28,28の延在方向と同方向に延在する一条の凹溝23a,23aが形成されている。上側枠20は、本発明における「第1部分」に対応し、小口23,23は、本発明における「一対の主柱の各々の長手方向の第1端部」に対応する実施構成の一例である。
凹溝23a,23aの底面には、袋小路孔23b,23bが形成されている。当該袋小路孔23b,23bは、一対のアジャスタボルト70,70の後述する軸部72,72の外径よりも大きい内径を有しており、凹溝23a,23aの延在方向のほぼ中央に配置されている。
また、一対の主柱22,22の一方の小端(以下、「表側小端24,24」という)の長手方向の他方には、図3に示すように、他方の小端(以下、「裏側小端26,26」という)が直角に切欠かれた切欠き段差部25,25が形成されている。当該切欠き段差部25,25の段差面25a,25aには、段差面25a,25aから裏側小端26,26まで貫通する貫通孔25b,25bが形成されている。切欠き段差部25,25は、本発明における「第5凹部」または「第5凸部」に対応する実施構成の一例である。
表側小端24,24には、図3に示すように、一対の主柱22,22の長手方向に沿って延在する第1蟻形ほぞ30,30および第2蟻形ほぞ32,32が設けられている。第1および第2蟻形ほぞ30,30,32,32は、図4に示すように、表側小端24,24から離れるに伴ってほぞ幅(図4の左右方向の寸法)が漸増する形状を有している。換言すれば、第1および第2蟻形ほぞ30,30,32,32は、一対の側面31,31が表側小端24,24から離れるに伴って互いに離れる方向の傾斜角度αを有していると言うことができる。第1蟻形ほぞ30,30は、本発明における「第1蟻形ほぞ」に対応し、第2蟻形ほぞ32,32は、本発明における「第2蟻形ほぞ」に対応する実施構成の一例である。
第1蟻形ほぞ30,30は、図3に示すように、一対の主柱22,22の長手方向の一方の小口23,23から切欠き段差部25,25に向かって延在しており、パネル4Bの後述する一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1の長さLgb(例えば、Lgb=450mm)よりも短い長さを有している。なお、第1蟻形ほぞ30,30は、パネル4Bの一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1の長さLgbの1/2以上の長さ(例えば、Lgb=225mm)に亘って、当該一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1と係合可能な長さを有するにように構成されていることが望ましい。
また、第1蟻形ほぞ30,30のうち小口23,23寄りの一部分は、ほぞ高さが他よりも低くい低ほぞ部30a,30aとされている。換言すれば、第1蟻形ほぞ30,30は、他よりも高さが一段低い低ほぞ部30a,30aを有していると言うことができる。低ほぞ部30a,30aには、ネジ孔30b,30bが形成されている。
なお、低ほぞ部30a,30aには、図8に示すように、板バネPS,PSが取り付けられている。板バネPSは、細長い板状のバネ鋼により成形されており、図5に示すように、一対の平面部Pps1,Pps2と、当該一対の平面部Pps1,Pps2に設けられた湾曲状部Cpsと、から構成されている。平面部Pps1には、貫通孔hpが形成されている。湾曲状部Cpsは、細長い板状のバネ鋼に曲げ加工を施すことによって成形される。板バネPSは、本発明における「保持部」および「板バネ」に対応する実施構成の一例である。
こうして構成された板バネPS,PSは、貫通孔hp,hpが低ほぞ部30a,30aのネジ孔30b,30bに整合するように、一対の平面部Pps1,Pps2を低ほぞ部30a,30aに当接させた状態で、貫通孔hp,hpを介して挿通される図示しないネジやボルトなどの締結部材をネジ孔30b,30bにネジ係合させることにより、低ほぞ部30a,30aに取り付けられる(図8および図9参照)。即ち、板バネPS,PSは、長手方向の一方側(平面部Pps1,Pps1側)のみが固定され、他方側(平面部Pps2,Pps2側)が自由端とされている。
なお、板バネPS,PSの長手方向の他方側の端面(平面部Pps2,Pps2側の端面)と、第1蟻形ほぞ30,30と低ほぞ部30a,30aとの接続面(段差面)と、の間には、図8に示すように、所定の隙間clが設けられている。また、板バネPS,PSが低ほぞ部30a,30aに取り付けられた状態においては、図8に示すように、湾曲状部Cpsの一部が、第1蟻形ほぞ30,30の突出端(第1蟻形ほぞ30,30の表側小端24,24からの突出方向における先端)よりも所定量dだけ突出している。
第2蟻形ほぞ32,32は、図3に示すように、切欠き34,34を介して第1蟻形ほぞ30,30と直列に配置されている。換言すれば、第2蟻形ほぞ32,32と第1蟻形ほぞ30,30とは、切欠き34,34を挟んで一直線に配置されている言うことができる。第2蟻形ほぞ32,32は、切欠き段差部25,25まで延在している。なお、第2蟻形ほぞ32,32は、後述する第3蟻形ほぞ50,50を含めて、パネル4C(取付用下地枠2に最後に取り付けられるパネル4C)の後述する一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1の長さLgbの1/2以上の長さ(例えば、Lgb=225mm)に亘って、当該一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1と係合可能な長さを有するにように構成されていることが望ましい。
一対の主柱22,22の長手方向に沿う方向の切欠き34,34の長さLnは、パネル4B,4Cの後述する一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1,Dgb2,Dgb2の長さLgb(図13参照、例えば、Lgb=450mm)以上に設定されている。
下側枠40は、図6に示すように、長尺状の一対の主柱42,42と、当該一対の主柱42,42を連結する3本の連結梁28,28,28および下側角材49と、を備える梯子状を有している。ここで、一対の主柱42,42の連結に、一対の主柱22,22を連結する連結梁28,28,28を用いることによって、一対の主柱42,42間の距離が一対の主柱22,22間の距離と同じになっている。下側枠40は、本発明における「第2部分」に対応する実施構成の一例である。
一対の主柱42,42の一方の小端(以下、「表側小端44,44」という)には、図6に示すように、当該一対の主柱42,42の長手方向に沿って延在する第3蟻形ほぞ50,50が設けられている。第3蟻形ほぞは、一対の主柱42,42の長手方向の一端から他端まで延在している。
第3蟻形ほぞ50,50は、基本的には、第1および第2蟻形ほぞ30,30,32,32と同様の形状、即ち、第1および第2蟻形ほぞ30,30,32,32と同じほぞ高さ、ほぞ幅を有している。なお、第3蟻形ほぞ50,50は、第1および第2蟻形ほぞ30,30,32,32と同様、表側小端44,44から離れるに伴ってほぞ幅が漸増する形状を有している。換言すれば、第3蟻形ほぞ50,50は、一対の側面が表側小端44,44から離れるに伴って互いに離れる方向の傾斜角度αを有していると言うことができる(図4参照)。第3蟻形ほぞ50,50は、本発明における「第2蟻形ほぞ」に対応する実施構成の一例である。
また、一対の主柱42,42の長手方向の他方には、図6に示すように、他方の小端(以下、「裏側小端46,46」という)が直角に切欠かれた切欠き段差部45,45が形成されている。当該切欠き段差部45,45の段差面45a,45aには、袋小路孔45b,45bが形成されている。袋小路孔45b,45bは、上側枠20の貫通孔25b,25bの内径と同じ大きさに形成されている。
切欠き段差部45,45は、一対の主柱22,22の切欠き段差部25,25と整合する形状に形成されている。即ち、切欠き段差部45,45によって切欠き段差部25,25の段差が埋められ、逆に、切欠き段差部25,25によって切欠き段差部45,45の段差が埋められる関係となっている。なお、袋小路孔45b,45bは、切欠き段差部25,25の段差面25a,25aにおける貫通孔25b,25bの配置に対応するように段差面45a,45aに配置されている。切欠き段差部45,45は、本発明における「第6凸部」または「第6凹部」に対応する実施構成の一例である。
下側角材49は、長手方向に直交する断面形状が長方形状を有しており、一対の主柱42,42の長手方向の他方の小口43,43に、当該一対の主柱42,42に直交するように一体にされている。下側角材49の長手方向の長さは、本実施の形態では、パネル4A,4B,4Cの後述する一辺の長さLa2,Lb(例えば、La2,Lb=450mm)と等しい値に設定されている。なお、下側角材49は、下側角材49の長手方向の中央と一対の主柱42,42間の中央とが一致するように、一対の主柱42,42に固定されている。下側角材49は、本発明における「第1端部梁」に対応する実施構成の一例である。
アジャスタボルト70は、図7に示すように、雄ネジを有する軸部72と、当該軸部72の軸線方向の一端部に一体にされた円板状の受部74と、雄ネジにネジ係合されたナット76と、取付金具78と、を備えている。
受部74には、図7に示すように、貫通孔74aが形成されている。ナット76は、座面が受部74とは反対側を向くように軸部72のネジ部にネジ係合されている。取付金具78は、断面U字状の金具本体78aと、当該金具本体78aに一体にされた座金78bと、から構成されている。受部74は、本発明における「アジャスタボルトの軸線方向の第2端部」に対応する実施構成の一例である。
金具本体78aおよび座金78bには、図7に示すように、貫通孔78a’,78b’が形成されている。貫通孔78a’,78b’は、同軸線上に配置されており、軸部72の外径(雄ネジの外径)よりも大きな内径を有している。金具本体78aは、U字幅wuが主柱22の長手方向の一方の小口23に形成された一条の凹溝23aの溝幅と同じか若干小さくなるように形成されている。
取付金具78は、図8に示すように、金具本体78aを一条の凹溝23a内に嵌装し、貫通孔78a’,78b’を一条の凹溝23aの底面に形成された袋小路孔23bに整合させた状態で、図示しないネジやボルトなどの締結部材によって主柱22に固定される。このとき、座金78bの一方の主面(金具本体78aが接続された面)が、主柱22の小口23に当接される。
こうして主柱22に取り付けられた取付金具78の貫通孔78a’,78b’に、受部74が一体にされると共にナット76がネジ係合された軸部72を挿通することによって、アジャスタボルト70が主柱22に取り付けられる。このとき、軸部72の先端部は、主柱22に形成された袋小路孔23b内に挿通されると共に、ナット76の座面が座金78bの他方の主面(金具本体78aが接続された面とは反対側の面)に当接される(図7、図8および図9参照)。
上側角材90は、長手方向に直交する断面形状が略正方形状を有しており(図8参照)、図9に示すように、一対のアジャスタボルト70,70の受部74,74に図示しないネジやボルトなどの締結部材によって締結されている。上側角材90の長手方向の長さは、本実施の形態では、パネル4A,4B,4Cの一辺の長さLa2,Lb(例えば、La2,Lb=450mm)と等しい値に設定されている。なお、上側角材90は、上側角材90の長手方向の中央が一対の主柱22,22間の中央に一致するように受部74,74に固定されている。上側角材90は、本発明における「第2端部梁」に対応する実施構成の一例である。
パネル4Aは、図10に示すように、平面視(主面に直交する直線に沿う方向の一方側から見たときに)長方形状を有しており、化粧板4A1と、当該化粧板4A1の裏面に一体にされた裏板4A2と、から構成されている。パネル4Aの縦寸法La1は、例えば、115mmに設定されており、横寸法La2は、例えば、450mmに設定されている。化粧板4A1の4つ側面のうち横方向(図10の左右方向)に延在する一対の横側面4A1s,4A1sのそれぞれには、横方向全域に亘って実溝SLa,SLaが形成されている。
裏板4A2には、図11に示すように、一対の蟻形溝Dga,Dgaが縦方向(図11の上下方向)に延在するように形成されている。一対の蟻形溝Dga,Dgaは、縦方向全域に亘って形成されている。即ち、一対の蟻形溝Dga,Dgaの長さ寸法Lgaは、パネル4Aの縦寸法La1と等しい(Lga=La1=115mm)。
また、一対の蟻形溝Dga,Dgaは、上側枠20および下側枠40に設けられた一対の第1、第2および第3蟻形ほぞ30,30,32,32,50,50に対応する形状、即ち、一対の蟻形溝Dga,Dgaは、溝底に向かうのに伴って溝幅が漸増する形状を有している。換言すれば、一対の蟻形溝Dga,Dgaは、一対の側面が溝底に向かうのに伴って互いに離れる方向の傾斜角度αを有していると言うことができる。一対の蟻形溝Dga,Dga間の間隔は、一対の第1、第2および第3蟻形ほぞ30,30,32,32,50,50間の間隔と同じとなるように設定されている。
パネル4Bは、図12に示すように、平面視(主面に直交する直線に沿う方向の一方側から見たときに)正方形状を有しており、化粧板4B1と、当該化粧板4B1の裏面に一体にされた裏板4B2と、から構成されている。パネル4Bの一辺の寸法Lbは、例えば、450mmに設定されている。化粧板4B1の4つ側面のそれぞれには、実溝SLb,SLb,SLb,SLbが形成されている。隣り合う実溝SLb,SLb,SLb,SLb同士は、連結されて、環状をなしている。
裏板4B2には、図13に示すように、一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1が縦方向(図13の上下方向)に延在するように形成されているとともに、一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2が横方向(図13の左右方向)に延在するように形成されている。一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1は、縦方向全域に亘って形成されており、一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2は、横方向全域に亘って形成されている。即ち、一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1および一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2の長さ寸法Lgbは、パネル4Bの縦および横寸法Lbと等しい(Lgb=Lb=450mm)。
なお、本実施の形態では、裏板4B2は、化粧板4B1の裏面全面を覆うような一枚板ではなく、図13に示すように、化粧板4B1の裏面の中央部を除く周縁部を覆う態様で構成されている。即ち、裏板4B2は、化粧板4B1の縦方向に沿うように当該縦方向の全域に亘って延在する一対の細板4B21,4B21と、化粧板4B1の横方向に沿うように一対の細板4B21,4B21間に亘って延在する一対の細板4B22,4B22と、から構成されている。このように裏板4B2を構成することにより、パネル4Bの重量が必要以上に増加することを防止することができる。なお、一対の細板4B21,4B21には、一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1と一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2の一部とが形成されており、一対の細板4B22,4B22には、一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2の残り部分が形成されている。
また、一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1および一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2は、それぞれ上側枠20および下側枠40に設けられた一対の第1、第2および第3蟻形ほぞ30,30,32,32,50,50に対応する形状、即ち、溝底に向かうのに伴って溝幅が漸増する形状を有している。換言すれば、対の蟻形溝Dgb1,Dgb1および一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2は、一対の側面が溝底に向かうのに伴って互いに離れる方向の傾斜角度αを有していると言うことができる。対の蟻形溝Dgb1,Dgb1間および一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2間の間隔は、一対の第1、第2および第3蟻形ほぞ30,30,32,32,50,50間の間隔と同じとなるように設定されている。
このように、パネル4Bを4辺の長さが等しい正方形に形成すると共に、縦方向および横方向の両方向に同形状かつ同間隔の一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1および一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2を設ける構成とすることによって、パネル4Bの縦横方向を考慮することなく、取付用下地枠2にパネル4Bを取り付けることができる。これにより、作業性の向上を図ることができる。
パネル4Cは、図14に示すように、雇い実SPを有する点を除いて、パネル4Bと同一の構成をしている。換言すれば、パネル4Cは、パネル4Bの実溝SLb,SLb,SLb,SLbのいずれか一つに雇い実SPを嵌合した構成であると言うとことができる。
次に、こうして構成された内壁パネルユニット1を室内の壁面Wに設置する際の様子について説明する。内壁パネルユニット1を室内の壁面Wに設置するに際し、まず、取付用下地枠2を組み立てる。取付用下地枠2の組み立ては、上側枠20と下側枠40とを一体にするとともに、上側枠20にアジャスタボルト70,70を組み付けることにより行う。
上側枠20と下側枠40との組み付けは、上側枠20の切欠き段差部25,25と、下側枠40の切欠き段差部45,45と、を整合させて、切欠き段差部25,25の貫通孔25b,25bおよび切欠き段差部45,45の袋小路孔45b,45bにダボを圧入嵌合することにより行う。上側枠20と下側枠40とが組み付けられた状態においては、第2蟻形ほぞ32,32と第3蟻形ほぞ50,50とが一直線上に配置されて一条の蟻形ほぞを構成する。第2蟻形ほぞ32,32および第3蟻形ほぞ50,50は、本発明における「第2蟻形ほぞ」に対応する実施構成の一例である。
なお、本実施の形態では、上側枠20の低ほぞ部30a,30aに、予め(例えば、内壁パネルユニット1の梱包時に)、板バネPS,PSを取り付けておくとともに、アジャスタボルト70,70の一部である取付金具78,78を、上側枠20の一条の凹溝23a,23a内に取り付けておく構成とした(図8および図9参照)。これにより、内壁パネルユニット1を壁面Wに設置する作業者の作業負担を低減することができる。しかしながら、板バネPS,PSや取付金具78,78の低ほぞ部30a,30aや一条の凹溝23a,23a内への取り付けは、内壁パネルユニット1を壁面Wに設置する作業者が行う構成としても良いことは言うまでもない。
こうして上側枠20と下側枠40とを一体にした後、上側枠20の一条の凹溝23a,23a内に予め一体にされた取付金具78,78の貫通孔78a’,78a’,78b’ ,78b’に、受部74,74を介して上側角材90に一体にされたナット76,76付きの軸部72,72を挿通することによって、アジャスタボルト70,70が上側枠20に取り付けられ、取付用下地枠2の組み立てが完了する(図2参照)。
続いて、こうして組み立てられた取付用下地枠2を壁面Wに近接ないし当接させた状態で、天井面CSおよび床面FS間に設置する。具体的には、取付用下地枠2の長手方向の長さ、即ち、上側角材90から下側角材49までの長さが、天井面CSから床面FSまでの寸法(例えば、2400mm)よりも若干短くなるように、アジャスタボルト70,70によって調整(軸部72,72が上側枠20の袋小路孔23b,23b内に向かって移動する方向にナット76,76を回す)した上で、上側角材90が天井面CSを向くとともに下側角材49が床面FSを向くように取付用下地枠2を壁面Wに近接ないし当接させた状態で立て掛ける。そして、上側角材90が天井面CSに当接するようにアジャスタボルト70,70を調整する(軸部72,72が上側枠20の袋小路孔23b,23b内から遠ざかる方向に向かって移動する方向にナット76,76を回す)。こうして、取付用下地枠2が天井面CSと床面FSとの間で突っ張られた状態で固定される(図2参照)。上側角材90のうち天井面CSに当接する面は、本発明における「第2平面」に対応し、下側角材49のうち床面FSに当接する面は、本発明における「第1平面」に対応する実施構成の一例である。
次に、こうして天井面CSと床面FSとの間で突っ張られた状態で固定された取付用下地枠2にパネル4A,4B,4Cを取り付ける。取付用下地枠2へのパネル4A,4B,4Cの取り付けは、まず、パネル4Aから行う。図15に示すように、パネル4Aの化粧板4A1の化粧面が室内側を向いた状態、即ち、蟻形溝Dga,Dgaが取付用下地枠2側を向いた状態で、パネル4Aを取付用下地枠2の切欠き34,34上に配置する。このとき、蟻形溝Dga,Dgaと取付用下地枠2の第2蟻形ほぞ32,32とを整合させておく。
当該状態からパネル4Aを床面FS側にスライドさせて、図16に示すように、蟻形溝Dga,Dgaを第2蟻形ほぞ32,32に係合させる。当該状態のままパネル4Aの横方向に延在する側面の一方が床面FSに当接するまでパネル4Aをスライドさせる。なお、蟻形溝Dga,Dgaと第2蟻形ほぞ32,32との係合は途中から蟻形溝Dga,Dgaと第3蟻形ほぞ50,50との係合に代わり、パネル4Aが床面FSに当接した際には、蟻形溝Dga,Dgaは第3蟻形ほぞ50,50と係合された状態となっている。即ち、パネル4Aは、蟻形溝Dga,Dgaと第3蟻形ほぞ50,50との係合によって、取付用下地枠2に取り付けられる。
続いて、パネル4Aと同様の方法により2枚のパネル4Bを取付用下地枠2に取り付ける。具体的には、パネル4Bの化粧板4B1の化粧面が室内側を向いた状態、即ち、蟻形溝Dgb1,Dgb1,Dgb2,Dgb2が取付用下地枠2側を向いた状態で、図17に示すように、パネル4Bを取付用下地枠2の切欠き34,34上に配置する。このとき、蟻形溝Dgb1,Dgb1と取付用下地枠2の第2蟻形ほぞ32,32とを整合させておく。
当該状態からパネル4Bを床面FS側にスライドさせて、図16に示すように、蟻形溝Dgb1,Dgb1を第2蟻形ほぞ32,32に係合させる。1枚目のパネル4Bは、当該状態のまま当該1枚目のパネル4Bの横方向に延在する側面の一方がパネル4Aの横方向に延在する側面の他方に当接するまで当該1枚目のパネル4Bをスライドさせる。一方、2枚目のパネル4Bは、当該2枚目のパネル4Bの横方向に延在する側面の一方が1枚目のパネル4Bの横方向に延在する側面の他方に当接するまで当該2枚目のパネル4Bをスライドさせる。なお、2枚のパネル4Bの蟻形溝Dgb1,Dgb1と第2蟻形ほぞ32,32との係合は、途中から蟻形溝Dgb1,Dgb1と第3蟻形ほぞ50,50との係合に代わり、最終的には、2枚のパネル4Bの蟻形溝Dgb1,Dgb1は、第3蟻形ほぞ50,50と係合された状態となっている(図18参照)。即ち、2枚のパネル4Bは、蟻形溝Dgb1,Dgb1と第3蟻形ほぞ50,50との係合によって、取付用下地枠2に取り付けられる。
次に、パネル4A,4Bと同様の方法によりパネル4Cを取付用下地枠2に取り付ける。具体的には、パネル4Cの化粧板4C1の化粧面が室内側を向いた状態、即ち、蟻形溝Dgb1,Dgb1,Dgb2,Dgb2が取付用下地枠2側を向いた状態で、かつ、雇い実SPが天井面CSを向いた状態で、図18に示すように、パネル4Cを取付用下地枠2の切欠き34,34上に配置する。このとき、蟻形溝Dgb1,Dgb1と取付用下地枠2の第2蟻形ほぞ32,32とを整合させておく。
当該状態からパネル4Cを床面FS側にスライドさせて、図16に示すように、蟻形溝Dgb1,Dgb1を第2蟻形ほぞ32,32に係合させる。当該状態のままパネル4Cの横方向に延在する側面の一方が2枚目のパネル4Bの横方向に延在する側面の他方に当接するまでパネル4Cをスライドさせる。なお、パネル4Cの蟻形溝Dgb1,Dgb1は、途中から第3蟻形ほぞ50,50とも係合して、最終的には、パネル4Cの蟻形溝Dgb1,Dgb1は、第2および第3蟻形ほぞ32,32,50,50の両方に係合された状態となっている(図19参照)。即ち、パネル4Cは、蟻形溝Dgb1,Dgb1と第2および第3蟻形ほぞ32,32,50,50との係合によって、取付用下地枠2に取り付けられる。
続いて、他のパネル4A,4B,4Cと同様、パネル4Bの化粧板4B1の化粧面が室内側を向いた状態、即ち、蟻形溝Dgb1,Dgb1,Dgb2,Dgb2が取付用下地枠2側を向いた状態で、図19に示すように、再びパネル4Bを取付用下地枠2の切欠き34,34上に配置する。このとき、蟻形溝Dgb1,Dgb1と取付用下地枠2の第1蟻形ほぞ30,320を整合させておく。
当該状態からパネル4Bを天井面CS側にスライドさせて、図16に示すように、蟻形溝Dgb1,Dgb1を第1蟻形ほぞ30,30に係合させる。当該状態のまま、図20に示すように、パネル4Bの横方向に延在する側面の一方が天井面CSに近接する位置までスライドさせる。ここで、第1蟻形ほぞ30,30の低ほぞ部30a,30aに取り付けた板バネPS,PSの湾曲状部Cpsの一部が、第1蟻形ほぞ30,30の突出端(第1蟻形ほぞ30,30の表側小端24,24からの突出方向における先端)よりも所定量dだけ突出しているため(図8参照)、パネル4Bが天井面CS側へスライドされる際に、図21に示すように、板バネPS,PSがパネル4Bと低ほぞ部30a,30aとの間で圧縮変形される。天井面CS側にスライドされるパネル4Bは、本発明における「第1パネル」に対応する実施構成の一例である。
これにより、当該板バネPS,PSの圧縮変形による板バネPS,PSの復元力が、パネル4Bを主柱22,22から遠ざける方向に作用し、パネル4Bの蟻形溝Dgb1,Dgb1と主柱22,22の第1蟻形ほぞ30,30との間の摩擦力が増大する。当該摩擦力の重力方向成分は、その大きさがパネル4Bの重力よりも大きく、かつ、その作用方向がパネル4Bの重量の作用方向とは反対向きとなるため、パネル4Bから手を放してもパネル4Bが落下することなく、図22に示すように、天井面CSに近接した位置にスライドされた状態を維持し得る。
当該状態において、化粧板4C1の化粧面が室内側を向いた状態、即ち、蟻形溝Dgb1,Dgb1,Dgb2,Dgb2が取付用下地枠2側を向いた状態で、かつ、雇い実SPが天井面CSを向いた状態で、図22および図23に示すように、最後のパネル4Cを取付用下地枠2の切欠き34,34上に配置する。最後に取付用下地枠2に取り付けられる(切欠き34,34に配置される)パネル4Cは、本発明における「第3パネル」に対応する実施構成の一例である。
そして、当該最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cを床面FS側にスライドさせて、図24に示すように、当該最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cの横方向に延在する側面のうち下方(床面FS側)を向く実溝SLbを、既に取付用下地枠2に取り付けられたパネル4C(最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cの直下に配置されたパネル4C)に設けた雇い実SPに係合させる。
ここで、最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cの横方向に延在する側面のうち下方(床面FS側)を向く側面は、本発明における「第4辺部」に対応し、最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cの直下に配置されたパネル4Cのうち上方(天井面CS側)を向く側面(雇い実SPが設けられた側面)は、本発明における「第2辺部」に対応する実施構成の一例である。また、最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cの横方向に延在する側面のうち下方(床面FS側)を向く実溝SLbは、本発明における「第4凹部」に対応し、最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cの直下に配置されたパネル4Cに設けた雇い実SPは、本発明における「第2凸部」に対応する実施構成の一例である。
続いて、図25に示すように、天井面CS寄りにスライドさせておいたパネル4Bを床面FS側にスライドさせて、図26に示すように、当該パネル4Bの横方向に延在する側面のうち下方(床面FS側)を向く実溝SLbを、最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cに設けた雇い実SPに係合させる。このように、最上方(最も天井面CS側)に配置されたパネル4Bは、蟻形溝Dgb1,Dgb1と第1蟻形ほぞ30,30との係合によって取付用下地枠2に取り付けられ、最後に取り付けられるパネル4Cは、蟻形溝Dgb1,Dgb1と第1蟻形ほぞ30,30や第2蟻形ほぞ32,32、あるいは、第3蟻形ほぞ50,50との係合ではなく、当該最後に取り付けられるパネル4Cの直下(床面FS側)に配置されたパネル4Cおよび当該最後に取り付けられるパネル4Cの直上(天井面CS側)に配置されたパネル4Bそれぞれとの雇い実継によって取付用下地枠2に取り付けられる。こうして、取付用下地枠2へのパネル4A,4B,4Cの取り付けの完了と共に内壁パネルユニット1の壁面Wへの設置が完了する。
ここで、パネル4Bの横方向に延在する側面のうち下方(床面FS側)を向く側面は、本発明における「第1辺部」に対応し、最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cの側面のうち上方(天井面CS側)を向く側面(雇い実SPが設けられた側面)は、本発明における「第3辺部」に対応する実施構成の一例である。また、パネル4Bの横方向に延在する側面のうち下方(床面FS側)を向く実溝SLbは、本発明における「第1凹部」に対応し、最後に取付用下地枠2に取り付けられるパネル4Cに設けた雇い実SPは、本発明における「第3凸部」に対応する実施構成の一例である。
なお、実際に室内の壁面Wの模様替えを行う場合には、図27に示すように、複数の内壁パネルユニット1を壁面Wに設置することになる。この場合、図28に示すように、まず、上述した手順で天井面CSと床面FSとの間に突っ張った状態で固定された取付用下地枠2を水平方向に複数配列した後、各取付用下地枠2にパネル4A,4B,4Cを上述した手順で取り付ければ良い。ここで、取付用下地枠2は、各取付用下地枠2間の間隔がパネル4A,4B,4Cの横寸法La2,Lbと同じとなるように設置する必要があるが、本実施の形態では、取付用下地枠2の上側角材90および下側角材49の長手方向の長さがパネル4A,4B,4Cの横寸法La2,Lbと同じに設定されているため、各取付用下地枠2の各上側および下側角材90,49の長手方向の端面同士を当接させるのみで、各取付用下地枠2間の間隔をパネル4A,4B,4Cの横寸法La2,Lbと同じにすることができる。これにより、内壁パネルユニット1の施工性の向上を図ることができる。
以上説明した本実施の形態に係る内壁パネルユニット1によれば、室内の壁面Wに取付用下地枠2を当接ないし近接させた状態で配置して、アジャスタボルト70,70によって取付用下地枠2の長さを調節することによって、天井面CSと床面FSとの間で突っ張った状態で取付用下地枠2を固定することができるとともに、パネル4A,4B,4Cの蟻形溝Dga,Dga,Dgb1,Dgb1を取付用下地枠2の第1、第2および第3蟻形ほぞ30,30,32,32,50,50に係合させることによって、複数のパネル4A,4B,4Cを取付用下地枠2に取付けることができる。即ち、ボルトやネジなどの締結部材を用いることなく、室内の壁面Wに対向した位置に複数のパネル4A,4B,4Cを設置することができる。これにより、居住者自身で室内の模様替えを手軽に行うことができる。なお、パネルの交換が容易なため、好みのデザインや用途に応じたパネルを選択する自由度が増加する。また、パネルの設置に際して、接着剤や両面テープなどを用いていないため、経時劣化による内壁パネルユニットの壁面からの脱落(剥がれ)が生じることや、既存の壁面を傷つけることがない。なお、既存の壁面を傷つけることがないため、内壁パネルユニットの解体後においても、原状回復が可能である。
また、本実施の形態に係る内壁パネルユニット1によれば、パネル4A,4B,4Cの取付用下地枠2への取り付けは、第1および第2蟻形ほぞ30,30,32,32間に設けた切欠き34を介して行うことができるため、室内の壁面Wに取付用下地枠2を設置した後で、パネル4A,4B,4Cを取付用下地枠2に取り付けることができる。これにより、内壁パネルユニット1の壁面Wへの設置をより簡単なものとすることができる。
さらに、本実施の形態に係る内壁パネルユニット1によれば、切欠き34に配置されることになるパネル4Cは、当該パネル4Cに設けた雇い実SPを、当該パネル4Cの直上に配置されるパネル4Bの実溝SLbに係合させると共に、当該パネル4Cの実溝SLbに、当該パネル4Cの直下に配置されるパネル4Cに設けた雇い実SPを係合させることによって、間接的に取付用下地枠2に取り付けることができる。これにより、切欠き34を設けたことによるパネル4A,4B,4Cの取付用下地枠2への取り付け性の向上と、パネル4A,4B,4Cの取付用下地枠2からの脱落防止と、の両立を図ることができる。なお、切欠き34に配置されることになるパネル4Cの直上に配置されるパネル4Bは、板バネPS,PSによって、切欠き34よりも天井面側に寄った状態で保持されるため、切欠き34に配置されるパネル4Cを取付用下地枠2に取り付ける際に、パネル4Bを手で押さえるなどする必要がない。これにより、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施の形態に係る内壁パネルユニット1によれば、取付用下地枠2は、上側角材90を介して天井面CSと当接すると共に、下側角材49を介して床面FSと当接する構成であるため、取付用下地枠2を天井面CSおよび床面FSと比較的広い面積で面接触させることができる。これにより、天井面CSおよび床面FSに対する突っ張り力が同じであれば、天井面CSや床面FSに作用する面圧を低下させることができる。これにより、天井面CSや床面FSを傷つけることを抑制することができ、内壁パネルユニット1の解体後においても、原状回復が可能である。また、取付用下地枠2が天井面CSおよび床面FSと比較的広い面積で面接触され得るため、天井面CSや床面FSに設けられた下地に取付用下地枠2を確実に当接させることができる。これにより、取付用下地枠2の固定を安定したものとすることができる。さらに、上側角材90や下側角材49をパネル4Bと天井面CSとの隙間、あるいは、パネル4Aと床面FSとの隙間の目地としても機能させることができるため、意匠的にも良好なものとすることができる。
なお、上側角材90や下側角材49の長手方向の長さを、パネル4A,4B,4Cの横寸法La2,Lbと同じに設定する構成であるため、各取付用下地枠2の各上側および下側角材90,49の長手方向の端面同士を当接させるのみで、各取付用下地枠2間の間隔をパネル4A,4B,4Cの横寸法La2,Lbと同じにすることができる。これにより、内壁パネルユニット1の施工性の向上を図ることができる。
また、本実施の形態に係る内壁パネルユニット1によれば、取付用下地枠2を上側枠20および下側枠40の2分割構造としたため、取付用下地枠2をコンパクトに梱包することができると共に、搬送性の向上を図ることができる。
本実施の形態では、取付用下地枠2にアジャスタボルト70,70を用いる構成としたが、取付用下地枠2の長手方向の長さを調節することができれば、如何なる構成であっても良い。
本実施の形態では、板バネPS,PSによって、パネル4Bを天井面CSに近接した位置にスライドさせた状態を維持する構成としたが、例えば、ボールプランジャーを用いる構成など、パネル4Bを天井面CSに近接した位置にスライドさせた状態を一時的に維持することができる構成であれば如何なる構成であっても良い。
本実施の形態では、上側角材90や下側角材49を用いる構成としたが、上側角材90や下側角材49は用いなくても良い。
本実施の形態では、取付用下地枠2を梯子状に構成したが、これに限らない。取付用下地枠2は、例えば、板状に構成しても差し支えない。
本実施の形態では、取付用下地枠2やパネル4A,4B,4Cを木製としたが、これに限らない。
本実施の形態では、取付用下地枠2を上側枠20および下側枠40の2分割構成としたが、取付用下地枠2は分割構成でなくても良い。また、取付用下地枠2を3つ以上に分割する構成としても良い。
本実施の形態では、切欠き段差部25,25の貫通孔25b,25bおよび切欠き段差部45,45の袋小路孔45b,45bにダボを圧入嵌合することにより、上側枠20および下側枠40を一体にする構成としたが、これに限らない。例えば、袋小路孔45b,45bに直接雌ネジを形成する構成や、袋小路孔45b,45bに雌ネジを有するナットを埋設する構成とし、ボルトやネジなどの締結部材を貫通孔25b,25bから挿入して袋小路孔45b,45bに形成した雌ネジや袋小路孔45b,45bに埋設したナットの雌ネジにネジ係合することにより、上側枠20および下側枠40を一体にする構成としても良い。
本実施の形態では、内壁パネルユニット1を壁面Wに設置する構成としたが、これに限らない。例えば、内壁パネルユニット1を天井面に設置する構成としても良い。この場合、取付用下地枠2を対向する壁面W間に突っ張り状に固定すれば良い。
本実施の形態では、パネル4A,4B,4Cは、化粧板4A1,4B1の裏面に裏板4A2,4B2を一体にして、当該裏板4A2,4B2に一対の蟻形溝Dga,Dga,Dgb1,Dgb1,Dgb2,Dgb2を形成する構成としたが、化粧板4A1,4B1の裏面に裏板4A2,4B2を一体にすることなく、当該化粧板4A1,4B1の裏面に直接、一対の蟻形溝Dga,Dga,Dgb1,Dgb1,Dgb2,Dgb2を形成する構成としても良い。
本実施の形態では、パネル4B,4Cの裏板4B2は、化粧板4B1の縦方向に沿うように当該縦方向の全域に亘って延在する一対の細板4B21,4B21と、化粧板4B1の横方向に沿うように一対の細板4B21,4B21間に亘って延在する一対の細板4B22,4B22と、から構成して、化粧板4B1の裏面の中央部を除く周縁部を覆う態様としたが、裏板4B2は、化粧板4B1と同じ形状、大きさの1枚板から構成して、化粧板4B1の裏面の全面を覆う態様としても良い。
本実施の形態では、パネル4B,4Cには、縦方向に延在する蟻形溝Dgb1,Dgb1および横方向に延在する蟻形溝Dgb2,Dgb2を設ける構成としたが、少なくとも縦方向に延在する蟻形溝Dgb1,Dgb1があれば良い。
本実施の形態では、パネル4B,4Cは、正方形としたが、これに限らない。例えば、パネル4B,4Cは、長方形としても良い。
本実施の形態では、取付用下地枠2に最後に取り付けるパネル4Cの上側の側面に設けた雇い実SPを最上部に配置されるパネル4Bの下側の側面に設けた実溝SLbに係合させると共に、取付用下地枠2に最後に取り付けるパネル4Cの直下に配置されるパネル4Cの上側の側面に設けた雇い実SPを取付用下地枠2に最後に取り付けるパネル4Cの下側の側面に設けた実溝SLbに係合させる構成としたが、取付用下地枠2に最後に取り付けるパネル4Cが、当該パネル4Cの直上および直下に配置されるパネル4B,4Cとの実継によって取付用下地枠2に取り付けられる構成であれば、雇い実SPおよび実溝SLbの組合せは、如何なる組合せであっても良い。例えば、取付用下地枠2に最後に取り付けるパネル4Cの上下の側面に実溝SLb,SLbを設け、当該パネル4Cの直上に配置されるパネル4Bの下側の側面および当該パネル4Cの直下に配置されるパネル4Cの上側の側面に雇い実SP,SPを設ける構成や、逆に、取付用下地枠2に最後に取り付けるパネル4Cの上下の側面に雇い実SP,SPを設け、当該パネル4Cの直上に配置されるパネル4Bの下側の側面および当該パネル4Cの直下に配置されるパネル4Cの上側の側面に実溝SLb,SLbを設ける構成などが考えられる。
本実施の形態では、取付用下地枠2に最後に取り付けるパネル4Cの上側の側面および当該パネル4Cの直下に配置されるパネル4Cの上側の側面に雇い実SPを設ける構成としたが、本実を設ける構成としても良い。
本実施の形態では、パネル4B,4Cの4つの辺の全ての側面に実溝SLb,SLb,SLb,SLbを設ける構成としたが、実溝SLbは、必要な側面のみに設ける構成としても良い。
本実施の形態では、一対の蟻形溝Dgb1,Dgb1および一対の蟻形溝Dgb2,Dgb2をパネル4B,4Cの縦方向の全域および横方向の全域に亘って形成する構成としたが、図29の変形例のパネル104B,104Cに例示するように、一対の蟻形溝Dgb100,Dgb100および一対の蟻形溝Dgb102,Dgb102は、パネル104B,104Cの縦方向の長さおよび横方向の長さよりも短くても良い。この場合、一対の蟻形溝Dgb100,Dgb100および一対の蟻形溝Dgb102,Dgb102は、化粧板104B1の縦方向の長さよりも短い一対の細板104B21,104B21と、化粧板104B1の横方向の長さよりも短い一対の細板104B22,104B22に形成すれば良い。
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
本発明に係る内壁パネルユニットの好ましい形態によれば、室内の壁面を装飾するための内壁パネルユニットが構成される。当該内壁パネルユニットは、長尺状の基部材と、複数のパネルと、を備えている。基部材は、長手方向に伸縮自在かつ所望の伸縮状態を維持可能な伸縮部と、長手方向に延在する少なくとも1条の蟻形ほぞと、を有している。また、複数のパネルは、蟻形ほぞに係合可能な少なくとも1条の蟻形溝を有している。蟻形ほぞは、第1蟻形ほぞと、切欠きを挟んで当該第1蟻形ほぞと直列に配置された第2蟻形ほぞと、を有している。また、パネルは、蟻形溝を介して第1蟻形ほぞに係合される第1パネルと、蟻形溝を介して第2蟻形ほぞに係合される第2パネルと、切欠きに配置される第3パネルと、を有している。さらに、第1パネルは、蟻形溝の延在方向と直交する方向に延在する第1辺部に第1凹部または第1凸部を有している。また、第2パネルは、蟻形溝の延在方向と直交する方向に延在する第2辺部に第2凹部または第2凸部を有している。また、第3パネルは、蟻形溝の延在方向と直交する方向に延在する第3辺部に第1凹部または第1凸部に係合する第3凸部または第3凹部を有していると共に、蟻形溝の延在方向と直交する方向に延在する第4辺部に第2凹部または前記第2凸部に係合する第4凸部または第4凹部を有している。ここで、本発明における「室内の壁面」とは、典型的には、天井面と床面とを接続する側壁の室内側の壁面がこれに該当するが、天井面を好適に包含する。また、本発明における「第1凸部」、「第2凸部」、「第3凸部」および「第4凸部」は、それぞれ第1パネル、第2パネルおよび第3パネルに一体成形される態様の他、第1パネル、第2パネルおよび第3パネルとは別体に成形した後に、当該第1パネル、第2パネルおよび第3パネルに一体にされる態様を好適に包含する。
本発明によれば、例えば、天井面と床面とを接続する側壁の室内側の壁面に基部材を当接ないし近接させた状態で配置して、当該基部材の伸縮部を伸長させることによって、天井面と床面との間で突っ張った状態で当該基部材を固定することができると共に、パネルの蟻形溝を基部材の蟻形ほぞに係合させることによって、複数のパネルを基部材に取付けることができる。即ち、ボルトやネジなどの締結部材を用いることなく、室内の壁面に対向した位置に複数のパネルを設置することができる。これにより、居住者自身で室内の模様替えを手軽に行うことができる。なお、パネルの交換が容易なため、好みのデザインや用途に応じたパネルを選択する自由度が増加する。また、パネルの設置に際して、接着剤や両面テープなどを用いていないため、経時劣化による内壁パネルユニットの壁面からの脱落(剥がれ)が生じることや、既存の壁面を傷つけることがない。なお、既存の壁面を傷つけることがないため、内壁パネルユニットの解体後においても、原状回復が可能である。さらに、第1蟻形ほぞと第2蟻形ほぞとの間に切欠きを有するため、例えば、天井面と床面とを接続する側壁の室内側の壁面に基部材を当接ないし近接させると共に、天井面と床面との間で突っ張った状態で固定した後で、パネルを基部材に取付けることができる。これにより、内壁パネルユニットの施工性をさらに向上することができる。なお、第1および第2パネルは、第1および第2蟻形ほぞに係合されることによって、基部材に取付けられ、第3パネルは、第3凸部または第3凹部が第1パネルの第1凹部または第1凸部と係合されると共に、第4凸部または第4凹部が第2パネルの第2凹部または第2凸部と係合されることによって、第1および第2パネルを介して基部材に取付けられるため、パネルの基部材からの脱落防止と、パネルの基部材への取付性の向上と、の両立を図ることができる。