JP2020023224A - ヒートポンプシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】低温環境における吸熱器の吸熱性能を確保して、より広い温度範囲で暖房運転に対応可能なヒートポンプシステムを提供する。【解決手段】ヒートポンプシステム1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル10と、空気加熱ユニット30を有しており、冷凍サイクル10の冷媒圧縮機11で圧縮した吐出冷媒の熱を熱源として送風空気を加熱する暖房運転を実行可能に構成されている。空気加熱ユニット30は、空気吸込口32から吸い込んだ空気を、空気圧縮膨張機31で圧縮して熱を発生させて、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体を介して、冷凍サイクル10のチラー17側に供給する。【選択図】図1
Description
本発明は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを有するヒートポンプシステムに関する。
従来、ヒートポンプシステムは、例えば、車両用空調装置等に適用されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの冷媒回路を切り替えることで、冷房モード、暖房モード、除湿暖房モード等の様々な運転モードを実現している。
このようなヒートポンプシステムが暖房モードで作動した場合、サイクルの低圧側に配置された室外熱交換器は、吸熱器として機能して外気等から吸熱する。この時、外気が低温且つ高湿度である場合には、吸熱器の表面が着霜してしまうことが想定される。
吸熱器の表面が着霜してしまうと、吸熱器における外気からの吸熱量が低下して、当該ヒートポンプシステムの暖房性能が低下してしまう。
この点についてなされた発明として、特許文献1に記載された発明が知られている。特許文献1に記載されたヒートポンプシステムは、車両用空調装置を構成しており、暖房時に室外熱交換器が着霜した場合に、冷媒回路を切り替えて高温高圧の冷媒を室外熱交換器に流入させて、当該室外熱交換器を除霜する除霜運転を実行している。
即ち、特許文献1に記載されたヒートポンプシステムは、外気が低温高湿度の場合には、暖房による室外熱交換器の着霜が進行するたびに除霜運転を行うことで、低温高湿度である環境での暖房を実現している。
ここで、特許文献1のヒートポンプシステムでは、除霜運転を行う際に冷媒回路を切り替えている為、冷凍サイクルを用いた暖房と除霜運転を同時に行うことはできず、除霜運転時には暖房が停止してしまう。低温高湿度な環境において、一時的に暖房が停止してしまうと、快適性は大きく低下してしまう。
又、特許文献1のヒートポンプシステムのような構成において、外気が極端に低温(例えば、−10℃以下)である場合、外気から吸熱する為に冷媒温度は、外気温よりも更に低温にする必要がある。そうすると、冷媒圧縮機が吸入する冷媒は、圧力、密度の低下を引き起こし、冷媒圧縮機の圧縮比の増加を招く為、機器効率が低下してしまう。更に、低密度の冷媒を圧縮する為、同一吐出容積あたりの冷媒質量流量が低下し、必要暖房性能を確保できなくなってしまう。
本発明は、これらの点に鑑みてなされており、着霜に対応しつつ、低温環境における吸熱器の吸熱性能を確保して、より広い温度範囲で暖房運転に対応可能なヒートポンプシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載されたヒートポンプシステムは、
冷媒を圧縮して吐出する冷媒圧縮機(11)と、
冷媒圧縮機にて圧縮された高圧冷媒を凝縮させる凝縮器(12、12a、71)を含み、空調対象空間へ送風される送風空気に対して高圧冷媒の熱を放熱する加熱部(20)と、
凝縮器から流出した冷媒を減圧させる冷媒減圧部(14、14a、15、72)と、
冷媒減圧部にて減圧された冷媒を蒸発させて吸熱させる冷媒蒸発器(16、16a、17)を有する冷凍サイクル(10)と、
空気を圧縮して吐出する空気圧縮機(31、37)を有する空気加熱ユニット(30)と、を備え、
空気圧縮機から吐出された圧縮空気の熱を、冷凍サイクルの冷媒蒸発器に供給する。
冷媒を圧縮して吐出する冷媒圧縮機(11)と、
冷媒圧縮機にて圧縮された高圧冷媒を凝縮させる凝縮器(12、12a、71)を含み、空調対象空間へ送風される送風空気に対して高圧冷媒の熱を放熱する加熱部(20)と、
凝縮器から流出した冷媒を減圧させる冷媒減圧部(14、14a、15、72)と、
冷媒減圧部にて減圧された冷媒を蒸発させて吸熱させる冷媒蒸発器(16、16a、17)を有する冷凍サイクル(10)と、
空気を圧縮して吐出する空気圧縮機(31、37)を有する空気加熱ユニット(30)と、を備え、
空気圧縮機から吐出された圧縮空気の熱を、冷凍サイクルの冷媒蒸発器に供給する。
当該ヒートポンプシステムによれば、凝縮器を含む加熱部にて、冷凍サイクルの冷媒圧縮機で圧縮された高圧冷媒の熱により、空調対象空間へ送風される送風空気を加熱することができ、空調対象空間の快適性を向上させることができる。
そして、当該ヒートポンプシステムによれば、空気加熱ユニットの空気圧縮機で圧縮された圧縮空気の熱を冷媒蒸発器に供給することができるので、冷媒蒸発器における冷媒の蒸発潜熱による着霜を抑制することができる。これにより、当該ヒートポンプシステムは、着霜による冷媒蒸発器の吸熱能力の低下を抑制し、より広い温度範囲で空調対象空間の快適性を高めることができる。
又、当該ヒートポンプシステムによれば、システムの運転環境が極低温にある場合も、空気密度の変化は小さく(むしろ低外気温で空気密度は増加)、外気温に左右されることなく空気圧縮機で圧縮された圧縮空気の熱を冷媒蒸発器に供給することができる。このため、当該ヒートポンプシステムによれば、空調対象空間の暖房に対する冷媒圧縮機の圧縮仕事量を、空気加熱ユニットで補助することができる。
即ち、当該ヒートポンプシステムは、空気加熱ユニットを用いることで、極低温環境における空調対象空間の暖房に関する運転効率を向上させ、より広い温度範囲での暖房運転を実現することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。以下の実施形態において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。又、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。
そして、以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るヒートポンプシステム1は、車両走行用の駆動力を電動モータから得る電気自動車に搭載されている。そして、当該ヒートポンプシステム1は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調を行う機能、およびバッテリ40等の電気機器の温度を適切な温度に調整する機能を果たす。
第1実施形態に係るヒートポンプシステム1は、車両走行用の駆動力を電動モータから得る電気自動車に搭載されている。そして、当該ヒートポンプシステム1は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調を行う機能、およびバッテリ40等の電気機器の温度を適切な温度に調整する機能を果たす。
ヒートポンプシステム1は、車室内の空調を行う運転モードとして、冷房モード、除湿暖房モード、暖房モードを切り替えることができる。冷房モードは、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を冷却して車室内へ吹き出す運転モードである。除湿暖房モードは、冷却して除湿された送風空気を再加熱して車室内へ吹き出す運転モードである。暖房モードは、送風空気を加熱して車室内へ吹き出す運転モードである。
図1に示すように、第1実施形態に係るヒートポンプシステム1は、冷凍サイクル10と、高温側熱媒体回路20と、低温側熱媒体回路25と、空気加熱ユニット30と、室内空調ユニット50等を有している。
まず、冷凍サイクル10について説明する。冷凍サイクル10は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置であり、冷媒圧縮機11、水−冷媒熱交換器12、冷却用膨張弁14、吸熱用膨張弁15、室内蒸発器16、チラー17を有している。
又、当該冷凍サイクル10は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成しており、ヒートポンプシステム1におけるヒートポンプとして機能している。
そして、当該冷凍サイクル10では、冷媒として、HFC系冷媒または、HFO系冷媒(具体的には、R134a、R1234yf)を採用している。冷媒には、冷媒圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されている。冷凍機油の一部は、冷媒とともにサイクルを循環している。
冷媒圧縮機11は、冷凍サイクル10において、冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。冷媒圧縮機11は、車両ボンネット内に配置されている。冷媒圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機である。冷媒圧縮機11は、後述する制御装置60から出力される制御信号によって、回転数(即ち、冷媒吐出能力)が制御される。
冷媒圧縮機11の吐出口には、水−冷媒熱交換器12の冷媒通路の入口側が接続されている。水−冷媒熱交換器12は、冷媒圧縮機11から吐出された高圧冷媒を流通させる冷媒通路と、高温側熱媒体回路20を循環する高温側熱媒体を流通させる水通路とを有している。
そして、水−冷媒熱交換器12は、冷媒通路を流通する高圧冷媒と、水通路を流通する高温側熱媒体とを熱交換させて、高温側熱媒体を加熱する加熱用の熱交換器である。当該水−冷媒熱交換器12は、凝縮器として機能する。
水−冷媒熱交換器12の冷媒通路の出口には、冷媒分岐部13aの冷媒流入口側が接続されている。冷媒分岐部13aは、水−冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した高圧冷媒の流れを分岐するものである。冷媒分岐部13aは、互いに連通する3つの冷媒流入出口を有する三方継手構造のもので、3つの流入出口のうち1つを冷媒流入口とし、残りの2つを冷媒流出口としたものである。
冷媒分岐部13aの一方の冷媒流出口には、冷却用膨張弁14を介して、室内蒸発器16の冷媒入口側が接続されている。冷媒分岐部13aの他方の冷媒流出口には、吸熱用膨張弁15を介して、チラー17の冷媒通路の入口側が接続されている。
冷却用膨張弁14は、少なくとも冷房モード時に、冷媒分岐部13aの一方の冷媒流出口から流出した冷媒を減圧させる冷却用減圧部である。更に、冷却用膨張弁14は、下流側に接続される室内蒸発器16へ流入する冷媒の流量を調整する冷却用流量調整部として機能する。
そして、冷却用膨張弁14は、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の開度を変化させる電動アクチュエータ(具体的には、ステッピングモータ)とを有して構成される電気式の可変絞り機構である。冷却用膨張弁14は、制御装置60から出力される制御信号(具体的には、制御パルス)によって、その作動が制御される。
当該冷却用膨張弁14は、弁開度を全閉とすることで冷媒通路を閉塞する全閉機能を有している。この全閉機能により、冷却用膨張弁14は、室内蒸発器16へ冷媒を流入させる冷媒回路と室内蒸発器16へ冷媒を流入させない冷媒回路とを切り替えることができる。つまり、冷却用膨張弁14は、冷媒回路を切り替える回路切替部としての機能を兼ね備えている。
室内蒸発器16は、冷却用膨張弁14にて減圧された低圧冷媒と送風空気とを熱交換させる熱交換器である。室内蒸発器16は、少なくとも冷房モード時に、低圧冷媒を蒸発させて送風空気を冷却する冷却用の熱交換器であり、冷媒蒸発器として機能する。室内蒸発器16は、後述する室内空調ユニット50のケーシング51内に配置されている。
室内蒸発器16の冷媒出口には、蒸発圧力調整弁18の入口側が接続されている。蒸発圧力調整弁18は、室内蒸発器16における冷媒蒸発圧力を予め定めた基準圧力以上に維持する蒸発圧力調整部である。蒸発圧力調整弁18は、室内蒸発器16の出口側の冷媒圧力の上昇に伴って、弁開度を増加させる機械式の可変絞り機構で構成されている。
当該蒸発圧力調整弁18としては、室内蒸発器16における冷媒蒸発温度を、室内蒸発器16の着霜を抑制可能な着霜抑制基準温度(例えば、1℃)以上に維持するものが採用されている。
蒸発圧力調整弁18の出口には、冷媒合流部13bの一方の冷媒流入口側が接続されている。冷媒合流部13bは、蒸発圧力調整弁18から流出した冷媒の流れとチラー17から流出した冷媒の流れとを合流させるものである。冷媒合流部13bは、冷媒分岐部13aと同様の三方継手構造のもので、3つの流入出口のうち2つを冷媒流入口とし、残りの1つを冷媒流出口としたものである。
そして、吸熱用膨張弁15は、少なくとも暖房モード時に、冷媒分岐部13aの他方の冷媒流出口から流出した冷媒を減圧させる吸熱用減圧部である。更に、吸熱用膨張弁15は、下流側に接続されるチラー17の冷媒通路へ流入する冷媒の流量を調整する吸熱用流量調整部である。
吸熱用膨張弁15の基本的構成は、冷却用膨張弁14と同様である。従って、吸熱用膨張弁15は、全閉機能を有する電気式の可変絞り機構である。そして、吸熱用膨張弁15は、チラー17の冷媒通路へ冷媒を流入させる冷媒回路とチラー17の冷媒通路へ冷媒を流入させない冷媒回路とを切り替えることができる。つまり、吸熱用膨張弁15は、冷却用膨張弁14と同様に、回路切替部としての機能を兼ね備えている。
チラー17は、吸熱用膨張弁15にて減圧された低圧冷媒を流通させる冷媒通路と、低温側熱媒体回路25を循環する低温側熱媒体を流通させる水通路とを有している。
当該チラー17は、少なくとも暖房モード時に、冷媒通路を流通する低圧冷媒と、水通路を流通する低温側熱媒体とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発部である。即ち、冷媒蒸発器として機能する。当該チラー17の冷媒通路の出口には、冷媒合流部13bの他方の冷媒流入口側が接続されている。
そして、冷媒合流部13bの冷媒流出口には、貯液器19の入口側が接続されている。貯液器19は、内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰冷媒を貯える気液分離器である。
当該貯液器19の気相冷媒出口には、冷媒圧縮機11の吸入口側が接続されている。従って、貯液器19は、冷媒圧縮機11に液相冷媒が吸入されることを抑制し、冷媒圧縮機11における液圧縮を防止する機能を果たす。
次に、高温側熱媒体回路20について説明する。高温側熱媒体回路20は、高温側熱媒体を循環させる回路である。高温側熱媒体としては、エチレングリコールを含む溶液、不凍液等を採用することができる。
高温側熱媒体回路20には、水−冷媒熱交換器12の水通路、高温側熱媒体ポンプ21、ヒータコア22、ラジエータ23、高温側流量調整弁24、インバータ41の水通路、モータジェネレータ42の水通路等が配置されている。
図1に示すように、水−冷媒熱交換器12の水通路の出口側には、高温側熱媒体ポンプ21の吸入口側が接続されている。当該高温側熱媒体ポンプ21は、高温側熱媒体回路20の高温側熱媒体を圧送する水ポンプである。そして、高温側熱媒体ポンプ21は、制御装置60から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、圧送能力)が制御される電動ポンプである。
高温側熱媒体ポンプ21の吐出口側には、高温側流量調整弁24の流出入口の一つが接続されている。高温側流量調整弁24は、3つの流入出口を有しており、そのうち2つの流入出口の通路面積比を連続的に調整可能な電気式の三方流量調整弁である。高温側流量調整弁24は、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
高温側流量調整弁24の別の流入出口には、ヒータコア22の熱媒体入口側が接続されている。高温側流量調整弁24のさらに別の流入出口には、ラジエータ23の熱媒体入口側が接続されている。
そして、高温側流量調整弁24は、高温側熱媒体回路20において、水−冷媒熱交換器12の水通路から流出した高温側熱媒体のうち、ヒータコア22へ流入させる高温側熱媒体の流量とラジエータ23へ流入させる高温側熱媒体の流量との流量比を連続的に調整する機能を有している。
ヒータコア22は、水−冷媒熱交換器12にて加熱された高温側熱媒体と室内蒸発器16を通過した送風空気とを熱交換させて、送風空気を加熱する熱交換器である。ヒータコア22は、室内空調ユニット50のケーシング51内に配置されている。ヒータコア22の熱媒体出口には、水−冷媒熱交換器12の水通路の入口側が接続されている。
ラジエータ23は、水−冷媒熱交換器12にて加熱された高温側熱媒体と図示しない外気ファンから送風された外気とを熱交換させて、高温側熱媒体の有する熱を外気に放熱させる熱交換器である。
ラジエータ23は、車両ボンネット内の前方側に配置されている。この為、車両走行時には、ラジエータ23に走行風を当てることができる。ラジエータ23は、水−冷媒熱交換器12等と一体的に形成されていてもよい。
ラジエータ23の熱媒体出口には、モータジェネレータ42の水通路及びインバータ41の水通路が接続されている。そして、インバータ41の水通路の出口側には、水−冷媒熱交換器12の水通路の入口側が接続されている。
インバータ41は、直流電流を交流電流に変換する電力変換部である。モータジェネレータ42は、電力を供給されることによって走行用の駆動力を出力すると共に、減速時等には回生電力を発生させる。インバータ41、モータジェネレータ42は、作動時に発熱を伴う機器である。
従って、当該ヒートポンプシステム1は、高温側熱媒体回路20の熱媒体を、インバータ41及びモータジェネレータ42の冷却水通路を通過させることで、インバータ41、モータジェネレータ42の温度を、充分な性能を発揮できる適正な温度帯の範囲内に調整することができる。
そして、高温側熱媒体回路20では、高温側流量調整弁24が、ヒータコア22へ流入する高温側熱媒体の流量を調整することによって、ヒータコア22における高温側熱媒体の送風空気への放熱量(即ち、ヒータコア22における送風空気の加熱量)を調整することができる。
つまり、第1実施形態では、水−冷媒熱交換器12及び高温側熱媒体回路20の各構成機器によって、冷媒圧縮機11から吐出された冷媒を熱源として送風空気を加熱する加熱部が構成されている。
続いて、低温側熱媒体回路25について説明する。低温側熱媒体回路25は、低温側熱媒体を循環させる熱媒体循環回路であり、熱媒体回路として機能する。低温側熱媒体としては、高温側熱媒体と同様の流体を採用することができる。
低温側熱媒体回路25には、低温側熱媒体ポンプ26、チラー17の水通路、バッテリ40の水通路、後述する空気加熱ユニット30における空気放熱器35の水通路が接続されている。
低温側熱媒体ポンプ26は、低温側熱媒体回路25にて低温側熱媒体を圧送する水ポンプである。低温側熱媒体ポンプ26の吐出口側には、チラー17の水通路の入口側が接続されている。当該低温側熱媒体ポンプ26の基本的構成は、高温側熱媒体ポンプ21と同様である。
上述したように、チラー17は、冷媒通路を流通する低圧冷媒と、水通路を流通する低温側熱媒体とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させて冷却する蒸発部であり、熱媒体−冷媒熱交換器として機能する。
従って、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体は、チラー17にて、冷凍サイクル10の低圧冷媒と熱交換することで冷却される。そして、チラー17の水通路の出口側には、バッテリ40の水通路の入口側が接続されている。
バッテリ40は、車両に搭載された各種電気機器に電力を供給するものである。バッテリ40は、充放電可能な二次電池(例えば、リチウムイオン電池)である。そして、バッテリ40は作動時に発熱を伴う。この為、バッテリ40の冷却水通路は、低温側熱媒体を流通させることで、バッテリ40を冷却できるように形成されている。
この種のバッテリ40は、低温になると化学反応が進みにくく充放電の関して充分な性能を発揮することができない。一方、高温になると劣化が進行しやすくなる。従って、ヒートポンプシステム1では、低温側熱媒体回路25にて低温側熱媒体を循環させることによって、充分な性能を発揮できる適正な温度帯(例えば、10℃以上、かつ、40℃以下)の範囲内に、バッテリ40の温度を調整することができる。
そして、バッテリ40の冷却水通路の出口側には、後述する空気加熱ユニット30を構成する空気放熱器35の水通路の入口側が接続されている。空気放熱器35では、空気加熱ユニット30における高圧空気の熱が、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体に放熱される。
当該空気放熱器35の水通路の出口側には、低温側熱媒体ポンプ26の吸入口側が接続されている。従って、低温側熱媒体回路25においては、低温側熱媒体を循環させることができ、空気放熱器35及びチラー17を介して、空気加熱ユニット30で生じた熱を冷凍サイクル10の低圧冷媒に供給することができる。
次に、空気加熱ユニット30について説明する。空気加熱ユニット30は、ヒートポンプシステム1の外部の空気を空気圧縮膨張機31で圧縮することで熱を発生させ、この熱を冷凍サイクル10の低圧冷媒側(即ち、チラー17側)に供給する。即ち、空気加熱ユニット30は、空気加熱ユニットとして機能する。
図1に示すように、第1実施形態に係る空気加熱ユニット30は、空気が流れる空気流路の空気吸込口32と空気吹出口33の間において、空気圧縮膨張機31と、空気放熱器35と、内部熱交換器36とを有している。
空気圧縮膨張機31は、所謂、複合流体機械によって構成されており、圧縮機構部31aと、膨張機構部31bと、回転電機31cを有している。当該空気圧縮膨張機31は、回転電機31cの駆動に伴って、圧縮機構部31aにて空気を圧縮して吐出する機能と、高圧空気を膨張機構部31bにて膨張させることで、回転電機31cでエネルギを回収する機能を有している。空気圧縮膨張機31は空気圧縮機として機能する。
圧縮機構部31aは、空気圧縮膨張機31のケーシング内に配置されており、空気吸込口32から吸い込まれた空気を圧縮することで、空気を高温高圧な状態にする機構部である。当該圧縮機構部31aは、例えば、スクロール型の圧縮機構で構成されており、固定スクロールと旋回スクロールを有している。
回転電機31cの駆動軸には旋回スクロールが固定されており、駆動軸の回転に伴い旋回スクロールが固定スクロールに対して変位するように構成されている。そして、旋回スクロールと固定スクロールの歯部の間において、空気が高温高圧に圧縮され、空気圧縮膨張機31の外部に接続された空気流路に吐出される。
膨張機構部31bは、圧縮機構部31aと同様に、空気圧縮膨張機31のケーシング内に配置されており、空気加熱ユニット30において、圧縮機構部31aと直列になるように接続されている。当該膨張機構部31bは、高温高圧の空気を膨張させることで、空気の圧力エネルギを運動エネルギに変換する機構部であり、空気膨張部として機能する。
膨張機構部31bとしては、例えば、圧縮機構部31aと同様に、スクロール型圧縮機構を採用することができる。この場合、旋回スクロールと固定スクロールの歯部において、高圧の空気が膨張すると、旋回スクロールが固定スクロールに対して相対的に変位する。これにより、膨張機構部31bでは、高圧空気の圧力エネルギを、運動エネルギに変換して回収することができる。
ここで、膨張機構部31b側の旋回スクロールも回転電機31cの駆動軸に固定されている為、膨張機構部31b側の固定スクロールに対する旋回スクロールの変位に伴って、圧縮機構部31a側の固定スクロールに対して旋回スクロールが変位する。従って、膨張機構部31bで回収された運動エネルギは、圧縮機構部31aを動作させる為に利用されて、空気の圧縮する際の回転電機31cの動力低減に貢献する。
そして、回転電機31cは、回転可能に支持された駆動軸と、当該駆動軸に固定された回転子と、回転子の周囲にて巻き線が巻かれた固定子(ステータ)とを有している。回転電機31cは、外部電源(例えば、バッテリ40)からの電力供給により駆動し、圧縮機構部31aにて空気を圧縮する為の駆動部として機能する。
そして、空気吸込口32は、ヒートポンプシステム1の外部の空気を吸い込む為の開口部であり、空気加熱ユニット30における空気流路の一端部に配置されている。又、空気吹出口33は、空気加熱ユニット30の外部へ空気を吹き出す為の開口部であり、空気加熱ユニット30における空気流路の他端部に配置されている。
そして、空気放熱器35は、空気圧縮膨張機31で圧縮された高温高圧の空気と、低温側熱媒体回路25を流れる低温側熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。空気放熱器35は、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体が流れる水通路と、空気加熱ユニット30の高温高圧の空気が流れる空気通路とを有している。
従って、空気放熱器35においては、空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31aで高圧に圧縮された圧縮空気の熱が、水通路を流れる低温側熱媒体に対して放熱される。即ち、空気放熱器35は空気放熱器として機能する。空気放熱器35の空気通路の出口側には、空気圧縮膨張機31における膨張機構部31bの入口側が接続されている。
そして、内部熱交換器36は、空気吸込口32から空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31aに流入する空気と、空気放熱器35から空気圧縮膨張機31の膨張機構部31bに流入する圧縮空気とを熱交換させる。内部熱交換器36は、その内部における熱交換によって、圧縮機構部31aに流入する空気を予め加熱する。
尚、内部熱交換器36において、空気吸込口32から圧縮機構部31aへの空気通路における空気の流れと、空気放熱器35の空気通路出口側から膨張機構部31bへの空気通路における圧縮空気の流れは対向流となるように形成されている。これにより、内部熱交換器36における熱交換効率を向上させることができる。
このように、第1実施形態に係るヒートポンプシステム1において、空気加熱ユニット30における空気の流れは、空気吸込口32→内部熱交換器36→空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31a→空気放熱器35→内部熱交換器36→空気圧縮膨張機31の膨張機構部31b→空気吹出口33の順に流れる。
当該空気加熱ユニット30は、空気圧縮膨張機31にて空気を圧縮して生じた熱を、空気放熱器35にて、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体に放熱させることができる。低温側熱媒体回路25では、チラー17にて、低温側熱媒体と、冷凍サイクル10の低圧冷媒とが熱交換する為、低温側熱媒体の熱は、チラー17にて低圧冷媒に放熱される。
つまり、当該ヒートポンプシステム1は、空気加熱ユニット30にて空気を圧縮して得られた熱を、低温側熱媒体回路25を介して、冷凍サイクル10のチラー17に供給することができる。
続いて、室内空調ユニット50について説明する。室内空調ユニット50は、ヒートポンプシステム1において、冷凍サイクル10によって温度調整された送風空気を車室内の適切な箇所へ吹き出すための空気通路を形成するものである。室内空調ユニット50は、車室内であって、車室内最前部の計器盤(即ち、インストルメントパネル)の内側に配置されている。
室内空調ユニット50は、その外殻を形成するケーシング51の内部に形成される空気通路に、送風機52、室内蒸発器16、ヒータコア22等を収容して構成されている。ケーシング51は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成するもので、或る程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(具体的には、ポリプロピレン)にて成形されている。
ケーシング51の送風空気流れ最上流側には、内外気切替装置53が配置されている。内外気切替装置53は、ケーシング51内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入するものである。
内外気切替装置53は、ケーシング51内へ内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口の開口面積を、内外気切替ドアによって連続的に調整して、内気の導入風量と外気の導入風量との導入割合を変化させる。内外気切替ドアは、内外気切替ドア用の電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータは、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置53の送風空気流れ下流側には、送風機52が配置されている。送風機52は、内外気切替装置53を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する機能を果たす。送風機52は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。送風機52は、制御装置60から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、送風能力)が制御される。
送風機52の送風空気流れ下流側には、室内蒸発器16及びヒータコア22が、送風空気の流れに対して、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器16は、ヒータコア22よりも送風空気流れ上流側に配置されている。
又、ケーシング51内には、冷風バイパス通路55が形成されている。冷風バイパス通路55は、室内蒸発器16を通過した送風空気を、ヒータコア22を迂回させて下流側へ流す為の空気通路である。
室内蒸発器16の送風空気流れ下流側であって、かつ、ヒータコア22の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア54が配置されている。エアミックスドア54は、室内蒸発器16を通過後の送風空気のうち、ヒータコア22を通過させる風量と冷風バイパス通路55を通過させる風量との風量割合を調整するものである。
エアミックスドア54は、エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータは、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
ヒータコア22の送風空気流れ下流側には、混合空間56が設けられている。当該混合空間56は、ヒータコア22にて加熱された送風空気と冷風バイパス通路55を通過してヒータコア22にて加熱されていない送風空気とを混合させる為の空間である。
更に、ケーシング51の送風空気流れ最下流部には、混合空間56にて混合された送風空気(空調風)を、車室内へ吹き出す開口穴が配置されている。この開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。
フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。
これらのフェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴は、それぞれ空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口(いずれも図示せず)に接続されている。
従って、エアミックスドア54が、ヒータコア22を通過させる風量と冷風バイパス通路55を通過させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間56にて混合される空調風の温度が調整される。これにより、各吹出口から車室内へ吹き出される送風空気(空調風)の温度も調整される。
また、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴の送風空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス開口穴の開口面積を調整するフェイスドア、フット開口穴の開口面積を調整するフットドア、デフロスタ開口穴の開口面積を調整するデフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。
これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、空調風が吹き出される吹出口を切り替える吹出モード切替装置を構成するものである。フェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、リンク機構等を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータに連結されて連動して回転操作される。この電動アクチュエータは、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
次に、第1実施形態に係るヒートポンプシステム1の制御系の概要について、図2を参照しつつ説明する。図2に示すように、当該ヒートポンプシステム1は、各制御対象機器の作動を制御する為の制御装置60を有している。
制御装置60は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。そして、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、各種制御対象機器の作動を制御する。
図2に示すように、制御装置60の出力側には、種々の制御対象機器がそれぞれ接続されている。制御対象機器には、冷媒圧縮機11と、冷却用膨張弁14と、吸熱用膨張弁15と、高温側熱媒体ポンプ21と、高温側流量調整弁24と、低温側熱媒体ポンプ26と、空気圧縮膨張機31と、送風機52等が含まれている。
又、制御装置60の入力側には、制御用のセンサ群が接続されている。従って、制御装置60には、制御用のセンサ群からの検出信号が入力される。制御用のセンサ群には、内気温センサ62a、外気温センサ62b、日射センサ62c、高圧センサ62d、蒸発器温度センサ62e、空調風温度センサ62f、バッテリ温度センサ62g、インバータ温度センサ62h、モータジェネレータ温度センサ62iが含まれている。
内気温センサ62aは、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ62bは、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温検出部である。日射センサ62cは、車室内へ照射される日射量Asを検出する日射量検出部である。高圧センサ62dは、冷媒圧縮機11の吐出口側から冷却用膨張弁14或いは吸熱用膨張弁15の入口側へ至る冷媒流路の高圧冷媒圧力Pdを検出する冷媒圧力検出部である。
蒸発器温度センサ62eは、室内蒸発器16における冷媒蒸発温度(蒸発器温度)Tefinを検出する蒸発器温度検出部である。空調風温度センサ62fは、混合空間56から車室内へ送風される送風空気温度TAVを検出する空調風温度検出部である。
バッテリ温度センサ62gは、バッテリ40の温度を検出するバッテリ温度検出部である。インバータ温度センサ62hは、インバータ41の温度を検出するインバータ温度検出部である。モータジェネレータ温度センサ62iは、モータジェネレータ42の温度を検出するモータジェネレータ温度検出部である。
尚、当該バッテリ温度センサ62gは、複数の温度センサを有し、バッテリ40の複数の箇所の温度を検出している。この為、制御装置60では、バッテリ40の温度として、複数の温度センサの検出値の平均値を採用している。このことは、その他の電気機器の温度を検出するインバータ温度センサ62hやモータジェネレータ温度センサ62iにおいても同様である。
更に、制御装置60の入力側には、図2に示すように、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル61が接続されている。当該操作パネル61は、各種操作スイッチを有しており、乗員による種々の操作に用いられる。従って、制御装置60には、操作パネル61の各種操作スイッチからの操作信号が入力される。
操作パネル61に設けられた各種操作スイッチとしては、具体的に、空調作動スイッチ、風量設定スイッチ、温度設定スイッチ等がある。空調作動スイッチは、乗員が車室内の空調を行うことを要求するための空調作動要求部である。風量設定スイッチは、乗員が送風機52の風量をマニュアル設定するための風量設定部である。温度設定スイッチは、車室内の設定温度を設定するための温度設定部である。
尚、本実施形態の制御装置60は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
次に、第1実施形態のヒートポンプシステム1の作動について説明する。上述の如く、当該ヒートポンプシステム1は、車室内の空調を行う機能、および電気機器の温度調整を行う機能を果たす。更に、ヒートポンプシステム1は、車室内の空調を行う運転モードを切り替えることができる。これらの運転モードは、予め制御装置60に記憶された空調制御プログラムが実行されることによって切り替えられる。
空調制御プログラムは、車両システムが起動している状態で、操作パネル61の空調作動スイッチが投入(ON)されると実行される。空調制御プログラムでは、制御用のセンサ群によって検出された検出信号および操作パネル61から出力される操作信号に基づいて、車室内へ送風される送風空気の目標吹出温度TAOを算出する。
目標吹出温度TAOは、以下数式F1によって算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×As+C…(F1)
尚、Tsetは、温度設定スイッチによって設定された設定温度である。Trは、内気温センサ62aによって検出された内気温である。Tamは、外気温センサ62bによって検出された外気温である。Asは、日射センサ62cによって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×As+C…(F1)
尚、Tsetは、温度設定スイッチによって設定された設定温度である。Trは、内気温センサ62aによって検出された内気温である。Tamは、外気温センサ62bによって検出された外気温である。Asは、日射センサ62cによって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
そして、空調制御プログラムでは、目標吹出温度TAO、検出信号、及び操作信号に基づいて、運転モードを切り替える。以下に、各運転モードの作動を説明する。
(a)冷房モード
冷房モードでは、制御装置60が、冷却用膨張弁14を絞り状態として冷媒減圧作用を発揮させ、吸熱用膨張弁15を全閉状態とする。
冷房モードでは、制御装置60が、冷却用膨張弁14を絞り状態として冷媒減圧作用を発揮させ、吸熱用膨張弁15を全閉状態とする。
これにより、冷房モードの冷凍サイクル10では、冷媒圧縮機11の吐出口→水−冷媒熱交換器12→冷媒分岐部13a→冷却用膨張弁14→室内蒸発器16→蒸発圧力調整弁18→冷媒合流部13b→冷媒圧縮機11の吸入口の順で冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。そして、このサイクル構成で、制御装置60は、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。
例えば、制御装置60は、蒸発器温度センサ62eによって検出された冷媒蒸発温度Tefinが目標蒸発温度TEOとなるように冷媒圧縮機11へ出力される制御信号を決定する。目標蒸発温度TEOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置60に記憶された冷房モード用の制御マップを参照して決定される。
具体的には、この制御マップでは、空調風温度センサ62fによって検出された送風空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように、目標吹出温度TAOの上昇に伴って目標蒸発温度TEOを上昇させる。さらに、目標蒸発温度TEOは、室内蒸発器16の着霜を抑制可能な範囲(具体的には、1℃以上)の値に決定される。
又、制御装置60は、室内蒸発器16の出口側の冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度(例えば、3℃)に近づくように、冷却用膨張弁14へ出力される制御信号を決定する。
又、制御装置60は、予め定めた冷房モード時の圧送能力を発揮するように、高温側熱媒体ポンプ21を作動させる。さらに、制御装置60は、水−冷媒熱交換器12の水通路から流出した高温側熱媒体の全流量がラジエータ23へ流入するように、高温側流量調整弁24へ出力される制御信号を決定する。
そして、制御装置60は、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置60に記憶された制御マップを参照して送風機52へ出力される制御電圧を決定する。更に、制御装置60は、冷風バイパス通路55を全開としてヒータコア22側の通風路を閉塞するように、エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータへ出力される制御信号を決定する。
尚、当該ヒートポンプシステム1においては、車室内の空調の停止が要求されるまで、所定の制御周期毎に、上述の検出信号および操作信号の読み込み→目標吹出温度TAOの算出→各種制御対象機器へ出力される制御信号等の決定→制御信号等の出力といった制御ルーチンが繰り返される。このような制御ルーチンの繰り返しは、他の運転モード時にも同様に行われる。
従って、冷房モードの冷凍サイクル10では、冷媒圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水−冷媒熱交換器12へ流入する。水−冷媒熱交換器12では、高温側熱媒体ポンプ21が作動しているので、高圧冷媒と高温側熱媒体が熱交換して、高圧冷媒が冷却されて凝縮し、高温側熱媒体が加熱される。
高温側熱媒体回路20では、水−冷媒熱交換器12にて加熱された高温側熱媒体が、高温側流量調整弁24を介して、ラジエータ23、インバータ41、モータジェネレータ42へ流入する。ラジエータ23へ流入した高温側熱媒体は、外気と熱交換して放熱する。これにより、高温側熱媒体が冷却される。水−冷媒熱交換器12の冷媒通路にて冷却された高圧冷媒は、冷媒分岐部13aを介して、冷却用膨張弁14へ流入して減圧される。この際、冷却用膨張弁14の絞り開度は、室内蒸発器16の出口側の冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように調整される。
冷却用膨張弁14にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器16へ流入する。室内蒸発器16へ流入した冷媒は、送風機52から送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却される。室内蒸発器16から流出した冷媒は、蒸発圧力調整弁18および冷媒合流部13bを介して、冷媒圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
従って、冷房モードでは、室内蒸発器16にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
ここで、当該冷房モードにおいて、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体を、バッテリ40を介して循環させ、バッテリ40の排熱を回収して活用する構成としても良い。
又、冷房モードでは、制御装置60は、空気加熱ユニット30の空気圧縮膨張機31を停止した状態に制御する。従って、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体には、空気放熱器35において、空気の圧縮に伴う熱が放熱されることはない。
(b)除湿暖房モード
除湿暖房モードでは、制御装置60が、冷却用膨張弁14を絞り状態とし、吸熱用膨張弁15を絞り状態とする。
除湿暖房モードでは、制御装置60が、冷却用膨張弁14を絞り状態とし、吸熱用膨張弁15を絞り状態とする。
これにより、除湿暖房モードの冷凍サイクル10では、冷媒圧縮機11の吐出口→水−冷媒熱交換器12→冷媒分岐部13a→冷却用膨張弁14→室内蒸発器16→蒸発圧力調整弁18→冷媒合流部13b→冷媒圧縮機11の吸入口の順で冷媒が循環するとともに、冷媒圧縮機11の吐出口→水−冷媒熱交換器12→冷媒分岐部13a→吸熱用膨張弁15→チラー17→冷媒合流部13b→冷媒圧縮機11の吸入口の順で冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
つまり、除湿暖房モードでは、室内蒸発器16およびチラー17が、並列的に接続される冷媒回路に切り替えられる。そして、このサイクル構成で、制御装置60は、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。
例えば、制御装置60は、高圧センサ62dによって検出された高圧冷媒圧力Pdが目標高圧PCOとなるように冷媒圧縮機11へ出力される制御信号を決定する。目標高圧PCOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置60に記憶された除湿暖房モード用の制御マップを参照して決定される。
また、制御装置60は、目標吹出温度TAOおよび外気温Tamに基づいて、予め制御装置60に記憶された除湿暖房モード用の制御マップを参照して、冷却用膨張弁14へ出力される制御信号および吸熱用膨張弁15へ出力される制御信号を決定する。
具体的には、この制御マップでは、チラー17における冷媒蒸発温度が少なくとも外気温Tamより低い温度となるように吸熱用膨張弁15の絞り開度を決定する。また、冷却用膨張弁14の絞り開度については、吸熱用膨張弁15の絞り開度よりも大きくなる範囲で決定する。
また、制御装置60は、予め定めた除湿暖房モード時の圧送能力を発揮するように、高温側熱媒体ポンプ21を作動させる。さらに、制御装置60は、水−冷媒熱交換器12の水通路から流出した高温側熱媒体の全流量がヒータコア22へ流入するように、高温側流量調整弁24へ出力される制御信号を決定する。
更に、制御装置60は、予め定めた除湿暖房モード時の圧送能力を発揮するように、第1低温側熱媒体ポンプを作動させる。そして、制御装置60は、冷房モードと同様に、送風機52へ出力される制御電圧を決定する。
又、制御装置60は、ヒータコア22側の通風路を全開として冷風バイパス通路55を閉塞するように、エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータへ出力される制御信号を決定する。
従って、除湿暖房モードの冷凍サイクル10では、冷媒圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒が、水−冷媒熱交換器12へ流入する。水−冷媒熱交換器12では、高温側熱媒体ポンプ21が作動しているので、高圧冷媒と高温側熱媒体が熱交換して、高圧冷媒が冷却されて凝縮し、高温側熱媒体が加熱される。
高温側熱媒体回路20では、水−冷媒熱交換器12にて加熱された高温側熱媒体が、高温側流量調整弁24を介して、ヒータコア22へ流入する。ヒータコア22へ流入した高温側熱媒体は、エアミックスドア54がヒータコア22側の通風路を全開としているので、室内蒸発器16を通過した送風空気と熱交換して放熱する。これにより、室内蒸発器16を通過した送風空気が加熱されて、送風空気の温度が目標吹出温度TAOに近づく。
ヒータコア22から流出した高温側熱媒体は、高温側熱媒体ポンプ21に吸入されて再び水−冷媒熱交換器12の水通路へ圧送される。
水−冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した高圧冷媒は、冷媒分岐部13aにて分岐される。冷媒分岐部13aにて分岐された一方の冷媒は、冷却用膨張弁14へ流入して減圧される。冷却用膨張弁14にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器16へ流入する。室内蒸発器16へ流入した冷媒は、送風機52から送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却されて除湿される。
この際、室内蒸発器16における冷媒蒸発温度は、冷媒圧縮機11の冷媒吐出能力によらず、蒸発圧力調整弁18の作用によって、1℃以上に維持される。従って、室内蒸発器16に着霜が生じてしまうことはない。室内蒸発器16から流出した冷媒は、蒸発圧力調整弁18を介して冷媒合流部13bの一方の冷媒流入口へ流入する。
冷媒分岐部13aにて分岐された他方の冷媒は、吸熱用膨張弁15へ流入して減圧される。この際、吸熱用膨張弁15の絞り開度は、チラー17における冷媒蒸発温度が少なくとも外気温Tamより低い温度となるように調整される。
吸熱用膨張弁15にて減圧された低圧冷媒は、チラー17へ流入する。チラー17へ流入した冷媒は、低温側熱媒体から吸熱して蒸発する。この時、冷凍サイクル10では、チラー17にて冷媒が吸熱した熱を、送風空気を加熱するための熱源として利用することができる。
ここで、低温側熱媒体回路25では、チラー17にて冷却された低温側熱媒体が、バッテリ40及び空気放熱器35を通過する。従って、当該低温側熱媒体回路25では、バッテリ40の作動に伴い生じた熱が低温側熱媒体に対して放熱される。即ち、当該ヒートポンプシステム1は、低温側熱媒体にてバッテリ40を冷却することができ、バッテリ40を適正な温度帯に維持することができる。
又、低温側熱媒体回路25において、低温側熱媒体は空気放熱器35を通過する。空気放熱器35は、空気圧縮膨張機31が作動している場合には、高圧の空気が通過するように配置されている。この為、低温側熱媒体には、空気放熱器35で生じた熱が放熱される場合がある。
従って、除湿暖房モードでは、室内蒸発器16にて冷却されて除湿された送風空気を、ヒータコア22で再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
(c)暖房モード
暖房モードでは、制御装置60が、冷却用膨張弁14を全閉状態とし、吸熱用膨張弁15を絞り状態とする。
暖房モードでは、制御装置60が、冷却用膨張弁14を全閉状態とし、吸熱用膨張弁15を絞り状態とする。
これにより、暖房モードの冷凍サイクル10では、冷媒圧縮機11の吐出口→水−冷媒熱交換器12→冷媒分岐部13a→吸熱用膨張弁15→チラー17→冷媒合流部13b→冷媒圧縮機11の吸入口の順で冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。そして、このサイクル構成で、制御装置60は、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。
例えば、制御装置60は、除湿暖房モードと同様に、冷媒圧縮機11へ出力される制御信号を決定する。また、制御装置60は、目標吹出温度TAOおよび外気温Tamに基づいて、予め制御装置60に記憶された暖房モード用の制御マップを参照して、吸熱用膨張弁15へ出力される制御信号を決定する。具体的には、この制御マップでは、チラー17における冷媒蒸発温度が、少なくとも外気温Tam以下となるように決定される。
又、制御装置60は、予め定めた暖房モード時の圧送能力を発揮するように、高温側熱媒体ポンプ21を作動させる。さらに、制御装置60は、除湿暖房モードと同様に、水−冷媒熱交換器12の水通路から流出した高温側熱媒体の全流量がヒータコア22へ流入するように、高温側流量調整弁24へ出力される制御信号を決定する。
又、制御装置60は、冷房モード及び除湿暖房モードと同様に、送風機52へ出力される制御電圧を決定する。更に、制御装置60は、除湿暖房モードと同様に、ヒータコア22側の通風路を全開として冷風バイパス通路55を閉塞するように、エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータへ出力される制御信号を決定する。
従って、暖房モードの冷凍サイクル10では、冷媒圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水−冷媒熱交換器12へ流入する。水−冷媒熱交換器12では、高温側熱媒体ポンプ21が作動しているので、高圧冷媒と高温側熱媒体が熱交換して、高圧冷媒が冷却されて凝縮し、高温側熱媒体が加熱される。
高温側熱媒体回路20では、水−冷媒熱交換器12にて加熱された高温側熱媒体が、高温側流量調整弁24を介して、ヒータコア22へ流入する。ヒータコア22へ流入した高温側熱媒体は、エアミックスドア54がヒータコア22側の通風路を全開としているので、室内蒸発器16を通過した送風空気と熱交換して放熱する。これにより、送風空気が加熱されて、送風空気の温度が目標吹出温度TAOに近づく。
水−冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した高圧冷媒は、冷媒分岐部13aを介して、吸熱用膨張弁15へ流入して減圧される。この際、吸熱用膨張弁15の絞り開度は、チラー17における冷媒蒸発温度が外気温Tamより低い温度となるように調整される。吸熱用膨張弁15にて減圧された低圧冷媒は、チラー17へ流入する。チラー17へ流入した冷媒は、除湿暖房モードと同様に、低温側熱媒体から吸熱して蒸発する。
低温側熱媒体回路25では、除湿暖房モードと同様に、チラー17にて冷却された低温側熱媒体が、バッテリ40を通過する循環する。従って、低温側熱媒体回路25は、低圧冷媒にて冷却された低温側熱媒体を用いて、バッテリ40を冷却することができ、バッテリ40の温度を適正な温度帯に維持することができる。
ここで、暖房モードでは、制御装置60は、空気加熱ユニット30の空気圧縮膨張機31を作動させて、空気の圧縮に伴う熱を発生させる。低温側熱媒体回路25では、チラー17にて冷却された低温側熱媒体が、空気放熱器35の水通路を通過して、空気加熱ユニット30の高圧空気と熱交換する。従って、空気加熱ユニット30にて空気を圧縮して得られた熱は、空気放熱器35にて、高温側熱媒体回路20の低温側熱媒体に放熱される。
そして、暖房モードの冷凍サイクル10において、チラー17から流出した冷媒は、冷媒合流部13bを介して、冷媒圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
従って、暖房モードでは、ヒータコア22で加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
ここで、当該ヒートポンプシステム1の暖房モードは、外気温Tamが比較的低くなっている時(例えば、外気温が10℃以下となっている時)に実行される運転モードであり、チラー17における冷媒蒸発温度が少なくとも外気温Tamより低い温度に調整されている。
この為、ヒートポンプシステム1周辺の外気温との関係で、チラー17の表面が着霜する場合についても考慮する必要がある。冷凍サイクル10にてチラー17が外気から吸熱を行うことがあるためである。
第1実施形態に係るヒートポンプシステム1では、これらの事態に対応するために、冷凍サイクル10の低圧側に対して、空気加熱ユニット30で発生させた熱を供給し、暖房運転の効率を向上させている。
ここで、第1実施形態に係る空気加熱ユニット30の各構成における空気の状態について、図3、図4を参照しつつ説明する。図3は、空気加熱ユニット30における空気のph線図であり、空気加熱ユニット30における空気の湿り空気線図である。
以下の説明では、空気加熱ユニット30において、極低温の外気を予め定められたエントロピー効率で所定の圧力となるように圧縮するように制御した場合を例に挙げて説明する。
図3における点aは、空気加熱ユニット30の空気吸込口32で吸い込まれた時の空気の状態を示し、点bは、空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31aに流入するときの空気の状態を示している。従って、空気吸込口32→内部熱交換器36→圧縮機構部31aの入口へ流れる空気の状態の変化が点a→点bで示されている。
上述したように、内部熱交換器36では、空気吸込口32から空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31aに流入する空気が、空気放熱器35から空気圧縮膨張機31の膨張機構部31bに流入する空気と熱交換する。
従って、点a→点bとなる過程で、内部熱交換器36を通過する空気は、空気圧縮膨張機31で圧縮された空気と熱交換して加熱される。点a→点bでは、空気の圧力変化が生じることはなく、比エンタルピが内部熱交換に対応して増加する。
そして、図4における点gは、空気加熱ユニット30の空気吸込口32で吸い込まれた時の空気の温度と相対湿度を示し、点hは、圧縮機構部31aに流入するときの空気の温度と相対湿度を示している。
図4の点g→点hからわかるように、空気の温度は、内部熱交換器36における内部熱交換によって、空気圧縮膨張機31に流入する前に予め温められる。この時、点gにて相対湿度が100%であった空気は、内部熱交換による温度上昇に伴って、その相対湿度が低下する。
次に、図3の点b→点cにおける空気の状態について説明する。点cは、空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31aから流出する際の空気の状態を示している。つまり、空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31aにおける空気の圧縮前後の状態が点b→点cで示されている。
上述したように、空気圧縮膨張機31では、予め定められたエントロピー効率で所定の圧力となるように、空気が圧縮される。この為、点b→点cの過程において、空気の圧力及び比エンタルピが増大する。
ここで、図3における点b→点cの状態変化は、図4における点h→点iの状態変化に対応する。つまり、点iは、圧縮機構部31aから流出する際の空気の温度と相対湿度の状態を示しており、空気圧縮に伴い、空気の温度と絶対湿度が上昇する。圧縮に伴い空気の絶対湿度は増加するが、空気の温度も上昇するため相対湿度は低下する。
続いて、図3の点c→点dにおける空気の状態について説明する。点dは、空気放熱器35通過後にて内部熱交換器36に流入する際の空気の状態を示している。つまり、空気放熱器35にて、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体に対する熱交換の前後の状態が点c→点dで示されている。
図3の点c→点dからわかるように、空気放熱器35にて低温側熱媒体と熱交換することで、空気の比エンタルピは大きく低下して、内部熱交換器36に流入する。この点c→点dの状態変化において、空気の圧力は変化することはない。
そして、図3における点c→点dの状態変化は、図4における点i→点jの状態変化に対応する。つまり、点jは、空気放熱器35を通過した後で内部熱交換器36に流入する際の空気の温度と相対湿度の状態を示している。図4の点i→点jからわかるように、この場合の空気の温度が、空気放熱器35にて低温側熱媒体と熱交換することで大きく低下する。
次に、図3の点d→点eにおける空気の状態について説明する。点eは、内部熱交換器36から流出し、空気圧縮膨張機31の膨張機構部31bに流入する際の空気の状態を示している。つまり、内部熱交換器36にて、圧縮機構部31aに流入する空気と熱交換する前後の状態の状態が点d→点eで示されている。
点d→点eとなる過程において、空気圧縮膨張機31で圧縮された空気の熱が、内部熱交換器36にて、空気吸込口32から吸い込まれた空気に対して放熱される。そして、点d→点eでは、空気の圧力変化が生じることはなく、比エンタルピが内部熱交換に対応して低下する。
そして、図3における点d→点eの状態変化は、図4における点j→点kの状態変化に対応する。つまり、点kは、内部熱交換器36から流出し、空気圧縮膨張機31の膨張機構部31bに流入する際の空気の温度と相対湿度を示している。
図4の点j→点kからわかるように、空気の温度は、空気圧縮膨張機31の膨張機構部31bに流入する前に、内部熱交換器36における内部熱交換によって低下する。点kの時点における空気の相対湿度が100%未満となるように熱交換させることができる為、熱交換表面における着霜を抑制することができる。
続いて、図3の点e→点fにおける空気の状態について説明する。点fは、空気圧縮膨張機31の膨張機構部31bから流出する際の空気の状態を示している。つまり、空気圧縮膨張機31の膨張機構部31bにおける空気の膨張前後の状態が点e→点fで示されている。
点e→点fとなる過程において、空気圧縮膨張機31の膨張機構部31bにて、空気が膨張して膨張機構部31bを作動させる。膨張機構部31bにおける空気の温度は、空気の膨張に伴って低下する。この空気の温度が低下する過程で、空気中の水分が過飽和状態となる為、当該空気中の水分は微小な氷の粒となる。
そして、微小な氷の粒を含んだ状態の空気が、空気圧縮膨張機31の膨張機構部31bから流出して、空気吹出口33からヒートポンプシステム1の外部へ排出される。これにより、当該ヒートポンプシステム1においては、システムを構成する熱交換器への着霜を抑制することができる。
図3、図4にて説明したように、当該ヒートポンプシステム1において、空気加熱ユニット30は、空気圧縮膨張機31にて空気を圧縮することで熱を発生させて、空気放熱器35にて、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体に供給することができる。
そして、低温側熱媒体回路25の低温側熱媒体は、冷凍サイクル10のチラー17において、低圧冷媒と熱交換して低圧冷媒を温める。即ち、当該ヒートポンプシステム1によれば、空気加熱ユニット30にて空気を圧縮させて生じた熱を、低温側熱媒体回路25を介して、冷凍サイクル10のチラー17に供給することができる。この結果、第1実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、空気加熱ユニット30から熱が供給されるので、システムを構成する熱交換器の着霜を抑制できる。
当該空気加熱ユニット30は、冷凍サイクル10、高温側熱媒体回路20、低温側熱媒体回路25から独立して作動させることができるので、空調運転の運転モードによらずに熱を供給することが可能である。
即ち、ヒートポンプシステム1は、除霜モード等に切り替える場合と異なり、暖房運転等を継続した状態で、空気加熱ユニット30から熱の供給を受けることができ、暖房運転による快適性の向上と、蒸発器における着霜の抑制を両立して行うことができる。
又、当該ヒートポンプシステム1においては、暖房モードにおいて、空気加熱ユニット30で生じた熱を、低温側熱媒体回路25を介して、チラー17にて吸熱することができる。即ち、当該ヒートポンプシステム1は、暖房モードに際して、空気加熱ユニット30で生じた熱を暖房熱源として利用することができる。
これにより、当該ヒートポンプシステム1は、外気温が極低温な環境においても、空気加熱ユニット30で生じる熱を暖房熱源として利用することで、効率の良い暖房を実現することが可能となる。換言すると、当該ヒートポンプシステム1は、外気温に関して幅広い温度範囲にて、効率の良い暖房運転を実現することができる。
そして、第1実施形態に係る空気加熱ユニット30において、空気圧縮膨張機31は、回転電機31cの駆動軸に対して、圧縮機構部31aと膨張機構部31bが取り付けられている。この為、当該ヒートポンプシステム1は、膨張機構部31bでの空気の膨張に際して、空気の圧力エネルギを機械エネルギに変換して回収することができる。
具体的には、空気圧縮膨張機31では、圧縮機構部31aでの空気の圧縮に要するエネルギと、膨張機構部31bで回収した機械エネルギの差分に関して、エネルギ(例えば、電力)の供給を受ければ、空気加熱ユニット30にて空気の圧縮による熱を発生させることができる。
つまり、当該空気加熱ユニット30によれば、膨張機構部31bにて圧縮された空気からエネルギを回収することができ、効率よく暖房熱源として利用可能な熱を生成することができる。
又、当該空気加熱ユニット30において、内部熱交換器36は、空気吸込口32から空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31aに流入する空気と、空気放熱器35から膨張機構部31bに流入する空気とを熱交換させる。
これにより、当該空気加熱ユニット30によれば、空気放熱器35から膨張機構部31bに流入する空気の熱によって、空気圧縮膨張機31で圧縮される空気を予め温めておくことで、空気加熱ユニット30の空気放熱器35において、低温側熱媒体回路25の熱媒体温度を比較的高い温度に維持した状態でも供給熱量を増大させることができる。これにより、冷凍サイクル10の冷媒圧縮機11の圧縮比を低減でき、動力低減が可能となる。
以上の如く、第1実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、冷凍サイクル10が冷媒回路を切り替えることによって、冷房モード、除湿暖房モード、暖房モードを切り替えることができ、車室内の快適な空調を実現することができる。
そして、当該ヒートポンプシステムによれば、空気加熱ユニット30における空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31aで圧縮された空気の熱を、低温側熱媒体回路25を介してチラー17に供給することができるので、ヒートポンプを構成する熱交換器の着霜を抑制することができる。これにより、当該ヒートポンプシステム1は、着霜によるチラー17の吸熱能力の低下を抑制し、より広い温度範囲で空調対象空間の快適性を高めることができる。
又、当該ヒートポンプシステム1によれば、システムの運転環境が極低温にある場合も、空気圧縮膨張機31で圧縮された空気の熱を、低温側熱媒体回路25を介して、チラー17に供給することができる。即ち、当該ヒートポンプシステム1は、空気加熱ユニット30で発生させた熱を暖房熱源として利用することができ、暖房運転に関する冷媒圧縮機11の圧縮仕事量を、空気加熱ユニット30で補助することができる。
即ち、当該ヒートポンプシステム1は、空気加熱ユニット30を用いることで、極低温環境における暖房の運転効率を向上させ、より広い温度範囲での暖房運転を実現することができる。
そして、当該ヒートポンプシステム1において、低温側熱媒体回路25は、低温側熱媒体ポンプ26を有しており、ヒートポンプシステム1のチラー17の水通路及び空気加熱ユニット30の空気放熱器35の水通路を介して、低温側熱媒体を循環させる。
これにより、当該ヒートポンプシステム1は、空気加熱ユニット30にて生じた熱を、低温側熱媒体回路25を介して、冷凍サイクル10のチラー17に供給することができ、暖房運転における運転効率を向上させることができる。
又、当該ヒートポンプシステム1において、高温側熱媒体回路20は、水−冷媒熱交換器12と、ヒータコア22と、ラジエータ23とを有しており、高温側熱媒体を循環させることで熱を移動させることができる。
当該高温側熱媒体回路20は、高温側熱媒体を対象として、水−冷媒熱交換器12におおける高圧冷媒の熱の供給や、ラジエータ23における外気への熱の放出を行うことができるので、高温側熱媒体の温度を調整することができる。
そして、当該ヒートポンプシステム1の空気加熱ユニット30において、空気圧縮膨張機31は、空気を圧縮する為の圧縮機構部31aと、圧縮された空気を膨張させて、空気の圧力エネルギを変換して回収する膨張機構部31bとを有する。
従って、当該ヒートポンプシステム1は、膨張機構部31bで回収したエネルギを利用して、圧縮機構部31aにおける空気の圧縮を行うことができ、空気加熱ユニット30における熱の発生を効率よく行うことができる。
又、空気圧縮膨張機31において、圧縮機構部31aと膨張機構部31bは、回転電機31cの駆動軸に対して取り付けられている。この為、膨張機構部31bで回収される機械エネルギは、確実に、圧縮機構部31aにおける空気の圧縮に利用される。従って、当該ヒートポンプシステム1によれば、空気加熱ユニット30にて効率よく熱を発生させることができ、着霜の抑制や暖房運転の効率向上を図ることができる。
そして、当該空気加熱ユニット30には、内部熱交換器36が配置されており、空気放熱器35から膨張機構部31bに流入する空気と、空気吸込口32から圧縮機構部31aに流入する空気とを熱交換させることができる。
従って、空気加熱ユニット30において、空気圧縮膨張機31の圧縮機構部31aに流入する空気を、空気放熱器35から膨張機構部31bに流入する圧縮空気の熱で予め加熱しておくことができる。この結果、当該空気加熱ユニット30は、空気放熱器35にて放熱される熱量を充分に確保することができ、結果として、冷凍サイクル10の低圧側に供給される熱量を増加させて着霜の抑制や暖房運転の効率向上を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図5に示すように、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1は、第1実施形態に係るヒートポンプシステム1の一部構成を変更したものである。尚、図5では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
次に、上述した第1実施形態と異なる第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図5に示すように、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1は、第1実施形態に係るヒートポンプシステム1の一部構成を変更したものである。尚、図5では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
第2実施形態に係るヒートポンプシステム1では、冷凍サイクル10の高圧側にあたる構成と、熱媒体回路の構成が第1実施形態と相違している。即ち、第2実施形態における空気加熱ユニット30、室内空調ユニット50、制御装置60等の構成は、基本的に第1実施形態と同様である為、その説明を省略する。
第2実施形態に係るヒートポンプシステム1において、冷媒圧縮機11の吐出口側には、室内凝縮器71の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器71は、室内凝縮器71は、第1実施形態のヒータコア22と同様に、室内空調ユニット50のケーシング51内に配置されている。
室内凝縮器71は、少なくとも暖房モード時に冷媒圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒と、室内蒸発器16を通過した送風空気とを熱交換させて、送風空気を加熱する熱交換器である。つまり、第2実施形態では、室内凝縮器71によって、冷媒圧縮機11から吐出された冷媒を熱源として送風空気を加熱する加熱部が構成されている。
室内凝縮器71の冷媒出口には、高段側膨張弁72を介して、室外熱交換器73の冷媒入口側が接続されている。高段側膨張弁72は、少なくとも暖房モード時に、室内凝縮器71から流出した冷媒を減圧させる高段側減圧部である。更に、高段側膨張弁72は、室外熱交換器73へ流入する冷媒の流量を調整する高段側流量調整部である。
高段側膨張弁72の基本的構成は、第1実施形態における冷却用膨張弁14等と同様である。更に、高段側膨張弁72は、弁開度を全開とすることで、冷媒減圧作用及び流量調整作用を殆ど発揮することなく単なる冷媒通路として機能する全開機能を有している。
室外熱交換器73は、高段側膨張弁72から流出した冷媒と図示しない外気ファンから送風された外気とを熱交換させる熱交換器である。室外熱交換器73は、車両ボンネット内の前方側に配置されている。この為、車両走行時には、室外熱交換器73に走行風を当てることができる。室外熱交換器73の冷媒出口には、冷媒分岐部13aの冷媒流入口側が接続されている。その他のヒートポンプシステム1の構成は、第1実施形態と同様である。
そして、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1は、図5に示すように、熱媒体回路80を有している。第2実施形態に係る熱媒体回路80は、高温側熱媒体回路20と、低温側熱媒体回路25と、接続流路部82と、回路切替部85とを有している。
第2実施形態において、高温側熱媒体回路20と低温側熱媒体回路25は、接続流路部82によって熱媒体の流出入が可能なように接続されており、全体として一つの熱媒体回路80を構成している。尚、熱媒体回路80を循環する熱媒体としては、第1実施形態と同じものを採用することが可能である。
第2実施形態に係る高温側熱媒体回路20は、室外熱交換器73の水通路と、高温側熱媒体ポンプ21と、ラジエータ23と、インバータ41と、モータジェネレータ42とを接続して構成されている。
第2実施形態に係る高温側熱媒体回路20は、ラジエータ23を迂回して熱媒体を循環させる為の高温側バイパス流路81を有している。そして、高温側熱媒体回路20には、回路切替部85を構成する第1切替弁85a、第2切替弁85b及び第3切替弁85cが配置されている。制御装置60にて、第1切替弁85a、第2切替弁85bの作動を制御することによって、高温側熱媒体回路20における熱媒体の循環流路を切り替えることができる。
図5に示すように、第2実施形態に係る低温側熱媒体回路25は、第1実施形態と同様に、低温側熱媒体ポンプ26と、低温側熱媒体ポンプ26と、バッテリ40の水通路と、空気放熱器35の水通路と、チラー17の水通路とを接続して構成されている。
第2実施形態に係るヒートポンプシステム1においても、空気放熱器35にて、空気加熱ユニット30で生じた熱を熱媒体に放熱させることができ、温められた熱媒体の熱を、チラー17を介して冷凍サイクル10の低圧側に供給することができる。
そして、当該低温側熱媒体回路25には、回路切替部85を構成する第5切替弁85eが配置されている。制御装置60にて、第5切替弁85eの作動を制御することで、低温側熱媒体回路25における熱媒体の流路を切り替えることができる。
図5に示すように、接続流路部82は、第1接続流路82aと、第2接続流路82bとを有している。第1接続流路82aの一端部は、高温側熱媒体回路20におけるインバータ41と室外熱交換器73の間に接続されている。
第1接続流路82aの他端側は、低温側熱媒体回路25において、第5切替弁85eと低温側熱媒体ポンプ26の吸入口の間に接続されている。従って、第1接続流路82aは、高温側熱媒体回路20と低温側熱媒体回路25の間において、熱媒体の流出入が可能なように接続している。
当該第1接続流路82aには、回路切替部85を構成する第4切替弁85dが配置されている。第4切替弁85dは、回路切替部85を構成する各切替弁と同様に、制御装置60からの制御信号に従って熱媒体流路を開閉する。従って、第4切替弁85dの作動によって、高温側熱媒体回路20と低温側熱媒体回路25の間の熱媒体の流出入の可否が切り替えられる。
そして、第2接続流路82bの一端部は、高温側熱媒体回路20におけるラジエータ23の入口側と高温側バイパス流路81の接続位置と、室外熱交換器73の水通路の出口側との間に対して接続されている。
第2接続流路82bの他端部は、低温側熱媒体回路25において、チラー17の水通路の出口側と第5切替弁85eとの間に対して接続されている。従って、第2接続流路82bは、高温側熱媒体回路20と低温側熱媒体回路25の間において、熱媒体の流出入が可能なように接続している。
従って、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、回路切替部85の作動を制御することで、熱媒体回路80における熱媒体の循環流路を、目的に応じた様々な態様に切り替えることができ、例えば、バッテリ40、インバータ41、モータジェネレータ42の排熱を熱源として利用することができる。
熱媒体回路80における循環流路としては、高温側熱媒体回路20、低温側熱媒体回路25、接続流路部82を循環する熱媒体の循環流路や、高温側熱媒体回路20、低温側熱媒体回路25にて熱媒体を独立して循環させる流路等が挙げられる。
そして、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1は、第1実施形態と同様に、様々な運転モードを実現することができる。具体的には、当該ヒートポンプシステム1は、空調運転モードとして、暖房モード、冷房モード、除湿暖房モードを実行できる。この空調運転モードの切替は、第1実施形態と同様に、制御装置60が予め記憶している空調制御プログラムを実行することによって、運転モードを切り替え、車室内の空調を行うことができる。以下に、各運転モードの作動を説明する。
(a)冷房モード
冷房モードでは、制御装置60が、高段側膨張弁72を全開状態とし、冷却用膨張弁14を絞り状態とし、吸熱用膨張弁15を全閉状態とする。
冷房モードでは、制御装置60が、高段側膨張弁72を全開状態とし、冷却用膨張弁14を絞り状態とし、吸熱用膨張弁15を全閉状態とする。
これにより、冷房モードの冷凍サイクル10では、冷媒圧縮機11の吐出口→室内凝縮器71→高段側膨張弁72→室外熱交換器73→冷媒分岐部13a→冷却用膨張弁14→室内蒸発器16→蒸発圧力調整弁18→冷媒合流部13b→貯液器19→冷媒圧縮機11の吸入口の順で冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
第2実施形態に係る冷房モードでは、室外熱交換器73が放熱器として機能し、室内蒸発器16が吸熱器として機能する。この時、室内凝縮器71は、エアミックスドア54が室内凝縮器71側の通風路を閉塞しているので、室内凝縮器71では殆ど放熱することはない。
従って、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1の冷房モードでは、室内蒸発器16にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
(b)除湿暖房モード
除湿暖房モードでは、制御装置60が、高段側膨張弁72を絞り状態とし、冷却用膨張弁14を絞り状態とし、吸熱用膨張弁15を絞り状態とする。
除湿暖房モードでは、制御装置60が、高段側膨張弁72を絞り状態とし、冷却用膨張弁14を絞り状態とし、吸熱用膨張弁15を絞り状態とする。
これにより、除湿暖房モードの冷凍サイクル10では、冷媒圧縮機11の吐出口→室内凝縮器71→高段側膨張弁72→室外熱交換器73→冷媒分岐部13a→冷却用膨張弁14→室内蒸発器16→蒸発圧力調整弁18→冷媒合流部13b→貯液器19→冷媒圧縮機11の吸入口の順で冷媒が循環すると共に、冷媒圧縮機11の吐出口→室内凝縮器71→高段側膨張弁72→室外熱交換器73→冷媒分岐部13a→吸熱用膨張弁15→チラー17→冷媒合流部13b→貯液器19→冷媒圧縮機11の吸入口の順で冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
第2実施形態に係る除湿暖房モードでは、室内蒸発器16及びチラー17が、並列的に接続される冷媒回路に切り替えられる。そして、除湿暖房モードでは、室内蒸発器16が放熱器として機能し、室内蒸発器16及びチラー17が吸熱器として機能する。
そして、室外熱交換器73は、高段側膨張弁72で減圧された中間圧冷媒が外気温よりも高い場合には、外気に対する放熱器として機能し、中間圧冷媒が外気温よりも低い場合には、外気からの吸熱器として機能する。
当該除湿暖房モードでは、室内蒸発器16にて冷却されて除湿された送風空気を、室内凝縮器71で再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
(c)暖房モード
暖房モードでは、制御装置60が、高段側膨張弁72を絞り状態とし、冷却用膨張弁14を全閉状態とし、吸熱用膨張弁15を絞り状態とする。
暖房モードでは、制御装置60が、高段側膨張弁72を絞り状態とし、冷却用膨張弁14を全閉状態とし、吸熱用膨張弁15を絞り状態とする。
これにより、暖房モードの冷凍サイクル10では、冷媒圧縮機11の吐出口→室内凝縮器71→高段側膨張弁72→室外熱交換器73→冷媒分岐部13a→吸熱用膨張弁15→チラー17→冷媒合流部13b→貯液器19→冷媒圧縮機11の吸入口の順で冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
第2実施形態に係る暖房モードでは、室内凝縮器71が放熱器として機能し、室外熱交換器73及びチラー17が吸熱器として機能する。従って、暖房モードでは、室内凝縮器71で加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
第2実施形態に係るヒートポンプシステム1においても、空気加熱ユニット30では、空気圧縮膨張機31にて空気を圧縮することで熱を発生させることができる。そして、当該ヒートポンプシステム1は、空気加熱ユニット30で発生した熱を、熱媒体回路80の熱媒体を介して、冷凍サイクル10のチラー17等に供給することができる。
従って、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1は、第1実施形態と同様に、空気加熱ユニット30で発生した熱を活用して、着霜の抑制や暖房運転時における運転効率を向上させることができる。
又、当該ヒートポンプシステム1において、空気圧縮膨張機31は、圧縮機構部31aと、膨張機構部31bを有している為、膨張機構部31bで空気を膨張させる際に、空気の圧力エネルギを機械エネルギに変換して回収することができる。
これにより、当該ヒートポンプシステム1は、空気加熱ユニット30における空気の圧縮を効率よく行うことができ、結果として、着霜の抑制や暖房運転の効率向上に関しても、更に効率を高めることができる。
そして、第2実施形態に係る空気加熱ユニット30には、第1実施形態と同様に、内部熱交換器36が配置されているので、圧縮機構部31aに流入する空気を、空気放熱器35から膨張機構部31bに流入する圧縮空気の熱で予熱することができる。
これにより、当該ヒートポンプシステム1は、空気から熱媒体に放熱される熱量を充分に確保することができ、結果として、冷凍サイクル10の低圧冷媒側に供給される熱量を増加させることができる。
以上説明したように、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、上述した第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
又、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1では、熱媒体回路80は、高温側熱媒体回路20と低温側熱媒体回路25を、接続流路部82にて接続して構成されており、回路切替部85の作動を制御することで、熱媒体回路80における熱媒体の循環流路を切り替えることができる。
従って、第2実施形態に係るヒートポンプシステム1では、冷凍サイクル10の低圧冷媒側に供給する熱源として、空気加熱ユニット30で生じた熱に加えて、バッテリ40等の作動による排熱を利用することが可能となる。これにより、当該ヒートポンプシステム1は、より確実に、ヒートポンプを構成する熱交換器の着霜の抑制や暖房運転に関する効率の向上を図ることができる。
(第3実施形態)
続いて、上述した実施形態と異なる第3実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図6に示すように、第3実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した実施形態に係るヒートポンプシステム1の一部構成を変更したものであり、冷凍サイクル10と、空気加熱ユニット30を有し、熱媒体回路を有していない点が相違している。
続いて、上述した実施形態と異なる第3実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図6に示すように、第3実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した実施形態に係るヒートポンプシステム1の一部構成を変更したものであり、冷凍サイクル10と、空気加熱ユニット30を有し、熱媒体回路を有していない点が相違している。
第3実施形態に係るヒートポンプシステム1では、冷凍サイクル10は、少なくとも暖房運転を実現する為に、冷媒圧縮機11と、冷媒凝縮器12aと、冷媒減圧部14aと、冷媒蒸発器16aによって構成されている。
冷媒圧縮機11は、上述した実施形態と同様の構成である。冷媒凝縮器12aは、冷媒圧縮機11から吐出された冷媒を凝縮させ、吐出冷媒を熱源として送風空気を加熱する。当該冷媒凝縮器12aは、第2実施形態における室内凝縮器71と同様の構成である。
冷媒減圧部14aは、冷媒凝縮器12aから流出した冷媒を減圧させる減圧部である。当該冷媒減圧部14aは、上述した冷却用膨張弁14等と同様の構成を採用することができる。尚、冷媒減圧部14aとしては、膨張弁に限らず、固定絞り、キャピラリチューブ等を採用することも可能である。
そして、冷媒蒸発器16aは、冷媒減圧部14aで減圧された低圧冷媒に外気の熱を吸熱させる蒸発器であり、空気−冷媒熱交換器として構成されている。冷媒蒸発器16aの空気通路には、空気加熱ユニット30の空気通路が接続されている。第3実施形態に係る冷媒蒸発器16aは、空気−冷媒熱交換器に相当する。
図6に示すように、第3実施形態に係る空気加熱ユニット30は、上述した実施形態と同様に、空気圧縮膨張機31と、冷媒蒸発器16aの空気通路と、内部熱交換器36とを接続して構成されている。
当該空気加熱ユニット30は、空気吸込口32から吸い込んだ空気を空気圧縮膨張機31で圧縮し、当該空気の熱を、冷媒蒸発器16aにて冷凍サイクル10の低圧冷媒に供給する。
これにより、当該ヒートポンプシステム1は、空気加熱ユニット30で生じた熱を利用して、冷媒蒸発器16aの着霜を抑制することができる。又、当該ヒートポンプシステム1によれば、外気が極低温である場合であっても、空気加熱ユニット30で生じた熱を暖房熱源として利用することができるので、広い温度範囲において効率の良い暖房運転を実現することができる。
以上説明したように、第3実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、上述した実施形態と同様に得ることができる。
即ち、当該ヒートポンプシステム1では、上述した実施形態の冷凍サイクル10の構成に限定されることなく、少なくとも暖房運転が可能なサイクル構成であれば、空気加熱ユニット30を用いて、冷凍サイクル10の低圧側に熱を供給することができる。
この時、上述した実施形態のように、熱媒体回路(低温側熱媒体回路25や熱媒体回路80)を介さずに、冷媒蒸発器16aにおいて、空気加熱ユニット30で圧縮された空気と冷凍サイクル10の低圧冷媒とを熱交換させる構成でも同様の効果を発揮させることができる。
(第4実施形態)
次に、上述した実施形態と異なる第4実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図7に示すように、第4実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した第3実施形態に係るヒートポンプシステム1における空気加熱ユニット30の構成を変更したものである。
次に、上述した実施形態と異なる第4実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図7に示すように、第4実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した第3実施形態に係るヒートポンプシステム1における空気加熱ユニット30の構成を変更したものである。
第4実施形態に係るヒートポンプシステム1は、第3実施形態と同様に、冷凍サイクル10と、空気加熱ユニット30を有している。当該冷凍サイクル10は、冷媒圧縮機11と、冷媒凝縮器12aと、冷媒減圧部14aと、冷媒蒸発器16aを有しており、第3実施形態と同様の構成である。
図7に示すように、第4実施形態に係る空気加熱ユニット30は、空気圧縮膨張機31と、冷媒蒸発器16aの空気通路を接続して構成されており、空気通路上に内部熱交換器36が配置されていない点で相違している。
この点、第4実施形態に係る空気加熱ユニット30は、内部熱交換器36がない場合であっても、圧縮機構部31aで圧縮した空気の熱を、冷媒蒸発器16aにて低圧冷媒に供給することは可能である。
従って、第4実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、空気加熱ユニット30にて発生させた熱を用いて、冷媒蒸発器16aの着霜を抑制しつつ、暖房運転時における運転効率を向上させることができる。
以上説明したように、第4実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、上述した実施形態と同様に得ることができる。
第4実施形態のように、空気加熱ユニット30が内部熱交換器36を有しておらず、空気圧縮膨張機31での圧縮前の空気を、冷媒蒸発器16aを通過した空気の熱で予熱することができない場合でも、空気圧縮膨張機31で空気を圧縮した熱を、冷凍サイクル10の低圧冷媒側に供給することができる。
(第5実施形態)
続いて、上述した実施形態と異なる第5実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図8に示すように、第5実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した第4実施形態に係るヒートポンプシステム1における空気加熱ユニット30の構成を変更したものである。
続いて、上述した実施形態と異なる第5実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図8に示すように、第5実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した第4実施形態に係るヒートポンプシステム1における空気加熱ユニット30の構成を変更したものである。
第5実施形態に係るヒートポンプシステム1は、第4実施形態と同様に、冷凍サイクル10と、空気加熱ユニット30を有している。当該冷凍サイクル10は、冷媒圧縮機11と、冷媒凝縮器12aと、冷媒減圧部14aと、冷媒蒸発器16aを有しており、第3実施形態と同様の構成である。
図8に示すように、第5実施形態に係る空気加熱ユニット30では、空気圧縮膨張機31に代えて、空気圧縮機37と、空気膨張機38が採用されており、その他の構成については、第4実施形態と同様の構成である。
空気圧縮機37は、上述した圧縮機構部31aと同様の圧縮機構と、圧縮機構を作動させる為の駆動モータを有して構成されている。空気圧縮機37は、空気吸込口32から吸い込んだ空気を圧縮して、冷媒蒸発器16aの空気通路の入口側へ送出する。空気圧縮機37の駆動モータは、制御装置60からの制御信号に従って作動する。
そして、空気膨張機38は、上述した膨張機構部31bと同様の膨張機構と、膨張機構の動作を電気エネルギに変換する発電機として機能する回転電機を有している。空気膨張機38は、冷媒蒸発器16aの空気通路から流出した高圧空気を、膨張機構で膨張させ、空気吹出口33から外部へ放出する。
空気膨張機38内部における空気の膨張に際して、膨張機構が動作することで回転電機が動作する為、空気の圧力エネルギが運動エネルギを介して電気エネルギに変換されて、バッテリ40等に回収される。そして、当該空気加熱ユニット30は、空気圧縮機37での空気圧縮に利用される電気エネルギの一部として、空気膨張機38にて回収された電気エネルギを利用する。
従って、第5実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、空気圧縮膨張機31のように、圧縮機構部31aと膨張機構部31bが一体化された構成でない場合でも、圧縮された空気の圧力エネルギの一部を回収することができる。
そして、当該ヒートポンプシステム1は、空気膨張機38で回収したエネルギを利用して空気加熱ユニット30における熱を効率良く発生させることができ、着霜の抑制や暖房運転の効率をより効果的に行うことができる。
以上説明したように、第5実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、上述した実施形態と同様に得ることができる。
第5実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、空気圧縮膨張機31のように、圧縮機構部31aと膨張機構部31bが一体的に配置された構成でなくとも、空気膨張機38で回収したエネルギを利用して、効率良く空気を圧縮して熱を発生させることができる。
(第6実施形態)
次に、上述した実施形態と異なる第6実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図9に示すように、第6実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した第5実施形態に係るヒートポンプシステム1における空気加熱ユニット30の構成を変更したものである。
次に、上述した実施形態と異なる第6実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図9に示すように、第6実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した第5実施形態に係るヒートポンプシステム1における空気加熱ユニット30の構成を変更したものである。
第6実施形態に係るヒートポンプシステム1は、第5実施形態と同様に、冷凍サイクル10と、空気加熱ユニット30を有している。当該冷凍サイクル10は、冷媒圧縮機11と、冷媒凝縮器12aと、冷媒減圧部14aと、冷媒蒸発器16aを有しており、第5実施形態と同様の構成である。
図9に示すように、第6実施形態に係る空気加熱ユニット30は、第5実施形態における空気膨張機38に代えて、空気減圧部39が配置されている。当該空気減圧部39は、固定絞りやキャピラリチューブによって構成されており、空気圧縮機37にて空気を圧縮する際のカラ打ちを防止する為に配置されている。
従って、第6実施形態に係る空気加熱ユニット30においては、空気減圧部39を配置することで、空気圧縮機37にて確実に空気を圧縮して熱を発生させることができる。そして、当該空気加熱ユニット30は、冷媒蒸発器16aにおいて、空気圧縮機37から流出した高圧空気の熱を、冷凍サイクル10の低圧側に供給することができる。
以上説明したように、第6実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、上述した実施形態と同様に得ることができる。
第6実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、空気膨張機38が配置されていない構成であっても、冷媒蒸発器16aにて、空気加熱ユニット30にて空気を圧縮して発生した熱を冷凍サイクル10の低圧側に供給して、着霜の抑制しつつ暖房運転の効率を向上させることができる。
(第7実施形態)
続いて、上述した実施形態と異なる第7実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図10に示すように、第7実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した第6実施形態に係るヒートポンプシステム1における空気加熱ユニット30の構成と、冷媒蒸発器16aを変更したものである。
続いて、上述した実施形態と異なる第7実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図10に示すように、第7実施形態に係るヒートポンプシステム1は、上述した第6実施形態に係るヒートポンプシステム1における空気加熱ユニット30の構成と、冷媒蒸発器16aを変更したものである。
第4実施形態に係るヒートポンプシステム1は、第6実施形態と同様に、冷凍サイクル10と、空気加熱ユニット30を有している。当該冷凍サイクル10は、冷媒圧縮機11と、冷媒凝縮器12aと、冷媒減圧部14aと、冷媒蒸発器16aを有している。
ここで、第7実施形態に係る冷媒蒸発器16aは、冷凍サイクル10の低圧冷媒を熱交換させて吸熱させる蒸発器である。この点、第7実施形態では、冷凍サイクル10の低圧冷媒と熱交換する対象が、空気加熱ユニット30の空気流路を流れる空気ではない。
即ち、第7実施形態に係る冷媒蒸発器16aにて、冷凍サイクル10の低圧冷媒と熱交換する対象としては、ヒートポンプシステム1の周囲における外気や送風空気を挙げることができる。
図10に示すように、第7実施形態に係る空気加熱ユニット30は、空気圧縮機37と、空気減圧部39とを有しており、空気吸込口32から吸い込んだ空気を圧縮して、高温状態で空気吹出口33から吹き出すように構成されている。
第7実施形態において、空気吹出口33は、冷媒蒸発器16aの熱交換部に向けて配置されている。空気加熱ユニット30で生成された高温の空気は、空気吹出口33から冷媒蒸発器16aの熱交換部に対して直接吹きかけられる。
即ち、第7実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、空気加熱ユニット30で圧縮した空気の熱を、熱交換器を介在させずに、冷凍サイクル10の低圧冷媒側に供給することができ、冷媒蒸発器16aの着霜を抑制しつつ、暖房運転時における運転効率を向上させることができる。
以上説明したように、第7実施形態に係るヒートポンプシステム1によれば、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、上述した実施形態と同様に得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態においては、電気自動車に搭載された車両用空調装置に適用していたが、この態様に限定されるものではない。予め定められた空調対象空間を暖房可能な空調装置であれば、種々の空調装置に適用することが可能である。
(2)上述した第4実施形態〜第6実施形態では、冷媒蒸発器16aにおいて、冷凍サイクル10の低圧冷媒に対して、空気加熱ユニット30による空気の熱を供給する構成であったが、この態様に限定されるものではない。
即ち、空気加熱ユニット30による空気の熱を、低温側熱媒体回路25や熱媒体回路80のような熱媒体回路を介して、冷凍サイクル10の低圧側に供給するヒートポンプシステム1の構成において、第4実施形態〜第6実施形態に係る空気加熱ユニット30の構成を採用しても良い。
1 ヒートポンプシステム
10 冷凍サイクル
11 冷媒圧縮機
12 水−冷媒熱交換器
15 吸熱用膨張弁
17 チラー
25 低温側熱媒体回路
30 空気加熱ユニット
31 空気圧縮膨張機
35 空気放熱器
10 冷凍サイクル
11 冷媒圧縮機
12 水−冷媒熱交換器
15 吸熱用膨張弁
17 チラー
25 低温側熱媒体回路
30 空気加熱ユニット
31 空気圧縮膨張機
35 空気放熱器
Claims (11)
- 冷媒を圧縮して吐出する冷媒圧縮機(11)と、
前記冷媒圧縮機にて圧縮された高圧冷媒を凝縮させる凝縮器(12、12a、71)を含み、空調対象空間へ送風される送風空気に対して前記高圧冷媒の熱を放熱する加熱部(20)と、
前記凝縮器から流出した冷媒を減圧させる冷媒減圧部(14、14a、15、72)と、
前記冷媒減圧部にて減圧された冷媒を蒸発させて吸熱させる冷媒蒸発器(16、16a、17)を有する冷凍サイクル(10)と、
空気を圧縮して吐出する空気圧縮機(31、37)を有する空気加熱ユニット(30)と、を備え、
前記空気圧縮機から吐出された圧縮空気の熱を、前記冷凍サイクルの前記冷媒蒸発器に供給するヒートポンプシステム。 - 前記空気加熱ユニットにて前記空気圧縮機から吐出された前記圧縮空気の熱を、前記冷凍サイクルの前記冷媒蒸発器に供給する熱媒体回路(25、80)を有し、
前記冷媒蒸発器は、前記冷凍サイクルの低圧冷媒と、前記熱媒体回路を流れる熱媒体を熱交換させる熱媒体−冷媒熱交換器であり、
前記空気加熱ユニットは、前記空気圧縮機から吐出された高圧の前記圧縮空気の熱を、前記熱媒体に放熱させる空気放熱器(35)を有し、
前記熱媒体回路は、前記冷媒蒸発器と、前記空気放熱器と、前記熱媒体を送出する熱媒体ポンプ(26)を接続して構成されている請求項1に記載のヒートポンプシステム。 - 前記加熱部は、前記凝縮器に加えて、高温側熱媒体を送出する高温側熱媒体ポンプ(21)と、前記高温側熱媒体の有する熱を前記送風空気に放熱するヒータコア(22)と、前記高温側熱媒体の有する熱を外部に放熱するラジエータ(23)を有して構成され、
前記凝縮器は、前記冷凍サイクルの高圧冷媒の熱を、前記高温側熱媒体に放熱する請求項2に記載のヒートポンプシステム。 - 前記凝縮器は、前記熱媒体回路において、前記冷媒蒸発器及び前記空気放熱器に対して並列に接続されると共に、前記冷凍サイクルの高圧冷媒と前記熱媒体とを熱交換させ、
前記熱媒体回路(80)は、
前記冷媒蒸発器、前記空気放熱器及び前記凝縮器に対して並列に接続され、前記熱媒体の有する熱を外部に放熱するラジエータ(23)と、
前記熱媒体回路にて前記熱媒体が循環する回路を切り替える回路切替部(85)と、を有している請求項2に記載のヒートポンプシステム。 - 前記空気加熱ユニットは、前記空気圧縮機及び前記空気放熱器を通過した前記圧縮空気を膨張させて、当該圧縮空気のエネルギを取り出して回収する空気膨張部(31b、38)を有する請求項2ないし4の何れか1つに記載のヒートポンプシステム。
- 前記空気圧縮機は、前記空気を圧縮させる為の圧縮機構(31a)と、前記空気膨張部(31b)とを一体的に有しており、
前記空気膨張部にて膨張する前記圧縮空気の圧力エネルギを機械エネルギに変換し、当該機械エネルギを前記圧縮機構に供給する請求項5に記載のヒートポンプシステム。 - 前記空気加熱ユニットは、前記空気圧縮機に吸い込まれる前記空気と、前記空気放熱器から流出した前記圧縮空気とを熱交換させる内部熱交換器(36)を有する請求項2ないし6の何れか1つに記載のヒートポンプシステム。
- 前記冷媒蒸発器は、前記空気圧縮機から吐出された高圧の前記圧縮空気と、前記冷凍サイクルの低圧冷媒とを熱交換させる空気−冷媒熱交換器(16a)である請求項1に記載のヒートポンプシステム。
- 前記空気加熱ユニットは、前記空気圧縮機及び前記冷媒蒸発器を通過した前記圧縮空気を膨張させて、当該圧縮空気のエネルギを取り出して回収する空気膨張部(31b、38)を有する請求項8に記載のヒートポンプシステム。
- 前記空気圧縮機は、前記空気圧縮機にて前記空気を圧縮させる為の圧縮機構(31a)と、前記空気膨張部(31b)と一体的に有しており、
前記空気膨張部にて膨張する前記圧縮空気の圧力エネルギを機械エネルギに変換し、当該機械エネルギを前記圧縮機構に供給する請求項9に記載のヒートポンプシステム。 - 前記空気加熱ユニットは、前記空気圧縮機に吸い込まれる前記空気と、前記冷媒蒸発器を通過した前記圧縮空気とを熱交換させる内部熱交換器(36)を有する請求項8ないし10の何れか1つに記載のヒートポンプシステム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018147902A JP2020023224A (ja) | 2018-08-06 | 2018-08-06 | ヒートポンプシステム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022070614A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 | 株式会社デンソー | 冷凍サイクル装置 |
CN114713100A (zh) * | 2022-02-28 | 2022-07-08 | 中国神华能源股份有限公司哈尔乌素露天煤矿 | 一种防沉淀控制方法、***及存储介质 |
-
2018
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WO2022070614A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 | 株式会社デンソー | 冷凍サイクル装置 |
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CN114713100B (zh) * | 2022-02-28 | 2022-12-20 | 中国神华能源股份有限公司哈尔乌素露天煤矿 | 一种防沉淀控制方法、***及存储介质 |
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