JP2020023168A - 画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成物 - Google Patents

画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成物 Download PDF

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美緒 秋間
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Abstract

【課題】吐出安定性に優れ、密着性、耐擦過性、及び耐薬品性を兼ね備えた画像形成物が得られる画像形成方法の提供。【解決手段】酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有するインクを記録媒体上に吐出する吐出工程を含み、前記記録媒体の表面に、前記架橋剤と反応可能な酸性基を有する画像形成方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成物に関する。
インクジェット印刷で使用される水系インクは、インク中に揮発成分を含まないので安全性や環境問題の観点から優れているが、上質紙や普通紙に印刷した場合に滲みが発生し易い。また、印刷本紙に印字した場合に乾燥が不十分で高速印刷が困難である。更に、綿又は綿混紡に印刷した場合、インクが繊維表面に留まらず、繊維内部まで浸透してしまい、所望の画像品質が得られない。また、インクを吸収しない非浸透性記録媒体、例えば、高分子樹脂フィルム、陶器、ガラス基板上では、印刷したインクを定着できない、という問題がある。
一方、インクジェット印刷で使用される紫外線硬化型(UV)インクは、高分子樹脂フィルム、陶器、ガラス基板上等に印字が可能であり基材表面への追従性が高い。また、光による硬化反応を利用するため、高速印刷の観点から優れているが、重合開始剤を多く含むため安全性や環境の観点の問題がある。更に、印字塗膜のパイルハイトが高く、ラミネート等の二次加工性が悪いという問題がある。
上記のような問題を解決するため、従来から、様々な水系のUVインクが提案されている。例えば、ラジカル重合性基を有する化合物からなる樹脂エマルション、非重合性樹脂エマルション、及び光ラジカル重合開始剤を含有するインクジェット用インクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、架橋性官能基を有する水溶性顔料分散剤、架橋性官能基を有する水溶性固着剤、及び架橋剤を含有するインクジェット捺染用インクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、吐出安定性に優れ、密着性、耐擦過性、及び耐薬品性を兼ね備えた画像形成物が得られる画像形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の画像形成方法は、酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有するインクを記録媒体上に吐出する吐出工程を含み、前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有する。
本発明によると、吐出安定性に優れ、密着性、耐擦過性、及び耐薬品性を兼ね備えた画像形成物が得られる画像形成方法を提供することができる。
図1は、本発明の画像形成方法を実施する画像形成装置の一例を示す図である。 図2は、図1の画像形成装置のメインタンクの一例を示す斜視説明図である。 図3は、本発明の画像形成方法を実施する画像形成装置の他の一例を示す図である。 図4は、図3の記録ヘッドの一例を示す平面図である。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有するインクを記録媒体上に吐出する吐出工程を含み、前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有し、表面処理工程及び紫外線照射工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の画像形成装置は、酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有するインクを記録媒体上に吐出する吐出手段を有し、前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有し、表面処理手段及び紫外線照射手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、吐出工程は吐出手段により行うことができ、表面処理工程は表面処理手段により行うことができ、紫外線照射工程は紫外線照射手段により行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
本発明の画像形成方法及び本発明の画像形成装置は、特許文献1に記載の従来技術では、PVC記録媒体上での耐擦過性試験の結果、元画像の状態が維持できておらず、剥がれが発生しており、画像形成物の耐擦過性、密着性及び耐薬品性が不十分であるという知見に基づくものである。
また、本発明の画像形成方法及び本発明の画像形成装置は、特許文献2に記載の従来技術では、前処理を行うことを前提としたインク設計となっており、前処理なしでの画像形成物の耐擦過性、密着性及び耐薬品性については、未だ充分ではないという知見に基づくものである。
本発明においては、インク中に含まれる酸性基と反応可能な架橋剤が、インク中に含まれる酸性基を有する樹脂と記録媒体表面の酸性基とそれぞれ反応し、架橋剤及び架橋剤と反応した樹脂が記録媒体と結合することにより、インクの吐出安定性を損なうことなく、画像形成物の密着性、耐擦過性、及び耐薬品性が向上する。
<吐出工程及び吐出手段>
吐出工程は、酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有するインクを記録媒体上に吐出する工程であり、吐出手段により行われる。
吐出手段としては、例えば、インク吐出ヘッドなどが挙げられる。
インク吐出ヘッドは、インクを吐出して画像層を形成する。
インク吐出ヘッドは、ノズルプレート、加圧室、及び刺激発生手段を有する。
−ノズルプレート−
ノズルプレートは、ノズル基板と、前記ノズル基板上に撥インク膜とを有する。
−加圧室−
前記加圧室は、前記ノズルプレートに設けられた複数の前記ノズル孔に個別に対応して配置され、前記ノズル孔と連通する複数の個別流路であり、インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室などと称することもある。
−刺激発生手段−
前記刺激発生手段は、インクに印加する刺激を発生する手段である。
前記刺激発生手段における刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。前記刺激発生手段としては、具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記刺激が「熱」の場合、前記インク吐出ヘッド内のインクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、例えば、サーマルヘッド等を用いて付与する。前記熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、前記気泡の圧力により、前記ノズルプレートの前記ノズル孔から前記インクを液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
前記刺激が「圧力」の場合、例えば、前記インク吐出ヘッド内のインク流路内にある前記圧力室と呼ばれる位置に接着された前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記圧電素子が撓む。それにより、前記圧力室の容積が収縮して、前記インク吐出ヘッドの前記ノズル孔から前記インクを液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加してインクを飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
<<インク>>
インクは、酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
−酸性基と反応可能な架橋剤−
酸性基と反応可能な架橋剤としては、酸性基を反応可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボジイミド基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、アジリリジン基を有する化合物、メラニン基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、アミノ基を有する化合物、アゾ基を有する化合物、ビスマレイミド基を有する化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボジイミド基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物が、密着性、耐擦過性、及び耐薬品性の点から好ましい。
カルボジイミド基を有する化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、カルボジイミド(商品名:E−03A、日清紡ケミカル株式会社製)などが挙げられる。
オキサゾリン基を有する化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、オキサゾリン(商品名:エポクロスK−2020E)などが挙げられる。
酸性基と反応可能な架橋剤の含有量は、インク全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がより好ましい。
酸性基と反応可能な架橋剤は、硬化手段の働きにより、インク中の酸性基を有する樹脂及び酸性基を表面に有する記録媒体と反応する。
架橋剤と反応可能な酸性基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール系水酸基、アルコール系水酸基、アミン基、アミド基、芳香族チオール基、エポキシ基、カプロラクラム、酸無水物基などが挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基、又はアルコール系水酸基が特に好ましい。
−硬化手段−
本発明で用いられるインクを硬化させる硬化手段としては、加熱硬化手段、又は活性エネルギー線による硬化手段などが挙げられる。
加熱硬化手段としては、記録媒体の印刷面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれ、例えば、赤外線ヒーター、温風ヒーター、加熱ローラなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
記録媒体を乾燥させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクが付与された記録媒体に乾燥手段として温風等の加熱された流体を接触させる方法、インクが付与された記録媒体と加熱部材とを接触させ伝熱により加熱する方法、赤外線や遠赤外線等のエネルギー線を照射することによりインクが付与された記録媒体を加熱する方法などが挙げられる。
加熱は、印刷前、印刷中、及び印刷後の少なくともいずれかに行うことができる。
印刷前、印刷中の加熱により、加温した記録媒体に印刷することが可能となり、印刷後の加熱では、画像形成物を乾燥することができる。
記録時の乾燥温度は50℃以上が好ましい。記録時の乾燥温度の上限ついては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出信頼性、基材の熱変形の点から120℃以下が好ましい。更に、インクの記録媒体に対する濡れ性の点から90℃以下がより好ましい。記録前・記録後の乾燥温度については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出信頼性、記録媒体の熱変形の観点から100℃以下が好ましい。
加熱時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5秒間以上1.5秒間以下が好ましい。
加熱時間の制御は、記録媒体の搬送速度を制御することにより行われることが好ましい。
本発明で用いられるインクを硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
−酸性基を有する樹脂−
酸性基を有する樹脂としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、イソシアネート、ビニルアルコール、アルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、塩化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、フッ素樹脂、天然樹脂などが挙げられる。前記共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。また、特公昭62−1426号公報、特開平3−56573号公報、特開平3−79678号公報、特開平3−160068号公報、特開平4−18462号公報等に記載のものを用いてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
酸性基を有する樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/mg以下であることが水分散性の観点から好ましく、5mgKOH/g以上50mgKOH/mg以下であることが、優れた耐擦過性及び耐薬品性を付与する点からより好ましい。
前記樹脂の酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数を指し、JIS K0070の酸価測定、加水分解酸価測定(全酸価測定)によって測定することができる。
樹脂粒子を水性媒体中に分散させるにあたり、分子構造中にアニオン性基を有する、いわゆる自己乳化型・反応性乳化型の樹脂が好適である。
アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基などが挙げられる。これらの中でも、一部又は全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基やスルホネート基を使用することが、良好な水分散安定性を維持する上で好ましく、前記アニオン性基を樹脂中に導入するには、前記アニオン性基を持ったモノマーや反応性界面活性剤を使用すればよい。
本発明でいう酸性基とは、分散のための前記アニオン性基と平衡状態にある酸性基のことも含めていう。
前記アニオン性基の中和に使用できる塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、Na、K、Li、Ca等を含む金属塩基化合物などが挙げられる。
強制乳化法を用いる場合、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤のいずれも使用できるが、ノニオン界面活性剤の方が、耐水性が良好となる点から好ましい。
前記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンが好ましい。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩が好ましい。
界面活性剤の含有量は、樹脂の全量に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。界面活性剤の含有量が0.1質量%以上30質量%以下の範囲内であれば、付着性及び耐水性に優れたインクが得られ、画像形成物がブロッキングすることなく良好である。
また、界面活性剤を実質的に用いないソープフリー重合により形成する方法も好適に用いることができ、ソープフリー重合により形成する方法も好ましい。ソープフリー重合とは、界面活性剤を実質的に用いずに樹脂粒子を製造する重合方法をいう。ソープフリー重合としては、例えば、溶液中における界面活性剤の含有量が1質量%以下の存在下でポリマー粒子を重合することが挙げられる。ソープフリー重合では、例えば、(メタ)アクリル酸モノマー等を好適に用いることができる。ソープフリー重合を用いてポリマー粒子を製造した場合、光沢性がより向上する傾向にある。
酸性基を有する樹脂としては、市販品を用いることができる。市販品の水系分散型ポリマー粒子の例には、例えば、アクリル系樹脂エマルション(日本合成化学株式会社製、モビニール7470)、アクリル−シリコーン系樹脂エマルション(日本合成化学株式会社製、モビニール7110)、スチレン−アクリル系樹脂エマルション(日本合成化学株式会社製、モビニール972)などが挙げられる。
酸性基を有する樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性及びインクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
−光酸発生剤−
光酸発生剤は、光を照射されることにより酸を発生する化合物である。本発明において、光酸発生剤は、密着性、耐擦過性、及び耐薬品性を向上させる点から添加されることが好ましい。
光酸発生剤としては、特に制限はなく、公知の光酸発生剤を用いることができ、例えば、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)などに掲載されているものなどを用いることができる。本発明においては、光酸発生剤を重合性化合物や溶剤に溶解させたものを用いてもよい。
光酸発生剤としては、例えば、ジアゾジスルホン系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物などが挙げられる。
光酸発生剤としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、WPAG−367(和光純薬工業株式会社製)などが挙げられる。
光酸発生剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インク全量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。
前記インクには、必要に応じてその他の成分として、水、有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などを加えてもよい。
−水−
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
−有機溶剤−
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類等のエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、又はグリコールエーテル化合物も好適に使用される。
炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
−色材−
色材としては、特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35などが挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えば、カーボン)にスルホン酸基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂株式会社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
−顔料分散体−
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いるとよい。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度がメジアン径で20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで7μm以上の粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
インク中の固形分の分散粒径(メジアン径)については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度は20nm以上1,000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
−界面活性剤−
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学株式会社などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(S−1)式で表される、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
[一般式(S−1)]
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表し、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社製)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社製)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社製)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社製)などが挙げられる。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
−消泡剤−
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
−防腐防黴剤−
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
−防錆剤−
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
−pH調整剤−
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<表面処理工程及び表面処理手段>
表面処理工程は、インクが記録媒体に着弾する前に、記録媒体に対してコロナ放電処理及びプラズマ照射処理のいずれかを行う工程であり、表面処理手段により行われる。
−記録媒体−
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
記録媒体の表面処理は、インク着弾より以前に行われ、表面処理を行うことにより記録媒体の表面に、架橋剤と反応可能な酸性基が導入され、画像形成時に、記録媒体の表面の酸性基と、インク中の架橋剤や、インク中の架橋剤と樹脂との結合物とが化学結合する。
記録媒体への酸性基の導入は、表面処理手段を用いて行われ、オゾン酸化処理、プラズマ照射処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、酸処理、及びアルカリ処理から選択される少なくとも1つの処理が好適である。これらの中でも、コロナ放電処理、又はプラズマ照射処理が好ましい。
プラズマ照射処理は、プラズマ照射装置を用いて行われ、記録媒体の表面の重合結合を切断する効果が得られる。このように、表面が改質された記録媒体には、ガス種を選択することにより、酸性基を導入することが可能である。
コロナ放電処理は、コロナ放電装置を用いて行われる。コロナ放電装置としては、特開2010−241999号公報、特開2005−235448号公報、特開2003−300029号公報などに開示されているコロナ放電装置を使用することができる。例えば、ガス流路の中央部と外周辺部とに内外一対の放電電極が配置され、ガス流路にガスを導入するとともに、一対の放電電極に高電圧を印加することによりコロナ放電を生成し、該コロナ放電により生成されるガス流を吹き付ける方式などが挙げられる。
<紫外線照射工程及び紫外線照射手段>
紫外線照射工程は、インクが吐出された記録媒体を紫外線照射する工程であり、紫外線照射手段により行われる。
紫外線照射により、インク中の光酸発生剤から酸が発生し、記録媒体の表面の酸性基と、インク中の架橋剤や、インク中の架橋剤と樹脂との結合物とが化学結合が促進され、密着性、耐擦過性、及び耐薬品性が向上する。
紫外線照射手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の紫外線照射装置などが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御工程などが挙げられる。
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御手段などが挙げられる。
<用途>
本発明で用いられるインクの用途は、一般にインクが用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
更に、2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。
本発明で用いられるインクを用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、インクを硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
<画像形成物>
本発明の画像形成物は、記録媒体と、該記録媒体上に画像層とを有し、
前記画像層が、酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含み、
前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有する。
画像形成装置及び画像形成方法により、記録媒体上に画像形成して画像形成物とすることができる。
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
また、記録装置には、必要に応じてインクが吐出された記録媒体を紫外線照射する紫外線照射装置を備えていてもよい。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥・硬化手段を有してもよい。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えば、アルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
ここで、本発明に係る画像形成装置の他の一例について図3を参照して説明する。図3は、本発明の画像形成装置の機構部の平面説明図である。
この画像形成装置は、シリアル型インクジェット記録装置であり、図示しない左右の側板に横架した主ガイド部材1及び図示しない従ガイド部材でキャリッジ3を移動可能に保持している。そして、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7間に架け渡したタイミングベルト8を介して主走査方向(キャリッジ移動方向)に往復移動する。
このキャリッジ3には、液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド4a、4b(区別しないときは「記録ヘッド4」という。)を搭載している。記録ヘッド4は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する。また、記録ヘッド4は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド4は、例えば、図4に示すように、それぞれ複数のノズル4nを配列した2つのノズル列Na、Nbを有する。記録ヘッド4aの一方のノズル列Naはブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液滴を吐出する。記録ヘッド4bの一方のノズル列Naはマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列Nbはイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
記録ヘッド4を構成する液体吐出ヘッドとしては、例えば、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータを用いることができる。
一方、用紙10を記録ヘッド4に対向して搬送するための搬送機構51として、搬送手段である搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されている。
そして、搬送ベルト12は、副走査モータ16によってタイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。この搬送ベルト12は、周回移動しながら図示しない帯電ローラによって帯電(電荷付与)される。
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構20が配置され、他方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4から空吐出を行う空吐出受け21がそれぞれ配置されている。
維持回復機構20は、例えば、記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材20a、ノズル面を払拭するワイパ部材20b、画像形成に寄与しない液滴を吐出する図示しない空吐出受けなどで構成されている。
また、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール23が配置され、キャリッジ3にはエンコーダスケール23のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ24を設けている。これらのエンコーダスケール23とエンコーダセンサ24によってキャリッジ3の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)を構成している。
また、搬送ローラ13の軸にはコードホイール25を取り付け、このコードホイール25に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ26を設けている。これらのコードホイール25とエンコーダセンサ26によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)を構成している。
このように構成したこの画像形成装置においては、図示しない給紙トレイから用紙10が帯電された搬送ベルト12上に給紙されて吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって用紙10が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録する。そして、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行う。
記録終了信号又は用紙10の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙10を図示しない排紙トレイに排紙する。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1)
<シアン顔料分散液の調製>
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してシアン顔料分散液を得た。
・シアン顔料:15質量部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製):2質量部
・イオン交換水:83質量部
(製造例1)
−インク1の作製−
表1に記載の有機溶剤、架橋剤、シアン顔料分散液、アクリル樹脂エマルション、界面活性剤、及びイオン交換水を加えて、混合撹拌してインク溶液を調製した。
得られたインク溶液を粗大粒子及び異物を除去するためにろ過を行うことにより、インク1を作製した。
(製造例2〜17)
−インク2〜17の作製−
製造例1において、下記の表1〜表4に記載のインクの組成、及び含有量に変更した以外は、製造例1と同様にして、インク2〜17を作製した。
次に、表1〜表4に、インク1〜17の組成及び含有量についてまとめて示す。
表1〜表4のインク1〜17における成分の詳細な内容については、以下の通りである。
−樹脂エマルション−
・アクリル系樹脂エマルション(日本合成化学株式会社製、モビニール7470、固形分濃度44質量%、酸性基を有する樹脂)
・アクリル−シリコーン系樹脂エマルション(日本合成化学株式会社製、モビニール7110、固形分濃度46質量%、酸性基を有する樹脂)
・スチレン−アクリル系樹脂エマルション(日本合成化学株式会社製、モビニール972、固形分濃度50質量%、酸性基を有する樹脂)
−界面活性剤−
・シリコーン系界面活性剤(BYK348、BYK社製)
−架橋剤−
・カルボジイミド(日清紡ケミカル株式会社製、E−03A)
・オキサゾリン(株式会社日本触媒製、エポクロスK−2020E)
−光酸発生剤−
・WPAG−367(和光純薬工業株式会社製)
(実施例1〜8及び比較例1〜9)
<画像形成>
作製した各シアンインクをインクジェットプリンター(装置名:IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)に充填し、ベタ画像(1200dpi×1200dpi)を印刷した。
IPSiO GXe5500改造機は、IPSiO GXe5500機を150cmの印字幅で30m/hrの印字速度相当の印字をA4サイズで再現できるようにし、記録前、記録時、及び記録後の乾燥温度を変更できるように改造したものである。記録時の乾燥温度を55℃に設定し、記録時の記録媒体の表面温度が50℃となるように調整(加熱乾燥処理)し、表5〜表8に示す記録媒体に対してベタ画像を形成した。
また、実施例7、8、及び比較例4、5、9については、画像形成時に紫外線照射ができるように改造したIPSiO GXe5500改造機を用いた。
表5〜表8に示す記録媒体の詳細は、以下のとおりである。
<記録媒体>
・記録媒体1:ポリビニルアルコール(PVA)シート、表面に酸性基を有している。
・記録媒体2:ポリプロピレン(PP)シート
・記録媒体3:綿:表面に酸性基を有している、表面に酸性基を有している。
・記録媒体4:ポリエチレン(PE)繊維
<密着性試験>
JIS K5600−5−6[塗料一般試験法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)]に準じて、作製したサンプルについて、下記の基準で密着性の評価を行った。結果を表5〜表8に示した。
[評価基準]
◎:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない
○:カットの交差点における塗膜の小さな剥がれが認められる
×:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている
<耐擦過性試験>
耐擦過性の評価は、JIS K5701(ISO 11628)(平版印刷に用いられるインク、展色試料、及び印刷物を試験する方法について規定)に準じて、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製)を用いて行った。
評価方法は、塗膜の表面に金巾(3号)を載せ、荷重500gをかけて20往復擦り、擦った後の上記塗膜の表面の剥離や傷を目視で観察し、下記の基準で評価した。結果を表5〜表8に示した。
[評価基準]
◎:金巾擦り後、塗膜剥離が認められなかったか、塗膜剥離が認められても、下地は見えなかった
○:金巾擦り後、塗膜剥離により、下地が1/4未満露出していた
×:金巾擦り後、塗膜剥離により、下地が1/4以上露出していた
<吐出安定性>
上記のインクジェットプリンターを用いてインクの吐出を行った。記録媒体としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに対して48時間連続して吐出を行った。このときの、ドット抜け、飛行曲がり、又はインクの飛散の発生を目視により観察し、下記の基準で評価した。結果を表5〜表8に示した。
[評価基準]
○:ドット抜け、飛行曲がり、又はインクの飛散の発生が50回未満であった
×:ドット抜け、飛行曲がり、又はインクの飛散の発生が50回以上であった
<耐エタノール性>
表5〜表8に記載の各記録媒体に、各インクを用いてベタ画像を印刷した後、80℃で1時間乾燥させた。その後、綿棒を50質量%エタノール水溶液に含浸させ、画像のベタ部を20回擦過し、画像のベタ部の塗膜の剥がれ具合により、以下の基準で耐エタノール性を評価した。結果を表5〜表8に示した。
[評価基準]
◎:画像のベタ部の塗膜に全く剥がれが見られず、綿棒にも汚れが見られない
○:画像のベタ部の塗膜に剥がれは見当たらないが、綿棒にわずかに汚れが付着している
×:画像のベタ部の塗膜にインクの溶け出しが見られる
表5〜表8の結果から、実施例1〜8は、比較例1〜9に比べて、耐擦過性、密着性、及び耐エタノール性の良好な画像形成物、並びに吐出安定性に優れた画像形成方法を提供できることがわかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有するインクを記録媒体上に吐出する吐出工程を含み、
前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有することを特徴とする画像形成方法である。
<2> 前記インクが前記記録媒体に着弾する前に、前記記録媒体に対してコロナ放電処理及びプラズマ照射処理のいずれかを行う表面処理工程を含む前記<1>に記載の画像形成方法である。
<3> 前記架橋剤が、オキサゾリン基を有する化合物及びカルボジイミド基を有する化合物の少なくともいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<4> 前記インクが光酸発生剤を更に含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<5> インクが吐出された記録媒体を紫外線照射する紫外線照射工程を含む前記<4>に記載の画像形成方法である。
<6> 前記インクがインクジェット記録用インクである前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<7> 酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有するインクを記録媒体上に吐出する吐出手段を有し、
前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有することを特徴とする画像形成装置である。
<8> 前記インクが前記記録媒体に着弾する前に、前記記録媒体に対してコロナ放電処理及びプラズマ照射処理のいずれかを行う表面処理手段を有する前記<7>に記載の画像形成装置である。
<9> 前記架橋剤が、オキサゾリン基を有する化合物及びカルボジイミド基を有する化合物の少なくともいずれかである前記<7>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<10> 前記インクが光酸発生剤を更に含有する前記<7>から<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<11> インクが吐出された記録媒体を紫外線照射する紫外線照射手段を有する前記<10>に記載の画像形成装置である。
<12> 前記インクがインクジェット記録用インクである前記<7>から<11>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<13> 記録媒体と、該記録媒体上に画像層とを有し、
前記画像層が、酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含み、
前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有することを特徴とする画像形成物である。
前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成方法、前記<7>から<12>のいずれかに記載の画像形成装置、及び前記<13>に記載の画像形成物によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
400 画像形成装置
401 外装
401c カバー
404 カートリッジホルダ
410、410k、410c、410m、410y メインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
L インク収容容器
特許第6221298号公報 特許第5837765号公報

Claims (7)

  1. 酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有するインクを記録媒体上に吐出する吐出工程を含み、
    前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記インクが前記記録媒体に着弾する前に、前記記録媒体に対してコロナ放電処理及びプラズマ照射処理のいずれかを行う表面処理工程を含む請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記架橋剤が、オキサゾリン基を有する化合物及びカルボジイミド基を有する化合物の少なくともいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の画像形成方法。
  4. 前記インクが光酸発生剤を更に含有する請求項1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. インクが吐出された記録媒体を紫外線照射する紫外線照射工程を含む請求項4に記載の画像形成方法。
  6. 酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含有するインクを記録媒体上に吐出する吐出手段を有し、
    前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有することを特徴とする画像形成装置。
  7. 記録媒体と、該記録媒体上に画像層とを有し、
    前記画像層が、酸性基と反応可能な架橋剤、及び酸性基を有する樹脂を含み、
    前記記録媒体が、該記録媒体の表面に前記架橋剤と反応可能な酸性基を有することを特徴とする画像形成物。

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