JP2020022039A - Memsマイクロフォン - Google Patents
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Abstract
【課題】特性の劣化が抑制されたMEMSマイクロフォンを提供する。【解決手段】 MEMSマイクロフォン10においては、メンブレン30の対向面30aに露出する第2層32およびバックプレート40の対向面40aに露出する第1層41が、延性および展性に富む金属材料であるCuで構成されている。そのため、MEMSマイクロフォン10を使用してメンブレン30の対向面30aにクラックCが生じた場合であっても、第2層32がクラックCをある程度自己修復する。また、バックプレート40の対向面40aにクラックCが生じた場合であっても、メンブレン30同様、バックプレート40の第1層41がクラックCをある程度自己修復する。そのため、MEMSマイクロフォン10においては、クラックCの発生や成長が抑制されており、それにより特性の劣化が抑制されている。【選択図】図2
Description
本発明は、MEMSマイクロフォンに関する。
近年、MEMSマイクロフォンを含む超小型のマイクロフォンモジュールの需要が高まっている。たとえば下記特許文献1〜3には、シリコン基板上に、エアギャップを介してメンブレンとバックプレートとが対向配置された構成のMEMSマイクロフォンが開示されている。このようなMEMSマイクロフォンでは、メンブレンとバックプレートとでキャパシタ構造が形成されており、音圧を受けてメンブレンが振動するとキャパシタ構造における容量が変化する。その容量変化が、ASICチップにおいて電気信号に変換されるとともに増幅処理される。
上述したMEMSマイクロフォンは、寸法が極めて小さいため、MEMSマイクロフォンの使用時(特に、継続的な使用時)にメンブレンやバックプレートにわずかなクラックが生じ、そのようなクラックがMEMSマイクロフォンの特性を劣化させる。特に、メンブレンやバックプレートの対向領域にクラックが生じた場合には、MEMSマイクロフォンの特性が顕著に劣化する。
本発明は、特性の劣化が抑制されたMEMSマイクロフォンを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るMEMSマイクロフォンは、貫通孔を有する基板と、基板の一方面側において貫通孔を覆うメンブレンと、基板の一方面側において貫通孔を覆い、かつ、メンブレンとエアギャップを介して対面するバックプレートと、メンブレンおよびバックプレートに設けられた一対の端子部とを備え、メンブレンが、バックプレートに対して対向する対向面に露出する第1の金属層を含む複数層構造を有し、バックプレートが、メンブレンに対して対向する対向面に露出する第2の金属層を含む複数層構造を有し、第1の金属層および第2の金属層が、金、銀、白金、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、亜鉛およびスズからなる群から選ばれる金属、または、その群から選ばれる少なくとも1種を含む合金で構成されている。
上記MEMSマイクロフォンにおいては、メンブレンの対向面に露出する第1の金属層およびバックプレートの対向面に露出する第2の金属層が、延性および展性に富む金属材料である金、銀、白金、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、亜鉛およびスズからなる群から選ばれる金属で構成されている、または、その群から選ばれる少なくとも1種を含む合金で構成されている。そのため、MEMSマイクロフォンを使用してメンブレンの対向面やバックプレートの対向面にクラックが生じた場合であっても、第1の金属層および第2の金属層がクラックをある程度自己修復する。そのため、上記MEMSマイクロフォンにおいては、クラックの発生や成長が抑制されており、それにより特性の劣化が抑制されている。
他の態様に係るMEMSマイクロフォンは、第1の金属層が、金、銀、白金、鉄、ニッケルおよび銅からなる群から選ばれる金属、または、その群から選ばれる少なくとも1種を含む合金で構成されている。メンブレンは、バックプレートに比べてより多く振動する部分であるため、メンブレンの第1の金属層を特に展性に富む金、銀、白金、鉄、ニッケルおよび銅からなる群から選ばれる金属、または、その群から選ばれる少なくとも1種を含む合金で構成することで、メンブレンにおけるクラックの発生や成長がより効果的に抑制される。
他の態様に係るMEMSマイクロフォンは、メンブレンが、第1の金属層と重なるチタン層またはタンタル層をさらに含む。この場合、メンブレンにおける第1の金属層の密着性向上が図られる。
他の態様に係るMEMSマイクロフォンは、バックプレートが、第2の金属層と重なるチタン層またはタンタル層をさらに含む。この場合、バックプレートにおける第2の金属層の密着性向上が図られる。
本発明によれば、特性の劣化が抑制されたMEMSマイクロフォンが提供される。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
図1に示すように、実施形態に係るマイクロフォンモジュール1は、少なくともモジュール基板2と、制御回路チップ3(ASIC)と、キャップ6と、MEMSマイクロフォン10とを備えて構成されている。
モジュール基板2は、平板状の外形形状を有し、たとえばセラミック材料で構成されている。モジュール基板2は、単層構造であってもよく、内部配線を含む複数層構造であってもよい。モジュール基板2の一方面2aおよび他方面2bにはそれぞれ端子電極4、5が設けられており、端子電極4、5同士は図示しない貫通導体や内部配線を介して互いに接続されている。
MEMSマイクロフォン10は、モジュール基板2の一方面2a上に搭載されている。MEMSマイクロフォン10は、音圧を受けるとその一部が振動する構成を有しており、具体的には図2および図3に示す構造を有する。すなわち、MEMSマイクロフォン10は、少なくとも基板20と、メンブレン30と、バックプレート40と、一対の端子部50A、50Bとを備えて構成されている。
基板20は、矩形平板状の外形形状を有し、たとえばSiや石英ガラス(SiO2)で構成されている。基板20の厚さは、一例として500μmである。基板20は、図3に示すように、平面視において略正方形状(一例として、1500μm×1500μm)を有することができる。基板20は、基板20の厚さ方向において貫通する貫通孔21を有する。貫通孔21は、平面視において、たとえば真円形状を有し、基板20の中央領域に設けられている。貫通孔21の直径は、一例として1000μmである。
メンブレン30は、ダイヤフラムとも呼ばれ、音圧によって振動する膜である。メンブレン30は、基板20の一方面側である上面20a側に位置しており、上面20aに直接重ねられている。メンブレン30は、基板20の貫通孔21全体を覆うように設けられている。メンブレン30は、複数層構造を有しており、本実施形態では2層構造を有する。
下側に位置するメンブレン30の第1層31は、絶縁体材料(本実施形態ではSiN)で構成されている。第1層31の厚さは、一例として200nmである。第1層31は、貫通孔21を含む基板20の上面20aの全面に亘って設けられている。上側に位置するメンブレン30の第2層32は、延展性に富む金属材料(本実施形態ではCu)で構成されている。第2層32の厚さは、一例として100nmである。第2層32は、基板20の貫通孔21に対応する領域、および、貫通孔21の縁領域であって一対の端子部50A、50Bの一方(本実施形態では端子部50A)の形成領域に、一体的に設けられている。
基板20の貫通孔21をメンブレン30によって完全に塞ぐと、メンブレン30の上側と下側とで気圧差が生じ得る。このような気圧差を低減するため、本実施形態では、メンブレン30に小さな貫通孔33を設けている。メンブレン30に複数の貫通孔33を設けることもできる。
バックプレート40は、基板20の上面20a側に位置しており、かつ、メンブレン30の上側に位置している。バックプレート40は、メンブレン30同様、基板20の貫通孔21全体を覆うように設けられている。バックプレート40は、エアギャップGを介してメンブレン30と対面している。より詳しくは、バックプレート40の対向面40a(図2における下面)が、基板20の貫通孔21が形成された領域において、メンブレン30の対向面30a(図2における上面)と対面している。バックプレート40は、メンブレン30同様、複数層構造を有しており、本実施形態では2層構造を有する。
下側に位置するバックプレート40の第1層41は、延展性に富む金属材料(本実施形態ではCu)で構成されている。第1層41の厚さは、一例として300nmである。上側に位置するバックプレート40の第2層42は、絶縁体材料(本実施形態ではSiN)で構成されている。第2層42の厚さは、一例として50nmである。バックプレート40の第1層41および第2層42は、基板20の貫通孔21に対応する領域、および、貫通孔21の縁領域であって一対の端子部50A、50Bの他方(本実施形態では端子部50B)の形成領域に、一体的に設けられている。バックプレート40の第2層42は、一対の端子部50A、50Bの形成領域には設けられておらず、一対の端子部50A、50Bの形成領域においてメンブレン30の第2層32およびバックプレート40の第1層41が露出している。バックプレート40は、複数の孔43を有する。複数の孔43は、図3に示すように、いずれもたとえば真円状の開口形状を有し、規則的に配置(本実施形態では千鳥配置)されていることが好ましい。
一対の端子部50A、50Bは、導電体材料で構成されており、本実施形態ではCuで構成されている。一対の端子部50A、50Bのうち、一方の端子部50Aは、貫通孔21の縁領域に設けられたメンブレン30の第2層32上に形成され、他方の端子部50Bは、貫通孔21の縁領域に設けられたバックプレート40の第1層41上に形成されている。
MEMSマイクロフォン10は、上述したとおり、メンブレン30が導電層として第2層32を有し、かつ、バックプレート40が導電層として第1層41を有する。そのため、MEMSマイクロフォン10では、メンブレン30とバックプレート40とで平行平板型のキャパシタ構造が形成されている。そして、メンブレン30が音圧により振動すると、メンブレン30とバックプレート40との間のエアギャップGの幅が変化し、キャパシタ構造における容量が変化する。MEMSマイクロフォン10は、その容量変化を一対の端子部50A、50Bから出力する静電容量型のマイクロフォンである。
制御回路チップ3は、MEMSマイクロフォン10に近接するようにして、モジュール基板2の一方面2a上に搭載されている。制御回路チップ3には、MEMSマイクロフォン10の一対の端子部50A、50Bから上述した容量変化が入力される。本実施形態では、制御回路チップ3とMEMSマイクロフォン10とはワイヤボンディングによって接続されている。制御回路チップ3は、MEMSマイクロフォン10のキャパシタ構造の容量変化を、アナログまたはデジタルの電気信号に変換する機能および増幅機能を有する。制御回路チップ3は、モジュール基板2の一方面2aに設けられた端子電極4に接続されており、制御回路チップ3の信号は端子電極4、5を介して外部に出力される。
キャップ6は、基板20の上面20a側に中空構造を形成している。具体的には、キャップ6は、基板20との間に空洞Hを画成しており、その空洞Hの内部にMEMSマイクロフォン10や制御回路チップ3が収容されている。本実施形態では、キャップ6は、金属材料で構成されたメタルキャップである。キャップ6には、外部と空洞Hとをつなぐサウンドホール6aが設けられている。
次に、上述したMEMSマイクロフォン10を製造する手順について、図4および図5を参照しつつ説明する。
MEMSマイクロフォン10を製造する際には、まず、図4(a)に示すように、貫通孔21が形成されていない平板状の基板20の上面20a上に、メンブレン30の第1層31および第2層32を順次成膜する。第1層31は、絶縁体材料(本実施形態ではSiN)のCVDにより形成される。第2層32は、金属材料(本実施形態ではCu)のスパッタリングにより形成される。第1層31および第2層32は、図示しないフォトレジストおよびRIEによりパターニングされ得る。
次に、図4(b)に示すように、メンブレン30に貫通孔33を設ける。貫通孔33は、たとえば貫通孔33の領域に開口が設けられたフォトレジストを用いたRIEにより形成することができる。RIEに用いるガス種は、メンブレン30を構成する層の材料に応じて適宜選択される。
さらに、図4(c)に示すように、上述したエアギャップGとなるべき領域に犠牲層60を形成する。犠牲層60は、たとえばSiO2のCVDにより形成される。犠牲層60の厚さは、一例として2μmである。犠牲層60は、図示しないフォトレジストおよびRIEによりパターニングされ得る。
続いて、図5(a)に示すように、バックプレート40の第1層41および第2層42を順次成膜する。第1層41は、金属材料(本実施形態ではCu)のスパッタリングにより形成される。第2層42は、絶縁体材料(本実施形態ではSiN)のCVDにより形成される。第1層41および第2層42は、図示しないフォトレジストおよびRIEによりパターニングされ得る。
また、図5(b)に示すように、一対の端子部50A、50Bを形成する。具体的には、メンブレン30の第2層32上に端子部50Aを形成するとともに、バックプレート40の第1層41上に端子部50Bを形成する。端子部50A、50Bは、導電体材料(本実施形態ではCu)のスパッタリングにより形成される。端子部50A、50Bは、図示しないフォトレジストおよびRIEによりパターニングされ得る。
さらに、図5(c)に示すように、基板20に貫通孔21をエッチングにより形成する。貫通孔21は、バッファードフッ酸(BHF)を用いたウェットエッチングにより形成される。貫通孔21は、フッ化水素(HF)の蒸気を用いたドライエッチングにより形成することもできる。エッチングの際、基板20の上面20a全体および貫通孔21が形成される領域以外の下面20bは、フォトレジスト等によって被覆される。また、エッチングのストッパ膜として、50nm厚さ程度のSiN層を、基板20の上面20a(メンブレン30の下側)に形成してもよい。このSiN層は、貫通孔21を形成した後、貫通孔21から露出した部分がエッチング除去され得る。
そして、犠牲層60をエッチングにより除去する。犠牲層60は、バッファードフッ酸(BHF)を用いたウェットエッチングにより除去される。犠牲層60は、フッ化水素(HF)の蒸気を用いたドライエッチングにより除去することもできる。エッチングの際、犠牲層60が形成された領域以外の基板20の上面20aおよび下面20b全体は、フォトレジスト等によって被覆される。
以上で説明した手順により、上述したMEMSマイクロフォン10が製造される。
MEMSマイクロフォン10においては、メンブレン30の対向面30aに露出する第2層(第1の金属層)32およびバックプレート40の対向面40aに露出する第1層(第2の金属層)41が、延性および展性に富む金属材料であるCuで構成されている。そのため、図6に示すように、MEMSマイクロフォン10を使用してメンブレン30の対向面30aにクラックCが生じた場合であっても、第2層32がクラックCをある程度自己修復する。また、バックプレート40の対向面40aにクラックCが生じた場合であっても、メンブレン30同様、バックプレート40の第1層41がクラックCをある程度自己修復する。そのため、MEMSマイクロフォン10においては、クラックCの発生や成長が抑制されており、それにより特性の劣化が抑制されている。
なお、延展性に富む金属材料としては、Cuの他に、金、銀、白金、鉄、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、スズ、または、これらの少なくとも1種を含む合金が挙げられる。また、延展性が特に高い金属材料として、金、銀、白金、鉄、ニッケル、銅、または、これらの少なくとも1種を含む合金が挙げられる。
メンブレン30は、バックプレート40に比べてより多く振動する部分であるため、メンブレン30の第2層32を特に展性に富む金属材料(すなわち、金、銀、白金、鉄、ニッケル、銅、または、これらの少なくとも1種を含む合金)で構成することで、メンブレン30におけるクラックCの発生や成長がより効果的に抑制される。
また、本実施形態では、メンブレン30の第2層32およびバックプレート40の第1層41が、キャパシタ構造を構成する導電層として機能するため、クラックCを抑制する層を別途に設けた構成に比べて、メンブレン30やバックプレート40の薄型化が図られている。
MEMSマイクロフォン10では、メンブレン30とバックプレート40との上下位置を反対にして、基板20の上面20a上にバックプレート40を直接重ねた構成にすることができる。
上述した実施形態では、1つのバックプレート40を備えたMEMSマイクロフォン10について説明したが、図7に示すように、MEMSマイクロフォン10Aが2つのバックプレート40A、40Bを備える態様であってもよい。
MEMSマイクロフォン10Aにおいては、基板20上に、第1のバックプレート40A、メンブレン30、および、第2のバックプレート40Bが設けられている。MEMSマイクロフォン10Aにおける第1のバックプレート40Aおよびメンブレン30は、上述したMEMSマイクロフォン10におけるバックプレート40およびメンブレン30の構成および位置関係と同様である。MEMSマイクロフォン10Aは、主に、基板20とメンブレン30との間に第2のバックプレート40Bが介在する点においてMEMSマイクロフォン10と異なる。第2のバックプレート40Bは、第1のバックプレート40Aを上下逆さにした層構造を有する。すなわち、第2のバックプレート40Bでは、下側に位置する第2層42が絶縁体材料(本実施形態ではSiN)で構成されており、上側に位置する第1層41が導電体材料(本実施形態ではCu)で構成されている。そして、第2のバックプレート40Bの第1層41上に、端子部50Cが形成されている。
MEMSマイクロフォン10Aでは、メンブレン30は、エアギャップG1を介して第2のバックプレート40Bと対面しており、エアギャップG1を介して第1のバックプレート40Aと対面している。
MEMSマイクロフォン10Aでは、メンブレン30と、2つのバックプレート40A、40Bとで平行平板型のキャパシタ構造が2つ形成されている。そして、メンブレン30が音圧により振動すると、メンブレン30と第1のバックプレート40Aとの間のエアギャップGの幅が変化するとともに、メンブレン30と第2のバックプレート40Bとの間のエアギャップG1の幅が変化する。MEMSマイクロフォン10Aでは、エアギャップG1、G2の幅の変化に伴うキャパシタ構造の容量変化を、3つの端子部50A、50B、50Cから出力する。このようなMEMSマイクロフォン10Aによれば、上述したMEMSマイクロフォン10に比べて、高いSN比を実現することができる。
MEMSマイクロフォン10Aにおいても、MEMSマイクロフォン10同様、メンブレン30の対向面30aに露出する第2層32およびバックプレート40Aの対向面40aに露出する第1層41がCuで構成されているため、MEMSマイクロフォン10の上述した効果と同様の効果を奏する。
次に、上述したMEMSマイクロフォン10Aを製造する手順について、図8および図9を参照しつつ説明する。
MEMSマイクロフォン10Aを製造する際には、まず、図8(a)に示すように、貫通孔21が形成されていない平板状の基板20の上面20a上に、第2のバックプレート40Bの第2層42および第1層41を順次形成する。第1層41は、金属材料(本実施形態ではCu)のスパッタリングにより形成される。第2層42は、絶縁体材料(本実施形態ではSiN)のCVDにより形成される。第1層41および第2層42は、図示しないフォトレジストおよびRIEによりパターニングされ得る。なお、表面平坦化のため、第2のバックプレート40Bが形成された領域の残余領域には絶縁体膜34が形成される。絶縁体膜34は、絶縁体材料(本実施形態ではSiN)のCVDにより形成される。絶縁体膜34についても、図示しないフォトレジストおよびRIEによりパターニングされ得る。
次に、図8(b)に示すように、第2のバックプレート40Bの各孔43が、絶縁体61(本実施形態ではSiO2)で埋められる。絶縁体61は、SiO2をCVDにより堆積させた後、CMPにより表面研磨することで得られる。
さらに、図8(c)に示すように、上述したエアギャップG1となるべき領域に犠牲層62を形成する。犠牲層62は、たとえばSiO2のCVDにより形成される。犠牲層62の厚さは、一例として3μmである。犠牲層62は、図示しないフォトレジストおよびRIEによりパターニングされ得る。なお、表面平坦化のため、犠牲層62が形成された領域の残余領域には絶縁体膜35が形成される。絶縁体膜35は、絶縁体材料(本実施形態ではSiN)のCVDにより形成される。絶縁体膜35についても、図示しないフォトレジストおよびRIEによりパターニングされ得る。犠牲層62および絶縁体膜35の表面平坦化のため、犠牲層62および絶縁体膜35を形成した後、CMPにより表面研磨することができる。
そして、犠牲層62および絶縁体膜35の上に、メンブレン30および第1のバックプレート40Aを、MEMSマイクロフォン10のメンブレン30およびバックプレート40と同様に形成する。メンブレン30および第1のバックプレート40Aを形成した後は、図9(a)に示すように、端子部50A、50B、50Cが形成される領域のメンブレン30の第2層32およびバックプレート40A、40Bの第1層41を露出させる。
そして、図9(b)に示すように、各端子部50A、50B、50Cを形成する。具体的には、メンブレン30の第2層32上に端子部50Aを形成するとともに、バックプレート40A、40Bの第1層41上に端子部50B、50Cをそれぞれ形成する。端子部50Cは、端子部50A、50B同様、導電体材料(本実施形態ではCu)のスパッタリングにより形成される。端子部50A、50B、50Cは、図示しないフォトレジストおよびRIEによりパターニングされ得る。
さらに、図9(c)に示すように、基板20に貫通孔21をエッチングにより形成するとともに、犠牲層60、62および絶縁体61をエッチングにより除去する。犠牲層60、62および絶縁体61は、バッファードフッ酸(BHF)を用いたウェットエッチング、または、フッ化水素(HF)の蒸気を用いたドライエッチングにより除去され得る。
以上で説明した手順により、上述したMEMSマイクロフォン10Aが製造される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更をおこなうことができる。
たとえば、メンブレンは、金属層と絶縁体層とを含む2層構造に限らず、導体層や非導体層(半導体層、絶縁体層)を含む3層以上の複数層構造であってもよい。一例として、図10に3層構造のメンブレン30Aを示す。メンブレン30Aでは、第1層31と第2層32との間に第3層36が介在している。第3層36はチタンで構成されたチタン層である。チタン層である第3層36を、第2層32に重なるように設けることで、絶縁体層である第1層31に対する金属層である第2層32の密着性の向上が図られる。なお、第3層36がタンタル層である場合も、チタン層同様、密着性の向上が図られる。
バックプレートについても、導体層や非導体層を含む3層以上の複数層構造であってもよい。3層構造のバックプレートは、図10に示したメンブレン30A同様、第1層41と第2層42との間にチタン層またはタンタル層である第3層が介在する構成とすることができる。このような第3層を、第1層41に重なるように設けることで、絶縁体層である第2層42に対する金属層である第1層41の密着性の向上が図られる。メンブレンおよびバックプレートにおける導体層と非導体層との積層順序は、対向面に金属層が露出する限りにおいて、MEMSマイクロフォンに求める特性に応じて適宜変更することができる。
MEMSマイクロフォンのメンブレン、バックプレートおよび貫通孔の平面形状は、円形に限らず、多角形状であってもよく、角丸四角形であってもよい。
メンブレンとバックプレートとが接触して離れない現象(いわゆるスティッキング)を防止するため、バックプレートの対向面側に、メンブレンに向かって延びる突起を設けてもよい。
1…マイクロフォンモジュール、2…モジュール基板、3…制御回路チップ、6…キャップ、10、10A…MEMSマイクロフォン、20…基板、21…貫通孔、30、30A…メンブレン、31…第1層、32…第2層、36…第3層、40、40A、40B…バックプレート、41…第1層、42…第2層、50A、50B、50C…端子部、60、62…犠牲層、G、G1、G2…エアギャップ、H…空洞。
Claims (4)
- 貫通孔を有する基板と、
前記基板の一方面側において前記貫通孔を覆うメンブレンと、
前記基板の一方面側において前記貫通孔を覆い、かつ、前記メンブレンとエアギャップを介して対面するバックプレートと、
前記メンブレンおよび前記バックプレートに設けられた一対の端子部と
を備え、
前記メンブレンが、前記バックプレートに対して対向する対向面に露出する第1の金属層を含む複数層構造を有し、
前記バックプレートが、前記メンブレンに対して対向する対向面に露出する第2の金属層を含む複数層構造を有し、
前記第1の金属層および前記第2の金属層が、金、銀、白金、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、亜鉛およびスズからなる群から選ばれる金属、または、前記群から選ばれる少なくとも1種を含む合金で構成されている、MEMSマイクロフォン。 - 前記第1の金属層が、金、銀、白金、鉄、ニッケルおよび銅からなる群から選ばれる金属、または、前記群から選ばれる少なくとも1種を含む合金で構成されている、請求項1に記載のMEMSマイクロフォン。
- 前記メンブレンが、前記第1の金属層と重なるチタン層またはタンタル層をさらに含む、請求項1または2に記載のMEMSマイクロフォン。
- 前記バックプレートが、前記第2の金属層と重なるチタン層またはタンタル層をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のMEMSマイクロフォン。
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2018
- 2018-07-31 JP JP2018143622A patent/JP2020022039A/ja active Pending
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