JP2020019309A - 車両のフロントエンド構造 - Google Patents
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Description
こうしたエアバッグ装置の作動のため、車両のフロントエンド構造では、バンパ構造を用いて、衝突荷重の伝達経路を確保している。
しかし、高速での衝突の際にエアバッグを即時に展開させるために、衝突荷重を早期に確実にエアバッグセンサに伝達する構造を採用すると、軽衝突の際の小さな衝突荷重が減衰することなくエアバッグセンサに伝達され、所定値を超えてしまい、エアバッグが展開されるおそれがあった。
図1(a)は車両のフロントエンド構造を示し、図1(b)は同構造のバンパリンフォースを支持する支持部を拡大して示している。
図1に示されるフロントエンド構造は、車幅方向一方側(片側)だけを示している。ちなみに、図示しない車幅方向他方側(もう片側)は省略してあるが、同じ構造である。
上側のサイドアッパフレーム7および下側のサイドロアフレーム9は、いずれも車両前後方向に延びる骨格部材である。一対のサイドアッパフレーム7間はフロントエンドアッパバー11で連結され、一対のサイドロアフレーム9間はフロントエンドクロスメンバ13で連結される。またサイドアッパフレーム7の前端部とサイドロアフレーム9の前端部との間は、いずれも上下方向に延びる柱状のフロントエンドサポート15で連結される。つまり、車両のフロントエンド部19は、一対のサイドアッパフレーム7、一対のサイドロアフレーム9、フロントエンドアッパバー11、フロントエンドクロスメンバ13、一対のフロントエンドサポート15などの骨格部材で構成される。
バンパリンフォースステー23は、図1〜図5に示されるように板状部材を曲成して構成される。
ステー部27aの高さ寸法は、バンパリンフォース17の高さ寸法よりも大きく、下側がバンパリンフォース17の下端から張り出る(張出し部27d)。またステー部27aの張出し部27dは、車幅方向内側へ張り出した拡幅部30を有している。拡幅部30は、ステー部27aの張出し部27dを車幅方向内側へ折り曲げた後、その折曲部分より車幅方向内側でステー部27aの張出し部27dを車両下方へ折り曲げることで形成されている。図2および図3中の符号27e、27fは、その折曲部分を示している。
一方、バンパリンフォースサポート21は、バンパリンフォース17から下方へ張り出たバンパリンフォースステー23の端面を覆う大きさのパネル、例えば板金製の第1受圧面部21aをもつ。
また、バンパリンフォースサポート21は、第1受圧面部21aから車幅方向内側へ向かって延在する第2受圧面部21bを有する。更に第1受圧面部21aは、その一部が周囲より後方へ凹んだ凹部21cを有している。凹部21cは、バンパリンフォースステー23より車幅方向内側から車幅方向外側に向かい延在しており、バンパリンフォースステー23は、この凹部21c内でバンパリンフォースサポート21に取着される。第1受圧面部21aに凹部21cが設けられることにより、バンパリンフォースサポート21には車両上下方向、車幅方向に延びる稜線が形成され、バンパリンフォースサポート21の剛性を向上させている。
これにより、衝突を受けるバンパリンフォース17の受圧面は、バンパリンフォースサポート21によって下方及び車幅方向に拡大される。つまり、衝撃荷重が入力される箇所が下方や車幅方向にずれたとしても、衝突荷重はバンパリンフォース17の各部やバンパリンフォースサポート21の各部から入力される。
具体的には切欠部41は、バンパリンフォース17の下側に張り出し、バンパリンフォースサポート21にて覆われるバンパリンフォースステー23の先端側の稜線部分に設けられる。すなわち切欠部41は、図2〜図5に示されるようにバンパリンフォースステー23のステー部27a上の折曲部分27e、27fにより形成された稜線a、b域、ステー部27aとステー部27bとの境界をなす角部の稜線c域に設けられる。
稜線c域の切欠部41bは、バンパリンフォースステー23の先端となる稜線cの前端から、稜線c沿いに当該稜線部分を含むその周囲を、所定の大きさおよび所定の長さで切り欠いて形成される。切り欠く部分は、稜線部分に隣接する平坦面を含む。図3中の符号βは、そのとき切り欠いた断面の領域を示す。
これにより、車両が高速で前面衝突した場合、バンパリンフォースステー23の切欠部41a,41bは、加わる衝突荷重によって瞬時に圧潰され、大きな衝突荷重がバンパリンフォースステー23を通じてエアバッグセンサ35へ入力される。
特にバンパリンフォースステー23の切欠部41a,41bの長さは、同じでなく、異なる切欠き長さにしてある。本実施形態では、下方に位置する稜線cの切欠部41bの切欠き長さL2が、上方に位置する稜線a、bの切欠部41aの切欠き長さL1よりも長く設定されている(図5に図示)。
なお、図2および図3において符号45は、バンパリンフォースステー23の剛性を確保するビードを示す。
例えば車両が高速で前面衝突したとする。
このときは、バンパリンフォース17やバンパリンフォースサポート21から入力される衝撃荷重F1(図5)により、バンパリンフォースステー23のうち脆弱部となっている切欠部41a,41bは瞬時に圧潰される。他の部分は、稜線a〜dにて前後方向の剛性が確保されているため、衝突荷重F1は、即時、バンパリンフォースステー23を通じて、エアバッグセンサ35へ入力される。
一方、車両が低速で前面衝突したとする。
このときは、バンパリンフォース17やバンパリンフォースサポート21から入力される衝撃荷重F2(図5)により、バンパリンフォースステー23のうち脆弱部となる切欠部41a,41bは圧縮方向の変形を起こしたり、図5中の二点鎖線に示されるようにバンパリンフォースステー23の先端側が同変形に伴う曲げモーメントの発生により下側へ傾く挙動が生じたりする。
それ故、本実施形態のように切欠部41a,41bを用いて、低速衝突時に衝撃荷重F2(衝撃エネルギー)を吸収可能としたことにより、既存のエアバッグセンサ35をそのまま流用して、エアバッグの展開が必要でないとき(低速衝突時)の作動を防ぐことができる(請求項1)。なお、切欠部41a,41bの長さは、展開させたくない衝突速度で、エアバッグセンサ35に入力される衝撃荷重が所定値を超えない程度に設定すればよい。
しかも、バンパリンフォースステー23の上下に並ぶ稜線a、b、c上にそれぞれ上方側若しくは下方側ほど車両前後方向の切欠き長さが長い切欠部41a,41bを設けることにより、バンパリンフォースステー23は、切欠部41a,41bの変形だけでなく、同変形がもたらす曲げ方向のモーメントによりバンパリンフォースステー23の前部が傾くという変形をもたらす。これにより、衝撃荷重をより効率的に吸収することができ、エアバッグの展開が必要でないとき(低速衝突時)の作動をより確実に防ぐことができるとともに、切り欠きの大きさをより抑制することができる(請求項3)。
5a 上側フランジ部
11 フロントエンドアッパバー(骨格部材)
17 バンパリンフォース
17a 縦壁部
19 フロントエンド部
21 バンパリンフォースサポート(受圧面部)
23 バンパリンフォースステー(ステー部材)
27d 張出し部
35 エアバッグセンサ
39 エアバッグ装置
41a,41b 切欠部
a〜d 稜線
Claims (5)
- 車両のフロントエンド部を構成する骨格部材に設けられ、車両前方へ突出するステー部材と、前記ステー部材の前方で前記ステー部材に接合され、車幅方向に延在するバンパリンフォースと、前記骨格部材に設けられ前記バンパリンフォースから前記ステー部材を通じ入力される衝突荷重を受けてエアバッグ装置を作動させるエアバッグセンサとを有する車両のフロントエンド構造にあって、
前記ステー部材は、車両前端側から車両後方に延びる切欠部を有する
ことを特徴とする車両のフロントエンド構造。 - 前記ステー部材は、板状部材を屈曲させることで形成されており、車両前後方向に延びる稜線を有し、
前記切欠部は、前記ステー部材の前端で前記稜線の一部を切り欠いて形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両のフロントエンド構造。 - 前記ステー部材は、前記切欠部を車両上下方向に複数有し、
複数の前記切欠部は、車両上方側の前記切欠部ほど、若しくは車両下方側の前記切欠部ほど車両上下方向中央側の前記切欠部に対して車両前後方向の切欠き長さが長い
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両のフロントエンド構造。 - 前記ステー部材は、前記バンパリンフォースの下端より下方へ張り出す張出し部を有し、
前記バンパリンフォースは、当該バンパリンフォースの下端より下方に延び、前記張出し部の前端縁を覆う受圧面部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両のフロントエンド構造。 - 前記バンパリンフォースは、車両上下方向に延びる縦壁部と、前記縦壁部の上端から車両後方に延びる上側フランジ部とを有し、
前記上側フランジ部が前記ステー部材に接合され、前記ステー部材の前端と前記縦壁部との間には隙間が設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両のフロントエンド構造。
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