JP2020009609A - 空気電池、空気電池システム及びそれに用いる正極構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 空気電池の充放電サイクルを繰り返しても空気電池の性能が劣化することを防ぐことができるとともに、正極構造体を介して電解液が漏洩することを容易に防止することができる、空気電池、空気電池システムおよびそれに用いる正極構造体を提供する。【解決手段】 正極構造体10は、正極集電体11と、正極集電体の空気側に積層され、空気電池の正極材を含む第1の正極材層12aと、正極集電体の電解質側に積層され、空気電池の正極材を含む第2の正極材層12bとを備え、第1の正極材層12aおよび第2の正極材層12bのどちらか一方が、正極材層12を貫通する複数の空孔13を有する。また、この正極構造体を用いて空気電池としたり、この空気電池をモジュール化したものを複数連結して空気電池システムとする。【選択図】 図1

Description

本発明は、空気電池、空気電池システム及びそれに用いる正極構造体に関する。
空気電池は、負極活物質として金属リチウム等を使用し、正極活物質として大気中の酸素を使用するものであり、エネルギー密度が高く、本格的電気自動車の普及に必要とされる700Wh/kgのエネルギー密度を得られる電池として期待されている。このエネルギー密度は、現在車載が始まっているリチウムイオン電池を約7倍上回るものである。
このような空気電池の正極構造体としては、メッシュ状の金属集電体に、触媒や導電助剤、バインダー等から構成される正極材を圧着する構造が知られている。この構造は、金属集電体に多くの触媒を圧着させることができ、高い充放電性能が得られるという特徴がある。例えば、特許文献1には、空気電池の反応に必要な空気(酸素)を正極材に効率よく取り込むために、板状の正極基材に多孔体からなる正極材が接合された薄型正極構造体であって、正極基材の一面及び/又は他面に溝が形成され、この溝を覆うように板状の正極材が接合されており、これにより、この溝が、正極基材の一の側面から対向する側面に通ずる空気の流路用の孔となる薄型正極構造体が記載されている。
特許文献2には、空気電池の反応に必要な空気を正極の厚さ方向へ容易に拡散させるために、孔を有する第1支持体およびこの第1支持体に担持される触媒を有する第1層と、孔を有する第2支持体およびこの第2支持体に担持される触媒を有する第2層とを備える空気電池用正極であって、第1層および第2層が積層され、第1支持体の孔の径と第2支持体の孔の径とが異なる空気電池用正極が記載されている。
特許文献3には、従来の金属空気電池よりも放電容量を向上させるために、正極層と負極層とこれらの間に電解質層とを含むリチウム空気二次電池であって、正極層が炭素材料を含み、且つ正極層の厚さ方向に貫通した2以上の貫通孔を備えるリチウム空気二次電池が記載されている。
特許第5791029号公報 特開2010−257839号公報 特許第5804081号公報
空気電池は、充放電サイクルを繰り返すと、その過程で、内部抵抗の増加等が原因で充電電圧が高くなり、正極構造体の正極材(特に導電助剤)が劣化したり、負極内部の有機電解液が分解したりして、空気電池の性能が低下してしまう課題がある。
また、特許文献3に記載の技術では、正極構造体の全体を貫通する孔が形成されていることから、正極構造体を介して電解液が漏洩してしまうという問題がある。電解液の漏洩を防ぐためには、例えば、撥水膜等を使用する方法があるが、これにより、空気電池の作製に、部品点数が増加し、構造が複雑化し、作製時の工数が増加するという問題がある。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、空気電池の充放電サイクルを繰り返しても空気電池の性能が劣化することを防ぐことができるとともに、正極構造体を介して電解液が漏洩することを容易に防止することができる、空気電池、空気電池システムおよびそれに用いる正極構造体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、その一態様として、空気電池用の正極構造体であって、正極集電体と、前記正極集電体の空気側に積層され、空気電池の正極材を含む第1の正極材層と、前記正極集電体の電解質側に積層され、空気電池の正極材を含む第2の正極材層とを備え、前記第1の正極材層および第2の正極材層のどちらか一方は、正極材層を貫通する複数の空孔を有するというものである。
前記複数の空孔を有する第1の正極材層または第2の正極材層は、0%を超えて17%以下の空孔率を有してもよい。また、前記複数の空孔は、0.5mmから2mmの直径を有してもよい。正極材層は、触媒と導電助剤とバインダーとを含んでもよい。正極集電体は、導電性とガス拡散性を有するものが好ましく、カーボンファイバー部材、金属メッシュ、多孔質金属部材などを用いてもよい。
本発明は、別の態様として、空気電池であって、上述した正極構造体と、負極複合体とを備えるものである。正極構造体と負極複合体との間には非水溶液系または水溶液系の電解液を封入することができる。負極複合体としては、負極集電体の表面に金属リチウム等の負極層を貼り合せた負極積層体を用いることができる。負極積層体は、更に、負極集電体の裏面にフィルムを設けたり、負極層の表面にセパレータを設けたりする構造としてもよし、セパレータが負極層の表面から負極集電体の裏面まで折り返して覆う構造としてもよい。また、負極複合体は、この負極積層体を2枚の金属箔ラミネートフィルムの間で挟んだ積層構造としてもよい。一方の金属箔ラミネートフィルムの中央の位置には、開口部が設けられている。この開口部を有する金属箔ラミネートフィルムと負極積層体との間には、固体電解質から構成されている隔離層を設けてもよい。負極積層体と隔離層との間にも非水溶液系または水溶液系の電解液を封入することができる。負極積層体と隔離層との間には、第2のセパレータを設けてもよく、第2のセパレータの少なくとも1辺は開口部を有する金属箔ラミネートフィルムの内側に接合されている。
本発明は、また別の態様として、空気電池システムであって、上述した空気電池がモジュール化されて複数連結されてなり、前記複数のモジュール化された空気電池の内の少なくとも1つの空気電池の正極構造体の第1の正極材層または第2の正極材層が、他の空気電池の正極構造体の第1の正極材層または第2の正極材層とは異なる空孔率を有するものである。
このように本発明によれば、空気電池用の正極構造体の電解液側の表面およびその反対側の空気側の表面に積層されている第1および第2の正極材層のどちらか一方にのみ、複数の空孔を設けた構造とすることで、空気電池に負荷をかけていないときの電圧である開回路電圧(OCV)が変動し、これにより空気電池の充放電電圧を制御することができる。充電電圧を低下させることで、正極材の劣化や負極複合体の内部の有機電解液の分解を抑制でき、空気電池の性能の低下を防ぐことができる。また、第1および第2の正極材層のどちらか一方にのみ複数の空孔を設けることで、正極構造体から電解液が漏洩することを容易に防止することができるとともに、複数の空孔を設けることにより正極構造体の軽量化も可能となる。更に、このような構成であれば、正極集電体に既に積層させた正極材層に加工することができるので、従来の正極構造への後付加工が可能である。
第1の正極材層または第2の正極材層の空孔率を、0%を超えて17%以下の範囲とすることで、空気電池の充放電電圧を0.2V程度の範囲で制御することが可能となる。また、空孔率を17%以下にすることで、充電電圧が低下から上昇に転じて正極性能が低下することを避けることができるとともに、正極集電体との接着が弱くなり正極材層が剥離しやすくなることを防ぐこともできる。
更に、この空気電池をモジュール化したものを複数連結してなる空気電池システムにおいて、各空気電池の正極材層の空孔率を変えることで、同じ材料を用いてモジュール化した複数の空気電池を作製しても、空気電池システムの電圧をコントロールすることが可能となる。
本発明に係る空気電池用の正極構造体の一実施の形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る空気電池用の正極構造体の他の実施の形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る空気電池の一実施の形態を模式的に示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る空気電池用の正極構造体およびそれを用いた空気電池の実施形態について説明する。なお、負極活物質がリチウムの場合の空気電池について説明するが、本発明はこれに限定されず、亜鉛などの他の金属を負極活物質とする空気電池でも同様の効果を得ることができる。
先ず、リチウム空気電池用の正極構造体について説明する。図1及び図2に示すように、正極複合材10は、正極集電体11と、この正極集電体11の空気側(図1中の上方)に積層された第1の正極材層12aと、正極集電体11の電解質側(図1中の下方)に積層され第2の正極材層12bとを備える。そして、第1の正極材層12aか、第2の正極材層12bかのどちらか一方に、正極材層12を層の厚さ方向に貫通する複数の空孔13が形成されている。
正極集電体11の材料としては、導電性とガス拡散性を有するものが好ましく、これらに限定されないが、例えば、カーボンペーパーや、カーボンクロス、カーボン不織布などのカーボンファイバー部材、チタンメッシュや、ニッケルメッシュ、銅メッシュ、ステンレス鋼(SUS)メッシュ等の金属メッシュ、多孔質ニッケル(Niの金属発泡体)や、多孔質チタン等の多孔質金属部材などを用いることができる。なお、カーボンクロスとは、カーボンファイバーで織られた布状のシートをいい、カーボン不織布は、カーボンファイバーをランダムに絡み合わせたシート状のものである。
上記の材料の中でも特に金属メッシュは、正極集電体11に正極材層12を圧着させる上で適した材料である。また、なお、水溶液系の電解液を用いる水溶液系空気電池の場合には、正極集電体11には、電解液に対する耐腐食性も必要となる。金属メッシュの中でもチタンメッシュは、アルカリ水溶液にも耐腐食性が高く、軽量であり、また、高い耐食性を示す白金や金などの貴金属よりも安価であるため、特に適した材料である。
正極材層12は、空気電池の正極材で形成されてなる層である。正極材としては、例えば、触媒として、白金、金、イリジウム、ルテニウムなどの触媒活性を示す貴金属や、それらの酸化物、もしくは、触媒活性を示す二酸化マンガン等の金属酸化物と、導電助剤として、カーボンブラック等と、バインダーとして、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム等とを含んでもよい。正極材層12は、これら触媒、導電助剤、バインダーの混合物を正極集電体11に担持させて形成することができる。
そして、空気側の第1の正極材層12aまたは電解質側の第2の正極材層12bのどちらか一方に空孔13を設けることで、空気電池において正極構造体10の電解液側から空気側へと電解液が漏洩することなく、空気電池に負荷をかけていないときの電圧である開回路電圧(OCV)を低下させることができ、充放電電圧の制御を可能とすることができる。
第1の正極材層12aと第2の正極材層12bの両方に空孔13を設けてしまうと、正極集電体11がガス拡散性を有するものであることから、正極構造体10から電解液が漏洩してしまう。このような場合に電解液の漏洩を防ぐためには、例えば、撥水膜等を使用する方法があるが、これにより、空気電池の作製に、部品点数が増加し、構造が複雑化し、作製時の工数が増加するという問題がある。よって、第1の正極材層12aまたは第2の正極材層12bのどちらか一方に空孔13を設けることで、上記のような撥水膜等を使用せずに電解液の漏洩を防止でき、空気電池の作製時の部品点数削減、構造の簡易化、作製時の工数の削減という効果が得られる。
また、本発明者は、正極材層12に空孔13を設けることで、OCVが低下し、そのために充電電圧は低下し、また放電電圧も低下するという知見を得た。空気電池の反応機構は複雑であり、現在も詳細は解明されていないが、正極材層12に空孔13を設けることで起こる電池反応が変化し、それに伴ってOCVが低下すると考えられる。充電電圧を低下させることによって、導電助剤などの正極材の劣化や負極複合体内の電解液の分解を抑制することができ、空気電池の性能の低下を防ぐことができる。
空孔13は、第1の正極材層12a、第2の正極材層12bのどちらに形成する場合でも、0%を超えて17%以下の空孔率となるように形成することが好ましい。「空孔率」は、一方の正極材層12の表面の面積において空孔13が占める面積の百分率である。空孔率の下限は、OCVを0.2V以上低下させるために、2%以上がより好ましく、9%以上が更に好ましい。空孔率の上限は、空孔率が高すぎると、正極集電体11との接着が弱くなり正極材層12が剥離しやすくなることを防ぐとともに、充電電圧が低下から上昇に転じて正極性能が低下することを避けるため、17%以下が好ましい。
空孔13の直径の下限は、特に限定されないが、0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましい。また、空孔13の直径の上限は、特に限定されないが、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。複数の空孔13は、第1の正極材層12aまたは第2の正極材層12bの表面に均等に分散して形成することが好ましい。
次に、上述した正極構造体10を用いたリチウム空気電池について説明する。図3に示すように、リチウム空気電池100は、正極構造体10と、負極複合体20とを備える。負極複合体20については、以下に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されず、空気電池用の公知の負極複合体を用いることができる。
負極複合体20は、2枚の金属箔ラミネートフィルム30a、30bの間に、固体電解質から構成されている隔離層25と、負極積層体40とが挟まれた積層構造となっている。正極構造体10側に位置する一方の金属箔ラミネートフィルム30aには、その平面においてほぼ中央の位置に、開口部24が設けられている。
開口部24を有する金属箔ラミネートフィルム30aは、負極複合体20の内側から外側に向けて、第1の樹脂層31、金属箔層32、第2の樹脂層33の順に3つの層が積層されたシートとなっている。他方の金属箔ラミネートフィルム30bも、同様に、負極複合体20の内側から外側に向けて、第1の樹脂層31、金属箔層32、第2の樹脂層33の順に3つの層が積層されたシートとなっている。2枚の金属箔ラミネートフィルム30a、30bの周縁部は熱溶着によって接合されており、これにより負極複合体20の外装体を形成する。
第1の樹脂層31には、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、融点が低く、熱加工が容易でヒートシール(熱溶着)に適しており、負極複合体20の製造を容易とする。金属箔層32は、ガスバリア性及び強度向上のためのものであり、例えば、アルミ箔、SUS箔、銅箔等の金属箔を使用することができる。第2の樹脂層33には、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂や、ナイロン系樹脂を用いることができる。これらの樹脂材料は、耐熱性及び強度に優れている。そのため、負極複合体20の強度等を向上することができる。
金属箔ラミネートフィルム30aの開口部24は、平面において四角形の形状を有している。そして、金属箔ラミネートフィルム30aの内側に、開口部24を塞ぐように、隔離層25が配置されている。すなわち、隔離層25の平面における大きさは、金属箔ラミネートフィルム30aの開口部24よりも大きく、隔離層25の周縁部が金属箔ラミネートフィルム30の開口部24の内側周縁部に溶着され固定されている。
隔離層25は、固体電解質で構成されており、電圧を印可することによりリチウムイオン等の負極活物質である金属のイオンを透過することができる。固体電解質としては、例えば、リチウムイオン伝導性に優れ不燃性であるガラスセラミック等を用いることができる。また特に、電解液に水溶液系の電解液を用いた場合には、耐水性の高いLATP系ガラスセラミック電解質を用いることができる。LATPとはNASICON型の結晶構造をもつLi、Ti、Al、P、Si、O等からなる酸化物である。ただし、LATPは金属Liと接触すると劣化する欠点があるため、接触を防ぐために非水系電解液やポリマー電解質等の保護層を設けている。
負極積層体40は、開口部のない金属箔ラミネートフィルム30bの側から順に、第1のセパレータ44、負極集電体42、金属リチウムからなる負極層43、第1のセパレータ44の順に4つの層が積層した構造となっている。すなわち、第1のセパレータ44は、負極層43の空気極側の表面から、負極層43の3辺の端を介して空気極側とは反対側の表面(すなわち、裏面)にまで折り返し、負極集電体42の集電部42aの全面を覆う構造となっている。なお、第1のセパレータ44は、このような折り返し構造に限定されるのではなく、単に負極層43の空気極側の表面に積層させてもよく、その場合、負極集電体42の集電部42aの裏面側には、フィルム(図示省略)を積層する。
第1のセパレータ44は、リチウムイオン等の負極活物質である金属のイオンや有機電解液が通過可能な複数の空孔を有するものである。このような第1のセパレータ44として、例えば、リチウムイオン電池等のセパレータとして使用されている多孔質のポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、セルロース等のシートを用いることができる。これらの材料以外に、多孔質構造を持つアラミド、ポリテトラフルオロエチレン、毛細管状構造の酸化アルミニウム等の材質を用いることができる。また、これら材料のシートに有機電解液を含浸させたものを用いることができる。
負極集電体42は、第1のセパレータ44と負極層43とに挟まれている集電部42aと、そこから外装体の外方まで延伸している端子部42bとから構成される。集電部42aは、平面において四角形の形状を有し、端子部42bは、それよりも幅の狭い線形の形状を有している。負極集電体42の材料は、空気電池の動作範囲で安定して存在でき、所望する導電性を有していればよく、例えば、銅、ニッケルなどを挙げることができる。
負極層43の負極活物質としては、上述したように、リチウム以外の金属であってもよく、例えば、亜鉛などの金属を用いることができるが、開放電圧が高く、実用的な観点からリチウムがより好ましい。また、負極活物質は、金属リチウムに限定されず、リチウムを主成分とする合金もしくは化合物であってもよい。リチウムを主成分とする合金は、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛等を含むことができる。リチウムを主成分とする化合物は、例えば、Li3−xN(M=Co、Cu、Ni)がある。
第1のセパレータ44を図3に示す折り返し構造ではなく単に負極層43の空気極側表面に積層する場合、負極集電体42の集電部42aの裏側全面をフィルム(図示省略)で覆う。このフィルムは、集電部42aの裏側全面を接合してもよいし、周縁部のみを接合してもよい。また、フィルムとしては、有機電解液を通さず且つ有機電解液に対して耐性のある、例えば、ポリポロピレンやポリエチレン等の樹脂シート等を用いることができる。また、図3に示すように、隔離層25と負極積層体40との間に、第2のセパレータ50を配置してもよい。第2のセパレータ50は、少なくともその1辺の端が、開口部24を有する金属箔ラミネートフィルム30aの内側に熱溶着によって接合されている。第2のセパレータ50の材料としては、上述した第1のセパレータ44と同じ材料を用いることができる。
そして、開口部24を隔離層25で塞がれた2枚の金属箔ラミネートフィルム30a、20bの間の空間23には、電解液が封入されている。非水溶液系の電解液としては、例えば、PC(プロピレンカーボネート)、EC(エチレンカーボネート)、DMC(ジメチルカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)等の炭酸エステル系や、EGDME(エチレングリコールジメチルエーテル)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系の有機溶媒やその混合溶媒に、電解質であるLiPF(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO(過塩素酸リチウム)、LiBF(テトラフルオロほう酸リチウム)、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)等を添加したものを用いることができる。
水溶液系の電解液には、電解質として、例えば、LiCl(塩化リチウム)、LiOH(水酸化リチウム)、LiNO(硝酸リチウム)、CHCOOLi(酢酸リチウム)等のリチウム塩が挙げられ、これらの1つ又は複数を水に溶解させた液体を用いることができる。
リチウム空気電池100は、負極複合体20の金属箔ラミネートフィルム30aの開口部24を塞ぐように、正極構造体10が配置されている。なお、図3には、正極構造体10の詳細な構造を示していないが、正極構造体10に圧着されている正極材層の周縁部が、金属箔ラミネートフィルム30aの開口部24の外側周縁部と支持体15を介して固定されている。そして、隔離層25と正極構造体10との間の空間には、電解液が封入されている。電解液は、上述した負極複合体20内に封入する非水溶液系または水溶液系の電解液と同じものと用いることができる。
支持体15としては、負極複合体20の外装体である金属箔ラミネートフィルム30と同様の構成にすることができる。また、好ましくは、封入されている電解液がリチウム空気電池100から漏洩しない構成にする必要があり、かつ正極構造体10側から空気が取り込める構成である必要がある。
このような構成によれば、リチウム空気電池100が、放電を行う際、負極層43(金属リチウム)は、リチウムイオン(Li)と電子(e)となる。そして、リチウムイオン(Li)は電解液に溶解し、電子(e)は負極集電体42の集電部42aを介して端子部42bに供給される。したがって、負極層43の厚さや面積を変えることで、電池容量の設計値をコントロールすることができる。
また、正極構造体10は、電子が供給され、空気中の酸素と水が反応して水酸イオン(OH)が生じる。さらに、この水酸イオン(OH)が正極構造体10でリチウムイオン(Li)と反応し、水酸化リチウム(LiOH)となる。
一方、このリチウム空気電池100を充電する際には、負極複合体20では、正極構造体10からリチウムイオンが供給され、固体電解質の隔離層25、第2のセパレータ50及び第1のセパレータ44を経て負極集電体42の集電部42aの表面に達することで、金属リチウムの析出反応が生じる。
前述した実施形態の説明は、本発明に係る空気電池およびそれに用いる正極構造体を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は前述した実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
図1〜図3に示す構成と同様の正極構造体を採用した水溶液系のリチウム空気電池を作製し、これについて放電・充電実験を行った。
[負極複合体の作製]
負極複合体は、先ず、PP樹脂/Al箔/PET樹脂の金属箔ラミネートフィルムの中心部分を2×2cm角に打ち抜いた外装材、酸変性ポリプロピレンフィルム打ち抜き品(外周部3×3cm、内周2×2cm)、2.5×2.5cm角の固体電解質(LATP)、酸変性ポリプロピレンフィルム打ち抜き品(外周部3×3cm、内周2×2cm)の順に重ねて、固体電解質4辺をヒートシーラーで熱溶着接合して上側外装体とした。
この上側外装体の内側(負極側)の固体電解質を、リチウムイオン電池用のPP樹脂製の第2のセパレ−タで覆い、第2のセパレータ1辺を金属箔ラミネートフィルムと熱溶着接合した。その後、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内に移し、負極集電体及び端子が一体化された銅箔(銅箔厚さ:10μm、集電体サイズ:2×7cm)の先端部の2×2cmの部分の表面中央部に金属Li箔(サイズ1.45×1.4cm、厚さ0.2mm)を接合し、この表裏面を1枚のリチウムイオン電池用のPP樹脂製の第1のセパレ−タで包むように覆い、この第1のセパレータの両端部2辺を熱溶着接合し、一体化して負極積層体とした。これに、固体電解質部分と負極面が対向するように、上側外装体、負極積層体、下側外装体の金属箔ラミネートフィルム(開口部がないもの)を重ねて、端部3辺をヒートシーラーにより熱溶着接合した。
そして、接合していない端部より、非水溶液系電解液(4M(mol/l)LiFSI/EGDME)を負極複合体内に1ml注入した。外装体中のガスを出した後、最後に残りの1辺の端部(負極集電体のタブがある部分)をヒートシーラーで接合させて密閉し、負極複合体を作製した。負極集電体と上側及び下側外装体は酸変性PP樹脂等の熱溶着シートを介して熱溶着されている。なお、固体電解質にはLATP(株式会社オハラ製)を用いた。また、リチウムイオン電池用の第1及び第2のセパレ−タとしては、ポリプロピレン樹脂で、厚さ25μm、平均孔径0.03μm以下、空孔率44%、透気度450sec/100ccのものを使用した。
[正極構造体の作製]
正極構造体を、以下の手順で作製した。
(1) 正極触媒として触媒活性を持つMnO(比表面積300m/g)を0.8gと、導電助剤としてケッチェンブラック(比表面積800m/g)0.1gと、バインダー(結着剤)としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液0.1gを計り取り、メノウ乳鉢に移し、分散剤としてエタノールを5ml加えて混練し、正極材とした。
(2) 上記(1)の正極材を2等分し、正極集電体である2.5×2.5cmの圧着部と1×5.5cmのタブ部とが一体となったTiメッシュの圧着部の両面に配置し、20kNの力でプレスすることで圧着し、正極材層を形成した。その後、空気中で24時間自然乾燥させた。
(3) 上記(2)で作製した正極材層に、直径1.17mmの針を使用して、以下の表1に示す空孔率となる数の穴を空けて、正極構造体を作製とした。
[空気電池の作製]
正極側の水溶液系電解液は、LiOHとLiClの混合液を用い、pHが10以下になるように調製した。LiOH水溶液を保持するため、3×3cmのポリアクリルアミドのシート上に1.5ml滴下し、正極構造体と負極複合体との間に配置し、84mAh相当のセルを作製した。
[放電・充電試験]
上記の通りに作製した84mAh相当の各セルを、4mA(電流密度2mA/cm相当)で6時間放電し、理論容量の70%の負極容量に調整した。その後、4mA(電流密度2mA/cm相当)で10分の充電、放電を繰り返した際の電圧の推移を25℃の温度にて電池充放電装置(北斗電工社製のHJ1001SD8)で測定した。なお、充放電試験の前に、セルの開回路電圧(OCV)として、電池に負荷をかけていないときの電圧も測定した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、空気側または電解液側の一方の正極材層に空孔を多く設ける程、OCVがより低下することがわかった。また、最終充電電圧は低下し、最終放電電圧も低下した。このように一方の正極材層に空孔を設けてOCVを変動させることで、充放電電圧の制御が可能となることが確認できた。特に、空孔率を2%以上にすることで、OCVを約0.2V変動させることができた。また、空孔率を17%超に増やした場合、OCVの低下の度合いが小さい一方で、最終充電電圧が低下から上昇に転じ、正極性能の低下を示した。
10 正極構造体
11 正極集電体
12 正極材層
13 空孔
15 支持体
20 負極複合体
23 空間
24 開口部
25 隔離層
30 金属箔ラミネートフィルム
31 第1の樹脂層
32 金属箔層
33 第2の樹脂層
40 負極積層体
42 負極集電体
43 負極層
44 第1のセパレータ
50 第2のセパレータ
100 空気電池

Claims (5)

  1. 空気電池用の正極構造体であって、
    正極集電体と、
    前記正極集電体の空気側に積層され、空気電池の正極材を含む第1の正極材層と、
    前記正極集電体の電解質側に積層され、空気電池の正極材を含む第2の正極材層と
    を備え、前記第1の正極材層および第2の正極材層のどちらか一方が、正極材層を貫通する複数の空孔を有する正極構造体。
  2. 前記複数の空孔を有する第1の正極材層または第2の正極材層が、0%を超えて17%以下の空孔率を有する請求項1に記載の正極構造体。
  3. 前記複数の空孔が、0.5mmから2mmの直径を有する請求項1又は2に記載の正極構造体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の正極構造体と、負極複合体とを備える空気電池。
  5. 請求項4に記載の空気電池がモジュール化されて複数連結されてなる空気電池システムであって、前記複数のモジュール化された空気電池の内の少なくとも1つの空気電池の正極構造体の第1の正極材層または第2の正極材層が、他の空気電池の正極構造体の第1の正極材層または第2の正極材層とは異なる空孔率を有する空気電池システム。
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