JP2020007655A - フィブリル化している再生セルロース繊維及びそれを用いた布帛 - Google Patents

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基耶 松原
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Abstract

【課題】本発明は、特徴的な表面感と膨らみ感と反発感のある風合いを有し、湿潤状態での摩擦・柔布処理によりフィブリル化しており、かつ、水洗濯に対する表面感や風合いの持続性に優れた高級感のある再生セルロース繊維、及び該繊維を含む布帛の提供。【解決手段】重合度が100〜250であり、かつ、乾燥時の引張強度が1.0cN/dtex以上である、表面がフィブリル化している再生セルロース繊維、及び該再生セルロース繊維を含む布帛。【選択図】図1

Description

本発明は、特徴的な表面感と膨らみ感と反発感のある風合いを有し、湿潤状態での摩擦・柔布処理によりフィブリル化しており、かつ、水洗濯に対する表面感や風合いの持続性に優れた高級感のあるフィブリル化している再生セルロース繊維、及び該繊維を構成糸として含む布帛に関する。
再生セルロース繊維には、キュプラアンモニウムレーヨン、有機溶媒法セルロース繊維等があり、セルロース繊維は全て、セルロースミクロフィブリルを主体とするフィブリル集合体からなり、湿潤状態で摩擦・揉布処理を行うと、繊維が繊維軸方向に割繊しフィブリル化する特徴を有している。
再生セルロース繊維を用いて製造された衣料品において、特徴的な表面感と膨らみ感と反発感のある風合いを発現させるために、この特性を利用し、衣料品を構成する再生セルロース繊維をフィブリル化させた商品が数多くあるものの、フィブリル化させた衣料品を繰り返し水洗濯した際、フィブリルが脱落し表面感や風合いを損なうという問題を有している。また、再生セルロース繊維のフィブリル化に関する先行技術文献はあるものの、このような問題に対する具体的な解決手段を提供する先行技術文献はない。
例えば、フィブリル化させる加工方法としては、以下の特許文献1には、起毛処理や液流染色機による染色時の衝撃を利用した方法が開示されている。しかしながら、染色時間、浴比、生地速度、使用するアルカリの濃度等、染色の条件によってフィブリルの発現量が一定にならないため、繰り返し同じ品位の商品を提供できないという欠点を有しており、また、再生セルロース繊維の重合度は400以上と規定されており、水洗濯によるフィブリルの脱落については言及されていない。
以下の特許文献2には、アルカリ水溶液によるフィブリル化を開示している。しかしながら、再生セルロース繊維の重合度は300以上と規定されており、処理方法は、アルカリ水溶液中における処理のため、再生セルロース繊維が構造的にアルカリ水溶液中でのみフィブリル化し易く変化しているため、弱アルカリ程度の水洗濯中ではフィブリル化はし難く、その上、水洗濯によるフィブリルの脱落については言及されていない。
以下の特許文献3には、再生セルロース繊維の重合度の記載はないものの、酸水溶液又は酸化剤水溶液を利用した方法が開示されている。特許文献3に記載された処理方法の条件は、本明細書に開示する条件と比較すると、強度低下抑制目的として高濃度の酸溶液中で常圧下の高温にて長時間処理を行っているが、この処理方法による強度低下率についての記載は一切なく、さらに、高圧下で処理すると強度が低下するとの記載があり、本明細書に開示する加工条件とは全く合致しない。
以下の特許文献4には、再生セルロース繊維の重合度の記載はないものの、酸水溶液を利用した方法が開示されている。特許文献4に記載には、長いフィブリルを取り除くために強度低下を狙った30〜80分の酸水溶液による処理、及び、乾燥状態で高速のタンブリング処理が記載されている。しかしながら、特許文献4に開示されているリヨセルを含む生地は、本明細書に開示する特徴的な表面感である「Hairy effect」を生地の表面に与える長いフィブリルが取り除かれたものであり、また、該生地表面に在る短いフィブリルは、特許文献4に「Hairy effect」が実質的にない「clean」であると特徴付けられる表面仕上げと記載されていることから、本明細書に開示するフィブリル化している再生セルロース繊維とは異なるものである。また、特許文献4には、前記した長いフィブリルを取り除くための処理方法による生地の強度低下率についての記載は一切なく、さらに、水洗濯によるフィブリルの脱落についても言及されていない。
特開平08−113846号公報 特開平06−166956号公報 特開平11−315474号公報 英国特許第2399094号明細書
以上の従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、特徴的な表面感と膨らみ感と反発感のある風合いを有し、湿潤状態での摩擦・柔布処理によりフィブリル化しており、かつ、水洗濯に対する表面感や風合いの持続性に優れた高級感のあるフィブリル化している再生セルロース繊維、及び該繊維を用いた布帛を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、発現したフィブリルが脱落しないように改質するよりも、フィブリルが脱落したとしても洗濯中に再び発現するように改質することが有効であるとことを発見し、かかる発見に基づき、フィブリルが脱落したとしても洗濯中に再び発現するよう改質する方法について鋭意検討し実験を重ねた結果、再生セルロース繊維の重合度を100〜250に制御すれば、洗濯の弱い揉み効果のみで容易にフィブリルが発現し、かつ、風合いに軽量感のある膨らみ感と反発感を発現させることを、予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]重合度が100〜250であり、かつ、乾燥時の引張強度が1.0cN/dtex以上である、表面がフィブリル化している再生セルロース繊維。
[2]前記再生セルロース繊維が、有機溶媒法セルロース繊維である、前記[1]に記載の再生セルロース繊維。
[3]前記[1]又は[2]に記載の再生セルロース繊維を構成糸として含む布帛。
本発明に係るフィブリル化している再生セルロース繊維は、特徴的な表面感と膨らみ感と反発感のある風合いを有し、更に湿潤状態での摩擦・柔布処理によりフィブリル化しているものであり、かつ、洗濯に対する表面感や風合いの持続性に優れた高級感のある繊維である。
構成糸しての再生セルロース繊維がフィブリル化している状態示す織物の表面の写真である。 再生セルロース繊維がフィブリル化している状態を拡大して示す写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の1の実施形態は、重合度が100〜250であり、かつ、乾燥時の引張強度が1.0cN/dtex以上である、表面がフィブリル化している再生セルロース繊維である。
再生セルロース繊維とは、キュプラアンモニウムレーヨン、有機溶媒法セルロース繊維等のセルロース原料を溶解して紡糸した再生セルロース繊維をいい、好ましくはキュプラアンモニウムレーヨン、有機溶媒法セルロース繊維であり、より好ましくは有機溶媒法セルロース繊維である。
再生セルロース繊維の糸条形態としては、短繊維、長繊維のいずれでもよいが、好ましくは長繊維のマルチフィラメント糸である。単糸繊度は特に制限はないが、好ましくは0.5〜5.0dtexであることができる。総繊度も特に制限はないが、好ましくは22〜330dtexであり、番手も特に制限はなく、好ましくは5〜100綿番手である。単糸断面形状も特に制限はない。撚りも特に制限はなく、無撚であることも、あるいは仮撚や有撚であることができ、撚数も特に制限はないが、好ましくは追撚2000回以下であることができる。風合いの観点から、無撚が好ましい。
他素材との複合に関しても、本実施形態は他素材の影響を受けないため特に制限はないが、加工方法として高圧下の処理を施すため、アクリル、ジアセテート、毛は、強度低下、風合い硬化、失透過などを引き起こしやすいことから、複合相手である他素材としては、好ましくない。
再生セルロース繊維の、織編物、不織布を含む布帛中での使用割合は特に制限はないが、所望の効果を良好に発揮させるために、布帛全体重量の10重量%以上が好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。使用割合が10重量%以下であると、フィブリル化は認められるものの、膨らみ感、反発感が得られにくい。また、糸の複合方法としては、合撚、インターレース混繊、タスラン混繊、カバリング、混綿混紡、練条混紡、精紡交撚など、いずれで構わない。
本実施形態のフィブリル化している再生セルロース繊維は、重合度が100〜250、好ましくは150〜250、より好ましくは200〜250である。重合度が100未満であると、乾燥時の引張破断強度が1.0cN/dtex未満となってしまい、布帛にするまでの後加工や衣料品として使用する上で必要な糸物性に達していない。他方、重合度が250より高くなると、水洗濯によるフィブリルの再発現が得られないため好ましくない。重合度とは、銅アンモニア溶液用いた粘度法により測定されるものである。
布帛は、織物、経編物、丸編物、横編物、不織布のいずれでもよく、布帛の組織、密度も特に制限はない。他素材と複合する場合の複合方法としては、交織、交編、複合糸使用、経編における緯糸挿入など、いずれでも構わない。
本実施形態においては、フィブリル化している再生セルロース繊維の重合度を100〜250に改質する方法は特に制限されない。しかしながら、重合度が250以上であり、かつ、乾燥時の引張強度が2.0cN/dtex以上である再生セルロース繊維を、酸溶液中で処理することにより重合度を100〜250に改質する方法が、糸物性及び重合度の調整が容易であるという点で優れているため、特に好ましく用いられる。処理温度は、目的の重合度に改質し、乾燥時の引張強度を1.0cN/dtex以上に保つために、110℃〜150℃が好ましく、より好ましくは120℃〜150℃、さらに好ましくは130℃〜140℃である。110℃未満では改質するために長時間処理が必要になり、目的の重合度に改質できたとしても、引張強度が著しく低下するため好ましくない。また、110℃未満で短時間処理する場合においてはpHを下げる必要があり、短時間かつ低pHでの処理では、局部的な重合度低下及び強度低下が発生し均一に改質することが困難であり、また、改質処理毎の品質のばらつきが発生するため好ましくない。他方、150℃以上では、温度の管理が難しく均一に改質することが困難であるため好ましくない。使用する酸の種類は特に制限されず、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、ギ酸、硫酸、硝酸、塩酸、シュウ酸など、いずれでもよいが、好ましくは金属に対して腐食性の少ないものであり、より好ましくはギ酸やクエン酸やリンゴ酸である。使用する酸の濃度及び処理時間は、使用する再生セルロース繊維により調整する必要があるが、例えば、重合度が450〜600程度であって、乾燥時の引張強度が2.0cN/dtex以上である再生セルロール繊維を、ギ酸を用いて処理する場合、76%のギ酸濃度が1.0g/LであるpH2.8の酸浴中で、130℃で20分間処理することで、重合度を100〜250に改質し、乾燥時の引張強度を1.0cN/dtex以上に保つことができる。重合度を目的の重合度まで短時間で低下させつつ、乾燥時の引張強度を1.0cN/dtex以上に保つためには、低濃度の酸を使用し短時間の改質処理を行う必要があり、そのためには110℃以上の高温高圧処理が必要となる。
改質しようとする際の形態としては特に制限はないが、好ましくは糸条形態、布帛形態であり、より好ましくは布帛形態である。加工する際に使用する設備は、糸条形態、布帛形態共に特に制限されないが、糸条形態では、好ましくはチーズ染色機、かせ染め機、布帛形態では、好ましくは液流染色機、気流染色機、ビーム染色機、ジッガー染色機、パドル染色機、ドラム染色機、ワッシャー染色機、ウインス染色機、より好ましくは液流染色機、気流染色機である。
改質後にフィブリルを発現するためには、水中での柔布処理が必要になるため、酸溶液中での改質処理を柔布処理で行うか、又は、酸溶液中での改質処理の後に水中での柔布処理を行う必要がある。水中での柔布処理の方法としては特に制限はないが、例えば、設備として液流染色機、気流染色機又はウインス染色機、温度10〜130℃、布帛の速度100m/min以上、20分以上の処理時間、あるいは、設備としてパドル染色機、ドラム染色機又はワッシャー染色機、温度10〜130℃、20分以上の処理時間の柔布処理が好ましい。また、フィブリルを発現させた後に、そのフィブリルが取り除かれないようにする必要があるため、フィブリルを発現させた後には、乾燥状態での柔布処理を行わないか、又は、乾燥状態での柔布処理を行う際には、例えば、設備として気流染色機又はエアータンブラー乾燥機を用いた、布帛の速度800m/min以下、60分以下の処理時間、あるいは、設備としてバッチ式タンブラー乾燥機を用いた、60分以下の処理時間の条件下での柔布処理が好ましい。
本実施形態の再生セルロース繊維は、乾燥時の引張強度が1.0cN/dtex以上、好ましくは1.3cN/dtx、より好ましくは1.5cN/dtxである。乾燥時の引張強度が1.0cN/dtex未満であると、布帛を製造するまでの各種工程において損傷等を受け、実用的な布帛を得難い。
本実施形態のフィブリル化している再生セルロース繊維における、用語「フィブリル化している」とは、再生セルロース繊維を構成する表面のセルロースミクロフィブリルを主体とするフィブリル集合体が繊維軸方向に割繊されている状態をいう。図1は、構成糸としての再生セルロース繊維がフィブリル化している状態示す織物の表面の写真であり、符号1は、セルロースミクロフィブリルを主体とするフィブリル集合体が繊維軸方向に割繊された状態(フィブリル化している状態)を示す。図2は、再生セルロース繊維がフィブリル化している状態を拡大して示す写真であり、符号2は、セルロースミクロフィブリルを示す。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例における各糸又は布帛の各種性能評価は下記の方法で行った。
(1)重合度測定法
セルロース繊維を銅アンモニア溶液に溶解した溶液の粘度から次式:
ηsp/c=KmM
{式中、ηsp:比粘度、c:繊維素濃度(基本分子モル数/100ml)、Km:恒数(5×10-4)、そしてM:繊維素の分子量}で表されるStandingerの粘度則を基礎にして求める所謂粘度法にて実施した。
重合度の異なる数種のセルロース繊維サンプルをそれぞれ銅アンモニア溶液に分子分散状に溶解し、それらの重合度を中野式粘度管で上式を基礎にして測定し、次にタッピー式粘度管で一定濃度の銅アンモニア溶液に溶解した場合の粘度を上記の繊維素サンプルについて測定し、粘度と重合度の関係を予め求め、タッピー式粘度管で上記一定濃度の銅安液に溶解して粘度を実測し、予め求めた粘度と重合度の関係表から重合度を求めた。
タッピー式粘度管による粘度の測定方法は次の通りである。試料を温度20℃、湿度65%の恒温湿室に24時間以上放置し水分率を平衡にする。試料を0.1g秤量し採取する。タッピー式粘度管に楔と試料を入れ、次に銅アンモニア溶液(組成:アンモニア:205g/L、水酸化銅(I):11.0g/L、ショ糖:10g/L)を粘度管内に吸入させ栓をする。粘度管を回転装置にセットし、速度3RPMにて30分回転させ試料を溶解する。粘度管を回転装置から取り外し、20℃の恒温水槽に5分間浸漬する。粘度管の下部の栓を取り外し、粘度管を恒温水槽にセットした状態のジャケットに挿入する。粘度管の上部の栓のコックを開き、粘度計の標線A、B間を溶液が流下する時間を測定する。下記計算式:
V=d/C(t−K/t)
{式中、V:絶対粘度(cP)、d:溶液の比重(g/cm3)、C:タッピー式粘度管の恒数、t:標線A〜B間の流下時間(秒)、そしてK:タッピー式粘度管の流動エネルギー恒数である。}により絶対粘度(V)を求めた。次いで、求めた絶対粘度の値を、前記した粘度と重合度との関係表に照らし合わせて、重合度を求めた。
(2)乾燥時の引張強度試験法
試料を温度20℃、湿度65%の恒温湿室に24時間以上放置し水分率を平衡にした。テンシロン万能材料試験機RTCシリーズ(エー・アンド・デイ社製)を用い、試料長(糸長)200mm、引張り速度200mm/minで試料を引張り、破断時の強度を測定した。
(3)洗濯試験方法
JIS L0217−103法に従って実施した。液温を40℃にした水1Lに2gの割合で衣料用洗剤を添加溶解させ、これを洗濯液とする。この洗濯液に浴比が1:30となるように試料糸及び負荷布を投入して運転を開始する。5分間洗濯後、脱水し、次いで常温水にて同一浴比で2分間すすぎ洗いを行い脱水し、再び常温水にて同一浴比で2分間すすぎ洗いを行い脱水後、洗濯を1回終了とする。乾燥方法は、80℃20分のタンブラー乾燥を実施した。
(4)フィブリル化度
フィブリル化の程度を、マイクロスコープにて拡大した状態での視覚判定により次の2段階の評価基準に基づき評価した:
○:フィブリルが発現している
×:フィブリルが発現していない。
(5)洗濯後のフィブリル化度
洗濯前後のフィブリル化の程度を、マイクロスコープにて拡大した状態での視覚判定により次の2段階の評価基準に基づき評価した:
○:フィブリルが脱落していない
×:フィブリルが脱落している。
(6)風合い
風合いを、手触りによる官能テストにより次の3段階の評価基準に基づき評価した:
○:ソフトで反発感に優れている
△:ソフト性、反発感が少し不足している
×:ソフト性、反発感が劣っている。
[実施例1]
重合度が580、乾燥時の引張強度2.3cN/dtexであるキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントを準備した。この原糸をチーズ染色機にて76%ギ酸を用いて1.0g/Lで130℃20分の改質処理を実施し重合度を200とし、改質キュプラアンモニウムレーヨンを得た。得られた改質キュプラアンモニウムレーヨン該原糸を経糸、緯糸に用いて、経糸密度144本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで構成した2/1組織の綾織物を製織した。得られた生機を液流染色機にて非イオン界面活性剤1g/Lで80℃20分間精練リラックス及びフィブリル化処理した後、再度、液流染色機にて60℃の染色温度にて60分キュプラアンモニウムレーヨンの染色を実施し、その後80℃にて10分ソーピングを実施した。染色乾燥後、シリコン系柔軟剤1重量%を含む水溶液に含浸し、ピックアップ80%で紋液し、150℃で1分間乾燥し、80℃で30分間、速度700m/minの条件のエアータンブラーで風合い出しを実施し、130℃で1分間最終セットを実施し、経糸密度153本/2.54cm、緯糸密度104本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸のキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントの重合度は200であった。
[実施例2]
重合度580、乾燥時の引張強度2.3cN/dtexであるキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントを経糸、緯糸に用いて、経糸密度144本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで構成した2/1組織の綾織物を製織した。得られた生機を液流染色機にて76%ギ酸を用いて1.0g/Lで130℃20分の改質処理及びフィブリル化処理を実施し重合度を200とした後、再度液流染色機にて60℃の染色温度にて60分キュプラアンモニウムレーヨンの染色を実施し、その後80℃にて10分ソーピングを実施した。染色乾燥後、シリコン系柔軟剤1重量%を含む水溶液に含浸し、ピックアップ80%で紋液し、150℃で1分間乾燥し、80℃で30分間、速度700m/minの条件のエアータンブラーで風合い出しを実施し、130℃で1分間最終セットを実施し、経糸密度153本/2.54cm、緯糸密度104本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸のキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントの重合度は200であった。
[実施例3]
重合度490、乾燥時の引張強度3.5cN/dtexである有機溶媒法セルロース繊維89dtex/30フィラメントを準備した。この原糸をチーズ染色機にて76%ギ酸を用いて1.0g/Lで130℃20分の改質処理を実施し重合度を220とし、改質有機溶媒法セルロース繊維を得た。得られた改質有機溶媒法セルロース繊維を経糸、緯糸に用いて、経糸密度105本/2.54cm、緯糸密度89本/2.54cmで構成した平組織の織物を製織した。得られた生機を液流染色機にて非イオン界面活性剤1g/Lで80℃20分間精練リラックス及びフィブリル化処理した後、再度液流染色機にて60℃の染色温度にて60分有機溶媒法セルロース繊維の染色を実施し、その後80℃にて10分ソーピングを実施した。染色乾燥後、シリコン系柔軟剤1重量%を含む水溶液に含浸し、ピックアップ80%で紋液し、150℃で1分間乾燥し、80℃で30分間、速度700m/minの条件のエアータンブラーで風合い出しを実施し、130℃で1分間最終セットを実施し、経糸密度109本/2.54cm、緯糸密度92本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸の有機溶媒法セルロース繊維89dtex/30フィラメントの重合度は220であった。
[実施例4]
重合度490、乾燥時の引張強度が3.5cN/dtexである有機溶媒法セルロース繊維89dtex/30フィラメントを経糸、緯糸に用いて、経糸密度105本/2.54cm、緯糸密度89本/2.54cmで構成した平組織の織物を製織した。得られた生機を液流染色機にて76%ギ酸を用いて1.0g/Lで130℃20分の改質処理及びフィブリル化処理を実施し重合度を220とした後、再度液流染色機にて60℃の染色温度にて60分有機溶媒法セルロース繊維の染色を実施し、その後80℃にて10分ソーピングを実施した。染色乾燥後、シリコン系柔軟剤1重量%を含む水溶液に含浸し、ピックアップ80%で紋液し、150℃で1分間乾燥し、80℃で30分間、速度700m/minの条件のエアータンブラーで風合い出しを実施し、130℃で1分間最終セットを実施し、経糸密度109本/2.54cm、緯糸密度92本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸の有機溶媒法セルロース繊維89dtex/30フィラメントの重合度は220であった。
[比較例1]
重合度580、乾燥時の引張強度2.3cN/dtexであるキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントを経糸、緯糸に用いて、経糸密度144本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで構成した2/1組織の綾織物を製織した。得られた生機を、改質処理及フィブリル化処理を実施していないこと以外実施例2と同様にして染色仕上げ加工を行い、経糸密度153本/2.54cm、緯糸密度104本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸のキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントの重合度は580であった。
[比較例2]
重合度490、乾燥時の引張強度3.5cN/dtexである有機溶媒法セルロース繊維89dtex/30フィラメントを経糸、緯糸に用いて、経糸密度109本/2.54cmの緯糸密度92本/2.54cmで構成した平組織の織物を製織した。得られた生機を、改質処理及びフィブリル化処理を実施していないこと以外実施例4と同様にして染色仕上げ加工を行い、経糸密度109本/2.54cm、緯糸密度92本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸の有機溶媒法セルロース繊維89dtex/30フィラメントの重合度は490であった。
[比較例3]
重合度580、乾燥時の引張強度2.3cN/dtexであるキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントを経糸、緯糸に用いて、経糸密度144本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで構成した2/1組織の綾織物を製織した。得られた生機を液流染色機にて、水酸化ナトリウム40g/Lで80℃120分のフィブリル化処理を実施し、再度液流染色機にて60℃の染色温度にて60分キュプラアンモニウムレーヨンの染色を実施し、その後80℃にて10分ソーピングを実施した。染色乾燥後、シリコン系柔軟剤1重量%を含む水溶液に含浸し、ピックアップ80%で紋液し、150℃で1分間乾燥し、80℃で30分間、速度700m/minの条件のエアータンブラーで風合い出しを実施し、130℃で1分間最終セットを実施し、経糸密度153本/2.54cm、緯糸密度104本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸のキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントの重合度は440であった。
[比較例4]
重合度580、乾燥時の引張強度2.3cN/dtexであるキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントを経糸、緯糸に用いて、経糸密度144本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで構成した2/1組織の綾織物を製織した。得られた生機を液流染色機にて、75%リン酸50g/Lで100℃60分のフィブリル化処理を実施し、再度液流染色機にて60℃の染色温度にて60分キュプラアンモニウムレーヨンの染色を実施し、その後80℃にて10分ソーピングを実施した。染色乾燥後、シリコン系柔軟剤1重量%を含む水溶液に含浸し、ピックアップ80%で紋液し、150℃で1分間乾燥し、80℃で30分間、速度700m/minの条件のエアータンブラーで風合い出しを実施し、130℃で1分間最終セットを実施し、経糸密度153本/2.54cm、緯糸密度104本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸のキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントの重合度は400であった。
[比較例5]
重合度580、乾燥時の引張強度2.3cN/dtexであるキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントを経糸、緯糸に用いて、経糸密度144本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで構成した2/1組織の綾織物を製織した。得られた生機を液流染色機にて、35%過酸化水素水溶液30g/Lで100℃60分のフィブリル化処理を実施し、再度液流染色機にて60℃の染色温度にて60分キュプラアンモニウムレーヨンの染色を実施し、その後80℃にて10分ソーピングを実施した。染色乾燥後、シリコン系柔軟剤1重量%を含む水溶液に含浸し、ピックアップ80%で紋液し、150℃で1分間乾燥し、80℃で30分間、速度700m/minの条件のエアータンブラーで風合い出しを実施し、130℃で1分間最終セットを実施し、経糸密度153本/2.54cm、緯糸密度104本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸のキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントの重合度は180であった。
[比較例6]
重合度580、乾燥時の引張強度2.3cN/dtexであるキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントを経糸、緯糸に用いて、経糸密度144本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで構成した2/1組織の綾織物を製織した。
得られた生機を気流染色機にて酢酸を用いて6.4g/Lで130℃45分のフィブリル化処理を実施した後、再度気流染色機にて60℃の染色温度にて360分キュプラアンモニウムレーヨンの染色を実施し、その後80℃にて10分ソーピングを実施した。染色乾燥後、シリコン系柔軟剤1重量%を含む水溶液に含浸し、ピックアップ80%で紋液し、150℃で1分間乾燥し、100℃で30分間、速度900m/minの条件のエアータンブラーで風合い出しを実施し、130℃で1分間最終セットを実施し、経糸密度153本/2.54cm、緯糸密度104本/2.54cmの染色織物を得た。該織物から取り出した、経糸のキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメントの重合度は150であった。
実施例1〜4、比較例1〜6で得た織物について、前記の洗濯試験法による洗濯を10回繰り返した試料生地、及び該洗濯を行わなかった試料生地について、フィブリル化の程度及び風合いの評価を実施した。また、実施例1〜4の織物試料から経糸の改質処理及びフィブリル化処理を実施したキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメント及び有機溶媒法セルロース繊維89dtex/30フィラメントを、比較例1〜6の織物試料から改質処理を実施していないか又は異なるフィブリル化処理を実施した経糸のキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/45フィラメント及び有機溶媒法セルロース繊維89dtex/30フィラメントをそれぞれ取り出し、乾燥時の経糸の引張強度の測定を実施した。以下の表1に、実施例1〜4、比較例1〜5で用いた試料糸の素材、改質処理、フィブリル処理を纏め、以下の表2に評価結果を示す。
実施例1〜4の改質セルロース繊維を使用した布帛では、洗濯によるフィブリル感の変化はなくソフトで膨らみ感のある良好な風合いを有しており、かつ、引張強度も1.0cN/dtex以上であることが分かる。すなわち、実施例1〜4は洗濯、特徴的な表面感と膨らみ感と反発感のある風合いを有し、洗濯に対する表面感や風合いの持続性に優れている。
これに反し、比較例1〜6の布帛は、重合度が250を超え、洗濯前又は洗濯後のフィブリル感が劣っている、引張強度が1.0cN/dtex未満である、あるいは、洗濯前の段階でフィブリルが除去されていることが分かる。すなわち、比較例1〜6は洗濯による表面感や風合いの変化が大きいか、又は布帛としての強度を保持していないか、又は洗濯前の段階でフィブリルが除去されているため、良好な風合いが要求されるフィブリルを有する繊維製品として適していない。
本発明により、特徴的な表面感と膨らみ感と反発感のある風合いを有し、湿潤状態での摩擦・柔布処理により容易にフィブリル化しており、かつ、水洗濯に対する表面感や風合いの持続性に優れた高級感のある再生セルロース繊維、及び該繊維を用いた布帛の提供が可能となるため、本発明は産業上の利用可能性を有する。
1 セルロースミクロフィブリルを主体とするフィブリル集合体が繊維軸方向に割繊された状態(フィブリル化されている状態)
2 セルロースミクロフィブリル

Claims (3)

  1. 重合度が100〜250であり、かつ、乾燥時の引張強度が1.0cN/dtex以上である、表面がフィブリル化している再生セルロース繊維。
  2. 前記再生セルロース繊維が、有機溶媒法セルロース繊維である、請求項1に記載の再生セルロース繊維。
  3. 請求項1又は2に記載の再生セルロース繊維を構成糸として含む布帛。
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