以下、図面を参照しながら、X線CT装置の実施形態について詳細に説明する。
なお、X線CT装置によるデータ収集方式には、X線源とX線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転(R−R:Rotate/Rotate)方式や、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(S−R:Stationary/Rotate)方式等の様々な方式がある。いずれの方式でも本発明を適用可能である。以下、実施形態に係るX線CT装置では、現在、主流を占めている第3世代の回転/回転方式を採用する場合を例にとって説明する。
図1は、実施形態に係るX線CT装置の構成を示す概略図である。
図1は、実施形態に係るX線CT装置1を示す。X線CT装置1は、架台装置10、寝台装置30、及びコンソール装置40を備える。架台装置10及び寝台装置30は、検査室に設置される。架台装置10は、寝台装置30に載置された被検体(例えば、患者)Pに関するX線の検出データを収集する。一方、コンソール装置40は、検査室に隣接する制御室に設置され、多方向の検出データに基づいて多方向の投影データを生成し、多方向の投影データに基づいてCT画像を再構成して表示する。
架台装置10は、X線管11、X線検出器12、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)13、回転フレーム14、X線高電圧装置15、制御装置16、ウェッジ17、及びコリメータ18を備える。
X線管11は、回転フレーム14に備えられる。X線管11は、X線高電圧装置15からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。なお、実施形態においては、一管球型のX線CT装置にも、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置にも適用可能である。
なお、X線を発生させるX線源は、X線管11に限定されるものではない。例えば、X線管11に替えて、電子銃から発生した電子ビームを収束させるフォーカスコイル、電磁偏向させる偏向コイル、患者Pの半周を囲い偏向した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングを含む第5世代方式によりX線を発生させてもよい。また、X線管11は、X線発生部の一例である。
X線検出器12は、X線管11に対向するように回転フレーム14に備えられる。X線検出器12は、X線管11から照射されたX線を検出し、X線量に対応した検出データを電気信号としてDAS13に出力する。X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数の検出素子からなる検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。
なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。また、X線検出器12は、X線検出部の一例である。
図2は、X線検出器12の画素配置の構成例を示す図である。
図2に示すX線検出器12は、チャンネル方向にm(m:正の整数)個、即ち、mチャンネルの検出素子からなる検出素子列が、列方向にn(n:正の整数)個、即ち、n列配列されて成る。なお、図2に示す検出素子列を構成する検出素子の数(m)は、便宜的なものである。したがって、検出素子列を構成する検出素子の数は、図2に示す場合に限定されるものではない。また、チャンネル方向に配列される検出素子列の数(n)についても同様である。
図3は、収集モードに応じたX線検出器12の検出可能エリアの使用例を示す図である。図3(A)は、X線検出器12の、高精細モード「HR」における検出可能エリアUの使用例を示す図である。図3(B)は、X線検出器12の、標準解像度モード「NR」における検出可能エリアUの使用例を示す図である。図3(C)は、X線検出器12の、低ノイズモード「LN」における検出可能エリアUの使用例を示す図である。
mチャンネル(図2に図示)の検出素子から成る複数の検出素子列を備えるX線検出器は、収集モードに応じて、検出データの加算数(束ね数)sが変更される。加算数sは、チャンネル方向の加算数成分i(iは正の整数)及び列方向の加算数成分j(jは正の整数)によって決定される(s=i×j)。図3(A)は、高精細モード「HR」において、加算数sが1個(i×j=1×1)である場合の検出可能エリアUの使用例を示す。図3(B)は、標準解像度モード「NR」において、加算数sが4個(i×j=2×2)である場合の検出可能エリアUの使用例を示す。図3(C)は、低ノイズモード「LN」において、加算数sが16個(i×j=4×4)である場合の検出可能エリアUの使用例を示す。
図3(A)に示すように、X線検出器12の検出可能エリアUは、高精細モードを行う第1のエリア(検出エリア)Vと、その他の第2のエリア(非検出エリア)とに分類される。検出エリアVは、r個の検出素子列に対応するr個の画素を含む。検出エリアVの各検出素子列は、mチャンネルの検出素子に対応するm個の画素を含む。一方で、非検出エリアは、n−r個の検出素子列に対応するn−r個の画素を含む。非検出エリアの各検出素子列は、mチャンネルに対応するm個の画素を含む。rは、正の整数であり、r<nである。高精細モードの場合、r個の検出素子列に含まれるm×r個の検出素子の検出データは加算されずに、m×r個の画素の検出データとして出力される。つまり、図3(A)によれば、検出エリアVにおいて、高精細の再構成画像を生成可能である。
図3(B),(C)に示すように、標準解像度モード及び低ノイズモードの場合、検出可能エリアUを構成する全部(又は一部)の検出素子列に含まれるm×n個の検出素子(図2に図示)の検出データにおいて、隣接するs(i×j)個の検出素子の検出データが加算され(束ねられ)る。検出可能エリアUは、n列の検出素子列に対応するn/j個の画素を含む。検出エリアVの各検出素子列は、mチャンネルの検出素子に対応するm/i個の画素を含む。これにより、m×n/s個の画素の検出データが出力される。図3(B)は、検出データの加算数sが4個の場合を示し、加算する複数の検出データに対応する複数の検出素子を、チャンネル方向及び列方向に隣接する4個の検出素子とする場合を示す。つまり、図3(B)によれば、図3(A)に示す高精細モードの場合と比較して、解像度を落としてノイズを小さくすることができる。
図3(C)は、検出データの加算数sが16個の場合を示し、加算する複数の検出データに対応する複数の検出素子を、チャンネル方向及び列方向に隣接する16個の検出素子とする場合を示す。つまり、図3(C)によれば、図3(B)に示す標準解像度モードの場合と比較して、解像度を落としてノイズを小さくすることができる。
図1の説明に戻って、DAS13は、回転フレーム14に備えられる。DAS13は、制御装置16による制御の下、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、制御装置16による制御の下、電気信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog to Digital)変換器とを有し、増幅及びデジタル変換後の検出データを生成する。DAS13によって生成された検出データは、コンソール装置40に転送される。
ここで、DAS13によって生成された検出データは、回転フレーム14に設けられた送信機から非接触のデータ伝送によって架台装置10の非回転部分、例えば図示しない固定部に設けられた受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム14から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。また、図示しない固定部は回転フレーム14を回転可能に支持するフレームである。
図4は、X線検出器12を構成する複数の検出素子を一定数でグループ化することで形成される素子グループの概念を示す図である。図5は、素子グループ単位で加算を行う加算部を示すブロック図である。
図4は、図3(A)に示す検出エリアU内に形成される複数の素子グループのうち、検出エリアV内の第k(k:正の整数)番目の第k素子グループGkを示す。各素子グループは、X線検出器12を構成する複数の検出素子、例えば、チャンネル方向に4個、列方向に4個の検出素子から成る16個の検出素子Dに該当する。なお、各素子グループは、16個の検出素子を備える場合に限定されるものではなく、例えば、4個でもよいし、32個でもよい。また、チャンネル方向及び列方向の検出素子数で決まる各素子グループの形状は、正方でなくてもよい。
図5は、加算部Aを示す。加算部Aは、第k素子グループGkに属する16個の検出素子のそれぞれに接続される16個の切替器(例えば、スイッチ)51kと、第k素子グループGkに属する積分回路52kと、第k素子グループGkに属する切替制御回路53kとを備える。つまり、積分回路52k及び切替制御回路53kは、各素子グループに1個設けられる。
また、切替制御回路53kは、第k素子グループGkに属する16個の切替器51kに、信号線を介してそれぞれ接続される。なお、加算部Aの16個の切替器51kは、X線検出器12に備えられるものとし、加算部Aの積分回路52k及び切替制御回路53kは、DAS13に備えられるものとするが、その場合に限定されるものではない。また、DAS13は、積分回路52kの後段に、第k素子グループGkを含む全ての素子グループに属する積分回路に接続されるA/D(Analog to digital)変換回路181を備える。
積分回路52kは、第k素子グループGkに属する16個の検出素子から16個の切替器51kを介して電気信号を読み出し、その電気信号を所定の期間に亘り積分する。当該所定の期間は、1ビューの期間に応じて設定される。
切替制御回路53kは、制御装置16による制御に従って、第k素子グループGkに属する16個の切替器51kの接続と遮断とを制御する。具体的には、切替制御回路53kは、第k素子グループGkに属する16個の切替器51kと積分回路52kとの間の接続を、高精細モードのための接続と、標準解像度モードのための接続と、又は低ノイズノードのための接続とを切り替えるために16個の切替器51kを個別に制御する。
収集モードが高精細モード(加算数s=1)である場合、切替制御回路53kが、第k素子グループGkに属する16個の切替器51kを異なるタイミングで開閉することにより、積分回路52kは、第k素子グループGkに属する16個の検出素子から異なるタイミングで電気信号をそれぞれ読み出す。即ち、収集モードが高精細モードである場合、切替制御回路53kは、第k素子グループGkに属する16個の検出素子から16個の電気信号を読み出すように16個の切替器51kを制御する。
収集モードが標準解像度モード(加算数s=4)である場合、切替制御回路53kは、第k素子グループGkに属する16個の検出素子を4個のセットに分類する。そして、(1)切替制御回路53kが、各セットに属する4個の検出素子に対応する4個の切替器51kの全てを略同時に開閉することにより、積分回路52kは、各セットに属する4個の検出素子から略同時に電気信号を読み出すと共に、(2)切替制御回路53kが、異なるセットに属する切替器51kを異なるタイミングで開閉することにより、積分回路52kは、異なる4個のセットから異なるタイミングで電気信号をそれぞれ読み出す。即ち、収集モードが標準解像度モードである場合、切替制御回路53kは、第k素子グループGkに属する16個の検出素子から4個の電気信号を読み出すように16個の切替器51kを制御する。
収集モードが低ノイズモード(加算数s=16)である場合、切替制御回路53kが、第k素子グループGkに属する16個の切替器51kの全てを略同時に開閉することにより、積分回路52kは、第k素子グループGkに属する16個の検出素子から略同時に電気信号を読み出す。即ち、収集モードが低ノイズモードである場合、切替制御回路53kは、第k素子グループGkに属する16個の検出素子から1個の電気信号を読み出すように16個の切替器51kを制御する。
図5に示すように、A/D変換器181は、複数の積分回路からの積分信号をA/D変換し、対数変換処理等の前処理前の純生データを生成する。純生データに前処理が施されることで、再構成処理前の生データが生成される。A/D変換器181に接続される複数の積分回路の数はいくつでも構わない。典型的には、所定数の積分回路に対して1個のA/D変換器181が接続される。しかしながら、実施形態はこれに限定されない。1個の積分回路に1個のA/D変換器181が接続されてもよい。
図1の説明に戻って、回転フレーム14は、X線管11及びX線検出器12を対向支持する回転部である。回転フレーム14は、後述する制御装置16による制御の下、X線管11及びX線検出器12を一体として回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム14は、X線管11及びX線検出器12に加えて、DAS13及びX線高電圧装置15をさらに備えて支持する場合を説明するが、DAS13及びX線高電圧装置15の少なくとも一方は、回転フレーム14を回転可能に支持する固定部である固定フレーム(図示省略)に支持される場合もある。
このように、X線CT装置1は、X線管11とX線検出器12とを対向させて支持する回転フレーム14を患者Pの周りに回転させることで、患者Pの周囲一周分、即ち、患者Pの360°分の検出データを収集する。なお、CT画像の再構成方式は、360°分の検出データを用いるフルスキャン再構成方式には限定されない。例えば、X線CT装置1は、半周(180°)+ファン角度分の検出データに基づいてCT画像を再構成するハーフ再構成方式を採ってもよい。
X線高電圧装置15は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有する。X線高電圧装置15は、後述する制御装置16による制御の下、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置(図示省略)と、後述する制御装置16による制御の下、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置(図示省略)を有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。
制御装置16は、プロセッサ及びメモリと、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路及びメモリの構成については、後述するコンソール装置40の処理回路44及びメモリ41と同等であるので説明を省略する。
制御装置16は、コンソール装置40の入力インターフェース43、又は、架台装置10に取り付けられた操作パネル(図示省略)からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置16は、入力信号を受けて回転フレーム14を回転させる制御、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた操作パネルによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置16がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム14を回転させることによって実現される。なお、制御装置16は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
また、制御装置16は、コンソール装置40や架台装置10に取り付けられた操作パネルから入力された撮像条件に基づいて、X線管11の角度や、後述するウェッジ17及びコリメータ18の動作を制御する。
ウェッジ17は、X線管11のX線出射側に配置されるように回転フレーム14に備えられる。ウェッジ17は、制御装置16による制御の下、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ17は、X線管11から患者Pに照射されるX線が予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ17(ウェッジフィルタ(Wedge Filter)、ボウタイフィルタ(bow−tie filter)は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
コリメータ18は、絞り又はスリットとも呼ばれ、X線管11のX線出射側に配置されるように回転フレーム14に備えられる。コリメータ18は、制御装置16による制御の下、ウェッジ17を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組合せによってX線の照射開口を形成する。なお、ウェッジ17の前段にも、コリメータ18とは別のコリメータ(図示省略)が設けられる場合もある。
寝台装置30は、基台31、寝台駆動装置32、天板33及び支持フレーム34を備える。寝台装置30は、スキャン対象の患者Pを載置し、制御装置16による制御の下、患者Pを移動させる装置である。
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、患者Pが載置された天板33を天板33の長軸方向(z軸方向)に移動するモータ或いはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、患者Pを載置可能な形状を有する板である。
なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向(z軸方向)に移動してもよい。また、寝台駆動装置32は、寝台装置30の基台31ごと移動させてもよい。本発明を立位CTに応用する場合、天板33に相当する患者移動機構を移動する方式であってもよい。また、ヘリカルスキャンや位置決め等のためのスキャノ(スカウト)撮影等、架台装置10の撮像系と天板33の位置関係の相対的な変更を伴う撮影を実行する場合は、当該位置関係の相対的な変更は天板33の駆動によって行われてもよいし、架台装置10の固定部の走行によって行われてもよく、またそれらの複合によって行われてもよい。
なお、実施形態では、非チルト状態での回転フレーム14の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をz軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をx軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をy軸方向とそれぞれ定義するものとする。
コンソール装置40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43、及び処理回路44を備える。なお、以下の説明では、コンソール装置40が単一のコンソールで全ての機能を実行するものとするが、これらの機能は、複数のコンソールが実行してもよい。
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等であって、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含む構成を有する。メモリ41は、スキャンモードと収集モードとの組み合わせから成る複数のスキャン種別を示すスキャン種別表(図7に図示)等を記憶する。
X線CT装置1によって生成された検出データや、後述する投影データ及び再構成画像データは、メモリ41に記憶されてもよい。また、X線CT装置1によって生成された検出データ、投影データ、及び再構成画像データは、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介してX線CT装置1に接続可能な画像サーバ等の外部記憶装置に記憶されてもよい。同様に、メモリ41の記録媒体内のプログラム及びデータの一部又は全部は、ネットワークを介した通信によりダウンロードされてもよいし、光ディスク等の可搬型記憶媒体を介してメモリ41に与えられてもよい。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等である。
入力インターフェース43は、操作者によって操作が可能な入力デバイスからの信号を入力する回路と、入力デバイスとを含む。入力デバイスは、トラックボール、スイッチ、マウス、キーボード、走査面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。操作者により入力デバイスが操作されると、入力インターフェース43はその操作に応じた入力信号を生成して処理部21に出力する。
処理回路44は、メモリ41に記憶されたプログラムを読み出して実行することによりX線CT装置1の全体の動作を制御するプロセッサである。処理回路44は、データ収集回路14から出力された検出データに対して補正処理等の前処理を実行して投影データを生成する。また、処理回路44は、投影データを再構成処理して、アキシャル断層の2次元画像データや、ボリュームデータに基づく3次元画像データをCT画像データとして生成する。ボリュームデータは、3次元空間におけるCT値の分布情報を有するボクセルデータの集合である。処理回路44は、複数のアキシャル断層の2次元画像データに基づいてボリュームデータを生成することで、任意断層(MPR:Multi-Planar Reconstruction)の画像データや、任意方向から見た投影画像データを3次元画像データとして生成する。投影画像データは、ボリュームデータをボリュームレンダリング処理したり、サーフィスレンダリング処理したりすることで得られる。
続いて、X線CT装置1の機能について具体的に説明する。
図6は、X線CT装置1の機能を示すブロック図である。
処理回路44のプロセッサがプログラムを実行することによって、X線CT装置1は、スキャン種別設定機能61、スキャン実行機能62、及び画像生成機能63を実現する。なお、機能61〜63がソフトウェア的に機能する場合を例に挙げて説明するが、機能61〜63の全部又は一部は、X線CT装置1にASIC等のハードウェアとして設けられるものであってもよい。また、機能61〜63の全部又は一部は、制御装置16が有するものであってもよい。
メモリ41は、スキャンモードと収集モードとの組み合わせから成る複数のスキャン種別(例えば、図7に支示すスキャン種別表)を予め記憶(プリセット)している。スキャン種別設定機能61は、メモリ41に記憶された、スキャンモードと収集モードとの組み合わせから成る複数のスキャン種別の中から、所定の複数のスキャン種別を選択して設定する機能を含む。スキャンモードは、プロトコルとも呼ばれる。例えば、スキャン種別設定機能61は、入力インターフェース43を介して操作者が、メモリ41に予め設定されたスキャン種別表(図7に図示)の中から所定のスキャン種別を選択することによって、複数のスキャン種別を設定する。また、スキャン種別設定機能61は、設定部の一例である。
図7は、スキャン種別表の一例を示す図である。
図7に示すように、スキャン種別は、スキャンモードと収集モードとの組み合わせから成る。各スキャンモードに対して、3個の収集モード、つまり、高精細モード、標準解像度モード、及び低ノイズモードが対応される。
スキャンモードは、ボリュームスキャン、ダイナミックボリュームスキャン、及びヘリカルスキャン等を含む。ボリュームスキャンとは、複数の検出素子列を備えたX線検出器12を用いて、架台装置10と天板12との位置関係を変更しないで行われる1時相分のスキャンをいう。ダイナミックボリュームスキャンとは、1又は複数の検出素子列を備えたX線検出器12を用いて、架台装置10と天板12との位置関係を変更しないで行われる複数時相のスキャンをいう。ヘリカルスキャンとは、1又は複数の検出素子列を備えたX線検出器12を用いて、架台装置10に対して天板12を、又は、天板12に対して架台装置10をz軸方向に移動させながら行われるスキャンをいう。
収集モードは、高精細モード、標準解像度モード、及び低ノイズモード等を含む。高精細モードとは、X線検出器12を構成するm×r個の検出素子の検出データを加算しないでm×r個の画素の検出データとして加算部Aから出力するモードである(図3(A)に図示)。標準解像度モード及び低ノイズモードとは、X線検出器12を構成するm×n個の検出素子の検出データを加算数sで加算することでm×n/s個、つまり、(m/i)×(n/j)個の画素の検出データとして加算部Aから出力するモードである(図3(B),(C)に図示)。
図7に示すスキャン種別表から複数のスキャン種別が選択されることで、異なる複数のスキャン種別を1つのスキャンとして取り扱うことができ、当該1つのスキャンのスキャンパラメータ設定において、スキャン領域等のスキャンパラメータを一時に設定することが可能となる。
図6の説明に戻って、スキャン実行機能62は、スキャン種別設定機能61によって設定された複数のスキャン種別に関するスキャンパラメータをそれぞれ設定する機能を含む。例えば、スキャン実行機能62は、入力インターフェース43を介した操作者からの指示に従ってスキャンパラメータを設定する。スキャンパラメータとしては、スキャン領域、焦点サイズ、ヘリカルピッチ(ヘリカルスキャンの場合)、X線出力(管電圧及び管電流等)、スキャン速度、ビューレート(View Rate)、及びビーム幅等が挙げられる。
一般的には、スキャン実行機能62は、2D又は3Dのスキャノ撮影を実行してスキャノ画像を生成し、スキャノ画像に基づいて、各スキャン種別に係るスキャン領域等のスキャンパラメータを設定する。
また、スキャン実行機能62は、スキャン種別設定機能61によって設定された複数のスキャン種別に関するスキャンパラメータをそれぞれ設定した後で、制御装置16を介してX線管11等を制御して、複数のスキャン種別に係る複数のスキャンをそれぞれ実行する機能を含む。スキャン実行機能62は、実行部の一例である。
画像生成機能63は、スキャン実行機能62によって実行された、複数のスキャン種別のうち少なくとも1のスキャン種別に係るスキャンに従って生成された検出データに基づいて、アキシャル断層の断層画像データや3次元画像データ等のCT画像データを再構成する機能を含む。画像生成機能63は、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示させることもできる。また、画像生成機能63は、CT画像データをメモリ41に記憶させることもできる。画像生成機能63は、生成部の一例である。
続いて、X線CT装置1の動作について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
図8は、X線CT装置1の動作をフローチャートとして示す図である。図8において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
まず、スキャン種別設定機能61は、スキャンモードと収集モードとの組み合わせから成る複数のスキャン種別の中から、所定の複数のスキャン種別を選択して設定する(ステップST1)。例えば、スキャン種別設定機能61は、ステップST1において、入力インターフェース43を介して操作者が、メモリ41に予め設定されたスキャン種別表(図7に図示)の中から所定のスキャン種別を選択することによって各スキャン種別を設定する。図8の説明において、複数のスキャン種別として、第1スキャン種別と、第2スキャン種別とが設定されたものとして説明する。
スキャン実行機能62は、ステップST1によって設定された第1及び第2スキャン種別に関するスキャンパラメータをそれぞれ設定する(ステップST2)。例えば、スキャン実行機能62は、ステップST2において、入力インターフェース43を介した操作者からの指示に従ってスキャンパラメータを設定する。一般的には、スキャン実行機能62は、2D又は3Dのスキャノ撮影を実行してスキャノ画像を生成し、スキャノ画像に基づいて、各スキャン種別に係るスキャン領域等のスキャンパラメータを設定する。
また、スキャン実行機能62は、制御装置16を制御して、架台装置10がステップST2によって設定された第1スキャン種別のスキャンパラメータに従った設定となるように調整し、ステップST1によって設定された第1スキャン種別に対応する第1スキャンを実行する(ステップST4)。スキャン実行機能62は、ステップST4において、制御装置16を介して、第1スキャン種別に対応する収集モードの加算数sに従って加算部A(図5に図示)を制御しながら、第1スキャンを実行する。
スキャン実行機能62は、第1スキャン種別に対応する第1スキャンが終了すると、スキャン種別を、第1スキャン種別から第2スキャン種別に切り替える(ステップST6)。スキャン実行機能62は、ステップST6においてスキャン種別を切り替える際、制御装置16を制御して、第1スキャン種別のスキャンパラメータに従った設定となるように調整された架台装置10を、第2スキャン種別のスキャンパラメータに従って調整する。具体的には、スキャン実行機能62は、制御装置16を制御して、第2のスキャンの開始位置に応じて天板33を移動させたり、回転フレーム14の回転速度を変更したり、焦点サイズを変更したり、スリット設定を変更したり、オフセットを収集したり、キャリブレーション等の補正データの変更をしたりする。
スキャン実行機能62は、ステップST1によって設定された第2スキャン種別に対応する第2スキャンを実行する(ステップST7)。スキャン実行機能62は、ステップST7において、制御装置16を介して、第2スキャン種別に対応する収集モードの加算数sに従って加算部Aを制御しながら、第2スキャンを実行する。
画像生成機能63は、ステップST4によって実行された第1スキャンと、ステップST6によって実行された第2スキャンとのうち少なくとも1のスキャンに従って生成された検出データに基づいてCT画像データを再構成して、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示する(ステップST8)。
画像生成機能63は、ステップST8によって生成されたCT画像データをメモリ41に記憶させる(ステップST9)。
以上のように、X線CT装置1によると、第1スキャン及び第2スキャンを続けて実行する検査において、患者Pの負担を軽減させることができる。例えば、比較例として、1個のスキャンモードに対して2個の収集モードを組み合わせて2個のスキャンを実行する検査において、スキャンモード、第1の収集モード、及びスキャンパラメータ(スキャノ撮影を含む)を設定して第1スキャンを実行した後に、スキャンモード、第2の収集モード、及びスキャンパラメータ(スキャノ撮影を含む)を設定して第2スキャンを実行する場合がある。この場合、モード切替に時間を要するため検査全体のスループットが悪く、患者Pの負担が増大してしまう。
このような問題を解決すべく、X線CT装置1では、スキャンモードと収集モードとの組み合わせから成る複数のスキャン種別(例えば、図7に図示するスキャン種別表)を予め設定しておくことで、第1スキャン及び第2スキャンを続けて実行する検査において、検査全体のスループットを向上させ、もって患者Pの負担を軽減させることができる。
続いて、図8の具体例について、図9〜図12を用いて説明する。
(第1の具体例)
図9は、複数のスキャン種別の第1例における動作をフローチャートとして示す図である。図9において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
図9に示すフローチャートは、リアルプレップ(Real Prep)を採用する胸部等の造影検査に関する。ここでは、第1スキャンを、リアルプレップのための仮スキャンとし、第2スキャンを、診断用の画像を生成する本スキャンとする。その場合、X線CT装置1は、非造影状態で患者Pの非造影画像(例えば、スキャノ画像)を生成し、非造影画像を基にROI(Region Of Interest)及び閾値を設定し、造影剤の注入を開始する。そして、X線CT装置1は、造影剤の注入の開始後、リアルプレップのための仮スキャンを開始する。リアルプレップは、ダイナミックスキャン等の本スキャン前に本スキャンの開始タイミング(トリガ)を検知するものであり、ROI内のCT値(又は、輝度値)が閾値を超えたら本スキャンを開始させるものである。
まず、スキャン種別設定機能61は、スキャンモードとしてのダイナミックボリュームスキャン「DV」に、収集モードとしての標準解像度モード「NR」及び高精細モード「HR」をそれぞれ組み合わせた、第1スキャン種別「標準解像度ダイナミックボリュームスキャン:NR−DV」と、第2スキャン種別「高精細ダイナミックボリュームスキャン:HR−DV」とを選択して設定する(ステップST21)。例えば、スキャン種別設定機能61は、ステップST21において、入力インターフェース43を介して操作者が、メモリ41に予め設定されたスキャン種別表(図7に図示)の中から所定のスキャン種別を選択することによって各スキャン種別を設定する。
スキャン実行機能62は、ステップST21によって設定された第1スキャン種別「NR−DV」及び第2スキャン種別「HR−DV」に関するスキャンパラメータをそれぞれ設定する(ステップST22)。例えば、スキャン実行機能62は、ステップST22において、入力インターフェース43を介した操作者からの指示に従ってスキャンパラメータを設定する。一般的には、スキャン実行機能62は、2D又は3Dのスキャノ撮影を実行してスキャノ画像を生成し、スキャノ画像に基づいて、各スキャン種別に係るスキャン領域等のスキャンパラメータを設定する。
スキャン実行機能62は、制御装置16を制御して、架台装置10がステップST22によって設定された第1スキャン種別「NR−DV」のスキャンパラメータに従った設定となるように調整し、造影を開始してリアルプレップを開始する(ステップST23)。スキャン実行機能62は、制御装置16を制御して、ステップST21によって設定された第1スキャン種別「NR−DV」に対応する第1スキャン「NR−DV」を実行する(ステップST24)。スキャン実行機能62は、ステップST24において、制御装置16を介して、第1スキャン種別「NR−DV」に対応する収集モードの加算数s(例えば、図3(B)に示すs=4)に従って加算部Aを制御しながら、第1スキャン「NR−DV」を実行する。
スキャン実行機能62は、非造影画像のROI内のCT値(又は、輝度値)が閾値を超えたら、第1スキャン「NR−DV」を終了し、スキャン種別を、第1スキャン種別「NR−DV」から第2スキャン種別「HR−DV」に切り替える(ステップST26)。スキャン実行機能62は、ステップST26において、ステップST6(図8に図示)と同様に制御装置16を制御する。
スキャン実行機能62は、ステップST21によって設定された第2スキャン種別「HR−DV」に対応する第2スキャン「HR−DV」を実行する(ステップST27)。スキャン実行機能62は、ステップST27において、制御装置16を介して、第2スキャン種別「HR−DV」に対応する収集モードの加算数s(例えば、図3(A)に示すs=1)に従って加算部Aを制御しながら、第2スキャン「HR−DV」を実行する(ステップST27)。
画像生成機能63は、ステップST27によって実行された第2スキャン「HR−DV」に従って生成された検出データに基づいて高精細のCT画像データを再構成して、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示する(ステップST28)。
画像生成機能63は、ステップST24によって取得されたボリュームデータと、ステップST28によって生成されたCT画像データとをメモリ41に記憶させる(ステップST29)。
以上のように、X線CT装置1による図9に示す動作によると、リアルプレップを採用した胸部等の造影検査において、患者Pの負担を軽減させることができる。
(第2の具体例)
図10は、複数のスキャン種別の第2例における動作をフローチャートとして示す図である。図10において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
まず、スキャン種別設定機能61は、スキャンモードとしてのボリュームスキャン「V」に、収集モードとしての標準解像度モード「NR」を組み合わせた第1スキャン種別「標準解像度ボリュームスキャン:NR−V」と、スキャンモードとしてのヘリカルスキャン「H」に、収集モードとしての高精細モード「HR」を組み合わせた第2スキャン種別「高精細ヘリカルスキャン:HR−H」とを選択して設定する(ステップST41)。例えば、スキャン種別設定機能61は、ステップST41において、入力インターフェース43を介して操作者が、メモリ41に予め設定されたスキャン種別表(図7に図示)の中から所定のスキャン種別を選択することによって各スキャン種別を設定する。
スキャン実行機能62は、ステップST41によって設定された第1スキャン種別「NR−V」及び第2スキャン種別「HR−H」に関するスキャンパラメータをそれぞれ設定する(ステップST42)。例えば、スキャン実行機能62は、ステップST42において、入力インターフェース43を介した操作者からの指示に従ってスキャンパラメータを設定する。一般的には、スキャン実行機能62は、2D又は3Dのスキャノ撮影を実行してスキャノ画像を生成し、スキャノ画像に基づいて、各スキャン種別に係るスキャン領域等のスキャンパラメータを設定する。
また、スキャン実行機能62は、制御装置16を制御して、架台装置10がステップST42によって設定された第1スキャン種別「NR−V」のスキャンパラメータに従った設定となるように調整し、ステップST41によって設定された第1スキャン種別「NR−V」に対応する第1スキャン「NR−V」を実行する(ステップST44)。スキャン実行機能62は、ステップST44において、制御装置16を介して、第1スキャン種別「NR−V」に対応する収集モードの加算数s(例えば、図3(B)に示すs=4)に従って加算部Aを制御しながら、第1スキャン「NR−V」を実行する。
画像生成機能63は、ステップST44によって実行された第1スキャン「NR−V」に従って生成された検出データに基づいてCT画像データを再構成して、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示する(ステップST45)。ここで、スキャン実行機能62は、表示された再構成画像に、ステップST42によって設定された第2スキャン種別「HR−H」のスキャン領域を表示することで、操作者が入力インターフェースを介して、第2スキャン「HR−H」のスキャン領域を微修正(再設定)できるようにしてもよい。
スキャン実行機能62は、第1スキャン種別「NR−V」に対応する第1スキャン「NR−V」が終了すると、スキャン種別を、第1スキャン種別「NR−V」から第2スキャン種別「HR−H」に切り替える(ステップST46)。スキャン実行機能62は、ステップST46において、ステップST6(図8に図示)と同様に制御装置16を制御する。
スキャン実行機能62は、ステップST41によって設定された第2スキャン種別「HR−H」に対応する第2スキャン「HR−H」を実行する(ステップST47)。スキャン実行機能62は、ステップST47において、制御装置16を介して、第2スキャン種別「HR−H」に対応する収集モードの加算数s(例えば、図3(A)に示すs=1)に従って加算部Aを制御しながら、第2スキャン「HR−H」を実行する。
画像生成機能63は、ステップST47によって実行された第2スキャン「HR−H」に従って生成された検出データに基づいて高精細のCT画像データを再構成して、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示する(ステップST48)。また、画像生成機能63は、ステップST47によって実行された第2スキャン「HR−H」に従って生成された検出データに基づいて、標準解像度のCT画像データを再構成することもできる。解像度を合わせる方法として、再構成関数、画像フィルタによる方法のほか、収集データをデジタル加算(デジタル束ね)する方法がある。
画像生成機能63は、ステップST45,48によって生成されたCT画像データをメモリ41に記憶させる(ステップST49)。
以上のように、X線CT装置1による図10に示す動作によると、第1スキャン「NR−V」及び第2スキャン「HR−H」を続けて実行する検査において、患者Pの負担を軽減させることができる。
(第3の具体例)
図11は、複数のスキャン種別の第3例における動作をフローチャートとして示す図である。図11において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。なお、図11において、全体を、標準解像度ヘリカルスキャン、高精細ヘリカルスキャン、標準解像度ヘリカルスキャンの3分割し、モード切替を2回実行する場合を説明する。しかしながら、分割数、切り替え回数はこれらに限定されるものではない。
まず、スキャン種別設定機能61は、スキャンモードとしてのヘリカルスキャン「H」に、収集モードとしての標準解像度モード「NR」及び高精細モード「HR」をそれぞれ組み合わせた、第1スキャン種別「標準解像度ヘリカルスキャン:NR−H」と、第2スキャン種別「高精細ヘリカルスキャン:HR−H」と、第3のスキャン種別「標準解像度ヘリカルスキャン:NR−H´」とを選択して設定する(ステップST61)。例えば、スキャン種別設定機能61は、ステップST61において、入力インターフェース43を介して操作者が、メモリ41に予め設定されたスキャン種別表(図7に図示)の中から所定のスキャン種別を選択することによって各スキャン種別を設定する。
スキャン実行機能62は、ステップST61によって設定された第1スキャン種別「NR−H」、第2スキャン種別「HR−H」、及び第3のスキャン種別「NR−H´」に関するスキャンパラメータをそれぞれ設定する(ステップST62)。例えば、スキャン実行機能62は、ステップST62において、入力インターフェース43を介した操作者からの指示に従ってスキャンパラメータを設定する。一般的には、スキャン実行機能62は、2D又は3Dのスキャノ撮影を実行してスキャノ画像を生成し、スキャノ画像に基づいて、各スキャン種別に係るスキャン領域等のスキャンパラメータを設定する。スキャン実行機能62は、3個のスキャン種別について個別にスキャン領域を設定してもよいし、全体のスキャン領域(3個のスキャン領域の合計の範囲)と、第2スキャン種別「HR−H」のスキャン領域とを設定する方法でもよい。
また、スキャン実行機能62は、制御装置16を制御して、架台装置10がステップST62によって設定された第1スキャン種別「NR−H」のスキャンパラメータに従った設定となるように調整し、ステップST61によって設定された第1スキャン種別「NR−H」に対応する第1スキャン「NR−H」を実行する(ステップST64)。スキャン実行機能62は、ステップST64において、制御装置16を介して、第1スキャン種別「NR−H」に対応する収集モードの加算数s(例えば、図3(B)に示すs=4)に従って加算部Aを制御しながら、第1スキャン「NR−H」を実行する。
スキャン実行機能62は、第1スキャン「NR−H」の終盤、第1スキャン「NR−H」のスキャン領域と、第2スキャン「HR−H」のスキャン領域とのつなぎ目に向けて、トラッキングコリメータを動作させながらヘリカルピッチを徐々に低下させ、天板33の停止後にX線照射を停止させ、データ収集を停止させる。スキャン実行機能62は、第1スキャン種別「NR−H」に対応する第1スキャン「NR−H」が終了すると、スキャン種別を、第1スキャン種別「NR−H」から第2スキャン種別「HR−H」に切り替える(ステップST66)。スキャン実行機能62は、ステップST66において、ステップST6(図8に図示)と同様に制御装置16を制御する。
スキャン実行機能62は、ステップST61によって設定された第2スキャン種別「HR−H」に対応する第2スキャン「HR−H」を実行する(ステップST67)。スキャン実行機能62は、ステップST67において、制御装置16を介して、第2スキャン種別「HR−H」に対応する収集モードの加算数s(例えば、図3(A)に示すs=1)に従って加算部Aを制御しながら、第2スキャン「HR−H」を実行する。
スキャン実行機能62は、第2スキャン「HR−H」の終盤、第2スキャン「HR−H」のスキャン領域と、第3スキャン「NR−H」のスキャン領域とのつなぎ目に向けて、トラッキングコリメータを動作させながらヘリカルピッチを徐々に低下させ、天板33の停止後にX線照射を停止させ、データ収集を停止させる。スキャン実行機能62は、第2スキャン種別「HR−H」に対応する第2のスキャン「HR−H」が終了すると、スキャン種別を、第2スキャン種別「HR−H」から第3のスキャン種別「NR−H´」に切り替える(ステップST76)。スキャン実行機能62は、ステップST76において、ステップST6(図8に図示)と同様に制御装置16を制御する。
スキャン実行機能62は、ステップST61によって設定された第3のスキャン種別「NR−H´」に対応する第3スキャン「NR−H´」を実行する(ステップST77)。スキャン実行機能62は、ステップST77において、制御装置16を介して、第3のスキャン種別「NR−H´」に対応する収集モードの加算数s(例えば、図3(B)に示すs=4)に従って加算部Aを制御しながら、第3スキャン「NR−H´」を実行する。
画像生成機能63は、ステップST64,77によって実行された第1及び第3スキャン「NR−H、NR−H´」に従って生成された検出データに基づいて標準解像度のCT画像データを再構成すると共に、ステップST67によって実行された第2スキャン「HR−H」に従って生成された検出データに基づいて高精細のCT画像データを再構成して、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示する(ステップST78)。
また、画像生成機能63は、ステップST67によって実行された第2スキャン「HR−H」に従って生成された検出データに基づいて、第1及び第3スキャン「NR−H、NR−H´」に対応する標準解像度のCT画像データと画像の解像度が同等な、標準解像度のCT画像データを再構成することもできる。その場合、画像生成機能63は、第1〜第3スキャン「NR−H、HR−H、NR−H´」に係る3個のスキャン領域に対応する3個の標準解像度のCT画像データをつなぎ合わせて、3個のスキャン領域全体を表す標準解像度のボリュームデータを生成する。
画像生成機能63は、ステップST78によって生成されたCT画像データをメモリ41に記憶させる(ステップST79)。
以上のように、X線CT装置1による図11に示す動作によると、第1〜第3スキャン「NR−H、HR−H、NR−H´」を続けて実行する検査において、患者Pの負担を軽減させることができる。
(第4の具体例)
図12は、複数のスキャン種別の第4例における動作をフローチャートとして示す図である。図12において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。なお、図12において、収集モードとして「ボリュームスキャン」が選択される場合について説明するが、その場合に限定されるものではない。例えば、図12において、収集モードは、「ボリュームスキャン」の代わりに「ダイナミックボリュームスキャン」が採用されてもよい。
まず、スキャン種別設定機能61は、スキャンモードとしてのボリュームスキャン「V」に、収集モードとしての標準解像度モード「NR」及び高精細モード「HR」を組み合わせた、第1スキャン種別「標準解像度ボリュームスキャン:NR−V」と、第2スキャン種別「高精細ボリュームスキャン:HR−V」とを選択して設定する(ステップST81)。例えば、スキャン種別設定機能61は、ステップST81において、入力インターフェース43を介して操作者が、メモリ41に予め設定されたスキャン種別表(図7に図示)の中から所定のスキャン種別を選択することによって各スキャン種別を設定する。
スキャン実行機能62は、ステップST81によって設定された第1スキャン種別「NR−V」及び第2スキャン種別「HR−V」に関するスキャンパラメータをそれぞれ設定する(ステップST82)。例えば、スキャン実行機能62は、ステップST82において、入力インターフェース43を介した操作者からの指示に従ってスキャンパラメータを設定する。一般的には、スキャン実行機能62は、2D又は3Dのスキャノ撮影を実行してスキャノ画像を生成し、スキャノ画像に基づいて、各スキャン種別に係るスキャン領域等のスキャンパラメータを設定する。
また、スキャン実行機能62は、制御装置16を制御して、架台装置10がステップST82によって設定された第1スキャン種別「NR−V」のスキャンパラメータに従った設定となるように調整し、ステップST81によって設定されたスキャン種別「NR−V」に対応する第1スキャン「NR−V」を実行する(ステップST84)。スキャン実行機能62は、ステップST84において、制御装置16を介して、第1スキャン種別「NR−V」に対応する収集モードの加算数s(例えば、図3(B)に示すs=4)に従って加算部Aを制御しながら、第1スキャン「NR−V」を実行する。
画像生成機能63は、ステップST84によって実行された第1スキャン種別「NR−V」に対応する第1スキャン「NR−V」に従って生成された検出データに基づいてCT画像データを再構成して、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示する(ステップST85)。ここで、スキャン実行機能62は、表示された再構成画像に、ステップST82によって設定された第2スキャン種別「HR−V」のスキャン領域を表示することで、操作者が入力インターフェースを介して、第2スキャン「HR−V」のスキャン領域を微修正(再設定)できるようにしてもよい。
スキャン実行機能62は、第1スキャン種別「NR−V」に対応する第1のスキャン「NR−V」が終了すると、スキャン種別を、第1スキャン種別「NR−V」から第2スキャン種別「HR−V」に切り替える(ステップST86)。スキャン実行機能62は、ステップST86において、ステップST6(図8に図示)と同様に制御装置16を制御する。
スキャン実行機能62は、ステップST81によって設定された第2スキャン種別「HR−V」に対応する第2スキャン「HR−V」を実行する(ステップST87)。スキャン実行機能62は、ステップST87において、制御装置16を介して、第2スキャン種別「HR−V」に対応する収集モードの加算数s(例えば、図3(A)に示すs=1)に従って加算部Aを制御しながら、第2スキャン「HR−V」を実行する。
画像生成機能63は、ステップST87によって実行された第2スキャン「HR−V」に従って生成された検出データに基づいて高精細のCT画像データを再構成して、CT画像データをCT画像としてディスプレイ42に表示する(ステップST88)。また、画像生成機能63は、ステップST87によって実行された第2スキャン「HR−V」に従って生成された検出データに基づいて、標準解像度のCT画像データを再構成することもできる。
画像生成機能63は、ステップST85,88によって生成されたCT画像データをメモリ41に記憶させる(ステップST89)。
以上のように、X線CT装置1による図12に示す動作によると、第1スキャン「NR−V」及び第2スキャン「HR−V」を続けて実行する検査において、患者Pの負担を軽減させることができる。
なお、上記実施形態において、「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の他、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)及びプログラマブル論理デバイス等の回路を意味するものとする。プログラマブル論理デバイスは、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。プロセッサは、記憶媒体に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
また、上記実施形態では処理回路の単一のプロセッサが各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶媒体は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶媒体が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。
なお、スキャン種別設定機能61は、設定部の一例である。スキャン実行機能62は、実行部の一例である。画像生成機能63は、生成部の一例である。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、複数のスキャン種別に係る複数のスキャンを実行する検査において、被検体の負担を軽減させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。