JP2019537614A - 固形腫瘍を治療するための医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

患者の固形腫瘍、例えば神経内分泌腫瘍を治療するための方法であって、投与を必要としている患者への、治療上有効な量の化合物であってVEGFR1、2、及び3、FGFR1、並びにCSF1Rの阻害剤である化合物、例えばN−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1−(3−((4−((2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)ピリミジン−2−イル)アミノ)フェニル)−メタンスルホンアミド、の投与を含む方法が開示される。

Description

本発明は、固形腫瘍を治療する方法に関する。
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)及び線維芽細胞成長因子(FGF)が介在する経路は、腫瘍の血管新生において重要な役割を果たす(1、2)。腫瘍細胞によるVEGF及びFGFの分泌は、内皮細胞の迅速な増殖及びパッキングを促進するが、これは、過剰かつ粗雑にパッキングされた血管の形成をもたらす(3)。これらの血管は腫瘍に酸素及び栄養素を供給し、かつ循環血中への腫瘍細胞の漏出を促進して、結果として腫瘍の成長を高めて転移のリスクをもたらす(3)。VEGF受容体(VEGFR)を標的とする治療法がいくつかの種類のがんの管理における重要な治療選択肢として確立される一方で、かなりの数の患者は、別の分子経路を標的とする耐性機構の形成が原因で、治療に応答しないか又は比較的短期間しか応答しない(4)。
抗VEGF療法を用いた治療に応答して、一部の腫瘍は、内皮細胞の増殖を刺激し、腫瘍の血管新生を促進し、かつVEGFシグナル伝達経路をバイパスする、FGFの分泌を増大させることができる、ということが証拠から示唆されている(4、5)。更に、腫瘍の免疫回避においてVEGFR、FGF受容体(FGFR)、及びコロニー刺激因子1受容体(CSF1R、Fmsとしても知られる)が果たす役割について、証拠が存在する。腫瘍により分泌されたVEGFは、T細胞におけるVEGFRシグナル伝達経路を活性化することが可能であり;これが、T細胞の抗腫瘍活性を低下させるプログラム細胞死タンパク質1(PD−1)受容体の過剰発現をもたらす(6)。さらに最近では、腫瘍関連マクロファージの増殖及び分化の誘導、それによる腫瘍の免疫回避の増大における、FGFR及びCSF1Rの役割が実証されている(7)。
VEGFR、FGFR、及びCSF1Rが介在する経路を同時に遮断するために多数のキナーゼを標的とすることは、腫瘍の血管新生及び腫瘍の免疫回避を防止する一層効果的な方法である可能性があり、したがってがん治療のための魅力的な手法に相当する。
式Aの化合物(「化合物A」及び「式Aの化合物」は本明細書中において互換的に使用される)、すなわちN−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1−(3−((4−((2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)ピリミジン−2−イル)アミノ)フェニル)−メタンスルホンアミド)、及びその薬学的に許容可能な塩のうち少なくともいずれか一方は、現在は特許文献1(特許’658)として特許されている、2010年11月23日に出願されたPCT/CN2010/078997号の国内段階である米国特許出願第13/510,249号明細書(出願’249)において開示された。特許’658はその全体が参照により本願に組込まれる。
化合物Aは、VEGFR1、2、及び3、FGFR1、並びにCSF1Rの選択的かつ有力な小分子チロシンキナーゼ阻害剤であり(8)、広範囲なキナーゼスクリーニング(補足表1)において選択性を実証済みである。このヒト初回投与研究の目的は、最大耐用量(MTD)、及び進行した固形腫瘍の患者における化合物Aのさらなる第2相調査のための推奨用量を決定することであった。加えて、本研究は、化合物Aの安全性、薬物動態(PK)、及び腫瘍反応を調査するために設計された。
米国特許第8658658号明細書
第1の態様では、患者の固形腫瘍を治療する方法であって、治療を必要としている患者への、治療上有効な量の化合物であってVEGFR1、2、及び3、FGFR1、並びにCSF1Rの阻害剤である化合物の投与を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、化合物は化合物Aである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は神経内分泌腫瘍(NET)である。
第2の態様では、患者の固形腫瘍を治療する方法であって、治療を必要としている患者への、200〜350mgの範囲の量の化合物Aの1日1回の投与を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、化合物Aの1日1回の量は200、300、又は350mgである。いくつかの実施形態では、固形腫瘍はNETである。いくつかの実施形態では、1日1回の化合物Aは300mgの量である。いくつかの実施形態では、1日1回の化合物Aは350mgの量である。いくつかの実施形態では、該方法は、20.0%超のORR(奏効率)及び65.0%超のDCR(疾患制御率)を示す。いくつかの実施形態では、該方法は、20.0%超のORR(奏効率)、60.0%超のDCR(疾患制御率)を示す。いくつかの実施形態では、該方法は、30.0%超のORR(奏効率)、70.0%超のDCR(疾患制御率)を示す。いくつかの実施形態では、該方法は、30.0%超のORR(奏効率)、80.0%超のDCR(疾患制御率)、及び15.0か月を超えるPFS(無増悪生存期間)中央値(95%CI:10.3−NR)を示す。
第3の態様では、患者のNETを治療する方法であって、治療を必要としている患者への、300mgの量の化合物Aの1日1回の投与を含む方法が提供される。
第4の態様では、患者のNETを治療する方法であって、治療を必要としている患者への、200〜300mgの範囲の量の化合物Aの1日1回の投与を含み、該方法は30.0%超のORR(奏効率)、80.0%超のDCR(疾患制御率)、及び15.0か月を超えるPFS(無増悪生存期間)中央値(95%CI:10.3ヶ月−NR)を示す、方法が提供される。
第5の態様では、患者の固形腫瘍を治療する方法であって、治療を必要としている患者への、300mgの量の化合物Aの1日1回の投与を含み、該方法は20.0%超のORR(奏効率)、及び60.0%超のDCR(疾患制御率)を示す、方法が提供される。
第6の態様では、患者の固形腫瘍を治療する方法であって、治療を必要としている患者への、350mgの量の化合物Aの1日1回の投与を含み、該方法は30.0%超のORR(奏効率)、及び70.0%超のDCR(疾患制御率)を示す、方法が提供される。
上記の態様それぞれについて:いくつかの実施形態では、化合物Aは、5、25、50、又は200mgの化合物Aを含む医薬組成物の形態で投与され;いくつかの実施形態では、化合物Aは、50又は200mgの化合物Aを含む医薬組成物の形態で投与され;いくつかの実施形態では、化合物Aは、5、25、50、又は200mgの化合物Aを含むカプセルの形態で投与され;いくつかの実施形態では、化合物Aは、50又は200mgの化合物Aを含むカプセルの形態で投与され;いくつかの実施形態では、カプセルは形態Iの化合物A(米国特許第8,658,658B2号明細書を参照)を含む。いくつかの実施形態では、形態Iの化合物Aは、11.0μM以下のD90値で微粉化されている。いくつかの実施形態では、形態Iの化合物Aは、3.0〜11.0μMの範囲のD90値で微粉化されている。
本明細書中で使用されるように、用語「D90値」は、粒子径の90%(個数比)がその値以下であることを指す。例えば、D90=3.5μMは、粒子径の90%(個数比)が3.5μM以下であることを意味し;D90=10.8μMは、粒子径の90%(個数比)が10.8μM以下であることを意味する。
第1相試験の設計について説明する図。化合物Aの用量は、少なくとも3名の評価可能な患者が「材料及び方法」の部で述べる基準に従ったDLT観察期間の完了に成功した場合に、フィボナッチ変法(modified Fibonacci)3+3プロトコールに従い(MTDに遭遇するまで)漸増された。プロトコールは400mg QDまでの用量漸増を計画したが;しかし350mg QDの用量における薬物曝露量(AUC、Cmax)は300mg QDに対して増加しなかった。利用可能なPK、安全性、及び効力のデータに基づいて、治験責任医師及び治験依頼者は、たとえMTDに到達しなかったとしても400mg QD以上へのさらなる用量漸増は無いことに合意した。各患者に用量が割り当てられ、本研究の期間中はその用量が投与された。腫瘍拡大相は、用量漸増相の結果に基づいた第2相の推奨用量の決定に続いて開始された。AUC、曲線下面積;BID、1日2回;Cmax、最高濃度;DLT、用量制限毒性;F、処方物;MTD、最大耐用量;PK、薬物動態;QD、1日1回。 化合物Aの処方物2を用いて治療された効力評価可能な患者(N=28)についての、ベースラインと比較した腫瘍サイズ(標的病変部の直径の合計)の最高の変化率(%)について説明する図。GI、胃腸;HCC、肝細胞癌;NET、神経内分泌腫瘍;PD、進行;PNET、膵臓神経内分泌腫瘍;PR、部分奏効(partial response);SD、安定(stable disease);VEGFR、血管内皮細胞増殖因子受容体。 化合物Aの処方物2を用いて治療されたNETの患者(N=21)におけるPFSのカプラン−マイヤー生存曲線を示す図。NET、神経内分泌腫瘍;PFS、無増悪生存。 患者の内訳について説明する図。登録時、患者にはフィボナッチの3+3用量漸増設計に従って用量が逐次的に割り当てられた。患者には研究停止までその用量の投与が継続された。DLT観察期を完了した患者は、疾患の進行又は任意の他の中止基準に直面するまではもとの用量での治療を続けることが可能であった。BID、1日2回;DLT、用量制限毒性;QD、1日1回。
実験
I.CSF1Rの阻害
Fmsに対する化合物Aの阻害を、英国ユーロフィンファーマディスカバリーサービス社(Eurofins Pharma Discovery Services UK Ltd)が有する[32p−ATP]取り込みアッセイを使用して測定した。Fmsキナーゼを、8mMのMOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸ナトリウム)pH7.0、0.2mMのEDTA(エチレンジニトリロ四酢酸二ナトリウム塩)、250μMのKKKSPGEYVNIEFG(ペプチド)、10mMの酢酸Mg及び[γ−33P−ATP](比活性およそ500cpm/pmol、必要に応じた濃度)とともにインキュベートした。反応はMgATP混合物の添加により開始した。室温で40分間のインキュベーションの後、反応を3%リン酸溶液の添加によって停止した。反応物のうち10μLを次いでP30フィルタマット(filtermat)上にスポットし、75mMのリン酸の中で5分間を3回及びメタノール中で1回洗浄してから乾燥及びシンチレーション計数を行った。
結果:Fmsキナーゼに対する化合物AのIC50は0.004μMと測定された。
II.第1相臨床試験
概要
この第1相試験(NCT02133157)では、進行した固形腫瘍の患者における化合物Aの最大耐用量(MTD)、第2相の推奨用量、安全性、及び薬物動態を評価した。
本研究は、MTD、第2相の用量、用量制限毒性(DLT)、及び薬物動態を調査するフィボナッチ(3+3)の設計を用いた用量漸増相(50〜350mg/日、28日サイクル)と;特定された化合物A用量に対する腫瘍反応(RECIST V1.0基準)を調査する腫瘍特異的拡大相とで構成された。安全性は全体にわたって評価した。2つの処方物すなわち:処方物1(5mg、25mg、及び50mgのカプセル剤)並びに処方物2(50mgおよび200mgのカプセル剤)を評価した。処方物1及び処方物2に含まれる添加剤はほぼ同様である。処方物1の化合物Aは微粉化されていないが、処方物2の化合物Aは微粉化されている。
77名の中国人患者に化合物Aを経口投与した。化合物Aへの曝露量は50〜300mgの用量に比例して概ね増大し、300mgを超えると安定水準に達したが;MTDには到達しなかった。DLT(用量制限毒性)には、肝機能検査及び凝固検査の異常並びに上部消化管出血が含まれた。最も一般的な治療関連の有害事象(AE)は、蛋白尿、高血圧、及び下痢であった。化合物Aの処方物2を投与されている34名の患者の中で、肝細胞癌の患者1名及び神経内分泌腫瘍(NET)の患者8名は部分奏効に達し;15名の患者は安定であった。奏効率は26.5%(9/34)であり、疾患制御率は70.6%(24/34)であった。
材料及び方法
患者
患者は、中華人民共和国北京市の中国人民解放軍第307医院、及び中華人民共和国北京市の北京大学がん病院から募集した。再発性及び転移性のうち少なくともいずれか一方の悪性固形腫瘍の患者であって、標準的治療の後に疾患が進行したか若しくは標準的治療を受けることができなかった患者、又は標準的治療が無かった患者を、本研究に適格とした。適格の患者は、18〜75歳で、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンス・ステータスが≦1であり、かつ平均余命が3か月超であった。制御不良の脳転移を有する患者は除外した。治療前の評価には:理学的検査;ECOGパフォーマンス・ステータス;腎機能、肝機能、及び代謝機能についての検体検査;心臓機能(心電図及び心臓超音波検査);並びに出産年齢の女性患者についての妊娠試験、を含めた。
研究の設計及び用量投与
この非盲検でヒト初回投与の第1相試験(NCT02133157)の主目的は、化合物AのMTD及び第2相用量を決定すること、並びに進行した固形腫瘍の患者における化合物Aの安全性を評価することであった。二次的かつ試験的な目的には、化合物AのPK及び予備的な抗腫瘍活性の評価が含まれた。
本研究は、用量漸増相(単回投与期間及び連続投与期間に分かれる)及び腫瘍特異的拡大相で構成された(図1)。化合物Aの2つの処方物が本研究の間に使用された、すなわち処方物1(5、25、及び50mgのカプセル剤)並びに処方物2(50及び200mgのカプセル剤)である。
本研究は、医薬品規制調和国際会議(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)の、臨床試験の実施に関する基準ガイドライン(Good Clinical Practice Guidelines)に従って行なわれた。プロトコールは各々の参加機関の倫理審査委員会によって承認された。全ての患者について、書面での告知に基づく同意を提供することを必須とした。
用量漸増相
用量漸増相の間、患者に化合物Aを単回投与し、有害事象(AE)について7日間モニタリングした。臨床的に重大な毒性が観察されなければ、患者は28日間の用量制限毒性(DLT)観察相に入ることが可能であり、そこでは患者に化合物Aを28日間連続して投与した。DLTは、28日間の最後に評価した。どの患者にも28日間の期間にDLTが生じなければ、用量を上げた(図1)。DLT観察相の完了後、患者は、中止基準(中止が患者にとって最善であるという治験責任医師の判断、許容不可能な毒性、疾患の進行)のうちいずれかを満たすまで、実施中の用量での化合物Aの治療を継続することが可能であった(患者が治療から利益を得ていると治験責任医師が判断した場合)。
本研究は、少なくとも3名の評価可能な患者が各用量で治療されるフィボナッチ変法3+3用量漸増設計を使用した。合計で、12の用量コホートについて評価した(図1)。MTDは、6名の評価可能な患者のうち多くとも1名にしか最初の28日間の治療期間(サイクル)の間にDLTが生じない最大用量として定義した。各用量について、いずれの患者にも治療サイクル中にDLTが生じなかった場合、用量を次の用量コホート用に漸増した。ある用量で治療された最初の3名の患者のうちの1名にDLTが生じた場合、コホートを拡張するために3名の追加の患者を加えた。6名の患者のうち1名にDLTが生じた場合、MTDを超過したと考え、MTDを決定するためにその前のより低い用量について再評価することにした。最初の治療サイクルを完了し、かつ計画された累積用量のうち≧75%を全うした患者、又は最初の治療サイクル中の任意の時点でDLTが生じた患者を、DLT評価可能な患者と見なした。用量減少は最初の治療サイクルにおいては不可とした。
腫瘍特異的拡大相
MTD/第2相推奨用量が確立されて用量漸増相からの予備的効力データが有効用量範囲を実証した(部分奏効[PR]が観察された)後、進行した固形腫瘍の患者における特定された用量(300mg及び350mg、1日1回{QD}[処方物2])での腫瘍反応を調査するために研究を拡張した。神経内分泌腫瘍(NET)の患者は、用量漸増段階においてこれらの種類の腫瘍で予備的効力が示されたので、優先的に登録した。
エンドポイント及び分析
毒性及びDLTの評価
安全性及び忍容性を、本研究全体を通じた治験薬投与のうち少なくとも1つの用量を投与された全ての患者において評価した。AEを本研究全体にわたって記録した。AEは全て、医薬規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)バージョン17.0による基本語(preferred terms)を用いて臓器系によりコード化した。AEは全て、米国国立がん研究所の有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン3.0を使用して等級分けした。AEの頻度、種類、重症度、及び治験薬との関係を、重篤なAE(SAE)又は死亡の出現率と共に概括して作表した。治療関連AE(TRAE)は、本研究の治療と関連する可能性がある、恐らくは関連する、又は明確に関連するものと治験責任医師によってみなされたAEとして定義した。
DLTは、用量漸増相の最初の連続投与治療サイクル(第1〜28日)に生じる次の毒性すなわち:重症度が≧グレード3の任意の非血液学的毒性、ただし疲労、悪心、嘔吐、下痢、便秘、疼痛、及び高血圧を除き、これらについては適切な治療の後に≧グレード3の重症度であればDLTとみなす;血液学的毒性、例えばグレード4の、白血球数、血小板数又はヘモグロビンの減少;グレード3の発熱性好中球減少症;並びにグレード3の、出血傾向を伴う血小板減少、のうち任意のものとして定義した。
理学的検査値、ECOGパフォーマンス・ステータス、及び検体検査値を、単回投与スクリーニング期間において第1日に取得し、かつ連続投与期間中は第1の治療サイクルでは週1回、第2の治療サイクルでは2週間に1回、及び治療サイクル3以降は4週間に1回収集した。
PKの評価
定常状態における化合物AのPKの評価については、各患者から血漿試料を、QDコホートについては第14日の投与前、1、2、4、8、12、及び24時間において、又は1日2回(BID)コホートについては第14日の投与前、最初の投与後1、4、8、及び12時間において、採取した。
分析したPKパラメータには、濃度時間曲線下面積(AUC)、最高濃度(Cmax)、及びCmax到達時間(Tmax)が含まれた。Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)6.3ソフトウェアを、濃度データ及びPKパラメータの記述統計の分析、並びに血漿濃度時間曲線のプロットを行うために使用した。AUCは、線形台形面積法を使用して計算した。
臨床反応
腫瘍反応(探索的エンドポイント)を、固形腫瘍の治療効果判定基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)(RECIST)バージョン1.0に従って評価し、かつベースライン時に、並びに最初の4サイクル及びその後1サイクルおきの各治療サイクルの終わりに、計測した。完全寛解(CR)又は部分奏効(PR)の初期評価を有する患者は、その結果を少なくとも4週間後の反復腫瘍評価によって確認する必要があった。次のパラメータすなわち:奏効率(ORR)(CR+PR);安定(SD)であって、研究への登録の少なくとも6週間後にSDが≧1の評価として定義されるもの;疾患制御率(DCR)(CR+PR+SD)、の計算を行った。奏効までの時間(TTR)、奏効期間(DoR)、及び無増悪生存期間(PFS)を、NET患者のサブグループにおいて評価した。
結果
患者の基本的な特性
77名の中国人患者が2010年4月から2014年9月の間に登録され、2015年7月まで経過調査された。最初の43名の患者は化合物A処方物1を投与され、残り34名の患者は化合物A処方物2を投与された(図4)。処方物1及び2を用いて治療された患者についての基本的な人口統計学的かつ臨床的な特性は表1に概括されている。
化合物Aへの曝露量、用量漸増、及びDLT
66名の患者が用量漸増相に登録され;このうち53名(80.3%)が最初の治療サイクルを完了した。停止の理由は、疾患の進行(n=3)又は疾患の悪化(n=1;合計でn=4、6.1%)、同意の上の中止(consent withdrawal)(n=4、6.1%)、DLT(n=3、4.5%)、及び治験責任医師の判断(n=2、3.0%)であった。
用量漸増相では、43名の患者が、50mg、75mg、110mg、150mg、200mg、265mg、及び300mg QD、並びに125mg及び150mg BIDの用量の化合物A処方物1を用いた連続治療を受けた(添付の図1)。処方物1を用いた治療期間の中央値は32.5日(2〜269日の範囲)であった。3名の患者にDLTが生じた(1名は化合物Aの50mg QDでグレード3の凝血異常;1名は化合物Aの265mg QDでグレード3の上部消化管[GI]出血;1名は化合物Aの150mg BIDでグレード3の肝機能異常)。
23名の患者には、用量漸増相の間に200mg、300mg、及び350mg QDの用量で化合物A処方物2が投与された(添付の図1)。加えて、11名の患者は、拡大相の際に300mg又は350mg QDの化合物A処方物2を用いる治療を受けた。処方物2を用いた治療期間の中央値は147.5日(9〜644日の範囲)であった。200mg QDの化合物A処方物2を投与されている1名の患者に、DLT(グレード3の肝機能異常)が生じた。
MTDには、最大で350mg QD(処方物2)の化合物A用量を用いても達しなかった。初期の計画は、処方物2の用量を最大で400mgQDまで漸増することであったが;350mg QDの用量における薬物曝露量(AUC、Cmax)は、300mg QDを用いた薬物曝露量より高くはなかった。利用可能なPK、安全性、及び効力のデータに基づき、治験責任医師及び治験依頼者は、MTDには到達しなかったがそれ以上用量漸増しないことに合意した。
安全性
処方物1
処方物1を投与されている42名の患者(97.7%)に1以上のAEが生じた。最も一般的なTRAE(≧10%の患者に発生)は:無力症;血中ビリルビン増加;蛋白尿;アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加;下痢;血圧上昇;低マグネシウム血症;白血球数増加;腹痛;血尿;低カルシウム血症;低カリウム血症;及び発熱であった。
グレード3のTRAEの発生率は25.6%であり、このうち最も一般的なものはAST増加(n=2、4.7%)及びヘモグロビン減少(n=2、4.7%)であった。他の全てのグレード3のTRAE(腹痛、下痢、上部GI出血、胃機能不全、肝機能異常、胃腸炎、感染症、アラニントランスアミナーゼ(ALT)増加、血圧上昇、凝固検査異常、低カリウム血症、低蛋白血症、ネフローゼ症候群、及び腎盂尿管通過障害)の発生率は、全て2.3%(n=1)であった。
グレード4又はグレード5のTRAEは無かった。5例のSAEがあり、そのうち3例は治験責任医師により治験薬に関連している可能性があると見なされたが、これらは:グレード3のネフローゼ症候群及びグレード3の上部GI出血(両方とも265mg QDを投与されている患者);並びに150mg BIDを投与されている患者のグレード3の肝機能異常であった。これらの3名の患者は化合物Aを停止して支持療法を受けた。グレード3の肝機能異常の患者は最後の治験投薬の23日後に死亡し;治験責任医師により疾患の進行が死亡の根本原因とみなされた。
処方物2
処方物2を用いる治療を受けた全ての患者に少なくとも1つのAEが生じた。最もよく報告された全てのグレードのTRAE(患者の≧10%に発生)を表2にまとめる。グレード3及びグレード4のTRAEの全体的な発生率は47.1%であり、最も一般的なものは蛋白尿であった(14.7%;表2)。グレード5のAEは報告されなかった。
8例のSAEが報告され、そのうち2例は治験責任医師により治験薬に関連している可能性があると見なされたが、これらは:300mg QDの用量コホートにおけるグレード3の上部GI出血;及び350mg QDの用量コホートにおけるグレード3の急性膵炎の症例であった。大多数のSAEは、腹腔内出血(治験薬とは無関係)及び椎間板突出(治験薬に関連している可能性は低い)を除いて解消された。
薬物動態プロファイル
68名の患者が定常状態のPK評価に適格であり、化合物A処方物1を投与された40名の患者及び処方物2を投与された28名の患者が含まれていた(表3)。
処方物1
50mg〜265mgの用量範囲内で14日間の連続QD投与の後、化合物A曝露量(AUCによって示される)は概して用量に比例して増加した。用量が265mgから300mgまで増加した時にはAUCの増加はなかった。Tmax中央値には1.8〜3.5時間の幅があった。Cmax及びAUCはいずれも高い被験者間変動を示し、最大でCmaxについては69.5%(75mgの群)及びAUCについては68.8%(300mgの群)のCV%であった。14日間のBID投与の後、平均AUC値は125及び150mgにおいて類似しており(1977対1952ng・h/mL)、CV%は最大で64.8%であった。
処方物2
14日間の連続QD投与の後、200、300、及び350mgにおける平均AUCはそれぞれ4273、5116、及び5289ng・h/mLであったが、これは化合物A曝露量という点で300mg及び350mgは同様であるが200mgよりは高いということを示していた。被験者間の変動は、最大でAUCについては55%及びCmaxについては73.1%のCV%で示されるように、高かった。Tmax中央値は本試験の用量レベルでは1.0〜2.0時間の幅があった。
臨床反応
化合物A処方物1を用いる治療を受けた43名の患者の中で、12名の患者は、彼らが治療後の腫瘍の評価を受けなかったか、又は彼らが最初の治療後評価(第4週)においてはSDであったがそのSDがベースラインから最低6週間継続したことを実証するための追加の評価を受けなかったかのいずれかの理由で、効力については評価不能であった。RECIST基準によって評価可能な31名の患者のうち、いずれの患者もCR又はPRは達成せず;8名の患者がSD、23名が進行(PD)であった。
処方物2を用いる治療を受けた34名の患者の中で、6名の患者は、サイクル1における早期停止により反応については評価不能であった(添付の図1)。28名のRECIST基準により効力を評価可能な患者のうち、9名の患者がPRを達成し(図2);1名は化合物Aの200mg QDの投与を受けている肝細胞癌の患者、及び8名は化合物Aの300又は350mg QDの投与を受けているNETの患者であった。15名のSDの患者(10名の患者はNET、3名は肝細胞癌、1名はGI間質腫瘍、及び1名の患者は腹部悪性腫瘍)、並びに4名のPDの患者がいた。
77名全ての患者の中で、ORRは11.7%(9/77)であり、DCRは41.6%(32/77)であった。化合物A処方物2を用いる治療を受けた患者のORRは26.5%(9/34)であり、DCRは70.6%(24/34)であった。
腫瘍反応は、最高用量の処方物2を投与されている患者の間で類似していた(300mgQD:ORR 27.8%、DCR 66.7%[n=18];350mgQD:ORR 33.3%、DCR 77.8%[n=9])。
200〜350mgにわたるQDでの投薬で化合物A処方物2を用いる治療を受けた21名のNET患者がいた。このサブグループの中ではORRは38.1%(8/21)及びDCRは85.7%(18/21)であり;8名の患者がPRを達成し、10名の患者がSDを達成し、3名の患者が反応について評価不能であった。
PRを達成した8名のNET患者の腫瘍の起原は:膵臓(n=3);十二指腸(n=1);直腸(n=1);胸腺(n=1);及び起原不明(n=2)であった。奏効までの時間(TTR)の中央値は3.8か月(1.4〜11.1か月の範囲)であった。DoR中央値は、17.0か月(95%信頼区間[CI]:8.3か月−未到達[NR])であった。PFS中央値は18.3か月(95%CI:10.3か月−NR)であった(図3)。注目すべきことに、事前にVEGFRキナーゼ阻害剤(スニチニブ又はファミチニブ(famitinib)など)を用いる治療を受けたが進行した3名のNET患者が化合物Aから大きな臨床的利益を得て、2名の患者はSDを達成し、1名の患者はPRを達成している(治療期間は5.5〜12.6か月)。
他のキナーゼを上回る優れた選択性を伴ってVEGFR、FGFR1、及びCSF1Rを標的としている有力な経口キナーゼ阻害剤である化合物Aは、前臨床研究において抗血管新生及び抗腫瘍活性を実証済みである(ハッチソン メディファーマ(Hutchison MediPharma)の未発表データ)。このヒト初回投与の第1相試験は、進行した固形腫瘍の患者における化合物Aの安全性、PK特性、及び抗腫瘍活性を測定するために設計された。
50〜350mg QD及び125〜150mg BIDの化合物Aの用量の範囲内では、MTDには到達しなかった。化合物Aは概ね良好な忍容性を有するように思われた。ほとんどのAEは軽度から中等度であり、用量調整又は支持療法を通じて管理可能であった。高血圧、蛋白尿、及び下痢などの最も多く報告されたAEは、VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤で見られるAEと一致していた(9〜12)。
PK分析から、経口の化合物Aは急速に吸収され、かつ薬物曝露量(AUC及びCmax)は用量の増加につれて概ね増加することが実証された。薬物曝露量は、処方物1については265mg及び処方物2については300mgの用量で安定水準に達し始め、吸収が飽和している可能性が示唆された。薬物曝露量における患者間の変動は、処方物1については全ての用量レベルにわたって中等度〜高度であることが分かり、処方物2についてはやや改善されるように思われた。
化合物Aは、進行した固形腫瘍に対する将来性ある抗腫瘍活性を示し;合計77名の患者のうち、9名の患者がPRと確認され、23名は持続可能なSDであった。臨床的効力は、200mg QDからの用量の化合物A処方物2で見られ、9名の患者でPRが達成され、15名の患者でSDが報告された。
切除不能又は転移性のNETは、有効な治療選択肢が限られた生死にかかわる疾患である(13〜15)。生存期間中央値は、原発腫瘍部位に応じて数か月から数年まで様々である(16)。近年、多標的キナーゼ阻害剤である(VEGFR1、2、3;血小板由来成長因子受容体[PDGFR]−α及び−β、kit、fms様チロシンキナーゼ3[FLT−3]、並びにリアレンジドデューリングトランスフェクション(rearranged during transfection)[RET]を標的とする)スニチニブは、進行した膵NETの治療について米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。経口の哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)阻害剤であるエベロリムスは、膵臓、GI、及び肺のNETの治療について米国FDAによって承認されている。第3相試験では、いずれの治療法でも<10%のORR(スナチニブ(sunatinib)では膵NETにおいて9.3%、エベロリムスでは膵NETにおいて5%並びにGI及び肺のNETにおいて2%)と、およそ11か月のPFS中央値とが実証されている(11、17、18)。
化合物A処方物2を用いる治療を受けた21名の進行NET患者における効力に関するこの予備的研究では、38.1%のORR、85.7%のDCR、及び18.3か月のPFS中央値(95%CI:10.3か月−NR)を伴って、確固たる臨床活性が実証された。注目すべきことに、腫瘍の起原に関係なくNET患者において、かつさらにはかつて他のVEGFR阻害剤を用いた治療に失敗した3名の患者においても、化合物Aによって抗腫瘍活性が実証された。これは、腫瘍の血管新生及び免疫回避の両方を同時に標的とする化合物Aが、NET患者に臨床的利益を提供しうることを示唆している(7、19)。化合物Aの抗腫瘍活性の作用機構のさらなる調査は、前臨床及び臨床いずれの場においても進行中であり、進行した固形腫瘍における化合物Aの使用についてさらなる支持を提供する可能性がある。
本研究ではMTDに到達しなかった。PK、安全性及び効力の結果に基づいて、300mg QDをさらなる効力評価のための推奨用量として選択した。化合物Aは最大350mg QDまで良好な忍容性を有していたが、薬物曝露量(AUC)は300mg QDから350mg QD(処方物2)へと用量を増加してもほとんど変化しなかった。この調査結果は、吸収における飽和の可能性と、さらなる用量漸増が薬物曝露量の増加を達成することはないであろうこととを示唆していた。化合物Aの300mg及び350mg QDの投与を受けた患者におけるAEを比較すると、連続投与期間の最初のサイクルの間に350mgの用量でグレード≧3のAEの発生率がより高かった。
これらの2つの用量コホート(処方物2)から、300mg QDの群の患者(n=18)については27.8%のORR及び66.7%のDCR、並びに350mg QDの群(n=9)では33.3%のORR及び77.8%のDCRの、同等の抗腫瘍活性が実証されたが;しかしながら標本サイズは小さかった。総合すると、PK、安全性、及び効力のデータは、第2相推奨用量としての300mg QDの選択を支持している。
効力の分析は、標本サイズが小さいこと、及び比較対照薬のない非無作為化で非盲検の研究設計であることから、慎重に解釈されるべきである。それでもなお、本研究の予備的な結果は、化合物Aのさらなる抗腫瘍効力の評価を当然とするのに十分な支持を提供している。
概括すると、化合物Aは、腫瘍の血管新生及び免疫回避を同時に標的とする経口キナーゼ阻害剤である。該化合物は、NETのような進行した固形腫瘍の患者における将来性ある抗腫瘍活性を実証しており、概ね良好な忍容性を有していた。全体的な安全性及び忍容性、PK特性、並びに予備的な臨床的効力に基づくと、第2相臨床試験のために選択された用量は化合物A 300mg QDであった。化合物A 300mg/日は、NETのような進行した固形腫瘍の患者において、許容可能な安全性プロファイル及び有望な抗腫瘍活性を示した。
本研究及び進行中のNET患者81名における第2相試験(NCT02267967)の結果から、2つの無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第3相試験が、中華人民共和国において現在進行中であり、1つは膵NETの患者におけるもの(NCT02589821)、及び1つは膵外NETの患者におけるもの(NCT02588170)である。
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Claims (13)

  1. 患者の固形腫瘍を治療する方法であって、それを必要としている患者への、治療上有効な量の化合物であってVEGFR1、2、及び3、FGFR1、並びにCSF1Rの阻害剤である化合物の投与を含む方法。
  2. 化合物はN−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1−(3−((4−((2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)ピリミジン−2−イル)アミノ)フェニル)−メタンスルホンアミドである、請求項1に記載の方法。
  3. 固形腫瘍は神経内分泌腫瘍(NET)である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 患者の固形腫瘍を治療する方法であって、それを必要としている患者への、200〜350mgの範囲の量の1日1回のN−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1−(3−((4−((2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)ピリミジン−2−イル)アミノ)フェニル)−メタンスルホンアミドの投与を含む方法。
  5. 1日1回のN−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1−(3−((4−((2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)ピリミジン−2−イル)アミノ)フェニル)−メタンスルホンアミドは、200、300、又は350mgの量である、請求項4に記載の方法。
  6. 固形腫瘍はNETである、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 該方法は20.0%超のORR(奏効率)及び65.0%超のDCR(疾患制御率)を示す、請求項4又は5に記載の方法。
  8. 1日1回のN−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1−(3−((4−((2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)ピリミジン−2−イル)アミノ)フェニル)−メタンスルホンアミドは300mgの量である、請求項5に記載の方法。
  9. 該方法は20.0%超のORR(奏効率)及び60.0%超のDCR(疾患制御率)を示す、請求項8に記載の方法。
  10. 1日1回のN−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1−(3−((4−((2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)ピリミジン−2−イル)アミノ)フェニル)−メタンスルホンアミドは350mgの量である、請求項5に記載の方法。
  11. 該方法は30.0%超のORR(奏効率)及び70.0%超のDCR(疾患制御率)を示す、請求項10に記載の方法。
  12. 該方法は30.0%超のORR(奏効率)、80.0%超のDCR(疾患制御率)、及び15.0か月を超えるPFS(無増悪生存期間)中央値(95%CI:10.3−NR)を示す、請求項6に記載の方法。
  13. 患者のNETを治療する方法であって、それを必要とする患者への、300mgの量の1日1回のN−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1−(3−((4−((2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)ピリミジン−2−イル)アミノ)フェニル)−メタンスルホンアミドの投与を含む方法。
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