JP2019527037A - がんのための診断及び治療方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、がんのための診断及び治療方法を提供する。本発明は、がんを有する患者がH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に応答する可能性が高いかどうかを決定する方法、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対するがんを有する患者の応答性を予測する方法、がんを有する患者のために治療を選択する方法、及び本発明のバイオマーカーの発現レベル(例えば、SMARCA2の発現レベルまたはSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベル)に基づいてがんを処置する方法を提供する。【選択図】なし

Description

配列表
本出願には、ASCII形式にて電子的に提出され、かつ全体が援用により本明細書に組み込まれる配列表が含まれている。2017年6月7日に作成された該ASCIIコピーは、名称が50474−141WO2_Sequence_Listing_6.7.17_ST25、サイズが201,338バイトである。
本発明は、H3K27メチル化の阻害剤を使用する増殖細胞性疾患(例えば、がん)の処置のための診断及び治療方法を対象とする。関連するキット及び組成物も提供される。
がんは、依然としてヒトの健康に対する最も致命的な脅威の1つである。ある特定のがんは、転移性であり、無制御な様式で急速に成長するため、適時な検出及び処置が極めて困難である。米国において、がんは、毎年130万人近い新たな患者を襲っており、心臓疾患に次いで死亡原因の第2位であり、死亡者の4人に1人を占める。
ヒトがんの約20%が、ヒストン−DNA間の接触を妨害することによって遺伝子調節に影響を与えるクロマチン再構成複合体であるSWI/SNF複合体のサブユニットにおける体細胞変異と関連付けられる。SWI/SNF複合体は、約12個のサブユニットで構成され、これらのサブユニットは、2つの相互排他的な触媒ATPaseサブユニットであるSMARCA4(BRG1)及びSMARCA2(BRM);SMARCB1(SNF5、INI1)、SMARCC1、及びSMARCC2を含むいくつかの追加のコア複合体メンバー;ならびにSWI/SNF複合体の2つの種類専用のサブユニット(すなわち、BAF複合体のARID1AサブユニットならびにPBAF複合体のARID2及びPBRM1サブユニット)からなる。一般に、特定のSWI/SNF突然変異によって引き起こされる腫瘍形成の根底にある機序は、特性が明らかになっていない。
ポリコーム抑制群2(PRC2)複合体であるSWI/SNF複合体のアンタゴニストは、ヒストン3におけるリジン27(H3K27)のメチル化による転写サイレンシングに関与するヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2を含有する。いくつかの場合には、EZH2の標的化により、関連する診断バイオマーカーが欠如していながらも、抗腫瘍利益をもたらすことができる。
そのため、依然として、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を含む処置に最適な患者集団を診断及び処置するための改善した方法を開発する必要がある。
本発明は、増殖細胞性疾患(例えば、がん)の処置のための診断及び治療方法、キット、ならびに組成物を提供する。
一態様では、本発明は、ヒストン3リジン27(H3K27)メチル化の1つ以上の阻害剤を含む処置の利益を受け得るがんを有する患者を特定する方法であって、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することを含み、参照発現レベルと比較して減少した試料中のSMARCA2の発現レベルにより、患者が前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者として特定される方法を特色とする。
別の態様では、本発明は、がんを有する患者の処置の治療有効性を最適化する方法であって、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することを含み、参照発現レベルと比較して減少した試料中のSMARCA2の発現レベルにより、患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される方法を特色とする。
別の態様では、本発明は、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対するがんを有する患者の応答性を予測する方法であって、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することを含み、参照発現レベルと比較して減少した試料中のSMARCA2の発現レベルにより、患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される方法を特色とする。
別の態様では、本発明は、がんを有する患者のために処置を選択する方法であって、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することを含み、参照発現レベルと比較して減少した試料中のSMARCA2の発現レベルにより、患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される方法を特色とする。
先行する態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルは、参照発現レベルと比べて少なくとも約10%減少する。いくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルは、参照レベルと比べて少なくとも約25%減少する。いくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルは、参照レベルと比べて少なくとも約50%減少する。いくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルは、参照レベルと比べて少なくとも約75%減少する。いくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルは、参照レベルと比べて少なくとも約90%減少する。SMARCA2の発現レベルは、発現レベルの中央値または発現レベルの平均値であり得る。いくつかの実施形態では、参照発現レベルは、(i)前の時点で患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベル、(ii)参照集団内のSMARCA2の発現レベル、(iii)SMARCA2について事前に割り当てられた発現レベルからなる群から選択される。SMARCA2の参照発現レベルは、発現レベルの中央値または発現レベルの平均値であり得る。
先行する態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、SMARCA2の発現レベルはmRNA発現レベルである。いくつかの実施形態では、mRNA発現レベルは、RNA−Seq、PCR、qPCR、RT−PCR、インサイツハイブリダイゼーション、遺伝子発現プロファイリング、遺伝子発現の逐次分析、またはマイクロアレイ分析によって決定される。いくつかの実施形態では、mRNA発現レベルは、RNA−Seqによって決定される。いくつかの実施形態では、mRNA発現レベルは、qPCRによって決定される。いくつかの実施形態では、発現レベルはタンパク質発現レベルである。いくつかの実施形態では、タンパク質発現レベルは、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光、質量分析、フローサイトメトリー、及びウエスタンブロットからなる群から選択される方法を使用して決定される。いくつかの実施形態では、タンパク質発現レベルは、IHCによって決定される。
先行する方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルは、参照レベルと比べて減少し、本方法は、治療有効量のH3K27メチル化の1つ以上の阻害剤を患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することは、SMARCA2の発現レベルを決定した後である。他の実施形態では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することは、SMARCA2の発現レベルを決定する前である。
別の態様では、本発明は、がんを有する患者を処置する方法であって、治療有効量の1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を患者に投与することを含み、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルが、参照発現レベルと比較して減少したことが決定されている方法を特色とする。
先行する方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本発明は、患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27トリメチル化(H3K27me3))の占有レベルを決定することをさらに含む。占有レベルは、患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27のメチル化(例えば、モノメチル化、ジメチル化、またはトリメチル化)(例えば、H3K27me3)であり得る。
別の実施形態では、本発明は、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得るがんを有する患者を特定する方法であって、患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを決定することを含み、参照占有レベルと比較して増加したSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルにより、患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者として特定される方法を特色とする。
別の実施形態では、本発明は、がんを有する患者の処置の治療有効性を最適化する方法であって、患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを決定することを含み、参照占有レベルと比較して増加したSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルにより、患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される方法を特色とする。
別の実施形態では、本発明は、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対するがんを有する患者の応答性を予測する方法であって、患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを決定することを含み、参照占有レベルと比較して増加したSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルにより、患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される方法を特色とする。
別の実施形態では、本発明は、がんを有する患者のために処置を選択する方法であって、患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを決定することを含み、参照占有レベルと比較して増加したSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルにより、患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される方法を特色とする。
いくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、参照占有レベルと比べて少なくとも約10%増加する。いくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、参照占有レベルと比べて少なくとも約50%増加する。いくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、参照占有レベルと比べて少なくとも約100%増加する。いくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、参照占有レベルと比べて少なくとも約500%増加する。いくつかの実施形態では、患者から得られた試料中のH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、参照占有レベルと比べて少なくとも約1,000%増加する。SMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、発現レベルの中央値または発現レベルの平均値であり得る。いくつかの実施形態では、参照占有レベルは、(i)前の時点で患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベル、(ii)参照集団内のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベル、または(iii)事前に割り当てられたSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルからなる群から選択される。SMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の参照占有レベルは、発現レベルの中央値または発現レベルの平均値であり得る。SMARCA2プロモーターにおける参照H3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、ChIP−seqまたはChIP−PCRによって決定され得る。
いくつかの実施形態では、SMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、参照占有レベルと比べて増加し、本方法は、治療有効量の1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することは、SMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを決定した後である。いくつかの実施形態では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することは、SMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを決定する前である。
別の態様では、本発明は、がんを有する患者を処置する方法であって、治療有効量の1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を患者に投与することを含み、患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルが、参照占有レベルと比較して増加したことが決定されている方法を特色とする。いくつかの実施形態では、本方法は、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することをさらに含む。
先行する態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、ヌクレオソーム再構成タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異を特定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオソーム再構成タンパク質はSWI/SNFファミリータンパク質である。いくつかの実施形態では、SWI/SNFファミリータンパク質は、BRG1、SNF5(INI1)、SWI/SNF複合体155kDaサブユニット、SWI/SNF複合体170kDaサブユニット、BAF、zipzapタンパク質、またはBAF180である。いくつかの実施形態では、SWI/SNFファミリータンパク質をコードする1つ以上の遺伝子は、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1からなる群から選択される。
先行する態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、患者から得られた試料は、細胞試料、組織試料、全血試料、血漿試料、または血清試料である。いくつかの実施形態では、試料は腫瘍細胞試料である。いくつかの実施形態では、試料は腫瘍組織試料である。
先行する態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、がんは、SWI/SNFファミリータンパク質をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異を含む(例えば、SWI/SNFファミリータンパク質をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異と関連付けられるまたはそれを特徴とするがん)。いくつかの実施形態では、SWI/SNFファミリータンパク質をコードする1つ以上の遺伝子は、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、SMARCA4、SMARCB1、またはARID1Aのうちの1つ以上における突然変異を含む。
先行する態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、がんは、卵巣癌(例えば、卵巣の小細胞癌、例えば、高カルシウム血症型の卵巣の小細胞癌)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、直腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肛門癌、陰茎癌、及び頭頸部癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは卵巣癌である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は卵巣明細胞癌である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、卵巣の小細胞癌、例えば、高カルシウム血症型の卵巣の小細胞癌である。いくつかの実施形態では、がんは肺癌である。いくつかの実施形態では、がんは胃癌である。いくつかの実施形態では、がんは膀胱癌である。いくつかの実施形態では、がんはラブドイド腫瘍である。いくつかの実施形態では、ラブドイド腫瘍は腎臓癌または脳腫瘍である。いくつかの実施形態では、ラブドイド腫瘍は悪性ラブドイド腫瘍である。いくつかの実施形態では、悪性ラブドイド腫瘍はSMARCB1変異型悪性ラブドイド腫瘍である。
先行する態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤はH3K27メチル化の阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、H3K27メチル化の阻害剤はEZH2阻害剤である。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は小分子である。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、EPZ−6438、CPI−169、CPI−1205、EPZ005687、GSK−126、GSK343、及びGSK503からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤はEPZ−6438である。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤はCPI−169である。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤はCPI−1205である。
いくつかの実施形態では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤は、ポリコーム抑制性複合体2(PRC2)の形成または活性を妨害する。いくつかの実施形態では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤は、SUZ12アンタゴニスト、EEDアンタゴニスト、またはjumonjiアンタゴニストを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のH3K27メチル化の阻害剤及び第2のH3K27メチル化の阻害剤を患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、第1のH3K27メチル化の阻害剤及び第2のH3K27メチル化の阻害剤は同時投与される。他の実施形態では、第1のH3K27メチル化の阻害剤及び第2のH3K27メチル化の阻害剤は逐次投与される。
いくつかの実施形態では、本方法は、追加の治療薬を患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は抗がん剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療薬及び1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤は同時投与される。いくつかの実施形態では、追加の治療薬及び1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤は逐次投与される。いくつかの実施形態では、抗がん剤は、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞毒性剤、放射線療法に使用される薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及び免疫療法剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗がん剤は化学療法剤である。
別の態様では、本発明は、がんに罹患している患者を処置する方法において使用するための1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む組成物であって、患者から得られた試料が、参照発現レベルと比較して減少した試料中のSMARCA2の発現レベルを有することが決定されている組成物を特色とする。
別の態様では、本発明は、がんに罹患している患者を処置する方法において使用するための1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む組成物であって、患者から得られた試料が、参照占有レベルと比較して増加した試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを有することが決定されている組成物を特色とする。
別の態様では、本発明は、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者を特定するためのキットであって、(a)試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することができるポリペプチドまたはポリヌクレオチドと、(b)ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを使用して1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者を特定するための説明書とを含むキットを特色とする。
別の態様では、本発明は、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者を特定するためのキットであって、(a)試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを決定することができる試薬と、(b)試薬を使用して1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者を特定するための説明とを含むキットを特色とする。
先行する態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、患者はヒト患者である。
図1Aは、図1B及び1Cで使用した実験セットアップを示す概略プレート図である。EPZ−6438の濃度をウェルの各々の中に表示する。図1Bは、用量を増加させたEPZ−6438に応答した対照(すなわち、非SMARCA4変異型細胞)のコロニー形成を示すプレートの一対の写真である。図1Cは、用量を増加させたEPZ−6438に応答したEPZ−6438感受性及びEPZ抵抗性SMARCA4変異型細胞のコロニー形成を示すプレートの一連の写真である。TOV−112D及びCOV434は、卵巣癌細胞株であり、SNU−484は胃癌細胞株であり、NCI−H1703、NCI−H522、NCI−H661、H1299、A549、NCI−H1568、及びHCC−15は、肺癌細胞株であり、UM−UC−3は膀胱癌細胞株である。SNF5変異型G401細胞及びARID1A変異型A2780細胞を対照として使用する。 図2Aは、図2B及び2Cで使用した実験セットアップを示す概略プレート図である。薬物の濃度をウェルの各々の中に表示する。図2Bは、用量を増加させた様々なEZH2阻害剤EPZ−6438、CPI−169、及びGSK126に応答した、EPZ−6438感受性細胞株SNU−484及びTOV112Dのコロニー形成を示す一連の写真である。ヒストンデアセチラーゼ阻害薬であるトリコスタチンA(TSA)を陽性対照として使用した。図2Cは、用量を増加させた様々なEZH2阻害剤EPZ−6438、CPI−169、及びGSK126に応答した、EPZ−6438抵抗性細胞株H1299及びA549のコロニー形成を示す一連の写真である。ヒストンデアセチラーゼ阻害薬であるトリコスタチンA(TSA)を陽性対照として使用した。 図3Aは、CRISPRによるEZH2の遺伝子欠失がEPZ−6438抵抗性細胞株RMG、ES−2、OVISE、H1299、及びA549によるタンパク質発現及びコロニー形成に与える影響を示す一連の写真である。EZH2またはルシフェラーゼ(gLuc)を標的とするレンチウイルスガイドRNAに感染させた後、早期(1週目)及び晩期(2週目)に収集した溶解物にウエスタンブロッティングを行った。図3Bは、CRISPRによるEZH2の遺伝子欠失がEPZ−6438感受性細胞株TOV−21G及びTOV−112Dによるタンパク質発現及びコロニー形成に与える影響を示す一連の写真である。EZH2またはルシフェラーゼ(gLuc)を標的とするレンチウイルスガイドRNAに感染させた後、早期(1週目)及び晩期(2週目)に収集した溶解物にウエスタンブロッティングを行った。 Aは、5μMのEPZ−6438またはDMSO対照による処置を21日間行った後の示される細胞株の形態的変化を示す一連の写真である。 Bは、7日間及び13日間の処置の後で用量を増加させたEPZ−6438(0μM、0.74μM、2.2μM、及び6.7μM)によって示される細胞株を処置した際のカスパーゼ3/7活性化を示す一連の棒グラフである。データは、三連の試料にわたるDMSO対照と比べたカスパーゼ3/7蛍光細胞数における平均倍数変化(fc)として表す。エラーバーは標準偏差を表す。 Cは、示される濃度のEPZ−6438による処置の7日間行った後の活性カスパーゼ3/7陽性細胞の一連の蛍光画像である。Dは、代表的なSMARCA4変異型細胞株中のβ−ガラクトシダーゼの染色を示す一連の顕微鏡写真である。 Eは、EPZ−6438抵抗性細胞株であるNCI−H1568と比べた、処置を8週間行った後の5−エチニル−2’−デオキシウリジン(Edu)のNCI−H522細胞への組み込みによって測定したDNA合成のEPZ−6438媒介性阻害を示す棒グラフである。灰色の棒はDMSO対照を表す。黒色の棒はEPZ−6438処置を表す。 Fは、EPZ−6438処置の1日2回の経口投与を23日間行った後のNCI−H522異種移植片のインビボ成長の用量依存的阻害を示すグラフである。黒塗りの円形はビヒクル対照を表し、四角形は30mg/kgの投薬量を表し、三角形は100mg/kgの投薬量を表し、白抜きの円形は450mg/kgの投薬量を示す。データは、経時的な腫瘍体積の三次回帰スプラインとして提示される。 Gは、示される用量のEPZ−6438の1日2回の経口投与後3時間の7日目にある動物のコホートから収集したNCI−H522腫瘍異種移植片組織における標的阻害の結果としてのH3K27メチル化を示す一連のウエスタンブロットである。 EPZ−6438感受性細胞及びEPZ−6438抵抗性細胞による様々な修飾されたヒストンならびにEZH2及びSUZ12の発現を示す一連の免疫ブロットである。ヒストン3(H3)は陽性対照を務める。 6日間の処置の後のEPZ−6438感受性細胞及びEPZ−6438抵抗性細胞による修飾されたヒストン(H3K27のモノ、ジ、及びトリメチル化形態)の発現に与える用量を増加させたEPZ−6438の影響を示す一連の免疫ブロットである。 EPZ−6438感受性(n=6)及び抵抗性(n=5)SMARCA4変異型モデル間で最も異なって発現される遺伝子の目的変数ありの分析のグラフである(log2倍数変化>1、p≦0.05)。発現見込みは、log2 rpkm(reads per kilobase per million mapped reads)から導出したz−スコアとして報告する。 EPZ−6438感受性細胞及びEPZ−6438抵抗性細胞による様々なSWI/SNF複合体メンバーのタンパク質発現を示す一連の免疫ブロットである。ARID1A変異型A2780細胞株は、SMARCA4免疫ブロットのための対照を務める。 ベースライン(黒点)の、ならびに6日後(黒塗りの棒)及び10日後(白抜きの棒)にEPZ−6438処置に応答した、EPZ−6438感受性細胞及びEPZ−6438抵抗性細胞によるSMARCA2 mRNAの発現を示す棒グラフである。 図10Aは、EPZ−6438感受性SNU−484及びTOV−112D細胞株中にはあるがEPZ−6438抵抗性H1299細胞株中にはないH3K27me3によるSMARCA2プロモーターの結合を示すゲノムビューアグラフである。図10Bは、H1299細胞と比べたTOV−112D細胞におけるH3K27me3による結合を示すSMARCA2プロモーター領域の拡大図である。 SMARCA4変異型がん細胞株にわたるSMARCA2遺伝子プロモーター中の3つの場所(円形=chr9:2015841−2015938、四角形=chr9:2016847−2016917、三角形=chr9:2016214−201633)及び対照領域(アクチンプロモーター)におけるH3K27me3 ChIP DNA富化の定量的PCR分析の結果を示すグラフである。y軸は、H3K27me3 IP中の領域の平均富化を、投入した溶解物中で観察されたレベルのパーセンテージとして表す。エラーバーは、2つの独立した免疫沈降から見込んだ平均の標準偏差を示す。 EPZ−6438抵抗性H1299細胞株及びEPZ−6438感受性TOV−112D細胞株中の対照領域(灰色及び白色の棒)と比べたSMARCA2プロモーター(黒色の棒)におけるH3K27トリメチル化(H3K27me3)のChIP−PCR読み出しを示す棒グラフである。HeK27me3を欠く2つの遺伝子領域に関する対照IgG免疫沈降及びPCRは、対照を務める。 TOV−112D細胞中のDMSO(白色の棒)またはEPZ−6438(黒色の棒)に応答したSMARCA2プロモーター及び2つの対照領域におけるH3K27me3のChIP−PCR読み出しを示す棒グラフである。 図14Aは、SMARCA2(BRM)遺伝子ノックアウトを受けた野生型細胞によるEPZ−6438に応答したコロニー形成を示すプレートの写真のセットである。図14Bは、図10Aの細胞によるヒストン3対照と比べたSMARCA2タンパク質の発現を示す免疫ブロットのセットである。 図15Aは、ドキシサイクリンが不溶性核画分におけるヘリカーゼの発現に与える影響を示す免疫ブロットである。0.5μg/mLのドキシサイクリンによる処置を4日間行った後、細胞を、細胞画分、可溶性核画分、及び不溶性核画分に分割した。GAPDHは細胞画分についての対照を務め、H3は不溶性核画分についての対照を務め、PARPは可溶性核画分及び不溶性核画分についての対照を務める。図15Bは、ドキシサイクリン誘導性ヘリカーゼがコアSWI/SNF複合体タンパク質と再会合できることを示す、SMARCA2またはSMARCA4についてのSMARCC1免疫沈降の結果を示す。 図16Aは、TOV−112D細胞におけるSMARCA2(x軸)及びSMARCA4(y軸)のドキシサイクリン(dox)誘導性発現後の全ての遺伝子に関するlog2倍数発現変化見込みを示す散布図である。いずれかのヘリカーゼの誘導後に大きく異なって発現された遺伝子セットは、大きく重複する(P<2e−16、フィッシャーの正確確率検定)。ベクター対照であるTOV−112D細胞中のドキシサイクリン処置によって特異的に影響を受けない遺伝子は、本分析から除外する。図16Bは、TOV−112D細胞における、SMARCA4もしくはSMARCA2のドキシサイクリン誘導性発現後、または1μMのEPZ−6438(+EZH2i)による処置後に大きく異なって発現された遺伝子(log2 fc≧1、p<0.05)間の重複を図示するベン図である。 Aは、SMARCA2を標的化するshRNA(shBRM)または非標的化対照(shNTC)の発現後、EPZ−6438感受性細胞株であるG401における修飾されたヒストンの発現に対して様々な用量のEPZ−6438が与える影響を示す一連の免疫ブロットである。Bは、shNTCまたはshBRMを発現している細胞における濃度を増加させたEPZ−6438に応答したG401細胞のコロニー形成を示すプレートの一連の写真である。 Cは、SMARCA2を標的化するshRNA(shBRM)または非標的化対照(shNTC)の発現後、EPZ−6438感受性細胞株であるCOV434におけるH3K27me3の発現に対して様々な用量のEPZ−6438が与える影響を示す一連の免疫ブロットである。Dは、shNTCまたはshBRMを発現している細胞における濃度を増加させたEPZ−6438に応答したCOV434細胞のコロニー形成を示すプレートの写真のセットである。 Eは、SMARCA2を標的化するshRNA(shBRM)または非標的化対照(shNTC)の発現後、EPZ−6438感受性細胞株であるSNU−484におけるH3K27me3の発現に対して様々な用量のEPZ−6438が与える影響を示す一連の免疫ブロットである。Fは、shNTCまたはshBRMを発現している細胞における濃度を増加させたEPZ−6438に応答したSNU−484細胞のコロニー形成を示すプレートの写真のセットである。 Aは、SMARCA2を標的化するshRNA(shBRM)または非標的化対照(shNTC)の発現後、EPZ−6438感受性細胞株であるTOV−112における修飾されたヒストンの発現に対して様々な用量のEPZ−6438が与える影響を示す一連の免疫ブロットである。Bは、shNTCまたはshBRMを発現している細胞における濃度を増加させたEPZ−6438に応答したTOV−112D細胞のコロニー形成を示すプレートの一連の写真である。 Cは、濃度を増加させたEPZ−6438に応答した、shNTCで処置したTOV−112D細胞と比べた、shBRMで処置したTOV−112D細胞におけるカスパーゼ3/7活性の用量依存的誘導を示すグラフである。 Aは、SMARCA2を遺伝子的に除去した3つの別個のTOV−112DクローンにおいてEPZ−6438の濃度を増加させた結果としてのカスパーゼ3/7活性の倍数変化(fc)を示すグラフである。クローンは、SMARCA2を標的化する対形成したガイドRNAを発現するベクターでトランスフェクトしたTOV−112D細胞から生成した。Ctrl−Pは、安定な親Cas9細胞を示し、gCtrl−1及びgCtrl−2は、SMARCA2欠失を呈しないクローンを示す。Bは、EPZ−6438が図19Aのクローンに与える影響を示す一連の免疫ブロットであり、EPZ−6438がSMARCA2発現を誘導する能力を裏付ける。 Cは、非標的化shRNA(x軸)またはSMARCA2標的化shRNA(y軸)を発現するTOV−112D細胞における5μMのEPZ−6438による処置後の全ての遺伝子に関するlog2倍数発現変化見込みを図示する散布図である。見込みは、細胞株あたり3つの独立した処置から導出する。 Dは、SMARCA2ノックダウンまたはshRNA媒介性ノックダウンによって大きく抑制されるEPZ−6438誘導性遺伝子のZスコア正規化発現を図示するヒートマップである。shBRM及びgBRMは、それぞれ、shSMARCA2またはSMARCA2ガイドRNAを指す。 Eは、5μMのEPZ−6438による処置後の、SMARCA2を標的化する安定なshRNAを発現するTOV−112D細胞中、及びCRISPRによってSMARCA2発現を遺伝子的に除去するように操作されたクローン中のカテプシンB(CTSB)mRNAレベルを示す棒グラフである。 Fは、EPZ−6438による処置後のSMARCA2及びCTSBの発現に関する、SMARCA2を標的化するshRNAまたはCTSBを標的化する3つの別個のshRNAを発現するTOV112D細胞の免疫ブロットである。H3K27me3はEPZ−6438処置に対する対照を務める。Gは、濃度を上昇させたEPZ−6438に応答したカスパーゼ3/7活性を示すグラフであり、CTSBを標的化するshRNAの発現により、EPZ−6438で処置した際にカスパーゼ3/7の活性化が大いに抑制されたことを示す。 EZH2阻害剤EPZ−6438及びCPI−169に応答した、ARID1A野生型細胞型と比べたARID1A変異型細胞株のコロニー形成を示す一連の蛍光画像である。 様々な用量のEPZ−6438による処置がEPZ−6438に感受性のあるサブセットであるARID1A変異型がん細胞株のパネルにわたるクローン原性増殖に与える影響を示す一連の写真である。投薬スキームは図1Aに示されるものと同一である。 コロニー形成を示す一連の免疫ブロット及び写真であり、EZH2の遺伝子的除去が、EPZ−6438がARID1A変異型細胞及び野生型細胞におけるコロニー形成に与える影響を模写することを示す。Cas9を安定に発現する細胞を、EZH2(gEZH2−#4、#5)または陰性対照としてルシフェラーゼ(gLuc−#1、#2)を標的化するガイドRNAを発現するレンチウイルスに感染させた。感染の後、早期(1週目)及び晩期(2週目)に収集した溶解物に、EZH2及びその基質であるH3K27me3についての免疫ブロットを行った。2週目の時点でコロニー形成を撮像した。 細胞数を示す一連の棒グラフ、及びコロニー形成を示す対応する写真であり、これらの写真は、EZH2メチルトランスフェラーゼ阻害剤であるCPI−169がARID1A変異型卵巣細胞株のコロニー形成に与える影響を図示する。コロニーは、SYTO60赤色蛍光核酸色素を使用して染色した。棒グラフに関して、細胞は、平行培養プレートから計数した。 細胞数を示す一連の棒グラフ、及びコロニー形成を示す対応する写真であり、これらの写真は、EZH2メチルトランスフェラーゼ阻害剤であるCPI−169がARID1A−WT卵巣細胞株のコロニー形成に与える影響を図示する。コロニーは、SYTO60赤色蛍光核酸色素を使用して染色した。棒グラフに関して、細胞は、平行培養プレートから計数した。 EPZ−6438またはCPI−169を使用するEZH2阻害がARID1A変異型細胞株における腺房形成に与える影響を示す一連の写真であり、クローン原性増殖に対するEPZ−6438の影響にさらに抵抗性であった2つのARID1A変異型細胞株(OVTOKO及びOVISE)における活性の欠如を示す。A2780細胞は、クローン原性増殖と腺房形成との両方のEZH2媒介性阻害を示す陽性対照を務める。 TOV−21G異種移植片における28日間の示される用量のEPZ−6438の1日2回の投与に応答した経時的なインビボ腫瘍体積(mm)を示すグラフである。データは、縮尺でプロットした経時的な腫瘍体積の三次回帰スプラインとして提示される。 示される用量のEPZ−6438の1日2回の経口投与後3時間の7日目にある動物のコホートから収集したTOV−21G腫瘍異種移植片組織における標的阻害を示す、H3K27me3を検出している一連の免疫ブロットである。 図27Aは、EPZ−6438感受性、SNF5変異型細胞(暗色の円形);EPZ−6438感受性、SMARCA4変異型細胞(暗色の四角形);EPZ−6438感受性、ARID1A変異型細胞(暗色の三角形);EPZ−6438抵抗性、SMARCA4変異型細胞(明色の円形);EPZ−6438抵抗性、ARID1A変異型細胞(明色の四角形);野生型(WT)細胞(明色の円形)における、SMARCA2 mRNAの構成的発現を示すグラフである。図27Bは、EPZ−6438感受性細胞対EPZ−6438抵抗性細胞におけるSMARCA2 mRNAの構成的発現を示すグラフである。 図28Aは、EPZ−6438(5μM)またはDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤である5−アザ−2’−デオキシシチジン(5−Aza、1μM)を用いた6日間の処置に応答した、SMARCB1変異型悪性ラブドイド腫瘍(MRT)細胞株による、EZH2、SMARCA2、及びTKTL1の発現レベルの倍数変化を示すグラフである。EZH2 mRNAは陰性対照であり、TKTL1 mRNAは5−アザ処置に対する対照である。図28Bは、EPZ−6438(5μM)または5−Aza(1μM)に応答したSMARCB1変異型MRT細胞によるSMARCA2及びH3K27me3の発現を示す一連の免疫ブロットである。 ベースライン発現(黒点)と比べた、EPZ−6438(5μM、灰色の棒)による6日間の処置に応答したEPZ−6438感受性及びEPZ−6438抵抗性のARID1A変異型細胞株におけるSMARCA2発現の倍数変化を示すグラフである。Hec−1A及びSK−OV−3は、EPZ−6438処置に非感受性であるARID1A変異型細胞株である。RMG−1細胞は、ARID1A野生型であり、EPZ−6438に非感受性である。
I.導入
本発明は、増殖細胞性疾患(例えば、がん(例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、例えば、悪性ラブドイド脳腫瘍または悪性ラブドイド腎臓癌))、卵巣癌、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌))のための診断方法、治療方法、及びその処置のための組成物を提供する。本発明は、H3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を含む処置に対する感受性を予測する方法、H3K27メチル化の阻害剤を含む処置の治療有効性を最適化する方法、がんを有する患者のためにH3K27メチル化の阻害剤の投与を伴う治療を選択する方法、及びH3K27メチル化の阻害剤を含む治療によってがんを有する患者を処置する方法において、SMARCA2発現レベルをバイオマーカー(例えば、予測バイオマーカー)として使用することができるという発見に少なくとも部分的に基づく。いくつかの事例では、SMARCA2の減少した発現レベル(例えば、抑制)を使用して、H3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対する応答性を予測してもよい。他の場合には、SMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27トリメチル化(H3K27me3))の増加した占有レベルを使用して、H3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対する応答性を予測してもよい。SMARCA2発現が低い患者は、SMARCA2発現が高い患者よりもH3K27メチル化の阻害剤への応答が良好であることが予期され得るため、本発明は、SMARCA2の発現レベルまたはメチル化状態を予後バイオマーカーとして使用する方法も提供する。同様に、SMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルが高い患者は、占有レベルが低い患者よりもH3K27メチル化の阻害剤への応答が良好であることが予期され得る。
II.定義
本明細書に記載される発明の態様及び実施形態が、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことが理解される。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途示されない限り、複数の指示物を含む。
「約」という用語は、
当業者に容易に既知であるそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」の値またはパラメータへの言及は、
その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(また説明する)。
本明細書で使用される場合、「SWI/SNF複合体タンパク質」または「SWI/SNFファミリータンパク質」という用語は、同義に使用され、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来するSWI/SNF(スイッチ/スクロース非発酵性)複合体のメンバーを指す。例示的なSWI/SNF複合体タンパク質は、BRG1、SNF5(INI1)、SWI/SNF複合体155kDaサブユニット、SWI/SNF複合体170kDaサブユニット、BAF、zipzapタンパク質、及びBAF180である。SWI/SNFファミリータンパク質をコードする例示的な遺伝子は、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1である。
「SMARCA2」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のSMARCA2(クロマチンのSWI/SNF関連マトリックス会合アクチン依存性調節因子、サブファミリーA、メンバー2)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないSMARCA2、及び細胞内での処理から生じる任意の型のSMARCA2を包含する。本用語はまた、SMARCA2の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトSMARCA2の核酸配列は配列番号1に示される。ヒトSMARCA2はbrahma相同体(BRM)タンパク質をコードし、その例示的なアミノ酸配列は配列番号13に示される。
「SMARCA4」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のSMARCA4(クロマチンのSWI/SNF関連マトリックス会合アクチン依存性調節因子、サブファミリーA、メンバー4)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないSMARCA4、及び細胞内での処理から生じる任意の型のSMARCA4を包含する。本用語はまた、SMARCA4の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトSMARCA4の核酸配列は配列番号2に示される。ヒトSMARCA4はBRG1タンパク質をコードし、その例示的なアミノ酸配列は配列番号14に示される。
「SMARCB1」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のSMARCB1(クロマチンのSWI/SNF関連マトリックス会合アクチン依存性調節因子、サブファミリーB、メンバー1)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないSMARCB1、及び細胞内での処理から生じる任意の型のSMARCB1を包含する。本用語はまた、SMARCB1の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトSMARCB1の核酸配列は配列番号3に示される。ヒトSMARCB1はSNF5(INI1)タンパク質をコードし、その例示的なアミノ酸配列は配列番号15に示される。
「SMARCC1」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のSMARCC1(クロマチンのSWI/SNF関連マトリックス会合アクチン依存性調節因子、サブファミリーC、メンバー1)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないSMARCC1、及び細胞内での処理から生じる任意の型のSMARCC1を包含する。本用語はまた、SMARCC1の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトSMARCC1の核酸配列は配列番号4に示される。ヒトSMARCC1はSWI/SNF複合体の155kDaサブユニットをコードし、その例示的なアミノ酸配列は配列番号16に示される。
「SMARCC2」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のSMARCC2(クロマチンのSWI/SNF関連マトリックス会合アクチン依存性調節因子、サブファミリーC、メンバー2)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないSMARCC2、及び細胞内での処理から生じる任意の型のSMARCC2を包含する。本用語はまた、SMARCC2の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトSMARCC2の核酸配列は配列番号5に示される。ヒトSMARCC2はSWI/SNF複合体の170kDaサブユニットをコードし、その例示的なアミノ酸配列は配列番号17に示される。
「ARID1A」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のARID1A(ATリッチ相互作用ドメイン1A(SWI様))を指す。本用語は、「全長」の処理されていないARID1A、及び細胞内での処理から生じる任意の型のARID1Aを包含する。本用語はまた、ARID1Aの天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトARID1Aの核酸配列は配列番号6に示される。ヒトARID1AはBAF250aタンパク質をコードし、その例示的なアミノ酸配列は配列番号18に示される。
「ARID2」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のARID2(ATリッチ相互作用ドメイン2(ARID、RFX様))を指す。本用語は、「全長」の処理されていないARID2、及び細胞内での処理から生じる任意の型のARID2を包含する。本用語はまた、ARID2の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトARID2の核酸配列は配列番号7に示される。ヒトARID2はzipzapタンパク質をコードし、その例示的なアミノ酸配列は配列番号19に示される。
「PBRM1」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のPBRM1(ポリブロモ1)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないPBRM1、及び細胞内での処理から生じる任意の型のPBRM1を包含する。本用語はまた、PBRM1の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトPBRM1の核酸配列は配列番号8に示される。ヒトPBRM1はBAF180タンパク質をコードし、その例示的なアミノ酸配列は配列番号20に示される。
「PRC2」という用語、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来するPCR2(ポリコーム抑制性複合体2)のメンバーを指す。例示的なPRC2タンパク質は、EZH2、SUZ12、EED、及びjumonjiである。
「EZH2」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のEZH2(zeste2ポリコーム抑制性複合体2のエンハンサー)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないEZH2、及び細胞内での処理から生じる任意の型のEZH2を包含する。本用語はまた、EZH2の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトEZH2の核酸配列は配列番号9に示される。ヒトEZH2遺伝子によってコードされる例示的なEZH2タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号21に示される。
「SUZ12」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のSUZ12(SUZ12ポリコーム抑制性複合体2サブユニット)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないSUZ12、及び細胞内での処理から生じる任意の型のSUZ12を包含する。本用語はまた、SUZ12の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトSUZ12の核酸配列は配列番号10に示される。ヒトSUZ12遺伝子によってコードされる例示的なSUZ12タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号22に示される。
「EED」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のEED(胚体外胚葉成長)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないEED、及び細胞内での処理から生じる任意の型のEEDを包含する。本用語はまた、EEDの天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトEEDの核酸配列は配列番号11に示される。ヒトEED遺伝子によってコードされる例示的なEEDタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号23に示される。
「JARID2」という用語は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のJARID2(Jumonji、ATリッチ相互作用ドメイン2)を指す。本用語は、「全長」の処理されていないJARID2、及び細胞内での処理から生じる任意の型のJARID2を包含する。本用語はまた、JARID2の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体またはアレル変異体を包含する。例示的なヒトJARID2の核酸配列は配列番号12に示される。ヒトJARID2はjumonjiタンパク質をコードし、その例示的なアミノ酸配列は配列番号24に示される。
本明細書で使用される場合、「H3K27メチル化の阻害剤」という用語は、当該技術分野で現在知られているかまたは今後特定されることになる任意のH3K27メチル化の阻害剤を指し、患者に投与すると、その患者においてH3K27のトリメチル化と関連付けられる生物活性の阻害をもたらす任意の化学物質を含む。かかるH3K27阻害剤には、低分子阻害剤、抗体または抗体断片、アンチセンス構築物、低分子阻害性RNA(すなわち、dsRNAによるRNA干渉;RNAi)、及びリボザイムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、H3K27阻害剤はEZH2阻害剤である。
本明細書で使用される場合、「EZH2阻害剤」及び「EZH2メチルトランスフェラーゼ阻害剤」という用語は、当該技術分野で現在知られているかまたは今後特定されることになる任意のEZH2阻害剤を指し、患者に投与すると、その患者においてEZH2活性と関連付けられる生物活性の阻害をもたらす任意の化学物質を含み、これには、別の方法ではEZH2のその天然のリガンドとの結合から生じる下流の生物学的効果のうちのいずれも含まれる。かかるEZH2阻害剤には、EZH2メチルトランスフェラーゼを、または患者におけるがんの処置に関係があるEZH2メチルトランスフェラーゼの下流の生物学的効果のうちのいずれも妨害することができる任意の薬剤が含まれる。かかる阻害剤は、EZH2への直接結合及びそのメチルトランスフェラーゼ活性の阻害によって作用し得る。あるいは、かかる阻害剤は、ポリコーム抑制性複合体2(PRC2)の非EZH2ドメインを占有することで、EZH2がクロマチンにアクセスできないようにし、その結果、その正常な生物活性を防止または低減させることによって作用し得る。あるいは、かかる阻害剤は、PRC2タンパク質の会合を調整するか、またはEZH2のユビキチン化及びエンドサイトーシス分解を強化することによって作用し得る。EZH2阻害剤には、低分子阻害剤、抗体または抗体断片、アンチセンス構築物、低分子阻害性RNA(すなわち、dsRNAによるRNA干渉;RNAi)、及びリボザイムが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、EZH2阻害剤は、EPZ−6438、CPI−169、CPI−1205、EPZ005687、GSK−126、GSK343、及びGSK503などのヒトEZH2に特異的に結合する有機小分子である。
「プロモーター」は、本明細書で使用される場合、培養細胞、例えば、哺乳動物細胞中でコード配列の転写を駆動することができる全ての配列を含む。このため、本発明の方法において使用されるプロモーターは、遺伝子(例えば、SMARCA2)の転写のタイミング及び/または速度を調節または調整することに関与するシス作用性転写制御要素及び調節配列を含む。例えば、プロモーターは、転写調節に関与する、エンハンサー、プロモーター、転写終結因子、複製起点、染色体統合配列、5′及び3′非翻訳領域、またはイントロン配列を含む、シス作用性転写制御要素であり得る。これらのシス作用性配列は、典型的には、タンパク質または他の生体分子と相互作用して、転写を実行する(開始/終了、調節、調整など)。
本明細書における「患者」または「対象」は、がんなどの細胞増殖性疾患または障害の1つ以上の兆候、症状、または他の指標を経験しているか、それらを経験したか、それらを発症する危険性があるか、またはそれらの家族歴を有する、処置に適格な動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、動物園の動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳動物を含む)を指す。患者には、疾患のいずれの臨床徴候も示さない臨床研究試験に関与する任意の患者、疫学的研究に関与する任意の患者、または過去に対照として使用されたことがある任意の患者が含まれることが意図される。患者は、以前にH3K27メチル化の阻害剤または別の薬物による処置を受けている場合も、以前に処置を受けていない場合もある。患者は、処置の開始時に、使用される追加の薬物(複数可)の投薬を未経験であってもよい。すなわち、患者は、例えば、「ベースライン」(すなわち、本明細書の処置方法におけるH3K27メチル化の阻害剤の初回用量を投与する前の決まった時点、例えば、処置に着手する前の対象のスクリーニング日など)において、H3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を含む治療以外の治療によって以前に処置されていない場合がある。かかる「投薬未経験」患者または対象は、一般に、かかる追加の薬物(複数可)による処置の候補と見なされる。
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含むがこれらに限定されない様々な抗体構造を包含する。
本明細書で同義に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼによってまたは合成反応によってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。このため、例えば、本明細書で定義されるポリヌクレオチドは、非限定的に、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域を含むDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、ならびに一本鎖及び二本鎖領域を含むRNA、一本鎖もしくはより典型的には二本鎖であり得るか、または一本鎖及び二本鎖領域を含むDNA及びRNAを含む、ハイブリッド分子を含む。加えて、「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、RNAもしくはDNAまたはRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。かかる領域内の鎖は、同じ分子由来であっても異なる分子由来であってもよい。これらの領域は、分子のうちの1つ以上の全てを含み得るが、より典型的には分子のうちのいくつかの一領域のみを伴う。三重らせん領域の分子のうちの1つはオリゴヌクレオチドであることが多い。「ポリヌクレオチド」という用語はcDNAを含む。
ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合には、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組立ての前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって遮られ得る。ポリヌクレオチドは、標識との複合などによって、合成後にさらに修飾されてもよい。修飾の他の種類には、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上を類似体と置換する「キャップ」、ヌクレオチド間修飾、例えば、非電荷性結合(例えば、メチルホスホン酸塩、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)によるもの、及び電荷性結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるもの、懸垂部分、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシンなど)などを含むもの、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラーレンなど)によるもの、キレート剤(例えば、金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属など)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾結合(例えば、アルファアノマー核酸など)によるもの、ならびにポリヌクレオチド(複数可)の未修飾形態が含まれる。さらに、糖内に通常存在するヒドロキシル基のうちのいずれかは、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により代置されるか、標準的な保護基により保護されるか、もしくは活性化されて追加のヌクレオチドへの追加の結合を準備してもよく、または固体もしくは半固体支持体に複合されてもよい。5′及び3′末端OHをリン酸化するか、またはアミンもしくは1〜20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換することができる。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル−、2’−フルオロ−、または2’−アジド−リボース、炭素環糖の類似体、α−アノマー糖、アラビノース、キシロース、またはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、アクリル酸類似体、及びメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体を含む、当該技術分野で一般的に知られているリボース糖またはデオキシリボース糖の類似形態も含み得る。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替的な連結基によって代置されてもよい。これらの代替的な連結基には、リン酸塩がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、“(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH(「ホルムアセタール」)によって代置される実施形態が含まれるがこれらに限定されず、式中、各RまたはR’は、独立してHであるか、または任意にエーテル(−O−)結合を含む置換もしくは非置換アルキル(1〜20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、もしくはアラルジルである。ポリヌクレオチド内の全ての結合が同一である必要はない。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される修飾の1つ以上の型及び/または同じ型の複数の修飾を含むことができる。前述の説明は、RNA及びDNAを含む本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
「オリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、一般に、約250ヌクレオチド長未満であるが、必ずしもそうではない短い一本鎖ポリヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチドは合成であってもよい。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、相互排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、等しく完全にオリゴヌクレオチドに適用可能である。
「プライマー」という用語は、核酸にハイブリダイズすることができ、一般に遊離3’−OH基を提供することにより相補的核酸の重合を可能にする、一本鎖ポリヌクレオチドを指す。
「小分子」という用語は、分子量が約2000ダルトン以下(例えば、約1500ダルトン以下、または約1000ダルトン以下)、好ましくは約750ダルトン以下(例えば、約450〜650ダルトン、例えば、約500〜600ダルトン、例えば、約525〜575ダルトン)である任意の分子を指す。
「検出」という用語は、直接的及び間接的検出を含む、任意の検出手段を含む。
「バイオマーカー」という用語は、本明細書で使用される場合、試料中で検出され得る指標分子または分子のセット(例えば、予測指標、診断指標、及び/または予後指標)を指し、例えば、メチル化ヒストン(例えば、H3K27me3、例えば、H3K27の占有レベル)、SWI/SNF、またはSWI/SNF複合体メンバーもしくはサブユニット(例えば、SMARCA2、例えば、SMARCA2の発現レベル)を含む。バイオマーカーは、予測バイオマーカーであってもよく、H3K27メチル化の阻害剤による処置に対する特定の疾患または障害(例えば、増殖細胞性疾患(例えば、がん))を有する患者の感受性または利益の可能性の指標を務め得る。バイオマーカーには、ポリヌクレオチド(例えば、DNA及び/またはRNA(例えば、mRNA))、ポリヌクレオチドコピー数改変(例えば、DNAコピー数)、ポリペプチド、ポリペプチド及びポリヌクレオチド修飾(例えば、翻訳後修飾)、炭水化物、及び/または糖脂質ベースの分子マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは遺伝子である。
バイオマーカーの「量」または「レベル」は、本明細書で使用される場合、生体試料中で検出可能なレベルである。これらは、当業者に既知であり、かつ本明細書にも開示される方法によって測定することができる。
「発現のレベル」または「発現レベル」という用語は、一般に、生体試料中のバイオマーカーの量を指す。「発現」は、一般に、情報(例えば、遺伝子コード情報及び/またはエピジェネティック情報)が、細胞中に存在しそこで機能する構造に変換されるプロセスを指す。したがって、本明細書で使用される場合、「発現」は、ポリヌクレオチドへの転写、ポリペプチドへの翻訳、またはさらにはポリヌクレオチド及び/またはポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)を指し得る。転写されたポリヌクレオチド、翻訳されたポリペプチド、またはポリヌクレオチド及び/またはポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)の断片も、それらが選択的スプライシングによって生成された転写物もしくは分解された転写物に由来するか、または例えばタンパク質分解によるポリペプチドの翻訳後プロセシングに由来するかどうかにかかわらず、発現されたものと見なされるべきである。「発現遺伝子」は、mRNAとしてポリヌクレオチドに転写され、その後、ポリペプチドに翻訳される遺伝子を含み、RNAに転写されるが、ポリペプチドに翻訳されない遺伝子(例えば、トランスファーRNA及びリボソームRNA)も含む。
「占有レベル」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上のヒストンメチル化部位(例えば、ヒストンH3のリジン27(H3K27))におけるメチル化(例えば、ヒストン(例えば、ヒストンH3)のモノメチル化、または好ましくはジメチル化もしくはトリメチル化)の程度を指す。特定のゲノム領域における占有レベルは、ChIP−seqまたはChIP−PCRなどのクロマチン免疫沈降(ChIP)によって評価することができる。
「増加した発現」、「増加した発現レベル」、「増加したレベル」、「上昇した発現」、「上昇した発現レベル」、または「上昇したレベル」は、疾患もしくは障害(例えば、がん)に罹患していない個体(単数または複数)または内部対照(例えば、ハウスキーピングバイオマーカー)などの対照、あるいは患者の群/集団に由来する試料中のバイオマーカーの発現レベルの中央値と比較した個体におけるバイオマーカーの発現の増加またはそのレベルの増加を指す。
「減少した発現」、「減少した発現レベル」、「減少したレベル」、「低減した発現」、「低減した発現レベル」、または「低減したレベル」は、疾患もしくは障害(例えば、がん)に罹患していない個体(単数または複数)または内部対照(例えば、ハウスキーピングバイオマーカー)などの対照、あるいは患者の群/集団に由来する試料中のバイオマーカーの発現レベルの中央値と比較した個体におけるバイオマーカーの減少した発現または減少したレベルを指す。いくつかの実施形態では、低減した発現は、発現がほとんどまたは全くないことである。
「ハウスキーピング遺伝子」という用語は、活性が細胞機能の維持に不可欠であり、全ての細胞型中に典型的に同様に存在するタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子の群を指す。
「増幅」は、本明細書で使用される場合、一般に、所望の配列の複数のコピーを産出するプロセスを指す。「複数のコピー」は、少なくとも2つのコピーを意味する。「コピー」は、鋳型配列に対する完全な配列相補性または同一性を必ずしも意味しない。例えば、コピーは、デオキシイノシンなどのヌクレオチド類似体、意図的な配列改変(鋳型にハイブリダイズ可能であるが相補的ではない配列を含むプライマーによって導入される配列改変など)、及び/または増幅中に生じる配列エラーを含み得る。
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」技法は、本明細書で使用される場合、一般に、核酸、RNA、及び/またはDNAの微量の特定の小片が、例えば、米国特許第4,683,195号に記載されるように増幅される手順を指す。一般に、オリゴヌクレオチドプライマーが設計され得るように、目的の領域の末端またはそれ以降からの配列情報が利用可能でなければならず、これらのプライマーの配列は、増幅される鋳型の反対側の鎖と同一であるかまたは同様である。これらの2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅される材料の末端と一致し得る。PCRを使用して、特定のRNA配列、全ゲノムDNAからの特定のDNA配列、及び全細胞RNAから転写されたcDNA、バクテリオファージ、またはプラスミド配列などを増幅することができる。概して、Mullis et al.,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263(1987)、及びErlich,ed.,PCR Technology,(Stockton Press,NY,1989)を参照されたい。本明細書で使用される場合、PCRは、プライマーとしての既知の核酸(DNAまたはRNA)の使用を含む、核酸試験試料を増幅する核酸ポリメラーゼ反応法の一例であると見なされるが、唯一の例ではなく、核酸の特定の小片を増幅もしくは生成するために、または特定の核酸に相補的な核酸の特定の小片を増幅もしくは生成するために、核酸ポリメラーゼを利用する。
「定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応」または「qRT−PCR」は、PCR産物の量がPCR反応の各ステップで測定されるPCRの形態を指す。この技法は、例えば、Cronin et al.,Am.J.Pathol.164(1):35−42(2004)、及びMa et al.,Cancer Cell 5:607−616(2004)を含む様々な出版物中で説明されている。
「マイクロアレイ」という用語は、基質上のハイブリダイズ可能なアレイ要素、好ましくはポリヌクレオチドプローブの規則的配置を指す。
「試料」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/または生理学的特性に基づいて、特性評価及び/または識別される細胞及び/または他の分子実体を含有する、対象(例えば、目的の個体)から得られるか、またはそれに由来する組成物を指す。例えば、「疾患試料」という語句及びその変化形は、特性評価される細胞及び/または分子実体を含有することが予期されるか、または含有することが既知である、目的の対象から得られた任意の試料を指す。試料には、組織試料(例えば、腫瘍組織試料)、初代または培養細胞または細胞株、細胞上清、細胞溶解物、血小板、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、卵胞液、***、羊水、乳、全血、血液由来の細胞、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、腫瘍溶解物、及び組織培養培地、組織抽出物、例えば、均質化組織、腫瘍組織、細胞抽出物、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
「組織試料」または「細胞試料」は、対象または個体の組織から得られた同様の細胞の集合を意味する。組織または細胞試料源は、新鮮な、凍結された、及び/または保存された器官、組織試料、生検、及び/または吸引液由来の固形組織;血液、または任意の血液成分、例えば、血漿;体液、例えば、脳脊髄液、羊水、腹水、もしくは間質液;対象の妊娠または発育中の任意の時点の細胞であり得る。組織試料はまた、初代または培養細胞または細胞株であってもよい。任意に、組織または細胞試料は、疾患組織/器官から得られる。例えば、「腫瘍試料」は、腫瘍または他のがん性組織から得られた組織試料である。腫瘍試料は、混合した細胞型(例えば、腫瘍細胞及び非腫瘍細胞、がん性細胞及び非がん性細胞)の集団を含有し得る。組織試料は、自然界の組織とは自然には混合されない化合物、例えば、防腐剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養剤、抗生物質などを含有してもよい。
「参照試料」、「参照細胞」、「参照組織」、「対照試料」、「対照細胞」、または「対照組織」は、本明細書で使用される場合、比較目的で使用される試料、細胞、組織、標準、またはレベルを指す。一実施形態では、参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、同じ対象または個体の身体の健常な及び/または罹患していない部分(例えば、組織または細胞)から得られる。例えば、参照ベレル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、罹患細胞または組織に隣接する健常な及び/または罹患していない細胞または組織(例えば、腫瘍に隣接する細胞または組織)であってもよい。別の実施形態では、別の実施形態では、参照試料は、同じ対象または個体の身体の処置されていない組織及び/または細胞から得られる。さらに別の実施形態では、参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、対象または個体ではない個体の身体の健常な及び/または罹患していない部分(例えば、組織または細胞)から得られる。なお別の実施形態では、参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、対象または個体ではない個体の身体の処置されていない組織及び/または細胞から得られる。
「相関する」または「相関すること」は、任意の方法で、第1の分析またはプロトコルの性能及び/または結果を第2の分析またはプロトコルの性能及び/または結果と比較することを意味する。例えば、第2のプロトコルを行う際に第1の分析もしくはプロトコルの結果を使用してもよく、及び/または第1の分析もしくはプロトコルの結果を使用して、第2の分析もしくはプロトコルが行われるべきかを決定してもよい。ポリペプチド分析またはプロトコルの実施形態に関して、ポリペプチド発現分析またはプロトコルの結果を使用して、特定の治療レジメンが行われるべきかを決定してもよい。ポリヌクレオチド分析またはプロトコルの実施形態に関して、ポリヌクレオチド発現分析またはプロトコルの結果を使用して、特定の治療レジメンが行われるべきかを決定してもよい。
「個体応答」または「応答」は、(1)減速または完全阻止を含む、疾患進行(例えば、がん進行)のある程度の阻害、(2)腫瘍サイズの低減、(3)隣接する末梢器官及び/もしくは組織へのがん細胞浸潤の阻害(すなわち、低減、減速、または完全停止)、(4)転移の阻害(すなわち、低減、減速、または完全停止)、(5)疾患もしくは障害(例えば、がん)に関連する1つ以上の症状のある程度の軽減、(6)全生存期間及び無増悪生存期間を含む生存期間の長さの増加もしくは延長、及び/または(7)処置後の所定の時点における低下した死亡率を含むがこれらに限定されない、個体への利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価され得る。
医薬品による処置に対する患者の「有効な応答」または患者の「応答性」及び類似の単語は、がんなどの疾患もしくは障害の危険性があるか、またはそれを有する患者に付与される臨床的または治療的利益を指す。一実施形態では、かかる利点は、生存期間の延長(全生存期間及び/または無増悪生存期間を含む)、客観的応答(完全奏効もしくは部分奏効を含む)をもたらすこと、またはがんの兆候または症状の改善のうちのいずれか1つ以上を含む。一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカー(例えば、SMARCA2の発現レベルまたはSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベル)は、少なくとも1つのバイオマーカーを発現しない患者と比べて、医薬品による処置(例えば、H3K27メチル化の阻害剤を含む処置)に応答性である可能性が増加していると予測される患者を特定するために使用される。一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカー(例えば、SMARCA2の発現レベルまたはSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベル)は、同じレベルで少なくとも1つのバイオマーカーを発現しない患者と比べて、医薬品(例えば、H3K27メチル化の阻害剤)による処置に対して応答性である可能性が増加していると予測される患者を特定するために使用される。
「治療有効量」は、哺乳動物において疾患または障害を処置または予防するための治療薬の量を指す。がんの場合、治療有効量の治療薬は、がん細胞の数を低減、原発腫瘍サイズを低減、末梢器官へのがん細胞浸潤を阻害(すなわち、ある程度の減速及び好ましくは停止)、腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度の減速及び好ましくは停止)、腫瘍成長のある程度の阻害、及び/または障害に関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減し得る。薬物が既存のがん細胞の成長の予防及び/またはそれらの殺滅を行うことができる限り、この薬物は細胞増殖抑制性及び/または細胞毒性であり得る。がん治療に関して、インビボでの有効性は、例えば、生存期間、疾患進行までの期間(TTP)、奏効率(例えば、CR及びPR)、奏効期間、及び/または生活の質を評価することにより測定することができる。
「障害」は、哺乳動物を問題の疾患に罹患しやすくする病態を含む慢性及び急性の障害または疾患を含むがこれらに限定されない、処置から利益を受け得る任意の状態である。
「突然変異」は、野生型配列などの参照ヌクレオチド配列と比べたヌクレオチド(複数可)の欠失、挿入、または置換である。
「突然変異を特定する」という語句は、試料中のヌクレオチド配列を野生型ヌクレオチド配列などの参照ヌクレオチド配列と比較して、配列中の欠失、挿入、または置換を特定する行為を指す。
「がん」及び「がん性」という用語は、調節されていない細胞成長を典型的に特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、または説明する。この定義には、良性がん及び悪性がんが含まれる。がんの例には、ラブドイド腫瘍、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫(髄芽細胞腫及び網膜芽細胞腫を含む)、肉腫(脂肪肉腫及び滑膜細胞を含む)、神経内分泌腫瘍(カルチノイド腫瘍、ガストリノーマ、及び膵島細胞癌を含む)、中皮腫、神経鞘腫(聴神経腫を含む)、髄膜腫、腺癌、黒色腫、及び白血病またはリンパ性悪性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。かかるがんのより具体的な例には、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣の小細胞癌、例えば、高カルシウム血症型の卵巣の小細胞癌)、膀胱癌(例えば、尿路上皮膀胱癌(例えば、移行上皮または尿路上皮癌腫、非筋肉浸潤性膀胱癌、筋肉浸潤性膀胱癌、及び転移性膀胱癌)及び非尿路上皮膀胱癌);扁平上皮細胞癌(例えば、上皮性扁平上皮細胞癌(epithelial squamous cell cancer));小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌 (NSCLC)、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む、肺癌;腹膜の癌;肝細胞癌;消化管癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer);膵臓癌;膠芽腫;子宮頸癌;卵巣癌;肝臓癌(liver cancer);肝癌(hepatoma);乳癌(転移性乳癌を含む);結腸癌;直腸癌;大腸癌;子宮内膜癌または子宮癌;唾液腺癌;腎臓癌(kidney cancer)または腎癌(renal cancer);前立腺癌;外陰部癌;甲状腺癌;肝臓癌腫(hepatic carcinoma);肛門癌;陰茎癌;メルケル細胞癌;マイコセスファンゴイド(mycoses fungoid);精巣癌;食道癌;胆管の腫瘍;頭頸部癌;ならびに悪性血液疾患が挙げられる。いくつかの実施形態では、がんは、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、奇形腫様/ラブドイド腫瘍、小児ラブドイド腫瘍)である。いくつかの実施形態では、がんは、腎臓(例えば、腎臓癌または副腎癌)、脳、または他の軟組織のラブドイド腫瘍である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、卵巣の小細胞癌、例えば、高カルシウム血症型の卵巣の小細胞癌である。いずれのがんも、早期または末期であり得る。「早期がん」または「早期腫瘍」は、浸潤性または転移性ではなく、病期0、1、または2のがんと分類されるがんを意味する。
「腫瘍」という用語は、本明細書で使用される場合、良性であるか悪性であるかにかかわらず、全ての腫瘍細胞の成長及び増殖、ならびに全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。「がん」、「がん性」、及び「腫瘍」は、本明細書において言及されるように相互排他的ではない。
「SUZ12アンタゴニスト」は、SUZ12に結合する、SUZ12発現レベルを低減する、またはSUZ12シグナル伝達及びSUZ12媒介性メチルトランスフェラーゼ活性を含むがこれらに限定されないSUZ12の生物活性を中和する、妨害する、阻害する、無効にする、低減する、もしくはそれに干渉することができる分子を指す。例えば、SUZ12の生物活性を中和する、妨害する、阻害する、無効にする、低減する、もしくはそれに干渉することができる分子は、PRC2タンパク質(例えば、EEDまたはjumonji)上の1つ以上のSUZ12結合部位に結合することによってその効果を発揮し得る。本発明の方法に有用なSUZ12特異的アンタゴニストには、SUZ12に特異的に結合するポリペプチド、抗SUZ12抗体、及びその抗原結合断片が含まれる。SUZ12特異的アンタゴニストには、SUZ12ポリペプチドのアンタゴニスト変異体、SUZ12ポリペプチドをコードする核酸分子の最低でも断片に相補的なアンチセンス核酸塩基オリゴマー;SUZ12ポリペプチドをコードする核酸分子の最低でも断片に相補的な小分子RNA;SUZ12を標的とするリボザイム;SUZ12に対するペプチボディ;及びSUZ12アプタマーも含まれる。SUZ12特異的アンタゴニストには、SUZ12に結合し、SUZ12の生物活性を妨害する、阻害する、無効にする、低減する、もしくはそれに干渉することができる非ペプチド小分子も含まれる。ある特定の実施形態では、SUZ12アンタゴニストは、SUZ12の発現レベルまたは生物活性を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上、低減または阻害する。
「EEDアンタゴニスト」は、EEDに結合する、EED発現レベルを低減する、またはEEDシグナル伝達及びEED媒介性メチルトランスフェラーゼ活性を含むがこれらに限定されないEEDの生物活性を中和する、妨害する、阻害する、無効にする、低減する、もしくはそれに干渉することができる分子を指す。例えば、EEDの生物活性を中和する、妨害する、阻害する、無効にする、低減する、もしくはそれに干渉することができる分子は、PRC2タンパク質(例えば、SUZ12またはjumonji)上の1つ以上のEED結合部位に結合することによってその効果を発揮し得る。本発明の方法に有用なEED特異的アンタゴニストには、EEDに特異的に結合するポリペプチド、抗EED抗体、及びその抗原結合断片が含まれる。EED特異的アンタゴニストには、EEDポリペプチドのアンタゴニスト変異体、EEDポリペプチドをコードする核酸分子の最低でも断片に相補的なアンチセンス核酸塩基オリゴマー;EEDポリペプチドをコードする核酸分子の最低でも断片に相補的な小分子RNA;EEDを標的とするリボザイム;EEDに対するペプチボディ;及びEEDアプタマーも含まれる。EED特異的アンタゴニストには、EEDに結合し、EEDの生物活性を妨害する、阻害する、無効にする、低減する、もしくはそれに干渉することができる非ペプチド小分子も含まれる。ある特定の実施形態では、EEDアンタゴニストは、EEDの発現レベルまたは生物活性を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上、低減または阻害する。
「jumonjiアンタゴニスト」は、jumonjiに結合する、jumonji発現レベルを低減する、またはjumonjiシグナル伝達及びjumonji媒介性メチルトランスフェラーゼ活性を含むがこれらに限定されないjumonjiの生物活性を中和する、妨害する、阻害する、無効にする、低減する、もしくはそれに干渉することができる分子を指す。例えば、jumonjiの生物活性を中和する、妨害する、阻害する、無効にする、低減する、もしくはそれに干渉することができる分子は、PRC2タンパク質(例えば、SUZ12またはEED)上の1つ以上のjumonji結合部位に結合することによってその効果を発揮し得る。本発明の方法に有用なjumonji特異的アンタゴニストには、jumonjiに特異的に結合するポリペプチド、抗jumonji抗体、及びその抗原結合断片が含まれる。jumonji特異的アンタゴニストには、jumonjiポリペプチドのアンタゴニスト変異体、jumonjiポリペプチドをコードする核酸分子の最低でも断片に相補的なアンチセンス核酸塩基オリゴマー;jumonjiポリペプチドをコードする核酸分子の最低でも断片に相補的な小分子RNA;jumonjiを標的とするリボザイム;jumonjiに対するペプチボディ;及びjumonjiアプタマーも含まれる。jumonji特異的アンタゴニストには、jumonjiに結合し、jumonjiの生物活性を妨害する、阻害する、無効にする、低減する、もしくはそれに干渉することができる非ペプチド小分子も含まれる。ある特定の実施形態では、jumonjiアンタゴニストは、jumonjiの発現レベルまたは生物活性を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上、低減または阻害する。
「薬学的製剤」という用語は、中に含有される活性成分の生物活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を何ら含有しない調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒である、薬学的製剤中の活性成分以外の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または防腐剤が挙げられるが、これらに限定されない。
「薬学的に許容される塩」は、生物学的にまたは別なように望ましい塩を示す。薬学的に許容される塩には、酸付加塩と塩基付加塩との両方が含まれる。「薬学的に許容される」という語句は、その物質または組成物が、製剤を含む他の成分及び/またはそれらを用いて処置される哺乳動物と化学的及び/または毒物学的に互換性である必要があることを示す。
「薬学的に許容される酸付加塩」という用語は、無機酸、例えば、塩酸臭化水素酸硫酸硝酸炭酸リン酸、ならびに有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸のクラスから選択される有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸(embonic acid)、フェニル酢酸、メタンスルホン酸「メシラート」、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及びサリチル酸で形成された薬学的に許容される塩を示す。
「薬学的に許容される塩基付加塩」という用語は、有機または無機塩基で形成された薬学的に許容される塩を示す。許容される無機塩基の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、及びアルミニウム塩が挙げられる。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂を含む置換アミン類、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、及びポリアミン樹脂の塩を含む。
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」などのその文法上の変化形)は、治療されている個体の自然経過を改変することを目的とした臨床介入を指し、予防のため、または臨床病理過程中のいずれかに実施され得る。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的病理学的帰結の縮小、転移の予防、疾患進行速度の減少、病状の回復または緩和、及び緩解または予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、H3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)は、疾患の発達を遅らせるか、または疾患の進行を減速させるために使用される。
「抗がん療法」という用語は、がんの治療において有用な療法を指す。抗がん療法剤の例には、細胞毒性剤、化学療法剤、増殖阻害剤、放射線療法で使用される薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及びがんを治療するための他の薬剤、例えば、抗CD20抗体、血小板由来成長因子阻害剤(例えば、GLEEVEC(商標)(メシル酸イマチニブ))、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、以下の標的PDGFR−β、BlyS、APRIL、BCMA受容体(複数可)、TRAIL/Apo2、他の生物活性及び有機化学剤などのうちの1つ以上に結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの組み合わせも、本発明に含まれる。
「細胞毒性剤」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞の機能を阻害もしくは防止する物質、及び/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。この用語は、放射活性アイソトープ(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLuの放射活性アイソトープ)、化学療法剤、例えば、メトトレキサート、アドリアミシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、ミトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、または他の挿入剤、酵素及びその断片、例えば、核酸分解酵素、抗生物質、及び細菌、真菌、植物、または動物起源の小分子毒素または酵素的に活性な毒素などの毒素(その断片及び/または変異体を含む)、ならびに下に開示される様々な抗腫瘍剤または抗がん剤を含むことを意図する。他の細胞毒性剤が以下に記載される。殺腫瘍剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化学化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロスホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)、及び9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムヌスチン(ranimnustine)などのニトロソ尿素;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアミシン、特にカリケアミシンγ1I及びカリケアミシンω1I(例えば、Nicolaou et al.,.Angew.Chem Intl.Ed.Engl.,33:183−186(1994)を参照されたい);ダイネミシンAを含むダイネミシン;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォア及び関連色素タンパク質エネジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシンCなどのミトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU)などの抗代謝物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸補液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシン及びアンサミトシンなどのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖錯体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセルを含むタキサン(Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ABRAXANE(商標)、クレモホールを含有しない、アルブミン操作されたパクリタキセルのナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)ドセタキセル(Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル(chloranbucil);ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン(ELOXATIN(商標))、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、及びリポプラチンなどの白金または白金ベースの化学療法剤及び白金類似体;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボビン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン(XELODA(登録商標));上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩または酸;ならびにCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略語)、及びFOLFOX(5−FU及びロイコボビンと組み合わせてオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を用いる処置レジメンの略語)などの上記のうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。追加の化学療法剤には、例えば、マイタンシノイド(例えば、DM1)、ならびにオーリスタチンMMAE及びMMAFなどの抗体薬物複合体として有用な細胞毒性剤が含まれる。
「化学療法剤」には、がんの成長を促進し得るホルモン作用を調節、低減、妨害、または阻害するように作用する「抗ホルモン剤」または「内分泌治療薬」も含まれ、しばしば全身性または体全体の処置の形態にある。それら自体がホルモンであってもよい。例には、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)トレミフェンを含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM);抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方調節薬(ERD);卵巣を抑制するかまたは活動停止させるように機能する薬剤、例えばLUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標)酢酸ロイプロリド、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリン、及びトリプテレリンなどの黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト;フルタミド、ニルタミド、及びビカルタミドなどの他の抗アンドロゲン薬;ならびに、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタイン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールなどの、副腎内のエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤が挙げられる。加えて、化学療法剤のかかる定義には、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、DIDROCAL(登録商標)エチドロネート、NE−58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、またはACTONEL(登録商標)リセドロネートなどのビスホスホネート;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えばPKC−アルファ、Raf、H−Ras、及び表皮成長因子受容体(EGFR)などのアブヘラント(abherant)な細胞増殖に関係があるとされるシグナル伝達系路における遺伝子の発現を阻害するもの;THERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチンなどのワクチン;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ジトシル酸ラパチニブ(GW572016としても知られる、ErbB−2及びEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩または酸が挙げられる。
化学療法剤には、抗体、例えば、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、及び抗体薬物複合体、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)も挙げられる。本発明の化合物と組み合わせて薬剤として治療可能性を有する更なるヒト化モノクローナル抗体には、アポリズマブ、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ、バピネオズマブ、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ(cedelizumab)、セトリズマブペゴール、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ(erlizumab)、フェルビズマブ(felvizumab)、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ(motovizumab)、ナタリズマブ、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ノロビズマブ(nolovizumab)、ヌマビズマブ(numavizumab)、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ(pascolizumab)、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペクツズマブ(pectuzumab)、ペキセリズマブ(pexelizumab)、ラリビズマブ(ralivizumab)、ラニビズマブ、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ロベリズマブ(rovelizumab)、ルプリズマブ(ruplizumab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、シプリズマブ、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン(tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ(tadocizumab)、タリズマブ、テフィバズマブ(tefibazumab)、トシリズマブ、トラリズマブ(toralizumab)、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ(tucusituzumab)、ウマビズマブ(umavizumab)、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、及びインターロイキン−12 p40タンパク質を認識するように遺伝子修飾された組換えヒト配列専用全長IgG1 λ抗体である、抗インターロイキン−12(ABT−874/J695、Wyeth Research and Abbott Laboratories)が挙げられる。
化学療法剤には、EGFRに結合するか、または他の様式でそれと直接相互作用し、そのシグナル伝達活性を防止または低減する化合物を指す「EGFR阻害剤」も挙げられ、これは代替的に「EGFRアンタゴニスト」と称される。かかる薬剤の例には、EGFRに結合する抗体及び小分子が挙げられる。EGFRに結合する抗体の例には、MAb 579(ATCC CRL HB 8506)、MAb 455(ATCC CRL HB8507)、MAb 225(ATCC CRL 8508)、MAb 528(ATCC CRL 8509)(米国特許第4,943,533号(Mendelsohn et al.)を参照されたい)、ならびにそれらの変異体、例えば、キメラ化225(C225またはセツキシマブ、ERBUTIX(登録商標))及び再成形ヒト225(H225)(WO96/40210、Imclone Systems Inc.を参照されたい)、IMC−11F8、完全ヒトEGFR標的抗体(Imclone);II型変異EGFRに結合する抗体(米国特許第5,212,290号);米国特許第5,891,996号に記載のEGFRに結合するヒト化抗体及びキメラ抗体;ならびにEGFRに結合するヒト抗体、例えば、ABX−EGFまたはパニツムマブ(WO98/50433、Abgenix/Amgenを参照されたい);EMD55900(Stragliotto et al.Eur.J.Cancer 32A:636−640(1996));EGFR結合においてEGF及びTGF−アルファの両方と競合するEGFRに対して指向されたヒト化EGFR抗体EMD7200(マツズマブ)(EMD/Merck);ヒトEGFR抗体HuMax−EGFR(GenMab);E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3、及びE7.6.3として既知であり、かつUS6,235,883に記載の完全ヒト抗体;MDX−447(Medarex Inc);ならびにmAb806またはヒト化mAb806(Johns et al.,J.Biol.Chem.279(29):30375−30384(2004))が挙げられる。抗EGFR抗体は、細胞毒性剤に複合され、それにより免疫複合体を生成し得る(例えば、EP659,439A2、Merck Patent GmbHを参照されたい)。EGFRアンタゴニストには、米国特許第5,616,582号、同第5,457,105号、同第5,475,001号、同第5,654,307号、同第5,679,683号、同第6,084,095号、同第6,265,410号、同第6,455,534号、同第6,521,620号、同第6,596,726号、同第6,713,484号、同第5,770,599号、同第6,140,332号、同第5,866,572号、同第6,399,602号、同第6,344,459号、同第6,602,863号、同第6,391,874号、同第6,344,455号、同第5,760,041号、同第6,002,008号、及び同第5,747,498号、ならびに以下のPCT公開WO98/14451、WO98/50038、WO99/09016、及びWO99/24037に記載されている化合物などの小分子が挙げられる。特定の小分子EGFRアンタゴニストには、OSI−774(CP−358774、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標)Genentech/OSI Pharmaceuticals))、PD183805(CI1033、2−プロペンアミド、N−[4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−キナゾリニル]−、二塩酸塩、Pfizer Inc.)、ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4−(3’−クロロ−4’−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca)、ZM105180((6−アミノ−4−(3−メチルフェニル−アミノ)−キナゾリン、Zeneca)、BIBX−1382(N8−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−N2−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−ピリミド[5,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミン、Boehringer Ingelheim)、PKI−166((R)−4−[4−[(1−フェニルエチル)アミノ]−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェノール)、(R)−6−(4−ヒドロキシフェニル)−4−[(1−フェニルエチル)アミノ]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン)、CL−387785(N−[4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−キナゾリニル]−2−ブチンアミド)、EKB−569(N−[4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル]−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド)(Wyeth)、AG1478(Pfizer)、AG1571(SU 5271、Pfizer)、及び二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016またはN−[3−クロロ−4−[(3−フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]−6[5[[[2−メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]−2−フラニル]−4−キナゾリンアミン)が挙げられる。
化学療法剤には、前段落に記載のEGFR標的薬物を含む「チロシンキナーゼ阻害剤」;小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、Takedaから入手可能なTAK165;ErbB2受容体チロシンキナーゼの経口選択的阻害剤CP−724,714(Pfizer及びOSI);二重HER阻害剤、例えば、EGFRに優先的に結合するが、HER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害するEKB−569(Wyethから入手可能);ラパチニブ(GSK572016、Glaxo−SmithKlineから入手可能);経口HER2及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤;PKI−166(Novartisから入手可能);汎HER阻害剤、例えば、カネルチニブ(CI−1033、Pharmacia);Raf−1阻害剤、例えば、Raf−1シグナル伝達を阻害するISIS Pharmaceuticalsから入手可能なアンチセンス薬剤ISIS−5132;非HER標的TK阻害剤、例えば、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Glaxo SmithKlineから入手可能);多標的チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizerから入手可能);VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、バタラニブ(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AGから入手可能);MAPK細胞外調節キナーゼI阻害剤CI−1040(Pharmaciaから入手可能);キナゾリン、例えば、PD 153035,4−(3−クロロアニリノ)キナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;ピロロピリミジン、例えば、CGP 59326、CGP 60261、及びCGP 62706;ピラゾロピリミジン、4−(フェニルアミノ)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5−ビス(4−フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含有するチルホスチン;PD−0183805(Warner−Lamber);アンチセンス分子(例えば、HERコード核酸に結合するもの);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(米国特許第5,804,396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK−787(Novartis/Schering AG);汎HER阻害剤、例えば、CI−1033(Pfizer);Affinitac(ISIS 3521、Isis/Lilly);メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標));PKI166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI−1033(Pfizer);EKB−569(Wyeth);セマキシニブ(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK−787(Novartis/Schering AG);INC−1C11(Imclone)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標));または以下の特許公開:米国特許第5,804,396号、WO1999/09016(American Cyanamid)、WO1998/43960(American Cyanamid)、WO1997/38983(Warner Lambert)、WO1999/06378(Warner Lambert)、WO1999/06396(Warner Lambert)、WO1996/30347(Pfizer,Inc)、WO1996/33978(Zeneca)、WO1996/3397(Zeneca)、及びWO1996/33980(Zeneca)のいずれかに記載のものも挙げられる。
化学療法剤には、デキサメタゾン、インターフェロン、コルヒチン、メトプリン、シクロスポリン、アンホテリシン、メトロニダゾール、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アミホスチン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生、ベバクジマブ、ベキサロテン、クラドリビン、クロファラビン、ダルベポエチンアルファ、デニロイキン、デクスラゾキサン、エポエチンアルファ、エロチニブ、フィルグラスチム、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブ、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、レナリドミド、レバミゾール、メスナ、メトキサレン、ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オプレルベキン、パリフェルミン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、キナクリン、ラスブリカーゼ、サルグラモスチム、テモゾロミド、VM−26、6−TG、トレミフェン、トレチノイン、ATRA、バルルビシン、ゾレドロネート、及びゾレドロン酸、ならびにそれらの薬学的に許容される塩も挙げられる。
化学療法剤には、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ピバリン酸チクソコルトール、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン−17−ブチレート、ヒドロコルチゾン−17−バレレート、ジプロピオン酸アクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン−17−ブチレート、クロベタゾン−17−プロピオネート、カプロン酸フルオコルトロン、ピバリン酸フルオコルトロン及び酢酸フルプレドニデン;免疫選択的抗炎症ペプチド(ImSAIDs)、例えば、フェニルアラニン−グルタミン−グリシン(FEG)及びそのD異性体形態(feG)(IMULAN BioTherapeutics,LLC);抗リウマチ薬、例えば、アザチオプリン、シクロスポリン(シクロスポリンA)、D−ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミドミノシクリン、スルファサラジン、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)遮断剤、例えば、エタネルセプト(ENBREL(登録商標)インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、セトリズマブペゴール(CIMZIA(登録商標))、ゴリムマブ(SIMPONI(登録商標))、インターロイキン1(IL−1)遮断剤、例えば、アナキンラ(KINERET(登録商標))、T細胞共刺激遮断剤、例えば、アバタセプト(ORENCIA(登録商標))、インターロイキン6(IL−6)遮断剤、例えば、トシリズマブ(ACTEMERA(登録商標));インターロイキン13(IL−13)遮断剤、例えば、レブリキズマブ;インターフェロンアルファ(IFN)遮断剤、例えば、ロンタリズマブ;ベータ7インテグリン遮断剤、例えば、rhuMAb Beta7;IgE経路遮断剤、例えば、抗M1プライム;分泌ホモ三量体LTa3及び膜結合ヘテロ三量体LTa1/β2遮断剤、例えば、抗リンホトキシンアルファ(LTa);種々の調査剤、例えば、チオプラチン、PS−341、フェニルブチレート、ET−18−OCH3、及びファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L−739749、L−744832);ポリフェノール、例えば、ケルセチン、レスベラトロール、ピセアタンノール、没食子酸エピガロカテキン、テアフラビン、フラバノール、プロシアニジン、ベツリン酸;オートファジー阻害剤、例えば、クロロキン;デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9−アミノカンプトテシン);ポドフィロトキシン;テガフール(UFTORAL(登録商標));ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標));ビスホスホネート、例えば、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE−58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロネート(ACTONEL(登録商標));ならびに上皮成長因子受容体(EGF−R);ワクチン、例えば、THERATOPE(登録商標)ワクチン;ペリフォシン、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブまたはエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);CCI−779;チピファルニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;Bcl−2阻害剤、例えば、オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標));ピキサントロン;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、ロナファルニブ(SCH 6636、SARASAR(商標));ならびに上記のうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合、親薬物と比較すると腫瘍細胞に対して細胞毒性が低く、酵素によってより活性な親形態へと活性化または変換され得る、薬学的に活性な物質の前駆体形態を指す。例えば、Wilman,“Prodrugs in Cancer Chemotherapy”Biochemical Society Transactions,14,pp.375−382,615th Meeting Belfast(1986)and Stella et al.,“Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug Delivery,Borchardt et al.,(ed.),pp.247−267,Humana Press(1985)を参照されたい。本発明のプロドラッグには、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、Dアミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン及び他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるがこれらに限定されず、これらは、より活性な細胞毒性遊離薬物へと変換され得る。本発明において使用するためのプロドラッグ形態に誘導体化することができる細胞毒性薬の例には、上記の化学療法剤が挙げられるがこれらに限定されない。
「増殖阻害剤」は、本明細書で使用されるとき、インビトロまたはインビボのいずれかで細胞(例えば、その成長がH3K27me3に依存する細胞)の成長及び/または増殖を阻害する化合物または組成物を指す。このため、増殖阻害剤は、S相における細胞の割合を著しく低減するものであってもよい。増殖阻害剤の例には、細胞周期進行(S期以外の場所で)を妨害する薬剤、例えば、G1停止及びM期停止を誘導する薬剤が挙げられる。従来のM相遮断剤には、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン、及びトポイソメラーゼII阻害剤、例えば、アントラサイクリン抗生物質ドキソルビシン((8S−シス)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキサピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオン)、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが挙げられる。G1を停止する薬剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、及びara−CなどのDNAアルキル化剤は、S期停止にも波及する。更なる情報は、Murakamiらによる“The Molecular Basis of Cancer,”Mendelsohn and Israel,eds.,第1章,題“Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs”WB Saunders:Philadelphia,1995)、特に13頁に見い出すことができる。タキサン(パクリタキセル及びドセタキセル)は、いずれもイチイ由来の抗がん薬である。ヨーロッパイチイ由来のドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体由来の微小管の組立てを促進し、解重合を防止することによって微小管を安定させ、細胞内での有糸***を阻害する。
「放射線療法」は、正常に機能する能力を制限するか、または細胞を完全に破壊するように細胞に十分な損傷を誘導するための指向性ガンマ線またはベータ線の使用を意味する。用量及び処置期間を決定するための当該技術分野で既知の方法が多く存在することが理解される。典型的な処置は、1回の投与として与えられ、典型的な投薬量は、1日あたり10〜200単位(グレイ)の範囲である。
本明細書で使用される場合、「投与」は、ある投薬量の化合物(例えば、阻害剤またはアンタゴニスト)または薬学的組成物(例えば、阻害剤またはアンタゴニストを含む薬学的組成物)を対象(例えば、患者)に与える方法を意味する。投与は、非経口、肺内、及び鼻腔内、ならびに局所処置が所望される場合には病巣内投与を含む、任意の好適な手段により得る。非経口注入には、例えば、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。投薬は、投与が短期であるか長期であるかに部分的に応じて、任意の好適な経路、例えば、静脈内または皮下注射などの注射により得る。単回または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない、様々な投薬スケジュールが本明細書で企図される。
「同時投与」という用語は、本明細書では、投与の少なくとも一部が時間的に重複する2つ以上の治療薬の投与を指す。したがって、同時投与には、1つ以上の薬剤(複数可)の投与が1つ以上の他の薬剤(複数可)の投与を中止した後で継続する投薬レジメンが含まれる。
「低減するまたは阻害する」は、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上の全体的な減少をもたらす能力を意味する。例えば、低減するまたは阻害するは、例えば、EZH2またはEZH2のアゴニストの活性及び/または機能のレベルを指し得る。加えて、例えば、低減するまたは阻害するは、処置される疾患の症状、転移の存在もしくはサイズ、または原発腫瘍のサイズを指し得る。
「添付文書」は、治療用製品の市販のパッケージに通例含まれ、かかる治療用製品の使用に関する指示、用法、用量、投与、併用療法、禁忌、及び/または警告についての情報を含む説明書を指すために使用される。
「製造物品」は、任意の製造物(例えば、パッケージまたは容器)、あるいは少なくとも1つの試薬、例えば、疾患もしくは障害(例えば、がん)の処置のための医薬品、または本明細書に記載のバイオマーカー(例えば、SMARCA2の発現レベルまたはSMARCA2プロモーターにおけるH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベル)を特異的に検出するためのプローブを含むキットである。ある特定の実施形態では、製造物またはキットは、本明細書に記載の方法を実行するためのユニットとして、販売促進、流通、または販売される。
「に基づく」という語句は、本明細書で使用されるとき、1つ以上のバイオマーカーについての情報を使用して、診断決定、処置決定、添付文書に提供される情報、またはマーケティング/販売促進指針などの情報を伝達することを意味する。
III.方法
A.診断方法
本発明は、ヒストン3リジン27(H3K27)メチル化(例えば、H3K27me3)の1つ以上の阻害剤を含む処置の利益を受け得るがん(例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、例えば、悪性ラブドイド脳癌、または悪性ラブドイド腎臓癌))、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣小細胞癌、例えば、卵巣小細胞癌、高カルシウム血症型)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌))を有する患者を特定及び/または監視する方法を提供する。方法は、患者からの試料(例えば、組織試料(例えば、腫瘍組織試料))中の1つ以上のバイオマーカーを検知することを含み、1つ以上のかかるバイオマーカーは、患者が、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤、例えばH3K27メチル化の阻害剤、例えばEZH2阻害剤、例えばEPZ−6438を含む処置に感受性または応答性があるかどうかを示す。がんを有する患者の処置の治療有効性を最適化する方法であって、処置が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む方法も提供される。さらに、本明細書では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対するがんを有する患者の応答性を予測する方法が提供される。また、本明細書では、がんを有する患者に対する療法を選択する方法が提供される。方法のうちいずれかは、患者にH3K27メチル化の阻害剤の治療有効量を患者に投与することをさらに含み得る。加えて、方法のうちいずれかは、追加の治療薬(例えば、第2の治療薬、例えば、第2のH3K27メチル化の阻害剤、または抗がん剤)の有効量を患者に投与することをさらに含み得る。
本発明は、患者から得られる試料中のSMARCA2の発現レベルを判定することに基づいて、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得るがんを有する患者を特定する方法、がんを有する患者の処置について治療有効性を最適化する方法、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対するがんを有する患者の応答性を予測する方法、がんを有する患者に対する療法を選択する方法を提供し、参照レベルと比較して減少した試料中のSMARCA2の発現レベルは、患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することを示す。より特に、前述の方法のうちいずれかは、患者が、H3K27メチル化の阻害(例えば、H3K27me3の阻害)への応答性または感受性があるかどうかを監視するのに有用な、患者からの試料中のSMARCA2の発現レベルを判定することに基づき得る。
本発明は、患者から得られる試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを判定することに基づいて、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得るがんを有する患者を特定する方法、がんを有する患者の処置について治療有効性を最適化する方法、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対するがんを有する患者の応答性を予測する方法、がんを有する患者に対する療法を選択する方法を提供し、参照占有レベルと比較して増加した試料中のSMARCA2プロモーターでの増加したH3K27の占有レベル(例えば、H3K27(H3K27me3)での、モノ−、ジ−、またはトリメチル化の検知によって測定されるような)は、患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することを示す。より特に、前述の方法のうちいずれかは、患者が、H3K27メチル化の阻害(例えば、H3K27me3の阻害)への応答性または感受性があるかどうかを監視するのに有用な、患者からの試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27の占有レベル(例えば、H3K27me3)を判定することに基づき得る。
開示された方法及び解析は、患者を処置する適切または効果的な療法を評価するのに有用なデータ及び情報を取得するための、便利で、効率的で、潜在的に費用効果の高い手段を提供する。例えば、患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置前及び/または処置後に、組織試料(例えば、腫瘍生検または血液試料)を提供することができ、試料は、生体外解析での様々な方法によって、患者の細胞が、例えば、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、EZH2阻害剤(例えば、EPZ−6438)による、H3K27メチル化の阻害に感受性があるかどうかを判定するために試験され得る。
本発明は、また、H3K27メチル化の阻害剤への患者の感受性または応答性を監視する方法を提供する。方法は、遺伝子またはタンパク質発現レベルを検出する解析、適切な活性を検出する生化学的解析、及び/または免疫測定法(例えば、免疫沈降、例えば、クロマチン免疫沈降(ChIP)解析)を含む様々な解析形式で行われ得る。
患者の試料中のSMARCA2の発現レベルの判定は、患者が、H3K27メチル化の阻害剤の生物学的効果のうち1つ以上に感受性があるかどうかを予測することができる。がんを有する患者からの試料中のSMARCA2の、参照レベルと比べてより低い発現レベル(すなわち、抑制)は、かかる患者のH3K27メチル化の阻害剤による処置有効性に関連する。参照発現レベルは、H3K27メチル化の阻害剤への応答性を試験される患者の群/集団からの試料中のSMARCA2の発現レベル、または特定のがん、例えば、SWI/SNF複合体タンパク質における突然変異と関連付けられないがんを有する患者の群/集団からの試料もしくは健康または非がん性の組織からの試料中のSMARCA2の発現レベルの平均値もしくは中央値であり得る。
同様に、患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)占有レベルの判定は、H3K27メチル化の阻害剤の生物学的効果に感受性があるかまたは感受性があるようになるかどうかを予測することができる。がんを有する患者からの試料中のSMARCA2プロモーターでの参照レベルと比べて増加されたH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、かかる患者のH3K27メチル化の阻害剤による処置有効性に関連する。参照占有レベルは、H3K27メチル化の阻害剤への応答性を試験される患者の群/集団からの試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベル、または特定のがん、例えば、SWI/SNF複合体タンパク質における突然変異と関連付けられないがんを有する患者の群/集団からの試料もしくは健康または非がん性の組織からの試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルの平均値もしくは中央値であり得る。
SMARCA2プロモーターでのSMARCA2の発現またはH3K27の占有のどちらか、または両方の評価が、また、H3K27メチル化(例えば、H3K27me3阻害剤、例えば、EZH2阻害剤)の阻害剤への患者の応答を監視するために使用され得る。H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答性があると判定される患者は、(例えば、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤による)処置の開始前に得られる試料中のバイオマーカーを、処置後に得られる試料中の対応するバイオマーカーと比較することによって、処置の経過にわたって監視され得る。いくつかの場合には、H3K27メチル化の阻害剤による処置の経過にわたって増加するSMARCA2発現レベルは、患者が処置に応答性があることを示す。同様に、いくつかの実施形態によると、H3K27メチル化の阻害剤による処置の経過にわたる試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の減少する占有は、患者が処置に応答性があることを示す。
一態様では、本発明は、がんを有する患者が、(i)H3K27メチル化の阻害剤が患者に処方される前、(ii)H3K27メチル化の阻害剤が患者に処方された後、または(iii)かかる処置の前及び後に得られる患者からの試料中のSMARCA2の発現レベルを判定することを含む、H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答するかどうかを判定する方法を提供する。参照発現レベルと比べたSMARCA2の発現における変化(例えば、減少)は、患者がH3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する可能性が高いことを示す。いくつかの実施形態では、患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する増加した可能性を有することを知らされ得て、及び/または抗がん療法が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含むという勧告を提供され得る。
別の態様では、本発明は、バイオマーカーとして(i)H3K27メチル化の阻害剤が患者に処方される前、(ii)H3K27メチル化の任意の阻害剤が患者に処方された後、または(iii)かかる処置の前及び後に得られる患者からの試料中のSMARCA2の発現レベルを検出することを含む、患者に対する抗がん療法の治療有効性を最適化する方法を提供する。いくつかの場合には、参照レベルと比べたSMARCA2の発現における変化(例えば、減少)は、患者がH3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する可能性が高いことを示す。患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する増加した可能性を有することを知らされ得て、及び/または抗がん療法がH3K27メチル化の阻害剤を含むという勧告を提供され得る。
別の態様では、本発明は、バイオマーカーとして(i)H3K27メチル化の阻害剤が患者に処方される前、(ii)H3K27メチル化の任意の阻害剤が患者に処方された後、または(iii)かかる処置の前及び後に得られる患者からの試料中のSMARCA2の発現を検出することを含む、がんを有する患者に対する療法を選択する方法を提供する。いくつかの場合には、参照レベルと比べたSMARCA2の発現における変化(例えば、減少)は、患者がH3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する可能性が高いことを示す。患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する増加した可能性を有することを知らされ得て、及び/または抗がん療法がH3K27メチル化の阻害剤を含むという勧告を提供され得る。
別の実施形態では、本発明は、H3K27メチル化の阻害剤への患者の感受性または応答性を監視する方法を提供する。この方法は、患者の試料中のSMARCA2の発現レベルを評価すること、及びH3K27メチル化の阻害剤への患者の感受性または応答性を予測することを含み、SMARCA2の発現における変化(例えば、増加または減少)は、H3K27メチル化の阻害剤による効果的な処置への患者の感受性または応答性に関連する。
この方法の一実施形態によると、生物学的試料はH3K27メチル化の阻害剤の投与の前に患者から得られて、試料中のSMARCA2の発現生成物のレベルを評価する解析を受ける。SMARCA2の発現が参照発現レベルと比べて減少する場合、患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に感受性があるまたは応答性があると判定される。患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に感受性があるまたは応答性がある増加した可能性を有することを知らされ得て、及び/または抗がん療法がH3K27メチル化の阻害剤を含むという勧告を提供され得る。この方法の別の実施形態では、生物学的試料はH3K27メチル化の阻害剤の投与の前及び後に患者から得られて、試料中のSMARCA2の発現生成物のレベルを評価する解析を受ける。SMARCA2の発現が、H3K27メチル化の阻害剤の投与前に得られる試料と比べて、H3K27メチル化の阻害剤の投与後に増加する場合、患者は処置に応答性があると判定され、患者はH3K27メチル化の阻害剤による処置を継続するように勧告され得る。
別個の態様では、本発明は、がんを有する患者が、(i)H3K27メチル化の任意の阻害剤が患者に処方される前、(ii)H3K27メチル化の阻害剤が患者に処方された後、または(iii)かかる処置の前及び後に得られる患者からの試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを判定することを含む、H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答するかどうかを判定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、参照レベルと比べたSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有における変化(例えば、減少)は、患者がH3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する可能性が高いことを示す。患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する増加した可能性を有することを知らされ得て、及び/または抗がん療法がH3K27メチル化の阻害剤を含むという勧告を提供され得る。
別の態様では、本発明は、バイオマーカーとして(i)H3K27メチル化の任意の阻害剤が患者に処方される前、(ii)H3K27メチル化の阻害剤が患者に処方された後、または(iii)かかる処置の前及び後に得られる患者からの試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有を検出することを含む、患者に対する抗がん療法の治療有効性を最適化する方法を提供する。いくつかの場合には、参照レベルと比べたSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルにおける変化(例えば、減少)は、患者がH3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する可能性が高いことを示す。患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する増加した可能性を有することを知らされ得て、及び/または抗がん療法がH3K27メチル化の阻害剤を含むという勧告を提供され得る。
別の態様では、本発明は、バイオマーカーとして(i)H3K27メチル化の阻害剤が患者に処方される前、(ii)H3K27メチル化の阻害剤が患者に処方された後、または(iii)かかる処置の前及び後に得られる患者からの試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有を検出することを含む、がんを有する患者に対する療法を選択する方法を提供する。いくつかの場合には、参照レベルと比べたSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルにおける変化(例えば、減少)は、患者がH3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する可能性が高いことを示す。患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答する増加した可能性を有することを知らされ得て、及び/または抗がん療法がH3K27メチル化の阻害剤を含むという勧告を提供され得る。
別の実施形態において、本発明は、H3K27メチル化の阻害剤への患者の感受性または応答性を監視する方法を提供する。この方法は、患者の試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを評価すること、及びH3K27メチル化の1つ以上の阻害剤への患者の感受性または応答性を予測することを含み、SMARCA2の発現における変化(例えば、増加または減少)は、H3K27メチル化の1つ以上の阻害剤による効果的な処置への患者の感受性または応答性に関連する。
この方法の一実施形態によると、生物学的試料はH3K27メチル化の任意の阻害剤の投与の前に患者から得られて、試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有のレベルを評価する解析を受ける。いくつかの場合では、SMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルが参照占有レベルと比べて増加する場合、患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に感受性があるまたは応答性があると判定される。患者は、H3K27メチル化の阻害剤による処置に感受性があるまたは応答性がある増加した可能性を有することを知らされ得て、及び/または抗がん療法がH3K27メチル化の阻害剤を含むという勧告を提供され得る。この方法の別の実施形態では、生物学的試料はH3K27メチル化の阻害剤の投与の前及び後に患者から得られて、試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有のレベルを評価する解析を受ける。SMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有のレベルが、H3K27メチル化の阻害剤の投与前に得られる試料と比べて、H3K27メチル化の阻害剤の投与後に増加する場合、患者は処置に応答性があると判定され、患者はH3K27メチル化の阻害剤による処置を継続するように勧告され得る。
先行する方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、患者から得られる試料(例えば、組織試料(例えば、腫瘍組織試料))中のSMARCA2の発現レベルは、参照発現レベルと比べて、約1%以上(例えば、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%、例えば、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、約90%〜約100%、約1%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約40%〜約50%、約50%〜約60%、約60%〜約70%、約70%〜約80%、約80%〜約90%、約90%〜約100%、約1%〜約25%、約25%〜約50%、約50%〜約75%、または約75%〜約100%)減少すると判定される。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、減少する発現レベルは、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、対照組織、または内部対照(例えば、ハウスキーピング遺伝子)と比較した全体の減少を指す。
あるいは、患者から得られる試料(例えば、組織試料(例えば、腫瘍組織試料))中のSMARCA2の発現レベルは、増加したことが判定され得る(例えば、H3K27メチル化の阻害剤による処置の投与の開始前の時点と比べてH3K27メチル化の阻害剤による処置の投与の開始後の時点で)。いくつかの実施形態では、試料中のSMARCA2の発現レベルは、(例えば、H3K27による処置の開始前の時点で)参照発現レベルと比べて、約1%以上(例えば、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約100%以上、約110%以上、約120%以上、約130%以上、約140%以上、約150%以上、約200%以上、約250%以上、約300%以上、約350%以上、約400%以上、約450%以上、約500%以上、約550%以上、約600%以上、約650%以上、約700%以上、約750%以上、約800%以上、約850%以上、約900%以上、約950%以上、約1,000%以上、約2,000%以上、約5,000%以上、または約10,000%以上、例えば、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、約95%〜約100%、約100%〜約200%、約200%〜約300%、約300%〜約400%、約400%〜約500%、約500%〜約600%、約600%〜約700%、約700%〜約800%、約800%〜約1,000%、約1,000%〜約2,000%、約2,000%〜約5,000%、約5,000%〜約10,000%、約1%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約40%〜約50%、約50%〜約60%、約60%〜約70%、約70%〜約80%、約80%〜約90%、約90%〜約100%、約1%〜約25%、約25%〜約50%、約50%〜約75%、約75%〜約100%、約1,000%〜約5,000%、または約5,000%〜約10,000%)増加する。いくつかの実施形態では、試料中のSMARCA1の発現レベルは、(例えば、H3K27による処置の開始前の時点で)参照発現レベルと比べて、(例えば、約1倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約11倍、約12倍、約13倍、約14倍、約15倍、約16倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍、約500倍、約1,000倍、またはより大きい、例えば、約1倍〜約1.5倍、約1.5倍〜約2倍、約2倍〜約3倍、約3倍〜約4倍、約4倍〜約5倍、約5倍〜約6倍、約6倍〜約7倍、約7倍〜約8倍、約9倍〜約10倍、約10倍〜約50倍、約50倍〜約100倍、約100倍〜約500倍、約500倍〜約1,000倍、約1倍〜約10倍、約10倍〜約100倍、約100倍〜約1,000倍、またはより大きい)増加する。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、上昇または増加する発現レベルは、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、対照組織、または内部対照(例えば、ハウスキーピング遺伝子)と比較した全体の増加を指す。
いくつかの実施形態では、SMARCA2の発現レベルは、発現レベルの中央値(例えば、タンパク質発現レベルの中央値または遺伝子発現レベルの中央値、例えば、mRNA発現レベルの平均値)である。あるいは、SMARCA2の発現レベルは、発現レベルの平均値(例えば、タンパク質発現レベルの平均値または遺伝子発現レベルの平均値、例えば、mRNA発現レベルの平均値)であり得る。
いくつかの事例では、参照発現レベルは、前の時点で患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルである。他の場合には、参照発現レベルは、参照集団(例えば、同じ患者もしくは異なる対象、例えば、健康な対象からの健康な組織試料、または複数の個体もしくは患者の平均(例えば、平均値または中央値)占有レベル)におけるSMARCA2の発現レベルである。いくつかの場合には、参照発現レベルは、事前に割り当てられたSMARCA2の発現レベルである。例えば、事前に割り当てられた発現レベルは、本明細書に記載される方法の一部として患者から得られる試料と異なる1つ以上の試料、例えば、同じまたは異なる個体からの、例えば、健康な試料から統計的にまたは主観的に導出され得る。参照発現レベルは、例えば、患者の試料中で検出される発現の種類によって、タンパク質発現レベルまたはmRNA発現レベルであり得る。
先行する方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、患者から得られる試料(例えば、組織試料(例えば、腫瘍組織試料))中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルは、参照占有レベルと比べて、約1%以上(例えば、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約100%以上、約110%以上、約120%以上、約130%以上、約140%以上、約150%以上、約200%以上、約250%以上、約300%以上、約350%以上、約400%以上、約450%以上、約500%以上、約550%以上、約600%以上、約650%以上、約700%以上、約750%以上、約800%以上、約850%以上、約900%以上、約950%以上、約1,000%以上、約2,000%以上、約5,000%以上、または約10,000%以上、例えば、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、約95%〜約100%、約100%〜約200%、約200%〜約300%、約300%〜約400%、約400%〜約500%、約500%〜約600%、約600%〜約700%、約700%〜約800%、約800%〜約1,000%、約1,000%〜約2,000%、約2,000%〜約5,000%、約5,000%〜約10,000%、約1%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約40%〜約50%、約50%〜約60%、約60%〜約70%、約70%〜約80%、約80%〜約90%、約90%〜約100%、約1%〜約25%、約25%〜約50%、約50%〜約75%、約75%〜約100%、約1,000%〜約5,000%、または約5,000%〜約10,000%)増加する。いくつかの実施形態では、試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルは、参照占有レベルと比べて、(例えば、約1倍、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約11倍、約12倍、約13倍、約14倍、約15倍、約16倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍、約500倍、約1,000倍、またはより大きい、例えば、約1倍〜約1.5倍、約1.5倍〜約2倍、約2倍〜約3倍、約3倍〜約4倍、約4倍〜約5倍、約5倍〜約6倍、約6倍〜約7倍、約7倍〜約8倍、約9倍〜約10倍、約10倍〜約50倍、約50倍〜約100倍、約100倍〜約500倍、約500倍〜約1,000倍、約1倍〜約10倍、約10倍〜約100倍、約100倍〜約1,000倍、またはより大きい)増加する。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、上昇または増加する占有レベルは、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、対照組織、または内部対照(例えば、ハウスキーピング遺伝子)と比較した全体の増加を指す。
あるいは、患者から得られる試料(例えば、組織試料(例えば、腫瘍組織試料))中のSMARCA2プロモーターでのH3K27の占有レベルは、減少したことが判定され得る(例えば、H3K27メチル化の阻害剤による処置の投与の開始前の時点と比べてH3K27メチル化の阻害剤による処置の投与の開始後の時点で)。いくつかの実施形態では、試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルは、(例えば、H3K27メチル化の阻害剤による処置の開始前に患者から得られる)参照占有レベルと比べて、約1%以上(例えば、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%、例えば、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、約90%〜約100%、約1%〜約10%、約10%〜約20%、約20%〜約30%、約30%〜約40%、約40%〜約50%、約50%〜約60%、約60%〜約70%、約70%〜約80%、約80%〜約90%、約90%〜約100%、約1%〜約25%、約25%〜約50%、約50%〜約75%、または約75%〜約100%))減少する。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、減少する占有レベルは、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、対照組織、または内部対照(例えば、ハウスキーピング遺伝子)と比較した全体の減少を指す。
いくつかの実施形態では、SMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、(例えば、ChIP−seqまたはChIP−PCRによって測定される)占有レベルの中央値である。あるいは、SMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、(例えば、ChIP−seqまたはChIP−PCRによって測定される)占有レベルの平均値であり得る。
いくつかの事例では、参照占有レベルは、前の時点で患者から得られる試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルである。他の場合には、参照占有レベルは、参照集団(例えば、同じ患者もしくは異なる対象、例えば、健康な対象からの健康な組織試料、または複数の個体もしくは患者の平均(例えば、平均値または中央値)占有レベル)におけるSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルである。いくつかの場合には、参照占有レベルは、SMARCA2プロモーターでの事前に割り当てられたH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルである。例えば、事前に割り当てられた占有レベルは、本明細書に記載される方法の一部として患者から得られる試料と異なる1つ以上の試料、例えば、同じまたは異なる個体からの、例えば、健康な試料から統計的にまたは主観的に導出され得る。
先行する方法のうちのいずれかでは、バイオマーカー(例えば、参照レベルと比べて抑制されたSMARCA2、またはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の参照レベルと比べて高い占有)は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして、SWI/SNF複合体タンパク質(例えば、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及び/またはPBRM1)をコードする1つ以上の遺伝子において突然変異を有するがんに罹患している患者を特定する。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、参照レベルと比べて抑制されたSMARCA2、またはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の高い占有)は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして、卵巣癌患者を特定する。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、参照レベルと比べて抑制されたSMARCA2、またはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の高い占有)は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして、卵巣明細胞癌患者を特定する。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、参照レベルと比べて抑制されたSMARCA2、またはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の高い占有)は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして、肺癌患者を特定する。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、参照レベルと比べて抑制されたSMARCA2、またはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の高い占有)は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして、胃癌患者を特定する。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、参照レベルと比べて抑制されたSMARCA2、またはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の高い占有)は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして、膀胱癌患者を特定する。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、参照レベルと比べて抑制されたSMARCA2、またはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の高い占有)は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして、ラブドイド腫瘍患者(例えば、悪性ラブドイド腫瘍患者、例えば、SMARCB1変異型ラブドイド腫瘍患者、腎臓ラブドイド腫瘍患者、または脳ラブドイド腫瘍患者)を特定する。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、参照レベルと比べて抑制されたSMARCA2、またはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の高い占有)は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして、乳癌患者を特定する。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、参照レベルと比べて抑制されたSMARCA2、またはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の高い占有)は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして、皮膚癌患者を特定する。
試料中の本明細書に記載される様々なバイオマーカーの存在及び/または発現レベル(量)は、いくつかの方法論によって分析され得て、そのうちの多くは当該技術分野で既知であり、当業者によって理解され、免疫組織化学(「IHC」)、ウエスタンブロット分析、免疫沈降、分子結合解析、酵素結合免疫解析(ELISA)、酵素結合免疫濾過解析(ELIFA)、蛍光標識細胞分取(「FACS」)、MassARRAY、プロテオミクス、定量的血液ベース解析(例えば、血清ELISA)、生化学的酵素活性解析、インサイツハイブリダイゼーション、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、サザン分析、ノーザン分析、全ゲノム配列解析、(定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)及び他の増幅型検出方法、例えば、分岐DNA、SISBA、TMAなどを含む)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RNA−Seq、マイクロアレイ分析、遺伝子発現プロファイリング、及び/または遺伝子発現の逐次分析(「SAGE」)、ならびにタンパク質、遺伝子、及び/または組織アレイ解析によって行われ得る豊富な種類の解析のうちのいずれか1つを含むが、これらに限定されない。遺伝子及び遺伝子産物の状態を評価する典型的なプロトコルは、例えば、Ausubel et al.,eds.,1995,Current Protocols In Molecular Biology,Units 2(Northern Blotting),4(Southern Blotting),15(Immunoblotting)and 18(PCR Analysis)に見出される。Rules Based MedicineまたはMeso Scale Discovery(「MSD」)から入手可能のもののようなマルチプレックス免疫測定法も、使用され得る。ヒストンメチル化(例えば、H3K27me3)などのクロマチン修飾は、既知の方法(例えば、クロマチン免疫沈降(ChIP)、ChIP−Seq、またはChIP−PCR)により検出及び定量化され得る。
先行する方法のうちのいずれかでは、SMARCA2の存在及び/または発現レベル(量)は、核酸発現レベルであり得る。いくつかの事例では、核酸発現レベルは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、RNA−Seq、マルチプレックスqPCRもしくはRT−qPCR、マイクロアレイ分析、SAGE、MassARRAY技術、またはインサイツハイブリダイゼーション(例えば、FISH)を使用して判定される。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、SMARCA2)の発現レベルは、腫瘍組織、腫瘍細胞、腫瘍浸潤性免疫細胞、ストロマ細胞、またはそれらの組み合わせにおいて判定される。
特定の事例では、バイオマーカー(例えば、SMARCA2)の発現レベルは、mRNA発現レベルである。細胞中のmRNAの評価のための方法は、よく知られており、例えば、次世代配列解析技術を使用するRNA−Seq(例えば、全トランスクリプトームショットガン配列解析)、相補DNAプローブを使用するハイブリダイゼーション解析(例えば、1つ以上の遺伝子に特定の標識されたリボプローブを使用するインサイツハイブリダイゼーション、ノーザンブロット、及び関連技術)、及び様々な核酸増幅解析(例えば、遺伝子のうち1つ以上に特定の相補プライマーを使用するRT−PCR、及び例えば分岐DNA、SISBA、TMAなどの他の増幅型検出方法)を含む。加えて、かかる方法は、当業者に、(例えば、同時にアクチンファミリーメンバーのような「ハウスキーピング」遺伝子の比較対照mRNA配列レベルを試験することによって)生物学的試料中の標的mRNAのレベルを判定させることができる1つ以上のステップを含み得る。任意で、増幅された標的cDNAの配列が、判定され得る。任意の方法は、組織または細胞試料中のmRNA、例えば標的mRNAを、マイクロアレイ技術によって試験または検出するプロトコルを含む。核酸マイクロアレイ試験ならびに試験及び対照組織からの対照mRNA試料を使用して、試料は逆転写され、標識されてcDNAプローブを生成する。プローブは、その後、固相担体上で固定化された核酸のアレイにハイブリダイズされる。アレイは、アレイの各メンバーの配列及び位置が既知であるように構成される。例えば、その発現がH3K27メチル化の阻害剤を含む処置の増加または低減した臨床利益に関連する遺伝子の選択は、固相担体上で整列され得る。標識されたプローブの特定のアレイメンバーとのハイブリダイゼーションは、プローブの導出された試料がその遺伝子を発現することを示す。
先行する方法のうちのいずれかでは、バイオマーカー(例えば、SMARCA2またはBRM1)の存在及び/または発現レベル(量)が、バイオマーカーのタンパク質発現レベルを判定することによって測定される。ある特定の事例では、方法は、生物学的試料を、バイオマーカーの結合を許容する条件下で本明細書に記載されるバイオマーカーに特に結合する抗体と接触することと、複合体が抗体とバイオマーカーとの間で形成されているかどうかを検出することとを含む。かかる方法は、インビトロまたはインビボの方法であり得る。当該技術分野で既知のタンパク質発現レベルを測定する任意の方法が使用され得る。例えば、いくつかの事例では、フローサイトメトリー(例えば、蛍光標識細胞分取(FACS(商標)))、ウエスタンブロット、ELISA、ELIFA、免疫沈降、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光、ラジオイムノアッセイ、ドットブロット、免疫検出方法、HPLC、表面プラズモン共鳴、光学分光法、質量分析、及びHPLCからなる群から選択される方法を使用して、バイオマーカー(例えば、SMARCA2またはBRM1)のタンパク質発現レベルは判定される。いくつかの事例では、バイオマーカー(例えば、SMARCA2またはBRM1)のタンパク質発現レベルが、(例えば、生検からの)腫瘍細胞において判定される。
ある特定の実施形態では、試料中のバイオマーカータンパク質(例えば、PD−L1)の存在及び/または発現レベル/量が、IHCを使用し、プロトコルを染色して試験される。組織部分のIHC染色は、試料中のタンパク質の存在を判定または検出する信頼できる方法であることが示されてきた。方法、解析、及び/またはキットのうちのいずれかのいくつかの実施形態では、バイオマーカーはBMR1である。
IHCは、形態的染色及び/またはインサイツハイブリダイゼーション(例えば、FISH)などの追加の技術と組み合わせて行われ得る。IHCの2つの一般的な方法、直接解析及び間接解析が利用可能である。第1の解析により、目標抗原への抗体の結合が直接判定される。直接解析は、さらなる抗体の相互作用なしで視覚化され得る蛍光タグまたは酵素標識一次抗体などの標識された試薬を使用する。典型的な間接解析では、非複合型一次抗体は抗原に結合し、その後、標識された二次抗体は一次抗体に結合する。二次抗体が酵素標識に複合される場合、発色性または蛍光発生基質が、抗原の視覚化を提供するために添加される。いくつかの二次抗体が一次抗体上の異なるエピトープと反応し得るため、シグナル増幅が発生する。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーの存在(例えば、BRM1)は、0%超の試料中で、少なくとも1%の試料中で、少なくとも5%の試料中で、少なくとも10%の試料中で、少なくとも15%の試料中で、少なくとも15%の試料中で、少なくとも20%の試料中で、少なくとも25%の試料中で、少なくとも30%の試料中で、少なくとも35%の試料中で、少なくとも40%の試料中で、少なくとも45%の試料中で、少なくとも50%の試料中で、少なくとも55%の試料中で、少なくとも60%の試料中で、少なくとも65%の試料中で、少なくとも70%の試料中で、少なくとも75%の試料中で、少なくとも80%の試料中で、少なくとも85%の試料中で、少なくとも90%の試料中で、少なくとも95%の試料中で、またはそれ以上で、IHCによって検出される。試料は、既知の方法を使用して、例えば、病理学者または自動化された画像分析によって、採点され得る。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ヌクレオソーム再構成タンパク質(例えば、SWI/SNFファミリータンパク質またはSWI/SNF複合体タンパク質、例えば、BRG1、SNF5、INI1、またはBAFをコードする遺伝子、例えば、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1)をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異を特定することを含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオソーム再構成タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異は、減少した(抑制された)SMARCA2の発現レベル及び/または増加した(上昇した)試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを有するより高い可能性を有するとして、患者を特定する。
突然変異は、当該技術分野で既知かつ本明細書に記載される方法により、特定され得る。いくつかの実施形態では、突然変異(例えば、ヌクレオソーム再構成タンパク質、例えば、SWI/SNFファミリータンパク質もしくはSWI/SNF複合体タンパク質、例えば、BRG1、SNF5(INI1)、SWI/SNF複合体155−kDaサブユニット、SWI/SNF複合体−170kDaサブユニット、もしくはBAF、zipzapタンパク質、もしくはBAF180、またはSMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1のうちのいずれか1つによってコードされたタンパク質をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異)が、患者から得られる試料中の核酸配列(例えば、DNA配列またはRNA配列)を判定すること及び配列を参照配列(例えば、野生型配列)と比較することによって特定される。
ある特定の事例では、参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、試験試料が得られたとき以外の1つ以上の異なる時点で得られる同じ対象または個体からの単独の試料または複数の試料の組み合わせである。例えば、参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、試験試料が得られたときよりも早い時点で同じ対象または個体から得られる。かかる参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、がんの最初の診断の間に参照試料が得られ、試験試料は後でがんが転移性になったときに得られる場合、有用であり得る。
ある特定の実施形態では、参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、患者ではない1つ以上の健康な個体からの複数の試料の組み合わせである。ある特定の実施形態では、参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、その患者または個体ではない疾患または障害(例えば、がん)を有する1つ以上の個体からの複数の試料の組み合わせである。ある特定の実施形態では、参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、患者ではない1つ以上の個体からの正常な組織からのプールされたRNA試料またはプールされた血漿もしくは血清試料である。ある特定の実施形態では、参照レベル、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、その患者または個体ではない疾患または障害(例えば、がん)を有する1つ以上の個体からの腫瘍組織からのプールされたRNA試料またはプールされた血漿もしくは血清試料である。ある特定の実施形態では、参照レベルは、試料のセット(例えば、組織試料のセット(例えば、腫瘍組織試料のセット))にわたるバイオマーカーの発現の中央レベルである。ある特定の実施形態では、参照レベルは、特定の疾患または障害(例えば、増殖細胞性疾患(例えば、がん))を有する患者の集団にわたるバイオマーカーの発現の中央レベルである。
いくつかの実施形態では、患者から得られる試料は、抗がん療法、例えば、がんの治療のための療法、またはそれらの症状の管理もしくは回復の開始後に収集される。したがって、いくつかの実施形態では、化学療法剤の投与または化学療法レジメンの開始後に試料は収集される。
以前の方法のうちいずれかのうちのいくつかの実施形態では、SMARCA2の発現レベルまたはSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを判定することに基づいて、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得るがんを有する患者を特定する方法、がんを有する患者の処置について治療有効性を最適化する方法、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対するがんを有する患者の応答性を予測する方法、及びがんを有する患者に対する療法を選択する方法を提供し、試料は、また、ヌクレオソーム再構成タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子において突然変異を含む。したがって、本発明の方法は、ヌクレオソーム再構成タンパク質(例えば、SWI/SNFファミリータンパク質、例えば、BRG1、SNF5(INI1)、SWI複合体155−kDaサブユニット、SWI複合体170−kDaサブユニット、BAF、zipzapタンパク質、またはBAF180)をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異を特定する方法をさらに提供する。ヌクレオソーム再構成タンパク質をコードする遺伝子は、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1を含むが、これらに限定されない。いくつかの場合には、ヌクレオソーム再構成タンパク質(例えば、SWI/SNFファミリータンパク質をコードする1つ以上の遺伝子、例えば、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、またはPBRM1)をコードする1つ以上の遺伝子において突然変異を有するがんは、減少したSMARCA2の発現レベル及び/または増加したSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを有する可能性がより高い患者を特定する。
B.H3K27メチル化の阻害剤による処置
本発明は、がん(例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、(例えば、悪性ラブドイド脳癌、または悪性ラブドイド腎臓癌)、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣小細胞癌、例えば、卵巣小細胞癌、高カルシウム血症型)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌))を有する患者を治療する方法を提供する。いくつかの事例では、本発明の方法は、H3K27メチル化の阻害剤を患者に投与することを含む。本明細書で記載されるかまたは当該技術分野で既知のH3K27メチル化の阻害剤のうちいずれかが、本発明の方法のうちのいずれかに関連して使用され得る。
いくつかの事例では、方法は、患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを判定することと、参照レベルと比較して減少した試料中のSMARCA2の発現レベルに基づいて、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む療法を患者に投与することと、を伴う。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤を投与することは、SMARCA2の発現レベルが参照レベルと比べて減少したと判定された後である。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤により現在治療されている患者は、SMARCA2の発現レベルが参照レベルと比べて減少したという判定の後、H3K27メチル化の阻害剤を含む処置を受け続けることができる。
いくつかの事例では、方法は、患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27モノ−、ジ−、またはトリメチル化、例えば、H3K27me3)の占有レベルを判定することと、参照レベルと比較して増加した試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルに基づいて、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む療法を患者に投与することと、を伴う。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤を投与することは、SMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルが参照レベルと比べて増加したと判定された後である。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤により現在治療されている患者は、SMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルが参照レベルと比べて増加したという判定の後、H3K27メチル化の阻害剤を含む処置を受け続けることができる。
先行する方法のうちのいずれかでは、患者から得られる試料(例えば、組織試料(例えば、腫瘍組織試料))中のSMARCA2の発現レベルが、参照発現レベルと比べて、約1%以上(例えば、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%)減少したと判定された場合、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤が投与され得る。
いくつかの実施形態では、SMARCA2の発現レベルは、発現レベルの中央値(例えば、タンパク質発現レベルの中央値または遺伝子発現レベルの中央値、例えば、mRNA発現レベルの平均値)である。あるいは、SMARCA2の発現レベルは、発現レベルの平均値(例えば、タンパク質発現レベルの平均値または遺伝子発現レベルの平均値、例えば、mRNA発現レベルの平均値)であり得る。
いくつかの事例では、参照発現レベルは、前の時点で患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルである。他の場合には、参照発現レベルは、参照集団(例えば、同じ患者もしくは異なる対象、例えば、健康な対象からの健康な組織試料、または複数の個体もしくは患者の平均(例えば、平均値または中央値)占有レベル)におけるSMARCA2の発現レベルである。いくつかの場合には、参照発現レベルは、事前に割り当てられたSMARCA2の発現レベルである。例えば、事前に割り当てられた発現レベルは、本明細書に記載される方法の一部として患者から得られる試料と異なる1つ以上の試料、例えば、同じまたは異なる個体からの、例えば、健康な試料から統計的にまたは主観的に導出され得る。参照発現レベルは、例えば、患者の試料中で検出される発現の種類によって、タンパク質発現レベルまたはmRNA発現レベルであり得る。
先行する方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、患者から得られる試料(例えば、組織試料(例えば、腫瘍組織試料))中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルが、参照占有レベルと比べて、約1%以上(例えば、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約100%以上、約110%以上、約120%以上、約130%以上、約140%以上、約150%以上、約200%以上、約250%以上、約300%以上、約350%以上、約400%以上、約450%以上、約500%以上、約550%以上、約600%以上、約650%以上、約700%以上、約750%以上、約800%以上、約850%以上、約900%以上、約950%以上、約1,000%以上、約2,000%以上、約5,000%以上、または約10,000%以上)増加したと判定された場合、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤が投与され得る。
いくつかの実施形態では、SMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、(例えば、ChIP−seqまたはChIP−PCRによって測定される)占有レベルの中央値である。あるいは、SMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、(例えば、ChIP−seqまたはChIP−PCRによって測定される)占有レベルの平均値であり得る。
いくつかの事例では、参照占有レベルは、前の時点で患者から得られる試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルである。他の場合には、参照占有レベルは、参照集団(例えば、同じ患者もしくは異なる対象、例えば、健康な対象からの健康な組織試料、または複数の個体もしくは患者の平均(例えば、平均値または中央値)占有レベル)におけるSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルである。いくつかの場合には、参照占有レベルは、SMARCA2プロモーターでの事前に割り当てられたH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルである。例えば、事前に割り当てられた占有レベルは、本明細書に記載される方法の一部として患者から得られる試料と異なる1つ以上の試料、例えば、同じまたは異なる個体からの、例えば、健康な試料から統計的にまたは主観的に導出され得る。
ある特定の実施形態では、方法は、参照発現レベルと比べて減少したSMARCA2の発現レベルが、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして患者を特定する場合、SWI/SNF複合体タンパク質(例えば、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及び/またはPBRM1)をコードする1つ以上の遺伝子において突然変異を有するがんに罹患している患者に、H3K27メチル化の阻害剤(例えば、H3K27阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)を投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、参照発現レベルと比べて減少したSMARCA2の発現レベルが、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして患者を特定する場合、卵巣癌患者にH3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、参照発現レベルと比べて減少したSMARCA2の発現レベルが、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして患者を特定する場合、卵巣明細胞癌患者にH3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、参照発現レベルと比べて減少したSMARCA2の発現レベルが、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして患者を特定する場合、肺癌患者にH3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、参照発現レベルと比べて減少したSMARCA2の発現レベルが、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして患者を特定する場合、胃癌患者にH3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、参照発現レベルと比べて減少したSMARCA2の発現レベルが、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして患者を特定する場合、膀胱癌患者にH3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、参照発現レベルと比べて減少したSMARCA2の発現レベルが、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして患者を特定する場合、ラブドイド腫瘍患者(例えば、悪性ラブドイド腫瘍患者、例えば、SMARCB1変異型ラブドイド腫瘍患者)にH3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、参照発現レベルと比べて減少したSMARCA2の発現レベルが、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして患者を特定する場合、乳癌患者にH3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、参照発現レベルと比べて減少したSMARCA2の発現レベルが、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受ける増加した可能性を有するとして患者を特定する場合、皮膚癌患者にH3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤)を投与することを含む。
上記の方法のうちいずれかでは、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤の投与は、H3K27メチル化の阻害剤による処置の結果から、または結果として、細胞応答もしくは生物学的応答、完全応答、部分応答、(増悪または再発なしの)安定した疾患、または患者のより遅くなった再発を有する応答という治療効果(すなわち、利益)を有し得る。例えば、効果的な応答は、(i)参照レベルと比較して減少したSMARCA2レベルを発現している、または(ii)参照レベルと比較して増加したSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを有しているとして診断された患者における、低減した腫瘍サイズ(体積)、増加した無増悪生存(PFS)、及び/または増加した全生存(OS)であり得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤の投与は、腫瘍サイズ(体積)の1%以上(例えば、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%以上)の低減という治療効果を有する。SMARCA2の減少した発現及び/または増加したSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルは、かかる治療有効性を予測する。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤の投与は、1日以上(例えば、2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または1年以上)の増加する無増悪生存(PFS)という治療効果を有する。
本発明の方法における使用のためのH3K27メチル化の阻害剤
患者に治療有効量の1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することを含む、患者における増殖細胞性疾患(例えば、がん(例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド脳癌または悪性ラブドイド腎臓癌))、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣小細胞癌、例えば、卵巣小細胞癌、高カルシウム血症型)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌))の増悪を治療または遅らせる方法が本明細書で提供される。
いくつかの実施形態では、H3K27メチル化の阻害剤は、H3K27のメチル化(例えば、モノメチル化、ジメチル化、またはトリメチル化)に関与する1つ以上のタンパク質の活性を阻害し得る。いくつかの実施形態では、H3K27メチル化の阻害剤は、ポリコーム抑制性複合体2(PRC2)の形成または活性を妨害する薬剤である。例えば、H3K27メチル化の阻害剤は、SUZ12、EED、RBAP、及び/またはJARID2のうちの1つ以上の発現を拮抗もしくは低減、妨害、または阻害することによって、PRC2の形成または活性を妨害し得る。いくつかの実施形態では、H3K27メチル化の阻害剤は、小分子(例えば、小分子H3K27me3阻害剤、例えば、EZH2阻害剤)であり得る。いくつかの実施形態では、H3K27メチル化の阻害剤は、タンパク質(例えば、ペプチド)であり得る。いくつかの実施形態では、H3K27メチル化の阻害剤は、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、またはアプタマーであり得る。
いくつかの実施形態では、H3K27メチル化の阻害剤は、EZH2阻害剤である。EZH2阻害剤は、EZH2のメチルトランスフェラーゼ活性を低減、妨害、阻害、抑止、またはそれに干渉する分子である。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、小分子である。EZH2の小分子阻害剤の実施例は、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、GSK503、及びその薬学的に許容可能な塩を含むが、これらに限定されない。EZH2阻害剤は、EZH2のみを阻害し得て、または、EZH2及び1つ以上の追加の目標を阻害し得る。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、EZH1と比較してEZH2を優先的に阻害する。
投薬量及び投与
H3K27メチル化の阻害剤による処置に応答性または感受性のある患者が特定されると、H3K27メチル化の阻害剤による処置は、単独でまたは他の治療薬との組み合わせで、行われ得る。かかる処置は、例えば、腫瘍サイズの低減、または無増悪生存(PFS)の増加、及び/または全生存(OS)をもたらし得る。さらに、H3K27メチル化の阻害剤と少なくとも1つの追加の治療薬の組み合わせによる処置は、好ましくは相加的な、より好ましくは相乗的な(または、相加的よりも大きな)、治療利益を患者にもたらす。好ましくは、この組み合わせの方法では、H3K27メチル化の阻害剤の少なくとも1つの投与と少なくとも1つの追加の治療薬との間のタイミングは、約1ヶ月未満であり、より好ましくは、約2週間未満である。
患者がH3K27メチル化の阻害剤への応答性が高いことを診断した後に、H3K27メチル化の阻害剤の治療有効量を患者に投与する正確な様式は担当医の裁量に任されることが、当業者には理解されるだろう。投薬量、他の薬剤との組み合わせ、投与のタイミング及び頻度などを含む投与の方法は、患者の状態及び病歴と並んで、患者のかかるH3K27メチル化の阻害剤への応答性が高いという診断によって影響され得る。このため、H3K27メチル化の阻害剤への感受性が相対的にないと予測される、がんを有する患者でさえ、特に、アンタゴニストへの患者の応答性を変化させ得る薬剤を含む他の薬剤との組み合わせで、まだ、処置から利益を受けることができる。
H3K27メチル化の阻害剤を含む組成物が、良好な医療的慣行と一貫する様式で、処方され、投薬され、投与される。この文脈において考慮する要因としては、治療される特定の種類のがん(例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、例えば、悪性ラブドイド脳癌、または悪性ラブドイド腎臓癌))、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣小細胞癌、例えば、卵巣小細胞癌、高カルシウム血症型)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌))、治療される特定の哺乳動物(例えば、ヒト)、個別の患者の臨床状態、がんの原因、薬剤の送達部位、あり得る副作用、阻害剤の種類、投与の方法、投与のスケジューリング、及び医療従事者に既知の他の要因が挙げられる。処方されるべきH3K27メチル化の阻害剤の有効量は、かかる考慮によって決定される。
当業者は、特定のアンタゴニスト型のような要因に応じて、所望される薬学的組成物の有効量を容易に判定及び処方することができる。例えば、医師は、所望される治療効果を達成するために、所望される用量より低いレベルの薬学的組成物中で利用される、かかるH3K27メチル化の阻害剤の用量から始め、所望される効果が達成されるまで、徐々に投薬量を増大することができる。アンタゴニストの与えられた用量または処置レジメンの有効性は、例えば、有効性の標準的な測定方法を使用して患者における兆候及び症状を評価することによって判定され得る。
ある特定の実施例では、H3K27メチル化の阻害剤は、対象に投与される唯一の薬剤であり得る(すなわち、単剤療法として)。
ある特定の実施例では、患者は、同じH3K27メチル化の阻害剤で少なくとも2回処置される。このため、最初の及び第2のH3K27メチル化の阻害剤曝露は、同じ阻害剤を用いる場合があり、または、あるいは、全H3K27メチル化の阻害剤曝露は、同じH3K27メチル化の阻害剤を用いる、すなわち、第1の2つの曝露、及び好ましくは全曝露についての処置は、1種類のH3K27メチル化の阻害剤を用いる。
H3K27メチル化の阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩による処置は、標準的な方法により行われ得る。
H3K27メチル化の阻害剤の複数の曝露が提供される場合、各曝露は、同じまたは異なる投与手段を使用して提供され得る。一実施形態では、各曝露は経口投与によって与えられる。一実施形態では、各曝露は静脈内投与による。別の実施形態では、各曝露は皮下投与によって与えられる。さらに別の実施形態では、曝露は静脈内投与と皮下投与の両方によって与えられる。
療法の持続は、医療的に必要と示されるだけ、または所望の治療効果(例えば、本明細書で記載されるもの)が達成されるまで、長く継続され得る。ある特定の実施形態では、療法は、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、または対象の寿命までの年数の期間、継続される。
上に指摘したように、しかしながら、H3K27メチル化の阻害剤のこれらの提案された量は、治療裁量に多くの部分を左右される。適切な用量の選択とスケジューリングにおける主要因は、上に示されたように、得られる結果である。いくつかの実施形態では、H3K27メチル化の阻害剤は、増殖細胞性疾患(例えば、がん)の第1の兆候、診断、出現、または発生からできるだけすぐに投与される。
投与経路
H3K27メチル化の阻害剤及び任意の追加の治療薬が、良好な医療的慣行と一貫する様式で、処方され、投薬され、投与され得る。この文脈において考慮する要因としては、治療される特定の障害(例えば、がん)、治療される特定の哺乳動物、個別の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与の方法、投与のスケジューリング、及び医療従事者に既知の他の要因が挙げられる。H3K27メチル化の阻害剤は、障害(例えば、がん)を防止または治療するために現在使用される1つ以上の薬剤と共に、必須ではないが、任意で処方され、及び/または同時に投与される。
がんの防止または治療のために、(単独でまたは1つ以上の他の追加の治療薬との組み合わせで使用される場合)本明細書で記載されるH3K27メチル化の阻害剤の適切な投与量は、治療される疾患の種類、疾患の重症度及び経過、H3K27メチル化の阻害剤が防止目的または治療目的のどちらで投与されるか、以前の療法、患者の臨床歴及びH3K27メチル化の阻害剤への応答、ならびに担当医の裁量に応じる。H3K27メチル化の阻害剤は、1度にまたは一連の処置にわたって患者に好適に投与される。数日以上にわたって繰り返される投与に関して、状態に応じて、処置は、疾患の症状の所望される抑制が発生するまで、一般に持続される。かかる用量は、断続的に、例えば、週ごとまたは3週ごと(例えば、患者が、例えば、約2〜約20、または例えば、約6用量のH3K27メチル化の阻害剤を受け取るように)投与され得る。最初のより高い負荷用量が投与され得て、1つ以上のより低い用量が続く。しかしながら、他の投与量レジメンは有用であり得る。この療法の進行は、従来の技術及び解析によって容易に監視される。
H3K27メチル化の阻害剤は、経口、非経口、局所、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、及び/または病巣内投与を含む任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。くも膜下腔内投与も、企図される。加えて、H3K27メチル化の阻害剤は、脈注入によって、例えば、H3K27メチル化の阻害剤の用量を低下して、好適に投与され得る。任意で、投薬は、経口投与によって与えられる。
H3K27メチル化の阻害剤の複数の曝露が提供される場合、各曝露は、同じまたは異なる投与手段を使用して提供され得る。一実施形態では、各曝露は経口投与による。例えば、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤、例えばEPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、及び/またはGSK503は、錠剤の形態で提供され得る。例えば、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤、例えばEPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、及び/またはGSK503は、1日に2回投与され得る。別の実施形態では、各曝露は静脈内(i.v.)に与えられる。別の実施形態では、各曝露は皮下(s.c.)投与によって与えられる。さらに別の実施形態では、曝露はi.v.とs.c.投与の両方によって与えられる。
併用療法
先行する方法のうちいずれかは、1つの治療薬以上の投与を含み得る。いくつかの場合には、本発明は、第1のH3K27メチル化の阻害剤と第2の(例えば、異なる)H3K27メチル化の阻害剤を投与することによって、個体を治療する方法を提供する。他の場合には、本発明は、追加の(例えば、異なる)治療薬(例えば、抗がん剤)と組み合わせて1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することによって個体を治療する方法を提供する。
いくつかの事例では、方法は、抗がん剤、例えば化学療法剤、増殖阻害剤、生物療法、免疫療法、または放射線療法剤を投与することを含む。加えて、細胞毒性剤、抗血管新生、及び抗増殖剤は、H3K27メチル化の阻害剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、抗がん療法、例えば外科手術と組み合わせて使用される。
併用療法は「相乗作用」を提供し、「相乗的な」、すなわち、共に使用される活性成分が化合物を別個に使用することからもたらされる効果の合計より大きい場合に達成される効果を証明し得る。相乗的効果は、活性成分が、(1)組み合わされた単位用量処方で共に処方され、投与されるか、または同時に送達される、(2)別個の処方として交互または平行に送達される、または(3)いくつかの他のレジメンによる場合、獲得され得る。交互療法で送達される場合、相乗的効果は、化合物が連続投与されるかまたは連続送達される場合に獲得され得る。一般に、交互療法の間、各活性成分の有効投与量が、連続(sequentially)(すなわち、連続(serially))投与される一方で、併用療法において、2つ以上の活性成分の有効投与量が共に投与される。
上に記載のように、治療方法は、2つ以上の(例えば、3つ以上の)H3K27メチル化の阻害剤(例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、及び/またはGSK503)の組み合わせを投与することを含み得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、H3K27me3阻害剤(例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)は、PCR2の形成または活性を妨害する薬剤と組み合わせて投与される。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、H3K27me3阻害剤(例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)は、SUZ12アンタゴニストと組み合わせて投与される。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、H3K27me3阻害剤(例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)は、EEDアンタゴニストと組み合わせて投与される。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、H3K27me3阻害剤(例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)は、RBAPアンタゴニストと組み合わせて投与される。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、H3K27me3阻害剤(例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)は、JARID2アンタゴニストと組み合わせて投与される。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、H3K27me3阻害剤(例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)は、SUZ12の発現を低減する薬剤と組み合わせて投与される。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、H3K27me3阻害剤(例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)は、EEDの発現を低減する薬剤と投与される。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、H3K27me3阻害剤(例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)は、jumonjiの発現を低減する薬剤と投与される。
方法は、また、患者に、化学療法剤、例えば、ドセタキセル、ドキソルビシン、及びシクロホスファミドと組み合わせて、有効量のH3K27メチル化の阻害剤を投与することを伴い得る。
他の事例では、方法は、免疫療法的な、例えば、治療抗体と組み合わせてH3K27メチル化の阻害剤を投与することを含む。一実施形態では、治療抗体は、がん細胞表面マーカーまたは腫瘍関連抗原(TAA)を結合する抗体である。一実施形態では、治療抗体は、抗HER2抗体、トラスツズマブ(例えば、HERCEPTIN(登録商標))である。一実施形態では、治療抗体は、抗HER2抗体、ペルツズマブ(OMNITARG(商標))である。別の実施形態では、治療抗体は、ネイキッド抗体または抗体−薬物複合体(ADC)のどちらかである。
理論に縛られることを望むことなく、活性化同時刺激分子を促すことによって、または陰性同時刺激分子を阻害することによって、T細胞刺激を強化することは腫瘍細胞の死を促すことができ、それによりがんの増悪を治療するか、または遅らせると考えられる。したがって、いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、活性化同時刺激分子に対して指向されたアゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、活性化同時刺激分子は、CD40、CD226、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、HVEM、またはCD127を含み得る。いくつかの事例では、活性化同時刺激分子に対して指向されたアゴニストは、CD40、CD226、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、HVEM、またはCD127に結合するアゴニスト抗体である。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、阻害同時刺激分子に対して指向されたアンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、阻害同時刺激分子は、CTLA−4(CD152としても既知)、TIM−3、BTLA、VISTA、LAG−3、B7−H3、B7−H4、IDO、TIGIT、MICA/B、またはアルギナーゼを含み得る。いくつかの事例では、阻害同時刺激分子に対して指向されたアンタゴニストは、CTLA−4、TIM−3、BTLA、VISTA、LAG−3、B7−H3、B7−H4、IDO、TIGIT、MICA/B、またはアルギナーゼに結合するアンタゴニスト抗体である。
いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CTLA−4(CD152としても既知)、例えば、妨害抗体に対して指向されたアンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、イピリムマブ(MDX−010、MDX−101、またはYERVOY(登録商標)としても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、トレメリムマブ(チシリムマブまたはCP−675,206としても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、B7−H3(CD276としても既知)、例えば、妨害抗体に対して指向されたアンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、MGA271と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、TGF−β、例えば、メテリムマブ(CAT−192としても既知)、フレソリムマブ(GC1008としても既知)、またはLY2157299に対して指向されたアンタゴニストと組み合わせて投与され得る。
いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(例えば、細胞毒性T細胞または細胞毒性リンパ細胞(CTL))の養子免疫細胞移入を含む処置と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、ドミナントネガティブTGF−β受容体、例えば、ドミナントネガティブTGF−βII型受容体を含むT細胞の養子免疫細胞移入を含む処置と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、HERCREEMプロトコルを含む処置と組み合わせて投与され得る(例えば、ClinicalTrials.gov Identifier NCT00889954を参照されたい)。
いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CD137(TNFRSF9、4−1BB、またはILAとしても既知)に対して指向されたアゴニスト、例えば、活性化抗体と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、ウレルマブ(BMS−663513としても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CD40、例えば、活性化抗体に対して指向されたアゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CP−870893と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、OX40(CD134としても既知)、例えば、活性化抗体に対して指向されたアゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、抗OX40抗体(例えば、AgonOX)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CD27、例えば、活性化抗体に対して指向されたアゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CDX−1127と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)に対して指向されたアンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、1−メチル−D−トリプトファン(1−D−MTとしても既知)は、IDOアンタゴニストを有する。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、PD−1軸結合アンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、PD−1軸結合アンタゴニストは、PD−L1抗体である。
いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、抗体−薬物複合体と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、抗体−薬物複合体は、メルタンシンまたはモノメチルオーリスタチンE(MMAE)を含む。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、抗NaPi2b抗体−MMAE複合体(DNIB0600AまたはRG7599としても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、トラスツズマブ エムタンシン(T−DM1、ado−トラスツズマブ エムタンシン、またはKADCYLA(登録商標)、Genentechとしても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、DMUC5754Aと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、エンドセリンB受容体(EDNBR)、例えば、MMAEと結合されるEDNBRに対して指向された抗体を標的とする抗体−薬物複合体と組み合わせて投与され得る。
いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、抗血管新生剤と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、VEGF、例えば、VEGF−Aに対して指向された抗体と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentechとしても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、アンジオポエチン2(Ang2としても既知)に対して指向された抗体と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、MEDI3617と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、抗悪性腫瘍剤と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CSF−1R(M−CSFRまたはCD115としても既知)を標的とする薬剤と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、抗CSF−1R(IMC−CS4としても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、インターフェロン、例えばインターフェロンアルファまたはインターフェロンガンマと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、Roferon−A(組換えインターフェロンアルファ−2aとしても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、GM−CSF(組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、rhu GM−CSF、サルグラモスチム、またはLEUKINE(登録商標)としても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、IL−2(アルデスロイキンまたはPROLEUKIN(登録商標)としても既知)と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、IL−12と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CD20を標的とする抗体と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、CD20を標的とする抗体は、オビヌツズマブ(GA101またはGAZYVA(登録商標)としても既知)またはリツキシマブである。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、GITRを標的とする抗体と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、GITRを標的とする抗体は、TRX518である。
いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、がんワクチンと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、がんワクチンは、ペプチドがんワクチンであり、いくつかの事例では、個別化されたペプチドワクチンである。いくつかの事例では、ペプチドがんワクチンは、多価長鎖ペプチド、マルチペプチド、ペプチドカクテル、ハイブリッドペプチド、またはペプチドパルス樹状細胞ワクチンである(例えば、Yamada et al.,Cancer Sci.104:14−21,2013を参照されたい)。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、アジュバントと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、TLRアゴニスト、例えば、ポリICLC(HILTONOL(登録商標)としても既知)、LPS、MPL、またはCpG ODNを含む処置と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、腫瘍壊死因子(TNF)アルファと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、IL−1、例えば、IL−1βと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、HMGB1と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、IL−10アンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、IL−4アンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、IL−13アンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、HVEMアンタゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、例えば、ICOS−Lの投与、またはICOSに対して指向されたアゴニスト抗体によって、ICOSアゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CX3CL1を標的とする処置と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CXCL9を標的とする処置と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CXCL10を標的とする処置と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、CCL5を標的とする処置と組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、LFA−1またはICAM1アゴニストと組み合わせて投与され得る。いくつかの事例では、H3K27メチル化の阻害剤は、セレクチンアゴニストと組み合わせて投与され得る。
一般に、疾患の防止または治療のために、追加の治療薬の適切な投与量は、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤及び/または追加の薬剤が防止目的または治療目的のどちらで投与されるか、以前の療法、患者の臨床歴ならびにH3K27メチル化の阻害剤及び追加の薬剤への応答、ならびに担当医の裁量に応じる。H3K27メチル化の阻害剤及び追加の薬剤は、1度にまたは一連の処置にわたって患者に好適に投与される。H3K27メチル化の阻害剤は、上で明らかにされたように典型的に投与される。疾患の種類と重症度に応じて、約20mg/m〜600mg/mの追加の薬剤は、例えば、1つ以上の別個の投与によるか、または連続する注入であるかに関わらず、患者への投与について最初の候補投与量である。1つの典型的な一日分の投与量は、上述の要因に応じて、約または約20mg/m、85mg/m、90mg/m、125mg/m、200mg/m、400mg/m、500mg/m以上からの範囲であり得る。数日以上にわたって繰り返される投与に関して、状態に応じて、処置は、疾患の症状の所望される抑制が発生するまで、持続される。このため、約20mg/m、85mg/m、90mg/m、125mg/m、200mg/m、400mg/m、500mg/m、600mg/m(またはそれらの任意の組み合わせ)のうちの1つ以上の用量が、患者に投与され得る。かかる用量は、断続的に、例えば、週ごとまたは2週ごと、3週ごと、4週ごと、5週ごと、もしくは6週ごと(例えば、患者が、約2〜約20、例えば、約6用量の追加の薬剤を受け取るように)投与され得る。最初のより高い負荷用量が投与され得て、1つ以上のより低い用量が続く。しかしながら、他の投与量レジメンは有用であり得る。この療法の進行は、従来の技術及び解析によって容易に監視される。
一実施形態では、対象は、がんを治療するための任意の薬剤(複数可)を以前に投与されたことがない。別の実施形態では、対象または患者は、がんを治療するための1つ以上の医薬品(複数可)を以前に投与されてきた。さらなる実施形態では、対象または患者は、以前に処方されてきた医薬品のうちの1つ以上に応答性がなかった。患者が非応答性であり得るかかる薬物は、例えば、抗悪性腫瘍剤、化学療法剤、細胞毒性剤、及び/または増殖阻害剤を含む。
IV.組成物
ある態様では、本発明は、部分的に、H3K27メチル化の阻害剤(例えば、H3K27me3阻害剤、例えば、EZH2阻害剤)を含む組み合わせは、がんに罹患している患者の治療に有用であるという発見に基づき、がんは、参照レベルと比べて減少したSMARCA2の発現及び/または増加したSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有に関連付けられる。
ある特定の実施形態では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤(例えば、H3K27me3阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)を含む組成物が、がん(例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、(例えば、悪性ラブドイド脳癌、または悪性ラブドイド腎臓癌))、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣小細胞癌、例えば、卵巣小細胞癌、高カルシウム血症型)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌)に罹患している患者を治療する方法における使用のために提供され、患者から得られる試料は、参照発現レベルと比較して試料中の減少したSMARCA2の発現レベルを有すると判定されてきた。
他の実施形態では、1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤(例えば、H3K27me3阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、EPZ−6438、CPI−169、EPZ005687、GSK−126、GSK343、またはGSK503)を含む組成物が、がん(例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、(例えば、悪性ラブドイド脳癌、または悪性ラブドイド腎臓癌))、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣小細胞癌、例えば、卵巣小細胞癌、高カルシウム血症型)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌)に罹患している患者を治療する方法における使用のために提供され、患者から得られる試料は、参照占有レベルと比較して試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の増加した占有レベルを有すると判定されてきた。
V.診断キット
疾患または障害(例えば、増殖細胞性疾患(例えば、がん((例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、例えば、悪性ラブドイド脳癌、または悪性ラブドイド腎臓癌)、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣小細胞癌、例えば、卵巣小細胞癌、高カルシウム血症型)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌)))を有する個体または患者からの試料中のバイオマーカー(例えば、SMARCA2抑制)の存在を判定する1つ以上の試薬(例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド)を含む診断キットが、本明細書で提供される。いくつかの事例では、試料中のバイオマーカーの減少した発現レベルは、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受けるより高い可能性を有する患者を特定する。いくつかの事例では、参照レベルと比較して、H3K27メチル化の阻害剤で個体が治療される場合、試料中のバイオマーカーの減少した存在は、有効性のより高い可能性を示す。任意で、キットは、さらに、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受けるより高い可能性を有する患者を特定するキットの使用のための指示を含み得る。別の事例では、キットは、さらに、個体が参照発現レベルと比べて試料中のバイオマーカーの減少したレベルを発現する場合、疾患または障害(例えば、がん)を治療する医薬品(例えば、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、EZP−6438を含む医薬品)を選択するキットの使用のための指示を含み得る。
別の実施形態では、診断キットは、疾患または障害(例えば、増殖細胞性疾患(例えば、がん((例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、例えば、悪性ラブドイド脳癌、または悪性ラブドイド腎臓癌)、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣小細胞癌、例えば、卵巣小細胞癌、高カルシウム血症型)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌)))を有する個体または患者からの試料中のバイオマーカー(例えば、SMARCA2プロモーターでのH3K27)の存在を判定する1つ以上の試薬(例えば、試料中のSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有レベルを判定することが可能な試薬、例えば、ChIP−seqまたはChIP−PCR試薬)を含み得る。いくつかの事例では、試料中のバイオマーカーの占有のレベルの存在は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受けるより高い可能性を有する患者を特定する。いくつかの事例では、占有の参照レベルと比べて、H3K27メチル化の阻害剤で個体が治療される場合、試料中のバイオマーカーの増加した占有のレベルは、有効性のより高い可能性を示す。任意で、キットは、さらに、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受けるより高い可能性を有する患者を特定するキットの使用のための指示を含み得る。別の事例では、キットは、さらに、個体が参照レベルと比べて試料中のバイオマーカーの増加した占有のレベルを発現する場合、疾患または障害(例えば、がん)を治療する医薬品(例えば、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、EZP−6438を含む医薬品)を選択するキットの使用のための指示を含み得る。
本明細書で記載されるキットの任意の実施形態は、疾患または障害(例えば、増殖細胞性疾患(例えば、がん((例えば、ラブドイド腫瘍(例えば、悪性ラブドイド腫瘍、例えば、悪性ラブドイド脳癌、または悪性ラブドイド腎臓癌)、卵巣癌(例えば、卵巣明細胞癌、または卵巣小細胞癌、例えば、卵巣小細胞癌、高カルシウム血症型)、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、及び頭頸部癌)))を有する個体または患者からの試料中のヌクレオソーム再構成タンパク質(例えば、SWI/SNF複合体タンパク質、例えば、BRG1、SNF5、INI1、またはBAFをコードする遺伝子、例えば、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1)をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異を特定する1つ以上の試薬(例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド)を、さらに含み得る。いくつかの事例では、ヌクレオソーム再構成タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異の存在は、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受けるより高い可能性を有する患者を特定する。いくつかの事例では、ヌクレオソーム再構成タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異の存在は、抑制されたSMARCA2の発現レベル(例えば、参照発現レベルと比べて減少した発現レベル)または参照占有レベルと比べて増加したSMARCA2プロモーターでのH3K27(例えば、H3K27me3)の占有を有するより高い可能性を有する患者を特定する。試料が、ヌクレオソーム再構成タンパク質(例えば、SWI/SNF複合体タンパク質、例えば、BRG1、SNF5、INI1、またはBAFをコードする遺伝子、例えば、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1)をコードする1つ以上の遺伝子において突然変異を有する場合、いくつかの実施形態では、キットは、さらに、試料中のSMARCA2プロモーターでのSMARCA2抑制及び/またはH3K27占有を試験するキットを使用するための指示を含むことができる。任意で、キットは、さらに、H3K27メチル化の阻害剤による処置から利益を受けるより高い可能性を有する患者を特定するキットの使用のための指示を含み得る。別の事例では、キットは、さらに、1つ以上の試験の結果により、疾患または障害(例えば、がん)を治療する医薬品(例えば、H3K27メチル化の阻害剤、例えば、EZH2阻害剤、例えば、EZP−6438を含む医薬品)を選択するキットの使用のための指示を含み得る。
以下の実施例は、現在主張されている発明を例示するために提供されるが、それを制限するものではない。
実施例1 材料及び方法
細胞株及び培養
全ての細胞を、5%のCO下で37℃で10%のウシ胎児血清(FBS)及びGlutaMAXで充填されたRPMI1640中で維持した。安定なCas9発現株を、レンチウイルス発現Cas9(pLenti6.3)を用いた感染によって生成し、その後、ブラストサイジンを用いて選択した。EZH2ノックアウト細胞株の生成のために、EZH2(配列:gEZH2−#4、AAGACCCCACCAAAACGTCCAGG(配列番号25)、gEZH2−#5、TGGGGTCTTTATCCGCTCAGCGG(配列番号26)を標的とする)及び対照(gLuc−#1、gLuc−#2)を標的とするガイドRNAをpLKO.1ベクターにクローン化した。レンチウイルスパッケージング293T細胞を、1:2.3:0.2モル比DNAミックスの5ugのpLKO.1−プロgRNAプラスミド、デルタ8.9、及びVSVGを用いて遺伝子導入の48時間前にプレーティングした。遺伝子導入を、リポフェクタミン2000(2μl/μgのDNA、Thermo Fisher)を用いて行った。ウイルスを、遺伝子導入の72時間後に回収した。標的細胞を、293T細胞から収集された培地の1/10希釈で感染させた。遺伝子導入後の72時間後にピューロマイシンの毒性濃度を有する感染した標的細胞を選択した。
クローン原性解析
1,800〜5,000の細胞を、倍加時間に従って、各6ウェルプレート中にプレーティングした。プレーティングの24時間後、培地を除去し、異なる濃度でEPZ−6438を含有する培地と代置した。EPZ−6438を有する新鮮な培地を、対照細胞が培養を止めるコンフルエンスに到達するまで、3〜4日ごとに代置した。EZH2ノックアウトの効果を評価する研究のために、ピューロマイシン選択の7日後に細胞をプレーティングした。培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、室温で20分間、0.5%のクリスタルバイオレットで染色した。染色を除去し、細胞単層を水で洗浄し、プレートを洗浄して撮影した。
アポトーシス及びセネッセンスの評価
アポトーシスを、lncucyte Caspase−3/7アポトーシス解析(Essen Biosciences、分類番号4440)を使用してまたはCaspase−Glo3/7解析(Promega、G8090)を使用する静的時点査定によって、(単一の)生存細胞画像分析によって監視した。lncucyteベース解析(図4B)のために、300〜600の細胞(倍加時間に基づく)を96ウェルプレートにプレーティングし、24時間で、培地を、示された濃度のEPZ−6438含有培地とCaspase3/7試薬(Essen Bioscience)で代置した。EPZ−6438とCaspase3/7試薬を含有する新鮮な培地を、3〜4日ごとに代置した。位相差及び蛍光画像を3時間ごとに収集し、蛍光対象物の数を数え、lncucyteプロトコルにより分析した。データを、示される時点でのDMSO対照に標準化されたCaspase3/7蛍光数として提示する。Caspase−Glo(図18C、19G)によるアポトーシスの判定のため、TOV112D細胞を96ウェルプレート中の1ウェルあたり500細胞でプレーティングし、示された濃度のEPZ−6438で6日間処理した。製造者の指示に従ってCaspase3/7活性を測定し、示される場合、結果をDMSO対照ウェル中のシグナルに標準化した。セネッセンス誘導の評価のために、細胞を、製造者の指示に従ってSenescence Cells Histochemical Staining Kit(Sigma)を使用して、β−ガラクトシダーゼ活性に関して染色した。
細胞成分分画。
タンパク質の相対的細胞内分布を判定するために、3×10細胞を、10mMのHEPES、[pH7.9]、10mMのKCI、1.5mMのMgCl、0.34Mのスクロース、10%のグリセロール、1mMのDTT、及びプロテアーゼホスファターゼ阻害剤を含有する200μlの緩衝液A中で再懸濁した。10%原液からのトリトンX−100を、最終濃度の0.1%まで添加し、すぐに混合した。溶解物を氷上で5分間培養し、その後、1300gで4分間4℃で回転した。細胞画分を含有する上清を注意深く除去し、核ペレットを、トリトンX−100なしの緩衝液Aで一度洗浄し、その後、1300gで4分間4℃で遠心沈殿した。ペレットを緩衝液B(3mMのEDTA、0.2mMのEGTA、1mMのDTT、プロテアーゼホスファターゼ阻害剤)中で再懸濁し、氷上で30分間培養した後、700gで4分間4℃で遠心分離した。可溶性核タンパク質を含有する上清を除去し、クロマチンペレットを200μlの緩衝液Bでさらに洗浄し、1700gで4分間4℃で遠心分離した。ペレットを、緩衝液C(50mMのTris−HCI、[pH7.4]、0.5MのNaCl、1%のトリトンX−100、及び0.1%のSDS)中で再懸濁し、20秒オン及び30秒オフの30ラウンドで超音波処理した後、SDS−PAGE及びウエスタンブロッティングによって分析した。
ウエスタンブロット
EPZ−6438の効果を評価する研究のために、細胞を、6日間、様々な用量のEPZ−6438で処理した。3日目に、EPZ−6438を含有する新鮮な培地を導入した。細胞ペレットを、1MのNaClを含有するRIPA緩衝液中で溶解し、3分間スピード10で(NextAdvance、Bullet Blender(登録商標)24)均質化した。12μgまたは18μgのタンパク質を、4〜12%のbis−Trisまたは3〜8%のTris−アセテートゲル中で溶解し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に移入した。膜を、下の表1に示される一次抗体と共に一晩培養した。IRDYE(登録商標)二次抗体を、Odyssey Imager(LI−COR)による検出のために使用した。
Figure 2019527037
免疫沈降
免疫共沈降のために、8×10細胞の核ペレットを、100μlの核溶解緩衝液(50mMのHepes(pH7.8)、3mMのMgCl2、25%のグリセロール、0.5%のNonidet P−40、0.42MのNaCl、300mMのNaCl、1mMのDTT、0.1mMのPMSF、DNaseの5U/μI、Benzonaseの5U/μI、ならびにプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤)中に溶解した。懸濁液を、37℃で10分間培養し、ヌクレアーゼ反応を、2μlの0.5MのEDTAを用いて停止した。核画分を、10分間の遠心分離(14000g)後に収集した。溶解物を、30μLのOynabeads Protein G(Life Technologies)を用いて、穏やかな回転と共に60分間4℃で前もって明瞭にした。溶解物の画分(10%)を、投入対照として取得した。残っている溶解物を、5μgの一次抗SMARCC1 lgGで一晩培養した後、50μLのOynabeads Protein Gを添加し、穏やかな回転と共に追加の2時間4℃で培養した。免疫沈降を、低塩免疫共沈降洗浄緩衝液(20mMのTris・HCI、pH8.0、150mMのNaCl、1.5mMのMgCl、0.5%のNonidet P−40、0.2mMのEDTA)を用いて2回洗浄した後、DTT(Bio−Rad)を含有する30μLのNuPAGE LDS試料緩衝液を添加し、95℃で5分間熱した。上清を、示されるタンパク質のために免疫ブロットした。
RNA干渉、CRISPR遺伝子編集、及び誘導性orf発現。
SMARCA2、CTSB、または対照を標的とする個別のshRNAを、DSIRアルゴリズムを使用して設計し、Watanabe et al.、RNA Biol.13(1):25−33(2016)に記載のmiR−3Gヘアピン発現文脈を使用して修飾pLKOレンチウイルスベクターにクローン化した。以下のshRNA配列を使用した:shNTC(5’−AACCACGTGAGGCATCCAGGC−3’、配列番号29)、shSMARCA2(5’−TCGTCGAGCAATCATTTGGTT−3’、配列番号30)、shCTSB−1(5’−TTCGATTCCACAGTGATCCTG−3’、配列番号31)、shCTSB−2(5’−TTGTAGGTCGGGCTGTAGCCA−3’、配列番号32)、及びshCTSB−3(5’−TAGTTGACCAGCTCATCCGAC−3’、配列番号33)。
EZH2またはLacZ対照を標的とするガイドRNAを、MITアルゴリズム(Crispr Design Tool.Zhang Lab,MIT,2015.Web)を使用して設計し、安定的なレンチウイルス感染のためにpLKOレンチウイルスベクターにクローン化した。以下のガイドRNA配列を使用した:gluc−1(5’−GCCGGCGCCATTCTATCCGC−3’、配列番号34)、gluc−2(5’−GGCATGCGAGAATCTCACGC−3’、配列番号35)、gEZH2−4(5’−AAGACCCCACCAAAACGTCC−3’、配列番号36)、及びgEZH2−5(5’−TGGGGTCTTTATCCGCTCAG−3’、配列番号37)。SMARCA2を標的とする対形成したガイドRNA(5’−GACAGCTCTACTGTATGCG−3’、配列番号38、及び5’−CTCTCACCAAGACGCCGAG−3’、配列番号39)を、遺伝子導入が、ガイドRNA、Cas9、及びeGFPレポーターを共発現するためにpUC57_AIO_U6H1_EF1_Cas9_eGFPベクター文脈にクローン化した。配列検証されたCas9を、がん細胞株中のCas9の安定的な発現のためにレンチウイルスベクターpLenti6.3にクローン化した。SMARCA2(NM_003070.4)及びSMARCA4(NM_003072.3)翻訳領域を、ドキシサイクリン誘導性ベクター、pInducer20にクローン化した。
レンチウイルス粒子を生成するために、293T細胞をデルタ8.9パッケージングプラスミド、VSVGエンベローププラスミド、及びそれぞれのpLKOベクターでLipofectamine2000(lnvitrogen)を使用してトランスフェクトした。レンチウイルス粒子を含有する培地を、遺伝子導入の48時間後収集し、0.45ピコメートルフィルタによってろ過し、それぞれのがん細胞株を、8mg/mlのポリブレンの存在下で形質導入するために使用した。スピン感染プロトコルを、6ウェルプレートを使用して1800rpmで45分間(Allegen X−12R Centrifuge、Beckman Coulter)適用し、その後、37℃で3日間培養し、ピューロマイシン(1〜1.5μg/ml)またはG418(500 μg/ml)を添加した。TOV112D SMARCA2ノックアウトクローンの生成のために、細胞をLipofectamine2000(lnvitrogen)を使用して、pUC57_AIO_U6H1_EF1_Cas9_eGFPベクターで遺伝子導入した。遺伝子導入の3日後、細胞をGFPソートし、単細胞クローン化した。SMARCA2遺伝子破壊を裏付けるため、クローンを配列した。
RNA−seq
全RNAを、製造者のプロトコルに従ってQiagen RNeasy Plus Miniキットを使用して抽出した。RNAの量と品質を判定するために試料の品質管理を行い、その後、RNA−seqによって加工した。NanoDrop8000(Thermo Scientific)を使用して、RNA試料の濃度を判定し、Fragment Analyzer(Advanced Analytical Technologies)によって、RNAの完全性を判定した。全RNAの0.5μgを、TruSeq RNA Sample Preparation Kit v2(lllumina)を使用して、ライブラリ作製のための投入試料として使用した。ライブラリのサイズを、2200 TapeStation and High Sensitivity D1K screen tape(Agilent Technologies)を使用して裏付け、それらの濃度を、Library quantification kit(KAPA)を使用するqPCRベース法によって判定した。ライブラリを、マルチプレックス化し、lllumina HiSeq2500(lllumina)上に配列して、30Mのシングルエンド50ベースペア読み取りデータを生成した。
全RNA−seq試料用のfastq配列ファイルを可読性(サイクルの少なくとも70%が23以上のPhredスコアを有した場合、読み取りデータは保持する)、及びリボソームRNA混入のためにフィルタリングした。残存する読み取りデータを、その後、Wu and Nacu,Bioinformatics.26(7):873−881(2010)で説明されるように、GSNAP整列ツールを使用してヒト参照ゲノム(GRCh38)に対して整列した。以下のGSNAPパラメータを使用して、整列を生成した:「−M 2−n 10 −B 2−i 1−N 1−w 200000 −E 1−pairmax−rna=200000−clip−overlap」。これらのステップ、及び(RefSeq遺伝子モデルの翻訳領域エクソンにわたって)遺伝子ごとの読み取りデータ数を得るための結果として得られる整列の下流の加工を、Bioconductor package、HTSeqGenie(v 4.2.0)において実装した。独特にマップされた読み取りデータのみを、下流の分析に使用した。全ての実験は、未処理の列をシングルトンとして配列する、未処理のSMARCA4変異型、EPZ−6438感受性、及びEPZ−6438抵抗性細胞株のパネルを例外として、三連で行われ、かつ配列された。
異なって発現される遺伝子の遺伝子発現レベルの推定及び特定
以下の分析について、複数の試料で発現レベルが確実に見込まれた遺伝子のみを考慮した(少なくとも4つの試料中で観察された15以上の整列された読み取りデータ)。Law et al.,Genome Biol.15(2):R29(2014)で記載されるように、遺伝子発現見込みを、voom/limma分析フレームワーク(バージョン3.28.17)を使用して生成し、観察されたライブラリサイズをcalcNormFactors()関数で調整した。
各遺伝子について、異なる発現を、voomによって返される発現見込み及び重量を使用して、精密重量線形モデルのフレームワークで定量化した。このアプローチを、EPZ−6438に感受性のある及び抵抗性のある細胞株の間で、EPZ−6438で処理されてきたまたは処理されていない一次またはshRNA発現TOV−112細胞の間で、及びSMARCA2またはSMARCA4構築物を発現するまたは発現しないTOV−112細胞の間で、著しく異なる発現レベルを有する遺伝子を特定するために使用した。
shRNAノックダウンの効果を推定する際、shRNA構築物の非特異的な効果を、以下の線形モデルを各遺伝子に適用することによって制御した。
Figure 2019527037
このモデルにおいて、全ての係数は、固定された効果である。
Figure 2019527037
は、処置条件j及び実験用複写物kにおけるshRNA構築物iを発現する遺伝子の観察された発現レベルを表す。
Figure 2019527037
は、妨害を表し、
Figure 2019527037
は、発現されるshRNA(shSMARCA2または非標的対照)を補足する固定された効果であり、
Figure 2019527037
は、EPZ−6438の効果を補足する固定された効果であり、
Figure 2019527037
は、細胞中の薬物の効果を補足する相互効果であり、shRNAヘアピンが、特にSMARCA2を標的とし、εは、変数σで通常は分配されると考えられる残留エラーを表す。shRNAノックダウンの効果を判定するために、以下の仮説を比較した。
Figure 2019527037
有意性を、経験的Bayes変動収縮の後に生成される緩和されたt統計を基準にして、各遺伝子の観察される発現の違いに割り当て、p値を生成した。これらのp値を、その後、Benjamini and Hochberg,Genome Biol.15(2):R29(2014)に記載されている、Benjamini−Hochbergアプローチを使用して、複数の試験のために訂正した。0.05未満の訂正されたp値、及び1より大きな発現レベルにおけるlog2変化を有する遺伝子を、異なって発現するとして定義した。
Taqman遺伝子発現解析
細胞を、5μMのEPZ−6438を6日または10日間で処理した。5μMのEPZ−6438を含有する新鮮な培地を、3〜4日ごとに代置した。細胞を6日目または10日目に回収した。RNAを、RNeasy Plus miniキット(QIAGEN)によって調製した。遺伝子発現レベルを、SMARCA2プローブ(Hs01030846_m1)及びTaqman One−Step RT−PCR Master Mix Reagentsキット(ThermoFisher Scientific)によって検知した。7900HT SDS(ThermoFisher Scientific)を使用して、分析を行った。発現レベルを、ハウスキーピング遺伝子、GAPDH(2−ΔCt)によって提示する。
ChIP−seq
細胞を、1%のホルムアルデヒドで10分間室温で固定した。クロマチンを、600mMのNaClを含有する標準溶解緩衝液の添加によって単離した。DNAを、超音波処理によって300〜500bpサイズ断片に剪断した。クロマチンを、0.4μgのH2Av抗体(Active motif 39715)及び750ngの超音波処理されたショウジョウバエクロマチンの存在下で抗H3K27me3抗体(Millipore07−449)で免疫沈降した。Illumina配列ライブラリを、ChIP及び入力DNAから調整した。結果として得られるDNAライブラリを定量化し、IlluminaのHiSeq2500を使用して、150bpペアエンド読み取りデータとして配列した。断片は、約500bpの平均の長さを有した。
ChIP−PCR
各試料について、10×10細胞を回収し、1×PBSで洗浄した。細胞を固定し、truChIP Chromatin Shearing Reagent Kit(Covaris)によって提供される指示に従って剪断した。細胞を5分間1%のホルムアルデヒドで固定し、その後、5分間クエンチ緩衝液でクエンチした。その後、細胞を冷たい2×PBSで洗浄した。核を、20分間Covaris AFA Focused超音波処理器を使用して、単離し、剪断した。IPを、500μgの剪断されたクロマチン及び10μgの抗H3K27me3(Active Motif cat#39155)または抗Rabbit IgGで行った。IPのため、Magna ChIPキット(Millipore)を使用した。各IPについて、Dynabeadsタンパク質A及びG(50/50ミックス)の50μlの混合物を一次抗体で3時間培養した。500μgの剪断されたクロマチンにビーズを添加した。ビーズ及び抗体を4℃で一晩培養した。ビーズをその後、以下の洗浄緩衝液で洗浄した:低塩、高塩、LiCl洗浄緩衝液、及びTE緩衝液。DNAを、プロテアーゼKを有するChIP溶出緩衝液中のビーズから、64℃で一晩攪拌することで抽出した。DNAをその後、QIAquick PCR Purification Kit(Qiagen)を使用して精製した。DNAを、30μlの水で溶出した。1.0μlの溶出したDNAを、各SYBR緑色PCR反応に使用した。SMARCA2を、以下のプライマーを使用して、増幅した:順方向、GTAGGCAGGCCTTTAGGCAA(配列番号27)、逆、GCCGGACATCCCGAACTTTA(配列番号28)。H3K27me3を欠く領域を増幅する陰性制御プライマーを、Active Motif(カタログ番号:71001、71002)から購入した。以下のPCR状態を実行した:50℃で2分間、95℃で10分間、40サイクルの95℃で15秒間、及び57℃で1分間。
メチルセルロースコロニー形成
24ウェルプレートのウェルを、70μlのMatrigel Matrix(Corning)で覆い、室温での凝結を可能にした。細胞(n=5,000)を、400μlのRPMI+2%のMatrigelマトリックスを含有する10%のFBS中で基底マトリックスの上部でプレーティングした。細胞を、400μlの培地中でそれぞれの化合物で処置し、古い培地を補充した。実験の開始から10日後、Zeiss Axio Observer A1顕微鏡上でコロニーを画像化した。
異種移植片研究
TOV−21G及びNCI−H522細胞(American Type Culture Collection、Manassas、VA)を生体外で培養し、HBSS:Matrigel(BD Biosciences、Franklin Lakes、NJ)(1:1、v:v)中でメスのマウスへの皮下接種のため回収した。TOV−21G細胞を、Fox Chase SCIO(登録商標)Beigeマウス(Charles River Laboratories、San Diego、CA)に接種した。NCI− H522細胞を、BALB/c Nudeマウス(Vital River Laboratories、Beijing、China)に接種した。確立した腫瘍を有するマウスを、EPZ−6438の増大する用量を受け取る等しいサイズの腫瘍の群(n=5、最小)に分離した。EPZ−6438を、0.2mlの容量で、標的用量に必要とされる濃度で、0.5%のカルボキシメチルセルロースナトリウム及び0.1%のtween−8O中で週に1度処方した。全ての処方を4℃で貯蔵し、室温にし、ボルテックスによって混合し、その後、1日目から研究の終了まで、一日二回の経管栄養によって口腔投与をした。垂直の長さ及び幅ノギス測定から、以下の式を使用して腫瘍体積を計算した。
腫瘍体積(mm)=0.5×(長さ×幅
薬力学的分析のために血漿及び腫瘍試料を、最後の用量の3時間後、7日目に腫瘍を有するマウスから収集した。腫瘍組織を1MのNaClを含有するRIPA緩衝液中で溶解し、3分間スピード10で均質化し(NEXTADVANCE、BULLET BLENDER(登録商標)24)、その後ウエスタンブロッティングした。
混合されたモデリングアプローチを使用し、同じ動物からの腫瘍の体積の繰り返された測定を経時的に分析した。三次回帰スプラインを使用し、各群において非直線プロファイルをlog2変化腫瘍体積の時間経過に適用した。適用を、Rバージョン2.13.0中のパッケージ「nlme」(バージョン3.1−97)(R Development Core Team 2008、R Foundation for Statistical Computing、Vienna、Austria)を使用して、直線混合効果モデルを介して行った。適用した腫瘍体積を、Prism(Mac用バージョン5.0b)(GraphPad Software、La Jolla、CA)において縮尺でプロットした。
実施例2 EZH2阻害に感受性があるEZP−6438抵抗性SMARCA4変異型細胞株の特定
EZH2標的ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、EPZ−6438を、H3K27メチル化の阻害剤として使用し、異なる腫瘍型:卵巣癌細胞(TOV−112D及びCOV434)、胃癌細胞(SNU−484)、肺癌細胞(NCI−H1703、NCI−H522、NCI−H661、H1299、A549、NCI−H1568、及びHCC−15)、ならびに膀胱癌細胞(UM−UC−3)から誘導される11のSMARCA4変異型がん細胞株のパネルにわたるコロニー形成上でH3K27me3阻害の効果を試験した。コロニー形成における用量依存的阻害を、これらのSMARCA4変異型細胞のサブセットにおいて観察し、これは組織の派生物から独立していた(図1A及び1C)。加えて、EPZ−6438処置上の成長阻害の程度は、SMARCB1/SNF5(G401)、またはARID1A(A2780)(図1B)における突然変異によって特徴付けられるモデルにおいて観察されるものと同様だった。SWI/SNF野生型モデルのパネル(n=8)において活性は観察されなかった。
実施例3 EZH2阻害特異性の評価
EPZ−6438の効果がEZH2阻害に特異であったかどうかを判定するために、2つの追加のEZH2メチルトランスフェラーゼ阻害剤、GSK−126、及びCPI−169をコロニー形成の効果について試験した。用量依存的な様式で、EPZ−6438に感受性のあるSMARCA4変異型細胞中の阻害されたコロニー形成が、EPZ−6438、GSK−126、及びCPI−169で観察されたが、EPZ−6438に抵抗性があるSMARCA4変異型細胞に効果を有さなかった(図2A〜2C)。加えて、CRISPRによるEZH2の遺伝子欠損は、EPZ−6438(TOV−112D)に感受性があるSMARCA4変異型細胞においてコロニー形成の阻害をもたらすが、EPZ−6438抵抗性、SMARCA4変異型細胞においてコロニー形成に効果を有さなかった(H1299及びA549、図3A及び3B)。まとめると、これらのデータはSMARCA4変異型細胞中のコロニー形成へのEPZ−6438の効果が正確であり、EZH2に依存することを示す。
SMARCA4変異型がん細胞のEPZ−6438への異なる感受性が異なるグローバルPRC2活性に関するかどうかを判定するために、H3K27メチル化のレベルを試験した。EPZ−6438感受性及びEPZ−6438抵抗性細胞株の間でモノ−、ジ−、またはトリメチル化H3K27に明らかな違いを観察せず、観察されるPRC2化合物EZH2またはSUZ12の発現レベルにおける違いもなかった(図5)。さらに、EPZ−6438は、用量依存的な様式で、モノ−、ジ−、及びトリメチル化H3K27を、EPZ−6438感受性及びEPZ−6438抵抗性細胞株の間で同様の程度に阻害し、異なる細胞活性が、EZH2を阻害するEPZ−6438の能力における違いによらなかったことを示した(図6)。
EZH2阻害は、不均一な表現型応答をもたらした。抵抗性モデルと対照的に、EPZ−6438感受性モデルは、処置の21日後、細胞平板化及び拡大によって特徴付けられる、継続的に明白な形態的変化を獲得した(図4A)。強いアポトーシス応答を、EPZ−6438処置の7日後にTOV−112D細胞において観察したが、一方で、いくつかの他のモデルは、EPZ−6438による長く続く曝露の後でアポトーシス細胞の亜集団のエビデンスを示した(図4B及び4C)。配列関連β−ガラクトシダーゼの発現における増加を、いくつかのSMARCA4変異型EPZ−6438感受性モデルにおいて観察した。これは、アポトーシスのエビデンスを欠いたCOV434及びNCI−HS22細胞株において最も著しかった(図4D)。加えて、β−ガラクトシダーゼ陽性細胞(例えば、NCI−H661細胞)の亜集団は、後の時点でアポトーシスのエビデンスを呈した。セネッセンス誘導の導体は様々だった。例えば、EPZ−6438による7日間の処置によってCOV434モデルはβ−ガラクトシダーゼの同種の発現を呈するが、一方で、同種のβ−ガラクトシダーゼ発現は、NCI−HS22細胞中のEPZ−6438処置の数週間まで観察されなかったが、Edu組み込みに基づき、これらの細胞は非増殖状態のままであった(図4E)。異種移植片として増殖されたNCI−HS22細胞を有するSCIDマウスの処置は、EPZ−6438の1日2回の(BID)投与(図4F)後に、腫瘍の増殖の用量依存的阻害をもたらし、最も強い腫瘍の成長阻害(72%TGI)ならびにH3K27me3及びH3K27me2の低減は、450mg/kgのBID用量に応じて発生した(図4G)。
実施例4 H3K27メチル化の阻害剤の感受性のためのバイオマーカーとしてのSMARCA2抑制の特定
EPZ−6438感受性の根底にある違いを明らかにするために、遺伝子発現プロファイリングを、11のSMARCA4特異型モデルにわたって行った。最も異なって発現する遺伝子の目的変数ありの分析は、EPZ−6438感受性モデルがより大きな数の共通に抑制された遺伝子を呈することを明らかにした(図7)。アップレギュレートした遺伝子の間で、パラログSWI/SNFヘリカーゼ、SMARCA2の発現レベルを、EZH2阻害に感受性がある全SMARCA4変異型モデルにおいて低減した。これらの結果を裏付けるため、いくつかのコアSWI/SNF複合体メンバーのタンパク質発現レベルを、SMARCA4変異型がん細胞株のパネルの間でウエスタンブロットによって試験した。大半のSWI/SNF成分が、EPZ−6438感受性及びEPZ−6438抵抗性細胞株の間で同程度に発現した一方で、SMARCA2抑制とEPZ−6438感受性との著しい関連を観察した(図8)。このSMARCA2の抑制は、定量的RT−PCRによるSMARCA2 mRNA転写のレベルで加えて観察された(図9)。関連するゲノムデータの分析は、細胞のこのサブセットにおけるSMARCA2の喪失に関連付けられるSMARCA2におけるコピー数の喪失または突然変異を明らかにしなかった。加えて、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、5−アザ−2’−デオキシシチジン(5−アザ)、による処置は、SMARCA2 mRNAレベルに影響せず、DNAメチル化がSMARCA2の抑制の原因でないことを示した。SMARCA2がEZH2阻害性抑制下にあり得るかどうかを判定するために、細胞をEPZ−6438で処置し、その後、定量的RT−PCRによってSMARCA2 mRNAレベルを試験した。EZH2の阻害は、EPZ−6438感受性細胞株におけるSMARCA2転写及びタンパク質の強力な誘導をもたらしたが、EPZ−6438抵抗性細胞株ではもたらさなかった(図9)。SMARCA2がEZH2によって直接抑制されたかどうかを判定するために、H3K27me3 ChIP−seqは、EPZ−6438感受性モデル(TOV−112D)及びEPZ−6438抵抗性(H1299)モデルにおいて実行された。ChIP−seq分析は、SMARCA2プロモーターがEPZ−6438感受性TOV−112D細胞におけるH3K27me3によって結合されたが、EPZ−6438抵抗性H1299細胞において結合されないということを明らかにした(図10A及び10B)。H3K27me3占有を、PCRを介してSMARCA2プロモーター内の3つの標的部位におけるSMARCA4変異型細胞株の全パネルにわたってChIP−PCRによって裏付けた(図11)。EPZ−6438処置は、TOV−112D細胞においてSMARCA2遺伝子プロモーターを有するH3K27me3に関連する著しい減少をもたらす(図12及び13)。まとめると、これらのデータはEZH2がSMARCA2の直接の抑制を媒介したことを示す。
根本的に抑制されたSMARCA2がEZH2阻害剤感受性を引き起こすかどうかを試験するために、SMARCA2(BRM1)を野生型モデルにおいて削除した。SMARCA2の強制されたノックアウトは、EZH2阻害剤感受性を導かず、SMARCA2の低い発現が、野生型の細胞におけるEZH2阻害剤感受性の原因ではないことを示した(図14A及び14B)。
実施例5 SMARCA4転写を補うSMARCA2の能力の評価
この細胞文脈において、SMARCA2がSMARCA4の転写効果を補償できるかどうかを取り扱うために、TOV−112D細胞を、ドキシサイクリン(dox)誘導性SMARCA2またはSMARCA4構築物のどちらかを発現するように操作した。これらの細胞のドキシサイクリン処置は、SMARCA2またはSMARCA4タンパク質の誘導をもたらし、不溶性核画分に局在化し、コアSWI/SNF 複合体タンパク質、SMARCC1と再び関連した(図15A及び15B)。SMARCA2及びSMARCA4のdox誘導性発現後の遺伝子発現変化の分析は、遺伝子中の統計的に著しい重複はこれらのヘリカーゼ(図16A、P<2e−16、Fisher’s Exact Test)によって制限されることを明らかにした。SMARCA2及びSMARCA4の誘導は、SMARCA2とSMARCA4との間で共有される70%超の最も強力に誘導された遺伝子を有する遺伝子発現のアップレギュレーションをもたらした(log2倍数変化≧2)。これらの遺伝子は、EZH2阻害剤処置の際に抑制解除された遺伝子と大きく重複した(図16B、P<2e−16、Fisher’s Exact Test)。
実施例6 EPZ−6438感受性細胞におけるSMARCA2とEZH2との間の関係性の評価
EZH2阻害の際のSMARCA2の抑制解除が、感受性モデルにおけるEPZ−6438の表現型効果を媒介するために必要だったかどうかを判定するために、SMARCA2を標的とするshRNAを、SMARCA2の誘導を特に防ぐ細胞中に発現した。図17A〜17Fに示されるように、非標的対照(shNTC)ではなくshBRMが、COV434細胞、SNU−484細胞、及びG401細胞中のSMARCA2(BRM)の用量依存的誘導を抑止したが、H3K27メチル化を阻害するEPZ−6438の能力に対する効果を持たなかった。重要なことに、SMARCA2 shRNAは、コロニー形成を阻害するEPZ−6438の能力に影響しなかった。SMARCA4変異型細胞株、NCI−H661において、同様の結果を得て、SMARCA2の抑制のみが、EZH2阻害の際の成長の欠陥に一般的に必要ではないことを提示した。しかしながら、EZH2阻害に応じるアポトーシスを経験するSMARCA4変異型モデル、TOV−112Dにおいて、shBRMの発現は、コロニー形成の用量依存的誘導(図18A及び18B)、ならびにこれらの細胞においてアポトーシスの用量依存的誘導(図18C)を妨げた。TOV−112D細胞は、EPZ−6438へのアポトーシス応答を呈した、唯一の試験されたモデルを表し、SMARCA2の抑制解除は、EZH2阻害に対するこの特異な表現型応答に必要であり得ることを提示した。この発見は、CRISPR媒介性ゲノム編集によってSMARCA2遺伝子を除去するように操作されたTOV−112D細胞において裏付けられた(図19A及び19B)。SMARCA2のEPZ−6438媒介性抑制解除がアポトーシスに寄与する機序(複数可)を明らかにするために、SMARCA2 KOクローン中に並んで、shBRM発現の存在下または不在下でEZH2阻害によって調節される遺伝子発現の変更を評価した。EZH2阻害は、制御遺伝子における遺伝子発現の強力なアップレギュレーションをもたらしたが、SMARCA2の阻害を妨害することが、包括的に、EPZ−6438−調整遺伝子の全体の数または大きさにほとんど影響をもたなかった(図19C及び19D)。カテプシンB(CTSB)を含む、shSMARCA2及びSMARCA2遺伝子的除去によって特に影響された少数の遺伝子を特定した。EZH2阻害の際に対照細胞においてCTSB転写及びタンパク質を強力にアップレギュレートし、SMARCA2を標的にすることによってこのアップレギュレーションを妨害した(図19E及び19F)。CTSBがTOV−112D細胞中のEZH2阻害に応答してアポトーシスに寄与できるかどうかを判定するために、CTSBを標的にする3つの別個のshRNAを発現した。shCTSBの発現は、EPZ−6438に応答してカスパーゼ3/7の活性を著しく抑制した(図19G)。SMARCA2の阻害を直接妨害するのとは反対に、CTSB阻害を妨害することはカスパーゼ3/7活性を完全に抑止せず、CTSBがEZH2阻害に応答してアポトーシスに寄与し得るが、アポトーシスの媒介に完全に十分ではない場合があることを提示した。
実施例7 H3K27メチル化の阻害剤の感受性における他のSWI/SNF複合体の突然変異の役割の評価
SMARCA4変異型がん細胞株における観察と同様に、コロニー形成における阻害を、2つのSMARCB1変異型悪性ラブドイド腫瘍株と並んで、ARID1A変異型がん細胞株のサブセットにおいて観察した(図20及び21)。EZH2の遺伝子的除去が、EPZ−6438感受性モデル、TOV−21Gにおいて、クローン原性増殖を阻害したため、成長阻害は、EZH2に依存していた。EZH2の遺伝子的除去は、EPZ−6438抵抗性ARID1A変異型モデル、OVISEにおいて、または任意のSWI/SNF複合体メンバーにおける既知の突然変異を有さない対照モデルにおいて、コロニー形成に影響がなかった(図22)。EZH2阻害への異なる感受性を、別のEZH2阻害剤(CPl−169、図23)を使用して、かつ3D培養でARID1A変異型細胞を増殖することによりMatrigel(図24)を使用して、追加で模写した。TOV−21G腫瘍異種移植片を有するSCIDマウスの治療は、450mg/kg BIDの用量で腫瘍成長阻害をもたらしたため、観察されたインビトロ活性は、さらにインビボ有効性に翻訳した(図25及び26)。構成的SMARCA2転写レベルの分析は、EPZ−6438に感受性があるSMARCB1変異型及びARID1A変異型がん細胞株においてSMARCA2を抑制したことを明らかにした(図27A及び27B)。SWI/SNF複合体遺伝子の野生型である細胞株のパネルにおいて、コロニー形成またはSMARCA2の抑制に対するEPZ−6438の影響を観察しなかった。EPZ−6438を有するが、5−アザ−2’−デオキシシチジンを有しないSMARCB1変異型MRT株G401の処置は、SMARCA2レベルにおける誘導をもたらした(図28A及び28B)。ARID1A変異型細胞株の文脈において、EPZ−6438は、EPZ−6438感受性A2780細胞において、SMARCA2の誘導をもたらしたが、EPZ−6438抵抗性HEC1AまたはSK−OV−3細胞においてはもたらさない(図29)。これらのデータは、SMARCA2のEZH2媒介性抑制が、また、SMARCB1及びARID1A変異型がんの文脈において、EZH2阻害への感受性の予想であることを示す。
他の実施形態
前述の発明がいくつかの詳細において、理解の明瞭化の目的で例示と実施例によって記述されてきたが、記述と実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される全特許の開示及び科学文献は、参照によってその全体において明白に組み込まれる。

Claims (93)

  1. ヒストン3リジン27(H3K27)メチル化の1つ以上の阻害剤を含む処置の利益を受け得るがんを有する患者を特定する方法であって、前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することを含み、参照発現レベルと比較して減少した前記試料中のSMARCA2の発現レベルにより、前記患者が前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者として特定される、前記方法。
  2. がんを有する患者の処置の治療有効性を最適化する方法であって、前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することを含み、参照発現レベルと比較して減少した前記試料中のSMARCA2の発現レベルにより、前記患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される、前記方法。
  3. 1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対するがんを有する患者の応答性を予測する方法であって、前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することを含み、参照発現レベルと比較して減少した前記試料中のSMARCA2の発現レベルにより、前記患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される、前記方法。
  4. がんを有する患者のために処置を選択する方法であって、前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することを含み、参照発現レベルと比較して減少した前記試料中のSMARCA2の発現レベルにより、前記患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される、前記方法。
  5. 前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルが、前記参照レベルと比べて少なくとも約10%減少する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルが、前記参照レベルと比べて少なくとも約25%減少する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルが、前記参照レベルと比べて少なくとも約50%減少する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルが、前記参照レベルと比べて少なくとも約75%減少する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルが、前記参照レベルと比べて少なくとも約90%減少する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記SMARCA2の発現レベルが、発現レベルの中央値である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記SMARCA2の発現レベルが、発現レベルの平均値である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記参照発現レベルが、(i)前の時点で前記患者から得られた試料中の前記SMARCA2の発現レベル、(ii)参照集団内の前記SMARCA2の発現レベル、(iii)SMARCA2について事前に割り当てられた発現レベルからなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記SMARCA2の参照発現レベルが、発現レベルの中央値である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記SMARCA2の参照発現レベルが、発現レベルの平均値である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記発現レベルがmRNA発現レベルである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記mRNA発現レベルが、RNA−Seq、PCR、qPCR、RT−PCR、インサイツハイブリダイゼーション、遺伝子発現プロファイリング、遺伝子発現の逐次分析、またはマイクロアレイ分析によって決定される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記mRNA発現レベルがqPCRによって決定される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記mRNA発現レベルがRNA−Seqによって決定される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記発現レベルがタンパク質発現レベルである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記タンパク質発現レベルが、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光、質量分析、フローサイトメトリー、及びウエスタンブロットからなる群から選択される方法を使用して決定される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記タンパク質発現レベルがIHCによって決定される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記患者から得られた試料中の前記SMARCA2の発現レベルが、前記参照レベルと比べて減少し、前記方法が、治療有効量のH3K27メチル化の1つ以上の阻害剤を前記患者に投与することをさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することが、前記SMARCA2の発現レベルを決定した後である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することが、前記SMARCA2の発現レベルを決定する前である、請求項22に記載の方法。
  25. がんを有する患者を処置する方法であって、治療有効量の1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を前記患者に投与することを含み、前記患者から得られた試料中の前記SMARCA2の発現レベルが、参照発現レベルと比較して減少したことが決定されている、前記方法。
  26. 前記患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルを決定することをさらに含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得るがんを有する患者を特定する方法であって、前記患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルを決定することを含み、参照占有レベルと比較して増加した前記SMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルにより、前記患者が前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者として特定される、前記方法。
  28. がんを有する患者の処置の治療有効性を最適化する方法であって、前記患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルを決定することを含み、参照占有レベルと比較して増加した前記SMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルにより、前記患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される、前記方法。
  29. 1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置に対するがんを有する患者の応答性を予測する方法であって、前記患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルを決定することを含み、参照占有レベルと比較して増加した前記SMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルにより、前記患者が前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される、前記方法。
  30. がんを有する患者のために処置を選択する方法であって、前記患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルを決定することを含み、参照占有レベルと比較して増加した前記SMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルにより、前記患者が1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受ける増加した可能性を有することが示される、前記方法。
  31. 前記患者から得られた試料中のH3K27の占有レベルが、前記参照占有レベルと比べて少なくとも約10%増加する、請求項26〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記患者から得られた試料中のH3K27の占有レベルが、前記参照占有レベルと比べて少なくとも約50%増加する、請求項31に記載の方法。
  33. 前記患者から得られた試料中のH3K27の占有レベルが、前記参照占有レベルと比べて少なくとも約100%増加する、請求項32に記載の方法。
  34. 前記患者から得られた試料中のH3K27の占有レベルが、前記参照占有レベルと比べて少なくとも約500%増加する、請求項33に記載の方法。
  35. 前記患者から得られた試料中のH3K27の占有レベルが、前記参照占有レベルと比べて少なくとも約1,000%増加する、請求項34に記載の方法。
  36. 前記SMARCA2プロモーターにおける前記H3K27の占有レベルが、発現レベルの中央値である、請求項26〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記SMARCA2プロモーターにおける前記H3K27の占有レベルが、発現レベルの平均値である、請求項26〜35のいずれか1項に記載の方法。
  38. 前記参照占有レベルが、(i)前の時点で前記患者から得られた試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベル、(ii)参照集団内のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベル、または(iii)事前に割り当てられたSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルからなる群から選択される、請求項26〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記SMARCA2プロモーターにおける前記参照H3K27の占有レベルが、発現レベルの中央値である、請求項26〜38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記SMARCA2プロモーターにおける前記参照H3K27の占有レベルが、発現レベルの平均値である、請求項26〜38のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記SMARCA2プロモーターにおける前記参照H3K27の占有レベルが、ChIP−seqまたはChIP−PCRによって決定される、請求項26〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記SMARCA2プロモーターにおける前記H3K27の占有レベルが、前記参照占有レベルと比べて増加し、前記方法が、治療有効量の1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を前記患者に投与することをさらに含む、請求項26〜41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することが、前記SMARCA2プロモーターにおける前記H3K27の占有レベルを決定した後である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を投与することが、前記SMARCA2プロモーターにおける前記H3K27の占有レベルを決定する前である、請求項42に記載の方法。
  45. がんを有する患者を処置する方法であって、治療有効量の1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を前記患者に投与することを含み、前記患者から得られた試料中の前記SMARCA2プロモーターにおける前記H3K27の占有レベルが、参照占有レベルと比較して増加したことが決定されている、前記方法。
  46. 前記患者から得られた試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することをさらに含む、請求項27〜45のいずれか1項に記載の方法。
  47. ヌクレオソーム再構成タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異を特定することをさらに含む、請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記ヌクレオソーム再構成タンパク質が、SWI/SNFファミリータンパク質である、請求項47に記載の方法。
  49. 前記SWI/SNFファミリータンパク質が、BRG1、SNF5(INI1)、SWI/SNF複合体155kDaサブユニット、SWI/SNF複合体170kDaサブユニット、BAF、zipzapタンパク質、またはBAF180である、請求項48に記載の方法。
  50. 前記SWI/SNFファミリータンパク質をコードする1つ以上の遺伝子が、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1からなる群から選択される、請求項48または49に記載の方法。
  51. 前記患者から得られた前記試料が、細胞試料、組織試料、全血試料、血漿試料、または血清試料である、請求項1〜50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 前記細胞試料が腫瘍細胞試料である、請求項51に記載の方法。
  53. 前記組織試料が腫瘍組織試料である、請求項51に記載の方法。
  54. 前記がんが、SWI/SNFファミリータンパク質をコードする1つ以上の遺伝子における突然変異を含む、請求項1〜53のいずれか1項に記載の方法。
  55. 前記SWI/SNFファミリータンパク質をコードする1つ以上の遺伝子が、SMARCA4、SMARCB1、SMARCC1、SMARCC2、ARID1A、ARID2、及びPBRM1からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
  56. 前記がんが、SMARCA4、SMARCB1、またはARID1Aのうちの1つ以上における突然変異を含む、請求項55に記載の方法。
  57. 前記がんが、卵巣癌、肺癌、胃癌(gastric cancer)、膀胱癌、乳癌、皮膚癌、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、リンパ癌、子宮頸癌、腹膜癌、膵臓癌、膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、結腸癌、直腸癌、子宮内膜癌、子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肛門癌、陰茎癌、及び頭頸部癌からなる群から選択される、請求項1〜56のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記癌が卵巣癌である、請求項57に記載の方法。
  59. 前記卵巣癌が卵巣明細胞癌である、請求項58に記載の方法。
  60. 前記卵巣癌が卵巣の小細胞癌である、請求項58に記載の方法。
  61. 前記卵巣の小細胞癌が高カルシウム血症型の卵巣の小細胞癌である、請求項60に記載の方法。
  62. 前記がんが肺癌である、請求項57に記載の方法。
  63. 前記がんが胃癌である、請求項57に記載の方法。
  64. 前記がんが膀胱癌である、請求項57に記載の方法。
  65. 前記がんがラブドイド腫瘍である、請求項1〜56のいずれか1項に記載の方法。
  66. 前記ラブドイド腫瘍が腎臓癌または脳腫瘍である、請求項65に記載の方法。
  67. 前記ラブドイド腫瘍が悪性ラブドイド腫瘍である、請求項65または66に記載の方法。
  68. 前記悪性ラブドイド腫瘍がSMARCB1変異型悪性ラブドイド腫瘍である、請求項67に記載の方法。
  69. 前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤が、H3K27トリメチル化の阻害剤を含む、請求項1〜68のいずれか1項に記載の方法。
  70. 前記H3K27トリメチル化の阻害剤がEZH2阻害剤である、請求項1〜69のいずれか1項に記載の方法。
  71. 前記EZH2阻害剤が小分子である、請求項70に記載の方法。
  72. 前記EZH2阻害剤が、EPZ−6438、CPI−169、CPI−1205、EPZ005687、GSK−126、GSK343、及びGSK503からなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
  73. 前記EZH2阻害剤がEPZ−6438である、請求項72に記載の方法。
  74. 前記EZH2阻害剤がCPI−169である、請求項72に記載の方法。
  75. 前記EZH2阻害剤がCPI−1205である、請求項72に記載の方法。
  76. 前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤が、ポリコーム抑制性複合体2(PRC2)の形成または活性を妨害する、請求項1〜75のいずれか1項に記載の方法。
  77. 前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤が、SUZ12アンタゴニスト、EEDアンタゴニスト、またはjumonjiアンタゴニストを含む、請求項76に記載の方法。
  78. 第1のH3K27メチル化の阻害剤及び第2のH3K27メチル化の阻害剤を前記患者に投与することを含む、請求項1〜77のいずれか1項に記載の方法。
  79. 前記第1のH3K27メチル化の阻害剤及び前記第2のH3K27メチル化の阻害剤が同時投与される、請求項78に記載の方法。
  80. 前記第1のH3K27メチル化の阻害剤及び前記第2のH3K27メチル化の阻害剤が連続投与される、請求項78に記載の方法。
  81. 追加の治療薬を前記患者に投与することをさらに含む、請求項1〜80のいずれか1項に記載の方法。
  82. 前記追加の治療薬が抗がん剤である、請求項81に記載の方法。
  83. 前記追加の治療薬及び前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤が同時投与される、請求項81または82に記載の方法。
  84. 前記追加の治療薬及び前記1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤が連続投与される、請求項81または82に記載の方法。
  85. 前記抗がん剤が、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞毒性剤、放射線療法に使用される薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及び免疫療法剤からなる群から選択される、請求項82〜84のいずれか1項に記載の方法。
  86. 前記抗がん剤が化学療法剤である、請求項85に記載の方法。
  87. 前記患者がヒトである、請求項1〜86のいずれか1項に記載の方法。
  88. がんに罹患している患者を処置する方法において使用するための1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む組成物であって、前記患者から得られた試料が、参照発現レベルと比較して減少した試料中のSMARCA2の発現レベルを有することが決定されている、前記組成物。
  89. がんに罹患している患者を処置する方法において使用するための1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む組成物であって、前記患者から得られた試料が、参照占有レベルと比較して増加した試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルを有することが決定されている、前記組成物。
  90. 前記患者がヒトである、請求項88または89に記載の組成物。
  91. 1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者を特定するためのキットであって、
    (a)試料中のSMARCA2の発現レベルを決定することができるポリペプチドまたはポリヌクレオチドと、
    (b)前記ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを使用して1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者を特定するための説明書と、を含む、前記キット。
  92. 1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者を特定するためのキットであって、
    (a)試料中のSMARCA2プロモーターにおけるH3K27の占有レベルを決定することができる試薬と、
    (b)前記試薬を使用して1つ以上のH3K27メチル化の阻害剤を含む処置から利益を受け得る患者を特定するための説明書と、を含む、前記キット。
  93. 前記患者がヒト患者である、請求項91または92に記載のキット。
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