JP2019517630A - 緩衝ヒンジ・アセンブリー - Google Patents

Abstract

トグル・ヒンジ（４１）用のダンパー・アセンブリーを提供する。アセンブリーは、直線動作する緩衝装置（１０’）を備え、該緩衝装置は、横断面が円弧状の溝（４４）を介してヒンジのフランジ（４３）に装着され、ハウジング（４５）によって定位置に保持される。緩衝装置にはウィング（１６’）が、ヒンジが閉じるときにヒンジのアーム（４２）と接触可能に設けられる。ヒンジの閉じる動きを緩衝装置の直線動作に変換する機構が設けられる。機構はフランジ上に２つのカム面（１９’、２５’）を備える。通常は第１のカム面が緩衝装置と係合し、伝達される力が所定の閾値を超えると第２のカム面も併せて係合する。【選択図】図４

Description

本発明は緩衝ヒンジ・アセンブリーに関し、特に、台所の食器戸棚によく用いられタイプのトグル・ヒンジ用の緩衝ヒンジ・アセンブリーに関する。

本発明が提供するヒンジ用のダンパー・アセンブリーは、直線動作する緩衝装置と、前記緩衝装置を前記ヒンジに装着するための保持手段と、前記ヒンジの回転運動を一方向の少なくとも一部において前記緩衝装置の直線動作に変換する機構とを備え、前記運動変換機構が力を伝達可能な互いに独立した２つのカム装置を備える。

図１は本発明によるダンパー・アセンブリーの第１の形態の構成部品を示す分解斜視図である。 図２は図１のダンパー・アセンブリーのダンパー・ユニットを下側から見た図である。 図３は図１のダンパー・アセンブリーをヒンジ上の定位置に装着した状態を示す。 図４はヒンジ用ダンパー・アセンブリーの第２の形態の構成部品を示す分解斜視図である。

図１の分解斜視図に示す形態のダンパー・アセンブリーは、台所の食器戸棚に扉を取り付けるためによく用いられるタイプのトグル・ヒンジ３１（図３を参照）のヒンジ・カップ３０に装着されるものである。このようなヒンジとダンパー・アセンブリーは公知であり、その一例が米国特許第８１８６０１４号に見られる。

図１に示すように、ダンパー・アセンブリーはダンパー・ユニット１０を備え、使用時にはダンパー・ユニット１０がブラケット１１に装着され、ハウジング１２によって定位置に保持される。

ダンパー・ユニット１０は細長い、直線動作するピストン−シリンダー装置である。ピストン（不図示）がピストン・ロッド１４の端部に設けられ、シリコーンなどの緩衝流体で満たされたシリンダー１５内を往復運動可能である。圧縮ばね（不図示）により、ピストン・ロッドがその伸長位置に向けて付勢されている。装置は圧縮されたときに緩衝抵抗力を発揮するように公知の方法で構成される。

ダンパー・ユニット１０はブラケット１１に、横断面が円弧状の細長い溝１３を介して装着される。これによりダンパー・ユニット１０はその長手方向軸まわりに自在に回転可能、かつブラケット１１に対して軸方向に自在に移動可能である。ハウジング１２は留め具やばねクリップなどの適切な手段によりブラケット１１に取り付け可能であり、それによりダンパー・ユニット１０を保持する。ブラケット１１自体は留め具またはばねクリップなどの適切な手段により、公知の方法でヒンジのカップ・フランジに取り付け可能である。

シリンダー１５からは横方向にウィング１６が延出する。ウィング１６は使用時にハウジング１２に設けた開口１７から突出する。ウィング１６はヒンジ３１（図３を参照）の連結機構の一部であるアーム３２と係合するように構成される。このためウィング１６は、ヒンジに取り付けられた扉が閉じるときに、ダンパー・アセンブリーを作動させる。ウィング１６には補強構造２１（とりわけ図２を参照）が設けられて、シリンダー１５とのより強固な接続とアーム３２との摺動可能な接触が実現される。

とりわけ図２に示すように、シリンダー１５にはその長手方向軸まわりに螺旋状に延びるカム面１８が設けられる。カム面１８はブラケット１１上に設けたフォロワーと係合可能に構成される。フォロワーは、本形態においては、溝１３に設けた、カム面１８と相補的な形状のカム面１９である。２つのカム面１８、１９がカム装置を構成し、（ウィング１６の作動により生じる）シリンダー１５の回転運動をシリンダーの軸方向運動に変換する運動変換機構として機能する。これによりシリンダー１５は、扉が閉じるときにピストン・ロッド１４の自由端に向かって軸方向に（図１の矢印Ａ方向に）動くことになる。ピストン・ロッド１４の自由端はハウジング１２の内面に当接しているため、シリンダー１５のそのような動きにより、ダンパー・ユニット１０が圧縮されることになる。その結果、ダンパー・ユニット１０が緩衝抵抗力を発揮し、この緩衝抵抗力がウィング１６およびヒンジを介して、閉じつつある扉に伝わって扉の閉じる動きを減速させる。

エンド・キャップ２２が、ハウジング１２に設けた穴２３に装着される。エンド・キャップ２２はシリンダー１５の軸方向の端部位置を調節するためのものである。シリンダー１５の端部位置を調節すると、カム装置の係合し合った２つのカム面１８、１９の作用により、ウィング１６の回転位置が変わる。ウィング１６の回転位置が変わると、ウィング１６がヒンジ３１の連結機構のアーム３２と係合する位置が変わる。したがって、エンド・キャップ２２を調節することにより、アセンブリーが発揮する緩衝の程度を調節することができる。

本形態のようなダンパー・アセンブリーは扉が勢いよく閉じられたときに生じる力に耐えられなければ十分に実用的とは言えない。カム装置はその螺旋形状により、軸方向の分力に加えて半径方向の分力をも発生させる。扉が勢いよく閉じられると、通常、ウィング１６に対して非常に大きな衝撃が加わる。その結果、非常に大きな半径方向の力がダンパー・ユニット１０に伝わる。この半径方向の分力により、場合によってはシリンダー１５が変形することがあり、シリンダーの中にピストンが詰まったり、シリンダーが修復不能に破断したりするおそれがある。

各図に示すアセンブリーにおいて注目すべきは、カム装置がシリンダー１５の端部に位置していることである。カム装置がこの位置にあることで、扉が勢いよく閉じられたときに生じる半径方向の分力がシリンダー１５に殆ど悪影響を及ぼさない。しかも、カム面１８がシリンダー１５上の、ピストンの動作ストローク（図２においてｘで示す）の範囲外に位置している。これによりシリンダー１５はピストンの有効動作範囲全体にわたって殆ど変形することがなく、ピストンが詰まるおそれが軽減される。

カム面１８がシリンダー１５の端部に位置していることにより、カム装置は、シリンダーの中央部に位置するウィング１６から軸方向に間隔を空けて位置する。この間隔のせいで、（閉じる扉から）ウィング１６に作用しカム装置が伝達する衝撃力によってシリンダー１５の据わりが幾分不安定になる可能性がある。なによりシリンダー１５はブラケット１１上の溝１３と適切に係合した状態から脱落しがちで、強い衝撃荷重を受けたときに特にそうである。この問題は、カム面１８の半径方向の深さを大きくすることで荷重を分散することにより、ある程度軽減される。

図２に示すように、第２のカム面２４がシリンダー１５に設けられている。第２のカム面２４は、本形態においては、シリンダー１５の中央部の、好ましくはウィング１６と反対側に位置する。第２のカム面２４はシリンダー１５の外面に設けた溝であり、第１のカム面１８と同様に、シリンダーの長手方向軸まわりに螺旋状に延びる。２つのカム面１８、２４は同じ方向に延び、同じピッチを有する。

シリンダー１５上の第２のカム面２４はフォロワーと係合するように構成される。フォロワーは、本形態においては、ブラケット１１上に設けた第２のカム面２５である。これら２つのカム面が第２のカム装置を構成する。第２のカム面２５はブラケット１１上の第１のカム面１９と同じ方向に延び、同じピッチを有する。

互いに係合する２対のカム面、１８と１９、および２４と２５により構成される２つのカム装置は、ウィング１６が大きな衝撃荷重を受けたときに協調して動作するように構成される。動作面の面積が増すことにより、荷重が分散される。また、第２のカム装置がウィング１６の近くに位置することにより、力がよりダイレクトに伝達されるので、シリンダー１５の据わりが不安定になりにくくなる、

衝撃荷重が小さい時には、第２のカム装置が動作する必要がないことがある。このため、シリンダー１５上の２つのカム面１８、２４間の軸方向の間隔はブラケット１１上の２つのカム面１９、２５間の軸方向の間隔よりも少し大きくなるように構成される。これにより、通常の荷重下においては第１のカム装置のみが係合するのに対して、シリンダー１５が変形するほどの大きな荷重をシリンダー１５が受けたときには第２のカム装置も併せて係合する。これを可能にするための間隔の差は小さくてよく、例えば０．１〜０．２ｍｍ程度である。

図１に示す形態のダンパー・アセンブリーについて注目すべきは、それがヒンジに対してレトロフィット可能（後付け可能）に構成されていることである。これとは異なる形態の図４に示すダンパー・アセンブリーはヒンジに対して一体に構成されている。このダンパー・アセンブリーも、台所の食器戸棚に扉を取り付けるためによく用いられるタイプのトグル・ヒンジ４１のヒンジ・カップ４０に装着されるものである。ここでもダンパー・ユニット１０’のウィング１６’がヒンジ４１の連結機構のアーム４２と係合するように設けられ、ヒンジに取り付けられた扉が閉じるときにダンパー・アセンブリーを作動させる。

本形態のダンパー・ユニット１０’は本質的に図１および図２に示すダンパー・ユニット１０と同じものである。ただし、本形態においては、ダンパー・ユニット１０’はヒンジ・カップ・フランジ４３そのものに直接装着される。ダンパー・ユニット１０’はヒンジ・カップ・フランジ４３に、横断面が円弧状の溝４４を介して装着される。これによりダンパー・ユニット１０’はその長手方向軸まわりに自在に回転可能、かつヒンジ・カップ・フランジ４３に対して軸方向に自在に移動可能である。ダンパー・ユニット１０’はハウジング４５によって定位置に保持される。ハウジング４５は留め具やばねクリップなどの適切な手段により、公知の方法でヒンジのカップ・フランジ４３に取り付け可能である。本形態において、２つの螺旋状のカム面１９’、２５’がそれぞれシリンダー１５上のカム面１８、２４とともに運動変換機構として機能する２つのカム装置を構成し、これらはヒンジ・カップ・フランジ４３と一体の構成要素として形成される。他の全ての点で、図４のダンパー・アセンブリーは図１、図２および図３のダンパー・アセンブリーと同様に動作する。

上に述べた、運動変換機構として機能するカム装置の構成にさまざまな変形を施すことが可能であることは容易に理解されよう。例えば２つのカム装置の役割を入れ替えてもよい。各カム装置を、ハウジング１２上に一方のカム面を有し、ブラケット１１上またはヒンジ・カップ・フランジ３０、４３上に他方のカム面を有する構成としてもよい。２つのカム装置を、間隔を空けずに、軸方向の同じ位置に設けてもよい。例えば、それらのカム装置を、シリンダーの外面に設けた、二条ねじ（twin-start screw）のねじ溝のようにそれぞれがシリンダー周りを螺旋状に延びる２本の溝で構成してもよい。

Claims (14)

1. 直線動作する緩衝装置と、
   前記緩衝装置をヒンジに装着するための保持手段と、
   前記ヒンジの回転運動を一方向の少なくとも一部において前記緩衝装置の直線動作に変換する機構と
   を備え、
   前記運動変換機構が力を伝達可能な互いに独立した２つのカム装置を備える、
   ヒンジ用のダンパー・アセンブリー。
2. 前記２つのカム装置が前記緩衝装置の前記直線動作の方向に間隔を空けて配置される、
   請求項１に記載のダンパー・アセンブリー。
3. 前記カム装置のうち第１のカム装置が所定の閾値に達するまでの力を伝達し、該閾値を超えると該第１のカム装置に加えて第２のカム装置も力を伝達する、
   請求項１または請求項２に記載のダンパー・アセンブリー。
4. 前記カム装置それぞれが前記緩衝装置に設けたカム面を備える、
   請求項１から請求項３のいずれかに記載のダンパー・アセンブリー。
5. 前記カム面それぞれが前記保持手段に設けたフォロワーと係合する、
   請求項４に記載のダンパー・アセンブリー。
6. 前記保持手段がハウジングを備え、前記フォロワーの少なくとも１つが該ハウジングに設けられる、
   請求項５に記載のダンパー・アセンブリー。
7. 前記ヒンジがヒンジ・カップ・フランジを備え、前記フォロワーの少なくとも１つが該ヒンジ・カップ・フランジまたはこれに接続された部材に設けられる、
   請求項５または請求項６に記載のダンパー・アセンブリー。
8. 前記フォロワーが前記緩衝装置の前記直線動作の方向に間隔を空けて配置され、前記カム面同士の間隔が前記フォロワー同士の間隔より少し大きい、
   請求項５から請求項７のいずれかに記載のダンパー・アセンブリー。
9. 前記フォロワーもそれぞれがカム面である、
   請求項５から請求項８のいずれかに記載のダンパー・アセンブリー。
10. 前記緩衝装置がピストンとシリンダーとを備えたダンパーであり、
    前記第１のカム装置が前記ピストンの動作ストローク上の運動範囲の実質的に外で力を前記ピストンに伝達する、
    請求項１から請求項９のいずれかに記載のダンパー・アセンブリー。
11. 前記ピストンの前記動作ストロークが前記緩衝装置の圧縮量に相当する、
    請求項１０に記載のダンパー・アセンブリー。
12. 前記ピストンが、前記シリンダーから延出する自由端を有するピストン・ロッドに装着され、前記ピストンの動作ストローク上の運動は前記シリンダーの運動によって引き起きされる、
    請求項１０または請求項１１に記載のダンパー・アセンブリー。
13. ヒンジと、
    請求項１から請求項１２のいずれかに記載のダンパー・アセンブリーと
    を備える
    ヒンジ・アセンブリー。
14. 請求項１から請求項１２のいずれかに記載のダンパー・アセンブリーを備える
    家具。

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