したがって、本発明の目的は、観測されているシーンについてユーザに付加的な情報を提供する装置および方法と同様に、装置を提案することである。
本発明は、ユーザ情報を提示する装置によってこの目的を解決する。したがって、情報は、ユーザのために提示または視覚化される。
この装置は、少なくとも、アンテナ装置と、処理装置と、提示装置とを備える。アンテナ装置は、シーン内の少なくとも1つの送信器の信号を受信するように構成される。アンテナ装置は、空間的に異なる受信感度に関連する少なくとも1つの指向特性を用いて信号を受信する。このように、アンテナ装置は、指向特性に応じて変動する度合いまで、異なる領域からの信号を受信する。これは受信の指向性を伴う。代替的にまたは付加的に、アンテナ装置は、少なくとも1つの指向特性を有する信号をシーンに送信し、シーンからの少なくとも1つの送信器の信号を受信するように構成される。この代替的または付加的な構成では、アンテナ装置は、信号が本質的にそれぞれの指向特性に関連する空間領域にのみ到達するように、少なくとも1つの指向特性を有する信号を送信する。したがって、信号はシーン内の1つの空間領域にのみ印加される。構成に応じて、少なくとも1つの送信器から発する信号を受信することは、適応的に受信感度に関連する少なくとも1つの指向特性を介して無指向性または指向性の方式で行われる。処理手段は、シーンに関して受信信号を処理し、提示データを決定するように構成される。一構成において、提示データは、例えば、送信器の決定された位置を指し、別の構成では、受信信号の空間的分布を指す。一構成において、特に、それぞれ使用される指向特性を記述するデータが、処理装置にとって利用可能である。例えば、これは、アンテナ装置に対する位置に関して、使用される指向特性に対するアンテナ装置の受信感度の尺度を含む少なくとも1つのデータセットである。最後に、提示装置は、少なくとも、決定された提示データを提示するように構成される。このようにして、提示データはユーザにアクセス可能とされ、ユーザのための情報を提示する。
装置は、少なくとも1つの送信器に関するデータまたは少なくとも1つの送信器から発する受信信号に関するデータを提供し、当該データを装置に送信する位置決め装置を備える。位置決め装置は、アンテナ装置および/または処理装置を備える。以下では、位置決め装置の異なる変形例について記述し、説明する。
構成に応じて、アンテナ装置は、単一部品または複数部品で構成されている。一構成において、複数部品の変形例において、アンテナ装置は、信号を送信および/または受信するために個別にまたは相互に使用されるいくつかのアンテナ素子からなる。
この場合、シーンは、少なくとも送信器が位置する領域または空間を指す。
一構成において、装置は、シーンの視覚画像を取り込むように構成されたキャプチャ装置を備える。一構成において、これはカメラである。さらに、提示装置は、少なくとも決定された提示データを少なくとも1つのキャプチャされた視覚画像の提示に重ね合わせるように構成される。例えば、提示装置は、提示データをシーンの視覚画像に重ね合わせるためのモニタまたはディスプレイである。これにより、提示データをよりよく使用するための空間的基準が視聴者に提供される。言い換えれば、重ね合わせにより、ユーザは異なる周波数で見ることができ、またはいくつかの周波数範囲の評価から得られた情報を適用することができる。
一構成において、アンテナ装置は、ドイツ特許出願公開第10 2014 223 328号明細書に開示されている構成に従って構成されている。
特に、アンテナ装置、キャプチャ装置または提示装置が静的ではなく、移動している場合には、それぞれのデータを位置整合させるために、または相互に提示するために、互いに対するまたはシーンに対する位置を知る必要がある。
したがって、一構成によれば、装置は最後に1つの位置センサを含む。したがって、提示装置は、位置センサのデータに応じて提示データを提示するように構成される。
一構成において、特に、いくつかの位置センサが存在し、それらのそれぞれの位置および/または向きを決定することができるように、異なる装置に関連付けられる。
一構成において、位置センサは、提示装置に関連付けられ、したがって、提示装置の位置を決定することを可能にする。さらに、提示装置は、シーンに対する提示装置の向きに応じて提示データを提示するように構成される。
一構成において、提示装置は眼鏡の形態で構成される。したがって、提示データはこれらの眼鏡に投影される。ユーザは、シーンに向けて異なる向きに眼鏡を向けることができるため、例えば、例として眼鏡の上または中に固定することができる位置センサは、眼鏡の向きに従って、したがってまた、ユーザが自体の視野を向ける方向へと提示データを表示する役割を果たす。
一構成において、位置センサはキャプチャ装置に関連付けられている。提示装置は、アンテナ装置に対するキャプチャ装置の向きに応じて、提示データを提示するように構成されている。一構成において、特に、アンテナ装置は静止しており、位置センサは、キャプチャ装置のそれぞれの取り込まれた画像が由来するシーンの領域に関してキャプチャ装置に情報を提供する。
一構成において、提示装置は、受信信号から決定された情報に基づいて光学的要素を提示するように構成される。例えば、光学的要素は、送信器の位置を示すアイコンである。代替的にまたは付加的に、光学的要素は、送信器の指定またはさらなる情報が利用可能であるという指示である。
一構成において、提示装置は、送信器と提示装置との間の距離に基づいて、および/または、送信器と提示装置との間の向きに基づいて、および/または、送信器によって送信される情報に基づいて、決定された情報を提示するように構成される。この構成では、例えば、点滅周波数が減少状態で増加する点滅アイコンが送信器に使用される。したがって、送信器へのアプローチが発生するか否かを明確にすることは容易である。代替的にまたは付加的に、決定された情報は、送信器と提示装置との間の向きに応じて提示される。例えば、これは、提示装置から送信器への方向、またはその逆の方向を指し、または、例えば、提示装置または送信器の向きを指す。さらに、代替的にまたは付加的に、決定された情報は、送信器によって送信される情報に基づいて提示される。
一構成において、処理装置がアクセスするデータまたは情報が格納される、特に外部のデータベースが提供される。一構成において、これは、受信信号を評価し、または、提示データを生成する役割を果たす。
一構成において、処理装置は、少なくとも1つの指向特性に基づいて、および、少なくとも1つの受信信号に基づいて、提示データとして送信器の信号分布を決定するように構成される。したがって、提示装置は、信号分布を提示するように構成される。したがって、この構成は、アンテナ装置が受信する電磁無線周波数信号を視覚化することを可能にする。この場合、信号提示は、送信器の放射特性、および、アンテナ装置の受信感度の分布からもたらされる。代替的に、信号分布は、信号を送出するための指向特性からもたらされ、一構成において、信号分布は付加的に、信号を受信するための指向特性からもたらされる。一構成において、信号分布は、空間における受信信号の信号強度の分布を指し、代替的または付加的な構成では、信号分布は、空間における信号強度の決定された変化を含む。
一構成において、信号分布は、いくつかの受信信号およびそれぞれ使用される指向特性から決定される。
一構成によれば、より良好な検出可能性のために、提示装置は、例えば、送信器によって放射される信号分布または信号強度、または空間における信号強度変化を、カラーコードまたはグレースケールコードまたは信号強度ラインによって提示するように構成されている。この場合、信号強度ラインは、受信信号の信号強度の空間的な経過をマップ上の輪郭線の形態で示し、各ラインは選択された信号強度に関連付けられる。
以下の構成は、特に送信器の位置に関して、または受信信号の分布に関して、提示されるべきデータを得ることを参照する。構成は、種々の方法で互いに組み合わせることができる。
特に、本明細書では、位置決め装置として参照される場合がある、データを取得するための装置が記載されている。この場合、位置決め装置の構成要素は、互いに個別に、または例えば別々のアンテナ装置と組み合わせてもよい。したがって、例えば、位置決め装置は、アンテナ装置を部分的に含んでもよく、または、代替的に、別個のアンテナ装置によって受信される信号を評価する役割のみを果たしてもよい。一構成において、位置決め装置はまた、ユーザ情報を提示する装置とは独立して使用されてもよい。
第1の変形例の構成では、装置は位置決め装置を含む。アンテナ装置は、いくつかの異なる指向特性を含み、指向特性は各々、アンテナ装置の空間的に異なる受信感度の量を指す。調整装置が、アンテナ装置の指向特性の少なくとも1つが有効化されるようにアンテナ装置に影響を与える。アンテナ装置は、送信器から発する少なくとも1つの信号を受信し、これは能動的な指向特性によって行われる。さらに、データ処理装置が、少なくとも1つの受信信号、および、有効化されている指向特性に関連する空間的に異なる受信感度の量を処理して、重み付き受信値の量にする。さらに、データ処理装置は、少なくとも重み付き受信値の量から送信器の位置に関する情報を決定する。一構成において、データ処理装置およびアンテナ装置は位置決め装置に属している。
この場合、指向特性は受信感度の空間分布を指す。したがって、信号はすべての空間方向から一様に取り込まれる訳ではないが、アンテナ装置が信号を受信することが好ましい領域が存在する。これには、選択または有効化された指向特性を有する信号を受信する際に、送信器の位置と受信信号との間に関連付けが存在するという事実が伴う。この関連付けは、受信信号、および、受信時に使用され、それゆえ有効化される指向特性、または、空間的に異なる受信感度の量に関するデータを処理するように構成されたデータ処理装置によって使用される。データ処理装置は、受信信号、および、受信感度の分布に関するデータから、重み付き受信値の量を決定する。次に、重み付き受信値の量から、少なくとも1つの送信器の位置に関する情報を決定することができる。この場合、調整装置は、アンテナ装置の少なくとも1つの指向特性が有効化されるという目的を果たす。一構成において、いくつかの指向特性が、指向特性が重ね合わされるように有効化される。
一構成において、信号の振幅および位相が、受信信号を評価するために利用可能である。代替の構成では、信号の振幅のみが処理される。
一構成によれば、制御装置は、アンテナ装置のいくつかの異なる指向特性が有効化されるようにアンテナ装置に作用する。一構成において、特に、指向特性は連続的に有効化される。この場合、アンテナ装置は、有効化される各指向特性に対して、送信器の少なくとも1つの信号を受信する。さらに、データ処理装置が、受信信号、および、それぞれ有効化されている指向特性に関連する、空間的に異なる受信感度の量を処理して、それぞれ有効化されている指向特性に関連する重み付き受信値の量にする。さらに、データ処理装置は、異なる指向特性に関連付けられる重み付き受信値の量を互いに対して処理する。
以下の構成は、データ処理装置による、受信信号およびそれぞれ有効化された指向特性のデータの処理に専用とされる。
一構成において、データ処理装置は、受信信号を記述するデータ、および、行列の形式で存在する、それぞれ有効化された指向特性の空間的に異なる受信感度の量を互いに処理して、同じく行列の形式の重み付き受信値の量を得る。一構成において、受信信号のデータおよび指向特性に関連する行列が互いに乗算される。
一構成によれば、データ処理装置は、異なる指向特性に関連付けられる重み付き受信値の量の少なくとも1つのグループを合計する。一構成において、重み付き受信値の量を加算する結果として、送信点の位置を特定することを可能にする累積点がもたらされる。一構成において、グループは、重み付き受信値の決定された量の一部分を指し、したがって、部分グループまたは下位グループである。代替の構成では、グループは、データ処理装置が利用可能な重み付き受信値のすべての量を指す。
一構成において、データ処理装置は、重み付き受信値の量の少なくとも2つのグループ間の差を決定する。一構成において、重み付き受信値の量の2つのグループのうちの少なくとも1つは、重み付き受信値の1つの量のみを含み、したがって、有効化された指向特性を有する受信信号のデータのみを含む。
一構成によれば、2つのグループは重複している。この構成では、受信値の少なくとも1つの相互の量が、両方のグループに見出され得る。代替的な構成では、2つのグループは、グループが重み付き受信値のそれぞれ異なる量のみを含むように分離される。
一構成によれば、アンテナ装置はマルチビームアンテナである。マルチビームアンテナは、受信感度(したがってまた、送信特性、または対応する受信感度)に関するいくつかのビームまたは少なくともいくつかの主ビームを含む。この場合、ビームは異なる指向特性に関連付けられる。これには、指向特性が各々、それぞれのビームまたは主ビームと関連付けられる主方向または主領域を有するという事実が付随する。言い換えれば、有効化された各指向特性によって、信号は主に、それぞれ関連する(受信)ビームが位置する空間領域から受信される。
一構成によれば、マルチビームアンテナとして構成されたアンテナ装置の指向特性は、ビームの方向において互いに異なる。一構成において、ビームは、特に、それぞれの指向特性の主方向によって与えられる主ビームである。
一構成によれば、マルチビームアンテナとして構成されたアンテナ装置は、各切り替え可能な指向特性に対して個々の信号出力を含む。一構成によれば、アンテナ装置は、常に複数の指向特性を有する信号を受信し、アンテナ装置自体または後続の構成要素を介して、各々が指向特性に関連付けられている個々の信号がもたらされるように、同時に受信した信号全体を、それぞれの指向特性に関して分離することが可能である。一構成において、指向特性を有効化することは、特性を選択し、有効化された指向特性によって受信される信号を評価することである。代替的に、有効化とは、信号が1つの指向特性を有するアンテナ装置によってのみ受信され得るように、電子的に有効化することを指す。
一構成によれば、アンテナ装置の信号出力の信号のみが、有効化された指向特性に従ってデータ処理装置にとって利用可能である。したがって、この構成では、データ処理装置は、それぞれの有効化された指向特性に関連する受信信号のみを処理する。一構成において、受信信号は、すべての指向特性が有効化された後に処理される。
一構成によれば、アンテナ装置の複数の信号出力の信号が、有効化された指向特性に従ってデータ処理装置にとって利用可能である。このように、この構成では、データ処理装置は、有効化された、したがって特に選択された指向特性の信号だけでなく、他の指向特性に関連する信号も処理する。
一構成によれば、データ処理装置は、重み付き受信値の量のグループを合計し、受信信号の少なくとも1つの累積領域から送信器の位置に関する情報を決定する。したがって、アンテナ装置に対するいずれの空間領域またはいずれの方向から発する信号が支配的であるかが決定され定格される。
一構成によれば、データ処理装置は、重み付き受信値の量の少なくとも2つのグループ間の差から複数の送信器の存在を判定する。例えば、2つの累積領域がある場合、これは2つの送信器の存在を示す。
一構成において、送信器の位置に関する情報の中間結果がデータ処理装置によって決定され、それに基づいて、中間結果に一致する空間領域をカバーする指向特性がさらなるステップのために有効化される。
一構成によれば、アンテナ装置は、信号が送信器から発するように、少なくとも1つの信号を送出する。この構成では、送信器は少なくとも1つの信号を送信するように活性化される。一構成によれば、送信器は、アンテナ装置から送出される信号からそれ自体の信号を送出するためのエネルギーを得る。この構成では、例えば、送信器はRFIDタグである。代替的な構成では、送信器から発する信号は、送信器における、アンテナ装置から発する信号の反射から生じる反射信号である。
一構成によれば、アンテナ装置およびデータ処理装置は、送信器から発する信号として、送信器によって能動的に生成される信号を受信して処理するように構成されている。一構成において、送信器は、それ自体で信号を送出することによって能動的に信号を生成する。さらなる構成では、送信器は、アンテナ装置の信号によって有効化され、その後、能動的に信号を送出する。一構成において、能動的に生成することはまた、例えば周波数をシフトするか、または情報を適用することなどの、ある変化を伴う信号の受信および送出を意味する。
一構成によれば、アンテナ装置およびデータ処理装置は、送信器から反射された信号を送信器から発する信号として受信し、処理するように構成されている。したがって、この構成では、送信器は、例えばレーダ信号によって放射され、適応的に信号を反射する対象物である。
一構成によれば、データ処理装置は、マルチビームアンテナとして構成されたアンテナ装置の有効化された指向特性のビームのビーム幅に応じて、送信装置の位置に関する、決定された情報の不確定性を決定する。
上述の装置を介して提示されるべきデータを決定するためのさらなる装置が後続する。後続する構成は、先行する構成と組み合わせることもできる。逆も同様である。
このように、一構成において、ユーザ情報を提示する装置は、第2の変形例による位置決め装置を含む。アンテナ装置は、いくつかの異なる指向特性を含み、指向特性はそれぞれ少なくとも、アンテナ装置の空間的に異なる受信感度の量を指す。したがって、アンテナ装置は、空間的に均質な方法で信号を受信するのではなく、指向特性に応じて、好ましくは異なる空間領域から信号を受信する。アンテナ装置は、それぞれ異なる指向特性を有する送信器からの少なくとも1つの信号を受信するように構成される。各指向特性はそれ自体の感度分布に関連付けられるため、送信器の信号も異なる受信信号として受信される。一構成において、異なる指向特性による受信は、時間的にオフセットされた様式で行われ、別の構成では、同時に行われる。一構成において、送信器は、それぞれ本質的に同じ信号強度で信号を送出すると仮定される。信号処理装置は、アンテナ装置によって受信される信号を処理し、それぞれ受信信号の電界強度の振幅値を決定するように構成される。最後に、データ処理装置は、それぞれ関連付けられる受信信号から決定される指向特性および振幅値に基づいて、送信器の位置に関する情報を決定するように構成されている。一構成において、アンテナ装置は、位置決め装置の一部分を形成する。続いて、決定されたデータは、適応的に、ユーザ情報を提示する上述した装置によって提示される。一構成において、位置決め装置はアンテナ装置および信号処理装置を含む。
したがって、信号は異なる指向特性で受信される。受信信号の各々について、対応する信号に関連付けられ、したがって、それぞれの指向特性にも関連付けられる振幅値が決定される。一構成において、指向特性はビームの方向に関連付けられ、結果、信号も主にこの方向から受信され得る。その後、指向特性およびそれぞれの振幅値のデータに基づいて、送信器の位置に関する情報が決定される。
一構成において、制御装置が提供され、送信器から発する信号を受信するために異なる指向特性を切り替えるように構成されている。このように、データ処理装置は、切り替えられた指向特性および関連する決定された振幅値に基づいて、送信器の位置に関する情報を決定するように構成される。一構成において、指向特性を切り替えることは、切り替えられた指向特性の信号のみが信号処理装置に到達することを意味する。代替的または付加的な構成では、アンテナ装置は、信号が切り替えられた指向特性でのみ受信されるように干渉される。
一構成において、制御装置はまた、励起信号がそれを介して送出される指向特性を切り替える役割も果たす。例えば、RFIDトランスポンダなどの受動送信器では、これが必要である。このように、一構成において、指向特性は、空間的に異なる放射分布も伴う。
一構成によれば、データ処理装置は、ベクトルの形態の決定された振幅値、および、指向特性に関するデータから、アンテナ装置に対する送信器の方向に関する記述を、送信器の位置に関する情報として決定するように構成されている。この構成では、送信器がアンテナ装置に対していずれの方向に位置決めされているかが少なくとも決定されている。受信ベクトルが、振幅値と、それぞれの指向特性に関するデータとから構成される。
一構成によれば、アンテナ装置は、指向特性が各々、一対の方位角および共通仰角によって決定される、アンテナ装置に関連付けられる照射領域内の異なるセクタに位置する大域最大値を含むように構成される。この構成では、特に受信感度に関する指向特性の最大値は、それぞれアンテナ装置の周りのセクタまたは領域に関連する。これは、各指向特性が、それに関連するセクタから最も強い度合いで信号を受信することを意味する。一構成において、これは、アンテナ装置を介した信号の送出にも適用される。この場合、セクタは2つの角度によって定義される。
一構成によれば、アンテナ装置は、指向特性が各々、大域最大値が位置するセクタとは異なるセクタ内にそれぞれ位置する補助最大値を含み、かつ、大域最大値のレベルまで指定可能なレベル距離を含むように構成される。この構成では、他のセクタに位置する、受信感度に対してより小さい補助最大値も提供される。この場合、補助最大値は各々、大域最大値のレベルまで指定可能なレベル距離を含む。この場合、レベルは、アンテナ装置の受信特性に対して、または構成に応じて、送信特性についても、任意に定義可能な尺度である。
一構成によれば、アンテナ装置は、指向特性が各々、大域最大値と同じセクタ内に位置する補助最大値を含み、かつ、大域最大値のレベルまで指定可能なレベル距離を含むように構成される。この構成では、補助最大値は、それぞれの大域最大値と同じセクタ内に位置する。したがって、隣接するセクタから受信されるリスクがさらに低減され、したがって、送信器の位置に関する情報を決定する明確さもまた増加する。
一構成によれば、信号処理装置は、受信信号の電界強度の振幅値として「受信信号強度指標」値を生成するRFIDリーダである。この構成では、特に、送信器はRFIDトランスポンダであり、それによって、信号処理装置はそれゆえ、RFIDリーダでもある。
一構成によれば、信号処理装置は、送信器を識別するように構成される。例えば、RFIDトランスポンダでは、これは応答信号において送信される識別データを介して行われる。
一構成によれば、信号源は励起信号を生成するように構成される。さらに、制御装置は、それぞれ励起信号の放射について1つの指向特性を切り替えるように構成されている。代替の構成では、励起信号は、制御装置なしで無指向性の方式で放出される。一構成において、励起信号は、送信器に、それ自体の信号を送出することを可能にするのに必要なエネルギーを供給する。代替的に、励起信号は送信器によって反射され、したがって、送信器は純粋に受動的である。代替の事例では、信号はそれゆえ、例えばレーダのように、(受動的に)反射されるだけである。
一構成によれば、制御装置は、励起信号を放射するために切り換えられる指向特性を、送信器から発する信号を受信するための指向特性として切り換えるように構成されている。この構成では、励起信号は指向特性をもって送信され、同じ指向特性を有する受信信号が受信される。したがって、励起信号は特に空間領域に印加され、信号は本質的にこの空間領域からのみ受信される。
さらなる変形例は、それ自体で信号を送出する能動送信器である。これらの信号は、アンテナ装置によって受信され、続いて方向情報を決定するために使用される。したがって、変形例では、装置は受信するだけである。
一構成によれば、アンテナ装置は、いくつかのアンテナ素子を備える。一構成において、各アンテナ素子は指向特性に関連付けられる。一構成において、アンテナ素子は、パッチアンテナの部分であるか、または代替的に、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、モノポール型アンテナ、チップアンテナまたはループアンテナである。
一構成によれば、アンテナ装置は、アンテナ装置の異なる指向特性を引き起こす給電ネットワークを含む。例えば、給電ネットワークまたはビーム形成ネットワークは、バトラーマトリクスとして構成されている。
一構成によれば、給電ネットワークは、指向特性に従ってアンテナ装置によって受信される信号を分割して出力するように構成されている。一構成によれば、アンテナ装置は、異なる指向特性を有する信号を同時に受信し、給電ネットワークは、指向特性にそれぞれ関連するすべての受信信号を出力する。したがって、これは事実上、一種の空間スペクトル分解である。
一構成によれば、アンテナ装置はマルチビームアンテナとして構成される。マルチビームアンテナはいくつかの指向特性を含み、各指向特性はビームによって特徴付けられる。一構成において、ビームは異なる方向に向けられる。
位置決め装置の第3の変形例のいくつかの構成を以下に示す。これらの構成はまた、上述した構成と部分的に組み合わせてもよい。
このように、一構成において、ユーザ情報を提示する装置は、第3の変形例による位置決め装置を含む。一構成において、アンテナ装置は、位置決め装置の一部分を形成し、代替的に、別個の構成要素である。アンテナ装置は、送信器から発する信号を受信するように構成される。アンテナ装置は、少なくとも1つの優れた指向特性を含む。この場合、優れた指向特性とは、アンテナ装置の空間的に異なる受信感度の量を指す。「特別な」または「選択された」指向特性としても参照される優れた指向特性は、空間検出領域に関連する少なくとも1つの感度最小値を含む。さらに、データ処理装置は、少なくとも、検出領域に対する送信器の位置に対して優れた指向特性を有するアンテナ装置によって受信される信号を評価するように構成されている。一構成において、位置決め装置は、アンテナ装置とデータ処理装置とを備える。
この場合、指向特性は、空間的に異なる受信感度を指す。これは、この方向特性によって、アンテナ装置が、異なる空間領域からの信号を変化する度合いで受信することを意味する。優れた指向特性においては、空間検出領域における信号の受信に対して最小値が存在することさえ意図されている。これは、この検出領域内に位置する送信器の信号がアンテナ装置によってわずかにしか受信されないか、またはまったく受信されないことを意味する。したがって、送信器が同じ出力電力によって信号を送信し、検出領域を通じて移動する場合、受信信号の電界強度は著しく減少するか、またはゼロに近づく。したがって、データ処理装置は、送信器が検出領域に対していずれの位置にあるかに関して、受信信号を評価するように構成されている。最も単純な場合、受信信号の電界強度の最小値は、送信器が検出領域内に位置していることを示す。より大きい電界強度では、送信器は検出領域の外側に位置する。
したがって、一構成において、送信器が検出領域を通過した時点が信号振幅の低減およびその後の増大から決定されるように、履歴データ、すなわち記憶された測定値の使用が位置決めのために可能になる。
一構成において、アンテナ装置は、いくつかの(少なくとも2つの)異なる指向特性を含み、指向特性はそれぞれ、アンテナ装置の空間的に異なる受信感度の量を指す。この場合、指向特性の1つは、上記感度最小値を有する優れた指向特性である。さらに、装置は、送信器から発する信号を受信するための指向特性を切り替えるように構成された制御装置を備える。
一構成において、特に、制御装置は、優れた指向特性を切り替える、すなわち有効化する。代替の構成では、アンテナ装置は1つのみの、それゆえ優れた指向特性でもある指向特性を含む。
以下の構成は、特に、優れた指向特性の他に、さらなる指向特性が存在し得るという事実を指す。
この構成において、制御装置は、アンテナ装置の少なくとも1つの比較指向特性を切り替えるように構成されている。この場合、比較指向特性は、空間検出領域内の感度最大値を含むさらなる指向特性である。したがって、この比較指向特性では、送信器の受信信号は、送信器が検出領域に位置する場合にはより高い信号振幅を含み、送信器が検出領域外に位置する場合にはより低い振幅を含む。最後に、データ処理装置は、比較指向特性を有するアンテナ装置によって受信される信号に基づいて、検出領域に対する送信器の位置に関する情報を検査するように構成されている。したがって、送信器の位置の実際の決定は、優れた指向特性で測定された信号によって行われる。これらの結果は、比較指向特性によって受信された信号によって検査される。したがって、位置に関するそれぞれの記述が互いに一致しているか否かが調べられる。
一構成において、データ処理装置は、検出領域に対する送信器の位置に対して異なる時点においてアンテナ装置によって受信される信号を評価するように構成されている。この構成では、信号が異なる時点で受信され、信号の時間経過またはそれから決定されたデータが、送信器の位置に関して評価される。例えば、送信器が検出領域をいずれの時点において通過したかを補間することができる。検出領域は感度最小値に関連付けられているため、受信信号の振幅が低減し、その後増加する事例がもたらされる。これは、送信器が減少と増加との間の検出領域に位置していなければならないことを意味する。
一構成において、送信器は検出領域に対して一方向にのみ移動する。一構成において、移動方向は、アンテナ装置のアンテナ素子が位置する軸に平行である。さらに、一構成によれば、送信器は、検出領域に対して垂直な軸上を移動する。
送信器が検出領域に対して既知の経路上を移動するだけである場合、信号の評価は単純化される。特に、送信器の動きによって引き起こされる信号の一連の変化は、指向特性について推測され得る。これにより、送信器の位置を信号から推測することが可能になる。例えば、上述した形態の優れた指向特性では、振幅の減少およびその後の振幅の増加のシーケンスが生じる。これは、送信器が本質的に常に同じ電界強度の信号を送出することを条件とする。
別の送信器があるシナリオで上記の送信器に従う場合、さらなる送信器の信号が受信され得るが、それは空間的に最初に言及した送信器の後ろに位置するため、その信号は異なる受信感度で受信され、それゆえ、第1の送信器について予測される値とは異なる、異なる信号振幅をも引き起こす可能性がある。例えば、以前は実際には信号振幅が減少していたのに対し、信号振幅は増大する。したがって、いくつかの送信器の間で区別することができる。
さらなる構成では、送信器に関する情報データが受信信号から決定される。この構成は、例えばRFIDトランスポンダが応答信号と共に識別データをも送出するという事実に基づいている。このように、この構成は、送信器をそれぞれそれら自体の信号で識別することによって、異なる送信器の信号の間で分離することを可能にする。
一構成によれば、位置決め装置はデータ記憶装置を含む。この場合、データ処理装置は、異なる時点で受信信号に関連するデータをデータ記憶装置に記憶するように構成されている。さらに、データ処理装置は、データ記憶装置に記憶されたデータから、送信器が検出領域に位置する時点および/または検出領域を通過する時点を決定するように構成される。信号振幅の経過について前述した方式は、振幅が減少し、最小値に達し、振幅が増大する、というものである。これは、受信最小値が存在する場合にのみ適用される。送信器の仮定された一定の速度では、通過の時点が外挿される可能性もある。
一構成によれば、優れた指向特性は、異なる空間検出領域に関連するいくつかの感度最小値を含む。この構成では、複数の感度最小値に起因して、指向特性によって、異なる検出領域を監視することが可能になる。これにより、一方では、送信器の位置をより正確に制限することができ、すなわち、送信器の位置が、例えば2つの検出領域の間に位置する場合に制限することができる。さらに、送信器の位置に関する記述を検証することができる。これは、特に、異なる時点で受信される信号の評価に関連して適用される。
一構成において、信号処理装置が存在する。この場合、信号処理装置は、アンテナ装置によって受信される信号を処理し、それぞれ受信信号の電界強度の振幅値を決定するように構成される。受信信号を評価することは、各信号が値をそれに関連付けられているだけであるため、この構成によって単純化することができる。この場合、データ処理装置は、適応的に、受信信号の振幅値を処理するように構成されている。
一構成によれば、信号処理装置は、それぞれ、受信信号の電界強度の振幅値として「受信信号強度指標」値を生成するRFIDリーダである。
代替的または付加的な構成では、送信器の識別を可能にするデータが受信信号から決定される。
一構成において、位置決め装置は、励起信号を生成するように構成された信号源を備える。アンテナ装置は、励起信号を放射するように構成されている。一構成において、信号源は信号処理装置の部分を形成し、代替の構成では別個の構成要素である。一構成において、特に、信号源は、RFIDリーダとして構成された信号処理装置に関連する。
一構成によれば、検出領域は平面である。一構成において、特に、検出領域は1つの平面のみにわたって延在する。この場合、送信器が平面を通過したか否かが検出される。
一構成において、アンテナ装置はマルチビームアンテナとして構成される。マルチビームアンテナは、ビームまたは主ビームによってそれぞれ特徴付けられる異なる指向特性を備える。これらのビームは空間内で少なくとも部分的に異なる向きに配置され、それによって、異なる空間領域も異なる受信感度で測定される。
一構成によれば、アンテナ装置は、いくつかのアンテナ素子を備える。一構成において、アンテナ素子は、パッチアンテナの構成要素であり、代替的な構成においては、個々のダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、モノポール型アンテナ、チップアンテナまたはループアンテナである。
一構成において、アンテナ装置は、2つのアンテナ素子を備える。この場合、制御装置は、2つのアンテナ素子を奇モードと偶モードとで交互に切り替えるように構成されている。一構成において、2つのアンテナ素子は、実質的に同じ方法で構成され、したがって、受信信号に関して同じ特性を含む。アンテナ素子の異なる給電は、異なる指向特性をもたらす。
一構成において、偶モードのアンテナ素子の給電により、感度最大値は、2つのアンテナ素子の間の接続軸上に垂直に立つ平面をもたらす。奇モードでの給電は、接続軸上に垂直に立つ平面内で、最小値またはゼロ点を有する指向特性を生成する。
したがって、一構成によれば、影響を受ける平面が検出領域内に位置するようにアンテナ素子が配置される。これは、奇モードの給電による指向特性が同時に優れた特性であり、偶モードの給電で達成される指向特性が比較指向特性であるという事実を伴う。
一構成によれば、アンテナ装置は給電ネットワークを含む。この場合、給電ネットワークは、アンテナ装置の異なる指向特性を生じさせるように構成される。これは、信号の送受信を参照する。一構成において、給電ネットワークは、特に、アンテナ装置がいくつかの指向特性を有する信号を同時に受信する限り、各指向特性に対してそれぞれ受信される信号を出力するように構成されている。
ユーザ情報を提示する装置の一部としての位置決め装置の第4の変形例の構成を以下に示す。以下の構成は、部分的に、上記の構成との組み合わせを可能にする。
一構成において、装置は、第4の変形例による位置決め装置を含む。アンテナ装置は、いくつかの異なる指向特性を含み、指向特性は各々、アンテナ装置の空間的に異なる受信感度の量を指す。さらに、アンテナ装置は信号出力を備え、指向特性は信号出力に関連する。さらに、調整装置が、アンテナ装置の信号出力を情報読み取り装置に接続し、さらにアンテナ装置の出力をデータ処理装置に接続するように構成されている。この場合、情報読み取り装置は、受信信号からデータを決定するように構成されており、これは信号と共に送信される。さらに、データ処理装置は、物理的特性に関して受信信号を評価するように構成されている。一構成において、位置決め装置は、アンテナ装置と、調整装置と、情報読み取り装置と、データ処理装置とを備える。
複数の指向特性を有するアンテナ装置は、アンテナ装置が、それぞれ選択された指向特性に応じて空間的に異なる感度の信号を受信することを意味する。言い換えれば、指向特性に応じて、異なる空間領域からの信号が好ましい。指向特性は、信号出力に関連する。調整装置が、信号出力を情報読み取り装置に接続し、さらなる信号出力をデータ処理装置に接続する。情報読み取り装置とデータ処理装置とは、少なくとも、情報読み取り装置が、それに供給される信号からデータを決定するように構成されており、これが信号とともに送信することが異なる。したがって、送信器は、例えば送信器を識別するための、または測定値の形で、もしくは例えば転送されるデータの形で、情報をも搬送する信号を発する。したがって、送信器のタイプに応じて、例えば、情報読み取り装置は、送信器としてのRFIDトランスポンダに対するRFIDリーダ、または、送信器としての衛星による衛星信号のための衛星受信器である。携帯電話の通信にも同じことが適用される。データ処理装置は、信号の物理的特性を決定する役割を果たす。一構成において、データ処理装置はまた、信号からデータを抽出することを可能にする。代替の構成では、データ処理装置は信号からデータを抽出することを可能にせず、それによって、この構成では、データ処理装置がより少ない知能を必要とするか、またはより簡単な方法で構成することができる。したがって、後者の構成では、データ処理装置は、受信信号の物理量を決定する役割のみを果たす。例えば、これは受信信号の位相の信号振幅である。この物理的データに基づいて、例えば、三角測量を使用して、送信器の位置に関する情報を決定することができる。
アンテナ装置および付加的な受信信号の評価は、送信されるデータまたは情報に関する送信器信号の評価に加えて、送信器に関する方向情報を全体的に提供する。
一構成において、情報読み取り装置は、データ処理装置に関連付けられ、さらなる構成では、データ処理装置に含まれる。
一構成において、位置決め装置は、それに従って調整装置によってアンテナ装置の信号出力に接続される2つの情報読み取り装置を備える。
一構成において、特に、アンテナ装置は、アンテナ装置が複数の指向特性を有する信号を常に受信するように構成されている。一構成において、アンテナ装置は、異なる指向特性に関連付けられ、連続的に信号を受信することを可能にするいくつかのアンテナ素子を備える。
一構成において、アンテナ装置の信号出力は、各指向特性に関連付けられる。
一構成によれば、情報読み取り装置は、受信信号から、信号と共に送信されたデータを判定し、物理的特性に関して受信信号を評価するように構成される。この構成では、情報読み取り装置は、受信信号から情報またはデータを抽出し、さらに信号の物理的特性に関する少なくとも1つの記述を決定する。例えば、情報読み取り装置がRFIDリーダである場合、送信されるデータが決定されるだけでなく、信号振幅に対してRSSI値が生成される。
一構成によれば、データ処理装置は、物理的特性のみに関して受信信号を評価するように構成されている。したがって、データ処理装置は、受信信号から、それと共に送信される情報を決定しなくてもよい。上記のRFIDトランスポンダの例を再び考察すると、送出されるRFIDデータは、データ処理装置のための電磁信号のみであり、情報を担持しない。
一構成によれば、アンテナ装置は、いくつかのアンテナ素子を備える。この場合、アンテナ素子は各々、指向特性を有する。最後に、信号出力は、異なるアンテナ素子に接続される。これは、関連する指向特性に関連付けられる信号が別々に信号出力に到達する変形例である。一構成において、アンテナ素子は、パッチアンテナの要素である。代替的な構成では、それらは、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、モノポール型アンテナ、チップアンテナまたはループアンテナである。
一構成によれば、アンテナ装置は給電ネットワークを含み、給電ネットワークは、アンテナ装置の異なる指向特性を引き起こす。このように、給電ネットワークは、指向特性を生成する役割を果たす。
一構成によれば、給電ネットワークは、アンテナ装置によって受信される信号を個々の指向特性に分離するように構成される。したがって、一構成において、特に、受信信号を個々の指向特性に分離する役割を果たすバトラーマトリクスが給電ネットワークにおいて実現される。
一構成によれば、アンテナ装置はマルチビームアンテナとして構成される。指向特性は、受信感度に関して少なくとも1つの重要なビームによって特徴付けられる。
一構成によれば、指向特性の少なくとも1つは、ビームの向きに関して他とは異なる。
このように、上記構成のアンテナ装置によれば、異なる指向特性の切り替え、または、各々がビームを含む、異なる指向特性の信号の受信が可能となる。一構成において、特に、ビームは異なる方向に向けられる。したがって、マルチビームアンテナは、主に、それらの(主)ビームの向きが互いに異なる、それぞれ異なる空間領域からの受信を可能にする。縮小された空間領域およびビームの向きに関する知識の結果として、送信器の位置に関する情報を決定することができる。
一構成は一般に、受信時に、給電ネットワーク(バトラーマトリクスなど)およびその信号経路によって励起されるマルチビームアンテナを使用して、振幅情報および位相情報が得られる構成を利用する。バトラーマトリクスなどの給電ネットワークは、通常、n×mまたはn×nのマルチビームアンテナにおいて使用される。この場合、アンテナ素子または実際のアンテナは、給電ネットワークに導かれ、給電ネットワークによってm個の信号出力に導かれるn個の信号出力を含む。
一構成によれば、指向特性は部分的に重なっている。代替の構成では、異なる指向特性の少なくともいくつかのビームは重なり合わない。
一構成によれば、調整装置は、情報読み取り装置をアンテナ装置の異なる信号出力に交互に接続するように構成されている。この構成では、信号出力が異なる指向特性に接続されているため、異なる空間領域からの信号が情報読み取り装置に供給される。
一構成によれば、データ処理装置は、送信器の方向に関して受信信号を評価するように構成されている。この構成では、送信器がアンテナ装置に対していずれの方向に位置決めされているかが少なくとも決定されている。さらなる構成では、送信器の位置または少なくとも空間領域が決定されている。
一構成によれば、位置決め装置は信号源を備え、信号源は、アンテナ装置が放射する励起信号を生成するように構成される。送信器は、RFIDトランスポンダなどの受動構成要素である限り、信号源から、ウェイクアップ信号、または、信号を送出することを可能にするために必要なエネルギーを受信する。一構成において、特に、信号源は、情報読み取り装置の一部を実施する。一構成において、情報読み取り装置は、情報読み取り装置に供給される応答信号が受信されるのと同じ指向特性を有する励起信号またはウェイクアップ信号を送信する。したがって、そこから応答信号もまた主に受信される送信器が有効化される。
一構成によれば、送信器は、無線周波数識別トランスポンダである。したがって、送信器はRFIDトランスポンダまたはRFIDタグであり、したがって、情報読み取り装置は、特に、RFIDトランスポンダを有効化するために信号源も備えるRFIDリーダである。情報読み取り装置が指向特性を有する有効化信号を送出する限り、関連する空間領域内のRFIDトランスポンダのみが有効化される。
一構成によれば、送信器は衛星である。したがって、情報読み取り装置は、衛星信号を受信し、それとともに送信されるデータを抽出する衛星受信器である。
一構成によれば、調整装置は、情報読み取り装置をアンテナ装置の異なる信号出力に交互に接続し、さらにアンテナ装置の信号出力をデータ処理装置に交互に接続するように構成されている。したがって、それぞれの信号出力は情報読み取り装置に接続され、それぞれ、残りの信号出力はデータ処理装置に接続される。
以下の構成は、位置決め装置の第5の変形例を示す。ここで、以下の構成と先行する構成との組み合わせが実現されてもよい。
一構成において、装置は、第5の変形例による位置決め装置を備える。この場合、位置決め装置は、通信装置との通信を可能にする。ここで、通信装置は、上述した送信器である。位置決め装置は、送信装置と、受信装置と、制御装置とを備える。受信装置は信号を受信するように構成される。制御装置は、送信装置が信号を送出する空間領域を指定するように構成されている。
送信装置は、特に通信装置に向けて指定されている信号を送出する。受信装置は、通信装置からの信号を受信する。ここでは、信号が送出される空間領域を送信装置に対して指定する制御装置が存在する。一構成において、信号を送出するための空間領域を指定することは、信号がそれを介して選択された空間領域に送出される指向特性または指向特性の重ね合わせを選択することによって行われる。例えば、送信アンテナの指向特性がビーム形状に関連付けられている場合、信号はこのビームまたは関連する空間領域に送出される。一構成によれば、受信装置は、選択可能な受信領域から信号を受信するように構成される。
以下の構成は、送信装置によって送出される信号を参照する。
一構成によれば、送信装置は、無指向性の方法で有効化信号を送出する。したがって、この構成では、少なくとも1つの信号、すなわち有効化信号は、1つの空間領域に単独で送出されない。ここで、有効化信号は無指向性の様式で送出され、それによって、できるだけ多くの通信装置に到達することができる。これは、開始のために、通信装置が位置決め装置の周辺領域内に位置するか否か、および、周辺領域内のどこに位置するかが知られていないという事実に基づいている。無指向性での送出は、利用可能なアンテナ装置に依存する。
代替の構成によれば、制御装置は、送信装置が有効化信号を送出する有効化領域を指定するように構成される。したがって、この構成では、有効化信号が送出される空間領域、すなわち有効化領域、が指定される。したがって、好ましい方向が指定される。
構成に依存して、有効化信号は、通信装置が存在するか否かを判定し、通信装置との通信を準備するための信号である。通信装置の構成に応じて、有効化信号は、通信装置を受動状態から能動状態に切り替えることを可能にし(ドイツ特許出願公開第10 2009 047 199号明細書の開示を参照)、または、通信装置に、(RFIDタグの意味での)通信に必要とされるエネルギーを供給することを可能にする。
先行する構成では、装置、特に送信装置からから発する有効化信号が、通信をトリガするが、以下の構成では、通信を求める希望もまた、通信装置から発することが示されている。
有効化信号に反応することになる通信装置の数を制限するために、送信装置は、有効化すべき少なくとも1つの通信装置のウェイクアップ識別子を有する有効化信号を送出するように構成されている。したがって、有効化信号は、1つまたは複数のいずれの通信装置が実行されるか、または有効化されるべきかの記述を含む。
一構成において、制御装置は、受信装置に対して、信号を受信するための異なる受信領域を指定するように構成される。選択された空間領域に信号を送信するのと同様に、この構成では、信号はそれぞれの空間領域からのみ受信される。言い換えれば、この構成では、受信装置は特定の領域からの信号のみをリスンする。
一構成において、受信領域は、各々が有効化領域の部分領域であるように指定される。
一構成において、受信装置は、アンテナ装置を備える。ここで、アンテナ装置は、空間的に異なる受信感度を参照する複数の指向特性を有する。さらに、受信装置は、受信信号を指向特性に関連付けるように構成される。したがって、受信装置は、それぞれの指向特性に応じて、特定の空間領域から信号を受信する。したがって、指向特性を選択することによって、いずれの空間領域から信号が受信されるべきかを指定することができる。したがって、一構成において、これは、指向特性と信号を送信するための空間領域との間の関連付けにも適用される。
一構成において、受信信号と指向特性との間の関連付けは、信号が1つの選択された指向特性でのみ受信されるという事実に起因して行われる。代替的な構成では、信号は、複数の指向特性によって受信され、これは、対応するネットワークによって、例えば、バトラーマトリクスを実現することによって、それぞれの指向特性に関連する信号に分割される。
以下の構成は、特に、対象物およびその位置が特定された後に行われる、位置決め装置と通信装置との間の実際の通信を参照する。位置データを、本発明に従って提示することができる。
一構成において、制御装置は、送信装置が通信信号を送出する通信領域を指定するように構成されている。通信領域を制限することにより、信号を送信するために必要なエネルギーが少なくなり、また、関係のない通信装置が信号を受信することを回避することもできる。
さらなる構成では、開始信号が、通信装置から発し、これは、通信装置が装置との通信を所望していることを意味する。一構成において、受信装置が通信装置から開始信号を受信する事例において、制御装置は、通信領域を指定するように構成されている。通信領域は、有効化信号を送出した通信装置の位置に応じて指定される。その後、送信装置は、その通信領域に通信信号を送出する。
以下の構成は、指向特性を介して、対象物またはその中に位置する通信装置に対して特定の数のフィールドまたは領域が走査されるという事実を参照する。この場合、可能な場合はすべての領域から応答信号を受信する必要がある。例えば、これは、通信装置からの応答信号を発生させる有効化信号が送信装置によって送出されることに基づいている。したがって、可能な限り効果的かつエネルギー効率の良い位置特定を実現するためには、好ましくは、1つの有効化信号が、すべての通信装置の位置を決定するのに十分であるべきである。したがって、可能な限り迅速にすべての領域を通過させることが目的である。
したがって、一構成によれば、受信装置は、例えばTVDとして参照される特定の期間だけ信号を受信するように構成される。この期間は、例えば、制御装置によって指定される。
このように、一構成において、期間TVDは、通信装置が有効化信号を受けてそれらの信号、特に応答信号を送出する、例えば本明細書においては1/Tbで指定されるデータレートに応じて指定される。一構成において、期間TVDは、データレートの逆数に比例する。したがって、1/Tbのデータレートでは、期間TVDはTbに比例する。これは、より高いデータレートでは、受信領域から信号を受信する期間が適応的に減少することを意味する。ここで、Tbはビット持続時間である。
付加的にまたは代替的に、一構成によれば、期間TVDは、受信装置が信号を受信する受信領域の数に応じて指定される。一構成において、期間TVDは受信領域の数に反比例する。例えば、受信領域の数が積M*Nを介して与えられる場合、期間TVDはM*Nに反比例するか、または、1/(M*N)に比例する。これは、受信領域の数が増えると、受信装置が領域からの信号を受信する期間が減少することを意味する。一構成によれば、処理を高速化するために、複数の受信装置が使用されることになる。
一構成において、期間TVDは、期間TVDが特にTb/(M*N)に比例するように、上記の両方の依存関係から生じる。
一構成において、信号を受信するための指定可能な期間TVDは、ビット持続時間Tbよりも短い。さらなる構成では、指定可能な期間はビット持続時間よりもはるかに短い。代替的な構成または付加的な構成では、指定可能な期間TVDは、ビット持続時間Tbを受信領域の数で除算した時間よりも短い。したがって、一構成において、n個のフィールドが照会される場合、その期間は、ビット持続時間をフィールドの数nで除算した時間よりも短く、または好ましくは著しく短い。これは、TVD<Tb/n、またはTVD<<Tb/nを意味する。したがって、2つのフィールドでは、指定可能な期間はビット持続時間の半分よりも短い。これは、持続時間Tbのデータビット内のいくつかのフィールドを迅速に感知することを可能にする。これはまた、複数の対象物と中央無線ユニットとの間の同時通信の印象をもたらす。
一構成において、受信装置は、少なくとも1つの受信信号から、受信信号がそこから発する通信装置に関する識別子を決定するように構成される。この構成では、通信装置は、それぞれ、応答信号において、通信装置または関連する対象物のアイデンティティの決定を可能にする情報を送信する。
以下の構成は、構成に応じて、同様の構造または異なる構成を有する送信装置または受信装置を参照する。
したがって、一構成によれば、送信装置は、いくつかの異なる選択可能な指向特性を備える。ここで、指向特性は各々、空間的に異なる送信特性の量を指す。したがって、1つの空間的に異なる分布の送信フィールドが、指向特性ごとに形成される。言い換えれば、信号は各々、空間へと別様に放出される。
代替的な構成または付加的な構成によれば、受信装置は、いくつかの異なる選択可能な指向特性を備える。ここで、指向特性は、それぞれ空間的に異なる受信感度の量を指す。この構成では、受信装置は、異なる空間領域からの信号を様々な度合いで受信する。
さらなる構成では、送信装置および/または受信装置は、アンテナ装置を備える。ここで、アンテナ装置は、マルチビームアンテナとして構成されている。マルチビームアンテナは、各々がビームによって特徴付けられるいくつかの指向特性を含む。この場合、ビームは各々、異なる空間方向に向けられる。したがって、これは、信号がそこに送信され、そこから信号が受信される主な方向でもある。したがって、各指向特性は、空間領域に関連付けられる。一構成において、送信装置および受信装置は同じアンテナ装置を使用する。
一構成において、送信装置および受信装置は1つの構成要素として構成されている。したがって、この構成では、両方の装置が本質的に1つのユニットとして構成され、これはしたがって中央無線ユニットとして参照される場合もある。
代替的な構成では、送信装置と受信装置とは別個のユニットであり、別々の位置に配置されている。
一構成において、通信装置は送信装置と、検出装置とを備える。送信装置は、信号を送出するように構成されている。検出装置は、信号を受信するように構成される。さらに、送信装置は、信号が通信装置に対して少なくとも1つの識別子を決定することを可能にするように、信号を送出するように構成される。このようにして、通信装置は、通信装置またはそれに関連付けられた対象物の識別を可能にする信号を送出する。
一構成において、通信装置はRFIDタグである。代替的な構成または付加的な構成では、通信装置は、未審査のドイツ特許出願公開第10 2009 047 199号明細書の開示に従って構成されている。
一構成において、送信装置は、通信のための装置との通信を開始するための開始信号を送出するように構成されている。この構成では、通信装置は純粋に受動的であり、それに届く信号に応答するだけでなく、通信装置は、開始信号を送出することによって通信をトリガする。
一構成において、通信装置は、有効化信号を受信した後、少なくとも1つの応答信号を送出するように構成される。
さらなる構成では、通信装置は、有効化信号を受信した後、受動状態から能動状態に切り替える。したがって、通信装置は、受信信号によって有効化される。
一構成において、通信装置は、応答信号を送出するために、または例えばセンサを用いて例えば測定を実行するために、有効化信号を介してエネルギーを受け取る。
一構成において、通信装置は、少なくとも1つのセンサを備える。この場合、送信装置は、センサの測定値を有する信号を送出するように構成されている。例えば、センサは、温度、圧力、接続性、pH値、スループットまたは充填レベルを決定する。その後、送信装置により測定値が送出される。
一構成において、第5の変形例による位置決め装置は、以下のステップを実行する。
有効化信号が、位置決め装置によって有効化領域に送出される。一構成において、有効化領域は、有効化信号の無指向性放出によって、したがって、送出に使用されるアンテナ装置の構成およびその放射特性によって与えられる。別の構成では、有効化領域は、送出に使用されるアンテナ装置の少なくとも1つの指向特性からもたらされ、これは、送出される信号の特定の空間分布を伴う。
少なくとも1つの通信装置によって有効化信号を受信した後、少なくとも1つの応答信号がそこから送信される。
応答信号は、位置決め装置によって受信される。応答信号を受信することは、受信を通じて、少なくとも通信装置の位置および通信装置が送出する方向に関する記述が、使用されているアンテナ装置に対して可能であることを含む。一構成において、これは、受信に使用されるアンテナ装置の指向特性に関連する受信領域を使用することによって行われる。したがって、一構成において、異なる指向特性が受信に使用される。
続いて、特に、関連する方向特性を用いて通信領域が選択される。この通信領域では、装置によって、通信領域内に位置する少なくとも1つの通信装置に通信信号が送信される。その後、通信領域からさらなる信号を受信することができる。
以下、第6の変形例による位置決め装置について説明する。
一構成において、装置は、第6の変形例による位置決め装置を備える。ここで、位置決め装置は、少なくとも1つの対象物の検出を可能にする。好ましくは、位置決め装置は、少なくとも1つの送信装置と、少なくとも1つの受信装置と、少なくとも1つの評価装置とを備える。送信装置は、信号を送出するように構成されている。受信装置は信号を受信するように構成される。さらに、評価装置は、送信装置が送出した信号と受信装置が受信した信号とを比較して比較結果を生成するように構成されている。さらに、評価装置は、少なくとも、送信装置と受信装置との間に対象物が位置するか否かを比較結果から判定するように構成されている。一構成において、信号は電磁(無線)信号である。一構成において、送信装置および/または受信装置は、送信および受信装置または送信/受信装置として構成されている。構成に応じて、ユーザ情報を提示するための本発明の装置のアンテナ装置は、本発明に記載の位置決め装置の第6の変形例の送信装置および/または受信装置に含まれる。
したがって、位置決め装置は、それによって信号が送出および受信される構成要素を備える。それぞれの信号の比較から、少なくとも、対象物が送信装置と受信装置との間に、したがって送出される信号の経路内に位置するか否かが決定される。
一構成によれば、評価装置は、送信装置が送出した信号と受信装置が受信した信号との比較結果として、減衰係数を決定するように構成されている。この構成では、送出された信号がいずれの要因によって減衰されるかが決定される。この場合、100%の減衰は、信号がその空間を通過できなかったことを意味する。したがって、0%の減衰は、送信装置と受信装置との間の空間が、信号に対して透過性であるか、または対象物がないことを意味する。その後、この減衰係数は、仮に対象物が存在する場合、その事実に加えて対象物に関するさらなる記述を可能にする。例えば、これは少なくとも対象物の材料の決定または分類である。
一構成によれば、位置決め装置は、異なる位置にある複数の受信装置を備える。さらに、評価装置は、受信装置が受信した信号に対して、それぞれの受信装置および/またはそれぞれの受信装置の位置に関する比較結果を生成するように構成されている。一構成において、評価装置は、受信装置の位置および関連する比較結果から対象物の特性に関する少なくとも1つの記述を決定するように構成されている。この場合、記述は、対象物の存在、または対象物の材料特性もしくは輪郭などを参照する。この構成では、信号は異なる位置にある個々の受信装置によって受信される。したがって、送出された信号はまた、異なる空間領域を通過し、したがって、関連する空間領域内の対象物の存在に関する記述、または対象物もしくは場合によっては複数の対象物に関するさらなる記述を可能にする。このように、評価装置は、各受信装置についての比較結果を生成し、受信装置のそれぞれの位置に関するデータに関連してこの比較結果を使用して、その存在に関する記述に加えて、対象物に関する少なくとも1つのさらなる記述を生成する。一構成において、受信装置の位置は表面要素を参照する。
一構成によれば、評価装置は、受信装置によって受信される信号の各々について減衰係数を決定するように構成されている。したがって、受信装置の位置ごとに1つの減衰係数が決定される。
一構成によれば、評価装置は、受信信号の各振幅の振幅係数を決定するように構成されている。一構成において、受信信号のいわゆるRSSI値が決定されている。これは、受信信号の電界強度の値である「受信信号強度指標」である。
一構成によれば、評価装置は、それぞれの振幅係数およびそれぞれの受信装置に関連する較正係数から減衰係数を決定するように構成される。例えば、それぞれの較正係数は、送信装置によって送出された信号が受信装置によっていずれの振幅で受信されたかを、対象物なしに決定する較正プロセスによって決定される。
一構成によれば、評価装置は、減衰係数および受信装置の位置から対象物の輪郭を決定するように構成されている。この構成は、拡張された対象物が、通常、いくつかの受信装置のための信号の通過を妨げるか、または信号を弱めるという事実を利用する。したがって、例えば対象物の少なくとも輪郭は、対象物によって同時に覆われる受信装置の量およびそれらの位置に関する知識から推測することができる。
一構成によれば、評価装置は、評価装置用のためにまたは評価装置内に格納されている、対象物の決定された輪郭に基づいて、および、輪郭データに基づいて、対象物を分類するように構成されている。この構成では、評価装置は、対象物を少なくとも1つのクラスまたは1つの対象物グループと関連付けることを可能にする基準データまたは特別な輪郭データを含む。
構成によれば、評価装置は、少なくとも1つの決定された減衰係数から、または適応的にいくつかの決定された減衰係数から対象物の材料に関する記述を決定するように構成される。この構成では、特に、少なくとも減衰された様式で対象物を通過することができ、対象物によってその経路が完全に遮断されない信号が評価される。
一構成によれば、送信装置は、無指向様式で少なくとも1つの信号を送出するように構成されている。この構成では、送信装置は無指向様式で空間に送信する。
一構成において、送信装置は、いくつかの指定可能な空間領域のうちの1つにおいて少なくとも1つの信号を放出するように構成される。この構成において、送信装置は、いくつかの指定可能な空間領域のうちの1つへと少なくとも1つの信号を放出することを可能にする。一変形例では、送信装置は、例えば異なるアンテナ素子を使用することによって、異なる指向特性を使用して信号を送出することを可能にする。代替的に、送信装置は特別な指向特性を含み、送信装置は機械的に異なる方向に向けられる。一構成において、上記の指向特性は、送信装置が、信号が主にそれぞれのビームまたは主ビームが向けられる空間領域に到達するように、ビーム状に信号を送出するという事実から成っている。
一構成によれば、送信装置は、いくつかの異なる空間領域に信号を放出するように構成される。この構成では、送信装置は、それぞれ信号をいくつかの空間領域の1つに向ける。信号をそれぞれ異なる空間領域に交互に放出することにより、送信装置の周囲の空間全体に領域内の信号が印加される。
一構成によれば、評価装置は信号評価装置を含む。一構成において、いくつかの信号評価装置が存在する。ここで、少なくとも1つの信号評価装置は、比較結果を生成するように構成される。さらに、信号評価装置は、受信装置に関連付けられている。さらに、受信装置は、比較結果に応じて応答信号を生成するように構成されている。
さらなる構成では、評価装置は、いくつかの受信装置のためのいくつかの信号評価装置を備える。信号評価装置は、比較結果を生成するように構成される。特に、少なくとも1つの信号評価装置が、受信装置にそれぞれ関連付けられ、それによって、少なくとも1つの信号評価装置が、関連する受信装置によって受信される信号の比較結果を決定する。さらに、受信装置は、それぞれ比較結果に応じて応答信号を生成するように構成されている。
上記の両方の構成において、1つまたは複数の受信装置は各々、それぞれ比較結果を生成する信号評価装置を備える。1つまたは複数の受信装置が応答信号を生成する場合、対象物に対する評価に加えて、比較結果が事実に対する基準として使用される。このように、受信信号の評価は、個々の信号評価装置を介して分散方式で行われる。一構成において、送信信号を受信信号と比較するための信号評価装置のために、較正からの基準データが存在する。代替的または付加的な構成では、送信装置によって送信される信号に関するデータが信号評価装置に格納される。したがって、この構成では、受信装置は、応答信号を送出する、または一般に出力する送信装置でもある。一構成において、応答信号は無線で送出され、代替的な構成では有線方式で送信される。
応答信号の出力を比較結果に依存させることにより、したがって送信装置でもある受信装置側のデータ量、特にエネルギー要求量を低減することができる。利点は、すべての応答信号が一般的に出力されるわけではなく、特定の応答信号のみが出力されることである。
このように、一構成によれば、受信装置は、指定可能な条件が存在する場合にのみ応答信号を出力する。したがって、応答信号が出力されるためには、少なくとも1つの指定可能な条件が満たされなければならない。
したがって、一構成において、信号評価装置を備えた複数の受信装置の存在下において、受信装置は、指定可能な条件の存在下でのみ応答信号を出力する。一構成において、条件はすべての受信装置について同じである。代替の構成において、少なくとも、1つの受信装置に対して、他の受信装置の条件と比較して条件は異なる。
応答信号を出力するための指定可能な条件は、実際に比較結果が存在する、すなわち受信装置が実際に信号を受信したことである。
一構成によれば、指定可能な条件は、比較結果として決定された減衰率が指定可能な減衰限界よりも大きいことである。したがって、この構成では、最小減衰係数を超えた場合にのみ応答信号が出力される。適用事例に応じて、対象物の存在なしにある程度の減衰が発生する可能性がある。受信装置の特定の特性に依存して、受信装置は、受信時に、または受信信号を処理するときに、限定された正確度を含む可能性がある。したがって、ある程度の基本的なばらつきがあるため、減衰の下限が指定されている。他の構成では、検出可能な対象物の量は、下限を指定することによって制限され得る。
一構成によれば、指定可能な条件は少なくとも、比較結果が指定可能な現像限界値を上回って以前の比較結果と異なるという事実から成る。この構成では、応答信号は、比較信号が、現像限界値の形式の指定可能な係数を上回って以前の値と異なる場合にのみ出力される。したがって、比較結果が変化しないか、または、現像限界値を下回ったままである場合には、応答信号は出力されない。これは、受信信号の十分に明確な変化のみ、したがって受信装置の正面の空間の変化のみが応答信号によって通知されることを意味する。この構成はまた、送信されるべき信号の低減、または受信装置のエネルギー需要の低減にも寄与する。
一構成によれば、少なくとも1つの受信装置が送信装置としての役割を果たす。したがって、この構成では、これは少なくとも1つの受信/送信装置である。一構成では、これは応答信号を出力することを可能にする。代替的な構成または付加的な構成では、信号は、対象物が位置するか、または、位置する可能性がある空間を2回通過する。たとえば、これは対象物の材料特性を識別するために行われる。
一構成によれば、少なくとも1つの受信装置が、信号を出力するように構成されている。したがって、この構成では、これは受信/送信装置である。
一構成において、上述した構成は、受信装置が、応答信号を信号として、一構成においては特に無線信号として出力することを可能にする。一構成において、受信装置は、応答信号として、受信信号の振幅の値を出力する。さらなる構成において、決定された減衰率が応答信号として出力される。付加的な構成では、現在受信されている信号の値と以前に受信された信号の対応する値との差が応答信号として出力される。
別の構成では、受信装置は送信装置としても機能し、その結果、対象物が位置し得る空間を横切る信号は受信装置から発する。このように、この構成では、対象物が位置し得る空間がそれらの間にあるように配置された合計2つの送信/受信装置が設けられている。
一構成によれば、少なくとも1つの受信装置は、信号を受信した後、受動状態から能動状態に変化するように構成されている。したがって、上述の受信装置は、受信信号によって起動される。例えば、そのような受信装置は、未審査のドイツ特許出願公開第10 2009 047 199号明細書に開示されている。
一構成によれば、少なくとも1つの受信装置はエネルギー貯蔵装置を含む。例えば、エネルギー貯蔵装置は、バッテリまたは充電式バッテリである。
一構成によれば、少なくとも1つの受信装置は、指定可能な空間領域から信号を受信するように構成されている。この構成では、受信装置は、指定可能な空間領域のみから信号を受信することができる。したがって、受信装置は、言わば、この空間領域に位置する1つの対象物だけが送信信号に影響を及ぼし、したがって受信信号にも影響を及ぼすように一方向のみをリスンする。
したがって、信号の選択的受信が行われる。
一構成において、送信装置は信号を選択された空間領域に送出し、受信装置は選択された空間領域からの信号のみを受信する。選択的に送受信することにより、2つの位置決め装置の間の空間が、言わば部分的にサンプリングされる。
一構成において、少なくとも1つの受信装置は、いくつかの指定可能な空間領域の1つからの受信を可能にする。この構成では、受信装置は、言わばそれ自体の周囲の空間を走査し、選択された空間領域からの信号のみを受信する。
一構成によれば、位置決め装置は、保持装置を備え、いくつかの受信装置は、保持装置の異なる位置に配置される。一構成において、保持装置は、中にまたはそこに受信装置が配置される壁要素である。
一構成によれば、送信装置は、異なる周波数で信号を放出するように構成される。一構成において、異なる周波数は、対象物の材料を決定する役割を果たす。
一構成によれば、送信装置はマルチビームアンテナとして構成される。この構成では、送信装置はマルチビームアンテナである。したがって、各々がビームまたは主ビームによって特徴付けられる送信装置のいくつかの指向特性が存在する。これは、送信装置が主に選択されたビームまたは切り替えられたビームの方向に信号を放出するという事実を伴う。
一構成において、受信装置は、異なる選択可能なビームを有するマルチビームアンテナでもある。一構成において、このアンテナタイプは、受信装置が、ビームに関連する空間領域から選択的に信号を受信することを可能にする。さらなる構成では、信号は異なるビームで交互に受信される。
一構成によれば、送信装置は、いくつかの異なる指向特性を含み、指向特性は各々、空間的に異なる送信特性(または送信感度)の量を参照する。したがって、指向特性は、信号が様々な度合いで異なる空間領域に送出されることを意味する。
第6の変形例による、または、場合によってはその変形例の組み合わせによる位置決め装置の上記の構成は、本発明に従って、装置の提示装置を介して提示されるか、または、ユーザにとってアクセス可能にされる情報を決定することを可能にする。しかし、さらなる位置決め装置がまた、本発明による装置と組み合わされてもよい。
さらに、本発明は、ユーザ情報を提示する方法によって目的を解決する。
この方法は、少なくとも以下のステップを含む。すなわち、送信器の信号が、空間的に異なる受信感度を参照する少なくとも1つの指向特性で受信される。代替的にまたは付加的に、信号は、少なくとも1つの指向特性を有するシーンに送信され、少なくとも1つの送信器の信号がシーンから受信される。受信信号は、シーンに関して処理され、提示データが決定される。提示データは、特にユーザのために提示される。
受信信号を処理することは、例えば、それぞれ、信号のデジタル化を使用して信号を評価もしくはさらに処理すること、または関連する指向特性に関するデータを用いて信号の測定量を計算することを含む。
したがって、装置に関する上述の議論および構成は、本発明による方法にも適用される。その逆も真であり、方法のステップはまた、この方法に関する議論が装置にも適用されるように、装置の構成によって実現されてもよい。特に、本発明による装置および本発明による方法を構成し、さらに発展させるための複数の可能性がある。一方では、特許請求の範囲が参照され、他方では、図面と組み合わせて以下の実施形態の説明が参照される。
図1は、ユーザ情報を提示する装置の一例の概略構造を示す。
例えば、カメラとして構成された光学キャプチャ装置1が、シーン10の視覚画像を検出する。シーン10内には、送信器11が取り付けられた、例えばカートンなどの対象物12が配置されている。ここで、送信器11は、RFIDリーダの要求信号に対して応答信号によって応答するRFIDトランスポンダである。
一構成において、送信器11は、有効化信号によって受動状態から能動状態へと切り替えられてもよく、送信器11の実施形態は、未審査のドイツ特許出願公開第10 2009 047 199号明細書に記載されている。
さらなる構成において、これは、それ自体で信号を送出する能動送信器である。例えば、無線ユニットとの通信は、これらの信号を介して開始され、それによって、無線ユニットによって送信された信号を介して、送信器はさらなる通信のためのエネルギーを得ることができる。
この例示的なブロック図では、送信器11は、送信器11が純粋に視覚的な用途のために認識可能でないように、キャプチャ装置1から外方に面する対象物12の側に配置されていることが分かる。
このように、位置決め装置2は、送信器11の無線周波数電磁信号を受信するために設けられている(ここで、これらはRFID送信器の応答信号であり、代替構成(図示せず)では反射レーダ信号である)。
位置決め装置2は、ここではパッチアンテナまたはダイポールアンテナの形態の2つのアンテナ素子21を有するアンテナ装置20と、アンテナ素子21に接続され、それによって送信器11の信号が受信される、異なる指向特性22を与える給電ネットワーク23とを備えている。ここで、指向特性22とは、アンテナ装置20の空間的に異なる受信感度を指す。
ここでは、一例として、アンテナ装置20はマルチビームアンテナである。したがって、指向特性22は、各々、主方向または主軸を有するビームによって特徴付けられる。
図示された構成では、給電ネットワーク23は2つの変形例による動作を可能にする。1つの変形例では、信号を受信するためにそれぞれ1つの指向特性22のみが使用される。続いて、異なる、したがって能動な、または切り替えられる指向特性22で信号が受信される。代替の構成では、信号はいくつかの指向特性22で同時に受信され、例えばバトラーマトリクスまたは代替的に固有モードネットワークとして構成された給電ネットワーク23を介して、指向特性22にそれぞれ関連する個々の受信信号を得ることができる。
信号処理装置24は、受信信号を処理し、したがって、好ましくは、さらなる処理のために、デジタル形式でこれを提供する。
図示の構成では、信号処理装置24は、信号を完全に記述することを可能にするために、受信信号から電界強度の大きさおよび/またはその位相などの物理量を決定する。それぞれ関連付けられる指向特性に関するデータと組み合わされた、すなわち受信に使用される受信信号の両方の値は、重み付き受信値を決定することを可能にする。指向特性に関するデータは、例えば、行列の形式で使用される。
送信器11の位置に関する記述は、すべての重み付き受信値から決定することができる。例えば、信号がそれぞれ関連するビームの方向からのみ2つの指向特性で受信される場合、送信器11は、両方のビームが重なり合う領域に位置する。
一構成において、重み付き受信値は互いに処理される。したがって、例えば、行列の形式で存在する重み付き受信値が加算される。重み付き受信値の、例えば、その全部またはグループのみの、重畳は、例えば、後でグラフィックで提示することができる。
代替的な構成では、信号処理装置24はRFIDリーダとして構成され、したがって、それぞれ受信信号の電界強度(いわゆるRSSI、「受信信号強度指標」)の1つの値のみを生成する。この変形例では、異なる指向特性およびそれぞれに関連付けられた振幅値を用いて、受信信号の一種の受信ベクトルが決定される。一構成において、このベクトルの単位ベクトルは、指向特性のビームの軸からもたらされる。
指向特性22を異なる空間領域に関連させることにより、送信器11の位置または少なくとも送信器11がアンテナ装置20に対して配置されている方向を、受信信号から推測することができる。位置決め装置2のさらなる実現は、以下のいくつかの図に基づいて説明される。ここで、受信信号またはそのデジタル提示の処理および指向特性に関するデータの処理は、処理装置3において行われる。
また、処理装置3は、キャプチャ装置1の視覚画像を取得する。キャプチャ装置1の向きおよび位置決め装置2の向き、または、互いに対するおよびシーン10の位置に対するアンテナ装置20の指向特性22に基づいて、データが組み合わされ、提示装置4を介して提示される。
代替的な構成では、処理装置3は、提示装置4に直接統合される。
さらに、データを提示するために、送信器11に関する追加データまたは情報を提供する外部データベース5がアクセスされる。図示の例では、これは、送信器11が識別を可能にするデータも送出するという事実に基づいている。このデータまたはそのようなデータが存在するという指示は、提示装置4を介して提示中に不可的に表示される。例えば、提示装置4は、画面またはスマートフォンである。
さらに、キャプチャ装置1によってキャプチャされるシーン10の領域13を選択することを可能にする制御装置7が存在する。ここで、制御装置7は、位置決め装置2を介して決定されたデータが重畳されたときに、選択領域13が適応的に考慮されるように、処理装置3に接続されている。
代替的にまたは付加的に、領域13を選択するとき、指向特性によって分解能を高められたアンテナ装置20の視野内で領域13が検査される。
一構成において、視覚画像および測定データまたは位置決め装置2の提示データを位置合わせするための位置センサが設けられる。特に、これは、キャプチャ装置1または位置決め装置2の位置または向きが静的ではなく可変である場合に適用される。
一構成(図示せず)では、例えばカメラユニットの形態のキャプチャ装置1は、アンテナ装置20に固定されており、一構成において、アンテナ装置20の視野をカバーしている。代替的な構成(図示せず)では、キャプチャ装置1は提示装置4に統合される。この場合、提示装置4の視野は、アンテナ装置20または位置決め装置2の視野と位置整合される。一構成では、これは部分的にタブレットまたはスマートフォン内に存在する位置センサの評価によって行われる。
図2は、受信信号の視覚化の変化、またはそれから決定される提示データを概略的に示す。ここで、処理されたデータが、視覚画像、すなわちカメラ画像の上に配置される。カラーコードを使用する代わりに、送信器11として機能する無線塔の周りの3つの領域が、異なる方法で網掛けされている。したがって、これは、観察者にとって視覚的に見えない周波数で信号を視覚化するための実施形態である。
網掛けは、受信信号の電界強度が異なる領域を示す。一変形例では、受信信号の測定量(振幅および位相)は、それぞれ使用される指向特性に関するデータ、すなわち受信感度の空間分布で処理される。これにより、それぞれ、例えば行列の形態で存在する重み付き受信データがもたらされる。異なる指向特性で受信される信号が、例えば重み付き受信データを合計することによってともに処理される場合、送信器11の送信特性に関するこのデータが得られる。ここで、この提示データはシーン10の視覚画像に重ね合わされる。
さらに、矢印の形の光学的要素14が追加され、注意を送信器11に向ける。
一構成(ここでは図示せず)では、いくつかの提示装置に、位置決め装置2の提示データが供給される。
さらなる実施態様(ここには図示せず)では、トラフィック参加者に送信器が提供され、その結果、その参加者の位置がさらなる参加者に提示される。例えば、通学鞄に配置された送信器が、車両の運転者の視野に表示される。
図3は、提示装置4が1つの眼鏡として構成されている代替的な構成を示す。したがって、キャプチャ装置は省略されている。
シーン10に対する提示装置4の向きを決定することを可能にする位置センサ6が、提示データの対応する投影が実行されるように、提示装置4に配置されている。
位置決め装置2は、送信装置11からの信号を受信し、処理装置3に接続され、処理装置3は、決定された情報を、例えば、無線通信またはEthernet(WLAN)を介して、提示装置4の向きに従って提示装置4に通信する。
図示された例では、眼鏡4が送信器11から外方に向いているため、送信器11を介した提示は、適応的に発生しないか、または、送信器11が視野の外側に位置しているか、その方向において提示装置4に対して配置されていることの横方向の指示のみが発生する。
図4は、提示されたカートン内に位置すると思われる発見された送信器の光学的要素14(いわゆるアイコン)が提示装置4上に示されている例を示す。したがって、提示データは視覚画像に重ね合わされる。
この場合、キャプチャ装置1は、スマートフォン内に存在するカメラである。付加的な情報を提示することは、送信器がそれらの送信信号を介して識別を可能にするという事実に基づいている。例えば、これは、要求信号に基づいて識別データを送出するRFIDタグによって行われる。この構成では、例えば、ウェイクアップまたは要求信号が位置決め装置2から発せられる。
さらなる構成では、送信器の提示は、例えば、提示ユニット4またはここにその手が示されている観察者の距離に応じて変化する。例えば、これは、決定された情報を提示している間に円または円の増減または色の変化によって行われる。したがって、一構成では、提示は動的に行われる。
例えば、送信器または特別なRFIDタグが検索される場合、その位置は光学的要素によって別個に示される。位置がデータベースに格納されている場合、RFIDタグがアンテナ装置の受信範囲に位置していない場合にも表示が行われ得る。
図示の構成では、キャプチャ装置1、すなわちスマートフォンのカメラユニットは、位置決め装置2から、または特にそのアンテナ装置20からオフセットされている。アンテナ装置20および提示装置4の位置および向きを知らせるためにこれを使用する位置決め装置2の位置センサ6は、観察者の位置に応じて送信器の正確な一を提示するために、提示データを変換することを可能にする。
一応用形態では、干渉する送信器が視野内で検出される。視覚化によって、ユーザは予期しない場所において無線送信器の位置を検出することができる。例えば、GPS/ガリレオ帯域の信号が、それらの位置(衛星位置にない)および電界強度(予測される信号よりもはるかに強い)に起因して検出され得る。
さらなる構成では、航空機またはドローン(UAVの例、すなわち、無人の、人が乗らないまたは人が操縦しない航空機)が、通常、複数の信号を送出するため、位置特定され得る。視野内の位置特定は、航空管制官、飛行場の地上スタッフ、ドローン操縦者または模型飛行機操縦者にとって重要である。
以下では、構成に応じて、上述したユーザ情報を提示する装置の一部として使用できる、位置決め装置の異なる構成について説明する。
図5〜図7には、上述した装置を介して提示される、データを決定するための位置決め装置の第1の変形例の構成が示されている。
図5は、送信器52,52’の位置に関する情報を決定するための位置決め装置51の応用形態を示す。それによって得られた情報またはデータが、その後、上述の装置によって提示される。
図5の例では、2つの異なる送信器52,52’(例えば、RFIDトランスポンダまたは一般に無線送信器)の位置が決定される、すなわち位置特定される。このために、位置決め装置51は、そのうち2つが例示的に示されている、いくつかのアンテナ素子513を有するアンテナ装置53を備える。アンテナ装置53の制御は、データ処理装置55にも接続された調整装置54を介して行われる。
ここでは、データ処理装置55には、アンテナ装置53によって受信される信号をデジタル形式に変換し、各々が受信経路に関連付けられている2つのADC56が配置されている。代替的な構成(図示せず)では、ADCは、データ処理装置55がデジタル信号を直接受信するように、アンテナ装置53(これは、代替的に受信器としても参照される)の一部を形成する。その後、デジタル信号はコンピューティング装置57によって処理される。
アンテナ装置53は、いくつかの特定の指向特性58を含む。調整装置54は、(例えば能動的な生成または反射によって)送信器52,52’から発する信号59を受信するために指向特性58を有効化する。
アンテナ装置53は、各々が特定の指向特性58に関連する信号出力511を含む。さらに、アンテナ装置53は、それぞれ関連付けられる指向特性58によって受信される信号が各信号出力511において出力されるように構成されている。ここでは、これは例えばバトラーマトリクスを介して行われる。代替的な構成では、固有モードネットワークが生成される。
このように、一構成において、データ処理装置55は、いくつかの指向特性、すなわち、いくつかの信号出力511から同時に受信信号を受信する。例えば、1つの受信経路のみが必要とされる代替の構成では、データ処理装置55は、1つの指向特性によって受信される信号のみを受信し、一構成において、指定される方式に従って、指向特性間の切り替えが行われる。
一構成において、一種の中間評価に従って、指向特性間の切り替えが行われる。例えば、後続の測定において、この決定された方向を参照する指向特性が選好されるように、より高い度合いまで受信信号が発する方向が決定される。
データ処理装置55(例えば、DSPまたはFPGA、および場合によってはアンテナ装置53の一部として実現される)は、指向特性を記述するデータにアクセスするように、受信信号を評価する。特に、指向特性は、アンテナ装置53がそれぞれ関連する受信感度を含むという事実からなる。指向特性に依存して、信号を受信するためのより高い感度またはより低い感度を有する空間的に分布した領域が存在する。一構成において、例えば、測定および/または理論上の観測によって決定される感度に関するデータは、行列として解釈され得るように、さらなる処理のために記憶される。一構成において、指向特性は、各々、主方向を指定するビームによって特に特徴付けられる。
例えば、データ処理装置55は、データを適応的に乗算することによって、すなわち、受信信号を指向特性にマッピングし、したがって重み付き受信値を得ることによって、デジタル化された受信信号および指向特性を互いに処理する。指向特性の感度が行列として収集されることによって、重み付き受信値を有する1つの行列が指向特性ごとにもたらされる。この場合、例えば、乗算は、以前に格納されたテーブルまたは値の対にアクセスすることによって行われる。代替的には、一構成において、異なる時点における個々の指向特性について信号が受信される。これにより、動きのない送信器での測定精度を向上させることが可能になり、場合によっては送信器の動きを検出することも可能になる。
送信器52,52’の位置を決定するために、重み付き受信値が互いに処理される。したがって、一構成において、行列および重み付き受信値が加算される。さらなる構成では、重み付き受信値の少なくとも2つのグループ(またはサブグループ)がそれぞれ合計され、その後、2つの合計行列の間の差が形成される。これにより、例えば、異なる位置にある2つの送信器52,52’の信号を互いから分離することができる。相互処理のために、重み付き受信値は、少なくとも部分的に、位置決め装置51の周りの同じ空間領域を参照することが好ましい。
一構成において、重み付き受信値は、視覚化装置510、例えば画面、スマートフォン、タブレット、ハンドヘルド端末または仮想現実のための眼鏡上に、指定可能なカラースケールを使用して(または図7のようなグレートーンのスケールを用いて)提示される。さらなる例については、前述の説明を参照されたい。したがって、これは、図1に示す構成の提示装置4に対応する。
したがって、少なくとも1つの送信器の位置に関する情報を決定するための図5〜図7に示す方法は、少なくとも以下のステップを含む。
アンテナ装置の空間的感度の一定の分布を参照するアンテナ装置の指向特性が有効化される。感度のそれぞれ関連付けられる分布は、例えば、以前の較正測定によって、またはアンテナ装置およびその特性に関する理論的知識によって知られている。ここで、指向特性を有効化することは、有効化された指向特性を介して受信信号が、例えば評価またはさらなる処理に利用可能であるか、または例えば登録されることを意味する。
有効化された指向特性によって、送信器の信号が受信され、重み付き受信値が得られるように指向特性に関するデータを用いて処理される。一構成において、感度分布は、受信信号のデータと乗算される行列によって記述される。
少なくとも1つの信号が受信され、異なる指向特性に関してそれぞれ評価される。最後に、少なくとも1つの送信器の位置に関する情報が、結果として得られる重み付き受信値から決定される。構成に依存して、情報は、例えば、位置決め装置に対する、またはアンテナ装置に対する方向または位置を指す。場合によって、この情報はまた、互いに向かっての2つの送信器の相対位置、または位置の変化などを指す。
図示された例では、位置決め装置51は、例えば励起信号、クエリ信号またはいわゆる要求信号を生成する役割を果たす信号源512を備える。信号源512の信号は、送信器52,52’に向かって、選択された指向特性で放出される。一構成において、それぞれ有効化された特性は、信号を受信するために使用され、アンテナ素子に関連付けられるいくつかの指向特性が、相互に有効化され、したがって重ね合わされるという事実からもたらされる。
励起信号を放出することは、信号を放出するために励起信号を通じてそれらを有効化することによって、受動送信器またはその位置を測定することも可能になり、または、それに必要なエネルギーを得ることが可能になる。特に、後者は、送信器がRFIDタグである場合を参照する。さらなる構成では、送信器は反射を介して信号を放出する。たとえば、これはレーダ応用形態の事例である。これは、信号源512がレーダ信号を生成し、送信器52,52’が反射器として動作することを意味する。
任意選択的に、データ記憶装置および/または調整ユニット(例えば、サーバPC)が存在する。したがって、サーバおよび、場合によってはさらなるクライアントが、制御データを介してデータ処理装置55に影響を及ぼすことができる。
図6は、特に評価に関して一構成に基づく情報決定の原理を強調している。
送信器(ここでは図示せず)が、ここでは記号として解釈される信号5S1,5S2...5Smを送信する。信号5S1,5S2...5Smは、マルチビームアンテナ53によって受信される。調整ユニット54は、指定されたパターンに従って、マルチビームアンテナ53のビームを有効化するか、または異なる指向特性を有効化する。一構成において、指向特性を切り替えるためのパターンはランダムに発生する。別の構成では、優れた方向が提供され、それによって、好ましくは、これらの優れた方向を指すビームが有効化される。
制御されたビームからの信号59は、受信経路によって復調され、デジタル化される。
デジタル化された信号は、調整ユニット54によって選択されるビームに関連する指向特性581,582...58nとそれぞれ乗算される(乗算記号および3つの指向特性を有する上部ボックスを参照)。したがって、重み付き受信値591,592、...、59nを有する行列がそれぞれ得られる。
行列591,592、...、59nは合計され(例えば、合計記号Σによって示される)、例えば、記憶装置5101に記憶される。
代替的な構成では、行列の部分量(またはグループ)が合計される。さらに、行列の異なる部分量が形成され、合計されてもよい。これにより、信号のマルチパスを検出するか、または、複数の無線信号または送信器を検出することが可能になる。
したがって、一構成において、行列591および592から部分量U1が形成される。行列591,592および593などからさらなる部分量U2が形成される。合計された部分量間の比較により、無線送信器または無線トランスポンダの数およびマルチパスの存在に関する何らかの指示が得られ得る。グループの部分量は重複していても重複していなくてもよい。
図示された例では、所望の信号5102が、格納された行列から得られる。
代替的に、重み付き受信値の少なくとも1つの行列が、受信値行列として視覚化ユニットに与えられる。好ましくは、視覚方向決定は、行列値のカラー化を介して行われる。任意選択的に、行列の最大値を検索してマークすることもできる。任意選択的に、行列の所望のフィールドは、デジタル的にさらに処理されてもよく、デジタル/アナログ変換器を介してさらなる処理ユニットに与えられてもよい。
図7は、いくつかの出力511を有するマルチビームアンテナ53を使用する場合の、いくつかの受信経路、すなわち、アンテナから評価装置への信号を受信するための経路の並列処理を示す。
ここで、いくつかの(ここでは2つの)出力511、および、好ましくはいくつかの受信経路を有するマルチビームアンテナ53を使用することにより、複数の受信経路を並列処理することが可能である。
マルチビームアンテナ53のいくつかの出力511、したがっていくつかの受信経路が利用可能である場合、いくつかの経路がデータ処理装置55において処理され得る。特に、これは、マルチビームアンテナ53が、一方の指向特性のみが有効化されても、他方の指向特性によって受信される信号も出力することができる事例を参照する。このために、例えば、アンテナ装置53においてバトラーマトリクスが実現される。
一構成において、評価は、受信信号とそれぞれの指向特性のデータとの乗算に限定される。一構成では、これらの重み付き受信値のみが合計され、それによって、この場合には処理要求はほとんどない。特に、複雑なデータは必要ない。
処理要求をさらに低減する構成では、行列の形態で存在するデータから、所望の方向に対応する選択された部分領域のみを評価することによって、処理されるデータの量が低減される。
一構成において、アンテナ装置は、スイッチングマトリクスを介して受信ユニットに接続されたいくつかの個別のアンテナを備える。
図8〜図11は、位置決め装置の第2の変形例の構成を示している。
図8は、送信器62の位置を決定するための位置決め装置61の応用形態を示す。
このために、位置決め装置61は、いくつかのアンテナ素子68を備えるアンテナ装置63と、制御装置64と、信号処理装置65と、データ処理装置66とを備える。ここで、アンテナ装置63は、マルチビームアンテナである。
制御装置64は、アンテナ装置63に作用して、いずれの指向特性67を切り替えるかを指定し、それによって、この指向特性を介して受信した信号を信号処理装置65に供給する。アンテナ装置63によって受信される信号は、給電ネットワーク69によって個々の指向特性67に関連して出力される。ここでは、指向特性67と、給電ネットワーク69のn個のアンテナ入力621(代替の用語は出力ポートである)の1つとが、アンテナ装置63のn個のアンテナ素子68の各々に関連付けられている。給電ネットワーク69のm個の信号入力620は各々、図示されたスイッチ612を介して信号処理装置65に個別に接続され、それによって、この個々の指向特性の受信信号のみがさらに処理される。これにより、特定の指向特性
を選択し、または、切り替えることができる。
代替的に、いくつかの信号処理装置65(ここには図示せず)が存在し、これらは各々、指向特性を用いて受信される信号を評価する。したがって、このような構成は、いくつかの指向特性に関連付けられた信号の並列評価を可能にする。特に、この構成によれば、給電ネットワーク69は、例えばバトラーマトリクスとして実現される。または一般に、給電ネットワーク69は、それによってアンテナ装置63がそれぞれ対応する分離信号を受信している各指向特性を提供する。したがって、この構成では、給電ネットワーク69は、m個の信号入力620において、それぞれ、関連する指向特性67を介して受信される信号を出力する。n個のアンテナ素子68は、給電ネットワーク69のn個のアンテナ入力621に接続されている。
しかしながら、図示の構成では、単一の信号処理装置65で十分であり、そのために、それぞれ所望される指向特性67の信号入力620と信号処理装置65との間の接続を作成することによって、1つの指向特性67がそれぞれ切り替えられる。したがって、信号入力620は、受信信号を出力する役割を果たす。信号入力620としての特性は、励起信号の入力として機能するという事実に起因する。
信号処理装置65は、受信信号から信号の電界強度の振幅値をそれぞれ決定する。したがって、信号強度の尺度が生成される。同時に、測定ごとに、または切り替えられる指向特性ごとに1つの値のみが得られる。
一構成において、特に、信号処理装置65は、それぞれ受信される信号から、そこから発する信号に送信器が適用した情報を抽出するように構成されている。例えば、情報は、送信器62が送信する測定値、または例えば少なくとも、送信器62の識別子である。
特に、信号処理装置65は、受信信号を振幅値のみに低減し、その結果、振幅および位相を有する複素信号が測定値に低減される。信号と共に送信される情報は、物理的特性とは別に考慮する必要がある。
したがって、アンテナ装置63の一部である制御論理610を使用して、それぞれ、いくつかの指向特性67が切り替えられ、振幅値が決定される。決定された振幅値および指向特性67の感度分布に関する知識に基づいて、続いて送信器62の位置が決定される。このために、データ処理装置66が使用され、データ処理装置66は、場合によっては、例えば指向特性に関するデータを格納するデータ記憶装置も含む。
それらのビーム形状によって、指向特性67は、それぞれ主方向を含む。したがって、異なる指向特性67によって、異なる方向および領域から信号が受信され、それによって、振幅値および指向特性の受信感度の関連する分布を介して、すなわち、指向特性に関連し、それらの受信感度に関してこれを記述するデータから、送信器62の位置を最終的に決定することができる。
送信器62が、そこからある指向特性67を用いてのみ信号が受信され得る領域にある例を考える。したがって、信号はこの指向特性でのみ受信され得るか、またはゼロに等しくない振幅値がこの指向特性でのみ生じる。したがって、アンテナ装置63に対する送信器が配置される方向は、振幅値から推測することができる。
一構成において、送信器62によって予測されることになる電界強度の量が分かっている場合、決定された振幅値はまた、例えば、受信感度が距離の増加に伴って減少する限り、アンテナ装置への距離に関する記述も可能にする。
さらに、位置決め装置61は、異なる指向特性を使用して送信器62に向かって励起信号を送信するための信号源611を含む。これにより、送信器62は、例えば、応答信号によって励起信号に反応するRFIDタグであることによって、純粋に受動的であってもよい。または、例えば、これは送信器62から発する信号が反射信号であるレーダ応用形態である。一構成(図示せず)では、信号源611は、例えば、RFIDリーダである信号処理装置65の一部を形成する。
送信器62としてRFIDタグを用いる応用形態について、信号処理装置65は従来のRFIDリーダである。このようなRFIDリーダ65は、RFIDタグが送信するデータ、例えば識別データを抽出し、受信信号の電界強度の指標であるいわゆる「受信信号強度指標」(RSSI)値を生成することにより、RFIDタグから発する信号を評価する。
以下では、位置決め装置の第2の変形例の技術的基礎について再び説明する。
送信器62が配置され得、アンテナ装置63の指向特性によってカバーされる全空間領域が想定される。
全空間領域、または照射面積Ωは、以下のように与えられる。
ここで、φは方位角であり、θは共通仰角である。角度は、それぞれ、下限φ
lおよびθ
lならびに上限φ
uおよびθ
uを有する。アンテナ装置の指向特性
がそれぞれ対応する空間セクタΩ
i,jがそれぞれ形成される。
一構成において、指向特性
は、関連するセクタ内にそれらの大域最大値を含むことを特徴とする。さらに、特定の指定可能なレベル距離まで、大域最大値未満の残りのセクタのいずれにもさらなる最大値は存在しない。
セクタ
i,jは、次の定義によって与えられる。
ここで、i=1、...、μおよびj=1、...νである。(3)
関連付け(3)から、μ*vのセクタの数を推測することができる。
図9は、照射領域Ω(定義(1)による)の16個のセクタΩi,j((2)の定義による)への分割を例示的に示し、μ=v=4である。
以下の指向特性は、セクタΩ
i,jに関連付けられる。
ここで、k=ν*(j−1)+i (5)
ここで、
は共偏波成分であり、
は交差偏波成分である。
指向特性は、感覚φ1,i≦φ≦φu,iおよびθ1,j≦θ≦θu,jにおいてその大域最大振幅を含む。
ここで、max{k}=μ*νである限り、関連(5)における(i,j)とkとの間の関連は、任意に選択することができる。代替的な関連付けは、k=μ*(i−1)+jである。
指向特性は、対応する給電ネットワーク69によって設定される。給電ネットワーク69の各信号入力(代替的な用語:入力ポート)620は、マルチビームアンテナについて図8に示すように、特定の指向特性67に対応する。
特に、指向特性
は、いわゆるポート指向特性である。一構成において、給電ネットワーク69は、固有モードネットワークである。別の構成では、給電ネットワーク69は、信号入力620が互いに直交する給電ベクトルに対応するバトラーマトリクスとして実現される。代替的に、ネットワーク69は、互いに対して任意に配向された給電ベクトルを生成する。
図10において、アンテナ装置63の入力(すなわち、各信号入力)620または給電ネットワーク69の各ポートは、(式(2)に従って)セクタΩ
i,jの放射最大値をもたらす式(5)による指向特性
に対応する。
ここで、アンテナ装置63としての例示的なマルチビームアンテナは、給電ネットワーク69のn個のアンテナ入力621に接続され、m個の信号入力620を介して励起されるかまたは切り替えられるn個のアンテナ素子を備える。
図10に関連して(上向きの矢印を有する左側の2つのベクトルを参照)、アンテナ装置またはそのアンテナ素子68を介して信号を送出することを以下に説明する。
は、k番目の入力ポート620(給電ネットワーク69の下位レベル)のみを励起する入力ベクトルである。以下の給電ネットワーク69の漂遊行列によって、
ネットワークの出力における(アンテナ素子68を有する上位レベルの)励起ベクトルは、以下をもたらし、
ベクトル
は指向特性
を引き起こす。
いくつかの信号入力620(代替的な用語がポートである)が同時に供給される場合、ポート620に関連する指向特性の重み付けされた重ね合わせが生じる。したがって、励起信号を放出するために、指向特性は互いに組み合わされる。
図10の例(左側)において、式(8)の入力ベクトル
は、励起信号のベクトルとして給電ベクトル
に比例的に分割される。
受信の事例は、図10の右側に位置するベクトル(下向きの概略的な矢印によって接続されている)に基づいて記述され、入力ベクトル
は式(9)に従って個々の指向特性67の部分に分割される。
特定の方向から信号が受信される場合、ベクトル
は給電ネットワーク69の上位レベルに存在する。
ネットワーク69は、本明細書に記載の構成において受動的であるため、
が適用される。
このようにして、
はそれ自体を
の形態で給電ネットワーク69の下位レベルに変換する。(9)
ここで、項
は、アンテナ素子68の受信信号のベクトルの、指向特性
をもたらすベクトル
への投影に対応する。したがって、
は、個々の
において生じるその部分に分割される。
(k、l)=1、...、mであり、kがlに等しくないベクトル
および
は、対で直交すると仮定する。さらに、特性
の主放射方向から信号が受信されることになる。したがって、受信振幅の量として理解されるべき任意の実定数c>0を有する
が適用される。
その後、
がもたらされる。したがって、指向特性
に対応する信号は、アンテナ入力621にのみ存在する。残りの特性
は信号部分を含まない。
したがって、個々の指向特性に従って分割された受信信号
を記述する信号
によって、それぞれの受信信号の入射方向を推測することができる。
一構成において、第2の変形例による識別方法は以下の通りである。
・指向特性
が切り替えられる。一構成において、特に、給電ネットワーク69の入力ポート620の1つが選択され、信号処理装置65および信号源611にも接続される。
・アンテナ装置63が、受信した指向特性についての励起信号またはクエリ信号を送出する。
・指向特性が到達した、またはそれによって励起された、または起動されたトランスポンダ62(または本明細書で説明する送信器の例としてはRFIDタグ)が、とりわけトランスポンダの識別情報を含む応答信号を返信する。
・応答信号が、アンテナ装置を介して受信され、選択された指向特性
に対応する信号の一部が、信号処理装置65の一構成としてリーダにとって利用可能である。
・リーダ65が、応答信号を評価し、トランスポンダの識別情報および受信信号の強度の量(RSSI値)を利用可能にする。
これにより、トランスポンダ(または一般的に送信器)は、現在選択されている(または切り替えられた)指向特性と関連することができる。
このプロセスは、いくつかの指向特性67に対して実行される。このようにして、個々の
内の信号部分が連続的に読み出され、トランスポンダ信号および振幅量を指向特性に割り当てることができる。したがって、全体で、送信器の位置のベクトルが構築される。エントリの値は、それぞれ受信される信号の電界強度の大きさから得られ、基底ベクトルは、割り当てられた指向特性、例えば、ビームのそれぞれの方向から生じる。
図11は、第2の変形例の位置決め装置61の代替の構成を示す。ここで、アンテナ装置63はまた、マルチビームアンテナとして構成され、制御論理610とデータ処理装置66とを備える。
受信信号の評価と、送信器62の位置に関する情報の決定とを以下のように考慮する。
トランスポンダ(または一般的に送信器であり、これが能動送信器であるかまたは受動送信器であるかとは無関係である)の方向を決定するためには、応答信号(または一般に受信信号)が複雑な形態である、すなわち量および位相を有する場合がより容易である。しかし、一般的なRFIDリーダ(またはRFID受信器)は、RSSI値の形で振幅を提供するだけである。式(2)および(4)に従って照射領域Ωを個々のセクタΩi,jに分割することにより、後述するように、アンテナ素子68における複素信号を推定することができる。
それぞれ、上述した送信器およびRFIDタグの識別によれば、複素信号
(式(9)および図10を参照)の代わりに、
の個々の成分の振幅が推定される。したがって、以下のベクトルが得られる。
と同様に、ベクトル
も受信信号の入射方向に依存する。しかし、特定の照射領域Ω
ijに指向特性
を一意的に割り当てることにより、RSSI値の固有のベクトル
が各入射方向に割り当てられることになる。
特定の入射方向
について、
は
についてのみもたらされ、他の入射方向のいずれについてももたらされない。したがって、信号の位相は、本質的に個々の指向特性に隠される。したがって、
または
の形態の画像を定義することができる。
および
および/または
の間の割り当てを行うことができるようにするためには、異なる入射角に対する可能な複素ベクトルをまず決定しなければならない。したがって、受信感度の指向特性およびその空間分布が(または、通常、送信器の空間分布に対する特性も)決定されなければならない。これは、(1)の定義に従って、すべての入射角に対するベクトルが照射領域Ωにわたって含まれるアレイのシミュレーションまたは測定によって行うことができる。ここでは、照射領域は離散的に循環され、それによって、最終的には既知の入射角
、したがってそれぞれベクトル
および
のそれぞれのカウント可能な(有限の)量が得られる。上付きの(s)は、これらが離散的な入射角に対して決定されたベクトルであることを示す。基本的に、これらはステアリングベクトルである。
したがって、複素ベクトルへの割り当ては、複素ベクトル
が決定される最小二乗誤差の意味での探索に対応し、そのために、ノルム
、ここで、ベクトル:
が最小になる。
式(14)から分かるように、一方ではベクトル
をアンテナベースで測定することができ、ベクトル
は散乱行列
を介して算術的に決定することができる。したがって、給電ネットワークなしでアレイ内の個々のアンテナ素子の指向特性を決定することで十分である。一方、アレイの、すなわち給電ネットワークを有するポート指向特性を測定することができ、したがってベクトル
を直接決定することができる。
入射角
は、それぞれ複素ベクトル
および
から、または、ベクトルに適用される任意の方向推定アルゴリズムから直接得られる。数回の切り替えサイクルにわたって決定されるいくつかの連続した入射角にわたる時間平均を決定することがさらに可能である。これにより、推定角度のばらつきが低減され、したがって、測定の不確実性が低減される。実際には、指向特性の既存の二次最大値は、通常、重畳ノイズによる可能性のある不確定性に対してロバストであるように、通常は主最大値に対して特定の最大レベルに制限されることになる。そうでなければ、方向を決定する際のあいまい性が生じる可能性がある。
関数(11)および(12)の明確さを得るために、1つの構成は、その指向特性が固有の大域最大値を含み、セクタにわたって、照射領域内のさらなる大域最大値の形の対称性を有しないマルチビームアンテナの使用を可能にする。典型的なまたは一般的なRFIDリーダとそれぞれのマルチビームアンテナとの組み合わせは、リーダに干渉することなく複素値受信信号を推定することを可能にする。
図11は、上述したプロセスによる利用可能な指向特性
を読み出すことができ、識別されたタグ(または送信器)62の入射角を決定することができる、位置決め装置61のそれぞれの構成の例示的なアーキテクチャを示す。マルチビームアンテナ63は、アンテナ素子68および給電ネットワーク69とは別に、無線周波数スイッチ(RFスイッチ)612および制御論理610を含む。制御論理610の助けにより、所望のポート指向性特性
がRFスイッチ612を介して設定される(定義(5)参照)。RF信号接続を介して、送信されるべきRF信号は、外部RFIDリーダ65(したがって、図8の信号源611を含む)によって励起信号として提供され、受信信号は外部RFIDリーダ65に提供される。アンテナ装置63の外部の制御装置64が、リーダ65およびマルチビームアンテナ63の制御を可能にする。トランスポンダ信号の入射方向は、式(13)に従って決定される。RSSI値およびトランスポンダ識別情報は、RFIDリーダ65から発する。
図12〜図23は、位置決め装置71の第3の変形例の構成を示している。ここでは、個々の構成要素および構成も上記の構成に転移することができ、上記の構成はまた、以下の構成のための補足を提示することもできる。
図12は、とりわけ、送信器72が検出領域76を通過するか否か、およびいつ通過するかの指示を可能にする、位置決め装置71の第3の変形例の使用を示す。
このために、位置決め装置71は、少なくとも1つの優れた指向特性を含むアンテナ装置73を備える。指向特性は、ここでは特に送信器72から発する信号を受信するためのアンテナ装置73の感度の空間分布に関係する。
図示の構成では、アンテナ装置73はいくつかの指向特性を含む。このために、例示的な構成では、ネットワーク711を介して制御装置74によって制御される3つのアンテナ素子710が使用される。1つの構成では、アンテナ装置73はパッチアンテナである。代替的に、アンテナ素子710は、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、モノポール型アンテナ、チップアンテナまたはループアンテナである。指向特性の1つは、定義領域76が割り当てられている既述の優れた指向特性である。
代替の構成(図示せず)では、アンテナ装置73は1つのみの、それゆえ優れた指向特性でもある指向特性を含む。以下では、いくつかの切り替え可能な特性を含む図示された実施態様について説明する。
それぞれ、励起信号を送出するための、および送信器72から発する信号を受信するための異なる指向特性を切り替えるために、給電ネットワーク711が設けられる。この例では、給電ネットワーク711は、バトラーマトリクス(代替的な構成では、固有モードネットワークが使用される)の実現を提示し、個々の指向特性によって受信されているように、その出力において信号を供給する。したがって、指向特性を切り替えることは、切り替えられた指向特性で受信した信号が評価に供給されるか、または具体的に評価されることを意味する。さらなる構成(図示せず)では、指向特性を切り替えることは、アンテナ装置73との直接的な相互作用によって、切り替えられた指向特性のみが存在すること、すなわち、アンテナ装置73が、切り替えられた指向特性を有する信号のみを受信できることを意味する。
受信信号および結果もたらされるデータの処理は、データ処理装置75によって実行される。図示の例では、データ処理装置75は、受信信号毎に電界強度の1つの振幅値を決定する信号処理装置77に接続されている。
したがって、送信器72がRFIDタグである場合、信号処理装置77は、振幅値としていわゆる「受信信号強度指標」(RSSI)値を生成するように構成されている。さらなる付随する構成において、信号処理装置77はまた、受信信号から情報、例えば、特定識別子または測定データを抽出するようにも構成されている。このように、信号処理装置77は、例示的に、RFIDリーダである。
さらに、図示された実施形態では、RFIDタグに基づく送信器72に適用するために、励起信号を生成する信号源78が設けられている。個々の指向特性を有するかまたは本質的に無指向性である適用事例に応じて、励起信号はアンテナ装置73を介して出力される。ここで、励起信号は、それによってRFIDタグの形態の送信器72がデータ通信を確立させることを要求され、それを介して送信器72が通信に必要なエネルギーを受け取る可能性がある、いわゆる要求信号である。1つの構成では、励起信号を送出するために、信号を送出するための重なりが生じるように、指向特性が組み合わされる。逆もまた真であり、上述したように、給電ネットワーク711は、受信信号における個々の指向特性への分離を可能にする。
代替的な構成(図示せず)では、信号源8は信号処理装置77の構成要素である。これは、それ自体が有効化信号を生成する従来技術のRFIDリーダの一般的な構成に対応する。
アンテナ装置73が信号を受信および送信する役割を果たすため、この結果としてまた、指向特性が感度の空間分布だけでなく、アンテナ装置73の送信特性にも関連するということにもなる。
最後に、データ処理装置75は、送信器72の軌道に関するデータを格納するためにデータ記憶装置79に接続される。送信器72のそれぞれ決定された位置に関する履歴データにより、送信器72の軌道が決定され、いくつかの送信器が存在する場合、曖昧さが相殺され、信号が送信器に割り当てられる。このために、対応する妥当性の考察が与えられる。
選択された指向特性は、図示の例では送信器72がそれに垂直に移動する検出領域72を有する。ここで、送信器72は、アンテナ素子710と平行に、かつ検出領域76に対して垂直に移動する。検出領域76の特性は、この空間領域においてアンテナ装置73の感度が最小であることである。したがって、位置決め装置71では、信号最小値が、送信器72が割り当てられた検出領域76を通過するか否かを決定するために使用される。したがって、送信器72がこの位置に存在しない場合、検出領域76内で信号はアンテナ装置73によって受信されないか、または、非常に弱い信号のみが受信される。
ここで、アンテナ装置73は、それぞれの受信最小値が位置し、送信器72が連続的に通過する3つの検出領域76,76’を含む。これにより、中央の検出領域76の通過を検出する信頼性を高めることができる。
測定の信頼性は、特に、制御装置74が、測定の不正確さおよびあいまいさが補償され得るように、異なる感度および位置割り当てを各々が含む異なる指向特性を調整するという事実によって増加する。
1つの構成では、アンテナ装置73は、検出領域76に最大感度を有する少なくとも1つのさらなる指向特性を有する。これは、アンテナ装置73が、この他の指向特性を有する信号を受信する感度が非常に高いことを意味する。したがって、この構成では、測定正確度を向上させるために、優れた指向特性および比較特性の信号がともに評価される。
図13は、マルチビームアンテナとして構成された例示的なアンテナ装置の2つのアンテナ素子710(AおよびBによって示される)を示す。2つのアンテナ素子710は各々、ビーム形状の指向特性712を有する。2つの指向特性712は各々、それぞれj=1(またはA)およびj=2(またはB)の複素値指向性特性
によって記述される。
一般に、マルチビームアンテナは、給電ネットワーク(図12参照)に接続されたn個のアンテナ素子710(または放射体、例えばダイポール)からなる。アンテナまたはアンテナ素子は、給電ネットワークのn個の出力の各々に接続される。
アンテナ素子710から受信信号を出力し、またはアンテナ素子710を介して送出されることになるRF信号を供給す役割を各々が果たす給電ネットワークのm個の入力は、一構成において、以下のように定義される特定の指向特性
に対応する。
ここでi=1、...m (1)
ここで、共偏波成分
および交差偏波成分
が与えられる。
図14は、3つの軸x、yおよびzならびに座標系の原点にある基準点Rを有する座標系を示す。図示の例では、2つのアンテナ素子710(AおよびB)がx軸に沿って配置されている。ここで、観測点Vは、xy平面における方位角Φとz軸に対する共通仰角θとによって記述される。ここで、領域dΩ=sinθ*dθ*dΦが考慮される。
送信器、または特にRFIDトランスポンダを特定の方向に割り当てるために、アンテナ装置の指向特性
は特定の特性を有する。ここで、図13の2素子アンテナアレイについてさらに検討する。
図14による基準点Rを参照すると、単純化の理由から座標原点が配置される場合、両方のアンテナ素子710(すなわち、AとB)の各々は、それぞれ、以下の記述されている(複素)放射特性を有する。
ここでj=1、...n (2)
このことから、いわゆる放射行列
(C. Volmer他「An Eigen−Analysis of Compact Antenna Arrays and Its Application to Port Decoupling」(IEEE transactions on antennas and propagation,vol.56,no.2,pp.360〜370,2008)と比較されたい)を決定することができ、その成分は以下の式によって与えられる。
ここで
放射行列
はエルミート行列であるため、これを対角化することができる。したがって、次の結果が得られる。
ここで
式(4)は、放射行列
の固有値分解を記述する。ここで、
内の各列は、n個の固有ベクトル
の1つを表し、
内の各主対角要素は、割り当てられた固有値λ
jを提示する。
固有ベクトル
は、アンテナ装置、ここではアンテナ素子を有するアンテナアレイの基本励起ベクトル、を記述する。固有値λ
jが複数回発生しない限り、固有ベクトル
は対において直交する。固有値λ
jが複数回発生する場合、それらの基底ベクトルが互いに直交する、これに対する正規直交基底を求める必要がある。
さらに、固有ベクトル
の長さは1である。特定の指向特性
が、互いに直交する固有ベクトルに割り当てられる。
したがって、以下が適用される。
p≠jの場合 (6)
固有ベクトル
は、可能な給電ベクトルの特定の正規直交基底を表す。しかし、給電ネットワークが必ずしも固有モードネットワークである必要がないように、他の正規直交規定を決定することができる。特定の方向に沿った指向特性の1つに少なくとも1つのゼロが形成されることが必要である。
同じ向きを有する2つの等しいアンテナ素子からなるアレイ(図13参照)に対して、以下の固有ベクトルが得られる。
したがって、アンテナ素子710(例えばダイポール)は、偶モード(偶モード:1/√2および1/√2)または奇モード(奇モード:1/√2および−1/√2)のいずれかにおいて供給を受ける。
結果として生じる指向特性の量は、図15においてx−z平面に対して定性的に示されている。ここでは、偶モードの指向特性712を実線で示し、奇モードの指向特性712を破線で示す。示されている指向特性は、特に、固有モードネットワークによってもたらされる。
偶モードで給電する場合、2つの等しく、同じ向きのアンテナ素子によって形成されるアレイに垂直な最大値が得られる。したがって、最大値はz方向にあり、共通仰角はθ=0°である。
ただし、奇モードでは、この位置において最小値またはゼロが得られる。ゼロおよびそのより近い環境はそれぞれ、共通仰角θに関する勾配がゼロの環境で大きく増大するため、偶モードにおける最大値付近の環境に対して狭い。
したがって、奇モードでは、ゼロの方向からアンテナ装置のアレイに入射する無線信号はほとんど受信されないか、まったく受信されず、一方で、偶モードでは受信信号は最大になる。したがって、入射方向は、偶モードおよび奇モードにおける測定信号レベルから推測することができる。
図16は、送信器72としてのRFIDトランスポンダを有する対象物が一定速度(v)でx軸に平行に搬送されるシナリオを示す。アンテナ装置73の2つのアンテナ素子710から形成されたアンテナアレイは、座標系の原点に中心を置かれ、奇モードにおいてゼロの受信感度がz軸θ=0°に沿って生じるように配向される。したがって、このゼロは検出領域76である。アンテナ装置73に対するトランスポンダ72の位置に依存して、入射角は時間の関数であるため、個々のモードの受信信号は変化する。
時間tはトランスポンダのx方向における位置に割り当てることができる。時間t1における、したがって検出領域76の前の、および、時間t2における、したがって検出領域76を通過した後の、送信器72の2つの位置が示されている。入射応答信号(送信器72から発生する矢印によって示される)のz軸に対する角度としてのそれぞれの入射角θは、時間tにわたって変化する。
図17は、図16の構成の時間信号を例示的に示す。図16の送信器の時間tの関数として最大値に対して正規化された受信振幅の経過が示され、これは一定速度vでx軸(z=z0)に平行に移動する。2つのアンテナ素子は、x軸上にあり、座標原点に中心を置かれ、すなわち、原点に対して同じ距離を有する。
トランスポンダとしてのトランスポンダが異なる位置で、したがって異なる時点において読み出される場合(これは、トランスポンダが識別されており、その識別子が既知であることを意味する)、時間信号の分析が、トランスポンダが方向θ=0°にあり、したがって、搬送経路に沿った特定の位置、すなわち検出領域にある時点を判定することを可能にする。
奇モード(破線)における受信信号は、検出領域を通過するこの時点に最小となり、一方、これは、偶モード(実線)では最大となる。したがって、トランスポンダは、後続のトランスポンダの信号が偶モードと奇モードの両方において受信されるため、同じく検出領域を通過するこの時点において読み出される後続のトランスポンダと区別することができる。したがって、θ=0°の方向から応答し、その信号が偶モードにおいてのみ受信され得るトランスポンダが、選択されたトランスポンダでなければならない。この結果は、例えばコンベアベルト上またはゲートウェイ通路上の対象物の流れを調整および制御するために使用することができる。
代替的に、トランスポンダが共通仰角θ=0°で平面に沿っている時間も、偶モードから読み出すことができる。ここで、この位置では、送信器によって送出される信号は最大振幅で受信される。
しかしながら、実際の実施のためには、重畳ノイズによる不確実性を考慮する必要がある。図18は、ρ=20dBの信号対雑音比から始まる重畳ノイズを伴う偶モード(実線)および奇モード(破線)における図17の受信信号の波形を示す。
偶モードの広い放射ビームに起因して、ノイズは、検出領域内の信号最大値に対してより強い影響を及ぼし、それによって、最大値の探索中により大きな不確実性が生じる。奇モードでは最小値が比較的狭いことに起因して、これは不確実性の少ない重畳ノイズでも見出され得る。
このことを説明するために、図19は、図16による構造についての様々な信号対雑音比に対する決定された入射角θの決定された標準偏差を例示的に示す。信号対雑音比ρ(x軸上にdB単位で示す)が増加すると、奇モード(破線)における最小値の探索の不確実性は急速に減少し、一方、偶モード(実線)における最大値の探索は、高い信号対雑音比ρでは、相当により多くの不確実性を示す。ここで、推定入射角θの標準偏差√Var(θ)が、y軸に度(°)単位でプロットされている。この例では、トランスポンダは一定速度3m/sで移動する。標準偏差は、信号対雑音比値ρあたり10000個の試験値にわたって決定されている。ここで、z0=5mである。
偶モードおよび奇モード給電の原理の実施は、必要な給電ベクトルを供給する給電ネットワークに基づいている。したがって、入力ポートに割り当てられた式(1)による指向特性
は固有モードの指向特性
に対応し、給電ネットワークは固有モードネットワークであり、構成m=nが適用される。これはまた、それぞれ受信されている信号を出力するための1つの信号出力が、アンテナ素子710ごとに利用可能であることを意味する。
2つのアンテナ素子710を有する位置決め装置71の可能な構成が図20に示されている。2つのアンテナ素子710(AおよびBによって示される)から成るアンテナアレイは、給電ネットワーク711としての固有モードネットワークに接続される。給電ネットワーク711の入力(CおよびDによって示される)は、無線周波数信号のスイッチ(RFスイッチ)を介して選択することができる。スイッチの入力は、ここでは信号処理装置77としての役割を果たすRFIDリーダに接続されている。ここで、RFIDリーダはまた、信号源78を含み、それによって、RFIDリーダがトランスポンダのための励起信号を提供し、それらの応答信号を評価する。給電ネットワーク711の入力を切り替えることは、ここではアンテナ装置73の一部である制御論理713を介して行われる。給電ネットワーク711の入力CおよびDは、信号処理装置77の励起信号としてのRF信号の入力である。さらに、これは、アンテナ素子710によって受信される信号の出力である。ここで、スイッチが2つの指向特性の間の切り替えを可能にするように、指向特性、すなわち偶モードまたは共通モードも各入力に割り当てられる。
トランスポンダを読み出すこと、したがって、信号を受信することは、制御論理713に作用する制御装置74を介して調整される。図示の構成では、トランスポンダ信号は、偶モードと奇モードとで交互に読み出される。RFIDリーダ77によって提供される受信信号の振幅の値としてのRSSI値を用いて、偶モードおよび奇モードの割り当てられた時間信号を、各トランスポンダについて決定することができる。これから開始して、それぞれのトランスポンダがz軸θ=0°を横切る時間の決定が、データ処理装置75において実行される。1つの構成では、データ処理装置75は、特に、受信信号の入射角を決定する。
ここで、データ処理装置75も、アンテナ装置73の構成要素である。さらなる構成(図示せず)では、制御装置74もアンテナ装置73の一部であり、それによって、この構成において、位置決め装置71は、全体でアンテナ装置73およびRFIDリーダ77の2つの要素からなる。
ここで、制御論理713、制御装置74およびデータ処理装置75における分離は、それらの機能に関して見られるべきである。実現のために、異なる構成を実施することができる。
2つのアンテナ素子(アンテナAおよびアンテナB)からなる図13のアンテナアレイについて、給電ネットワーク711としての固有モードネットワークの1つの実施態様を図21に示す。この構成は、給電されるポート(すなわち、図20によるRFIDリーダの方向における給電ネットワークのそれぞれの入力、ここでは、奇モード入力のCおよび偶モード入力のDによって示されている)に応じて、それぞれ偶モード信号および奇モード信号を提供するハイブリッドリングカプラである。このようなハイブリッドリングカプラは、特に、固有モードネットワークが実現される場合に使用される。固有モード給電の原理は、任意の数のアンテナ素子を有するアレイに適用することができる。
図22は、3つのアンテナ素子を含むアンテナ装置の信号を例示的に示す(図12参照)。3つのアンテナ素子は、x軸上にあり、座標原点に中心を置かれている。3つのモードが示されている。ここで、時間信号(x軸上の時間t、ここでt=0は検出領域を通過する時間であり、受信振幅はy軸上で最大に対して正規化される)は、ここでは重畳されたノイズを有して示されている。信号対雑音比はρ=20dBである。
偶モード(実線)では、3つのアンテナ素子すべてが同位相で給電される。したがって、対応する指向特性は、両側に入る角度θ=0°に沿って最大値を有する。
奇モード(より長い部分線を有する破線)では、2つの外側要素は、ずれた位相で、同じ振幅で供給される。ここで、角度θ=0°で軸に沿ってそれぞれ最小値またはゼロが発生し、これは偶モードの最大値よりも小さい最大値まで横方向に増加し、その後再び減少する。
第3のモード(より短い部分線を有する破線)では、それぞれ隣接する要素がずれた位相で供給される。それにより、角度θ=0°の領域の周りの小さな最大値を有する放射線図におけるz軸の周りに対称に2つのゼロが生じる。2つのゼロは横方向に再び増加する。
ここで、考察は上半平面z≧0に限定される。
重畳されたノイズを伴う第3のモードの2つの付加的なゼロの助けにより、2素子アレイに関して、トランスポンダがz軸を通過する時間をより正確に決定することができる。妥当性の理由から、奇モード信号の最小値の推定時間は、第3モードの信号の最小値の時間の間に生じなければならない。
さらに、3素子アレイでは、奇モードのゼロは、アンテナ素子間の等しい距離が想定されるより大きい開口に起因して、2素子アレイよりもより明確である。
図23は、奇モード(実線)の信号ならびに奇モードおよび第3のモード(太い破線)に基づいて決定されている、奇モードの信号に基づいて決定されている、信号対雑音比ρの関数としての推定入射角θの標準偏差
を示す。比較のために、2素子アレイの奇モードの結果がプロットされる(細い破線、図19参照)。
ここで、トランスポンダは、決定された値について一定の速度v=3m/sでx軸(z=z0)に平行に移動する。アンテナ素子は、x軸上にあり、座標原点に中心を置かれている。標準偏差は、ρ値あたり10000個の試験値にわたって決定されている。依然として、z0=5mである。
2素子アレイと3素子アレイとの間の分散の比較は、奇モードと第3モードとの組み合わせが、2素子アレイの奇モードよりも低い標準偏差を示すことを示している。
13dB未満の信号対雑音比では、3素子アレイの奇モードは、2素子アレイの奇モードよりも高い標準偏差を生じる。3要素アレイでは、ρの値が大きくなるにつれて、奇モードの標準偏差が、奇モードと第3のモードとの組み合わせから生じる標準偏差に近づく。これは、入射角を推定する際の不確実性、したがって予測値周辺の散乱が減少するために生じる。したがって、奇モードの時間信号の最小値が第3のモードの最小値の間に生じない可能性はますます小さくなる。
図24および図25は、本発明の装置を介して提示されるデータを得るための第4の変形例を示す。
図24は、送信器82の位置を決定する役割を果たす位置決め装置81の第4の変形例の概略構成を示している。このために、位置決め装置81は、ここでは一例として3つのアンテナ素子87を備えるアンテナ装置83を備える。
アンテナ素子87は給電ネットワーク88の出力に接続されている。給電ネットワーク88を介して、アンテナ素子87に各々接続された指向特性89を生成することができ、調整装置84によって切り替えることができる。例えば、励起信号を送信するために、指向特性を重ね合わせることもでき、これは信号整形においてそれぞれの効果を有する。逆に、アンテナ装置83が信号を受信する場合、これは、給電ネットワーク88によって個々の指向特性に分割され、信号出力810を介して個別に出力される。したがって、図示の例では、アンテナ装置83は、それぞれ3つのアンテナ素子87および3つの指向特性89を有する場合に、3つの信号出力810も含む。
さらなる信号処理のために、信号出力810をそれぞれ情報読み取り装置86およびデータ処理装置85に接続する調整装置84が設けられる。ここで、調整装置84は、1つの信号出力を情報読み取り装置86に接続詞、残りの信号出力810をデータ処理装置85に接続する。
情報読み取り装置86およびデータ処理装置85は、いずれも受信信号を処理して評価する。示された構成において、両方の装置85,86は、それらの物理的特性に関して信号を評価する。このようにして、例えば、両方の装置85,86は、信号の電界強度の大きさを決定し、または、場合によっては実際に複素信号の位相値も決定する。ただし、情報読み取り装置86のみであっても、信号によってデータとして送信される信号から情報を抽出する点が相違する。これは、情報読み取り装置86のみが、例えば、信号から特定識別子または例えばデジタル情報を抽出することができることを意味する。このより高い評価は、図示の構成におけるデータ処理装置85によって提供されず、これは、例えば振幅または位相に関してのみ、信号を評価する。代替的な構成(図示せず)では、データ処理装置85もデータを抽出する能力を有する。
図示された位置決め装置81は全体として、物理的特性および送信器82の位置に関する情報に関する受信信号の評価を可能にする。
図示された例では、これらは各々、送信器82の放射から生じる同時に受信される信号である。
ここで、データ処理装置85はまた、全体として、送信器82の位置または少なくとも方向に関する情報を決定するために、情報読み取り装置86からデータ(例えば、決定されたRSSI値)を受信する。
図示の例の送信器82は、RFIDトランスポンダの形の受動送信器であるため、位置決め装置81は、加えて、アンテナ装置83を介して放射され、送信器82が次に信号を放射することが可能であるように、送信器82によって受信される励起信号を生成する信号源811を備える。ここで、送信される情報は、少なくとも送信部82の特定識別子である。
代替的な構成(図示せず)では、信号源811とリーダ86は1つのデバイスに属する。これは、例えば、RFIDリーダである。
したがって、1つの構成では、位置決め装置81は、送信器82、または具体的には、それぞれの情報読み取り装置86として1つまたは複数のリーダによって励起されているRFIDトランスポンダの受信信号の振幅および位相情報を提供することを可能にする。これは、個々の要素またはアンテナ素子87がバトラーマトリクスのような給電ネットワーク88に接続されているアンテナ装置83としてのマルチビームアンテナによって行われる。
通常、そのようなビーム形成ネットワーク88は、複数の入力および出力を有する。これらのポート810のうちの少なくとも1つ(すなわち、それぞれ入力および出力)を制御することによって、特定的に形成された指向特性(ビーム)89が送信事例について形成される。他のポート810に給電するとき、それぞれの異なるビーム形状が生じる。
給電ネットワーク88を使用することによって、それぞれの指向特性89を有する励起信号を送出するために、アンテナ装置83の1つのポート810が信号源811に接続される(代替構成(図示せず)では、アンテナ装置83の接続は情報読み取り装置86への接続である)。これにより、RFIDトランスポンダは送信器82として励起される。入射信号は、特に本質的に信号電力損失なしに、同じポート810を介して(すなわち、信号出力を介して)タップされ、情報読み取り装置86の構成としてのRFIDリーダに直接供給される。
1つの構成によれば、給電ネットワーク86の構成としてビーム形成ネットワークを使用することにより、各時間tにおいて、マルチビームアンテナ83内の送信事例についてただ1つのビーム、すなわち1つの指向特性のみが形成される。
しかしながら、受信の場合、すべてのビーム、すなわちすべての指向特性の信号情報が給電ネットワーク88のポート810に供給される。これらのビームは、本構成(図25参照)において重複するため、励起されたトランスポンダ82も、残りの受信ビームの少なくとも1つの部分的な部分にある。このようなビーム形成ネットワーク88は実際には絶対的に対称的ではないため、小さい信号部分も、情報読み取り装置86に接続されていないネットワーク88の(m−1個の)残りのポート810に入る。特に、ビームの重なりが使用される。これにより、能動ビーム(送信/読み取り装置のポート)によって励起されたトランスポンダの信号部分はまた、データ処理装置85に接続されている残りのポートにも入る。方向推定のために、この信号情報は、マルチビームアンテナ83に直接統合された電子機器(データ処理装置85)に供給されるか、または外部から利用可能である。
適切な切り替え論理によって、示された構成におけるビーム形成ネットワーク88のポート810の間の切り替えが実行される。これは、RFIDリーダ86が、ネットワーク88のすべての入力に、ただし、時間tにおいては1つの入力810のみに、連続的に接続されていることを意味する。したがって、残りのポート810も方向推定のためにデータ処理装置85に切り替えられる。
これにより、特定の時間t1の後に、アンテナ素子87の数および指向特性89ならびに切り替え時間に応じて、振幅および位相の指向性情報量が提供される。これはその後、計算することができ、反射およびあいまいさに起因して発生する可能性がある誤った情報を検出および考慮することができる。
このようなそれぞれのビーム形成ネットワーク88を備えたマルチビームアンテナ83によって、情報読み取り装置86の送信および読み取り経路はほとんど影響されない。マルチビームアンテナのビームの重ね合わせによって、受信事例において隣接するビームの少なくとも1つによって検出されるトランスポンダも励起される。図25参照。
したがって、信号情報は、リーダ86の信号経路に影響を与えることなく、この時点においてリーダ86の直接信号経路に正確に対応しない給電ネットワーク88の分離されたポート810においてタップすることができる。これは、受動トランスポンダ82の戻された信号の電力が非常に小さいため、リーダの範囲およびエラーフリー動作86において必須である。その理由から、リーダ86は高い信号感度を有する。
図25は、RFIDトランスポンダの形態の複数の送信器82を概略的に示す。ここで、4つの円は、4つの異なる指向特性89を示す。一つの指向特性89(太い境界)によって受信される信号は、情報読み取り装置86に供給される(矢印で示す)。
そこでは、信号から送信信号およびまた信号振幅の値(RSSI値)が決定される。残りの3つの指向特性89によって受信される信号は、データ処理装置85に供給される。
受信事例について、いくつかの送信器82の信号が情報読み取り装置86に到達し、また、データ処理装置85によって位置についても評価されるように、指向特性89が重ねられている(遮光領域)ことが分かる。
図26〜図36は、位置決め装置の第5の変形例を示す。
図26の位置決め装置91の構成は、送信装置(TX)92および受信装置(RX)93と、複数(ここでは3つ)のアンテナ素子96(例えばパッチアンテナの一部またはダイポールアンテナ、代替形態は、例えばモノポールアンテナ、モノポール型アンテナ、チップアンテナまたはループアンテナである)を備えるアンテナ装置95とを含む。ここで、アンテナ装置59は、マルチビームアンテナとして構成されている。ここでは、異なるビーム形状指向特性を切り替えることができ、それによって、アンテナ装置95を介して信号を送受信するための異なる空間領域を決定することができる。ここで、指向特性は、空間的に異なる受信感度および送信特性(または送信感度)に関連付けられている。指向特性および空間領域を選択することは、それぞれ、例えば給電ネットワークの形態の制御装置94を介して行われる。
位置決め装置91(図示の構成での代替の用語は中央無線ユニットである)は、送信装置92と受信装置93とを含み、これらはここでは、1つの送信/受信装置において組み合わされ、3つのアンテナ素子96を備えるアンテナ装置95を共に使用する。制御装置94によって実施される送信装置92および受信装置93ならびに送信/受信装置92、92の送信および受信器能の制御。この制御は、特に、それぞれ信号が送信または受信される空間領域空間領域に関連する。
個々の指向特性、したがって個々の空間領域の事前決定に関連して、無指向性放射または無指向性受信と考えられるものについて議論する。この場合、送信装置92および受信装置93ならびに利用可能なアンテナ装置95の構成に応じて、それぞれ信号が均質に、または複数の指向特性を使用することによって送受信される。したがって、好ましい分布は存在しない。このように、無指向性受信および無指向性送信の1つの構成では、アンテナ装置95に利用可能なすべてのアンテナ素子96およびすべての指向特性がそれぞれ使用される。
図示された例では、アンテナ装置95は3つのアンテナ素子96を含み、それによって異なる指向特性が生成され得る。ここでは、1つのアンテナ素子96は、有効化信号9100が送出される大きな有効化領域911を有する。有効化信号9100は、有効化領域911内の通信装置910を有効化または起動する役割を果たし、通信に必要なエネルギーを応答信号9101の形でこれに転送するものである。
通信装置910、すなわち、その信号が本発明に従って提示され、または、提示するための情報を取得するために使用される送信器としての上記で示したユニットは、図示された実施形態では、精神的に個々のフィールドへと分割される壁の中にある。フィールドへの分割は、特に、制御装置94が、受信装置93がそこから通信装置910の応答信号9101を受信する受信装置93のための異なる受信領域912を予め決定することによって行われる。これにより、受信装置93は、有効化領域911のフィールドをサンプリングする。これは、例えば、行ごとにもしくは列ごとに、または任意の方法で実行することができる。図示の構成では、受信領域912は、有効化信号9100が送信されている有効化領域911の部分領域である。受信領域912の事前決定は、アンテナ装置95の異なる指向特性を切り替えることによって行われる。
したがって、通信装置910を有効化する場合には、指向特性が使用されるか、または有効化信号9100が大きな有効化領域911に到達するように無指向に送信される。通信装置910の応答信号9101は、通信装置910の位置に関する情報も同様に得るために、より小さい受信領域912から受信される。
受信信号から、一方では、通信装置910に関する情報、すなわち特定識別子が決定される。さらに、各通信装置910の位置は、受信に使用される指向特性に関する信号から決定される。
したがって、位置決め装置91は、受信信号、ここでは応答信号9101から既存の通信装置910の位置およびアイデンティティに関するデータを取得し、それによって、通信装置910に接続されている可能性のある対象物も識別することができる。
通信装置910を識別して位置特定した後、個々の通信装置910との特定の通信が行われる。このために、送出されるべき通信信号9102が選択された通信領域913にのみ送信されるように、通信領域913が予め定められている。
領域911,912および913では、矢印は、それぞれ割り当てられた信号がいずれの方向に移動するかを示す。ここで、通信領域913は、場合によっては位置決め装置91の通信信号9102を送信した後に、通信領域913にそれらの信号を送出した通信装置910からのさらなる信号を受信する役割も果たす。
全体として、位置決め装置91は、例えば、バッテリまたは環境発電式発電機の形態の自律型電源を有する移動体または通信装置910と通信することを可能にする。
通信装置910は、1つの構成において、好ましくは電力節約無線受信器、無線送信器、ならびに計算および制御ユニットからなる無線接続を有する。任意選択的に、センサ(例えば、フォトダイオードまたはマイクロフォン)またはアクチュエータ(例えば、エンジンまたは音響信号発生器)を設けることができる。
観測時には、通信装置910は空間に分散しており、最初は静止している。例示および説明を容易にするために、通信装置910は、例えば、1つの平面または2つのオフセットされた隣接する半平面(例えば、壁棚)に配置され、中央無線ユニットから、中央無線ユニットからのコリメート光ビームと同等に、コリメート無線ビーム(以下、ビームとも称する)によって照準することができる。
図27は、いくつかの信号の経路を概略的に示す。ここで、位置決め装置91および通信装置910はともに、通信システムまたは通信アレイを構成する。
図示された位置決め装置91の構成では、送信装置92および受信装置93は、明確にするためにここでは図示されていない異なるアンテナ装置も使用する別個の構成要素である。
既存の3つの通信装置910には、送信装置92から有効化信号9100が送出される。図示の構成では、有効化信号9100は、いずれの通信装置910が完全に有効化され、応答信号を送信するかを示す識別子を搬送する。このようにして、いわゆる選択的ウェイクアッププロセスが行われる。適用事例に応じて、対象物はそれぞれのID(例えば16ビットシーケンス)を介して個別にアドレスされ、起動される。対象物グループ(例えば、グループID「12」を有するタイプ12のすべての対象物)を起動することは、選択的ウェイクアッププロセスとして実行することができる。これは、不要な送信プロセスが防止されるため、対象物内の消費電流を低く保つのに役立つ。さらに、選択的ウェイクアップは、非常に多数の対象物に到達する可能性があり、実際にはサブセットのみが要求の対象である場合に有用である。したがって、アドレス指定されていない通信装置910は、有効化信号9100のみを受信し、それ以上反応する必要がないという情報を読み出す。
さらなる代替的または付加的な構成では、送信装置92は、本明細書に示すように無指向にではなく、狭い選択された有効化領域911に有効化信号9100を送出する。有効化信号9100が到達する領域のこの制限によって、代替的にまたは付加的に、通信が行われるべき通信装置910の選択が行われる。
図示の場合、識別子を送出することにより、上および下の通信装置910のみが有効化され、それらの各々が応答信号9101を送出する。応答信号9101は、受信装置93の指向特性が通信装置910に沿って、ここでは上から下へ移動するかサンプリングするという点で、受信装置93によって受信される。
個々の通信装置910の位置は、受信に使用される指向特性に関連する2つの応答信号9101から決定される。例えばRFIDトランスポンダについて一般的であるように、応答信号は通信装置910の識別データも含むため、応答信号9101は個々の通信装置910の識別を可能にする。
位置決め装置91において、フィールド(ここでは3つ)をサンプリングした後、応答する通信装置910およびそれらの位置と、それによって通信装置910が各々アドレス指定され得る必要な指向特性との間で関連付けが行われる。
したがって、その後、個々の通信装置910との特定の通信が可能となる。このために、通信信号912が送出される通信領域は予め定められている。したがって、通信領域は、送信装置92のそれぞれの指向特性が通信信号9102を送信するために使用されるという結果をもたらす。
ここでは、例示的に、通信信号9102が下の通信装置に向けて放出される(点線矢印で示す)。
全体として、実施形態に関して、通信、識別および位置特定は多段階方法として説明することができる。
ステップ1:
第1の構成では、通信装置の有効化は、指向性または無指向性の方式で放出される有効化信号(または励起信号とも呼ばれる)によって実行される。これらの有効化信号は、一構成において中央無線ユニットの一部であり(図26参照)、代替的な構成では別個の構成要素(図27参照)である送信装置から発する。したがって、励起信号は、通信装置に対する、信号を送信することを求める要求を表す。ここでは、いずれの通信装置が応答すべきかを示す識別子が送信される可能性がある。
第1のステップの代替的な第2の構成では、開始信号が、この通信装置が通信を確立することを所望する少なくとも1つの通信装置によって送出される。これを検出するために、例えば、記載された中央無線ユニットの一部である受信装置は、少なくとも1つのリスン段階またはヒアリング段階において、無指向性で、または、適応的に複数の利用可能な指向特性によって信号を受信する。したがって、受信装置は、多くの異なる領域からの信号に対して能動的である。
このように、それぞれ送信装置および受信装置について、第1のステップは、大きな、必ずしも指定されていない領域に対して信号が送受信されることを意味する。
ステップ2:
ステップ1の第1の構成の有効化信号の後、通信装置(ここでは対象物と呼ばれることもある)は応答信号によって応答する。ここで、一構成において、応答信号は、例えば識別データまたは測定データ等の対象物固有のデータを含む。応答信号は、空間およびそれぞれ使用されるアンテナ装置が利用可能な指向特性によって選択的にサンプリングされるという点で、コリメートされた様式で受信される。これは、例えば、受信信号が一致する給電ネットワークによって個々の指向特性に割り当てられるという点で、連続的または並列的に行われる。1つの構成では、通信装置は、プリアンブルおよび実際に送信されるデータを含む応答信号を送信する。ここで、一構成において、プリアンブルは、通信装置の識別子を含む。1つの構成では、データはセンサによって検出される測定データを含む。
ここで、応答信号は、本質的に、遅延なくかつ並列に受信される。1つの構成では、これは、アンテナ装置に接続された給電ネットワーク(例えば、バトラーマトリクスの形態)による複数の異なる指向特性および分離によって行われる。別の構成では、異なる指向特性が非常に迅速に切り換えられ、したがって、通信装置が応答信号を送出する時間内にすべての受信領域が通過されるように、それぞれ異なる受信領域が迅速に切り換えられる。
ステップ1で述べた、開始信号が発信される通信装置を有する第2の構成では、受信装置は、1つの変形例では、ステップ2がスキップされることを許容する。これは、例えば、受信信号が指向特性に分離されることに起因して、通信装置がどこにあるかが開始信号によってすでに分かるためである。これがこの信号に基づいてまだ可能でない場合、さらなる変形例では、空間が個々の指向特性によってサンプリングされる。代替的に、開始信号がステップ1をトリガする。
通信装置による有効化に関する過程は、例えば、以下の通りである。
通信装置に接続されたセンサが、時刻t0におけるイベントを判定する。
それを受けて、それぞれの対象物の通信装置は、開始信号を送出する。この無線メッセージは、例えば、ID、センサ値、およびイベントのタイプまたはイベントのタイムスタンプに関する記述を含む。
位置決め装置の受信装置は、信号の無指向性受信に対して調整され、したがって、実際にはメッセージを直ちに受信するという点で開始信号を受信する。
受信装置が受信信号を指向特性に分離する選択肢を有する場合、これはまた、開始信号の受信と共に、フィールド内の通信装置の同じ角度位置および行列位置に、指向特性を割り当てられる。
代替の構成では、受信装置は個々の指向特性を関連付け、1つの通信装置のみが送信するため、フィールド間の切り替えを加速することができる。
全体として、プリアンブル(31*TB)およびデータパケットの持続時間(16ビットIDおよびデータ、全体として64から128ビットの間)の後、センサイベントの情報は、受信装置(および中央無線ユニットの受信器およびRX構成要素)のデータ記憶装置内に与えられる。ここで、情報は、開始信号の上述の内容に関する。
ステップ3:
このステップ3においては、実際の通信が行われ、無線電信は、それぞれ送信装置および中央無線装置によって個別の指向特性を介して個々の対象物またはフィールドに通信信号として特定的に送信される。指向性通信は、起こりうる干渉を低減し、送信電力を低減してより高いデータレートを可能にする。
ここで、1つの構成では、通信領域から通信信号を送出した後、少なくとも1つの信号が受信される。ここで、位置決め装置は、送信装置がそこに通信信号を送信し、受信装置がそこから好ましくは通信信号に対する応答信号である少なくとも1つのさらなる信号を受信する1つの通信領域を選択する。したがって、この構成では、双方向の信号伝送が通信領域で行われる。
ステップ1〜3については、図28〜図30に関連して以下で再び説明する。ここで、位置決め装置91は、構成要素として構成された送信装置92と、受信装置93と、アンテナ装置95とを備えて示されている。ここで、位置決め装置91は、部分的に中央無線ユニットとして参照される。
いくつかの通信装置910が中央無線ユニット91の前の空間にあり、各々が1つの対象物を提示する。対象物910は静止しており、それらの位置を変えない。図示の例では、アンテナ装置95の指向特性は、i番目の列目とj番目の行からもたらされる座標(i;j)によって示される複数のフィールドに空間を分離することを可能にする。
説明される信号を送信および受信するための空間領域が示され、矢印は信号の方向を示す。
図21に示すステップ1において、ウェイクアップ電信として参照され得る励起信号9100が、中央無線ユニット91によって(非)コリメートアンテナ装置95の視野内のすべての対象物910に同時に送信される。1つの構成では、信号は、例えば30msの持続時間を有する有効化シーケンスである。対象物910は、適応的に、合意された有効化シーケンスとして励起信号9100を受信して検出し、それを受けてステップ2の応答信号を準備するように構成されている。対象物910は、現在、「起動」されている。
中央無線ユニット91は、励起信号9100を送出した後、アンテナ装置95の一例としてのマルチビームアンテナを、対象物平面のm×nフィールドの最初に設定して受信に切り替える。送信装置92が最初に能動であった場合、この時点で、中央無線ユニット91の受信装置93が動作する。
図29は、ステップ2において起動した対象物910がどのように応答し、それらの応答信号9101を送信するかを示す。ここで、図示の構成では、応答信号9101は、応答プリアンブルと、ID識別子、シリアル番号または状態情報などの対象物固有の情報とを含む。さらなる情報はまた、センサ値または最後の特定の対象物イベント(例えば、振動)に関するデータであってもよい。
構成は、いくつかのフィールドからいくつかの通信装置910が応答することを示している(ここでは、これらはフィールド(1;1)、(3;2)、(4;1)および(5;1)である)。ほとんどの応答信号9101が、アンテナ装置95の指向特性が異なる受信領域912に切り替わるという点で分離されている場合、応答信号9101の分離が、識別分離を介して可能である。
さらなる構成において、いくつかの対象物910が互いに近接して配置されている場合、例えば個々のID識別子から導出される応答遅延が生じる。この遅延は、例えば、5に応答時間を乗算した数を法として、16ビットのID識別子から生じる。
一例:ID識別子68を有する対象物910は、3.50ms後に応答する。ID識別子21を有する対象物910は、1.50ms後に応答し、識別子40を有する対象物910は、何の遅延もなく即座に応答する。個々の信号がフィールドまたは受信領域から受信される時間を分離することによって、個々の通信装置910に対する分離が生じる。
対象物910が有効化無線シーケンス9100のそれぞれの受信レベルを、例えばRSSI値として指定する場合、1つの構成によれば、無線応答が提供されるための送信電力の適合、特に低減が、省電力、より長いバッテリ動作時間、およびまた近隣への二次放射の低減の理由で実行される。
ステップ3を示す図30は、フィールド(1;1)の対象物910との、位置決め装置91の特定の通信を示す。
中央無線ユニット91は、通信装置910の位置特定および識別から開始して、この時点で、アンテナ装置95のコリメートビーム方向によって特定のフィールド内の対象物910を特定的にアドレス指定し、場合によってはより高いデータレートであっても、さらなる通信を実行する。このために、送信装置93は、通信信号9102を送出する。好ましくは、これを受けて、選択された通信領域913の通信装置によって送信される信号の受信はまた、好ましくは選択された指向特性によって行われる。1つの構成では、さらなる信号を受信するために同じ指向特性が使用される。
例えば6*8から、例えば、12フィールドまでの、著しく小さいサブセットに照射されるべきフィールドの可能な減少が、特定の持続時間にとって有用である。それぞれのフィールド内の対象物910に対する中央無線ユニットによるフィールド座標(位置情報)をフィールドごとに放出することによって、対象物910の位置が個々に分かる。
この情報(コリメートされたフィールド毎の無線伝送による位置情報の伝搬)によって、アドホックセンサネットワークを形成する際のマルチホップ方法および対象物910間の近接率の迅速な決定が、効率的な様式で可能である。マルチホップ方式とは、複数の中間局間でデータパケットを送信することを意味する。したがって、1つの構成では、通信装置910は互いに通信する。
特定の持続時間の後、再び、すべてのm*nフィールドの完全なフィールド照射を行うことができ、方法はステップ1で再び開始することができる。
ステップ1〜3による方法の時間的頻度は、検出される対象物910の可能な更新レートおよびそれらの存在およびアイデンティティをそれぞれ決定する。対象物910が異なるフィールドを連続的に通過し、ステップ1〜3の方法についてそれぞれ応答するように、対象物910の移動プロセスをこのように検出することができる。間接的には、フィールド内の動きの方向(およびそれぞれ投影)および対象物速度も推測することができる。
図31は、短いサンプリングによるフィールド通過の時間的シーケンスの一実施形態を示す。また、いくつかの例示的な数値が与えられる。
座標(i;j)を有するM*N個のフィールドのサンプリングが示されており、i=1、...、Mおよびj=1、...、Nである。すべてのフィールドのサンプリングは持続時間T1内に行われる。
通信装置は、例えば1kbpsの、特定のデータレート1/Tb以下で応答信号を送出する。。保持持続時間1/TVD内で、中央無線ユニットは、指向特性によって選択される、選択されたフィールド(i;j)から無線信号を受信する。保持期間TVD、すなわち指向特性が能動であり、したがって受信領域から信号が受信される時間は、この図示の構成では最大でTb/(m*n)となる。
応答信号の持続時間としてのシンボル持続時間Tbは1msである。ここでは、指向特性によってM*N=10×10個のフィールドがサンプリングされる。
各フィールド上の受信領域、すなわちビームの保持持続時間TVDは、以下のようになる。
TVD=Tb/(M*N)−Tsettl,MKA
ここで、Tsettl,MKAは、1フィールド当たりの指向特性の整定時間です。ここで、Tsettl,MKA=100nsである。これにより、TVD=1ms/100−100ns=10μs−100ns=9.9μsとなる。
さらに、受信装置のスイッチオン期間Tonが示されている。このとき、応答信号は、ビーム、すなわち、それぞれ切り替えられた指向特性のビームがフィールド(i;j)にある間に受信される。スイッチオン持続時間は、受信装置の側でエネルギーを節約できるように、非常に短い(特に、TON<<TVD、例えばTON=100ns)ことが好ましい。これには、動作持続時間が長いという利点がある。同時に、省電力の受信装置は、例えば、家庭内での使用を可能にするか、または一般に、必要とするメンテナンスがより少ない。
時間TONでは、信号サンプルが受信され、処理される。これは、振幅変調、周波数変調または位相変調の形態で行うことができる。好ましくは、受信信号の振幅は、頻繁に(ダイオード検出器に匹敵する)省電力方式で行われることができるため、TON内で処理される。
特に、TON/T0<<1、場合によってはTON/T0≦1%である。ここで、時間T0は、T0=TVD+Tsettl,MKA=Tb/(M*N)によって与えられる。したがって、これは、それぞれ2つのサンプリングされたフィールド間の時間である。
位置決め装置の受信装置および中央無線装置は、それぞれオン電流として、すなわち受信信号を受信および処理するための電流要件として、IRX,ONの値を有する。
このように、通信装置の平均消費電流として、以下がもたらされる。
I
RX,ON=1mAである。次に、たとえばT
ON=100nsおよびT
0=10μsの場合、10μAの平均消費電流
が得られる。これにより、バッテリ駆動の通信装置を数年間動作させることが可能となる。
方法を加速し、エネルギーを節約するさらなる変形例は、以下の構成によって可能になる。
関心対象物の対象物および割り当てられたフィールド(x;y)がそれぞれ応答信号のプリアンブルを評価することによってすでに決定されている場合について、m*nフィールド行列に関するさらなる動作のいくつかの変形例がある。
一変形例では、さらなるフィールドは、既存のサンプリングレートfMKA,MUXおよび同じデータレートfsample,RXでサンプリングされる。これにより、すべての可能なm*n送信信号の完全な連続的処理が可能になる。送信対象物間または受信装置および中央無線ユニットでは、同期の労力は必要ない。
代替的な変形例では、応答信号のプリアンブルの評価によってすでに位置特定されているフィールドへの「照射される」ビームの数が低減される。例えば、5つのフィールドのみが識別される場合、ビームはすべてのm*nの代わりに5つのロケーションに限定することができる。10×10フィールドの場合、サンプリングレートfMKA,MUXが100/5=20倍増加することが可能であり、それには受信器の20倍のデータレートが伴う。特定の終了基準(例えば、所定の間隔または無線データがもはやフィールドから受信されないという事実)の後に、検出されるフィールドの減少は再びキャンセルすることができ、完全なm*n検出、すなわちすべてのm*nフィールドにわたる応答信号の検出を実行することができる。
代替的にまたは付加的に、m×nフィールド内のプリアンブルシーケンスを検出する場合、1フィールド当たりのビームの保持持続時間T
VDは、例えば10μsから1μsまで短縮され、これはより頻繁な検出、すなわち、より高いデータレート1/T
bを可能にする。ここでは、フィールドからの他の対象物の送信データは失われない。特定の終了基準(例えば、所定の間隔、または無線データがもはやフィールドから受信されないという事実)の後に、元のより低いサンプリングレートf
MKA,MUXを再び設定することができる。これは、より高いデータレートを有する送信データが実際の需要の間にのみ受信されるという点で、応答信号の電力節約受信を可能にする。通常、
がわずかに増加する。
保持持続時間TVDが経過した後、次のフィールドはビームによって制御される。このために、アンテナは異なる指向特性に切り替えられる。目標とされるm*n個のフィールドの順序は、任意にまたは経験的に連続して増減することができる。
この方法は、最大でデータビットの長さ(Tb)と同じだけの時間、すべてのフィールドおよび需要に対して実行される。これにより、送信データが失われることはない。
すべてのm*nフィールドを検出した後、この方法は次のデータビットに対して繰り返される。このようにして、受信されたビットシーケンスは、それぞれ、受信装置および中央無線ユニットのm*n個のデータバッファに記憶される。
必要に応じて、1つの構成では、この方法はオーバーサンプリング方式で使用される。すなわち、1フィールド当たり2つ以上のサンプル、例えば4つのサンプルが採取される。このために、保存持続時間を適応的に4倍短く選択する必要がある。データ処理ユニットはビットクロック1/Tbで動作し、一定の確実性で、それぞれの対象物の実際に与えられた応答を決定できるように、わずかな遅延で特定のプリアンブルまたは相関パターンの検出を実行することができる。
この場合、いくつかの結論を引き出すことができる。
それぞれのフィールドにおいて、対象物は有効化信号の形式で有効化無線シーケンスを受信し、それを復号化し、応答信号を送信するのに成功している。したがって、同時に、フィールド位置(i;j)は既知である。このようにして、無線対象物の存在を、例えば中間記憶装置に記憶することができる。対象物によって後で送信されるアイデンティティ識別子(ID)と共に、割り当てフィールド位置(i;j)および対象物IDを実行することができる。したがって、中央無線ユニットから発する角度推定の観点から、対象物が位置特定される。
いくつかの位置決め装置が互いに隣り合って使用される場合、少なくとも部分的に重複する角度フィールドの巧みな配置によって空間における位置を推測することができる。1つの位置決め装置のみが使用される場合、角度フィールド内の距離は、受信電界強度または「受信信号強度指標」(RSSI)として導出される数と共に推測することができる。使用されている位置決め装置によって較正の目的で無線障害のないRSSI検出が可能である場合、距離および可能な障害物または角度フィールドの遮光を推測することができる。
ビームにおけるビームコリメーションによって得られる指向性利得は、例えば、それぞれ低減した送信電力および受信装置の低減した最小感度によって、送信器側と受信器側の両方で使用することができる。それとは別に、「空間ダイバーシティ」という意味での指向性通信が、個々の指向特性のそれぞれの主ビームの外部の、わずかなまたはごくわずかな副送信で可能である。後者は、特に、アンテナ装置が、指向特性が各々1つの支配的なビームを含むマルチビームアンテナである場合に当てはまる。
この位置決め装置は、反応時間の少ない節電型無線受信器、例えば、ウェイクアップ受信器回路などが対象物および中央無線ユニットで使用される動作にとって特に好ましい。例えば、ドイツ特許出願公開第10 2009 047 199号明細書に記載の受信装置が挙げられる。通信装置と中央無線ユニットの両方がそれぞれの省電力方式で構成されている場合、数年の期間にわたって動作し、保守をほとんど必要としないバッテリ駆動の実施態様を対象物側だけでなく、中央無線ユニットにも設けることができる。
ステップ1による方法が比較的まれにしか行われない、例えば、2分毎にしか行われない特定の事例であって、ただし、ほとんどの時点において省電力型無線受信器によってすべてのm*n個のフィールドのサンプリング検出が可能にされる(ステップ2)受信事例において、消費電流は本質的に、中央ラジオユニットの側および対象物の側での受信器消費電流に低減することができる。
さらに、サンプリング方法は、対象物側の無線電信の自発的な送出を可能にする。このとき、調整または同期を省略することができる。対象物がイベント駆動方式でのみ無線メッセージを放射する場合、対象物側の消費電流の増加はそのようなイベントの頻度にのみ依存する。基本的に対象物数の数値限定は存在しない。対象物数の拡張または変更は常に可能である。
この方法は非常にわずかな遅延で構成され、対象物イベントの迅速な検出を可能にし、有線対象物を「物のインターネット」の意味で実施するためのワイヤレス無線システムの重要な技術的改善を提示する。
図32は、アンテナ制御部、サンプリングユニットおよびデータ処理部を有する中央無線ユニット91の構造の一構成を示す。
ここで、アンテナ装置95は、いくつかのアンテナ素子96を含み、そのうちの1つのみが図示されており、ここで、RXで示される矢印によって示される、受信装置93として動作し、TXで示される矢印によって示される、送信装置92として動作する装置に接続されている。これは、ここではサンプリングASK/OOK復調無線受信器として動作する省電力型送信/受信装置であることが好ましい。代替的に、周波数シフトキーイング(FSK)がデータ送信に使用されます。
制御装置94は、アンテナ装置95の個々の指向特性を選択し、指向特性に関連付けられ、そこから(応答)信号が受信され、そこに(通信または有効化)信号が送信されるフィールドの(x;y)座標を決定する。さらに、制御装置94は、クロック源から、フィールドをサンプリングするための、すなわち個々の受信領域を得るために指向特性を切り替えるための周波数fMKA,MUXを受信する。図示の構成では、関連付けられたデータレートfsample,RXが送信/受信装置に供給され、サンプリング周波数としてデマルチプレクサに供給される。
受信されたデータは、例えば、ASK/OOKデータまたはFSKデータの形態で、ワード幅nを有するバイナリデータストリームとして記述することができる。ワード幅1ビットの最も単純な事例は、例えば、単純な2−ASKまたはOOK復調において提供される。
データは、n個の出力を有するデマルチプレクサ(ここではDEMUXと呼ぶ)に転送され、各々が全体として、n個の受信データバッファ、および、それぞれ割り当てられたデータ処理ユニットDVのうちの1つに接続される。受信信号の検出されたビットは、その後、ソートされ、それぞれの長さLのM×N受信ビットシーケンスのデータバッファに格納される。M×N個の受信データバッファが、例えば、ワード幅nを有する長さLのシフトレジスタとして構成されている。単純化の理由から、これは同様に構成されている。
データ処理ユニットDVは各々、個々のフィールド(i;j)に割り当てられる一致(i;j)を生成する。これは、例えば、それぞれの通信装置の応答プリアンブルを特定の確度で検出するために、誤り耐性のあるまたはないパターン検出器として実行される。データ処理ユニットDVは、データコード化またはデータ分析を実行する。迅速な位置特定のために、1つの構成では、送信された識別配列とそれぞれの基準シーケンスとの類似性を判定するために、相互相関のデジタル計算として相関分析が使用される。データ処理ユニットDVは、送信および受信シーケンスの対応を表示するために、MATCH(m;n)として参照される、例えば、復号データストリーム、または、例えば、ワード幅vを有するデジタル信号を提供する。
送信シーケンスとして、すなわち応答信号として、相互相関分析に適したシーケンスが使用される場合(例えば、基準シーケンスの自己相関関数が時間離散ディラックインパルスと類似している場合)、送信シーケンスおよび基準シーケンスの首尾よい一致を容易に、デジタル方式で受信誤り耐性があるように決定することができる。この場合、一致するファクタと判定閾値との数値比較が使用されるとき、それぞれのMATCH(m;n)信号は純粋に2進信号として生成され得る。送信されるシーケンスは、相関のためのプリアンブルとデータ部分との組み合わせとして構成することができる。
この構成では、2−ASK変調(振幅シフトキーイング、搬送波信号の振幅がデータを送信するために変化される)応答信号として、m*nフィールドを有する領域から通信装置の無線応答が送出される。特定の事例では、これはオンオフキーイング(OOK)として行われる。オンオフキーイングでは、搬送波信号は、それぞれ論理1および論理0を送信するためにスイッチオンおよびオフされる。この変調の場合、受信器での復調は、アナログ比較器を用いた簡単な判定によって行うことができる。
このようにして、スイッチオン時間TON(図31参照)の後に、フィールド(i;j)内の対象物に由来する持続時間Tbのデータビットの受信および検出をすでに行うことができる。
ここで、位置特定のタイミングについて言葉を変えてもう一度説明する。
インターレース走査において方向付けられるアンテナ装置95としてのマルチビームアンテナを有する位置決め装置91のビームは、10μsで100ステップ刻みのシンボル持続時間(ここでは1ms)内で、M×Nフィールド(ここでは例えば10×10)をサンプリングし、アンテナ受信信号を省電力型サンプリング無線受信器に提供する。これは、受信器スイッチオン持続時間TON(ここでは例えば100ns)を用いて、ビーム保持持続時間TVD(9.9μs)内のRF信号の「短いサンプル」をとる。
このサンプルは、さらなるデジタル信号処理のためにASK/OOK復調方式で1対(M*N)デマルチプレクサに供給される。受信データサンプルをバッファリングするためのM×N個のシフトレジスタ((1;1)〜(M;N)で示される)が存在する。M×N個のシフトレジスタの各々には、シーケンスおよびプリアンブル検出があり、これは例えば、長さ31ビットのデジタル相互相関器として実施することができる。これは、データ処理ユニットDVによって実行される。
合意されたプリアンブルがそれぞれのM*Nデータベクトルに対してエラー耐性のある方法で検出された場合、M*Nフィールド行列内の(x;y)位置は自動的にかつ遅延なく分かり、合意された割り当てビーム角度および行列割り当てによって角度推定が実施される。
図33は、送信装置915および検出装置916を有する通信装置910を概略的に示しており、これらは、ここではアンテナ装置の2つのアンテナ素子であり、異なる指向特性も表す。ここで、通信装置910は、例えば、ドイツ特許出願公開第10 2009 047 199号明細書の開示に従って構成されている。本明細書において示されていない簡単な事例では、通信装置910はRFIDタグまたはRFIDトランスポンダである。1つの構成では、通信装置910のこの省電力構成から開始して、位置決め装置91自体も、ドイツ特許出願公開第10 2009 047 199号明細書に開示されているような省電力ユニットである。ここで、位置決め装置91は、電磁信号を送受信するための別様に選択可能な指向特性を有するアンテナ装置を備えている。
送信装置915によって、通信装置910は有効化信号9103を送出して、位置決め装置91に、有効化信号9100を送出させる。ここで、この有効化信号9100は、通信装置910に、さらなる通信または実際の通信のためにより多くのエネルギーを受け取らせる。これを受けて、通信装置910は、ここでは一例としてセンサ920の測定データを送信するために、その応答信号9101を送出する。ここで、センサ920は、例えば、温度センサである。
次のステップにおいて、位置決め装置91は、例えば、さらなるデータを通信装置910と交換するために、通信信号9102を送出する。
ここで、送信主導権は、それぞれ通信装置910および通信装置910を備える対象物に由来する(図示せず)。例えば、対象物は、中央無線ユニット91による位置決めを開始することを所望し、したがって、開始信号9103の形で、ウェイクアップシーケンスまたは別の適切な以前に合意されたシーケンスを中央無線ユニット91に放射する。1つの構成では、このような開始信号9103を受信するために、中央無線ユニット91は、無指向特性を有することが好ましい。代替的な構成では、例えば、アンテナ装置の既存のビーム形状指向特性は、全フィールドにわたって行ごとにサンプリングするように動作される。
中央無線部91は、対象物の主導権メッセージを受信すると、対象物位置(およびフィールド座標)を決定する。これは、例えば、個々の指向特性に従って受信信号を分割することによって、または個々の指向特性を特定的に切り替えることによって行われる。
対象物910がまた無線メッセージとしてIDを送出する場合、中央無線ユニット(すなわち位置決め装置)91は付加的に、それぞれ対象物IDおよび対象物フィールド番号および対象物位置と、必要な指向特性との間の関連付けられた情報を知っている。この関連は、中央無線ユニット91によって維持することができ、または本発明の装置を介して表示することができ、または1つの構成では、例えば通信信号の一部として対象物910自体に戻すことができる。位置情報を送信する手法は、例えば、中央無線ユニット91の検出領域に対象物910が新たに追加された場合、または対象物910が移動するかもしくは移動させられる場合に推奨される。次に、開始信号を複数回印加すると、対象物910は、移動全体の段階的検出を促すことができ、または、検出領域の休止を迅速に決定することもできる(「追跡およびトレース」)。
1つの構成では、開始信号は、上述の選択的ウェイクアップおよび有効化のプロセスに関連付けられる。
このようにして、選択的ウェイクアップはすべての移動される対象物に関連し、これらの対象物のみが中央無線ユニットによる位置決めのためにそれぞれの無線応答を送出する。これにより、無線トラフィックを移動される対象物に限定することができ、すべての位置(フィールド番号)を連続して、かつほとんど遅延なく決定することができる。
さらなる適用分野は、特に、例えばスペースの理由などによって、近距離場(距離<<10m)におけるRFIDベースの検出が不可能な環境である。
一構成(図示せず)では、いくつかの中央無線ユニットが使用され、これらは各々、特にマルチビームアンテナの形態のアンテナ装置を含む。これにより、単なるフィールド番号から空間上の位置まで、位置決めの正確度を向上させることができる。さらに、冗長性およびより低い推定誤差が達成される。このようにして、例えば2つのオフセットされた中央無線ユニットを用いて、自発的に導入された障害物による遮光を検出することができ、位置決めを依然として行うことができる。
対象物および通信装置の配置は、床板の行列またはセットおよび天井板として行うこともできる。各床または天井板に省電力無線受信器および無線送信器、ならびにコンピュータおよび制御ユニット、すなわち一般的には通信装置、および任意選択のセンサが設けられている場合、センサは、例えば、移動可能な対象物または人の近接性を検出することができ、次いで、上述のステップの意味で、例えば、開始信号によって、中央無線ユニットとの通信を開始することができる。このようにして、各床板について、その上での運転または足踏みを個別に登録することができ、同時に、ほとんど遅延なく中央無線ユニットに送信することができる。照明または遮光による明るさの低下などの他の感覚イベントも、開始をトリガすることができる。
さらなる構成では、対象物および通信装置はそれぞれ、例えば、駐車場、配送倉庫、現場などの広い領域に配置される。ここで、本発明は、1つの通信手段910を備えた対象物(例えば、輸送コンテナ、グリッドボックス、車両など)を各々、構成全体の中で位置特定することを可能にする。このために、構成に応じて、1つまたは複数の無線ユニット91が使用され、ビーム特性として放射されるその信号は、構成に応じて、領域全体または部分領域を照射する。1つの構成では、いくつかの中央無線ユニット91が、より高い信頼性、より正確な判定および正確度のために使用される。1つの構成では、これは、照射する領域を複数のセクタに分割する。ここで、1つの構成では、通信手段910は、それぞれの対象物の外側、例えば、車の屋根の上に、磁石によって取り付けられる。
上記の構成において、ビーム状アンテナ特性を向けることによって、フィールド内の対象物位置を決定する方法は、上記の段落で説明したように実行される。用途に応じて、可変ビーム形状放射特性を有するアンテナは、好ましくはより高い高さ、例えばマストまたは屋根上面に設置され、それによって、対象物の通信手段910への視野は可能な限り自由であり、したがってより大きな範囲が可能である。この方法は、例えば、広い領域上の対象物、コンテナまたは車両(人または生物も可能)の迅速な位置特定のために役立つ。
図34は、位置決め装置91が車両、例えばトラックに設置された応用事例を示している。
さらなる車両が、それぞれの通信装置910を有する。中央無線ユニット92は、通信装置910と通信し、それによって、通信領域913が前方を走行するこの車両に向けられる。これは、例えば、一定の速度を維持するために運転速度を調節および調整する役割を果たす。受信領域912は、他の2つの通信装置910、ここでは追い越している車に向けられる。したがって、位置決め装置91は、そこから信号を受信し、また、受信した信号の信号強度から少なくとも、対象物が依然として受信領域912の範囲内にあるか否かを判定することもできる。さらに、通信913は、適応的に他の対象物に方向転換することができ、結果、それらとの通信も実現することができる。
したがって、これは、車間通信の例であり、車両の、互いとのまたは他の道路ユーザとの通信を可能にする。通信領域913を介して、特に、双方向通信が別の車両と行われ、一方で、他の受信領域912は、いずれの車両がまた通信を所望し得るかをリスンする。したがって、そこから開始して、指向特性の切り替えが行われる。可能な周波数範囲は、例えば、無線LAN5.9GHz帯である。他の車両に関するデータは、本発明の装置を介して提示することができる。したがって、1つの構成では、他の車両の速度が決定され、受信信号から提示される。
同様の構成では、図35に示すように、対象物は通信装置910を有し、さらには、通信装置910は衛星である。したがって、これは、衛星910と、位置決め装置91が存在する地上との間の通信、またはいくつかの衛星間の通信に関する。
ここで、マルチビームアンテナとしてのアンテナ装置95は、複数のポート97を有する制御装置94としての給電ネットワークに接続されている。
通信領域913に割り当てられ、双方向通信に役立ち、少なくとも通信信号9102を送出する指向特性は、送信/受信ビームとして、特定の方向において給電ネットワーク94のポート97にわたって方向付けられる。給電ネットワーク94のこのポート97において、位置決め装置91(中央無線ユニットでもある)と、選択された衛星910の形態の通信装置との間の双方向通信が行われる。他のポート97において、リスンが行われる(受信事例)。すなわち、そこから信号(矢印で示す)が受信されるのみであり、そこに位置決め装置91によって信号が送出されない受信領域912としてのみ、他の指向特性が使用される。給電ネットワーク94のこれらの他の指向特性および割り当てられたポートおよび信号出力79をそれぞれ介して、さらなる衛星910を位置特定することができ、したがって、本発明によってユーザのために提示することができる。
通信ポートおよび通信ビームを介した接続がそれぞれ劣化すると、異なるビームおよび異なる指向特性に切り替えることができ、これは、異なる衛星との通信(例えば、より高い信号レベル)を可能にする可能性がある。
地上のステーションおよび位置決め装置の位置はそれぞれ、車両が移動してから追跡されなければならない任意の位置に取り付けられた1つまたは複数のアンテナを有する車両であってもよい。
図36は、移動無線範囲内の応用形態を示す。
移動無線機では、クライアント(例えば、携帯電話またはスマートフォン)は、分散して配置されたいわゆる基地局と通信する。基地局は通常、全部で何らかの無指向性特性がもたらされるように、マストに配置される。通常、クライアントには無指向性アンテナもある。しかし、しばしば、隠蔽または陰影の事例が発生する。
ここで、図示のスマートフォンは、位置決め装置91であり、マルチビームアンテナ(図示せず)を備えている。これにより、通信装置910の構成としてのいわゆる無線マストの方向における通信領域913、および、さらなる無線マスト910の方向における受信領域912の決定が可能となる。これは、場合によっては時間またはこれへの距離に依存して、著しくより高い利得(指向性)を有する特定の基地局910の通信および同時の決定を可能にする。
図示の矢印は、位置決め装置91が受信領域912(位置決め装置91の方向に単純な矢印)を介してのみ信号を受信し、位置決め装置91が対応する領域を介して信号を送受信すること(双方向における両方向矢印)を示す。
他の基地局910の信号レベルの検出から始めて、基地局910への隠蔽またはより大きい距離の事例がある場合、マルチビームアンテナの残りの受信経路は、特に、他の基地局910への通信のためのビームを旋回させることができる。このようにして、ビームは常に最良の信号強度を有する基地局に向けられることが可能である。
例えば、位置決め装置91がより右側に移動する場合、基地局910はそこでより良好な受信を提供する。
図37〜図50は、第6の変形例による位置決め装置を示す。
図37は、対象物410を検出するための位置決め装置41の例示的な構造を基本図として示す。位置決め装置41は、ここでは例えば、送信器として動作する送信装置42(別の用語:中央無線ユニット)と、合計20個の部分領域へとセグメント化されているか、または、これらの部分領域を形成する壁46に取り付けられている、送信器から離間した受信装置43(別の用語:無線モジュール)とを備える。受信装置43は、例えば、ユーザ情報を提示する本発明の装置の一部としてのアンテナ装置である。
ここで、送信装置42は、送信器および受信器として動作するマルチビームアンテナ(MBA)である。ここでは、OOK変調が用いられる。ここで、OOKは、論理1および論理0をそれぞれ送信するために、デジタル情報の搬送波信号がオンおよびオフに切り換えられる、いわゆるオンオフキーイングを表す。
受信装置43は、信号の受信および送信も可能にする。セグメント化に従って、M×N(ここでは5×4)個のウェイクアップ検出器が存在する(例えばドイツ特許出願公開第10 2009 047 199号明細書を参照)。図示の例では、受信装置43の消費電流は20μA未満である。
受信装置43(以下、無線モジュールともいう)は、観測時には、壁46に規則的に配置され、最初は移動しないことが好ましい。無線モジュール43は、信号としての集中無線ビーム(以下、「ビーム」とも呼ばれる)によって、送信装置42(以下、部分的には中央無線ユニットとして参照される)の構成の標的となる。
1つの構成(図示せず)では、受信装置43は、床板および天井板を介して配置される。1つの構成では、各床または天井板に、受信装置としての省電力無線受信器と、送信装置としての中央無線送信器とが設けられている。さらなる構成では、加えて、センサ、例えば、赤外線センサ、熱または湿度センサが設けられており、これらのセンサは、移動可能な対象物または人の近接性を検出し、次いで、中央無線ユニット、すなわち送信装置に信号を送出させる。したがって、各床板および各受信装置について、通過または足踏みを個別に登録することができ、中央無線装置によってわずかな遅延ですべての床板について同時に決定することができる。照射または遮光による明るさの低減のような他の感覚イベントも、それぞれのセンサによって送信装置を作動させることができる。
対象物410を検出するための例示的なシーケンスを、以下のステップに基づいて説明する。ここでは、追加または代替の構成に応じて記述が適用される。さらに、すべての構成においてすべてのステップが必要というわけではない。
この方法は、以下のステップまたは段階からなる。
ステップ1:送信装置42からそれぞれの受信装置43へと信号をコリメートして送出すること。
ステップ2:信号減衰が判定できる場合には、受信装置43から応答信号を送出すること。
ステップ3:次のフィールドの信号の設定し、ステップ1へと継続すること。
ステップ4:応答信号から生じるRSSIおよび減衰値を離散化すること。
ステップ5:対象物の動きベクトルの分類および導関数を形成すること。
対象物402によって受信装置43が覆われる場合、対象物43をより大きく見せる投影が参照される。この効果のために、一構成(図示せず)は、受信装置43が、対象物410の保持装置46までの距離もまた決定され得るように分布されることを可能にする。
図38は、マルチビームアンテナとして構成された送信装置42が、その指向特性を有する、したがってその主放射方向を有する無線モジュール壁46の第1のフィールドに向けられる事例を示す。ここで、指向特性は空間的に異なる放出特性に関連し、各指向特性は1つのビームによって特徴付けられる。
図示された実施形態では、異なる指向特性を切り替えることによって、主ビームが壁46のフィールド上に、したがって受信装置43上に導かれる。M*N個のフィールドは、以下で(i;j)によって参照され、i=1,2...m、j=1,2...nである。
続いて、第1のフィールド(1;1)において受信装置43に、それぞれ、ウェイクアップ電信および信号と呼ばれる無線電信が送信される。これは、持続時間が例えば30ミリ秒である有効化シーケンスとすることができる。
受信装置43は、送信信号において、特に事前に合意された有効化シーケンスを受信し、またこれを検出する。これを受けて、受信装置43は、上記ステップ42の応答信号を作成する。第1のフィールド(1;1)における受信装置43としての無線モジュールは、この時点においてそれぞれ「ウェイクアップ」され、アクティブになる。
1つの構成において、例えば、送信装置42と受信装置43との間の信号減衰を精密に決定するために、特定の信号が送信装置42によって1つのフィールド(i;j)内に付加的に送出される。
好ましくは省電力受信装置43は、送信信号を検出し、信号振幅に対するRSSI値を、好ましくはデジタル値として決定する。信号振幅によって決定されたRSSI値が、例えば、障害物のない環境での事前の特定の較正において決定されている、予測RSSI設定値よりも高い場合、受信装置43内のそれぞれのコンピューティングユニットによって決定されているRSSI値が、上記ステップ2の動作、すなわち受信装置43による応答信号の出力をもたらす。ここで、これは、例えば、無線信号を介して行われる。
ステップ2において、受信装置43は、例示の構成において、以下の場合には中央無線ユニットとしての送信装置42に応答信号を送出する形態での返答を控え、この場合、現在決定されているRSSI値(RSSIset)と予測設定値(RSSIexpected)との間の差として定義されるRSSI差、RSSIactual−RSSIexpectedは、所定の閾値(減衰制限値)未満であることが適用される。代替的な構成では、減衰制限値は、予測振幅に対する決定された振幅の比例値に関連する。
RSSI差が閾値より大きい場合、構成に応じて、決定されたRSSIactualまたはRSSI差(RSSIactual−RSSIexpected)またはそれぞれ離散化された量のいずれかが、フィールド(i;j)内の無線モジュールとしての受信装置43によって無線電信として、中央無線ユニット42に返されることになる。
1つの構成において、送信装置42による特定の要求によって、フィールド(i;j)内の受信装置43の完全な動作可能性をチェックするために、RSSIactual値、または、RSSIactual−RSSIexpectedによって与えられるRSSI差のいずれかが、無線電信および応答信号として返される。
送信装置42と受信装置43との間の光路上に対象物が存在しない場合、受信装置43の応答は省略される。これにより、受信装置43は、ほとんどの時間受信にチューニングされたままになり、それぞれの省電力無線受信器に必要な電流だけを消費することができる。これにより、保守の必要の少ないバッテリを備えた無線モジュール壁46を数年間運転することが可能となる。
ステップ3において、切り替え可能マルチビームアンテナ42の指向特性が次のフィールドに向けられる。
目標とされるm*nフィールドの順序は、行もしくは列、または対角線においても、または任意にまたはヒューリスティックに、連続的に増減することができる。それぞれのRSSI値の決定は、ステップ1および2で説明したように実行される。
本明細書で説明する例では、すべてのm*nフィールドを検出した後、全体として、個々のRSSI値(RSSIactual)i,jの行列と、それぞれ予測されるRSSI値(RSSIactual−RSSIexpected)i,jからの決定された偏差がもたらされる。したがって、これは、送信装置と受信装置との間の空間の画像と考えることができる測定サイクルである。
以下では、座標(i;j)を有する個々のフィールドの例示的な減衰値が以下のように定義される。
ATTENi,j:=(RSSIactual−RSSIexpected)i,j
送信装置42と壁46内の受信装置43との間にある対象物を通過するときのフィールド(i;j)に対するビームにおける無線信号の減衰に応じて、それぞれのレベル値ATTENi,jは、検出すべき障害物および対象物に関する情報を与える。
ここで、減衰は、それぞれの光路における対象物の材料および厚さ、ならびに、放射の周波数に依存する。
図39は、ビームが試験対象物を通過する間に生じる、可能性のある行列ATTENi,jを示し、決定された減衰係数はデシベル単位で示されている。
例示的な構成のステップ4において、簡略化された計算のための図39の行列は、1〜k個の判定閾値(ATTENthreshold,i)によって離散化される。
1つの構成では、離散経路減衰クラスdisk_ATTENi,jを形成するための規則は、以下のようになる。
ATTENthreshold,S−1<ATTENi,jかつATTENi,jATTENthreshold,Sの場合、disk_ATTENi,j:=S。
図39の例について、2つの判定閾値ATTENthreshold,1=15dBおよびATTENthreshold,2=25Dbが予め定められている場合、図40の離散ATTEN値の行列が得られる。
省電力のさらなる処理のために、1つの決定閾値のみでの離散化が与えられる。この場合、バイナリエントリ0または1を有する行列が得られる。
図41、図42および図43は各々、送信装置42および壁に取り付けられた受信装置43ならびに保持装置46を有する位置決め装置41を示している。ここで、対象物410として、車(図41)、ショッピングカートを持つ人(図42)またはフォークリフト(図43)が、信号通過領域内にある。
減衰ATTENi,jのそれぞれ結果として得られる行列が、図44b(車)、図44d(ショッピングトロリーを持つ人)、および図44f(フォークリフト)に示されている。行列値が判定閾値のみによって離散化され、フィールドが以下の方式、すなわち、値0の場合は白色および値1の場合は灰色、に従って着色されている場合、異なる形態が、図44a(車)、図44c(ショッピングカートを持つ人)、および図44e(フォークリフト)に示される。
ステップ5において、離散化した行列に基づいて形状分類が行われる。このために、領域、x方向またはy方向における延伸、対象物の対角線方向延伸を決定することができる。これらの特性に基づいて、記憶された基準形状を用いた2次元パターン認識と共に対象物分類を行うことができる。
すべてのm*n個のフィールドを検出した後、次の画像ATTENi,jに対してデータを得るための方法が繰り返される。異なる、特に後続の測定サイクルおよびそこから得られる減衰画像により、対象物が動いたか否かを判定することができる。
無線装置としての送信装置42の要求頻度、および、無線障害物としての基本的に可能な連続的存在に基づいて、無線モジュールとしての各受信装置43の最大消費電流を、それぞれの送信持続時間から推測することができる。
この場合、1つの構成では、ステップ2が変更される。
前回の測定サイクルと比較して1つの測定サイクル(画像と考えられる)からのRSSI値および決定された減衰RSSIactual−RSSIexpectedが、同様のままであるか、または、離散化された値disk_ATTENi,jがそれぞれのフィールドに対して補正されないままである場合、この構成において、それぞれの受信装置の応答としての応答信号は省略される。disk_ATTENi,jの補正値が存在する場合、すなわち所定の現像限界値内の偏差がある場合にのみ、この新しい値の受信装置から送信装置への無線送信が実行される。
この構成は、対象物が動かないか、または非常にゆっくりしか動かない場合に、受信装置および無線モジュールにおける無線トラフィックおよび消費電流をそれぞれ低減する役割を果たす。これは、電力線への配線または接続が不要であるため、無線モジュールおよび保持装置にわずかな保守しか必要とせず、同時に設置労力が低い、省電力無線受信器の使用をサポートする。したがって、装置全体の柔軟な使用が可能である。
さらなるステップにおいて、異なる画像ATTENi,jまたはdisk_ATTENi,jを先行する画像と比較することによって、移動方向および速度が推定される。このために、特に離散行列の場合、対象物の形状を同時に維持しながら、わずかな計算ステップのみで移動方向を推測することができるように、相関計算のための方法(整合フィルタ手法とも)が知られている。これにより、動きの方向を同時に判定しながら対象物のカウントプロセスを実現することが可能になる。
1つの構成では、例えば、異なる信号減衰に基づいて、材料クラスの金属、木材、プラスチックおよび生物組織に応じて区別を行うために、送信装置によって放出される信号の周波数が適応的に選択される。1つの構成では、少なくとも2つの信号周波数が使用される。
特に純粋にバイナリ離散化による、決定された減衰値の処理としての、離散化された画像の信号処理は、平均からわずかな計算労力で可能であり、それにより、整数算術における演算操作しか受けられないため、バッテリ式演算装置(専用のシーケンス回路またはプログラム可能なマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ)として容易に実施することができる。
図45は、いくつかの方法ステップの時間的シーケンスを示す。ここで、MKAは、受信装置への信号の送信器(TX)として、および、そこからの応答信号の受信器(RX)として動作する送信装置である。
送信装置MKAは、空間領域に向けられた信号(ここではビームと呼ぶ)を空間領域(1;1)に送信し、その後別の空間領域(2;1)にさらなるビームを送信する。これは、持続時間TTX,detにわたって行われる。その後、送信装置MKAは待機し、応答信号をリスンする。これは、この場合、送信期間TTX,detよりも長い持続時間Twaitの間続く。
ここでは、2つの受信装置(要素によって示されている)の挙動が、2つの位置(1;1)および(1,2)に示されており、両方の要素が信号を送信(TX)および受信(RX)する役割も果たす。
空間領域(1;1)において最初にアドレス指定された受信素子はビーム(1;1)を受信し、時間Tcalcにおいて減衰係数を計算する。ここで、これは、所定の減衰制限値よりも大きく、それによって、受信装置要素(1;1)は持続時間TTX,ATTENによって減衰係数を有する応答信号を送出する。
他方の受信要素である要素(1;2)においてもまた、信号(ビーム(2;1))が受信されるが、減衰値は制限値より小さい。したがって、第2の受信要素である要素(1;2)は、応答信号を送出しない。
対象物によるフィールド(i;j)(例えば床板上)上の足踏みまたは運転に基づく遮光に起因して信号減衰が非常に高い値をとり、対象物(i;j)によって占有されるフィールド内の受信装置と、送信装置の形態の中央無線ユニットとの間の無線通信が抑制される場合、1つの構成は、少なくとも1つの隣接するフィールド、例えば、(i+1;j)または(i+1;j+1)内の受信装置への切り替えを可能にする。これは、フィールド毎にローカルに、例えば無線によって伝播することができる。
さらなる構成では、特定の場合に、フィールド(i;j)のすべての直近の隣接フィールドが、中央無線ユニットとの無線通信を実行する。規則的な行列フィールドアレイの場合、4つまたは8つの隣接フィールドが利用可能である。これにより、フィールドまたは1つの伝播ビームにおける非常に高い無線スイッチオフによる通信の一般的な障害が防止される。
図46は、対象物410の1次元検出の特定の場合について、ここではコンベヤベルトによって与えられる経路に沿った受信装置43の例示的な構成を示す。
対象物410が移動する経路(矢印で示す)に沿って、受信装置43が配置され、受信装置43は、ここではその位置に従ってi、i+1、i+2で示されている。搬送経路の上には、複数のアンテナ素子を有し、マルチビームアンテナとして構成された送信装置42がある。マルチビームアンテナ42がこの受信装置43に送信している間に、対象物410が受信装置43の上にある場合、信号は対象物410によって減衰される。これにより、移送された対象物410がその経路に沿ってどこに位置するかを決定することができる。
図47は、図46の受信装置43の応答信号を時間tに応じて示す。位置i、i+1およびi+2にある受信装置は、各々、対象物410が存在する結果としてインパルスを出力する。輸送されている対象物が受信装置の上にある場合、マルチビームアンテナによって送出される信号の受信電界強度は、受信装置について低減される。その場合、応答信号が送出される。
対象物の速度、そのサイズ(長さ)および例えばその組成を、受信装置の応答から推測することができる。これにより、フロー制御が可能になる。
無線ベースのソリューションは、光バリアの形態の光センサと比較して、汚れの影響を受けにくく、マルチビームアンテナと無線対象物との間の向きに実用的な許容性を与えるという利点を有する。
図48は、切り替え可能なマルチビームアンテナを有する装置が、特定の空間方向に送出し、選択された空間方向から受信することを可能にする主要送信装置42(左側に示し、#1で示す)および主要受信装置43(右側に示し、#2で示す)として使用される場合を示している。これは、実際の保持装置を省略することができ、保持装置に付随する座標系は信号を送受信するために個々のビームを切り換えることによってデータ形式でのみ存在するという利点を有する。したがって、ラスタは、実際の対象物として提供されない場合にのみ暗示される。
さらに、図示の構成では、送信装置42および受信装置43が両側に存在し、それによって、両方の装置(#1、#2)が各々、信号を送信することができ、信号を受信することができる。ここで、信号は、減衰係数が決定される実際の測定信号と、受信信号に関する情報を搬送する応答信号とに関連する。
送信/受信装置42,43#1は、例えば、インターレース走査において、送信/受信装置42,43#2によって受信されるすべてのm×nフィールドの無線電信を受信する。これはそれぞれ矢印で示されている。ここでは、フィールドに信号が与えられる順序について、2つの送信/受信装置42,43の1つの協調/合意があれば十分である。
検出されるべき対象物410が、送信/受信装置42,43#1のコリメートビームによって標的とされるとき、送信/受信装置42,43#2は、そのコリメートビームがそれぞれ調整されている、送信/受信装置42,43#1から反射されて減衰された無線信号を受信し、復号することができる。信号を送出するための送信/受信装置42,43#1のコリメートビームのフィールド番号、および、信号を受信するための送信/受信装置42,43#2のコリメートビームのフィールド番号に関する既知の情報に起因して、交差した光円錐と同様に、(x;y;z座標としての)空間内の対象物410の位置および対象物410のサイズを推定することができる。
図示の構成では、評価装置44は、送信/受信装置42,43#1および送信/受信装置42,43#2に接続され、したがって、送信/受信装置42,43#1によって送信される信号に関する情報(すなわち、少なくとも振幅)、および、これに使用される指向特性を取得する。さらに、評価装置44は、送信/受信装置42,43#2から、受信信号に関する情報および割り当てられた指向特性を受信する。次に、対象物410の位置が、2つの指向特性からもたらされ、対象物410に関する、すなわち、その材料に関するさらなる記述が、2つの信号からもたらされる。
1つの構成では、以下が行われる。
送信/受信装置42,43#1は、コリメートビームをフィールド位置(i;j)に位置決めする。送信/受信装置42,43#2は、検出されるべき対象物410に関する知識がないため、すべてのフィールド(p;q)をサンプリングする。送信/受信装置42,43#2が特定フィールドの反射信号の受信を判定した場合、障害物としての対象物410の位置を推測することができる。送信/受信装置42,43#2によりすべてのフィールド(p;q)がサンプリングされると、送信/受信装置42,43#1は次のフィールド等に切り替わる。
任意選択的に、1つの構成によれば、純粋にシステム関連のラジオプリアンブルとは別に、2つのコリメートビームのそれぞれのフィールド位置も送出される。このとき、協調/合意を最小限に低減することができ、両方の無ユニット機(すなわち、送信/受信装置42,43#1および#2の両方)は、対象物410によるビーム反射を知ることができる。このために、1つの構成では、2つの無線ユニットが送信器と受信器の役割をフィールドごとに交換する。
さらなる構成では、この場合には受信装置43としてのみ動作する送信/受信装置42,43#2は、異なる指向特性を有し、いくつかの指向特性と同時に信号を受信する。ここでは、受信信号は、各々(例えば、バトラーマトリクスによって)個々の指向特性に分割される。これにより、異なる空間領域をリスンすることができる。ここで、個々の信号の信号振幅を評価することによって、最大振幅を有する空間領域を決定することができる。この空間領域はその後、送信/受信装置42,43#2によって別々に評価される。
図49は、本発明の位置決め装置41のさらなる構成を示す。
送信装置42は、ここでは壁要素として実施される保持装置46の方向に信号を発する。ここでは、適用事例に応じて、信号は無指向に、または個々の空間領域に放出される。無指向性放射は、使用されるアンテナの構成およびその一般的な放射特性に依存する。個々の空間領域への特定の放出は、送信装置42が各々異なる空間伝達特性に関連付けられた個々の指向特性を有することで可能になる。指向特性によって、信号は様々な度合いまで、異なる領域で放射される。図示の構成では、これらは、特にビーム形状に関連付けられた指向特性である。
指向特性および異なる指向特性を有する信号の放出は、信号が、保持装置46を横切って移動することを可能にし、それにより、保持装置46内の個々の受信装置43を個々にアドレス指定することを可能にする。
ここで、送信装置42には、送信装置42によって放射される信号および受信装置43から受信される信号から、送信装置42と受信装置43との間の対象物410に関する情報を生成する評価装置44が接続されている。
このために、信号評価装置45が設けられている。図示の例では、各受信装置43は、図示の例において受信信号から較正中に生成される値に関連する減衰係数を決定するような信号評価装置45を有する。較正中、受信装置43は、例えば、各々光路内に対象物がまったくない1つの信号を受信する。受信信号の振幅は、その後、基準値としてデータ記憶装置47に記憶される。適用の間、現在測定されている信号の振幅は、減衰係数を決定するために基準値と比較される。
ここで、受信装置43は、信号を受信した後、応答信号を生成して出力するように構成されている。この場合、送信装置42は受信装置となり、それによって、図示の例では、中央無線ユニット42と分散無線モジュール43はともに送信装置および受信装置であり、そのため、送信/受信装置である。
示された構成では、受信装置43は、エネルギーを節約するために、とりわけ、一方では減衰係数が特定の第1の制限値を超えなければならないという2つの条件で応答信号を送出する。したがって、減衰は最小量を有する必要がある。他方では、減衰係数は、先行する減衰係数からの特定の第2の制限値だけ異なっていなければならず、すなわち変化が生じている必要がある。
両方の基準が満たされると、送信装置43は、応答信号またはそれに関連する情報を評価装置44に送信する送信装置42に応答信号を送信する。
送信装置42がすべての受信装置43に信号を照射し、異なる指向特性を切り替えてそれぞれの応答信号を受信した後、評価装置44は、少なくとも対象物410の存在を検出し、対象物410の概要、したがって、減衰因子の構成から対象物を分類し、その材料に関する記述を行うために、受信装置43の減衰率および定位を評価する。
この構成において、受信装置43は、その後、送信装置42によって再度受信される、送信装置42によって送信される信号を反射する。これにより、信号は、送信装置42と受信装置43との間を2回通過する。
いくつかの態様を装置の文脈で説明してきたが、これらの態様は、対応する方法の説明も提示しており、それによって、装置のブロックまたはデバイスは、それぞれの方法ステップまたは方法ステップの特徴にも対応する。同様に、方法ステップの文脈で説明されている態様は、対応する装置の対応するブロックまたは詳細または特徴の説明をも提示する。方法ステップの一部または全部は、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路のようなハードウェア装置によって(またはハードウェア装置を使用して)実行されてもよい。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップの一部または複数は、そのような装置によって実行されてもよい。
特定の実施要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアもしくはソフトウェアにおいて実施することができる。実施態様は、電子的に読み取り可能な制御信号が記憶された、例えばフロッピーディスク、DVD、Blu−Ray、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ、ハードドライブまたは別の磁気または光学メモリなどのデジタル記憶媒体を使用して実行することができ、これはそれぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働する(または協働することができる)。したがって、デジタル記憶媒体はコンピュータ可読であってもよい。
本発明によるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の方法の1つが実行されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと協働することができる電子可読制御信号を備えるデータキャリアを含む。
一般に、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実施することができ、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で動作するときに、方法の1つを実行するように動作する。
プログラムコードは、例えば、機械可読キャリアに格納することができる。
他の実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、機械可読キャリアに格納される。換言すれば、それゆえ、本発明の方法の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのプログラムコードを備えるコンピュータプログラムである。
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを記録されているデータキャリア(またはデジタル記憶媒体もしくはコンピュータ可読媒体)である。データキャリア、デジタル記憶媒体またはコンピュータ可読媒体は、典型的には有形または不揮発性である。
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを提示するデータストリームまたは一連の信号である。データストリームまたは一連の信号は、例えば、データ通信接続を介して、例えば、インターネットを介して転送されるように構成することができる。
さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するように構成または適合される処理手段、例えばコンピュータまたはプログラマブル論理装置を含む。
さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムをインストールされているコンピュータを含む。
本発明によるさらなる実施形態は、本明細書で説明される方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信器に送信するように構成された装置またはシステムを含む。送信は、例えば、電子的であってもよいし、光学的であってもよい。受信器は、例えば、コンピュータ、モバイルデバイス、メモリデバイスなどであってもよい。この装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信器に送信するためのファイルサーバを含むことができる。
いくつかの実施形態では、プログラマブル論理デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGA)を使用して、本明細書に記載の方法の機能の一部または全部を実行することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書で説明する方法の1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働することができる。一般に、これらの方法は、好ましくは、任意のハードウェア装置によって実行される。これは、コンピュータプロセッサ(CPU)またはASICもしくはARMプロセッサなどの、その方法に特有のハードウェアなど、普遍的に適用可能なハードウェアとすることができる。
上述の実施形態は、本発明の原理の例示にすぎない。当業者には、本明細書に記載された構成および詳細の変更および変形が明らかになることは理解されたい。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、本明細書の実施形態の記述および説明によって示される特定の詳細によっては限定されないことが意図される。
第1の態様によれば、ユーザ情報を提示する装置は、アンテナ装置20,53,63,73,83,96,43と、処理装置3と、提示装置4とを含むことができ、アンテナ装置20,53,63,73,83,96,43は、空間的に異なる受信感度に関連する少なくとも1つの指向特性22を用いてシーン内の少なくとも1つの送信器11の信号を受信し、および/または、少なくとも1つの指向特性22を有する信号をシーン10へと送信し、少なくとも1つの送信器11の信号をシーン10から受信するように構成されており、処理装置3は、シーン10に関して受信信号を処理し、提示データを決定するように構成され、提示装置4は、少なくとも決定された提示データを提示するように構成されている。
第1の態様を参照する第2の態様によれば、装置はキャプチャ装置1を備えることができ、キャプチャ装置1はシーン10の視覚画像を取り込むように構成され、提示装置4は、少なくとも決定された提示データを、少なくとも1つのキャプチャされた視覚画像の提示に重ね合わせるように構成されている。
第1の態様〜第2の態様の少なくとも1つを参照する第3の態様によれば、装置は少なくとも1つの位置センサ6を備えることができ、提示装置4は位置センサ6のデータに応じて提示データを提示することができる。
第3の態様を参照する第4の態様によれば、位置センサ6は提示装置4に割り当てることができ、提示装置4はシーン10に対する提示装置4の向きに応じて提示データを提示することができる。
第3の態様を参照する第5の態様によれば、位置センサ6はキャプチャ装置1に割り当てることができ、提示装置4は、アンテナ装置20に対するキャプチャ装置1の向きに応じて提示データを提示することができる。
第1の態様〜第5の態様のうちの少なくとも1つを参照する第6の態様によれば、提示装置4は、眼鏡の形態で構成することができる。
第1の態様〜第6の態様のうちの少なくとも1つを参照する第6の態様によれば、提示装置4は、受信信号から決定される情報に基づいて光学的要素14を提示するように構成することができる。
第7の態様を参照する第8の態様によれば、提示装置4は、送信器11と提示装置4との間の距離に基づいて、および/または、送信器11と提示装置4との間の向きに基づいて、および/または、送信器11によって送信される情報に基づいて、決定された情報を提示するように構成することができる。
第1の態様〜第8の態様のうちの少なくとも1つを参照する第9の態様によれば、処理装置3は、データベース5に記憶されているデータにアクセスするように構成することができる。
第1の態様〜第9の態様のうちの少なくとも1つを参照する第10の態様によれば、処理装置3は、少なくとも1つの指向特性22に基づいて、および、少なくとも1つの受信信号に基づいて、送信器11の信号分布を提示データとして決定するように構成することができ、提示装置4は、信号分布を提示するように構成することができる。
第10の態様を参照する第11の態様によれば、提示装置4は、カラーコード化またはグレースケールコード化または信号強度ラインによって信号分布を提示するように構成することができる。
第1の態様〜第11の態様のうちの少なくとも1つを参照する第12の態様によれば、装置は、位置決め装置51を備えることができ、アンテナ装置53は、いくつかの異なる指向特性58を含み、指向特性58は各々、アンテナ装置53の空間的に異なる受信感度の量に関係し、調整装置54は、アンテナ装置53の指向特性58の少なくとも1つが有効化されるように、アンテナ装置53に作用し、アンテナ装置53は、有効化された指向特性58によって、送信器52から発する少なくとも1つの信号59を受信し、データ処理装置55は、少なくとも1つの受信信号と、有効化された指向特性58に割り当てられた空間的に異なる受信感度の量とを、重み付き受信値の量に対して処理し、少なくとも重み付け値の量から、送信器52の位置に関する情報を決定する。
第1の態様〜第12の態様のうちの少なくとも1つを参照する第13の態様によれば、装置は、位置決め装置61を備えることができ、アンテナ装置63は、いくつかの異なる指向特性67を含み、指向特性67は各々、少なくとも、アンテナ装置63の空間的に異なる受信感度の量に関連し、アンテナ装置63は、異なる指向特性によって送信器62から少なくとも1つの信号を受信するように構成されており、信号処理装置65は、アンテナ装置63から受信される信号を処理し、受信信号の電界強度の振幅値を決定するように構成されており、データ処理装置66は、指向特性67と、それぞれ割り当てられた受信信号から決定される振幅値とに基づいて、送信器62の位置に関する情報を決定するように構成されている。
第1の態様〜第13の態様のうちの少なくとも1つを参照する第14の態様によれば、装置は、位置決め装置71を備えることができ、アンテナ装置73は、送信器72から発する信号を受信するように構成されており、アンテナ装置73は、少なくとも1つの優れた指向特性を備え、優れた指向特性は、アンテナ装置73の空間的に異なる受信感度の量に関係し、優れた指向特性は、空間検出領域76に割り当てられた少なくとも1つの感度最小値を有し、データ処理装置75は、少なくとも検出領域76に対する送信器72の位置に対して、優れた指向特性によってアンテナ装置73から受信される信号を評価するように構成されている。
第1の態様〜第14の態様のうちの少なくとも1つを参照する第15の態様によれば、装置は位置決め装置81を備えることができ、アンテナ装置83はいくつかの異なる指向特性89を備え、指向特性89は各々、アンテナ装置83の空間的に異なる受信感度の量に関係し、アンテナ装置83は、いくつかの信号出力810を備え、指向特性89は、信号出力810に割り当てられ、制御装置84が、アンテナ装置83の信号出力810を情報読み取り装置86に接続し、さらに、アンテナ装置83の信号出力810をデータ処理装置85に接続するように構成されており、情報読み取り装置86は、受信信号から、その信号とともに送信されているデータを判定するように構成されており、データ処理装置85は、受信信号を、当該信号の物理的特性に関して評価するように構成されている。
第1の態様〜第15の態様の少なくとも1つを参照する第16の態様によれば、装置は、位置決め装置91を備えることができ、受信装置93は、信号9101,9103を受信するように構成され、制御装置94が、送信装置92が信号9100,9102を送出する空間領域911,913を事前に決定するように構成されている。
第1の態様〜第16の態様のうちの少なくとも1つを参照する第17の態様によれば、装置は、位置決め装置41を備えることができ、送信装置42が、信号を送出するように構成されており、受信装置43が、信号を受信するように構成されており、評価装置44が、送信装置42によって送信される信号と受信装置43によって受信される信号とを比較し、比較結果を生成するように構成されており、評価装置44は、比較結果から、対象物410が送信装置42と受信装置43との間に位置するか否かを判定するように構成されている。
第18の態様によれば、本発明は、ユーザ情報を提示する方法を提供し、送信器の信号が、空間的に異なる受信感度に関係する少なくとも1つの指向特性22を用いて受信され、および/または、信号が、少なくとも1つの指向特性22によってシーン10へと送信され、少なくとも1つの送信器11の信号が、シーン10から受信され、受信信号が、シーン10に関して処理され、提示データが決定され、提示データが提示される。