定義
本明細書に記載された発明に適用可能な定義は以下に記載されたものであり、本発明のある実施形態に関連するいくつかの特性の測定方法も同様に以下に記載される。
本明細書で使用される「重量%」とは重量パーセントまたは重量割合を意味し、また「wppm」とは重量基準での百万分の1部を意味する。他様に指定されない限り、パーセントおよびppm値は重量%およびwppmであると見なされなければならない。
周期表の族の付番方式は、Chemical and Engineering News、第63巻、第5号、27頁(1985年)に開示されたとおりである。
本明細書で使用される「Cx炭化水素」とは、xが整数であり、X個の炭素原子を有する炭化水素化合物を言う。したがって、C6炭化水素は6個の炭素原子を有する炭化水素である。同様に「Cx−Cy炭化水素」または「Cx−y炭化水素」とは、xおよびyを含めてx個〜y個の炭素原子を有する炭化水素である(たとえば、C6−C10またはC6−10炭化水素は6、7、8、9または10個の炭素原子を有する炭化水素である。)。
本明細書では様々なモノマー単位、たとえばエチレン由来単位、エチレン単位または単にエチレンを含んでいるポリマーへの言及がされる。ポリマーが「エチレン単位」または「エチレン」を含んでいると言及される場合には、それはポリマーが「エチレン由来単位」、すなわちその重合された形態(−CH2CH2−)のエチレンを含んでいることを意味していると理解されなければならない。ポリマーを構成する他のモノマー単位(たとえば、プロピレンまたはプロピレン由来単位)への言及も同じである。
本明細書で使用される用語「エラストマー」とは、ASTM D1566の定義の「大変形から回復する能力を有し、沸騰溶媒中に本質的に不溶性である(が、膨潤することができる)状態に変性されることができるまたはすでにそうである材料」に適合する任意のポリマーまたはポリマーの組み合わせを言う。本明細書で使用される用語「エラストマー」は用語「ゴム」と互換的に使用されてもよい。好ましいエラストマーはDSCによって測定することができない融点を有し、またはDSCによって融点を測定することができる場合には50℃未満、または好ましくは30℃、または0℃未満である融点を有する。好ましいエラストマーは、DSCによって測定された−20℃以下のTgを有する。
本明細書で使用される「分子量分布」(MWD)は、「多分散度」とも呼ばれ、ポリマーの重量平均分子量を数平均分子量で割ったもの(Mw/Mn)を表わす。Mw値およびMn値の測定法は、より詳細に以下で検討される。
ポリマー組成物またはエラストマー組成物に関しての「マルチモーダル」とは、その組成物が、第1のポリマー画分および第2のポリマー画分と呼ばれる少なくとも2個の画分の組み合わせを含んでいることを意味する。しかし、画分の番号付けは便宜上のものであり、他にどのような直接の意味合いもないことが注記され、画分の番号付けは、その画分が本明細書に開示されたマルチモーダルポリマー組成物へと製造され、ブレンドされ、または他様に取り込まれる何らかの順番を必ずしも指していない。マルチモーダルポリマー組成物のマルチモーダル性は、2個のはっきりと区別できるピーク、すなわちGPC−SECクロマトグラフィーと光散乱(LS)検出器との組み合わせを使用して測定されたMwシグナル中の主ピークおよびショルダーピークとして現われてもよい(より詳細に以下で検討される。)。
マルチモーダルのポリマーまたはエラストマー組成物は本明細書のいくつかの実施形態による直列リアクターでのブレンドを含んでいるというここまでの段落の記載にもかかわらず、第1のポリマー画分は直列反応プロセスにおける第1のリアクターのポリマー反応生成物とみなされてもよい(このポリマー反応生成物は所望の特性、たとえば分子量および/またはムーニー粘度の直接測定のために当該第1のリアクターから抜き出されてもよく、本明細書でより詳細に検討される。)。第2のポリマー画分は、直列反応プロセスにおける第2の重合リアクターのポリマー反応生成物と見なされてもよい。このような実施形態の第2のポリマー画分の特性の直接測定は(第2のポリマー画分は第2の重合リアクターを出て行く流出物中の第1のポリマー画分と混合されるので)困難であるかもしれないけれども、全体の直列リアクターブレンドの(すなわち、マルチモーダルのブレンド自体の)特性が測定されてもよい。第2のポリマー画分の特性はしたがって、上記の記載によって得られた、測定されたブレンド特性および第1のポリマー画分の測定された特性に基づいて計算されてもよい。そのような場合の関連する特性の計算は、関心の対象である特性に関連して本明細書に記載される。
同様に、マルチモーダルのポリマーまたはエラストマー組成物が別のブレンド、たとえば2種以上のポリマーの物理的なブレンドまたは他のポストリアクターブレンドを含んでいる場合には、一緒に混合されてブレンドを形成する各ポリマー組成物(たとえば、第1のポリマー組成物および第2のポリマー組成物)は、得られるブレンドの画分と解釈されてもよい。そのような例では、関連する特性(たとえば、分子量および/またはムーニー粘度)の直接測定は、混合されてブレンドを形成する前の各ポリマー組成物について実施されてもよい。
本明細書で使用される用語「リアクターブレンド」は、時には「緊密なブレンド」とも呼ばれ、同じリアクターまたは(直列あるいは並列の)複数のリアクターでつくられたポリマー鎖の(上記したマルチモーダルポリマー組成物におけるのと同じような)2種以上の画分を含んでいるポリマー組成物を言う。「直列リアクターブレンド」とは、直列重合によって製造されたリアクターブレンド(たとえば、第1の反応ゾーンからの重合流出物の少なくとも一部が第2の反応ゾーンへの供給原料として提供されるような直列に操作された2個以上の重合反応ゾーン)を言う。「ブレンド」とは、直ぐ上で定義されたリアクターブレンドあるいは物理的な(たとえば、ポストリアクター)ブレンド、たとえば2種以上のポリマー組成物をミキサー、押出機等の中で物理的に混合することによってつくられたものを言ってもよい。
本明細書で使用される「エキステンダー油」および「プロセス油」とは、同じような組成を有しても、または同じもしくは類似の化合物から選ばれてもよい。この用語は、油が導入されるエラストマーの製造サイクルのタイミングを区別するために使用される。「エキステンダー油」は、エラストマーの重合に引き続いてそのエラストマーに加えられる、または他様に取り込まれる油であり、たとえばその油はエラストマーペレット、ベール等の一部として(任意の他の所望の添加物とともに)取り込まれ、そのエラストマーが下流の製造業者に出荷されまたは他様に提供され、その製造業者は次なる順番としてそのエラストマーを処理して中間製品および/または完成品にする。「プロセスオイル」は、そのような下流の製造の間に(たとえば、エラストマーから製造される物品を形成する際のエラストマーと他の成分との押し出し、混合または他の処理の間に)エラストマーとともに配合物にされる。
本明細書で使用される「重合反応ゾーン」とは、その中で重合反応が生じるゾーンまたはスペースである。それは個別の重合リアクターであってもよく、または複数の反応ゾーンを収容するリアクター内の個別の場所もしくはゾーンであってもよい。
ムーニー粘度の測定
モノマー含有量は任意の適当な手段によって測定されてもよく、核磁気共鳴(NMR)分光分析に基いた技術が好ましい(たとえば、1H NMRおよび13C NMR)。
本明細書で使用される「ムーニー粘度」とは、ポリマーまたはポリマー組成物のムーニー粘度である。特に指定のない限り、ムーニー粘度はASTM D1646によってムーニー粘度計を使用して測定されるが、その手順に以下の修正/明確化が加えられる。最初に、サンプルの調製は以下の修正/明確化によって実施される:サンプルポリマー(250g)は試験の前にロールミルでひと塊りにされる。ミル温度はASTM D1646で推奨される50+/−5℃の代わりに150+/−5℃とする。というのは、50℃では分子鎖の機械的な劣化(破壊)が引き起こされることがあるからである。粗ポリマーサンプルの小片が、以下の手順に従ってロール間を10回パスされる(通される):(1)シリンダー間に十分な間隙を与えてポリマーを導入し、1回目および2回目のパスの間にポリマーを温める;3回目のパスの前に間隙を1.4+/−0.1mmに設定する;(3)ポリマーサンプルを(シートの形態で)再び導入して、9回目のパスまで各パスごとにシート自体の上にシートを折り重ねる;そして(4)9回目のパスの前に、8.0+/−0.5mmの厚いサンプルシートを製造するためにギャップを2.0〜2.5mmに設定する。その後、サンプルはダイで打ち抜かれ、ASTM D1646の粘度測定手順が引き続き行われる。さらに、ASTM D1646はダイ保護材についていくつかの選択肢を許容するけれども、任意の2つの選択肢が相反する結果をもたらすならば、36ミクロンのPETがダイ保護材として使用されなければならない。さらに、ASTM D1646は第8章でサンプル重量を示していない。したがって、サンプル重量に因って結果が変動しない範囲で、ASTM D1646第8章の手順における21.5+/−2.7gのサンプル重量を使用して測定されたムーニー粘度が採用される。最後に、ASTM D1646第8章に記載された試験の前の安定化手順は空気中23+/−3℃で30分間である。本明細書で報告されるML値は空気中24+/−3℃で30分間安定化された後で測定された。
粘度の試験の結果は(ML,1+8@150℃)として報告され、ここでMはムーニー粘度数であり、Lは(ASTM D1646−99にMLとして定義された)大ローターの使用を示し、1は分単位での予熱時間であり、8はモーターがスタートした後の分単位でのサンプル試験時間であり、150℃は試験温度である。したがって、上記の方法によって測定された90のムーニー粘度は、90(1+8@150℃)のムーニー粘度として報告されることになる。あるいは、ムーニー粘度は90MUとして報告されてもよく、そのような場合には、他様に注記のない限り(たとえば、ムーニー粘度は(1+4@125℃)で測定されたと注記されてもよく、これは4分間のサンプル試験時間および125℃の試験温度を示している。)、直ぐ上に記載した方法がそのような粘度を測定するために使用されていると見なされなければならない。
ムーニー粘度計のトルク限界は約100ムーニー単位(MU)である。約100ムーニー単位超のムーニー値は、一般にこれらの条件の下では測定することができない。その場合には、ムーニー粘度計について同じ計器の使用がより高粘度のポリマーに使用されることを可能にするムーニー尺度の変更によって、規格外の設計ローターが使用される。このローターは標準MLローターよりも直径が小さくかつ薄い。したがって、これはMST(ムーニー(Mooney)小さい(Small)−薄い(Thin))と名付けられる。MST方法は、米国特許第9,006,332号の第5欄、15〜52行に記載されているように100ムーニー単位超の粘度を有するポリマーの粘度を測定するために使用されてもよく、その記載は参照によって本明細書に組み込まれる。特に、MSTは(MST,5+4@200℃)として測定され報告されてもよく、これはMSTローターとともに5分間の予熱および200℃で4分間のトルクの記録が使用されることを意味する。さらに、ムーニー粘度が本明細書でMU、MSTとして報告される場合には、他様に注記のない限りMST粘度を測定するための直ぐ上に記載した方法が使用されていると見なされなければならない。
MSTローターは以下のように調製されなければならない:
1.ローターは、30.48±0.03mmの直径、2.8±0.03mmの厚さ(鋸歯状の切り込みの頂上)および11mm以下のシャフト直径を有しなければならない。
2.ローターは、鋸歯状の面および端であって、1.6mmの中心上でカットされた0.8mmの幅および0.25〜0.38mmの深さの角溝を備えるものを有しなければならない。鋸歯状の切り込みは互いに直角の2組の溝から成る(正方形の断面線を形成する)。
3.ローターディスクの中心線がダイキャビティの中心線と±0.25mmの許容範囲内で一致するように、ローターはダイキャビティの中心に配置されるものとする。スペーサーまたはシムが、シャフトを中間点に上げるために使用されてもよい。
4.摩耗点(ローターの上面の中心にある円錐形の突起)は、ローターの面とフラットに切り出されるものとする。
本明細書で使用される「MLRA」とは、ムーニー大緩和面積(Mooney Large Relaxation Area)として報告されるムーニー緩和面積であり、また「MSTRA」とは、ムーニー(Mooney)小さい(Small)−薄い(Thin)緩和面積として報告されるムーニー緩和面積である。MLRAおよびMSTRAのデータは、ローターが止められた後にゴムが緩和するときのムーニー粘度の測定(適用可能なものとしてそれぞれ、MLおよびMST)から得られる。MLRAおよびMSTRAのそれぞれは、1〜100秒間のムーニートルク緩和時間曲線の下の統合面積である。MLRAおよびMSTRAはそれぞれ融解ポリマー中の連鎖の緩和の指標であり、それぞれは貯蔵エネルギー項と見なされることができ、この貯蔵エネルギー項は、加えられた歪みが取り除かれた後、より長いまたはより分枝状のポリマー鎖が、より多くのエネルギーを貯蔵することができ、したがって緩和するのにより長い時間を要求することを示唆する。したがって、マルチモーダルのゴム(非常に高い分子量およびはっきりと区別できる組成を有する離散的なポリマー画分の存在)または長鎖分枝を有するゴムのMLRAまたはMSTRA値は、同じムーニー粘度値(それぞれMLまたはMST)で比較したときに、広いまたは狭い分子量のゴムよりも大きい。
ムーニー緩和面積(MLRAまたはMSTRA)はポリマーのムーニー粘度に依存し、ムーニー粘度の増加とともに増加する。MLに基いたムーニー粘度の場合にポリマームーニー粘度への依存性を除くために、補正されたMLRA(cMLRA)パラメーターが使用されてもよく、その場合にはポリマーのMLRAは80ムーニー粘度の参照値に正規化される。cMLRAの式は以下に提示される:
この式で、MLRAおよびMLは、125℃で測定されたポリマーサンプルのムーニー緩和面積およびムーニー粘度である。同様に、MLの代わりにMSTを用い、相関数の調整をされた同じような相関式から誘導されたcMSTRAが使用されることができる:
あるいは、MLRA/ML比が、MLRAのMLへの依存性を考慮して、MLRAおよびMLの両方のデータを包含するために使用されてもよい(もっとも、これはMLRAのMLへの依存性を除くことにはならないことが注記されなければならない。これは単に両方の用語が包含されることを保証するだけである。)。互いに10%以内のムーニー粘度を有するポリマーを比較する場合に、このような測定法は特に有用であることがある。同様に、互いに10%以内のムーニー粘度を有するポリマーを比較する場合に特に、MSTRA/MST比が、MSTRAのMSTへの依存性を考慮して、MSTRAおよびMSTの両方のデータを包含するために使用されてもよい。それぞれの比は時間の次元を有する。より高いMLRA/ML(またはMSTRA/MST)数は、適用可能な場合に、同じような値のMLまたはMSTを有する材料についてのより高い程度の融解物弾性を表している。長鎖分枝はポリマー鎖の緩和を遅くし、したがってMLRA/MLまたはMSTRA/MSTの値を増加させる。
分子量の測定
分子量(数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびz平均分子量(Mz))は、オンラインの示差屈折率(DRI)、光散乱(LS)および粘度計(VIS)検出器を装備したPolymer Laboratories社製モデル220高温GPC−SEC(ゲル浸透/サイズ排除クロマトグラフ)を使用して測定される。これは、0.54ml/分の流量および300マイクロリットルの名目注入体積を使用して、3本のPolymer Laboratories社製PLゲル10mの混合Bカラムを分離のために使用する。検出器およびカラムは135℃に維持されたオーブンに収められていた。SECのカラムから出てくる流れは、miniDAWN光学フローセルそして次にDRI検出器に送られた。DRI検出器は、Polymer Laboratories社製SECの一体部分であった。粘度計は、DRI検出器の後に配置されたSECのオーブンの内部にあった。これらの検出器の詳細とともにこれらの較正法は、たとえば、T.Sunらによって、Macromolecules、第34巻、第19号、6812〜6820頁、(2001年)に記載されており、これは参照によって本明細書に組み込まれる。
SECの実験のための溶媒は、4リットルのAldrich社製試薬等級1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)中に酸化防止剤として6グラムのブチル化ヒドロキシトルエンを溶解することによって調製された。TCB混合物は、その後0.7マイクロメートルのガラスプレフィルター、引き続いて0.1マイクロメートルのテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過された。TCBは次にオンライン脱ガス装置で脱ガスされ、その後SECに入れられた。ポリマー溶液は、乾燥ポリマーをガラス製容器に入れ、BHTで安定化された所望量のTCBを加え、次にこの混合物を約2時間連続的に揺動しながら160℃で加熱することによって調製された。全ての量は重量法によって測定された。ポリマー濃度を質量/体積単位で表すために使用されたTCBの密度は、22℃で1.463g/mLおよび135℃で1.324g/mLである。注入濃度は1.0〜2.0mg/mLであり、より低い濃度はより高い分子量のサンプルに使用された。サンプルを試験する前にDRI検出器および注入器はパージされ、流量が0.5ml/分に増加され、DRIは8〜9時間放置安定化され、その後第1のサンプルが注入された。LSレーザーは、サンプルを試験する1時間前に作動させられる。
クロマトグラムの各点での濃度(c)はベースラインを差し引かれたDRIシグナル(IDRI)から以下の式を使用して計算される:
c=KDRIIDRI/(dn/dc)
この式で、KDRIは、600〜10Mの範囲の分子量を有する一連の単分散ポリスチレン標準物を用いてDRIを較正することによって決定された定数であり、(dn/dc)はその系の屈折率増分である。屈折率nは、145℃でのTCBおよびλ=690nmの場合にn=1.500である。本発明および添付された特許請求の範囲の目的のためには、エチレン−プロピレンコポリマーについて(dn/dc)= 0.1048、およびEPDMについて(dn/dc)= 0.01048−0.0016ENBであり、ここでENBはエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー中の重量パーセントでのENB含有量である。ENBの代わりに(またはENBに追加して)他の非共役ポリエンが使用される場合には、このENBは全非共役ポリエンの重量%とされる。(dn/dc)の値は、他のポリマーおよびコポリマーについては別に0.1とされる。SEC方法についてのこの記載の全体にわたって使用されるパラメーターの単位は次の通りである:濃度はg/cm3単位で表され、分子量はg/モル単位で表され、固有粘度はdL/g単位で表される。
光散乱検出器は、高温miniDAWN(Wyatt Technology社)であった。主要部材は光学フローセル、30mW、690nmのレーザーダイオード光源であり、3個の一連のフォトダイオードが45°、90°および135°の収集角度に置かれた。クロマトグラムの各点での分子量(M)は、静的な光散乱についての以下のZimmモデル(M.B.Huglin著、「ポリマー溶液からの光散乱」、Academic Press社、1971年刊)を使用して、LS出力を分析することによって決定される:
この式で、ΔR(θ)は散乱角θで測定された超過レーリー散乱強度であり、cはDRI分析から測定されたポリマー濃度であり、A
2は第二ビリアル係数である(本発明の目的のためには、エチレンホモポリマーについてA
2=0.0015、およびエチレン−プロピレンコポリマーについてA
2=0.0015−0.00001EEであり、EEはそのエチレン−プロピレンコポリマー中の重量パーセントでのエチレン含有量である。)。P(θ)は単分散ランダムコイルについての形状因子であり、K
oはその系の光学定数である:
この式で、N
Aはアボガドロ数であり、(dn/dc)はその系の屈折率増分である。屈折率nは、145℃でのTCBおよびλ=690nmの場合にn=1.500である。
本出願の目的のためには、DRIおよびLSの測定が矛盾する場合には、MwおよびMzについてはLS測定が使用されなければならず、MnについてはDRI測定が使用されなければならない。分子量分布(MWD)値がMw/Mnとして報告される場合には、そのような値は他様に具体的に記載されない限りMw(LS)/Mn(DRI)であると見なされなければならない。
分枝指数
ポリマー組成物のレオロジー特性、たとえば分枝指数(BI)は、以下の記載に従って大振幅振動せん断(LAOS)方法を使用するゴムプロセス分析計(RPA)を使用して検討される。大振幅振動せん断(LAOS)は、ポリマーの有用な非線形特性を提供することができる。LAOSは、せん断複素弾性率(G
*)が角周波数および歪みの両方の関数である振動歪み領域として記載されることができる。LAOS試験は、ゴムプロセス分析計を用いて行われ、ここでATD(商標)1000ゴムプロセス分析計がAlpha Technologies社によって市販されている。ATD(商標)1000は、フィラー未充填のエラストマーおよびコンパウンドを試験するために設計された動的機械的レオロジー試験器である。他様に注記がある場合を除いて、LAOSを使用するレオロジー試験は、150℃の温度、1000%の歪み振幅および0.63ラジアン/秒のせん断周波数で実施された。入力歪みは関数:γ=γ
0sin(ωt)によって表され、ここでγ
0は歪み振幅である。これから分かるように、この関数は時間依存性である。ポリマーサンプルの応力応答性は以下のフーリエ級数を使用して測定され、これは下に示されるように時間、角周波数および歪み振幅の関数である:
G’およびG”は複素弾性率(G
*)の実数および虚数成分に対応する。別の言い方をすると、G’はせん断貯蔵弾性率(Pa)に、およびG”はせん断損失弾性率(Pa)に相当する。このフーリエ級数(G
1’、G
3’、G
5’等)の奇数次高調波がRPAによって計算される。
分枝指数(BI)は、Florian J.Stadlera、Adrien Leyguea、Henri Burhin、Christian Baillya、Polymer Preprints、2008年、第49巻、第1号、121〜122頁(「FTレオロジーおよび大振幅振動せん断(LAOS)、ポリマー構造を研究するための興味深い手法」、International Rubber Conference IRC 2006、フランス、リオン(2006年)におけるH.G.Burhin、N.Rossion、C.Bailly、A.Leygue、R.Kuenings; 「構造モデルによる直鎖状からみ合いポリマーの逆進流の研究」、AERC、Hersonisos、ギリシャ、クレタ(2006年)におけるA.Leygue、N.Roisson、C.Bailly、R.Keunings;およびXVth International Congress on Rheology、米国、カリフォルニア州、モントレー(2008年8月)におけるBurhinらも見よ。)に記載された方法によって計算される。特に、以下の式が使用される:
これらの式で、G
1’、G
3’およびG
5’は、複素弾性率(G
*)の実数成分G’に関連する第1、第3および第5高調波である。より高いBIは典型的には、増加したポリマー分枝および/または多分散度を示す。たとえば、典型的には、狭いMWDのEPDMターポリマーは約1のBIを有し、広いMWDのEPDMは約4のBIを有し、またバイモーダルのEPDM組成物は約7のBIを有すると予測される。
Tan(δ)、動粘度およびせん断減粘性比
Tan(δ)、動粘度およびせん断減粘性比(STR)もまた、RPA(たとえば、Alpha Technologies社によって市販されているATD(商標)1000ゴムプロセス分析計)を使用して測定される。これらの測定については、他様に指定のない限り、RPAは、それぞれの報告された測定の背景で示されるように、0.3ラジアン/秒〜300ラジアン/秒で変動するせん断周波数の範囲内で14%の変形歪みによって125℃の温度で使用されなければならない。測定の背景で他様に示されていない場合には、Tan(δ)の測定には11ラジアン/秒を使用することが好ましく、STRは、11ラジアン/秒で測定された動粘度η'を300ラジアン/秒で測定された動粘度η’で割った比と解釈されなければならない。このレオメーターは、動粘度η'の値ならびに弾性率G’およびG”の値をkPa単位で捕捉する。Tan(δ)はこれらの測定値からG”/G’として計算される。
エチレン含有量
エチレン含有量は、ASTM D3900によってFTIRを使用して測定される。ENB含有量は、ASTM D6047によってFTIRを使用して測定される。他のジエンが存在する場合には、その含有量はC13NMRを使用して得られることができる。エチレン重量%は、測定されたジエンについて以下の計算式によって補正される:(C2%(補正前)/(100+ ジエン%)*100)。
他の特性
他様に指定がなくまたは本明細書の文脈から明らかでない限り、本明細書および特許請求の範囲の目的のためには、硬度はASTM D2240によって;100%弾性率はASTM D412によって;引張強さおよび引張破断伸びはDIN 53504 S2によって;生ゴム引き裂き強さはASTM D624(ダイC)によって;25%たわみにおける圧縮永久歪みはASTM D395−Bによって測定されなければならない。また、加硫特性(たとえば、硬化速度、硬化状態)はASTM D5289に従って得られなければならない。
マルチモーダルエラストマー組成物の調製
前に注記したように、本発明は、いくつかの様相では、マルチモーダルエラストマー組成物およびそのような組成物をつくる方法を提供する。いくつかの実施形態では、マルチモーダルエラストマー組成物はバイモーダルエラストマー組成物(すなわち、2個の識別できるポリマー画分:低いムーニー粘度の画分、時には「第1のポリマー画分」と呼ばれるもの、および高いムーニー粘度の画分、時には「第2のポリマー画分」と呼ばれるものを含んでいる組成物)と特性付けられてもよい。ある実施形態では、エラストマー組成物の驚くほど有利な加工性が、以下の1つ以上の項目の注意深い調節によって達成される:(i)第1のポリマー画分の相対量;(ii)第1のポリマー画分の平均連鎖長;(iii)高いムーニー画分の相対量;および(iv)高いムーニー画分の平均連鎖長。特に、いくつかの従来のバイモーダルポリマー組成物と比較して、以下の項目を示すある実施形態において有利な加工性が達成される:(i)第1のポリマー画分が相対的に小さい量ではあるが(ii)同画分の平均連鎖長がより長いこと、およびこれに随伴して(iii)第2のポリマー画分が相対的により大きい量であるとともに(iv)同画分の平均連鎖長がわずかにより短いこと。これらの特性は、好ましくはブレンドの製造によって、最も好ましくはリアクターブレンドの製造によって達成され、以下でより詳細に検討される。
さらに、理論によって拘束されることを望むわけではないが、いくつかの本発明の実施形態によるブレンドは、従来のエラストマー組成物と比較して異なる構造(連鎖長、分枝)のエラストマー組成物を示すと考えられ、このことは、たとえばコンパウンドムーニー粘度とエラストマームーニー粘度との比によって例示され、またMLRA/ML比(ムーニー応力緩和/ムーニー粘度比)によってさらに例示される。コンパウンドムーニー、およびコンパウンドムーニーとエラストマームーニーとの比は、本明細書の以下で、より詳細に検討される。
いくつかの実施形態のマルチモーダルエラストマー組成物は、好ましくは85〜95重量%(好ましくは88〜90重量%、または88〜92重量%、たとえば88.5〜89.5重量%)の第1のポリマー画分、および5〜15重量%(好ましくは10〜12重量%、または8〜12重量%、たとえば10.5〜11.5重量%)の第2のポリマー画分のブレンドであり、当該重量%はブレンドの全重量に基いて決定され、それぞれの画分の重量%についての上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。
第1のポリマー画分は第2のポリマー画分よりも低いムーニー粘度を有する(別の用語で言えば、第1のポリマー画分は第2のポリマー画分よりも低い平均連鎖長、したがって低いMnおよび/またはMwを有する。)。しかし、いくつかの好ましい実施形態の第1のポリマー画分は、「低い」ムーニー粘度の画分の場合でさえも従来のムーニー粘度値よりも高いムーニー粘度値を有する。特に、そのような実施形態では、第1のポリマー画分は、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも65(たとえば50〜75MU、好ましくは60〜75MU、たとえば65〜74MU、またはより好ましくは68〜72MUの範囲内)のムーニー粘度(ML,1+8@150℃)を有し、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。
他の実施形態では、この「低い」ムーニー画分のムーニー粘度は、さらにより高く、たとえば65〜90MU、好ましくは70〜80MU(ML,1+8@150℃)の範囲にされてもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。そのような実施形態は非常に高いムーニー粘度のポリマーブレンドを製造するのに有利であり、これはスポンジまたは発泡グレードに特に良く適していることがある。そのようなグレードは、本明細書に記載された様々な実施形態の他のポリマーブレンドと同様に、油展される必要がない。しかし、そのようなポリマーブレンドから、発泡された物品を形成するための配合物は、発泡物品の好適な柔軟性を達成するように、典型的には高い量のプロセス油、およびいくつかある添加物の中でも任意的に1種以上の発泡剤を含んでいる。より高い分子量(すなわち、より高いムーニー粘度)を有するポリマーブレンドは、下流の発泡工程および物品の形成の際にこの追加のプロセス油をより容易に吸収することができると考えられる。好ましくは、そのような実施形態によってスポンジグレードのバイモーダルコポリマー組成物を形成する場合に、より高いムーニー粘度のブレンドは、この第1のポリマー画分のムーニー粘度をより高い方向に調節することによって達成される。
注記されたように、第2のポリマー画分は第1のポリマー画分よりも高いムーニー粘度を有する。しかし、いくつかの好ましい実施形態では、第2のポリマー画分は、同じような従来のマルチモーダルエラストマー組成物と比較して、わずかに低いムーニー粘度(すなわち、より短い平均ポリマー連鎖長)を有するように調節される。たとえば、そのような実施形態の第2のポリマー画分のムーニー粘度は約250〜1200、たとえば250〜900、または300〜600MUの範囲であってもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。いくつかの特定の実施形態では、第2のポリマー画分のムーニー粘度は250〜500、たとえば275〜400、または300〜350MUの範囲内にあり、ここでも上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。さらに他の実施形態では、第2の画分の粘度は300〜1200MU、たとえば300〜1100、または400〜800MU、または500〜1000MU、たとえば550〜750、または600〜700MUの範囲内にあり、ここでも上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。ある実施形態では、第2のポリマー画分のムーニー粘度は、第1のポリマー画分のムーニー粘度よりも少なくとも150、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも230ムーニー単位だけ大きい。
全体ブレンドのムーニー粘度は、好ましくは少なくとも70MU、より好ましくは少なくとも80MUである。たとえば、いくつかの実施形態での全体ブレンドのムーニー粘度は、70〜100MU、たとえば80〜100MU、好ましくは77〜87MU、または75〜95MU(たとえば、80〜95、80〜90、または80〜85MU)の範囲であってもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。さらに他の実施形態によるブレンドは、さらにより高いムーニー粘度(たとえば、第1のポリマー画分が相対的により高いムーニー粘度を有しているブレンド)を示してもよい。このようなブレンドは、スポンジまたは発泡グレードに特に有用である、前に記載された非常に高い粘度のブレンドである。これらの実施形態のブレンドは75〜150MU、たとえば80〜120、85〜100MU、85〜95MU、または90〜100MUの範囲内のムーニー粘度を有していてもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。
ブレンドならびに第1および第2のポリマー画分についての上記のMU値の全ては、ML,1+8@150℃として測定される。
前に注記したように、マルチモーダルエラストマー組成物が直列リアクターブレンドである実施形態では、第2のポリマー画分の粘度を単独で測定することは不可能ではないにしても困難であることがある。それは第2の画分が直列重合プロセスの流出物中で第1のポリマー画分と混合されることになるからである。しかし、第1のリアクター製品(すなわち、第1のポリマー画分)の粘度は、第1のリアクターから第2のリアクターに供給される流れからいくらかの製品を取り出すことによって直接測定されてもよい(以下の、直列リアクターブレンド重合についてのより詳細を見よ)。第1のリアクター製品のそのようなサンプルは、重合を止め過剰の溶媒を除去するために温水によってクエンチされ揮発性成分除去されて、その後でサンプルが上記のムーニー粘度の測定手順(または特性を測定するための任意の他の手順、たとえば分子量を測定するためのGPC)に付されなければならない。さらに、(第1および第2のポリマー画分の両方を含んでいる)第2の直列リアクターの最終製品は、(ここでも、クエンチおよび揮発性成分除去の後で)直接分析されてそのムーニー粘度が測定されてもよい。全体ブレンドの粘度および第1の画分の粘度を知ることによって、以下の関係式を使用して第2の画分の粘度を計算することが可能になる。
logML=nAlogMLA+nBlogMLB (1)
この式で、MLは、それぞれが(上記と同じ手順、たとえば1+8@150℃によって測定された)個々のムーニー粘度MLAおよびMLBを有する2種のポリマーAおよびBのブレンドのムーニー大粘度であり;nAおよびnBはブレンドの成分AおよびBの重量画分を表す。ある実施形態では、いくつかの実施形態(たとえば、直列重合で得られた第2の画分)による第2のポリマー画分の計算されたムーニー粘度は、優に100超である非常に高いムーニー粘度値をこの関係式が答えることがある。したがって、非常に高い粘度のポリマーについてのMST(ムーニー、小さい−薄い)測定法の使用に関する上記の検討にもかかわらず、これらの計算されたムーニー値は、(i)第1の画分および(ii)全体ブレンドのムーニー値を得るために使用されたムーニー測定法に基いたML(1+8@150℃)として報告される。
第1および第2のポリマー画分のそれぞれは、好ましくはエチレン、1種以上のα−オレフィンおよび任意的に1種以上の非共役ポリエン(たとえば、1種以上の非共役ジエン)に由来するコポリマーを含んでいる(または、いくつかの実施形態では、から本質的に成る、またはから成る)。この文脈で使用される「から本質的に成る」とは、典型的な重合プロセスに起因する微量(たとえば、100重量ppm未満)の不純物(たとえば、溶媒または触媒材料、例としてチーグラーナッタタイプの重合触媒の使用から残留する4族金属)の存在を考慮に入れている。好適なα−オレフィンとしては、C3〜C20のα−オレフィンが挙げられ、プロピレン、1−ブテンおよび1−オクテンが好ましい(いくつかの実施形態では、プロピレンが特に好ましい。)。好適な非共役ポリエンとしては、米国特許出願公開第2015/0025209号の段落220に記載されたポリエンが挙げられ(その記載は参照によって本明細書に組み込まれる。)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および/または5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)が特に好ましい。(第1および第2のポリマー画分の一方または両方についての)好ましいポリマー画分は、したがってEP(D)M、エチレン、プロピレンおよび任意的に1種以上のジエン(この1種以上のジエンが存在する場合には、好ましくはENBおよび/またはVNB、最も好ましくはENBが挙げられる。)のコポリマーを含んでいる。第1および/または第2のポリマー画分中に1種以上のジエンが存在する場合には、参照されるポリマー画分はEPDM画分と呼ばれてもよい。
第1および第2の画分のそれぞれのモノマーの素性は異なっていてもよいが、それらは(たとえば、第1および第2の画分の両方がEPDMターポリマーを含んでいるように、すなわち第1および第2のポリマー画分が、それぞれ第1および第2のEPDM画分となるように)好ましくは同じものである。
モノマーの素性に関して同じかまたは異なるものであるかは、各画分のモノマーの構成(すなわち、第1および第2の画分のそれぞれ中の各モノマーに由来する単位の重量%)が同じかまたは異なるものであってもよい。
好ましくは、各ポリマー画分は約40〜80、たとえば40〜70、または50〜60重量%のエチレン由来単位を含んでおり、この重量%はそれぞれのポリマー画分の全重量に基いている。さらに、各ポリマー画分は、好ましくは約0〜15、より好ましくは約4〜10、たとえば5〜9重量%の非共役ポリエン由来単位(好ましくはジエン由来単位で、ENB由来単位またはVNB由来単位が特に好ましい。)を含んでいる。さらに他の実施形態、たとえば前に注記した発泡またはスポンジグレードに適した非常に高い粘度のブレンドでは、各ポリマー画分のポリエン由来の含有量は、それぞれのポリマー画分の重量に基いて、幾分、より高い範囲内、たとえば7〜15、7〜12、または8〜12重量%の範囲内であり、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。そのような、より高いポリエン含有量は、発泡物品の形成の際にブレンドのより速くかつより調節可能な架橋に役立ってもよい。C3〜C20のα−オレフィン由来単位(好ましくは、プロピレン由来単位)は、各ポリマー画分(たとえば、エチレンおよび非共役ポリエン由来単位の量に応じて5〜60重量%(5および60重量%を包含する。)の範囲)の残余分をまかなう。
いくつかの実施形態では、第2のポリマー画分のエチレン含有量は、第1のポリマー画分のエチレン含有量よりも2〜4重量%だけ大きい(たとえば、第1のポリマー画分が第1のポリマー画分の重量に基いて55重量%のエチレン含有量を有する場合に、第2のポリマー画分が第2のポリマー画分の重量に基いて57〜59重量%のエチレン含有量を有するように)。同じような方法で、第2のポリマー画分のポリエン(たとえばジエン、例としてENB)含有量は、第1のポリマー画分のポリエン含有量よりも1〜2重量%だけ大きくてもよい。しかし、さらに他の実施形態では、2個の画分は好ましくはおおよそ同じような組成を有する。このことは、第2のポリマー画分のエチレン含有量、ポリエン含有量および他のコモノマー含有量のそれぞれが、第1のポリマー画分のエチレン含有量、ポリエン含有量および他のコモノマー含有量のそれぞれの2重量%以内、より好ましくは1重量%以内または0.5重量%以内にさえあることを意味する。
いくつかの実施形態の全体ブレンドのエチレン由来単位の含有量は、ブレンドの重量に基いて好ましくは40〜70重量%、たとえば50〜60重量%である。特定の実施形態のブレンドは、ブレンドの重量に基いて52〜58重量%のエチレンを含んでいる。ブレンドのポリエン含有量は、ブレンドの重量に基いて5〜10、好ましくは5〜8、たとえば6〜7.5、6.5〜7.5または6.5〜7重量%の範囲内にあってもよい。さらに他の実施形態の全体ブレンド(たとえば、上記の発泡またはスポンジグレードに適した非常に高いムーニーのブレンド)のポリエン由来単位の含有量は、より高い範囲内、たとえば7〜15、7〜12または8〜12重量%の範囲内にあってもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。ブレンドの残余分は1種以上のα−オレフィン、好ましくは1種のα−オレフィン、たとえばプロピレン、1−ブテンまたは1−オクテンによって補填される。
注記されたように、ブレンドは好ましくはリアクターブレンド、たとえば直列リアクターブレンドである。そのような実施形態では、上に注記されたように、第2の画分が第1の画分を含まないその第2の画分を含んでいる製品流れはなくてもよい。しかし、第1の画分中のおよび全体ブレンド中の所与のモノマーXに由来する単位の量は、上に注記されたようにブレンドおよび第1の画分のムーニー粘度を測定することの観点から直接測定されてもよい。これらの値から、リアクターブレンドの第2の画分中の所与のモノマーXに由来する単位の量は、以下の関係式を利用して計算されてもよい:
Xブレンド=nAXA+nBXB (2)
この式で、Xブレンドは、それぞれXAおよびXBのモノマーXに由来する単位の個々の(重量%単位での)含有量をそれぞれ有する2種のポリマー画分AおよびBのブレンド中のモノマーXに由来する単位の(重量%単位での)含有量であり;nAおよびnBは、ブレンド中のポリマー画分AおよびBの重量分率を表す。ブレンドについておよび第1の画分(たとえば、式(2)中の成分A)についての既知のモノマー含有量を用いて、および既知のポリマー分割比(たとえば、ブレンド中の第1および第2の画分の重量%)を用いて、第2のポリマー画分(たとえば、式(2)中の成分B)のモノマー含有量は、容易に計算されることができる。
マルチモーダルエラストマー組成物のさらなる特性
いくつかの実施形態のブレンドは、300,000g/モル超、好ましくは350,000g/モル超のMw(上記のように、LS検知器を備えたGPCによって測定されたもの)を示す。たとえば、いくつかの実施形態のマルチモーダルエラストマーブレンドのMwは、300,000〜800,000、たとえば300,000〜600,000、好ましくは350,000〜550,000 g/モルの範囲であってもよい。Mn(DRI)は、好ましくは75,000g/モル超、たとえば75,000〜135,000、好ましくは75,000〜150,000の範囲内である。いくつかの実施形態によるいくつかの非常に高い粘度のブレンドのMw(LS)およびMn(DRI)は、これらの範囲の上限にあってもよい(たとえば、Mw(LS)は450,000〜600,000、たとえば450,000〜550,000g/モルの範囲内であり;Mn(DRI)は100,000〜150,000、たとえば110,000〜125,000の範囲内であり、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。)
MWD(Mw(LS)/Mn(DRI))は、好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも4、たとえば4〜10、好ましくは4〜7、たとえば4〜6の範囲内である。いくつかの好ましい実施形態では、MWDは4〜5.5、たとえば4〜5、または4.5〜5の範囲内であってもよい。上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。
150℃で測定されたブレンドのムーニー大ローター緩和面積(MLRA)は、少なくとも700MU・秒、たとえば少なくとも800MU・秒であってもよい。MLRA/ML(これも150℃で測定されたもの)は5〜20秒の範囲内にあってもよい。好ましくは、MLRA/MLは少なくとも10秒、たとえば10〜20、10〜15、または10〜13秒さえの範囲内であり、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。スポンジまたは発泡グレードに適した非常に高い粘度のブレンドの場合、MLRA/MLは11〜20、たとえば11〜15、または11.5〜14秒さえの範囲内であってもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。
さらに、いくつかの実施形態のブレンドは、150℃、0.63ラジアン/秒とともに1000%の振動振幅でゴムプロセス分析計(RPA)によって測定された5〜15、好ましくは6〜10の分枝指数を示してもよい。非常に高い粘度のブレンド、たとえばスポンジまたは発泡グレードに適したものは、3〜7、たとえば4〜6の範囲内の分枝指数を有してもよく、これらの数値は、いくつかのそのような非常に高い粘度のブレンドの実施形態の場合にわずかにより少ない分枝を示している。
非常に高い粘度のブレンドはまた、以下の特性のうちの1種以上を示してもよい:(i)0.3〜0.5、たとえば0.4〜0.47の範囲内の11ラジアン/秒でのtan(δ);(ii)10,000〜15,000cP、たとえば11,000〜14,000cP、または11,500〜13,000cPの範囲内の(11ラジアン/秒での)動粘度η';(iii)400〜700cP、たとえば500〜600cPの範囲内の (押し出し剪断速度を近似する300ラジアン/秒での) 動粘度η';および(iv)15〜40、たとえば20〜30の範囲内のせん断減粘性比(STR)(11ラジアン/秒での)η'/(300ラジアン/秒での)η'。様々な実施形態では、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。
マルチモーダルエラストマー組成物を形成する方法
使用される重合プロセスは、好ましくはチーグラーナッタ触媒系を使用するものである。そのような触媒系は、一般に触媒(たとえば、チーグラーナッタ触媒、例としてVOCl3またはより好ましくはVCl4)およびときには活性剤とも呼ばれる1種以上の共触媒の両方を含んでいる。いくつかの好適な触媒系ならびにそれらの触媒および共触媒は、米国特許第3,980,623号の第3欄、47〜60行目に記載されており、その記載は参照によって本明細書に組み込まれる。特に好適な共触媒としてはさらに、上記の第3,980,623号特許に記載されていないものとして、ジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)、エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)および/またはエチルアルミニウムジクロリド(EADC)が挙げられる。
重合プロセスは好ましくは、不活性の炭化水素溶媒を使用する溶液重合プロセスである。そのような溶媒としては、エラストマー性ポリマーの溶解剤としての役割をすることができる任意の炭化水素液体が挙げられる。好ましくは、溶媒は式CxHyを有する1種以上の炭化水素液体を含んでおり、この式でxは5〜20およびyは12〜22であり、たとえばヘキサン、イソヘキサン、ペンタン、イソペンタンおよびシクロヘキセンである。
さらに、注記したように、マルチモーダルエラストマー組成物は、好ましくはリアクターブレンド、最も好ましくは直列リアクターブレンドである。したがって、いくつかの実施形態は、2つ以上の直列重合反応ゾーン、好ましくは2つの直列反応ゾーンを使用する溶液重合を使用して、マルチモーダルエラストマー組成物を製造する。そのような実施形態によれば、第1の複数のモノマー(エチレン、α−オレフィン、および上記の検討によるポリエン)が、重合溶媒およびチーグラーナッタ触媒系とともに第1の重合反応ゾーンR1に供給される。これらの供給原料成分は、予め混合されて一緒に供給され、別々に供給され、または任意の所望の副組み合わせで供給されてもよい。好ましくは、これらは第1の重合反応ゾーンR1に連続的に供給されるが、バッチ重合プロセスもまた本発明の範囲内である。さらに、水素ガスが、連鎖成長を停止させることによって反応ゾーンR1で生成される第1のポリマー反応生成物の平均連鎖長を調節するために、第1の反応ゾーンR1に少量で供給されてもよい。反応ゾーンR1内で、モノマーおよび触媒系は、十分に裏付けられているチーグラーナッタ重合機構によって反応して、第1のポリマー反応生成物を生成する。
(第1のポリマー反応生成物を含んでいる)第1の重合流出物は、第1の重合反応ゾーンR1から抜き出され、第2の重合反応ゾーンR2に供給される。(直列リアクターブレンド中の第1のポリマー画分の直接の特性測定についての上記の記載に従って、第1のポリマー反応生成物の特性の直接測定を可能にするために、第1の重合流出物の一部が収集されてもよいのはこの場所である。)いくつかの実施形態によれば、(エチレン、α−オレフィン、およびマルチモーダルエラストマー組成物を形成するのに適したモノマーについての上記の検討によるポリエンを含んでいる)追加のモノマーが、追加の溶媒とともにまたは追加の溶媒なしで、第1の重合流出物とともにまたは第1の重合流出物に追加して、第2の反応ゾーンR2に供給されてもよい。
この場所で、追加のチーグラーナッタ触媒系もまた、第2の反応ゾーンR2に供給されることができよう。しかし、第2の反応ゾーンR2の中で重合反応が生じるのを最小化するように、追加の触媒が第2の反応ゾーンR2に供給されないことが好ましい。R2において、第1のポリマー反応生成物のポリマー鎖のいくらかはそれら自体で共重合し、第2の重合反応ゾーンR2で生成された著しく長いポリマー鎖をもたらす;しかし、この効果は反応ゾーンR2に追加の触媒を供給しないことによって最小限にされる。この効果は、第2の反応ゾーンR2にNH3を供給することによってさらに抑えられてもよい。第2の重合流出物はしたがって、第1のポリマー反応生成物および比較的少量の第2のポリマー反応生成物を含んで、第2の反応ゾーンR2から抜き出される。
明らかなように、より短い鎖長およびより多い量を有する第1のポリマー反応生成物は、上記の実施形態のエラストマー組成物の第1の低ムーニーのポリマー画分に相当し;第2のポリマー反応生成物は、上記の実施形態のポリマー画分の第2の高ムーニーのポリマー画分に相当する。好ましくは、そうであれば、各反応ゾーンR1およびR2での重合は、その他の上記の特性の中でも、上記のポリマー分割比およびムーニー粘度を有するエラストマー組成物を得るように調節される。
第1および第2のポリマー反応生成物を含んでいる第2の重合流出物(すなわち、マルチモーダルエラストマー組成物)はまた、大量の溶媒とともにいくらかの未反応モノマーおよび他の副生成物(たとえば、重合反応の間のチーグラーナッタ触媒系から派生する副生成物化学種)を含んでいる可能性が高いこともさらに注記される。したがって、いくつかの実施形態のプロセスは、たとえば揮発性成分除去による、溶媒、モノマー、および副生成物の除去をさらに含む。いくつかの実施形態による揮発性成分除去は以下のものを含んでいてもよい:(i)第2の重合流出物をスチームフラッシングして、その中に溶解している溶媒およびあり得る化学種を除去し、それによって、マルチモーダルエラストマー組成物および水を含んでいるスラリー(いくつかの実施形態ではスラリーの重量基準で95重量%までの水)を形成すること;および(ii)スラリーから水を除去し、これはスラリーをエキスパンダーまたは圧搾機に通すことであってもよく、それに引き続いて熱処理すること。得られたエラストマー組成物はその後、ペレットまたは好ましくはベールへと形成されることによってさらに処理されてもよい。(ペレット、ベールまたは他の適当な形態の)エラストマー組成物はその後、さらなる処理(たとえば、配合物化および製造物品への形成)に提供されてもよく、その例は以下に記載される。
様々な実施形態のマルチモーダルエラストマー組成物によって達成されるコンパウンドの加工性における利点のおかげで、マルチモーダルエラストマー組成物から形成されるエラストマーコンパウンドへのエキステンダー油の追加を省略することまたはその導入を最小限にすることが、多くの実施形態において可能である。たとえば、エキステンダー油を粗ポリマー流出物(たとえば、上記のプロセスの説明による第2の重合流出物)に加えることはよく行われていることである。しかし、これらの好ましい実施形態によるプロセスは、エキステンダー油の添加を省略し、それによって第2の重合流出物を油を添加することなく(すなわち、揮発性成分除去プロセスに提供されるときに、第2の重合流出がエキステンダー油を実質的に含んでいないように)揮発性成分除去プロセスに提供することを提案する。さらにその上、揮発性成分除去された(出荷および/または製造物品へのさらなる加工用のペレット、ベールまたは他の所望の形態の)エラストマー組成物がエキステンダー油を実質的に含んでいないように、揮発性成分除去プロセスの間に油は添加されない。そのような実施形態の非油展エラストマー(たとえば、非油展EPDM)は、多くの利点、たとえば下流の処理における大きい適応性(たとえば、粗原料EPDMの下流での配合物化および加工処理の間に製造業者が添加するプロセス油にのみ基いて、下流の製造業者がその最終製品中に存在する油の完全な管理を可能にすることによる適応性)をもたらす。さらに、非油展エラストマー組成物は、購入された粗原料エラストマーの(重量当たり基準での)価値を(粗原料製品エラストマーの重量を増やすエキステンダー油が存在しないので)最大限にする。
マルチモーダルエラストマー組成物からつくられたコンパウンド
(ペレット、ベールまたは他様のどのような形態であれ)マルチモーダルエラストマー組成物は、注記されたように、任意の1種以上の様々な添加物(たとえば、硬化剤または架橋剤、フィラー、プロセス油等)とともに配合物にされおよび/または加工処理されて、製造物品をつくるのに適したエラストマーコンパウンドが形成されてもよい。たとえば、いくつかのそのような実施形態によるコンパウンドは、エラストマー組成物に加えて、EPDM配合物に適した任意の成分を含んでいる。たとえば、様々な公知の添加物(フィラー、可塑剤、相容化剤、架橋剤等)のうちの任意のものが、ある実施形態のマルチモーダルエラストマー組成物とともに配合物にされて、エラストマーコンパウンドまたはエラストマー配合物を提供してもよい。
硬化剤、すなわち架橋剤または加硫剤が使用される場合には、マルチモーダルエラストマー組成物は、エラストマーコンパウンド中に少なくとも部分的に架橋された形態で存在してもよい(すなわち、揮発性成分除去されたエラストマー組成物のポリマー鎖の少なくとも一部は、たとえばEPDMゴムに典型的な硬化プロセスの結果として互いに架橋される。)。したがって、特定の実施形態は、以下のものを含んでいる配合物を混合することによってつくられた少なくとも部分的に架橋されたエラストマーコンパウンドを提供する:(a)マルチモーダルエラストマー組成物(たとえば、上記の実施形態のいずれかに従うもの);(b)1種以上の加硫活性剤;(c)1種以上の加硫剤;および(d)任意的に1種以上のさらなる添加物。
好適な加硫活性剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸等のうちの1種以上が挙げられる。これらの活性剤は約0〜20phrの範囲の量で混合されてもよい。本明細書で使用される「phr」とは、ゴム100部当たりの部を意味し、ここで「ゴム」はエラストマー組成物と見なされる。したがって、エラストマー組成物と15phrで配合物にされる活性剤の場合、 15gの活性剤が100gのゴムに加えられる。他様に指定されない限り、phrは重量基準のphrと解釈されなければならない。様々な加硫活性剤が様々な量で使用されてもよい。たとえば、加硫活性剤が酸化亜鉛を含んでいる場合には、酸化亜鉛は1〜20phr、たとえば2.5〜10phr(たとえば5phr)の範囲の量で使用されてもよく、他方、ステアリン酸は好ましくは0.1〜5 phr、たとえば0.1〜2.0phr(たとえば約1.5phr)の範囲の量で使用されてもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。
当該技術分野で知られた任意の加硫剤が使用されてもよい。特に注記されるのは、米国特許第7,915,354号の第19欄、35行〜第20欄、30行に記載された硬化剤(たとえば、イオウ、過酸化物に基いた硬化剤、樹脂硬化剤、シランおよびヒドロシラン硬化剤)であり、その記載は参照によって本明細書に組み込まれる。他の例としては、フェノール樹脂硬化剤(たとえば、米国特許第5,750,625号に記載されたものであり、その記載は参照によって本明細書に組み込まれる。)が挙げられる。共硬化剤も使用されてもよい(たとえば、米国特許第7,915,354号の既に組み込まれた記載に述べられているもの)。
(任意のコンパウンドに使用されるおよび/または様々な実施形態による少なくとも部分的に架橋されたエラストマーコンパウンドに使用される) さらなる添加物は、EPDM配合物に有用な任意の知られた添加物から選ばれてもよく、とりわけ以下の1種以上が挙げられる。:
・プロセス油、たとえばパラフィン性プロセス油(例として、Sunpar(商標)TM2280(米国、オクラホマ州、タルサ、HollyFrontier Refining & Marketing社から入手可能)が挙げられる。); 同様に米国、テキサス州、Baytown、ExxonMobil Chemical社から入手可能なFlexon(商標)876、CORE(商標)600ベースストック油、Flexon(商標)815およびCORE(商標)2500ベースストック油;プロセス油は配合物中に(存在する場合には)1〜150phr、たとえば50〜100、または60〜80phrで存在してもよい、または、スポンジグレードの場合、50〜200phr、たとえば70〜150、または80〜100phrの範囲内であり(上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮され)、また好ましいプロセス油は40℃で80〜600CStの範囲の粘度を有する。;
・配合物中に0〜15phr、たとえば1〜5phr、または2〜4phrで存在する加硫促進剤。例として以下のものが挙げられる:チアゾール、たとえば2−メルカプトベンゾチアゾールまたはメルカプトベンゾチアジルジスルフィド(MBTS);グアニジン、たとえばジフェニルグアニジン;スルフェンアミド、たとえばN−シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド;ジチオカーバメート、たとえば亜鉛ジメチルジチオカーバメート、亜鉛ジエチルジチオカーバメート、亜鉛ジベンジルジチオカーバメート(ZBEC);および亜鉛ジブチルジチオカルバマート、チオ尿素、たとえば1,3−ジエチルチオ尿素、チオフォスフェート等。;
・加工助剤(たとえば、ポリエチレングリコールまたは亜鉛石鹸)。;
・カーボンブラック(たとえば、20nm〜600nmの粒子サイズおよびASTM D2414に記載されたDBP法によって測定された0〜150の範囲内のDBPA(フタル酸ジブチル吸収数)を有する構造を有するもの)、これは配合物中に0〜500phr、好ましくは1〜200phr、たとえば50〜150phrの範囲内で存在してもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。;
・鉱物フィラー(タルク、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、アルミニウム3水和物等)、これは配合物中に0〜200phr、好ましくは20〜100phr、たとえば30〜60phrの範囲内で存在してもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。;
・スポンジまたは発泡グレード添加物、たとえば発泡剤または起泡剤、特に非常に高いムーニー粘度の実施形態では、たとえばスポンジグレードに適しているもの。発泡剤または起泡剤は化学的性質を有する(たとえば、分解によってガスを放出するような)ものであってもよく、1種以上の発泡剤または起泡剤は組み合されて使用されてもよい。そのような薬剤の例としては、以下のものが挙げられる:アゾジカーボンアミドADC)、オルトベンゾスルホニルヒドラジド(OBSH)、p−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、5−フェニルテトラゾール(5−PT)およびクエン酸中の重炭酸ナトリウム。マイクロカプセルもまた、または代わりにそのような発泡用途に使用されてもよい。これらのマイクロカプセルとしては、ポリマーの殻を含んでおりその中に推進薬を有する熱膨張性ミクロスフェアが挙げられる。その例は当該技術分野で知られており、たとえば米国特許第6,582,633号および第3,615,972号;PCT公開番号第WO 99/46320号および第WO 99/43758号に記載されており、それらの内容は参照によって本明細書に組み込まれる。そのような熱膨張性ミクロスフェアの例としては、たとえばAkzoNobel社から市販されているEXPANCEL(商標)製品および積水化学社から入手可能なADVANCELL(商標)製品が挙げられる。他の実施形態では、スポンジ化または発泡はガスおよび/または液体(たとえば、水、CO2、N2)を押出機中のゴムの中に、組成物をダイを通した後に発泡させるために、直接噴射することによって達成されてもよい。;および
・様々な他の添加物もまた加えられてもよい、たとえば酸化防止剤、安定剤、防蝕剤、UV吸収剤、静電防止剤、スリップ剤、吸湿剤(たとえば、酸化カルシウム)ならびに顔料、染料および他の着色剤。
注記されたように、いくつかの実施形態の少なくとも部分的に架橋されたエラストマーコンパウンドは、上記の配合物を混合することによって形成される。これらの実施形態における混合としては、EPDM組成物用の典型的な混合プロセスのいずれか1種以上が挙げられ、たとえば開放ミル混合、インターナルミキサーまたはニーダーを使用する混合、および押し出し(たとえば、二軸押出機を通すもの)が挙げられてもよい。
いくつかの実施形態の少なくとも部分的に架橋され発泡されたエラストマー物品は、成型法または押し出し法によって形成される。成型物品は、適当な温度(発泡剤または起泡剤の性質に応じて、たとえば150〜220℃)で型の中で膨張および硬化するように、部分的に充填された型の中でつくられることができる。または、発泡物品は過充填された型の中でつくられてもよく、硬化が2回(または2回以上)のパスで行われ、前硬化温度(たとえば、140〜170℃)の型内で前硬化され、型から外に膨張させて非常に低い密度(たとえば、0.4g/cc以下、たとえば0.3g/cc以下の比重)の部分を得、(たとえば、150〜200℃の温度での)熱風中で後硬化させることによって仕上げて、発泡させたゴムマトリクスが安定させられる。たとえば、自動車シールシステム(ドア、トランク)に使用されるスポンジプロフィールは、押し出し法によって、引き続いて、調節された気泡形態(モルフォロジー)が発泡物品中で得られるように、熱をゴムプロフィールに伝え、ゴムの加硫自体と同時に生じる起泡剤の分解による膨張を生み出すための連続加硫装置、たとえば高められた温度(たとえば、200〜300℃)でのマイクロ波オーブンおよび/もしくは熱風オーブンまたは塩浴もしくはガラスビーズ流体浴によって製造されてもよい。
前に検討されたように、様々な実施形態のマルチモーダルエラストマー組成物を含んでいる配合物は、驚いたことに、マルチモーダルエラストマー組成物自体の高いムーニー粘度を所与とすると予測されるであろう粘度よりもはるかに低い粘度を示す。このことは、そのようなマルチモーダルエラストマー組成物を含んでいる配合物が、典型的に予測されるかもしれないものよりもはるかに容易に加工処理され;その上、より高いムーニーのエラストマー組成物を取り込めむことができる利点(たとえば、機械的強さおよび弾性における利点)を保有することを意味する。
この現象を定量化する1つの手段は、配合物を混合することによって形成されたコンパウンドのムーニー粘度(本明細書では「コンパウンドムーニー粘度」または「コンパウンドML」と呼ばれる。)を測定し、そのようなコンパウンドムーニー粘度をマルチモーダルエラストマー組成物自体の測定されたムーニー粘度で割って、コンパウンドムーニー粘度とエラストマー組成物ムーニー粘度との比(これは省略表現で「Cpdムーニー/Elastムーニー」と呼ばれる。)を与えることによる手段である。コンパウンドムーニーは、前に記載されたムーニー粘度測定手順によって測定されることが注記されなければならない。しかし、粘度試験として150℃で8分間の試験時間を使用するのではなく、コンパウンド粘度試験は100℃で4分間の試験時間を使用する。これは、より高い温度でコンパウンドのムーニー試験をすることはさらなる架橋反応(たとえば、それからコンパウンドが形成される配合物中に加硫剤を含めることによる架橋反応)を引き起こす危険があるからである。さらにその上、コンパウンドの粘度測定は、4分間までには横ばい状態になってしまい、さらに4分間試験を続ける必要はないからである。したがって、コンパウンドムーニー粘度は(ML,1+4@100℃)として報告される。したがって、1つのエラストマーのCpdムーニー/Elastムーニー比と、別のエラストマーのCpdムーニー/Elastムーニー比とのどのような比較をしてみても、(i)コンパウンドのムーニー粘度および別に(ii)エラストマー単独のムーニー粘度を測定するのに使用される手順が一貫性のあるものであることを保証するはずである。さらに加えて、比較される各エラストマーからコンパウンドを形成する場合に、それぞれの比較される各エラストマーについて同じ配合物が使用されることが好ましい。
ある実施形態のマルチモーダルエラストマー組成物についてのCpdムーニー/Elastムーニー比は、1.0〜1.3、好ましくは1.0〜1.1、最も好ましくは1.0〜1.09の範囲であり、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。そのような実施形態では、コンパウンドムーニーは、80〜100MU(ML,1+4@100℃)の範囲内、または85〜95MU(ML,1+4@100℃)の範囲内であってもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。
さらに他の実施形態では、特にエラストマーコンパウンドがより多くのプロセス油および/または他のプロセス助剤(たとえば、ポリエチレングリコール)をその中に加えられる(たとえば、スポンジグレード配合物の場合と同様の)実施形態では、Cpdムーニー/Elastムーニー比は(より大量のプロセス油の付加的な粘度低減効果のおかげで)さらに低い数値であってもよい。たとえば、そのような実施形態では、Cpdムーニー/Elastムーニー比は0.25〜0.60、たとえば0.25〜0.35、または0.30〜0.40、たとえば0.30〜0.39の範囲内であってもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。そのような実施形態のコンパウンドムーニーは、30〜60MU、たとえば35〜55MU、または40〜50MU(ML,1+4@100℃)の範囲内であってもよく、上記の低い数値のいずれかから上記の高い数値のいずれかまでの範囲もまた様々な実施形態で考慮される。これらの実施形態のいくつかのマルチモーダルエラストマー組成物のCpdムーニー/Elastムーニー比は、MLRA(または、適用可能な場合にはMSTRA)、分枝指数およびMWDの1種以上において本発明のエラストマー組成物と異なる従来の、より低い粘度のポリマー組成物の比較例のCpdムーニー/Elastムーニー比よりも低いことがある。そのような差異もまた、第1および第2のポリマー画分の異なる相対的な重量%およびそれとともに比較例のエラストマー組成物と本発明のエラストマー組成物との間でのような各画分の異なるムーニー粘度で説明されてもよい。この、より低いCpdムーニー/Elastムーニー比は、コンパウンド対ポリマーの粘度の増加に対して相対的にわずかな粘度の増加を示しており、このことは、そのような実施形態の本発明のエラストマー組成物のより高い粘度を所与とするとそうでなければ予測されるであろう加工処理よりもはるかに容易な加工処理(たとえば、ある実施形態によって、コンパウンドを形成するために混合することおよび/またはそのようなコンパウンドから成形物品を形成するために成型すること)を可能にする。
[実施例]
本発明のサンプル1〜8は、以下の2基直列リアクター重合プロセスによって製造されたリアクターブレンドEPDMターポリマーである。供給原料は、希釈剤ヘキサン、エチレンモノマー、プロピレンモノマー、ENBモノマー、VCl4触媒/エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)共触媒、水素ガスおよびアンモニアを含んでいた。第1の流出物(R1ポリマー製品とともに未反応モノマー、触媒および共触媒を含んでいる。)は、リアクターR1から連続的に抜き出された。第1の流出物のほとんどは、プロセスを定常状態操作に維持する流量で第2の重合リアクターR2に連続的に供給されたが、第1の流出物のいくらかは、R1ポリマー製品の分析(たとえば、モノマー含有量および粘度)のために周期的に収集された。ヘキサン溶媒中の追加のエチレン、プロピレンおよびENBモノマーが、第1の流出物に加えて第2のリアクターR2に連続的に供給された。第2の流出物は第2のリアクターR2から抜き出され、これはヘキサン溶媒中のR1ポリマー製品(第1のポリマー画分)およびR2ポリマー製品(第2のポリマー画分)、未反応モノマーならびに微量のバナジウムを含んでいた。
EPDMリアクターブレンドサンプル1〜8のそれぞれの分子量およびMWD(Mw(LS)/Mn(DRI))が、比較例サンプルC9の同じ特性とともに表1にまとめられ、比較例サンプルC9はVistalon(商標)7500、チーグラーナッタ触媒によって触媒されたマルチモーダルのEPDMゴムに相当し、米国、テキサス州、Baytown、ExxonMobil Chemical社から市販されている。サンプル1〜8は対照的に、より高い分子量を有し、さらにその上、より高い見掛けポリマー粘度を下げるためのエキステンダー油を含んでいなかった。
さらに、ムーニー粘度および緩和データが、本発明のサンプル1〜8のそれぞれとともに比較例サンプルC9について表2に報告される。興味深いことに、表2に示されるように、150℃でMLローターを使用して測定されたムーニー粘度と125℃でのそれとの比は一貫して約0.73であり、この数値がこれらのサンプルのポリマーについて(ML,1+8@150℃)と(ML,1+8@125℃)との間の転換に使用するのに良好な転換係数であることを示している。
さらに、ポリマー分割比、モノマー含有量およびML値が、ブレンド4〜5について表3aに、ブレンド6〜8について表3bに報告される。サンプル4および5は同じポリマー分割比、モノマー含有量およびML値を有し、サンプル6〜8もそうであることが注記される。表3aおよび表3bで、R1は、R1ポリマーリアクター製品について直接測定されたムーニー粘度またはモノマー含有量(適用可能な場合に)を示し、また、R1+R2は、第2のリアクターR2を出たリアクターブレンドについて直接測定されたムーニー粘度またはモノマー含有量を示す。R2値は、本明細書に前に記載されたように測定されたR1およびR1+R2値から計算される。
表1、2から分かるように、サンプル1〜8のEPDM組成物はすべて、参照の市販マルチモーダルゴムよりも高いムーニー粘度を示している。さらに、サンプル1〜8の組成物は一貫してより高いMLRA/MLを示し、ブレンドにおいてより広い分子量分布を示している。
サンプル5〜8は、以下の表4による追加の成分とともに配合物にされ、比較例のサンプルC9も同様であった。
表4で、「ポリマー」は配合物に取り込まれたそれぞれのサンプルを示し;N−550 FEFはカーボンブラック(ペレット形態)であり; Flexon(商標)876は40℃で110CStの粘度を有するパラフィン系プロセス油であり;ステアリン酸およびZnO(酸化亜鉛)は加硫活性剤であり;イオウは硬化剤であり;ZBEC(亜鉛ジベンジルジチオカーバメート)およびMBTS(メルカプトベンゾチアジルジスルフィド)はそれぞれ加硫活性剤であり;Rhenocure(商標)ZATは米国、ペンシルベニア州、ピッツバーグ、Lanxess社から入手可能な亜鉛アミノジアルキルジチオホスフェート(70%濃度の活性剤、バインダー入りペレット)であり;また、Rhenocure(商標)TP/Gも米国、ペンシルベニア州、ピッツバーグ、Lanxess社から入手可能な亜鉛ジブチルジチオホスフェートである。この配合物はEPDMコンパウンド用の典型的な有用な配合物と考えられ、したがって従来品のサンプルC9と比較してサンプル5〜8の加工性を試験するのは有用であると解釈される。
この配合物は、以下の手順によって混合されてエラストマーコンパウンドが形成された。表4の「第1のパス」の区画のポリマーおよび他の成分が、1600ccのバンバリータイプの接線型インターナルミキサー(Farrel社から入手可能)に0分00秒および0分30秒にそれぞれ加えられ、ミキサーの操作が「第1のパス」のパラメーター(具体的には、90 RPM、70℃の操作)について以下の表5に示されるように3分間実施された。その後ラムが上げられ、混合がもう15秒間続けられ、「第1のパス」成分が放出され、2ロールミルにかけられた。混合され混練された「第1のパス」成分は放置冷却された。その後、表4の冷却された「第1のパス」成分および「第2のパス」成分はミキサーに加えられ、ミキサーの操作が、表5の「第2のパス」のパラメーター(70 RPM、30℃)でさらに1分間続けられた。1分間の第2のパスの後、混合されたコンパウンドは放出され、ミルにかけられ、そして放置冷却され、その後(未硬化での)さらなる分析/レオロジー試験のために収集され、そして180℃でプレス硬化されて少なくとも部分的に硬化されたコンパウンド(これは機械的特性および圧縮永久歪み特性を評価するのに適している。)が形成された。
実施例2のコンパウンドの処理中に観察された条件は記録され、表6にまとめられる。表6に示されるように、サンプル5〜8を含んでいる配合物を混合するのに使用された電力量およびそのような処理の間に観察された温度は、従来のサンプルC9の処理中に観察された電力消費量および温度と比べても遜色がなかった。これは、サンプル5〜8のより高いムーニー粘度がこれらのサンプルを含んでいる配合物を処理する能力に悪影響を及ぼさなかったことを示している。さらに、表6は、混合およびミル処理後のコンパウンドされた配合物の挙動の定性的な観察を適用可能な場合に示している。混合プロセスにおけるすべての製造されたコンパウンドの挙動は、許容されるものであった。
サンプル6、7および8のそれぞれならびに比較例のサンプルC9についてのコンパウンドムーニー粘度が、上に概説されたムーニー粘度測定手順によって測定された。これらの値が、エラストマー組成物サンプル6、7、8およびC9について前に測定され報告されたムーニー粘度値の再録とともに下の表7に報告される。
表7に示されたように、本発明のサンプル6〜8はそれぞれ、コンパウンドムーニー/エラストマームーニー比について従来のC9エラストマーよりも有意に低い値を示した。これは、サンプル6〜8の有意に高いムーニー粘度を有するエラストマーを加工処理することについて通常予測される有害な効果が、コンパウンドする配合物に本発明のエラストマー組成物を使用することによって有意に緩和され、その結果、そのようなエラストマーが予測されるのよりも驚くほど低い粘度を有する配合物をもたらすことを意味する。
本発明のサンプル11、12は、実施例1に関して概説された同じ2基直列リアクター重合プロセスによって製造されたリアクターブレンドEPDMターポリマーであるが、ただし例外としては第1の重合リアクターR1のポリマー製品においてより高いムーニー粘度(より長い平均連鎖長)が得られるように重合が調節され、その結果、ターポリマーが、たとえばスポンジグレードへの使用に適していることである。サンプル11および12はエキステンダー油を含んでいない。表8は、EPDMリアクターブレンドサンプル11および12のそれぞれについて分子量およびMWD(Mw(LS)/Mn(DRI))を、比較例のサンプルC10の同じ特性とともに示し、比較例のサンプルC10は米国、テキサス州、BaytownのExxonMobil Chemical社から入手可能なVistalon(商標)8600スポンジグレードEPDMに相当する。
さらに、ムーニー粘度および緩和データとともに上で概説されたLAOS測定法によって測定された分枝指数BIが、本発明のサンプル11および12のそれぞれとともに比較例のサンプルC10について表9aに報告される。表9aに示されるように、150℃でMLローターを使用して測定されたムーニー粘度と125℃でのそれとの比は、本発明のサンプルについて平均すると0.685になり、この数値がこれらのサンプルのポリマーについて(ML,1+8@150℃)と(ML,1+8@125℃)との間の転換に使用するのに良好な転換係数であることを示している。興味深いことに、C10の比較例サンプルについて150℃でMLローターを使用して測定されたムーニー粘度と125℃でのそれとの比は0.72であり、これはサンプル1〜8およびC9に関してそのような転換に一貫して見られた0.73によく似ている。この差異は、サンプル11および12で得られた極めて高いムーニー粘度に起因する可能性がある。表8および9から分かるように、サンプル11および12のEPDM組成物は全て、参照の市販のスポンジグレードマルチモーダルゴムよりも高いムーニー粘度を示した。さらに、サンプル11および12の組成物は、より高いMLRA/MLを示し、これらのブレンドにおけるより広い分子量分布を示している。
さらに、表9bは、125℃でRPAを使用して、および前に記載されたように、示されたせん断速度を使用して、得られたいくつかのサンプルの動的特性を報告する。
C10と比較して、低いせん断におけるサンプル11および12のより低いTan(δ)値およびより高い動粘度値は、これらのサンプルが低いせん断においてより弾性を有する分子であり、圧壊抵抗をもたらすことを示している。さらにその上、これらのサンプルのより大きいη’比は、より大きいせん断減粘性の程度を示し、このことは押し出し性能、特に柔軟なプロフィール(たとえば、発泡またはスポンジグレード)の押し出し性能に役立つ。
さらに、サンプル11および12についてのポリマー分割比、モノマー含有量およびML値が表10aおよび10bに報告されている。表10aおよび10bで、R1の値は、R1ポリマーリアクター製品について直接測定されたムーニー粘度またはモノマー含有量(適用可能な場合に)を示し、またR1+R2は、第2のリアクターR2を出るリアクターブレンドについて直接測定されたムーニー粘度またはモノマー含有量を示す。本明細書に前に記載されたように、R2の値は、測定されたR1およびR1+R2の値から計算される。
サンプル11および12は、以下の表11による追加の成分とともに配合物にされ、比較例のサンプルC10も同様であった。
表11で、「ポリマー」は配合物に取り込まれたそれぞれのサンプル(11、12またはC10)を示し;N−550 FEF、ステアリン酸、ZnO、イオウ、ZBEC、MBTS、Rhenocure(商標)ZATおよびRhenocure(商標)TP/Gは実施例2、表4に関連して既に特定され記載されており;Flexon(商標)815はExxonMobil Chemical社から入手可能な40℃で490CStの粘度を有するプロセス油であり;CaCO3 Omya BLはOmya BL社から入手可能な炭酸カルシウムであり;PolyEthyleneGlycol 3350はポリ(エチレン)グリコールであり、これはコンパウンド中で加工助剤の役割をするものであり;Calcium Oxide 80%はフィラー中に取り込まれた湿分の吸収剤であり;Vulkalent Eは硬化系のスコーチを防止するための遅延剤として使用されるベンゼンスルホンアミド誘導体であり;Celogen OT OBSHは低温で分解し小さい閉鎖セルを生成する発泡剤であり;Porofor ADC−L C2はアゾジカルボンアミド(ADC)であり、より高い温度で分解し大きい開放セルを生成する別の発泡剤である。この配合物は発泡に適しており、したがって従来品のサンプルC10と比較してサンプル11および12の加工性を試験するのに有用であると見なされる。
この配合物は、以下の手順によって混合されて発泡されたエラストマー物品が形成された。表11の「第1のパス」の区画のフィラー、プロセス油および添加物が、1600ccのバンバリータイプの接線型インターナルミキサー(Farrel社から入手可能)に0分00秒に加えられ、およびポリマーが0分30秒に加えられ、ミキサーの操作が「第1のパス」のパラメーター(具体的には、90RPMのローター速度、70℃のスタート温度で135℃まで上げる操作)について以下の表12に示されるように4分間実施された。その後ラムが上げられ、混合がもう15秒間続けられ、「第1のパス」成分が放出され、2ロールミルにかけられた。混合されミルにかけられた「第1のパス」成分は放置冷却された。その後、表11の冷却された「第1のパス」成分および「第2のパス」成分がミキサーに加えられ、ミキサーの操作が、表12の「第2のパス」のパラメーター(70 RPM、30℃)でさらに2分間続けられた。2分間の第2のパスの後、混合されたコンパウンドは放出され、ミルにかけられ、そして放置冷却され、その後(未硬化での)さらなる分析/レオロジー試験のために収集され、そして180℃でプレス硬化されて少なくとも部分的に硬化され発泡されたコンパウンド(これは機械的および圧縮永久歪み特性を評価するのに適している。)が形成された。
実施例5のコンパウンドの処理中に観察された条件は記録され、表13にまとめられた。表13に示されるように、サンプル11および12を含んでいる配合物を混合するのに使用された電力およびそのような処理の間に観察された温度は、従来のサンプルC10の処理中に観察された電力消費量および温度に比べて勝るとも劣らなかった。これは、サンプル11および12のより高いムーニー粘度がこれらのサンプルを含んでいる配合物を処理する能力に悪影響を及ぼさなかったことを示している。3分間の混合後にローター速度が90rpmから70rpmに下げられただけで、温度の増加が調節され、一貫した混合に十分な時間(4分間のサイクル)が与えられた。さらに、表13は、混合およびミル処理後のコンパウンドされた配合物の挙動の定性的な観察を適用可能な場合に示している。このことは、サンプル11および12のポリマーはC10が有するよりも著しく高い粘度を有することを考慮すると特別に驚くべきことである。
サンプル11および12のそれぞれとともに比較例のサンプルC10のムーニー粘度は、上に概説されたムーニー粘度測定手順によって測定された。これらの値が、エラストマー組成物サンプルC10、11および12について前に測定され報告されたムーニー粘度値の再録とともに下の表14に報告される。さらに、表14は硬化特性を例示する。表14中のMDRは、Alpha Technology社から入手可能な可動ダイレオメーター(Moving Die Rheometer)の使用を示す。この装置は、180℃の温度で+/−0.5の円弧で振動するダイによってゴムの加硫の特性、たとえば主運動量(例として、最小ムーニー粘度(ML))、完全な硬化反応後に得られるトルク(MH)を測定する。MH−MLは、コンパウンドの硬化状態を示し、Ts2は、最小値より上の2dN・mトルク点に達する時間を示し、これはゴムがその後はそれ以上処理されることができないスコーチ時間である。T90は最適加硫時間であり、最大硬化状態の90%に達するのに必要な時間に相当する。また、dNm/分単位のRhは、最小と最大トルクとの間の加硫の速度に相当する硬化速度である。これらのデータから、サンプル11および12は、サンプルC10と同じような硬化状態を有するが、より短いスコーチ時間Ts2およびより速い硬化速度(Rh)によって示されるように、そのような硬化状態はより短い時間で得られたことが観察される。これはASTM D5289によって測定される。
表14に示されたように、本発明のサンプル11および12はそれぞれ、コンパウンドムーニー/エラストマームーニー比について従来のC10エラストマーよりも有意に低い値を示した。これは、サンプル11および12の有意に高いムーニー粘度を有するエラストマーを加工処理することについて通常予測される有害な効果が、予測されるのよりも驚くほど低い粘度を有する配合物をそのようなエラストマーがもたらすので、コンパウンドする配合物に本発明のエラストマー組成物を使用することによって有意に緩和されることを意味する。
最後に、下の表15は、実施例5で形成されたプレス硬化されたコンパウンドの様々な物理的特性を示す。これは、本発明のエラストマーからつくられた発泡された物品が、その硬化セットに有害な影響を与えないで優れた引張強さおよび生ゴム引き裂き強さを示すことを示している。
本発明が特定の実施形態を参照することによって記載され例示されてきたけれども、当業者は本発明が本明細書に必ずしも例示されていない変形物にも有用であることを認識するだろう。そこでこの理由から、本発明の真の範囲を決定する目的のためには、添付された特許請求の範囲のみが言及されなければならない。本明細書に記載された全ての文献は、いかなる優先権書類および/または試験方法も含めて、それらが本明細書の記載と矛盾しない程度まで、参照によって本明細書に組み込まれる。同様に、用語「含んでいる(comprising)」は、用語「包含する(including)」と同義であると見なされる。組成物、要素または一群の要素が移行句「含んでいる(comprising)」で先行される場合は常に、文脈から容易に他様に解釈されない限り、本発明者らは、その組成物、要素または複数の要素に先行して移行句「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、「から成る群から選ばれる(selected from the group consisting of)」または「ある(is)」を有する同じ組成物または一群の要素をも考慮に入れており、その逆も同様である。