JP2019219305A - 放射線モニタ装置およびそれを備えた放射線治療システム、ならびに放射線モニタ方法 - Google Patents

放射線モニタ装置およびそれを備えた放射線治療システム、ならびに放射線モニタ方法 Download PDF

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雄一郎 上野
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孝広 田所
名雲 靖
Yasushi Nagumo
名雲  靖
耕一 岡田
Koichi Okada
耕一 岡田
克宜 上野
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克宜 上野
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Abstract

【課題】小型、低侵襲性でありながら、各種補正処理を実現した高精度な放射線モニタ装置およびそれを備えた放射線治療システム、ならびに放射線モニタ方法を提供する。【解決手段】入射した放射線量に依存した強度で発光し、発光する波長がそれぞれ異なる複数種類の蛍光体を有する放射線発光部10と、放射線発光部10で発生したフォトンを伝送する光ファイバ20と、フォトンを波長ごとに電気信号に変換する光電変換器30a,30bと、波長ごとの電気信号を計数するシグナル計数装置40a,40bと、波長ごとのシグナル計数に基づいて線量を演算する線量演算装置50と、線量演算装置で算出した測定結果を表示する表示装置60と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、放射線治療システム等における光ファイバ式の放射線モニタ装置および放射線モニタ方法に関するものである。
特許文献1による線量計は、「放射線源から放射される放射線照射領域に、測定対象物、第1のシンチレータ、第2のシンチレータおよび第3のシンチレータを配置し、第1のシンチレータでは、放射線源から放射される放射線を測定対象物に放射させて得られる放射線の種類A、種類Βおよび種類Cに感応して第1の波長域の光線を発光させ、第2のシンチレータでは、第1のシンチレータで吸収されずに透過する放射線の種類Bおよび種類Cに感応して第1の波長域と異なる第2の波長域の光線を発光させ、第3のシンチレータでは、第2のシンチレータで吸収されずに透過する放射線の種類Cに感応して第1および第2の波長域と異なる第3の波長域の光線を発光させ、これら第1、第2および第3のシンチレータの発光を波長別に認識し、第1のシンチレータのデータを第2および第3のシンチレータのデータで補正し、第2のシンチレータのデータを第3のシンチレータのデータで補正することにより放射線の種類に応じた測定を波長で弁別し、同時に測定することを特徴とする」ものであり、放射線種類を弁別することを目指したものである。
特開平11−271453号公報
日本において死亡原因の第一位はがんであり増加の一途をたどっており、医療の質(Quality Of Life:QOL)の向上が求められている。
近年の日本ではその治療法として放射線がん治療が注目を集めている。ニーズとしてのQOL向上に、シーズである放射線がん治療技術の高精度化があいまって、広く放射線がん治療が普及し始めている。
治療に用いられる放射線には、X線、電子線、陽子線、重粒子線、中性子線がある。これらのうち、近年、陽子線や重粒子線を用いる治療システムの開発が目覚ましい。
陽子線や重粒子線は、止まる直前に集中的にエネルギーを与えて線量のピーク(ブラッグピーク)を作る性質を利用し、がん部分に集中して線量を付与することができるので低侵襲で高精度な治療が期待できる。
また、X線治療においてもIMRT(Intensity Modulated Radiation Therapy:強度変調放射線治療)やIGRT (Image Guided RadioTherapy:画像誘導放射線治療)等が開発されており、線量をがん部分に集中させる努力が進んでいる。
放射線治療システムの高度化が進むのに伴い、治療計画の精度や患者位置決めの精度、治療計画や装置のQA(Quality Assurance)用の線量率計測に至るまで、放射線治療に関わるトータルでの精度向上が求められている。
ここで、治療計画における線量分布は体動等を考慮したマージンを持ったものになっており、放射線照***度を低下させている。また、放射線に敏感な正常部位が治療対象部位の近くに存在する場合は、放射線治療が困難となっている。
従って、放射線治療の更なる高精度化には、体内線量をリアルタイムで計測することが重要である。
放射線治療における線量計測は、その安定性や再現性が良好な電離箱が広く使用されている。しかしながら、電離箱はその検出原理から小型化には限界がある。この代わりに小型化が比較的容易な半導体検出器を用いた線量測定が実施されている。しかしながら、信号処理系まで含めると半導体検出器でも小型化には限界がある。
また、これらの検出器は、計測の為に高電圧を印加する必要があるため、体内に挿入して線量を測定することは非常に困難である。また、これらの検出器は一般的に高密度なものであり、体内物質や水と比べると放射線との相互作用が大きく、検出器自体の影響が無視できない。
一方、光ファイバ式の線量計は、電圧印加不要であると共にセンサ部分の小型化が可能であることから、侵襲性が低く、かつ位置分解能に優れている、との利点を有している。このため、体内線量計測に有望である。
ここで、体内の線量計測には高い精度が求められるため、各種補正処理が重要となる。温度補正はもちろんのこと、センサ部分が水等価でない場合には、放射線のエネルギー依存性を補正する必要がある。
また、光ファイバ式線量計においては、高エネルギー放射線照射によりファイバ部分でチェレンコフ光が発生するので、チェレンコフ光自体を除去するか補正により影響を低減することが重要となる。
更に、粒子線治療におけるブラッグピーク近傍の高線量領域においては、線量計測値の低下現象であるクエンチングが発生する場合があり、補正処理が必要となる。
特許文献1に記載のように、放射線エネルギー等の補正対象物理量に対して特性の異なるシンチレータを用いることにより、それら物理量に対して計測線量を補正することが可能となる。
しかし、特許文献1に記載の手法では、複数のシンチレータを使用する必要があり、形状や寸法に制限がある。このため、上述の電離箱や半導体検出器と同様に、体内の局所の線量測定に適用することは非常に困難である。
上述のように、体内での線量測定のためには、線量計は侵襲性が低いこと、更には計測精度向上のために各種補正処理を実施することが非常に重要である。
そこで、本発明の目的は、小型、低侵襲性でありながら、各種補正処理を実現した高精度な放射線モニタ装置およびそれを備えた放射線治療システム、ならびに放射線モニタ方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、入射した放射線量に依存した強度で発光し、発光する波長がそれぞれ異なる複数種類の蛍光体を有する放射線発光部と、前記放射線発光部で発生したフォトンを伝送する光ファイバと、前記フォトンを波長ごとに電気信号に変換する光電変換器と、波長ごとの前記電気信号を計数するシグナル計数装置と、波長ごとのシグナル計数に基づいて線量を演算する線量演算装置と、前記線量演算装置で算出した測定結果を表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、小型、低侵襲性でありながら、各種補正処理を実現した高精度な放射線モニタ装置およびそれを備えた放射線治療システム、ならびに放射線モニタ方法を提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
第1実施形態に係る放射線モニタ装置の構成図である。 第1実施形態に係る放射線発光部の構成図である。 第1実施形態に係る線量率とフォトン計数率の関係図である。 第2実施形態に係る放射線モニタ装置の構成図である。 第4実施形態に係るクエンチング現象を説明する模式図である。 第7実施形態に係る粒子線治療システムの全体構成を示す図である。 第7実施形態に係る放射線治療システムの全体構成を示す図である。
以下に本発明の放射線モニタ装置およびそれを備えた放射線治療システム、ならびに放射線モニタ方法を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1実施形態>
本発明の放射線モニタ装置の第1実施形態について図1乃至図3を用いて説明する。図1は本実施形態に係る放射線モニタ装置1の構成図、図2は放射線発光部の構成図である。図3は線量率とフォトン計数率との関係を示す図である。
図1において、放射線モニタ装置1は、放射線発光部10、光ファイバ20、光電変換器30a,30b、シグナル計数装置40a,40b、線量演算装置50および表示装置60を含んで構成されている。
放射線発光部10は、図2に示すように、入射した放射線量に依存した強度で光を発する2種の蛍光体101a,101b、および蛍光体101a,101bが発した光を伝送する光透過性素材102を混合した発光部と、この発光部を覆うように設けられたカバー103と、で構成される。
放射線発光部10に内包されている2種の蛍光体101a,101bは、発光する光は各々で波長が異なる必要があり、補正したい物理量、例えば温度や放射線エネルギーに依存して発光特性の異なるものを用いることが重要である。
これら蛍光体101a,101bは、放射線によるラジオルミネッセンスを示す組成物であれば特に限定されないが、各々が波長の異なる光を発生するものとすることから、異なる母材や異なる希土類元素等を含有するものとすることが望まれる。
具体的には、蛍光体101a,101bの素材としては、母材としてNaI、CsI、LiI、SrI、BiGe12、BiSi12、CdWO、PbWO、ZnS、CaF、LuAG(LuAl12)、LuAP(LuAlO)、Lu、YAl12、YAlO、LuSiO、LYSO(Lu2(1−x)2xSiO)、YSiO、GdSiO、BaF、CeF、CeBr、CsF、LiF、GdS、LaBr、CeBr、GdAlGa12、CsLiYCl、ScTaO、LaTaO、LuTaO、GdTaO、YTaOなどの光に対して透明な材料、あるいは、この材料中にLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yなどの希土類元素またはTl、Na、Ag、W、COなどの元素が含有された材料が挙げられる。
蛍光体101a,101bは、粉末状であってもよいし、液体状のものでもよいが、それらの吸収線量は水と等価であることが望ましく、また光透過性であることが望ましい。
なお、本発明の特性上、放射線発光部10内に内包させる蛍光体101a,101bの数は、後述する線量演算装置50において行われる補正処理の補正パラメータ+1とすることが望ましい。
光透過性素材102は、蛍光体101a,101bが発する光を光ファイバ20に伝送する物質である。従って、光透過性素材102は、光学的に透明な材質であり、また蛍光体101a,101bを保持する機能を有すること望ましい。
更に、本実施形態の放射線モニタ装置1では、医療的には水等価な吸収線量を測定することが重要であることから、光透過性素材102についても吸収線量が水と等価な材質が好適である。
なお、この光透過性素材102は、必ずしも光を透過するものである必要はなく、光を透過する性質を有する素材の代わりに光を遮断しない光伝播性の物質を用いることができる。ここで、伝播性とは、光の減衰を伴うものであってもよい。例えば、蛍光体101a,101bでの発光量が非常に大きく、後段側の光電変換器30a,30b等でそれほど光量が必要でない場合は、ある程度光を減衰する素材を用いることが可能である。
光透過性素材102としては例えばポリエチレンなどのプラスチックなどが挙げられる。
上述した蛍光体101a,101bや光透過性素材102の外周側には、遮光や放射線発光部10への外部からの衝撃に対する保護の目的等でカバー103が設置されている。
光ファイバ20は、放射線発光部10と接続されており、放射線発光部10で発生したフォトン(光)を、反対側に接続される光電変換器30a,30bまで伝送する。
光ファイバ20を構成する材料としては、例えば、石英、プラスチック等が挙げられる。取扱の良さから柔らかいものがベターであるが、耐放射線性等も考慮する必要がある。また、詳細については省略するが、光ファイバ20についても遮光等の目的でカバーを設けることが望ましい。
なお、図1では光電変換器30a、30bに対して光ファイバ20を分岐させる場合について記載しているが、放射線発光部10と光電変換器30aや光電変換器30bとを光ファイバにより1対1で接続することができる。
光電変換器30a,30bは、光ファイバ20のうち、放射線発光部10とは反対側の端部に接続されており、伝送されたフォトン1個に対して1個の電気パルスを発信する変換器である。
光電変換器30aと光電変換器30bとの違いは変換する光の波長であり、放射線発光部10の蛍光体101a,101bの発する異なる波長の光にそれぞれ対応するものである。光電変換器30aは蛍光体101bで発せられた光については無視して蛍光体101aで発せられた光のみを変換し、光電変換器30bは蛍光体101aで発せられた光は無視して蛍光体101bで発せられた光のみを変換する。
光電変換器30a,30bとしては、例えば、光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード等を採用することができる。これら光電子増倍管等を用いることで、光(フォトン)を、電流増幅した電気パルスに変換することができる。
なお、明記はしていないが、光電変換器30aの前段側に光電変換器30b側で変換される波長の光を制限する光学フィルタを設置することや、光電変換器30bの前段側に光電変換器30a側で変換される波長の光を制限する光学フィルタを設置することができる。また、光電変換器30a,30bからの出力信号を増幅や波形成形する増幅器等を備えても良い。
シグナル計数装置40a,40bは、光電変換器30a,30bにそれぞれ接続されており、光電変換器30a,30bで変換された電気パルスを計数し、シグナル計数値を算出する。
本発明者らは、図3に示すように、入射する放射線の線量率と、放射線発光部10が発する単位時間当たりのフォトン数(以下、「フォトン計数率」ともいう)との間には一対一の対応関係があることを実験により見出した。他方、上記フォトンの計数率と電気パルスの計数率との間に一対一の対応関係があることは公知である。したがって、放射線の線量率と上記電気パルスの計数(以下、「シグナル計数」ともいう)率との間にも一対一の対応関係があることが導かれるので、この関係を用いることで、得られたシグナル計数率を放射線の線量率に換算することができる。
線量演算装置50は、シグナル計数装置40a,40bが計数した波長ごとのシグナル計数から補正処理を実施して線量を演算する装置である。この線量演算装置50は、CPUやメモリ等を備えている。
ここで、線量(または線量率)Dの放射線エネルギーE依存性の補正処理を考える。シグナル計数装置40aが算出したシグナル計数(または計数率)をC1、シグナル計数装置40bが算出したシグナル計数(または計数率)をC2とすると、線量(または線量率)Dおよび補正対象である放射線エネルギーEとの関係は式(1)および式(2)で表される。
C1=H1(E,D) … (1)
C2=H2(E,D) … (2)
未知数は線量Dおよび放射線エネルギーEの2個であり、独立な関係式(1)および式(2)の2個が決まれば、未知数の解を得ることが出来る。
従って、予めこの式(1)および式(2)の関係を理論的または実験的に求めておき、以下の線量Dおよび放射線エネルギーEの算出式(3)および式(4)を求めておけばよい。
D=F1(C1,C2) … (3)
E=F2(C1,C2) … (4)
そこで、式(3)および(4)の関係式を予め求めて線量演算装置50に保持しておき、線量演算装置50によって得られた計数値C1およびC2から補正後の線量を算出する。
なお、式(3)および式(4)を直接使用する代わりに、計数値C1およびC2と補正後の線量Dを対応付けるデータテーブルを予め求めて保持しておいて、参照してもよい。
また、計数値および線量を、単位時間当たりのそれぞれの値である計数率および線量率に変換可能であり、式(3)および式(4)に代わる変換式または変換のデータテーブルを使用してもよい。
また、上述した放射線の線量率と電気パルスの計数率との対応関係や補正関係は、使用する放射線発光部10の大きさや形や材質、蛍光体101a,101bの濃度や材質、光ファイバ20の太さや長さ等によって異なる。このため、上述の対応関係を放射線モニタ装置1ごとに予め求めて変換式またはデータテーブル化しておくことで、得られた電気パルスの計数率から補正された放射線の線量率を算出することができる。
更に、線量演算装置50を用いて導出されるのは放射線の線量率(線量)に限定されるものではなく、例えば、線量率の経時変化等であってもよい。
表示装置60は、線量演算装置50が算出した線量や線量率を表示する。もちろん、その他の測定時間や各種測定条件等の関連情報、更には補正対象であるエネルギー情報を表示することが可能である。
なお、本実施形態では、放射線エネルギーEの補正を例に説明したが、補正する物理量は放射線エネルギーEに限定されない。例えば温度依存性を補正する場合等でも、同様に補正することが可能である。
また、本実施形態では、1種類の物理量を補正する場合に関して説明したが、多種類の補正に拡張することが可能である。例えば2種類の補正(温度TとエネルギーE)の場合には、放射線発光部10に内包させる蛍光体を3種類とし、3種の蛍光体に対応して以下の3個の式(5)、式(6)および式(7)を用いて、Dを求めることができる。
C1=H1(E,T,D) … (5)
C2=H2(E,T,D) … (6)
C3=H3(E,T,D) … (7)
このように、3種類の未知数に対して3方程式で解を求めることができる。つまり、補正の数よりも一つ多い数の蛍光体を用いことで対応することができる。この時、3種の蛍光体に対応して、3個の光電変換器および3個のシグナル計数装置を備えて、シグナル計数を計測することが望ましい。
次に、本実施形態の効果について説明する。
上述した本発明の第1実施形態の放射線モニタ装置1は、入射した放射線量に依存した強度で発光し、発光する波長がそれぞれ異なる複数種類の蛍光体101a,101bを有する放射線発光部10と、放射線発光部10で発生したフォトンを伝送する光ファイバ20と、フォトンを波長ごとに電気信号に変換する光電変換器30a,30bと、波長ごとの電気信号を計数するシグナル計数装置40a,40bと、波長ごとのシグナル計数に基づいて線量を演算する線量演算装置50と、線量演算装置で算出した測定結果を表示する表示装置60と、を備えたものである。
特に、複数種類の蛍光体は、第1の蛍光体101aと第2の蛍光体101bとを含み、光電変換器30a,30bは、第1の蛍光体101aから発生する波長のフォトンを電気信号に変換する第1の光電変換器30aと、第2の蛍光体101bから発生する波長のフォトンを電気信号に変換する第2の光電変換器30bと、を有するものである。
これによって、一つの放射線発光部10での計測により各種の補正処理をリアルタイムで実施可能となる。また、小さな放射線発光部10で局所での補正処理が実施できるので、高い空間分解能で精度の高い水吸収線量をリアルタイムで計測することができる。すなわち、補正処理によって温度依存性、エネルギー依存性、チェレンコフ光やクエンチングの影響を低減することができる。加えて、放射線照射時の体内線量を低侵襲に高精度にモニタすることができるため、体動の影響や臓器の経時変化等の影響を低減して線量の高精度照射が可能となり、正常部位への照射線量を低減し放射線治療適応範囲を拡大する等放射線治療の高度化も実現することができる。
また、放射線発光部10に内包された蛍光体101a,101bの数は、線量演算装置50において行われる補正処理の補正パラメータ+1とすることによって、一つの放射線発光部10での計測により複数種類の補正処理が可能となり、より高い空間分解能で精度の高い水吸収線量のリアルタイム計測を実現することができる。
更に、放射線発光部10に内包された蛍光体101a,101b、蛍光体101a,101bを保持する光透過性素材102のうち少なくともいずれかの吸収線量は水と等価とすること、更には放射線発光部10自体を水と等価とすることで、より高精度に水吸収線量をリアルタイムで計測することができる。
また、放射線発光部10に内包された蛍光体101a,101bは光透過性であることにより、発せられた光を漏らさずに検出することができ、高精度な計測を実現することができる。
更に、放射線発光部10は、表面にカバー103が設けられていることで、外部誤差要因を低減することができ、より高精度な計測が可能となる。
また、放射線発光部10に内包された蛍光体101a,101bは、補正する物理量に依存して発光特性が異なることにより、発せられた光の誤カウントを低減することができ、更なる高精度な線量の測定が可能となる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態の放射線モニタ装置について図4を用いて説明する。図4は本実施形態に係る放射線モニタ装置の構成図である。
なお、第1実施形態と同じ構成には同一の符号を示し、説明は省略する。以下の実施形態においても同様とする。
図4に示すように、本実施形態の放射線モニタ装置1Aは、放射線発光部10、光ファイバ20、光学フィルタ70、光電変換器30、シグナル計数装置40、線量演算装置50A、および表示装置60を含んで構成されている。
本実施形態の放射線モニタ装置1Aは、第1実施形態で説明した放射線モニタ装置1との違いは、光学フィルタ70を備えた点と、光電変換器30およびシグナル計数装置40の数である。
以下では、光学フィルタ70や光学フィルタ70を制御して計測を行う線量演算装置50Aについて詳細に説明する。
光学フィルタ70は、光ファイバ20のうち、放射線発光部10の後段で、光電変換器30の前段に設けられており、蛍光体101a,101bが発する異なる波長のフォトンに対応しており、それぞれのフォトンを波長で弁別するフィルタである。
具体的には、蛍光体101aの発光波長近傍のみの光を通過させるバンドパス光学フィルタと蛍光体101bの発光波長近傍のみの光を通過させるバンドパスフィルタとの2つのフィルタが時間的に切り換え可能に構成されている。例えば、2つのバンドパスフィルタが交互に光ファイバ20に出し入れ可能に構成される。光学フィルタ70中に備えるバンドパスフィルタの切り換えタイミングは、線量演算装置50Aの制御で実施する。
光電変換器30は、光学フィルタ70を通過して伝送されたフォトン1個に対して1個の電気パルスを発信する変換器であるが、第1実施形態とは異なり一つだけ設置されている。本実施形態の光電変換器30では、蛍光体101aで発せられた光と蛍光体101bで発せられた光と、異なる波長の光のいずれも変換する。
シグナル計数装置40は、光電変換器30が変換した電気信号をそれぞれ1個1個計数する。
光学フィルタ70中に備えるバンドパスフィルタが時間的に切り替えられたことから、本実施形態の線量演算装置50Aは、光学フィルタ70を通過した蛍光体101a,101bに対応した計数をバンドパスフィルタの切り替えタイミングことに分離して計測し、第1実施形態と同様に補正処理を実施する。
その他の構成・動作は前述した第1実施形態の放射線モニタ装置1と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の第2実施形態の放射線モニタ装置1Aにおいても、前述した第1実施形態の放射線モニタ装置1とほぼ同様な効果が得られる。
また、第1の実施形態の放射線モニタ装置1では複数系列の計測装置(光電変換器30a,30bおよびシグナル計数装置40a,40b)が必要であった。これに対し、本実施形態の放射線モニタ装置1Aは、放射線発光部10の後段に設けられ、通過するフォトンの波長を切り替える光学フィルタ70を更に備え、光電変換器30は、光学フィルタ70を通過したフォトンを電気信号に変換することによって、装置内で一つの系列(光電変換器30およびシグナル計数装置40)で処理することが可能となる。特に光電変換器30はシングルフォトンを計測するものであるため高精度であると共に高価である。このため、本実施形態の放射線モニタ装置1Aによれば、計測装置の小型化と共に大幅な装置のコスト低減が図れる、との利点を有している。
本実施形態においては、光学フィルタ70中に備えるバンドパスフィルタの切り替え制御を線量演算装置50Aにて実施している場合について説明したが、これに限定されない。線量演算装置50A以外の光電変換器30やシグナル計数装置40、表示装置60等で実施してもよく、蛍光体101a,101bに対応した計数をそれぞれ計測できればよい。
また、特に、このバンドパスフィルタの切り替え制御を行わずに、光学フィルタ70等を含めてそれぞれの構成機器が同期して同じタイマーを有し、時間的に弁別して蛍光体101a,101bに対応した計測を行うものとすることができる。
また、光学フィルタ70中にバンドパスフィルタを備えている場合について説明したが、例えばハイパスフィルタやローパスフィルタにて波長を弁別してもよく、複数ある波長が弁別できれば問題ない。
また、本実施形態においては2種類の蛍光体101a,101bの場合を示したが、第1実施形態でも示したように放射線発光部10が複数種類の蛍光体を内包する場合は、光学フィルタ70は蛍光体の数に対応した数のバンドパスフィルタを備えることが望ましい。その上でそれらを時間的に切り替えて、複数ある蛍光体にそれぞれ対応した計数を計測することが望ましい。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態の放射線モニタ方法について説明する。
本実施形態における放射線モニタ装置の基本的な構成は第1実施形態や第2実施形態のいずれかの構成と同様であり、放射線発光部10により入射した放射線の量に依存した強度で波長の異なる複数の光を発生する発光工程が実施される。また、光ファイバ20発光工程において発生した波長の異なるフォトンを伝送する伝送工程が実施される。また、光電変換器30,30a,30bによって伝送工程において伝送された波長の異なるフォトンを異なる波長ごとに電気信号に変換する光電変換工程が実施される。また、シグナル計数装置40,40a,40bによって光電変換工程において変換された電気信号を異なる波長ごとに1個1個計数するシグナル計数工程が実施される。
更に、線量演算装置50,50Aによって、シグナル計数工程で計数した異なる波長ごとのシグナル計数値に対して補正処理を実施して線量を演算する線量演算工程が実施される。なお、本実施形態の線量演算工程では、線量演算装置50,50Aにおいて、シグナル計数工程で計数した異なる波長ごとのシグナル計数値から、線量とシグナル計数値の比例定数である線量比例定数を補正することにより、物理量として、放射線エネルギー、またはクエンチングの影響を補正した線量を算出する。
本実施形態に係る補正処理に関して、以下各種関係式等を用いて説明する。本実施形態では、放射線エネルギーE依存性を補正する場合について説明する。
図3において説明したように、入射する放射線の線量率と、放射線発光部10が発する単位時間当たりのフォトン数との間には一対一の対応関係がある。このため、シグナル計数装置40が算出したシグナル計数(または計数率)をCとすると、厳密には、線量(または線量率)Dとの関係は式(8)で与えられる。
C=G・D+B … (8)
ここでGは線量に比例する定数、Bはバックグラウンド値である。補正対象である放射線エネルギーEに依存するのは線量比例定数Gであり、バックグラウンド値Bは依存しない。このため、予めバックグラウンド値を求めて正味のシグナル計数を求めておけばよい。
そこで、2種の蛍光体101a,101bに対応し、シグナル計数装置40,40a,40bが算出したシグナル計数(または計数率)からバックグランド値を差し引いた正味のシグナル計数(または計数率)をC4およびC5とする。
線量(または線量率)Dと正味のシグナル計数(または計数率)C4およびC5の間には式(9)および式(10)の関係が成り立つ。
C4=G1(E)・D … (9)
C5=G2(E)・D … (10)
ここで、G1(E)およびG2(E)は、放射線エネルギーEに依存した蛍光体101a,101bの線量比例定数であり、放射線エネルギーEの一次式で近似可能な場合は、式(11)および式(12)で表される。
G1(E)=β1・E+γ1 … (11)
G2(E)=β2・E+γ2 … (12)
式(9)乃至式(12)より、放射線エネルギーEおよび線量Dは式(13)および式(14)で表される。
E=(C5・γ1−C4・γ2)/(C4・β2−C5・β1) … (13)
D=(C4・β2−C5・β1)/(β2・γ1−β1・γ2) … (14)
このように、予め蛍光体101a,101bに対応して、式(9),式(10),式(11)および式(12)で表される定数β1、γ1、β2およびγ2を求めておけば、シグナル計数C4およびC5を計測して式(13)および式(14)から補正後の線量Dおよび放射線エネルギーEを算出することが出来る。
本発明の第3実施形態の放射線モニタ方法においても、前述した第1実施形態の放射線モニタ装置1または第2実施形態の放射線モニタ装置1Aによって得られる効果とほぼ同様な効果が得られる。
なお、本実施形態においては、線量比例定数G1(E)およびG2(E)が放射線エネルギーの1次式で近似される例を示したがこれに限定されない。多項式等で記述される場合も有るし、近似が難しくデータテーブル化される場合等もありえる。
最も簡易な方法として、式(15)における係数m及び係数nを予め求めておく方法もある。
D=m・C4+n・C5 … (15)
必要な放射線エネルギー範囲における線量の許容誤差範囲を満たすように、実験等により係数m及び係数nを求めておけばよい。
また、2種の蛍光体101a,101bからの計数値C4およびC5だけでは定まらない場合は、3種以上の蛍光体を用いることができる。放射線エネルギー領域を分けて、それぞれで特性差が得られて補正可能な蛍光体ペアを使用する等、必要に応じて蛍光体の数を増やすことが可能である。
更に、本実施形態においては、放射線エネルギー依存性を補正したがこれに限定されない。線量比例定数に影響を与える物理量の補正に関して適用することが可能である。
また、本実施形態においては、1種の物理量の補正例を示したが、複数種類の物理量の補正に拡張可能である。第1実施形態にて説明したように、補正の数よりも一つ多い蛍光体を用いればよい。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態の放射線モニタ方法について図5を用いて説明する。
本実施形態における放射線モニタ装置の基本的な構成は第1実施形態や第2実施形態のいずれかの構成と同様なので説明を省略する。
本実施形態に係る補正処理に関して、以下各種関係式等を用いて説明する。本補正処理も、主に線量演算装置50,50Aにて実施する演算処理である。
本実施形態では、クエンチングを補正する。図5にクエンチング現象の模式図を示す。図5中、横軸が単位長さ当たりの放射線のエネルギーデポジット量で縦軸が蛍光体の発光量である。
図5に示すように、局所にて高いエネルギーをデポジットすると発光量が飽和してしまう現象がクエンチング現象である。そこで、クエンチング特性の異なる蛍光体101a,101bを用いることで、その発光量の比で一意的にクエンチング量を見積もることが出来る。
クエンチング現象は線量比例定数に影響することから、式(16),式(17)の関係が得られる。
C6=G1(dE/dX)・D … (16)
C7=G2(dE/dX)・D … (17)
また式(16),式(17)から以下の式(18)の関係を得ることができる。
C7/C6=G2(dE/dX)/G1(dE/dX) … (18)
クエンチングが起きていない領域では、式(18)のシグナル計数比C7/C6は一定である。これに対し、クエンチングが発生すると図5の場合ではシグナル計数比C7/C6はdE/dXに依存して増加していく。
従って予め図5に示したクエンチング曲線を把握し、シグナル計数比C7/C6とクエンチング量の関係を求めておけばクエンチング量の補正が可能となる。
その他は前述した第3実施形態の放射線モニタ方法と略同じであり、詳細は省略する。
本発明の第4実施形態の放射線モニタ方法においても、前述した第3実施形態の放射線モニタ方法とほぼ同様な効果が得られる。
また、本実施形態の放射線モニタ方法によれば、蛍光体101a,101bのシグナル計数の比から簡易にクエンチング量を見積もることが可能となる。すなわち、局所的に配置した放射線発光部10において、ブラッグピーク近傍等の局所で発生するクエンチング現象をリアルタイムで補正することが可能となる。特に、放射線治療中の患者体内のリアルタイム線量計測を可能とするものであり、ブラッグピーク近傍のように非常に狭い領域に非常に高い線量をデポジットする場合においても高精度な線量計測が可能である。
本実施形態においては、シグナル計数の比からクエンチングを補正したがこれに限定されない。例えばシグナル係数の差を用いてもよいし、使用する蛍光体においてクエンチング量を見積もれる演算方法を用いればよい。
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態の放射線モニタ方法について説明する。
本実施形態における放射線モニタ装置の基本的な構成は第1実施形態や第2実施形態のいずれかの構成と同様なので説明を省略する。
本実施形態では、線量演算装置50,50Aによってシグナル計数工程で計数した異なる波長ごとのシグナル計数値から、線量に依存しないシグナル計数値のバックグラウンドであるバックグラウンド値を補正することにより、物理量として温度またはチェレンコフ光の影響を補正した線量を算出する。
本実施形態に係る補正処理に関して、以下各種関係式等を用いて説明する。本実施形態では、温度Tの依存性を補正する場合について説明する。
図3において説明したように、入射する放射線の線量率と、放射線発光部10が発する単位時間当たりのフォトン数との間には一対一の対応関係があり、式(8)が成立する。
ここで、温度の影響は輻射による発光であるため、線量Dとの関係は無く、式(8)においてバックグラウンド値に温度依存性が現れる。
従って、2種の蛍光体101a,101bに対応したシグナル計数(または計数率)から温度に依存しない固定値であるバックグランド値を差し引いた正味のシグナル計数(または計数率)をそれぞれC8およびC9とすると、式(19)および式(20)の関係が成り立つ。
C8=G1・D+B1(T) … (19)
C9=G2・D+B2(T) … (20)
式(19)および(20)より式(21)が得られるが、予め、バックグラウンド値の温度依存性B1(T)およびB2(T)を求めておくことで、シグナル係数C8およびC9から式(21)を用いて温度Tを求めることが出来る。
C8・G2−C9・G1=B1(T)・G2−B2(T)・G1 … (21)
温度Tが求まれば式(19)または式(20)から線量Dが求まる。
その他の構成・動作は前述した第3実施形態の放射線モニタ方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の第5実施形態の放射線モニタ方法においても、前述した第3実施形態の放射線モニタ方法とほぼ同様な効果が得られる。
また、本実施形態によれば、温度の影響を補正した高精度な線量測定が可能となる。
なお、本実施形態においては、温度依存性を補正した場合について説明したがこれに限定されず、バックグラウンド値に影響を与える物理量の補正に関して適用可能である。
また、本実施形態においては、1種の物理量の補正例を示したが、複数種類の物理量の補正に拡張可能である。第1実施形態にて説明したように、補正の数よりも一つ多い蛍光体を用いればよい。
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態の放射線モニタ方法について説明する。
本実施形態における放射線モニタ装置の基本的な構成は第1実施形態や第2実施形態のいずれかの構成と同様なので説明を省略する。
本実施形態に係る補正処理に関して、以下各種関係式等を用いて説明する。本補正処理も主に線量演算装置50,50Aにて実施する。本実施形態では、チェレンコフ光の影響を補正する。
図3において説明したように、入射する放射線の線量率と、放射線発光部10が発する単位時間当たりのフォトン数との間には一対一の対応関係があり、式(8)が成立する。
ここで、チェレンコフ光の影響は光ファイバ20内の発光であり、線量Dとの関係は無く、式(8)においてバックグラウンド値を増大する。チェレンコフ光の強度は、ファイバ部分の高エネルギー放射線量(W)と発光波長に依存する。
従って、2種の蛍光体101a,101bに対応したシグナル計数(または計数率)からチェレンコフ光に依存しない固定値であるバックグランド値を差し引いた正味のシグナル計数(または計数率)をC10およびC11とすると、式(22)および式(23)の関係が成り立つ。
C10=G1・D+B1(W) … (22)
C11=G2・D+B2(W) … (23)
更に、B1とB2の比は、波長のみに依存しており、定数αを用いて式(24)で表される。
B1(W)/B2(W)=α … (24)
未知数B1(W)、B2(W)および線量Dの3個に対して式3個が得られるので、チェレンコフ光の影響を補正した、すなわち影響を取り除いた線量Dを式(22)、式(23)および式(24)から求めることが出来る。
その他の構成・動作は前述した第5実施形態の放射線モニタ方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の第6実施形態の放射線モニタ方法においても、前述した第5実施形態の放射線モニタ方法とほぼ同様な効果が得られる。
<第7実施形態>
本発明の第7実施形態の放射線治療システムについて図6および図7を用いて説明する。
本実施形態の放射線治療システムは、第1実施形態あるいは第2実施形態のいずれかの放射線モニタ装置1,1Aを備えた粒子線治療システム、あるいは第1実施形態あるいは第2実施形態のいずれかの放射線モニタ装置1,1Aを備えた放射線治療システムである。
なお、以下に説明する本実施形態では、放射線モニタ装置1,1Aは、第3実施形態乃至第6実施形態で説明した補正処理を実施することができることは言うまでもない。
まず、本実施形態における粒子線治療システム100の全体構成について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態における粒子線治療システム100の概略構成を示す図である。
図6に示すような粒子線治療システム100は、標的146に対して粒子線を照射するための装置であり、治療台140、加速器150、ビーム輸送装置152、照射装置154、制御装置156、第1実施形態あるいは第2実施形態で説明した放射線モニタ装置1,1A等を備えている。図6では、加速器150、ビーム輸送装置152、および照射装置154が放射線照射装置となる。
治療台140は、患者145を並進3自由度、および姿勢3自由度を自由に移動させ、位置決めすることが可能に構成されており、公知の構成を用いることができる。
加速器150は、イオン源150a、ライナック150b等の前段加速器と、粒子を加速するシンクロトロン150cから構成される。
粒子線治療を行う場合には、まずイオン源150aで生成された粒子がライナック150bに供給される。ライナック150bは粒子を加速した後、シンクロトロン150cに供給する。
ライナック150bから粒子を受け取ったシンクロトロン150cは、粒子を所定のエネルギーまで更に加速させて粒子線を生成する。シンクロトロン150cは周回する粒子線を取り出すために、周回軌道を形成する偏向電磁石150c1、粒子線の安定限界を変更する高周波四極電磁石150c2、高周波を印加して粒子線のベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波印加装置150c3、出射用デフレクタ150c4等を備えている。
なお加速器としてシンクロトロン150cを例に挙げたが、シンクロトロン150cの替わりに、例えばサイクロトロンやシンクロサイクロトロン等のような前段加速器を必要としない円形加速器を用いることができる。
ビーム輸送装置152は、粒子線経路152a、四極電磁石152b、偏向電磁石152c等を有している。このビーム輸送装置152が構成する粒子線経路152aは、加速器150と後述する照射装置154とを連絡している。加速器150で生成された粒子線は、このビーム輸送装置152を介して照射装置154に輸送される。
照射装置154に導かれた粒子線は、照射装置154内の走査電磁石154aにより粒子線の通過方向に対して垂直な平面を走査され、標的146に対して所望の線量分布を形成する。
放射線モニタ装置1,1Aの基本的な構成は第1実施形態あるいは第2実施形態のいずれかの構成と同様であるが、異なるのは、線量演算装置50,50Aは制御装置156に対して算出された線量等の情報を信号として出力する点である。
制御装置156は、加速器150やビーム輸送装置152、照射装置154内の各機器の動作を制御する装置であり、制御装置156と各装置は、有線或いは無線のネットワークで接続されている。制御装置156は、1または複数のプロセッサ、CPU等で構成される。
各機器の動作の制御は各種プログラムで実行される。このプログラムはデータベース(図示省略)や内部記録媒体に格納されており、CPUによって読み出され、実行される。なお、実行される動作の制御処理は、1つのプログラムにまとめられていても、それぞれが複数のプログラムに別れていてもよく、それらの組み合わせでもよい。また、プログラムの一部または全ては専用ハードウェアで実現してもよく、モジュール化されていても良い。更には、各種プログラムは、プログラム配布サーバや外部記憶メディアによって各計算機にインストールされてもよい。
図6に示す粒子線治療システム100では、放射線発光部10を患者145内の標的146の近傍に設置し、照射装置154による粒子線照射中に、オンラインで、第1乃至第6実施形態と同様に線量を計測する。
制御装置156にて線量演算装置50,50Aから計測した線量等の各種情報を取得する。これにより、照射中にリアルタイムで対象部位の線量を監視し、必要に応じて粒子線照射条件を変更する等のフィードバック制御を実施して、最適な照射(粒子線治療)を実現する。
あるいは、放射線発光部10をファントム内の測定対象部位の近傍に設置し、放射線照射装置による放射線照射中にオンラインで、第1乃至第6実施形態と同様に線量を計測する。制御装置156にて線量演算装置50,50Aから計測した線量等の各種情報を取得し、必要な校正を行う。これにより従来より高い精度での構成を速やかに実現し、高精度な照射の実現に寄与する。
なお、照射装置154は回転ガントリと呼ばれる装置に搭載され、標的146に対して様々な角度で粒子線を照射可能な構成とすることができる。
また、1台の加速器150と1台の照射装置154からなる治療システムについて説明したが、照射装置154が複数ある粒子線治療システムとすることができ、個々の治療室に第1実施形態の粒子線照射装置あるいは第2実施形態の粒子線照射装置を適宜備えることができる。
また、ビーム輸送装置152を用いる場合について説明したが、加速器から粒子線照射装置に直接粒子線を輸送することができる。
また、治療に用いる粒子線には、炭素線、ヘリウム線等の重粒子線や陽子線を用いることができる。
次いで、放射線治療システムの概要について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態における放射線治療システム100Aの概略構成を示す図である。
放射線治療システム100Aは、放射線を発生、照射する放射線照射装置180と、第1実施形態あるいは第2実施形態に記載された放射線モニタ装置1,1Aと、放射線モニタ装置1,1Aで算出された線量を用いて放射線照射装置180を制御する制御装置156Aと、から構成されている。
放射線モニタ装置1,1Aの基本的な構成は第1実施形態あるいは第2実施形態と同様であるが、異なるのは、線量演算装置50,50Aは制御装置156Aに対して算出された線量等の情報を信号として出力する点である。
放射線治療システム100Aでは、放射線発光部10を体内やファントム内の照射対象部位184の近傍に設置し、放射線照射装置180による放射線照射中に、オンラインで、第1乃至第6実施形態と同様に線量を計測する。
制御装置156Aにて線量演算装置50,50Aから計測した線量等の各種情報を取得する。これにより照射中にリアルタイムで対象部位の線量を監視し、必要に応じて放射線照射条件を変更する等のフィードバック制御を実施して、最適な照射(放射線治療)を実現する。
あるいは、放射線発光部10をファントム内の測定対象部位の近傍に設置し、放射線照射装置による放射線照射中にオンラインで、第1乃至第6実施形態と同様に線量を計測する。制御装置156にて線量演算装置50,50Aから計測した線量等の各種情報を取得し、必要な校正を行うことで、高精度な照射の実現に寄与する。
上述のような治療システムでは、放射線モニタ装置1,1Aにより高精度な放射線のモニタが可能となっていることから、標的146、照射対象部位184に対して高精度に放射線を照射することができる。
<その他>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
1,1A…放射線モニタ装置
10…放射線発光部
101a,101b…蛍光体
102…光透過性素材(光伝播性素材)
103…カバー(遮光性カバー)
20…光ファイバ
30,30a,30b…光電変換器
40,40a,40b…シグナル計数装置
50,50A…線量演算装置
60…表示装置
70…光学フィルタ
100…粒子線治療システム
100A…放射線治療システム
154…照射装置(放射線照射装置)
156,156A…制御装置(放射線制御装置)
180…放射線照射装置

Claims (15)

  1. 入射した放射線量に依存した強度で発光し、発光する波長がそれぞれ異なる複数種類の蛍光体を有する放射線発光部と、
    前記放射線発光部で発生したフォトンを伝送する光ファイバと、
    前記フォトンを波長ごとに電気信号に変換する光電変換器と、
    波長ごとの前記電気信号を計数するシグナル計数装置と、
    波長ごとのシグナル計数に基づいて線量を演算する線量演算装置と、
    前記線量演算装置で算出した測定結果を表示する表示装置と、を備えた
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  2. 請求項1に記載の放射線線量モニタ装置において、
    前記複数種類の蛍光体は、第1の蛍光体と第2の蛍光体とを含み、
    前記光電変換器は、前記第1の蛍光体から発生する波長のフォトンを電気信号に変換する第1の光電変換器と、前記第2の蛍光体から発生する波長のフォトンを電気信号に変換する第2の光電変換器と、を有する
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  3. 請求項1に記載の放射線線量モニタ装置において、
    前記放射線発光部の後段に設けられ、通過するフォトンの波長を切り替える光学フィルタを更に備え、
    前記光電変換器は、前記光学フィルタを通過したフォトンを電気信号に変換する
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の放射線モニタ装置において、
    前記放射線発光部が有する前記蛍光体の種類の数は、前記線量演算装置において行われる補正処理の補正パラメータ数+1である
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  5. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の放射線モニタ装置において、
    前記放射線発光部の吸収線量が水と等価である
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  6. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の放射線モニタ装置において、
    前記放射線発光部が有する前記蛍光体と、前記蛍光体を保持する光伝播性素材のうち少なくともいずれかの吸収線量が水と等価である
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  7. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の放射線モニタ装置において、
    前記放射線発光部が有する前記蛍光体は光透過性である
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  8. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の放射線モニタ装置において、
    前記放射線発光部は、表面に遮光性カバーが設けられている
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  9. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の放射線モニタ装置において、
    前記放射線発光部が有する前記蛍光体は、補正する物理量に依存して発光特性が異なる
    ことを特徴とする放射線モニタ装置。
  10. 放射線を発生、照射する放射線照射装置と、
    請求項1乃至3いずれか一項に記載の放射線モニタ装置と、
    前記放射線モニタ装置で算出された線量を用いて前記放射線照射装置を制御する放射線制御装置と、を備えた
    ことを特徴とする放射線治療システム。
  11. 入射した放射線の量に依存した強度で発光し、波長がそれぞれ異なる複数の光を発生する発光工程と、
    前記発光工程において発生したフォトンを光ファイバで伝送する伝送工程と、
    伝送された前記フォトンを波長ごとに電気信号に変換する光電変換工程と、
    前記電気信号を波長ごとに計数するシグナル計数工程と、
    前記波長ごとのシグナル計数値に基づいて線量を演算する線量演算工程と、を有する
    ことを特徴とする放射線のモニタ方法。
  12. 請求項11に記載の放射線モニタ方法において、
    前記線量演算工程では、前記シグナル計数工程で計数した異なる波長ごとのシグナル計数値から、線量とシグナル計数値の比例定数である線量比例定数を補正することにより物理量の影響を補正した線量を算出する
    ことを特徴とする放射線モニタ方法。
  13. 請求項12に記載の放射線モニタ方法において、
    前記線量演算工程では、前記物理量として、放射線エネルギー、またはクエンチングの影響を補正する
    ことを特徴とする放射線のモニタ方法。
  14. 請求項11に記載の放射線モニタ方法において、
    前記線量演算工程では、前記シグナル計数工程で計数した異なる波長ごとのシグナル計数値から、線量に依存しないシグナル計数値のバックグラウンドであるバックグラウンド値を補正することにより物理量の影響を補正した線量を算出する
    ことを特徴とする放射線モニタ方法。
  15. 請求項14に記載の放射線モニタ方法において、
    前記線量演算工程では、前記物理量として、温度またはチェレンコフ光の影響を補正する
    ことを特徴とする放射線モニタ方法。
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CN114984462B (zh) * 2022-04-15 2024-03-26 南京航空航天大学 一种基于多通道成像的切伦科夫光剂量监测方法与装置

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