JP2019218245A - Siインゴット結晶の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

Siインゴット結晶の製造方法及びその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、低歪み、低転位、低酸素濃度の種々の形状のSiインゴット結晶が得られるSiインゴット結晶の製造方法及びSiインゴット結晶の製造装置を提供することを課題とする。【解決手段】熱伝導度の悪い材料からなる板を、Si融液を入れたルツボ底の中央部に配置して、ルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法及びSiインゴット結晶の製造装置である。【選択図】 図4

Description

本発明は、Siインゴット結晶の製造方法及びその製造装置に関する。
太陽電池を地球規模で本格的に普及させるためには、最も安全で環境にやさしく地球上に資源が豊富なSi原料を用いて作製できる、Siインゴット結晶から切り出したSi結晶ウェハーを用いた太陽電池を本格的に普及させる必要がある。そのためには、高効率の太陽電池を、安全なSi資源を用いて低コストで生産できる、高品質で高均質な大面積のSiインゴット単結晶の製造技術を開発する必要がある。
また、各種電子装置に幅広く使用されている半導体デバイスをさらに安価に大量に普及させるためにも、安全なSi資源を用いて低コストで生産できる、高品質で高均質な大面積のSiインゴット単結晶の製造技術を開発する必要がある。
本発明により得られるSiインゴット結晶の要件は、太陽電池結晶でも半導体結晶でも同じなので、本明細書では太陽電池を対象として説明を行う。
(チョクラルスキー成長法)
現在、高効率太陽電池や半導体デバイス用のSiインゴット単結晶の大部分は、チョクラルスキー成長法(CZ法)で作製されている。しかし、図9の(a)図に示すように、CZ法では結晶成長時の成長界面は、Si融液表面の上部にあり、成長界面を形成しているSi融液は、主に表面から表面張力で盛り上がった薄く体積の小さな融液からなっている。このため、徴妙な融液内での温度分布や勾配の制御が難しい。
また、結晶はこの融液の外に向かつて引き上げ成長され、成長時に発生する潜熱は、主に種結晶軸からの抜熱及びインゴット結晶表面からの放熱により取り除かれるため、成長界面が成長方向に向かって凹型になっており、歪みや結晶欠陥を結晶内部に引き込む形状になる。
さらに、融液の対流が大きいため石英ルツボとSi融液との反応が激しく、酸素がルツボからSi融液に融解し成長結晶中の酸素濃度を上げる可能性がある。特に、成長界面がSi融液表面の上部にあるため、常に急冷凝固に近い成長条件となり、成長界面で空孔や格子間原子が発生しやすい環境となる。
(キャスト成長法)
太陽電池用結晶の実用的な主要材料であるSiインゴット多結晶を、低コストで製造する技術であるキャスト成長法では、石英ルツボの内壁に離型剤(Si34)を塗るため酸素濃度の上昇を抑制できる。
しかし、図10の(a)図に示すように、Si結晶がルツボ壁に直接触れながらSi融液から凝固するため、凝固成長時の膨張による歪みがSiインゴット結晶内部に生じ、多量の転位が発生し結晶品質を劣化させている。また、離型剤は、Fe(鉄)等の不純物を含むため、インゴット結晶の純度や電気的性質を劣化させている。
(従来の成長法の問題点)
発明者らは、ルツボを用いた太陽電池用Siインゴット結晶の成長に関する長年の研究により、ルツボ内に入れたSi融液が凝固成長する時に起こる結晶の膨張により、結晶内に大きな歪みが発生し、多量の転位生成の原因になるため、ルツボに入れたSi融液から結晶を成長させる時には、ルツボ壁に触れないで成長させる重要性に気づいた。
また、Siインゴット単結晶の成長技術であるCZ法は、結晶成長時の成長界面がSi融液の上部にあり、主に表面から表面張力で盛り上がった薄く体積の小さな融液において結晶成長しているため、微妙な融液内での温度分布や勾配の制御が難しく、また成長界面が成長方向に向かって凹型になっており、歪を内部に引き込む形状であるといった課題があることが判った。
さらに、融液の対流が大きく石英ルツボとSi融液との反応が激しく、酸素がルツボからSi融液に融解し成長結晶中の酸素濃度を上げるという課題もあった。これに加えて、成長界面がSi融液表面の上部にあるため、常に急冷凝固に近い成長条件となり、成長界面で空孔や格子間原子が発生しやすい環境となる本質的な課題があった。
(NOC成長法)
これらの課題を解決するために、非特許文献1ないし4に示すような、ルツボ壁に触れないでSiインゴット結晶をSi融液の内部で成長できるNOC成長法(Noncontact Crucible Method)を考案した。
図10の(b)図に示すように、このNOC成長法では、Si融液内に設けた大きな低温領域を活用して、Siインゴット結晶をSi融液内で成長させる。
このため、Si種結晶を用いて成長初期にSi融液表面で成長核を作り、ここから融液表面で結晶を広げると同時に低温領域内部に向けて結晶を成長させる。インゴット結晶がある程度大きく融液内部で成長した後、インゴット結晶をさらに引き上げながら成長させる。
この時、Si融液内部には低温領域が存在するため、引き上げ成長中も低温領域で結晶が成長し、融液内成長の状態は保存される。また成長界面も図9の(b)図に示すように、成長方向に対して凸型をしているために、歪みや転位等の結晶欠陥を外部に吐き出す形状である。
NOC成長法の最大の特徴は、Si融液内部に周りの融液温度よりも低い低温領域を意識的に設定することにある。この低温領域は、Si融液内部でインゴット結晶をルツボ壁に触れないで成長させるためには不可欠の要素である。
(NOC成長法と従来の成長法との対比)
太陽電池用のインゴット結晶の製造技術として、インゴット単結晶では高品質結晶が得られるCZ法が使われており、またインゴット多結晶では量産がし易く低コストのキャスト成長法が使われている。
CZ法では、凝固成長時にルツボからの膨張歪みを受けるといった影響は無いが、インゴット結晶をSi融液表面の表面張力を利用してSi融液外へ引き上げながら成長する方法であるため、引き上げ速度によって決まる人工的な速度でインゴット結晶を成長している。
このため、成長界面は常に表面張力でSi融液表面から持ち上がった位置に存在し、成長界面は成長方向に向かって凹型となり、また融液内の徴妙な温度分布の制御が難しくなる。また、このため、自然に結晶界面が融液内で移動して結晶が成長する融液内成長よりも熱歪みや結晶欠陥が結晶中に入り易いという弱点を持つ。
一方キャスト成長法は、ルツボの中で凝固する成長法であるため、Si結晶が凝固する時の膨張歪みやルツボとの接触によるルツボ歪み、さらにはルツボ壁からの不純物拡散による汚染の影響を強く受け、転位等の結晶欠陥や不純物が結晶中に入りやすいという難点がある。
このため、Si結晶で高い品質を得るには、ルツボ成長によるSi結晶の各種歪みや、人工的に形成された成長界面による熱歪み等の影響を無くした成長技術の開発が必要となる。
特開2011−230951号公報.
K. Nakajima et al, J. Crystal Growth, 344, 6-11(2012). K. Nakajima et al, Jpn. J. Appl. Phys., 54, 015504-1-015504-7(2015). "Growth of Si ingots for solar cells with 33 cm diameter using a small crucible with 40 cm diameter by Noncontact crucible method"K.Nakajima, S.Ono, R.Murai, Y.Kaneko, F.Jay, Y.Veschetti, A.Jouini in PVSEC-25, BEXCO, Busan, Korea, November 15-20 (2015). K. Nakajima, S. Ono, Y. Kaneko, R. Murai1, K. Shirasawa, T. Fukuda, H. Takato, S. Castellanos, M. A. Jensen, A. Youssef, T. Buonassisi, F. Jay, Y. Veschetti, and A. Jouini, "Applications based on novel effects derived to the Si bulk crystal growth inside Si melt without contact to crucible wall using noncontact crucible method", in The 18th International Conference on Crystal Growth and Epitaxy (ICCGE-18), Nagoya, Japan, August 7-12 (2016).
このような課題を克服するSiインゴット結晶の成長方法としてNOC成長法を開発したが、このNOC成長法では、Si融液内に大きく明確な低温領域を形成する必要があり、通常のルツボ底に低温材料を接触させて熱を取る技術では、Si融液底部の温度が下がり、Si融液の上部から成長することを基本とするNOC成長法には使いにくいことが判った。
太陽電池などの電子素子に用いるSi結晶の高品質化には多くの研究がなされてきたが、最後まで残った重要課題がインゴット結晶内部の歪みの低減と歪みによる転位等の結晶欠陥の発生である。この歪みがインゴット結晶に与える影響は、一般的に考えられているよりもはるかに大きいことを見出し、この知見に基づき本発明のベースとなるNOC成長法が生まれた。
本発明は、これまで述べた背景技術並びに本発明者らの知見を踏まえ、NOC成長法を発展させて、低歪み、低転位、低酸素濃度の種々の形状のSiインゴット結晶が得られるSiインゴット結晶の製造方法及びSiインゴット結晶の製造装置を提供することを課題とする。
本発明の課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(1)Si融液を入れたルツボ底の中央部への入熱を阻害することにより、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
(2)Si融液を入れたルツボ底にヒータのような発熱体を配置するとともに、ルツボ底の中央部への発熱体からの入熱を阻害することにより、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
(3)熱伝導度の悪い材料からなる板を、Si融液を入れたルツボ底の中央部に配置して、ルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
(4)ルツボを用いたSiインゴット結晶のSi融液内において、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板とを幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を用意し、合成板を、Si融液を入れたルツボ底に配置して、熱伝導度の悪い板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
(5)Si融液を入れたルツボ底の中央部への入熱を阻害することにより、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長することを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法であって、
融液内に設けた低温領域を利用して、Si種結晶をSi融液表面に接触させて結晶成長を開始した後、Si融液表面に沿って又は融液内部に向かってインゴット結晶を成長し、成長したインゴット結晶の一部を融液内から融液と分離しない程度に引き上げる第1の工程と、再度融液内に残った結晶から、Si融液の表面に沿って又は内部に向かってインゴット結晶を成長し、再度成長したインゴット結晶の一部を融液内からSi融液と分離しない程度に引き上げる第2の工程とを、順次繰り返してインゴット結晶を成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
(6)Siインゴット結晶の引き上げ成長を開始した後に、上記Si融液全体の温度を下げて低温領域を大きくして結晶を融液内部に大きく広げる際に、降温と引き上げを断続的又は連続的に行うことを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載のSiインゴット結晶の製造方法。
(7)Si種結晶に回転又は右左の繰り返し反復回転を与えることを特徴とする(5)又は(6)に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
(8)Si融液を入れるルツボを囲む側面ヒータ及び底面ヒータを備え、底面ヒータとルツボ底部との間に、熱伝導度の悪い材料からなる板を、ルツボ底の中央部に配置してルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造装置。
(9)Si融液を入れるルツボを囲む側面ヒータ及び底面ヒータを備え、底面ヒータとルツボ底部との間に、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板を幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を配置して、熱伝導度の悪い材料からなる板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造装置。
(10)上記熱伝導度の悪い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で0.6W/m・k以下とし、上記熱伝導度の良い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で20−60W/m・kとすることを特徴とする(9)に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
(11)上記熱伝導度の悪い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で0.15−0.55W/m・kとすることを特徴とする(10)に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
(12)上記熱伝導度の悪い材料からなる板の材質をグラファイト製の断熱材とし、上記熱伝導度の良い材料からなる板の材質をグラファイト材料とすることを特徴とする(9)に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
(13)ルツボ底の中央部への入熱を阻害するためにルツボ底に配置する上記熱伝導度の悪い材料からなる板の形状を、円形、四角形、多角形、星形、線状又は惰円形とし、上記熱伝導度の良い材料からなる板をその周りに幾何学的に平面的に配置して組み合わせた構造の合成板としたことを特徴とする(9)ないし(12)のいずれかに記載のSiインゴット結晶の製造装置。
(14)上記合成板の下側に冷却体を配置したことを特徴とする(13)に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
(15)Si種結晶に回転又は右左の繰り返し反復回転を与える機構をさらに備えたことを特徴とする(8)ないし(14)のいずれかに記載のSiインゴット結晶の製造装置。
(16)上記Si融液を入れるルツボとこれを囲む側面ヒータ及び底面ヒータとの間に、該ルツボを囲むカーボン製熱保持具を備えたことを特徴とする(8)ないし(15)のいずれかに記載のSiインゴット結晶の製造装置。
本発明によれば、Si融液を入れたルツボ底の中央部への入熱を阻害することにより、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させるため、低歪み、低転位、低酸素濃度の種々の形状のSiインゴット結晶の製造方法及びSiインゴット結晶の製造装置が実現できる。
従来のSiインゴット結晶の製造装置と本発明に係るSiインゴット結晶の製造装置との、Si融液への熱の流れの制御を示す比較説明図である。 Kyropoulos法とNOC成長法とのコンセプトの違いを説明する図面である。 中央の円形部分に熱伝導度の悪いグラファイト製の材料からなる板を配置し、その周りの円環部分に熱伝導度の良いグラファイト製の材料からなる板を幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板の写真である。 Siインゴット結晶の製造装置のルツボ底面に配置した合成板の一例を示す図面である。 NOC成長法を用い、実施例1に基づいて成長した円形のn型大口径Siインゴット単結晶の写真である。 NOC成長法を用い、実施例2に基づいて成長した四角形のn型Siインゴット単結晶の写真である。 成長初期に、過冷却をかけながら結晶をSi融液表面に沿って広げる成長をしている時期に、この広がった結晶を融液から急速に引き上げて成長を強制的に終了させ、その時点での成長界面の形状を示した写真である。 成長したインゴット結晶の最大直径と断熱材(熱伝導度の悪い材料からなる板)との直径の相関を示す図面である。 チョクラルスキー(CZ)成長法とNOC成長法(Noncontact Crucible Method)との成長界面形状の比較図である。 キャスト成長法とNOC成長法との成長形態の比較図である。
(本発明の要旨)
本発明は、Si融液内に大きな安定した低温領域を、制御しながら設定する方法に関するものである。
最も重要なポイントは、側面ヒータと底面ヒータからSi融液内に流入する熱の流れを制御することにある。このために、熱伝導度の悪い材料からなる板(断熱板)を中央に配置し、熱伝導度の良い材料からなる板をその周りに配置し、これらを幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を活用し、Si融液への熱の流れを制御して低温領域を設定することである。
図1の(b)図に示すように、この合成板をルツボ底に配置して、熱伝導度の悪い材料からなる板により、底面ヒータからルツボ底の中央部を通してSi融液内部へ熱が流入する(入熱)ことを阻害し、熱伝導度の良い材料からなる板を敷いたルツボ底の周囲部では入熱を促進させる。
熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板とは、幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を構成している。
これにより、Si融液内の上部中央から下部中央にかけて大きな低温領域を形成できる。この合成板の構造には種々の形状・形態が考えられ、低温領域のサイズを制御するために使い分けることができる。
比較のために、このような合成板がない通常の成長炉の熱の流れを、図1の(a)図に示す。
この低温領域の形成を行うためにルツボ底を冷却すると、Si融液の下部温度が下がりデンドライト結晶がルツボ底面から発生する。このため、低温領域の設定には、一般に使われている冷却手法を用いることはできない。Si融液内に低温領域を形成する手法に対する本発明の主眼は、ルツボ下部中央からの入熱を阻害し、Si融液中央部の温度を下げる点である。
(本発明に近い従来例の特徴と問題点)
キャスト成長法の一つとしてデンドライト結晶利用成長法で、デンドライト結晶をルツボ底面に沿って一方向に配列するために、断熱材料の組み合わせ板が報告されている(特許文献1)。この方法ではインゴット多結晶がルツボ底面から成長を開始しメルトの上部へ向かって成長が進行するので、本発明のベースとなる成長法であるNOC成長法とは温度分布や構成が逆になっている。
すなわち、デンドライト結晶利用成長法では、Si融液の下部の温度が上部の温度よりも低く設定されている。デンドライト結晶をルツボ底面の端部から底面に沿って一方向に発現させるために、Si融液底部の端部位置の局所領域近傍の過冷却度を大きくする必要がある。このため、この端部の局所部分に熱伝導度の良い材料よりなる板を配置してルツボ内の融液から外部への熱の逃げを促進し、ルツボ底面の中央には熱伝導度の悪い材料を配置してメルトから熱が逃げないようにしている。
本発明とは異なり、ルツボ底面の中央部では、融液からの熱の逃げを抑制することに主眼を置いており、これによりメルト中央部分の温度を高く保っている。このため、この配置ではSi融液内に低温領域はできない。
一方本発明では、Si融液の下部の温度が上部の温度よりも高く設定されている状態を基本にしている。この状態で、Si融液内部の上部中央から底部にかけて、周りの融液温度よりはるかに低温になっている低温領域を設けるために、熱伝導度の悪い断熱材料によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、その周りを逆に熱伝導度の良い材料で囲い、熱が融液中に入り易いように工夫している。
本発明では、Si融液内部の上部中央から底部にかけて、周りの融液温度よりはるかに低温になっている低温領域を設けるために、熱伝導度の悪い断熱材料によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、その周りには逆に熱伝導度の良い材料で囲って、ルツボ内のSi融液への入熱を促進する発想を用いる。これによりSi融液内部の上部中央から下部中央にかけて大きな低温領域が形成できる。
融液内成長法としてKyropoulos法と呼ばれる方法がある。この方法と本発明に係るNOC成長法との違いを図2で説明する。
図2の(a)図に示すように、Kyropoulos法では、基本的には凝固潜熱は主に種結晶を固定した軸を通して放熱される。同時にルツボ底面からも放熱が行われ、熱はSi融液の底部から外に流れる方向になるため、融液内には大きな低温領域を作ることができない。
図2の(b)図に示すように、本発明に係るNOC成長法では、ルツボ底面中央からの熱の流入を阻害し、ルツボ底面の周りからの熱の流入を強めるためSi融液の中央に大きな低温領域を形成できる。
このように低温領域を作るための基本コンセプトが異なり、Kyropoulos法には融液内に意識的に低温領域を設定する発想はなく、十分な大きさの低温領域を融液内に設定することができない。このため、Si結晶のような潜熱の大きな結晶の成長には無理があり、Si融液内でルツボ壁に触れないでSiインゴット結晶を成長した報告は一切無い。
それに比べて本発明では、明確で大きな低温領域を熱伝導度が異なる材料からなる板を組み合わせた構造の合成板を活用して実現できており、図2の(b)図に示すようなSiインゴット単結晶が極めて容易に成長でき、その効果は抜群である。
(本発明の実施形態)
Si融液内の上部中央に大きな低温領域を形成する技術として、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板を幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を用意し、この板をルツボ底に配置して、熱伝導度の悪い材料からなる板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を融液内に形成する方法が最も効果的であることを見出した。
この合成板には種々の形状が考えられ、目的に応じて使い分ける。
中央の円形部分に熱伝導度の悪いグラファイト製の材料からなる板と、その周りの円環部分に熱伝導度の良いグラファイト製の材料からなる板とを幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板の例を図3に示す。
この実施形態では、中央に円形の熱伝導度の悪い材料からなる板を配置したが、この板の形状が四角形、多角形、星形、線状、楕円形などになっていてもよく、成長させたいインゴット結晶の形状に合わせて自在に選ぶことが可能である。
Siインゴット結晶の製造装置のルツボ底面に配置した合成板の一例を図4に示す。この合成板をルツボ底面に沿って配置すると、Si融液下部中央への入熱を阻害でき、さらにルツボ壁近くのSi融液への入熱を促進できるため、Si融液内に大きな低温領域を安定して設けることができる。
ルツボの大きさによっては、この合成板を通した入熱を効果的に障害する目的で、この合成板の下側に冷却体を配置してもよい。
冷却体としては、良導体の材料からなる円柱棒やその中を水冷した円柱管などが考えられるが、この限りではない。
このようにしてSi融液内に形成された低温領域を用いて、次に示すようにNOC成長法を用いて大きなインゴット結晶を成長する。
Si融液は、融液上部よりも下部の方が高温となる温度分布を有するようにし、Si種結晶を用いてSi融液表面に核形成させ、まずここからSi融液の表面に沿って結晶を低温領域内で大きく広げる。
Si融液全体の温度をSiの融点以下に大きく下げて低温領域を大きくするほど、大きな結晶が融液表面に沿って成長できる。
この時、低温領域に内部に向かってもインゴット結晶が成長するため、成長界面は下に凸型を有するようになる。
さらに、Si融液全体の温度を下げながら、成長したインゴット結晶の一部を融液内から融液と分離しない程度に引き上げ、再度融液内に残った結晶からSi融液の表面に沿って又は内部に向かってインゴット結晶を成長し、再度成長したインゴット結晶の一部を融液内から融液と分離しない程度に引き上げる、といった手順を繰り返してインゴット結晶を成長する。
引き上げ成長を開始した時は、Si融液の冷却と引き上げを断続的に行ってもよく、又は連続的に行つてもよい。
実際の結晶成長の状況に合わせて、目的とするインゴット結晶のサイズや形状に応じて適宜決めればよい。
(低温領域の形成)
Si融液をルツボに入れてSiインゴット結晶を製造する際に、まずSi融液の上部中央から下部にかけて、その周囲の融液温度よりも低く、より大きな過冷却度を有する、円形、四角形、多角形、星形、線状、楕円形の低温領域を設ける。これによりSi結晶を融液内成長させる際に、ルツボ壁に触れないで結晶成長が可能になる。しかも、この低温領域のサイズを自在に制御することにより、成長するインゴット結晶の形状・大きさを自在に制御できるようになる。
このような低温領域をSi融液内に設けるため、熱伝導度の異なる材料からなる板を、幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を用いる。具体的には、ルツボ底面に円形、四角形、多角形、星形、線状、楕円形の熱伝導度の悪い材料からなる板を配置する。同時にこの熱伝導度の悪い材料の板を取り囲むように、熱伝導度の良い材料からなる板を配置する。
ここで、熱伝導度の悪い材料の熱伝導度を、Siの融点近傍で0.6W/m・k以下とする。さらに好ましくは、0.15−0.55W/m・kとする。
また、熱伝導度の良い材料の熱伝導度を、Siの融点近傍で20−60W/m・kとする。
この合成板により、Si融液底部への入熱を局所的に制御(ルツボ底中央部では入熱を阻害し、ルツボ底の周囲では入熱を促進)し、Si融液内に目的のサイズの低温領域を効果的に設ける。
低温領域を大きくするには、融液点下に融液を降温し、低温領域内の過冷却度を増す必要がある。過冷却度は80k以上付けることが可能である。
この過冷却度の大きさを自在に制御することにより、低温領域のサイズや温度勾配も変化し、この中で成長できるインゴット結晶の大きさ・形状も変わってくる。
本発明を活用した、具体的なn型Siインゴット単結晶の成長の実施例を実施例1及び実施例2として以下に示す。
(実施例1)
実施例1では、ルツボの大きさを50cm径とし、ドーパントとしてPを加えたSi原料の重さを35.32kgとする。この時、Si融液の深さは7cmとなる。
窒化珪素粉未を塗布しない石英ルツボにSi原料を充填し、インゴット結晶の製造装置内の所定の位置にセットする。
この時、ルツボ底の下側には、直径40cmのグラファィト製の熱伝導度の悪い円形の板とその周りに熱伝導度の良い材料の円環状の板を組み合わせた構造の合成板(直径60cm)をあらかじめ配置しておく。
その後、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中で約1450℃に昇温し、Si原料を完全に融解させた。次に、ルツボの温度をSiの融点温度以下1.5kまで下げ、Si種結晶をSi融液表面に持ち浸して接触させて種づけをした。
引き上げ成長を開始する前に、融液全体の温度を下げて低温領域を大きくし、結晶を融液表面に沿って大きく広げた。
この後、Si融液の温度を0.2mm/minの冷却速度で下げながら、0.1−0.5mm/minの引き上げ速度で種結晶からインゴット結晶を継続して成長させた。
この時、降温と引き上げを連続的に行ったり、断続的に行ったりすることにより、インゴット結晶のサイズを調整した。
また、この成長では、冷却を中断するプロセスをある周期で導入した。種結晶とルツボは同軸方向に回転して、対流の発生を抑制した。成長中は観察窓を通してインゴット結晶の端を常に観察し、インゴット結晶がルツボ壁に触れないようにした。
温度降下幅は55.1kであり、全成長時間は630分となった。
インゴット結晶が所定の大きさになった時、成長したインゴット結晶を融液から分離するために10mm/minの高速で引き上げ、成長を終了した。この時、ルツボを引き下げて成長したインゴット結晶が融液から分離することを助けた。
成長したSiインゴット単結晶の写真を図5に示す。Siインゴット単結晶は、円錐形をしており、重量は22.7kg、厚さは13.0cm、最大直径は45.0cm、直径比は0.9であった。これにより、ルツボ径(50cm)の90%の口径のインゴット単結晶が成長できた。
(実施例2)
実施例2では、ルツボの大きさを15cm径とし、ドーパントとしてPを加えたSi原料の重さを1.66kgとするとこの時、Si融液の深さは4cmとなる。
窒化珪素粉末を塗布しない石英ルツボにSi原料を充填し、インゴット結晶の製造装置内の所定の位置にセットする。この時、ルツボ底の下側には、直径10cmのグラファイト製の熱伝導度の悪い円形の板とその周りに熱伝導度の良い材料の円環状の板を組み合わせた構造の合成板(直径20cm)をあらかじめ配置しておく。
その後、Arガス雰囲気中で約1450℃に昇温し、Si原料を完全に融解させた。
次に、ルツボの温度をSiの融点温度以下1.5kまで下げ、Si種結晶をSi融液表面に持ち浸して接触させ種づけする。
この後、1mm/minの引き上げ速度で5−8mm径の細い種結晶を成長しネッキングを行う。成長した種結晶が約14cmの長さになった時、引き上げ成長を終了する。
この後、0.2k/minの降温速度で融液を冷却し、15kの過冷却度を融液にかけ、融液の中央上部から融液底部にかけて低温領域を形成すると同時に融液表面に沿って結晶を大きく広げる。
引き続き、0.2mm/minの速度で引き上げ成長を開始し、1時間43分成長を行う。
この後、10mm/minの高速で成長したインゴット結晶を融液から引き上げ、成長を終了した。
成長したSiインゴット単結晶の写真を図6に示す。インゴット結晶の重量は520g、厚さは2.5cm、一辺が9.4×9.7cmの4角形の形状をしており、対角線の長さは13.7cmになり、ルツボ直径が15cmなので、ルツボ径の91%の大きさのn型のSiインゴット単結晶が成長できた。
(実施例の具体的作用)
図5、図6を見て明らかなように、これらのインゴット結晶は、ルツボ壁に触れることなく成長している。このことは、本発明により、Si融液内部に大きな低温領域が形成できていることを示している。
特に、ルツボ壁の内面近傍の温度を高温に保持したまま、融液中央部をSi融点以下の55kもの大きさに冷却できたことを、ルツボ壁からの核形成と結晶成長が無かったことから示しており、融液内に低温領域がしっかりとできていることを現している。
Si原料内に低温領域ができていることを、次のようにして実験的に確認した。
インゴット結晶の成長初期に、過冷却をかけながらSi融液表面に沿って結晶を広げながら大きく成長する。この結晶成長時に、この広がった結晶を融液から急速に引き上げて成長を強制的に終了させ、その時点での成長界面の形状を確認した。融液内に低温領域が大きく広がっておれば、成長界面は下に凸型の形状をしているはずである。
図7(c)図に示すように、このように強制的に融液から引き上げて取り出したインゴット結晶を側面から観ると、明らかに下に凸型の形状をしていることが判る。
図7(a)図は、このようにして取り出したインゴット結晶の上面を示す。種結晶を中心に円形のインゴット結晶が得られている。
図7(b)図は、インゴット結晶が融液表面だけでなく低温領域内で下方に成長して広がっている概念図を示す。
このように、成長初期にSi融液表面に沿って結晶を広げている時期に、すでにSi融液内には大きな低温領域ができ、この低温領域内でインゴット結晶が、下に凸型(成長方向に対して凸型)に成長していたことが判る。
さらに、図8に示すように、成長したインゴット結晶の最大直径は断熱材(熱伝導度の悪い材料からなる板)の直径と強い相関があり、断熱材の直径が大きくなるほどインゴット結晶の最大直径が大きくなっている。このことは、断熱材がSiインゴット結晶の大口径化に極めて有効であることを実証している。
(実施例の構成に基づく特有の効果)
本発明は、高効率な太陽電池を作製するためのSiインゴット結晶の製造方法に関するもので、歪み、転位密度、酸素濃度の少ない種々の形状の高品質Siインゴット結晶、その中でも特にSiインゴット単結晶を製造する技術に関するものである。
特に、本発明のベースとなる結晶成長技術であるNOC成長法に適用した時、大きな効果を発揮することができる。
なお、本明細書ではSi太陽電池結晶を対象として説明したが、Si半導体結晶に対しても同様の効果を発揮できる。
ルツボ底面に配置する熱伝準度の悪い材料からなる板の形状を四角形、多角形、星形、線状、楕円形などに変えることによって、Si融液内に設けた低温領域の形状も微妙に変化させることができる。
目的とするSiインゴット結晶の形状に合わせた低温領域の設定を使用することができる。
本発明によらないで、ルツボ底面を冷却した場合には、下部温度が下がりデンドライト結晶ができる。このため、一般に使われている冷却手法を用いることはできない。この点が本発明の主眼である。
実際に本発明により、ルツボ内に入れたSi融液の表面付近から底部にかけて周囲より融液温度が低く、より大きな過冷却度を有する円形の低温領域を融液内部に局所的に設けた場合、低温領域よりも融液温度が高いルツボ壁近傍の領域から低温領域に向けてデンドライト等の結晶が発現しないことを見出している。このように本発明は、極めて高く強力な効果を発揮する。
本発明によれば、低歪み、低転位、低酸素濃度の種々の形状のSiインゴット単結晶が得られる。特に、四角形のSiインゴット単結晶は、太陽電池用ウェハーを作製する時に、四角形にカッティングする必要が無く、材料のロスが大幅に低減でき、低コスト化に顕著な効果を発揮する。
また、Si融液内成長を行うと、ルツボ径の80−90%の大きさのインゴット結晶を製造できるため、同じサイズのルツボを使った場合、インゴット単結晶の大口径化に大きな効力を発揮できる。
このため、本発明は太陽電池の大幅な普及に大きく貢献できる技術である。この効果は、同時に大口径半導体結晶の普及にも大きな効果を発揮できる。
(産業上の利用分野)
高効率太陽電池を作製できる高品質・高均質なSiインゴット結晶の製造方法及びその製造装置に関する発明であり、現在主流のSi結晶太陽電池の分野に革新的な技術を供与できる。
さらに、半導体デバイスを作製できる大口径・高品質なSiインゴット結晶の製造方法及びその製造装置にも適用可能な発明であり、小さな装置を用いて大口径のSiインゴット単結晶を製造できる革新的な技術を供与できる。
なお、本明細書に開示した実施例は、本発明の理解を容易にするために例示したものであって、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限り、Siインゴット結晶の製造方法及びその製造装置について、適宜の設計変更が可能であることは言うまでもないことである。

Claims (16)

  1. Si融液を入れたルツボ底の中央部への入熱を阻害することにより、該Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を該Si融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
  2. Si融液を入れたルツボ底に発熱体を配置するとともに、該ルツボ底の中央部への該発熱体からの入熱を阻害することにより、該Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を該Si融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
  3. 熱伝導度の悪い材料からなる板を、Si融液を入れたルツボ底の中央部に配置して、ルツボ底の中央部への入熱を阻害し、該Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を該Si融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
  4. ルツボを用いたSiインゴット結晶のSi融液内において、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板とを幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を用意し、該合成板を、Si融液を入れたルツボ底に配置して、熱伝導度の悪い板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、該Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
  5. Si融液を入れたルツボ底の中央部への入熱を阻害することにより、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長することを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法であって、
    融液内に設けた低温領域を利用して、Si種結晶を該Si融液表面に接触させて結晶成長を開始した後、該Si融液表面に沿って又は融液内部に向かってインゴット結晶を成長し、成長したインゴット結晶の一部を融液内から融液と分離しない程度に引き上げる第1の工程と、再度融液内に残った結晶から、該Si融液の表面に沿って又は内部に向かってインゴット結晶を成長し、再度成長したインゴット結晶の一部を融液内から該Si融液と分離しない程度に引き上げる第2の工程とを、順次繰り返してインゴット結晶を成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造方法。
  6. Siインゴット結晶の引き上げ成長を開始した後に、上記Si融液全体の温度を下げて低温領域を大きくして結晶を融液内部に大きく広げる際に、降温と引き上げを断続的又は連続的に行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
  7. Si種結晶に回転又は右左の繰り返し反復回転を与えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のSiインゴット結晶の製造方法。
  8. Si融液を入れるルツボを囲む側面ヒータ及び底面ヒータを備え、底面ヒータとルツボ底部との間に、熱伝導度の悪い材料からなる板を、ルツボ底の中央部に配置してルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造装置。
  9. Si融液を入れるルツボを囲む側面ヒータ及び底面ヒータを備え、底面ヒータとルツボ底部との間に、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板を幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を配置して、熱伝導度の悪い材料からなる板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするSiインゴット結晶の製造装置。
  10. 上記熱伝導度の悪い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で0.6W/m・k以下とし、上記熱伝導度の良い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で20−60W/m・kとすることを特徴とする請求項9に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
  11. 上記熱伝導度の悪い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で0.15−0.55W/m・kとすることを特徴とする請求項10に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
  12. 上記熱伝導度の悪い材料からなる板の材質をグラファイト製の断熱材とし、上記熱伝導度の良い材料からなる板の材質をグラファイト材料とすることを特徴とする請求項9に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
  13. ルツボ底の中央部への入熱を阻害するためにルツボ底に配置する上記熱伝導度の悪い材料からなる板の形状を、円形、四角形、多角形、星形、線状又は惰円形とし、上記熱伝導度の良い材料からなる板をその周りに幾何学的に平面的に配置して組み合わせた構造の合成板としたことを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
  14. 上記合成板の下側に冷却体を配置したことを特徴とする請求項13に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
  15. Si種結晶に回転又は右左の繰り返し反復回転を与える機構をさらに備えたことを特徴とする請求項8ないし請求項14のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
  16. 上記Si融液を入れるルツボとこれを囲む側面ヒータ及び底面ヒータとの間に、該ルツボを囲むカーボン製熱保持具を備えたことを特徴とする請求項8ないし請求項15のいずれか1項に記載のSiインゴット結晶の製造装置。
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