次に、本発明の作業機に含まれるいくつかの実施形態のうち、代表的な作業機を図面を参照して説明する。
作業機10は、図1、図2及び図3に示されている。作業機10は、ケーシング11、電動モータ12、動力伝達機構13、制御部15及び電源部16を有する。
ケーシング11は、ギヤケース17、カバー18、モータケース19、ハンドル20及び着脱部21を有する。ハンドル20はモータケース19に接続され、着脱部21はモータケース19及びハンドル20に接続されている。電動モータ12は、モータケース19内に設けられている。トリガ22はハンドル20に取り付けられ、作業者はハンドル20を手でつかみ、かつ、トリガ22に操作力を付加及び解除可能である。
トリガスイッチ23がハンドル20内に設けられている。トリガスイッチ23は、トリガ22に対する操作力の付加及び解除を検出し、かつ、トリガ22の操作量を検出する。トリガ22に操作力が付加されると、トリガスイッチ23はオンする。トリガ22に対する操作力が解除されると、トリガスイッチ23はオフする。
電源部16は着脱部21に対して取り付け及び取り外しが可能である。電源部16は、収容ケース24と、収容ケース内に設けた電池セルと、を有する。電池セルは、一例としてリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。電池セルは、二次電池または一次電池の何れでもよい。電源部16は、直流電源である。
電動モータ12は動力、具体的には回転力を発生するものであり、電動モータ12は、ロータ25及びステータ26を有する。ステータ26は、モータケース19に固定されている。ロータ25は回転軸27に固定されている。図4に示すように、ロータ25に永久磁石28が取り付けられている。異なる極性の永久磁石28が、ロータ25の回転方向に交互に設けられている。一例として、N極とS極とが90度間隔で配置されている。回転軸27は軸受29により支持され、かつ、中心線A2を中心として回転可能である。
動力伝達機構13は、減速機構30、出力軸31、カム部材32及びアーム33を有する。減速機構30は、ギヤケース17内に設けられている。減速機構30は、第1減速部88、第2減速部35、第3減速部36、第4減速部37を有する。第1減速部88は、回転軸27に設けられた第1駆動ギヤ38と、第1駆動ギヤ38に噛み合う第1従動ギヤ39と、を有する。
第1従動ギヤ39は、第1回転軸40に取り付けられている。第1回転軸40の外周面に第2駆動ギヤ41が設けられている。第1回転軸40は軸受42により回転可能に支持されている。第2減速部35は、第2駆動ギヤ41と、第2駆動ギヤ41に噛み合う第2従動ギヤ43と、を有する。第2従動ギヤ43は、第2回転軸44に取り付けられている。第2回転軸44は軸受45により回転可能に支持されている。第2回転軸44の外周面に第3駆動ギヤ46が設けられている。第3減速部36は、第3駆動ギヤ46と、第3駆動ギヤ46に噛み合う第3従動ギヤ47と、を有する。
第3従動ギヤ47は、第3回転軸48に取り付けられている。第3回転軸48の外周面に第4駆動ギヤ49が設けられている。第3回転軸48は軸受50により回転可能に支持されている。第4減速部37は、第4駆動ギヤ49と、第4駆動ギヤ49に噛み合う第4従動ギヤ51と、を有する。第4従動ギヤ51は、出力軸31に取り付けられている。出力軸31は軸受52により回転可能に支持されている。
出力軸31は、中心線A1を中心として回転可能である。中心線A1と中心線A2とが平行に配置されている。出力軸31は、ギヤケース17の内部、カバー18の内部、ケーシング11の外部B1に亘って設けられている。ギヤケース17内に角度検出センサ53が設けられている。角度検出センサ53は、出力軸31の回転角度を検出して信号を出力する。角度検出センサ53は、一例として可変抵抗器を用いることが可能である。可変抵抗器は、ポテンショメータ、ボリュームとも呼ばれる。
可変抵抗器は、回転子、摺動片及び抵抗体を有する。回転子は、出力軸31と共に回転及び停止可能である。摺動片は、回転子と一体で回転する。摺動片は抵抗体と電気的に接続され、抵抗体は、信号を出力する端子を有する。出力軸31の回転角度に応じて抵抗体の抵抗が変化し、かつ、端子から出力される信号の電圧が変化する。
出力軸31のうち、ケーシング11の外部B1に配置されている箇所の外面にローラ54が取り付けられている。ローラ54は出力軸31に対して回転可能である。プレート55がカバー18に取り付けられている。プレート55は一例として金属製である。
プレート55の上方には円板56が設けられており、押圧軸57はプレート55と円板56を貫通している。プレート55には、押圧軸57の軌道に沿って中心線A1方向に貫通するガイド孔が設けられている。ガイド孔は、便宜上、図示していない。ガイド孔は、中心線A1を中心として円弧状に設けられている。ガイド孔に沿って押圧軸57が移動する際に、円板56は中心線A1を中心として回転する。
カム部材32はカバー18内に設けられ、かつ、出力軸31に取り付けられている。カム部材32の外周にカム面34が設けられている。カム面34は、中心線A1に対して垂直な平面内で湾曲している。カム部材32に押圧軸57が取り付けられている。押圧軸57の一部は円板56を介して外部B1に配置されている。
押圧軸57の外面にローラ58が取り付けられている。ローラ58は、押圧軸57に対して回転可能である。押圧軸57に対するローラ58の回転中心は、中心A5である。図3において、カム部材32が中心線A1を中心として所定角度の範囲内で作動及び停止すると、ローラ58は中心線A1を中心とする円周上で所定角度の範囲内で移動及び停止する。
アーム33はカバー18内に設けられている。アーム33は中心線A1に対して垂直な平面内で、支持軸59を支点として、具体的には中心A4を中心として所定角度の範囲内で作動可能である。アーム33にローラ60及び可動切断刃61が取り付けられている。ローラ60は回転可能である。付勢部材62がカバー18内に設けられている。付勢部材62は、アーム33を支持軸59を中心として反時計回りに付勢する。付勢部材62は、一例として金属製のスプリングである。ローラ60は、付勢部材62の付勢力でカム面34に押し付けられる。カム部材32が作動すると、ローラ60はカム面34に接触した状態で転動する。
固定切断刃63がカバー18に固定されている。可動切断刃61及び固定切断刃63に用いる材料は、一例として、炭素鋼または超硬合金である。固定切断刃63と可動切断刃61との間に、空間C1が形成される。可動切断刃61は、固定切断刃63に対して接近及び離間可能である。
図2に示す反力要素64及び規制要素65が、カバー18に取り付けられている。反力要素64と規制要素65との間に空間C2が形成されている。また、反力要素64は、規制要素65に対して移動可能である。反力要素64を移動すると、空間C2の大きさを変更可能である。反力要素64及び規制要素65は、一例として金属製または合成樹脂製である。
図2に示すシャッタ87が、カバー18に設けられている。シャッタ87は、中心A4を中心として円弧状に作動可能である。作業者がシャッタ87を作動させると、シャッタ87は空間C2の一部を開閉する。
ケーシング11の一部、例えばモータケース19に操作ダイヤル66が設けられている。操作ダイヤル66は、モータケース19に対して回転及び停止可能に設けられている。作業者が操作ダイヤル66を操作すると、切断モードと曲げモードとを切り替え可能である。作業者が切断モードを選択すると、ローラ58の作動角度は、一例として、180度に固定される。なお、180度とは異なる角度、一例として240度であってもよい。作業者が曲げモードを選択すると、ローラ58の作動角度は、例えば、0度を超え、かつ、180度以下の範囲内で、段階的に設定可能である。ローラ58の作動角度は、一例として、45度、90度、135度、180度の何れかに設定可能である。
また、ケーシング11の一部、例えば、図2に示すハンドル20とモータケース19との接続箇所の外面に、表示部86が設けられている。表示部86は、作業機10の状態を表示する。表示部86は、一例として、液晶ディスプレイ、またはランプである。
作業機10の制御系を、図4を参照して説明する。電動モータ12は、一例として3相交流型のブラシレスモータである。ステータ26は、3相のコイルU1,V1,W1を有する。また、3個の磁気センサ67が設けられており、3個の磁気センサ67は、永久磁石28の磁界を検出して信号を出力する。3個の磁気センサ67は、例えば、それぞれホールICである。3個の磁気センサ67は、ロータ25の回転方向に所定の角度、例えば、60度毎に配置されている。3個の磁気センサ67は、3相のコイルU1,V1,W1に対応して設けられている。3個の磁気センサ67は、一例としてホール素子を用いることができる。
図1に示すように、基板68がモータケース19内に設けられている。基板68にインバータ回路69が設けられている。インバータ回路69は、3相フルブリッジインバータ回路である。インバータ回路69は、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6を有する。スイッチング素子Q1のドレインは、電源部16のプラス端子16Aに接続されている。スイッチング素子Q1のソースは、スイッチング素子Q4のドレインに接続されている。スイッチング素子Q4のソースは、電源部16のマイナス端子16Bに接続されている。スイッチング素子Q1のソース及びスイッチング素子Q4のドレインは、リード線70を介してコイルU1に接続されている。
スイッチング素子Q2のドレインは、電源部16のプラス端子16Aに接続されている。スイッチング素子Q2のソースは、スイッチング素子Q5のドレインに接続されている。スイッチング素子Q5のソースは、電源部16のマイナス端子16Bに接続されている。スイッチング素子Q2のソース及びスイッチング素子Q5のドレインは、リード線71を介してコイルV1に接続されている。
スイッチング素子Q3のドレインは、電源部16のプラス端子16Aに接続されている。スイッチング素子Q3のソースは、スイッチング素子Q6のドレインに接続されている。スイッチング素子Q6のソースは、電源部16のマイナス端子16Bに接続されている。スイッチング素子Q3のソース及びスイッチング素子Q6のドレインは、リード線72を介してコイルW1に接続されている。
プラス端子16Aに接続される3つのスイッチング素子Q1,Q3,Q5は、ハイサイド側のスイッチング素子である。マイナス端子16Bに接続される3つのスイッチング素子Q2,Q4,Q6は、ローサイド側のスイッチング素子である。コイルU1,V1,W1は、相互に接続されており、各コイルU1,V1,W1は、一例として、スター結線されている。
電動モータ12に電流を供給すると回転軸27が回転する。また、電動モータ12に電流を供給する向きを変更すると、電動モータ12の回転方向を切り替え可能である。
制御部15は、演算部73、インバータ駆動部74、回転子位置検出回路75、電流検出回路76、電圧検出回路77、回転角度検出センサ78、電池温度検出回路79、モータ温度検出回路80を備えている。インバータ駆動部74は、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6のゲートにそれぞれ接続されている。
3個の磁気センサ67の検出信号は、回転子位置検出回路75を介して演算部73に送られる。電流検出回路76は、電流検出用抵抗RSの両端に接続されており、電流検出回路76は、電動モータ12に供給される電流値を検出する。電流検出回路76から出力された信号は、演算部73に入力される。また、操作ダイヤル66から出力された信号、トリガスイッチ23から出力された信号、角度検出センサ53から出力された信号は、演算部73に入力される。電源部16の温度を検出する温度センサ81が設けられている。温度センサ81から出力される信号は、電池温度検出回路79を介して演算部73に入力される。
電動モータ12の温度を検出する温度センサ82が設けられている。インバータ回路69の温度を検出する温度検出センサ89が設けられている。温度検出センサ89の信号は、演算部73に入力される。温度センサ82から出力される信号は、モータ温度検出回路80を介して演算部73に入力される。作業機10の過負荷状態を検出する過負荷検出センサ90が設けられている。過負荷検出センサ90から出力される信号は、演算部73に入力される。
演算部73は、マイクロプロセッサ、タイマ及びメモリを備え、メモリには、制御プログラム、演算式およびデータなどが記憶されている。演算部73は、入力される信号を処理して、電動モータ12の回転軸27の回転方向の位置、回転角度、回転速度及び回転数、出力軸31の回転方向の位置、回転角度及び回転速度を演算する。演算部73は、回転軸27の回転方向を設定し、回転軸27の回転タイミング及び停止タイミングを決定し、回転軸27の目標回転速度及び目標回転数を定め、インバータ駆動部74へ信号を出力する。
演算部73は、トリガ22の操作量に応じて、回転軸27の目標回転速度を定める。トリガ22の操作量が相対的に多いと、回転軸27の目標回転速度は相対的に高くなる。回転軸27の実際の回転速度は、電動モータ12のステータ26に対する単位時間当たりの電力の供給割り合いに応じた値となる。ステータ26に対する電力の供給割り合いは、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6のゲートにそれぞれ印加されるパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号のデューティ比を調整して制御する。電動モータ12の回転方向は、3本のコイルU1,V1,W1を流れる電流の向きを切り替えて制御する。
このように、インバータ回路69が整流機能を備えており、電動モータ12は、回転軸27に整流子が取り付けられておらず、整流子に電流を供給するブラシも備えていない。つまり、電動モータ12は、ブラシレスモータである。制御部15は、表示部86の表示及び解除を制御する。
次に、作業機10の使用例の概要を説明する。作業者は操作ダイヤル66を操作して切断モードまたは曲げモードの何れかを選択する。切断モードは、図2に示す切断対象物83を、固定切断刃63と可動切断刃61とのせん断作用により、切断する作業を行う前に選択するモードである。曲げモードは、曲げ対象物84を、反力要素64と規制要素65との間に配置し、ローラ58を曲げ対象物84に押し付け、曲げ対象物84を折り曲げる作業を行う前に選択するモードである。切断対象物83及び曲げ対象物84は、一例として棒状の鉄筋である。
切断モードまたは曲げモードの何れが選択されている場合も、トリガ22に操作力が付加されると、停止している電動モータ12の回転軸27が正回転する。回転軸27の回転力は、減速機構30を介して出力軸31に伝達される。第1減速部88は、回転軸27の回転速度に対して第1回転軸40の回転速度を低速とする。第2減速部35は、第1回転軸40の回転速度に対して第2回転軸44の回転速度を低速とする。第3減速部36は、第2回転軸44の回転速度に対して第3回転軸48の回転速度を低速とする。第4減速部37は、第3回転軸48の回転速度に対して出力軸31の回転速度を低速とする。
減速機構30は、回転軸27の回転速度に対して、出力軸31の回転速度を4段階に減速し、かつ、回転軸27から出力軸31に伝達する回転力を増幅する。減速機構30は、回転軸27の回転速度に対する出力軸31の回転速度を、約0.001の減速比で減速する。
電動モータ12の回転軸27が正回転し、回転軸27の回転力が出力軸31に伝達されると、出力軸31は図3で時計回りに回転する。このため、カム部材32は中心線A1を中心として時計回りに作動する。カム部材32が時計回りに作動すると、図2に示すローラ58は、中心線A1を中心とする円周上を移動する。また、カム部材32の作動力は、ローラ60を介してアーム33に伝達される。アーム33は、付勢部材62の付勢力に抗して図3で時計回りに作動し、可動切断刃61は固定切断刃63に接近する。
切断対象物83を切断する場合、図2のように、ケーシング11の側壁11Bが作業場所85に接触した状態で、作業機10が保持される。また、作業者がシャッタ87を操作し、かつ、空間C1に切断対象物83を置いた後、作業者がトリガ22に操作力を付加する。電動モータ12の回転軸27が正回転すると、図3に示すカム部材32は時計回りに作動し、ローラ58が初期位置から図2で時計回りに作動する。初期位置は、原点として定義可能である。また、カム部材32の作動力は、ローラ60を介してアーム33に伝達され、アーム33は図3で時計回りに作動する。
このため、可動切断刃61が固定切断刃63に近づく。言い換えると、可動切断刃61と固定切断刃63との間に形成される有効角度θ1は、小さくなる。作動角度R2が240度以上であると、有効角度θ1は、0度未満になる。つまり、中心線A1に対して垂直な平面内で、固定切断刃63と可動切断刃61とが一部で重なる。
有効角度θ1は、直線A7と直線A8との間に形成される鋭角側の角度である。直線A7は、中心A4を通り、かつ、可動切断刃61の先端に接する。直線A8は、中心A4を通り、かつ、固定切断刃63の先端に接する。
作業機10は、図2に示すように、中心線A1に対して垂直な平面内おいて、ローラ58が反力要素64に最も接近した状態における中心A5の位置を、初期位置として定義可能である。ローラ58が初期位置に停止している状態で、中心線A1及び中心A5は、直線A3上に位置する。
制御部15は、切断対象物83の切断が完了した後、電動モータ12を一定時間停止させ、次いで、電動モータ12の回転軸27を逆回転する。制御部15は、ローラ58が初期位置に戻ると、電動モータ12を停止させる。
図2において、ローラ58の初期位置に対するローラ58の実際の位置は、作動角度R2で定義可能である。ローラ58が初期位置で停止していると、作動角度R2は、0度である。作動角度R2が増加することに伴い、有効角度θ1は減少する。作動角度R2は、中心線A1に対して垂直な平面内で、ローラ58が作動して中心A5が移動する範囲内において、直線A3と直線A6との間に形成される角度である。ローラ58が初期位置とは異なる位置にある状態で、中心A5及び中心線A1は、直線A6上に位置する。
これに対して、曲げ対象物84を曲げる場合、図1のように、ケーシング11の脚部11Aが作業場所85に接触した状態に保持される。そして、図2に二点鎖線で示すように、規制要素65と反力要素64との間に曲げ対象物84が置かれていると、ローラ58が曲げ対象物84に押し付けられる。反力要素64は、ローラ58が曲げ対象物84に押し付けられた場合の反力を受け持ち、曲げ対象物84はローラ54を支点として折り曲げられる。
曲げ対象物84の中心線E1は、曲げ加工前において一例として180度の直線である。ローラ58の作動角度R2が増加すると、曲げ対象物84が曲げ加工され、中心線E1の目標とする曲げ角度θ2が増加する。
曲げ対象物84の曲げ加工が完了すると、制御部15は電動モータ12を一定時間停止させた後、電動モータ12の回転軸27を逆回転させる。制御部15は、ローラ58が初期位置に戻ると、電動モータ12を停止させる。
(制御例1)
次に、制御部15が行う制御例1を、図5のフローチャートを参照して説明する。制御部15は、曲げモードまたは切断モードの何れが選択されている場合でも、制御例1を行うことが可能である。作業者が電源部16を着脱部21に取り付けると、電源部16の電力が制御部15に供給されて制御部15が起動し、制御部15は、図5の制御をスタートさせる。制御部15が図5の制御がスタートした時点において、制御部15は電動モータ12を停止させている。
制御部15は、ステップS1において、トリガ22に操作力が付加されているか否かを判断する。制御部15は、ステップS1でNoと判断すると、ステップS1の判断を繰り返す。
制御部15は、ステップS1でYesと判断すると、ステップS2において、作動角度R2が設定角度R1以上であるか否かを判断する。このステップS2は、曲げ対象物84の曲げ加工を完了しているか否かを判断するものである。制御部15がステップS2の判断に用いる作動角度R2は、角度検出センサ53の信号を処理したものである。作業者が第1回目の作業を開始した時点では、ローラ58の初期位置が0度であるため、制御部15は、ステップS2でNoと判断する。
制御部15は、ステップS2でNoと判断した場合、つまり、曲げ対象物84の曲げ加工が完了していない場合は、ステップS3において、電動モータ12の回転軸27を正回転させる。このため、ローラ58が初期位置から作動し、曲げ対象物84の曲げ加工を開始する。
制御部15は、一定周期毎にローラ58の作動角度R2を検出している。一定周期の一例は、1msec、つまり、1,000 分の1秒である。制御部15は、ステップS4において、作動角度R2が設定角度R1に近い直前角度R1A以上であるか否かを判断する。直前角度R1Aは、設定角度R1未満である。制御部15がステップS4の判断に用いる作動角度R2は、磁気センサ67の信号を処理したものである。制御部15は、ステップS4でNoと判断すると、ステップS4の判断を繰り返し、電動モータ12の回転を続ける。
制御部15は、ステップS4でYesと判断すると、ステップS5において、電動モータ12に印加する電圧を設定する。具体的には、インバータ回路69に入力されるパルス幅変調信号のデューティ比を低減させて、電動モータ12の回転速度を低下させる。つまり、電動モータ12の単位時間当たりの回転数が低下する。また、制御部15は、ステップS6において磁気センサ67の信号を処理することにより、電動モータ12の回転数Nを検出する。
制御部15は、ステップS7において、回転数Nが閾値Nthを超えているか否かを判断する。閾値Nthはブレーキ制御を開始する基準であり、閾値Nthは、演算部73のメモリに記憶されている。制御部15は、ステップS7でNoと判断するとステップS6に進み、ステップS7でYesと判断すると、ステップS8において、ブレーキ制御を開始する。ブレーキ制御は、電動モータ12の回転軸27にブレーキ力を与えることである。ステップS8において行う制御は、スイッチング素子Q1,Q2,Q3または、スイッチング素子Q4,Q5,Q6のうち、何れか一方を全てオンする短絡ブレーキである。
制御部15は、ステップS9において、作動角度R2が設定角度R1以上であるか否かを判断する。制御部15がステップS9の判断に用いる作動角度R2は、磁気センサ67の信号を処理したものである。制御部15は、ステップS9でNoと判断すると、ステップS9の判断を繰り返す。制御部15は、ステップS9でYesと判断すると、ステップS10において、ブレーキ制御を終了する。つまり、全てのスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6をオフさせる。このため、ステップS11で電動モータ12が停止し、ローラ58が作動位置で停止する。
制御部15は、ステップS12において、電動モータ12の回転方向を正回転から逆回転に切り替え、ステップS13において、電動モータ12を逆回転させる。制御部15は、ステップS14において、ローラ58の作動角度R2が、初期位置に近い角度R0Aに到達したか否かを判断する。角度R0Aは、一例として5度に設定可能である。制御部15がステップS14の判断に用いる作動角度R2は、磁気センサ67の信号を処理したものである。
制御部15は、ステップS14においてNoと判断すると、ステップS14の判断を繰り返す。制御部15は、ステップS14でYesと判断すると、ステップS15において、電動モータ12に印加する電圧を設定する。具体的には、インバータ回路69に入力されるパルス幅変調信号のデューティ比を低減させて、電動モータ12の回転速度を低下させる。つまり、電動モータ12の単位時間当たりの回転数が低下する。また、制御部15は、ステップS16において磁気センサ67の信号を処理し、電動モータ12の回転数Nを検出する。
制御部15は、ステップS17において、回転数Nが回転数の閾値Nthを超えているか否かを判断する。制御部15は、ステップS17でNoと判断すると、ステップS16に進み、ステップS17でYesと判断すると、ステップS18において、ブレーキ制御を開始する。ステップS18のブレーキ制御は、ステップS8のブレーキ制御と同じである。
制御部15は、ステップS19において、作動角度R2が設定角度R1以上であるか否かを判断する。制御部15がステップS19の判断に用いる作動角度R2は、角度検出センサ53の信号を処理したものである。制御部15は、ステップS19でNoと判断すると、ステップS19の判断を繰り返す。制御部15は、ステップS19でYesと判断すると、ステップS20でブレーキ制御を終了し、かつ、ステップS21で電動モータ12が停止し、図5の制御例1が終了する。つまり、ローラ58は初期位置で停止する。
本実施形態において、回転軸27の回転速度に対する出力軸31の回転速度は、減速機構30で約0.001の減速比で減速される。3個の磁気センサ67の信号を処理して得られる回転軸27の回転角度検出の分解能は約0.03度となる。
制御部15が起動した時点のように、回転軸27が停止している状態では、角度検出センサ53の信号を処理して出力軸31の回転方向の位置を検出する精度は、磁気センサ67の信号を処理して出力軸31の回転方向の位置を検出する精度よりも高い。つまり、制御部15は、回転軸27が停止している状態において、磁気センサ67の信号を処理することにより、ローラ58の位置を正確に検出することは困難である。
一方、制御部15が起動後、回転軸27が回転している状態では、磁気センサ67の信号を処理して出力軸31の回転方向の位置を検出する精度は、角度検出センサ53の信号を処理して出力軸31の回転方向の位置を検出する精度よりも高い。
そこで、制御部15は、角度検出センサ53の信号を処理することにより、回転軸27が停止している状態でローラ58が初期位置に停止しているか否かの判断と、回転軸27が逆回転してローラ58が初期位置に戻ったか否かの判断と、を行う。また、制御部15は、3個の磁気センサ67の信号を処理して、回転軸27の回転中におけるローラ58の作動角度R2を検出する。
図6は、ローラの作動方向における位置と、回転軸の回転数Nsとの関係を示す線図である。先ず、回転軸が正回転する例を説明する。回転軸が停止していると、ローラは角度θ0で停止している。回転軸が正回転する場合における角度θ0は、ローラの初期位置に対応する。図7のステップS3で回転軸が回転を開始すると、ローラは、初期位置から作動位置に向けて作動する。回転軸の回転数は、閾値Nthを超える。
さらに、回転軸は一定の回転数Nsに制御され、ローラの位置が有効角度θ1以上の位置になると、ステップS4でYesと判断され、電動モータに印加する電圧が低下し、回転軸の回転数が低下する。回転軸が正回転する場合における有効角度θ1は、直前角度R1Aに対応する。
さらに、ローラの位置が角度θ2になり、回転軸の回転数が閾値Nth以下になると、ステップS8においてブレーキ制御が開始される。そして、ローラの位置が角度θ3に到達すると、ステップS11で回転軸27が停止する。回転軸が正回転する場合における角度θ3は、ローラの設定角度R1に対応する。
次に、回転軸が逆回転する例を説明する。回転軸が停止していると、ローラは作動位置、つまり、角度θ0で停止している。図7のステップS13で回転軸が回転を開始すると、ローラは、作動位置から初期位置に向けて作動する。回転軸の回転数は、閾値Nthを超える。
さらに、回転軸は一定の回転数Nsに制御され、ローラの位置が有効角度θ1以上になると、ステップS14でYesと判断され、電動モータに印加する電圧が低下し、回転軸の回転数が低下する。回転軸が逆回転する場合における有効角度θ1は、直前角度R1Aに対応する。
さらに、ローラの位置が角度θ2になり、回転軸の回転数が閾値Nth以下になると、ステップS18においてブレーキ制御が開始される。そして、ローラの位置が角度θ3に到達すると、ステップS21で回転軸27が停止する。回転軸が逆回転する場合における角度θ3は、ローラの初期位置に対応する。
回転軸27が停止している場合と回転している場合とにより、ローラ58の位置を検出するために、磁気センサ67と角度検出センサ53とを使い分けている。また、ローラ58が初期位置にある場合と、ローラ58が初期位置とは異なる位置にある場合とで、磁気センサ67と角度検出センサ53とを使い分けている。このため、ローラ58の位置を適切に、具体的には精度よく検出可能である。つまり、ローラ58を初期位置または作動位置に適切に停止させることが可能である。したがって、曲げ対象物84の曲げ加工を高精度に行うことができ、かつ、作業性が向上する。
作業機10及び制御例1で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。回転軸27は、駆動軸の一例である。電動モータ12は、モータの一例である。減速機構30は、減速機構の一例である。出力軸31は、従動軸の一例である。切断対象物83及び曲げ対象物84は、対象物の一例である。カム部材32、ローラ58、アーム33、可動切断刃61は、加工部の一例である。作業機10は、作業機の一例である。磁気センサ67は、第1検出部の一例である。角度検出センサ53は、第2検出部の一例である。制御部15は、制御部の一例である。
中心線A2は、第1中心線の一例であり、中心線A1は、第2中心線の一例である。永久磁石28は、永久磁石の一例である。磁気センサ67は、磁気センサの一例である。角度検出センサ53は、可変抵抗器の一例である。演算部73が、位置検出部の一例である。制御部15がステップS4でYesと判断してステップS5で行う処理、及び制御部15がステップS14でYesと判断してステップS15で行う処理が、第1制御の一例である。制御部15が、ステップS8で行うブレーキ制御、及びステップS18で行う制御が、第2制御の一例である。
可動切断刃61は、切断刃の一例である。操作ダイヤル66は、モード切替部の一例である。空間C2は、曲げ加工する場合における対象物の載置箇所の一例である。空間C1は、対象物を切断する場合における対象物の載置箇所の一例である。ローラ60、アーム33は、動力伝達機構の一例である。
(制御例2)
図7は、制御部15が行う制御例2を示すフローチャートである。制御例2は、曲げモードが選択されている場合、または、切断モードが選択されている場合の何れにおいても、適用可能である。先ず、曲げモードが選択されている場合について説明する。
作業者が、ステップS31で電源部16を着脱部21に取り付けると、電源部16から制御部15に電圧が印加され、制御部15が起動する。ステップS31では、電動モータ12が停止している。
制御部15は、ステップS32で電動モータ12の回転方向を正回転に設定、つまり、初期化する。制御部15は、ステップS33において、トリガ22に操作力が付加されているか否かを判断する。制御部15は、ステップS33でNoと判断すると、ステップS34で電動モータ12を停止させ、ステップS33に進む。
制御部15は、ステップS33でYesと判断すると、ステップS35において、電動モータ12の回転方向が正回転に設定されているか否かを判断する。制御部15は、ステップS15でYesと判断すると、ステップS36で電動モータ12を正回転させる。
制御部15は、ステップS37において、ローラ58の作動角度R2が、設定角度R1に到達したか否か、つまり、曲げ対象物84の曲げ加工が完了したか否かを判断する。ステップS37でNoと判断すると、ステップS38において、電動モータ12に供給される電流が急激に低下したか否かを判断する。これは、曲げ対象物84が、曲げ加工の完了前に破損したか否かを判断する意味である。
制御部15は、ステップS38でNoと判断すると、ステップS39において、電源部16の電圧が所定電圧V21以下であるか否かを判断する。所定電圧V21は、例えば、電動モータ12を正回転させて曲げ加工を完了させるために必要な出力と、電動モータ12を逆回転させてローラ58を初期位置に戻して停止させるために必要な出力と、により定まる。
電動モータ12を正回転させて曲げ加工を完了させるために必要な出力は、曲げ対象物84の最大外径、材質などの条件から予め求められている。電動モータ12を逆回転させてローラ58を初期位置に戻して停止させるために必要な出力は、ローラ58の作動範囲内における位置から推定される。
制御部15は、ステップS39でNoと判断すると、ステップS40においてインバータ回路69の温度が、所定温度TA以上であるか否かを判断する。所定温度TAは、例えば、インバータ回路69のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6をオン及びオフする機能を正常に維持できる温度に応じて定まる。
制御部15は、ステップS40においてNoと判断すると、ステップS41において、作業機10の過負荷状態、または、電動モータ12の過電流状態のうち、少なくとも一方が検出されているか否かを判断する。作業機10の過負荷状態は、例えば、減速機構30を構成するギヤ同士の噛み合い負荷が所定負荷以上であること、ローラ58が受ける負荷が所定負荷以上であること、等である。電動モータ12の過電流状態は、電動モータ12に所定値以上の電流が供給されることである。
制御部15は、ステップS41でNoと判断すると、ステップS33に進む。制御部15は、ステップS37でYesと判断するか、または、ステップS38でYesと判断すると、ステップS42において、電動モータ12を停止させ、かつ、回転軸27の回転方向を正回転から逆回転に切り替え、ステップS33に進む。なお、ステップS42の処理では、電動モータ12は停止している。
制御部15は、ステップS39でYesと判断すると、ステップS43において電圧低下フラグをセットし、ステップS33に進む。また、制御部15は、ステップS40でYesと判断すると、ステップS44において温度上昇フラグをセットし、ステップS33に進む。
さらに、制御部15は、ステップS41でYesと判断すると、ステップS45で電動モータ12を停止させ、かつ、表示部86において状況を表示させる。
表示部86が表示する内容は、ステップS41でYesと判断された内容である。
制御部15は、更にステップS46において、トリガ22に操作力が付加されているか否かを判断する。制御部15は、ステップS46でYesと判断すると、ステップS46の判断を繰り返す。制御部15がステップS46でNoと判断した後、作業者が作業機10の過負荷状態、または、電動モータ12の過電流状態を解消する処置を行うと、制御部15は、表示部86の表示を終了させ、ステップS33に進む。
制御部15は、ステップS35でNoと判断すると、ステップS47で電動モータ12を逆回転させる。制御部15は、ステップS47に続くステップS48において、ローラ58が初期位置に到達したか否かを判断する。制御部15は、ステップS48においてNoと判断すると、ステップS33に進む。
制御部15は、ステップS48においてYesと判断すると、ステップS49で電動モータ12を停止させる。制御部15は、ステップS43の処理、または、ステップS44の処理を行っていると、制御部15は、ステップS49において、表示部86で状況を表示させる。表示部86が表示する状況は、“電源部16の電圧低下”または“インバータ回路69の温度上昇”である。
さらに、制御部15は、ステップS50において、電動モータ12の回転方向を逆回転から正回転に切り替える。さらに、制御部15は、ステップS51において、トリガ22に操作力が付加されているか否かを判断する。制御部15は、ステップS51でYesと判断すると、ステップS51の判断を繰り返す。
制御部15が、ステップS37でYesと判断し、かつ、制御部15がステップS51でNoと判断した後、作業者は、曲げ加工が完了した曲げ対象物84を空間C1から除去する。
制御部15は、ステップS51でNoと判断すると、ステップS52において、電圧低下フラグがセットされているか否かを判断する。制御部15は、ステップS52でYesと判断すると、ステップS52の判断を繰り返す。作業者が所定電圧V21以上の電源部16を着脱部21に取り付けると、電圧低下フラグがリセットされる。このため制御部15は、ステップS52でNoと判断し、表示部86における“電源部16の電圧低下”の表示を解除する。
また、制御部15は、ステップS53において、インバータ回路69の温度が上昇したフラグがセットされているか否かを判断する。制御部15は、ステップS53でYesと判断すると、ステップS53の判断を繰り返す。作業機10を使用せずに所定時間が経過することにより、インバータ回路69の温度が所定温度TA未満まで低下すると、制御部15は温度上昇フラグをリセットする。このため制御部15は、ステップS53でNoと判断し、表示部86における“インバータ回路69の温度上昇”の表示を終了し、ステップS33に進む。
上記した制御例2によれば、制御部15が電動モータ12を停止させる場合において、一度の作業であれば支障がない状態、つまり、第1状態であると、制御部15が第1状態を検出後、電動モータ12を直ちに停止する制御は行わず、作業が完了した後に電動モータ12を停止させる。したがって、曲げ対象物84、例えば、鉄筋の加工が途中で終わることを抑制できる。
これによって、曲げ対象物84が中途半端に加工されることが抑制される。特に、本実施例の作業機10で鉄筋を高精度で曲げ加工する場合、作業者はトリガ22のオン及びオフを繰り返し行うことで、鉄筋の曲げ角度を微調整することがある。このため、本実施例では、一度の作業であれば支障がない状態である場合には、所定の作業が完了するまでトリガ22のオンオフ操作を受け付け、電動モータ12の回転及び停止を繰り返し、鉄筋の曲げ角度の微調整を行うことができるようになっている。すなわち、制御例2は、鉄筋を曲げ加工する場合のように、1回の作業時間が長く、かつ、高精度の曲げ加工が要求される場合に用いる作業機で、特に有効な制御である。
一方で、所定の作業を行うことで作業機10の構成に破損や変形が起こりうるような状態、つまり、第3状態である場合、制御部15は、第3状態を検出後、電動モータ12を直ちに停止させる。したがって、作業機10の故障を抑制できる。
なお、切断モードが選択されている場合に、図7の制御例2を行うことも可能である。制御部15は、ステップS37において、切断対象物83の切断加工が完了したか否かを判断する。制御部15は、ローラ58の作動角度R2が、設定角度R1に到達すると、切断対象物83の切断加工が完了したと判断する。また、切断モードが選択されると、制御部15は、ステップS37でNoと判断すると、ステップS38をスキップしてステップS39の判断を行う。
切断モードが選択されていると、制御部15がステップS39の判断に用いる所定電圧V21は、例えば、電動モータ12を正回転させて切断対象物83を切断するために必要な出力と、電動モータ12を逆回転させてローラ58を初期位置に戻して停止させるために必要な出力とに、応じて定まる。電動モータ12を正回転させて切断対象物83を切断するために必要な出力は、曲げ対象物84の最大外径、材質などの条件から予め求められている。
作業機10及び制御例2で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。切断対象物83及び曲げ対象物84は、対象物の一例である。反力要素64及び規制要素65は、支持部の一例である。曲げ加工及び切断加工は、所定の加工の一例である。カム部材32、アーム33、ローラ58、可動切断刃61、電動モータ12、電源部16、インバータ回路69は、加工部の一例である。
制御部15が図7のステップS38でNoと判断する状態、ステップS39でNoと判断する状態、ステップS40でNoと判断する状態、ステップS41でNoと判断する状態は、“所定の加工を行うことに支障がない状態”の一例である。
制御部15がステップS39またはステップS40の少なくとも一方でYesと判断する状態、制御部15がステップS38でYesと判断する状態、制御部15がステップS41でYesと判断する状態は、支障がある状態の一例である。
制御部15がステップS39またはステップS40の少なくとも一方でYesと判断する状態は、第1状態の一例である。制御部15がステップS38でYesと判断する状態は、第2状態の一例である。制御部15がステップS41でYesと判断する状態は、第3状態の一例である。制御部15は、判断部及び制御部の一例である。
ステップS43またはステップS44を経由してステップS49に進む第1制御と、ステップS38及びステップS42を経由してステップS49に進む第2制御と、ステップS41からステップS45に進む第3制御とが、内容が異なる複数の制御の一例である。
ローラ58または可動切断刃61は、工具の一例である。電動モータ12、電源部16、インバータ回路69は、駆動部の一例である。
作業機10は、ケーシング11の側壁11Bを作業場所85に接触させることなく、作業者が作業機10を空中で保持し、切断対象物83の切断作業、または、曲げ対象物84の曲げ作業を行うことも可能である。
作業機は、開示した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、モータは、電動モータ、油圧モータ、空気圧モータ、エンジンのうちの何れでもよい。減速機構を構成する伝動装置は、歯車伝動装置、巻き掛け伝動装置、摩擦伝動装置のうちの何れでもよい。
制御部は、所定の加工中に発生する電池の電圧低下、またはインバータ回路の高温状態を検出した場合に、作業機が第1状態であると判断し、所定の加工が終了してから電動モータの回転を禁止する。
制御部は、この他の制御、例えば、1回の所定加工における電池の電圧降下量、またはインバータ回路の温度上昇量を記憶し、次回作業時に第1状態となると判断される場合には、予め電動モータの回転を禁止する制御を行うことも可能である。このようにすると、作業機が第1状態で所定の加工を継続中に第3状態になった時点で、電動モータが直ちに停止する作業自体を行わずに済む。つまり、所定の加工が途中で終わってしまう作業自体を、未然に防止できる。
第1状態の例として、電池電圧の低下状態、またはインバータ回路の高温状態を示したが、これに限定されない。第1状態は、継続した作業によって徐々に状態が変化するようなものでもよい。例えば、電池セルの高温状態を検出した場合、交流電源で駆動する作業機であれば、整流回路の高温状態を検出した場合を、第1状態と判断してもよい。
第3状態の例として、過負荷、または過電流状態を示したが、これに限定されない。第3状態は、作業中において瞬間的に状態が変化するものでもよい。例えば、モータの回転数の急激な変動を検出した場合、作業機本体の瞬間的な姿勢変化、例えば、転倒や落下を検出した場合を、第3状態と判断してもよい。作業機本体の瞬間的な姿勢変化は、加速度センサ等で検出可能である。
第1検出部及び第2検出部は、接触式センサまたは非接触式センサの何れでもよい。第1検出部の検出精度は、第2検出部の検出精度よりも高い。第1検出部及び第2検出部は、検出原理が異なるセンサ、ロータリエンコーダ、磁気センサ、光学センサ、可変抵抗器などのうち、何れか2つを用いることが可能である。位置検出部、制御部は、それぞれ電気部品または電子部品の単体でもよいし、複数の電気部品または複数の電子部品を有するユニットでもよい。電気部品または電子部品は、プロセッサ、制御回路及びモジュールを含む。