JP2019217204A - 携帯型点滴装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した点滴を実施できるとともに、コンパクトかつ軽量で、汎用性に優れた携帯型点滴装置を提供することを目的とする。【解決手段】点滴装置1は、ハウジング2と、ハウジング2内に軸方向一方側に向けて前進可能に設けられたピストン15とを備え、ハウジング2とピストン15の間に薬液バッグ20が装着され、ピストン15の前進によって薬液バッグ20内の薬液が押し出される装置であり、ハウジング2内に、弾性変形可能なゼンマイバネ6と、ゼンマイバネ6の反発力を減速して出力する減速ギヤ機構7と、減速ギヤ機構7から出力された駆動力によって回転するねじ軸10と、ねじ軸10に螺合し軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動部11と、摺動部11およびピストン15を連結するリンクシャフト16とを有し、リンクシャフト16は、摺動部11のねじ軸10上の移動に連動してピストン15を前進させるように構成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、点滴装置に関し、特に、身体に付随して移動可能な携帯型点滴装置に関する。
従来、病院などで行なわれる点滴は、点滴スタンドを用い、薬液バッグを注入装置よりも高い位置にセットして行なわれる。バッグ内の薬液の送り出しは、重力を利用し、その送り出し量はバルブなどにより調整される。このような点滴は、患者がベッドで寝ている場合には特に不便とはならないが、患者がベッドから離れる場合には点滴スタンドと一緒に移動する必要があり不便となる。患者が点滴スタンドを手で押しながら移動できるように、車輪付きの点滴スタンドが用いられているものの、ベッドを離れての自由な行動は制限されるため、患者にとって移動が煩わしいものとなっている。こうした不便性が、患者にとって、入院生活をますます憂鬱にさせる原因になっている。
これの対処として、例えば、ベッドから離れる際に点滴スタンドと一緒に移動する必要がないように、ポータブル型の点滴装置が提案されている(特許文献1参照)。この装置は、点滴容器を加圧バッグに入れて、空気ポンプで加圧バッグ内に空気を送り込んで加圧バッグ内の空気圧力を高め、点滴容器内の薬液を押し出すものである。この装置にはさらに、圧力を一定にするための圧力設定器が設けられている。
また、その他のポータブル型の点滴装置として、ガスボンベに封入した圧縮ガスを減圧装置を介して加圧袋に導入し、加圧袋の膨張力で薬液袋を圧迫し、薬液を押し出すようにしたものが提案されている(特許文献2参照)。また、うずまき状のバネ部材を駆動源とし、そのバネの短縮により滑り部材を滑らせ、薬液バッグを押圧するものが提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された点滴装置は、空気ポンプや圧力設定器が設けられているため、コストが高くなり、これら付属品を備えることから装置全体が重くなり、携帯する際の負担が大きくなるおそれがある。また、圧力設定器の制御には、複雑な回路や部品、ソフトなどを組み込む必要があり、これらに万一異常が生じた場合は、点滴容器にかかる圧力が高くなりすぎて、点滴流量が適正範囲を超えるおそれがある。さらに、点滴装置には、圧力設定器の制御のためのバッテリーが内蔵されており、該バッテリーの交換や充電が必要となる一方、その交換や充電を怠ると、電力不足により点滴が途中で停止してしまうおそれがある。
特許文献2に記載された点滴装置は、ガスボンベに封入した圧縮ガスが高圧の場合は高精度の減圧装置が必要となる。しかし、この減圧装置に万一異常が生じると、薬液袋から流出する薬液量が急上昇し、点滴流量が適正範囲を超えるおそれがある。また、ガスボンベに封入した圧縮ガスが低圧の場合は、加圧袋に圧縮ガスが導入されるに従って圧縮ガスの圧力が低下するので、薬液量が次第に低下し、安定した点滴が維持できないおそれがある。さらに、ガスボンベの交換が必要となる一方、その交換を怠ると、ガス欠により点滴が途中で停止してしまうおそれがある。
特許文献3に記載された点滴装置は、一般的に吊り下げて使用される扁平形状の薬液バッグを使用できず、該点滴装置に適した薬液バッグを使用する必要がある。該点滴装置の区分室の形状と、扁平形状の薬液バッグの形状は異なっているため、扁平形状の薬液バッグを用いた場合、該バッグのつぶれ方が不規則になり、点滴流量が安定しないおそれがある。そのため、特許文献3の点滴装置は、汎用性に乏しく、使い勝手の面で改善の余地がある。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、安定した点滴を実施できるとともに、コンパクトかつ軽量で、汎用性に優れた携帯型点滴装置を提供することを目的とする。
本発明の携帯型点滴装置は、ハウジングと、上記ハウジング内に軸方向一方側に向けて前進可能に設けられたピストンとを備え、上記ハウジングと上記ピストンの間に薬液バッグが装着され、上記ピストンの前進によって上記薬液バッグ内の薬液が押し出される携帯型点滴装置であって、上記携帯型点滴装置は、上記ハウジング内に、弾性変形可能なバネ部材と、該バネ部材の反発力を減速して出力する減速ギヤ機構と、該減速ギヤ機構から出力された駆動力によって回転するねじ軸と、該ねじ軸に螺合し軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動部と、該摺動部および上記ピストンを連結するリンク機構とを有し、上記リンク機構は、上記摺動部の上記ねじ軸上の移動に連動して上記ピストンを前進させるように構成されていることを特徴とする。
上記リンク機構は、上記摺動部の移動方向と上記ピストンの前進方向が直交するように構成されていることを特徴とする。
上記リンク機構は、1つ以上のリンク部材から構成されることを特徴とする。
上記摺動部は、上記ねじ軸と螺合した螺合状態を解除する解除機構を有することを特徴とする。
上記摺動部は、上記ねじ軸に螺合する摺動ナットと該摺動ナットが組み付けられるキャリッジとを有し、上記リンク機構は、該キャリッジと上記ピストンを連結するものであり、上記ハウジング内において、上記ピストンと上記ねじ軸との間に、該ねじ軸と平行なガイド軸が設けられており、上記キャリッジに上記ガイド軸が挿通され、上記摺動ナットがねじ軸上を移動するとともに、上記キャリッジが、上記ガイド軸を摺動しながら上記摺動ナットと同軸方向に移動可能に構成されていることを特徴とする。
上記低速ギヤ機構に、ガンギ車、アンクリ、テンプからなる調速機構が接続されることを特徴とする。
本発明の携帯型点滴装置は、減速ギヤ機構から出力された駆動力によって回転するねじ軸と、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動部と、摺動部およびピストンを連結するリンク機構とを有し、リンク機構は、摺動部のねじ軸上の移動に連動してピストンを前進させるように構成されているので、空気ポンプと圧力設定器の構成や、ガスボンベと減圧装置の構成などが不要となり、コストを安くできるとともに、装置の軽量化が図れる。また、バッテリーやガスボンベといった交換等が必要となる部品がないので、それに伴う作業の煩雑さがなくなり、電力不足やガス欠により点滴が途中で停止するトラブルもなくなる。
さらに、本発明の装置は、弾性部材の反発力を減速ギヤ機構で減速させ、減速させた回転力に基づく回転運動を、摺動部を介して直線運動へと変換し、ピストンを前進させるので、所定の圧力で薬液バッグを加圧できる。その結果、薬液がほぼ均一に押し出され、安定した点滴が実施できる。また、装置に使用する各部品が小さくて済むので、装置全体がコンパクトかつ軽量となり、患者が身に付けて移動することが容易で負担を軽減できる。また、装置のハウジング内には、重力滴下式で使用される一般的な薬液バッグを収納できるので、特殊形状の薬液バッグを作る必要がなく、汎用性に優れる。
上記リンク機構は、摺動部の移動方向とピストンの前進方向が直交するように構成されているので、装置全体が間延びすることなくコンパクトとなり、移動の際の負担をより軽減できる。
上記摺動部は、ねじ軸と螺合した螺合状態を解除する解除機構を有するので、点滴終了後には、螺合状態の摺動部をねじ軸から離間させて元の位置に戻すことで前進状態のピストンを速やかに後退させることができる。これにより、薬液バッグの交換時の作業性が向上する。
上記摺動部は、ねじ軸に螺合する摺動ナットとキャリッジとを有し、キャリッジにねじ軸と平行なガイド軸が挿通され、摺動ナットがねじ軸上を移動するとともに、キャリッジが摺動ナットと同じ方向に移動可能に構成されているので、ピストンの位置がぶれにくく、薬液バッグを安定して加圧することができる。
低速ギヤ機構に、ガンギ車、アンクリ、テンプからなる調速機構が接続されるので、ピストンを低速で且つ所定速度で前進させることができ、薬液の種類に応じた速度で薬液の押し出しができる。
本発明の携帯型点滴装置の一例を図1に基づいて説明する。図1は該装置の機構を説明しやすくした概略図である。点滴装置1は、患者が移動する際に容易に持ち運びできるポータブルの点滴装置である。この装置は、後述する動力部および加圧部の駆動によりピストンを前進させることで薬液バッグを圧迫し、内部の薬液を押し出す仕組みとなっている。図1に示すように、点滴装置1は、大別して、動力部3と加圧部4とバッグ収容部5とで構成され、これらがハウジング2内で装置の長手方向(図1の左右方向)に沿って直列に配置されている。また、動力部3は加圧部4に対して並列に配置することで、よりコンパクトにすることもできる。
動力部3は、バネ部材であるゼンマイバネ6と、減速ギヤ機構7とを有している。動力源となるゼンマイバネ6は、装置外に設けられた専用のねじ回し治具8と連結され、ねじ回し治具8に加えられる外力によって弾性変形する。この弾性変形で生じる反発力は、ギヤの回転力(駆動力)として減速ギヤ機構7に伝達される。減速ギヤ機構7は、歯数が異なる複数のギヤが噛み合って構成され、伝達された回転力を複数のギヤによって減速させる。ギヤとしては、例えば、平歯車、かさ歯車、はすば歯車などが用いられる。減速ギヤ機構7における各ギヤの種類や配置等は、周知の減速ギヤ機構の構成を採用できる。ゼンマイバネ6の反発力に伴う回転は、減速ギヤ機構7を経て減速され、駆動ギヤ9へと伝達される。このように減速ギヤ機構7が設けられることで、駆動ギヤ9が所定の速度で回転駆動される。
なお、動力部3に使用できるバネ部材は、駆動源となるものであれば特に制限されず、ゼンマイバネ以外にも、コイルバネなどを採用できる。バネ部材の反発力が回転力として生じることからゼンマイバネがより好ましい。
加圧部4は、駆動ギヤ9と、ねじ軸10および摺動部11からなるすべりねじ機構と、ピストン15と、摺動部11およびピストン15を繋ぐリンク機構14とを有している。駆動ギヤ9は、ねじ軸10と一体化されており、減速ギヤ機構7から伝達される駆動力によってねじ軸10と一体回転する。ねじ軸10は、その軸方向両端が2個の軸受19によって回転可能に支持されている。ねじ軸10は、ねじ溝が形成されたねじ溝部10aを一端側に有し、他端側はねじ溝が形成されていない。ねじ溝部10aに摺動部11が噛み合わされている。
図1に示すように、摺動部11は、装置長手方向においてピストン15とねじ軸10の間に配置される。摺動部11は、摺動ナット12とキャリッジ13とから構成され、これらは着脱可能な固定手段(例えば固定ピン)によって、固定されている。摺動ナット12のねじ軸10との摺動面12aはめねじ状に形成され、摺動ナット12は、摺動面12aを介してねじ軸10のねじ溝に螺合している。
ここで、摺動ナット12は、ねじ軸10の外周を取り囲んだ構成となっておらず、ねじ軸10のピストン側の外周の一部を覆うように構成されている。摺動ナット12は、例えば、一般的なすべりねじ装置に使用される摺動ナットを周方向で分割したような部材となっている。点滴装置1では、この摺動ナット12をキャリッジ13に組み付けて保持するとともに、キャリッジ13がガイド軸17に沿って移動できるように構成されている。この構成により、ねじ軸10の回転に伴って摺動部11が安定してねじ軸10上を摺動しながら移動できる。
図1に示すように、ガイド軸17は、装置長手方向においてピストン15とねじ軸10との間であって、ねじ軸10の軸線方向と平行に設けられている。ガイド軸17は、キャリッジ13に形成された貫通孔に挿通されている。キャリッジ13は、貫通孔に設けられた2個の軸受13cでガイド軸17に沿って移動可能に支持される。ガイド軸17の略中央部にはストッパー18が設けられ、キャリッジ13のガイド軸17上の移動を制限する。ガイド軸17は、摺動部11の移動方向を規制する部材であり、摺動ナット12がねじ軸上を移動するとともに、同じ方向にキャリッジ13がガイド軸17上を移動する。このように、すべりねじ機構によって、ねじ軸10の回転運動が摺動部11の直線運動に変換される。
キャリッジ13における摺動ナット12の組み付けについて説明する。キャリッジ13には、摺動ナット12を収容する開口部が形成され、その開口部がねじ軸10に向くように配置される。摺動ナット12は、その開口部に収容され、摺動面12aがねじ軸10に螺合した状態で、固定ピン13aによってキャリッジ13に固定される。また、摺動部11には、キャリッジ13の開口部底面と摺動ナット12の摺動面12aの反対側端面とを接続するコイルバネ13bが設けられている。コイルバネ13bは、摺動ナット12をねじ軸10に向かって付勢している。
リンク機構14は、一端がキャリッジ13の端部に自在に取り付けられ、他端がピストン15の端部に自在に取り付けられたリンクシャフト16からなる。本発明の装置では、リンク機構が、摺動部のねじ軸上の移動に連動してピストンを前進させるように構成されることを特徴としている。図1の構成では、特に、摺動部11の移動方向とピストン15の前進方向が直交するように、リンク機構14が構成されているため、装置全体をよりコンパクトにすることができる。
なお、図1では、1つのリンクシャフト(リンク部材)を用いた片リンク機構としたが、摺動部の移動に連動してピストンを前進させるように構成されていればよく、複数のリンクシャフトを有するリンク機構や複数の節を有する多節リンク機構であってもよい。例えば、リンク機構として4節リンク機構を採用できる。
バッグ収容部5は、ハウジング2とピストン15の軸方向一方の端部との間に形成された空間であり、ここに薬液バッグ20が収容される。バッグ収容部5を形成するハウジングには、開閉可能な蓋部2aが設けられており、薬液バッグの装着・脱着が可能である。薬液バッグ20をピストン15と蓋部2aで挟み込める構造になっている。また、バッグ収容部5の下部には、送液口が形成され、薬液バッグ20に送液チューブが接続され、さらにその先に点滴用の注射針(図示省略)が接続される。
バッグ収容部5の容積は、後述するように、ピストン15が下死点に位置する場合に最大となり、上死点に位置する場合に最小となる。バッグ収容部5の容積は特に制限されないが、容積が最大となった状態で、一般的な薬液バッグが収容できる容積であることが好ましい。一般的な薬液バッグの容量は、例えば、250mL、500mL、1000mLなどである。
ここで、本発明の携帯型点滴装置の動作について、図2および図3を用いて説明する。図2は、未使用の薬液バッグを装着した状態を示しており、ピストンは下死点PAに位置している。本発明において、バッグ収容部の容積が最大となった状態の装置長手方向におけるピストンの位置を下死点とし、バッグ収容部の容積が最小となった状態の装置長手方向におけるピストンの位置を上死点とする。図2は、ピストン15が最も後退した状態を示している。なお、本発明において、「前進」とは、ピストンをバッグ収容部へ突き出す方向に進めることをいい、「後退」とは、ピストンをバッグ収容部から離間する方向に進めることをいう。
図2の状態において、ねじ回し治具8でゼンマイバネ6を巻き上げると、減速ギヤ機構7を経由して、駆動力が駆動ギヤ9に伝達される。そして、駆動ギヤ9とねじ軸10が一体回転し、摺動ナット12の噛合わせによって、回転力が水平移動力に変換されて摺動部11を矢印X方向に移動させる。この摺動部の移動に連動してリンクシャフト16が薬液バッグ20に向かって延びることで、ピストン15が下死点PAから矢印Y方向に移動する。その結果、薬液バッグ20が蓋部2aとピストン15とで挟み込まれ、加圧されることで薬液が徐々に流出し始める。
図3は、点滴終了時の状態を示しており、ピストンは上死点PBに位置している。図3は、ピストン15が最も前進した状態を示している。
図3において、摺動ナット12はねじ溝部10aの端部、つまりねじ溝がなくなる位置に達しており、空転状態となっている。また、キャリッジ13はガイド軸17に取り付けられたストッパー18で停止状態となっている。リンクシャフト16は、ほぼ装置長手方向に沿って伸びている。薬液バッグ20はピストン15によって完全につぶされ、内部の薬液はなくなった状態となっている。
次に、図4は、患者への点滴が終了し、次の患者への点滴を行うため、ピストンを下死点まで素早く戻す際の説明図である。点滴終了後、まず蓋部2aを開けて、使用後の薬液バッグを取り出す。その後、キャリッジ13と摺動ナット12のロックを解除して、摺動ナット12とねじ軸10との噛合いを外す。具体的には、固定ピン13a(図1参照)を抜いた上で、コイルバネ13bを弾性変形させ摺動ナット12を装置長手方向のピストン15側に変位させ、摺動面12aをねじ溝部10aから離間させる。そして、この離間状態で、摺動ナット12およびキャリッジ13を矢印Z方向に移動させる。この移動に連動して、ピストン15は上死点PBから下死点PAに移動する。その後、摺動ナット12をねじ軸10に噛合わせて、キャリッジ13と摺動ナット12をロックする。具体的には、摺動ナット12の変位を戻し、コイルバネ13bで摺動ナット12をねじ軸10に向かって付勢させ噛合わせた状態で、固定ピンを挿入して固定する。そして、薬液バッグを装着し、蓋部2aを閉めて、ゼンマイバネ6をねじ回し治具8で巻き上げて点滴動作の準備が完了する。
摺動ナットをねじ溝部から離間させて離間状態とする、その他の方法について図5に基づいて説明する。図5は、図1〜図4で示した点滴装置1とは別形態の点滴装置におけるキャリッジの軸方向断面図である。図5に示すように、摺動ナット12’の摺動面12a’は、ねじ軸10’のねじ溝部10a’の周方向半周分と摺接する。コイルバネ13b’は摺動ナット12’を離間させる方向に付勢しており、摺動面12a’はねじ溝部10a’と噛み合っている。図5に示す構成において、離間状態にする際には、コイルバネ13b’を弾性変形(圧縮)させて、摺動ナット12’とキャリッジ13’の接続部分を支点に摺動ナット12’を回動させ、摺動面12a’をねじ溝部10a’から離間させる。そして、この離間状態で摺動ナット12’およびキャリッジ13’をガイド軸17’に沿って移動させる。
このように本発明の点滴装置では、上死点に達したピストンを速やかに下死点まで後退させる解除機構が設けられている。具体的には、摺動ナットが、ねじ軸と螺合した状態からねじ軸と離間した状態に変位可能にキャリッジに組み付けられているので、輸液バッグの交換時の作業性を向上できる。
本発明の携帯型点滴装置は、図1〜図5で示した構成に限らない。例えば、低速ギヤ機構7に、ガンギ車、アンクリ、テンプからなる調速機構を接続してもよい。該調速機構は、時計などに用いられる機構であり、この機構を採用することで、ピストンを低速で且つ所定速度で前進させることができる。また、ガンギ車、アンクリ、テンプからなる調速機構を変更または切替えることで、薬液の吐出量を任意に調整ができ、薬液の種類に応じた速度で薬液の押し出しができる。また、薬液バッグ20がバッグ収容部5より小さい場合は、ピストン15と薬液バッグ20の間にスペーサを入れて薬液を押し出すこともできる。
以上のように、本発明の携帯型点滴装置は、動力部としてバネ部材と減速ギヤ機構を用い、加圧部としてリンク機構とすべりねじ装置を用いている。この構成において、バネ部材の反力で減速ギヤ機構を駆動させ、すべりねじ装置を回転させ、すべりねじ装置に取り付けたリンク機構でピストンを駆動させることで、バッグ収容部内の輸液バッグを圧迫し、バッグ内の薬液を押し出すことができる。
本発明の携帯型点滴装置は、安定した点滴を実施できるとともに、コンパクトかつ軽量で、汎用性に優れているので、携帯型の点滴装置として広く使用でき、患者の移動時における負担を好適に軽減できる。
1 点滴装置
2 ハウジング
3 動力部
4 加圧部
5 バッグ収容部
6 ゼンマイバネ
7 減速ギヤ機構
8 ねじ回し治具
9 駆動ギヤ
10 ねじ軸
11 摺動部
12 摺動ナット
13 キャリッジ
14 リンク機構
15 ピストン
16 リンクシャフト
17 ガイド軸
18 ストッパー
19 軸受
20 薬液バッグ
2 ハウジング
3 動力部
4 加圧部
5 バッグ収容部
6 ゼンマイバネ
7 減速ギヤ機構
8 ねじ回し治具
9 駆動ギヤ
10 ねじ軸
11 摺動部
12 摺動ナット
13 キャリッジ
14 リンク機構
15 ピストン
16 リンクシャフト
17 ガイド軸
18 ストッパー
19 軸受
20 薬液バッグ
Claims (6)
- ハウジングと、前記ハウジング内に軸方向一方側に向けて前進可能に設けられたピストンとを備え、前記ハウジングと前記ピストンの間に薬液バッグが装着され、前記ピストンの前進によって前記薬液バッグ内の薬液が押し出される携帯型点滴装置であって、
前記携帯型点滴装置は、前記ハウジング内に、弾性変形可能なバネ部材と、該バネ部材の反発力を減速して出力する減速ギヤ機構と、該減速ギヤ機構から出力された駆動力によって回転するねじ軸と、該ねじ軸に螺合し軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動部と、該摺動部および前記ピストンを連結するリンク機構とを有し、
前記リンク機構は、前記摺動部の前記ねじ軸上の移動に連動して前記ピストンを前進させるように構成されていることを特徴とする携帯型点滴装置。 - 前記リンク機構は、前記摺動部の移動方向と前記ピストンの前進方向が直交するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の携帯型点滴装置。
- 前記リンク機構は、1つ以上のリンク部材から構成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯型点滴装置。
- 前記摺動部は、前記ねじ軸と螺合した螺合状態を解除する解除機構を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の携帯型点滴装置。
- 前記摺動部は、前記ねじ軸に螺合する摺動ナットと該摺動ナットが組み付けられるキャリッジとを有し、前記リンク機構は、該キャリッジと前記ピストンを連結するものであり、
前記ハウジング内において、前記ピストンと前記ねじ軸との間に、該ねじ軸と平行なガイド軸が設けられており、前記キャリッジに前記ガイド軸が挿通され、前記摺動ナットがねじ軸上を移動するとともに、前記キャリッジが、前記ガイド軸を摺動しながら前記摺動ナットと同軸方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の携帯型点滴装置。 - 前記低速ギヤ機構に、ガンギ車、アンクリ、テンプからなる調速機構が接続されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の携帯型点滴装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113599616A (zh) * | 2021-08-09 | 2021-11-05 | 中国人民解放军总医院第八医学中心 | 一种智能医用输液袋切换设备 |
DE112020005846T5 (de) | 2019-11-29 | 2022-09-15 | Denso Corporation | Ventil-Timing-Einstellvorrichtung |
-
2018
- 2018-06-22 JP JP2018119318A patent/JP2019217204A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE112020005846T5 (de) | 2019-11-29 | 2022-09-15 | Denso Corporation | Ventil-Timing-Einstellvorrichtung |
CN113599616A (zh) * | 2021-08-09 | 2021-11-05 | 中国人民解放军总医院第八医学中心 | 一种智能医用输液袋切换设备 |
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