JP2019214514A - 抗体産生力を上げる培養上清製剤 - Google Patents

抗体産生力を上げる培養上清製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】抗体産生能力を高める剤の提供。【解決手段】間葉系幹細胞の培養上清を有効成分として含む抗体産生能力を増強するための培養上清製剤。間葉系幹細胞の例は,ヒト間葉系幹細胞であり,間葉系幹細胞が,無血清培地を用いて培養された間葉系幹細胞がより好ましい。この製剤は,たとえば,投与された対象のIgA抗体又はIgG抗体の産生能力を増強するために用いられる。【選択図】図1

Description

本発明は,対象の抗体産生力を上昇させるための培養上清製剤に関する。
抗体は,生体防御に極めて重要である。異物と接触する組織である腸管における分泌性IgA抗体や,血中に多いIgG抗体の産生は,感染症をはじめとする種々の疾病の抑制に大きな役割を果たす。しかしながら,抗体産生能力は加齢とともに低下することが知られている。このことが,一例として,肺炎による死亡数が高齢者で高い一因であると考えられる。
前述のように,老化による抗体産生能の低下は,感染症に罹患する危険度を上げる。また,ワクチンによる抗体の増強を妨げるため,極めて重大な問題である。しかしながら,現時点において,老化により衰えた抗体産生力を上げる有効な手段はない。このため,全身性の免疫力や腸管免疫力を高める剤の開発が望まれている。
ところで,脂肪組織,臍帯,骨髄,歯髄などから分離された間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell, MSC)は,プラスチック培養皿への接着,培養による増殖,骨芽細胞,軟骨細胞,脂肪細胞などへの分化能を有するといった性質を持つ。この細胞は,直接疾患部位に働き,あるいは種々のサイトカインを分泌することにより,創傷治癒,血管新生,抗炎症,免疫抑制などに働くことが知られている。
本発明者は,MSCの分泌物が含まれる培養上清が,抗体産生力の増強に応用できる可能性を検討してきた。
国際特許出願WO 2009102050 号パンフレット
Corcione, A. 他著 「Human mesenchymal stem cells modulate B-cell functions」 Blood (The American Society of Hematology) 2006年 Comoli, P. 他著 「Human mesenchymal stem cells inhibit antibody production induced in vitro by allostimulation」 Nephrology Dialysis Transplant (Oxford University Press) 2008年 Saka, Y. 他著 「Adipose-derived stromal cells cultured in a low-serum medium, but not bone marrow-derived stromal cells, impede xenoantibody production」Xenotransplantation (John Wiley & Sons A/S) 2011年 Park, M.-J. 他著 「Adipose tissue-derived mesenchymal stem cells induce expansion of Interleukin-10 producing regulatory B cells and ameliorate autoimmunity in a murine model of systemic lupus erythematosus」Cell Transplantation (Cognizant Communication Corporation) 2014年
本発明は,抗体産生能力を高める剤を提供することを目的とする。
本発明は,投与対象の抗体産生力を上昇させる機能を有する間葉系幹細胞の培養上清を含む,対象の抗体産生力を増強するための剤を提供することを目的とする。
前述のように,間葉系幹細胞は,様々な因子を分泌して,種々の疾病や創傷などに奏功する。これまで,間葉系幹細胞と免疫に関連する細胞との関係に関する学術的報告がいくつか出されている。それによると,間葉系幹細胞は,抗体産生細胞の分化や増殖の抑制,抗原提示細胞の成熟の抑制などに働き,結果として抗体産生を抑制する。
しかしながら,前述の結果は,血清含有培地で培養された間葉系幹細胞を用いて得られたものである。血清含有培地と無血清培地で培養した間葉系幹細胞では,その遺伝子発現や分泌物のプロファイルが異なることが知られている。
そこで本発明者は,血清含有培地ではなく無血清培地を用いて間葉系幹細胞を培養し,間葉系幹細胞の分泌物を含む培養上清製剤(培養上清)を製造した。この培養上清を用い,抗体産生能に対する効果を検証した。
脂肪組織,臍帯,歯髄由来間葉系幹細胞を用いて製造した培養上清を老齢マウス(18〜22ヶ月齢)に投与し,その抗体産生能を,培養上清を投与していないマウスと比較した。抗原としてオボアルブミン(OVA)およびコレラ毒素(CT)を用い,これらを経口摂取させた。
培養上清を投与していない老齢マウスでは,OVAやCTに対する腸管分泌型IgA抗体およびIgG抗体の産生は見られない,あるいは極めて低かった。しかしながら,培養上清を投与された老齢マウスでは,前述の抗体産生の著しい上昇が確認された。(図1−10)。
前述の通り,無血清培地を用いて製造した間葉系幹細胞の培養上清が,抗体産生能を増強することを示した。これは,従来の研究結果,すなわち,血清含有培地で培養した間葉系幹細胞は,B細胞やT細胞などの免疫に関与する細胞の活性を抑制し,抗体産生能を低下させるというものと逆の結果である。
本発明は,間葉系幹細胞の培養上清を有効成分として含む,抗体産生能力を増強するための培養上清製剤に関する。この剤の好ましい形態は,間葉系幹細胞として,ヒト間葉系幹細胞を用いるものである。この剤の好ましい形態は,間葉系幹細胞の培養上清が,無血清培地を用いて間葉系幹細胞を培養する際に得られた培養上清である。この製剤の好ましい形態は,投与された対象のIgA抗体又はIgG抗体の産生能力を増強するために用いられるものである。本発明の剤は,投与された対象のIgA抗体又はIgG抗体の産生能力を増強ため,感染症予防剤,ワクチン増強剤,又は抗ガン活性剤として有効である。
本発明によれば,体組織から分離した間葉系幹細胞を培養することで,抗体産生能力を増強する機能を有する培養上清を得ることができる。したがって,本発明によれば,抗体産生能力を増強する機能を有する培養上清の製造方法,ならびに抗体産生能力を増強する機能を有する培養上清を成分として含む剤を提供することができる。
図1は,株式会社バイオミメティクスシンパシーズの無血清培地(BMS培地)で培養した脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清が,老齢マウスにおいて,OVAに対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体の抗体価を示す。 図2は,ロンザ社無血清培地(ロンザ培地)で培養した脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清が,老齢マウスにおいて,OVAに対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体の抗体価を示す。 図3は,サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社無血清培地(サーモ培地)で培養した脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清が,老齢マウスにおいて,OVAに対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体の抗体価を示す。 図4は,BMS培地で培養した脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清が,老齢マウスにおいて,CTに対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体の抗体価を示す。 図5は,ロンザ培地で培養した脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清が,老齢マウスにおいて,CTに対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体の抗体価を示す。 図6は,サーモ培地で培養した脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清が,老齢マウスにおいて,CTに対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体の抗体価を示す。 図7は,BMS培地で培養した臍帯由来間葉系幹細胞が,老齢マウスにおいて,OVAに対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体を示す。 図8は,BMS培地で培養した歯髄由来間葉系幹細胞が,老齢マウスにおいて,OVA に対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体を示す。 図9は,BMS培地で培養した臍帯由来間葉系幹細胞が,老齢マウスにおいて,CTに対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体を示す。 図10は,BMS培地で培養した歯髄由来間葉系幹細胞が,老齢マウスにおいて,CTに対する抗体価を上昇させることを示すグラフである。左は分泌型IgA抗体,右は血清IgG抗体を示す。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
間葉系幹細胞の培養上清を製造する方法について説明する。本発明の培養上清製剤は,間葉系幹細胞の培養上清を有効成分として含む,抗体産生能力を増強するための培養上清製剤に関する。この剤の好ましい形態は,間葉系幹細胞として,ヒト間葉系幹細胞を用いるものである。この剤の好ましい形態は,間葉系幹細胞の培養上清が,無血清かつ動物由来の抽出物を含まない培地を用いた無生物培養法を用いて間葉系幹細胞を培養する際に得られた培養上清である。この製剤の好ましい形態は,投与された対象のIgA抗体又はIgG抗体の産生能力を増強するために用いられるものである。
間葉系幹細胞は,多種類の間葉系組織を構成する細胞に分化し得る体性幹細胞を意味する。間葉系幹細胞の例は,哺乳類(例えばヒト)の間葉系幹細胞であり,霊長類の間葉系幹細胞がより好ましく,ヒトの間葉系幹細胞がさらに好ましい。また,間葉系幹細胞は,例えば,骨髄,脂肪,歯髄及び臍帯に存在しうる。間葉系幹細胞は,間葉系幹細胞を含む細胞集団であってもよい。間葉系幹細胞は,継代培養されたものであってもよい。
培養液としては,自己血清または牛胎児血清(FBS)を含まない無血清培地を用いる。ヒト又は動物由来の成分を含まない培地がより好ましい。必要に応じて線維芽細胞増殖因子(bFGF)やアドレノメデユリンなどの成長因子を加えてもよい。培養は,哺乳動物の細胞の培養に適する任意の条件で実施することができるが,一般的には37℃,5% COで数日間培養し,必要に応じて培地を交換する。間葉系幹細胞は培養基材に接着して増殖する性質を有するため,浮遊して増殖する造血性幹細胞と容易に分離することができる。
間葉系幹細胞の培養上清は,細胞培養で使用した培地を遠心分離した際に得られる上清であってもよい。また,その上清を適宜精製したものであってもよい。また,上記した間葉系幹細胞を製造する方法を用いた後,ダルベッコMEM(登録商標)培地などの一般的な基本培地や,市販品培地,もしくは,独自組成の培養液や緩衝液で置換した後,間葉系幹細胞から分泌された成分を含有する上澄みであってもよい。
間葉系幹細胞の培養上清の例は,遠心分離により培養上清を固液分離して得られる上清成分である培養上清を,凍結乾燥により水分を除去して得られる処理物,エバポレーター等を用いて培養上清を減圧濃縮して得られる処理物,限外ろ過膜等を用いて培養上清を濃縮して得られる処理物,又はフィルターを用いて培養上澄みを固液分離して得られる処理物,もしくは,上述のような処理をする前の培養上清の原液である。また,例えば,本発明の間葉系幹細胞を培養した上澄みを,遠心分離(例えば,1,000×g,10分)した後,硫安(例えば,65%飽和硫安)で分画し,沈殿物を適切な緩衝液で懸濁した後に透析処理を行い,シリンジフィルター(例えば,0.2μm)で濾過し,無菌的な培養上清を得てもよい。採取した培養上清を,そのまま用いても,また凍結保存しておき使用時に解凍して用いることもできる。また薬剤学的に許容される担体を加えて,取り扱いやすい液量,例えば0.2ml又は0.5ml等となるように滅菌容器に分注してもよい。さらに,感染性病原体リスクの対策として,培養上清をウイルスクリアランスフィルターやγ線照射により処理してもよい。
培養上清を有効成分として含む剤は,例えば,特開2013−18756号公報,特許第5139294号,及び特許第5526320号公報に開示されるとおり公知である。したがって,本発明の培養上清を含む剤を,公知の方法を用いて製造することができる。本発明の剤の好ましい形態は,投与された対象のIgA抗体又はIgG抗体の産生能力を増強するために用いられるものである。本発明の剤は,投与された対象のIgA抗体又はIgG抗体の産生能力を増強ため,感染症予防剤,ワクチン増強剤,又は抗ガン活性剤として有効である。感染症予防剤は,投与された対象が感染症に罹患することを予防するための剤である。感染症予防剤は,感染症を予防するための健康食品の一成分であってもよいし,承認を得た医薬であってもよい。ワクチン増強剤は,ワクチンと共に投与されるか,ワクチンと併用される剤であって,ワクチンの治療効果を高める剤である。抗ガン活性剤は,抗ガン剤であるか,又は抗ガン剤の活性を高めるために抗ガン剤と共に投与されるか,抗ガン剤と併用される剤である。
本発明による培養上清の剤型としては,液剤と固形剤の両方を選択できる。タンパク質を主剤とするバイオ医薬品においては,安定性の問題から,保存性に優れる粉体化がしばしば選択される。本発明の培養上清もまた,安定性と保存期間の向上のために,固形剤として製造されることが望ましい。
本発明の剤は,有効成分としての培養上清が,薬学的に許容される担体又は媒体とともに調整されてもよい。薬学的に許容される担体又は媒体は,例えば,賦形剤,安定化剤,溶解補助剤,乳化剤,懸濁化剤,緩衝剤,等張化剤,抗酸化剤,又は保存剤など薬学的に許容される物質があげられる。また,ポリエチレングリコール(PEG)などの高分子材料やシクロデキストリン等の抱合化防物を使用することもできる。賦形剤の例は,デンプンや乳糖などそれ自体が薬理作用を有さないものである。安定化剤の例は,アルブミン,ゼラチン,ソルビトール,マンニトール,乳糖,ショ糖,トレハロース,マルトース,及びグルコースである。これらのうちでは,ショ糖又はトレハロースが好ましい。溶解補助剤の例は,エタノール,グリセリン,プロピレングリコール,及びポリエチレングリコールである。乳化剤の例は,レシチン,ステアリン酸アルミニウム,またはセスキオレイン酸ソルビタンである。懸濁化剤の例は,マクロゴール,ポリビニルピロリドン(PVP),またはカルメロース(CMC)である。等張化剤の例は,塩化ナトリウム,及びグルコースである。緩衝剤の例は,クエン酸塩,酢酸塩,ホウ酸,及びリン酸塩である。培養上清製剤を希釈する水性媒質としては,例えば,浸透圧やpHを血液の値付近に調整し,塩類濃度等を調整した注射用の水溶液等を適宜用いればよく,例えば,酢酸リンゲル液,糖加酢酸リンゲル液等のリンゲル液その他の輸液,生理食塩水,またはブドウ糖液等を用いることができるが,これらに限定されない。抗酸化剤の例は,アスコルビン酸,亜硫酸水素ナトリウム,及びピロ亜硫酸ナトリウムである。保存剤の例は,フェノール,チメロサール,及び塩化ベンザルコニウムである。
本発明の培養上清を含む剤は,静脈内投与,動脈内投与,筋肉内投与,皮下投与,腹腔内投与,鼻腔内投与,脊髄管腔内移植,関節内移植,歯肉内注射,塗布などの公知の投与方法を用いて投与することができる。本発明の剤は,患部や対象部位に直接注射してもよく,また外科手術により患部を開口し本発明の剤を投与することも可能である。対象となる疾患によって最適なあらゆる投与方法が可能である。移植法として静脈内注射を選択する場合においては,培養上清を1投与単位として1mL以上1,000mL以下で投与することが好ましく,さらに好ましくは,30mL以上300mL以下で投与される。投与量は,後述した実施例に示されるとおりIgA抗体又はIgG抗体に対する抗体値を測定し,適宜調整すればよい。
本発明は,対象(ヒト又はヒト以外の哺乳動物)の抗体産生能力を増強するために,対象に間葉系幹細胞の培養上清を投与する工程を含む,抗体産生能力の増強方法をも提供する。
本発明は,抗体産生能力増強剤を製造するための,間葉系幹細胞の培養上清の使用をも提供する。
[製造例1]
以下のようにして,株式会社バイオミメティクスシンパシーズの無血清培地(BMS培地)を用いた,脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清を得た。
適切な設備のあるクリニックや病院において,医師から説明を受け,インフォームドコンセントを得て組織の提供に同意した人,あるいは保護者の同意を得られた人から,皮下脂肪の提供を受けた。この組織を酵素処理により分散させ,それを遠心分離することにより,種々の細胞を含む分画を得た。
得られた分画を,BMS培地を入れたプラスチック培養皿に播種し,プラスチックに接着性を示す細胞を得た。得られた細胞の1)プラスチック接着性,2)培養による増殖,3)細胞表面抗原マーカーの発現パターンを調べ,それが間葉系幹細胞であることを確認した。
この細胞の培養に使用した培養液を分取し,遠心分離により夾雑物を取り除いた上清を,本発明の培養上清とした。
[製造例2]
以下のようにして,ロンザ社の無血清培地(ロンザ培地)を用いた,脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清を得た。
製造例1と同様に得た,脂肪組織由来の種々の細胞を含む分画を,ロンザ培地を入れたプラスチック培養皿に播種し,プラスチックに接着性を示す細胞を得た。得られた細胞の1)プラスチック接着性,2)培養による増殖,3)細胞表面抗原マーカーの発現パターンを調べ,それが間葉系幹細胞であることを確認した。
この細胞の培養に使用した培養液を分取し,遠心分離により夾雑物を取り除いた上清を,本発明の培養上清とした。
[製造例3]
以下のようにして,サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社の無血清培地(サーモ培地)を用いた,脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清を得た。
製造例1と同様に得た,脂肪組織由来の種々の細胞を含む分画を,サーモ培地を入れたプラスチック培養皿に播種し,プラスチックに接着性を示す細胞を得た。得られた細胞の1)プラスチック接着性,2)培養による増殖,3)細胞表面抗原マーカーの発現パターンを調べ,それが間葉系幹細胞であることを確認した。
この細胞の培養に使用した培養液を分取し,遠心分離により夾雑物を取り除いた上清を,本発明の培養上清とした。
[製造例4]
以下のようにして,BMS培地を用いた,臍帯由来の間葉系幹細胞の培養上清を得た。
適切な設備のあるクリニックや病院において,医師から説明を受け,インフォームドコンセントを得て組織の提供に同意した人から,臍帯の提供を受けた。臍帯を,滅菌したはさみ等で細断し,それを酵素処理により分散させ,遠心分離することにより,種々の細胞を含む分画を得た。
得られた分画を,BMS培地を入れたプラスチック培養皿に播種し,プラスチックに接着性を示す細胞を得た。得られた細胞の1)プラスチック接着性,2)培養による増殖,3)細胞表面抗原マーカーの発現パターンを調べ,それが間葉系幹細胞であることを確認した。
この細胞の培養に使用した培養液を分取し,遠心分離により夾雑物を取り除いた上清を,本発明の培養上清とした。
[製造例5]
以下のようにして,BMS培地を用いた,歯髄由来の間葉系幹細胞の培養上清を得た。
適切な設備のあるクリニックや病院において,医師から説明を受け,インフォームドコンセントを得て保護者の同意を得られた人から,脱落した乳歯の提供を受けた。乳歯を,滅菌したペンチ等により破砕し,歯髄を取り出した。それを酵素処理により分散させ,遠心分離することにより,種々の細胞を含む分画を得た。
得られた分画を,BMS培地を入れたプラスチック培養皿に播種し,プラスチックに接着性を示す細胞を得た。得られた細胞の1)プラスチック接着性,2)培養による増殖,3)細胞表面抗原マーカーの発現パターンを調べ,それが間葉系幹細胞であることを確認した。
この細胞の培養に使用した培養液を分取し,遠心分離により夾雑物を取り除いた上清を,本発明の培養上清とした。
抗OVA抗体産生に対する本発明の培養上清製剤の効果を,実施例1に示す。
老齢マウス(18〜22ヶ月齢)の腹腔に,本発明の脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清製剤を0.5ml投与した。投与3週間後に,OVA1mgを,アジュバントであるCT10μgと共に、週一度の頻度で三週間にわたり経口投与(経口免疫)した。最終免疫から一週間後,フンおよび血清を採取し,各サンプルに含まれるOVAに対する,フンに含まれる分泌型IgA抗体,及び血清IgG抗体の抗体価をELISA法により測定した。
図1は,脂肪組織由来間葉系幹細胞をBMS培地で培養して得た培養上清を,老齢マウスに投与して,OVAに対する抗体価を測定した結果である。A群は,老齢マウス(18〜22ヶ月齢)であって,本発明の培養上清製剤を投与しないものを示し,B群は,老齢マウス(18〜22ヶ月齢)であって,本発明の培養上清製剤を投与したものを示す。左のグラフは腸内へ分泌されるIgA抗体の量を,右のグラフは血清IgG抗体の量を抗体価で示す。老齢マウスは抗体産生能が低下しており,OVAに対する抗体は検出されなかった。一方,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
図2は,脂肪組織由来間葉系幹細胞をロンザ培地で培養して得た培養上清を,老齢マウスに投与して,OVAに対する抗体価を測定した結果である。図1と同様,培養上清製剤投与のない老齢マウスでは抗体は検出されなかったが,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
図3は,脂肪組織由来間葉系幹細胞をサーモ培地で培養して得た培養上清を,老齢マウスに投与して,OVAに対する抗体価を測定した結果である。図1,2と同様,培養上清製剤投与のない老齢マウスでは抗体は検出されなかったが,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
以上から,培地の種類に関わらず,無血清培地で培養された脂肪組織由来間葉系幹細胞から得られた培養上清は,老化により低下した腸管分泌型抗体(分泌型IgA)と血清抗体(血清IgG)の産生力を著しく上昇させることがわかる。
抗CT抗体産生に対する本発明の培養上清製剤の効果を実施例2に示す。
老齢マウス(18〜22ヶ月齢)の腹腔に,本発明の脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清製剤を0.5ml投与した。投与3週間後に,CT10μgを,週一度の頻度で三週間にわたり経口投与(経口免疫)した。最終免疫から一週間後,フンおよび血清を採取し,各サンプルに含まれるCTに対する分泌型IgA抗体,及び血清IgG抗体の抗体価をELISA法により測定した。
図4は,脂肪組織由来間葉系幹細胞をBMS培地で培養して得た培養上清を,老齢マウスに投与して,CTに対する抗体価を測定した結果である。OVAに対する抗体産生(図1)と同様,培養上清製剤投与のない老齢マウスでは抗体は検出されなかったが,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
図5は,脂肪組織由来間葉系幹細胞をロンザ培地で培養して得た培養上清を,老齢マウスに投与して,CTに対する抗体価を測定した結果である。図2と同様,培養上清製剤投与のない老齢マウスでは抗体は検出されなかったが,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
図6は,脂肪組織由来間葉系幹細胞をサーモ培地で培養して得た培養上清を,老齢マウスに投与して,CTに対する抗体価を測定した結果である。図3と同様,培養上清製剤投与のない老齢マウスでは抗体は検出されなかったが,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
以上から,種々の無血清培地で培養された脂肪組織由来間葉系幹細胞から得られた培養上清は,様々な抗原に対する抗体産生力を著しく上昇させることがわかる。
他の組織由来の培養上清製剤の,抗体産生に対する効果を実施例3に示す。
図7は,臍帯由来間葉系幹細胞をBMS培地で培養して得た培養上清製剤を,実施例1と同様に老齢マウスに投与して,OVAに対する抗体価を測定した結果である。培養上清製剤投与のない老齢マウスでは抗体は検出されなかったが,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
図8は,歯髄由来間葉系幹細胞をBMS培地で培養して得た培養上清製剤を,実施例1と同様に老齢マウスに投与して,OVAに対する抗体価を測定した結果である。脂肪組織由来(図1)と同様,培養上清製剤投与のない老齢マウスでは抗体は検出されなかったが,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
図9は,臍帯由来間葉系幹細胞をBMS培地で培養して得た培養上清製剤を,実施例2と同様に老齢マウスに投与して,CTに対する抗体価を測定した結果である。培養上清製剤投与のない老齢マウスでは抗体は検出されなかったが,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
図10は,歯髄由来MSCをBMS培地で培養して得た培養上清を,実施例2と同様に老齢マウスに投与して,CTに対する抗体価を測定した結果である。培養上清製剤投与のない老齢マウスでは抗体は検出されなかったが,本発明の培養上清製剤を投与した老齢マウスでは,顕著な抗体産生の上昇が見られた。
以上から,種々の組織由来間葉系幹細胞から得られた培養上清は,様々な抗原に対する抗体産生力を著しく上昇させることがわかる。
上記のとおり,様々な組織由来の間葉系幹細胞の培養上清を用いて抗体産生能を評価したところ,いずれも高い抗体産生増強能を有することが示された。
本発明は,医薬産業において利用されうる。

Claims (4)

  1. 間葉系幹細胞の培養上清を有効成分として含む,抗体産生能力を増強するための培養上清製剤。
  2. 請求項1に記載の剤であって,
    前記間葉系幹細胞が,ヒト間葉系幹細胞である,剤。
  3. 請求項1に記載の剤であって,
    前記抗体が,IgA抗体又はIgG抗体である,剤。
  4. 請求項1に記載の剤であって,感染症予防剤,ワクチン増強剤,又は抗ガン活性剤である,剤。
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