JP2019210204A - 複合磁性材料およびそれを用いた電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】素体の比抵抗が高い電子部品をもたらすことができる複合磁性材料、およびその複合磁性材料を用いた電子部品を提供する。【解決手段】フェライト組成物と、珪酸亜鉛とを含む複合磁性材料であって、フェライト組成物は、スピネル系フェライトおよびスピネル系フェライト中に存在する酸化ビスマスで構成され、複合磁性材料全体の重量に対する酸化ビスマスの重量の割合が0.025重量%以上0.231重量%以下であり、珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合は、8重量%以上76重量%以下である、複合磁性材料。【選択図】図1
Description
本発明は、複合磁性材料、およびその複合磁性材料を用いた電子部品に関する。
電子機器の高周波ノイズを除去するための積層コイル部品の素体材料として、磁性材料と非磁性材料とを含有する複合磁性材料が用いられている。
特許文献1には、磁性体材料と非磁性体材料とを含有する複合フェライト組成物であって、磁性体材料はNi−Cu−Zn系フェライトであり、非磁性体材料は、一般式a(bZnO・cCuO)・SiO2で表され、前記一般式中のa、bおよびcが、a=1.5〜2.4、b=0.85〜0.98、c=0.02〜0.15(ただし、b+c=1.00)を満足する低誘電率非磁性体材料と、酸化ビスマスと、を含有し、磁性体材料と、低誘電率非磁性体材料との混合比率が、80重量%:20重量%〜10重量%:90重量%である複合フェライト組成物が記載されている。
本発明者の検討により、複合磁性材料が焼結材として酸化ビスマスを多く含む場合、この複合磁性材料を用いて製造された電子部品において、素体の比抵抗が低下し、めっき伸び等の不具合が起こりやすくなる傾向にあり、電子部品の信頼性が低下してしまうという課題があることを発見した。
本発明の課題は、素体の比抵抗が高い電子部品をもたらすことができる複合磁性材料、およびその複合磁性材料を用いた電子部品を提供することにある。
本発明者は、磁性材料として酸化ビスマスを含有するフェライト組成物、非磁性材料として珪酸亜鉛をそれぞれ用いて得られる複合磁性材料において、酸化ビスマスの含有量を所定の範囲内とすることにより、素体の比抵抗が高い電子部品をもたらすことができる複合磁性材料を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の第1の要旨によれば、フェライト組成物と、珪酸亜鉛とを含む複合磁性材料であって、
フェライト組成物は、スピネル系フェライトおよびスピネル系フェライト中に存在する酸化ビスマスで構成され、複合磁性材料全体の重量に対する酸化ビスマスの重量の割合が0.025重量%以上0.231重量%以下であり、
珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合は、8重量%以上76重量%以下である、複合磁性材料が提供される。
フェライト組成物は、スピネル系フェライトおよびスピネル系フェライト中に存在する酸化ビスマスで構成され、複合磁性材料全体の重量に対する酸化ビスマスの重量の割合が0.025重量%以上0.231重量%以下であり、
珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合は、8重量%以上76重量%以下である、複合磁性材料が提供される。
本発明の第2の要旨によれば、複数の磁性層が積層されてなる素体と、素体の外表面に設けられた外部電極と、素体の内部に設けられたコイル導体と、外部電極とコイル導体とを電気的に接続する引出導体とを備える電子部品であって、
素体が、上述の複合磁性材料で構成される、電子部品が提供される。
素体が、上述の複合磁性材料で構成される、電子部品が提供される。
本発明に係る複合磁性材料は、上記特徴を有することにより、素体の比抵抗が高い電子部品をもたらすことができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は例示を目的とするものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(複合磁性材料)
本実施形態に係る複合磁性材料は、フェライト組成物と、珪酸亜鉛(ウィルマイト)とを含むコンポジット材料である。珪酸亜鉛は、a(bZn・cMO)SiO2で表すことができる。式中、aは1.5以上2.4以下の範囲、bは0.85以上1以下の範囲、cは0.00以上0.15以下の範囲にある。Mは、Cuであってよい。
本実施形態に係る複合磁性材料は、フェライト組成物と、珪酸亜鉛(ウィルマイト)とを含むコンポジット材料である。珪酸亜鉛は、a(bZn・cMO)SiO2で表すことができる。式中、aは1.5以上2.4以下の範囲、bは0.85以上1以下の範囲、cは0.00以上0.15以下の範囲にある。Mは、Cuであってよい。
フェライト組成物は、スピネル系フェライトと、スピネル系フェライト中に存在する酸化ビスマス(Bi2O3)で構成される。スピネル系フェライトとして、例えば、Ni−Cu−Zn系フェライト、Mn−Cu−Zn系フェライト、Ni−Mn−Cu−Zn系フェライト等を用いることができる。上述のスピネル系フェライトを用いることで、高周波特性に優れた複合磁性材料を得ることができる。スピネル系フェライトの組成は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。スピネル系フェライトは、Co、Mn、Snから選ばれる一つ以上を含み得る。たとえば、Ni−Cu−Zn系フェライトは、それぞれ、Coを1ppm以上200ppm以下、Mnを1ppm以上3000ppm以下、Snを1ppm以上1000ppm以下の範囲で含んでいてもよい。また、Mn−Cu−Zn系フェライト及びNi−Mn−Cu−Zn系フェライトは、それぞれ、Coを1ppm以上200ppm以下、Snを1ppm以上1000ppm以下の範囲で含んでもよい。
酸化ビスマスは、複合磁性材料の焼結性を向上させる焼結材としてはたらく。本実施形態に係る複合磁性材料において、酸化ビスマスは、スピネル系フェライトの内部に存在する。フェライトの内部に存在する酸化ビスマスとは、フェライトの結晶粒子の粒界に存在する酸化ビスマスである。酸化ビスマスがスピネル系フェライトの内部に存在することにより、酸化ビスマスの添加量を低減し、かつ複合磁性材料の焼結性を向上させることができる。複合磁性材料は、スピネル系フェライトの内部に存在する酸化ビスマスに加えて、スピネル系フェライトの表面および外部に存在する微量の酸化ビスマスを含有してもよい。この場合、複合磁性材料に含まれる酸化ビスマス全体の重量に対する、スピネル系フェライトの内部に存在する酸化ビスマスの重量の割合は、50重量%超であることが好ましい。
複合磁性材料全体の重量に対する酸化ビスマスの重量の割合は、0.025重量%以上0.231重量%以下であり、好ましくは0.036重量%以上0.21重量%以下である。酸化ビスマスの重量割合が0.025重量%以上、好ましくは0.036重量%以上であると、複合磁性材料の焼結性を向上させることができ、また、複合磁性材料の吸水率を低くすることができる。酸化ビスマスの重量割合が0.231重量%以下、好ましくは0.21重量%以下であると、9logΩ・cm以上の高い比抵抗を確保することができる。
複合磁性材料に含まれる酸化ビスマスの含有量は、スピネル系フェライトの重量に対する酸化ビスマスの重量の割合でも表すことができる。この場合、フェライト組成物の重量に対する酸化ビスマスの重量の割合は、0.1重量%以上0.25重量%以下であり、好ましくは0.15重量%以上0.25重量%以下である。酸化ビスマスの重量割合が上記範囲内であると、複合磁性材料の焼結性が向上し得、かつ、9logΩ・cm以上の高い比抵抗を確保することができる。
珪酸亜鉛とスピネル系フェライトの組成比を重量比率で表した場合、珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合は、8重量%以上76重量%以下である。非磁性材料である珪酸亜鉛の重量比率が大きすぎると、複合磁性材料の透磁率が低くなり、また、複合磁性材料の吸水率が高くなる。反対に、珪酸亜鉛の重量比率が小さすぎると、直流重畳特性が低くなる。珪酸亜鉛とスピネル系フェライトの重量比率が上記範囲内であると、高い透磁率と良好な直流重畳特性を両立することができ、また、複合磁性材料の吸水率を低くすることができる。
珪酸亜鉛とスピネル系フェライトの組成比は、体積比率で表すこともできる。この場合、珪酸亜鉛の体積とスピネル系フェライトの体積の合計に対する珪酸亜鉛の体積の割合は、10体積%以上80体積%以下である。珪酸亜鉛とスピネル系フェライトの体積比率が上記範囲内であると、高い透磁率と良好な直流重畳特性を両立することができ、また、複合磁性材料の吸水率を低くすることができる。
珪酸亜鉛とスピネル系フェライトの組成比を重量比率で表した場合、珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合は、好ましくは8重量%以上25重量%以下である。珪酸亜鉛とスピネル系フェライトの組成比を体積比率で表した場合、珪酸亜鉛の体積とスピネル系フェライトの体積の合計に対する珪酸亜鉛の体積の割合は、好ましくは10体積%以上30体積%以下である。珪酸亜鉛とスピネル系フェライトの組成比が上記範囲内であると、10H/m以上のより高い透磁率を確保することができる。
複合磁性材料は、ホウ珪酸ガラスを含まないことが好ましい。このとき、複合磁性材料は、フェライト組成物と、珪酸亜鉛とのみからなるものであってよい。ただし、複合磁性材料は、原料に含まれる不純物、ならびに製造時に用いられた分散剤、バインダーおよび可塑剤等に由来する不純物等の微量の不可避不純物を更に含んでよい。後述するように、本実施形態に係る複合磁性材料で構成される素体を含む電子部品を製造する場合、積層成形体を焼成して素体を得る前に、積層成形体を水中でバレル研磨してよい。複合磁性材料がホウ珪酸ガラスを含む場合、この水中でのバレル研磨の際に積層成形体からガラス成分が溶出するおそれがあり、それにより素体の焼結性にばらつきが生じるおそれがある。複合磁性材料がホウ珪酸ガラスを含まない場合、水中でのバレル研磨の際にガラス成分の溶出が起こり得ないので、素体の焼結性にばらつきが生じるのを防ぐことができる。
さらに、複合磁性材料がホウ珪酸ガラスを含まない場合、複合磁性材料で構成される素体の強度(抗折強度)を高くすることができる。その結果、電子部品を実装する際にクラックが発生しにくくなり、電子部品の信頼性が向上し得る。
複合磁性材料がホウ珪酸ガラスを含まない場合に素体の強度が向上し得る理由は、特定の理論に拘束されるものではないが、以下に説明するメカニズムによるものであると推測される。複合磁性材料がガラス成分を含む場合、粒界にガラスが存在することになる。粒界にガラスが存在すると、粒界に沿って割れが生じやすく(すなわち、粒界割れしやすく)、その結果、素体の強度が低下してしまう。これに対し、複合磁性材料がガラス成分を含まない場合、粒界成分としてガラスが存在しないこととなるので、ガラスの存在に起因する強度の低下が起こり得ない。また、複合磁性材料がガラス成分を含まない場合には焼成時に粒成長しにくいので、得られる素体中に存在する大粒子の量が少なくなり、微細な粒子の集合体となる。そのため、粒子同士のネッキングの数が多くなり、それにより素体の強度が向上すると考えられる。また、大粒子の存在量が少ないので、仮に亀裂が入ったとしても直線状にクラックが延びる距離が長くなりにくい傾向にあり、その結果、強度が向上すると考えられる。
次に、本実施形態に係る複合磁性材料の製造方法について説明する。ただし、以下に説明する方法は一例に過ぎず、本実施形態に係る複合磁性材料の製造方法は以下の方法に限定されるものではない。
スピネル系フェライト粉末および酸化ビスマスを、スピネル系フェライト粉末の重量と酸化ビスマスの重量の合計に対する酸化ビスマスの重量の割合が0.1重量%以上0.25重量%以下となるように秤量および混合し、得られた混合物を600℃以上800℃以下の温度で仮焼して、フェライト組成物粉末を得る。このフェライト組成物粉末および珪酸亜鉛粉末を、珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合が8重量%以上76重量%以下となるように秤量した。これに、純水、分散剤、バインダーおよび/または可塑剤等を加え、ボールミル等で分散および粉砕を行って、スラリーを得る。このスラリーをドクターブレード法等で成形し、得られた成形体を880℃以上930℃以下の温度で焼成することにより、本実施形態に係る複合磁性材料を得ることができる。なお、複合磁性材料の原料として用いられるスピネル系フェライト粉末、酸化ビスマスおよび珪酸亜鉛粉末の組成比は、得られる複合磁性材料における組成比と実質的に同じであると考えて差し支えない。
(電子部品)
次に、本発明の一の実施形態に係る電子部品について以下に説明する。本実施形態に係る電子部品の一例を図1に示す。図1に示す電子部品1は積層コイル部品である。本実施形態に係る電子部品1は、複数の磁性層が積層されてなる素体2と、素体2の外表面に設けられた外部電極5と、素体2の内部に設けられたコイル導体3と、外部電極5とコイル導体3とを電気的に接続する引出導体4とを備え、素体2が、本発明に係る複合磁性材料で構成される。なお、本実施形形態に係る電子部品は、図1に示すようないわゆる縦巻き構造を有してよく、あるいは、図2に示すようないわゆる横巻き構造を有してもよい。本実施形態に係る電子部品は、素体の比抵抗が高い。
次に、本発明の一の実施形態に係る電子部品について以下に説明する。本実施形態に係る電子部品の一例を図1に示す。図1に示す電子部品1は積層コイル部品である。本実施形態に係る電子部品1は、複数の磁性層が積層されてなる素体2と、素体2の外表面に設けられた外部電極5と、素体2の内部に設けられたコイル導体3と、外部電極5とコイル導体3とを電気的に接続する引出導体4とを備え、素体2が、本発明に係る複合磁性材料で構成される。なお、本実施形形態に係る電子部品は、図1に示すようないわゆる縦巻き構造を有してよく、あるいは、図2に示すようないわゆる横巻き構造を有してもよい。本実施形態に係る電子部品は、素体の比抵抗が高い。
本実施形態に係る電子部品である積層コイル部品は、例えば以下に説明する方法で製造することができる。まず、スピネル系フェライト粉末および酸化ビスマスを、スピネル系フェライト粉末の重量と酸化ビスマスの重量の合計に対する酸化ビスマスの重量の割合が0.1重量%以上0.25重量%以下となるように秤量および混合し、得られた混合物を600℃以上800℃以下の温度で仮焼して、フェライト組成物粉末を得る。このフェライト組成物粉末および珪酸亜鉛粉末を、珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合が8重量%以上76重量%以下となるように秤量する。これに、純水、分散剤、バインダーおよび/または可塑剤等を加え、ボールミル等で分散および粉砕を行って、スラリーを得る。このスラリーを、ドクターブレード法等で所定の厚みのシートに成形する。得られたシートの所定箇所にレーザー照射を行ってビアホールを形成し、ビアホールに導電性ペーストを充填する。次いで、シート上に導電性ペーストをスクリーン印刷することによりコイル導体パターンおよび引出導体パターンを形成する。
導体パターンを形成したシートを所定の順序で積層し、その上下に導体パターンを形成していないシートを更に積層した後、これを加熱圧着し、ダイサー等で切断して個片化することにより、積層成形体を作製する。この積層成形体を水中でバレル研磨することにより、積層成形体のコーナー部に丸みを付けてよい。この積層成形体を880℃以上930℃以下の温度で焼成することにより、内部にコイル導体が設けられた素体が得られる。この素体の外表面に、外部電極用導電性ペーストを塗布し、900℃程度の温度で焼き付けすることで、外部電極を形成する。外部電極の上にめっき処理を施してよい。このようにして、本実施形態に係る電子部品を得ることができる。
なお、本実施形態に係る電子部品は、図1または図2に示す積層コイル部品以外の電子部品であってよく、例えば、LC複合部品等の、コイルと他のコンデンサ等の要素とを組み合わせた複合電子部品であってよい。
以下に説明する手順で、実施例1〜10および比較例1〜9の試料を作製した。まず、スピネル系フェライト粉末および酸化ビスマスを、スピネル系フェライト粉末の重量と酸化ビスマスの重量の合計に対する酸化ビスマスの重量の割合が表1に示す値となるように秤量および混合し、得られた混合物を600℃以上800℃以下の温度で仮焼して、フェライト組成物粉末を得た。非磁性材料としては、表1に示す材料を用いた。フェライト組成物粉末および非磁性材料粉末を、非磁性材料粉末の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する非磁性材料粉末の重量の割合が表1に示す値となるように秤量した。これに、純水、分散剤、バインダーおよび可塑剤等を加え、ボールミルで分散および粉砕を行って、スラリーを得た。このとき、比較例8および9については、ホウ珪酸ガラスを、非磁性材料粉末の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対するホウ珪酸ガラスの重量の割合が表1に示す値となるように更に加えて分散および粉砕を行った。このスラリーを、ドクターブレード法で約50μmの厚みのシートに成形した。得られたシートを矩形状に打ち抜き、複数枚を重ね合わせて圧着することで積層体ブロックを作製した。この積層体ブロックをリング形状に打ち抜き、これを920℃にて7時間の焼成をすることで、内径が12mm、外径が20mm、厚みが1mmのリング状の試料を作製した。
実施例1〜10および比較例1〜9の試料について、以下に説明する手順で評価試験を行った。
(相対密度)
焼結性評価のため、各実施例および比較例の試料について、アルキメデス法で焼結密度を測定し、密度の理論値に対する焼結密度の実測値で定義される相対密度を求めた。結果を表2および3に示す。
焼結性評価のため、各実施例および比較例の試料について、アルキメデス法で焼結密度を測定し、密度の理論値に対する焼結密度の実測値で定義される相対密度を求めた。結果を表2および3に示す。
(吸水率)
実施例1〜10および比較例1〜9のそれぞれについて、試料を3個ずつ純水に30分間浸漬して取り出した後、試料表面の水分を紙ウエスで除去し、重量を測定した。浸漬前後の重量変化率を算出し、これを吸水率とした。結果を表2および3に示す。
実施例1〜10および比較例1〜9のそれぞれについて、試料を3個ずつ純水に30分間浸漬して取り出した後、試料表面の水分を紙ウエスで除去し、重量を測定した。浸漬前後の重量変化率を算出し、これを吸水率とした。結果を表2および3に示す。
(透磁率μ’)
上記のリング状試料をアジレント・テクノロジー社製の磁性体測定冶具(型番16454A)にセットし、アジレント・テクノロジー社製のインピーダンスアナライザ(型番E4991A)を用いて透磁率μ’を測定した。実施例1〜10および比較例1〜7のそれぞれについて、5個の試料について10MHzで測定を行って平均値を算出し、これを透磁率μ’とした。結果を表2および3に示す。
上記のリング状試料をアジレント・テクノロジー社製の磁性体測定冶具(型番16454A)にセットし、アジレント・テクノロジー社製のインピーダンスアナライザ(型番E4991A)を用いて透磁率μ’を測定した。実施例1〜10および比較例1〜7のそれぞれについて、5個の試料について10MHzで測定を行って平均値を算出し、これを透磁率μ’とした。結果を表2および3に示す。
(直流重畳特性)
上記のリング状試料に60ターンの巻線を施し、Agilent社製のLCRメータ4284Aを用いて直流電流を印加し、算出される印加磁界およびそのときの透磁率を測定し、初期の透磁率から−10%となる印加磁界を求めた。結果を表2および3に示す。
上記のリング状試料に60ターンの巻線を施し、Agilent社製のLCRメータ4284Aを用いて直流電流を印加し、算出される印加磁界およびそのときの透磁率を測定し、初期の透磁率から−10%となる印加磁界を求めた。結果を表2および3に示す。
(比抵抗)
φ10mmの円板状試料の表裏両面にIn−Gaを塗布した後、絶縁抵抗計R8340Aを用いて、プローブを表裏に接触させて測定電圧50Vにおける抵抗値を測定し、単板の寸法より比抵抗を算出した。結果を表2および3に示す。
φ10mmの円板状試料の表裏両面にIn−Gaを塗布した後、絶縁抵抗計R8340Aを用いて、プローブを表裏に接触させて測定電圧50Vにおける抵抗値を測定し、単板の寸法より比抵抗を算出した。結果を表2および3に示す。
(抗折強度測定)
実施例1ならびに比較例8および9の試料について、抗折強度の測定を行った。まず、以下に説明する手順で抗折強度測定用の試料を作製した。実施例1ならびに比較例8および9のそれぞれについて、上述した方法と同様の手順でスラリーを調製した。これらのスラリーをそれぞれ、ドクターブレード法で約50μmの厚みのシートに成形した。上述のシートを所定の大きさにカットし、所定の枚数のシートを積層して積層体を得た。この積層体を920℃で7時間焼成して、実施例1ならびに比較例8および9の試料(サイズ:30mm×4mm×0.8mmt)を作製した。得られた試料について、JIS R1601に従って3点曲げ試験を行って抗折強度を測定した。実施例1ならびに比較例8および9のそれぞれにつき試料数n=20で抗折強度の測定を行い、得られた測定値の平均値を抗折強度とした。破断強度測定は、島津製作所製のオートグラフを用いて行った。結果を表3に示す。
実施例1ならびに比較例8および9の試料について、抗折強度の測定を行った。まず、以下に説明する手順で抗折強度測定用の試料を作製した。実施例1ならびに比較例8および9のそれぞれについて、上述した方法と同様の手順でスラリーを調製した。これらのスラリーをそれぞれ、ドクターブレード法で約50μmの厚みのシートに成形した。上述のシートを所定の大きさにカットし、所定の枚数のシートを積層して積層体を得た。この積層体を920℃で7時間焼成して、実施例1ならびに比較例8および9の試料(サイズ:30mm×4mm×0.8mmt)を作製した。得られた試料について、JIS R1601に従って3点曲げ試験を行って抗折強度を測定した。実施例1ならびに比較例8および9のそれぞれにつき試料数n=20で抗折強度の測定を行い、得られた測定値の平均値を抗折強度とした。破断強度測定は、島津製作所製のオートグラフを用いて行った。結果を表3に示す。
酸化ビスマスを添加しなかった比較例1は、相対密度が95%以下の低い値となり、0.5%以上の高い吸水率および9logΩ・cm以下の低い比抵抗を示した。フェライト組成物の重量に対する酸化ビスマスの重量の割合が0.25重量%より大きかった比較例2は、9logΩ・cm以下の低い比抵抗を示した。非磁性材料を添加しなかった比較例3は、低い直流重畳特性を示した。珪酸亜鉛の重量割合が76重量%より大きかった比較例4は、相対密度が95%以下の低い値となり、0.5%以上の高い吸水率を示した。非磁性材料として珪酸亜鉛の代わりにアルミナ(Al2O3)を用いた比較例5は、相対密度が95%以下の低い値となり、0.5%以上の高い吸水率を示した。非磁性材料として珪酸亜鉛の代わりにシリカ(SiO2)を用いた比較例6は、相対密度が95%以下の低い値となり、0.5%以上の高い吸水率を示した。非磁性材料として珪酸亜鉛の代わりにコージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)を用いた比較例7は、相対密度が95%以下の低い値となり、0.5%以上の高い吸水率を示した。
また、ホウ珪酸ガラスを添加した比較例8および9は、250MPa未満の低い抗折強度を示した。表2に示す結果より、ホウ珪酸ガラスの添加量が多いほど、抗折強度が低下する傾向にあることがわかる。
これに対し、実施例1〜10は、比較例1〜7と比較して相対密度が高く、低い吸水率を示した。また、実施例1〜10は、比較例1〜7と比較して高い直流重畳特性を示し、9logΩ・cmより大きい比抵抗を有した。
また、ホウ珪酸ガラスを添加しなかった実施例1は、ホウ珪酸ガラスを添加した比較例8および9と比較して抗折強度が高く、250MPa以上の優れた抗折強度を達成することができた。
本発明は以下の態様を含むが、これらの態様に限定されるものではない。
(態様1)
フェライト組成物と、珪酸亜鉛とを含む複合磁性材料であって、
フェライト組成物は、スピネル系フェライトおよびスピネル系フェライト中に存在する酸化ビスマスで構成され、複合磁性材料全体の重量に対する酸化ビスマスの重量の割合が0.025重量%以上0.231重量%以下であり、
珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合は、8重量%以上76重量%以下である、複合磁性材料。
(態様2)
珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合が、8重量%以上25重量%以下である、態様1に記載の複合磁性材料。
(態様3)
複数の磁性層が積層されてなる素体と、素体の外表面に設けられた外部電極と、素体の内部に設けられたコイル導体と、外部電極とコイル導体とを電気的に接続する引出導体とを備える電子部品であって、
素体が、態様1または2に記載の複合磁性材料で構成される、電子部品。
(態様1)
フェライト組成物と、珪酸亜鉛とを含む複合磁性材料であって、
フェライト組成物は、スピネル系フェライトおよびスピネル系フェライト中に存在する酸化ビスマスで構成され、複合磁性材料全体の重量に対する酸化ビスマスの重量の割合が0.025重量%以上0.231重量%以下であり、
珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合は、8重量%以上76重量%以下である、複合磁性材料。
(態様2)
珪酸亜鉛の重量とスピネル系フェライトの重量の合計に対する珪酸亜鉛の重量の割合が、8重量%以上25重量%以下である、態様1に記載の複合磁性材料。
(態様3)
複数の磁性層が積層されてなる素体と、素体の外表面に設けられた外部電極と、素体の内部に設けられたコイル導体と、外部電極とコイル導体とを電気的に接続する引出導体とを備える電子部品であって、
素体が、態様1または2に記載の複合磁性材料で構成される、電子部品。
本発明に係る複合磁性材料を用いて製造される電子部品は、素体の比抵抗が高いので、高い信頼性を有し、種々の用途に幅広く利用することができる。
1 電子部品
2 素体
3 コイル導体
4 引出導体
5 外部電極
2 素体
3 コイル導体
4 引出導体
5 外部電極
Claims (3)
- フェライト組成物と、珪酸亜鉛とを含む複合磁性材料であって、
前記フェライト組成物は、スピネル系フェライトおよび該スピネル系フェライト中に存在する酸化ビスマスで構成され、前記複合磁性材料全体の重量に対する前記酸化ビスマスの重量の割合が0.025重量%以上0.231重量%以下であり、
前記珪酸亜鉛の重量と前記スピネル系フェライトの重量の合計に対する前記珪酸亜鉛の重量の割合は、8重量%以上76重量%以下である、複合磁性材料。 - 前記珪酸亜鉛の重量と前記スピネル系フェライトの重量の合計に対する前記珪酸亜鉛の重量の割合が、8重量%以上25重量%以下である、請求項1に記載の複合磁性材料。
- 複数の磁性層が積層されてなる素体と、前記素体の外表面に設けられた外部電極と、前記素体の内部に設けられたコイル導体と、前記外部電極と前記コイル導体とを電気的に接続する引出導体とを備える電子部品であって、
前記素体が、請求項1または2に記載の複合磁性材料で構成される、電子部品。
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