JP2019206104A - インク吐出装置および印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】布素材などの記録媒体に対し高濃度の画像を高画質で色ムラなく印刷する。【解決手段】インク吐出装置は、記録媒体を送る送り動作と送り動作の停止とを繰り返す搬送動作を行うことによって記録媒体を搬送する搬送装置により搬送される記録媒体に印刷を行うヘッドと、X軸方向にヘッドを移動させるためのX軸移動機構と、送り動作が停止されているときに、X軸方向にヘッドを移動させる走査を行い、走査中にヘッドからインクを吐出させる制御部と、メンテナンス装置と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、記録媒体に印刷を行うインク吐出装置および印刷装置に関する。
従来、記録媒体としての布素材に対して印刷を行う場合がある。布素材に対して印刷を行う場合、布素材にインクが塗布される。布素材へのインクの塗布後、インクの定着が行われる。
ここで、布素材に対する印刷にインクジェット印刷機が用いられる場合がある。インクジェット印刷機を用いて布素材に印刷を行う技術は、たとえば、特許文献1に開示されている。
特表2007−525339号公報
インクジェット印刷機を用いて布素材に印刷を行う場合には、版を用いて布素材に印刷を行う場合に比べて、詳細な画像を印刷し易いというメリットがある。また、色数が多くても、多数の版を用意しなくて済む。
一方で、インクジェット印刷機にも不利な点がある。インクジェット印刷機は、微小なインク(液滴)を布素材に吹き付けることによって布素材に画像を印刷する。このため、濃度が出難い傾向がある。また、同じ濃度で一定領域の印刷(ベタ画像の印刷)を行う場合、色ムラが生じることがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、布素材などの記録媒体に対して高濃度の画像を高画質で色ムラなく印刷することが可能なインク吐出装置および印刷装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の局面によるインク吐出装置は、版を用いて印刷を行う版装置が設けられ、記録媒体を送る送り動作と送り動作の停止とを繰り返す搬送動作を行うことによって記録媒体を搬送する搬送装置により搬送される記録媒体の搬送ラインに対して追加および取り外しが可能であり、記録媒体の印刷面を正面としたときの記録媒体の搬送方向と平行な方向であるY軸方向に沿って並べられた複数のノズルを含むノズル列を有し、ノズルから記録媒体にインクを吐出することによって記録媒体に印刷を行うヘッドと、記録媒体の印刷面を正面としたときの記録媒体の搬送方向と垂直な方向であるX軸方向にヘッドを移動させるためのX軸移動機構と、送り動作が停止されているときに、X軸移動機構を制御しX軸方向にヘッドを移動させる走査を行い、走査中にヘッドからインクを吐出させる制御部と、ヘッドのX軸方向の移動可能範囲内であって搬送装置のX軸方向の両端に挟まれた範囲外に設置され、ノズルを正常状態に維持するためのメンテナンス装置と、を備える。
また、本発明の第2の局面によるインク吐出装置は、版を用いて印刷を行う版装置が設けられ、記録媒体を送る送り動作と送り動作の停止とを繰り返す搬送動作を行うことによって記録媒体を搬送する搬送装置により搬送される記録媒体の搬送ラインに対して固定されており、記録媒体の印刷面を正面としたときの記録媒体の搬送方向と平行な方向であるY軸方向に沿って並べられた複数のノズルを含むノズル列を有し、ノズルから記録媒体にインクを吐出することによって記録媒体に印刷を行うヘッドと、記録媒体の印刷面を正面としたときの記録媒体の搬送方向と垂直な方向であるX軸方向にヘッドを移動させるためのX軸移動機構と、送り動作が停止されているときに、X軸移動機構を制御しX軸方向にヘッドを移動させる走査を行い、走査中にヘッドからインクを吐出させる制御部と、ヘッドのX軸方向の移動可能範囲内であって搬送装置のX軸方向の両端に挟まれた範囲外に設置され、ノズルを正常状態に維持するためのメンテナンス装置と、を備える。
また、本発明の第3の局面による印刷装置は、上記インク吐出装置と、インク吐出装置により印刷が行われる記録媒体を搬送する搬送装置と、記録媒体に版を用いて印刷を行う版装置と、を備える。
本発明の構成では、布素材などの記録媒体に対して高濃度の画像を高画質で色ムラなく印刷することができる。
実施形態に係る印刷装置の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置の設置位置の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置のヘッドの一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置のヘッドの一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置の移動機構の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置のメンテナンス装置の設置位置の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置に入力される印刷用データについて説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられる搬送装置が搬送する布の送り量について説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置が行うキャッピング処理について説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置のヘッドの移動経路について説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置が行うフラッシング処理について説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置がフラッシング処理を行うときのヘッドの位置を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置が行うワイピング処理について説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置がワイピング処理を行うときのヘッドの位置を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置が記憶する定義データについて説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置の操作パネルが表示する画像種類選択画面の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置の操作パネルが表示する平滑レベル選択画面の一例を示す図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置が行うヘッドのZ軸方向の移動制御について説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置が記憶するインク吐出量データについて説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置が行う布の撮像について説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置の画像自動付加モードについて説明するための図である。 実施形態に係る印刷装置に備えられるインク吐出装置のコピーモードについて説明するための図である。 変形例に係るインク吐出装置のヘッドの一例を示す図である。 変形例に係るインク吐出装置のヘッドに設けられる間隔規制部材について説明するための図である。 変形例に係るインク吐出装置が行うヘッドのZ軸方向の移動制御について説明するための図である。
以下に、図1〜図25を参照し、本実施形態のインク吐出装置1およびインク吐出装置1を備える印刷装置100について説明する。なお、印刷装置100は、捺染装置である版装置2をさらに備える。インク吐出装置1および版装置2は、記録媒体に印刷を行う。
以下の説明では、記録媒体として布7を用いる場合を例にとるが、記録媒体の種類は特に限定されない。インク吐出装置1および版装置2の両方で印刷可能なものが記録媒体になり得る。たとえば、記録媒体が紙であってもよい。
また、以下の説明では、記録媒体としての布7の印刷面71を正面としたときの布7の搬送方向と垂直な方向をX軸方向と称する。布7の印刷面71を正面としたときの布7の搬送方向と平行な方向をY軸方向と称する。布7の印刷面71を正面としたときの高さ方向(前後方向)をZ軸方向と称する。
(印刷装置の全体構成)
まず、図1〜図3を参照し、印刷装置100の全体構成について説明する。印刷装置100は、インク吐出装置1および版装置2を備えるので、ディジタル印刷(インクジェット方式の印刷)およびアナログ印刷(版を用いた印刷)の両方の実行が可能である。すなわち、印刷装置100は、ハイブリッド型の印刷システムであると言える。印刷装置100は、インク吐出装置1および版装置2に加え、搬送装置3をさらに備える。また、印刷装置100は、制御装置4、給布装置5、定着装置6a、洗浄装置6bをさらに備える。
搬送装置3は、布7を搬送する。版装置2は、搬送装置3により搬送される布7の搬送ラインに設けられる。インク吐出装置1は、布7の搬送ラインに対して追加および取り外しが可能である。たとえば、既存の搬送ライン(版装置2が既に設置された搬送ライン)にインク吐出装置1を追加することができる。また、既存の搬送ラインに複数の版装置2が設置されている場合、いずれかの版装置2を取り外し、その代わりにインク吐出装置1を設置することもできる。さらに、既存の搬送ラインに設置されたインク吐出装置1を取り外すこともできる。すなわち、インク吐出装置1は、印刷装置100(搬送装置3)に対して着脱可能である。したがって、インク吐出装置1のみを市場に供給することができる。
また、搬送装置3により搬送される布7の搬送ラインに対してインク吐出装置1が固定されていてもよい。すなわち、布7の搬送ラインからインク吐出装置1が取り外せなくてもよい。この場合には、版装置2や搬送装置3と共にインク吐出装置1が販売される(インク吐出装置1、版装置2および搬送装置3が1セットで販売される)。
制御装置4は、インク吐出装置1、版装置2、搬送装置3、給布装置5、定着装置6aおよび洗浄装置6bを制御する。給布装置5には、筒状に巻かれた布7がセットされる。給布装置5は、布7を給布する給布ローラー51および給布ローラー51を回転させる給布モーター52を備える。たとえば、給布ローラー51は、複数設置される。制御装置4は、給布モーター52を駆動し、給布ローラー51を回転させる。給布ローラー51は、回転することにより、布7を給付する。
搬送装置3は、搬送ベルト31、駆動ローラー32、従動ローラー33および搬送モーター34を含む。搬送ベルト31は、駆動ローラー32および従動ローラー33にかけ回される。給布装置5により給付される布7は、搬送ベルト31上に張られる(搬送ベルト31に布7が接する)。搬送モーター34は、駆動ローラー32を回転させるためのモーターである。また、搬送装置3は、搬送制御部30を備える。搬送制御部30は、制御回路(たとえば、CPU)を含む基板である。
搬送制御部30は、制御装置4から指示を受け、搬送モーター34の駆動を制御する。すなわち、搬送制御部30は、駆動ローラー32を適切に回転させる。駆動ローラー32が回転することにより、搬送ベルト31が周回する。これにより、搬送ベルト31上の布7が搬送される。インク吐出装置1による印刷や版装置2による印刷は、搬送装置3により搬送される布7(搬送ベルト31上の布7)に対して行われる。
定着装置6aは、印刷済みの布7を搬送装置3から搬入する。定着装置6aは、定着搬送ローラー61、定着搬送モーター62およびヒーター63を備える。制御装置4は、印刷の実行時、定着搬送モーター62を駆動し、定着搬送ローラー61を回転させる。定着搬送ローラー61が回転することにより、定着装置6a内で布7が搬送される。また、制御装置4は、印刷の実行時、ヒーター63に電力を供給する。これにより、ヒーター63が発熱し、ヒーター63から発せられる熱によって布7にインクが定着する。
洗浄装置6bは、定着後の布7を定着装置6aから搬入する。洗浄装置6bは、洗浄搬送ローラー64、洗浄搬送モーター65および洗浄機66を備える。制御装置4は、印刷の実行時、洗浄搬送モーター65を駆動し、洗浄搬送ローラー64を回転させる。洗浄搬送ローラー64が回転することにより、洗浄装置6b内で布7が搬送される。このとき、制御装置4は、洗浄機66に布7の洗浄を行わせる。洗浄機66は、布7に水を吹き付ける。これにより、布7に付着した余分なインク(未定着のインク)や色糊が除去される。洗浄後の布7は機外に排出され、収容容器67に収容される。
インク吐出装置1は、布7にインクを吐出することによって布7に印刷を行う。インク吐出装置1は、インクジェット型プリンターの一種である。すなわち、インク吐出装置1は、インクを吐出するヘッド8(図3参照)を備える。インク吐出装置1の印刷方式は、シリアルヘッド方式である。
ここで、インク吐出装置1の印刷方式はシリアルヘッド方式であるが、ヘッド8をX軸方向だけでなくZ軸方向にも移動させることができる。これにより、印刷の開始前や印刷の完了後、印刷の実行中に、ヘッド8のZ軸方向の位置を調整することができる。
インク吐出装置1の構成については、後に詳細に説明する。
版装置2は、布7に版を用いて印刷を行う。版装置2による印刷では、布7の上方(Z軸方向の上方)から布7に対して版が押し付けられ、その状態で印刷が行われる。すなわち、搬送装置3により搬送される布7は、版装置2の版の下方(Z軸方向の下方)を通過する。
なお、版装置2による印刷では、1台の版装置2で1色の画像(図柄など)を印刷することができる。複数色の画像を印刷する場合には、複数色分の版装置2(複数の版装置2)が印刷装置100に組み込まれる。すなわち、版装置2の設置数は1台とは限らない。たとえば、版装置2の設置数は複数である。以下、複数の版装置2のうち1台の版装置2について構成を説明するが、複数の版装置2の各構成は同じであるため、他の版装置2については構成の説明を省略する。
版装置2は、型枠21、スクリーン版22(「版」に相当)、スキージ23、スキージ移動装置24および昇降装置25を備える。型枠21は、スクリーン版22を保持する。型枠21は、その外形が長方形となるよう形成される。スクリーン版22は、型枠21の枠内に配置される。スクリーン版22の上面上には色糊がのせられる。スクリーン版22は、繊維、樹脂および金属などからなる。スクリーン版22には、インクを透過させるインク透過部(布7に向けてインクを押し出す部分)が形成される。スキージ23は、ヘラ状に形成され、その下端部がスクリーン版22の上面に接するよう配置される。スキージ移動装置24は、モーターを含み、スクリーン版22の上面に沿ってスキージ23を移動させる。スキージ23およびスキージ移動装置24は、型枠21に設置される。昇降装置25は、型枠21を昇降させる。
なお、版装置2の種類は特に限定されない。たとえば、版装置2がロータリースクリーン捺染機であってもよい。また、版装置2がローラー捺染機であってもよい。
(インク吐出装置の設置位置)
次に、図4を参照し、インク吐出装置1の設置位置について説明する。図4は、印刷装置100(搬送装置3)を上方から見た模式図である。図4では、搬送装置3により搬送されている布7を図示する。
インク吐出装置1および複数の版装置2は、搬送装置3の搬送ベルト31上に設けられる。図4の上段図に示すように、インク吐出装置1は、Y軸方向(搬送方向)において、複数の版装置2の各設置領域よりも上流側に設置されてもよい。また、図4の中段図に示すように、インク吐出装置1は、Y軸方向(搬送方向)において、複数の版装置2の各設置領域よりも下流側に設置されてもよい。さらに、図4の下段図に示すように、インク吐出装置1は、Y軸方向(搬送方向)において、複数の版装置2のうち、或る版装置2および他の版装置2の各設置領域の間に設置されてもよい。
既存の印刷設備にインク吐出装置1を増設することにより、インク吐出装置1および版装置2の各利点を兼ね備えた印刷装置100を実現することができる。ここで、インク吐出装置1の設置位置は特に制限はない。そのため、既存の印刷設備を大きく改造することなく、印刷装置100を実現することができる。
(インク吐出装置の構成)
次に、図5を参照し、インク吐出装置1の構成について説明する。
インク吐出装置1は、制御部10および記憶部11を備える。制御部10は、インク吐出装置1の動作を制御する。制御部10は、制御回路10a(たとえば、CPU)および画像処理回路10bを含む基板である。制御回路10aは、制御プログラムおよび制御データに基づき処理を行う。画像処理回路10bは、印刷に用いる画像データD2(詳細は後述する)に対して画像処理を行う。記憶部11は、不揮発性の記憶装置(たとえば、ROM、HDDおよびフラッシュROMなど)および揮発性の記憶装置(たとえば、RAMなど)を含む。記憶部11は、制御プログラムおよび制御データを記憶する。
インク吐出装置1のヘッド8は、複数のノズル81(図6および図7参照)を含む。ヘッド8は、複数色のインクを吐出する。たとえば、ブラック、イエロー、シアンおよびマゼンタの各色のインクがヘッド8から吐出される。これにより、カラー印刷を行うことができる。
また、インク吐出装置1は、ブラック、イエロー、シアンおよびマゼンタの各色のインクをそれぞれ貯留する複数のインクタンク13を備える。図5では、便宜上、インクタンク13を1つのみ図示する。複数のインクタンク13からヘッド8に対し各色のインクが供給される。たとえば、ヘッド8へのインク供給は水頭差を利用して行われる。
制御部10は、印刷の実行時、ヘッド8から布7に向けてインクを吐出させる。ヘッド8から吐出されたインクは布7の印刷面71に付着する。これにより、印刷面71に画像が印刷される。
また、インク吐出装置1は、移動機構12を備える。移動機構12は、2つの軸方向にヘッド8を移動させるための機構である。移動機構12は、Z軸移動機構121およびX軸移動機構122を含む。Z軸移動機構121は、ヘッド8をZ軸方向に移動させるための機構である。X軸移動機構122は、ヘッド8をX軸方向に移動させるための機構である。
制御部10は、移動機構12を制御し、ヘッド8を適切に移動させる。すなわち、制御部10は、ヘッド8のZ軸方向の位置およびX軸方向の位置を制御する。制御部10は、印刷の開始前や印刷の完了後、印刷の実行中などに、Z軸移動機構121を制御することにより、ヘッド8のZ軸方向の位置を調整する。また、制御部10は、印刷の実行時、X軸移動機構122を制御することにより、ヘッド8をX軸方向に移動させる(ヘッド8をX軸方向に往復移動させる)。
インク吐出装置1は、メンテナンス装置9を備える。メンテナンス装置9は、ノズル81(図6および図7参照)を正常状態に維持するための装置である。メンテナンス装置9を用いることにより、ノズル81の目詰まりの発生を抑制することができるし、ノズル81の目詰まりが発生しても当該発生した目詰まりを解消することができる。
メンテナンス装置9は、キャップ91を備える。キャップ91は、ヘッド8のうちノズル81が形成されたノズル面(下面)を嵌め込むことが可能な形状に形成される。たとえば、キャップ91は、板金をゴムで被膜した部材であり、凹状に形成される。キャップ91にヘッド8のノズル面が嵌め込まれることにより、ヘッド8のノズル面が密封される。
また、メンテナンス装置9は、清掃部材92(図3参照)および洗浄部93を備える。清掃部材92は、弾性変形可能な板状の部材(ワイパー)である。たとえば、清掃部材92は、EPDMなどのゴム材料で形成される。清掃部材92は、Y軸方向に移動可能である。ヘッド8を清掃部材92の設置領域に移動させることにより、ヘッド8のノズル面と清掃部材92とを当接させることができる。洗浄部93は、清掃部材92に洗浄液を供給する(吹き付ける)。
また、メンテナンス装置9は、開口部95(図3参照)を有する。開口部95は、ヘッド8のノズル面よりも広い。開口部95は、廃液タンク94と繋がる。
インク吐出装置1は、操作パネル15を備える。操作パネル15は、表示パネル15aおよびタッチパネル15bを含む。表示パネル15aは、設定画面や情報を表示する。表示パネル15aは、ソフトウェアボタンなどの操作用画像を表示する。タッチパネル15bは、表示パネル15aに対するタッチ操作を検知する。制御部10は、タッチパネル15bの出力に基づき、ユーザーが行ったタッチ操作(タッチ操作を受けた操作用画像)を認識する。
インク吐出装置1は、タイミングセンサー16を備える。タイミングセンサー16は、印刷開始タイミングを計るためのセンサーである。タイミングセンサー16は、布7のY軸方向(搬送方向)の下流側の先頭部分が予め定められた地点に達したことを検知する。制御部10は、タイミングセンサー16の出力に基づき印刷開始タイミングを計る。
インク吐出装置1は、通信部19を備える。通信部19は、コンピューター200と通信する。コンピューター200は、たとえば、パーソナルコンピューターやサーバーである。通信部19は、コンピューター200から印刷用データD1(詳細は後述する)を受信する。制御部10は、印刷用データD1(印刷用データD1に含まれる画像データ)に基づき、ヘッド8を移動させるとともに、ヘッド8からインクを吐出させる。
(ヘッドの構成)
次に、図6および図7を参照し、ヘッド8の構成について説明する。
ヘッド8は、ブラック、イエロー、シアンおよびマゼンタの各色にそれぞれ対応する複数(4色分)のノズル列80を含む。各ノズル列80は、複数のノズル81を列状に並べたものである。各ノズル列80に含まれるノズル81の数は互いに同じである。各ノズル列80は、対応する色のインクを吐出する(各ノズル列80が吐出するインクの色は互いに異なる)。各ノズル列80の複数のノズル81はY軸方向に並べられる(各ノズル列80の列方向がY軸方向と平行である)。また、各ノズル列80の複数のノズル81は、Y軸方向に隣接するノズル81間の距離が均等になるよう形成される。Y軸方向(搬送方向)の上流端のノズル81から下流端のノズル81までの範囲が1回のインク吐出での描画範囲となる。
ヘッド8は、駆動素子83を備える。駆動素子83は、1つのノズル81に対して1つ設けられる。駆動素子83は、圧電素子(たとえば、ピエゾ素子)である。
また、ヘッド8は、ドライバー回路82を含む。ドライバー回路82は、1つのノズル列80に対して1つ設けられる。ドライバー回路82は、駆動素子83への電圧印加のON/OFFを制御する(インクの吐出を制御する)。制御部10は、1ラインごとに、画像データD2(インクを吐出すべきノズル81を示すデータ)をドライバー回路82に与える。ドライバー回路82は、インクを吐出すべきノズル81の駆動素子83にパルス状の電圧を印加する。電圧印加を受けた駆動素子83は変形する。駆動素子83の変形により生じる圧力は、ノズル81へのインクの供給流路(図示せず)に加わる。これにより、電圧印加を受けた駆動素子83に対応するノズル81からインクが吐出される。なお、ドライバー回路82は、インクを吐出させないノズル81に対応する駆動素子83には電圧を印加しない。
また、ヘッド8は、電圧生成回路84を備える。電圧生成回路84は、1つのドライバー回路82に対して1つ設けられる。電圧生成回路84は、大きさの異なる複数種の電圧を生成する。ドライバー回路82は、電圧生成回路84が生成する電圧を駆動素子83に印加する。駆動素子83に印加される電圧が大きいほど、駆動素子83の変形が大きくなり、インクの吐出量が多くなる。駆動素子83に印加される電圧が小さいほど、駆動素子83の変形が小さくなり、インクの吐出量が少なくなる。これにより、インクの吐出量を調整することができる。
制御部10は、駆動信号生成回路10cを含む。駆動信号生成回路10cは、駆動信号S1を生成する。駆動信号S1は、ヘッド8(ドライバー回路82)を駆動するための信号である。駆動信号生成回路10cは、たとえば、クロック信号を生成する。ヘッド8(ドライバー回路82)は、駆動信号S1が1回立ち上がるごとにインクを吐出する。インク吐出の基準周期は予め定められる。制御部10は、基準周期でインクが吐出されるように、駆動信号生成回路10cに駆動信号S1の生成を行わせる。
(移動機構の構成)
次に、図8を参照し、移動機構12(Z軸移動機構121およびZ軸移動機構122)の構成について説明する。
Z軸移動機構121は、Z軸アーム121aを含む。Z軸アーム121aは、四角柱状の部材である。Z軸アーム121aは、Z軸モーター121b、Z軸移動部材121cおよびZ軸移動体121dを内蔵する。Z軸モーター121bは、たとえば、ステッピングモーターである。Z軸モーター121bは、正逆回転可能である。制御部10は、Z軸モーター121bの駆動を制御する。Z軸モーター121bは、Z軸移動部材121cを回転させる。Z軸移動部材121cは、たとえば、ボールねじである。Z軸移動体121dは、ボールねじに取り付けられたナットと一体化される。これにより、Z軸モーター121bの回転運動が直線運動に変換される。その結果、Z軸移動体121dがZ軸方向に移動する。Z軸アーム121aは、Z軸移動体121dのZ軸方向への移動をガイドする。
X軸移動機構122は、X軸アーム122aを含む。X軸アーム122aは、四角柱状の部材である。X軸アーム122aは、X軸モーター122b、X軸移動部材122cおよびX軸移動体122dを内蔵する。X軸モーター122bは、たとえば、ステッピングモーターである。X軸モーター122bは、正逆回転可能である。制御部10は、X軸モーター122bの駆動を制御する。X軸モーター122bは、X軸移動部材122cを回転させる。X軸移動部材122cは、たとえば、ボールねじである。X軸移動体122dは、ボールねじに取り付けられたナットと一体化される。これにより、X軸モーター122bの回転運動が直線運動に変換される。その結果、X軸移動体122dがX軸方向に移動する。X軸アーム122aは、X軸移動体122dのX軸方向への移動をガイドする。
Z軸移動体121dは、X軸移動機構122の一部と接続される。たとえば、X軸アーム122aの端部にZ軸移動体121dが接続される。これにより、Z軸移動体121dの移動にあわせて、X軸アーム122aがZ軸方向に移動する。制御部10は、Z軸モーター121bの駆動を制御することにより、X軸アーム122aのZ軸方向の位置を変化させる。
ヘッド8は、各ノズル列80の列方向がY軸方向と平行になるようX軸移動体122dに取り付けられる。具体的には、ヘッド8はキャリッジ8a(図9参照)に保持される。そして、キャリッジ8aがX軸移動体122dに取り付けられる。これにより、X軸移動体122dの移動にあわせて、ヘッド8がX軸方向に移動する。
制御部10は、Z軸モーター121bを駆動し、Z軸移動体121dをZ軸方向に移動させる。これにより、Z軸移動体121dと共にヘッド8(X軸アーム122a)がZ軸方向に移動する。また、制御部10は、X軸モーター122bを駆動し、X軸移動体122dをX軸方向に移動させる。これにより、X軸移動体122dと共にヘッド8がX軸方向に移動する。
制御部10は、印刷の実行時、X軸モーター122bの駆動を制御し、ヘッド8をX軸方向に移動させる走査を行う。そして、制御部10は、ヘッド8の走査中にヘッド8からインクを吐出させる。
また、制御部10は、Z軸モーター121bの駆動を制御することにより、ヘッド8のZ軸方向の位置調整を行う。これにより、布7の印刷面71とヘッド8のノズル面との間隔を変更することができる。
なお、X軸移動機構122(X軸アーム122a)に対してキャリッジ8aがZ軸方向に移動可能になっていてもよい。また、キャリッジ8aに対してヘッド8がZ軸方向に移動可能になっていてもよい。
(メンテナンス装置の設置位置)
次に、図9を参照し、メンテナンス装置9の設置位置について説明する。図9では、搬送装置3により搬送されている布7を図示する。
搬送装置3のX軸方向の両端には、それぞれ、ガイド35(「縁部材」に相当)が設けられる。搬送ベルト31は、一対のガイド35の間に配置される。すなわち、搬送装置3により搬送される布7は、一対のガイド35の間を進行する。一対のガイド35は、布7が搬送装置3から外れないようにするための部材である。
搬送ベルト31の上面(布7が接する面)のZ軸方向の位置は、一対のガイド35の各先端(上端)のZ軸方向の位置よりも低い。したがって、印刷の実行時、ヘッド8のノズル面(下面)は一対のガイド35のZ軸方向の各先端位置よりも低い位置に維持される。図9では、印刷の実行時におけるヘッド8のノズル面のZ軸方向の位置を図示する。
メンテナンス装置9は、ヘッド8のX軸方向の移動可能範囲R1の範囲内であって搬送装置3のX軸方向の両端(一対のガイド35)に挟まれたガイド間範囲R2の範囲外に設置される。また、メンテナンス装置9は、一対のガイド35のZ軸方向の各先端位置よりも低い位置に設置される。
(画像データを含む印刷用データ)
次に、図10を参照し、画像データD2を含む印刷用データD1について説明する。
コンピューター200は、インク吐出装置1の通信部19に印刷用データD1を入力する。コンピューター200は、印刷装置100の一部と考えることもできる。コンピューター200は、処理部201、コンピューター記憶部202、入力デバイス205、表示デバイス206およびコンピューター通信部207を含む。処理部201は、処理回路(たとえば、CPU)を含む基板である。コンピューター記憶部202は、ROM、RAMおよびHDDを含む。コンピューター記憶部202は、印刷用データD1を生成するためのドライバーソフトウェア203を記憶する。また、コンピューター記憶部202は、印刷に用いる画像データD2を編集するための画像編集ソフトウェア204を記憶する。入力デバイス205は、ハードウェアキーボードやポインティングデバイスのような入力機器である。ユーザーは入力デバイス205を用いて、画像データD2を編集し、印刷コマンドを入力する。表示デバイス206は、ディスプレイである。コンピューター通信部207は、印刷装置100やその他の装置と通信するインターフェイスである。
印刷コマンドが入力されたとき、処理部201は、ドライバーソフトウェア203を起動する。処理部201は、ドライバーソフトウェア203に基づき、ユーザーから印刷設定を受け付けるための設定画面を表示デバイス206に表示させる。入力デバイス205は、ユーザーから印刷設定を受け付ける。たとえば、入力デバイス205は、単位印刷範囲E1(詳細は後述する)における画像の印刷位置、印刷の解像度、画像の種類、吐出時間隔(詳細は後述する)の設定を受け付ける。たとえば、ヘッド8で印刷可能な複数の解像度のうち、いずれか1つを選択的に設定することができる。
処理部201は、ドライバーソフトウェア203に基づき、印刷用データD1を生成する。印刷用データD1は、画像データD2および印刷設定情報D3を含む。処理部201は、ユーザーにより設定された解像度(ユーザー指定の解像度)の画像データD2を生成する。また、処理部201は、ユーザーにより設定された印刷設定の設定内容を印刷設定情報D3に含める。たとえば、処理部201は、印刷位置、印刷解像度、画像の種類、吐出時間隔を印刷設定情報D3に含める。1つの単位印刷範囲E1に複数種の画像を印刷する場合、処理部201は、複数種の画像にそれぞれ対応する複数の画像データD2を印刷用データD1に含めるとともに、複数種の画像にそれぞれ対応する複数の印刷設定の設定内容を印刷用データD1に含める。
そして、処理部201は、コンピューター通信部207を用いて、インク吐出装置1に印刷用データD1を送信する。これにより、インク吐出装置1に印刷用データD1が入力される。インク吐出装置1の記憶部11は、印刷用データD1を記憶する。なお、インク吐出装置1に画像データD2のみが入力されてもよい。この場合、インク吐出装置1の操作パネル15がユーザーから印刷設定を受け付ける。そして、インク吐出装置1の制御部10が印刷用データD1を生成する。
(布の搬送および布への印刷)
次に、図11を参照し、布7の搬送および布7への印刷について説明する。
搬送装置3は、布7を一定量だけY軸方向(搬送方向)に送る送り動作と送り動作の停止とを繰り返す動作を行うことによって布7をY軸方向に搬送する。すなわち、搬送装置3は、布7を一定量ずつY軸方向に送る。以下の説明では、送り動作と送り動作の停止とを繰り返す動作(搬送装置3が布7を搬送するときに行う動作)を搬送動作と称し、送り動作と区別する。
印刷装置100(インク吐出装置1および複数の版装置2)による印刷では、印刷対象の布7が複数の単位印刷範囲E1に区切られる。図11では、単位印刷範囲E1を2点鎖線で囲む。単位印刷範囲E1のY軸方向の長さは、版装置2のスクリーン版22のY軸方向の長さと同じである。以下の説明では、単位印刷範囲E1のY軸方向の長さを規定長さF1と称する。単位印刷範囲E1のX軸方向の長さは、布7のX軸方向の長さと同じである。なお、印刷装置100に複数の版装置2を設置する場合、Y軸方向に隣り合う各版装置2のスクリーン版22のY軸方向の間隔は規定長さF1に設定される。
搬送装置3は、印刷の実行時、布7を所定長さG1に相当する量ずつY軸方向に送る(送り動作と送り動作の停止とを繰り返す)。搬送装置3が送り動作を1回行うと、図11の上図に示す状態から図11の下図に示す状態となる。
たとえば、インク吐出装置1の制御部10が所定長さG1(搬送装置3による1回分の送り動作の送り量)を設定する。制御部10は、所定長さG1を設定するとき、コンピューター200から受信した印刷用データD1の印刷設定情報D3に含まれるユーザー指定の解像度を認識する。そして、制御部10は、ユーザー指定の解像度に基づき、所定長さG1を設定する。
ここで、インク吐出装置1のヘッド8の各ノズル列80に含まれる単位長さ当たり(1インチ当たり)のノズル81の数は、設定可能な解像度の単位長さ当たり(1インチ当たり)のドット数以下である。また、所定長さG1は、各ノズル列80のY軸方向の長さよりも短い。
そこで、ノズル列80のY軸方向の長さをA、ユーザー指定の解像度(インク吐出装置1による印刷の解像度)をB、ノズル列80に含まれる単位長さ当たりのノズル81の数をCとした場合、制御部10は、所定長さG1を(A÷(B÷C))+1ドットに設定する。
一例として、各ノズル列80に600個のノズル81が含まれているとする。また、ユーザー指定の解像度Bが600dpiであり、各ノズル列80に含まれる単位長さ当たりのノズル81の数Cが150個(150dpi)であるとする。単位長さは解像度にあわせて1インチである。この場合、ノズル列80のY軸方向の長さAは約4インチ(=600÷150)となり、(A÷(B÷C))=4÷(600÷150)=1となる。したがって、ユーザー指定の解像度が600dpiである場合、所定長さG1は1インチ+1ドットとなる。
別の例として、各ノズル列80に600個のノズル81が含まれているとする。また、ユーザー指定の解像度Bが300dpiであり、各ノズル列80に含まれる単位長さ当たりのノズル81の数Cが150個(150dpi)であるとする。単位長さは解像度にあわせて1インチである。この場合、ノズル列80のY軸方向の長さAは約4インチ(600÷150)となり、(A÷(B÷C))=4÷(300÷150)=2となる。したがって、ユーザー指定の解像度が300dpiである場合、所定長さG1は2インチ+1ドットとなる。
制御部10は、ユーザー指定の解像度に対応する所定長さG1を示す情報を搬送制御情報として制御装置4に送信する。制御装置4は、搬送装置3に搬送制御情報を送信する。搬送装置3の搬送制御部30は、搬送制御情報で示される所定長さG1を認識する。搬送制御部30は、当該認識した所定長さG1に相当する量を印刷実行時に行う送り動作の送り量に設定する。そして、搬送装置3は、印刷の実行時、ユーザー指定の解像度に応じた送り量ずつ布7を送る(搬送装置3による1回分の送り動作の送り量がユーザー指定の解像度に応じた量となる)。すなわち、搬送装置3は、インク吐出装置1による印刷の解像度に応じて、1回分の送り動作で送る布7の送り量を変更する。
インク吐出装置1は、搬送装置3による搬送動作(送り動作と送り動作の停止とを繰り返す動作)の実行中に布7に対する印刷を行う。インク吐出装置1の1回分の印刷範囲は単位印刷範囲E1であり、複数の版装置2の各スクリーン版22の1回分の印刷範囲と同範囲である。
インク吐出装置1は、単位印刷範囲E1のうち版装置2では印刷しない部分に画像を印刷する。たとえば、布7に印刷すべき画像のうち、複数色からなる画像やグラデーションを含む画像の印刷がインク吐出装置1によって行われる。布7は複数の単位印刷範囲E1に区切られているが、複数の単位印刷範囲E1には互いに同じ画像が印刷される。
インク吐出装置1の制御部10は、搬送装置3による送り動作が停止されているとき、X軸移動機構122を制御し、ヘッド8をX軸方向に移動させる走査を行う。走査開始位置は、布7のY軸方向と平行な一対の辺(X軸方向の一方側にある辺およびX軸方向の他方側にある辺)のうち一方側の辺と、ヘッド8の複数のノズル列80のうちX軸方向の最も他方側にあるノズル列80とが向かい合う位置である。走査終了位置は、布7のY軸方向と平行な一対の辺のうち他方側の辺と、ヘッド8の複数のノズル列80のうちX軸方向の最も一方側にあるノズル列80とが向かい合う位置である。
制御部10は、ヘッド8の走査中(ヘッド8を走査開始位置から走査終了位置に移動させているとき)、印刷用データD1(印刷用データD1に含まれる画像データD2)に基づき、ヘッド8からインクを吐出させる。制御部10は、1回分の走査の完了後(ヘッド8を走査開始位置から走査終了位置に移動させた後)、X軸移動機構122を制御し、ヘッド8を走査終了位置から走査開始位置に戻す。なお、ヘッド8から吐出させるインクの吐出周期は予め定められる。ヘッド8のX軸方向の移動速度は、印刷解像度とインクの吐出周期とに基づき設定される。制御部10は、1吐出周期に1ドット分だけヘッド8が移動するようヘッド8のX軸方向の移動速度を設定する。
なお、搬送装置3により搬送される布7の搬送速度に応じて、インク吐出の基準周期およびヘッド8のX軸方向の移動速度を変えてもよい。布7の搬送速度が速いほど、搬送装置3による送り動作の開始から次の送り動作の開始までの時間的な間隔が短くなる。したがって、インク吐出装置1の制御部10は、布7の搬送速度がより速くなるよう変更される場合、駆動信号S1の周期を短くするとともに、ヘッド8のX軸方向の移動速度を速くする。すなわち、ヘッド8がX軸方向に1ドット分だけ移動するごとに、ヘッド8からインクが1回吐出されるように、駆動信号S1の周期およびヘッド8のX軸方向の移動速度が調整される。
駆動信号S1の周期が短く、ヘッド8のX軸方向の移動速度が速いほど、単位時間当たりのインク吐出量が多くなる。駆動信号S1の周期が長く、ヘッド8のX軸方向の移動速度が遅いほど、単位時間当たりのインク吐出量が少なくなる。単位時間当たりのインク吐出量が少ない場合、インク吐出量を増やすことにより、布7に印刷される画像の濃度を高めてもよい。
搬送装置3の搬送制御部30は、1回分の走査が完了すると、布7をY軸方向に送る送り動作を行って送り動作を停止する。このとき、布7は所定長さG1に相当する量だけ送られる。インク吐出装置1の制御部10は、1回分の走査の完了後、布7がY軸方向に所定長さG1に相当する量だけ送られると、ヘッド8の走査(インクの吐出)を再度行い、ヘッド8を走査終了位置から走査終了位置に戻す。
このように、インク吐出装置1は、搬送装置3が送り動作を1回行うごとに、ヘッド8の走査を1回行う。搬送装置3は、1回分の走査が完了するごとに、所定長さG1に相当する量だけ布7を送る送り動作を1回行う。すなわち、1回分の走査の完了後、インク吐出装置1による印刷の解像度(ユーザー指定の解像度)に応じた量(所定長さG1に相当する量)だけ布7が送られる。
たとえば、ユーザー指定の解像度が600dpiである場合、搬送装置3は、1回分の送り動作で1インチ+1ドットに相当する量だけ布7を送る。ユーザー指定の解像度が300dpiである場合、搬送装置3は、1回分の送り動作で2インチ+1ドットに相当する量だけ布7を送る。
これにより、インク吐出装置1のヘッド8の各ノズル列80に含まれる単位長さ当たりのノズル81の数がユーザー指定の解像度の単位長さ当たりのドット数以下であっても、布7の単位面積当たり(1インチ四方当たり)のインクの着弾数をユーザー指定の解像度に基づく単位面積当たりのドット数と同じにすることができる。
また、搬送装置3は、ユーザー指定の解像度に応じて、1回分の送り動作で送る布7の送り量を変更する。これにより、ユーザー指定の解像度で印刷を行うことができる。
複数の版装置2は、それぞれ、搬送装置3による搬送動作(送り動作と送り動作の停止とを繰り返す動作)の一時停止中に布7に対する印刷を行う。複数の版装置2の各スクリーン版22の1回分の印刷範囲(以下、スクリーン印刷範囲と称する)は単位印刷範囲E1であり、インク吐出装置1の1回分の印刷範囲と同範囲である。
複数の版装置2は、単位印刷範囲E1のうちインク吐出装置1では印刷しない部分に画像を印刷する。たとえば、布7に印刷すべき画像のうちベタ画像の印刷が複数の版装置2によって行われる。複数の版装置2は、それぞれ、対応する色の画像を単位印刷範囲E1に印刷する。以下、複数の版装置2のうち、或る版装置2により行われる印刷の流れについて説明するが、他の版装置2についても同様の流れで印刷が行われるものとする。
搬送装置3の搬送制御部30は、版装置2のスクリーン印刷範囲に布7の単位印刷範囲E1が入ると、搬送動作を一時停止する。搬送装置3による搬送動作の一時停止は、版装置2による布7の単位印刷範囲E1への印刷が完了するまで継続される。なお、或る版装置2のスクリーン印刷範囲に布7の或る単位印刷範囲E1が入っているということは、別の版装置2のスクリーン印刷範囲に布7の別の単位印刷範囲E1が入っているということである。
搬送装置3による搬送動作が一時停止されたとき、インク吐出装置1は、ヘッド8の走査を1回分だけ行う。当該走査が完了しても、布7への印刷を版装置2に行わせるため、搬送装置3は、送り動作を行わない。すなわち、搬送装置3による搬送動作の一時停止は継続される。したがって、インク吐出装置1は待機状態となる。
制御装置4は、搬送装置3による搬送動作が一時停止されると、版装置2に印刷を行わせるための処理を行う。このとき、制御装置4は、昇降装置25を制御し、スクリーン版22の下面が布7に接するまで、型枠21を布7に向かう方向(X軸方向の下方)に移動させる。その後、制御装置4は、スキージ移動装置24を制御し、型枠21の枠内においてスキージ23をX軸方向に往復移動させる。
スキージ23は、スクリーン版22の上面に当接した状態でX軸方向に往復移動する。言い換えると、スキージ23は、スクリーン版22の上面を擦る。このとき、スクリーン版22の上面上には色糊がのせられているので、スクリーン版22のインク透過部から布7に向けて色糊が押し出される。これにより、布7に画像が印刷される。
その後、制御装置4は、昇降装置25を制御し、型枠21を布7から離れる方向(X軸方向の上方)に移動させる。これにより、スクリーン版22の下面と布7とが離間した状態となる。版装置2による布7の単位印刷範囲E1への印刷では、ここまでの処理が1セットとして行われる。
搬送装置3は、版装置2による布7の単位印刷範囲E1への印刷が完了した後、搬送動作を再開し、布7をY軸方向(搬送方向)に搬送する。すなわち、搬送装置3は、送り動作と送り動作の停止とを繰り返す。インク吐出装置1は、搬送装置3による搬送動作が再開され、所定長さG1に相当する量だけ布7が送られると、ヘッド8の走査を行う。制御装置4は、次に版装置2のスクリーン印刷範囲に単位印刷範囲E1に入るまで、版装置2を待機させる。
搬送装置3は、版装置2のスクリーン印刷範囲に単位印刷範囲E1が入るごとに、搬送動作を一時停止する。すなわち、搬送装置3は、搬送動作と搬送動作の一時停止とを繰り返す。制御装置4は、搬送装置3による搬送動作が一時停止されるごと(版装置2のスクリーン印刷範囲に単位印刷範囲E1が入るごと)に、版装置2に印刷を行わせる。
たとえば、インク吐出装置1は、Y軸方向(搬送方向)において、複数の版装置2の各設置領域よりも上流側に設置される。この構成では、インク吐出装置1の方が複数の版装置2よりも、布7の複数の単位印刷範囲E1のうち最終の単位印刷範囲E1に対する印刷の完了タイミングが早くなる。したがって、1ロール分の布7への印刷では、インク吐出装置1による印刷が行われない期間(複数の版装置2による印刷だけが行われる期間)が発生する。
インク吐出装置1による印刷が行われないときには、搬送装置3により行われる1回分の送り動作の送り量をユーザー指定の解像度に合わせる必要はない。すなわち、1回分の送り動作で送る布7の送り量をより多くしても(布7の搬送速度をより速くしても)、画質に影響はない。
そこで、搬送装置3の搬送制御部30は、インク吐出装置1が担当すべき印刷が全て完了して以降、すなわち、インク吐出装置1による印刷が行われないとき(複数の版装置2による印刷だけが行われるとき)、1回分の送り動作で送る布7の送り量を変更する。たとえば、インク吐出装置1が担当すべき印刷が全て完了すると、その旨を示す通知が制御装置4から搬送装置3に送信される。当該通知に基づき、搬送制御部30は、1回分の送り動作の送り量を変更するか否かを判断する。
搬送制御部30は、インク吐出装置1による印刷が行われないとき、1回分の送り動作の送り量を版装置2のスクリーン版22のY軸方向の長さに相当する量に変更する。この場合、搬送装置3は、版装置2による布7の単位印刷範囲E1への印刷が完了すると、一気に、版装置2のスクリーン版22のY軸方向の長さに相当する量だけ布7を送る。制御装置4は、版装置2に印刷を行わせてから次の印刷を行わせるまでの間隔を初期の間隔よりも短くする。
これにより、複数の版装置2が担当すべき印刷が速やかに完了する。その結果、生産性を向上させることができる。
なお、布7に印刷すべき画像によっては、1ロール分の布7に対してインク吐出装置1による印刷を全く行わない場合がある。この場合には、1ロール分の布7に対する印刷の開始時点から、搬送装置3による1回分の送り動作の送り量を版装置2のスクリーン版22のY軸方向の長さに相当する量に設定することができる。
(ヘッドのキャッピング処理)
次に、図12および図13を参照し、ヘッド8のキャッピング処理について説明する。
ヘッド8のノズル81を露出させたまま放置すると、ノズル81内のインクが乾燥し、ノズル81内のインクの粘度が高くなる。ノズル81内のインクの乾燥がさらに進むと、ノズル81内のインクが固まる。これにより、ノズル81の目詰まりが発生し易くなる。ノズル81の目詰まりが発生すると、駆動素子83に電圧を印加しても、ノズル81からインクが吐出されなくなる。その結果、画質が低下するという不都合が発生する。
このような不都合の発生を抑制するため、制御部10は、ヘッド8のキャッピング処理を行う。キャッピング処理が行われることにより、ヘッド8のノズル面はキャップ91に嵌め込まれる。これにより、ノズル81の目詰まりの発生を抑制することができる。キャッピング処理は、ノズル81を正常状態に維持するための状態維持処理の1つである。
制御部10は、図12に示すフローチャートに沿った処理を行うことにより、ヘッド8のノズル面をキャップ91に嵌め込む。図12に示すフローチャートは、予め定められたキャッピング条件が満たされたと制御部10が判断したときにスタートする。
たとえば、制御部10は、操作パネル15がユーザーからキャッピング指示を受け付けたとき、キャッピング条件が満たされたと判断する。印刷装置100の搬送ラインが故障し、それによって長時間にわたって印刷を行えない状態になると、ユーザーは操作パネル15を介してキャッピング指示を行う。
また、制御部10は、ユーザーにより設定されたキャッピング時刻になったとき、キャッピング条件が満たされたと判断する。キャッピング時刻の設定はユーザーが任意に行うことができる。キャッピング時刻の設定は操作パネル15がユーザーから受け付ける。昼休みの開始時刻や終業時刻などをキャッピング時刻として設定することができる。キャッピング時刻は記憶部11に記憶される。
また、1ロール分の布7の印刷が全て完了したとき、キャッピング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。1ロール分の布7の印刷が全て完了する前であっても、インク吐出装置1が担当すべき印刷が完了していれば、キャッピング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。
なお、キャッピング処理に先立って、後述するフラッシング処理が行われてもよい。また、キャッピング処理に先立って、後述するワイピング処理が行われてもよい。キャッピング処理に先立って、フラッシング処理およびワイピング処理の両方が行われてもよい。この場合、制御部10は、キャッピング条件が満たされたとき、フラッシング処理およびワイピング処理の少なくとも一方を行ってから、キャッピング処理を行う。
いずれにしても、制御部10は、ヘッド8による印刷を行わないとき、キャッピング処理を行う。たとえば、版装置2による印刷だけが行われ、インク吐出装置1による印刷が行われない場合がある。この場合にキャッピング処理が行われてもよい。
キャッピング条件が満たされたと判断すると、まず、制御部10は、キャッピング位置を確認する(ステップ♯11)。キャッピング位置は、記憶部11に記憶される。キャッピング位置は、キャップ91の設置位置であり、ヘッド8のノズル面をキャップ91に嵌め込むことが可能な位置である。記憶部11は、キャップ91のX軸方向の位置(座標)およびキャップ91のZ軸方向の位置(座標)をキャッピング位置として記憶する。
次に、制御部10は、X軸移動機構122を制御し、ヘッド8が所定位置に至るまで、ヘッド8をX軸方向に移動させる(ステップ#12)。所定位置は、ヘッド8の移動可能範囲R1(図9参照)のうち、ガイド間範囲R2(図9参照)の範囲内であってメンテナンス装置9の設置領域側にあるガイド35の近傍位置に設定される。所定位置は、記憶部11に記憶される。記憶部11は、所定位置のX軸方向の座標を記憶する。所定位置に移動したヘッド8を図13の上段図に示す。
次に、制御部10は、Z軸移動機構121を制御し、ヘッド8のノズル面をガイド35のZ軸方向の先端位置よりも高い位置に移動させる(ステップ#13)。すなわち、制御部10は、ヘッド8を上昇させる。
次に、制御部10は、ヘッド8のノズル面をガイド35の先端のZ軸方向の位置よりも高い位置に移動させた状態で、X軸移動機構122を制御し、ヘッド8がキャッピング位置のX軸方向の位置に至るまで、ヘッド8をX軸方向に移動させる(ステップ#14)。すなわち、制御部10は、ヘッド8をメンテナンス装置9の設置領域(キャッピング位置)に向けて移動させる。これにより、キャッピング位置のX軸方向の位置にヘッド8が配置された状態となる。
ここで、キャッピング位置に向けてX軸方向に移動するヘッド8は、ガイド35を横切る。このとき、ヘッド8のノズル面のZ軸方向の位置はガイド35のZ軸方向の先端位置よりも高くなっている。したがって、ヘッド8とガイド35とが接触することはない。すなわち、キャッピング位置に向けてX軸方向に移動するヘッド8は、ガイド35を乗り越える。ヘッド8がガイド35の乗り越えるときの状態を図13の中段図に示す。
次に、制御部10は、Z軸移動機構121を制御し、ヘッド8のノズル面をガイド35のZ軸方向の先端位置よりも低い位置に移動させる(ステップ#15)。すなわち、制御部10は、ヘッド8を下降させる。
このとき、制御部10は、ヘッド8のノズル面がキャッピング位置のZ軸方向の位置に至るまで、ヘッド8をZ軸方向に移動(下降)させる。これにより、ヘッド8のノズル面がキャップ91に嵌め込まれる。ヘッド8のノズル面がキャップ91に嵌め込まれた状態を図13の下段図に示す。
なお、ヘッド8のノズル面をキャップ91に嵌め込んで以降に印刷を行うとき、制御部10は、ヘッド8のノズル面をZ軸方向に移動(上昇)させる。また、制御部10は、ヘッド8のノズル面をガイド35の先端のZ軸方向の位置よりも高い位置に移動させた状態で、ヘッド8をX軸方向に移動させることにより、ヘッド8をガイド間範囲R2(図9参照)の範囲内に入れる。そして、制御部10は、ヘッド8のノズル面のZ軸方向の位置が印刷可能位置(布7への印刷が可能な位置)に至るまで、ヘッド8をZ軸方向に移動(下降)させる。
(ヘッドのフラッシング処理)
次に、図14および図15を参照し、ヘッド8のフラッシング処理について説明する。
ヘッド8のうちインクの吐出回数が少ないノズル81内のインクの粘度は経時的に高くなっていく。それにより、ノズル81の目詰まりが発生する。その結果、画質が低下するという不都合が発生する。
このような不都合の発生を抑制するため、制御部10は、ヘッド8のフラッシング処理を行う。フラッシング処理では、ノズル81内に溜まったインクが吐出される(通常印刷の実行時と同様にヘッド8からインクが吐出される)。制御部10は、ヘッド8の全てのノズル81をフラッシング処理の処理対象とする(全てのノズル81からインクが吐出される)。これにより、ノズル81の目詰まりの発生を抑制することができる。フラッシング処理は、ノズル81を正常状態に維持するための状態維持処理の1つである。
制御部10は、図14に示すフローチャートに沿った処理を行うことにより、ノズル81内に溜まったインクを吐出させる。図14に示すフローチャートは、予め定められたフラッシング条件が満たされたと制御部10が判断したときにスタートする。
制御部10は、布7への印刷を版装置2に行わせるために搬送装置3が搬送動作(送り動作と送り動作の停止とを繰り返す動作)を一時停止したとき、フラッシング条件が満たされたと判断し、フラッシング処理を行う。制御部10は、搬送装置3が搬送動作を一時停止すると、その都度、フラッシング条件が満たされたと判断する。すなわち、制御部10は、搬送装置3が搬送動作を一時停止するごとに、フラッシング処理を行う(図14に示すフローチャートがスタートする)。
制御部10は、搬送装置3が搬送動作を一時停止すると、ヘッド8の走査を行う。そして、制御部10は、1回分の走査が完了した後(ヘッド8を走査開始位置から走査終了位置に移動させた後)、続けて、フラッシング処理を行う。
なお、操作パネル15がユーザーからフラッシング指示を受け付けたとき、フラッシング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。また、1ロール分の布7の印刷が全て完了したとき、フラッシング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。インク吐出装置1が担当すべき印刷が完了したとき、1ロール分の布7の印刷が全て完了する前であっても、フラッシング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。
また、キャッピング条件が満たされたとき、フラッシング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。すなわち、キャッピング条件とフラッシング条件とが同じであってもよい。この場合には、フラッシング処理が行われた後、キャッピング処理が行われる。
キャッピング条件が満たされたと判断すると、まず、制御部10は、フラッシング位置を確認する(ステップ#21)。フラッシング位置は、記憶部11に記憶される。フラッシング位置は、ヘッド8の全てのノズル81が開口部95と向かい合う位置である。すなわち、開口部95の上方(X軸方向の上方)にフラッシング位置が設定される。記憶部11は、フラッシング位置のX軸方向の位置(座標)およびフラッシング位置のZ軸方向の位置(座標)を記憶する。
次に、制御部10は、X軸移動機構122を制御し、ヘッド8が所定位置に至るまで、ヘッド8をX軸方向に移動させる(ステップ#22)。ステップ#22の処理は、図12に示したステップ#12の処理と同じである。すなわち、ヘッド8が所定位置に移動されることにより、図13の上段図に示した状態となる。
次に、制御部10は、Z軸移動機構121を制御し、ヘッド8のノズル面をガイド35のZ軸方向の先端位置よりも高い位置に移動させる(ステップ#23)。すなわち、制御部10は、ヘッド8を上昇させる。
次に、制御部10は、ヘッド8のノズル面をガイド35の先端のZ軸方向の位置よりも高い位置に移動させた状態で、X軸移動機構122を制御し、ヘッド8がフラッシング位置のX軸方向の位置に至るまで、ヘッド8をX軸方向に移動させる(ステップ#24)。すなわち、制御部10は、ヘッド8をメンテナンス装置9の設置領域(フラッシング位置)に向けて移動させる。これにより、フラッシング位置のX軸方向の位置にヘッド8が配置され、ヘッド8の全てのノズル81が開口部95と向かい合った状態となる。
なお、ヘッド8がガイド35を横切るとき、ヘッド8はガイド35を乗り越える。すなわち、ヘッド8をキャッピング位置に移動させるときと同様、ヘッド8とガイド35とが接触することはない(図13の中段図参照)。
次に、制御部10は、Z軸移動機構121を制御し、ヘッド8のノズル面をガイド35のZ軸方向の先端位置よりも低い位置に移動させる(ステップ#25)。すなわち、制御部10は、ヘッド8を下降させる。
このとき、制御部10は、ヘッド8のノズル面がフラッシング位置のZ軸方向の位置に至るまで、ヘッド8をZ軸方向に移動(下降)させる。ノズル8のノズル面がフラッシング位置のZ軸方向の位置にあるときの状態を図15に示す。
次に、制御部10は、図15に示した状態で、フラッシング処理を行う(ステップ#26)。これにより、ヘッド8の全てのノズル81から、ノズル81内に溜まったインクが吐出される。ヘッド8から吐出されたインクは、開口部95を介して、廃液タンク94に流れ込む。
フラッシング処理が終わると、制御部10は、ヘッド8を走査開始位置まで戻す。このとき、制御部10は、ヘッド8のノズル面をガイド35の先端のZ軸方向の位置よりも高い位置に移動させた状態で、ヘッド8をX軸方向に移動させることにより、ヘッド8をガイド間範囲R2(図9参照)の範囲内に入れる。これにより、フラッシング処理後、ヘッド8を走査開始位置に戻すときに、ヘッド8とガイド35とが接触することはない。
(ヘッドのワイピング処理)
次に、図16および図17を参照し、ヘッド8のワイピング処理について説明する。
ヘッド8のノズル面にホコリや粉塵が付着すると、それらホコリや粉塵がノズル81内に侵入する。また、ノズル81内に溜まったインクの粘度は経時的に高くなっていく。これらの要因により、ノズル81の目詰まりが発生する。その結果、画質が低下するという不都合が発生する。
このような不都合の発生を抑制するため、制御部10は、ヘッド8のワイピング処理を行う。ワイピング処理では、ヘッド8のノズル面が清掃される。また、ワイピング処理に先立ち、パージ処理が行われる。パージ処理では、ヘッド8内のインクが強制的にノズル81から押し出される。これにより、ノズル81の目詰まりの発生を抑制することができる。ワイピング処理(パージ処理を含む)は、ノズル81を正常状態に維持するための状態維持処理の1つである。
制御部10は、図16に示すフローチャートに沿った処理を行うことにより、ヘッド8のノズル面を清掃する。図16に示すフローチャートは、予め定められたワイピング条件が満たされたと制御部10が判断したときにスタートする。
制御部10は、ワイピング条件が満たされたか否かを判断するため、布7への印刷を版装置2に行わせるために搬送装置3が搬送動作(送り動作と送り動作の停止とを繰り返す動作)を一時停止した停止回数をカウントする。停止回数のカウント値は記憶部11に記憶される。制御部10は、停止回数が所定回数(たとえば、数回〜十数回)に達するごとに停止回数のカウント値をリセットする。
そして、制御部10は、停止回数が所定回数に達するごとに、ワイピング条件が持たされたと判断する。すなわち、制御部10は、停止回数が所定回数に達するごとに、ワイピング処理を行う(図16に示すフローチャートがスタートする)。
たとえば、所定回数は3回である。この場合、制御部10は、停止回数が3回に達すると、ワイピング条件が満たされたと判断し、ワイピング処理を行う。すなわち、制御部10は、版装置2による印刷が3回行われるごとに1回、ワイピング処理を行う。なお、所定回数を1回に設定することにより、布7への印刷を版装置2に行わせるために搬送装置3が搬送動作を一時停止するごとに、ヘッド8のワイピング処理を行うことができる。いずれにしても、制御部10は、布7への印刷を版装置2に行わせるために搬送装置3が搬送動作を一時停止したとき、ワイピング処理を行う。
制御部10は、停止回数が所定回数に達したとき、ヘッド8の走査を行う。そして、制御部10は、1回分の走査が完了した後(ヘッド8を走査開始位置から走査終了位置に移動させた後)、続けて、ワイピング処理を行う。
なお、操作パネル15がユーザーからワイピング指示を受け付けたとき、ワイピング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。また、1ロール分の布7の印刷が全て完了したとき、ワイピング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。インク吐出装置1が担当すべき印刷が完了したとき、1ロール分の布7の印刷が全て完了する前であっても、ワイピング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。
また、キャッピング条件が満たされたとき、ワイピング条件が満たされたと制御部10が判断してもよい。すなわち、キャッピング条件とワイピング条件とが同じであってもよい。この場合には、ワイピング処理が行われた後、キャッピング処理が行われる。
ワイピング条件が満たされたと判断すると、まず、制御部10は、ワイピング位置を確認する(ステップ#31)。ワイピング位置は、記憶部11に記憶される。ワイピング位置は、ヘッド8のノズル面が清掃部材92と当接する位置である。記憶部11は、ワイピング位置のX軸方向の位置(座標)およびワイピング位置のZ軸方向の位置(座標)を記憶する。
次に、制御部10は、X軸移動機構122を制御し、ヘッド8が所定位置に至るまで、ヘッド8をX軸方向に移動させる(ステップ#32)。ステップ#32の処理は、図12に示したステップ#12の処理と同じである。すなわち、ヘッド8が所定位置に移動されることにより、図13の上段図に示した状態となる。
次に、制御部10は、Z軸移動機構121を制御し、ヘッド8のノズル面をガイド35のZ軸方向の先端位置よりも高い位置に移動させる(ステップ#33)。すなわち、制御部10は、ヘッド8を上昇させる。
次に、制御部10は、ヘッド8のノズル面をガイド35の先端のZ軸方向の位置よりも高い位置に移動させた状態で、X軸移動機構122を制御し、ヘッド8がワイピング位置のX軸方向の位置に至るまで、ヘッド8をX軸方向に移動させる(ステップ#34)。すなわち、制御部10は、ヘッド8をメンテナンス装置9の設置領域(ワイピング位置)に向けて移動させる。これにより、ワイピング位置のX軸方向の位置にヘッド8が配置された状態となる。
なお、ヘッド8がガイド35を横切るとき、ヘッド8はガイド35を乗り越える。すなわち、ヘッド8をキャッピング位置に移動させるときと同様、ヘッド8とガイド35とが接触することはない(図13の中段図参照)。
次に、制御部10は、Z軸移動機構121を制御し、ヘッド8のノズル面をガイド35のZ軸方向の先端位置よりも低い位置に移動させる(ステップ#35)。すなわち、制御部10は、ヘッド8を下降させる。
このとき、制御部10は、ヘッド8のノズル面がワイピング位置のZ軸方向の位置に至るまで、ヘッド8をZ軸方向に移動(下降)させる。これにより、ヘッド8のノズル面が清掃部材92に当接する。ヘッド8のノズル面がワイピング位置のZ軸方向の位置にあるときの状態を図17に示す。
次に、制御部10は、図17に示した状態で、パージ処理を行う(ステップ#36)。ここで、インク吐出装置1には圧力印加部85(図6参照)が設けられる。たとえば、圧力印加部85は、ポンプである。圧力印加部85は、インクタンク13からヘッド8へのインクの供給経路に設けられる。
制御部10は、パージ処理を行うとき、圧力印加部85を動作させ、ヘッド8内のインクの流路に圧力をかける。これにより、ヘッド8内のインクが強制的にノズル81から押し出される。また、制御部10は、洗浄部93を用いて、清掃部材92に洗浄液を供給する。
この状態で、制御部10は、清掃部材92を用いたワイピング処理を行う(ステップ#37)。制御部10は、ワイピング処理として、清掃部材92をY軸方向に移動させる処理を行う。なお、清掃部材92をY軸方向に往復移動させてもよい。このとき、清掃部材92は、ヘッド8のノズル面と当接している。したがって、清掃部材92をY軸方向に移動させることにより、ヘッド8のノズル面に付着した汚れ(インクなど)を拭き取ることができる。清掃部材92に付着したインクや洗浄液は、清掃部材92を伝って流れ落ち、廃液タンク94に溜められる。
ワイピング処理が終わると、制御部10は、ヘッド8を走査開始位置まで戻す。このとき、制御部10は、ヘッド8のノズル面をガイド35の先端のZ軸方向の位置よりも高い位置に移動させた状態で、ヘッド8をX軸方向に移動させることにより、ヘッド8をガイド間範囲R2(図9参照)の範囲内に入れる。これにより、ワイピング処理後、ヘッド8を走査開始位置に戻すときに、ヘッド8とガイド35とが接触することはない。
(吐出時間隔の設定)
次に、図18〜図20を参照し、吐出時間隔の設定について説明する。
インク吐出装置1は、Z軸移動機構121を備える。このため、ヘッド8をZ軸方向に移動させることができる。したがって、布7の印刷面71とヘッド8のノズル81(ノズル面)との距離的な間隔を調整することができる。
インク吐出装置1の制御部10は、布7に印刷すべき画像または布7の種類(材質、大きさ、表面粗さなど)に応じて、吐出時間隔を設定する。吐出時間隔は、ヘッド8が印刷面71に対してインクを吐出するとき(印刷中)のノズル81と印刷面71との間隔である。制御部10は、吐出時間隔を設定し、ノズル81と印刷面71との間隔が当該設定した吐出時間隔となるように、Z軸移動機構121を制御しヘッド8をZ軸方向に移動させる。吐出時間隔の設定手法は複数用意される。
1.印刷設定情報D3に基づく吐出時間隔の設定
インク吐出装置1の制御部10は、印刷設定情報D3に基づき吐出時間隔を設定することができる。印刷設定情報D3は、印刷用データD1に含まれる。印刷設定情報D3は、画像データD2に関連付けられる。
印刷設定情報D3は、コンピューター200のドライバーソフトウェア203で設定された情報を含む。印刷設定情報D3に画像の種類を示す情報が含まれる場合、制御部10は、印刷設定情報D3で定義された画像の種類に基づき、吐出時間隔を設定することができる。
画像の種類に基づき吐出時間隔を設定するため、記憶部11には定義データD4が不揮発的に記憶される(図10参照)。定義データD4は、画像の種類ごとに吐出時間隔を定義したデータである。定義データD4の一例を図18に示す。
図18に示す定義データD4では、画像の種類が記号列であれば、吐出時間隔を5mmとする旨の定義がなされている。なお、記号列を成す記号は、文字や数字などである。記号列は、文字や数字を主体とし、文字や数字を並べたものである。記号列には、社名、メールアドレス、電話番号および日時などが含まれる。
また、図18に示す定義データD4では、画像の種類が2次元コード(QRコード(登録商標)など)や図柄(模様)であれば、吐出時間隔を1mmとする旨の定義がなされている。また、図18に示す定義データD4では、画像の種類が1次元コード(バーコードなど)であれば、吐出時間隔を3mmとする旨の定義がなされている。
ここで、ノズル81と印刷面71との間隔が広いほど、ノズル81からのインクの吐出からインクの印刷面71への着弾までの時間が長くなる。インクの吐出からインクの着弾までの時間が長いほど、インクの液滴は重力や空気の流れの影響を受け易い。このため、ノズル81と印刷面71との間隔が広いほど、印刷面71におけるインクの着弾位置が狙いの位置からずれ易い。一方で、ノズル81と印刷面71との間隔が狭いほど、印刷面71に精密な画像を印刷することができる。
そこで、精密に印刷すべき画像ほど吐出時間隔が狭くなるよう定義データD4が設定されてもよい。たとえば、2次元コードはドット(ブロック)を含み、ドットの大きさに基づき2次元コードに含まれる情報の読み取りが行われる。2次元コードのドットの境界が不鮮明であったり、2次元コードのドットの大きさが不適切であったりすると、2次元コードに含まれる情報を正しく読み取れない場合がある。このため、画像の種類が2次元コードである場合には、吐出時間隔が最小レベルとなるよう定義データD4が定義される。また、図柄についても詳細および精密に印刷されることが好ましいので、画像の種類が図柄である場合にも、吐出時間隔が最小レベルとなるよう定義データD4が定義される。
また、布7の印刷面71は平担とは限らない。凹凸がある布7もある。このため、ノズル81と印刷面71との間隔が狭い場合、ノズル81に布7が衝突する恐れがある。ノズル81への印刷面71の衝突が繰り返されると、ヘッド8(ノズル81)が故障する可能性がある。ノズル81と印刷面71との接触防止の観点からみれば、ノズル81と印刷面71との間隔を広げるのが好ましい。
そこで、精密に印刷する必要性が少ない画像ほど吐出時間隔が広くなるよう定義データD4が設定されてよい。たとえば、記号列(文字列)はベタ部分が多い。したがって、インクの着弾位置が多少ずれていても問題はない。また、インクの着弾位置の適度なばらつきにより、色ムラが生じ難くなる場合がある。このため、画像の種類が記号列である場合には、吐出時間隔が広めに設定される。
一方で、1次元コードはスキャンされる。したがって、1次元コードは、ある程度、精密に印刷する必要がある。ただし、1次コードは、2次元コードほど精密に印刷しなくてもよい。このため、画像の種類が1次元コードである場合には、吐出時間隔が記号列よりも狭く、かつ、2次元コードよりも広く設定される。
なお、印刷設定情報D3に吐出時間隔を示す情報(値)を含めてもよい。この場合、コンピューター200の入力デバイス205は、吐出時間隔(値)の入力を受け付ける。コンピューター200の処理部201は、ドライバーソフトウェア203に基づき、入力された吐出時間隔を含む印刷設定情報D3(印刷用データD1)を生成する。インク吐出装置1の制御部10は、画像データD2に関連付けられた印刷設定情報D3に吐出時間隔の値を示す情報が含まれるとき、印刷設定情報D3に含まれる値に基づき、吐出時間隔を設定する。
2.画像データD2に基づく吐出時間隔の設定
インク吐出装置1の制御部10は、画像データD2に基づき吐出時間隔を設定することができる。画像データD2に基づき吐出時間隔を設定する場合、制御部10は、画像データD2を解析し、画像データD2に含まれる画像の種類を判定する。そして、制御部10は、判定した画像の種類と定義データD4とに基づき吐出時間隔を設定する。なお、1つの布7の印刷に複数の画像データD2を用いる場合、制御部10は、画像データD2ごとに画像の種類を判定し、画像データD2ごとに吐出時間隔を設定する。
画像データD2に含まれる画像の種類を判定するとき、制御部10は、画像データD2内の画像が2次元コードの画像であるか否かを確認する。たとえば、制御部10は、2次元コードの規格で必須の図形が画像データD2に含まれているか否かを確認する。当該図形が含まれていれば、制御部10は、画像の種類が2次元コードであると判定する。
また、制御部10は、画像データD2内の画像が1次元コードの画像であるか否かを確認する。たとえば、制御部10は、1次元コードの規格で定められた本数の直線(互いに平行な複数の直線)が画像データD2に含まれているか否かを確認する。当該本数の直線が含まれていれば、制御部10は、画像の種類が1次元コードであると判定する。
また、制御部10は、画像データD2内の画像が記号列(文字列)であるか否かを確認する。たとえば、制御部10は、画像データD2にアルファベットが含まれているか否かを確認する。アルファベットが含まれていれば、制御部10は、画像の種類が記号列であると判定する。
制御部10は、判定した画像の種類と定義データD4とに基づき、吐出時間隔を設定する。たとえば、2次元コード、1次元コードおよび記号列のいずれも画像データD2に含まれていない場合には、画像の種類が図柄であると制御部10が判定する。なお、2次元コード、1次元コード、記号列および図柄のうち、2種類以上の画像が画像データD2に含まれる場合、制御部10は、画像の種類に応じた吐出時間隔のうち、最小または最大の吐出時間隔を適用する。
3.操作パネル15による吐出時間隔の設定
インク吐出装置1の操作パネル15は、布7に印刷する画像の種類の選択をユーザーから受け付ける。操作パネル15に対して所定操作が行われたとき、制御部10は、図19に示すような画像種類選択画面151を表示パネル15aに表示させる。ユーザーは画像種類選択画面151に対してタッチ操作を行い、画像の種類を選択する。
画像種類選択画面151では、4種類の画像のうち1つを選択することができる。画像種類選択画面151には、第1選択ボタンB1、第2選択ボタンB2、第3選択ボタンB3および第4選択ボタンB4が表示される。印刷面71に印刷する画像が記号列であるとき、ユーザーは第1選択ボタンB1を操作する。印刷面71に印刷する画像が1次元コードであるとき、ユーザーは第2選択ボタンB2を操作する。印刷面71に印刷する画像が2次元コードであるとき、ユーザーは第3選択ボタンB3を操作する。印刷面71に印刷する画像が図柄であるとき、ユーザーは第4選択ボタンB4を操作する。
制御部10は、ユーザーが選択した画像の種類と定義データD4とに基づき、吐出時間隔を設定する。記号列、1次元コード、2次元コードおよび図柄とは異なる画像の種類を選択できるようにしてもよい。制御部10は、記号列が選択されたとき、吐出時間隔を第1間隔に設定する。1次元コードが選択されたとき、制御部10は、吐出時間隔を第1間隔よりも狭い第2間隔に設定する。2次元コードまたは図柄が選択されたとき、制御部10は、吐出時間隔を第2間隔よりも狭い第3間隔に設定する。第1間隔>第2間隔>第3間隔の関係が維持されれば、第1間隔は5mm以外でもよい。同様に、第2間隔は3mm以外でもよい。第3間隔は1mm以外でもよい。
4.布7の表面粗さ(平滑レベル)に基づく吐出時間隔の設定
搬送装置3により搬送される布7の種類は様々である。すなわち、インク吐出装置1が印刷を行う布7の種類が変わることがある。
布7の表面が粗いほど、インクが滲む。また、布7の表面が粗い場合、インクの着弾位置を意図的にずらした方がムラの少ない画像を印刷できる場合がある。なぜなら、布7の表面の細かな凹みにもインクを染み込ませることができるためである。また、布7の表面が滑らかなほど、インクの着弾位置のずれが目立ちやすい傾向がある。
そこで、インク吐出装置1の操作パネル15は、布7の表面の平滑レベルの設定を受け付ける。操作パネル15に対して所定操作が行われたとき、制御部10は、図20に示すような平滑レベル選択画面152を表示パネル15aに表示させる。ユーザーは平滑レベル選択画面152に対してタッチ操作を行い、平滑レベルを選択する。
平滑レベル選択画面152では、3種類の平滑レベルのうち1つを選択することができる。平滑レベル選択画面152には、第5選択ボタンB5、第6選択ボタンB6および第7選択ボタンB7が表示される。表面の平滑レベルが高い布7(表面が滑らかな布7)を用いる場合、ユーザーは第5選択ボタンB5を操作する。表面の平滑レベルが通常の布7を用いる場合、ユーザーは第6選択ボタンB6を操作する。表面の平滑レベルが低い布7(表面が粗い布7)を用いる場合、ユーザーは第7選択ボタンB7を操作する。
ここで、平滑レベルごとに吐出時間隔が予め定められる。言い換えると、第5選択ボタンB5、第6選択ボタンB6および第7選択ボタンB7のそれぞれごとに、対応する吐出時間隔が予め定められる。たとえば、第7選択ボタンB7に対応する吐出時間隔は5mmとされる。第6選択ボタンB6に対応する吐出時間隔は3mmとされる。第5選択ボタンB5に対応する吐出時間隔は1mmとされる。制御部10は、ユーザーが選択した平滑レベルに基づき、吐出時間隔を設定する。制御部10は、ユーザーが選択した平滑レベルが高いほど吐出時間隔を狭くし、ユーザーが選択した平滑レベルが低いほど吐出時間隔を広くする。
(ヘッド8のZ軸方向の移動制御)
次に、図21を参照し、ヘッド8のZ軸方向の移動制御について説明する。
図21に示すフローチャートは、インク吐出装置1が印刷を開始するときにスタートする。図21に示すフローチャートのスタート時点では、インク吐出装置1に印刷用データD1(画像データD2および印刷設定情報D3)が入力されている。
まず、制御部10は、印刷に用いる画像データD2を認識する(ステップ♯61)。このとき、制御部10は、画像データD2に関連付けられた印刷設定情報D3を認識する。そして、制御部10は、吐出時間隔を設定する。以下の説明では、制御部10が設定した吐出時間隔を対象吐出時間隔と称する場合がある。
なお、制御部10は、画像種類選択画面151および平滑レベル選択画面152の少なくとも一方でユーザーによる選択が行われていた場合、当該選択結果に基づき吐出時間隔を設定する(ユーザーの選択を優先する)。画像種類選択画面151および平滑レベル選択画面152の両方で選択が行われていた場合、画像種類選択画面151での選択を優先してもよい。この場合、制御部10は、画像種類選択画面151で選択されたボタン(第1選択ボタンB1、第2選択ボタンB2、第3選択ボタンB3および第4選択ボタンB4のいずれか)に対応する画像の種類に基づき吐出時間隔を設定する。また、平滑レベル選択画面152での選択を優先してもよい。この場合、制御部10は、平滑レベル選択画面152で選択されたボタン(第5選択ボタンB5、第6選択ボタンB6および第7選択ボタンB7のいずれか)に対応する平滑レベルに基づき吐出時間隔を設定する。
画像種類選択画面151での選択および平滑レベル選択画面152で選択が共に行われていない場合、制御部10は、印刷設定情報D3に基づき吐出時間隔を設定する。すなわち、操作パネル15に対する操作を行わなくても、制御部10によって吐出時間隔が自動的に設定される。画像の種類を示す情報や吐出時間隔を示す値が印刷設定情報D3に含まれていない場合、制御部10は、画像データD2を解析して吐出時間隔を設定する。
次に、制御部10は、間隔センサー17(図5参照)の出力に基づき、ヘッド8のノズル81と布7の印刷面71との間隔を認識する間隔認識処理を開始する(ステップ♯62)。間隔センサー17は、ヘッド8に設けられる。制御部10は、ヘッド8(間隔センサー17)のノズル面と対向する位置に布7が到達した時点から間隔認識処理を開始する。
次に、制御部10は、単位印刷範囲E1への印刷開始前に位置合わせ処理を行う(ステップ♯63)。位置合わせ処理を行うとき、制御部10は、ノズル81と印刷面71との間隔(間隔センサー17で検知した間隔)が対象吐出時間隔となるように、ヘッド8をZ軸方向に移動させる。
次に、制御部10は、ヘッド8による印刷を開始する(ステップ♯64)。ヘッド8による印刷を開始して以降、制御部10は、ノズル81と印刷面71との間隔が一定に保たれるように、必要に応じて、ヘッド8をZ軸方向に移動させる(ステップ♯65)。これにより、ノズル81と印刷面71との間隔が対象吐出時間隔に保たれる。
制御部10は、ノズル81と印刷面71との間隔を対象吐出時間隔に保つため、間隔センサー17の出力に基づきノズル81と印刷面71との間の距離を検知し続け、検知した距離が対象吐出時間隔からずれたとき、ヘッド8のZ軸方向の位置を調整し、ノズル81と印刷面71との間隔を対象吐出時間隔に戻す。すなわち、制御部10は、ヘッド8のZ軸方向の位置を印刷面71の凹凸に追随させる。これにより、印刷面71に凹凸があっても、ノズル81と印刷面71とは衝突しない。
(インク吐出量の調整)
次に、図22を参照し、インク吐出量の調整について説明する。
インク吐出装置1は、Z軸移動機構121を備える。このため、ヘッド8をZ軸方向に移動させることができる。したがって、ヘッド8のノズル81と布7の印刷面71との間隔を任意に変えることができる。すなわち、吐出時間隔の調整が可能である。
吐出時間隔が狭いほど、インクは狙いの位置に着弾し易くなる。一方で、吐出時間隔が広いほど、インクの着弾位置は狙いの位置からずれ易くなる。たとえば、画像データD2上では着色されないドットにインクが着弾する場合がある。インクの着弾位置が狙いの位置からずれると、印刷面71に印刷される画像の濃度が薄くなる場合がある。
このような不都合の発生を抑制するため、インク吐出装置1の制御部10は、ヘッド8による印刷を行うとき(ヘッド8からインクを吐出させるとき)、ヘッド8のインク吐出量(1ドット当たりのインクの吐出量)を調整する。制御部10は、吐出時間隔が狭いほど、1ドット当たりのインク吐出量を少なくし、吐出時間隔が広いほど、1ドット当たりのインク吐出量を多くする。
ヘッド8の電圧生成回路84は、複数種の電圧の生成が可能である。また、電圧生成回路84が生成する複数種の電圧のうち、駆動素子83に印加する電圧は選択可能である。すなわち、駆動素子83に印加する電圧を変化させることができる。
駆動素子83に印加する電圧の大きさによって駆動素子83の変形量が変わる。駆動素子83の変形量に応じて、ノズル81へのインクの供給流路に加わる圧力が変わる。駆動素子83の変形量が大きいほど圧力が大きくなる。このため、駆動素子83に印加する電圧の大きさを選択することにより、ヘッド8のインク吐出量(1ドット当たりのインクの吐出量)を変化させることができる。
ヘッド8のインク吐出量の調整を制御部10に行わせるため、記憶部11はインク吐出量データD5を不揮発的に記憶する(図10参照)。制御部10は、インク吐出量データD5に基づき、ヘッド8のインク吐出量を調整する。
インク吐出量データD5の一例を図22に示す。インク吐出量データD5は、吐出時間隔が狭いほど、1ドット当たりのインク吐出量が少なくなるよう定義される。また、インク吐出データD5は、吐出時間隔が広いほど、1ドット当たりのインク吐出量が多くなるよう定義される。
図22に示すインク吐出量データD5では、吐出時間隔が3つの範囲に分類される。なお、吐出時間隔の分類数は特に限定されない。印加電圧V1、V2およびV3は、駆動素子83に印加する電圧であり、第1電圧V1<第2電圧V2<第3電圧V3の関係性がある。第1電圧V1に対応する吐出時間隔Wの範囲は、0mm<W≦2mmである。第2電圧V2に対応する吐出時間隔Wの範囲は、2mm<W≦4mmである。第3電圧V3に対応する吐出時間隔Wの範囲は、4mm<Wである。
また、吐出量a1、a2およびa3は、ヘッド8のインク吐出量である。印加電圧が第1電圧V1である場合にインク吐出量がa1となり、印加電圧が第2電圧V2である場合にインク吐出量がa2となり、印加電圧が第3電圧V3である場合にインク吐出量がa3となる。印加電圧が大きいほどインク吐出量が多くなるので、第1吐出量a1<第2吐出量a2<第3吐出量a3という関係となる。
制御部10は、インク吐出量データD5と吐出時間隔とに基づき、駆動素子83に印加する電圧の大きさを選択する。すなわち、制御部10は、ヘッド8のインク吐出量(1ドット当たりのインクの吐出量)を設定する。
図22に示すインク吐出量データD5によると、吐出時間隔が1mmのとき、制御部10は、駆動素子83に電圧V1を印加する。すなわち、制御部10は、ノズル81から吐出される1ドット当たりのインク量を第1吐出量a1に設定する。また、吐出時間隔が3mmのとき、制御部10は、駆動素子83に電圧V2を印加する。すなわち、制御部10は、ノズル81から吐出される1ドット当たりのインク量を第2吐出量a2に設定する。また、吐出時間隔が5mmのとき、制御部10は、駆動素子83に電圧V3を印加する。すなわち、制御部10は、ノズル81から吐出される1ドット当たりのインク量を第3吐出量a3に設定する。
他の手法を用いて、ヘッド8のインク吐出量を調整してもよい。一例として、1ドットに吐出するインクの吐出タイミング(回数)を吐出時間隔に応じて変化させてもよい。この場合、たとえば、吐出時間隔が0mm<W≦2mmであるとき、制御部10は、1ドットに対して2回インクを吐出させる。吐出時間隔が2mm<W≦4mmであるとき、制御部10は、1ドットに対して3回インクを吐出させる。吐出時間隔が4mm<Wであるとき、制御部10は、1ドットに対して4回インクを吐出させる。インクを高速で吐出するため、吐出時間隔が広いほど、駆動信号S1の周波数を高くしてもよい。
(布の撮影に基づく印刷)
次に、図23〜図25を参照し、布7の撮影に基づく印刷について説明する。
インク吐出装置1は、図23に示すように、読取装置18(カメラ)を備える。読取装置18は、布7の印刷面71を読み取る。読取装置18がインク吐出装置1とは別に設けられてもよい。読取装置18は、搬送装置3により搬送される布7を撮像する。
読取装置18は、レンズ18a、イメージセンサー18bおよびカメラモジュール18cを備える。カメラモジュール18cは、イメージセンサー18bが出力する画像信号に基づき、撮影データD7を生成する。読取装置18は、撮影データD7を記憶部11に送信する。記憶部11は、撮影データD7を記憶する。
インク吐出装置1は、撮影に基づく印刷モードとして、画像自動付加モードおよびコピーモードを搭載する。操作パネル15は、画像自動付加モードで印刷するかコピーモードで印刷するかの選択をユーザーから受け付ける。
1.画像自動付加モード
画像自動付加モードは、布7に付された特定画像に基づき、特定画像に対応付けられた画像を自動的に布7に印刷するモードである。また、画像自動付加モードは、布7に付された特定マークに基づき、特定マークに対応付けられた画像を自動的に布7に印刷するモードである。制御部10は、特定画像または特定マークが布7に付されているとき、自動的に、特定画像または特定マークに紐付けられた画像の印刷をヘッド8に行わせる。特定画像や特定マークは布7に直接印刷されていてもよいが、特定画像や特定マークが印刷されたシールが布7に貼付されていてもよい。
たとえば、使用言語を示す画像が特定画像として布7に付されているとき、インク吐出装置1は、対応する言語の文字列を自動的に布7に印刷する。印刷済みの布7の仕向地が異なる場合であっても、自動的に、仕向地に適合する文字列を布7に印刷することができる。これにより、コンピューター200や操作パネル15で逐一、使用言語の指定や、使用する文字列の指定を行わなくてもよくなる。
また、たとえば、或る仕向地(国や地域など)に対応するマークが特定マークとして付されているとき、インク吐出装置1は、自動的に、当該仕向地の製品であることを示す画像を布7に印刷する。これにより、コンピューター200や操作パネル15で逐一、仕向地を示す画像の指定を行わなくてもよくなる。
制御部10は、画像自動付加モードのとき、図24に示すフローに沿った処理を行う。図24に示すフローチャートのスタートは、たとえば、操作パネル15が画像自動付加モードでの印刷の実行指示を受け付けたときである。
まず、制御部10は、読取装置18に撮影を開始させる(ステップ♯71)。読取装置18は、布7を撮影する。搬送中の布7が撮影される場合もあるし、搬送停止中の布7が撮影される場合もある。
ここで、記憶部11には判定用データD8が記憶される(図23参照)。判定用データD8は、特定画像または特定マークが布7に付されているか否かを判定するためのデータである。特定画像が複数存在する場合、判定用データD8は特定画像ごとに用意される。特定マークが複数存在する場合、判定用データD8は特定マークごとに用意される。制御部10は、判定用データD8に基づき、特定画像または特定マークが布7に付されているか否かを確認する。
判定用データD8は、判定用画像データD9を含む。たとえば、特定画像が型番を示す数字のとき、型番(型番を示す数字)を示す判定用画像データD9が判定用データD8に含められる。また、判定用データD8は、自動印刷用画像データD10を含む。
また、判定用データD8は、自動印刷情報D11を含む。自動印刷情報D11は、自動印刷用画像データD10に関する情報を含む。自動印刷用画像データD10に関する情報としては、単位印刷範囲E1における印刷開始位置を示す情報、印刷解像度を示す情報および吐出時間隔を示す情報などがある。自動印刷情報D11は、コンピューター200や操作パネル15で設定することができる。
制御部10は、特定画像または特定マークが撮影データD7に含まれているか否かを判定する(ステップ♯72)。たとえば、制御部10は、判定用画像データD9と撮影データD7とのパターンマッチングを行うことにより、特定画像または特定マークが撮影データD7に含まれているか否かを判定する。
特定画像および特定マークが撮影データD7に含まれていないと制御部10が判定したとき(ステップ♯72のNo)、フローはステップ♯71に戻る。特定画像または特定マークが撮影データD7に含まれていると判定したとき(ステップ♯72のYes)、制御部10は、自動印刷情報D11で定義された印刷開始位置に基づき、ヘッド8の位置合わせを行う(ステップ♯73)。
次に、制御部10は、特定画像に対応する画像または特定マークに対応する画像の布7への印刷をヘッド8に行わせる(ステップ♯74)。制御部10は、特定画像に対応する自動印刷用画像データD10に基づき、ヘッド8に印刷を行わせる。あるいは、制御部10は、特定マークに対応する自動印刷用画像データD10に基づき、ヘッド8に印刷を行わせる。これにより、特定画像に紐付けられた画像または特定マークに紐付けられた画像が自動的に布7に印刷される。その後、フローはステップ♯71に戻る。
2.コピーモード
コピーモードは、見本を撮影し、見本と同様の画像を自動的に布7に印刷するモードである。コピーモードを用いることにより、コンピューター200で画像データD2を編集しなくても、見本と同様の画像を布7に印刷することができる。
制御部10は、コピーモードのとき、図25に示すフローに沿った処理を行う。図25に示すフローチャートのスタートは、たとえば、操作パネル15がコピーモードでの印刷の実行指示を受け付けたときである。
まず、制御部10は、読取装置18に見本の撮影を行わせる(ステップ♯81)。ユーザーは、見本の全体が撮影されるように、読取装置18の撮影範囲に見本をセットする。ユーザーは、見本のセット後、操作パネル15で撮影ボタンを操作する。このとき、制御部10は、読取装置18に見本の撮影を行わせる。
読取装置18は、撮影した見本の撮影データD7を生成する(ステップ♯82)。記憶部11は、見本の撮影データD7を記憶する(ステップ♯83)。制御部10は、見本の撮影データD7に基づき、印刷に用いる画像データD2を生成する(ステップ♯84)。制御部10は、生成した画像データD2ごとに印刷設定情報D3を生成する(ステップ♯85)。また、制御部10は、画像データD2の種類に応じた吐出時間隔を判定する。
搬送装置3は、制御装置4から指示を受け、布7の搬送(搬送動作)を開始する(ステップ♯86)。制御部10は、生成した画像データD2と印刷設定情報D3とに基づき、布7への印刷をヘッド8に行わせる(ステップ♯87)。
(変形例)
次に、図26〜図28を参照し、変形例について説明する。
変形例では、インク吐出装置1(ヘッド8)に間隔センサー17が設置されず、代わりに間隔規制部材110が設置される。間隔規制部材110は、ヘッド8のノズル81と布7の印刷面71との間隔の一定に保つための部材であり、ノズル81と印刷面71の間隔が基準間隔以下になるのを防ぐための部材である。基準間隔は、適宜設定される。たとえば、1mm〜5mmの範囲内で基準間隔が設定される。
間隔規制部材110は、図26に示すように、ヘッド8の側面に取り付けられる。ヘッド8の側面ではなくノズル面に間隔規制部材110が取り付けられてもよい。間隔規制部材110は、ヘッド8のノズル面(ノズル81)よりも布7の印刷面71に向かう方向に突出している(Z軸方向の下方に突出している)。間隔規制部材110は、基準間隔の長さ分だけZ軸方向の下方に突出する。これにより、布7がノズル81に近づいた場合、布7は間隔規制部材110に接触するが、布7はノズル81には接触しない。
また、間隔規制部材110は、ローラーまたはボールからなる。これにより、布7の搬送中、布7が間隔規制部材110と接触すると、搬送中の布7の移動に追従して間隔規制部材110が回転する。このため、布7が間隔規制部材110と接触しても、布7の表面に傷が付くのを抑制することができる。また、布7が間隔規制部材110と接触しても、布7の搬送が妨げられることはない。
また、間隔規制部材110は、図27に示すように、間隔規制部材110と布7とが接触したことを検知するための接触センサー111を含む。たとえば、接触センサー111は感圧式のセンサーである。接触センサー111は、間隔規制部材110と布7とが接触しているとき、接触時レベルの電圧を出力する。一方で、接触センサー111は、間隔規制部材110と布7とが接触していないとき、非接触時レベルの電圧を出力する。制御部10は、接触センサー111の出力に基づき、間隔規制部材110と布7とが接触しているか否かを認識する。
制御部10は、ヘッド8に間隔規制部材110が設けられている場合、図28に示すフローに沿った処理を行う。図28に示すフローチャートは、インク吐出装置1が印刷を開始するときにスタートする。
まず、制御部10は、押し当て処理を行う(ステップ♯91)。制御部10は、押し当て処理として、接触センサー111の出力が非接触時レベルから接触時レベルに変化するまで、ヘッド8をX軸方向に移動(下降)させる処理を行う。言い換えると、制御部10は、ヘッド8を布7に近づける。これにより、ノズル81と印刷面71との間隔が基準間隔となる。
次に、制御部10は、ヘッド8による印刷を開始する(ステップ♯92)。ヘッド8による印刷を開始して以降、制御部10は、ノズル81と印刷面71との間隔が一定に保たれるように、必要に応じて、ヘッド8をZ軸方向に移動させる(ステップ♯93)。たとえば、接触センサー111の出力が接触時レベルから非接触時レベルに変化したとする。このとき、制御部10は、接触センサー111の出力が非接触時レベルから接触時レベルに変化するまで、ヘッド8を下降させる。これにより、ノズル81と印刷面71との間隔が基準間隔に保たれる。なお、ヘッド8には間隔規制部材110が設けられているので、ノズル81と印刷面71との間隔が基準間隔よりも小さくなることはない。
本実施形態および変形例では、上記のように、インク吐出装置1と版装置2とによって印刷装置100が構成される。これにより、ディジタル印刷の利点とアナログ印刷の利点とを併せ持つ印刷装置100を提供することができる。たとえば、複数色からなる細かい画像やグラデーション画像などをインク吐出装置1で印刷することができる。一方で、インク吐出装置1による印刷では濃度が薄くなり易く色ムラが生じ易いベタ画像などを版装置2で印刷することができる。その結果、布7に対し高濃度の画像を高画質で色ムラなく印刷することができる。
また、本実施形態および変形例では、上記のように、インク吐出装置1は印刷装置100に対し着脱可能である。これにより、必要に応じて、容易に、印刷装置100にインク吐出装置1を装着(追加)することができる。また、インク吐出装置1が不要になった場合や、版装置2の追加が必要になった場合には、容易に、印刷装置100からインク吐出装置1を取り外すことができる。
また、印刷装置100から版装置2を取り外し、当該取り外した版装置2が設置されていた箇所にインク吐出装置1を装着することができる。印刷装置100からインク吐出装置1を取り外し、当該取り外したインク吐出装置1が設置されていた箇所に版装置2を装着することもできる。これにより、インク吐出装置1および版装置2の各設置位置を任意に変更することができる。たとえば、布7に印刷すべき画像に応じて、版装置2のY軸方向(搬送方向)の上流側にインク吐出装置1を設置したり、版装置2のY軸方向(搬送方向)の下流側にインク吐出装置1を設置したりすることができる。
さらに、インク吐出装置1は1台で複数色の画像を印刷することができるので、印刷装置100にインク吐出装置1を1台追加するだけで、複数台の版装置2を省略することができる。
また、本実施形態および変形例では、上記のように、搬送装置3は、1回分の送り動作で送る布7の送り量を変更することが可能に構成される。これにより、インク吐出装置1による印刷の解像度(ユーザー指定の解像度)に応じて布7の送り量を変更することができる。ユーザー指定の解像度が高い場合には、布7の送り量を少なくすることにより、インク吐出装置1による印刷をユーザー指定の解像度で行うことができる。
ユーザー指定の解像度が低い場合には、布7の送り量を多くすることにより、生産性を向上させることができる。インク吐出装置1による印刷を行わない場合には、送り量をスクリーン版22のY軸方向の長さに相当する量に変更することにより、生産性をより向上させることができる。
また、本実施形態および変形例では、上記のように、インク吐出装置1は、搬送装置3が搬送動作を一時停止しているとき(版装置2が印刷を行っているとき)、フラッシング処理を行う。これにより、生産性の低下を抑制しつつ、画質を向上させることができる。また、搬送装置3が搬送動作を一時停止するごとにフラッシング処理が行われるので、ノズル81の目詰まりが発生し難くなる。また、インク吐出装置1(操作パネル15)を操作しなくても、フラッシング処理は自動的に行われるので、ユーザーにとっては利便性が良い。
また、本実施形態および変形例では、上記のように、インク吐出装置1は、搬送装置3が搬送動作を一時停止しているとき(版装置2が印刷を行っているとき)、ワイピング処理を行う。これにより、生産性の低下を抑制しつつ、画質を向上させることができる。また、インク吐出装置1(操作パネル15)を操作しなくても、ワイピング処理は自動的に行われるので、ユーザーにとっては利便性が良い。ここで、ワイピング処理にかかる時間はフラッシング処理にかかる時間よりも長い。このため、ワイピング処理の実行頻度をフラッシング処理の実行頻度よりも低くするのが好ましい。
また、ワイピング処理を行うときには、清掃部材92に洗浄液が供給される。これにより、ヘッド8のノズル面をより良好に清掃することができる。さらに、ワイピング処理を行うときには、パージ処理が行われる。パージ処理が行われることにより、ノズル81に目詰まりが発生していても、当該目詰まりを解消することができる。
また、本実施形態および変形例では、上記のように、インク吐出装置1による印刷が行われないとき、ヘッド8のノズル面にキャップ91が嵌め込まれる。これにより、インク吐出装置1による印刷が長期間にわたって行われない場合であっても、ヘッド8のノズル面(ノズル81内のインク)が乾燥するのを抑制することができる。また、インク吐出装置1(操作パネル15)を操作しなくても、キャッピング処理は自動的に行われるので、ユーザーにとっては利便性が良い。
また、本実施形態および変形例では、上記のように、インク吐出装置1はシリアルヘッド方式であるが、ヘッド8はZ軸方向に移動可能に構成される。これにより、ヘッド8のZ軸方向の位置を調節することができる。たとえば、布7に印刷すべき画像や布7の種類に応じて、ヘッド8のZ軸方向の位置を適切な位置にすることができる。これにより、画質をより向上させることができる。
また、布7に印刷すべき画像の種類に応じて、ヘッド8のZ軸方向の位置を適切な位置にすることができる。精細な印刷が必要な画像(2次元コードの画像など)を布7に印刷するときには、ヘッド8を布7に近づけることができる。精細な印刷が不要な画像を布7に印刷するときには、ヘッド8を布7から遠ざけることができる。
また、ヘッド8をZ軸方向に移動可能に構成することにより、メンテナンス装置9をガイド間範囲R2(図9参照)の外側に設置しても、メンテナンス装置9の設置領域にヘッド8を移動させるときに、ヘッド8とガイド35とが接触することはない。これにより、メンテナンス装置9の設置位置の自由度が増す。
今回開示された実施形態および変形例は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態および変形例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 インク吐出装置
2 版装置
3 搬送装置
7 布(記録媒体)
8 ヘッド
9 メンテナンス装置
10 制御部
17 間隔センサー
22 スクリーン版(版)
35 ガイド(縁部材)
80 ノズル列
81 ノズル
85 圧力印加部
91 キャップ
92 清掃部材
93 洗浄部
94 廃液タンク
95 開口部
100 印刷装置
110 間隔規制部材
111 接触センサー
121 Z軸移動機構
122 X軸移動機構

Claims (11)

  1. 版を用いて印刷を行う版装置が設けられ、記録媒体を送る送り動作と前記送り動作の停止とを繰り返す搬送動作を行うことによって前記記録媒体を搬送する搬送装置により搬送される前記記録媒体の搬送ラインに対して追加および取り外しが可能であり、
    前記記録媒体の印刷面を正面としたときの前記記録媒体の搬送方向と平行な方向であるY軸方向に沿って並べられた複数のノズルを含むノズル列を有し、前記ノズルから前記記録媒体にインクを吐出することによって前記記録媒体に印刷を行うヘッドと、
    前記記録媒体の印刷面を正面としたときの前記記録媒体の搬送方向と垂直な方向であるX軸方向に前記ヘッドを移動させるためのX軸移動機構と、
    前記送り動作が停止されているときに、前記X軸移動機構を制御し前記X軸方向に前記ヘッドを移動させる走査を行い、前記走査中に前記ヘッドからインクを吐出させる制御部と、
    前記ヘッドの前記X軸方向の移動可能範囲内であって前記搬送装置の前記X軸方向の両端に挟まれた範囲外に設置され、前記ノズルを正常状態に維持するためのメンテナンス装置と、を備えることを特徴とするインク吐出装置。
  2. 版を用いて印刷を行う版装置が設けられ、記録媒体を送る送り動作と前記送り動作の停止とを繰り返す搬送動作を行うことによって前記記録媒体を搬送する搬送装置により搬送される前記記録媒体の搬送ラインに対して固定されており、
    前記記録媒体の印刷面を正面としたときの前記記録媒体の搬送方向と平行な方向であるY軸方向に沿って並べられた複数のノズルを含むノズル列を有し、前記ノズルから前記記録媒体にインクを吐出することによって前記記録媒体に印刷を行うヘッドと、
    前記記録媒体の印刷面を正面としたときの前記記録媒体の搬送方向と垂直な方向であるX軸方向に前記ヘッドを移動させるためのX軸移動機構と、
    前記送り動作が停止されているときに、前記X軸移動機構を制御し前記X軸方向に前記ヘッドを移動させる走査を行い、前記走査中に前記ヘッドからインクを吐出させる制御部と、
    前記ヘッドの前記X軸方向の移動可能範囲内であって前記搬送装置の前記X軸方向の両端に挟まれた範囲外に設置され、前記ノズルを正常状態に維持するためのメンテナンス装置と、を備えることを特徴とするインク吐出装置。
  3. 前記制御部は、前記記録媒体への印刷を前記版装置に行わせるために前記搬送装置が前記搬送動作を一時停止しているとき、前記ヘッドを前記メンテナンス装置の設置領域に移動させることを特徴とする請求項1または2に記載のインク吐出装置。
  4. 前記メンテナンス装置は、廃液タンクに繋がる開口部を有し、
    前記制御部は、前記搬送装置が前記搬送動作を一時停止しているとき、前記ヘッドのうち前記ノズルが形成されたノズル面が前記開口部に向かい合う位置に前記ヘッドを移動させ、前記開口部に向けて前記ヘッドからインクを吐出させるフラッシング処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク吐出装置。
  5. 前記制御部は、前記搬送装置が前記搬送動作を一時停止するごとに、前記フラッシング処理を行うことを特徴とする請求項4に記載のインク吐出装置。
  6. 前記メンテナンス装置は、前記Y軸方向に移動可能な清掃部材を備え、
    前記制御部は、前記搬送装置が前記搬送動作を一時停止しているとき、前記ヘッドのうち前記ノズルが形成されたノズル面と前記清掃部材とが当接する位置に前記ヘッドを移動させ、前記ノズル面と前記清掃部材とが当接した状態で前記清掃部材を前記Y軸方向に移動させるワイピング処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク吐出装置。
  7. 前記制御部は、前記搬送装置が前記搬送動作を一時停止した停止回数をカウントするとともに、前記停止回数が所定回数に達すると前記停止回数をリセットし、前記停止回数が前記所定回数に達するごとに、前記ワイピング処理を行うことを特徴とする請求項6に記載のインク吐出装置。
  8. 前記メンテナンス装置は、前記清掃部材に洗浄液を供給する洗浄部を備え、
    前記制御部は、前記ワイピング処理を行うとき、前記洗浄部を用いて前記清掃部材に前記洗浄液を供給してから、前記清掃部材を前記Y軸方向に移動させることを特徴とする請求項6または7に記載のインク吐出装置。
  9. 前記ヘッド内のインクに圧力をかける圧力印加部を備え、
    前記制御部は、前記ワイピング処理を行うとき、前記圧力印加部を用いて前記ヘッド内のインクに圧力をかけてから、前記清掃部材を前記Y軸方向に移動させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のインク吐出装置。
  10. 前記メンテナンス装置は、前記ヘッドのうち前記ノズルが形成されたノズル面を嵌め込むことが可能なキャップを備え、
    前記制御部は、前記ヘッドによる印刷を行わないとき、前記ノズル面が前記キャップに嵌め込まれる位置に前記ヘッドを移動させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のインク吐出装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のインク吐出装置と、
    前記インク吐出装置により印刷が行われる記録媒体を搬送する搬送装置と、
    前記記録媒体に版を用いて印刷を行う版装置と、を備えることを特徴とする印刷装置。
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