JP2019203209A - 乾式不織布用極細繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生産性に優れ、かつ品質が均一な乾式不織布の製造に適した乾式不織布用の極細短繊維を提供すること。【解決手段】 繊度が1dtex未満の極細短繊維であって、捲縮数が10/25.4mm(1inch)以上かつケイ素含有量が10〜5000ppmである乾式不織布用極細短繊維。さらには、極細短繊維を構成する樹脂が、ポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂を含有することや、そのポリエステル樹脂がポリアルキレンテレフタレート樹脂またはポリアルキレンナフタレート樹脂であること、あるいはそのポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂であることが好ましい。また、ケイ素が、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン、ポリオキシエチレン共重合ポリジメチルシロキサン、の少なくとも1種類に由来するものであることが好ましい。【選択図】 なし
Description
本発明は、乾式不織布用の極細短繊維に関し、さらに生産性に優れ、かつ品質が均一な乾式不織布の製造に適した乾式不織布用の極細短繊維に関する。
乾式不織布はその生産性及び取り扱いの容易さ等から、ワイパー、フィルター、研磨材、断熱材、吸音材、車両内装材、土木用資材、あるいは農業用資材等の幅広い用途に利用されている。
また、かかる乾式不織布において、そのフィルター性能(捕集効率やダスト保持量、寿命)やワイピング性能を高めるために、極細繊維を用いることが、例えば従来の太い繊度の繊維とを組合せる手法が提案されている(例えば、特許文献1)。そしてこのような極細繊維としては、最近ではナノファイバーと称せられる、単繊維径が極めて小さい極細繊維の研究開発が盛んである(例えば、特許文献2や特許文献3)。
しなしながら、乾式不織布製造工程で得られる不織布シートにおいて、そのような極細繊維を用いた場合には、極細繊維の開繊性が不十分になったり、乾式不織布製造工程にて極細繊維が切れて、得られる不織布の欠点が増加するという問題があった。
本発明は、上記背景のもとになされたものであり、生産性に優れ、かつ品質が均一な乾式不織布の製造に適した乾式不織布用の極細短繊維を提供することにある。
本発明の乾式不織布用極細短繊維は、繊度が1dtex未満の極細短繊維であって、捲縮数が10/25.4mm(1inch)以上かつケイ素含有量が10〜5000ppmであることを特徴とする。
さらには、極細短繊維を構成する樹脂が、ポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂を含有することや、そのポリエステル樹脂がポリアルキレンテレフタレート樹脂またはポリアルキレンナフタレート樹脂であること、あるいはそのポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
また、捲縮数が12/25.4mm〜36/25.4mmの範囲であることや、ケイ素が、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン、ポリオキシエチレン共重合ポリジメチルシロキサン、の少なくとも1種類に由来するものであることが好ましい。
さらには、極細短繊維を構成する樹脂が、ポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂を含有することや、そのポリエステル樹脂がポリアルキレンテレフタレート樹脂またはポリアルキレンナフタレート樹脂であること、あるいはそのポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
また、捲縮数が12/25.4mm〜36/25.4mmの範囲であることや、ケイ素が、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン、ポリオキシエチレン共重合ポリジメチルシロキサン、の少なくとも1種類に由来するものであることが好ましい。
本発明によれば、生産性に優れ、かつ品質が均一な乾式不織布の製造に適した乾式不織布用の極細短繊維が提供される。
本発明の乾式不織布用極細短繊維は、繊度が1dtex未満の極細短繊維であり、さらに捲縮数が10/25.4mm(1inch)以上かつケイ素含有量が10〜5000ppmの短繊維である。通常、短繊維の繊維径が細くかつ捲縮数が多くなると絡み合いが大きくなり、不均一性が顕著となるが、本発明では繊維径が細くかつ捲縮数が多いにも関わらず、作業性に優れ、均一に分散しており、極細短繊維から最終的に得られる乾式不織布の均一性に優れるものとなる。
このような本発明の乾式不織布用極細短繊維は、合成樹脂からなるものであることが好ましい。中でも汎用性に優れたポリエステル樹脂やポリオレフィン樹脂を含有する樹脂からなることが好ましい。
本発明においては、このようなポリエステル樹脂やポリオレフィン樹脂を単独で用いることもできるが、その一部にのみポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂を含む樹脂であることも好ましい。あるいは本発明の短繊維が数種類の樹脂から構成された複合繊維であって、その一成分がポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から、主として構成されるものであることも好ましい。
そしてこのような本発明に好ましく用いられるポリエステル系樹脂を具体的に例示するとすれば、ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、もしくはポリブチレンテレフタレート(ポリテトラメチレンテレフタレート)等のポリアルキレンテレフタレート、またはポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、もしくはポリブチレンナフタレート(ポリテトラメチレンナフタレート)等のポリアルキレンナフタレートといった芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステルを例示することができる。あるいは、ポリアルキレンシクロヘキサンジカルボキシレート等の脂環族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから得られるポリエステルであることや、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸と脂環族ジオールから得られるポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、もしくはポリエチレンアジペート等の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから得られるポリエステル、またはポリ乳酸やポリヒドロキシ安息香酸等のポリヒドロキシカルボン酸等から得られるポリエステルを例示することもできる。またはポリエステル系の繊維となる樹脂としては、これらのポリエステル成分同士の任意の割合による共重合体やブレンド体も、好ましく例示される。
また目的に応じて、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分として、イソフタル酸、フタル酸、5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、5−スルホイソフタル酸の4級アンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸の4級ホスホニウム塩、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、α、β―(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4、4−ジカルボキシフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1、3−シクロヘキサンジカルボン酸もしくは1、4−シクロヘキサンジカルボン酸またはこれらの炭素数1〜10個の有機基からなるジエステル化合物等を1成分または2成分以上共重合させても良い。同様に、ポリエステルを構成するジオール成分としてジエチレングリコール、1、2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエチルフェニル)プロパン、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレン)グリコール、ポリ(トリメチレン)グリコールもしくはポリ(テトラメチレン)グリコール等を1成分または2成分以上共重合させてもよい。さらに、ω−ヒドロキシアルキルカルボン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、またはトリメシン酸等のヒドロキシカルボン酸、または、3個以上のカルボン酸成分もしくは水酸基をもつ化合物を1成分または2成分以上共重合して分岐をもたせたポリエステルであることも好ましい。また、上記に例示される組成の異なるポリエステルの混合物を用いることも可能である。
中でも本発明に好ましく用いられるポリエステル系の樹脂としてはポリアルキレンテレフタレート樹脂またはポリアルキレンナフタレート樹脂であることが、その物性や取扱い性の良さからも好ましい。
本発明の短繊維を構成する繊維の固有粘度としては0.35〜0.50であることが好ましく、特に繊維を構成する主成分がポリエチレンテレフタレートの場合、その固有粘度が0.35〜0.50であることが特に好ましい。固有粘度が低すぎると、繊維の強度が低下し、また繊維化することが困難となる傾向にある。また一方で、固有粘度が高すぎても、延伸性が低下するなどして、乾式不織布用極細短繊維の性能が低下する傾向になる。
また、本発明の短繊維に好ましく用いられる上記のポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、ポリオレフィン系の樹脂であることが好ましい。より具体的に本発明に使用されるポリオレフィンを例示すると、アイソタククチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレンランダム共重合ポリオレフィン、または第三成分をブロック共重合もしくはグラフト共重合させたポリエチレンもしくはポリプロピレンであることが好ましい。
このような場合におけるポリオレフィン系樹脂の主成分以外の第三成分としては、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、またはアクリルアミド等を挙げることができる。
さらに本発明に好ましく用いられるポリオレフィン系の樹脂としては、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、無水マレイン酸をブロック共重合またはグラフト共重合させたポリエチレン、および無水マレイン酸をブロック共重合されたポリプロピレンよりなる群から選択された少なくとも1種のポリオレフィンであることが好ましい。また、上述のポリオレフィンから複数種類のポリオレフィンを選択して、混合して用いることも好ましい。
中でも特に好ましく本発明にて用いられるポリオレフィン系の樹脂としては、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
なお、以上にあげた各種の熱可塑性樹脂には、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、抗菌剤、消臭剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、または滑剤等を含むポリエステル組成物であることも好ましい態様である。例えば顔料として二酸化チタンなどを含むことが特に好ましい。
さらに本発明においては、乾式不織布用極細繊維がポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂のいずれかの極細繊維であることが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート系樹脂、共重合ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂から選ばれる1種類以上の樹脂であることが好ましい。
また、ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂のいずれかの樹脂が鞘側に存在する芯鞘繊維であることも好ましい。さらには芯側をポリエステル、鞘側をポリオレフィンや共重合ポリエステルとすることが好ましい。鞘側にポリオレフィン樹脂や共重合ポリエステル樹脂を配することによって、強度に優れた不織布が得られる。特には鞘側のポリエチレンが高密度ポリエチレンであることや、共重合ポリエステルが共重合ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。特には共重合ポリエステルが、ジカルボン酸成分としてイソフタール酸を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。また芯側のポリエステルがポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
さて本発明の乾式不織布用極細短繊維は、上記のような合成樹脂から構成される繊維からなるものであって、繊度が1dtex未満の極細繊維であることが必要である。ただし単糸繊度が0.01dtex未満の場合に極細繊維同士の絡み合いが著しくなること、また単糸繊度が小さいと、製糸技術の面で困難な点が多い。より具体的には、製糸工程において断糸や毛羽が発生して良好な品質の繊維を安定に生産することが困難になる。さらには製造コストも高くなる傾向にある。逆に単糸繊度が大きすぎる場合には、得られる不織布の物性に極細繊維の特性が反映されなくなる傾向にある。特に低目付け領域での不織布においては、乾式不織布、特に紙としたときの強力や、繊維間の緻密性が得難くなる傾向にある。
このような本発明の乾式不織布用極細短繊維の繊度としては、単糸繊度が0.01〜1dtexの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.015〜0.9dtex、より好ましくは0.02〜0.8dtexの範囲であることが好ましい。またその繊維長としては3〜100mmの範囲であることが好ましく、4〜50mmがより好ましく、5〜40mmの範囲であることがさらに好ましい。繊維長が小さすぎる場合は、繊維長/繊維横断面の幅ないしは長円の直径で表されるアスペクト比が小さくなり過ぎ、不織布を構成する繊維間の結合の観点、不織布の加工性、不織布強度の観点で好ましくない。一方で、繊維長が長すぎる場合は、繊維同士の絡み合いにより欠点が発生しやすくなる。
本発明の乾式不織布用極細繊維は、捲縮繊維であることが必要であって、捲縮数は10/25.4mm(inch)であることが必要である。さらには10〜30/25.4mmであることが、特には12〜24/25.4mmの範囲であることが好ましい。捲縮数が25.4mm(inch)当たり、10個未満では、カード工程を安定的に通過することができない。一方、捲縮数が多すぎる場合、本発明の他の要件を満たしてもても繊維同士の絡み合いが強くなり、ネップ等の欠点を発生させる傾向にある。
そして本発明の乾式不織布用極細繊維としては、ケイ素含有量が10〜5000ppmであることが必要である。このようなケイ素は、繊維を構成する樹脂中に練りこみされていても構わないが、繊維表面に配置されていることがより好ましい。含有量としてはさらには20〜4000ppmであることが好ましく、特には30〜3000ppmの範囲であることが好ましい。ケイ素含有量が10ppm未満であると、繊維の開繊性や単糸切れによる欠点が増加する。一方で、ケイ素含有量が5000ppmを超えた場合には、繊維の物性等が低下する傾向にある。特に繊維中に他の無機物を含有する場合にこのケイ素の効果はより発揮され、たとえば顔料の二酸化チタンを含む場合に効果的である。
このようにケイ素を含有させるためには、ケイ素を含む化合物として添加することが好ましい。より具体的には、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン、ポリオキシエチレン共重合ジメチルポリシロキサンなどが例示され、少なくとも1種類を含むことが好ましい。化合物の分子量としては5000〜5万の範囲にあることが好ましい。ケイ素を含む上記化合物は、特に繊維の表面上に配置する場合に好ましく用いられ、この場合、ケイ素を含む化合物は、単独で付与しても、静電性、収束性、抗菌性、忌避性等の機能を有するその他の成分と混合して使用しても特に構わない。その他の成分としてはアルキルホスフェート金属塩を油剤中に含むことが好ましく、特にはラウリルホスフェート金属塩などの炭素数が8〜18のアルキルホスフェート金属塩を含むことが好ましい。
さらにこのケイ素を含む化合物は、ケイ素成分の繊維からの脱落耐久性の観点から、架橋反応するものであることが好ましい。架橋反応させるためには、複数の反応性官能基を有していることが必要であるが、その場合はアミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン、もしくはこれらを混合した成分を用いることが特に有効である。さらには、アミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン以外の反応性成分をさらに混合させることも好ましい。また、上記耐久性が必要とされない場合は、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン共重合ジメチルポリシロキサン等の非反応性成分を適用することができ、短繊維が柔軟となる。加工性調整、繊維の親水性調整のためには、ポリオキシエチレン成分を共重合したジメチルポリシロキサンを使用することが好ましい。もっとも一般的には、非修飾のジメチルポリシロキサンが好ましい。このようなケイ素を含む化合物は、溶液として繊維に付着した後に乾燥するなどして繊維に処理し、本発明の乾式不織布用極細短繊維中に含有される。
化合物として添加した場合、ケイ素含有量が少なすぎると、繊維の開繊性や単糸切れによる欠点が増加する。一方で、ケイ素含有量が多すぎる場合には、過剰な成分がスカムとなって不織布加工工程で脱落・汚染し、工程調子が悪化することになる。
そしてこのような本発明の乾式不織布用極細短繊維は、乾式不織布製造工程で欠点を生じることなく、均一なウェブシートおよび乾式不織布を得ることができる。なおここで乾式不織布とは、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布などを挙げることができる。
また本発明の繊維は、特にその極細繊維の特徴によって、ワイパー、フィルター、研磨材、断熱材、吸音材、車両内装材、土木用資材、および農業用資材等の各種乾式不織布の性能向上に有用であり、それら不織布の工業的価値をさらに高めることができる。
このような本発明の乾式不織布用極細繊維は、例えば次の方法により製造することができる。
このような本発明の乾式不織布用極細繊維は、例えば次の方法により製造することができる。
すなわち、樹脂を溶融紡糸するなどして繊度が1dtex未満の極細短繊維からなる繊維束とし、この時繊維を構成する樹脂中に練り込むまたは工程中に繊維表面に付与することによりケイ素含有量を10〜5000ppmとするとともに、捲縮処理を行い、捲縮数を10/25.4mm(1inch)以上とし、その後短繊維に切断する乾式不織布用極細繊維の製造方法である。捲縮処理としては、例えば押し込み式クリンパ―ボックスを用いることが好ましい。また繊維束を構成する極細繊維の本数としては5000〜300万本、特には1万〜200万本の繊維束トウの状態で処理することが好ましい。紡糸口金から吐出された段階での本数は100〜1万本、特には1000〜5000本の範囲が好ましく、そのような繊維糸条を複数本、好ましくは10〜1000本引きそろえて、トウとして処理することが好ましい。
さらにケイ素含有量を適切な範囲とするために、紡糸工程中油剤として、ケイ素を含む化合物を油剤中の成分として付与することが好ましく、特には延伸処理後に油剤として付与することが好ましい。
ケイ素を含む化合物としては、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン、ポリオキシエチレン共重合ジメチルポリシロキサンなどが例示され、少なくとも1種類を含むことが好ましい。またケイ素を含む化合物は、単独で付与しても、静電性、収束性、抗菌性、忌避性等の機能を有するその他の成分と混合して使用しても特に構わない。その他の成分としてはアルキルホスフェート金属塩を油剤中に含むことが好ましく、特にはラウリルホスフェート金属塩などの炭素数が8〜18のアルキルホスフェート金属塩を含むことが好ましい。さらにこのケイ素を含む化合物は、ケイ素成分の繊維からの脱落耐久性の観点から、架橋反応するものであることが好ましい。
特にはケイ素含有量を適切な範囲に調整するためには、弛緩熱処理等の乾燥処理後、捲縮、切断処理前に、スプレー方式、オイリングローラー方式、浸漬方式で付与する方法を採用することが好ましい。中でも、オイリングローラー方式は、繊維表面に油剤を均一に付与することができ、上記の範囲のケイ素含有量を均一にするためにも好ましい。また、スプレー方式やオイリングローラー方式で付与する場合には、繊維束に均一に付与するため、繊維束の表裏両面から付与することが好ましい。
以下により具体的に、ポリエステル乾式不織布用極細繊維の場合についてさらに説明する。
以下により具体的に、ポリエステル乾式不織布用極細繊維の場合についてさらに説明する。
まず極細ポリエステル繊維を得るためには、ポリエステル樹脂を溶融し、公知の紡糸設備を用いて口金より吐出して、冷却風で空冷しながら引き取り、未延伸糸を得る。引き続いて得られた未延伸糸の延伸操作を温水中あるいはスチーム中にて行い、ケイ素を含有する油剤を付与し、延伸糸を得る。さらに得られた延伸糸に対して、乾燥処理および必要に応じて弛緩熱処理を行い、捲縮を付与し、繊維束を得た後、これを短繊維に切断し、ポリエステル乾式不織布用極細繊維を得ることが好ましい。
この時、ポリエステル樹脂としては前述のポリエステル樹脂を用いることができ、繊維を紡糸する段階の樹脂の固有粘度としては0.35〜0.50であることが好ましい。さらには、特に繊維を構成する主成分がポリエチレンテレフタレートの場合、その固有粘度が0.35〜0.50であることが好ましい。固有粘度が低すぎると、加熱成型時のポリマー溶融粘度が低く、分配斑が発生しやすい傾向にあり、実用上の紡糸の困難が増加する傾向にある。一方で、固有粘度が高すぎる場合、極細繊維とするための延伸性が低下する傾向となる。
また得られた樹脂の紡糸速度としては速度100〜2000m/分の引き取り速度が好ましく、未延伸糸の延伸操作としては、70〜100℃の温水中あるいは100〜125℃のスチーム中で行うことが好ましい。繊維長としては3〜40ミリメートルの範囲であることが特に好ましい。
またポリオレフィン乾式不織布用極細短繊維等の各種の樹脂を用いた乾式不織布用極細短繊維を製造する場合についても、上記と同様の方法にて、用いる熱可塑性樹脂をポリエステル樹脂から所望の種類の熱可塑性樹脂に置き換える等により可能となる。
そしてこのような本発明の製造方法にて得られた乾式不織布用極細短繊維は、カード工程やニードルパンチ工程等の乾式不織布製造工程にて欠点を生じることなく、均一なウェブシートや乾式不織布を得ることができる極細短繊維となる。また本極細短繊維を用いた、ワイパー、フィルター、研磨材、断熱材、吸音材、車両内装材、土木用資材、および農業用資材等の各種乾式不織布の性能が向上し、工業的にも極めて有効である。
以下に本発明の構成および効果を具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明は、これら実施例になんら限定を受けるものではない。なお、部とは特段断らない限りは重量部を表すものとし、実施例および比較例中の各物性値は、以下の方法に従って測定した。
(1)ケイ素含有量
サンプルの乾式不織布用極細繊維をタブレット状に成型加工し、RIGAKU製蛍光X線測定装置(ZSX)でタブレットの表面、裏面をそれぞれ2回測定し、その平均値を算出した。
サンプルの乾式不織布用極細繊維をタブレット状に成型加工し、RIGAKU製蛍光X線測定装置(ZSX)でタブレットの表面、裏面をそれぞれ2回測定し、その平均値を算出した。
(2)単糸繊度
日本工業規格JIS L 1015:2005 8.5.1 A法に記載の方法により測定した。すなわち、繊維試料の若干量を金ぐしで平行に引きそろえ、これを切断台上に置いたラシャ紙の上に載せる。適度の力でまっすぐ繊維試料を張ったままゲージ板を圧着し、安全かみそりなどの刃で30mmの長さに切断する。繊維を数えて300本を一組とし、その質量を量り、見掛繊度を求める。この見掛繊度と別に測定した平衡水分率とから、下式によって正量繊度を算出する。正量繊度の5回の平均値を算出した。
F=[(100+R0)/(100+Rc)]×D
F:正量繊度
D:見掛繊度
R0:公定水分率(%)(日本工業規格JIS L 0105 4.1に規定する値)
Rc:平衡水分率(%)
日本工業規格JIS L 1015:2005 8.5.1 A法に記載の方法により測定した。すなわち、繊維試料の若干量を金ぐしで平行に引きそろえ、これを切断台上に置いたラシャ紙の上に載せる。適度の力でまっすぐ繊維試料を張ったままゲージ板を圧着し、安全かみそりなどの刃で30mmの長さに切断する。繊維を数えて300本を一組とし、その質量を量り、見掛繊度を求める。この見掛繊度と別に測定した平衡水分率とから、下式によって正量繊度を算出する。正量繊度の5回の平均値を算出した。
F=[(100+R0)/(100+Rc)]×D
F:正量繊度
D:見掛繊度
R0:公定水分率(%)(日本工業規格JIS L 0105 4.1に規定する値)
Rc:平衡水分率(%)
(3)繊維長
日本工業規格JIS L 1015:2005 8.4.1 A法に記載の方法により測定した。
日本工業規格JIS L 1015:2005 8.4.1 A法に記載の方法により測定した。
(4)捲縮数
日本工業規格JIS L 1015:2005 8.12.1に記載の方法により測定した。
日本工業規格JIS L 1015:2005 8.12.1に記載の方法により測定した。
(5)固有粘度:[η]
繊維(ポリエステルポリマー)サンプル0.12gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール混合溶媒(容量比1/1)に溶解し、35℃における固有粘度(dL/g)を測定した。
繊維(ポリエステルポリマー)サンプル0.12gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール混合溶媒(容量比1/1)に溶解し、35℃における固有粘度(dL/g)を測定した。
(6)メルトフローレイト:MFR
メルトフローレイトは日本工業規格JIS K 7210の条件4(測定温度190℃、荷重21.18N)に準じて測定した。なお、メルトフローレイトは溶融紡糸直前のポリマーペレットを試料として測定した値である。
メルトフローレイトは日本工業規格JIS K 7210の条件4(測定温度190℃、荷重21.18N)に準じて測定した。なお、メルトフローレイトは溶融紡糸直前のポリマーペレットを試料として測定した値である。
(7)融点
熱示差分析計型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とする。なお、n数5でその平均値を求めた。
熱示差分析計型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とする。なお、n数5でその平均値を求めた。
(8)不織布品質
不織布加工工程中での繊維ダメージや、繊維の開繊性不良により、不織布加工工程で単糸切れ欠点が発生した場合の判定基準を以下に示す。
単糸切れなし:〇
単糸切れ微小:△
単糸切れ多い:×
また、未開繊繊維塊については以下の判定基準とした。
未開繊繊維塊なし:〇
未開繊繊維塊微小:△
未開繊繊維塊多い:×
不織布加工工程中での繊維ダメージや、繊維の開繊性不良により、不織布加工工程で単糸切れ欠点が発生した場合の判定基準を以下に示す。
単糸切れなし:〇
単糸切れ微小:△
単糸切れ多い:×
また、未開繊繊維塊については以下の判定基準とした。
未開繊繊維塊なし:〇
未開繊繊維塊微小:△
未開繊繊維塊多い:×
[実施例1]
二酸化チタンを0.3重量%含有し、固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し、2504個の丸孔を有する紡糸口金から吐出量340g/分で吐出し、これを500m/分の速度で引き取り、単糸繊度が2.7dtexのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を得た。この未延伸糸を引き揃えて温水中において全延伸倍率32.8倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10,000)を添加した油剤を付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、単糸繊度0.08dtex、繊維長10mmの乾式不織布用極細短繊維を得た。捲縮数は22/25.4mmであった。得られた極細短繊維は、開繊、積層した後、ニードルパンチによる交絡工程を経て乾式不織布とし、評価を行った。結果を表1に示す。
二酸化チタンを0.3重量%含有し、固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し、2504個の丸孔を有する紡糸口金から吐出量340g/分で吐出し、これを500m/分の速度で引き取り、単糸繊度が2.7dtexのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を得た。この未延伸糸を引き揃えて温水中において全延伸倍率32.8倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10,000)を添加した油剤を付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、単糸繊度0.08dtex、繊維長10mmの乾式不織布用極細短繊維を得た。捲縮数は22/25.4mmであった。得られた極細短繊維は、開繊、積層した後、ニードルパンチによる交絡工程を経て乾式不織布とし、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
繊維長を実施例1の10mmから20mmに変更し、捲縮数を17/25.4mmとした以外は実施例1と同様にして乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
繊維長を実施例1の10mmから20mmに変更し、捲縮数を17/25.4mmとした以外は実施例1と同様にして乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
[実施例3]
二酸化チタンを0.3重量%含有し、固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し、2504個の丸孔を有する紡糸口金から吐出量400g/分で吐出し、これを1300m/分の速度で引き取り、単糸繊度が1.2dtexのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を得た。この未延伸糸を引き揃えて温水中において全延伸倍率3.5倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10,000)を添加した油剤を付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、単糸繊度0.35dtex、繊維長32mmの乾式不織布用短繊維を得た。捲縮数は14/25.4mmであった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。
結果を表1に併せて示す。
二酸化チタンを0.3重量%含有し、固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し、2504個の丸孔を有する紡糸口金から吐出量400g/分で吐出し、これを1300m/分の速度で引き取り、単糸繊度が1.2dtexのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を得た。この未延伸糸を引き揃えて温水中において全延伸倍率3.5倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10,000)を添加した油剤を付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、単糸繊度0.35dtex、繊維長32mmの乾式不織布用短繊維を得た。捲縮数は14/25.4mmであった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。
結果を表1に併せて示す。
[実施例4]
繊維に付着させたジメチルポリシロキサンの付着量を5倍とした以外は、実施例2と同様にして捲縮数17/25.4mmの乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
繊維に付着させたジメチルポリシロキサンの付着量を5倍とした以外は、実施例2と同様にして捲縮数17/25.4mmの乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
[実施例5]
ケイ素化合物としてジメチルポリシロキサンに代えてアミノ変性ポリシロキサンを使用した以外は、実施例2と同様にして捲縮数17/25.4mmの乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
ケイ素化合物としてジメチルポリシロキサンに代えてアミノ変性ポリシロキサンを使用した以外は、実施例2と同様にして捲縮数17/25.4mmの乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
[実施例6]
ケイ素化合物としてジメチルポリシロキサンに代えてヒドロキシ変性ポリシロキサンを使用した以外は、実施例2と同様にして捲縮数17/25.4mmの乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
ケイ素化合物としてジメチルポリシロキサンに代えてヒドロキシ変性ポリシロキサンを使用した以外は、実施例2と同様にして捲縮数17/25.4mmの乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
[実施例7]
ケイ素化合物としてジメチルポリシロキサンに代えてポリオキシエチレン共重合ジメチルポリシロキサンを使用した以外は、実施例2と同様にして捲縮数17/25.4mmの乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
ケイ素化合物としてジメチルポリシロキサンに代えてポリオキシエチレン共重合ジメチルポリシロキサンを使用した以外は、実施例2と同様にして捲縮数17/25.4mmの乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表1に併せて示す。
[実施例8]
二酸化チタンを0.3重量%含有し、固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し芯側のポリエステル(PET)成分とした。これとは別に、MFRが20g/10min、融点Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)を270℃で溶融し鞘側のポリエチレン(PE)成分とした。そしてこれらを用いて、芯側をPET、鞘側をPEとなるように、芯鞘同芯タイプの2400個の丸孔を有する紡糸口金から吐出量700g/分で吐出し、これを1200m/分の速度で引き取り、単糸繊度が2.4dtexの未延伸糸を得た。
二酸化チタンを0.3重量%含有し、固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し芯側のポリエステル(PET)成分とした。これとは別に、MFRが20g/10min、融点Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)を270℃で溶融し鞘側のポリエチレン(PE)成分とした。そしてこれらを用いて、芯側をPET、鞘側をPEとなるように、芯鞘同芯タイプの2400個の丸孔を有する紡糸口金から吐出量700g/分で吐出し、これを1200m/分の速度で引き取り、単糸繊度が2.4dtexの未延伸糸を得た。
この芯鞘成分を有する未延伸糸を引き揃えて、温水中において全延伸倍率3.5倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10,000)を添加した油剤を付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、単糸繊度0.77dtex、繊維長32mmの乾式不織布用極細短繊維を得た。捲縮数は18/25.4mmであった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例9]
二酸化チタンを0.3重量%含有し、固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し芯側のポリエステル(PET)成分とした。これとは別に、固有粘度が0.62dL/gの共重合PETチップ(IA:40mol%)を270℃で溶融し、鞘側の共重合ポリエステル(coPET)成分とした。そしてこれらを用いて、芯側をPET、鞘側を共重合ポリエステルとなるように、芯鞘同芯タイプの2400個の丸孔を有する紡糸口金から620g/分で吐出し、これを1250m/分の速度で引き取り、単糸繊度が2.1dtexの未延伸糸を得た。
二酸化チタンを0.3重量%含有し、固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し芯側のポリエステル(PET)成分とした。これとは別に、固有粘度が0.62dL/gの共重合PETチップ(IA:40mol%)を270℃で溶融し、鞘側の共重合ポリエステル(coPET)成分とした。そしてこれらを用いて、芯側をPET、鞘側を共重合ポリエステルとなるように、芯鞘同芯タイプの2400個の丸孔を有する紡糸口金から620g/分で吐出し、これを1250m/分の速度で引き取り、単糸繊度が2.1dtexの未延伸糸を得た。
この芯鞘成分を有する未延伸糸を引き揃えて、温水中において全延伸倍率3.1倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10,000)を添加した油剤を付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、単糸繊度0.76dtex、繊維長32mmの乾式不織布用極細短繊維を得た。捲縮数は16/25.4mmであった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。結果を表2に併せて示す。
[実施例10]
短繊維となる樹脂として、MFRが39g/10min、融点Tmが160℃のアイソタクチックポリプロピレン(PP)を選択した。次に、このPPをエクストルーダーで溶融し、255℃の溶融ポリマーとして、円形の吐出孔を2504孔有する紡糸口金を用いて、溶融吐出させた。吐出量は380g/分とし、1300m/分で巻き取って、単糸繊度が1.2dtexの未延伸糸を得た。
短繊維となる樹脂として、MFRが39g/10min、融点Tmが160℃のアイソタクチックポリプロピレン(PP)を選択した。次に、このPPをエクストルーダーで溶融し、255℃の溶融ポリマーとして、円形の吐出孔を2504孔有する紡糸口金を用いて、溶融吐出させた。吐出量は380g/分とし、1300m/分で巻き取って、単糸繊度が1.2dtexの未延伸糸を得た。
この未延伸糸を引き揃えて温水中において全延伸倍率3.8倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10,000)を添加した油剤を付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、単糸繊度0.38dtex、繊維長20mmの乾式不織布用極細短繊維を得た。捲縮数は17/25.4mmであった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。結果を表2に併せて示す。
[実施例11]
短繊維となる樹脂として、MFRが20g/10min、融点Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)を選択した。次に、このHDPEをエクストルーダーで溶融し、210℃の溶融ポリマーとして、円形の吐出孔を144孔有する紡糸口金を用いて、溶融吐出させた。吐出量は15g/分とし、1000m/分で巻き取って、単糸繊度が1.0dtexの未延伸糸を得た。
短繊維となる樹脂として、MFRが20g/10min、融点Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)を選択した。次に、このHDPEをエクストルーダーで溶融し、210℃の溶融ポリマーとして、円形の吐出孔を144孔有する紡糸口金を用いて、溶融吐出させた。吐出量は15g/分とし、1000m/分で巻き取って、単糸繊度が1.0dtexの未延伸糸を得た。
この未延伸糸を引き揃えて温水中において全延伸倍率3.5倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10,000)を添加した油剤を付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、単糸繊度0.34dtex、繊維長20mmの乾式不織布用極細繊維を得た。捲縮数は16/25.4mmであった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。結果を表2に併せて示す。
[比較例1]
延伸工程にて繊維に付着させるジメチルポリシロキサンの付着量を減らした以外は、実施例2と同様にして乾式不織布用極細短繊維を得た。繊維に含有するケイ素量は6ppmであった。クリンパで繊維とクリンパ金属との摩擦が高いことによるとみられる高排出抵抗が観察され、得られた捲縮数は26であった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。
結果を表2に併せて示す。
延伸工程にて繊維に付着させるジメチルポリシロキサンの付着量を減らした以外は、実施例2と同様にして乾式不織布用極細短繊維を得た。繊維に含有するケイ素量は6ppmであった。クリンパで繊維とクリンパ金属との摩擦が高いことによるとみられる高排出抵抗が観察され、得られた捲縮数は26であった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。
結果を表2に併せて示す。
[比較例2]
押し込み式クリンパ―ボックスにて付与する捲縮を調整し、捲縮数を8とした以外は、実施例2と同様にして乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表2に併せて示す。
押し込み式クリンパ―ボックスにて付与する捲縮を調整し、捲縮数を8とした以外は、実施例2と同様にして乾式不織布用極細短繊維及び乾式不織布を得た。結果を表2に併せて示す。
[比較例3]
延伸工程で使用する油剤から、ジメチルポリシロキサンを除外した以外は、実施例2と同様にして乾式不織布用極細短繊維を得た。クリンパで繊維とクリンパ金属との摩擦が高いことによるとみられる高排出抵抗が観察され、得られた捲縮数は28であった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。結果を表2に併せて示す。
延伸工程で使用する油剤から、ジメチルポリシロキサンを除外した以外は、実施例2と同様にして乾式不織布用極細短繊維を得た。クリンパで繊維とクリンパ金属との摩擦が高いことによるとみられる高排出抵抗が観察され、得られた捲縮数は28であった。さらに得られた極細短繊維を乾式不織布とし、評価を行った。結果を表2に併せて示す。
Claims (6)
- 繊度が1dtex未満の極細短繊維であって、捲縮数が10/25.4mm(1inch)以上かつケイ素含有量が10〜5000ppmであることを特徴とする乾式不織布用極細短繊維。
- 極細短繊維を構成する樹脂が、ポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂を含有する請求項1記載の乾式不織布用極細短繊維。
- ポリエステル樹脂がポリアルキレンテレフタレート樹脂またはポリアルキレンナフタレート樹脂である請求項2記載の乾式不織布用極細短繊維。
- ポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂である請求項2記載の乾式不織布用極細短繊維。
- 捲縮数が12/25.4mm〜36/25.4mmの範囲である請求項1〜4のいずれか1項記載の乾式不織布用極細短繊維。
- ケイ素が、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン、ポリオキシエチレン共重合ポリジメチルシロキサン、の少なくとも1種類に由来するものである請求項1〜5のいずれか1項記載の乾式不織布用極細短繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018098118A JP2019203209A (ja) | 2018-05-22 | 2018-05-22 | 乾式不織布用極細繊維 |
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Publications (1)
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63112769A (ja) * | 1986-10-31 | 1988-05-17 | 帝人株式会社 | ポリエステル短繊維 |
JPH09316767A (ja) * | 1996-05-29 | 1997-12-09 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | 耐摩耗性不織布 |
JP2007070798A (ja) * | 2006-11-02 | 2007-03-22 | Teijin Fibers Ltd | ポリエステル系短繊維およびそれからなる不織布 |
JP2013133571A (ja) * | 2011-12-27 | 2013-07-08 | Teijin Ltd | 機械捲縮性能の高い熱接着性複合繊維およびその製造方法 |
-
2018
- 2018-05-22 JP JP2018098118A patent/JP2019203209A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63112769A (ja) * | 1986-10-31 | 1988-05-17 | 帝人株式会社 | ポリエステル短繊維 |
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