JP2019196434A - 高熱伝導性硬化性組成物、高熱伝導性硬化膜、積層体およびパワーモジュール - Google Patents

高熱伝導性硬化性組成物、高熱伝導性硬化膜、積層体およびパワーモジュール Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性が良好な高熱伝導性的硬化性組成物の提供。【解決手段】シアネート化合物と、式(B−1)および/または(B−2)で表される構造を有するベンゾオキサジン化合物と、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素および酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱伝導性粒子とを含む高熱伝導性硬化性組成物。式(B−1)中、aは0〜3の整数、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基、aが2以上の場合、複数のR2は同一でも異なっていてもよい。式(B−2)中、bは0〜4の整数、R3は、水素原子または1価の有機基、bが2以上の場合、複数のR3は同一でも異なっていてもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、高熱伝導性硬化性組成物、高熱伝導性硬化膜、積層体およびパワーモジュールに関する。
電気・電子デバイス等を構成する材料(例えば、絶縁材料)には、しばしば、放熱性が要求される。
近年、特に、パワーモジュールの発展に伴い、放熱性の大きな硬化性組成物などについて様々な開発がなされている。
この種の技術として、たとえば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂などを用いることにより、高い熱伝導率を有する材料を提供できる旨が記載されている。
特許文献2および3にも、同様に、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂を用いた、高い熱伝導率を有する材料が記載されている。
特開2014−139021号公報 特開2013−6893号公報 特開2013−48257号公報
本発明者らは、特許文献1〜3に記載されているような、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂について様々に検討したところ、耐熱性が比較的低いという問題があることを見出した。より具体的には、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂を使用することにより、熱伝導率の向上を図ることができるが、反対に耐熱性が低下してしまう場合があることを見出した。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。つまり、耐熱性が良好な高熱伝導性的硬化性組成物を提供することを本発明の目的とする。
本発明者らは、検討の結果、エポキシとは異なる硬化系に着目することにより、耐熱性が良好な高熱伝導性硬化性組成物を得ることに成功した。具体的には、以下に提供される発明を完成させて、上記課題を達成した。
本発明によれば、
シアネート化合物と、
以下一般式(B−1)および/または(B−2)で表される構造を有するベンゾオキサジン化合物と、
アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素および酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱伝導性粒子と
を含む、高熱伝導性硬化性組成物
が提供される。
Figure 2019196434
一般式(B−1)中、
aは0〜3の整数を表し、
およびRはそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表し、aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
また、本発明によれば、
前記高熱伝導性硬化性組成物を用いて作製した高熱伝導性硬化膜であって、
50〜150℃における線膨張係数が、36〜47ppm/℃である、高熱伝導性硬化膜
が提供される。
また、本発明によれば、
金属層と、
前記金属層の少なくとも片面に設けられた、前記高熱伝導性硬化性組成物の硬化物と
を備える積層体
が提供される。
また、本発明によれば、
前記積層体と、
前記積層体上に設けられた電子部品と、を備えるパワーモジュール
が提供される。
本発明によれば、耐熱性が良好な高熱伝導性的硬化性組成物が提供される。
パワーモジュールの構造の例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
<高熱伝導性硬化性組成物>
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、
シアネート化合物と、
以下一般式(B−1)および/または(B−2)で表される構造を含むベンゾオキサジン化合物と、
アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素および酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱伝導性粒子と
を含む。
Figure 2019196434
一般式(B−1)中、
aは0〜3の整数を表し、
およびRはそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表し、aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
一般式(B−2)中、
bは0〜4の整数を表し、
は、水素原子または1価の有機基を表し、bが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
なお、以下では、一般式(B−1)および/または(B−2)で表される構造を有するベンゾオキサジン化合物を、単に「ベンゾオキサジン化合物」とも表記する。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、シアネート化合物(−O−CNで表される官能基を有する化合物)と、ベンゾオキサジン化合物が有する一般式(B−1)および/または(B−2)で表される構造とが反応することにより、強固な化学構造が形成され、エポキシ系ベースの従来の組成物に比べて耐熱性が良化すると考えられる。
また、本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、熱伝導性(放熱性)も良好である。推定であるが、シアネート化合物およびベンゾオキサジン化合物(場合によってはさらに後述のフェノール化合物)が反応した結果として、六員環のヘテロ芳香族環であるトリアジン骨格が形成され、これが熱伝導性(放熱性)の良化に関係している可能性がある。
なお、熱伝導性については、本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物を硬化させて膜としたとき、後述するパワーモジュールに要求される膜の厚み方向の熱伝導性も担保できる。
さらに、本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、硬化膜としたとき、その線膨張係数を適切な値としやすい。ここで「適切な値としやすい」とは、硬化膜の熱膨張係数をα、銅の熱膨張係数をαCuとしたとき、αとαCuの差の絶対値を小さくしやすい、ということである。
エポキシ系ベースの従来の組成物の硬化物は、銅との熱膨張率の差が大きく、繰返しの熱膨張−収縮により損傷・剥がれ等が発生しやすい懸念があった。本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物の硬化膜は、従来の組成物の硬化物に比べて銅との熱膨張率の差を小さくしやすく、好ましい。この理由は、おそらくは、シアネート化合物とベンゾオキサジン化合物との反応により形成される構造が剛直であるためと推定される。
念のため述べておくが、上記の推定理由などは、本発明の範囲を限定するものではない。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物の含有成分などについて説明する。
・シアネート化合物
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物が含むシアネート化合物は、シアネート基(−O−CNで表される官能基)を有するものである限り特に限定されない。
シアネート化合物は、好ましくは、1分子中に複数のシアネート基を有する。より具体的には、シアネート化合物は、好ましくは1分子中に2〜4個、より好ましくは2個のシアネート基を有する。このようなシアネート化合物を用いることで、硬化性能をより高められることができ、耐熱性も向上すると考えられる。
また、別観点として、シアネート化合物は、好ましくは、その分子内に共役二重結合(単結合と二重結合を交互に有する構造)を含む。このようなシアネート化合物を用いることで、組成物を硬化させた際、硬化物中にいわゆるメソゲン構造(液晶性を発現しうる剛直な部位)が含まれることとなる。メソゲン構造が硬化物中に含まれると、熱伝導性の観点で有利となり、熱伝導性(放熱性)をより高めることができる。
このようなシアネート化合物としては、例えば、以下の一般式(a1)で表される化合物において、Rの部分に共役二重結合を含むものを挙げることができる。
シアネート化合物としては、以下一般式(a1)で表されるものを好ましく挙げることができる。
Figure 2019196434
一般式(a1)において、Rは、2価の連結基であり、好ましくは、共役二重結合を含む基である。
より具体的には、Rは、一般式−A−X−A−で表される基である。この一般式において、AおよびAは、各々独立に、芳香族基、縮合芳香族基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる基を示す。また、Xは単結合または2価の連結基である。
ここで、AまたはAとして好ましくは、ベンゼン環を有する炭素数6〜12の炭化水素基、ナフタレン環を有する炭素数10〜20の炭化水素基、ビフェニル構造を有する炭素数12〜24の炭化水素基、ベンゼン環を3個以上有する炭素数12〜36の炭化水素基、縮合芳香族基を有する炭素数12〜36の炭化水素基、炭素数4〜36の脂環式複素環基などである。
、Aの具体例としては、例えば、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、シクロヘキシル、ピリジル、ピリミジル、チオフェニレン等が挙げられる。これらは無置換でもよいし、脂肪族炭化水素基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基などの置換基を有してもよい。
Xとしては、例えば、単結合、−CH−、−C(CH−、−CH−CH−、−C=C−、−C≡C−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−または−N(O)=N−の群から選ばれる2価の置換基が好ましい。
また、別の態様として、シアネート化合物は、ポリマーやオリゴマー等の形態であってもよい。すなわち、ポリマーやオリゴマーの主鎖、側鎖、末端などにシアネート基を有する化合物であってもよい。例えば、以下一般式(a2)で表される構造単位を含むポリマーやオリゴマーを挙げることができる。このような、芳香環骨格(すなわち共役二重結合)を有するポリマーまたはオリゴマーをシアネート化合物として用いることで、熱伝導性(放熱性)を高めうる。
Figure 2019196434
一般式(a2)中、Rは1価の置換基を表し、nは0〜3の整数を表す。
Rの1価の置換基として具体的には、1価の有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。1価の有機基の例としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキニル基などが挙げられる。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、シアネート化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
組成物中のシアネート化合物の量は、特に限定されないが、例えば、樹脂成分全体に対するシアネート化合物の量は、20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%である。なお、「樹脂成分」とは、シアネート化合物、ベンゾオキサジン化合物およびフェノール化合物を表す(以下でも同様である)。
・ベンゾオキサジン化合物
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物が含むベンゾオキサジン化合物は、一般式(B−1)および/または(B−2)で表される構造を有する化合物である限り、特に限定されない。
Figure 2019196434
一般式(B−1)中、
aは0〜3の整数を表し、
およびRはそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表し、aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
一般式(B−2)中、
bは0〜4の整数を表し、
は、水素原子または1価の有機基を表し、bが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
なお、*は、他の化学構造との結合手を表す。
の具体例としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキニル基などが挙げられる。Rは任意の置換基により置換されていてもよい。
としては、アリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。これにより耐熱性をより高めることができると考えられる。
およびRの具体例としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。
aは、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
bは、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
ベンゾオキサジン化合物は、好ましくは、1分子中に複数の一般式(B−1)および/または(B−2)で表される構造を有する。より具体的には、ベンゾオキサジン化合物は、好ましくは1分子中に2〜4個、より好ましくは2個の、一般式(B−1)および/または(B−2)で表される構造を有する。このような化合物を用いることで、硬化性能をより高められることができ、耐熱性も向上すると考えられる。
また、別観点として、ベンゾオキサジン化合物は、好ましくは、その分子内に共役二重結合(単結合と二重結合を交互に有する構造)を含む。このようなシアネート化合物を用いることで、組成物を硬化させた際、硬化物中にいわゆるメソゲン構造(液晶性を発現しうる剛直な部位)が含まれることとなる。メソゲン構造が硬化物中に含まれると、熱伝導性の観点で有利となり、熱伝導性(放熱性)をより高めることができる。
このようなベンゾオキサジン化合物としては、例えば、以下の一般式(b1)または(b2)で表される化合物において、Rの部分に共役二重結合を含むものや、一般式(b1)においてRが単結合であるものを挙げることができる。
ベンゾオキサジン化合物の具体的態様として、以下一般式(b1)または(b2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2019196434
一般式(b1)中、RおよびRは一般式(B−1)において説明されたものと同義であり、Rは単結合または2価の連結基である。
一般式(b1)中、2つのRは、同じであっても異なっていてもよい。また、2以上のRが存在する場合、各々のRは同じであっても異なっていてもよい。
一般式(b1)中、Rが2価の連結基である場合、その具体例などは、一般式(a1)におけるRと同様である。
一般式(b2)中、Rは一般式(B−2)において説明されたものと同義であり、Rは2価の連結基である。
一般式(b1)中、2以上のRが存在する場合、各々のRは同じであっても異なっていてもよい。
一般式(b1)中、Rの具体例などは、一般式(a1)におけるRと同様である。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、ベンゾオキサジン化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
組成物中のベンゾオキサジン化合物の量は、特に限定されないが、例えば、樹脂成分全体に対して30〜80質量%、好ましくは40〜70質量%である。
・熱伝導性粒子
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素および酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱伝導性粒子を含む。
この中でも、熱伝導性の観点から、熱伝導性粒子は、窒化ホウ素または窒化アルミニウムを含むことが好ましい。
窒化ホウ素は、鱗片状窒化ホウ素の、単分散粒子、凝集粒子またはこれらの混合物を含むことができる。
また、熱伝導性と絶縁性のバランスの観点から、酸化マグネシウムまたはアルミナの少なくとも1種以上を用いてもよい。
熱伝導性粒子の形状は、特に限定されないが、通常は球状とすることができる。
熱伝導性粒子の粒径は、特に限定されないが、例えば、メジアン径(D50)の値として、好ましくは1〜200μm、より好ましくは2〜100μmである。なお、メジアン径は、例えば、レーザー回折法を用いて測定される重量累積粒度分布に基づき算出することができる。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、熱伝導性粒子を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
2種以上の熱伝導性粒子を含む場合として具体的には、元素組成が互いに異なる2種以上の熱伝導性粒子を含む場合や、元素組成は同じだが粒径が互いに異なる2種以上の熱伝導性粒子を含む場合などがある。後者の場合、熱伝導性粒子は、その粒子径分布曲線が少なくとも2つのピークを有してもよく、少なくとも3つのピークを有してもよい。
熱伝導性粒子の量は、組成物の固形分全体の体積に対して、50〜90体積%であり、好ましくは60〜90体積%であり、より好ましくは60〜85体積%である。また、別観点として、熱伝導性粒子の合計含有量は、組成物の固形分全体の質量に対して、例えば、1〜90質量%、5〜85質量%であり、好ましくは10〜85質量%である。上記下限値以上とすることにより、熱伝導性を向上させることができる。上記上限値以下とすることにより、プロセス性の低下を抑制することができる。
・フェノール系化合物
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、好ましくは、フェノール系化合物を含む。
本発明者らの知見によれば、本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物にフェノール系化合物を含ませることで、硬化物中にメソゲン構造が形成されやすくなるようであり、熱伝導性(放熱性)をより高めることができる。推測であるが、この理由としては、フェノールがシアネート化合物に対して触媒的に働き、トリアジン骨格が形成されやすくなるためとも考えられる。
フェノール系化合物としては、フェノール性水酸基を有する任意の化合物を用いることができる。例えば、公知のフェノール樹脂を用いることができる。
フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、レゾール型フェノール樹脂、などのフェノール化合物とアルデヒド化合物との反応物;フェノールアラルキル、フェノールビフェニルアラルキルなどのフェノール化合物とジメチロール化合物、ジメトキシメチル化合物およびジハロアルキル化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物との反応物などが挙げられる。
また、フェノール化合物は、フェノール樹脂ではなく、低分子フェノール化合物であってもよい。低分子フェノール化合物としては、好ましくは、一分子中に2〜5個のフェノール性水酸基を含むフェノール化合物などを挙げることができる。
より具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレンなどを挙げることができる。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、フェノール系化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
組成物中のフェノール系化合物の量は、特に限定されないが、前述のシアネート化合物およびベンゾオキサジン化合物の合計量を100質量部としたとき、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜5質量部である。適度な量のフェノール系化合物を組成物に含ませることで、組成物を硬化させた際にメソゲン構造が形成されやすくなり、熱伝導性がさらに良化する傾向にある。
・シリカ粒子
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、好ましくは、シリカ粒子を含む。
シリカ粒子を組成物中に含ませることで、熱伝導性粒子の組成物中での沈降、偏在等を抑制することができ、組成物を硬化させた際の熱伝導性粒子の分布の均一性を高めることができる(詳細は不明だが、シリカ粒子が持つ電荷による効果と推定される)。これにより、熱伝導性等の性能も良化しうる。
シリカ粒子はどのようなものであってもよく、フュームドシリカやコロイダルシリカを用いることができる。コストや性能などの点はフュームドシリカが好ましい。
シリカ粒子の粒子径は、例えば1〜100nm、好ましくは2〜50nmである。この径とすることで、上述の熱伝導性粒子の分布の均一性を更に高められると考えられる。
なお、ここでの粒子径は、レーザー回折法による1次粒子平均径を意味する。
また、シリカ粒子の見かけ比重は、例えば10〜200g/L、好ましくは20〜100g/Lである。この値とすることで、上述の熱伝導性粒子の分布の均一性を更に高められると考えられる。
なお、ここでの見かけ比重は、ISO 787/XIに基づき測定することができる。
シリカ粒子としては、例えば日本アエロジル株式会社のフュームドシリカAEROSIL(登録商標)などを用いることができる。
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、シリカ粒子を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
組成物中のシリカ粒子の量は、特に限定されないが、例えば、組成物の固形分全体に対して0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%である。
・その他成分
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、上記以外の各種成分を含んでもよい。例えば、樹脂、硬化促進剤、離型添加剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、表面調整剤(レベリング剤や界面活性剤)などを含んでもよい。これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂、アクリル樹脂などを挙げることができる。
硬化促進剤としては、イミダゾール類、有機リン化合物、有機金属塩、3級アミン類、フェノール化合物、有機酸などが挙げられる。
離型添加剤としては、酸化型及び非酸化型のポリオレフィン、カルナバワックス、モンタン酸エステル、モンタン酸並びにステアリン酸などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、カチオニック系シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル型カップリング剤などを挙げることができる。
・各成分の比率について補足
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物においては、特に、シアネート化合物の量とベンゾオキサジン化合物の量とを適切に調整することにより、熱伝導性をより高めうる(硬化物中でメソゲン構造が適切に配列しやすくなる可能性がある)。また、硬化物の機械物性や耐久性などもより高めうる。
具体的には、組成物中の、シアネート化合物が有するシアネート基のモル数をm、ベンゾオキサジン化合物が有する一般式(B−1)および/または(B−2)で表される構造の基のモル数をmとしたとき、m/mは好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.9〜1.1である。
・組成物の製造方法
本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物の製造方法として、例えば、次のような方法がある。
熱伝導性粒子以外の各成分を、溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより樹脂ワニス(ワニス状の熱硬化性樹脂組成物)を調整することができる。この混合は、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、自転公転式分散方式などの各種混合機を用いることができる。
上記で用いる溶剤は特に限定されないが、典型的には有機溶剤である。例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートや酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、などが挙げられる。
また、上記のようにして得た樹脂ワニスに、熱伝導性粒子を添加し、三本ロール等を用いて混練することにより、Bステージ状態(半硬化状態)の高熱伝導性硬化性組成物を得ることができる。混練時に熱伝導性粒子を添加することにより、組成物中に熱伝導性粒子をより均一に分散させうる。
もちろん、熱伝導性粒子は、混練時に添加してもよいし、樹脂ワニスの混合時に添加してもよい。
なお、分散性の観点から、熱伝導性粒子は、例えば、所定の溶剤に分散させもの(ナノ粒子分散液)を樹脂ワニス中に添加することが好ましい。
さらに、本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、各成分を固形(粉体など)の形で均一に混合することで得ることもできる。
<高熱伝導性硬化膜、積層体およびパワーモジュール>
上述の高熱伝導性硬化性組成物を硬化させることで、その硬化物を得ることができる。
例えば、金属層を表面に備える基材のその金属層表面に、高熱伝導性硬化性組成物の硬化物による高熱伝導性硬化膜を設けることができる。つまり、金属層と、その金属層の少なくとも片面に設けられた高熱伝導性硬化性組成物の硬化物とを備える積層体を得ることができる。
ここでの硬化物ないし硬化膜は、熱伝導性が高いため、放熱部材などとして好ましく用いることができる。
硬化物ないし硬化膜は、好ましくは、銅層上に設けることができる。換言すると、上記の「金属層と、その金属層の少なくとも片面に設けられた高熱伝導性硬化性組成物の硬化物とを備える積層体」において、金属層は、銅層であることが好ましい。
前述したが、本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物は、硬化膜としたとき、従来の組成物の硬化物に比べて銅との熱膨張率の差を小さくしやすい。よって、銅層上に硬化膜が設けられた場合、繰返しの熱膨張−収縮などによる損傷・剥がれ等を抑制しうる。
「熱膨張率の差が小さい」ことについて定量的に表現すると、上述の高熱伝導性硬化性組成物を用いて作製した高熱伝導性硬化膜の、50〜150℃における線膨張係数は、例えば30〜50ppm/℃であり、好ましくは36〜47ppm/℃である。
なお、積層体は、金属層と高熱伝導性硬化性組成物の硬化膜を備えていれば、これら2層以外の層を備えていてもよい。また、積層体は、例えば、高熱伝導性硬化性組成物の硬化膜が、同種また異種の金属層により上下から挟まれている態様であってもよい。
膜の形成、硬化の条件などについて補足しておく。
高熱伝導性硬化性組成物の性状がワニス状である場合には、例えば、適当な基材(例えば、上述の金属層を表面に備える基材)の表面に組成物を塗布し、溶剤を乾燥させ、そして熱硬化させることで、硬化膜ないし硬化物を得ることができる。
組成物の塗布方法は特に限定されず、スピナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、バーコーティング、浸漬、印刷、ロールコーティング、インクジェット法などにより行うことができる。
乾燥は、ホットプレート、熱風、オーブン等の任意の方法で加熱処理することで行うことができる。加熱温度は、通常80〜150℃、好ましくは90〜140℃である。また、加熱の時間は、通常30〜600秒、好ましくは30〜450秒程度である。
熱硬化も、任意の方法で加熱することで行うことができる。なお、加熱と同時にプレスするなどして、他の部材(基材)を含む積層体を成すようにしてもよい。プレスをする場合、その条件は、1〜100MPa、120〜260℃、10〜300分とすることができる。なお、加熱は2段階以上の異なる条件を組み合わせることができ、上記の圧力、温度、時間等の条件はそれぞれの段階に適用されうる。
また、高熱伝導性硬化性組成物の性状がBステージ状態(半硬化状態)である場合には、公知の熱硬化性樹脂の成形技術を用いて硬化膜ないし硬化物を得ることができる。例えば、コンプレッション成形、トランスファー成形、射出成形などにより硬化膜ないし硬化物を得ることができる。
別の方法として、硬化膜ないし硬化物は、高熱伝導性硬化性組成物を適当な基材に含浸させて、それを熱硬化させることで得ることもできる。
上述の硬化物ないし硬化膜を適用したパワーモジュールについて説明する。
図1は、パワーモジュール11の構成を示す断面図である。
パワーモジュール11は、金属ベース積層板100(金属基板101、絶縁層102および金属層103を備える)と、その金属ベース積層板100上に設けられた電子部品と、を備えることができる。
電子部品としては、パワー半導体素子などを用いることができる。パワー半導体素子は、典型的には、SiC、GaN、Ga、ダイヤモンドのようなワイドバンドギャップ材料を使用したものであり、高電圧・大電流で使用されるように設計されているものである。もちろん、パワー半導体素子以外にも、他の電子部品が金属ベース積層板100上に搭載されていてもよい。
動作により発熱する電子部品(各種の発熱素子)からの熱に対して、金属ベース積層板100はヒートスプレッターとして機能することができる。
金属基板101は、典型的には、金属ベース積層板100に蓄積された熱を放熱する役割を有する。金属基板101は、放熱性の金属基板であれば特に限定されないが、例えば、銅基板、銅合金基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板であり、銅基板またはアルミニウム基板が好ましく、銅基板がより好ましい。銅基板またはアルミニウム基板を用いることで、金属基板101の放熱性を良好なものとすることができる。
金属基板101の厚さは、本発明の目的が損なわれない限り、適宜設定できる。
金属基板101の厚さの上限値は、例えば、20.0mm以下であり、好ましくは5.0mm以下である。この数値以下の厚さの金属基板101を用いることで、金属ベース積層板100全体としての薄型化を行うことができる。また、金属ベース積層板100の外形加工や切り出し加工等における加工性を向上させることができる。
また、金属基板101の厚さの下限値は、例えば、0.1mm以上であり、好ましくは1.0mm以上であり、さらに好ましくは2.0mm以上である。この数値以上の金属基板101を用いることで、金属ベース積層板100全体としての放熱性を向上させることができる。
絶縁層102は、典型的には、上記の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。
金属層103は絶縁層102上に設けられ、回路加工されるものである。この金属層103を構成する金属としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、鉄、錫等から選択される一種または二種以上が挙げられる。これらの中でも、金属層103は、好ましくは銅層またはアルミニウム層であり、特に好ましくは銅層である。銅またはアルミニウムを用いることで、金属層103の回路加工性を良好なものとすることができる。金属層103は、板状で入手できる金属箔を用いてもよいし、ロール状で入手できる金属箔を用いてもよい。
金属層103の厚みの下限値は、例えば、0.01mm以上であり、好ましくは0.10mm以上、さらに好ましくは0.25mm以上である。このような数値以上であれば、高電流を要する用途であっても、回路パターンの発熱を抑えることができる。
また、金属層103の厚みの上限値は、例えば、2.0mm以下であり、好ましくは1.5mm以下であり、さらに好ましくは1.0mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、基板全体としての薄型化を図ることができる。
パワーモジュール11の一例は、図1に示されるように、パワーモジュール用回路基板(金属ベース積層板100)の金属層103a(金属層103がパターニングされたもの)上に、接着層3を介してパワー半導体素子2が搭載されている。パワー半導体素子2はボンディングワイヤー7を介して金属層103bに導通されている。また、パワー半導体素子2、ボンディングワイヤー7、金属層103a、103bは封止材6により封止されている。
また、パワーモジュール11は、金属ベース積層板100の金属層103上に搭載されたチップコンデンサ8やチップ抵抗9等の他の電子部品を備えてもよい。また、パワーモジュール11は、金属基板101が、公知の熱伝導グリス4を介して、放熱フィン5に接続された構造を有していてもよい。また、パワーモジュール11は、ソルダーレジスト10を備えていてもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<熱伝導性粒子の準備>
以下手順により、熱伝導性粒子の一種である凝集窒化ホウ素を作製した。
ホウ酸メラミンと鱗片状窒化ホウ素粉末を混合して得られた混合物を、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液へ添加し、2時間混合して噴霧用スラリーを調製した。次いで、このスラリーを噴霧造粒機に供給し、アトマイザーの回転数15000rpm、温度200℃、スラリー供給量5ml/minの条件で噴霧することにより、複合粒子を作製した。次いで、得られた複合粒子を、窒素雰囲気下、2000℃の条件で焼成することにより、凝集窒化ホウ素を得た。
<熱伝導性粒子を含まない高熱伝導性硬化性組成物の調製>
表1に示す割合に従い、樹脂成分(シアネート化合物、ベンゾオキサジン化合物、フェノール化合物等)を乳鉢にて混合し、実施例1〜4の組成物を得た。
一方、比較用の組成物として、表2に記載のエポキシ樹脂等を熱板上にて溶融混合し、冷却後粉砕して、比較例1〜3の組成物を得た。
<熱伝導性粒子を含む高熱伝導性硬化性組成物の調製>
まず、表1に示される樹脂成分(シアネート化合物、ベンゾオキサジン化合物、フェノール化合物等の混合物)を、溶媒であるシクロヘキサノンに添加し、これを撹拌して溶液を得た。
次いで、この溶液(樹脂成分換算で25.9質量部)に、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製、品番:RX−200、一次粒子径:約12nm)0.7質量部と、熱伝導性粒子(上記の凝集窒化ホウ素)73.4質量部を加えて予備混合した。
その後、プラネタリーミキサー(遊星型ミキサー)にて均一に混合し、熱伝導性粒子を含むワニス状の組成物を得た。
一方、比較用の組成物については、まず、表2に示される樹脂成分を、表2に示される量でシクロヘキサノンに添加し、これを撹拌して熱硬化性樹脂組成物の溶液を得た。次いで、この溶液に、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製、品番:RX−200)と熱伝導性粒子(上記の凝集窒化ホウ素)を、表2に示される量加えて予備混合した。その後、プラネタリーミキサー(遊星型ミキサー)にて混合し、熱伝導性粒子を均一に分散させたワニス状の組成物を得た。
<樹脂成形体(熱伝導性粒子を含まない)の作製>
表1または表2に示される樹脂成分を乳鉢で混合し、プレス圧10MPaで、220℃、2時間プレスし、直径1cm、厚さ1mmの円盤状の成形体(樹脂成分のみによる、軟化点測定用の試料)を得た。(ただし、実施例2については、プレス圧10MPaで、160℃、1時間プレスし、その後、さらに同じプレス圧で、220℃、2時間プレスした。)
<積層体(熱伝導性粒子を含む)の作製>
(1)銅箔上への高熱伝導性硬化性組成物の塗布
まず、片面が粗化された、膜厚18μmの銅箔(福田金属箔粉工業社製、表面処理電解銅箔CF−T8G−UN−18)、を準備した。これの粗化面に、ハンドアプリケータを用いて、調製したワニス状の高熱伝導性硬化性組成物を厚み500μmで塗布した。これを、120℃に設定したホットプレートで5分加熱し、溶媒を乾燥させた。
これにより、高熱伝導性硬化性組成物の塗膜が形成された銅箔を得た。
(2)プレス、積層体の形成
下から順に、当て板、クッション材、SUS(ステンレス)板、上記(1)の高熱伝導性硬化性組成物の塗膜が形成された銅箔(塗膜面が上面)および銅箔(上記(1)で用いたものと同様)を重ね、これらを一括してプレスした。プレスには、株式会社東洋精機製作所の装置「ラボプレス」を用い、温度220℃、圧力10MPaで2時間プレスした(ただし、実施例2については、プレス圧10MPaで、160℃、1時間プレスし、その後、さらに同じプレス圧で、220℃、2時間プレスした。)。
これにより、高熱伝導性硬化性組成物の硬化物の層が、上と下から銅箔で挟まれた積層体(樹脂成形体)を得た。
<評価>
・耐熱性:軟化点測定
上記で得られた樹脂成形体(熱伝導性粒子を含まない)について、軟化点(℃)を測定した。粒子は、軟化点の定量的な測定を妨げるため、熱伝導性粒子を含有しない組成物で測定した。
具体的には、TMA(Thermal Mechanical Analyzer)試験装置(セイコーインスツメルツ社製TMA/SS6100)を用いて、昇温速度10℃/分、荷重0.05N、圧縮モード、測定温度範囲30〜330℃の条件で、樹脂成形体(熱伝導性粒子を含まない)の熱膨張特性を測定し、横軸に温度、縦軸に変位をプロットした熱膨張曲線の屈折点の温度を外挿法により求め、軟化点とした。
・熱膨張率:50〜150℃における線膨張係数
上記の軟化点測定で得られた熱膨張曲線の、軟化点以下の線形変形部の傾きから、熱膨張率を求めた。
なお、本発明者らの知見として、熱伝導性粒子を含まない組成物で形成した樹脂成形体と、熱伝導性粒子を含まない組成物で形成した樹脂成形体とは、ほぼ同様の線膨張係数を示す。
・Td5:5%重量減少温度
示差熱熱重量同時測定装置(セイコ−インスツルメンツ社製、TG/DTA6200型)を用いて、乾燥窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件により、サンプルを、30℃から650℃まで昇温させることにより、サンプルが5%重量減少する温度(Td5)を算出した。
なお、サンプルとしては、上記で調製した、熱伝導性粒子を含まない高熱伝導性硬化性組成物(表1または表2の成分を、乳鉢で混合して作製したもの)を、220℃で2時間(実施例2については160℃1時間の後に220℃2時間)で加熱して硬化物を得た後、測定前に100℃で1時間の乾燥処理を施したものを用いた。
・熱伝導率(厚み方向)
上記で得られた樹脂成形体(熱伝導性粒子を含まない)または積層体(熱伝導性粒子を含む)から、直径10mm×厚み0.2mmの小片を切り出し、これを厚み方向の熱伝導率測定用の試験片とした。
次に、ULVAC社製のXeフラッシュアナライザーTD−1RTVを用いて、レーザーフラッシュ法により板状の試験片の厚み方向の熱拡散係数(α)の測定を行った。測定は、大気雰囲気下、25℃の条件下で行った。
得られた熱拡散係数(α)、比熱(Cp)、比重(SP)の測定値から、下記式に基づいて熱伝導率を算出した。
熱伝導率[W/m・K]=α[mm/s]×Cp[J/kg・K]×Sp[g/cm
表1および2中、樹脂成形体(熱伝導性粒子を含まない)の熱伝導率を「熱伝導率(樹脂)」とし、積層体(熱伝導性粒子を含む)の熱伝導率を「熱伝導率(複合)」と記載している。
Figure 2019196434
Figure 2019196434
表中の樹脂成分の詳細は以下である。なお、以下各成分については、定法に従い合成するか、または市販品を購入することで準備した。
<シアネート化合物>
4HBAHY−OCN:下記の化学式で表される化合物
Figure 2019196434
PT30:ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、前掲の一般式(a2)に該当する構造を有する)
<ベンゾオキサジン化合物>
BP−a:下記の化学式で表される化合物
Figure 2019196434
P−d:下記の化学式で表される化合物(四国化成社製)
Figure 2019196434
<エポキシ化合物>
エポキシ化合物1:下記の化学式で表されるビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA、東京化成工業社製)
Figure 2019196434
エポキシ化合物2:下記の化学式で表される、テレフタリリデン型エポキシ樹脂(DGETAM)
Figure 2019196434
硬化剤1:ジアミノジフェニルメタン(DDM、東京化成工業社製)
硬化剤2:4,4’−ジアミノジフェニルエタン(DDEt、東京化成工業社製)
硬化促進剤1:2−メチルイミダゾール(2MZ、東京化成工業社製)
表1および表2からわかるとおり、樹脂成分としてシアネート化合物やベンゾオキサジン化合物を用いた実施例1〜4の樹脂成形体の軟化点は、エポキシ化合物を用いた比較例1〜2の樹脂成形体よりも有意に高かった。このことより、本実施形態の組成物の耐熱性は良好であり、パワーモジュール等に好ましく適用できることが示された。
なお、軟化点以外に、実施例から以下のことが読み取れるか、または推定される。
・50〜150℃における線膨張係数は、30〜50ppm/℃であった。このことは、銅層上に本実施形態の組成物による膜が設けられた場合、繰返しの熱膨張−収縮などによる損傷・剥がれ等を抑制しうることを意味する。
・実施例1〜4の組成物の熱伝導率(樹脂)は、比較例と同程度か、または比較例よりも良好であった。つまり、シアネート化合物とベンゾオキサジン化合物の硬化物の放熱特性は、エポキシ化合物の硬化物の放熱特性とほぼ同等かそれ以上であると言える。
・実施例1、2および4の熱伝導率(複合)は、比較例と同程度か、または比較例よりも良好であった。本実施形態の高熱伝導性硬化性組成物の硬化物は、十分な熱伝導性を有しつつ、耐熱性が向上していると言える。なお、実施例3の熱伝導率(複合)の値は小さい。これについては、一部成分の、溶媒(シクロヘキサノン)への溶解性不良により、熱伝導性粒子やシリカ粒子を含めて均質な硬化膜が作製できなかったためと推測される。実施例3の熱伝導率(樹脂)の値は他と同程度であるから、熱伝導性粒子やシリカ粒子を適切に分散できれば、実施例1、2および4程度の熱伝導率(樹脂)が得られると考えられる。
・フェノール化合物を含む組成物が、フェノール化合物を含まない組成物よりも、熱伝導率の点で高性能な傾向が見られた。
2 パワー半導体素子
3 接着層
4 熱伝導グリス
5 放熱フィン
6 封止材
7 ボンディングワイヤー
8 チップコンデンサ
9 チップ抵抗
10 ソルダーレジスト
11 パワーモジュール
100 金属ベース積層板
101 金属基板
102 絶縁層
103 金属層
103a 金属層
103b 金属層

Claims (8)

  1. シアネート化合物と、
    以下一般式(B−1)および/または(B−2)で表される構造を有するベンゾオキサジン化合物と、
    アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素および酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱伝導性粒子と
    を含む、高熱伝導性硬化性組成物。
    Figure 2019196434
    一般式(B−1)中、
    aは0〜3の整数を表し、
    およびRはそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表し、aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
    一般式(B−2)中、
    bは0〜4の整数を表し、
    は、水素原子または1価の有機基を表し、bが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
  2. 請求項1に記載の高熱伝導性硬化性組成物であって、
    前記シアネート化合物および前記ベンゾオキサジン化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物が、共役二重結合を含む、高熱伝導性硬化性組成物。
  3. 請求項1または2に記載の高熱伝導性硬化性組成物であって、
    更に、フェノール系化合物を含む、高熱伝導性硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高熱伝導性硬化性組成物であって、
    更に、シリカ粒子を含む、高熱伝導性硬化性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高熱伝導性硬化性組成物を用いて作製した高熱伝導性硬化膜であって、
    50〜150℃における線膨張係数が、36〜47ppm/℃である、高熱伝導性硬化膜。
  6. 金属層と、
    前記金属層の少なくとも片面に設けられた、請求項1〜4の高熱伝導性硬化性組成物の硬化物と
    を備える積層体。
  7. 請求項6に記載の積層体であって、
    前記金属層が、銅層である、積層体。
  8. 請求項6または7のいずれか1項に記載の積層体と、
    前記積層体上に設けられた電子部品と、を備えるパワーモジュール。
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