特許請求の範囲に記載されるイノベーションはそれぞれが、いくつかの側面を有し、それらの単独の一つのみが、その所望の属性に関与するわけではない。特許請求の範囲を制限することなく、本開示のいくつかの卓越した特徴の概要が以下に記載される。
本開示の一側面は、圧電層と、当該圧電層上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層の両対向側面上の高速度層と、当該圧電層と当該高速度層の第1高速度層との間に位置決めされた低速度層とを含む弾性波デバイスである。低速度層は、高速度層よりも低い音速を有する。音速とは、固体の中を伝播するせん断波の音の速度である。弾性波デバイスは、音響エネルギーが圧電層と低速度層との境界に集中するように弾性境界波を生成するべく構成される。
高速度層はそれぞれが、弾性境界波の速度よりも高い音速を有してよい。弾性境界波の速度は、2500メートル毎秒から4800メートル毎秒の範囲としてよい。弾性境界波の速度は、4100メートル毎秒から4800メートル毎秒の範囲としてよい。
低速度層は二酸化シリコンを含んでよい。高速度層はシリコン層を含んでよい。
高速度層の少なくとも一方をシリコン層としてよい。高速度層の少なくとも一方は、窒化シリコン、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、水晶又はスピネルの少なくとも一つを含んでよい。高速度層は、互いに同じ材料から作られてよい。
弾性境界波は波長λを有する。少なくとも1λの厚さによれば、圧電層と低速度層との境界に弾性境界波を閉じ込めることができる。高速度層の少なくとも一方は、1λから10λの範囲の厚さを有してよい。高速度層の少なくとも一方は、1λから5λの範囲の厚さを有してよい。いくつかの例においては、高速度層の一方又は双方が、10λよりも大きな厚さを有してよい。圧電層は、2λ未満の厚さを有してよい。圧電層は、タンタル酸リチウム層としてよい。圧電層は、ニオブ酸リチウム層としてよい。
本開示の他側面は、無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された弾性波フィルタと、当該弾性波フィルタに結合された無線周波数スイッチとを含む無線周波数モジュールである。無線周波数スイッチは、弾性波フィルタとともにパッケージ状にされる。弾性波フィルタは、圧電層と、当該圧電層上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層の両対向側面上の高速度層と、当該圧電層と当該高速度層の第1高速度層との間に配置された低速度層とを含む弾性波デバイスを含む。低速度層は、高速度層よりも低い音速を有する。弾性波デバイスは、音響エネルギーが圧電層と低速度層との境界に集中するように弾性境界波を生成するべく構成される。
無線周波数モジュールは電力増幅器を含んでよい。ここで、無線周波数スイッチは、電力増幅器の出力を弾性波フィルタに選択的かつ電気的に接続するように構成される。無線周波数モジュールはアンテナポートを含んでよい。ここで、無線周波数スイッチは、弾性波フィルタを無線周波数モジュールのアンテナポートに選択的かつ電気的に接続するように構成される。
本開示の他側面は、無線周波数信号を弾性波フィルタによってフィルタリングする方法である。方法は、無線周波数信号を弾性波フィルタに与えることと、当該無線周波数信号を当該弾性波フィルタによってフィルタリングすることとを含む。弾性波フィルタは、圧電層と、当該圧電層上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層の両対向側面上の高速度層と、当該圧電層と当該高速度層の第1高速度層との間に位置決めされた低速度層とを含む弾性波デバイスを含む。低速度層は、高速度層よりも低い音速を有する。弾性波デバイスは、音響エネルギーが圧電層と低速度層との境界に集中するように弾性境界波を生成する。
高速度層はシリコン層としてよく、低速度層は二酸化シリコン層としてよい。圧電層はニオブ酸リチウム層又はタンタル酸リチウム層としてよい。
本開示の他側面は、圧電層と、当該圧電層上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層の両対向側面上の高速度層と、第1高速度層と当該圧電層との間に位置決めされた温度補償層とを含む弾性波デバイスである。高速度層は、第1音速を有する第1高速度層と、第2音速を有する第2高速度層とを含む。弾性波デバイスは、第1音速及び第2音速の双方よりも小さな速度を有する弾性境界波を生成するべく構成される。
第1音速は、実質的に第2音速と同じであってよい。第1音速は第2音速と異なってよい。
第1高速度層はシリコン層としてよい。第2高速度層は第2シリコン層としてよい。第1高速度層は、窒化シリコン、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、水晶又はスピネルの少なくとも一つを含んでよい。圧電層は、タンタル酸リチウム層又はニオブ酸リチウム層のいずれかとしてよい。温度補償層は二酸化シリコンを含んでよい。
弾性境界波は波長λを有する。第1高速度層は、1λから10λの範囲の厚さを有してよい。圧電層は、2λ未満の厚さを有してよい。
インターディジタルトランスデューサ電極は、温度補償層に面する圧電層の側面上で当該圧電層に接触してよい。インターディジタルトランスデューサ電極は、温度補償層に対向する圧電層の一側面上において当該圧電層と接触してよい。
本開示の他側面は、圧電層と、当該圧電層上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層の両対向側面上のシリコン層と、当該シリコン層の一方と当該圧電層との間に配置された二酸化シリコン層とを含む弾性波デバイスである。弾性波デバイスは、圧電層とインターディジタルトランスデューサ電極との界面において弾性境界波を生成するべく構成される。
弾性境界波は波長λを有する。シリコン層はそれぞれが、λから10λの範囲の厚さを有してよい。圧電層は、2λ以下の厚さを有してよい。
圧電層は、タンタル酸リチウム層としてよい。圧電層は、ニオブ酸リチウム層としてよい。
インターディジタルトランスデューサ電極は、二酸化シリコン層に面する圧電層の側面上に存在してよい。インターディジタルトランスデューサ電極は、二酸化シリコン層に対向する圧電層の一側面上に存在してよい。
本開示の他側面は、圧電層と、当該圧電層上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層の両対向側面上のシリコン層と、当該シリコン層の一方と当該圧電層との間に配置された二酸化シリコン層とを含む弾性波デバイスを含む弾性波フィルタである。弾性波デバイスは、弾性境界波を生成するべく構成される。弾性波フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするべく構成される。
本開示の他側面は、第1ダイと、第1ダイとともに積層された第2ダイとを含む弾性波デバイスアセンブリである。第1ダイは、弾性境界波を生成するべく構成された第1弾性波デバイスを含む。第1弾性波デバイスは、圧電層と、当該圧電層上のインターディジタルトランスデューサ電極と、当該圧電層の両対向側面上の高音速層とを含む。高音速層はそれぞれが、弾性境界波の速度よりも大きな音速を有する。第2ダイは、第2弾性境界波を生成するべく構成された第2弾性波デバイスを含む。
弾性波デバイスアセンブリは、第1ダイ及び第2ダイとともに積層された第3ダイを含んでよい。ここで、第3ダイは、第3弾性境界波を生成するべく構成された第3弾性波デバイスを含んでよい。
第1弾性波デバイスは、圧電層と高音速層の第1高音速層との間に配置された温度補償層を含んでよい。
高音速層の第1高音速層は、シリコン層である。高音速層の第1高音速層は、窒化シリコン、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、水晶又はスピネルの少なくとも一つを含んでよい。
第1弾性波デバイスは第1弾性波フィルタに含まれてよく、第2弾性波デバイスは第2弾性波フィルタに含まれてよい。
弾性波デバイスアセンブリは、第1ダイを貫通するビアを含んでよい。弾性波デバイスアセンブリは、第2ダイから延びるワイヤボンドを含んでよい。
第1ダイは、第2ダイから電気的に分離されてよい。弾性波デバイスアセンブリは、第1ダイと第2ダイとの間に空気ギャップを含んでよい。弾性波デバイスアセンブリは、第1ダイと第2ダイとの間に配置された誘電材料を含んでよい。弾性波デバイスアセンブリは、第1ダイと第2ダイとの間に配置された誘電材料及び金属遮蔽を含んでよい。
第2弾性波デバイスは、第2圧電層と、第2圧電層上の第2インターディジタルトランスデューサ電極と、第2圧電基板の両対向側面上の第2高音速層とを含んでよい。ここで、第2高音速層はそれぞれが、第2弾性境界波の速度よりも大きな音速を有する。
本開示の他側面は、弾性波フィルタを有する無線周波数モジュールである。無線周波数モジュールは、第1無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された第1弾性波フィルタと、第2無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された第2弾性波フィルタと、第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタを封入するパッケージとを含む。第1弾性波フィルタは、第1ダイ上に第1弾性波デバイスを含み、弾性境界波を生成するべく構成される。第1弾性波デバイスは、圧電層と、当該圧電層の両対向側面上の高音速層とを含み、高音速層はそれぞれが、弾性境界波の速度よりも大きな音速を有する。第2弾性波フィルタは、第2ダイ上に第2弾性波デバイスを含み、第2弾性境界波を生成するべく構成される。第2ダイは、第1ダイとともに積層される。
無線周波数モジュールの厚さは、300マイクロメートル未満としてよい。
デュプレクサは、第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタを含んでよい。
無線周波数モジュールは、第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタに結合された無線周波数スイッチを含み、無線周波数スイッチはパッケージ内に封入される。
本開示の他側面は、アンテナと、当該アンテナと通信する弾性波フィルタとを有する無線通信デバイスとを含む。弾性波フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするべく構成される。弾性波フィルタは、第2ダイとともに積層された第1ダイを含む。第1ダイは、弾性境界波を生成するべく構成された第1弾性波デバイスを含む。第1弾性波デバイスは、2つの高音速層間に配置された圧電層を含み、弾性境界波の速度よりも高い音速を有する。
無線通信デバイスは、弾性波フィルタと通信する送受信器を含んでよい。無線通信デバイスは無線周波数スイッチを含んでよい。弾性波フィルタは、無線周波数スイッチに結合されたマルチプレクサとして配列される。
本開示をまとめる目的で本イノベーションの所定の側面、利点及び新規な特徴が、ここに記載されてきた。かかる利点の必ずしもすべてが、いずれかの特定の実施形態において達成されるというわけではない。よって、本イノベーションは、ここに教示される一つの利点又は一群の利点を、ここに教示又は示唆される他の利点を必ずしも達成することなく、達成又は最適化する態様で、具体化し又は実行することができる。
一定の実施形態の以下の記載は、特定の実施形態の様々な記載を表す。しかしながら、ここに記載のイノベーションは、例えば特許請求の範囲によって画定され及びカバーされる多数の異なる態様で具体化することができる。本記載において、参照される図面では、同じ参照番号が同一の又は機能的に類似の要素を示し得る。理解されることだが、図面に例示される要素は必ずしも縮尺どおりではない。さらに理解されることだが、所定の実施形態は、図面に例示されるよりも多くの要素を含んでよく、及び/又は図面に例示される要素の部分集合を含んでよい。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の適切な組み合わせを組み入れてよい。
弾性波フィルタは、様々なアプリケーションにおいて、例えば携帯電話機のRFフロントエンドにおいて、無線周波数(RF)信号をフィルタリングすることができる。弾性波フィルタは、弾性表面波(SAW)デバイスとともに実装することができる。SAWデバイスは、弾性表面波が伝播する表面上に空気キャビティを含み得る。空気キャビティは、SAWデバイスチップの高さ及び/又は体積を増加させ得る。SAWデバイスチップのサイズは、パッケージ状コンポーネントの全体的なサイズに寄与する。
弾性境界波デバイスは、空気キャビティなしで実装することができる。これにより、空気キャビティを含むSAWデバイスを実装する場合と比べ、パッケージサイズを低減することができる。しかしながら、弾性境界波デバイスは、当該デバイス内に弾性波を閉じ込める困難性に遭遇してきた。さらに、比較的薄い弾性境界波デバイスを実装することは困難であった。
本開示の側面は、高速度層を圧電層の両対向側面上に含む多層圧電デバイスに関する。高速度層はそれぞれが、多層圧電デバイスが生成する弾性波の音速よりも高い音速を有する。ここで使用されるように、「音速」とは、固体の中を伝播するせん断波の音の速度としてよい。高速度層は、デバイス内の弾性波の閉じ込めを改善することができる。一例として、高速度層は、一定のアプリケーションにおけるシリコン層とすることができる。多層圧電デバイスは、圧電層と高速度層の一方との間に低速度層を含み得る。低速度層は、高速度層よりも低い音速を有する。低速度層は、温度補償層としてよい。例えば、低速度層は二酸化シリコン層としてよい。多層圧電デバイスは、弾性境界波を生成し、比較的薄いデバイスとして実装することができる。多層圧電デバイスは、一定のアプリケーションにおいて、当該デバイスが生成する弾性境界波の一波長のオーダーの厚さを有してよい。
図1は、一実施形態に係る弾性波デバイス10の断面図を例示する。弾性波デバイス10は弾性境界波を生成することができる。したがって、弾性波デバイス10は境界波デバイスと称してよい。弾性波デバイス10は、比較的小さな高さを有し、弾性波デバイス10内に弾性境界波を閉じ込めることができる。例示のように、弾性波デバイス10は、圧電層12と、インターディジタルトランスデューサ(IDT)電極14と、温度補償層16と、第1高速度層17と、第2高速度層18とを含む。
弾性波デバイス10は、圧電層12と温度補償層16との界面において集中する音響エネルギーを有する弾性境界波を生成するように構成される。弾性境界波は、2500メートル毎秒から4800メートル毎秒の速度を有し得る。一定の例において、弾性境界波は、3900メートル毎秒を上回る速度を有し得る。いくつかのそのような例において、弾性境界波は、4100メートル毎秒を上回る速度を有し得る。弾性境界波の速度は、3900メートル毎秒から4800メートル毎秒の範囲にあってよい。いくつかの例において、弾性境界波の速度は、4100メートル毎秒から4800メートル毎秒の範囲にある。
圧電層12は、波長λを有する弾性波を生成するための任意の適切な圧電層としてよい。例えば、圧電層は、タンタル酸リチウム(LiTaO3)層又はニオブ酸リチウム(LiNbO3)層のようなリチウム系圧電層としてよい。例示の圧電層12は厚さH1を有する。厚さH1は、波長λのオーダーとしてよい。厚さH1は、約0.1λから5λの範囲としてよい。かかる厚さは、厚い圧電層と比べて放射損失を低減するのに十分に薄くなり得る。圧電層12の厚さは、0.1λから2λの範囲のように2λ未満としてよい。一定のアプリケーションにおいて、厚さは、タンタル酸リチウム圧電層又はニオブ酸リチウム圧電層に対して約1.0λとしてよい。
IDT電極14が圧電層12上に配置される。IDT電極14は、圧電層12と温度補償層16との界面において弾性境界波を生成することができる。例示のIDT電極14は、ピッチL及び厚さh1を有する。ピッチLは、弾性波デバイス10が生成する弾性波の波長λを画定しかつこの波長λに対応する。厚さh1は、約0.01λから0.15λの範囲にあってよい。例えば、h1は、一定のアプリケーションにおいて約0.08λとなり得る。IDT電極14は、アルミニウム、アルミニウム合金、及び/又は任意の他の、IDT電極14にとって適切な材料を含み得る。例えば、IDT電極材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。IDT電極厚さh1は、Au、Ag、Cu、Pt、W、Mo又はRuのような比較的重い電極が使用されるときは比較的薄い。
温度補償層16は、圧電層12と第1高速度層17との間に位置決めされる。例示のように、温度補償層16は、圧電層12と物理的に接触する第1側面と、第1高速度層17に物理的に接触する第2側面とを有する。温度補償層16は、温度補償層16なしの同様の弾性波デバイスと比べ、弾性波デバイス10の周波数温度係数(TCF)を改善することができる。温度補償層16は、弾性波デバイス10のTFCを、温度補償層16を含まない同様の弾性波デバイスのTCFよりもゼロに近づけることができる。温度補償層16は、正の周波数温度係数を有し得る。例えば、温度補償層16は二酸化シリコン(SiO2)層のようにしてよい。温度補償層16は代替的に、二酸化テルル(TeO2)層又はオキシフッ化シリコン(SiOF層)としてよい。温度補償層16は、SiO2、TeO2及び/又はSiOFの任意の適切な組み合わせを含み得る。
一定のアプリケーションにおいて、温度補償層16は、弾性波デバイス10の電気機械結合係数k2を改善することができる。弾性波デバイス10の電気機械結合係数k2は、5%よりも大きくなり得る。例えば、一定の実施形態において、電気機械結合係数k2は9%近辺である。電気機械結合係数k2は、様々なアプリケーションにおいて5%から15%の範囲となり得る。弾性波デバイス10は、圧電層12がニオブ酸リチウム層のとき、約15%までの電気機械結合係数k2を有し得る。
温度補償層16は、IDT電極14が生成する弾性波の速度よりも低いバルク速度を有し得る。したがって、温度補償層16は低速度層と称してよい。かかる低速度層は、高速度層17及び18よりも低い音速を有する。ここで、低速度層の音速とは、当該低速度層の中を伝播するせん断波の音の速度である。温度補償層16は、圧電層12よりも低い音響インピーダンスを有し得る。温度補償層16は、第1高速度層17よりも低い音響インピーダンスを有し得る。温度補償層16は誘電層としてよい。
例示の温度補償層17は厚さH2を有する。厚さH2は1.0λ未満としてよい。厚さH2は、約0.05λから1.0λの範囲としてよい。これらの例のいくつかにおいて、厚さH2は0.5λ未満としてよい。
第1高速度層17は、IDT電極14が生成する弾性波の速度よりも高いバルク速度を有する。第1高速度層17は、圧電層12よりも高い音響インピーダンスを有し得る。したがって、高速度層17は高インピーダンス層と称してよい。第1高速度層17は、温度補償層16よりも高い音響インピーダンスを有してよい。第1高速度層17は、弾性波デバイス10が生成する弾性波が当該デバイスの外へと漏洩するのを抑制することができる。高速度層17の音速とは、高速度層17の中を伝播するせん断波の音の速度である。第1高速度層17はシリコン層としてよい。かかるシリコン層は、比較的高音速、比較的大きな剛性、及び比較的小さな密度を有し得る。シリコン層は、一定の例において、多結晶シリコン層としてよい。いくつかの他例において、第1高速度層17は、弾性波デバイス10のIDT14が生成する弾性波の速度よりも高い音速を有する他の適切な材料によって実装することもできる。例えば、第1高速度層17は、窒化シリコン、窒化アルミニウム、合成ダイヤモンドのようなダイヤモンド、水晶、スピネル等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。
第2高速度層18は、圧電層12に結合されて物理的に接触し得る。第2高速度層18は、IDT電極14が生成する弾性波の速度よりも高いバルク速度を有する。したがって、高速度層18は、高インピーダンス層と称してよい。第2高速度層18は、温度補償層16よりも高い音響インピーダンスを有し得る。第2高速度層18は、圧電層12よりも高い音響インピーダンスを有し得る。第2高速度層18は、弾性波デバイス10が生成する弾性波が当該デバイスから漏洩するのを抑制することができる。高速度層18の音速とは、高速度層18の中を伝播するせん断波の音の速度である。第2高速度層18はシリコン層としてよい。かかるシリコン層は、比較的高音速、比較的大きな剛性、及び比較的小さな密度を有し得る。シリコン層は、一定の例において、多結晶シリコン層としてよい。いくつかの他例において、第2高速度層18は、弾性波デバイス10のIDT14が生成する弾性波の速度よりも高い音速を有する他の適切な材料によって実装することもできる。例えば、第2高速度層18は、窒化シリコン、窒化アルミニウム、合成ダイヤモンドのようなダイヤモンド、水晶、スピネル等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。
第2高速度層18は、一定の例において、第1高速度層17と同じ材料から形成することができる。第2高速度層18は、いくつかの例において、第1高速度層17とは異なる材料から形成してよい。
図2は、一実施形態に係る弾性波デバイス20の断面図、及びシミュレーションされた音響変位分布を例示する。弾性波デバイス20は、図1の弾性波デバイス10の一例である。例示の弾性波デバイスは、タンタル酸リチウム層22、IDT電極14、二酸化シリコン層26、第1シリコン層27及び第2シリコン層28を含む。
図2に示される音響変位分布のグラフは、音響エネルギーが、弾性波デバイス20におけるタンタル酸リチウム層22及び二酸化シリコン層26の中にトラップされることを示す。例示の変位分布のグラフは、音響エネルギーが、弾性波デバイス20におけるタンタル酸リチウム層22と二酸化シリコン層26との界面に集中することを示す。第1シリコン層27は厚さH3を有する。弾性波デバイス20が生成する弾性波の波長λよりも大きい厚さH3が、音響エネルギーを弾性波デバイス20内にトラップするには十分となり得る。厚さH3は、1λから10λの範囲としてよい。いくつかの例において、H3は約5λとしてよい。厚さH3は、弾性波デバイス20の機械的耐性を維持するのに十分となり得る。かかる例において、厚さH3は、10λよりも大きくてよい。第1シリコン層27の表面上にはタンタル酸リチウム層22から離れる識別可能な変位が存在しない。同様に、第2シリコン層28の表面上にはタンタル酸リチウム層22から離れる識別可能な変位が存在しない。第2シリコン層28の厚さH4は、一定の実装において、第1シリコン層27の厚さH3と同様としてよい。音響変位分布における最大変位は、二酸化シリコン層26とタンタル酸リチウム層22との界面上に中心がある。二酸化シリコン層26により、TCFが改善し得る。二酸化シリコン層26により、電気機械結合係数k2が改善し得る。
図2の音響変位分布に示される一般的な関係は、シリコン層27及び/又は28の代わりに他の高インピーダンス材料を実装する弾性波デバイスにも当てはまる。ここで、他の高インピーダンス材料は、デバイスの圧電層の音響インピーダンスよりも高い音響インピーダンスを有する。高インピーダンス材料の例は、窒化シリコン、窒化アルミニウム、合成ダイヤモンドのようなダイヤモンド、水晶、スピネル等を含む。同様に、タンタル酸リチウム層22は、ニオブ酸リチウム層のような他の適切な圧電層によって置換することができる。かかる弾性波デバイスも、図2の弾性波デバイス20と同様に機能し得る。
図2の分布グラフの例において、せん断水平(SH)モードに基づく弾性波は、42°回転YカットX伝播のタンタル酸リチウムを圧電層として使用して励起される。しかしながら、異なる圧電基板カット角及び/又は圧電材料が、励起のための縦方向における及び厚さ方向における振動成分に基づくモードとともに使用されたとしても、音速関係が満たされる限り、かかるデバイスは、図2の弾性波デバイス20と同様に機能し得る。
図3Aは、一実施形態に係る弾性波デバイス30の断面図を例示する。弾性波デバイス30は、IDT電極がタンタル酸リチウム層22の異なる表面上に配置され、弾性波デバイス30においてIDT電極がアルミニウムIDT電極34である点を除き、図2の弾性波デバイス20と同様である。例示のように、図3AにおけるアルミニウムIDT電極34は、第2シリコン層28に面するタンタル酸リチウム層22の表面上に存在する。
図3Aは、一定の弾性波デバイスが、圧電層の両対向側面上に高速度層を、当該圧電層のIDT電極とは反対の側面上に低速度層を含むことを例示する。ここで、低速度層は、圧電層と高速度層の一方との間に位置決めされる。一定のアプリケーションにおいて、弾性波デバイス30においてシリコン層27及び/又は28の代わりに他の高インピーダンス材料を実装してもよい。ここで、他の高インピーダンス材料は、デバイスの圧電層の音響インピーダンスよりも高い音響インピーダンスを有する。高インピーダンス材料の例は、窒化シリコン、窒化アルミニウム、合成ダイヤモンドのようなダイヤモンド、水晶、スピネル等を含む。同様に、タンタル酸リチウム層22は、ニオブ酸リチウム層のような他の適切な圧電層によって置換することができる。かかる弾性波デバイスも、図3Aの弾性波デバイス30と同様に機能し得る。
図3Bは、一実施形態に係る弾性波デバイス35の断面図を例示する。弾性波デバイス35は、弾性波デバイス35においてIDT電極がアルミニウムIDT電極34である点を除き、図2の弾性波デバイス20と同様である。アルミニウムIDT電極34は、弾性波デバイス35において、図3Aの弾性波デバイス30と比べてタンタル酸リチウム層22の反対側に存在する。
図3Cは、図3A及び3Bそれぞれの弾性波デバイス30及び35の性能を比較するグラフを例示する。これらのシミュレーションは、シリコン高速度層及びタンタル酸リチウム圧電層を有する弾性波デバイス30及び35に対応する。図3Cは、弾性波デバイス35が、弾性波デバイス30よりも良好な電気機械結合係数k2を有することを示す。
高速度層及び/又は高インピーダンス層を圧電層の両対向側面上に有する様々な弾性波デバイスが、弾性境界波を生成することができる。弾性波デバイスのいくつかの例が、図1〜3Bを参照して説明される。弾性波デバイスの付加的な例が、図4A〜4Gを参照して説明される。ここに開示される弾性波デバイスの任意の適切な特徴を、相互に一緒に実装することができる。
図4Aは、一実施形態に係る弾性波デバイス40の断面図を例示する。弾性波デバイス40は、付加的な低速度層41が第2高速度層と圧電層12との間に含まれる点を除き、図1の弾性波デバイス10と同様である。弾性波デバイス40が、弾性波デバイス10とは異なる配向で例示されるにもかかわらず、当該デバイスの例示のされ方は、当該デバイスの機能に影響を与えることがなく、物理的なデバイスの配向を示唆するものでもない。低速度層41は、代替的に低インピーダンス層と称してよい。低速度層41は二酸化シリコン層としてよい。弾性波デバイス40の一実施形態において、第1高速度層17はシリコン層としてよく、第1低速度層16は二酸化シリコン層としてよく、第2低速度層41は二酸化シリコン層としてよく、第2高速度層18はシリコン層としてよい。
図4Bは、一実施形態に係る弾性波デバイス42の断面図を例示する。弾性波デバイス42は、接着層43が弾性波デバイス42において第2低速度層41の中に含まれる点を除き、図4Aの弾性波デバイス40と同様である。接着層43は、弾性波デバイス42の層間の接着強度を高める。接着層43は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)等のような金属を含み得る。接着層43が金属の場合、接着層43は、弾性波デバイス42の層間熱伝導率を改善し及び/又は自己加熱を抑制することができる。いくつかの例において、かかる接着層43は、弾性波デバイス42の耐電力性を高めることができる。接着層43は、いくつかのアプリケーションにおいて誘電材料としてよい。接着層43は、接着層43が弾性波デバイス42の伝送特性を著しく劣化させることのないように十分な距離だけ圧電層12から離間され得る。弾性波デバイス42において、第2低速度層41は、接着層43により第1部分及び第2部分に分離することができる。ここで、第1部分は圧電層12と接着層43との間であり、第2部分は接着層43と第2高速度層18との間である。弾性波デバイス42の一実施形態において、第1高速度層17はシリコン層であり、第1低速度層16は二酸化シリコン層であり、第2低速度層41は二酸化シリコン層であり、第2高速度層18はシリコン層である。
図4Cは、一実施形態に係る弾性波デバイス44の断面図を例示する。弾性波デバイス44は、接着層45が弾性波デバイス44において第1低速度層16の中に含まれる点を除き、図4Aの弾性波デバイス40と同様である。接着層45は、弾性波デバイス44の層間の接着強度を高める。接着層45は、アルミニウム、チタン、鉄等のような金属を含み得る。接着層45が金属の場合、接着層45は、弾性波デバイス44の層間熱伝導率を改善し及び/又は自己加熱を抑制することができる。いくつかの例において、かかる接着層45は、弾性波デバイス44の耐電力性を高めることができる。接着層45は、いくつかのアプリケーションにおいて誘電材料としてよい。接着層45は、接着層45が弾性波デバイス44の伝送特性を著しく劣化させることのないように十分な距離だけ圧電層12及びIDT電極14から離間され得る。弾性波デバイス44において、第1低速度層16は、接着層45により第1部分及び第2部分に分離することができる。ここで、第1部分は圧電層12と接着層45との間であり、第2部分は接着層45と第1高速度層17との間である。弾性波デバイス44の一実施形態において、第1高速度層17はシリコン層であり、第1低速度層16は二酸化シリコン層であり、第2低速度層41は二酸化シリコン層であり、第2高速度層18はシリコン層である。
図4Dは、一実施形態に係る弾性波デバイス46の断面図を例示する。弾性波デバイス46は、弾性波デバイス46が付加的に接着層45を含む点を除き、図4Bの弾性波デバイス42と同様である。同様に、弾性波デバイス46は、弾性波デバイス46が付加的に接着層43を含む点を除き、図4Cの弾性波デバイス44と同様である。接着層43及び45を有することにより、弾性波デバイス46の層の接着性を改善することができる。さらに、接着層43及び45が金属の場合、層間熱伝導率を改善することができ、及び/又は自己加熱を抑制することができる。弾性波デバイス46の一実施形態において、第1高速度層17がシリコン層であり、第1低速度層16が二酸化シリコン層であり、第2低速度層41が二酸化シリコン層であり、第2高速度層18がシリコン層である。
図4Eは、一実施形態に係る弾性波デバイス47の断面図を例示する。例示のように、弾性波デバイス47は、圧電層12と、圧電層12上のIDT電極14と、IDT電極14及び圧電層12の上方の第1高速度層17と、圧電層12の、IDT電極14とは反対側の第2高速度層18と、圧電層12と第2高速度層18との間に位置決めされた低速度層41とを含む。接着層43が低速度層41内に含まれる。弾性波デバイス47の一実施形態において、第1高速度層17がシリコン層であり、第1低速度層16が二酸化シリコン層であり、第2低速度層41が二酸化シリコン層であり、第2高速度層18がシリコン層である。弾性波デバイス47の一実施形態は、接着層43が加えられた図3Aの弾性波デバイス30と同様である。
図4Fは、一実施形態に係る弾性波デバイス48の断面図を例示する。弾性波デバイス48は、接着層45が弾性波デバイス48において低速度層16の中に含まれる点を除き、図1の弾性波デバイス10と同様である。弾性波デバイス48の一実施形態において、第1高速度層17はシリコン層であり、低速度層16は二酸化シリコン層であり、第2低速度層18はシリコン層である。接着層45により、弾性波デバイス45の層間の接着性を改善することができる。接着層45が金属の場合、層間熱伝導率を改善することができ、及び/又は自己加熱を抑制することができる。
図4Gは、一実施形態に係る弾性波デバイス49の断面図を例示する。弾性波デバイス49は、第2高速度層50が第1高速度層17とは異なる材料であるように示される点を除き、図4Aの弾性波デバイス40と同様である。一例として、第1高速度層17はシリコン層としてよく、第2高速度層50は水晶層としてよい。高速度層の任意の他の適切な組み合わせも実装することができる。図4Gは、ここに開示される任意の適切な原理及び利点に係る弾性波デバイスが、第2高速度層とは異なる材料の第1高速度層を含み得ることの説明例である。弾性波デバイス49の一実施形態において、第1高速度層17がシリコン層であり、第1低速度層16が二酸化シリコン層であり、第2低速度層41が二酸化シリコン層であり、第2高速度層 50が水晶層である。
シリコン層のような高速度層は、ここに説明される実施形態において、弾性波を、外部の影響に対して不感にすることができる。したがって、かかる弾性波デバイスは、互いに積層することができる。
例えば図1〜3B及び4A〜4Gを参照してここに説明される原理及び利点に係る多層圧電基板を有する弾性波デバイスは、比較的薄い構造によって実装することができる。これは、パッケージ化にとって有利である。例えば、比較的薄い弾性波デバイスにより、かかる弾性波デバイスを含む2つ以上のダイを、パッケージ内で互いに積層することができる。ここに開示される原理及び利点に係る弾性波デバイスを有する2層の積層ダイを含む無線周波数モジュールは、300マイクロメートル未満の厚さを有し得る。いくつかの例において、ここに開示される原理及び利点に係る弾性波デバイスを有する3層以上の積層ダイを含む無線周波数モジュールは、300マイクロメートル未満の厚さを有し得る。積層ダイは、一定のアプリケーションにおいて、付加的な保護なしでオーバーモールドすることができる。積層は、デバイスレベル、ダイレベル及び/又はモジュールレベルで実装することができる。
図5は、一実施形態に係る弾性波デバイス55の他の断面図を例示する。弾性波デバイス55は、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に係る多層圧電基板を含み得る。弾性波デバイス55は薄い。弾性波デバイス55は、弾性波デバイス55の高音速層の厚さが当該圧電層の近傍に弾性波を閉じ込めるべく十分であっても、所定の従来型SAWデバイスよりも薄い。一実施形態において、弾性波デバイス55は、5λ近辺の厚さを有するシリコン高速度層を含み得る。かかる弾性波デバイス55は、約10マイクロメートル(um)から100umの範囲の厚さX1を有し得る。一例として、厚さX1は約40umとしてよい。上述の他の弾性波デバイスもまた、10マイクロメートル(um)から100umの範囲の厚さを有し得る。対照的に、いくつかの現在の温度補償型SAW(TCSAW)フィルタは、215um近辺の厚さを有する弾性波デバイスを含む。弾性波デバイス55に対する厚さX1の範囲の上限は、機械的な耐久性を考慮して設定することができる。
比較的薄い弾性波デバイスを、フィルタアセンブリにおいて積層することができる。これにより、弾性波デバイスを含むパッケージ状モジュールのサイズを低減することができる。比較的薄い弾性波デバイスなので、かかるデバイスを通るようにビアを作ることができる。積層弾性波デバイスは、ビア及び/又はワイヤボンドのような電気的接続部を介して他のコンポーネントに接続することができる。積層弾性波デバイスは、異なる弾性波フィルタに含めることができる。かかる弾性波フィルタは、一つ以上のラダー型フィルタを含み得る。一つ以上のラダー型フィルタは、直列及びシャント1ポート弾性波共振器を含んでよい。図6A〜6Eは、積層弾性波デバイスアセンブリの例を例示する。これらの例の任意の適切な原理及び利点は、相互に組み合わせて実装することができる。上述した弾性波デバイスのいずれか、及び/又は上述した弾性波デバイスの特徴の任意の適切な組み合わせは、図6A〜6Eの積層弾性波デバイスアセンブリの例のいずれかに実装することができる。
図6Aは、一実施形態に係る積層弾性波デバイスの弾性波デバイスアセンブリ60を例示する。弾性波デバイスアセンブリ60は、コンパクトであって、比較的小さなサイズを有する。例示のように、弾性波デバイスアセンブリ60は、ダイ61、62及び63、ビア64、65及び66、接点67、並びにパッケージ基板68を含む。ダイ61、62及び63は互いに積層される。これらのダイはいずれも、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に係る一つ以上の弾性波デバイスを含み得る。ビア64、65及び66は、ダイ61、62及び63それぞれと、パッケージ基板68上の接点67との間に電気的接続を与えることができる。比較的薄い圧電層及び弾性波デバイスを貫通するビアホールは、厚い層及びデバイスを貫通するものよりも容易に実装することができる。パッケージ基板68は、金属配線を含む積層基板とすることができる。
図6Bは、一実施形態に係る積層弾性波デバイスの弾性波デバイスアセンブリ70を例示する。弾性波デバイスアセンブリ70は、ダイ61、62及び63、ビア64、65及び66、接点67、パッケージ基板68、並びにダイ間の空気ギャップ71及び72を含む。弾性波デバイスアセンブリ70は積層ダイを含み、当該ダイの少なくとも一つをビアが通る。例示のように、ビア64がダイ62及び63を貫通し、ビア65はダイ63を貫通する。ダイ61及び62は、空気ギャップ71及び72それぞれの上方に懸架される。空気ギャップ71及び72は、図6Aの弾性波デバイスアセンブリ60に対する各ダイの電気的分離性を改善することができる。
図6Cは、一実施形態に係る積層弾性波デバイスの弾性波デバイスアセンブリ75を例示する。弾性波デバイスアセンブリ75は、ダイ61、62及び63、ビア64、65及び66、接点67、パッケージ基板68、並びに誘電層76及び77を含む。弾性波デバイスアセンブリ75は積層ダイを含み、そのダイの少なくとも一つをビアが貫通する。誘電層76及び77は、ダイを互いから電気的に分離することができる。例えば、誘電層76は、ダイ61とダイ62との間に電気的な分離を与える。他例として、誘電層77は、ダイ62とダイ63との間に電気的な分離を与える。誘電層76及び77は、パッケージ状デバイスのモールド強度を確保することができる。
図6Dは、一実施形態に係る積層弾性波デバイス80の弾性波デバイスアセンブリを例示する。弾性波デバイスアセンブリ80は、ダイ61、62及び63、ビア64、65及び66、接点67、パッケージ基板68、誘電層81及び83、並びに遮蔽層82及び84を含む。弾性波デバイスアセンブリ80は積層ダイを含み、当該ダイの少なくとも一つをビアが貫通する。ダイ間の誘電層及び遮蔽層により、ダイ相互が電気的に分離及び遮蔽される。例えば、誘電層81及び遮蔽層82は、ダイ61とダイ62との間に電気的な分離及び遮蔽を与えることができる。他例として、誘電層83及び遮蔽層84は、ダイ62とダイ63との間に電気的な分離及び遮蔽を与えることができる。遮蔽層82及び84は、任意の適切な遮蔽金属層によって実装することができる。
図6Eは、一実施形態に係る積層弾性波デバイスの弾性波デバイスアセンブリ85を例示する。弾性波デバイスアセンブリ85は、ダイ61、62及び63、ワイヤボンド86、87及び88、並びにパッケージ基板68を含む。ワイヤボンド86、87及び88は、ダイ61、62及び63それぞれとパッケージ基板68との間に電気的な接続を与えることができる。ワイヤボンド86、87及び88はそれぞれが、ダイ61、62及び63上の各ワイヤボンドパッドから、パッケージ基板68上の各パッドまで延び得る。ワイヤボンドとダイを貫通するビアとを、いくつかの他の実施形態において、一つ以上のダイとパッケージ基板の金属配線との電気的接続を与えるべく、互いに実装することができる。空気ギャップ並びに/又は誘電層及び/若しくは遮蔽層は、積層弾性波アセンブリのダイ間に実装することができる。ここで、ダイの一つ以上からは、ワイヤボンドが延びる。
ここに説明される弾性波デバイス及び/又は弾性波デバイスアセンブリは、様々なパッケージ状モジュールに実装することができる。ここに説明される弾性波デバイスの任意の適切な原理及び利点を実装することができるパッケージ状モジュールのいくつかの例を以下に説明する。パッケージ状モジュールの例は、例示の回路素子を封入するパッケージを含み得る。例示の回路素子は、共通パッケージ基板上に配置することができる。パッケージ基板は、例えば積層基板としてよい。図7A、7B及び7Cは、一定の実施形態に係る例示のパッケージ状モジュールの模式的なブロック図である。当該パッケージ状モジュールの特徴の任意の適切な組み合わせを相互に一緒に実装することができる。
図7Aは、フィルタ91及びアンテナスイッチ92を含むモジュール90の模式的なブロック図である。モジュール130は、例示の要素を封入するパッケージを含み得る。フィルタ91及びアンテナスイッチ92は、共通パッケージ基板上に配置することができる。パッケージ基板は、例えば積層基板としてよい。フィルタ91は、ここに開示される一つ以上の適切な弾性波デバイスを含み得る。フィルタ91は、相互に積層されたダイを含み得る。ここで、ダイは、ここに開示される一つ以上の弾性波デバイスを含む。アンテナスイッチ92は、多投無線周波数スイッチとしてよい。アンテナスイッチ92は、フィルタ91の選択されたフィルタを、モジュール90のアンテナポートに電気的に結合することができる。フィルタ91は、共通ノードに一緒に結合されてマルチプレクサとして配列された2つ以上の弾性波フィルタを含み得る。かかるマルチプレクサは、デュプレクサ、クアッドプレクサ、ヘキサプレクサ、オクタプレクサ等をしてよい。
図7Bは、フィルタ91、無線周波数スイッチ96及び電力増幅器97を含むモジュール94の模式的なブロック図である。電力増幅器97は無線周波数信号を増幅することができる。無線周波数スイッチ96は、電力増幅器97の出力を、フィルタ91の選択されたフィルタに電気的に結合することができる。フィルタ91は、ここに開示される一つ以上の弾性波デバイスを含み得る。フィルタ91は、相互に積層されたダイを含み得る。ここで、ダイは、ここに開示される一つ以上の弾性波デバイスを含む。フィルタ91は、共通ノードに一緒に結合されてマルチプレクサとして配列された2つ以上の弾性波フィルタを含み得る。かかるマルチプレクサは、デュプレクサ、クアッドプレクサ、ヘキサプレクサ、オクタプレクサ等をしてよい。
図7Cは、電力増幅器97、無線周波数スイッチ96、フィルタ91及びアンテナスイッチ92を含むモジュール98の模式的なブロック図である。モジュール98は、モジュール98が付加的にアンテナスイッチ92を含む点を除き、図7Bのモジュール94と同様である。
弾性波デバイス、弾性波デバイスアセンブリ及び/又はパッケージ状モジュールのいずれも、無線通信デバイスに実装することができる。図8は、一つ以上の実施形態に係るフィルタ103を含む無線通信デバイス100の模式的なブロック図である。無線通信デバイス100は、任意の適切な無線通信デバイスとしてよい。例えば、無線通信デバイス100は、スマートフォンのような携帯電話機としてよい。例示のように、無線通信デバイス100は、アンテナ101、RFフロントエンド102、RF送受信器104、プロセッサ105、メモリ106及びユーザインタフェイス108を含む。アンテナ101は、RFフロントエンド102が与えるRF信号を送信することができる。かかるRF信号は、キャリアアグリゲーション信号を含み得る。アンテナ101は、受信したRF信号を、処理を目的としてRFフロントエンド102に与えることができる。無線通信デバイス100は、一定の例において、2つ以上のアンテナを含み得る。
RFフロントエンド102は、一つ以上の電力増幅器、一つ以上の低雑音増幅器、RFスイッチ、受信フィルタ、送信フィルタ、デュプレクスフィルタ、マルチプレクサのフィルタ、ダイプレクサ若しくは他の周波数マルチプレクシング回路のフィルタ、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。RFフロントエンド102は、任意の適切な通信規格に関連付けられたRF信号を送信及び受信することができる。ここに開示される弾性波デバイスのいずれも、RFフロントエンド102のフィルタ103に実装することができる。ここに開示される弾性波デバイスアセンブリのいずれも、フィルタ103の一つ以上を実装することができる。したがって、フィルタ103は、弾性境界波を生成するべく配列された比較的薄い弾性波デバイスを含み得る。
RF送受信器104は、増幅及び/又は他の処理を目的としてRF信号をRFフロントエンド102に与えることができる。RF送受信器104はまた、RFフロントエンド102の低雑音増幅器が与えるRF信号を処理することができる。RF送受信器104はプロセッサ105と通信する。プロセッサ105はベース帯域プロセッサとしてよい。プロセッサ105は、無線通信デバイス100のための任意の適切なベース帯域処理機能を与えることができる。メモリ106は、プロセッサ105によりアクセスすることができる。メモリ106は、無線通信デバイス100のための任意の適切なデータを記憶することができる。ユーザインタフェイス108は、タッチスクリーン能力を有するディスプレイのような、任意の適切なユーザインタフェイスとしてよい。
上述された実施形態のいずれもが、セルラーハンドセットのような携帯デバイスに関連して実装することができる。実施形態の原理及び利点は、ここに説明される実施形態のいずれかから有益となり得るアップリンクセルラーデバイスのような、任意のシステム又は装置によって使用することができる。ここでの教示は、様々なシステムに適用可能である。本開示がいくつかの実施形態例を含むにもかかわらず、ここに説明される教示は、様々な構造に適用することができる。ここに説明される原理及び利点はいずれも、約450MHzから6GHzの範囲のような、約30kHzから300GHzの範囲にある周波数を有する信号を処理するべく構成されたRF回路に関連して実装することができる。ここに開示される弾性波フィルタは、約450MHzから6GHzの周波数範囲内の通過帯域を有する帯域通過フィルタとしてよい。ここに開示される弾性波フィルタはRF信号を、ミリメートル波周波数までの及びミリメートル波周波数を含む周波数においてフィルタリングすることができる。
本開示の複数の側面は、様々な電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの例は、消費者用電子製品、ダイ及び/又は弾性波フィルタアセンブリ及び/又はパッケージ状無線周波数モジュールのような消費者用電子製品の部品、アップリンク無線通信デバイス、無線通信インフラストラクチャ、電子試験機器等を含むがこれらに限られない。電子デバイスの例は、スマートフォンのような携帯型電話機、スマートウォッチ又はイヤーピースのような装着可能コンピューティングデバイス、電話機、テレビ、コンピュータモニタ、コンピュータ、モデム、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、電子レンジ、冷蔵庫、自動車、ステレオシステム、DVDプレーヤー、CDプレーヤー、MP3プレーヤーのようなデジタル音楽プレーヤー、ラジオ、ビデオカメラ、カメラ、デジタルカメラ、携帯型メモリーチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯/乾燥機、コピー機、ファックス機、スキャナ、多機能周辺デバイス、腕時計、置時計等を含むがこれらに限られない。さらに、電子デバイスは未完成の製品も含んでよい。
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたり、文脈上そうでないことが示されない限り、「含む」、「備える」等の単語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的意味に、すなわち「〜を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。ここで一般に使用される単語「結合」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。同様に、ここで一般に使用される単語「接続」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2以上の要素を言及する。加えて、単語「ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の単語は、本アプリケーションにおいて使用される場合、本アプリケーション全体を言及し、本アプリケーションの任意の固有部分を言及するわけではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する詳細な説明における単語はそれぞれ、複数又は単数をも含み得る。2つ以上の項目のリストを言及する単語「又は」及び「若しくは」は、当該単語の以下の解釈のすべてをカバーする。すなわち、当該リストの任意の項目、当該リストのすべての項目、及び当該リストの項目の任意の組み合わせである。
さらに、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例えば」、「のような」等のようなここに記載の条件付き言語は一般に、特にそうでないことが述べられ、又は使用の文脈上そうでないことが理解される場合を除き、所定の実施形態が所定の特徴、要素及び/又は状態を含む一方で他の実施形態がこれらを含まないことを伝えるように意図される。すなわち、かかる条件的言語は一般に、特徴、要素及び/若しくは状態が任意の態様で一つ以上の実施形態にとって必要であるとの示唆を意図しない。
所定の実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は、例示により提示されたにすぎないので、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載される新規な方法、装置及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに、ここに記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の要旨から逸脱することなくなし得る。例えば、ブロックが所与の配列で提示されるが、代替実施形態は、異なるコンポーネント及び/又は回路トポロジで同様の機能を果たすことができ、いくつかのブロックは削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正することができる。これらのブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することができる。上述した様々な実施形態の要素及び工程の任意の適切な組み合わせを、さらなる実施形態を与えるように組み合わせることができる。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。