JP2019189953A - 筒状編地及びそれを含む製品並びに衣料 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]弾性糸と非弾性繊維とからなる複合糸を含む筒状編地であって、着用想定伸長時の表面のクルトシス(Sku)が2.8〜5.0であり、かつ、カトーテック社製サーモラボII型KES−F7を用いて放熱量を測定するとき、下記式:
保温率=(W0−W)/W0×100(%)
{式中、W0=標準温湿度において、10cm×10cmのアルミニウム製の冶具に該筒状編地を取り付けない場合の放熱量、W=標準温湿度において、該冶具に該筒状編地を取り付けた場合の放熱量、である。}で求められる保温率が、0より小さいことを特徴とする前記筒状編地。
[2]前記[1]に記載の筒状編地を含むレッグ製品。
[3]レッグ部の股下から1/2の位置で編地を経方向に80%まで伸長後元の長さに戻す伸縮工程を3回繰り返し、3回目の伸縮工程における50%時点での往路応力と復路応力を測定するとき、下記式:
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
で求められる応力比が0.35〜0.60である、前記[2]に記載のレッグ製品。
[4]レッグ部の股下から1/4の位置の大腿部に相当する部分の、着用想定伸長時のコース数が23〜28コース/インチ(2.54cm)である、前記[2]又は[3]に記載のレッグ製品。
[5]レッグ部の股下から1/4の位置の大腿部に相当する部分の、着用想定伸長時のウェール数が17〜25ウェール/インチ(2.54cm)である、前記[2]〜[4]のいずれかに記載のレッグ製品。
[6]前記筒状編地の裏目面が、外環境(空気)に接する側へ配される、前記[2]〜[5]のいずれかに記載のレッグ製品。
[7]前記[1]に記載の筒状編地を含み、かつ、少なくとも腕の一部を覆う衣料。
[8]全長の1/2の位置で編地を経方向に80%まで伸長後元の長さに戻す伸縮工程を3回繰り返し、3回目の伸縮工程における50%時点での往路応力と復路応力を測定するとき、下記式:
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
で求められる応力比が0.35〜0.60である、前記[7]に記載の衣料。
[9]全長の1/4の位置の着用想定伸長時のコース数が23〜28コース/インチ(2.54cm)である、前記[7]又は[8]に記載の衣料。
[10]全長の1/4の位置の着用想定伸長時のウェール数が17〜25ウェール/インチ(2.54cm)である、前記[7]〜[9]のいずれかに記載の衣料。
[11]前記筒状編地の裏目面が、外環境(空気)に接する側へ配される、前記[7]〜[10]のいずれかに記載の衣料。
本実施形態の筒状編地は、弾性糸と非弾性繊維とからなる複合糸を含む筒状編地であって、着用想定伸長時の表面のクルトシス(Sku)が2.8〜5.0であり、かつ、カトーテック社製サーモラボII型KES−F7を用いて放熱量を測定するとき、下記式:
保温率=(W0−W)/W0×100(%)
{式中、W0=標準温湿度において、10cm×10cmのアルミニウム製の冶具に該筒状編地を取り付けない場合の放熱量、W=標準温湿度において、該冶具に該筒状編地を取り付けた場合の放熱量、である。}で求められる保温率が、0より小さいことを特徴とする。
尚、本明細書中、レッグ製品、アームカバー等をまとめて「衣料製品」ともいう。また本明細書中、筒状編地の表目面とはニードルループ面を指し、一般的な丸編機を用いて筒状編地を編成する場合、編み下ろしの状態では表目面が外筒側へ配される。また筒状編地の裏目面はシンカーループ面を指し、丸編機を用いて筒状編地を編成する場合、編み下ろしの状態では内筒側へ配される。表目面を外環境に接する側へ配する衣料としたとき、ニードルループを形成する経方向の糸が凸部として浮き上がって見え、タテスジ状に見えることがある。特に低密度のレッグ製品としたときにはタテスジが目立ちやすく、審美性が悪くなることがある。他方、裏目面はシンカーループを形成する緯方向の糸が凸部となるが、こちらは低密度のレッグ製品としてもスジ状に見えにくく、審美性に優れる。
保温率=(W0−W)/W0×100(%)
{式中、W0=標準温湿度において、10cm×10cmのアルミニウム製の冶具に該筒状編地を取り付けない場合の放熱量、W=標準温湿度において、該冶具に該筒状編地を取り付けた場合の放熱量、である。}で求められるものである。本実施形態の筒状編地を用いた衣料製品では、着用想定伸長時の保温率が、0より小さい。保温率が0より小さいということは、放熱性が向上していることを意味する。
筒状編地を構成する糸の繊度を、所定範囲、好ましくは13〜25dtexとする。
以下に説明するように、レッグ製品では、周方向のウェール数を、所定範囲、好ましくは340〜440とする。
レッグ部の股下から1/4の位置の大腿部に相当する部分の、着用想定伸長時のコース数を所定範囲、好ましくは23〜28コース/インチ(2.54cm)とする。
レッグ部の股下から1/4の位置の大腿部に相当する部分の、着用想定伸長時のウェール数を所定範囲、好ましくは17〜25ウェール/インチ(2.54cm)とする。
レッグ製品の大腿部、脹脛部の着圧を、所定範囲とする、好ましくは大腿部で10〜20hPa、脹脛部で5〜30hPaとする。
以下に説明するように、レッグ製品の脹脛部の着圧調整因子である、サイズ比=(レッグ部の股下から1/4の位置での3kg荷重下幅方向長さ)/(レッグ部の股下から3/4の位置での3kg荷重下幅方向長さ)により求められるサイズ比を、所定範囲、好ましくは1.0〜1.7にする。
アームカバーにおいては、筒状編地の全長の1/4の位置の着用想定伸長時のコース数を、所定範囲、好ましくは23〜28コース/インチ(2.54cm)とする。
アームカバーにおいては、筒状編地の全長の1/4の位置の着用想定伸長時のウェール数を、所定範囲、好ましくは17〜25ウェール/インチ(2.54cm)とする。
アームカバーの着圧を、所定範囲とする、好ましくは5〜15hPa以下とする。
(i)放熱(肌、繊維から外環境への熱伝達)量を多くする、
(ii)レッグ製品着用による保温性を最小限にする、
(iii)レッグ製品着用時、歩行等の動作でレッグ製品の発熱を最小限にする。
レッグ製品着用により、脚(肌)の上に繊維の凸部ができる。この場合の放熱は、まず、脚からの熱が繊維に伝わり(熱伝達)、繊維内を熱が外環境(空気)に接する側へ移動し(熱伝導)、次いで、外環境に接する部分から熱が外環境(空気)へ伝達(熱伝達)して放熱される。この時、肌に接している繊維部分の面積よりも、繊維の凸部領域の面積の方が大きいため、繊維が接していない肌からの(素脚)の放熱よりも、肌に接している繊維からの放熱量が、相対的に大きくなる。従って、レッグ製品着用時の放熱量は、(繊維が接していない肌部分からの放熱)+(繊維が接している肌面積よりも広い面積の繊維からの放熱)となり、素脚の放熱量よりも大きくなる(すなわち、レッグ製品着用時により涼しくなる)。
そこで、繊維内の熱伝達、繊維と肌からの放熱を最大限にするために、編組織をなるべく平坦な組織とすることが好ましく、特に天竺組織が好ましい。タック等が入ると、編組織中に空気が入り込み保温効果となる。また、本実施形態においては、密度をなるべく小さくすることが好ましく、そのため、周方向のウェール数を340〜440ウェールとすることが好ましい。340ウェール未満では、放熱効果が小さく、また、レッグ製品としての品位もよくないことがある。他方、440ウェールより大きいと、肌の上の繊維と繊維との間隔が短くなり、そこに空気が溜まって保温効果となり易い。さらに、好ましい形態においては、レッグ製品の繊維の繊度をなるべく小さくしている。すなわち、複合糸の繊度を13〜30dtexとすることが好ましい。13dtex未満では、レッグ製品の強度が弱まることがある。他方、30dtexより大きいと、保温効果が強まることがある。さらに、本実施形態においては、サイズ比を最適化することが好ましい。大腿部から脹脛部まで最適な密度でレッグ製品が製造できればよいのであるが、編機の針本数(ウェール数)は一定であるため、コース数を変えて放熱が最大となる密度とすればよいが、大腿部はこの調整はし易いものの、脹脛部の調整は困難である。他方、脹脛部に最適なウェール数とすると、かなり粗ゲージの編機が必要で、この編機で大腿部まで編成すると、強度が弱く、品位もよくないレッグ製品となってしまう。そこで、本願発明者らは、冷感にとって脚の部位別の効果を検討した結果、大腿部が最も冷感を感じるため、脹脛部は多少犠牲にして、大腿部の放熱効果を最大限に生かしつつ、脹脛部も保温効果とならず、多少でも冷感を感じる設計について検討し、サイズ比が重要であることを見出したものである。さらにまた、本実施形態では、複合糸を構成する一素材として、熱伝導率の高いポリアミド繊維を使用することが好ましい。
前記したような、密度、繊度、サイズ比の最適化により、本実施形態においては、保温効果の高い空気を繊維間に含有することを最小限にでき、その結果、保温効果も最小化できる。
レッグ製品に使用している弾性糸は、伸長で発熱、緩和で吸熱を繰り返し、この伸縮を繰り返すと発熱よりも吸熱が小さいため熱が蓄積されて、レッグ製品自体が発熱してくる。この発熱を捉える指標が応力比であり、応力比が低いと着用で暑くなるレッグ製品となる。そこで、応力比で発熱は捉えられ、この調整は複合糸のドラフト率等により可能であり、レッグ製品が伸びても元に戻る力が強くなれば、応力比が高くなる。また、シリコン加工等により滑り易くし、編地経方向の平均摩擦係数を規定の範囲にすることにより編地が滑り易く伸長しても元の長さに戻ろうとする際に編地内の摩擦が小さく、応力比が向上して発熱は低くなる。
サイズ比=(レッグ部の股下から1/4の位置での3kg荷重下幅方向の長さ)/(レッグ部の股下から3/4の位置での3kg荷重下幅方向の長さ)
により求められるサイズ比が、1.0〜1.7の範囲、好ましくは1.2〜1.7、より好ましくは1.2〜1.35の範囲とすれば、大腿部、脹脛部とも暑熱環境下において、レッグ製品が見掛け上肌面積の増大につながる。尚、前記したように、各部のサイズ変更は、ループ長の調整により可能であり、短いループで編成、すなわち、ループ長が短い場合は小さいサイズとなり、長いループで編成、すなわち、ループ長が長い場合は大きいサイズとすることができ、通常レッグ製品では、大腿部から編成し始め、以降、大腿部〜膝部〜脹脛部〜足首までの編成時、大腿部のループ長から徐々にループ長を短くして編成して、規定のサイズとなるよう設計すればよい。
ここで、サイズ比を測定する部位について、レッグ製品を未伸長状態で机上に置き、図1に示すような爪先部が縫合されたレッグ製品のレッグ長1は、レッグ製品両脚の付け根部分の股下から爪先までの長さ、また、図2に示すように足部が足型のレッグ製品は、両脚の付け根部分から足型の部分でレッグ長1が最も長い間の長さ、爪先のない図3のレギンス等では、足首辺りのレッグ端部までの長さを測定してレッグ長1とし、レッグ長を4等分して、ほぼ大腿部に相当する股下からレッグ長の1/4の位置(図1では4の長さ)のレッグの幅方向のサイズ(図1では「2」のサイズ)、ほぼ脹脛部に相当する股下からレッグ長の3/4の位置(図1では6の長さ)のレッグ部の幅方向のサイズ(図1では「3」のサイズ)を、筒状編地の幅方向両端部を筒のまま把持し、3kg荷重下での幅方向長さを測定し、上記式によりサイズ比を求める。尚、サイズ比は小数点以下3桁目を四捨五入して求める。
さらに、レッグ部の股下から1/4の位置での3kg荷重下幅方向長さと、レッグ部の股下から3/4の位置での3kg荷重下幅方向長さとで求めるサイズ比は、主に脹脛部の放熱効果を最大限にするために設定するが、大腿部の放熱効果を最大限にするためには、レッグ製品着用時に、なるべく、脚にフィットさせ空気の含有量を最小にするのがより効果的で、そのため、レッグ部の股下から1/4の位置での3kg荷重下の、幅方向ストレッチ長が、下記式:
幅方向ストレッチ長(cm)=周方向のウェール数 × 0.11〜0.14
の範囲とすることが好ましい。
幅方向のストレッチ長が、レッグ製品の周方向のウェール数×0.11より小さい場合は、かなり着圧の高いレッグ製品となり、締め付け感が強すぎ、また、レッグ製品の周方向のウェール数×0.14より大きい場合は、脚にフィットしにくくなり、空気層が滞留して涼しいレッグ製品とはならないことがある。従って、幅方向のストレッチ長は、周方向のウェール数×0.11〜0.14、好ましくは、0.12〜0.13とすれば涼しいレッグ製品が得られやすい。なお、着圧は、使用する繊維の繊度や、編地の度目によっても、調整することができる。
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
により求められる応力比を、0.35〜0.60とするのが好ましく、0.40〜0.60がより好ましい。尚、応力比は小数点以下3桁目を四捨五入して求める。
500回の伸縮中又は伸縮完了直後に、編地温度が試験開始前編地温度より高くなれば、伸長時に発熱していることを示す。本実施形態のレッグ製品の編地は、この方法により測定した伸長時の発熱温度が0.4℃以下あることが好ましく、0.4℃より高く発熱する編地は、暑熱環境下での着用、運動により蒸れ感を感じて不快である。そのため、伸長時の発熱温度は、好ましくは0.4℃以下、より好ましくは0.3℃以下である。尚、発熱温度はサーモグラフィで観察し、小数点2ケタ目を四捨五入して伸長時の発熱温度とする。
本実施形態のレッグ製品は弾性糸と非弾性繊維とからなる複合糸によりレッグ部が構成されている。前記複合糸は、弾性糸に非弾性繊維を巻きつけたSCYやDCYのカバーリング糸や、撚糸でも可能である。
本実施形態のレッグ製品は、放熱量を多くするために、若干ウェール数を少なくしてもよい。しかし、一般的にウェール数が少ないレッグ製品は、着用状態によってはループがひずみ、密度の粗密が生じることにより、該レッグ製品に濃淡が生じ易く、審美性がよくないことがある。そこで、審美性の良いレッグ製品について検討した結果、特に審美性がよくわかる大腿部の密度を適正な範囲にすることにより、良好な審美性を持つレッグ製品が製造できることが分かった。すなわち、レッグ部の股下から1/4の位置の大腿部に相当する部分の、着用想定伸長時のコース数を、例えば、23〜28コース/インチ(2.54cm)とすることにより、着用時に濃淡が発生しにくく、審美性に優れるレッグ製品となることが分かった。尚、23コース/インチ(2.54cm)未満では、放熱の効果が低くなり、また、窮屈で着圧の高いレッグ製品となることがあり、28コース/インチ(2.54cm)より多い場合は、濃淡が発生して審美性がよくないことがある。
大腿部に相当する部分のコース数の測定の仕方については、実施例にて説明する。
本実施形態のレッグ製品の染色仕上げ方法としては、通常の染色仕上げ工程を使用でき、使用する繊維素材に応じた染色条件とし、使用する染色機もパドル染色機、ドラム染色機など任意であり、吸水性や柔軟性を向上させる加工剤や、冷感を高める加工剤の使用も可能であり、仕上げセットについてはなるべく編地に熱がかからない条件が好ましく、105℃以下20秒以下が好ましい。
本実施形態のレッグ製品は、好適には、パンティストッキング、レギンスの形態であり、スパッツ、スポーツタイツ、コンプレッションタイツ等のスポーツ、インナー用等ボトム類としても使用可能であり、暑熱環境下での着用時、涼しいレッグ製品である。
但し、本実施形態のアームカバーでは、暑熱環境下での着用で、腕の運動によりアームカバーが発熱し、不快となる場合があるため、アームカバーは運動時にも発熱しないことも重要である。そのため、レッグ製品同様、運動時の発熱に大きく影響することが知られている応力比を調整することが好ましい。すなわち、ほぼ肘に相当するアームカバーの全長7の1/2の位置(図4では8の部分)の編地をサンプリングし、該編地経方向に80%まで伸長し、その後元の長さに戻す工程を3回繰り返し、3回目の伸縮工程において、50%時点での往路応力と、緩和過程の50%時点での復路応力を測定し、下記式:
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
により求められる応力比を、0.35〜0.60とするのが好ましく、0.40〜0.60がより好ましい。尚、応力比は小数点以下3桁目を四捨五入して求める。尚、指先までを含むアームカバーでは、肘部に相当する全長の1/2の位置(8)は図5に示すとおりである。
レッグ製品の場合は、図1の1に示す、筒状編地両脚の付け根部分の股下から、爪先付の筒状編地は爪先までの長さ、爪先のないレギンス等では、足首辺りのレッグ端部までの長さを未伸長状態で机上に置いてレッグ長を測定し、その長さを4等分して股下からの長さ1/4の位置に線を引いた(図1の「2」)。少なくとも腕の一部を覆う衣料においては、未伸長状態で机上に置いて全長を測定し、その長さを4等分して、全長の1/4(図4、図5の「9」の長さ)の位置に線を引いた。長さ1/4のラインが中央になるように、直径14cm、周径44cm、長さ30cmの円筒に筒状編地をかぶせ、長手方向200%の伸び率となるように引き延ばした。すなわち初期長10cmとし、30cmまで引き延ばした。長さ1/4のラインが中央になるように、直径8cm、枠幅8mmの紙製の円形枠板枠板を筒状編地に重ね、瞬間接着剤で前記枠板を筒状編地に固定した。枠板の外側の生地を裁断し、着用想定伸長状態のサンプリングを行った。これを着用想定の伸長状態での評価に用いた。
サンプリングした生地について、ワンショット3D測定マイクロスコープVR−3000(キーエンス社製)にて拡大率を40倍とし、スーパーファインモードにて生地表面の3D画像の測定をし、観察アプリケーションVR−H1Vを用いて表面粗さ計測を実施した。解析範囲は画面全体を指定し、解析を行った。
(1)で用いたサンプルについて、20℃65%RHの環境下で24時間調湿を行い、サーモラボII型KES−F7(カトーテック社製)を用いて放熱量の測定を行った。パンスト着用時は肌と生地とが密着した状態である。これを再現するために、10cm×10cmのアルミニウム製の治具を作成し、これを熱源台の上に乗せて、さらにその上にサンプルをかぶせることで筒状編地の密着状態を再現した。予めサンプルをとりつけない状態での放熱量(消費電力W0)を測定しておき、サンプルを取り付けた状態での放熱量Wを測定した。これらの測定値から下記式:
保温率=(W0−W)/W0×100(%)
により保温率を求めた。
環境温度:20℃65%RH
風洞内風速:1m/sec
熱源台(BT板)温度:30℃
レッグ製品の場合は(1)で測定したレッグ長の股下から1/2の位置(図1の5の長さの位置)で、少なくとも腕の一部を覆う衣料の場合は全長の1/2の位置(図4、図5の「8」)で次の大きさにサンプリングし、経方向(長さ方向)についてのみ測定した。
試料の大きさ:長さ:100mm(把持部除く)、幅:筒状の編地のまま経方向(長さ方向)に3つ折りにして把持部に把持させる
引張り試験機:テンシロン引張り試験機((株)オリエンテック製 RTC−1210A)
把持部の幅:60mm
初荷重:0.1N
引張り速度、及び回復速度:300mm/分
引張り長、及び測定:80%伸長まで伸長し、同じ速度で伸長後元の長さに戻し(回復させ)、この条件で伸長、回復を3回繰り返し、3回目の伸縮途中の50%時点での往路応力と復路応力を求め、下記式(2):
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
により、小数点以下3桁目を四捨五入して求めた。
レッグ製品の場合は(1)で測定したレッグ長の股下から1/2の位置(図1の5の長さの位置)で、少なくとも腕の一部を覆う衣料の場合は全長の1/2の位置(図4、図5の「8」の位置)で、次の大きさにサンプリングした。
試料の大きさ:長さ:100mm(把持部除く)、幅:筒状の編地のまま経方向に2つ折りにして把持部に把持させる(編地は4枚重ねとなる)
繰り返し伸縮機:デマッチャー試験機((株)大栄科学精器製作所製)
測定環境:温度20℃、湿度65%RHの恒温恒湿条件。伸縮以外に外部からのエネルギー供給を受けない状態で測定した。
伸び率:初期長に対して110%(初期長が100mmであるので、伸長して把持部の間隔が210mmまで開くことになる)
繰り返し伸縮サイクル:100回/分
発熱温度測定:繰り返し伸長500回中、及び伸長終了後の試料表面温度を連続的にサーモグラフィで測定する。サーモグラフィの放射率は1.0に設定した。
発熱温度評価:測定する試料表面が最高温となったときの温度を読み取り、伸縮前の温度と比べ上昇した温度を瞬間発熱温度とした。
前記(1)にてサンプリングした生地について、1インチの長さ間のコース数を測定した。周方向に3カ所以上サンプリングし、コース数の測定を行い、その平均の小数点以下を四捨五入して、大腿部のコース数とした。
同じサンプルの1インチの長さ間のウェール数についても同様に測定した。
(1)で測定したレッグ長の股下からの長さ1/4の位置(図1の「2」の位置)と、3/4の位置(図1の「3」の位置)で、筒状編地の幅方向両端部を筒のまま直径10mmの把持部で把持し、3kg荷重下で図1の2と3の幅方向長さを測定し、下記式(1):
サイズ比=(レッグ部の股下から1/4の位置での3kg荷重下幅方向長さ)/(レッグ部の股下から3/4の位置での3kg荷重下幅方向長さ)
によりサイズ比を求めた。サイズ比は小数点以下3桁目を四捨五入して求めた。
(1)で用いたサンプルについて、表面試験機KES−FB4−A(カトーテック(株)製)にて、平均摩擦係数を測定した。サンプルを測定台上に置き、肌面側を接触子で摩擦した。小数点以下第3位を四捨五入して求めた。
測定環境:温度20℃、湿度65%RH
接触子:10mm角、1mm/sec
製造した筒状編地製品を30℃50%RHの環境下で着用し、トレッドミルを使用して5km/Hrで3分間歩行を行い、人体正面から歩行前と歩行後の表面温度を放射率1.0に設定したサーモグラフィで観察した。パンティストッキングやレギンスといったレッグ製品の場合は、大腿部からくるぶしまでの脚部表面温度を、ゲイターやサポーターのようなレッグ製品の場合は、筒状編地により覆われる脚部表面温度を、アームカバーのような少なくとも腕の一部を覆う衣料の場合は、筒状編地により覆われる腕部表面温度をサーモグラフィにより観察し、歩行前後の平均温度を画像解析により求め、歩行前の脚部全体の平均温度からどれぐらい変化したかを次式:
着用発熱温度=(歩行前の脚部又は腕部の温度)―(歩行後の脚部又は腕部の温度)
により求めた。ここで、着用発熱温度がマイナス0.5℃以上の場合は、暑熱環境下でも涼しい。また、温度解析では、小数点2桁目を四捨五入して着用発熱温度とした。尚、着用発熱温度は、歩行により初期は肌表面の血流が筋肉へ行くため肌表面温度は低下し、長時間の歩行により筋肉も発熱して徐々に肌温度も上昇することが知られているが、歩行による筋肉発熱の影響を受けないよう歩行は3分間とし、本発明で規定する範囲外の比較品も歩行前より歩行後は肌温度が低下するが、より大きく低下する方が運動時涼しいと言える。
筒状編地を黒色の足型(ザルツマン社製、Mサイズ)にかぶせ、大腿部のスジ、及び大ループ密度の偏りによる濃淡の程度を下記基準にて目視判定した。尚、〇、△であれば、審美性として問題ない程度である。
◎ : スジや密度差がわからず、非常に美しい外観の筒状編地である。
○ : 密度差がわからず、美しい外観の筒状編地である。
△ : ところどころスジやループの密度差があるが、気にならない程度である。
× : スジがはっきりと見え、密度差が大きく極めて審美性がよくない。あるいは、窮屈で着圧が高すぎる。
筒状編地を黒色の円筒(直径8.6cm、長さ60cm)にかぶせ、腕部のスジ、及び大ループ密度の偏りによる濃淡の程度を(9)と同じ基準で目視判定した。
製造した筒状編地製品を30℃50%RHの環境下で着用し、トレッドミルを使用して5km/Hrで3分間歩行を行い、その時の着用感を「素脚よりも涼しい」、「涼しい」、「普通」、「蒸し暑い」、「蒸し暑く不快」の5段階で評価した。
弾性糸19dtex(商品名ロイカSF:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸13dtex/7フィラメントを、弾性糸のドラフト率2.5、撚り数2000T/mでカバーリングして21dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸を使用して、針数400本のパンティストッキング編機を使用し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。ここで、パンティ部にあたる部分は、被覆弾性糸とポリアミド繊維加工糸78dtex/24フィラメントとを1本交互に編成し、股下からは被覆弾性糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。編成した編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。その後、編地を裏返し、2本のレッグ部編地の股部分を縫い合わせ、一足のパンティストッキングにした。さらにトークローザ―でつま先部分を縫い、再度表に返して、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が400ウェールのパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、特に運動後の脚部の温度低下が大きく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
実施例1において、針数352本のパンティストッキング編機を使用し、他の製造条件は同じとした周方向のウェール数が352ウェールのレギンスを製造した。結果を以下の表1に示す。
弾性糸19dtex(商品名ロイカBZ:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸11dtex/6フィラメントを、弾性糸のドラフト率2.5、撚り数2000T/mでカバーリングして19dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸を使用して、針数430本のパンティストッキング編機を使用し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。ここで、パンティ部にあたる部分は、被覆弾性糸とポリアミド繊維加工糸78dtex/24フィラメントとを1本交互に編成し、股下からは被覆弾性糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。編成した編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。その後、編地を裏返し、2本のレッグ部編地の股部分を縫い合わせ、一足のパンティストッキングにした。さらにトークローザ―でつま先部分を縫い、再度表に返して、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が430ウェールのパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、特に運動後の脚部の温度低下が大きく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
実施例1において、レッグ部を編成した後、編成した編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。2本のレッグ部編地の股部分を縫い合わせ、一足のパンティストッキングにした。さらにトークローザ―でつま先部分を縫い、裏に返して、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が400ウェール、肌面側が表目面のパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、特に運動後の脚部の温度低下が大きく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
弾性糸17dtex(商品名ロイカBZ:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸10dtex/2フィラメントを、弾性糸のドラフト率2.5、撚り数2200T/mでカバーリングして17dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸を使用して、針数368本のパンティストッキング編機を使用し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。ここで、パンティ部にあたる部分は、被覆弾性糸とポリアミド繊維加工糸78dtex/24フィラメントとを1本交互に編成し、股下からは被覆弾性糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。編成した編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。その後、編地を裏返し、2本のレッグ部編地の股部分を縫い合わせ、一足のパンティストッキングにした。さらにトークローザ―でつま先部分を縫い、再度表に返して、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が368ウェールのパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、特に運動後の脚部の温度低下が大きく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
弾性糸17dtex(商品名ロイカBZ:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸8dtex/5フィラメントを、弾性糸のドラフト率3.0、撚り数2200T/mでカバーリングして14dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸を使用して、針数384本のパンティストッキング編機を使用し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。ここで、パンティ部にあたる部分は、被覆弾性糸とポリアミド繊維加工糸78dtex/24フィラメントとを1本交互に編成し、股下からは被覆弾性糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。編成した編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。2本のレッグ部編地の股部分を縫い合わせ、一足のパンティストッキングにした。さらにトークローザ―でつま先部分を縫い、裏に返して、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が384ウェール、肌面側が表目面のパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、特に運動後の脚部の温度低下が大きく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
実施例6において、針数352本のパンティストッキング編機を使用し、編成時のループの大きさを大きめに調整し、レッグ部を編成した。編成した編地を2本使用しパンティ部の縫製、及び、爪先部を縫製した。次いで、ドラム染色機に投入し、ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(メイシリコンASE68(明成化学工業(株)製))を6%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、100℃10秒間セットして、くるぶしまでの周方向のウェール数が352ウェール、肌面側が表目面のレギンスとした。製造できたレギンスのサイズ比、応力比、伸長時発熱温度を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、特に運動後の脚部の温度低下が大きく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
実施例1において、針数352本のパンティストッキング編機を使用し、アームカバーを編成した。上腕から前腕に向かって被覆弾性糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。生地の両末端部については、ポリエステル繊維の加工糸56/24と被覆弾性糸の2本取りでリブ組織を編成した。筒状編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行い、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を3%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、腕型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が352ウェールのアームカバーとした。製造したアームカバーの応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
実施例8において、編成した筒状編地を裏返して着用した。着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
弾性糸19dtex(商品名ロイカBZ:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸13dtex/7フィラメントを、弾性糸のドラフト率2.5、撚り数2000T/mでカバーリングして21dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸を使用して、針数400本のパンティストッキング編機を使用し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。ここで、パンティ部にあたる部分は、被覆弾性糸とポリアミド繊維加工糸78dtex/24フィラメントとを1本交互に編成し、股下からは被覆弾性糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。編成した編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。その後、編地を裏返し、2本のレッグ部編地の股部分を縫い合わせ、一足のパンティストッキングにした。さらにトークローザ―でつま先部分を縫い、再度表に返して、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行った後、ポリアミド系の加工剤(ソフテックスNF−10(北広ケミカル(株)製))を1%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、腕型の金枠にセットし、130℃20秒間セットして、周方向のウェール数が400ウェールのパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、特に運動後の脚部の温度低下が大きく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
弾性糸17dtex(商品名ロイカSF:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸13dtex/7フィラメントを、弾性糸のドラフト率3.0、撚り数1400T/mでカバーリングして19dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸とポリアミド繊維の原糸13dtex/7フィラメントを使用して、針数352本のパンティストッキング編機を使用し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。ここで、パンティ部にあたる部分は、被覆弾性糸とポリアミド繊維加工糸78dtex/24フィラメントとを1本交互に編成し、股下からは被覆弾性糸とポリアミド繊維の原糸13dtex/7フィラメントとを交互に編成して徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。編成した編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。その後、編地を裏返し、2本のレッグ部編地の股部分を縫い合わせ、一足のパンティストッキングにした。さらにトークローザ―でつま先部分を縫い、再度表に返して、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が352ウェールのパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、特に運動後の脚部の温度低下が大きく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
弾性糸19dtex(商品名ロイカSF:旭化成(株)製)とセルロース繊維の原糸22dtex/20フィラメントを、弾性糸のドラフト率2.5でパーンワインダー(村田機械社製303IIタイプ)を用いて引き揃えて空気交絡処理を施した。次いで、撚係数1000T/mで、撚方向Zの合撚糸条を作成した。空気交絡にはインタレーサーノズル(東レプレシジョン社製タイプPC−220)、空気圧;2.0kg/cm2 Gの条件で行った。また、合撚はダブルツイスター(村田機械社製310Fタイプ)を用い、スピンドル回転数10000rpmで行った撚り数1000T/mで撚糸機(村田機械製No.610C)を用いて撚糸して21dtexの複合撚糸とした。この複合撚糸を使用して、針数400本のパンティストッキング編機を使用し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。ここで、パンティ部にあたる部分は、該複合糸とセルロース繊維89dtex/48フィラメントとを1本交互に編成し、股下からは該複合糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。編成した編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。その後、編地を裏返し、2本のレッグ部編地の股部分を縫い合わせ、一足のパンティストッキングにした。さらにトークローザ―でつま先部分を縫い、再度表に返して、パドル染色機に投入した。セルロース繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が400ウェールのパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、着用で涼しく、特に運動後の脚部の温度低下が大きく、暑熱環境での着用でも涼しいことが判った。結果を以下の表1に示す。
弾性糸22dtex(商品名ロイカSF:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸13dtex/7フィラメントを、弾性糸のドラフト率2.5、撚り数2000T/mでカバーリングして22dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸を使用して、針数352本のパンティストッキング編機を使用し、編成時のループの大きさを小さめに調整し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。ここで、パンティ部にあたる部分は、被覆弾性糸とポリアミド繊維加工糸78dtex/24フィラメントとを1本交互に編成し、股下からは被覆弾性糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。編成した編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。その後、編地を裏返し、2本のレッグ部編地の股部分を縫い合わせ、一足のパンティストッキングにした。さらにトークローザ―でつま先部分を縫い、再度表に返して、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が352ウェールのパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、運動後の脚部の温度低下は見られたものの、着用感は蒸し暑いという回答が得られた。結果を以下の表1に示す。
弾性糸17dtex(商品名ロイカSF:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸13dtex/7フィラメントを、弾性糸のドラフト率2.5、撚り数2000T/mでカバーリングして20dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸を使用して、針数352本のパンティストッキング編機を使用し、編成時のループの大きさを大きめに調整し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。その他の条件は実施例1と同様にして製造したパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、運動後の脚部の温度低下は見られず、着用感も蒸し暑く不快という回答が得られた。結果を以下の表1に示す。
弾性糸22dtex(商品名ロイカSF:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸13dtex/7フィラメントを、弾性糸のドラフト率2.5、撚り数2000T/mでカバーリングして22dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸を使用して、針数430本のパンティストッキング編機を使用し、編成時のループの大きさを大きめに調整し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。その他の条件は実施例1と同様にして製造したパンティストッキングのサイズ比、応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、運動後の脚部の温度低下は見られず、着用感も蒸し暑いという回答が得られた。結果を以下の表1に示す。
実施例1において、針数520本のパンティストッキング編機を使用し、アームカバーを編成した。上腕から前腕に向かって被覆弾性糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成した。生地の両末端部については、ポリエステル繊維の加工糸56/24と被覆弾性糸の2本取りでリブ組織を編成した。筒状編地を金属製のセット型にかぶせ、スチームセット機を用い80℃でプレセットを行った。その後、パドル染色機に投入した。ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(SFCシリコンNu62(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、裏に返して腕型の金枠にセットし、115℃20秒間セットして、周方向のウェール数が520ウェール、肌面側が表目面のアームカバーとした。製造したアームカバーの応力比、肌面側の平均摩擦係数、伸長時発熱温度、幅方向のストレッチ長、コースウェール数を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、運動後の腕部の温度低下は見られず、着用感も蒸し暑く不快という回答が得られた。結果を以下の表1に示す。
弾性糸22dtex(商品名ロイカSF:旭化成(株)製)にポリアミド繊維の原糸13dtex/7フィラメントを、弾性糸のドラフト率3.0、撚り数1700T/mでカバーリングして21dtexの被覆弾性糸とした。この被覆弾性糸を使用して、針数352本のパンティストッキング編機を使用し、パンティストッキングのウエスト部にあたる部分から爪先まで編成した。ここで、パンティ部にあたる部分は、被覆弾性糸とポリアミド繊維加工糸78dtex/24フィラメントとを1本交互に編成し、股下からは被覆弾性糸のみで徐々にループの大きさを小さくしながら爪先部分まで編成し、編成した編地を2本使用しパンティ部の縫製、及び、爪先部を縫製した。次いで、パドル染色機に投入し、ポリアミド繊維の染色を行い、染色工程の最後にシリコン系の加工剤(メイシリコンASE68(明成化学工業(株)製))を5%owfパドル染色機に投入し、常温で5分間処理した。5分後にパドル染色機から取り出し、脱水、乾燥後、脚型の金枠にセットし、100℃10秒間セットして、周方向のウェール数が352ウェールのパンティストッキングとした。製造できたパンティストッキングのサイズ比、応力比、伸長時発熱温度を測定し、着用試験により涼しさを検証した結果、運動後の脚部の温度低下は大きかったが、着用感としては、やや着圧が低く、涼しいとまでは言えず、普通であるという回答が得られた。このときのクルトシスは2.7、保温率は0.2であった。結果を以下の表1に示す。
2 レッグ製品の股下から1/4の位置
3 レッグ製品の股下から3/4の位置
4 レッグ製品の股下から1/4の長さ
5 レッグ製品の股下から1/2の長さ
6 レッグ製品の股下から3/4の長さ
7 少なくとも腕の一部を覆う衣料の全長
8 少なくとも腕の一部を覆う衣料の全長の1/2の位置
9 少なくとも腕の一部を覆う衣料の全長の1/4の長さ
Claims (11)
- 弾性糸と非弾性繊維とからなる複合糸を含む筒状編地であって、着用想定伸長時の表面のクルトシス(Sku)が2.8〜5.0であり、かつ、カトーテック社製サーモラボII型KES−F7を用いて放熱量を測定するとき、下記式:
保温率=(W0−W)/W0×100(%)
{式中、W0=標準温湿度において、10cm×10cmのアルミニウム製の冶具に該筒状編地を取り付けない場合の放熱量、W=標準温湿度において、該冶具に該筒状編地を取り付けた場合の放熱量、である。}で求められる保温率が、0より小さいことを特徴とする前記筒状編地。 - 請求項1に記載の筒状編地を含むレッグ製品。
- レッグ部の股下から1/2の位置で編地を経方向に80%まで伸長後元の長さに戻す伸縮工程を3回繰り返し、3回目の伸縮工程における50%時点での往路応力と復路応力を測定するとき、下記式:
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
で求められる応力比が0.35〜0.60である、請求項2に記載のレッグ製品。 - レッグ部の股下から1/4の位置の大腿部に相当する部分の、着用想定伸長時のコース数が23〜28コース/インチ(2.54cm)である、請求項2又は3に記載のレッグ製品。
- レッグ部の股下から1/4の位置の大腿部に相当する部分の、着用想定伸長時のウェール数が17〜25ウェール/インチ(2.54cm)である、請求項2〜4のいずれか1項に記載のレッグ製品。
- 前記筒状編地の裏目面が、外環境(空気)に接する側へ配される、請求項2〜5のいずれか1項に記載のレッグ製品。
- 請求項1に記載の筒状編地を含み、かつ、少なくとも腕の一部を覆う衣料。
- 全長の1/2の位置で編地を経方向に80%まで伸長後元の長さに戻す伸縮工程を3回繰り返し、3回目の伸縮工程における50%時点での往路応力と復路応力を測定するとき、下記式:
応力比=(50%時点の復路応力(N))/(50%時点の往路応力(N))
で求められる応力比が0.35〜0.60である、請求項7に記載の衣料。 - 全長の1/4の位置の着用想定伸長時のコース数が23〜28コース/インチ(2.54cm)である、請求項7又は8に記載の衣料。
- 全長の1/4の位置の着用想定伸長時のウェール数が17〜25ウェール/インチ(2.54cm)である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の衣料。
- 前記筒状編地の裏目面が、外環境(空気)に接する側へ配される、請求項7〜10のいずれか1項に記載の衣料。
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