JP2019183069A - 樹脂付き強化繊維基材及びその製造方法、プリプレグの製造方法、繊維強化成形品の製造方法 - Google Patents
樹脂付き強化繊維基材及びその製造方法、プリプレグの製造方法、繊維強化成形品の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019183069A JP2019183069A JP2018078656A JP2018078656A JP2019183069A JP 2019183069 A JP2019183069 A JP 2019183069A JP 2018078656 A JP2018078656 A JP 2018078656A JP 2018078656 A JP2018078656 A JP 2018078656A JP 2019183069 A JP2019183069 A JP 2019183069A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- reinforcing fiber
- fluororesin
- reinforced
- manufacturing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
Abstract
Description
特許文献2には、熱可塑性樹脂とフッ素樹脂をドライブレンドしたマトリックス樹脂を強化繊維基材に含浸したプリプレグが開示されている。
特許文献3には、フッ素樹脂のみからなるマトリックス樹脂、又はフッ素樹脂が主成分である熱可塑性樹脂との混合樹脂からなるマトリックス樹脂を強化繊維基材に含浸したプリプレグが開示されている。
[1]強化繊維基材に、D50が0.5〜100μmのフッ素樹脂を含む粉体を、前記強化繊維基材と前記粉体の合計体積に対する前記強化繊維基材の体積の比率が0.70〜0.99となるように塗布する、樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
[2]前記粉体を塗布した前記強化繊維基材を前記フッ素樹脂の融点以上の温度で加熱する、[1]の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
[3]前記フッ素樹脂が、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有し、融点が100〜325℃のフッ素樹脂である、[1]又は[2]の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
[4]前記フッ素樹脂の融点が150℃以上260℃未満である、[3]の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
[5]前記フッ素樹脂の融点が260℃以上325℃以下である、[3]の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
[6]前記強化繊維基材が、強化繊維織物、強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維シート、又は強化繊維不織布のいずれかである、[1]〜[5]のいずれかの樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
[7]前記強化繊維基材に含まれる強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、又はアラミド繊維のいずれかである、[1]〜[6]のいずれかの樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
[8][1]〜[7]のいずれかの樹脂付き強化繊維基材の製造方法により樹脂付き強化繊維基材を製造し、前記樹脂付き強化繊維基材に、非フッ素樹脂を、前記強化繊維基材と前記樹脂付き強化繊維基材の樹脂由来の樹脂成分と前記非フッ素樹脂の合計体積に対する前記強化繊維基材の体積の比率が0.40〜0.60となるように含浸させる、プリプレグの製造方法。
[9]前記非フッ素樹脂が、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である、[8]のプリプレグの製造方法。
[10]前記非フッ素樹脂を含浸する前に前記樹脂付き強化繊維基材を表面処理する、[8]又は[9]のプリプレグの製造方法。
[11]強化繊維基材と、D50が0.5〜100μmのフッ素樹脂を含む粉体とを含み、前記強化繊維基材と前記粉体の合計体積に対する前記強化繊維基材の体積の比率が0.70〜0.99である、樹脂付き強化繊維基材。
[12][8]〜[10]のいずれかのプリプレグの製造方法によりプリプレグを製造し、前記プリプレグを用いた成形により繊維強化成形品を得る、繊維強化成形品の製造方法。
[13][1]〜[7]のいずれかの製造方法により得られた樹脂付き強化繊維基材を積層し複数の樹脂付き強化繊維基材からなる積層体を製造し、該積層体に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含浸させた後に成形する、繊維強化成形品の製造方法。
[14][1]〜[7]のいずれかの製造方法により得られた樹脂付き強化繊維基材と、熱可塑性樹脂からなるフィルムを、金型内に積層した後に、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱プレスして成形する、繊維強化成形品の製造方法。
粉体の「D50」は、レーザー回折・散乱法によって求められる体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
「融点」とは、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度を意味する。
「溶融成形可能」であるとは、溶融流動性を示すことを意味する。
「溶融流動性を示す」とは、荷重49Nの条件下、樹脂の融点よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が0.01〜1000g/10分となる温度が存在することを意味する。
「溶融流れ速度」とは、JIS K 7210:1999(ISO 1133:1997)に規定されるメルトマスフローレート(MFR)を意味する。
「単量体に基づく単位」は、単量体1分子が重合して直接形成される原子団と、該原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。本明細書において、単量体に基づく単位を、単に、単量体単位とも記す。
「単量体」とは、重合性二重結合等の重合性不飽和結合を有する化合物である。
「酸無水物基」とは、−C(=O)−O−C(=O)−で表される基を意味する。
「カルボニル基含有基」とは、構造中にカルボニル基(−C(=O)−)を有する基である。
「エーテル性酸素原子」とは、炭素−炭素原子間に1個存在する酸素原子(−C−O−C−)である。
「ペルフルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基である。「ペルフルオロアルキレン基」とは、アルキレン基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基である。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
エチレンに基づく単位とテトラフルオロエチレンに基づく単位を有する共重合体を「エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体」と記す。他の共重合体についても同様に記す。
本発明の樹脂付き強化繊維基材は、強化繊維基材と、D50が0.5〜100μmのフッ素樹脂を含む粉体(以下、「粉体A」と記す。)とを含む。
強化繊維基材に用いる強化繊維としては、無機繊維、金属繊維、有機繊維を例示できる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維を例示できる。
金属繊維としては、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維を例示できる。
有機繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維を例示できる。
強化繊維としては、入手性の点から、炭素繊維、ガラス繊維、又はアラミド繊維のいずれかが好ましい。
強化繊維としては、長さが10mm以上の連続した長繊維が好ましい。強化繊維は、強化繊維基材の長さ方向の全長又は幅方向の全幅にわたり連続している必要はなく、途中で分断されていてもよい。
炭素繊維表面には繊維の取り扱いを容易にするためのコーティング(サイジングとも呼ぶ)がされているが、本発明においては、コーティングされた炭素繊維、コーティング剤を除去した炭素繊維のどちらも用いることができる。
粉体Aは、フッ素樹脂を主成分とすることが好ましい。フッ素樹脂が主成分であれば、繊維強化成形品の比誘電率及び誘電正接をより低くできる。また、嵩密度の高い粉体Aが得られやすい。粉体Aの嵩密度が大きいほど、ハンドリング性に優れる。フッ素樹脂を主成分とする粉体Aとは、粉体A中のフッ素樹脂の割合が80質量%以上であることを意味する。フッ素樹脂の割合は、粉体Aのうち85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
融点が比較的高いフッ素樹脂を用いた場合、高い耐熱性を有する繊維強化成形品が得られるので好ましい。この点では、フッ素樹脂の融点は、260〜325℃が好ましく、280〜325℃がより好ましい。
なお、フッ素樹脂の融点は、フッ素樹脂を構成する単位の種類や含有割合、分子量等によって調整できる。例えば、後述の単位u1の割合が多くなるほど融点が高くなる傾向がある。
なお、フッ素樹脂は、官能基fを有しないフッ素樹脂であってもよい。
カルボニル基含有基としては、例えば、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有する基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、酸無水物基等が挙げられる。
ハロホルミル基は、−C(=O)−X(ただし、Xはハロゲン原子である。)で表される。ハロホルミル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。すなわちハロホルミル基としてはフルオロホルミル基(カルボニルフルオリド基ともいう。)が好ましい。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。
含フッ素重合体X:TFE又はCTFEに基づく単位(以下、「単位u1」とも記す)と、酸無水物基を有する環状炭化水素単量体(以下、「酸無水物系単量体」とも記す。)に基づく単位(以下、「単位u2」とも記す)と、含フッ素単量体(ただし、TFE及びCTFEを除く。)に基づく単位(以下、「単位u3」とも記す)とを有する含フッ素重合体。
酸無水物系単量体としては、IAH、CAH及びNAHが好ましい。IAH、CAH及びNAHのいずれかを用いると、無水マレイン酸を用いた場合に必要となる特殊な重合方法(特開平11−193312号公報参照)を用いることなく、酸無水物基を有する含フッ素重合体Xを容易に製造できる。
酸無水物系単量体としては、繊維強化成形品における部材間(層間)での接着性にさらに優れる点から、IAH及びNAHが好ましい。
PAVEとしては、CF2=CFORf1(ただし、Rf1は炭素数1〜10で炭素原子間にエーテル性酸素原子を含んでもよいペルフルオロアルキル基である。)等が挙げられる。
PAVEとしては、CF2=CFOCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF3(以下、「PPVE」とも記す。)、CF2=CFOCF2CF2CF2CF3、CF2=CFO(CF2)8F等が挙げられ、PPVEが好ましい。
FAEとしては、CH2=CH(CF2)q1X4(ただし、q1は、2〜6であり、2〜4が好ましい。)が好ましく、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F、CH2=CH(CF2)4F、CH2=CF(CF2)3H、CH2=CF(CF2)4Hがより好ましく、CH2=CH(CF2)4F(以下、「PFBE」とも記す。)及びCH2=CH(CF2)2F(以下、「PFEE」とも記す。)が特に好ましい。
単位u1の割合は、90〜99.89モル%が好ましく、95〜99.47モル%がより好ましく、96〜98.95モル%がさらに好ましい。
単位u2の割合は、0.01〜3モル%が好ましく、0.03〜2モル%がより好ましく、0.05〜1モル%がさらに好ましい。
単位u3の割合は、0.1〜9.99モル%が好ましく、0.5〜9.97モル%がより好ましく、1〜9.95モル%がさらに好ましい。
単位u2の割合が前記範囲内であれば、含フッ素重合体Xにおける酸無水物基の量が適切になり、繊維強化成形品における部材間(層間)での接着性にさらに優れる。
単位u3の割合が前記範囲内であれば、含フッ素重合体Xの成形性にさらに優れる。
各単位の割合は、含フッ素重合体Xの溶融NMR分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析等により算出できる。
非フッ素系単量体としては、重合性炭素−炭素二重結合を1つ有する非フッ素化合物が好ましく、例えば、オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン等)、ビニルエステル(酢酸ビニル等)等が挙げられる。非フッ素系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非フッ素系単量体としては、フッ素樹脂フィルムの機械的強度等に優れる点から、エチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
単位u1の割合は、25〜80モル%が好ましく、40〜65モル%がより好ましく、45〜63モル%がさらに好ましい。
単位u2の割合は、0.01〜5モル%が好ましく、0.03〜3モル%がより好ましく、0.05〜1モル%がさらに好ましい。
単位u3の割合は、0.2〜20モル%が好ましく、0.5〜15モル%がより好ましく、1〜12モル%がさらに好ましい。
エチレン単位の割合は、20〜75モル%が好ましく、35〜50モル%がより好ましく、37〜55モル%がさらに好ましい。
含フッ素重合体Xとしては、官能基fを有するPFAが好ましく、TFE/NAH/PPVE共重合体、TFE/IAH/PPVE共重合体、TFE/CAH/PPVE共重合体がより好ましい。
重合方法としては、塊状重合法、有機溶媒(フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等)を用いる溶液重合法、水性媒体と必要に応じて適当な有機溶媒とを用いる懸濁重合法、水性媒体と乳化剤とを用いる乳化重合法が挙げられ、溶液重合法が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、非フッ素系ジアシルペルオキシド(イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等)、ペルオキシジカーボネート(ジイソプロピルペルオキシジカ−ボネート等)、ペルオキシエステル(tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシアセテート等)、含フッ素ジアシルペルオキシド((Z(CF2)rCOO)2(ただし、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、rは1〜10の整数である。)で表される化合物等)、無機過酸化物(過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等)等が挙げられる。
官能基fをもたらす重合開始剤としては、ペルオキシカーボネート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル等の過酸化物系重合開始剤が好ましい。具体的には、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート等が挙げられる。
なお、粉体Aとしては、市販品を用いてもよい。
なお、比率QAは、樹脂付き強化繊維基材の製造時の仕込み量、及び材料の比重から算出できる。
本発明の樹脂付き強化繊維基材の製造方法としては、強化繊維基材に、粉体Aを、強化繊維基材と粉体Aの合計体積に対する強化繊維基材の体積の比率QAが0.70〜0.99となるように塗布する方法を例示できる。
分散液に用いる液状媒体としては、特に限定されず、水;メタノール、エタノール等のアルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素化合物;ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;乳酸エチル、酢酸エチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン類;エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類を例示できる。液状媒体としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分散液の固形分濃度は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
本発明のプリプレグの製造方法においては、前記した樹脂付き強化繊維基材の製造方法により樹脂付き強化繊維基材を製造し、樹脂付き強化繊維基材に、非フッ素樹脂を特定の比率で含浸させる。
非フッ素樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を例示できる。
結晶性樹脂としては、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリブチレン等)、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリアリーレンスルフィド樹脂(ポリフェニレンスルフィド等)、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、液晶ポリマーを例示できる。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂としては、繊維強化成形品の機械的特性の点から、エポキシ樹脂、アネートエステル樹脂が好ましく、エポキシ樹脂がより好ましい。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、硬化剤としては、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ビスアニリン、ベンジルジメチルアニリンを例示できる。
熱硬化性樹脂がシアネートエステル樹脂の場合、硬化剤としては、繊維強化成形品の靭性が向上する点から、ジエポキシ化合物が好ましい。
硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
比率QBは、0.40〜0.60であり、0.42〜0.60が好ましく、0.45〜0.60がより好ましい。比率QBが前記範囲の下限値以上であれば、繊維強化成形品の強度特性に優れる。比率QBが前記範囲の上限値以下であれば、繊維強化成形品の耐衝撃性に優れる。
なお、比率QBは、樹脂付き強化繊維基材の製造時の仕込み量とプリプレグの製造時の仕込み量、及び材料の比重から算出できる。
プラズマ処理に用いるプラズマ照射装置は、特に限定されず、高周波誘導方式、容量結合型電極方式、コロナ放電電極−プラズマジェット方式、平行平板型、リモートプラズマ型、大気圧プラズマ型、ICP型高密度プラズマ型等を採用した装置を例示できる。
プラズマ処理に使用するガスとしては、特に限定されず、酸素、窒素、希ガス(アルゴン)、水素、アンモニアを例示できる。
本発明の繊維強化成形品の製造方法は、本発明のプリプレグの製造方法によりプリプレグを製造し、前記プリプレグを用いた成形により繊維強化成形品を製造する方法である。
繊維強化成形品は、本発明の製造方法で製造したプリプレグのみを用いて製造してもよく、本発明の製造方法で製造したプリプレグと、本発明の製造方法で製造したプリプレグ以外の他のプリプレグとを用いて製造してもよい。本発明の製造方法で製造したプリプレグと、プリプレグ以外の他の部材とを用いて繊維強化成形品を製造してもよい。
プリプレグ以外の他の部材としては、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、黄銅、ニッケル、亜鉛等の金属からなる金属箔、樹脂フィルムを例示できる。
成形方法としては、金型を用いたプレス成形法、オートクレーブを用いた方法等が挙げられる。
また、本発明の樹脂付き強化繊維基材を製造し、該樹脂付き強化繊維基材と熱可塑性樹脂からなるフィルムを金型内に積層し、その後、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で加熱プレスすることによっても、本発明の繊維強化成形品を得ることができる。樹脂付き強化基材をAとし、熱可塑性樹脂からなるフィルムをBとした場合、上記積層はABABABと交互に積層してもよく、AABAABBなど不規則な順序で積層してもよい。
[測定方法]
フッ素樹脂及び粉体についての各種測定方法を以下に示す。
(1)共重合組成
フッ素樹脂の共重合組成は、溶融NMR分析およびフッ素含有量分析により求めた。
セイコー電子社製の示差走査熱量計(DSC装置)を用い、フッ素樹脂を10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークを記録し、極大値に対応する温度(℃)を融点(Tm)とした。
テクノセブン社製のメルトインデクサーを用い、下記温度および荷重下で、直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間(単位時間)に流出するフッ素樹脂の質量(g)を測定してMFRとした。
堀場製作所社製のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA−920測定器)を用い、粉体を水中に分散させ、粒度分布を測定し、D50(μm)を算出した。
東洋精機社製の引張圧縮試験機「ストログラフR−2」を用いて、ロードセル定格1000kg、速度5mm/分、支点間距離8cmの条件で成形品の曲げ強度を測定した。
本実施例で使用した樹脂材料を以下に示す。
(フッ素樹脂F)
フッ素樹脂F−1:国際公開第2016/006644号の例5と同様にして、共重合組成がTFE単位/エチレン単位/CH2=CH(CF2)2F単位/IAH単位(モル比)=54.7/42.8/2.1/0.4のフッ素樹脂を製造した。融点は240℃、MFR(297℃、荷重49N)は20.6g/10分、比重は1.76であった。
ポリアミド樹脂B−1:ポリアミド6(宇部興産社製、UBEナイロン 1022B、比重:1.14)。
フッ素樹脂F−1をアズワン社製冷凍粉砕機TPH−01により粉砕し、D50が50μmのフッ素樹脂の粉体A−1を得た。
非開繊カーボンクロス(サンライト社製、平織CF3000、厚さ:0.25mm、比重:1.80)を縦10cm×横10cmに切断して強化繊維基材とした。静電塗装により、前記強化繊維基材に粉体A−1を、強化繊維基材と粉体A−1の合計体積に対する強化繊維基材の体積の比率QAが0.90となるように塗布した。次いで、熱風循環式乾燥機にて260℃、3分間の条件で熱暴露し、樹脂付き強化繊維基材C−1を得た。
比率QAを0.50とする以外は、実施例1と同様に粉体A−1を強化繊維基材に塗布して樹脂付き強化繊維基材C−2を得た。
樹脂付き強化繊維基材C−2を10枚積層し、メルト熱プレス機(テスター産業社製)を用いて、温度280℃、圧力10MPa、プレス時間15分間(予熱工程:12分(加圧無し)、圧縮工程:3分)の条件でプレス成形し、厚さ2.2mmの繊維強化成形品を得た。
ポリアミド樹脂B−1とフッ素樹脂A−1を、体積比でポリアミド樹脂B−1:フッ素樹脂A−1=90:10になるようにドライブレンドし、2軸押出機(テクノベル社製、KZW15TW−45MG)に投入し、樹脂吐出量2.0kg/時間、スクリュー回転数200rpm、設定樹脂温度240℃の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。
単軸押出機(田辺プラスチックス機械社製、VS−30)及び400mm幅Tダイを用い、設定樹脂温度260℃、回転数50rpm、ライン速度2.0m/分にて前記樹脂組成物を押出成形し、厚さ50μmのブレンドフィルムを得た。前記ブレンドフィルムから縦10cm×横10cmのフィルムを2枚切り出した。それら2枚のフィルムを、非開繊カーボンクロス(サンライト社製、平織CF3000、厚さ0.25mm、比重:1.80)から切り出した縦10cm×横10cmの強化繊維基材の両面に積層し、メルト熱プレス機(テスター産業社製)を用いて、温度240℃、圧力1MPa、プレス時間3分間の条件でプレス成形してプリプレグP−2を得た。プリプレグP−2における、強化繊維基材とフッ素樹脂F−1とポリアミド樹脂B−1の合計体積に対する強化繊維基材の体積の比率QBは、0.50であった。
プリプレグP−2を11枚積層し、メルト熱プレス機(テスター産業社製)を用いて、温度280℃、圧力10MPa、プレス時間15分間(予熱工程:12分(加圧無し)、圧縮工程:3分)の条件でプレス成形し、厚さ2.2mmの繊維強化成形品を得た。
Claims (14)
- 強化繊維基材に、D50が0.5〜100μmのフッ素樹脂を含む粉体を、前記強化繊維基材と前記粉体の合計体積に対する前記強化繊維基材の体積の比率が0.70〜0.99となるように塗布する、樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
- 前記粉体を塗布した前記強化繊維基材を前記フッ素樹脂の融点以上の温度で加熱する、請求項1に記載の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
- 前記フッ素樹脂が、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有し、融点が100〜325℃のフッ素樹脂である、請求項1又は2に記載の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
- 前記フッ素樹脂の融点が150℃以上260℃未満である、請求項3に記載の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
- 前記フッ素樹脂の融点が260℃以上325℃以下である、請求項3に記載の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
- 前記強化繊維基材が、強化繊維織物、強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維シート、又は強化繊維不織布のいずれかである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
- 前記強化繊維基材に含まれる強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、又はアラミド繊維のいずれかである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂付き強化繊維基材の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂付き強化繊維基材の製造方法により樹脂付き強化繊維基材を製造し、前記樹脂付き強化繊維基材に、非フッ素樹脂を、前記強化繊維基材と前記樹脂付き強化繊維基材の樹脂由来の樹脂成分と前記非フッ素樹脂の合計体積に対する前記強化繊維基材の体積の比率が0.40〜0.60となるように含浸させる、プリプレグの製造方法。
- 前記非フッ素樹脂が、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である、請求項8に記載のプリプレグの製造方法。
- 前記非フッ素樹脂を含浸する前に前記樹脂付き強化繊維基材を表面処理する、請求項8又は9に記載のプリプレグの製造方法。
- 強化繊維基材と、D50が0.5〜100μmのフッ素樹脂を含む粉体とを含み、前記強化繊維基材と前記粉体の合計体積に対する前記強化繊維基材の体積の比率が0.70〜0.99である、樹脂付き強化繊維基材。
- 請求項8〜10のいずれか一項に記載のプリプレグの製造方法によりプリプレグを製造し、前記プリプレグを用いた成形により繊維強化成形品を得る、繊維強化成形品の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法により得られた樹脂付き強化繊維基材を積層し複数の樹脂付き強化繊維基材からなる積層体を製造し、該積層体に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含浸させた後に成形する、繊維強化成形品の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法により得られた樹脂付き強化繊維基材と、熱可塑性樹脂からなるフィルムを、金型内に積層した後に、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱プレスして成形する、繊維強化成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018078656A JP7206618B2 (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | プリプレグの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018078656A JP7206618B2 (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | プリプレグの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019183069A true JP2019183069A (ja) | 2019-10-24 |
JP7206618B2 JP7206618B2 (ja) | 2023-01-18 |
Family
ID=68339805
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018078656A Active JP7206618B2 (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | プリプレグの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7206618B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021049531A1 (ja) | 2019-09-10 | 2021-03-18 | 株式会社小糸製作所 | 車両用灯具、レーダモジュール、レーダ及び車両 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003213196A (ja) * | 2002-01-22 | 2003-07-30 | Asahi Glass Co Ltd | 含フッ素樹脂粉体塗料組成物および塗膜を有する物品 |
WO2017122740A1 (ja) * | 2016-01-13 | 2017-07-20 | 旭硝子株式会社 | プリプレグ、その製造方法および繊維強化成形品 |
WO2017130841A1 (ja) * | 2016-01-25 | 2017-08-03 | 旭硝子株式会社 | 粉体塗料、塗膜付き基材の製造方法、および塗装物品 |
-
2018
- 2018-04-16 JP JP2018078656A patent/JP7206618B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003213196A (ja) * | 2002-01-22 | 2003-07-30 | Asahi Glass Co Ltd | 含フッ素樹脂粉体塗料組成物および塗膜を有する物品 |
WO2017122740A1 (ja) * | 2016-01-13 | 2017-07-20 | 旭硝子株式会社 | プリプレグ、その製造方法および繊維強化成形品 |
WO2017130841A1 (ja) * | 2016-01-25 | 2017-08-03 | 旭硝子株式会社 | 粉体塗料、塗膜付き基材の製造方法、および塗装物品 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021049531A1 (ja) | 2019-09-10 | 2021-03-18 | 株式会社小糸製作所 | 車両用灯具、レーダモジュール、レーダ及び車両 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7206618B2 (ja) | 2023-01-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10920030B2 (en) | Prepreg, method for its production, and fiber-reinforced molded product | |
KR102581554B1 (ko) | 적층 기재 및 그 성형체의 제조 방법 | |
TWI719114B (zh) | 預浸體、其製造方法及纖維強化成形品 | |
TWI776955B (zh) | 樹脂組成物、成形品及其製造方法、預浸體及其製造方法、以及纖維強化成形品及其等之製造方法 | |
JPWO2016017801A1 (ja) | 樹脂パウダー、その製造方法、複合体、成形体、セラミックス成形体の製造方法、金属積層板、プリント基板及びプリプレグ | |
US11642874B2 (en) | Laminate and method for its production | |
JP6794996B2 (ja) | 硬化性組成物、硬化物、プリプレグおよび繊維強化成形品 | |
JP7206618B2 (ja) | プリプレグの製造方法 | |
JP2020111696A (ja) | 液状組成物及び積層体の製造方法 | |
JP2014030998A (ja) | 積層体 | |
CN116964138A (zh) | 改性氟树脂材料、电路基板用材料、电路基板用层积体、电路基板以及改性氟树脂材料的制造方法 | |
CN117642463A (zh) | 树脂组合物、树脂组合物的制造方法和成形体 | |
JP2014014975A (ja) | 積層体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210209 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220124 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220208 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220405 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220802 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220926 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20221206 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20221219 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7206618 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |