JP2019179671A - 蓄電モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性を向上可能な蓄電モジュールを提供する。【解決手段】蓄電モジュール12は、バイポーラ電極32の間の複数の内部空間Vと連通した開口50aが設けられた枠体50と、開口50aに接続される圧力調整弁60と、内部空間Vに収容された電解液と、を備える。圧力調整弁60は、ケース80と弁体90とカバー100と、を有する。ケース80には、開口50aを介して内部空間Vのそれぞれに連通すると共に弁体90のそれぞれを収容する複数の収容空間89Pが形成されている。カバー100には、複数の内部空間Vのうちの少なくとも1つから収容空間89P内に流入するガスを外部に排出するための排気口100aが設けられている。カバー100の外表面には、電解液を吸着するための不織布からなる吸着部材110Aが配置されている。【選択図】図4
Description
本発明は、蓄電モジュールに関する。
集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池(蓄電モジュール)が知られている(特許文献1参照)。この電池では、セパレータと集電体とシール部材とで画成された内部空間に、電解液が封入されている。電解液を含浸したセパレータからなる電解質層を介して、バイポーラ電極が積層されている。電池には、シール部を貫通するチューブが設けられている。チューブの一端は内部空間に臨み、他端は電池の外部空間に臨む。電池を使用している間、内部空間の圧力が上昇すると、このチューブが圧力調整弁として機能する。
しかしながら、上記特許文献1に記載の構成では、内部空間のガスがチューブを通って外部空間に排出される際に、ガスと共に電解液も外部空間に排出されて拡散されるおそれがある。電解液が外部おいて拡散されると、例えば隣接して配置された導電板の腐食や短絡などが生じるおそれがあり、信頼性の観点から好ましくない。
本発明は、信頼性を向上可能な蓄電モジュールを提供することを目的とする。
本発明に係る蓄電モジュールは、電極板と、電極板の一方面に設けられた正極と、電極板の他方面に設けられた負極とをそれぞれ含むと共に積層された複数のバイポーラ電極を有する積層体と、電極板の縁部を保持し、積層体において隣り合うバイポーラ電極の間の複数の内部空間と連通した開口が設けられた枠体と、開口に接続される圧力調整弁と、内部空間に収容された電解液と、を備え、圧力調整弁は、開口を介して内部空間に接続されたケースと、ケース内に収容された複数の弁体と、ケースを塞ぐようにケースに設けられたカバーと、を有し、ケースには、開口を介して内部空間のそれぞれに連通すると共に弁体のそれぞれを収容する複数の収容空間が形成されており、カバーには、複数の内部空間のうちの少なくとも1つから収容空間内に流入するガスを外部に排出するための排気口が設けられており、カバーの外表面には、電解液を吸着するための不織布からなる吸着部材が配置されている。
この蓄電モジュールにおいては、電解液が収容された内部空間に連通する開口に対して、圧力調整弁が接続されている。圧力調整弁における内部空間に接続されたケースには、内部空間のそれぞれに接続され、弁体を収容した複数の収容空間が形成されている。ケースはカバーによって塞がれている。カバーには、複数の内部空間のうちの少なくとも1つから収容空間内に流入するガスを外部に排出するための排気口が設けられている。また、カバーの外表面には、電解液を吸着するための不織布からなる吸着部材が配置されている。したがって、仮に、内部空間の内圧が上昇した場合には、収容空間を介してカバーの排気口からガスが排出され、内部空間の圧力が調整される。このとき、ガスと共に電解液が収容空間を介して排気口から排出されるおそれがあるが、この電解液はカバーの外表面の吸着部材に吸着・保持される。したがって、カバーの排気口からガスと共に外部に排出された電解液が、外部において拡散することが抑制される。よって、信頼性が向上される。
本発明に係る蓄電モジュールにおいては、ケースには、収容空間の周囲の余剰空間が形成されており、余剰空間には、吸着部材が配置されていてもよい。この場合、収容空間を介してガスと共に排気口に向かう電解液が、収容空間の周囲の余剰空間に配置された吸着部材に吸着・保持される。したがって、ガスと共に電解液がカバーの排気口から外部に排出されることが抑制される。よって、信頼性が確実に向上される。
本発明に係る蓄電モジュールにおいては、吸着部材における電解液の吸着量は、1つの内部空間に収容された電解液の体積以上であってもよい。この場合、1つの内部空間に収容されている電解液の全てが当該内部空間から漏出したとしても、信頼性が損なわれることを抑制可能である。
本発明によれば、信頼性を向上可能な蓄電モジュールを提供できる。
以下、添付図面を参照しながら蓄電モジュールの一実施形態について詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。図面にはXYZ直交座標系が示される。
図1は、蓄電モジュールを備える蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。同図に示す蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置10は、複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール12を備えるが、単一の蓄電モジュール12を備えてもよい。蓄電モジュール12は例えばバイポーラ電池である。蓄電モジュール12は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
複数の蓄電モジュール12は、例えば金属板等の導電板14を介して積層され得る。積層方向D1から見て、蓄電モジュール12及び導電板14は例えば矩形形状を有する。各蓄電モジュール12の詳細については後述する。導電板14は、蓄電モジュール12の積層方向D1(Z方向)において両端に位置する蓄電モジュール12の外側にもそれぞれ配置される。導電板14は、隣り合う蓄電モジュール12と電気的に接続される。これにより、複数の蓄電モジュール12が積層方向D1に直列に接続される。積層方向D1において、一端に位置する導電板14には正極端子24が接続されており、他端に位置する導電板14には負極端子26が接続されている。正極端子24は、接続される導電板14と一体であってもよい。負極端子26は、接続される導電板14と一体であってもよい。正極端子24及び負極端子26は、積層方向D1に交差する方向(X方向)に延在している。これらの正極端子24及び負極端子26により、蓄電装置10の充放電を実施できる。
導電板14は、蓄電モジュール12において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板14の内部に設けられた複数の空隙14aを空気等の冷媒が通過することにより、蓄電モジュール12からの熱を効率的に外部に放出できる。各空隙14aは例えば積層方向D1に交差する方向(Y方向)に延在する。積層方向D1から見て、導電板14は、蓄電モジュール12よりも小さいが、蓄電モジュール12と同じかそれより大きくてもよい。
蓄電装置10は、交互に積層された蓄電モジュール12及び導電板14を積層方向D1に拘束する拘束部材16を備え得る。拘束部材16は、一対の拘束プレート16A,16Bと、拘束プレート16A,16B同士を連結する連結部材(ボルト18及びナット20)と、を備える。各拘束プレート16A,16Bと導電板14との間には、例えば樹脂フィルム等の絶縁フィルム22が配置される。各拘束プレート16A,16Bは、例えば鉄等の金属によって構成されている。積層方向D1から見て、各拘束プレート16A,16B及び絶縁フィルム22は例えば矩形形状を有する。絶縁フィルム22は導電板14よりも大きくなっており、各拘束プレート16A,16Bは、蓄電モジュール12よりも大きくなっている。積層方向D1から見て、拘束プレート16Aの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H1が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。同様に、積層方向D1から見て、拘束プレート16Bの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H2が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。積層方向D1から見て各拘束プレート16A,16Bが矩形形状を有している場合、挿通孔H1及び挿通孔H2は、拘束プレート16A,16Bの角部に位置する。
一方の拘束プレート16Aは、負極端子26に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられ、他方の拘束プレート16Bは、正極端子24に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられている。ボルト18は、例えば一方の拘束プレート16A側から他方の拘束プレート16B側に向かって挿通孔H1に通され、他方の拘束プレート16Bから突出するボルト18の先端には、ナット20が螺合されている。これにより、絶縁フィルム22、導電板14及び蓄電モジュール12が挟持されてユニット化されると共に、積層方向D1に拘束荷重が付加される。
図2は、図1の蓄電装置を構成する蓄電モジュールを示す概略断面図である。同図に示す蓄電モジュール12は、積層された複数のバイポーラ電極(電極)32を含む積層体30を備える。バイポーラ電極32の積層方向D1から見て積層体30は例えば矩形形状を有する。隣り合うバイポーラ電極32間にはセパレータ40が配置され得る。バイポーラ電極32は、電極板34と、電極板34の一方面に設けられた正極36と、電極板34の他方面に設けられた負極38とを含む。積層体30において、一のバイポーラ電極32の正極36は、セパレータ40を挟んで積層方向D1に隣り合う一方のバイポーラ電極32の負極38と対向し、一のバイポーラ電極32の負極38は、セパレータ40を挟んで積層方向D1に隣り合う他方のバイポーラ電極32の正極36と対向している。積層方向D1において、積層体30の一端には、内側面に負極38が配置された電極板34(負極側終端電極)が配置され、積層体30の他端には、内側面に正極36が配置された電極板34(正極側終端電極)が配置される。負極側終端電極の負極38は、セパレータ40を介して最上層のバイポーラ電極32の正極36と対向している。正極側終端電極の正極36は、セパレータ40を介して最下層のバイポーラ電極32の負極38と対向している。これら終端電極の電極板34はそれぞれ隣り合う導電板14(図1参照)に接続される。
蓄電モジュール12は、積層方向D1に延在する積層体30の側面30aにおいて電極板34の縁部34aを保持する枠体50を備える。枠体50は、積層方向D1から見て積層体30の周囲に設けられている。すなわち、枠体50は、積層体30の側面30aを取り囲むように構成されている。枠体50は、電極板34の縁部34aを保持する第1樹脂部52と、積層方向D1から見て第1樹脂部52の周囲に設けられる第2樹脂部54とを備え得る。
枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の一方面(正極36が形成される面)から縁部34aにおける電極板34の端面にわたって設けられている。積層方向D1から見て、各第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34a全周にわたって設けられている。隣り合う第1樹脂部52同士は、各バイポーラ電極32の電極板34の他方面(負極38が形成される面)の外側に延在する面において当接している。その結果、第1樹脂部52には、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aが埋没して保持されている。各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aと同様に、積層体30の両端に配置された電極板34の縁部34aも第1樹脂部52に埋没した状態で保持されている。これにより、積層方向D1に隣り合う電極板34,34間には、当該電極板34,34と第1樹脂部52とによって気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。当該内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。
枠体50の外壁を構成する第2樹脂部54は、積層方向D1を軸方向として延在する筒状部である。第2樹脂部54は、積層方向D1において積層体30の全長にわたって延在する。第2樹脂部54は、積層方向D1に延在する第1樹脂部52の外側面を覆っている。第2樹脂部54は、積層方向D1から見て内側において第1樹脂部52に溶着されている。
電極板34は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板34は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板34の縁部34aは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっており、当該未塗工領域が枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52に埋没して保持される領域となっている。正極36を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極38を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。電極板34の他方面における負極38の形成領域は、電極板34の一方面における正極36の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ40は、例えばシート状に形成されている。セパレータ40を形成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン等からなる織布又は不織布等が例示される。また、セパレータ40は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ40は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
枠体50(第1樹脂部52及び第2樹脂部54)は、例えば絶縁性の樹脂を用いた射出成形によって矩形の筒状に形成されている。枠体50を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が挙げられる。
図3は、図2の蓄電モジュール12を示す概略斜視図である。図4は、枠体50の開口50aに接続される圧力調整弁60の分解斜視図である。図3及び図4に示されるように、蓄電モジュール12の枠体50は、積層方向D1に延在する側面50sを有する。側面50sは積層方向D1から見て外側に位置する面である。よって、第2樹脂部54が枠体50の側面50sを有することになる。
積層方向D1から見て枠体50の一辺を形成する一の側面50s(ここでは、枠体50の長手方向(X方向)を向く一の側面50s)には、複数(ここでは4つ)の開口50a(開口50a1〜50a4)が設けられている。各開口50aは、各内部空間Vに電解液を注入するための注液口として機能すると共に、電解液が注入された後は、圧力調整弁60の接続口として機能する。
図4に示されるように、1つの開口50aは、第1樹脂部52に設けられた第1開口52aと、第2樹脂部54に設けられた第2開口54aとによって構成されている。各第1開口52aは、隣り合うバイポーラ電極32間の内部空間Vと連通している。第1樹脂部52には複数(ここでは6つ)の第1開口52aが設けられており、第2樹脂部54には、複数の第1開口52aを覆うように広がる単一の第2開口54aが設けられている。第1開口52aは各第1樹脂部52に設けられてもよいし、隣り合う第1樹脂部52間に設けられてもよい。各第1開口52a及び第2開口54aの形状は例えば矩形である。なお、本実施形態では、第2開口54aの上部に、圧力調整弁60のベース70が入り込むための切欠き部54bが形成されている。
図5は、各開口50a1〜50a4を示す図(X方向から見た図)である。図5では、第1樹脂部52の周囲の第2樹脂部54の図示を省略している。本実施形態では、蓄電モジュール12には、24個の内部空間Vが形成されており、1つの開口50aは、積層方向D1における高さ位置が4段ずつずれた6つの内部空間Vと連通している。各内部空間Vは、4つの開口50a1〜50a4のうちのいずれか1つと連通している。図5に示されるように、1つの開口50aには、6つの第1開口52aが、枠体50の短手方向(Y方向)に2列に分かれて配置されている。各列には、3つの第1開口52aが積層方向D1(Z方向)に沿って配置されている。
例えば、各開口50aにおける第1開口52aの配置は、連通した内部空間Vのセットを1段ずつずらすように構成され得る。以下の説明では、便宜上、24個の内部空間Vを識別するために、積層体30の他端(図2の図示下側)から一端(図2の図示上側)へと向かう順に、内部空間V1〜V24と表記する。
図5の(A)に示されるように、開口50a1の第1列(図示左側の列。以下同じ。)には、内部空間V4,V12,V20と連通した第1開口52a4,52a12,52a20が設けられている。開口50a1の第2列(図示右側の列。以下同じ。)には、内部空間V8,V16,V24と連通した第1開口52a8,52a16,52a24が設けられている。
図5の(B)に示されるように、開口50a2の第1列には、内部空間V3,V11,V19と連通した第1開口52a3,52a11,52a19が設けられている。開口50a2の第2列には、内部空間V7,V15,V23と連通した第1開口52a7,52a15,52a23が設けられている。
図5の(C)に示されるように、開口50a3の第1列には、内部空間V2,V10,V18と連通した第1開口52a2,52a10,52a18が設けられている。開口50a3の第2列には、内部空間V6,V14,V22と連通した第1開口52a6,52a14,52a22が設けられている。
図5の(D)に示されるように、開口50a4の第1列には、内部空間V1,V9,V17と連通した第1開口52a1,52a9,52a17が設けられている。開口50a4の第2列には、内部空間V5,V13,V21と連通した第1開口52a5,52a13,52a21が設けられている。
上記のような第1開口52aの配置(すなわち、第1開口52a1〜52a24と内部空間V1〜V24との対応付け)によれば、全ての内部空間Vが互いに異なる第1開口52aに連通した構成が実現される。
続いて、図4及び図6〜図11を参照して、枠体50の開口50aに接続される圧力調整弁60の構成について説明する。図6は、圧力調整弁60の構成を示す概略断面図である。図6は、内部空間V12に対応する連通路(第1開口52a12、第1連通孔74、及び第2連通孔84により形成される連通路)の断面を含む断面図である。図4及び図6に示されるように、圧力調整弁60は、ベース70と、ケース80と、複数(ここでは6つ)の弁体90と、カバー100とを有している。
ベース70は、略直方体状の外形を有しており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。ベース70は、開口50aに接続される。X方向から見て、ベース70の下面及び両側面が、第2開口54aによって位置決めされる。ベース70は、例えば、側面71と第1樹脂部52との接触部分の一部または全部が溶着されることにより、開口50aに対して固定される。側面71と第1樹脂部52との溶着は、例えば熱板溶着、レーザ透過溶着、及び超音波溶着等により行われる。
図7の(A)は、側面71を示す平面図であり、図7の(B)は、ベース70の側面72(第1側面)を示す平面図である。側面72は、開口50a側とは反対側の側面であり、ケース80に対向している。図6及び図7に示されるように、ベース70には、側面71から側面72にかけて貫通する複数(ここでは6つ)の第1連通孔73〜78が設けられている。第1連通孔73〜78は、第1開口52a4,52a12,52a20,52a24,52a16,52a8と連通した連通孔である。第1連通孔76〜78の構成は、第1連通孔73〜75の構成と同様である。具体的には、第1連通孔76〜78は、側面71,72の中心を通り側面71,72に直交する軸Aに対して、第1連通孔73〜75と点対称に構成されている。したがって、以下では、第1連通孔73〜75について説明し、第1連通孔76〜78の説明を省略する。
中段に位置する第1連通孔74は、X方向に沿って延びた直方体状に形成されている。
下段に位置する第1連通孔73は、X方向に沿って延びた直方体状の連通部73bと、X方向に沿ってケース80に向かうにつれて上下幅(Z方向の幅)が大きくなるテーパ状に形成されたテーパ部73cと、を有する。テーパ部73cは、X方向に沿ってケース80に向かうにつれて第1連通孔73,74間の間隔が小さくなるように設けられている。連通部73bは、第1連通孔73の開口50a側の開口端73aから第1連通孔73の途中位置までの区間を形成しており、テーパ部73cは、当該途中位置から第1連通孔73のケース80側の開口端73dまでの区間を形成している。なお、テーパ部73cは、第1連通孔73とケース80に設けられた第2連通孔83とを連通させるための位置調整の役割を果たしている。
上段に位置する第1連通孔75は、X方向に沿って延びた直方体状の連通部75bと、X方向に沿ってケース80に向かうにつれて上下幅(Z方向の幅)が大きくなるテーパ状に形成されたテーパ部75cと、を有する。テーパ部75cは、X方向に沿ってケース80に向かうにつれて第1連通孔74,75間の間隔が小さくなるように設けられている。連通部75bは、第1連通孔75の開口50a側の開口端75aから第1連通孔75の途中位置までの区間を形成しており、テーパ部75cは、当該途中位置から第1連通孔75のケース80側の開口端75dまでの区間を形成している。なお、テーパ部75cは、第1連通孔75とケース80に設けられた第2連通孔85とを連通させるための位置調整の役割を果たしている。
第1連通孔73〜75の開口端73a〜75aは、X方向から見て、第1開口52a4,52a12,52a20を含む大きさに形成されている。開口端73a〜75aの上下幅d1は、いずれも同一である。
開口50a1〜50a4における6つの第1開口52aの配置は、上述したように1段ずつずれている。このため、全ての開口50a1〜50a4に対して同一規格(共通形状)の圧力調整弁60を使用するためには、圧力調整弁60のベース70がどの開口50a1〜50a4に接続された場合にも、第1連通孔73〜78が、対応する第1開口52aと連通する必要がある。例えば、ベース70の第1連通孔73は、第1開口52a4に連通しているが、当該ベース70が開口50a2に接続された際には第1開口52a3に連通する必要があり、当該ベース70が開口50a3に接続された際には第1開口52a2に連通する必要があり、当該ベース70が開口50a4に接続された際には第1開口52a1に連通する必要がある。
そこで、本実施形態では、開口端73a〜75aの上下幅d1は、積層体30において繰り返される構造1つ分の幅(すなわち、上述した1段分のずれ幅)と開口50aの数との乗算値以上に設定されている。本実施形態では、積層体30において繰り返される構造1つ分の幅は、1つの電極板34と1つの内部空間Vとを合わせた部分の積層方向D1の幅d2(図2参照)である。すなわち、本実施形態では「d1≧d2×4」の関係が成立している。これにより、ベース70がどの開口50a1〜50a4に接続された場合にも、X方向から見て、各開口端73a〜75aの内側に、対応する第1開口52aが収まるようになっている。その結果、どの開口50a1〜50a4に対しても同一のベース70(すなわち、同一の圧力調整弁60)を使用することが可能となっている。これにより、必要となる部材の種類を減らすことができる。また、開口50a毎に異なる規格の圧力調整弁60を使用する必要がなくなるため、開口50aに対して適合しない規格の圧力調整弁60を接続してしまうといった誤組み付けの発生を防止することもできる。
さらに、図7の(A)に示されるように、複数の開口端73a〜78aは、側面71の中心を通り側面71に直交する軸Aに対して、点対称に配置されている。この構成によれば、軸Aに対して互いに反転関係にあるベース70の2つの状態(姿勢)のいずれにおいても、開口50aに対する複数の開口端の位置関係が同一となる。このため、上記2つの状態のいずれにおいても、ベース70を開口50aに正常に接続することができる。具体的には、ベース70を、図7の(A)に示される状態から軸Aを回転軸として反転(180度回転)させても、当該ベース70を開口50a1に接続することができる。例えば、第1開口52a4と連通していた第1連通孔73は、上記反転後の状態においては、第1開口52a24に連通することになる。その結果、開口50aへのベース70の接続を容易に行うことが可能となる。また、開口50aに対して誤った向きでベース70を接続してしまうといった誤組み付けの発生を防止することもできる。
図7の(B)に示されるように、ベース70の側面72には、ベース70とケース80との接続方向D2(すなわちX方向)から見て複数の第1連通孔73〜78の各々を仕切るように接続方向D2に沿って延びた第1接合用突起部72A,72Bが設けられている。
第1接合用突起部72Aは、矩形状の各開口端73d〜75dのY方向に沿って延びた縁部に立設された4つの壁部72A1と、各開口端73d〜75dのZ方向に沿って延びた縁部に立設された2つの壁部72A2と、を有する。同様に、第1接合用突起部72Bは、矩形状の各開口端76d〜78dのY方向に沿って延びた縁部に立設された4つの壁部72B1と、各開口端76d〜78dのZ方向に沿って延びた縁部に立設された2つの壁部72B2と、を有する。
また、側面72の四隅には、接続方向D2に延びた柱状の第1測定用突起部72Cが設けられている。第1測定用突起部72Cは、後述するケース80の第2接合用突起部81A,81B及び第2測定用突起部81Cと干渉しないように設けられている。すなわち、第1測定用突起部72Cは、接続方向D2から見て、第2接合用突起部81A,81B及び第2測定用突起部81Cと重ならない位置に設けられている。
ケース80は、枠体50の開口50a及びベース70の第1連通孔73〜78を介して、内部空間Vに接続されている。ケース80は、略直方体状の外形を有する箱状部材であり、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。ケース80は、箱の底面に相当する側面81(第2側面)においてベース70の側面72に接合される。図8は、ケース80の側面81を示す分解斜視図である。図9の(A)は、側面81を示す平面図であり、図9の(B)は、ケース80をカバー100側から見た平面図である。
図8及び図9に示されるように、ケース80には、側面81から内側面82(側面81を形成する側板の内側面)にかけて貫通する複数(ここでは6つ)の第2連通孔83〜88が設けられている。第2連通孔83〜88は、円柱状に形成されている。各第2連通孔83〜88は、対応する第1連通孔73〜78を介して、それぞれ1つの内部空間Vと連通している。
図8及び図9の(A)に示されるように、ケース80の側面81には、接続方向D2(X方向)から見て複数の第2連通孔83〜88の各々を仕切るように接続方向D2に沿って延びた第2接合用突起部81A,81Bが設けられている。
第2接合用突起部81A,81Bは、第1接合用突起部72A,72Bに対応する形状を有しており、接続方向D2から見て第1接合用突起部72A,72Bと重なるように設けられている。すなわち、第2接合用突起部81Aは、4つの壁部72A1に対応する4つの壁部81A1と、2つの壁部72A2に対応する2つの壁部81A2と、を有する。同様に、第2接合用突起部81Bは、4つの壁部72B1に対応する4つの壁部81B1と、2つの壁部72B2に対応する2つの壁部81B2と、を有する。
また、側面81の四隅には、接続方向D2に延びた柱状の第2測定用突起部81Cが設けられている。第2測定用突起部81Cは、第1接合用突起部72A,72B及び第1測定用突起部72Cと干渉しないように設けられている。すなわち、第2測定用突起部81Cは、接続方向D2から見て、第1接合用突起部72A,72B及び第1測定用突起部72Cと重ならない位置に設けられている。
ベース70とケース80とは、第1接合用突起部72A,72Bの端部と第2接合用突起部81A,81Bの端部とを熱板溶着することにより、互いに接合されている。これにより、ベース70の側面72とケース80の側面81とは、接続方向D2から見て複数の第1連通孔73〜78と複数の第2連通孔83〜88とにより形成される複数の連通路の各々を仕切るように接続方向D2に沿って延びた仕切壁Wを介して接続されている。仕切壁Wは、第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとが熱板溶着されることにより、側面72と側面81とを接続するように形成された壁部である。
なお、上記熱板溶着において、第1接合用突起部72A,72Bの端部に対して平行となるように熱板が押し当てられる。この際、第1測定用突起部72Cの端部にも同様に熱板が押し当てられることにより、第1測定用突起部72Cの端部は、上記熱板溶着により溶融した後に固まった状態となっている。同様に、上記熱板溶着において、第2接合用突起部81A,81Bの端部に対して平行となるように熱板が押し当てられる。この際、第2測定用突起部81Cの端部にも同様に熱板が押し当てられることにより、第2測定用突起部81Cの端部は、上記熱板溶着により溶融した後に固まった状態となっている。
図7の(B)及び図9の(A)に示されるように、ベース70の側面72に設けられた複数の開口端73d〜78d、及びケース80の側面81に設けられた複数の開口端83a〜88a(第1開口端)はいずれも、軸Aに対して、点対称に配置されている。また、第1接合用突起部72A,72B及び第2接合用突起部81A,81Bも、軸Aに対して、点対称に配置されている。一方、第1測定用突起部72Cと第2測定用突起部81Cとは、軸Aに対して互いに点対称とはならないように配置されている。図7の(B)に示されるように、本実施形態では、第1測定用突起部72Cは、側面72の四隅において、Z軸方向に沿った縁部(短辺側)に設けられている。一方、図9の(A)に示されるように、本実施形態では、第2測定用突起部81Cは、側面81の四隅において、Y軸方向に沿った縁部(長辺側)に設けられている。このように、第1測定用突起部72Cと第2測定用突起部81Cとは、ベース70に対してケース80を上下反転(軸A周りに180度回転)させても、接続方向D2から見て互いに重ならないように配置されている。
上記構成によれば、軸Aに対して互いに反転関係にあるベース70(又はケース80)の2つの状態(姿勢)のいずれにおいても、複数の開口端73d〜78dに対する複数の開口端83a〜88aの位置関係が同一となる。また、第1接合用突起部72A,72Bと第2接合用突起部81A,81Bとは、ベース70に対してケース80を軸A周りに反転させても、接続方向D2から見て互いに重なる。このため、上記2つの状態のいずれにおいても、ベース70にケース80を正常に接合することが可能となる。具体的には、ベース70に対してケース80を上下反転(軸A周りに180度回転)させても、ケース80をベース70に正常に接合することができる。その結果、ベース70へのケース80の接合を容易に行うことが可能となる。また、ベース70に対して誤った向きでケース80を接合してしまうといった誤組み付けの発生を防止することもできる。一方、第1測定用突起部72Cと第2測定用突起部81Cとは、ベース70に対してケース80を軸A周りに反転させても、接続方向D2から見て互いに重ならない。すなわち、ベース70に対してケース80を互いに反転関係にあるいずれの向きで接合したとしても、第1測定用突起部72Cと第2測定用突起部81Cとが互いに干渉することがない。このため、第1測定用突起部72C及び第2測定用突起部81Cの長さに基づいて、熱板溶着が適切になされたか否かを確認できる。
図4及び図9の(B)に示されるように、ケース80の内側には、第2連通孔83〜88の内側の開口端83b〜88b(開口端83a〜88aとは反対側の第2開口端)の各々を包囲すると共に各開口端83b〜88bを塞ぐための弁体90を収容する複数の収容空間89Pと、収容空間89Pの周囲の複数の余剰空間89Qと、が設けられている。余剰空間89Qは、ケース80における収容空間89Pを形成する筒状の壁部と、ケース80の内側面と、によって形成されている。したがって、余剰空間89Qは、部分的に、収容空間89Pに倣った形状を呈している。弁体90は、例えばゴム等の弾性部材によって円柱状に形成されている。弁体90は、収容空間89Pに収容された状態において、接続方向D2に沿って延びている。収容空間89Pは、弁体90の形状に合わせて略円筒状に形成されている。なお、本実施形態では、複数の開口端83b〜88bの各々に対応する複数の収容空間89P、及び、複数の余剰空間89Qは互いに連結している。
各収容空間89Pに収容された弁体90は、各開口端83b〜88bを塞ぐように配置されている。具体的には、各開口端83b〜88bは、弁体90側に盛り上がった盛り上がり形状をなしている。このような盛り上がり形状を有する各開口端83b〜88bに弁体90が押し当てられることにより、各開口端83b〜88bは塞がれている。
収容空間89Pの内径は、弁体90の直径よりも大きくされている。また、収容空間89Pの内側面には、弁体90の側面90aに当接し、弁体90を収容空間89Pに対して固定するための複数の突起部89aが形成されている。各突起部89aは、X方向に沿って延びている。また、複数(ここでは6つ)の突起部89aは、X方向から見て等間隔(収容空間89Pの中心軸周りに60度間隔)に設けられている。弁体90の側面90aが6つの突起部89aに支持されることにより、弁体90の側面90aと収容空間89Pの内側面との間に、突起部89aの大きさに応じた隙間Gが設けられている(図6参照)。
カバー100は、ケース80の開口80aを塞ぐように、ケース80の端部80bに接合される板状部材である。カバー100は、複数の弁体90を各開口端83b〜88bに押し当てるように、接続方向D2に沿って複数の弁体90をケース80に対して押圧する押圧部材としても機能する。カバー100は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。カバー100をケース80の端部80bに接合する方法は特に限定されないが、例えばレーザ溶着、熱板溶着、及びボルト等の締結部材を用いた締結等を用い得る。例えば、レーザ溶着を用いる場合には、カバー100をレーザ透過性樹脂で形成すると共にケース80をレーザ吸収性樹脂で形成し、レーザをカバー100側から照射することにより、ケース80におけるカバー100との境界部分を溶融させて接合することができる。
カバー100によってケース80に対して押圧された状態の弁体90の圧縮率は、例えば第2連通孔83〜88内の圧力(すなわち、第2連通孔83〜88に連通された各内部空間V内の圧力)が予め定められた設定値以上となった場合に、弁体90による開口端83b〜88bの閉塞が解除されるように予め調整されている。
続いて、内部空間Vの圧力調整の仕組みについて説明する。ここでは、図6に示される開口端84bに着目し、対応する内部空間V12の圧力調整の仕組みについて説明を行う。第2連通孔84は、第1連通孔74及び第1開口52a12を介して、対応する内部空間V12と連通している。このため、弁体90の開口端83bを塞ぐ部分には、内部空間V12と同等の圧力がかかることになる。上述の通り、弁体90による開口端84bの閉塞の解除は、対応する内部空間V12内の圧力が予め定められた設定値以上となった場合に行われるように、弁体90の圧縮率が規定されている。このため、対応する内部空間V12内の圧力が設定値未満である場合には、図6に示されるように、開口端84bが弁体90によって塞がれた閉弁状態が維持される。
一方、内部空間V12内の圧力が上昇して設定値以上となった場合には、弁体90の一部(具体的には、開口端84bを塞ぐ部分及びその周辺部分)が開口端84bから離間するように変形し、開口端84bの閉塞が解除された開弁状態となる。その結果、閉塞が解除された開口端84bから内部空間V12内のガスが放出される。その後、内部空間V12内の圧力が設定値未満となった場合には、弁体90が元の状態に戻ることにより、当該開口端84bが再び閉弁状態(図6に示される状態)となる。以上の開閉動作により、圧力調整弁60は、内部空間V12内の圧力を適切に調整することができる。他の開口端83b,85b〜88bに対応する内部空間Vの圧力調整の仕組みも、上述した仕組みと同様である。
上述した通り、弁体90は、収容空間89Pの内側面と弁体90との間に隙間Gが設けられるようにして、収容空間89Pに対して固定されている。これにより、内部空間V(ここでは一例として内部空間V12)内の圧力上昇に応じて、第2連通孔84の開口端84bを塞ぐ弁体90が開口端84bから離れた際に、内部空間V12内のガスを弁体90と収容空間89Pとの間の隙間Gに適切に逃すことができる。
また、収容空間89Pの開口が形成されたケース80の端面89bは、カバー100から離間している。これにより、上述した開弁状態において弁体90と収容空間89Pとの間の隙間Gに逃げたガスを、さらに端面89bとカバー100との間の余剰空間S(余剰空間89Qと共に収容空間89Pの周囲に設けられた余剰空間)に適切に逃すことができる。なお、収容空間89Pと余剰空間89Qとは、この余剰空間Sに連通することによって互いにも連通されている。
また、カバー100には、余剰空間S(すなわち、収容空間89P)と外部空間とを連通した排気口100a(図4の例では2つの排気口100a)が設けられている。複数の排気口100aがカバー100に設けられていると、排気箇所を分散できるのでカバー100の一部に過度の圧力が掛かることを抑制できる。ただし、1つの排気口100aがカバー100に設けられてもよい。排気口100aは、複数の内部空間Vのうちの少なくとも1つから収容空間89P内に流入するガスを外部空間に排出する。これにより、第1連通孔73〜78及び第2連通孔83〜88を介して内部空間Vから放出されたガスを、余剰空間Sに溜めることなく、排気口100aを介して外部空間に適切に排出することができる。特に、カバー100に排気口100aが設けられていることにより、余剰空間S内のガス(比較的高温のガス)を蓄電モジュール12本体からなるべく遠ざける方向(接続方向D2に沿った方向)に排出することができる。これにより、圧力調整弁60から排出されるガスが蓄電モジュール12に悪影響を与えることを効果的に抑制することができる。また、排気口100aは、カバー100において接続方向D2から見て複数の弁体90と部分的に重なる位置に設けられているが、重ならない位置に設けられてもよい。
図10及び図11を参照して排気口100a及び余剰空間Sについて詳細に説明する。図10は、圧力調整弁60の一部の構成を示す断面図である。図10の断面図は、内部空間V24に対応する連通路(第2連通孔86により形成される連通路)の断面を含む。図11は、圧力調整弁60のカバー100側の側面を示す図である。図11では、カバー100の背後に位置する余剰空間Sが破線で示されている。図10及び図11に示されるように、余剰空間Sは、排気口100aと連通した連通空間に相当する。余剰空間Sは、鉛直方向(本実施形態ではZ方向)において排気口100aの下端101よりも下方に位置する空間部分S1を有する。空間部分S1は、圧力調整弁60が開弁状態になったときに、ガスと共に隙間Gを通って余剰空間Sに流入する電解液を溜めるための空間である。後述するように、電解液は、吸着部材110Bに吸着・保持された状態において、空間部分S1に溜められる。空間部分S1の体積は、1つの内部空間Vに収容された電解液の体積以上であってもよいし、全ての内部空間Vに収容された電解液の合計体積以下であってもよい。本実施形態では、単一の空間部分S1を有する単一の余剰空間Sが複数の排気口100aと連通しているが、例えば仕切り部等によって仕切られた複数の余剰空間Sがそれぞれ複数の排気口100aと連通してもよい。この場合、各余剰空間Sが空間部分S1を有する。また、複数の弁体90が収容される余剰空間Sとは別に排気口100aと連通した連通空間が設けられてもよい。この場合、当該連通空間が、排気口100aの下端101よりも下方に位置する空間部分を有する。
ここで、図4、図6、図9の(B)、及び、図10に示されるように、カバー100の外表面(余剰空間Sに臨む面と反対側の面)には、電解液を吸着するための不織布からなる吸着部材110Aが配置されている。吸着部材110Aは、カバー100の外表面に沿って延びるように層状形成されている。吸着部材110Aは、例えば、接着材や熱等によってカバー100の外表面に接着されている。また、余剰空間89Qのそれぞれ、及び、余剰空間Sには、電解液を吸着するための不織布からなる吸着部材110Bが配置されている。一例として、吸着部材110Bは、余剰空間89Qの形状に倣うように不織布を折り曲げることにより余剰空間89Q内に配置されている。なお、蓄電モジュール12においては、吸着部材110Bが設けられていなくてもよい。また、吸着部材110A,110Bにおける電解液の吸着量の合計は、1つの内部空間Vに収容された電解液の体積以上であってもよく、全ての内部空間Vに収容された電解液の合計体積以下であってもよい。吸着部材110A,110Bを構成する不織布の材料は、一例として、レーヨン、アクリル、ナイロン、コットン、及びパルプ等である。
以上説明したように、蓄電モジュール12においては、電解液が収容された内部空間Vに連通する開口50aに対して、圧力調整弁60が接続されている。圧力調整弁60における内部空間Vに接続されたケース80には、内部空間Vのそれぞれに接続され、弁体90を収容した複数の収容空間89Pが形成されている。ケース80はカバー100によって塞がれている。カバー100には、複数の内部空間Vのうちの少なくとも1つから収容空間89P内に流入するガスを外部に排出するための排気口100aが設けられている。また、カバー100の外表面には、電解液を吸着するための不織布からなる吸着部材110Aが配置されている。したがって、仮に、内部空間Vの内圧が上昇した場合には、収容空間89Pを介してカバー100の排気口100aからガスが排出され、内部空間Vの圧力が調整される。このとき、ガスと共に電解液が収容空間89Pを介して排気口100aから排出されるおそれがあるが、この電解液はカバー100の外表面の吸着部材110Aに吸着・保持される。したがって、カバー100の排気口100aからガスと共に外部に排出された電解液が、外部において拡散することが抑制される。よって、信頼性が向上される。
また、蓄電モジュール12においては、ケース80には、収容空間89Pの周囲の余剰空間89Q,Sが形成されており、余剰空間89Q,Sには、吸着部材110Bが配置されていてもよい。この場合、収容空間89Pを介してガスと共に排気口110aに向かう電解液が、収容空間89Pの周囲の余剰空間89Q,Sに配置された吸着部材110Bに吸着・保持される。したがって、ガスと共に電解液がカバー100の排気口100aから外部に排出されることが抑制される。よって、信頼性が確実に向上される。
さらに、蓄電モジュール12においては、吸着部材110A,110Bにおける電解液の吸着量は、1つの内部空間Vに収容された電解液の体積以上であってもよい。この場合、1つの内部空間Vに収容されている電解液の全てが当該内部空間Vから漏出したとしても、信頼性が損なわれることを抑制可能である。
以上の実施形態は、本発明に係る蓄電モジュールの一実施形態を例示したものであり、本発明は上記の蓄電モジュール12に限定されない。本発明に係る蓄電モジュールは、各請求項の要旨を変更しない範囲において、蓄電モジュール12を任意に変更することができる。
例えば、圧力調整弁60において、第1測定用突起部72C及び第2測定用突起部81Cは省略されてもよい。
また、本実施形態では、1つの弁体90が1つの開口端(開口端83b〜88bのいずれか)を塞ぐ構成とされているが、例えば板状の弁体を用いて、1つの弁体が複数の開口端を塞ぐ構成(すなわち、複数の開口端に対して1つの弁体が共通的に用いられる構成)が採用されてもよい。また、ケース80はベース70に一体化されてもよい。この場合、ケース80が一体化されたベースが余剰空間S及び空間部分S1を有する。
図12は、変形例に係る圧力調整弁60のカバー100側の側面を示す図である。本変形例の圧力調整弁60は、排気口100aの位置が異なること以外は図3等に示される圧力調整弁60と同じ構成を備える。本変形例の圧力調整弁60では、排気口100aの下端101が、鉛直方向(本実施形態ではZ方向)における圧力調整弁60の中心102よりも上方に位置している。中心102は、鉛直方向における圧力調整弁60の最大寸法の中間点に相当する。この場合、排気口100aの下端101よりも下方に位置する空間部分S1の体積を比較的大きくできる。よって、より大きな体積を有する電解液を空間部分S1に溜めることができる。
また、鉛直方向における排気口100aの下端101の位置は、排気口100a毎に異なっていてもよい。この場合、単一の空間部分S1が、複数の排気口100aの下端101のうち最も下方に位置する下端101よりも下方に位置してもよいし、互いに分離された複数の空間部分S1が、複数の排気口100aの下端101の下方にそれぞれ位置してもよい。複数の排気口100aについて単一の空間部分S1が設けられている場合、空間部分S1を共通化できるので、より大きな体積を有する電解液を空間部分S1に溜めることができる。
12…蓄電モジュール、30…積層体、30a…側面、32…バイポーラ電極、34…電極板、34a…縁部、36…正極、38…負極、50…枠体、50a…開口、60…圧力調整弁、70…ベース、80…ケース、89P…収容空間、90…弁体、100…カバー、100a…排気口、89Q,S…余剰空間、110A,110B…吸着部材、V…内部空間。
Claims (3)
- 電極板と、前記電極板の一方面に設けられた正極と、前記電極板の他方面に設けられた負極とをそれぞれ含むと共に積層された複数のバイポーラ電極を有する積層体と、
前記電極板の縁部を保持し、前記積層体において隣り合う前記バイポーラ電極の間の複数の内部空間と連通した開口が設けられた枠体と、
前記開口に接続される圧力調整弁と、
前記内部空間に収容された電解液と、
を備え、
前記圧力調整弁は、前記開口を介して前記内部空間に接続されたケースと、前記ケース内に収容された複数の弁体と、前記ケースを塞ぐように前記ケースに設けられたカバーと、を有し、
前記ケースには、前記開口を介して前記内部空間のそれぞれに連通すると共に前記弁体のそれぞれを収容する複数の収容空間が形成されており、
前記カバーには、複数の前記内部空間のうちの少なくとも1つから前記収容空間内に流入するガスを外部に排出するための排気口が設けられており、
前記カバーの外表面には、前記電解液を吸着するための不織布からなる吸着部材が配置されている、
蓄電モジュール。 - 前記ケースには、前記収容空間の周囲の余剰空間が形成されており、
前記余剰空間には、前記吸着部材が配置されている、
請求項1に記載の蓄電モジュール。 - 前記吸着部材における前記電解液の吸着量は、1つの前記内部空間に収容された前記電解液の体積以上である、
請求項1又は2に記載の蓄電モジュール。
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JP (1) | JP2019179671A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020102360A (ja) * | 2018-12-21 | 2020-07-02 | 株式会社豊田自動織機 | 圧力調整弁、電池モジュールの製造方法、及び電池モジュール |
WO2023042571A1 (ja) * | 2021-09-16 | 2023-03-23 | Nok株式会社 | 蓄電モジュール用圧力調整弁 |
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2018
- 2018-03-30 JP JP2018068300A patent/JP2019179671A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7151463B2 (ja) | 2018-12-21 | 2022-10-12 | 株式会社豊田自動織機 | 圧力調整弁、電池モジュールの製造方法、及び電池モジュール |
WO2023042571A1 (ja) * | 2021-09-16 | 2023-03-23 | Nok株式会社 | 蓄電モジュール用圧力調整弁 |
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