JP2019178454A - ポリエステル芯鞘複合短繊維、該短繊維を含む紡績糸及び該短繊維を含む布帛 - Google Patents

ポリエステル芯鞘複合短繊維、該短繊維を含む紡績糸及び該短繊維を含む布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、布帛を構成する糸条の製糸工程及び該布帛を構成する製編織工程での通過性が良好であり、紫外線防止性に優れたポリエステル芯鞘複合短繊維、該短繊維を含む二層構造紡績糸及び該短繊維を含む布帛を提供するものである。【解決手段】芯成分を形成するポリエステルに無機酸化物微粒子を3〜15質量%含有し、鞘成分を形成するポリエステルに無機酸化物微粒子を0〜1質量%含有したポリエステル芯鞘複合短繊維であって、前記短繊維が下記(1)〜(3)を満足することを特徴とするポリエステル芯鞘複合短繊維。(1)前記短繊維の繊維長が20〜70mm。(2)前記短繊維の捲縮数が5〜20ヶ/25mm。(3)前記短繊維の捲縮率が5〜30%。【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線防止性に優れたポリエステル芯鞘複合短繊維、該短繊維を含む紡績糸及び該短繊維を含む布帛に関する。
地上に到達する太陽光の波長領域は紫外線領域から赤外線領域まで広範な領域にわたる。そして、地上に到達する太陽光の全エネルギー量のうち、赤外線のエネルギー量が占める比率は約42%である。該赤外線は、物質に吸収されやすく、かつ、物質に吸収されると物質を構成する分子の熱振動を励起し物質の温度を上昇させる効果が高く、「熱線」とも呼ばれている。
昨今、温室効果ガスの増大による地球温暖化が危惧されており、地球規模での環境変化に警鐘が鳴らされている。そのため、温室効果ガスを削減させるべく、省エネルギー化を含む様々な取り組みがおこなわれている。
省エネルギー化に貢献する取り組みの一環として、異常気象等と呼ばれる高気温が続く夏場において赤外線による衣服内の温度上昇を防ぐべく、様々な衣服の開発がおこなわれている。また、紫外線についても、オゾンホールの増大により地上に到達する線量が年々増大し人体に対する悪影響が指摘されることから、該紫外線から肌を保護することのできる衣服の開発もおこなわれている。このように、赤外線及び紫外線を遮蔽する機能を衣服に持たせるべく、該衣服を構成する素材の高付加価値化が図られている。
赤外線を遮蔽する素材として、チタン酸化物又はニッケル等の金属薄膜を、繊維や生地の表面にスパッタリングや蒸着などの方法を用いてコーティングさせた素材が知られている。しかし、該素材は、繊維や生地の風合いが損なわれるばかりでなく、洗濯や磨耗による耐久性が低いため赤外線を遮蔽する機能の維持が難しいことから、一般衣料として実使用に耐えることのできる製品の実用化はされていない。
また、赤外線や紫外線を遮蔽する繊維として、チタン酸アルカリ金属、チタン酸アルカリ土類金属などのセラミックス微粒子を含有した繊維が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。しかし、該繊維は赤外線及び紫外線を遮蔽する機能の維持は可能であるが、該セラミックス微粒子が繊維表面に露出する場合があり、繊維化する際のトラブルや糸条ガイドローラーとの接触時に起こる磨耗の問題が解決できず、製糸工程及び製編工程における工程通過性の問題が残されていた。
特開平3−213536号公報 特開平5−59607号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、布帛を構成する糸条の製糸工程及び該布帛を構成する製編織工程での通過性が良好であり、紫外線防止性に優れたポリエステル芯鞘複合短繊維、該短繊維を含む紡績糸、該短繊維を含む二層構造紡績糸及び該短繊維を含む布帛を提供するものである。
上述の目的を達成するために、発明者が鋭意検討したところ、特定のポリエステル複合短繊維とすることにより紫外線防止性能が顕著に向上することを見出し、さらに検討を重ねることにより本発明に到達したものである。すなわち、本発明は、以下の項1〜項5を要旨とするものである。
項1.芯成分を形成するポリエステルに無機酸化物微粒子を3〜15質量%含有し、鞘成分を形成するポリエステルに無機酸化物微粒子を0〜1質量%含有したポリエステル芯鞘複合短繊維であって、前記短繊維が下記(1)〜(3)を満足することを特徴とするポリエステル芯鞘複合短繊維。
(1)前記短繊維の繊維長が20〜70mm
(2)前記短繊維の捲縮数が5〜20ヶ/25mm
(3)前記短繊維の捲縮率が5〜30%
項2.項1に記載のポリエステル芯鞘複合短繊維を含む紡績糸。
項3.項1に記載のポリエステル芯鞘複合短繊維を含む二層構造紡績糸。
項4.項1に記載のポリエステル芯鞘複合短繊維、項2に記載の紡績糸、または項3に記載の二層構造紡績糸を含む布帛。
項5.紫外線防止指数(UPF)が20以上である項4記載の布帛。
本発明によれば、布帛を構成する繊維の製糸工程及び該布帛を編成する製編織工程での通過性が良好であって、かつ、紫外線を効果的に遮蔽することができるポリエステル布帛を得ることができる。そして、該布帛はインナーウエア、肌着、ワーキングウエア、ユニフォーム、アウターウエア、スポーツウエア、インテリア、カーテン、帽材等などに好ましく用いることができる。
本発明のポリエステル芯鞘複合短繊維の横断面形状の例である。 本発明の実施例1の布帛の組織図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとは、エステル結合を有する合成重合体をいい、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が挙げられる。各ポリマーは、ホモポリマーに限らず、ブレンド体、共重合体等でもよいことはいうまでもない。
本発明でいう無機酸化物微粒子は、太陽光の遮蔽効果が高いものであれば特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等の微粒子が挙げられる。中でも、酸化チタン微粒子が好ましい。
芯部を形成するポリエステルは、無機酸化物微粒子を3〜15質量%含有することが必要であり、工程通過性と紫外線防止性の両立の観点から、3〜10質量%含有することが好ましく、3.5〜5質量%含有することがより好ましい。
鞘成分を形成するポリエステルは、無機酸化物微粒子を0〜1質量%含有することが必要であり、工程通過性と紫外線防止性の両立の観点から、0.01〜0.8質量%含有することが好ましく、0.05〜0.7質量%含有することがより好ましく、0.1〜0.5質量%含有することがよりいっそう好ましい。
本発明でいう芯鞘複合短繊維は、上記ポリエステルの1種以上よりなるもので、芯成分と鞘成分は同一のポリエステルであっても異なるポリエステルであってもよいが、その単フィラメントの横断面において、芯成分の横断面が回転対称形で配置されていることが好ましい。ここで回転対称形とは、横断面の中心点を軸にして一定角回転させると元の形と重なるものをいい、芯成分が単成分でなる場合には、横断面の中心点を軸にして一定角回転させると元の形と重なる横断面形状を呈していて、芯成分部が島状に複数個ある場合にも、単フィラメントの横断面の中心点を軸にして一定角回転させると元の形と重なる位置に配置されている。
芯鞘複合比率としては、芯/鞘比(質量比)で、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましく、4/6〜6/4が特に好ましい。
本発明の芯鞘複合短繊維の繊維長は、20〜70mmであり、紫外線防止性の観点から、25〜60mmが好ましく、30〜52mmがより好ましく、35〜45mmがよりいっそう好ましい。なお、繊維長はJIS L1015 8.4.1A法に基づき測定したものである。
芯鞘複合短繊維の捲縮数は、5〜20ヶ/25mmであり、紫外線防止性の観点から、7〜18ヶ/25mmが好ましく、8〜16ヶ/25mmがより好ましく、8〜15ヶ/25mmがよりいっそう好ましい。
捲縮数は、JIS L 1015 8.12.1に基づき測定するものとする。なお、捲縮数の測定において、繊維長が25mmより短い場合は、捲縮付与後、カット前の繊維を測定し、繊維長25mmあたりの個数に換算する。
芯鞘複合短繊維の捲縮率は、5〜30%であり、紫外線防止性の観点から、10〜25%が好ましく、12〜20%がより好ましく、12〜18%がよりいっそう好ましい。
捲縮率は、JIS L 1015 8.12.2に基づき測定するものとする。なお、捲縮率の測定において、繊維長が25mmより短く測定困難な場合は、捲縮付与後、カット前の繊維の捲縮率を測定し、繊維長25mmあたりの個数に換算する。
芯鞘複合短繊維の強度は、紡績時の工程通過性の観点から、1.5〜7.0cN/dtexが好ましく、2.0〜6.5cN/dtexがより好ましく、3.5〜6.0cN/dtexがよりいっそう好ましく、4.0〜6.0cN/dtexが特に好ましい。
本発明の芯鞘複合短繊維は、後述するように紫外線防止性に優れる。該理由は明らかではないが、無機酸化物微粒子量、捲縮数、捲縮率を特定のものとすることに加え、繊維形状を長繊維形状ではなく短繊維形状としているため、無機酸化物微粒子を大量に含有する芯部が短繊維の端部表面に多く存在することにより、意外にもそれが紫外線防止性の向上に効果を果たしているものと推測している。
本発明の紡績糸及び二層構造紡績糸は、前記ポリエステル芯鞘複合短繊維を含むことが必要である。紫外線防止性の観点から、紡績糸及び二層構造紡績糸中の前記ポリエステル芯鞘複合短繊維の含有率は、20〜100質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、45〜80質量%がよりいっそう好ましく、60〜75質量%が特に好ましい。
一般に、紫外線防止性を有する繊維の含有量が多いほど、得られる紡績糸の紫外線防止性能がより高いと予測できる。例えば、二層構造紡績糸において、芯部及び鞘部に同じ前記ポリエステル芯鞘複合短繊維(すなわち、該含有率が100質量%)を用いるとポリエステル芯鞘複合短繊維からなる紡績糸と同様となるが、発明者らは、該紡績糸100質量%よりも、他の繊維も含む二層構造紡績糸で構成される布帛の方が、意外にも紫外線防止効果が高いことを見出した。該理由は明らかではないが、二層構造紡績糸における前記ポリエステル芯鞘複合短繊維と他の繊維との絡み合いにより、紫外線防止効果が向上するものと推察される。
二層構造紡績糸における前記ポリエステル芯鞘複合短繊維以外の繊維としては、特に限定されないが、例えば、通常のポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、水溶性ビニロン繊維などの化学繊維、綿や麻、毛、絹などの天然繊維などが挙げられ、紫外線防止性の観点から、特に綿が好ましい。
本発明の二層構造紡績糸における芯鞘複合比率としては、紫外線防止性の観点から、芯/鞘比(質量比)で、10/90〜50/50が好ましく、20/80〜40/60がより好ましく、25/75〜35/65が特に好ましい。
本発明の二層構造紡績糸においては、前記ポリエステル芯鞘複合短繊維は、二層構造紡績糸の芯側または鞘側のいずれに存在してもかまわないが、紫外線防止性の観点から、鞘側に前記ポリエステル芯鞘複合短繊維が存在することが好ましく、芯側に綿、鞘側に前記ポリエステル芯鞘複合短繊維が存在することが特に好ましい。
本発明の二層構造紡績糸は、前記ポリエステル芯鞘複合短繊維を含むことから紫外線防止性に優れる。さらには、後述するように、鞘部に前記芯鞘複合短繊維を含むことにより、よりいっそう紫外線防止性が向上する。該理由は明らかではないが、特定の芯鞘複合短繊維を含むだけでなく、鞘部に存在することにより、二層構造紡績糸表面に該短繊維の端部表面が多く存在することにより、意外にもそれが紫外線防止性の向上に効果を果たしているものと推測している。
本発明の布帛は、ポリエステル芯鞘複合短繊維、紡績糸及び/または二層構造紡績糸を含むが、必要に応じて他の糸条を含むこともできる。他の糸条としては特に限定されず、用途に応じて適宜設定が可能だが、例えば、通常のポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、水溶性ビニロン繊維などの化学繊維、綿や麻、毛、絹などの天然繊維などが挙げられる。具体的には、合撚、混繊、引揃え、配列、交織、交編するなどして併用すればよい。
他の糸条を併用する場合、本発明のポリエステル芯鞘複合短繊維、紡績糸及び/または二層構造紡績糸の混用比率としては、紫外線防止性の観点から、布帛100質量%に対して50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がよりいっそう好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
本発明の布帛は、織物の形態としては、平織、綾織、朱子織、あるいはそれらの派生的組織も含むあらゆる組織が適用可能であり、また、編物の形態としても同様に、丸編み、横編み、タック編み等の緯編み、ラッセル、トリコット等の経編み等あらゆる組織が適用可能である。
本発明の布帛が織物の場合、カバーファクター(CF)は1000〜3500の範囲内であることが好ましく、1500〜2500であることがより好ましい。また、本発明の布帛が編物の場合、CFは500〜2500の範囲内であることが好ましく、800〜1800であることがより好ましい。ここで、カバーファクター(CF)とは、織物の場合は下記式(II)によって算出され、編物の場合は下記式(III)によって算出されるものである。
上記式中の略語は、以下のものを示す。
DT:糸の繊度(dtex)
WAD:経糸密度(本/2.54cm)
WED:緯糸密度(本/2.54cm)
CD:コース密度(本/2.54cm)
WD:ウェール密度(本/2.54cm)
なお、糸の繊度は、織物の場合JIS L 1096:2010 8.9.9.1.aのA法、編物の場合JIS L 1096:2010 8.9.9.1.bに従い測定、算出するものとする。経糸密度及び緯糸密度は、JIS L 1096:2010 8.6.1A法、コース密度、ウェール密度はJIS L 1096:2010 8.6.2に従い測定、算出するものとする。
本発明の布帛の目付けは、紫外線防止性の観点から、織物としては、100〜300g/mが好ましく、150〜280g/mがより好ましく、編物としては、100〜250g/mが好ましく、120〜200g/mがより好ましい。
本発明の布帛の厚みは、紫外線防止性の観点から、織物としては、0.2〜0.8mmが好ましく、0.3〜0.7mmがより好ましく、編物としては、0.2〜0.8mmが好ましく、0.3〜0.7mmがより好ましく、0.5〜0.7mmが特に好ましい。
本発明の布帛の紫外線防止指数は、20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、40以上であることがよりいっそう好ましく、50以上であることが特に好ましい。該紫外線防止指数を所定以上とするためには、前記ポリエステル芯鞘複合繊維、前記紡績糸、及び/または前記二層構造紡績糸中の無機酸化物微粒子量や、布帛におけるポリエステル芯鞘複合繊維、紡績糸、及び/または二層構造紡績糸自体の量を増やすほか、前記二層構造紡績糸の鞘部に前記ポリエステル芯鞘複合繊維を配したり、さらに芯部に綿を配すること等により可能となる。
本発明の紫外線防止指数(UPF)とは、オーストラリアニュージーランド規格(AS/NZS;4399:1996)に従い、分光光度計を用いて測定した280〜400nmの紫外線透過率に所定のダメージ係数を考慮し、算出するものである。なお、通常UPFの数値が20以上であれば「goodprotection」以上の等級となり好ましいといえるが、本発明においては、特に二層構造紡績糸において芯部に綿、鞘部に前記芯鞘複合短繊維を用いることにより、より高い紫外線防止指数、つまり40以上を達成することができる。
本発明のポリエステル芯鞘複合短繊維、二層構造紡績糸、布帛の製造方法について以下に説明する。
本発明のポリエステル芯鞘複合短繊維の製造方法は、通常の短繊維の製造方法を用いることができる。具体的には、例えば、酸化チタン微粒子を所定量含有するポリエステル樹脂をそれぞれ通常の溶融紡糸装置に供給して芯鞘複合繊維の溶融紡糸を行う。紡出糸条を冷却固化した後、一旦容器へ収納する。そして、この糸条を集束して糸条束とし、ローラ間で延伸倍率2〜4倍程度で延伸を施す。続いて100〜120℃で熱処理し、次いで仕上げ油剤を付与後、スタフィングボックス等で機械捲縮を付与し、目的とする繊維長にカットしてポリエステル芯鞘複合短繊維を得ることができる。
本発明の二層構造紡績糸の製造方法は、通常の二層構造紡績糸の製造方法を用いることができる。具体的には、前記ポリエステル芯鞘複合短繊維からなる粗糸と、その他短繊維からなる粗糸とを用意し、一方を芯側に他方を鞘側に配しながら同時に精紡するか、又は前記ポリエステル芯鞘複合短繊維からなるスライバーと、その他短繊維からなるスライバーとを用意し、一方を芯側に他方を鞘側に配しながら同時に粗紡することで複合粗糸を得、後にこの複合粗糸を精紡することにより、製造することができる。
ここで先に例示した製法について詳しく述べると、前者の方法では、まず、一連の紡績工程によりそれぞれの粗糸を作製する。このとき、各々の粗糸には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリエステル芯鞘複合短繊維以外の短繊維が含まれていてもよい。続いてリング精紡機に各粗糸を導入し、芯側より鞘側の送出量を大きくしながら精紡する。このとき、各粗糸を同一ドラフト域に並行に導入する。導入すべき粗糸としては、基本的に芯側、鞘側それぞれ1本ずつでよいが、紡績糸の被覆性を高める観点から、複数の鞘側粗糸を用いて1本の芯側粗糸を覆うという方法も採用できる。
一方、後者の方法でも、まず、一連の紡績工程によりそれぞれのスライバーを作製する。スライバーには、効果を損なわない範囲で前記ポリエステル芯鞘複合短繊維以外の短繊維が含まれていてもよい。次いで、粗紡機に各スライバーを導入する。このとき、各スライバーを同一ドラフト域に並行に導入すると同時に、芯側スライバーをフライヤーヘッドから見てドラフト域の外側に、鞘側スライバーを内側に導入する。そして、芯側スライバーにおけるドラフト軸方向(ただし、糸進行方向)と、芯側スライバーのフロントローラー最終ニップ点とフライヤーヘッドとを結ぶ線(ただし、糸進行方向)とのなす角度が、水平面に投影した際に好ましくは0〜60°の範囲を満足するように設定する。さらに、好ましくは鞘側スライバーを芯側スライバーより速い速度で供給することで、鞘側をやや弛ませる一方で芯側をやや張った状態にする。こうすることで、フライヤーの回転による撚りが芯側スライバーへ集中的に伝播される結果、鞘側スライバーを芯側スライバーに巻き付けることができる。複合粗糸を得た後は、公知の精紡機を用いて紡出すれば、目的の二層構造紡績糸を得ることができる。
本発明の布帛の製造方法は、公知の織機、編機を用いることができ、用途に応じて、布帛の組織、密度を適宜設定すればよい。
次に、本発明を実施例、比較例によってさらに具体的に説明する。
<実施例1>
粒径0.25μmの酸化チタン微粒子を5質量%添加したポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、粒径0.25μmの酸化チタン微粒子を0.4質量%添加したポリエチレンテレフタレートを鞘成分とし、2相のエクストルーダーからなる芯鞘型複合紡糸機を使用し、芯鞘比率(質量比)を50:50として複合紡糸を行い、紡糸速度800m/分で未延伸糸を得た。この未延伸糸を集束して11万dtexのトウ状にした未延伸繊維に、延伸倍率3.2倍、延伸温度40℃で延伸を行い、この後、ヒートドラム(温度110℃)で熱処理を施した。次いで、押し込み式クリンパーで捲縮を付与し、繊維長38mmに切断して、単糸繊度1.3dtex、強度4.8cN/dtex、捲縮数11.3ヶ/25mm、捲縮率10.5%のポリエステル芯鞘複合短繊維を得た。
次に、芯部をなすスライバーに綿(繊度1.2dtex、繊維長33mm)を、鞘部をなすスライバーに前記ポリエステル芯鞘複合短繊維を用い、芯鞘質量比(芯/鞘)30/70にて、粗紡、精紡を経て、本発明の二層構造紡績糸(40/1番手)を得た。得られた二層構造紡績糸は、前記ポリエステル芯鞘複合短繊維で綿が均一に被覆されていた。
前記二層構造紡績糸を用いて、釜径が16インチ、針密度18ゲージのフライス編機を用いて、図2に示すフライス組織の生機を得た。そして、得られた生機を、プレセット、精練・リラックス、仕上げセットを行ないフライス編地を得た。前述の方法により、得られた編地の紫外線防止指数を評価した。
<実施例2>
芯部をなすスライバーに実施例1で使用した芯鞘複合短繊維を、鞘部をなすスライバーに実施例1で使用した綿を用い、芯鞘質量比(芯/鞘)40/60で用意し、粗紡、精紡を経て、本発明の二層構造紡績糸(40/1番手)を得た。得られた二層構造紡績糸は、綿で前記ポリエステル芯鞘複合短繊維が均一に被覆されていた。
得られた二層構造紡績糸を用いて、実施例1と同様にして、フライス組織の生機を得た。そして、得られた生機を実施例1と同様にしてフライス編地を得た。前述の方法により、得られた編地の紫外線防止指数を評価した。
<実施例3>
実施例1で使用した芯鞘複合短繊維を用い、粗紡、精紡を経て、本発明の紡績糸(40/1番手)を得た。得られた紡績糸を用い、実施例1と同様にして、フライス組織の生機を得た。そして、得られた生機を実施例1と同様にしてフライス編地を得た。前述の方法により、得られた編地の紫外線防止指数を評価した。
<比較例1>
実施例1で使用した綿を用い、粗紡、精紡を経て、本発明の紡績糸(40/1番手)を得た。得られた紡績糸を用い、実施例1と同様にして、フライス組織の生機を得た。そして、得られた生機を実施例1と同様にしてフライス編地を得た。前述の方法により、得られた編地の紫外線防止指数を評価した。
<比較例2>
粒径0.25μmの酸化チタン微粒子を0.4質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融紡糸し、紡糸速度800m/分で未延伸糸を得た。この未延伸糸を集束して11万dtexのトウ状にした未延伸繊維に、延伸倍率3.2倍、延伸温度40℃で延伸を行い、この後、ヒートドラム(温度110℃)で熱処理を施した。次いで、押し込み式クリンパーで捲縮を付与し、繊維長38mmに切断して、単糸繊度1.3dtex、強度4.8cN/dtex、捲縮数11.3ヶ/25mm、捲縮率10.5%のポリエステル短繊維を得た。得られたポリエステル短繊維を用い、粗紡、精紡を経て、紡績糸(40/1番手)を得た。得られた紡績糸を用い、実施例1と同様にして、フライス組織の生機を得た。そして、得られた生機を実施例1と同様にしてフライス編地を得た。前述の方法により、得られた編地の紫外線防止指数を評価した。
<比較例3>
芯部をなすスライバーに比較例2で使用したポリエステル短繊維を、鞘部をなすスライバーに実施例1で使用した綿を用い、芯鞘質量比(芯/鞘)40/60で用意し、粗紡、精紡を経て、二層構造紡績糸(40/1番手)を得た。得られた二層構造紡績糸は、綿で前記ポリエステル短繊維が均一に被覆されていた。
得られた二層構造紡績糸を用いて、実施例1と同様にして、フライス組織の生機を得た。そして、得られた生機を実施例1と同様にしてフライス編地を得た。前述の方法により、得られた編地の紫外線防止指数を評価した。
得られた芯鞘複合短繊維、二層構造紡績糸(複重層糸と略す場合がある)、布帛及び評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜3にて得られたポリエステル芯鞘複合短繊維、二層構造紡績糸を含む布帛は、優れた紫外線防止性能を示すものであった。特に、芯成分として綿を、鞘成分として前記ポリエステル芯鞘複合短繊維を用いた二層構造紡績糸を含む実施例1の布帛は、前記ポリエステル芯鞘複合短繊維紡績糸のみからなる実施例3に比べ、前記ポリエステル芯鞘複合短繊維の混用比率が少ないにもかかわらず、紫外線防止指数が50+と非常に優れたものであった。
一方、比較例1にて得られた綿紡績糸のみからなる布帛、比較例2にて得られた酸化チタン微粒子含有量が0.4質量%のポリエステル短繊維のみからなる布帛、並びに比較例3にて得られた酸化チタン微粒子含有量が0.4質量%のポリエステル短繊維を芯に、綿を鞘に用いた二層構造紡績糸からなる布帛は、いずれも紫外線防止指数が20未満であった。
A 編糸
B シリンダー針
Cダイヤル針

Claims (5)

  1. 芯成分を形成するポリエステルに無機酸化物微粒子を3〜15質量%含有し、鞘成分を形成するポリエステルに無機酸化物微粒子を0〜1質量%含有したポリエステル芯鞘複合短繊維であって、前記短繊維が下記(1)〜(3)を満足することを特徴とするポリエステル芯鞘複合短繊維。
    (1)前記短繊維の繊維長が20〜70mm。
    (2)前記短繊維の捲縮数が5〜20ヶ/25mm。
    (3)前記短繊維の捲縮率が5〜30%。
  2. 請求項1に記載のポリエステル芯鞘複合短繊維を含む紡績糸。
  3. 請求項1に記載のポリエステル芯鞘複合短繊維を含む二層構造紡績糸。
  4. 請求項1に記載のポリエステル芯鞘複合短繊維、請求項2に記載の紡績糸、または請求項3に記載の二層構造紡績糸を含む布帛。
  5. 紫外線防止指数(UPF)が20以上である請求項4記載の布帛。
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