JP2019178441A - 不織布の製造方法、複合材料の製造方法及び炭素繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度及び賦形性に優れる複合材料が得られる不織布の製造方法の提供。【解決手段】表面処理が施された炭素繊維を抄造する工程を備える、不織布の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、不織布の製造方法、複合材料の製造方法及び炭素繊維に関する。
樹脂等の有機材料と、炭素繊維とを複合化した複合材料が様々な分野で利用されている。このような複合材料としては、樹脂と炭素繊維を平織りにしたカーボンクロスとを含むカーボン繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、CFRP)等が挙げられる。
炭素繊維の表面は一般に官能基が少なく、樹脂と複合化した際に樹脂に対する接着性が充分に得られず強度不足等の原因となる場合がある。そこで、炭素繊維の表面に有機物の付与等による処理を行って樹脂に対する接着性を向上させる試みがされている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
他方、使用済みの複合材料から取り出した炭素繊維を複合材料の製造に再利用する技術が検討されている。例えば、使用済みの複合材料から取り出された炭素繊維は一般に長さが短く集束体を形成していないため、不織布の材料としての利用が検討されている。
国際公開第2011/030784号 特開2013−117001号公報
炭素繊維から形成される不織布は、短い炭素繊維がランダムに配置された構造に由来する優れた賦形性を活かした立体成形物の材料としての利用が期待されている。しかしながら、複合材料から取り出された炭素繊維は、表面に付着していた有機物等が再生工程で除去されているため、得られた不織布をそのまま樹脂と複合化して複合材料を製造すると、炭素繊維と樹脂との接着性が充分に得られないおそれがある。そこで、樹脂に対する接着性を向上させるために、不織布に表面処理剤を付与することが行われている。
本発明者らの検討の結果、不織布の状態で炭素繊維に表面処理を施したものを用いて製造した複合材料は、強度に優れているものの賦形性の面で改善の余地があることがわかった。
本発明は上記事情に鑑み、強度及び賦形性に優れる複合材料が得られる不織布の製造方法を提供することを課題とする。本発明はまた、強度及び賦形性に優れる複合材料の製造方法、及び炭素繊維を提供することを課題とする。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1>表面処理が施された炭素繊維を抄造する工程を備える、不織布の製造方法。
<2>前記表面処理が表面処理剤の付与により行われる、<1>に記載の不織布の製造方法。
<3>前記表面処理剤がカップリング剤を含む、<2>に記載の不織布の製造方法。
<4>前記表面処理が、前記表面処理剤の含有率が0.001質量%〜0.5質量%である液体を用いて行われる、<2>又は<3>に記載の不織布の製造方法。
<5>前記炭素繊維は炭素繊維と樹脂とを含む複合材料から取り出されたものである、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の不織布の製造方法。
<6><1>〜<5>のいずれか1項に記載の不織布の製造方法により不織布を製造する工程と、前記不織布を樹脂と複合化する工程と、を含む、複合材料の製造方法。
<7>表面処理が施され、不織布の製造に用いられる炭素繊維。
<8>前記表面処理が表面処理剤の付与により行われる、<7>に記載の炭素繊維。
<9>前記表面処理剤がカップリング剤を含む、<8>に記載の炭素繊維。
<10>前記炭素繊維は炭素繊維と樹脂とを含む複合材料から取り出されたものである、<7>〜<9>のいずれか1項に記載の炭素繊維。
本発明によれば、強度及び賦形性に優れる複合材料が得られる不織布の製造方法が提供される。また本発明によれば、強度及び賦形性に優れる複合材料の製造方法、及び炭素繊維が提供される。
複合材料(炭素繊維の表面処理あり)を折り曲げて得られた破断面の電子顕微鏡像である。 複合材料(炭素繊維の表面処理なし)を折り曲げて得られた破断面の電子顕微鏡像である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本v中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
<不織布の製造方法>
本開示の不織布の製造方法は、表面処理が施された炭素繊維を抄造する工程を備える不織布の製造方法である。
表面処理が施された炭素繊維を抄造して得られる不織布を用いて製造した複合材料は、強度に優れ、かつ不織布の状態になっている炭素繊維を表面処理したものを用いて製造した複合材料に比べて賦形性に優れている。
表面処理が施された炭素繊維を抄造して得られる不織布を用いて得られる複合材料が、不織布の状態になっている炭素繊維を表面処理したものを用いて製造した複合材料に比べて賦形性に優れている理由は必ずしも明らかではないが、表面処理を不織布の状態になっていない炭素繊維に施すことで、炭素繊維に付着した表面処理剤による炭素繊維同士の固着が生じにくいことが考えられる。
本開示において炭素繊維の「表面処理」とは、炭素繊維の表面の樹脂に対する接着性を向上させるための処理を意味する。炭素繊維の表面処理による接着性の発現メカニズムは特に制限されず、機械的結合(アンカー効果等)、物理的相互作用(分子間力等)、化学的相互作用(共有結合、水素結合等)などのいずれであってもよく、これらの組合せであってもよい。
炭素繊維に表面処理を施す方法としては、酸化処理により酸素含有官能基を導入する方法、表面処理剤を付与する方法等が考えられるが、本開示の方法では表面処理剤の付与により行う。
炭素繊維に対する表面処理剤の付与量の調節しやすさ、付着ムラの抑制等の観点からは、炭素繊維への表面処理剤の付与は、表面処理剤を溶解又は分散した液体に炭素繊維を浸漬する方法(湿式法)で行うことが好ましい。
表面処理剤の付与を湿式法により行う場合、表面処理剤の溶解又は分散に用いる液体は特に制限されないが、取り扱い性の観点からは水及びアルコール等の極性有機溶媒が好ましく、水がより好ましい。ある実施態様では、表面処理剤の含有率が0.001質量%〜0.5質量%である液体に炭素繊維を浸漬して行ってもよい。
炭素繊維の表面処理を表面処理剤の付与により行う場合、付与量の上限は特に制限されないが、不織布中の炭素繊維同士の固着を抑制して複合材料の賦形性を良好に維持する観点からは、炭素繊維の0.05質量%以下となる量であることが好ましい。また、湿式法により不織布を製造する場合の炭素繊維の分散性を良好に維持する観点からも、炭素繊維の0.05質量%以下となる量であることが好ましい。
炭素繊維への表面処理剤の付与量の下限は特に制限されないが、複合材料の充分な強度を得る観点からは、炭素繊維の0.001質量%以上となる量であることが好ましい。
炭素繊維に表面処理剤が付与されているか否かを判断する手法は特に制限されない。例えば、X線光電子分光(XPS)分析、電子顕微鏡による炭素繊維断面の観察、加熱前後の質量変化等に基づいて判断してもよい。
表面処理に用いる表面処理剤は、複合材料としたときに炭素繊維の樹脂に対する接着性を向上しうるものであれば特に制限されず、炭素繊維の状態、複合材料とするときに使用する樹脂の種類等に応じて選択できる。表面処理に用いる表面処理剤は1種のみでも2種以上であってもよい。
表面処理剤として具体的には、カップリング剤、サイジング剤、界面活性剤、窒化剤等が挙げられる。複合材料の強度と賦形性を両立させる観点からは、これらの中でもカップリング剤が好ましく、シランカップリング剤がより好ましい。
シランカップリング剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するシランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン 、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤;p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基を有するシランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロイル基を有するシランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロイル基を有するシランカップリング剤;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート基を有するシランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等のウレイド基を有するシランカップリング剤;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するシランカップリング剤などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
炭素繊維は、炭素繊維と樹脂を含む複合材料から取り出されたもの(再生炭素繊維)であってもよい。複合材料から取り出された炭素繊維は一般に、再生工程を経て集束体(ストランド)を形成していない(一部が集束体を形成している場合も含む)状態であったり、サイジング剤が付着していない(一部にサイジング剤が付着している場合も含む)状態であるため、平織りにするのが困難である一方、不織布の製造(特に、湿式法による不織布の製造)には適している。炭素繊維が取り出される複合材料としては、使用済みのCFRP等が挙げられる。
炭素繊維が複合材料から取り出されたものであるか否かは、例えば、炭素繊維が集束体を形成しているか否か、炭素繊維の表面にサイジング剤が付着しているか否か等により判断することができる。
複合材料から炭素繊維を取り出す方法は特に制限されず、一般的な手法から選択できる。例えば、複合材料に含まれる樹脂を溶解しうる処理液に複合材料を浸漬し、樹脂を溶解する方法(溶解法)、複合材料を加熱して樹脂を熱分解する方法(熱分解法)、複合材料を電気分解して樹脂を分解する方法(電気分解法)等が挙げられる。取り出した炭素繊維の劣化を抑える観点からは、溶解法が好ましい。また、不織布を後述する湿式法により製造する場合の分散性の観点からも、溶解法により取り出された炭素繊維を用いることが好ましい。
不織布の製造に用いる炭素繊維の長さ(長さが一定でない場合は100本の平均値)は特に制限されず、例えば、1mm〜1000mmの範囲から選択できる。炭素繊維の抄造しやすさの観点からは、炭素繊維の長さは50mm以下であることが好ましい。
不織布の製造に用いる炭素繊維の太さ(太さが一定でない場合は100本の平均値)は特に制限されず、例えば、3μm〜10μmの範囲から選択できる。
炭素繊維を抄造して不織布を製造する方法は特に制限されず、炭素繊維を水に分散させた分散液を抄造して製造する方法(湿式法)、カードマシンを用いて機械的にくし削りながら製造する方法(乾式法)、その他の方法から選択することができる。
強度及び賦形性に優れる複合材料を得る観点からは、不織布は湿式法により製造されることが好ましい。湿式法により炭素繊維から不織布の状態にする場合、炭素繊維は表面が疎水性であるため、分散剤を用いて炭素繊維を水に分散させることが好ましい。分散剤の種類は特に制限されず、水溶性ポリマー、界面活性剤等の公知の材料から選択できる。
炭素繊維を水に分散させた分散液を抄造する際は、粘剤を添加して粘度を上昇させてもよい。粘剤の種類は特に制限されず、水溶性ポリマー、界面活性剤等の公知の材料から選択できる。
炭素繊維を抄造して得られる不織布の厚みは特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、5mm〜100mmの範囲であってもよい。
不織布は、必要に応じて炭素繊維以外の成分を含んでもよい。例えば、樹脂繊維を含んでいてもよい。
不織布は、必要に応じてさらに表面処理等を施してもよいが、複合材料の賦形性を維持する観点からは表面処理を行わないか、複合材料の賦形性が損なわれない程度に行うことが好ましい。
<複合材料の製造方法>
本開示の複合材料の製造方法は、上述した不織布の製造方法により不織布を製造する工程と、前記不織布を樹脂と複合化する工程と、を含む。
上記方法で使用する樹脂の種類は特に制限されず、複合材料の用途等に応じて選択できる。例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。複合材料の製造に使用する樹脂は、1種のみでも2種以上の組合せであってもよい。
上記方法において不織布を製造する工程と、不織布を樹脂と複合化する工程とは、この順に行っても、並行して行ってもよい。
不織布を製造する工程と、不織布を樹脂と複合化する工程とをこの順に行う場合としては、製造した不織布に樹脂を含浸し必要に応じて硬化処理を行う方法、製造した不織布とフィルム状の樹脂を積層する方法等が挙げられる。
不織布を製造する工程と、不織布を樹脂と複合化する工程とを並行して行う場合としては、炭素繊維と繊維状の樹脂を一緒に抄造する方法等が挙げられる。
複合材料は、必要に応じて所望の形状に成形されてもよい。本開示の方法により得られる複合材料は強度と賦形性に優れているため、立体成形物の製造にも適している。
<炭素繊維>
本開示の炭素繊維は、表面処理が施され、不織布の製造に用いられる炭素繊維である。
上記炭素繊維は表面処理されているため、これを用いて製造した不織布を用いて強度に優れる複合材料を得ることができる。また、上記炭素繊維は不織布の状態になる前に表面処理されているため、不織布の状態になった後で表面処理される場合に比べ、賦形性に優れる複合材料を得ることができる。
炭素繊維及びその表面処理の詳細及び好ましい態様は、上述した不織布の製造方法に用いられる炭素繊維及びその表面処理の詳細及び好ましい態様と同様である。
以下、本開示を実施例により具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(炭素繊維の表面処理)
水にシランカップリング剤(信越化学工業株式会社、KBM−903)を加えて0.001質量%とした処理液1000gを用意し、5分間撹拌した。次に長さ10mmの炭素繊維25.0gを処理液に投入し、容器内を撹拌棒で10分間撹拌した後、ロートで脱液を行った。脱液後の炭素繊維を麻袋に入れたものを3つ用意し、遠心脱液器内に偏心しないようにセットし、1500回転で3分間遠心分離を行い、さらに脱液を行った。袋から取り出した炭素繊維はどれも32.5gであり、炭素繊維質量の30質量%に相当する7.5gの処理液を含んでいた。これを金網のついた金属容器の中に入れ、110℃で2時間乾燥を行った。取り出した炭素繊維は処理前の繊維に比べて、わずかに硬さを感じるものの、繊維を一本一本引きはがすことが可能であった。
(不織布の作製)
ミキサー容器(株式会社TESCOM)内に、シランカップリング剤で処理した炭素繊維2gと、バインダー繊維(株式会社クラレ:ビニロン)0.2gと、分散剤(明成化学工業株式会社:メイカサーフMK−37)と、粘剤(明成化学工業株式会社:パムオールS−300)とを蒸留水に加えて、合計500gとした。分散剤は水溶液の状態で添加し、投入する固形分量は0.2gとした。同様に粘剤も水溶液の状態で添加し、投入する固形分量は0.2gとした。さらに消泡剤(明成化学工業株式会社:フォームレスP−98)を2滴添加し、2分間ミキサーで撹拌した。その後、上記と同じ粘剤を含む水(濃度:150ppm)500gを加え、1秒間の短時間撹拌を10回行い、炭素繊維の分散液を得た。
得られた分散液を直径160mmの丸型スタンダードシートマシン(熊谷理機工業株式会社)に投入した。6Lの注水後、充分撹拌し、濾水することで、厚さ0.5mmの不織布を得た。この不織布をろ紙で挟みながら410MPaにて5分間圧縮し、脱水した。脱水後の不織布を105℃に設定した回転ドライヤーにて乾燥させ、目付100g/mの不織布を得た。不織布は軽く引っ張ると全体的に伸び広がる程度に弾力があった。
(複合材料の作製)
作製した不織布から11.0cm四方の不織布を5枚分切り出し、各不織布の質量を測定した。次いで、厚み3.00mmのSUS板の上に厚み50.0μmのフィルムを敷き、更にその上に厚み1mm、12.0cm四方の穴を有する金型を設置した。更に、ディスポカップに熱硬化性液状樹脂(日本ユピカ株式会社:CBZ)100gと硬化剤(日油株式会社:パーキュアーVS)1.00gと、硬化促進剤(日本ユピカ株式会社:PR−CBZ−01)0.50gを加えて充分撹拌し、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液15.0gを金型内に満遍なく流し込んだ後、樹脂上に先ほどの不織布を1枚載せた。さらにその上に樹脂溶液15.0gを流し、不織布が傷つかない強さでローラーを転がし、不織布内の空気を抜いた。この樹脂溶液の流し込みから脱泡までの一連の動作を不織布5枚分行い、最後に余剰となった樹脂溶液を上から流しこんだ。そして、フィルムを被せて不織布とフィルム間の空気をシリコーンヘラで取り除いた後、SUS板を重ね、四隅と中心の計5ヵ所をそれぞれ厚み7.10mmになるよう万力で固定した。室温(25℃)で1時間静置後、120℃に設定した防爆乾燥機で90分間加熱した。放冷後、金型とフィルムを剥がしとり、厚み1mmの成形物としての複合材料を得た。
(複合材料の評価)
作製した成形物を幅10mm、長さ100mmに切断し、精密万能試験機(株式会社島津製作所:AG−1)を用いて曲げ試験を行い、曲げ強度(MPa)を測定した。曲げ試験では支点間距離を40mmとし、ロードセルは500Nを用いた。測定試料の本数は10本とし、その平均値を表1に示す。
<実施例2、3>
処理液中のシランカップリング剤の濃度を表1に示す濃度としたこと以外は実施例1と同様にして不織布と複合材料を作製し、曲げ試験を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
炭素繊維の表面処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして不織布と複合材料を作製し、曲げ試験を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
水にシランカップリング剤(信越化学工業株式会社:KBM−903)を加えて0.001質量%とした処理液1000gを用意し、底の浅い容器に入れた。
この処理液に、炭素繊維の表面処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして作製した不織布を金網で挟んだものを浸漬し、マッシャーで気泡が抜けるようにしながら1分間放置した。その後不織布を裏返しにし、さらに1分間放置した。その後、厚さ2mmのUS板の上に吸水ペーパーを敷いたところに不織布を配置し、その上に吸水ペーパーと厚さ2mmのSUS板を載せた。SUS板の上からローラーを転がし、さらに2枚のSUS板ごと不織布を裏返しにして同様にローラーを転がして脱水を行った。
次いで、不織布を金網で挟んだまま金属容器の中に入れて、110℃で2時間乾燥を行った。取り出した不織布は、シランカップリング剤による処理前と比較して硬く、弾力性のない触感で、引っ張った場合には、部分的にちぎれた。また、炭素繊維を一本一本引きはがすことは難しかった。この不織布を用いて実施例1と同様にして複合材料を作製し、曲げ試験を行った。結果を表1に示す。
<比較例3、4>
処理液中のシランカップリング剤の濃度を表1に示す濃度としたこと以外は比較例2と同様にして不織布と複合材料を作製し、曲げ試験を行った。結果を表1に示す。
さらに、実施例1で作製した複合材料と比較例1で作製した複合材料を折り曲げて得られた破断面を電子顕微鏡で観察した。観察画像をそれぞれ図1、図2に示す。図1及び図2に示すように、表面処理を行った炭素繊維を用いて作製した実施例1の複合材料は、表面処理を行っていない炭素繊維を用いて作製した複合材料に比べ、炭素繊維の表面に樹脂が付着している様子が観察された。
表1に示すように、シランカップリング剤による表面処理を施した炭素繊維を用いて作製した実施例の複合材料は、表面処理を施していない炭素繊維を用いて作製した比較例1の複合材料に比べ、曲げ強度に優れていた。一方、不織布の状態にした後の炭素繊維に対して表面処理を施した比較例2〜4の複合材料は、炭素繊維の表面処理を行っていない比較例1に比べて曲げ強度に優れているが、不織布の状態にする前の炭素繊維を用いて作製した実施例の複合材料に比べると曲げ強度に劣っていた。

Claims (10)

  1. 表面処理が施された炭素繊維を抄造する工程を備える、不織布の製造方法。
  2. 前記表面処理が表面処理剤の付与により行われる、請求項1に記載の不織布の製造方法。
  3. 前記表面処理剤がカップリング剤を含む、請求項2に記載の不織布の製造方法。
  4. 前記表面処理が、前記表面処理剤の含有率が0.001質量%〜0.5質量%である液体を用いて行われる、請求項2又は請求項3に記載の不織布の製造方法。
  5. 前記炭素繊維は炭素繊維と樹脂とを含む複合材料から取り出されたものである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の不織布の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の不織布の製造方法により不織布を製造する工程と、前記不織布を樹脂と複合化する工程と、を含む、複合材料の製造方法。
  7. 表面処理が施され、不織布の製造に用いられる炭素繊維。
  8. 前記表面処理が表面処理剤の付与により行われる、請求項7に記載の炭素繊維。
  9. 前記表面処理剤がカップリング剤を含む、請求項8に記載の炭素繊維。
  10. 前記炭素繊維は炭素繊維と樹脂とを含む複合材料から取り出されたものである、請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の炭素繊維。
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