JP2019173816A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】第2ソレノイドバルブを用いて切替バルブの状態を第1ソレノイドバルブがシンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替える制御を確実に実施すると共に、切替バルブの状態を第1ソレノイドバルブがシンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に維持可能な自動変速機の油圧制御装置を提供すること。【解決手段】本発明に係る自動変速機の油圧制御装置は、第2ソレノイドバルブを用いて切替バルブの状態を第1ソレノイドバルブがシンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替えている場合には、変速機構に供給する油圧の補正制御を禁止する手段を備えることを特徴とする。【選択図】図4
Description
本発明は、自動変速機の油圧制御装置に関する。
特許文献1には、S1B1アプライコントロールバルブを備える自動変速機の油圧制御装置が記載されている。この油圧制御装置では、Rレンジ圧が入力されていない場合、S1B1アプライコントロールバルブは、リニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するように作動(S1側作動)する。一方、Rレンジ圧が入力されている場合には、S1B1アプライコントロールバルブは、ライン圧モジュレータバルブLPMが出力した油圧をシンクロ機構1へ供給し、リニアソレノイドバルブSLGが第1のブレーキB1の係合圧を制御するように作動(B1側作動)する。
特許文献1に記載の自動変速機の油圧制御装置において、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを利用して、無段変速機機構に供給するセカンダリ圧の調圧とS1B1アプライコントロールバルブの切り替えとを行うことが考えられる。しかしながら、S1B1アプライコントロールバルブを強制的にS1側作動させることを要求された時に、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSが供給する油圧を昇圧したとしても、油圧補正制御処理(指示圧とセンサ圧の偏差に応じたフィードバック制御等)によってセカンダリ圧が引き下げられた場合、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSから供給される油圧も引き下がる。結果、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSから供給される油圧がS1B1アプライコントロールバルブを強制的にS1側作動させるために必要な油圧を下回り、S1B1アプライコントロールバルブがS1側作動することを維持できない可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、第2ソレノイドバルブを用いて切替バルブの状態を第1ソレノイドバルブがシンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替える制御を確実に実施すると共に、切替バルブの状態を第1ソレノイドバルブがシンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に維持可能な自動変速機の油圧制御装置を提供することにある。
本発明に係る自動変速機の油圧制御装置は、Rレンジ圧が入力されていない場合、第1ソレノイドバルブはシンクロ機構の係合圧を制御するように作動し、Rレンジ圧が入力されている場合には、ライン圧モジュレータバルブが出力した油圧をシンクロ機構へ供給し、前記第1ソレノイドバルブがブレーキ機構の係合圧を制御するように作動する切替バルブと、前記切替バルブ及び変速機構に供給する油圧を制御することによって前記切替バルブ及び変速機構の動作を制御する第2ソレノイドバルブと、を備える自動変速機の油圧制御装置であって、前記第2ソレノイドバルブを用いて前記切替バルブの状態を前記第1ソレノイドバルブが前記シンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替えている場合には、前記変速機構に供給する油圧の補正制御を禁止する手段を備えることを特徴とする。
本発明に係る自動変速機の油圧制御装置によれば、第2ソレノイドバルブを用いて切替バルブの状態を第1ソレノイドバルブがシンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替えている場合には、変速機構に供給する油圧の補正制御を禁止するので、第2ソレノイドバルブを用いて切替バルブの状態を第1ソレノイドバルブがシンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替える制御を確実に実施すると共に、切替バルブの状態を第1ソレノイドバルブがシンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に維持することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である自動変速機の油圧制御装置について説明する。
〔車両の構成〕
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態である自動変速機の油圧制御装置が適用される車両の構成について説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態である自動変速機の油圧制御装置が適用される車両の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である自動変速機の油圧制御装置が適用される車両の構成を示すスケルトン図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である自動変速機の油圧制御装置が適用される車両1は、自動変速機10、制御装置(ECU)11、及び油圧制御装置12を備えている。
自動変速機10は、トルクコンバータ(図3参照)、入力軸2を有する前後進切替装置3、無段変速機構4、減速ギヤ機構5、駆動軸60を有する出力ギヤ部6、カウンタシャフト部7、ディファレンシャル装置8、及びこれらを収容するミッションケース9を備えている。また、自動変速機10には、前後進切替装置3の入力軸2と出力ギヤ部6の駆動軸60とを減速ギヤ機構5を介して連結する第1の動力伝達経路a1と、入力軸2と駆動軸60とを無段変速機構4を介して連結する第2の動力伝達経路a2とが形成されている。また、自動変速機10は、第1軸AX1〜第5軸AX5までの互いに平行な軸を備えている。
第1軸AX1は、図示しない内燃エンジンのクランク軸と同軸である。第1軸AX1上には、クランク軸に連結される自動変速機10の入力軸、トルクコンバータ、前後進切替装置3及び無段変速機構4の入力軸2、前後進切替装置3のプラネタリギヤDP、第1のクラッチC1、第1のブレーキB1、及び無段変速機構4のプライマリプーリ41が配置されている。すなわち、入力軸2は、車両1の内燃エンジンに駆動連結されている。
第2軸AX2上には、減速ギヤ機構5が配置されている。第3軸AX3上には、無段変速機構4のセカンダリプーリ42、第2のクラッチC2、及び出力ギヤ部6が配置されている。第4軸AX4上には、カウンタシャフト部7が配置されている。第5軸AX5上には、ディファレンシャル装置8、左右のドライブシャフト81L,81Rが配置されている。クランク軸に連結される自動変速機10の入力軸は、トルクコンバータ15を介して前後進切替装置3及び無段変速機構4の入力軸2に連結されている。トルクコンバータ15は、ロックアップクラッチ16を有し、ロックアップクラッチ16を係合する油圧を供給するロックアップオンポート15aと、ロックアップクラッチ16を解放する油圧を供給するロックアップオフポート15bと、を備えている(図3参照)。
前後進切替装置3は、プラネタリギヤDP、第1のブレーキB1(ブレーキ機構)、及び第1のクラッチC1を備え、車両1の走行方向によって回転方向を切り替えて伝達する。入力軸2は、プラネタリギヤDPの内周側を通って無段変速機構4のプライマリプーリ41に接続されていると共に、プラネタリギヤDPのキャリヤCRに接続されている。プラネタリギヤDPは、サンギヤS、リングギヤR、サンギヤSに噛合するピニオンP1及びリングギヤRに噛合するピニオンP2を回転自在に支持するキャリヤCRを有している所謂ダブルピニオンプラネタリギヤで構成されている。このうちのリングギヤRは、第1のブレーキB1によってミッションケース9に対して回転を係止自在となるように構成されている。また、サンギヤSは中空軸30に直接的に連結され、キャリヤCRは第1のクラッチC1を介して中空軸30に接続され、中空軸30は正逆回転出力ギヤ31に連結されている。なお、中空軸30は、第1のクラッチC1のクラッチドラム32にも連結されており、これら正逆回転出力ギヤ31、中空軸30、及びクラッチドラム32が一体となって回転部材を構成している。すなわち、前後進切替装置3は、第1のクラッチC1及び第1のブレーキB1を有し、第1のクラッチC1を係合状態にすると共に第1のブレーキB1を解放状態にして車両1を前進走行させる前進モードと、第1のクラッチC1を解放状態にすると共に第1のブレーキB1を係合状態にして車両1を後進走行させる後進モードと、に切換可能である。
第1のクラッチC1は、係合時に車両1の前進方向の回転を伝達させる経路を形成し、第1のブレーキB1は、係合時に車両1の後進方向の回転を伝達させる経路を形成する。正逆回転出力ギヤ31は、減速ギヤ機構5の入力ギヤ51に噛合している。すなわち、第1のクラッチC1は、第1の動力伝達経路a1に介在されている。
減速ギヤ機構5は、第2軸AX2上に配置される第1の回転軸50、第1の回転軸50に設けられる入力ギヤ51、第1の回転軸50に設けられ第1の動力伝達経路a1に介在されるシンクロ機構S1、及び第1の回転軸50に対して相対回転可能な中空軸からなる第2の回転軸53及び出力ギヤ56を備えている。入力ギヤ51は、第1の回転軸50の一方側に一体的に固定され連結されている。第2の回転軸53は、第1の回転軸50の他方側の外周側に、例えばニードルベアリング(不図示)により相対回転自在に支持されている。すなわち、第2の回転軸53は、第1の回転軸50と軸方向に重なる二重軸として配置されている。第2の回転軸53には、出力ギヤ56が一体的に固定されて連結されている。出力ギヤ56は、出力ギヤ部6の入力ギヤ61に噛合されている。
シンクロ機構S1は、ドライブギヤ52、ドリブンギヤ55、不図示のシンクロナイザ、スリーブ57、シフトフォーク58、付勢ばね(付勢部)59、及びシンクロ検出部17を備えており、第1の回転軸50と第2の回転軸53とを係脱可能である。ドライブギヤ52は、入力ギヤ51よりも小径で、第1の回転軸50の一方側に一体的に固定されて連結されている。ドリブンギヤ55は、ドライブギヤ52と同径、且つ、出力ギヤ56よりも小径で、第2の回転軸53に一体的に固定されて連結されている。シンクロナイザは、ドリブンギヤ55のドライブギヤ52側に配設されている。
スリーブ57は、内周面に歯面が形成され、ドライブギヤ52とドリブンギヤ55との外周側に軸方向に移動可能に配設されている。スリーブ57は、後述する油圧サーボ93(図3参照)により駆動されるシフトフォーク58によって軸方向に移動駆動されることにより、ドライブギヤ52だけに噛合する位置と、ドライブギヤ52及びドリブンギヤ55に跨って両方に噛合する位置とにスライド駆動される。これにより、ドライブギヤ52とドリブンギヤ55とは、解放状態(切離し状態)又は係合状態(駆動連結状態)に切換自在にされる。
付勢ばね59は、ドライブギヤ52とドリブンギヤ55とが解放状態になる方向にシフトフォーク58に付勢力を与える。このため、油圧サーボ93に係合圧PSLG又はモジュレータ圧PLPM2が供給された時は、ドライブギヤ52とドリブンギヤ55とを係合状態にするように、油圧サーボ93が付勢ばね59の付勢力に抗してシフトフォーク58を移動させる。また、油圧サーボ93がドレーンされた時は、ドライブギヤ52とドリブンギヤ55とを解放状態にするように、付勢ばね59がシフトフォーク58を移動させる。すなわち、係合圧PSLG又はモジュレータ圧PLPM2の供給時には、シンクロ機構S1は係合状態(作動状態)に維持され、係合圧PSLG又はモジュレータ圧PLPM2の非供給時には、付勢ばね59がシンクロ機構S1を解放状態に切り替える。
無段変速機構4は、変速比を連続的に変更可能であり、本実施形態ではベルト式無段自動変速機構を適用している。但し、これには限られず、無段変速機構4として、例えばトロイダル式無段変速機構やコーンリング式無段変速機構等を適用してもよい。無段変速機構4は、入力軸2に接続されたプライマリプーリ41、セカンダリプーリ42、及びプライマリプーリ41及びセカンダリプーリ42に巻き掛けられた無端状のベルト43を備えている。プライマリプーリ41は、それぞれが対向する円錐状に形成された壁面を有し、入力軸2に対して軸方向移動不能に固定された固定シーブ41aと、入力軸2に対して軸方向移動可能に支持された可動シーブ41bと、を有し、これら固定シーブ41aと可動シーブ41bとによって形成された断面V字状となる溝部によりベルト43を挟持している。
同様に、セカンダリプーリ42は、それぞれが対向する円錐状に形成された壁面を有し、中心軸44に対して軸方向移動不能に固定された固定シーブ42aと、中心軸44に対して軸方向移動可能に支持された可動シーブ42bと、を有し、これら固定シーブ42aと可動シーブ42bとによって形成された断面V字状となる溝部によりベルト43を挟持している。これらプライマリプーリ41の固定シーブ41aとセカンダリプーリ42の固定シーブ42aとは、ベルト43に対して軸方向反対側となるように配置されている。
また、プライマリプーリ41の可動シーブ41bの背面側には、油圧サーボ45が配置されており、セカンダリプーリ42の可動シーブ42bの背面側には、油圧サーボ46が配置されている。油圧サーボ45には、油圧制御装置12の不図示のプライマリ圧コントロールバルブからプライマリ圧が作動油圧として供給され、油圧サーボ46には、油圧制御装置12の不図示のセカンダリ圧コントロールバルブからセカンダリ圧が作動油圧として供給される。そして、これら油圧サーボ45,46は、各作動油圧が供給されることにより負荷トルクに対応するベルト挟圧力を発生させると共に、変速比を変更又は固定するための挟圧力を発生させるように構成されている。
セカンダリプーリ42の可動シーブ42bの出力軸47は、第2のクラッチC2を介して、出力ギヤ部6の駆動軸60に接続されている。すなわち、第2のクラッチC2は、第2の動力伝達経路a2に介在されている。出力ギヤ部6は、駆動軸60、駆動軸60の一端側に固定されて連結された入力ギヤ61、及び駆動軸60の他端側に固定されて連結されたカウンタギヤ62を有し、カウンタギヤ62は、カウンタシャフト部7のドライブギヤ71に噛合されている。
カウンタシャフト部7は、カウンタシャフト70、カウンタシャフト70に固定されて連結されたドライブギヤ71、及びカウンタシャフト70に固定されて連結されたドリブンギヤ72を有し、ドリブンギヤ72は、ディファレンシャル装置8のデフリングギヤ80に噛合されている。
ディファレンシャル装置8は、デフリングギヤ80の回転をそれぞれ左右ドライブシャフト81L,81Rにそれらの差回転を吸収しつつ伝達するように構成されており、左右ドライブシャフト81L,81Rは、それぞれ不図示の左右車輪に連結されている。なお、デフリングギヤ80がドリブンギヤ72に噛合し、ドライブギヤ71がカウンタギヤ62に噛合していることから、出力ギヤ部6の駆動軸60、カウンタシャフト部7のカウンタシャフト70、及びディファレンシャル装置8は、左右ドライブシャフト81L,81Rを介して車輪と駆動連結されており、常に車輪に連動していることになる。
ECU11は、例えば、CPU、処理プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、及び通信ポートを備え、油圧制御装置12への制御信号等、各種の信号を出力ポートから出力する。なお、車両1には運転者が走行レンジを選択操作可能なシフトレバー13と、シフトレバー13のシフトポジションを検出するシフトポジション検出部14とが設けられている。
このような構成を有する車両1では、自動変速機10が、第1のクラッチC1、第2のクラッチC2、シンクロ機構S1、及び第1のブレーキB1が図2の係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、前進の非無段モード、前進の無段モード、後進の非無段モードが切換可能に達成される。前進の非無段モードでは、第1のクラッチC1を係合状態にすると共に第2のクラッチC2を解放状態にして、入力軸2と駆動軸60とを第1の動力伝達経路a1により接続して回転伝達する。前進の無段モードでは、第1のクラッチC1を解放状態にすると共に第2のクラッチC2を係合状態にして、入力軸2と駆動軸60とを第2の動力伝達経路a2により接続して回転伝達する。なお、本実施形態では、非無段モードは、駆動力を第1の動力伝達経路a1により回転伝達する前進1速段又は後進1速段を意味しているが、これには限られず、多段変速であってもよい。また、本実施形態では、無段モードは、駆動力を第2の動力伝達経路a2により回転伝達する前進無段変速を意味している。
〔油圧制御装置の構成〕
次に、図3を参照して、上記油圧制御装置12の構成について説明する。なお、本実施形態においては、各バルブにおける実際のスプールは1本であるが、スプール位置の切替位置あるいはコントロール位置を説明するため、図3中に示す右半分の状態を「右半位置」、左半分の状態「左半位置」という。
次に、図3を参照して、上記油圧制御装置12の構成について説明する。なお、本実施形態においては、各バルブにおける実際のスプールは1本であるが、スプール位置の切替位置あるいはコントロール位置を説明するため、図3中に示す右半分の状態を「右半位置」、左半分の状態「左半位置」という。
油圧制御装置12は、不図示のオイルポンプで発生された油圧をプライマリレギュレータバルブ及びセカンダリレギュレータバルブにより、スロットル開度に基づきライン圧PL及びセカンダリ圧Psecに調圧する。図3に示すように、油圧制御装置12は、ライン圧モジュレータバルブ20、マニュアルバルブ21、リニアソレノイドバルブSLU、及びロックアップ差圧コントロールバルブ22を有している。また、油圧制御装置12は、プライマリリニアソレノイドバルブSLP、プライマリ圧コントロールバルブ23、セカンダリリニアソレノイドバルブSLS(第2ソレノイドバルブ)、及びセカンダリ圧コントロールバルブ24を有している。さらに、油圧制御装置12は、リニアソレノイドバルブSL1、リニアソレノイドバルブSL2、リニアソレノイドバルブSLG(第1ソレノイドバルブ)、シークエンスバルブ25、クラッチアプライコントロールバルブ26、及びS1B1アプライコントロールバルブ(切替バルブ)27を有している。
なお、リニアソレノイドバルブSLU,SL1,SL2,SLGは、非通電時(以下、オフともいう)に入力ポートと出力ポートとを遮断し、通電時(以下、オンともいう)に連通する所謂ノーマルクローズ(N/C)型である。また、リニアソレノイドバルブSLP,SLSは、通電時に入力ポートと出力ポートとを遮断し、非通電時に連通する所謂ノーマルオープン(N/O)型である。
油圧制御装置12は、油圧によって作動され第1のクラッチC1を係脱可能な油圧サーボ91、油圧によって作動され第2のクラッチC2を係脱可能な油圧サーボ92、油圧によって作動されシンクロ機構S1を係脱可能な油圧サーボ93、及び油圧によって作動され第1のブレーキB1を係脱可能な油圧サーボ94に接続されている。
ライン圧モジュレータバルブ20は、ライン圧PLを調圧して、ライン圧PLより低圧の一定圧であるモジュレータ圧(元圧)PLPM2を生成する。
マニュアルバルブ21は、シフトレバー13(図1参照)の操作によって機械的又は電気的に移動されるスプール21p、モジュレータ圧PLPM2が入力される入力ポート21a、スプール21pがD(ドライブ)レンジ位置の場合にモジュレータ圧PLPM2を前進レンジ圧PDとして出力する出力ポート21b、及びスプール21pがR(リバース)レンジ位置の場合にモジュレータ圧PLPM2を後進レンジ圧PRとして出力する出力ポート21cを備えている。すなわち、マニュアルバルブ21は、走行レンジが前進レンジである場合に前進レンジ圧PDを出力し、且つ、走行レンジが後進レンジである場合に後進レンジ圧PRを出力する。
リニアソレノイドバルブSLUは、モジュレータ圧PLPM2が入力される入力ポートSLUaと、ロックアップ差圧コントロールバルブ22の第3の作動油室22cに連通される出力ポートSLUbと、を有している。リニアソレノイドバルブSLUは、入力ポートSLUaから入力されるモジュレータ圧PLPM2を自在に調圧制御し、ロックアップ差圧コントロールバルブ22に供給するためのロックアップ制御圧PSLUを生成して出力ポートSLUbから供給する。
ロックアップ差圧コントロールバルブ22は、左半位置(ロックアップオフ状態)と右半位置(ロックアップオン状態)とを切換自在なスプール22pと、スプール22pを左半位置に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング22sと、を備えている。ロックアップ差圧コントロールバルブ22は、スプール22pを右半位置に押圧作用する方向にロックアップオフ圧を入力可能な第1の作動油室22a、スプール22pを左半位置に押圧作用する方向にロックアップオン圧を入力可能な第2の作動油室22b、及びスプール22pを右半位置に押圧作用する方向にロックアップ制御圧PSLUが供給される第3の作動油室22cを備えている。また、ロックアップ差圧コントロールバルブ22は、セカンダリ圧Psecを入力する第1の入力ポート22d及び第2の入力ポート22e、シークエンスバルブ25の第2の出力ポート25iに連通する第3の入力ポート22f、ロックアップオフポート15b及び第1の作動油室22aに連通してロックアップオフ圧を出力する第1の出力ポート22g、及びロックアップオンポート15a及び第2の作動油室22bに連通してロックアップオン圧を出力する第2の出力ポート22hを備えている。ロックアップ差圧コントロールバルブ22は、ロックアップ制御圧PSLUを調圧することにより、ロックアップクラッチ16の係合の状態を制御する。
プライマリリニアソレノイドバルブSLPは、モジュレータ圧PLPM2が入力される入力ポートSLPaと、プライマリ圧コントロールバルブ23の第1の作動油室23a及びシークエンスバルブ25の第1の作動油室25aに連通される出力ポートSLPbと、を有している。プライマリリニアソレノイドバルブSLPは、プライマリ圧コントロールバルブ23にプライマリ制御圧PSLPを供給することによって、プライマリ圧コントロールバルブ23から無段変速機構4の油圧サーボ45に供給されるプライマリプーリ圧P10を調圧する。
プライマリ圧コントロールバルブ23は、左半位置(全開状態)と右半位置(全閉状態)とを切換自在なスプール23pと、スプール23pを左半位置に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング23sと、を備えている。プライマリ圧コントロールバルブ23は、スプール23pを左半位置に押圧作用する方向にプライマリ制御圧PSLPを入力する第1の作動油室23a、スプール23pを右半位置に押圧作用する方向にプライマリプーリ圧P10を入力する第2の作動油室23b、及びシークエンスバルブ25の第2の出力ポート25iに連通され、スプール23pを右半位置に押圧作用する方向に係合圧PSLGを入力可能な第3の作動油室23eを備えている。また、プライマリ圧コントロールバルブ23は、ライン圧PLを入力する入力ポート23cと、調圧後のプライマリプーリ圧P10をプライマリプーリ41の油圧サーボ45及び第2の作動油室23bに供給する出力ポート23dと、を備えている。プライマリ圧コントロールバルブ23は、プライマリ制御圧PSLPの大きさにより、ライン圧PLに基づいて調圧されるプライマリプーリ圧P10の大きさを調整する。
セカンダリリニアソレノイドバルブSLSは、モジュレータ圧PLPM2が入力される入力ポートSLSaと、セカンダリ圧コントロールバルブ24の第1の作動油室24aに連通される出力ポートSLSbと、を有している。セカンダリリニアソレノイドバルブSLSは、セカンダリ圧コントロールバルブ24にセカンダリ制御圧PSLSを供給することによって、セカンダリ圧コントロールバルブ24から無段変速機構4の油圧サーボ46に供給されるセカンダリプーリ圧P20を調圧する。
セカンダリ圧コントロールバルブ24は、左半位置(全開状態)と右半位置(全閉状態)とを切換自在なスプール24pと、スプール24pを左半位置に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング24sと、を備えている。セカンダリ圧コントロールバルブ24は、スプール24pを左半位置に押圧作用する方向にセカンダリ制御圧PSLSを入力する第1の作動油室24aと、スプール24pを右半位置に押圧作用する方向にセカンダリプーリ圧P20を入力する第2の作動油室24bと、を備えている。また、セカンダリ圧コントロールバルブ24は、ライン圧PLを入力する入力ポート24cと、調圧後のセカンダリプーリ圧P20をセカンダリプーリ42の油圧サーボ46及び第3の作動油室24bに供給する出力ポート24dと、を備えている。セカンダリ圧コントロールバルブ24は、セカンダリ制御圧PSLSの大きさにより、ライン圧PLに基づいて調圧されるセカンダリプーリ圧P20の大きさを調整する。
リニアソレノイドバルブSL1は、前進レンジ圧PDが入力される入力ポートSL1aと、クラッチアプライコントロールバルブ26の第1の入力ポート26c及び第2の入力ポート26dに連通される出力ポートSL1bと、を有している。リニアソレノイドバルブSL1は、入力ポートSL1aから入力される前進レンジ圧PDを自在に調圧制御し、油圧サーボ91に供給するための係合圧(第1の係合圧)PSL1を生成して出力ポートSL1bから供給する。
リニアソレノイドバルブSL2は、前進レンジ圧PDが入力される入力ポートSL2aと、シークエンスバルブ25の第3の作動油室25c及び第3の入力ポート25fに連通される出力ポートSL2bと、を有している。リニアソレノイドバルブSL2は、入力ポートSL2aから入力される前進レンジ圧PDを自在に調圧制御し、油圧サーボ92に供給するための係合圧(第2の係合圧)PSL2を生成して出力ポートSL2bから供給する。
リニアソレノイドバルブSLGは、モジュレータ圧PLPM2又は後進レンジ圧PRが入力される入力ポートSLGaと、シークエンスバルブ25の第2の入力ポート25e及びクラッチアプライコントロールバルブ26の第3の入力ポート26eに連通される出力ポートSLGbと、を有している。リニアソレノイドバルブSLGは、入力ポートSLGaから入力されるモジュレータ圧PLPM2又は後進レンジ圧PRを自在に調圧制御し、油圧サーボ93又は油圧サーボ94に供給するための係合圧PSLGを生成して出力ポートSLGbから供給する。
シークエンスバルブ25は、左半位置(第3の位置、第1の状態、通常状態)と右半位置(第4の位置、第2の状態、フェール状態)とを切換自在なスプール25pと、スプール25pを左半位置に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング25sと、を備えている。シークエンスバルブ25は、スプール25pを右半位置に押圧作用する方向にプライマリ制御圧PSLPを入力する第1の作動油室25a、スプール25pを左半位置に押圧作用する方向にモジュレータ圧PLPM2を入力する第2の作動油室25b、及びスプール25pを左半位置に押圧作用する方向に係合圧PSL2を入力する第3の作動油室25cを備えている。また、シークエンスバルブ25は、モジュレータ圧PLPM2を入力する第1の入力ポート25d、係合圧PSLGを入力する第2の入力ポート25eと、係合圧PSL2を入力する第3の入力ポート25f、及び前進レンジ圧PDを入力する第4の入力ポート25gを備えている。さらに、シークエンスバルブ25は、クラッチアプライコントロールバルブ26の第2の作動油室26bに連通する第1の出力ポート25h、プライマリ圧コントロールバルブ23の第3の作動油室23e及びロックアップ差圧コントロールバルブ22の第3の入力ポート22fに連通する第2の出力ポート25i、油圧サーボ92に連通する第3の出力ポート25j、及びドレーンポート25kを備えている。
シークエンスバルブ25は、スプール25pが左半位置の通常状態にある時は、第1の入力ポート25dは第1の出力ポート25hと連通され、第2の入力ポート25e及び第4の入力ポート25gは遮断され、第3の入力ポート25fは第3の出力ポート25jと連通され、第2の出力ポート25iはドレーンポート25kに連通される。また、シークエンスバルブ25は、スプール25pが右半位置のフェール状態にある時は、第1の入力ポート25d及び第3の入力ポート25fは遮断され、第2の入力ポート25eは第2の出力ポート25iと連通され、第4の入力ポート25gは第3の出力ポート25jと連通され、第1の出力ポート25hはドレーンポート25kに連通される。
クラッチアプライコントロールバルブ26は、左半位置(第1の位置、第1の状態、通常状態)と右半位置(第2の位置、第2の状態、タイアップ防止状態)とを切換自在なスプール26pと、スプール26pを左半位置に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング26sと、を備えている。クラッチアプライコントロールバルブ26は、スプール26pを右半位置に押圧作用する方向に係合圧PSL2又は前進レンジ圧PDを入力する第1の作動油室26aと、スプール26pを左半位置に押圧作用する方向にモジュレータ圧PLPM2を入力する第2の作動油室26bと、を備えている。また、クラッチアプライコントロールバルブ26は、係合圧PSL1を入力する第1の入力ポート26c及び第2の入力ポート26d、係合圧PSLGを入力する第3の入力ポート26e、及び後進レンジ圧PRを入力する第4の入力ポート26f及び第5の入力ポート26gを備えている。さらに、クラッチアプライコントロールバルブ26は、油圧サーボ91に連通する第1の出力ポート26h、S1B1アプライコントロールバルブ27の第2の入力ポート27dに連通する第2の出力ポート26i、S1B1アプライコントロールバルブ27の第1の入力ポート27cに連通する第3の出力ポート26j、及びドレーンポート26kを備えている。
第1の作動油室26aと第2の作動油室26bとでは、スプール26pの受圧面積を同じに設定している。また、第1の入力ポート26cでは、スプール26pの軸方向両側で受圧面積を異ならせており、スプール26pを右半位置に押圧作用する側の受圧面積が大きくなるように設定している。さらに、スプリング26sの付勢力は、第1の入力ポート26cに係合圧PSL1が供給された際にスプール26pの受圧面積差によってスプール26pを右半位置に押圧作用する押圧力よりも小さくなるように設定している。これにより、リニアソレノイドバルブSL1,SL2が同時に作動して、係合圧PSL1,PSL2が同時に出力された場合は、スプール26pの両端面で係合圧PSL2とモジュレータ圧PLPM2とが打ち消し合うと共に、第1の入力ポート26cに供給された係合圧PSL1がスプール26pの受圧面積差によってスプール26pを右半位置に押圧作用する押圧力がスプリング26sに打ち勝って、スプール26pが右半位置に切り換わる。
同様に、第5の入力ポート26gでは、スプール26pの軸方向両側で受圧面積を異ならせており、スプール26pを右半位置に押圧作用する側の受圧面積が大きくなるように設定している。スプリング26sの付勢力は、第5の入力ポート26gに後進レンジ圧PRが供給された際にスプール26pの受圧面積差によってスプール26pを右半位置に押圧作用する押圧力よりも小さくなるように設定している。これにより、後進レンジ時にリニアソレノイドバルブSL2が作動して、後進レンジ圧PR及び係合圧PSL2が同時に出力された場合は、スプール26pの両端面で係合圧PSL2とモジュレータ圧PLPM2とが打ち消し合うと共に、第5の入力ポート26gに供給された後進レンジ圧PRがスプール26pの受圧面積差によってスプール26pを右半位置に押圧作用する押圧力がスプリング26sに打ち勝って、スプール26pが右半位置に切り換わる。
そして、クラッチアプライコントロールバルブ26は、スプール26pが左半位置の通常状態にある時は、第2の入力ポート26dと第1の出力ポート26hとが連通され、第3の入力ポート26eと第2の出力ポート26iとが連通される。また、クラッチアプライコントロールバルブ26は、スプール26pが右半位置のタイアップ防止状態にある時は、第1の出力ポート26hとドレーンポート26kとが連通され、第3の入力ポート26eが遮断され、第5の入力ポート26gと第3の出力ポート26jとが連通される。
従って、リニアソレノイドバルブSL1が作動してリニアソレノイドバルブSL2が作動しない場合は、クラッチアプライコントロールバルブ26は通常状態のままで、係合圧PSL1が油圧サーボ91に供給される。また、リニアソレノイドバルブSL2が作動して係合圧PSL2がシークエンスバルブ25の第3の出力ポート25jから出力され、リニアソレノイドバルブSL1が作動しない場合は、クラッチアプライコントロールバルブ26は通常状態のままで、係合圧PSL2が油圧サーボ92に供給される。さらに、リニアソレノイドバルブSL2が作動して係合圧PSL2がシークエンスバルブ25の第3の出力ポート25jから出力され、リニアソレノイドバルブSL1も作動した場合は、クラッチアプライコントロールバルブ26はタイアップ防止状態に切り換わり、油圧サーボ91はドレーンされ、油圧サーボ92には係合圧PSL2が供給される。これにより、油圧サーボ91及び油圧サーボ92に同時に係合圧が供給されることを防止できるので、第1のクラッチC1及び第2のクラッチC2の同時係合によるタイアップの発生を防止することができる。
S1B1アプライコントロールバルブ27は、左半位置(第5の位置、非後進状態)と右半位置(第6の位置、後進状態)とを切換自在なスプール27pと、スプール27pを左半位置に付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング27sと、を備えている。S1B1アプライコントロールバルブ27は、スプール27pを右半位置に押圧作用する方向に後進レンジ圧PRを入力する第1の作動油室27aと、スプール27pを左半位置に押圧作用する方向にセカンダリ制御圧PSLSを入力する第2の作動油室27bと、を備えている。また、S1B1アプライコントロールバルブ27は、後進レンジ圧PRを入力する第1の入力ポート27c、係合圧PSLGを入力する第2の入力ポート27d、モジュレータ圧PLPM2を入力する第3の入力ポート27e、及び後進レンジ圧PRを入力する第4の入力ポート27fを備えている。さらに、S1B1アプライコントロールバルブ27は、油圧サーボ94に連通する第1の出力ポート27g、油圧サーボ93に連通する第2の出力ポート27h、及びリニアソレノイドバルブSLGの入力ポートSLGaに連通される第3の出力ポート27iを備えている。
第1の作動油室27aと第2の作動油室27bとでは、スプール27pの受圧面積を同じに設定している。また、スプリング27sの付勢力は、第1の作動油室27aに後進レンジ圧PRが供給された際にスプール27pを右半位置に押圧作用する押圧力よりも小さくなるように設定している。これにより、後進レンジ圧PRが供給されると共にセカンダリ制御圧PSLSが供給されない場合は、スプール27pが右半位置に切り換わり、後進レンジ圧PRが供給されると共にセカンダリ制御圧PSLSが供給される場合は、スプール27pの両端面で後進レンジ圧PRとセカンダリ制御圧PSLSとが打ち消し合ってスプール27pはスプリング27sの付勢力によって左半位置に位置する。
そして、S1B1アプライコントロールバルブ27は、スプール27pが左半位置の非後進状態にある時は、第1の入力ポート27cは第1の出力ポート27gと連通され、第2の入力ポート27dは第2の出力ポート27hと連通され、第3の入力ポート27eは第3の出力ポート27iと連通され、第4の入力ポート27fは遮断される。また、S1B1アプライコントロールバルブ27は、スプール27pが右半位置の後進状態にある時は、第1の入力ポート27cは遮断され、第2の入力ポート27dは第1の出力ポート27gと連通され、第3の入力ポート27eは第2の出力ポート27hと連通され、第4の入力ポート27fは第3の出力ポート27iと連通される。
従って、マニュアルバルブ21のシフトポジションが後進レンジ以外で後進レンジ圧PRが生成されないか、あるいはシフトポジションが後進レンジで後進レンジ圧PRが生成されてもセカンダリ制御圧PSLSが供給される場合は、S1B1アプライコントロールバルブ27は非後進状態のままで、モジュレータ圧PLPM2がS1B1アプライコントロールバルブ27を通過してリニアソレノイドバルブSLGに供給され、係合圧PSLGがS1B1アプライコントロールバルブ27を通過して油圧サーボ93に供給され、油圧サーボ94はS1B1アプライコントロールバルブ27を介してクラッチアプライコントロールバルブ26からドレーンされる。また、シフトポジションが後進レンジで後進レンジ圧PRが生成されると共にセカンダリ制御圧PSLSが設定圧以下である場合は、S1B1アプライコントロールバルブ27は後進状態に切り換わり、モジュレータ圧PLPM2がS1B1アプライコントロールバルブ27を通過して油圧サーボ93に供給され、後進レンジ圧PRがS1B1アプライコントロールバルブ27を通過してリニアソレノイドバルブSLGに供給され、係合圧PSLGがS1B1アプライコントロールバルブ27を通過して油圧サーボ94に供給される。
このような構成を有する油圧制御装置12は、ECU11の指令により、第1のクラッチC1、第2のクラッチC2、第1のブレーキB1、シンクロ機構S1や、油圧サーボ45,46に係合圧を給排することで、各係合要素の係脱や無段変速機構4の変速等の制御を行う。なお、本実施の形態では、リニアソレノイドバルブSL1及びリニアソレノイドバルブSL2により、ソレノイドバルブ部29が構成される。すなわち、ソレノイドバルブ部29は、前進レンジ圧PDに基づいて係合圧PSL1,PSL2を供給可能である。
また、本実施形態では、シークエンスバルブ25と、クラッチアプライコントロールバルブ26と、S1B1アプライコントロールバルブ27とにより、供給圧切換部28が構成される。すなわち、本実施形態では、供給圧切換部28は、第2のクラッチC2の油圧サーボ92に係合圧PSL2を供給可能な第1の状態と、第2のクラッチC2の油圧サーボ92に前進レンジ圧PDを供給可能な第2の状態と、に切換可能である。また、供給圧切換部28は、通常状態(正常時)には第1の状態であり、フェール状態(異常時)には第1の状態から第2の状態に切り換わる。さらに、供給圧切換部28は、第1の状態において第2のクラッチC2の油圧サーボ92に係合圧PSL2が供給される場合と、第2の状態において第2のクラッチC2の油圧サーボ92に前進レンジ圧PDが供給される場合とには、第1のクラッチC1の油圧サーボ91への係合圧PSL1の供給を遮断する。
また、本実施形態では、クラッチアプライコントロールバルブ26は、第1の状態では第1のクラッチC1の油圧サーボ91に係合圧PSL1を供給可能な第1の位置に位置すると共に、第2の状態では第1のクラッチC1の油圧サーボ91への係合圧PSL1の供給を遮断する第2の位置に位置する。また、本実施形態では、シークエンスバルブ25は、第1の状態では第2のクラッチC2の油圧サーボ92に係合圧PSL2を供給可能な第3の位置に位置すると共に、第2のクラッチC2の油圧サーボ92に係合圧PSL2を供給する際にクラッチアプライコントロールバルブ26を第2の位置に切り替える係合圧(信号圧)PSL2を供給する。また、シークエンスバルブ25は、第2の状態では第2のクラッチC2の油圧サーボ92に前進レンジ圧PDを供給可能な第4の位置に位置すると共に、第2のクラッチC2の油圧サーボ92に前進レンジ圧PDを供給する際にクラッチアプライコントロールバルブ26を第2の位置に切り替える前進レンジ圧(信号圧)PDを供給する。
さらに、本実施形態では、前後進切替装置3において、正常後進時には、クラッチアプライコントロールバルブ26が第1の位置に位置し、第1のブレーキB1の油圧サーボ94に係合圧PSLGを供給可能であり、異常後進時には、クラッチアプライコントロールバルブ26が第2の位置に位置し、第1のブレーキB1の油圧サーボ94に後進レンジ圧PRを供給可能である。
次に、図3を参照して、供給圧切換部28の動作について説明する。内燃エンジンの駆動後、ライン圧PLが生成されると、ライン圧モジュレータバルブ20においてモジュレータ圧PLPM2が生成される。モジュレータ圧PLPM2によって、シークエンスバルブ25が通常状態に切り替えられる。また、モジュレータ圧PLPM2がシークエンスバルブ25を介してクラッチアプライコントロールバルブ26に供給され、クラッチアプライコントロールバルブ26を通常状態に切り替える。これにより、フェールの発生していない通常の走行時では、シークエンスバルブ25及びクラッチアプライコントロールバルブ26のいずれも通常状態である。
ECU11は、車両1の車速等の走行状態に対応して、トルクコンバータ15のロックアップクラッチ16の係合状態を制御する。この場合、ECU11は、リニアソレノイドバルブSLUを制御することで、リニアソレノイドバルブSLUから出力されるロックアップ制御圧PSLUを調圧し、ロックアップ差圧コントロールバルブ22を利用してロックアップクラッチ16の係合状態を制御する。本実施の形態では、ロックアップ制御圧PSLUが大きい程、ロックアップクラッチ16が強く係合する。
車両1の低速前進時には、自動変速機10は前進の非無段モードになる(図2参照)。この場合、ECU11によって、第1のクラッチC1及びシンクロ機構S1のみが係合されるように制御される。まず、マニュアルバルブ21から前進レンジ圧PDが出力され、前進レンジ圧PDを元圧としてリニアソレノイドバルブSL1から係合圧PSL1が出力される。出力された係合圧PSL1は、クラッチアプライコントロールバルブ26を介して油圧サーボ91に供給される。これにより、第1のクラッチC1が係合可能になる。ここで、マニュアルバルブ21からは後進レンジ圧PRは出力されていないので、S1B1アプライコントロールバルブ27は非後進状態である。そして、モジュレータ圧PLPM2がS1B1アプライコントロールバルブ27を介してリニアソレノイドバルブSLGに元圧として供給され、リニアソレノイドバルブSLGから係合圧PSLGが出力される。出力された係合圧PSLGは、クラッチアプライコントロールバルブ26及びS1B1アプライコントロールバルブ27を介して油圧サーボ93に供給される。これにより、シンクロ機構S1が係合可能になる。
車両1の中高速前進時には、自動変速機10は前進の無段モードになる(図2参照)。この場合、ECU11によって、第2のクラッチC2及び車速によってシンクロ機構S1のみが係合されるように制御される。前進レンジ圧PDを元圧としてリニアソレノイドバルブSL2から係合圧PSL2が出力される。出力された係合圧PSL2は、シークエンスバルブ25を介して油圧サーボ92に供給される。これにより、第2のクラッチC2が係合可能になる。
車両1の後進時には、自動変速機10は後進の非無段モードになる(図2参照)。この場合、ECU11によって、第1のブレーキB1及びシンクロ機構S1のみが係合されるように制御される。まず、マニュアルバルブ21から後進レンジ圧PRが出力されることで、S1B1アプライコントロールバルブ27は後進状態に切り換わる。そして、後進レンジ圧PRがS1B1アプライコントロールバルブ27を介してリニアソレノイドバルブSLGに元圧として供給され、リニアソレノイドバルブSLGから係合圧PSLGが出力される。出力された係合圧PSLGは、クラッチアプライコントロールバルブ26及びS1B1アプライコントロールバルブ27を介して油圧サーボ94に供給される。これにより、第1のブレーキB1が係合可能になる。また、モジュレータ圧PLPM2がS1B1アプライコントロールバルブ27を介して油圧サーボ93に供給される。これにより、シンクロ機構S1が係合可能になる。
〔油圧補正制御禁止処理〕
ところで、このような構成を有する油圧制御装置12において、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを利用して、セカンダリプーリ圧P20の調圧とS1B1アプライコントロールバルブ27の切り替えとを行うことが考えられる。しかしながら、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを利用して、リニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するようにS1B1アプライコントロールバルブ27を強制的に作動させることを要求された時、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSが供給する油圧を昇圧したとしても、油圧補正制御処理(指示圧とセンサ圧の偏差に応じたフィードバック制御等)によってセカンダリプーリ圧P20が引き下げられた場合、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSから供給される油圧も引き下がる。結果、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSから供給される油圧がS1B1アプライコントロールバルブ27を強制的にS1側作動させるために必要な油圧を下回り、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを利用して、リニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するようにS1B1アプライコントロールバルブ27を強制的に作動させることを維持できない可能性がある。
ところで、このような構成を有する油圧制御装置12において、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを利用して、セカンダリプーリ圧P20の調圧とS1B1アプライコントロールバルブ27の切り替えとを行うことが考えられる。しかしながら、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを利用して、リニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するようにS1B1アプライコントロールバルブ27を強制的に作動させることを要求された時、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSが供給する油圧を昇圧したとしても、油圧補正制御処理(指示圧とセンサ圧の偏差に応じたフィードバック制御等)によってセカンダリプーリ圧P20が引き下げられた場合、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSから供給される油圧も引き下がる。結果、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSから供給される油圧がS1B1アプライコントロールバルブ27を強制的にS1側作動させるために必要な油圧を下回り、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを利用して、リニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するようにS1B1アプライコントロールバルブ27を強制的に作動させることを維持できない可能性がある。
そこで、本実施形態では、ECU11が、以下に示す油圧補正制御禁止処理を実行することにより、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを利用してS1B1アプライコントロールバルブ27の状態をリニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替える制御を確実に実施すると共に、S1B1アプライコントロールバルブ27の状態をリニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するように作動する状態に維持する。以下、図4を参照して、本発明の一実施形態である油圧補正制御禁止処理を実行する際のECU11の動作について説明する。
図4は、本発明の一実施形態である油圧補正制御禁止処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替えられたタイミングで開始となり、油圧補正制御禁止処理はステップS1の処理に進む。油圧補正制御禁止処理は、前回の油圧補正制御禁止処理が終了してから所定時間が経過する度毎に繰り返し実行される。
ステップS1の処理では、ECU11が、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを利用して、リニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するようにS1B1アプライコントロールバルブ27を強制的に作動させるシンクロ側強制切り替え要求がオンであるか否かを判別する。判別の結果、シンクロ側強制切り替え要求がオンである場合(ステップS1:Yes)、ECU11は、油圧補正制御禁止処理をステップS2の処理に進める。一方、シンクロ側強制切り替え要求がオンでない場合には(ステップS1:No)、ECU11は、油圧補正制御禁止処理をステップS3の処理に進める。
ステップS2の処理では、ECU11が、油圧ばらつき保障や応答性補償のためのセカンダリプーリ圧P20の補正制御処理を禁止する。これにより、ステップS2の処理は完了し、一連の油圧補正制御禁止処理は終了する。
ステップS3の処理では、ECU11が、例えばセカンダリプーリ圧P20の指示圧とセンサ圧の偏差を算出し、算出された偏差を解消するためのセカンダリプーリ圧P20の補正項を算出する油圧補正制御処理を実行する。これにより、ステップS3の処理は完了し、油圧補正制御禁止処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、ECU11が、ステップS3の処理において算出されたセカンダリプーリ圧P20の補正項に従ってセカンダリプーリ圧P20を制御する。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連の油圧補正制御禁止処理は終了する。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である油圧制御装置12では、ECU11が、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを用いてS1B1アプライコントロールバルブ27の状態をリニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替えている場合には、セカンダリプーリ圧P20の補正制御を禁止するので、セカンダリリニアソレノイドバルブSLSを用いてS1B1アプライコントロールバルブ27の状態をリニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替える制御を確実に実施すると共に、S1B1アプライコントロールバルブ27の状態をリニアソレノイドバルブSLGがシンクロ機構S1の係合圧を制御するように作動する状態に維持することができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 車両
4 無段変速機構
10 自動変速機
11 制御装置
12 油圧制御装置
20 ライン圧モジュレータバルブ
27 S1B1アプライコントロールバルブ
B1 第1のブレーキ
S1 シンクロ機構
SLG セカンダリリニアソレノイドバルブ
SLS セカンダリリニアソレノイドバルブ
4 無段変速機構
10 自動変速機
11 制御装置
12 油圧制御装置
20 ライン圧モジュレータバルブ
27 S1B1アプライコントロールバルブ
B1 第1のブレーキ
S1 シンクロ機構
SLG セカンダリリニアソレノイドバルブ
SLS セカンダリリニアソレノイドバルブ
Claims (1)
- Rレンジ圧が入力されていない場合、第1ソレノイドバルブはシンクロ機構の係合圧を制御するように作動し、Rレンジ圧が入力されている場合には、ライン圧モジュレータバルブが出力した油圧をシンクロ機構へ供給し、前記第1ソレノイドバルブがブレーキ機構の係合圧を制御するように作動する切替バルブと、前記切替バルブ及び変速機構に供給する油圧を制御することによって前記切替バルブ及び変速機構の動作を制御する第2ソレノイドバルブと、を備える自動変速機の油圧制御装置であって、
前記第2ソレノイドバルブを用いて前記切替バルブの状態を前記第1ソレノイドバルブが前記シンクロ機構の係合圧を制御するように作動する状態に強制的に切り替えている場合には、前記変速機構に供給する油圧の補正制御を禁止する手段を備えることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
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