JP2019170423A - 膜状成形体の製造方法及び膜状成形体 - Google Patents

膜状成形体の製造方法及び膜状成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2019170423A
JP2019170423A JP2018059140A JP2018059140A JP2019170423A JP 2019170423 A JP2019170423 A JP 2019170423A JP 2018059140 A JP2018059140 A JP 2018059140A JP 2018059140 A JP2018059140 A JP 2018059140A JP 2019170423 A JP2019170423 A JP 2019170423A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
water
shaped molded
shaped
raw material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2018059140A
Other languages
English (en)
Inventor
康幸 礒野
Yasuyuki Isono
康幸 礒野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Original Assignee
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd filed Critical Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority to JP2018059140A priority Critical patent/JP2019170423A/ja
Publication of JP2019170423A publication Critical patent/JP2019170423A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

【課題】原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、配置した箇所から移動しにくい(ずれにくい)膜状成形体の簡便な製造方法を提供する。【解決手段】ポリアニオン性多糖類の水溶性塩からなる複数の膜状の原料成形体2a,2bを厚さ方向に積層した積層体10、及び酸無水物を含有する処理液15を袋状容器20に封入する工程と、袋状容器20内の積層体10を積層方向に加圧しながら、積層体10の最下層及び最上層に位置する2つの原料成形体2a,2bを、それらの形状を維持したまま水不溶化処理して2つの膜状成形体を得る工程と、を有する膜状成形体の製造方法である。【選択図】図2

Description

本発明は、膜状成形体の製造方法、及び膜状成形体に関する。
ヒアルロン酸やアルギン酸等のポリアニオン性多糖類は、適度な粘性、粘着性、保湿性、及び生体適合性を示すことが知られている。このため、これらのポリアニオン性多糖類及びその塩は、医療用材料、食品用材料、及び化粧品用材料等の原材料として幅広く用いられている。
なかでもヒアルロン酸は、保水性などの特徴的な物性に優れているとともに、安全性及び生体適合性が高いことから、食品、化粧品、及び医薬品等の様々な用途に利用されている。例えば医療分野では、ヒアルロン酸は関節潤滑剤や癒着防止材の原料などに利用されている。但し、原料となるヒアルロン酸ナトリウムは水溶性が高いため、用途によっては何らかの不溶化処理を施す必要がある。
これまで、ヒアルロン酸ナトリウムを水不溶化させる種々の方法が検討されている。例えば、特許文献1及び2には、多価カチオンを用いてイオン結合させることにより、ヒアルロン酸やカルボキシアルキルセルロース等のポリアニオン性多糖類を水不溶化させる方法が記載されている。また、特許文献3には、粉末状ヒアルロン酸と無水酢酸とを濃硫酸の存在下で反応させてアセチル化することが記載されている。
なお、癒着防止膜等の医療用材料は、処理部位に留まって容易には移動しないことが必要とされる。例えば、特許文献4及び5にはハニカム構造を有する医療用の接着フィルムが記載されている。また、特許文献6には多孔質層を有する二層シート構造の生体吸収性医療材料が記載されている。
特開平5−124968号公報 特開2008−13510号公報 特開平8−53501号公報 特開2008−12216号公報 特開2010−131435号公報 特開2012−95731号公報
しかしながら、特許文献1及び2には、得られたフィルム等の水不溶性の程度については一切記載されていない。また、特許文献3には、得られたヒアルロン酸のアセチル化物の水不溶性の程度については一切記載されていない。なお、特許文献4〜6に記載された接着フィルムや生体吸収性医療材料を製造するには特殊な技術が必要とされるとともに、その製造工程が煩雑になるといった課題がある。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、配置した箇所から移動しにくい(ずれにくい)膜状成形体の簡便な製造方法を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記製造方法によって製造される、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、配置した箇所から移動しにくい(ずれにくい)膜状成形体を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示す膜状成形体の製造方法が提供される。
[1]ポリアニオン性多糖類の水溶性塩からなる複数の膜状の原料成形体を厚さ方向に積層した積層体、及び酸無水物を含有する処理液を袋状容器に封入する工程と、前記袋状容器内の前記積層体を積層方向に加圧しながら、前記積層体の最下層及び最上層に位置する2つの前記原料成形体を、それらの形状を維持したまま水不溶化処理して2つの膜状成形体を得る工程と、を有する膜状成形体の製造方法。
[2]2つの前記膜状成形体が、粘着力の異なる2つの面をそれぞれ有する前記[1]に記載の膜状成形体の製造方法。
[3]前記ポリアニオン性多糖類が、ヒアルロン酸、カルボキシアルキルセルロース、及びアルギン酸からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]又は[2]に記載の膜状成形体の製造方法。
[4]前記酸無水物が、無水酢酸及び無水プロピオン酸の少なくともいずれかである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の膜状成形体の製造方法。
[5]前記処理液が、水及び水溶性有機溶媒の少なくともいずれかの媒体をさらに含有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の膜状成形体の製造方法。
[6]前記水溶性有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、及びテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも一種である前記[5]に記載の膜状成形体の製造方法。
[7]60〜90℃に加熱して水不溶化処理する前記[1]〜[6]のいずれかに記載の膜状成形体の製造方法。
また、本発明によれば、以下に示す膜状成形体が提供される。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の膜状成形体の製造方法によって製造された膜状成形体。
本発明によれば、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、配置した箇所から移動しにくい(ずれにくい)膜状成形体の簡便な製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、配置した箇所から移動しにくい(ずれにくい)膜状成形体を提供することができる。
積層・封入工程の一例を示す模式図である。 処理工程の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<膜状成形体の製造方法>
本発明の膜状成形体の製造方法(以下、単に「製造方法」とも記す)は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩からなる複数の膜状の原料成形体を厚さ方向に積層した積層体、及び酸無水物を含有する処理液を袋状容器に封入する工程(積層・封入工程)と、
袋状容器内の積層体を積層方向に加圧しながら、積層体の最下層及び最上層に位置する2つの前記原料成形体を、それらの形状を維持したまま水不溶化処理して2つの膜状成形体を得る工程(処理工程)と、を有する。以下、その詳細について説明する。
膜状の原料成形体の構成材料は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩である。ポリアニオン性多糖類は、カルボキシ基やスルホン酸基等の負電荷を帯びた1以上のアニオン性基をその分子構造中に有する多糖類である。また、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩は、ポリアニオン性多糖類中のアニオン性基の少なくとも一部が塩を形成したものである。なお、ポリアニオン性多糖類中のアニオン性基は、多糖類の分子中に導入されたものであってもよい。
ポリアニオン性多糖類の具体例としては、カルボキシメチルセルロースやカルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース、ヒアルロン酸、アルギン酸等を挙げることができる。これらのポリアニオン性多糖類は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアニオン性多糖類の水溶性塩としては、無機塩、アンモニウム塩、及び有機アミン塩等を挙げることができる。無機塩の具体例としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛、鉄等の金属塩等を挙げることができる。
膜状の原料成形体は、例えば、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を水に溶解させて得た水溶液を適当な容器内に流延した後、乾燥させること等によって得ることができる。また、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩の高濃度水溶液(ペースト状水溶液)を、ローラー等を使用して適当な厚さに圧延した後、乾燥させること等によっても製造することができる。このように、本発明の製造方法では、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を膜状に成形した後に水不溶化処理するため、用途に応じた形状や厚さの膜状成形体を得ることができる。
図1は、積層・封入工程の一例を示す模式図である。積層・封入工程では、図1に示すように、複数の膜状の原料成形体2a,2bを厚さ方向に積層して得た積層体10と、酸無水物を含有する処理液15とを袋状容器20に入れ、袋状容器20を封ずる。処理液に含有させる酸無水物の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水酪酸、無水フタル酸、及び無水マレイン酸等を挙げることができる。なかでも、無水酢酸及び無水プロピオン酸が好ましい。これらの酸無水物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
処理液は、水及び水溶性有機溶媒の少なくともいずれかの媒体をさらに含むとともに、この媒体中に酸無水物が溶解又は分散していることが好ましい。このような媒体中に酸無水物が溶解又は分散した処理液を使用することで、原料成形体を速やかに水不溶化処理することができる。
水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、及びテトラヒドロフラン等を挙げることができる。なかでも、メタノール、エタノール、及びジメチルスルホキシドが好ましい。これらの水溶性有機溶媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
処理液中の酸無水物の濃度は、通常、0.1〜60質量%であり、5〜50質量%であることが好ましい。酸無水物の濃度が0.1質量%未満であると、得られる膜状成形体の水不溶化の程度が不十分になる、或いは水不溶化に長時間を要する傾向にある。一方、酸無水物の濃度が60質量%を超えると、効果が頭打ちになる傾向にある。
なお、ポリアニオン性多糖類は親水性が高いため、原料成形体をより速やかに水不溶化させる観点から、処理液が媒体として水を含有することが好ましい。処理液中の水の含有量は、原料成形体が溶解又は膨潤しない程度とすることが好ましい。具体的には、処理液中の水の含有量は、0.01〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。処理液中の水の含有量が0.01質量%未満であると、メタノール以外の溶媒では水不溶化が不十分となる場合がある。また、処理液中の水の含有量が50質量%超であると、得られる膜状成形体の形状維持が困難となる場合がある。
処理液の量は、原料成形体の水不溶化を進行させる最低限の量とすればよい。具体的には、原料成形体(積層体)と処理液との質量比は、原料成形体(積層体):処理液=1:0.5〜1:0.05とすることが好ましい。処理液の量を多くしても水不溶化は十分に進行するが、製造費や廃液処理費が増大する傾向にある。
図2は、処理工程の一例を示す模式図である。処理工程では、図2に示すように、袋状容器20内の積層体10を積層方向に加圧する。これにより、積層体10の最下層及び最上層に位置する2つの原料成形体2a,2bを、それらの形状(膜状)を維持したまま水不溶化処理して、目的とする膜状成形体を得ることができる。袋状容器20内の積層体10を積層方向に加圧するには、例えば、プレス機30を使用して袋状容器20を挟み込むことが好ましい。また、ローラー等で袋状容器を挟み込んでもよい。なお、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を用いて形成した原料成形体を、無水酢酸等の酸無水物を含む処理液で処理した場合に想定される反応機構等については、例えば、国際公開第2015/029892号、特開2016−163695号公報等に開示されている。
複数の膜状の原料成形体を積層した積層体を処理液の存在下で加圧すると、積層体のうち、処理液に接触した部分である外側面を包含する部分については速やかに水不溶化が進行する。これに対して、隣接する原料積層体同士が接触する面(積層面)を包含する部分については、処理液に直接的に接触していないために水不溶化がほとんど進行しないか、進行するとしても進行速度が遅い。このため、水不溶化処理して得られる膜状成形体は、それらの厚さ方向に水不溶化の程度が徐々に変化している。そして、得られる膜状成形体のうち、水不溶化の程度が小さい部分(積層面)を包含する部分は粘着力が相対的に強く、外側面を包含する部分は粘着力が相対的に弱い。したがって、本発明の製造方法によれば、例えば、粘着力の異なる2つの面をそれぞれ有する2つの膜状成形体を得ることができる。なお、粘着力が相対的に強い部分は、乾燥時には粘着力が低下して取扱い容易である一方、使用時に適度な水分を付与することで粘着性を帯びる。このため、粘着性を帯びた部分が配置した箇所に貼り付き、移動しにくくなる(ずれにくくなる)といった効果を得ることができる。
水不溶化を適度に進行させるには、積層体の全体に処理液が接触するとともに、積層体を構成する原料成形体の内部にまで処理液が浸透するように処理することが好ましい。また、水不溶化処理は室温条件(約25℃)であってもよいが、60〜90℃に加熱して水不溶化処理することが好ましい。具体的には、加熱機能を有するヒートプレス機や熱ローラー等を用いることで、ポリアニオン性多糖類や処理液の分解変性等が生ずることなく、より短時間で水不溶化処理することができる。
処理時間は特に限定されないが、具体的には1〜60分とすることが好ましく、1〜30分とすることがさらに好ましく、3〜10分とすることが特に好ましい。処理時間を60分超としても、水不溶化の程度が頭打ちになりやすく、エネルギー面で不利になる場合がある。処理工程の後、積層体を積層面で分離するとともに、必要に応じて水や水溶性有機溶媒等を用いて洗浄すること等によって、本発明の膜状成形体を得ることができる。
ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を用いて形成した原料成形体の積層体を塩酸等の無機酸や酢酸等の有機酸に浸漬して処理しても、所望とする膜状成形体を得ることはできない。また、処理液中の酸無水物を、この酸無水物に対応する酸に置き換えても、所望とする膜状成形体を得ることはできない。このことから、ポリアニオン性多糖類のアニオン性基が酸型に変化する以外の要因も加わり、水不溶性の膜状成形体が得られると予想される。
本発明の製造方法においては化学的架橋剤を用いる必要がないため、得られる膜状成形体を構成する分子中に化学的架橋剤に由来する官能基等の構造が取り込まれることがない。このため、上記の製造方法によって製造される膜状成形体は、原料であるポリアニオン性多糖類本来の特性が保持されているとともに、安全性が高い。したがって、本発明の製造方法により製造される膜状成形体は、癒着防止材等の医療用材料の他、化粧品用材料として好適である。
本発明の製造方法によって製造される膜状成形体は、水により膨潤状態になるが溶解しにくく、成形体の原形をほぼとどめている。製造される膜状成形体の膨潤率は、1,000質量%以下であることが好ましく、600質量%以下であることがさらに好ましく、150〜300質量%であることが特に好ましい。膜状成形体のうち、膨潤率が十分に低いものについては、癒着防止材等の医療用材料の他、化粧品用材料として好適である。本明細書における「膨潤率」とは、「水分保持前(膨潤前)の膜状成形体の質量」に対する、「水分保持後(膨潤後)の膜状成形体の質量」の割合(質量%)を意味する。
本発明の製造方法によって製造される膜状成形体は、化学的架橋剤を用いることなく、酸無水物を含む処理液でポリアニオン性多糖類の水溶性塩からなる原料成形体を処理して得られたものである。このため、得られる膜状成形体は、それを構成するポリアニオン性多糖類の分子が実質的に架橋されていない。さらに、ポリアニオン性多糖類には、新たな共有結合が実質的に形成されていない。但し、膜状成形体を構成するポリアニオン性多糖類の分子間には、水素結合、疎水結合、及びファンデルワールス力などの物理的結合が形成されていると推測される。そのような物理的結合がポリアニオン性多糖類の分子間で形成されている点については、赤外吸収スペクトル等の物理的測定法により確認することができる。
本発明の膜状成形体を癒着防止材として使用する場合には、膜状成形体内に多価アルコールを保持させることが好ましい。多価アルコールの具体例としては、エチレングルコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、メチルグリセロール、ポリオキシエレングリコシド、マルチトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、還元水飴、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、ポリグリセリン、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。なかでも、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、低分子ポリエチレングリコール等、医療分野や食品分野で使用されている多価アルコールが好適に用いられる。これらの好適に用いられる多価アルコールは、市場から入手してそのまま使用できる。グリセリン、ソルビトール等については、日本薬局方に適合したものを用いることが望ましい。グリセリンは、静脈への注射剤としても使用されるほど安全性の高い素材であるために特に好ましい。
膜状成形体に多価アルコールを保持させる方法としては、例えば、膜状成形体を多価アルコール又は多価アルコールのアルコール溶液(例えばエタノール溶液等)に浸漬する方法等がある。すなわち、膜状成形体を多価アルコール等に浸漬して内部を多価アルコール等で置換すればよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」は、特に断らない限り質量基準である。
(実施例1)
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量(公称値):150万、由来:Streptococcus zooepidemicus、資生堂社製)1.0g及び水99.0gを混合し、ビーカー中で撹拌して均一な水溶液を得た。得られた水溶液をステンレス製バットに流し入れ、25℃で乾燥してヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られたヒアルロン酸ナトリウム膜を2枚の正方形(3cm×3cm)に切り出すとともに、これら2枚のヒアルロン酸ナトリウム膜を積層して、ポリエチレン製のチャック付き袋(商品名「ユニパックC−4」、70mm×100mm、日本生産社製)に入れた。チャック付き袋内に処理液(20体積%無水酢酸/60体積%エタノール/20体積%水)1mLを加え、チャックを閉めて封止した。卓上ヒートプレス機(商品名「VD−10型」、ROMANOFF社製)の加熱プレス面でチャック付き袋を挟むともに、70℃で5分間加熱プレス処理した後、エタノールで十分洗浄して、2枚の膜状成形体を得た。
(比較例1)
正方形(3cm×3cm)に切り出したヒアルロン酸ナトリウム膜を積層せず、1枚のヒアルロン酸ナトリウム膜をチャック付き袋に入れて加熱プレス処理したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、1枚の膜状成形体を得た。
(評価1:貼り付き性)
ゼラチン水溶液を冷却し、厚さ約3mmのゼラチン膜を得た。得られたゼラチン膜の表面に蒸留水を噴霧して湿潤状態とした。湿潤状態としたゼラチン膜の表面に、その積層面(粘着面)がゼラチン膜の表面に当接するように、実施例1で製造した膜状成形体を載せて5分間静置した。その後、膜状成形体をゼラチン膜の表面から剥離しようとしたところ、膜状成形体はゼラチン膜の表面に接着しており、剥離することができなかった。そして、無理に剥離しようとしたところ、膜状成形体は破れてしまった。
一方、湿潤状態としたゼラチン膜の表面に、その外側面がゼラチン膜の表面に当接するように、実施例1で製造した膜状成形体を載せて5分間静置したところ、膜状成形体はゼラチン膜の表面に接着しておらず、容易に剥離することができた。さらに、湿潤状態としたゼラチン膜の表面に比較例1で製造した膜状成形体を載せて5分間静置したところ、膜状成形体はゼラチン膜の表面に接着しておらず、容易に剥離することができた。
(評価2:動物実験)
実施例1で製造した膜状成形体(12cm×9cm)を滅菌用袋にそれぞれ封入し、25kGyの放射線を照射して滅菌用袋ごと滅菌した。成犬(ビーグル犬、雌、1.5歳、体重約10kg)を全身麻酔処置後に開腹し、腹側壁表皮を3cm角に剥離した。その積層面(粘着面)が剥離した箇所を覆うように、実施例1で製造した膜状成形体を載置したところ、膜状成形体は良好に貼り付いた。この状態で閉腹し、2週間後に全身麻酔処置して開腹した。その結果、癒着が発生していないことを確認した。これに対して、膜状成形体を載置することなく閉腹した犬については、剥離した箇所と腸に癒着が生じていることを確認した。
本発明の製造方法によって製造される膜状成形体は、例えば、癒着防止材等の医療用材料の他、化粧品用材料等として有用である。
2a,2b:原料成形体
10:積層体
15:処理液
20:袋状容器
30:プレス機

Claims (8)

  1. ポリアニオン性多糖類の水溶性塩からなる複数の膜状の原料成形体を厚さ方向に積層した積層体、及び酸無水物を含有する処理液を袋状容器に封入する工程と、
    前記袋状容器内の前記積層体を積層方向に加圧しながら、前記積層体の最下層及び最上層に位置する2つの前記原料成形体を、それらの形状を維持したまま水不溶化処理して2つの膜状成形体を得る工程と、
    を有する膜状成形体の製造方法。
  2. 2つの前記膜状成形体が、粘着力の異なる2つの面をそれぞれ有する請求項1に記載の膜状成形体の製造方法。
  3. 前記ポリアニオン性多糖類が、ヒアルロン酸、カルボキシアルキルセルロース、及びアルギン酸からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の膜状成形体の製造方法。
  4. 前記酸無水物が、無水酢酸及び無水プロピオン酸の少なくともいずれかである請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜状成形体の製造方法。
  5. 前記処理液が、水及び水溶性有機溶媒の少なくともいずれかの媒体をさらに含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜状成形体の製造方法。
  6. 前記水溶性有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、及びテトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも一種である請求項5に記載の膜状成形体の製造方法。
  7. 60〜90℃に加熱して水不溶化処理する請求項1〜6のいずれか一項に記載の膜状成形体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の膜状成形体の製造方法によって製造された膜状成形体。
JP2018059140A 2018-03-27 2018-03-27 膜状成形体の製造方法及び膜状成形体 Ceased JP2019170423A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018059140A JP2019170423A (ja) 2018-03-27 2018-03-27 膜状成形体の製造方法及び膜状成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018059140A JP2019170423A (ja) 2018-03-27 2018-03-27 膜状成形体の製造方法及び膜状成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019170423A true JP2019170423A (ja) 2019-10-10

Family

ID=68169846

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018059140A Ceased JP2019170423A (ja) 2018-03-27 2018-03-27 膜状成形体の製造方法及び膜状成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019170423A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Shah et al. Art and science behind modified starch edible films and coatings: a review
Hansen et al. Sustainable films and coatings from hemicelluloses: a review
Kanafi et al. Citric acid cross-linking of highly porous carboxymethyl cellulose/poly (ethylene oxide) composite hydrogel films for controlled release applications
Xiao Current advances of chemical and physical starch‐based hydrogels
Verma et al. Carboxymethyl cellulose based sustainable hydrogel for colon-specific delivery of gentamicin
Xu et al. Hemicellulose-based hydrogels for advanced applications
Amini et al. Promising nanocomposites for food packaging based on cellulose–PCL films reinforced by using ZnO nanoparticles in an ionic liquid
Guo et al. Biofunctional chitosan–biopolymer composites for biomedical applications
Wang et al. Biopolymer-based self-healing hydrogels: A short review
Liu et al. Improvement of hydrophobicity and gas permeability of the polyvinyl alcohol film utilizing monoglyceride coating and diatomaceous earth filling and its application to fresh-cut mango
JP6374088B2 (ja) 医療用材料及び癒着防止材
JP2019170423A (ja) 膜状成形体の製造方法及び膜状成形体
JP6077424B2 (ja) 水不溶性成形体の製造方法及び水不溶性成形体
JP2016163695A (ja) 医療用材料の製造方法、医療用材料、及び癒着防止材
KR102322976B1 (ko) 의료용·미용 재료의 제조 방법 및 의료용·미용 재료
JP6374089B2 (ja) 医療用・美容材料及び癒着防止材
JP6298576B2 (ja) 医療用材料の製造方法、医療用材料、及び癒着防止材
JP2016163696A (ja) 医療用材料及び癒着防止材
TW200307721A (en) Water-absorption resin and manufacturing method thereof
Koshy et al. Recent progress and treatment strategy of pectin polysaccharide based tissue engineering scaffolds in cancer therapy, wound healing and cartilage regeneration
JP2019089962A (ja) 高分子成形体の製造方法
Palencia et al. Cellulose-based stimuli-responsive hydrogels
JP2019037609A (ja) 癒着防止材
JP2003292501A (ja) キトサンスポンジおよびその製造方法
JP2019037608A (ja) 柔軟性成形体の製造方法及び柔軟性成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201127

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210104

A045 Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045

Effective date: 20210601