JP2019170231A - ロールイン用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、低温での伸展性に優れ、かつ焼成品のボリューム性能が低下しないロールイン用油脂組成物を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決するために、エステル交換油(A)、エステル交換油(B)および液状油脂(C)を含有し、エステル交換油(A)の含有量が12〜24質量%、エステル交換油(B)の含有量が26〜58質量%および液状油脂(C)の含有量が30〜50質量%である、ロールイン用油脂組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ペストリー等の多層構造を有するベーカリー製品の作製時に折り生地に使用されるロールイン用の油脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、低温においても伸展性が良好であり、良好なボリューム性能を有するペストリー等のベーカリー製品を製造することができるロールイン用の油脂組成物に関する。
パイ、デニッシュ、クロワッサンに代表されるペストリーは、特有の食感を有するために消費者から広く支持されている。ペストリーとは、一般のパンとは異なり、薄い生地膜から形成される多層構造を有するベーカリー製品である。
ペストリーの製造過程では、小麦粉、砂糖、食塩、イースト、水等を練込用油脂とともに捏和して作製したパン生地に、シート状に成形されたロールイン用の油脂組成物を乗せ、その上にパン生地を折り返してロールイン用油脂組成物を挟み込み、さらに、このロールイン用油脂組成物を挟み込んだパン生地に対して、伸展と折りたたみの操作を繰り返すことにより、パン生地の多層構造を形成する。多層構造が良好に形成されていると、パン生地は焼成時に、層間に生地の浮きが形成され、焼成後にボリューム性能がよくなる。
ロールイン用の油脂組成物は、上述したように、生地の間に挟まれた状態で伸展と折りたたみの操作を繰り返すため、軟化して生地に練り込まれないように、一般的に融点の高い油脂組成物が利用される。しかし、融点の高い油脂組成物は、冷蔵下のような低温では硬く、伸展性が低下してしまうという課題があった。一方、融点の低い油脂組成物では生地への折り込み・圧延時に軟化してしまい、良好な多層構造や焼成後のボリューム性能を得ることが困難であった。ペストリーを工場で大規模に生産する製パンメーカーでは、折り込みに適した物性とするために専用の調温庫等でロールイン用油脂組成物を加温して使用しているが、調温に時間がかかるため、生産性向上の観点から、冷蔵状態でも折り込みに適した物性のロールイン用油脂が求められている。
また、油脂の加工技術では、トランス脂肪酸を低減する加工方法としてエステル交換油が注目されている。エステル交換油は、種々の油脂を混合し、触媒や酵素の働きによってこれらの油脂の脂肪酸を交換するという技術である。エステル交換油の技術は、原料となる油脂の組み合わせにより、様々な物性を有する新たな油脂組成物を得ることができる。そして、近年、このエステル交換油の技術を利用して、目標とする油脂物性を得るための開発が行われている。
例えば、特許文献1には、油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基を特定の分布としたロールイン用油脂組成物が開示されている。この技術によれば、ある程度の温度範囲での生地作製時の伸展性が確保されている。しかし伸展性が増加する分だけ、どうしてもボリューム性能が落ちてきてしまう。
また、特許文献2、3には、位置選択性エステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物が開示されている。位置選択性エステル交換には、エステル交換の生産性の低さに由来する問題点が存在するが、この問題点を度外視すればこの技術によって、口どけを犠牲にすることなく伸展性の改善を図ることができる。しかしながら、やはり伸展性の増加に伴ってボリューム性能の低下の問題を回避することができない。
上記の通り、低温での伸展性とボリューム性能の両立という観点では未だ不十分であり、さらなる改善が求められている。そこで、本発明の課題は、低温での伸展性に優れ、かつ焼成品のボリューム性能が低下しないロールイン用油脂組成物が求められているのである。
特開2012−105583号公報 国際公開第2013/133138号 特開2016−21941号公報
本発明の課題は、低温での伸展性に優れ、かつ焼成品のボリューム性能が低下しないロールイン用油脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のエステル交換油2種と液状油脂を特定の配合量で配合することにより、上記の課題の解決が得られることの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の〔1〕である。
〔1〕下記のエステル交換油(A)、エステル交換油(B)および液状油脂(C)を含有し、エステル交換油(A)の含有量が12〜24質量%、エステル交換油(B)の含有量が26〜58質量%および液状油脂(C)の含有量が30〜50質量%である、ロールイン用油脂組成物。
エステル交換油(A):融点が45〜50℃のエステル交換油であり、10℃における固体脂含量が93〜99%、かつ、20℃における固体脂含量が90〜96%であるエステル交換油
エステル交換油(B):融点が36〜40℃であり、10℃における固体脂含量が40〜56%、かつ、20℃における固体脂含量が20〜32%であるエステル交換油
液状油脂(C):融点が0℃以下の油脂
本発明の油脂組成物によれば、低温での伸展性に優れ、かつ焼成品のボリューム性能が良好な製品を得るための油脂組成物を提供することができる。
〔油脂組成物〕
本発明の油脂組成物は、エステル交換油(A)、エステル交換油(B)および液状油脂(C)を含有する。各成分について下記に順に詳述する。
[エステル交換油(A)]
エステル交換油(A)は、融点が45〜50℃のエステル交換油であり、10℃における固体脂含量が93〜99%、かつ、20℃における固体脂含量が90〜96%であるエステル交換油である。
エステル交換油(A)の融点は、45〜50℃であり、好ましくは46〜48℃である。融点の測定は、基準油脂分析試験法「2.2.4.2 融点(上昇融点)」に準じて測定する。なお、本発明における融点は、この方法に従い測定する。
エステル交換油(A)の10℃における固体脂含量は、93〜99%であり、下限値としては、好ましくは94%以上であり、より好ましくは95%以上である。上限値としては、好ましくは98%以下であり、より好ましくは97%以下である。また、20℃における固体脂含量は、90〜96%であり、下限値としては、好ましくは91%以上であり、より好ましくは92%以上である。上限値としては、好ましくは95%以下であり、より好ましくは94%以下である。エステル交換油(A)の融点及び固体脂含量が、上記の範囲から外れると、十分なボリューム性能が得られない。
固体脂含量の測定は、基準油脂分析試験法「2.2.9 固体脂含量(NMR法)」に準じて測定する。測定装置は、「SFC−2000R」(アステック(株)製)を使用する。なお、本発明における固体脂含量は、この方法に従い測定する。
エステル交換油(A)の脂肪酸組成は、特に制限されないが、例えば、ラウリン酸(C12:0)を好ましくは16〜26質量%、より好ましくは18〜23質量%含有し、パルミチン酸(C16:0)を好ましくは23〜33質量%、より好ましくは26〜30質量%含有し、ステアリン酸(C18:0)を好ましくは33〜43質量%、より好ましくは35〜41質量%含有する。
エステル交換油(A)の製造方法は、複数の原料油脂を混合して混合油を調製し、この混合油を触媒や酵素等を用いてエステル交換することにより得られる。
エステル交換油(A)の製造に使用される原料油脂としては、特に制限されないが、例えば、ラウリン酸を40〜50質量%含有する油脂(以下、「原料油脂a1」という。)と、パルミチン酸を35〜45質量%、およびステアリン酸を40〜60質量%含有する油脂(以下、「原料油脂a2」という。)を混合した混合油等が挙げられる。
上記原料油脂a1としては、例えば、ヤシ油、パーム核油およびそれらの硬化油等が例示される。
上記原料油脂a2としては、例えば、パーム油、パーム分別油、綿実油、およびそれらの硬化油等が例示される。
エステル交換に供する混合油における原料油脂a1の含有量は、好ましくは35〜55質量%であり、下限値としては、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは43質量%以上である。上限値としては、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは47質量%以下である。原料油脂a2の含有量は、好ましくは45〜65質量%であり、下限値としては、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは53質量%以上である。上限値としては、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは57質量%以下である。
エステル交換の方法は、特に制限されないが、例えば、混合油に触媒としてナトリウムメトキシド等のアルカリ触媒、またはリパーゼ等の酵素を用いて反応させる方法が挙げられる。エステル交換は、位置特異的なエステル交換であっても、ランダムエステル交換であってもよいが、ランダムエステル交換が好ましい。
本発明の油脂組成物におけるエステル交換油(A)の含有量は、12〜24質量%であり、下限値としては、好ましくは14質量%以上であり、より好ましくは16質量%以上である。上限値としては、好ましくは22質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。エステル交換油(A)が12質量%未満の場合には、20℃において過度な軟化が発生し、ペストリーの十分なボリューム性能が得られない。一方、22質量%を超える場合には、ロールイン油脂の伸展性が低下する。
[エステル交換油(B)]
エステル交換油(B)は、融点が36〜40℃であり、10℃における固体脂含量が40〜56%、かつ、20℃における固体脂含量が20〜32%である。
エステル交換油(B)の融点は、36〜40℃であり、好ましくは37〜39℃である。
エステル交換油(B)の10℃における固体脂含量は、40〜56%であり、下限値としては、好ましくは42%以上であり、より好ましくは45%以上である。上限値としては、好ましくは54%以下であり、より好ましくは51%以下である。また、20℃における固体脂含量は、20〜32%であり、下限値としては、好ましくは22%以上であり、より好ましくは24%以上である。上限値としては、好ましくは30%以下であり、より好ましくは28%以下である。エステル交換油(B)の融点及び固体脂含量が、上記の範囲から外れると、20℃での伸展性が得られない。
エステル交換油(B)の脂肪酸組成は、特に制限されないが、例えば、ラウリン酸(C12:0)を好ましくは2〜8質量%、より好ましくは4〜6質量%含有し、パルミチン酸(C16:0)を好ましくは30〜40質量%、より好ましくは33〜37質量%含有し、オレイン酸(C18:1)を好ましくは30〜40質量%、より好ましくは33〜37質量%含有し、べへン酸(C22:0)を好ましくは0.5〜4質量%、より好ましくは1.0〜2.5質量%含有する。
エステル交換油(B)の製造方法は、複数の原料油脂を混合してエステル交換することにより得られる。エステル交換油(B)の製造に使用される原料油脂としては、特に制限されないが、例えば、べへン酸を40〜60質量%およびステアリン酸を30〜50質量%含有する油脂、ステアリン酸を70〜100質量%含有する油脂、ステアリン酸を35〜55質量%およびパルミチン酸を35〜55質量%含有する油脂等(以下、「原料油脂b1」という。)と、ラウリン酸を30〜60質量%含有する油脂(以下、「原料油脂b2」という。)と、パルミチン酸を35〜45質量%、およびステアリン酸を40〜60質量%含有する油脂(以下、「原料油脂b3」という。)を混合した混合油等が挙げられる。
上記原料油脂b1としては、例えば、ハイエルシン菜種油、菜種油、大豆油、コーン油、米油、綿実油、オリーブ油、米ぬか油、ごま油、ぶどう油、パーム油等の極度硬化油が例示される。
上記原料油脂b2としては、例えば、ヤシ油、パーム核油およびそれらの硬化油等が例示される。
上記原料油脂b3としては、例えば、パーム油、パーム分別油、パームオレイン、大豆油、コーン油、米油、綿実油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイック紅花油、オリーブ油、およびそれらの硬化油等が例示される。
エステル交換に供する混合油における原料油脂b1の含有量は、好ましくは1〜8質量%であり、下限値としては、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上である。上限値としては、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下である。原料油脂b2の含有量は、好ましくは6〜16質量%であり、下限値としては、好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。上限値としては、好ましくは14質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下である。原料油脂b3の含有量は、好ましくは75〜95質量%であり、下限値としては、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは83質量%以上である。上限値としては、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは87質量%以下である。
エステル交換の方法は、特に制限されず、例えば、混合油に触媒としてナトリウムメトキシド等のアルカリ触媒、またはリパーゼ等の酵素を用いて反応させる方法が挙げられる。エステル交換は、位置特異的なエステル交換であっても、ランダムエステル交換であってもよいが、ランダムエステル交換が好ましい。
本発明の油脂組成物におけるエステル交換油(B)の含有量は、26〜58質量%であり、下限値としては、好ましくは30質量%であり、より好ましくは35質量%である。上限値としては、好ましくは50質量%であり、より好ましくは40質量%である。エステル交換油(B)が26質量%未満の場合には、ペストリーのボリューム性能の低下が起こりやすく、一方、58質量%を超える場合には、ロールイン油脂の伸展性が低下しやすい。
[液状油脂(C)]
液状油脂(C)は、融点が0℃以下の油脂である。例えば、菜種油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、紅花油、ゴマ油、綿実油、米油、落花生油、亜麻仁油等、および、これらの油脂を複数種類配合した混合油などが挙げられる。また、融点が0℃以下であれば、分別油やエステル交換油でもよい。
本発明の油脂組成物における液状油脂(C)の含有量は、30〜50質量%であり、下限値としては、好ましくは35質量%以上であり、より好ましくは37質量%以上である。上限値としては、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは43質量%以下である。液状油脂(C)が30質量%未満の場合には、ロールイン油脂の伸展性が低下しやすく、一方、50質量%を超える場合には、ペストリーのボリューム性能の低下が起こりやすい。
[その他の油脂]
本発明の油脂組成物は、上記エステル交換油(A)、(B)および液状油脂(C)以外のその他の油脂を添加してもよい。その他の油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油ヤシ油、豚脂、牛脂等やこれらの分別油、また菜種硬化油等の硬化油、さらに上記エステル交換油(A)および(B)以外のエステル交換油のうち融点が0℃を超えるもの等が例示される。
本発明の油脂組成物におけるその他の油脂の含有量は、特に制限されないが、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下である。
[油脂組成物の特性]
本発明の油脂組成物は、エステル交換油(A)とエステル交換油(B)、液状油脂(C)を組み合わせることによる作用により、低温状態から常温(20℃前後)まで硬さの変化が少なく、良好な伸展性が得られる。また、本油脂組成物を生地に対し折り込み、圧延した際に軟化しにくく、生地に良好な油脂層を形成することにより良好なボリューム性能が得られる。
[油脂組成物の用途]
本発明の油脂組成物の用途としては、例えば、パイ、デニッシュ、クロワッサン等のペストリー、およびこれらの生地を利用した食パンやドーナツ、たい焼き等のバラエティーブレッド、さらにホットドック、ハンバーガー等の調理パンなどが挙げられる。
本発明の油脂組成物は、ロールイン用油脂組成物として使用すると、低温においても伸展性に優れ、また、生地の伸展操作等における機械的な加圧等に対する耐性も有するため、生地と油脂による良好な多層構造が形成され、良好な層状膨化構造を有するペストリーを調製することができる。
〔ロールイン用油脂組成物〕
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記油脂組成物を含有することを特徴とするものであり、層状膨化構造を有するペストリーに利用するものである。
本発明のロールイン用油脂組成物によれば、上述したとおり、ペストリーの製造における作業性を損なわず、優れた層状膨化構造を有するペストリーを調製することができるという効果を奏する。
ロールイン用油脂組成物における上記油脂組成物の含有量は、特に制限されないが、好ましくは50〜100質量%であり、より好ましくは70〜100質量%である。
ロールイン用油脂組成物は、水相を実質的に含有しない形態(水相の含有量が0.5質量%以下)、水相を含有する形態とすることができる。さらに、水相を含有する形態としては、油中水型、水中油型等の形態が挙げられる。伸展性の観点からは油中水型とすることが好ましい。
ロールイン用油脂組成物には、上記油脂組成物の他、乳化剤、酸化防止剤、動植物蛋白、乳、乳製品、澱粉、糖類、塩類、増粘多糖類、酸味料、酵素、pH調整剤等の安定剤、香辛料、呈味素材、フレーバー等の原料を配合してもよい。
ロールイン用油脂組成物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。例えば、水相を含有する形態のものであれば、上記の油脂組成物を含有する油相と水相とを、適宜に加熱混合して乳化した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター等の冷却混合機により急冷捏和することにより得ることができる。また、水相を含有しない形態のものであれば、上記の油脂組成物を含有する油相を加熱後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター等の冷却混合機により急冷捏和し、必要に応じてテンパリングすることにより得ることができる。
ロールイン用油脂組成物の形状は、特に制限されないが、例えば、シート状、ブロック状、円柱状、直方体状、ペンシル状等が挙げられる。ペストリーの製造に使用する際に、伸展と折りたたみの操作に利用しやすいという観点から、シート状が好ましい。シート状とした場合のサイズとしては、特に制限されず、ペストリーの製造設備に応じて長さや幅、厚みなど適宜調整することができる。
〔ペストリー〕
本発明のペストリーは、層状膨化構造を形成したベーカリー製品であり、上記ロールイン用油脂組成物を含有することを特徴とする。例えば、パイ、デニッシュ、クロワッサン等が挙げられる。
ペストリーの製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。例えば、生地の間に、シート状に成形された本発明のロールイン用油脂組成物を挟み込み、その後、伸展と折りたたみを繰り返すことによって生地中にロールイン用油脂組成物を層状に折り込んで、生地とロールイン用油脂組成物の薄い層を何層にも作り上げる。そして、この層状の生地を焼成することにより、生地が膨化してペストリーを得ることができる。
ペストリーにおけるロールイン用油脂組成物の配合量は、焼成品の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、生地に配合される穀粉100質量部に対して、好ましくは20〜120質量部であり、より好ましくは20〜100質量部である。
生地は穀粉を主成分とし、穀粉としては、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉等が挙げられる。
生地には、穀粉以外の他、通常、ベイカリー製品に使用される原料を配合してもよい。穀粉以外の原料としては、例えば、水、糖、糖アルコール、卵、卵加工品、澱粉、食塩、乳化剤、乳化起泡剤、チーズ、生クリーム、合成クリーム、ヨーグルト、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエー、カゼイン、牛乳、濃縮乳、合成乳、可塑性油脂、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、フレーバー等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。実施例中の配合量と配合割合は質量基準である。
(エステル交換油の作製)
表1に示す原料油脂の組成に従って、混合油を調製し、以下の方法でエステル交換を行った。得られたエステル交換油の試料名を、それぞれ「A1」、「A2」、「A’」「B1」、「B2」、「B’」とした。
エステル交換方法:反応容器に原料油脂の混合油を仕込み、90〜95℃、真空下で攪拌し、油脂中の水分が100ppm以下になるまで脱水した。その後、油脂を85〜90℃まで冷却し、アルカリ触媒(ナトリウムメチラート)を0.1〜0.2質量部加え、30〜60分間反応させた。触媒除去のため、反応液に70℃の温水を加え、攪拌して洗浄した後、静置して油層と水層を分離した。分離した水層のpHが8以下になるまで温水洗浄を繰り返した後、窒素気流中、攪拌しつつ加熱し、100〜120℃で水分が蒸発しなくなるまで脱水した。次いで、活性白土を3質量部加え、15分間脱色した後、濾過した。
Figure 2019170231
(エステル交換油の分析評価)
得られたエステル交換油について、上昇融点、5〜35℃における固体脂含量、および、脂肪酸組成を測定した。各項目の測定方法は、以下のとおりである。
上昇融点:基準油脂分析試験法「2.2.4.2 融点(上昇融点)」に準じて測定した。
固体脂含量:基準油脂分析試験法「2.2.9 固体脂含量(NMR法)」に準じて測定した。測定装置は、「SFC−2000R」(アステック(株)製)を用いた。
脂肪酸組成:基準油脂分析試験法「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成」に準じて測定した。ガスクロマトグラフィー装置は、「Agilent 6850」(アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、カラムは、「DB−WAX」(アジレント・テクノロジー(株)製)を用いた。測定結果を表2に示す。
Figure 2019170231
表2の固体脂含量を見ると、「エステル交換油A1、A2」は、10℃(常温)から20℃にかけての固体脂含量が変化しにくい。すなわち、「エステル交換油A1、A2」は、温度に対する物性の変化が少ない性質を有していることがわかる。
(油脂組成物およびロールイン用油脂組成物の作製)
表3、4に示す配合割合に従って、油脂を混合して、実施例1〜8および比較例1〜6の油脂組成物を調製した。液状油脂Cとして、C1:菜種油、C2:コーン油を用いた。更に、実施例および比較例の油脂組成物を用いて、以下に示す方法により、ロールイン用油脂組成物を作製した。
ロールイン用油脂組成物の作製方法:実施例1〜8および比較例1〜6の油脂組成物100質量部に対し、モノグリセリン脂肪酸エステル0.3質量部、大豆レシチン0.3質量部、香料0.3質量部、およびβ−カロチンを適量添加し、70℃に加熱し油相部とした。この油相部に対し、油脂組成物100質量部に対して水20質量部、食塩1質量部、脱脂粉乳1質量部となるように調整した水相部を添加し、70℃に加熱しながらプロペラ攪拌機で攪拌し乳化した。これをコンビネーターにて急冷捏和し、レスティングチューブを通した後、シート状に成形し充填を行い、シート状ロールイン用油脂組成物を得た。
(デニッシュの作製)
上記実施例1〜8および比較例1〜6のロールイン用油脂組成物を用いて、以下に示す方法により、デニッシュを作製した。
デニッシュの作製方法:以下に示す配合に従い、デニッシュの生地を作製した。ミキサーボールに全ての原料を入れ、低速3分、中高速4分ミキシングした。生地の捏ね上げ温度は25℃とし、−3℃の恒温庫に生地を入れ2時間リタードを取った。生地100質量部に対して28質量部の割合で実施例および比較例で得たロールイン用油脂組成物を使用して折り込み、3つ折りを3回行い、−3℃の恒温庫で数時間寝かせてリタードを取った。リタード後、3mmまで圧延した後、9cm四方に分割、俵成型し、33℃のホイロに50分間入れた後、210℃のオーブンで12分間焼成してデニッシュを得た。
デニッシュ生地の配合:
強力粉 100質量部
砂糖 7質量部
食塩 1質量部
脱脂粉乳 2質量部
イーストフード 0.1質量部
イースト 5質量部
ショートニング 5質量部
全卵 5質量部
水 51質量部
(油脂組成物およびロールイン用油脂組成物の評価)
実施例および比較例の油脂組成物、ロールイン用油脂組成物について、ロールイン時の「伸展性(10℃、20℃)」、およびデニッシュ(焼成品)の「ボリューム性能」を評価した。これらの評価方法を以下に示す。
<伸展性>
上記方法にてデニッシュを作製する際に、3つ折りおよび成型時のロールイン用油脂組成物の伸展性について次の基準により評価した。評価結果を表3、4の下段の「伸展性」の欄に示す。
◎:生地に割れが生じず生地と同様に良好に伸展する。
○:生地に割れが生じず伸展する。
△:生地に若干割れが発生する、またはロールイン用油脂が軟化し生地にやや馴染む
×:生地に割れが多く発生する、またはロールイン用油脂が軟化し生地に馴染む
<焼成品のボリューム性能>
焼成後室温に冷却したデニッシュを「3D Laser Volume Measurement Selnac Win VM2100」(Astex社製)を使用し、比容積を測定した。測定結果について次の基準により評価した。評価結果を表3、4の下段の「焼成品のボリューム性能」の欄に示す。
◎:比容積6.0以上
○:比容積5.0以上〜6.0未満
△:比容積4.0以上〜5.0未満
×:比容積4.0未満
Figure 2019170231
表3を見ると、本発明で規定したロールイン油脂組成物の実施例1〜8では10℃、20℃における伸展性が良好であり、焼成品のボリューム性能が優れていることがわかる。
Figure 2019170231
表4を見ると、融点及び固体脂含量が異なるエステル交換油A’を含有する比較例1は、20℃における伸展性、及び焼成品のボリューム性能が悪くなることがわかった。融点及び固体脂含量が異なるエステル交換油脂B’を含有する比較例2は、20℃における伸展性が悪くなることがわかった。エステル交換油脂Aの含有量が12質量%未満である比較例3は、20℃における伸展性、及び焼成品のボリューム性能が悪くなることがわかった。エステル交換油脂Bの含有量が58質量%より多く、液状油脂Cの含有量が30質量%未満である比較例4は、伸展性、および焼成品のボリューム性能が悪い結果となった。エステル交換油脂Aの含有量が24質量%より多く、エステル交換油脂Bを含まない比較例5は、伸展性、および焼成品のボリューム性能が悪い結果となった。エステル交換油脂Aを含まない比較例6は、20℃における油脂の伸展性、焼成品のボリューム性能が悪い結果となった。

Claims (1)

  1. 下記のエステル交換油(A)、エステル交換油(B)および液状油脂(C)を含有し、エステル交換油(A)の含有量が12〜24質量%、エステル交換油(B)の含有量が26〜58質量%および液状油脂(C)の含有量が30〜50質量%である、ロールイン用油脂組成物。
    エステル交換油(A):融点が45〜50℃のエステル交換油であり、10℃における固体脂含量が93〜99%、かつ、20℃における固体脂含量が90〜96%であるエステル交換油
    エステル交換油(B):融点が36〜40℃であり、10℃における固体脂含量が40〜56%、かつ、20℃における固体脂含量が20〜32%であるエステル交換油
    液状油脂(C):融点が0℃以下の油脂

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